JP2004096141A - デジタル無線受信機 - Google Patents
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Abstract
【課題】デジタル無線通信に用いられる受信機において、デジタル信号処理の負担や消費電力を抑制するためには、信号のサンプリング周波数をできるだけ低くする必要がある一方で、サンプリングに伴う信号の折り返しにより、妨害波の干渉を受け易くなる課題を解決する。
【解決手段】受信信号に含まれる妨害波の強度と希望波の強度を測定し、これに対応してAD変換器のサンプリング周波数を適応的に変化させ、干渉の影響を受けない最小のサンプリング周波数を選択する手段を具備する。
【選択図】 図1
【解決手段】受信信号に含まれる妨害波の強度と希望波の強度を測定し、これに対応してAD変換器のサンプリング周波数を適応的に変化させ、干渉の影響を受けない最小のサンプリング周波数を選択する手段を具備する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル無線受信機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
デジタル無線受信機では、アナログ信号をサンプリングし、デジタル信号に変換するAD変換器が用いられる。サンプリング方式は、変換対象となるアナログ信号の周波数とサンプリング周波数の関係から、以下の3つの形式に分類することが出来る。
【0003】
(1)アナログ信号をベースバンド(基底帯域)にまで周波数変換してからサンプリングを行うベースバンドサンプリング方式、
(2)アナログ信号を比較的低い周波数に変換してから、その信号成分に含まれる最も高い周波数の2倍以上の周波数でサンプリングを行うIFオーバーサンプリング方式、
(3)アナログ信号を比較的高い周波数のまま、その信号成分に含まれる最も高い周波数の2倍以下の周波数でサンプリングを行うIFアンダーサンプリング方式である。
【0004】
一般に、前記の(1),(2),(3)の順にアナログ処理の負担は軽減され、回路の構成が簡易になる。一方でデジタル処理の負担は増加するが、最近のデジタル信号処理素子の高性能化に伴い、IFアンダーサンプリング方式がしばしば採用される傾向にある。
【0005】
以下、IFアンダーサンプリング方式について説明する。図3は説明のためにπ/4シフトQPSK変調方式のデジタル受信機の一部を示したものである。IF信号入力端子100には、帯域制限フィルタで不要成分が抑圧された後に、増幅器によって振幅を適正レベルに調整された信号が入力される。AD変換器101では、サンプリング周波数fs で入力信号をサンプリングしデジタル信号への変換を行う。この信号は直交復調器102によってベースバンドに周波数変換され、同相成分、直交成分からなる複素信号となる。直交復調器102の出力には実信号を周波数変換する結果生じる不要成分が含まれているため、LPF(低域通過型フィルタ)103によってこれを除去すると同時に波形整形が行われる。サンプラ104ではいわゆるシンボル点を抽出し、差動検波器105において一時刻前のシンボルとの位相差成分が算出される。判定器106ではこの位相差成分よりシンボル判定を行い、復号器107においてシンボルから対応するビット情報に変換を行ってビット出力端子108から復号値が出力される。
【0006】
図4は、以上の構成による動作を周波数軸上で表現した図である。説明のため、入力される信号の周波数fIFは450kHz、fs は256kHzとしている。(a)はAD変換器の入力信号である。周波数450kHzに帯域fB (この図では16kHzとしている)の信号がある。(b)はAD変換器の出力の周波数成分である。サンプリングによって、fs ごとに繰り返される複数の帯域がすべて0からfs の範囲に重畳され、さらにfs /2を中心に折り返した形となる。すなわち、0kHzから256kHz、256kHzから512kHz、さらにそれ以上の帯域が0kHzから256kHzの帯域に重畳されて、さらに128kHzを中心に折り返された形となる。
【0007】
この結果、AD変換器の出力は等価的に±62kHzに0Hzを中心に折り返した形となる(c)。直交復調器ではこの内、−62kHzの成分を0Hzに移動するように周波数変換を行い(d)、派生する124kHzの成分をLPFによって除去して(e)、所望の信号を得る。
【0008】
図5は同様にfs =192kHzの場合を示したものである。この場合も、0kHzから192kHz、192kHzから384kHz、384kHzから576kHz、さらにそれ以上の帯域がすべて0kHzから192kHzに重畳され、さらに96kHzを中心に折り返された形となる。この結果、AD変換器の出力は等価的に±66kHzに0Hzを中心に折り返した形となる。
【0009】
以上の2つの例では、どちらもベースバンドに周波数変換された所望の信号(以下、希望波という)を得ることが可能である。ところが、周辺の周波数に使用中のチャネル(以下、妨害波という)がある場合には考慮すべき課題が生じる。例えば図6に示すように、希望波の他にその周波数の前後±25kHzおよび±50kHzに妨害波成分がある場合、fs =256kHzの場合にはこれらが互いに重なり合うことはないが、fs =128kHzの場合には+50kHzの妨害波が希望波の帯域に干渉することになり、感度劣化の原因となる。通常のアンダーサンプリング方式の場合には、希望波の帯域内にその他の成分が折り返して干渉することのないように、帯域通過型フィルタ(BPF)を設け、この出力をA/D変換器に入力する。このBPFに要求される特性は、サンプリング周波数fs に依存するが、一般的に、fs が低くなるほど通過帯域を狭くする必要があることは、図6からも推察できる。
【0010】
一般に、サンプリングの周波数が低いほど、AD変換器やその制御回路、あるいはデジタル信号処理の負担が軽減され、消費電力が抑えられるため、fs は可能な限り低いことが望ましい。一方で周辺チャネルに信号が存在する場合には、それらの成分が希望波に折り返されないような高いサンプリング周波数を用いる必要が生じる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、消費電力や回路規模の点からサンプリング周波数は低い方が望ましい一方で、妨害波の存在によっては制限が生じる。通常の設計では、最悪の場合を想定し、妨害波の干渉を受けないようなサンプリング周波数が固定的に設定される。しかしながら、無線システムが運用される地理的条件、運用時間、あるいはシステムの構成条件などによっては妨害波の影響が比較的小さい場合もあることを考慮すると、必要以上にサンプリング周波数を高く設定している場合があることになる。このことは、特に携帯型無線端末にとっては電池の持続時間に影響する。本発明の目的は、この点を克服して受信機の消費電力を抑えることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の適応サンプリング受信機は、受信信号に含まれる妨害波の強度と希望波の強度を測定し、これに対応してAD変換器のサンプリング周波数を適応的に変化させ、干渉の影響を受けない最小のサンプリング周波数を選択する手段を有するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。図1は本発明によるデジタル受信機の構成である。変調方式はπ/4シフトQPSKを仮定している。図中、符号100はIF信号入力端子、101はAD変換器、102は直交変換器、103は低域通過型フィルタ(LPF)、104はサンプラ、105は差動検波器、106は判定器、107は復号器、108は復号出力端子、109は誤差検出、110はサンプリング周波数制御器である。
【0014】
図1において、入力されるIF信号は、AD変換器101でサンプリングされてデジタル変換されるが、そのサンプル周波数fs はサンプリング周波数制御器110によって制御される。直交変換器102では入力されるデジタル信号を復調周波数fMODで直交周波数変換し、同相成分、直交成分を出力する。この出力には復調周波数fMODの2倍の成分が含まれているため、LPF103によりこれを除去する。LPF103の最適な特性は、サンプリング周波数やシンボル周波数に依存するため、サンプリング周波数制御器110がLPF103の特性を制御する。サンプラ104では、入力されるサンプル系列から周期NS毎に信号を取り出す。ここでNSはfs /fb (fb はシンボル周波数)で与えられる自然数であり、サンプリング周波数制御器110により定められる。サンプラ104の出力は差動検波器105を経て、判定器106でシンボル判定され、判定値が復号器107に送られる。復号器107では入力されるシンボル判定値に対応するビット系列が出力され、復号出力端子108から出力される。判定器106の入力及び出力信号は、誤差検出器109に送られここで入力値に含まれる誤差の統計的処理が行われてその結果がサンプリング周波数制御器110に送られる。サンプリング周波数制御器110では、入力される誤差情報を基準として、適切なサンプリング周波数を決定する。また、この決定したサンプリング周波数に対応して、AD変換器101にはサンプリング周波数fs 、直交変換器102では対応する復調周波数fMOD、LPF103には対応する特性を指定する情報あるいはフィルタ係数、サンプラ104には間引き数(信号点を抽出する周期NS)が送られる。
【0015】
次に、具体的な例を用いて制御方法について説明する。シンボル周波数fBは16kHzを仮定する。また選択可能なサンプリング周波数fSは256kHz、192kHzの2通りとする。この周波数はそれぞれシンボル周波数の16倍、12倍に相当する。この二つの場合のAD変換器によるサンプリングからLPFの出力までの周波数軸上の波形は前記図4と図5のようになる。fs =256kHzの場合、誤差検出器109により検出される誤差がある閾値を超えたときにはfs =192kHzとし、逆にfS=192kHzの場合、検出される誤差が前記閾値、あるいはそれよりも低く設定された閾値を下回ったときにはfs =256kHzとする。本方式は、妨害波ではなく雑音の影響で誤差が大きくなる場合にもfS=256kHzを維持する可能性があるが、検出・選択方式が簡便であり、雑音が低い環境では低いサンプリング周波数を選択する効果が期待できる。
【0016】
より高い精度でサンプリング周波数を切り替える例を図2に示す。図中、符号100から110は図1に示した要素と同じものである。符号111は包絡線検波器、符号112はAD変換器、符号113は電力計算器、符号114は平均器、115は妨害波判定器である。LPF103の出力は電力計算器114でその瞬時電力が計算され、これを平均器114で時間平均する。この出力をPBとおく。これは、希望波の帯域内の信号電力である。一方、IF入力信号端子100から入力される信号は、検波器111によって包絡線検波され、この値をAD変換器112でデジタル変換される。この値をPTとおく。これは自局の信号電力に妨害波の信号を電力が加算された値となる。希望波がない状態で、PT=A×PBとなるような定数Aを定めると、妨害波がある場合PT>A×PBとなる。これは、妨害波が加えられることによってPTが増加する一方で、LPFの効果で妨害波の全部、あるいは一部が抑圧されるためである。この特性を利用して、サンプリング周波数を選択する。すなわち、fs =192kHzの場合、PT/(A×PB)がある閾値を超えたときに妨害波が存在すると判断してfs =256kHzとする。またfs =256kHzの場合、PT/(A×PB)がある閾値を下回ったときに妨害波が存在しないと判断してfs =256kHzとする。
【0017】
なお、サンプリング周波数を変化させると、その切り替え時において動作が不連続となり、受信が一時正常に動作しなくなるが、通常のデジタル無線ではフレームと呼ばれる固定周期のビットフォーマットで伝送が行われるため、フレームの境界において切り替え動作を行わせることによって影響を避けることが可能となる。また、前述の例では、サンプリング周波数の選択を二通りの中から行う方式について説明したが、選択可能なサンプリング周波数はさらに多くの場合がある。この場合も同様に動作させることによって、より細かな選択が可能となり、消費電力低減が期待できる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、妨害波の影響を受けない程度に低いサンプリング周波数を適応的に選択することにより、特に携帯型のデジタル無線受信機において最小限の消費電力での運用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるデジタル無線受信機の構成の一例を示すブロック図。
【図2】本発明によるデジタル無線受信機の他の構成例を示すブロック図。
【図3】従来のデジタル受信機の構成例を示すブロック図。
【図4】アンダーサンプリング方式における周波数変換を説明する図(fb =256kHz)。
【図5】アンダーサンプリング方式における周波数変換を説明する図(fb =192kHz)。
【図6】従来技術における妨害波干渉を説明する図。
【符号の説明】
100:IF信号入力端子、101:AD変換器、102:直交変換器、
103:LPF、104:サンプラ、105:差動検波波、106:判定器 、107:復号器、108:復号出力端子、109:誤差検出器、
110:サンプリング周波数制御器、111:包絡線検波器、
112:AD変換器、113:電力算出器、114:平均器、
115:妨害波判定器。
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル無線受信機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
デジタル無線受信機では、アナログ信号をサンプリングし、デジタル信号に変換するAD変換器が用いられる。サンプリング方式は、変換対象となるアナログ信号の周波数とサンプリング周波数の関係から、以下の3つの形式に分類することが出来る。
【0003】
(1)アナログ信号をベースバンド(基底帯域)にまで周波数変換してからサンプリングを行うベースバンドサンプリング方式、
(2)アナログ信号を比較的低い周波数に変換してから、その信号成分に含まれる最も高い周波数の2倍以上の周波数でサンプリングを行うIFオーバーサンプリング方式、
(3)アナログ信号を比較的高い周波数のまま、その信号成分に含まれる最も高い周波数の2倍以下の周波数でサンプリングを行うIFアンダーサンプリング方式である。
【0004】
一般に、前記の(1),(2),(3)の順にアナログ処理の負担は軽減され、回路の構成が簡易になる。一方でデジタル処理の負担は増加するが、最近のデジタル信号処理素子の高性能化に伴い、IFアンダーサンプリング方式がしばしば採用される傾向にある。
【0005】
以下、IFアンダーサンプリング方式について説明する。図3は説明のためにπ/4シフトQPSK変調方式のデジタル受信機の一部を示したものである。IF信号入力端子100には、帯域制限フィルタで不要成分が抑圧された後に、増幅器によって振幅を適正レベルに調整された信号が入力される。AD変換器101では、サンプリング周波数fs で入力信号をサンプリングしデジタル信号への変換を行う。この信号は直交復調器102によってベースバンドに周波数変換され、同相成分、直交成分からなる複素信号となる。直交復調器102の出力には実信号を周波数変換する結果生じる不要成分が含まれているため、LPF(低域通過型フィルタ)103によってこれを除去すると同時に波形整形が行われる。サンプラ104ではいわゆるシンボル点を抽出し、差動検波器105において一時刻前のシンボルとの位相差成分が算出される。判定器106ではこの位相差成分よりシンボル判定を行い、復号器107においてシンボルから対応するビット情報に変換を行ってビット出力端子108から復号値が出力される。
【0006】
図4は、以上の構成による動作を周波数軸上で表現した図である。説明のため、入力される信号の周波数fIFは450kHz、fs は256kHzとしている。(a)はAD変換器の入力信号である。周波数450kHzに帯域fB (この図では16kHzとしている)の信号がある。(b)はAD変換器の出力の周波数成分である。サンプリングによって、fs ごとに繰り返される複数の帯域がすべて0からfs の範囲に重畳され、さらにfs /2を中心に折り返した形となる。すなわち、0kHzから256kHz、256kHzから512kHz、さらにそれ以上の帯域が0kHzから256kHzの帯域に重畳されて、さらに128kHzを中心に折り返された形となる。
【0007】
この結果、AD変換器の出力は等価的に±62kHzに0Hzを中心に折り返した形となる(c)。直交復調器ではこの内、−62kHzの成分を0Hzに移動するように周波数変換を行い(d)、派生する124kHzの成分をLPFによって除去して(e)、所望の信号を得る。
【0008】
図5は同様にfs =192kHzの場合を示したものである。この場合も、0kHzから192kHz、192kHzから384kHz、384kHzから576kHz、さらにそれ以上の帯域がすべて0kHzから192kHzに重畳され、さらに96kHzを中心に折り返された形となる。この結果、AD変換器の出力は等価的に±66kHzに0Hzを中心に折り返した形となる。
【0009】
以上の2つの例では、どちらもベースバンドに周波数変換された所望の信号(以下、希望波という)を得ることが可能である。ところが、周辺の周波数に使用中のチャネル(以下、妨害波という)がある場合には考慮すべき課題が生じる。例えば図6に示すように、希望波の他にその周波数の前後±25kHzおよび±50kHzに妨害波成分がある場合、fs =256kHzの場合にはこれらが互いに重なり合うことはないが、fs =128kHzの場合には+50kHzの妨害波が希望波の帯域に干渉することになり、感度劣化の原因となる。通常のアンダーサンプリング方式の場合には、希望波の帯域内にその他の成分が折り返して干渉することのないように、帯域通過型フィルタ(BPF)を設け、この出力をA/D変換器に入力する。このBPFに要求される特性は、サンプリング周波数fs に依存するが、一般的に、fs が低くなるほど通過帯域を狭くする必要があることは、図6からも推察できる。
【0010】
一般に、サンプリングの周波数が低いほど、AD変換器やその制御回路、あるいはデジタル信号処理の負担が軽減され、消費電力が抑えられるため、fs は可能な限り低いことが望ましい。一方で周辺チャネルに信号が存在する場合には、それらの成分が希望波に折り返されないような高いサンプリング周波数を用いる必要が生じる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、消費電力や回路規模の点からサンプリング周波数は低い方が望ましい一方で、妨害波の存在によっては制限が生じる。通常の設計では、最悪の場合を想定し、妨害波の干渉を受けないようなサンプリング周波数が固定的に設定される。しかしながら、無線システムが運用される地理的条件、運用時間、あるいはシステムの構成条件などによっては妨害波の影響が比較的小さい場合もあることを考慮すると、必要以上にサンプリング周波数を高く設定している場合があることになる。このことは、特に携帯型無線端末にとっては電池の持続時間に影響する。本発明の目的は、この点を克服して受信機の消費電力を抑えることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の適応サンプリング受信機は、受信信号に含まれる妨害波の強度と希望波の強度を測定し、これに対応してAD変換器のサンプリング周波数を適応的に変化させ、干渉の影響を受けない最小のサンプリング周波数を選択する手段を有するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。図1は本発明によるデジタル受信機の構成である。変調方式はπ/4シフトQPSKを仮定している。図中、符号100はIF信号入力端子、101はAD変換器、102は直交変換器、103は低域通過型フィルタ(LPF)、104はサンプラ、105は差動検波器、106は判定器、107は復号器、108は復号出力端子、109は誤差検出、110はサンプリング周波数制御器である。
【0014】
図1において、入力されるIF信号は、AD変換器101でサンプリングされてデジタル変換されるが、そのサンプル周波数fs はサンプリング周波数制御器110によって制御される。直交変換器102では入力されるデジタル信号を復調周波数fMODで直交周波数変換し、同相成分、直交成分を出力する。この出力には復調周波数fMODの2倍の成分が含まれているため、LPF103によりこれを除去する。LPF103の最適な特性は、サンプリング周波数やシンボル周波数に依存するため、サンプリング周波数制御器110がLPF103の特性を制御する。サンプラ104では、入力されるサンプル系列から周期NS毎に信号を取り出す。ここでNSはfs /fb (fb はシンボル周波数)で与えられる自然数であり、サンプリング周波数制御器110により定められる。サンプラ104の出力は差動検波器105を経て、判定器106でシンボル判定され、判定値が復号器107に送られる。復号器107では入力されるシンボル判定値に対応するビット系列が出力され、復号出力端子108から出力される。判定器106の入力及び出力信号は、誤差検出器109に送られここで入力値に含まれる誤差の統計的処理が行われてその結果がサンプリング周波数制御器110に送られる。サンプリング周波数制御器110では、入力される誤差情報を基準として、適切なサンプリング周波数を決定する。また、この決定したサンプリング周波数に対応して、AD変換器101にはサンプリング周波数fs 、直交変換器102では対応する復調周波数fMOD、LPF103には対応する特性を指定する情報あるいはフィルタ係数、サンプラ104には間引き数(信号点を抽出する周期NS)が送られる。
【0015】
次に、具体的な例を用いて制御方法について説明する。シンボル周波数fBは16kHzを仮定する。また選択可能なサンプリング周波数fSは256kHz、192kHzの2通りとする。この周波数はそれぞれシンボル周波数の16倍、12倍に相当する。この二つの場合のAD変換器によるサンプリングからLPFの出力までの周波数軸上の波形は前記図4と図5のようになる。fs =256kHzの場合、誤差検出器109により検出される誤差がある閾値を超えたときにはfs =192kHzとし、逆にfS=192kHzの場合、検出される誤差が前記閾値、あるいはそれよりも低く設定された閾値を下回ったときにはfs =256kHzとする。本方式は、妨害波ではなく雑音の影響で誤差が大きくなる場合にもfS=256kHzを維持する可能性があるが、検出・選択方式が簡便であり、雑音が低い環境では低いサンプリング周波数を選択する効果が期待できる。
【0016】
より高い精度でサンプリング周波数を切り替える例を図2に示す。図中、符号100から110は図1に示した要素と同じものである。符号111は包絡線検波器、符号112はAD変換器、符号113は電力計算器、符号114は平均器、115は妨害波判定器である。LPF103の出力は電力計算器114でその瞬時電力が計算され、これを平均器114で時間平均する。この出力をPBとおく。これは、希望波の帯域内の信号電力である。一方、IF入力信号端子100から入力される信号は、検波器111によって包絡線検波され、この値をAD変換器112でデジタル変換される。この値をPTとおく。これは自局の信号電力に妨害波の信号を電力が加算された値となる。希望波がない状態で、PT=A×PBとなるような定数Aを定めると、妨害波がある場合PT>A×PBとなる。これは、妨害波が加えられることによってPTが増加する一方で、LPFの効果で妨害波の全部、あるいは一部が抑圧されるためである。この特性を利用して、サンプリング周波数を選択する。すなわち、fs =192kHzの場合、PT/(A×PB)がある閾値を超えたときに妨害波が存在すると判断してfs =256kHzとする。またfs =256kHzの場合、PT/(A×PB)がある閾値を下回ったときに妨害波が存在しないと判断してfs =256kHzとする。
【0017】
なお、サンプリング周波数を変化させると、その切り替え時において動作が不連続となり、受信が一時正常に動作しなくなるが、通常のデジタル無線ではフレームと呼ばれる固定周期のビットフォーマットで伝送が行われるため、フレームの境界において切り替え動作を行わせることによって影響を避けることが可能となる。また、前述の例では、サンプリング周波数の選択を二通りの中から行う方式について説明したが、選択可能なサンプリング周波数はさらに多くの場合がある。この場合も同様に動作させることによって、より細かな選択が可能となり、消費電力低減が期待できる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、妨害波の影響を受けない程度に低いサンプリング周波数を適応的に選択することにより、特に携帯型のデジタル無線受信機において最小限の消費電力での運用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるデジタル無線受信機の構成の一例を示すブロック図。
【図2】本発明によるデジタル無線受信機の他の構成例を示すブロック図。
【図3】従来のデジタル受信機の構成例を示すブロック図。
【図4】アンダーサンプリング方式における周波数変換を説明する図(fb =256kHz)。
【図5】アンダーサンプリング方式における周波数変換を説明する図(fb =192kHz)。
【図6】従来技術における妨害波干渉を説明する図。
【符号の説明】
100:IF信号入力端子、101:AD変換器、102:直交変換器、
103:LPF、104:サンプラ、105:差動検波波、106:判定器 、107:復号器、108:復号出力端子、109:誤差検出器、
110:サンプリング周波数制御器、111:包絡線検波器、
112:AD変換器、113:電力算出器、114:平均器、
115:妨害波判定器。
Claims (3)
- デジタル無線通信に用いる受信機において、
アナログ/デジタル(AD)変換器、直交復調器、低域通過型フィルタ(LPF)、サンプラ、差動検波器、判定器、復号器を含むデジタル信号処理部を具備し、前記アナログ/デジタル(AD)変換器のサンプリング周波数を適応的に変化させ、該サンプリング周波数に対応して前記直交復調器、低域通過型フィルタ、サンプラの動作を制御することを特徴とするデジタル無線受信機。 - 請求項1に記載のデジタル無線受信機において、
前記判定器の入力信号と出力信号から受信信号に含まれる誤差を算出する誤差検出器を設け、該誤差検出器の出力からサンプリング周波数を決定するように構成したことを特徴とするデジタル無線受信機。 - 請求項1に記載のデジタル無線受信機において、
入力信号に含まれる電力と、希望波に含まれる電力とを算出し、該二つの電力比から妨害波の存在を推定し、妨害波が存在すると推定される場合にサンプリング周波数を高く設定し、妨害波が存在しないと推定される場合にはサンプリング周波数を低く設定するように制御する手段を具備したことを特徴とするデジタル受信機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002250507A JP2004096141A (ja) | 2002-08-29 | 2002-08-29 | デジタル無線受信機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002250507A JP2004096141A (ja) | 2002-08-29 | 2002-08-29 | デジタル無線受信機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004096141A true JP2004096141A (ja) | 2004-03-25 |
Family
ID=32057321
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002250507A Pending JP2004096141A (ja) | 2002-08-29 | 2002-08-29 | デジタル無線受信機 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004096141A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009010479A (ja) * | 2007-06-26 | 2009-01-15 | Kddi Corp | オーバー/アンダーサンプリングにおけるサンプリング周波数探索方法及びプログラム |
JP2010025942A (ja) * | 2009-09-11 | 2010-02-04 | Koden Electronics Co Ltd | 受信装置 |
JP2012194184A (ja) * | 2012-05-28 | 2012-10-11 | Koden Electronics Co Ltd | 測位装置 |
JP7379057B2 (ja) | 2019-10-02 | 2023-11-14 | 日本電波工業株式会社 | 発振装置 |
-
2002
- 2002-08-29 JP JP2002250507A patent/JP2004096141A/ja active Pending
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