JP2004095729A - Mosfetとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】MOSFETの特性を変えることなく、ホットキャリア劣化による絶縁破壊に至る確率を低減できるMOSFETとその製造方法を提供する。
【解決手段】低濃度ドレイン領域内に開口部を有するマスクを通して、不純物を半導体基板表面領域に注入し、低濃度ドレイン領域内に、チャネル領域のドレイン領域側端部に対してオフセット長だけ離れて対向する辺をそれぞれ有する複数の端部を含む高濃度ドレイン領域を、複数の端部が互いに分離幅だけ離れて配置されるように形成する。
【選択図】図1
【解決手段】低濃度ドレイン領域内に開口部を有するマスクを通して、不純物を半導体基板表面領域に注入し、低濃度ドレイン領域内に、チャネル領域のドレイン領域側端部に対してオフセット長だけ離れて対向する辺をそれぞれ有する複数の端部を含む高濃度ドレイン領域を、複数の端部が互いに分離幅だけ離れて配置されるように形成する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホットキャリアによるデバイス破壊を抑制することができるMOSFET、特に、横型高耐圧MOSFETとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、10V以上の高電圧で動作する横型高耐圧のMOSFETには様々な形態のものが存在する。従来の技術として、例えばゲート電極をセルフアラインマスクとして用い、素子分離されたアクティブ領域内に低濃度のソース、ドレイン領域(以下、グレード層という)を形成し、このグレード層内に、ゲート電極から所定間隔を離して高濃度のソース、ドレイン領域を設けた構造が知られている。
【0003】
以下、一例を挙げて、従来の高耐圧MOSFETの構造を説明する。
【0004】
図7は、従来の横型高耐圧MOSFETの一例のレイアウト図である。ここで、同図(a)および(b)は、それぞれMOSFETのレイアウト平面図および断面図を示す。半導体基板12の表面領域上には、素子分離用の酸化膜が形成された素子分離領域14と、この素子分離領域14によって囲まれたアクティブ領域16が形成されている。MOSFET40は、このアクティブ領域16に形成されている。
【0005】
アクティブ領域16の上層には、ゲート絶縁膜18を介して、図7(a)中上下方向に延びるゲート電極20が形成されている。ゲート電極20により2分割されたアクティブ領域16の図中左右の領域にはそれぞれグレード層22a,22bが形成され、グレード層22a,22b内には、それぞれ高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bが、ゲート電極20から所定の間隔を離して形成されている。
【0006】
素子分離領域14、アクティブ領域16およびゲート電極20の上層には、層間絶縁膜26が全面に被覆され、その高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bに対応する位置、およびゲート電極20の図7(a)中上端部に対応する位置にコンタクト孔28が開孔されている。また、層間絶縁膜26の上層にはメタル配線30が形成されており、コンタクト孔28を介して高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bおよびゲート電極20と接続されている。
【0007】
このような構造は、例えばLDD(Lightly Doped Drain )構造やDDD(Double Diffused Drain )構造と呼ばれている。あるいは、図8に示すように、絶縁膜(フィールドプレート)42をパターニングし、これをマスクとして用いて、ゲート電極から所定間隔を離して高濃度ソース、ドレイン領域を形成することも可能である。この構造をフィールドプレート構造と呼ぶ場合もある。本明細書中では、このような構造を総称してオフセット型と呼ぶことにする。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
高耐圧MOSFETに限らず、MOSFETでは、ホットキャリアによるトランジスタの性能劣化を抑制することが重要な課題の1つである。これはホットキャリアの影響を受けやすいNMOSFETでは特に重要である。オフセット型高耐圧MOSFETに顕著に現れるホットキャリア劣化の現象として、単にドライバビリティ低下等のトランジスタの性能低下が起こるだけでなく、ゲート酸化膜の絶縁破壊といった致命的な結果に至る場合が多いという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、前記従来技術に基づく問題点を解消し、特性を変えることなく、ホットキャリア劣化による絶縁破壊に至る確率を低減することができるMOSFETとその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、分離領域に囲まれた半導体基板表面領域上に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成し、該半導体基板表面領域の該ゲート電極によって覆われた部分に、第1導電型のチャネル領域を形成する工程と、
前記ゲート電極をマスクとして、第2導電型の第1の不純物を前記半導体基板表面領域に注入して、前記チャネル領域の両側に低濃度ソース、ドレイン領域を形成する工程と、
前記低濃度ドレイン領域内に開口部を有するマスクを通して、前記第2導電型の第2の不純物を前記半導体基板表面領域に注入し、前記低濃度ドレイン領域内に、前記チャネル領域のドレイン領域側端部に対してオフセット長だけ離れて対向する辺をそれぞれ有する複数の端部を含む高濃度ドレイン領域を、該複数の端部が互いに分離幅だけ離れて配置されるように形成する工程と、
前記高濃度ドレイン領域上に絶縁膜を形成し、該形成された絶縁膜に、前記高濃度ドレイン領域を配線に接続するコンタクト孔を形成する工程とを含むことを特徴とするMOSFETの製造方法を提供するものである。
【0011】
ここで、前記分離幅が前記オフセット長よりも大きいのが好ましい。
【0012】
また、前記複数の端部を含む高濃度ドレイン領域の形成を、前記チャネル領域に対向する辺をそれぞれ有する複数の島状高濃度ドレイン領域を形成することによって行い、該複数の島状高濃度ドレイン領域のそれぞれを前記配線に接続するように、前記コンタクト孔を形成するのが好ましい。
【0013】
また、前記複数の島状高濃度ドレイン領域の少なくとも1つに対して、前記配線に接続するコンタクト孔を、複数、形成するのが好ましい。
【0014】
また、前記配線に接続するコンタクト孔の少なくとも1つを、対応する島状高濃度ドレイン領域の前記チャネル領域に対向する辺に対しては第1のマージンで、他の辺の少なくとも1つに対しては、該第1のマージンと異なる第2のマージンで配置されるように形成するのが好ましい。
【0015】
また、本発明は、分離領域に囲まれた半導体基板表面領域に形成された第1導電型のチャネル領域と、該チャネル領域の両側に形成された第2導電型のソース、ドレイン領域からなるMOSFETであって、
前記ドレイン領域が、平坦な表面を有する前記半導体基板表面領域に、前記チャネル領域に隣接するように形成された低濃度ドレイン領域と、該低濃度ドレイン領域内に形成され、コンタクトによって配線に接続される高濃度ドレイン領域とからなり、
前記高濃度ドレイン領域が、前記チャネル領域のドレイン領域側端部に対してオフセット長だけ離れて対向する辺をそれぞれ有し、かつ、互いに該オフセット長より大きな分離幅だけ離れて配置された複数の端部を含むことを特徴とするMOSFETを提供する。
【0016】
ここで、前記分離幅が前記オフセット長の3倍以下であるのが好ましい。
【0017】
また、前記高濃度ドレイン領域の端部の前記チャネル領域に対向する辺の長さが、前記分離幅よりも大きいのが好ましい。
【0018】
また、前記高濃度ドレイン領域の端部の前記チャネル領域に対向する辺の長さが20μm以下であるのが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明のMOSFETとその製造方法を詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明のオフセット型の横型高耐圧MOSFETの一実施形態の概略図である。ここで、同図(a)は、MOSFETのレイアウト平面図、同図(b)は、同図(a)のA−A’線部分におけるレイアウト断面図を示す。このMOSFET10は、図1に示すように、第1導電型の半導体基板(ウェル)12の平坦な表面を有する表面領域上の、素子分離用の酸化膜が形成された素子分離領域14によって囲まれたアクティブ領域16に形成されている。
【0021】
ここで、アクティブ領域16の上層には、ゲート絶縁膜(ゲート酸化膜)18を介して、アクティブ領域16を図中左右の2つの領域に分割するように、図1(a)中上下方向に延びるゲート電極20が形成されている。このゲート電極20の下層の、半導体基板12の表面領域近傍の内部領域には、半導体基板12と同一の第1導電型のチャネル領域17が形成される。
【0022】
このゲート電極20により分割されたアクティブ領域16の図中左右の領域には、第1導電型とは反対の導電型である第2導電型の低濃度ソース、ドレイン領域(グレード層)22a,22bがそれぞれ形成されている。また、低濃度ソース領域22a内には、第2導電型の高濃度ソース領域24aが形成され、同様に、低濃度ドレイン領域22b内には、第2導電型の高濃度ドレイン領域24bが形成されている。
【0023】
それぞれの高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bは、ゲート電極20の下層に形成されたチャネル領域17とグレード層22a,22bとの境界位置から所定のオフセット長D1だけ離れた位置に配置されている。また、それぞれの高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bは、素子分離領域14とグレード層22a,22bとの境界位置から、所定のオフセット長D2だけ離れた位置に配置されている。また、それぞれの高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bは、互いに所定の分離幅D3だけ離れた位置に配置されている。
【0024】
この例では、高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bが、それぞれ、複数の島状高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bの集合体として構成されている。この場合、それぞれの島状高濃度ドレイン領域24bの、ゲート電極20(チャネル領域17)に対向する部分が、本発明の高濃度ドレイン領域の端部となる。
【0025】
上記素子分離領域14、アクティブ領域16およびゲート電極20の上層には、層間絶縁膜26が全面に被覆されている。この層間絶縁膜26の、高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bに対応する位置およびゲート電極20の図1(a)中上端部に対応する位置にコンタクト孔28が開孔されている。また、層間絶縁膜26の上層にはメタル配線30が形成されている。このメタル配線30は、コンタクト孔28を介してそれぞれの高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bおよびゲート電極20に接続されている。
【0026】
本実施形態のMOSFET10は18Vの高電圧で動作する。素子分離領域14は、LOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)膜により、P型シリコン基板(Pウェル)12の表面領域上に形成されている。また、アクティブ領域16の図中左右の領域には、N型のグレード層22a,22bがそれぞれ形成されている。高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bは、図1に示すように、グレード層22a,22bのそれぞれにおいて、4つずつ島状に形成されている。
【0027】
また、本実施形態の場合、ゲート長(ゲート電極20の幅)Lは4μm、ゲート幅(ゲート電極20の、アクティブ領域16と重なった部分の長さ)Wは50μmである。それぞれの高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bとゲート電極(チャネル領域)20との間のオフセット長D1は1.5μm、それぞれの高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bと素子分離領域14との間のオフセット長D2は、素子分離領域14とグレード層22a,22bとの間の接合耐圧の低下を防止するために1μmとしてある。また、分離幅D3は、オフセット長D1の約1.3倍に相当する2μmである。
【0028】
また、本実施形態の場合、図1(a)に示すように、それぞれの島状高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bおよびゲート電極20に対して、コンタクト孔28がそれぞれ2つずつ開孔されている。
【0029】
次に、図2に示す製造工程の断面図を参照しながら、図1に示す本発明の一実施形態に係る横型高耐圧MOSFETの製造方法を説明する。
【0030】
まず、図2(a)に示すように、不純物濃度が3E16atoms/cm3 程度の低不純物濃度のPウェル12の表面領域に、500nm程度の厚みの素子分離用のLOCOS膜(酸化膜)14を形成して各アクティブ領域16を分離する。また、図1に示すように、アクティブ領域16の上層に、アクティブ領域16を図中左右の2つの領域に分割するように、ゲート絶縁膜18を介してゲート電極20を形成する。
【0031】
半導体基板12表面領域の、このゲート電極20によって覆われた部分17は、以降説明する工程によっても第1導電型(本実施形態ではP型)に保たれる。この領域17が、完成後のMOSFET10の動作時にチャネルが形成されるチャネル領域として機能する。
【0032】
続いて、図2(b)に示すように、リン(P)等のNタイプドーパントを、例えば80keV、5E12atoms/cm2 の条件で、アクティブ領域16内の表面領域にイオン注入する。これにより、ゲート電極20(チャネル領域17)の両側にPウェル12の数倍の濃度となる低濃度Nソース、ドレイン領域(Nグレード層)22a,22bを形成する。この時、ゲート電極20はセルフアラインマスクとして機能するので、ゲート電極20の下にはグレード層22a,22bは形成されない。
【0033】
続いて、図2(c)に示すように、フォトマスク32をパターニングして、例えば2E15atoms/cm2 の条件でグレード層22a,22b内の表面領域にヒ素(As)を注入する。これにより、図1に示すように、ゲート電極20(チャネル領域17)から所定のオフセット長D1だけ間隔を離し、素子分離領域14とアクティブ領域16との境界位置から所定のオフセット長D2だけ間隔を離し、なおかつ、互いに所定の分離幅D3だけ間隔を離して、グレード層22a,22b内に島状の高濃度N+ ソース、ドレイン層24a,24bを形成する。
【0034】
この後、図2(d)に示すように、素子分離領域14、アクティブ領域16およびゲート電極20の上層の表面全面に層間絶縁膜26を形成し、同図(e)に示すように、層間絶縁膜26の、高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bに対応する位置、およびゲート電極20の図1(a)中上端部に対応する位置にコンタクト孔28をそれぞれ開孔してメタル配線30を行う。上記各工程により、高耐圧NMOSFET10が形成される。
【0035】
なお、上記工程の途中で、グレード層22a,22b、および高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bを活性化させるための、例えば900℃、2時間の高温熱処理が必要であるが、そのタイミングは任意である。
【0036】
図2(c)では、フォトマスク32により、高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bのパターニングを行う場合を示しているが、フィールドプレートと呼ばれる酸化膜層をパターニング加工し、この酸化膜マスクを用いることによっても同様に高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bを形成することも可能である。また、PMOSFETの場合も、逆のタイプのドーパントを用いることによって、NMOSFET10の場合と全く同様に形成できる。
【0037】
ここで、高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bの配置は、ゲート電極20に垂直な方向(図1(a)の左右方向)には、ゲート電極20(チャネル領域17)からのオフセット長D1をトランジスタの性能(ドライバビリティ)を考慮して決め、素子分離領域14とアクティブ領域16との境界位置からのオフセット長D2を耐圧を考慮して決める。一方、ゲート電極20に平行な方向(図1(a)の上下方向)の配置は、後から述べるように、ホットキャリア耐性やドライバビリティを考慮して決める。これに対してコンタクト孔28は、メタル配線30との接続が容易に行えるよう、MOSFET10が含まれる半導体集積回路チップの表面全体に対して設定される、一定ピッチのグリッド上に配置される。高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bに対しては、コンタクト孔28は、製造に使用するプロセスによって決められる最小値以上のマージンを持って配置される必要があるが、それ以外は自由である。
【0038】
この結果、高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bの各辺に対するコンタクト孔28のマージンは、同一になるとは限らない。むしろ、図1(a)の例のように、ゲート電極20(チャネル領域17)に対向する辺に対しては第1のマージンで、その他の辺(例えば、ゲート電極20に対して垂直な辺)に対しては、第1のマージンとは異なる第2のマージンで配置されることが多い。
【0039】
次に、本発明のオフセット型の横型高耐圧MOSFETの特性を調査した結果を詳細に説明する。
【0040】
オフセット型の横型高耐圧MOSFETのホットキャリア劣化について、特に絶縁破壊に至るか否かという点に注目して、オフセット型の横型高耐圧MOSFETの特性を詳細に調査した。その結果、ゲート幅Wが小さいほど、MOSFETが絶縁破壊に至る確率が、ゲート幅の縮小から予想される以上の割合で急激に低くなり、トランジスタとしての信頼性が高いということを見出した。
【0041】
一般に、ゲート幅W、良品率F、絶縁破壊に至る欠陥の単位ゲート幅当りの密度(欠陥密度)Aとの関係は、F=exp(−A*W)の式で表される。ここで、通常は、欠陥密度Aはゲート幅Wに依存しない定数と仮定される。ところが現実には、ゲート幅Wの減少にともなって欠陥密度Aも減少することがわかった。
【0042】
図3の表には、さまざまなゲート幅WのNMOSFETに、ゲート電圧Vg=ドレイン電圧Vd=18V、ソース電圧Vs=基板電圧Vb=0Vのストレスを印加して、10000秒後にゲート絶縁膜の絶縁破壊を起こさなかった良品率Fを調査した結果を示す。この結果から、ゲート幅Wの小さいトランジスタは、ゲート幅Wの大きいトランジスタよりも欠陥密度Aが低いことがわかる。特に、ゲート幅Wが20μm以下であれば、良品率Fはほぼ1であり、高い信頼性が得られることがわかった。
【0043】
さらに長時間の調査において、一般的に、ゲート幅Wをゲート電極と高濃度ソース、ドレイン領域との間のオフセット長D1の12倍以下(D1=1.5μmの場合には18μm以下)とすれば、実使用に問題がないことが判明した。
【0044】
ゲート幅Wの小さいトランジスタが、ゲート幅Wの大きいトランジスタよりも欠陥密度Aが低いという現象は、絶縁破壊に至るウィークポイントに流れる電流がゲート幅Wに依存することに起因するものであると理解することができる。すなわち、ゲート幅Wが100倍になれば、ホットキャリア劣化の原因となる基板電流も100倍になる。この場合、点で存在する最も弱いウィークポイントにかかるストレスは、100倍とは言わずとも数〜数10倍になっていると推定される。
【0045】
この考えを実証するように、ゲート幅Wの大きなトランジスタを避け、例えばゲート幅Wが10μmのトランジスタを10個並列に並べたトランジスタのストレス試験を行った。その結果、ゲート幅Wが50μmのトランジスタと比較して、オン電流が2倍になったにも関わらず、デバイス破壊に対してはるかに高い信頼性を持つことが確認された。
【0046】
しかし、ゲート幅Wの小さいトランジスタを、多数、並列に並べて使用することは結果的に素子分離領域を大きくし、素子密度を低下させる。さらに、LOCOS膜上に乗り上げたゲート電極下に存在する寄生トランジスタの増大により、オフ電流が大きく増加する。
【0047】
そのため、図1に示す実施形態のMOSFETでは、ゲート幅Wを小さくした場合と等価の効果が得られるように、高濃度ソース、ドレイン領域を島状に配置した。グレード層は、数KΩ/□の高抵抗体である。従って、この形状は、ゲート幅Wの大きなトランジスタと同等のドライバビリティ(オン電流)を有するトランジスタを、ゲート幅Wの小さな多数の並列のトランジスタで構成するために、LOCOS膜ではなく、グレード層で分離したものであると考えると、その効果を理解しやすい。ここで、グレード層による分離効果を得るためには、分離幅D3は、オフセット長D1より大きいことが好ましいと考えられる。
【0048】
続いて、図4に、高濃度ソース、ドレイン領域間の分離幅D3をパラメータとした実験の結果を示す。
【0049】
実験対象のMOSFETは、図4(a)に示すように、ゲート電極20と高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bとの間のオフセット長D1=1.5μm、ゲート長L=4μm(=2.6D1)、ゲート幅W=60μm(=40D1)のものである。また、高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bの、ゲート電極20に平行な方向(図1(a)の上下方向)の配置のピッチを10μm(=6.7D1)とした。すなわち、図3において全く不良が観察されなかったゲート幅Wが10μm以下のトランジスタを、6個並列に配置した構造を得ることを意図している。
【0050】
次に、図4(b)に、ドレイン電流(オン電流)と分離幅D3との関係を示す。
【0051】
図4(b)に示すグラフは、図1に示す実施形態のMOSFET10において、分離幅D3を変化させた場合のMOSFETの規格化されたドレイン電流(オン電流)を表したものである。ドレイン電流の変化を見ることにより、従来のMOSFETとの特性の違いを判定することができる。
【0052】
図4(b)のグラフの縦軸は、従来構成のMOSFETのドレイン電流を1として規格化された、図1に示す本実施形態のMOSFET10のドレイン電流、横軸は同じく分離幅D3を表す。なお、これらのグラフにおいて、1.5μm、3μm、4.5μmにおける縦線は、オフセット長D1の整数倍を表す仕切り線である。なお、分離幅D3=0は、従来構成のMOSFETの特性を表す。
【0053】
図4(b)のグラフに示すように、ドレイン電流は、分離幅D3が3μm、すなわちオフセット長D1の2倍付近では全く減少しないか、むしろわずかに増加する。しかし、分離幅D3がオフセット長D1の3倍を超えた辺りからドレイン電流は徐々に減少する。この現象は、ゲート電圧Vg=ドレイン電圧Vd=3.3Vという低電圧の場合は顕著ではないが、ゲート電圧Vg=ドレイン電圧Vd=18Vという高電圧の場合には顕著に発生する。このことからは、分離幅D3を、オフセット長D1の3倍以下とするのが好ましいと言える。
【0054】
従って、上記の調査結果を総合すると、分離幅D3は、オフセット長D1よりも大きく、なおかつオフセット長D1の3倍以下とするのが最も好ましいと言える。前記のように、高濃度ドレイン領域24bの配置のピッチは10μm(=6.7D1)であるため、この範囲において、それぞれの島状高濃度ドレイン領域24bのゲート電極20(チャネル領域17)に対向する辺の長さは、分離幅D3よりも大きい。
【0055】
なお、本明細書中では、ゲート電極と高濃度ソース、ドレイン領域との間の距離であるオフセット長D1を基準として各部の寸法を表現した。これは、MOSFETの動作電圧が異なる場合には、各部の寸法の絶対値には意味がなくなるからである。逆に、特定の動作電圧を想定してトランジスタを最適化した場合、ゲート長Lやオフセット長D1は特定値に収束する。以上の点はスケーリング則としてよく知られている。
【0056】
オフセット長D1は、ゲート長Lに次ぐ重要なパラメータであり、特定の動作電圧を想定した製品においては常に一定のオフセット長D1を有するMOSFETが使われるのが通例である。この意味で、オフセット長D1は、分離幅D3を規定するための基準単位として適していると言える。
【0057】
本発明は、トランジスタの初期特性を変えるものではない。すなわち、同一のゲート幅Wを有する従来のMOSFETと実質的に同一のドレイン電流(オン電流)を有する。従って、回路設計においては、従来のMOSFETと区別することなく使用することができる。つまり、回路設計に対して全く負担をかけることがない。しかし、ゲート絶縁膜の絶縁破壊のような致命的な劣化に至る確率を、従来方法で作製した同じゲート幅Wを持つトランジスタよりも格段に低減させる効果がある。
【0058】
なお、上記実施形態では、左右対称形状のMOSFETを例に挙げて説明したが、左右対称形状である必要はない。例えば、ソース領域側には高電圧が印加されない場合、ドレイン領域側だけに本発明を適用して高耐圧構造としてもよい。この場合、ソース領域側は、高濃度ソース領域を島状に分割する必要はない。もしくはさらに、低濃度ソース領域を設ける必要もなく、図5に示すように、全面を高濃度ソース領域とすることも可能である。
【0059】
また、上記実施形態では、高濃度ソース、ドレイン領域を島状に分割しているが、これも限定されない。図6に示すように、例えば高濃度ソース、ドレイン領域のゲート電極(チャネル領域)に対向する側の辺を、少なくとも2つの凸部を含む凹凸形状に形成してもよい。すなわち、それぞれの凸部の間が分離幅D3だけ離れるように形成される。この場合、高濃度ドレイン領域24bのそれぞれの凸部の先端部が、本発明の高濃度ドレイン領域の端部となる。
【0060】
この場合、ホットキャリアによるデバイス破壊を抑制するための十分な効果を得るためには、凹部の深さD4は、オフセット長D1よりも長い方が好ましい。また、従来のMOSFETと同等のドレイン電流(オン電流)を流すことができるように、凸部の、ゲート電極(チャネル領域)に対向する側の辺の長さD5は、分離幅D3よりも大きくするのが好ましい。また、ホットキャリア耐性を向上させるためには、凸部の、ゲート電極に対向する側の辺の長さは、20μm以下とするのが好ましい。
【0061】
また、第1導電型の半導体基板は、上記P型のシリコン基板に限定されず、N型のシリコン基板であってもよい。また、シリコン基板以外の半導体基板を使用することも可能である。また、図1に示す実施形態のMOSFETは18Vで動作するが、本発明はこれに限定されず、18V以外の高電圧でMOSFETを駆動してもよい。また、ゲート長L,ゲート幅W、オフセット長D1,D2等の長さも適宜変更してもよい。
【0062】
上記実施形態では、第1の不純物としてリンを注入して低濃度ソース、ドレイン領域22a,22bを形成し、第1の不純物とは異なるヒ素を、第2の不純物として注入して、高濃度ソース、ドレイン24a,24bを形成した。しかし、注入する不純物の種類は、必要な低濃度および高濃度ソース、ドレイン領域が形成可能である範囲で適切に選択すればいい。第1の不純物および第2の不純物として、同一のものを選択することも可能である。
【0063】
また、素子分離用の酸化膜もLOCOS膜に限定されず、従来公知の素子分離用の絶縁膜を使用することができる。また、グレード層内に形成される高濃度ソース、ドレイン領域の個数も何ら限定されず、2個以上いくつの領域に分割してもよい。また、それぞれの高濃度ソース、ドレイン領域の形状、サイズも同一にする必要はなく、各々異なる形状やサイズであってもよいし、全てが同じ形状やサイズであってもよい。
【0064】
また、それぞれの高濃度ソース、ドレイン領域に対して設けられるコンタクト孔の個数は何ら限定されない。すなわち、図1に示す実施形態のように、各高濃度ソース、ドレイン領域に対して複数のコンタクト孔を設けてもよいし、あるいはコンタクト孔を1つずつ設けてもよい。また、全ての高濃度ソース、ドレイン領域に対して同数のコンタクト孔を設けてもよいし、あるいはそれぞれの高濃度ソース、ドレイン領域に対して異なる個数のコンタクト孔を設けてもよい。
【0065】
しかし、コンタクト抵抗を低減して大きなオン電流(ドライバビリティ)を得るために、2個、もしくはそれ以上の個数のコンタクト孔を配置することが可能な寸法を持つ島状高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bに対しては、2個以上のコンタクト孔を配置することが好ましい。
【0066】
本発明は、基本的に以上のようなものである。
以上、本発明のMOSFETとその製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【0067】
【発明の効果】
以上詳細に説明した様に、本発明は、オフセット型の高耐圧MOSFETにおいて、チャネル領域のドレイン領域側端部に対してオフセット長だけ離れて対向する辺をそれぞれ有する複数の端部を含む高濃度ドレイン領域が、この複数の端部が互いに分離幅だけ離れて配置されるようにしたものである。
これにより、本発明によれば、MOSFETの特性を変えることなく、ホットキャリアによって高耐圧MOSFETが絶縁破壊される確率を格段に減少させることができる。また、本発明によれば、製造工程上、マスクパターンを変更するだけなので、何らコストアップも工程数の増加もないという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の横型高耐圧MOSFETの一実施形態のレイアウト平面図、(b)は、図1(a)のA−A’線部分におけるMOSFETのレイアウト断面図である。
【図2】(a)〜(e)は、本発明の一実施形態に係る横型高耐圧MOSFETの製造工程を表す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る高耐圧MOSFETのゲート幅と欠陥密度の関係を示す表である。
【図4】(a)は、本発明の別の実施形態に係る高耐圧MOSFETのレイアウト平面図、(b)は、分離幅と規格化されたドレイン電流との関係を示すグラフである。
【図5】(a)および(b)本発明の別の実施形態に係る高耐圧MOSFETのレイアウト平面図およびレイアウト断面図である。
【図6】本発明の別の実施形態に係る高耐圧MOSFETのレイアウト平面図である。
【図7】(a)は、従来の横型高耐圧MOSFETの一例のレイアウト平面図、(b)は、図7(a)のB−B’線部分におけるMOSFETのレイアウト断面図である。
【図8】従来の横型高耐圧MOSFETの別の例のレイアウト断面図である。
【符号の説明】
10,40 MOSFET
12 半導体基板(ウェル)
14 素子分離領域
16 アクティブ領域
17 チャネル領域
18 ゲート絶縁膜
20 ゲート電極
22a,22b 低濃度ソース、ドレイン領域(グレード層)
24a,24b 高濃度ソース、ドレイン領域
26 層間絶縁膜
28 コンタクト孔
30 メタル配線
32 フォトマスク
42 絶縁膜(フィールドプレート)
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホットキャリアによるデバイス破壊を抑制することができるMOSFET、特に、横型高耐圧MOSFETとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、10V以上の高電圧で動作する横型高耐圧のMOSFETには様々な形態のものが存在する。従来の技術として、例えばゲート電極をセルフアラインマスクとして用い、素子分離されたアクティブ領域内に低濃度のソース、ドレイン領域(以下、グレード層という)を形成し、このグレード層内に、ゲート電極から所定間隔を離して高濃度のソース、ドレイン領域を設けた構造が知られている。
【0003】
以下、一例を挙げて、従来の高耐圧MOSFETの構造を説明する。
【0004】
図7は、従来の横型高耐圧MOSFETの一例のレイアウト図である。ここで、同図(a)および(b)は、それぞれMOSFETのレイアウト平面図および断面図を示す。半導体基板12の表面領域上には、素子分離用の酸化膜が形成された素子分離領域14と、この素子分離領域14によって囲まれたアクティブ領域16が形成されている。MOSFET40は、このアクティブ領域16に形成されている。
【0005】
アクティブ領域16の上層には、ゲート絶縁膜18を介して、図7(a)中上下方向に延びるゲート電極20が形成されている。ゲート電極20により2分割されたアクティブ領域16の図中左右の領域にはそれぞれグレード層22a,22bが形成され、グレード層22a,22b内には、それぞれ高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bが、ゲート電極20から所定の間隔を離して形成されている。
【0006】
素子分離領域14、アクティブ領域16およびゲート電極20の上層には、層間絶縁膜26が全面に被覆され、その高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bに対応する位置、およびゲート電極20の図7(a)中上端部に対応する位置にコンタクト孔28が開孔されている。また、層間絶縁膜26の上層にはメタル配線30が形成されており、コンタクト孔28を介して高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bおよびゲート電極20と接続されている。
【0007】
このような構造は、例えばLDD(Lightly Doped Drain )構造やDDD(Double Diffused Drain )構造と呼ばれている。あるいは、図8に示すように、絶縁膜(フィールドプレート)42をパターニングし、これをマスクとして用いて、ゲート電極から所定間隔を離して高濃度ソース、ドレイン領域を形成することも可能である。この構造をフィールドプレート構造と呼ぶ場合もある。本明細書中では、このような構造を総称してオフセット型と呼ぶことにする。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
高耐圧MOSFETに限らず、MOSFETでは、ホットキャリアによるトランジスタの性能劣化を抑制することが重要な課題の1つである。これはホットキャリアの影響を受けやすいNMOSFETでは特に重要である。オフセット型高耐圧MOSFETに顕著に現れるホットキャリア劣化の現象として、単にドライバビリティ低下等のトランジスタの性能低下が起こるだけでなく、ゲート酸化膜の絶縁破壊といった致命的な結果に至る場合が多いという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、前記従来技術に基づく問題点を解消し、特性を変えることなく、ホットキャリア劣化による絶縁破壊に至る確率を低減することができるMOSFETとその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、分離領域に囲まれた半導体基板表面領域上に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成し、該半導体基板表面領域の該ゲート電極によって覆われた部分に、第1導電型のチャネル領域を形成する工程と、
前記ゲート電極をマスクとして、第2導電型の第1の不純物を前記半導体基板表面領域に注入して、前記チャネル領域の両側に低濃度ソース、ドレイン領域を形成する工程と、
前記低濃度ドレイン領域内に開口部を有するマスクを通して、前記第2導電型の第2の不純物を前記半導体基板表面領域に注入し、前記低濃度ドレイン領域内に、前記チャネル領域のドレイン領域側端部に対してオフセット長だけ離れて対向する辺をそれぞれ有する複数の端部を含む高濃度ドレイン領域を、該複数の端部が互いに分離幅だけ離れて配置されるように形成する工程と、
前記高濃度ドレイン領域上に絶縁膜を形成し、該形成された絶縁膜に、前記高濃度ドレイン領域を配線に接続するコンタクト孔を形成する工程とを含むことを特徴とするMOSFETの製造方法を提供するものである。
【0011】
ここで、前記分離幅が前記オフセット長よりも大きいのが好ましい。
【0012】
また、前記複数の端部を含む高濃度ドレイン領域の形成を、前記チャネル領域に対向する辺をそれぞれ有する複数の島状高濃度ドレイン領域を形成することによって行い、該複数の島状高濃度ドレイン領域のそれぞれを前記配線に接続するように、前記コンタクト孔を形成するのが好ましい。
【0013】
また、前記複数の島状高濃度ドレイン領域の少なくとも1つに対して、前記配線に接続するコンタクト孔を、複数、形成するのが好ましい。
【0014】
また、前記配線に接続するコンタクト孔の少なくとも1つを、対応する島状高濃度ドレイン領域の前記チャネル領域に対向する辺に対しては第1のマージンで、他の辺の少なくとも1つに対しては、該第1のマージンと異なる第2のマージンで配置されるように形成するのが好ましい。
【0015】
また、本発明は、分離領域に囲まれた半導体基板表面領域に形成された第1導電型のチャネル領域と、該チャネル領域の両側に形成された第2導電型のソース、ドレイン領域からなるMOSFETであって、
前記ドレイン領域が、平坦な表面を有する前記半導体基板表面領域に、前記チャネル領域に隣接するように形成された低濃度ドレイン領域と、該低濃度ドレイン領域内に形成され、コンタクトによって配線に接続される高濃度ドレイン領域とからなり、
前記高濃度ドレイン領域が、前記チャネル領域のドレイン領域側端部に対してオフセット長だけ離れて対向する辺をそれぞれ有し、かつ、互いに該オフセット長より大きな分離幅だけ離れて配置された複数の端部を含むことを特徴とするMOSFETを提供する。
【0016】
ここで、前記分離幅が前記オフセット長の3倍以下であるのが好ましい。
【0017】
また、前記高濃度ドレイン領域の端部の前記チャネル領域に対向する辺の長さが、前記分離幅よりも大きいのが好ましい。
【0018】
また、前記高濃度ドレイン領域の端部の前記チャネル領域に対向する辺の長さが20μm以下であるのが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明のMOSFETとその製造方法を詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明のオフセット型の横型高耐圧MOSFETの一実施形態の概略図である。ここで、同図(a)は、MOSFETのレイアウト平面図、同図(b)は、同図(a)のA−A’線部分におけるレイアウト断面図を示す。このMOSFET10は、図1に示すように、第1導電型の半導体基板(ウェル)12の平坦な表面を有する表面領域上の、素子分離用の酸化膜が形成された素子分離領域14によって囲まれたアクティブ領域16に形成されている。
【0021】
ここで、アクティブ領域16の上層には、ゲート絶縁膜(ゲート酸化膜)18を介して、アクティブ領域16を図中左右の2つの領域に分割するように、図1(a)中上下方向に延びるゲート電極20が形成されている。このゲート電極20の下層の、半導体基板12の表面領域近傍の内部領域には、半導体基板12と同一の第1導電型のチャネル領域17が形成される。
【0022】
このゲート電極20により分割されたアクティブ領域16の図中左右の領域には、第1導電型とは反対の導電型である第2導電型の低濃度ソース、ドレイン領域(グレード層)22a,22bがそれぞれ形成されている。また、低濃度ソース領域22a内には、第2導電型の高濃度ソース領域24aが形成され、同様に、低濃度ドレイン領域22b内には、第2導電型の高濃度ドレイン領域24bが形成されている。
【0023】
それぞれの高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bは、ゲート電極20の下層に形成されたチャネル領域17とグレード層22a,22bとの境界位置から所定のオフセット長D1だけ離れた位置に配置されている。また、それぞれの高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bは、素子分離領域14とグレード層22a,22bとの境界位置から、所定のオフセット長D2だけ離れた位置に配置されている。また、それぞれの高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bは、互いに所定の分離幅D3だけ離れた位置に配置されている。
【0024】
この例では、高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bが、それぞれ、複数の島状高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bの集合体として構成されている。この場合、それぞれの島状高濃度ドレイン領域24bの、ゲート電極20(チャネル領域17)に対向する部分が、本発明の高濃度ドレイン領域の端部となる。
【0025】
上記素子分離領域14、アクティブ領域16およびゲート電極20の上層には、層間絶縁膜26が全面に被覆されている。この層間絶縁膜26の、高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bに対応する位置およびゲート電極20の図1(a)中上端部に対応する位置にコンタクト孔28が開孔されている。また、層間絶縁膜26の上層にはメタル配線30が形成されている。このメタル配線30は、コンタクト孔28を介してそれぞれの高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bおよびゲート電極20に接続されている。
【0026】
本実施形態のMOSFET10は18Vの高電圧で動作する。素子分離領域14は、LOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)膜により、P型シリコン基板(Pウェル)12の表面領域上に形成されている。また、アクティブ領域16の図中左右の領域には、N型のグレード層22a,22bがそれぞれ形成されている。高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bは、図1に示すように、グレード層22a,22bのそれぞれにおいて、4つずつ島状に形成されている。
【0027】
また、本実施形態の場合、ゲート長(ゲート電極20の幅)Lは4μm、ゲート幅(ゲート電極20の、アクティブ領域16と重なった部分の長さ)Wは50μmである。それぞれの高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bとゲート電極(チャネル領域)20との間のオフセット長D1は1.5μm、それぞれの高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bと素子分離領域14との間のオフセット長D2は、素子分離領域14とグレード層22a,22bとの間の接合耐圧の低下を防止するために1μmとしてある。また、分離幅D3は、オフセット長D1の約1.3倍に相当する2μmである。
【0028】
また、本実施形態の場合、図1(a)に示すように、それぞれの島状高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bおよびゲート電極20に対して、コンタクト孔28がそれぞれ2つずつ開孔されている。
【0029】
次に、図2に示す製造工程の断面図を参照しながら、図1に示す本発明の一実施形態に係る横型高耐圧MOSFETの製造方法を説明する。
【0030】
まず、図2(a)に示すように、不純物濃度が3E16atoms/cm3 程度の低不純物濃度のPウェル12の表面領域に、500nm程度の厚みの素子分離用のLOCOS膜(酸化膜)14を形成して各アクティブ領域16を分離する。また、図1に示すように、アクティブ領域16の上層に、アクティブ領域16を図中左右の2つの領域に分割するように、ゲート絶縁膜18を介してゲート電極20を形成する。
【0031】
半導体基板12表面領域の、このゲート電極20によって覆われた部分17は、以降説明する工程によっても第1導電型(本実施形態ではP型)に保たれる。この領域17が、完成後のMOSFET10の動作時にチャネルが形成されるチャネル領域として機能する。
【0032】
続いて、図2(b)に示すように、リン(P)等のNタイプドーパントを、例えば80keV、5E12atoms/cm2 の条件で、アクティブ領域16内の表面領域にイオン注入する。これにより、ゲート電極20(チャネル領域17)の両側にPウェル12の数倍の濃度となる低濃度Nソース、ドレイン領域(Nグレード層)22a,22bを形成する。この時、ゲート電極20はセルフアラインマスクとして機能するので、ゲート電極20の下にはグレード層22a,22bは形成されない。
【0033】
続いて、図2(c)に示すように、フォトマスク32をパターニングして、例えば2E15atoms/cm2 の条件でグレード層22a,22b内の表面領域にヒ素(As)を注入する。これにより、図1に示すように、ゲート電極20(チャネル領域17)から所定のオフセット長D1だけ間隔を離し、素子分離領域14とアクティブ領域16との境界位置から所定のオフセット長D2だけ間隔を離し、なおかつ、互いに所定の分離幅D3だけ間隔を離して、グレード層22a,22b内に島状の高濃度N+ ソース、ドレイン層24a,24bを形成する。
【0034】
この後、図2(d)に示すように、素子分離領域14、アクティブ領域16およびゲート電極20の上層の表面全面に層間絶縁膜26を形成し、同図(e)に示すように、層間絶縁膜26の、高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bに対応する位置、およびゲート電極20の図1(a)中上端部に対応する位置にコンタクト孔28をそれぞれ開孔してメタル配線30を行う。上記各工程により、高耐圧NMOSFET10が形成される。
【0035】
なお、上記工程の途中で、グレード層22a,22b、および高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bを活性化させるための、例えば900℃、2時間の高温熱処理が必要であるが、そのタイミングは任意である。
【0036】
図2(c)では、フォトマスク32により、高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bのパターニングを行う場合を示しているが、フィールドプレートと呼ばれる酸化膜層をパターニング加工し、この酸化膜マスクを用いることによっても同様に高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bを形成することも可能である。また、PMOSFETの場合も、逆のタイプのドーパントを用いることによって、NMOSFET10の場合と全く同様に形成できる。
【0037】
ここで、高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bの配置は、ゲート電極20に垂直な方向(図1(a)の左右方向)には、ゲート電極20(チャネル領域17)からのオフセット長D1をトランジスタの性能(ドライバビリティ)を考慮して決め、素子分離領域14とアクティブ領域16との境界位置からのオフセット長D2を耐圧を考慮して決める。一方、ゲート電極20に平行な方向(図1(a)の上下方向)の配置は、後から述べるように、ホットキャリア耐性やドライバビリティを考慮して決める。これに対してコンタクト孔28は、メタル配線30との接続が容易に行えるよう、MOSFET10が含まれる半導体集積回路チップの表面全体に対して設定される、一定ピッチのグリッド上に配置される。高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bに対しては、コンタクト孔28は、製造に使用するプロセスによって決められる最小値以上のマージンを持って配置される必要があるが、それ以外は自由である。
【0038】
この結果、高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bの各辺に対するコンタクト孔28のマージンは、同一になるとは限らない。むしろ、図1(a)の例のように、ゲート電極20(チャネル領域17)に対向する辺に対しては第1のマージンで、その他の辺(例えば、ゲート電極20に対して垂直な辺)に対しては、第1のマージンとは異なる第2のマージンで配置されることが多い。
【0039】
次に、本発明のオフセット型の横型高耐圧MOSFETの特性を調査した結果を詳細に説明する。
【0040】
オフセット型の横型高耐圧MOSFETのホットキャリア劣化について、特に絶縁破壊に至るか否かという点に注目して、オフセット型の横型高耐圧MOSFETの特性を詳細に調査した。その結果、ゲート幅Wが小さいほど、MOSFETが絶縁破壊に至る確率が、ゲート幅の縮小から予想される以上の割合で急激に低くなり、トランジスタとしての信頼性が高いということを見出した。
【0041】
一般に、ゲート幅W、良品率F、絶縁破壊に至る欠陥の単位ゲート幅当りの密度(欠陥密度)Aとの関係は、F=exp(−A*W)の式で表される。ここで、通常は、欠陥密度Aはゲート幅Wに依存しない定数と仮定される。ところが現実には、ゲート幅Wの減少にともなって欠陥密度Aも減少することがわかった。
【0042】
図3の表には、さまざまなゲート幅WのNMOSFETに、ゲート電圧Vg=ドレイン電圧Vd=18V、ソース電圧Vs=基板電圧Vb=0Vのストレスを印加して、10000秒後にゲート絶縁膜の絶縁破壊を起こさなかった良品率Fを調査した結果を示す。この結果から、ゲート幅Wの小さいトランジスタは、ゲート幅Wの大きいトランジスタよりも欠陥密度Aが低いことがわかる。特に、ゲート幅Wが20μm以下であれば、良品率Fはほぼ1であり、高い信頼性が得られることがわかった。
【0043】
さらに長時間の調査において、一般的に、ゲート幅Wをゲート電極と高濃度ソース、ドレイン領域との間のオフセット長D1の12倍以下(D1=1.5μmの場合には18μm以下)とすれば、実使用に問題がないことが判明した。
【0044】
ゲート幅Wの小さいトランジスタが、ゲート幅Wの大きいトランジスタよりも欠陥密度Aが低いという現象は、絶縁破壊に至るウィークポイントに流れる電流がゲート幅Wに依存することに起因するものであると理解することができる。すなわち、ゲート幅Wが100倍になれば、ホットキャリア劣化の原因となる基板電流も100倍になる。この場合、点で存在する最も弱いウィークポイントにかかるストレスは、100倍とは言わずとも数〜数10倍になっていると推定される。
【0045】
この考えを実証するように、ゲート幅Wの大きなトランジスタを避け、例えばゲート幅Wが10μmのトランジスタを10個並列に並べたトランジスタのストレス試験を行った。その結果、ゲート幅Wが50μmのトランジスタと比較して、オン電流が2倍になったにも関わらず、デバイス破壊に対してはるかに高い信頼性を持つことが確認された。
【0046】
しかし、ゲート幅Wの小さいトランジスタを、多数、並列に並べて使用することは結果的に素子分離領域を大きくし、素子密度を低下させる。さらに、LOCOS膜上に乗り上げたゲート電極下に存在する寄生トランジスタの増大により、オフ電流が大きく増加する。
【0047】
そのため、図1に示す実施形態のMOSFETでは、ゲート幅Wを小さくした場合と等価の効果が得られるように、高濃度ソース、ドレイン領域を島状に配置した。グレード層は、数KΩ/□の高抵抗体である。従って、この形状は、ゲート幅Wの大きなトランジスタと同等のドライバビリティ(オン電流)を有するトランジスタを、ゲート幅Wの小さな多数の並列のトランジスタで構成するために、LOCOS膜ではなく、グレード層で分離したものであると考えると、その効果を理解しやすい。ここで、グレード層による分離効果を得るためには、分離幅D3は、オフセット長D1より大きいことが好ましいと考えられる。
【0048】
続いて、図4に、高濃度ソース、ドレイン領域間の分離幅D3をパラメータとした実験の結果を示す。
【0049】
実験対象のMOSFETは、図4(a)に示すように、ゲート電極20と高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bとの間のオフセット長D1=1.5μm、ゲート長L=4μm(=2.6D1)、ゲート幅W=60μm(=40D1)のものである。また、高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bの、ゲート電極20に平行な方向(図1(a)の上下方向)の配置のピッチを10μm(=6.7D1)とした。すなわち、図3において全く不良が観察されなかったゲート幅Wが10μm以下のトランジスタを、6個並列に配置した構造を得ることを意図している。
【0050】
次に、図4(b)に、ドレイン電流(オン電流)と分離幅D3との関係を示す。
【0051】
図4(b)に示すグラフは、図1に示す実施形態のMOSFET10において、分離幅D3を変化させた場合のMOSFETの規格化されたドレイン電流(オン電流)を表したものである。ドレイン電流の変化を見ることにより、従来のMOSFETとの特性の違いを判定することができる。
【0052】
図4(b)のグラフの縦軸は、従来構成のMOSFETのドレイン電流を1として規格化された、図1に示す本実施形態のMOSFET10のドレイン電流、横軸は同じく分離幅D3を表す。なお、これらのグラフにおいて、1.5μm、3μm、4.5μmにおける縦線は、オフセット長D1の整数倍を表す仕切り線である。なお、分離幅D3=0は、従来構成のMOSFETの特性を表す。
【0053】
図4(b)のグラフに示すように、ドレイン電流は、分離幅D3が3μm、すなわちオフセット長D1の2倍付近では全く減少しないか、むしろわずかに増加する。しかし、分離幅D3がオフセット長D1の3倍を超えた辺りからドレイン電流は徐々に減少する。この現象は、ゲート電圧Vg=ドレイン電圧Vd=3.3Vという低電圧の場合は顕著ではないが、ゲート電圧Vg=ドレイン電圧Vd=18Vという高電圧の場合には顕著に発生する。このことからは、分離幅D3を、オフセット長D1の3倍以下とするのが好ましいと言える。
【0054】
従って、上記の調査結果を総合すると、分離幅D3は、オフセット長D1よりも大きく、なおかつオフセット長D1の3倍以下とするのが最も好ましいと言える。前記のように、高濃度ドレイン領域24bの配置のピッチは10μm(=6.7D1)であるため、この範囲において、それぞれの島状高濃度ドレイン領域24bのゲート電極20(チャネル領域17)に対向する辺の長さは、分離幅D3よりも大きい。
【0055】
なお、本明細書中では、ゲート電極と高濃度ソース、ドレイン領域との間の距離であるオフセット長D1を基準として各部の寸法を表現した。これは、MOSFETの動作電圧が異なる場合には、各部の寸法の絶対値には意味がなくなるからである。逆に、特定の動作電圧を想定してトランジスタを最適化した場合、ゲート長Lやオフセット長D1は特定値に収束する。以上の点はスケーリング則としてよく知られている。
【0056】
オフセット長D1は、ゲート長Lに次ぐ重要なパラメータであり、特定の動作電圧を想定した製品においては常に一定のオフセット長D1を有するMOSFETが使われるのが通例である。この意味で、オフセット長D1は、分離幅D3を規定するための基準単位として適していると言える。
【0057】
本発明は、トランジスタの初期特性を変えるものではない。すなわち、同一のゲート幅Wを有する従来のMOSFETと実質的に同一のドレイン電流(オン電流)を有する。従って、回路設計においては、従来のMOSFETと区別することなく使用することができる。つまり、回路設計に対して全く負担をかけることがない。しかし、ゲート絶縁膜の絶縁破壊のような致命的な劣化に至る確率を、従来方法で作製した同じゲート幅Wを持つトランジスタよりも格段に低減させる効果がある。
【0058】
なお、上記実施形態では、左右対称形状のMOSFETを例に挙げて説明したが、左右対称形状である必要はない。例えば、ソース領域側には高電圧が印加されない場合、ドレイン領域側だけに本発明を適用して高耐圧構造としてもよい。この場合、ソース領域側は、高濃度ソース領域を島状に分割する必要はない。もしくはさらに、低濃度ソース領域を設ける必要もなく、図5に示すように、全面を高濃度ソース領域とすることも可能である。
【0059】
また、上記実施形態では、高濃度ソース、ドレイン領域を島状に分割しているが、これも限定されない。図6に示すように、例えば高濃度ソース、ドレイン領域のゲート電極(チャネル領域)に対向する側の辺を、少なくとも2つの凸部を含む凹凸形状に形成してもよい。すなわち、それぞれの凸部の間が分離幅D3だけ離れるように形成される。この場合、高濃度ドレイン領域24bのそれぞれの凸部の先端部が、本発明の高濃度ドレイン領域の端部となる。
【0060】
この場合、ホットキャリアによるデバイス破壊を抑制するための十分な効果を得るためには、凹部の深さD4は、オフセット長D1よりも長い方が好ましい。また、従来のMOSFETと同等のドレイン電流(オン電流)を流すことができるように、凸部の、ゲート電極(チャネル領域)に対向する側の辺の長さD5は、分離幅D3よりも大きくするのが好ましい。また、ホットキャリア耐性を向上させるためには、凸部の、ゲート電極に対向する側の辺の長さは、20μm以下とするのが好ましい。
【0061】
また、第1導電型の半導体基板は、上記P型のシリコン基板に限定されず、N型のシリコン基板であってもよい。また、シリコン基板以外の半導体基板を使用することも可能である。また、図1に示す実施形態のMOSFETは18Vで動作するが、本発明はこれに限定されず、18V以外の高電圧でMOSFETを駆動してもよい。また、ゲート長L,ゲート幅W、オフセット長D1,D2等の長さも適宜変更してもよい。
【0062】
上記実施形態では、第1の不純物としてリンを注入して低濃度ソース、ドレイン領域22a,22bを形成し、第1の不純物とは異なるヒ素を、第2の不純物として注入して、高濃度ソース、ドレイン24a,24bを形成した。しかし、注入する不純物の種類は、必要な低濃度および高濃度ソース、ドレイン領域が形成可能である範囲で適切に選択すればいい。第1の不純物および第2の不純物として、同一のものを選択することも可能である。
【0063】
また、素子分離用の酸化膜もLOCOS膜に限定されず、従来公知の素子分離用の絶縁膜を使用することができる。また、グレード層内に形成される高濃度ソース、ドレイン領域の個数も何ら限定されず、2個以上いくつの領域に分割してもよい。また、それぞれの高濃度ソース、ドレイン領域の形状、サイズも同一にする必要はなく、各々異なる形状やサイズであってもよいし、全てが同じ形状やサイズであってもよい。
【0064】
また、それぞれの高濃度ソース、ドレイン領域に対して設けられるコンタクト孔の個数は何ら限定されない。すなわち、図1に示す実施形態のように、各高濃度ソース、ドレイン領域に対して複数のコンタクト孔を設けてもよいし、あるいはコンタクト孔を1つずつ設けてもよい。また、全ての高濃度ソース、ドレイン領域に対して同数のコンタクト孔を設けてもよいし、あるいはそれぞれの高濃度ソース、ドレイン領域に対して異なる個数のコンタクト孔を設けてもよい。
【0065】
しかし、コンタクト抵抗を低減して大きなオン電流(ドライバビリティ)を得るために、2個、もしくはそれ以上の個数のコンタクト孔を配置することが可能な寸法を持つ島状高濃度ソース、ドレイン領域24a,24bに対しては、2個以上のコンタクト孔を配置することが好ましい。
【0066】
本発明は、基本的に以上のようなものである。
以上、本発明のMOSFETとその製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【0067】
【発明の効果】
以上詳細に説明した様に、本発明は、オフセット型の高耐圧MOSFETにおいて、チャネル領域のドレイン領域側端部に対してオフセット長だけ離れて対向する辺をそれぞれ有する複数の端部を含む高濃度ドレイン領域が、この複数の端部が互いに分離幅だけ離れて配置されるようにしたものである。
これにより、本発明によれば、MOSFETの特性を変えることなく、ホットキャリアによって高耐圧MOSFETが絶縁破壊される確率を格段に減少させることができる。また、本発明によれば、製造工程上、マスクパターンを変更するだけなので、何らコストアップも工程数の増加もないという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の横型高耐圧MOSFETの一実施形態のレイアウト平面図、(b)は、図1(a)のA−A’線部分におけるMOSFETのレイアウト断面図である。
【図2】(a)〜(e)は、本発明の一実施形態に係る横型高耐圧MOSFETの製造工程を表す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る高耐圧MOSFETのゲート幅と欠陥密度の関係を示す表である。
【図4】(a)は、本発明の別の実施形態に係る高耐圧MOSFETのレイアウト平面図、(b)は、分離幅と規格化されたドレイン電流との関係を示すグラフである。
【図5】(a)および(b)本発明の別の実施形態に係る高耐圧MOSFETのレイアウト平面図およびレイアウト断面図である。
【図6】本発明の別の実施形態に係る高耐圧MOSFETのレイアウト平面図である。
【図7】(a)は、従来の横型高耐圧MOSFETの一例のレイアウト平面図、(b)は、図7(a)のB−B’線部分におけるMOSFETのレイアウト断面図である。
【図8】従来の横型高耐圧MOSFETの別の例のレイアウト断面図である。
【符号の説明】
10,40 MOSFET
12 半導体基板(ウェル)
14 素子分離領域
16 アクティブ領域
17 チャネル領域
18 ゲート絶縁膜
20 ゲート電極
22a,22b 低濃度ソース、ドレイン領域(グレード層)
24a,24b 高濃度ソース、ドレイン領域
26 層間絶縁膜
28 コンタクト孔
30 メタル配線
32 フォトマスク
42 絶縁膜(フィールドプレート)
Claims (7)
- 分離領域に囲まれた半導体基板表面領域上に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成し、該半導体基板表面領域の該ゲート電極によって覆われた部分に、第1導電型のチャネル領域を形成する工程と、
前記ゲート電極をマスクとして、第2導電型の第1の不純物を前記半導体基板表面領域に注入して、前記チャネル領域の両側に低濃度ソース、ドレイン領域を形成する工程と、
前記低濃度ドレイン領域内に開口部を有するマスクを通して、前記第2導電型の第2の不純物を前記半導体基板表面領域に注入し、前記低濃度ドレイン領域内に、前記チャネル領域のドレイン領域側端部に対してオフセット長だけ離れて対向する辺をそれぞれ有する複数の端部を含む高濃度ドレイン領域を、該複数の端部が互いに分離幅だけ離れて配置されるように形成する工程と、
前記高濃度ドレイン領域上に絶縁膜を形成し、該形成された絶縁膜に、前記高濃度ドレイン領域を配線に接続するコンタクト孔を形成する工程とを含むことを特徴とするMOSFETの製造方法。 - 前記複数の端部を含む高濃度ドレイン領域の形成を、前記チャネル領域に対向する辺をそれぞれ有する複数の島状高濃度ドレイン領域を形成することによって行い、該複数の島状高濃度ドレイン領域のそれぞれを前記配線に接続するように、前記コンタクト孔を形成することを特徴とする請求項1に記載のMOSFETの製造方法。
- 前記複数の島状高濃度ドレイン領域の少なくとも1つに対して、前記配線に接続するコンタクト孔を、複数、形成することを特徴とする請求項2に記載のMOSFETの製造方法。
- 前記配線に接続するコンタクト孔の少なくとも1つを、対応する島状高濃度ドレイン領域の前記チャネル領域に対向する辺に対しては第1のマージンで、他の辺の少なくとも1つに対しては、該第1のマージンと異なる第2のマージンで配置されるように形成することを特徴とする請求項2または3に記載のMOSFETの製造方法。
- 分離領域に囲まれた半導体基板表面領域に形成された第1導電型のチャネル領域と、該チャネル領域の両側に形成された第2導電型のソース、ドレイン領域からなるMOSFETであって、
前記ドレイン領域が、平坦な表面を有する前記半導体基板表面領域に、前記チャネル領域に隣接するように形成された低濃度ドレイン領域と、該低濃度ドレイン領域内に形成され、コンタクトによって配線に接続される高濃度ドレイン領域とからなり、
前記高濃度ドレイン領域が、前記チャネル領域のドレイン領域側端部に対してオフセット長だけ離れて対向する辺をそれぞれ有し、かつ、互いに該オフセット長より大きな分離幅だけ離れて配置された複数の端部を含むことを特徴とするMOSFET。 - 前記分離幅が前記オフセット長の3倍以下であることを特徴とする請求項5に記載のMOSFET。
- 前記高濃度ドレイン領域の端部の前記チャネル領域に対向する辺の長さが、前記分離幅よりも大きいことを特徴とする請求項5または6に記載のMOSFET。
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JP2005302914A (ja) * | 2004-04-09 | 2005-10-27 | Mitsubishi Electric Corp | Mos電界効果トランジスタとその製造方法 |
JP2014011411A (ja) * | 2012-07-03 | 2014-01-20 | Hitachi Ltd | 半導体装置 |
-
2002
- 2002-08-30 JP JP2002252896A patent/JP2004095729A/ja not_active Withdrawn
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