JP2004095851A - 配線基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面3および裏面4を有するコア基板2と、このコア基板2において表面3と裏面4との間を貫通する貫通孔5と、この貫通孔5に埋込樹脂13を介して内蔵され且つ上記コア基板2の表面3および裏面4に電極11,12を有するチップコンデンサ(電子部品)10と、上記貫通孔5の側面に上記コア基板2の厚さ方向に沿い且つ外向きに突出して設けられた凹溝7と、この凹溝7の内壁表面に形成された凹溝導体8と、を含む、配線基板1。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コア基板に電子部品を内蔵し且つこのコア基板を貫通する凹溝導体を有する配線基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年における配線基板の小型化および配線基板内における配線の高密度化に対応するため、配線基板の第1主面上にICチップなどの電子部品を搭載するだけでなく、コア基板の内部に電子部品を内蔵する配線基板が提案されている。
例えば、図9(A)に示す配線基板40は、絶縁性のコア基板41に穿孔した貫通孔44内に埋込樹脂45を介して複数のチップ状の電子部品50を内蔵している。この電子部品50は、図9(A),(B)に示すように、一対の側辺から上・下に突出する電極51,52をそれぞれ対称に複数個有している。電極51,52は、コア基板42の表面42および裏面43に個別に形成された所定パターンの配線層56,57と接続されている。
【0003】
また、図9(A),(B)に示すように、コア基板41における貫通孔44の周囲には、当該コア基板41を貫通する複数のスルーホール46内にスルーホール導体47が貫通孔44に沿って個別に形成されている。かかる導体47は、内部に充填樹脂48を有する。更に、図9(A)に示すように、コア基板41の表面42上と裏面43下には、樹脂製の絶縁層54,55が形成されると共に、所定パターンを有し且つ電子部品50の電極51,52と接続する前記配線層56,57が形成される。尚、絶縁層54,55には、これを貫通し且つ配線層56,57と接続するビア導体58,59が形成され、その上・下端には別の配線層62,63が形成されると共に、これらの上下には絶縁層60,61が形成されている。また、絶縁層60,61には、これを貫通し且つ配線層62,63と接続するビア導体64,65が形成され、その上・下端には別の配線層66,67が形成されている。
【0004】
ところで、図9(B)に示すように、貫通孔44とこの周囲に配置されたスルーホール導体47との間には、幅Sのスペースがコア基板41に設けられている。かかるスペースは、コア基板41をパンチングして貫通孔44を穿孔する際、貫通孔44の各側面とスルーホール導体47との間を結ぶクラックが生じる事態を防ぐために設けられている。
しかしながら、上記幅Sのスペースが貫通孔44の周囲に存在するため、電子部品50の電極51,52とスルーホール導体47とを導通する際に、接続配線が長くなるので導通時の抵抗やインダクタンスが増大する。この結果、電子部品50への給電や電子部品50からの接地が不十分になりその機能が不十分になると共に、配線基板40内の電気的特性も不安定になる、という問題があった。
【0005】
【発明が解決すべき課題】
本発明は、以上に説明した従来の技術における問題点を解決し、コア基板に内蔵する電子部品を十分に機能させ得る共に、基板内部の電気的特性も安定化する配線基板を提供する、ことを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、電子部品を内蔵するコア基板の貫通孔または凹部の側面に凹溝導体を配置する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の配線基板は、表面および裏面を有するコア基板と、このコア基板において表面と裏面との間を貫通する貫通孔、あるいはコア基板において表面または裏面に開口する凹部と、この貫通孔または凹部に内蔵され且つ上記コア基板の表面および裏面の少なくとも一方に電極を有する電子部品と、上記貫通孔または凹部の側面に上記コア基板の厚さ方向に沿い且つ外向きに突出して設けられた凹溝と、この凹溝の内壁表面に形成された凹溝導体と、を含む、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、コア基板の貫通孔または凹部内において、内蔵された電子部品の電極と凹部導体とを短い接続配線により導通することが容易となる。これにより、かかる接続配線の抵抗やインダクタンスが小さくなるため、電子部品への給電や電子部品からの接地が十分に行えるので、電子部品の機能を十分に活用できると共に、配線基板の内部における電気的特性も安定化させることが可能となる。しかも、コア基板を高密度に有効活用することも可能になる。
尚、電子部品には、コンデンサ、インダクタ、抵抗、フィルタなどの受動部品や、ローノイズアンプ(LNA)、トランジスタ、半導体素子、ICチップ、FETなどの能動部品、或いはこれらのチップ状のものが含まれると共に、これらの異種の電子部品同士を同じ貫通孔や凹部内に内蔵しても良い。また、電子部品には、コア基板の表面または裏面の一方にのみ電極を有する形態も含まれる。
更に、前記凹溝は、平面視で断面ほぼ半円形または半楕円形を呈する共に、その内壁表面に形成される凹溝導体も上記断面形状にほぼ倣った断面を有する。
【0008】
付言すれば、表面および裏面を有するコア基板と、このコア基板において表面と裏面との間を貫通する貫通孔、あるいはコア基板において表面または裏面に開口する凹部と、この貫通孔または凹部に埋込樹脂を介して内蔵され且つ上記コア基板の表面および裏面の少なくとも一方に電極を有する電子部品と、上記貫通孔または凹部の側面に上記コア基板の厚さ方向に沿い且つ外向きに突出して設けられた凹溝と、この凹溝の内壁表面に形成された凹溝導体と、を含む、配線基板も本発明に含めることが可能である。これによる場合、前記電子部品の機能発揮や電気的特性の安定化に加えて、電子部品を埋込樹脂により埋設し且つ凹溝を介してコア基板に一層強固に内蔵できる。このため、電子部品を凹溝導体や基板内の配線層と正確に接続し且つ所要の動作を確実に発揮させることが可能となる。
【0009】
また、本発明には、前記凹溝および凹溝導体は、前記貫通孔または凹部の各側面において複数個ずつが互いに平行に形成されている、配線基板も含まれ得る。これによる場合、前記貫通孔または凹部に内蔵された複数の電子部品の多数の電極と上記凹溝導体とが、個別に短い配線により接続される。このため、上記複数の電子部品の機能をそれぞれ十分発揮させることが可能となる。
更に、本発明には、前記凹溝導体と前記電子部品の電極とは、前記コア基板の表面または裏面に形成された配線を介して接続されている、配線基板も含まれ得る。これによる場合、前記貫通孔または凹部に内蔵された電子部品の電極と上記凹溝導体とが、一層短い配線により接続される。このため、上記電子部品の機能を十二分に発揮させることが可能となる。
【0010】
加えて、本発明には、前記貫通孔または凹部の側面を挟んで隣接する前記凹溝導体と電子部品の電極とは、互いに逆の電源電位またはグランド電位に接続されている、配線基板も含まれ得る。これによる場合、隣接する電子部品の電極と凹溝導体とには、互いに逆向きの電流が通電されため、これらの電極と凹溝導体との間における相互インダクタンスを増加させ、且つ両者に跨る全体のループインダクタンスを低減することが可能となる。これにより、配線基板内の電子部品と配線層との間の通電や、配線層同士間の通電を安定させ且つ確実に行わしめ得る。尚、上記「隣接する」とは「間近」、即ち「一番近い」ことを指す。
【0011】
また、本発明には、表面および裏面を有するコア基板において、表面と裏面との間を貫通する複数のスルーホールあるいは表面または裏面から厚さ方向の中間で止まる複数のスルーホールを形成する工程と、かかる複数のスルーホール内にスルーホール導体を形成する工程と、上記複数のスルーホールの中心をそれぞれ通過するように、コア基板をパンチングして表面と裏面との間を貫通する貫通孔あるいは表面または裏面に開口する凹部を形成する工程と、を含む、配線基板の製造方法も含まれ得る。これによる場合、コア基板の貫通孔または凹部の側面において、当該コア基板の厚さ方向に沿った凹溝およびその内壁表面の凹溝導体を所要数有する配線基板を確実に製造することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下において本発明の実施に好適な形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明の一形態の配線基板1における主要部の断面を示す。
配線基板1は、図1に示すように、絶縁性のコア基板2と、その表面3上と裏面4下とに形成した配線層14,20,26,15,21,27と、絶縁層16,22,28,17,23,29とからなるビルドアップ層とを有する多層基板である。上記配線層14などの厚さは約15μm程度であり、絶縁層16などの厚さは約30μm程度である。
コア基板2は、平面視がほぼ正方形で厚さ約0.8mmのガラス布入りのエポキシ樹脂からなり、その中央部をパンチングすることにより、図2(A)に示すように、平面視がほぼ正方形で一辺が12mmの貫通孔5が穿孔されている。
【0013】
コア基板2の貫通孔5内には、シリカフィラなどの無機フィラを含むエポキシ系の埋込樹脂13を介して、複数のチップコンデンサ(電子部品)10が内蔵されている。チップコンデンサ10は、両側面10aにおいて上下端に突出し且つコア基板2の表面3または裏面4に位置する電極11,12を対称に複数有している。かかるチップコンデンサ10は、例えばチタン酸バリウムを主成分とする誘電層と内部電極となるNi層とを交互に積層したセラミックスコンデンサであって、3.2mm×1.6mm×0.7mmのサイズを有する。
図1,図2(A)に示すように、貫通孔5の側面には、コア基板2の厚さ方向に沿っており且つ外向きに突出する断面ほぼ半円形の凹溝7が複数設けられる。また、図2(B),(C)に示すように、凹溝7の内壁表面には当該凹溝7の断面形状に倣った断面半円形で且つ円弧形の凹溝導体8が個別に形成されている。かかる凹溝導体8は、後述する銅メッキにより形成されるCuからなる。
【0014】
図1,図2(A)に示すように、貫通孔5の周囲には、所要のスペースを置いてコア基板2の表面3と裏面4との間を貫通する複数のスルーホール9a,9aが穿孔され、それらの内部に銅メッキからなるスルーホール導体9b,9bおよびシリカフィラを含む充填樹脂9c,9cがそれぞれ形成されている。尚、充填樹脂9cに替え、多量の金属粉末を含む導電性樹脂、または金属粉末を含む非導電性樹脂を用いても良い。
図1に示すように、コア基板2の表面3上には、銅メッキからなる配線層14および配線14aと、シリカフィラを含むエポキシ樹脂からなる絶縁層16とが形成される。図1に示すように、配線14aは、左端のチップコンデンサ10の電極11と凹溝導体8の上端とを接続している。図2(B)に示すように、凹溝導体8と電極11とは、配線14aを介して最短距離で接続される。
【0015】
また、図1に示すように、絶縁層16内の所定の位置には、配線層14、配線14a、またはスルーホール導体9bの上端と接続する複数のフィルドビア導体18が形成され、これらビア導体18の上端と絶縁層16との上には配線層20が形成される。同様にして、配線層20の上には絶縁層22が形成され、且つフィルドビア導体24が上記ビア導体18の真上にスタックドビア(積み上げビア)として形成されると共に、フィルドビア導体24の上端と絶縁層22との上には配線層26が形成される。
【0016】
図1に示すように、配線層26の上には、ソルダーレジスト層(絶縁層)28と、これを貫通し且つ第1主面30よりも高く突出する複数のハンダバンプ(IC接続端子(Pb−Sn系、Sn−Ag系、Sn−Sb系、Sn−Zn系など))32とが形成される。ハンダバンプ32は、第1主面30上に搭載されるICチップ(半導体素子)34の底面に突設された接続端子36と個別に接続される。尚、接続端子36およびハンダバンプ32の周囲には、これらを埋設するようにICチップ34と第1主面30との間に図示しないアンダーフィル材が充填される。
【0017】
図1に示すように、コア基板2の裏面4下にも、銅メッキからなる配線層15および配線15aとシリカフィラ入りのエポキシ樹脂からなる絶縁層17とが形成される。配線15aは、前記図2(B)に示した形態であって、図1における右端のチップコンデンサ10の電極12と凹溝導体8の下端との間を接続している。また、絶縁層17の所定の位置には、配線層15、配線15a、またはスルーホール導体9bに上端が接続する複数のフィルドビア導体19が形成され、これらのビア導体19の下端と絶縁層17の下には配線層21が形成される。
【0018】
同様にして配線層21の下には絶縁層23およびフィルドビア導体25が形成されると共に、当該ビア導体25の下端と絶縁層23の下には配線層27が形成される。この配線層27の下には、ソルダーレジスト層(絶縁層)29が形成され、第2主面31側に開口する開口部33内に露出する配線層27内の配線35は、その表面にNiメッキおよびAuメッキが被覆され、当該配線基板1自体を搭載する図示しないプリント基板などのマザーボードとの接続端子となる。
【0019】
以上のような配線基板1によれば、凹溝導体8と貫通孔5に内蔵されたチップコンデンサ10の電極11,12とを短い配線14a,15aにより接続することができる。この結果、配線14a,15aの抵抗やインダクタンスが小さくなるため、チップコンデンサ10への給電や該コンデンサ10からの接地が十分に行えるので、該コンデンサ10の機能を十分に活用できると共に、配線基板1の内部における電気的特性も安定化させることが可能となる。しかも、凹溝導体8を用いることにより、コア基板2を高密度に活用することも可能になる。
【0020】
図3乃至図4は、前記配線基板1の製造方法における主要な工程に関する。
図3(A)に示すように、表・裏面3,4に厚さ数10μmの銅箔2cを貼り付けた厚さ0.8mmのガラスーエポキシ樹脂からなるコア基板2を用意する。
次に、図3(B)に示すように、コア基板2における所定の位置にドリルまたはレーザを用いて、表面3と裏面4との間を貫通する直径約0.3mmのスルーホール7a,9aを内外2重にして穿孔する。尚、スルーホール7a,9aは、平面視でほぼ正方形を形成する位置にある。
次いで、図3(C)に示すように、スルーホール7a,9a内に予めPdなどのメッキ用触媒を付着し無電解銅メッキを施した後、コア基板2の銅箔2cを含めて電解銅メッキを施し、銅メッキ層(導体)3c,4c,7b,9bを形成する。この結果、図3(C)に示すように、外周側のスルーホール9a内に円筒形で且つコア基板2の表面3および裏面4に延びるスルーホール導体9bが形成される。
【0021】
そして、内周側のスルーホール7a,7aの中心を通過するように、コア基板2の表面3と裏面4との間をパンチングまたはルータ加工する。その結果、図3(D)に示すように、縦×横12mmずつの貫通孔5が形成される。同時に、前記図2(B),(C)に示したように、断面ほぼ半円形の凹溝7とその内壁表面に位置する凹溝導体8とが、貫通孔5の各側面においてコア基板2の厚さ方向に沿って複数個形成される。次に、スルーホール導体9bの内部に充填樹脂9cを充填し、図示しないエッチングレジストを表面3および裏面4の銅メッキ層3c,4c上に形成して、紫外線などで露光し且つ現像を施した後、エッチング処理を施すことにより、スルーホール導体9bの両端を蓋メッキ(密封)する。
次いで、図4(A)に示すように、コア基板2の裏面4に、テープTを貼り付けて貫通孔5の裏面4側を封止する。かかるテープTの粘着面は、貫通孔5側に向けられている。尚、テープTは、上記コア基板2を含む多数のコア基板からなる多数個取り用のパネルにおける裏面の全体に渉って貼り付けられる。
【0022】
かかる状態で、図4(A)に示すように、複数のチップコンデンサ10を図示しないチップマウンタを用いて貫通孔5内に挿入すると共に、各チップコンデンサ10の電極12をテープTの粘着面における所定の位置に接着する。図示のように、各チップコンデンサ10における電極11,12の端面は、コア基板2の表・裏面3,4と同じ位置に位置している。
次いで、図4(B)に示すように、コア基板2の表面3側から貫通孔5内に、エポキシ樹脂を主成分とする溶けた樹脂13を充填した後、約100℃に加熱し且つ約60分保持するキュア処理を施す。この結果、図示のように、樹脂13は固化して複数のチップコンデンサ10を貫通孔5内に埋設する埋込樹脂13となる。この際、埋込樹脂13は、凹溝導体8,8の湾曲部にも進入して固化する。
【0023】
次に、埋込樹脂13の盛り上がった表面13aを、例えばバフ研磨などによって平坦に整面する。この結果、図4(C)に示すように、各チップコンデンサ10の電極11が露出する平坦な表面13bが形成される。この表面13bは、コア基板2の表面3と同一平面にある。また、図4(C)に示すように、テープTを剥離すると、埋込樹脂13の裏面13cには各チップコンデンサ10の電極12がそれぞれ露出する。尚、裏面13cも上記同様に整面すると各電極12を確実に露出させ得る。かかる裏面13cは、コア基板2の離面4と同一平面にある。
そして、コア基板2の表・裏面3,4と埋込樹脂13の表・裏面13b,13cに、メッキ用触媒を付着して無電解銅メッキおよび電解銅メッキを施す。その後、所定パターンの図示しないエッチングレジストを表・裏面3,13b,4,13cのメッキ層上に形成して、露光し且つ現像を施す。
【0024】
この結果、図4(D)に示すように、コア基板2の表面3上には、各チップコンデンサ10の電極11と接続される所要パターンの配線層14と、左端のチップコンデンサ10の電極11と左側の凹溝導体8の上端とを接続する配線14aとが形成される。また、図4(D)に示すように、コア基板2の裏面4下には、各チップコンデンサ10の電極12と接続される所要パターンの配線層15と、右端のチップコンデンサ10の電極12と凹溝導体8の下端とを接続する配線15aとが形成される。
これ以降は、配線層20,26,21,27、絶縁層16,22,28,17,23,29、および、ビア導体18,24,19,25を、公知のビルドアップ工程(セミアディティブ法、フルアディティブ法、サブトラクティブ法、フィルム状樹脂材料のラミネートによる絶縁層の形成、フォトリソグラフィ技術、レーザ加工によるビアホールの穿孔等)により形成する。これにより、前記図1に示した配線基板1を得ることができる。
【0025】
図5(A)は、前記図2(A)と同様な断面図であり、コア基板2の貫通孔5に複数のチップコンデンサ10が埋込樹脂13を介して内蔵されている。各チップコンデンサ10は、一対の側面に電源用回路に接続され電源電位(+)を有する電極11aとグランド(接地)用回路に接続されグランド電位(−)を有する電極11bとを交互に設けている。また、図5(A)に示すように、貫通孔5の各側面に沿って、電源用回路に接続され電源電位(+)を有する凹溝導体8aとグランド用回路に接続されグランド電位(−)を有する凹溝導体8bとが交互に形成されている。
【0026】
図5(B)に示すように、貫通孔5の各側面を挟んで隣接する凹溝導体8aおよび電極11bと凹溝導体8bおよび電極11aとには、それぞれ逆向きに電流が通電される。この結果、隣接する凹溝導体8aと電極11b、および凹溝導体8bと電極11aとの間におけるそれぞれの相互インダクタンス(2×M)が大きくなる。このため、両者の自己インダクタンスL1,L2の合計値から上記相互インダクタンスを差し引いた全体のループインダクタンスLを低減することができる。従って、チップコンデンサ10と凹溝導体8a,8bとの間の導通が安定して取れ、同時スイッチングノイズや放射ノイズを防止することも可能となる。
【0027】
図6は、異なる形態の配線基板1aの主要部の断面を示す。尚、以下において前記形態と同じ部分や要素には共通する符号を用いるものとする。
図6に示すように、配線基板1aのコア基板2には、その表面3側に開口し且つ平面視が正方形で12mm×12mmの凹部6がルータ加工により形成されている。図6に示すように、凹部6には、その左右に位置する前記と同じチップコンデンサ10と共に、凹部6の中間に位置し且つコア基板2の表面3に露出する電極11のみを有するチップコンデンサ10bが挿入され、且つ前記同様のエポキシ系の埋込樹脂13中に埋設されることにより、凹部6に内蔵されている。
図6に示すように、コア基板2の表面3上には、前記同様の配線層14および配線14a,14aが形成されている。配線14a,14aは、凹部6の側面に形成された凹溝導体8c,8cの上端とそれぞれ個別に接続されている。
【0028】
図8(A)に示すように、凹溝導体8cは、凹部6の各側面に形成された前記と同じ凹溝7内に形成され、その下端には凹部6の底面上に延びる配線8dが接続されている。図6に示すように、かかる配線8dを介して凹溝導体8cの下端とチップコンデンサ10の電極12とが接続されている。尚、上記配線8dは、ルータ加工によりコア基板2に凹部6を形成した後、例えば凹部6の底面上に部分的に銅メッキなどを施すことにより形成される。
図6に示すように、凹部6の周囲にも、所要のスペースを置いてコア基板2の表面3と裏面4との間を貫通する複数のスルーホール9a,9aが穿孔され、その内部に銅メッキからなるスルーホール導体9b,9bおよびシリカフィラを含む充填樹脂9c,9cが形成されている。尚、充填樹脂9cに替え、多量の金属粉末を含む導電性樹脂、または金属粉末を含む非導電性樹脂を用いても良い。
【0029】
また、図6に示すように、コア基板2の表面3、配線層14、配線14a上には、配線層20,26、ビア導体18,24、および絶縁層16,22,28が前記同様に形成されている。配線層26の上には、第1主面30よりも高く突出する複数のハンダバンプ32が形成され、これらは、第1主面30上に搭載されるICチップ34の底面に突設された接続端子36と個別に接続される。尚、ハンダバンプ32と接続端子36の周囲には、これらを埋設するようにICチップ34の底面と第1主面30との間にアンダーフィル材38が充填される。
【0030】
更に、図6に示すように、コア基板2の裏面4下には、前記同様に配線層15,21,27、ビア導体19,25、および絶縁層17,23が形成されている。配線層27の下には、ソルダーレジスト層(絶縁層)29が形成され、その開口部33内に露出する上記配線層27内の配線35は、表面にNiおよびAuメッキが被覆された接続端子である。コア基板2を挟んだ配線層14,15は、スルーホール導体9b,9bを介して接続されるが、チップコンデンサ10,10bは凹溝導体8c、配線層14、配線14a、およびスルーホール導体9bを介して下側の配線層15,21,27や接続端子35と導通されている。
【0031】
図7は、配線基板1aの製造方法における主要な工程に関する。
図7(A)に示すように、表面3と裏面4とに前記同様の銅箔2cを貼り付けたコア基板2における所定の位置に、ドリルまたはレーザを用いて、表面3からコア基板2の中間で止まるスルーホール7cとその外周側で表面3と裏面4との間を貫通するスルーホール9aとを内外2重にしてを穿孔する。スルーホール7c,9aは、平面視でほぼ正方形を形成する位置にある。
次に、図7(B)に示すように、スルーホール7c,9a内に予めPdなどのメッキ用触媒を付着して無電解銅メッキを施した後、コア基板2の銅箔2cを含めて電解銅メッキを施し、銅メッキ層(導体)3c,4c,7b,9bを形成する。
【0032】
次いで、図7(C)に示すように、内周側のスルーホール7c,7cの中心を通過するように、コア基板2をその表面3側からルータ加工を施して、表面3側に開口する縦×横12mmずつの凹部6を形成する。その結果、図7(C)に示すように、断面ほぼ半円形の凹溝7とこの内壁表面に位置する凹溝導体8cとが、凹部6の各側面においてコア基板2の厚さ方向に沿って複数個形成される。
その後、前記同様に凹部6内にチップコンデンサ10,10bを挿入した後、凹部6内に溶けた樹脂13を充填し且つこれを固化すると共に、かかる埋込樹脂13の表面を整面する。これにより、図7(D)に示すように、複数のチップコンデンサ10,10bは、埋込樹脂13を介して凹部6に内蔵される。
尚、凹溝導体8cの下端には、凹部6の底面上に延びる配線8dを予め形成しておく。また、スルーホール9a内のスルーホール導体9bには、前記同様に樹脂9cを充填し且つ両端を蓋メッキが施されている。
【0033】
本発明は以上において説明した各形態に限定されるものではない。
図8(B)に示すように、コア基板2の貫通孔5の凹溝7における内壁表面に、かかる凹溝7よりも内側面が浅いカーブで且つ厚肉の凹溝導体8eを形成したり、図8(C)に示すように、貫通孔5の凹溝7内の全体を満たす断面ほぼ半円形の凹溝導体8fを形成しても良い。凹溝導体8e,8fは、前記スルーホール7a内で銅メッキを更に追加して施したり、あるいは多量の金属粉末を含む導電性樹脂を充填することにより形成できる。尚、凹溝導体8e,8fは、前記凹部6の各側面に形成することもできる。
また、前記配線基板1において、電極11のみを有するチップコンデンサ10bをコア基板2の前記貫通孔5に埋込樹脂13を介して内蔵することもできる。
【0034】
更に、配線基板1aにおいて、電極11,12を有するチップコンデンサ10をコア基板2の凹部6に埋込樹脂13を介して内蔵する場合、下側の電極12は凹部6の底面とコア基板2の裏面4との間を貫通する短いスルーホール導体を介して配線層15と接続しても良い。
また、前記貫通孔5や凹部6に内蔵する電子部品は、1つのみでも良い。逆に、多数のコア基板2を含む多数個取りの基板(パネル)内における製品単位1個内に、複数の貫通孔5や凹部6を形成しても良い。
更に、複数のチップ状電子部品を互いの側面間で予め接着したユニットとし、これを前記貫通孔5または凹部6内に挿入して内蔵することもできる。
【0035】
更に、チップ状電子部品には、前記チップコンデンサ10,10bの他、チップ状にしたインダクタ、抵抗、フィルタなどの受動部品や、トランジスタ、半導体素子、ICチップ、FET、ローノイズアンプ(LNA)などの能動部品も含まれると共に、互いに異種の電子部品同士を、コア基板の同じ貫通孔または凹部内に併せて内蔵することも可能である。
また、コア基板2の材質は、前記エポキシ樹脂の他、ビスマレイミド・トリアジン(BT)樹脂、ガラス−エポキシ樹脂複合材料、同様の耐熱性、機械強度、可撓性、加工容易性などを有するガラス織布や、ガラス織布などのガラス繊維とエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、またはBT樹脂などの樹脂との複合材料であるガラス繊維−樹脂材料を用いても良い。あるいは、ポリイミド繊維などの有機繊維と樹脂との複合材料や、連続気孔を有するPTFEなど3次元網目構造のフッ素系樹脂にエポキシ樹脂などの樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料などを用いることも可能である。
【0036】
更に、前記凹溝導体8,8a〜8cなど、スルーホール導体9b、配線14a,15a、および配線層14,15などの材質は、前記Cu(銅)の他、Ag、Ni、Ni−Au系合金などにしても良く、あるいは、これら金属のメッキ膜を用いず、導電性樹脂を塗布するなどの方法により形成しても良い。
また、前記ビア導体18などは、ビアホール内を埋め尽くす形態の前記フィルドビアに限らず、ビアホールの断面形状に倣った円錐形状の形態としても良い。更に、絶縁層16,17などの材質は、前記エポキシ樹脂を主成分とするもののほか、同様の耐熱性、パターン成形性などを有するポリイミド樹脂、BT樹脂、PPE樹脂、あるいは、連続気孔を有するPTFEなど3次元網目構造のフッ素系樹脂にエポキシ樹脂などの樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料などを用いても良い。尚、絶縁層の形成には、絶縁性の樹脂フィルムを熱圧着する方法のほか、液状の樹脂をロールコータにより塗布する方法を用いることもできる。
【0037】
【発明の効果】
以上に説明した本発明の配線基板によれば、コア基板の貫通孔または凹部内において、内蔵された電子部品の電極と凹溝導体とを短い配線により導通できるため、かかる配線の抵抗やインダクタンスが小さくなる。従って、電子部品への給電や電子部品からの接地が十分に行えるので、電子部品の機能を十分に活用できると共に、配線基板の内部における電気的特性も安定化させることが可能となる。しかも、コア基板を高密度に有効活用することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板における1形態の配線基板の主要部を示す断面図。
【図2】(A)は図1中のA−A線に沿った矢視における断面図、(B)は(A)中の一点鎖線部分Bの拡大図、(C)は凹溝導体を示す斜視図。
【図3】(A)〜(D)は図1の配線基板の製造方法における主要な工程を示す概略図。
【図4】(A)〜(D)は図3(D)に続く上記製造方法における主要な工程を示す概略図。
【図5】(A)は図1の配線基板における変形形態を示す図2(A)と同様な断面図、(B)は(A)における電気的な配置関係を示す概略図。
【図6】本発明の異なる形態の配線基板における主要部を示す断面図。
【図7】(A)〜(D)は図6の配線基板の製造方法における主要な工程を示す概略図。
【図8】(A)は図6の配線基板における凹溝導体の付近を示す斜視図、(B),(C)は異なる形態の凹溝導体を示す概略図。
【図9】(A)は従来の配線基板における主要部を示す断面図、(B)は(A)中のB−B線線に沿った矢視における断面図。
【符号の説明】
1,1a………………………配線基板
2………………………………コア基板
3………………………………表面
4………………………………裏面
5………………………………貫通孔
6………………………………凹部
7………………………………凹溝
8,8a〜8f………………凹溝導体
10,10b…………………チップコンデンサ(電子部品)
11,11a,11b,12…電極
14a,15a………………配線
Claims (1)
- 表面および裏面を有するコア基板と、
上記コア基板において表面と裏面との間を貫通する貫通孔、あるいはコア基板において表面または裏面に開口する凹部と、
上記貫通孔または凹部に内蔵され且つ上記コア基板の表面および裏面の少なくとも一方に電極を有する電子部品と、
上記貫通孔または凹部の側面に上記コア基板の厚さ方向に沿い且つ外向きに突出して設けられた凹溝と、
上記凹溝の内壁表面に形成された凹溝導体と、を含む、
ことを特徴とする配線基板。
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