JP2004095456A - 有機エレクトロルミネセンス表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】陽極の電気抵抗を低下させつつ、陰極の抵抗増加および段差切れによる導通不良を防止することができる有機EL表示装置を提供する。
【解決手段】基板1上に、第1電極2、少なくとも有機発光材料からなる発光層を含む有機層3、及び第2電極4を順次積層した有機EL素子を複数配して成る有機EL表示装置であって、第1電極2の厚みは250nm〜10μmであり、かつ第2電極4の膜厚tcと第1電極2の膜厚tiとの関係がtc≧tiである。
【選択図】 図1
【解決手段】基板1上に、第1電極2、少なくとも有機発光材料からなる発光層を含む有機層3、及び第2電極4を順次積層した有機EL素子を複数配して成る有機EL表示装置であって、第1電極2の厚みは250nm〜10μmであり、かつ第2電極4の膜厚tcと第1電極2の膜厚tiとの関係がtc≧tiである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示デバイスや光源として利用される有機エレクトロルミネセンス表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機エレクトロルミネセンス(以下、「EL」と称する。)素子は、無機EL素子に比べて、低電圧駆動、高輝度であり、加えて多数の色の発光が容易に得られるという特徴があることから、各種の発光デバイスやカラーディスプレイの分野に広く利用されるようになった。
【0003】
有機EL素子としては、図4に示すように、ガラス透明基板1上に、第1電極としてITO等の透明電極からなる複数の陽極2、正孔輸送層及び発光層等からなる有機層3、第2電極として陽極2に交差する複数の陰極4を順に蒸着積層して形成される。有機層3を挾持して互いに対向して対をなす陽極2と陰極4とによって有機EL素子となる発光部が形成され、陽極2及び陰極4の各々が互いに対向して交差する交差領域部の発光部を1画素として各層がマトリクス状に形成、配列されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような有機EL素子を画素としたディスプレイを大画面化するときの1つの問題は、高精細、大面積になるほど陽極ラインのアスペクト比(長さ/幅比)が大きくなり、陽極ラインの電気抵抗が高くなることである。その結果、十分な輝度を得るために必要な電流を陽極ラインに流すと、陽極ラインの抵抗による電圧降下が大きくなり、その分、輝度むらが生じたり、駆動電圧が大きくなるという問題があり、陽極の電気抵抗を低下させる必要が生じる。
【0005】
しかしながら陽極として通常用いられるインジウム錫酸化物(以下、「ITO」と称する。)は、その物性から抵抗率を1.3×10−4Ω・cm程度までしか下げられない。
【0006】
その他、陽極の電気抵抗を低下させる方法としては、例えば、特開平10−106751号公報に開示されているように、陽極の側面に良導電性金属ラインを設けるものや、特開平05−307997号公報に開示されているように陽極上の1部に良導電性金属ラインを設けたものが知られている。
【0007】
しかしながら、陽極の側面に良導電性金属ラインを設けるものは、陽極ラインのパターニングの他に良導電性金属ラインのパターニングが必要になるため、その工程が複雑になるという問題がある。また、陽極上の1部に良導電性金属ラインを設けるものは、良導電性金属ラインによって不透明部分ができ、画素の開口率を狭くしてしまうという問題がある。
【0008】
その他、陽極の厚みを大きくすれば電気抵抗は低下するが、陰極を蒸着した際に陽極の段差部で陰極の膜厚が薄くなり抵抗値が増加したり、段差切れによる導通不良が発生する可能性が高くなる。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みて創案されたものであり、その目的は、陽極の電気抵抗を低下させつつ、陰極の抵抗増加および段差切れによる導通不良を防止することができる有機EL表示装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決すべく、本発明に係る有機EL表示装置は、基板上に、第1電極、少なくとも有機発光材料からなる発光層を含む有機層、及び第2電極を順次積層した有機エレクトロルミネセンス素子を複数配して成る有機EL表示装置において、
第1電極の厚みは250nm〜10μmであり、かつ第2電極の膜厚tcと第1電極の膜厚tiとの関係がtc≧tiであることを特徴とする。
【0011】
上記の有機EL表示装置において、第1電極の縁部における第2電極の最薄部の膜厚が100Å以上であることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明するが、本発明は本実施形態に限られない。
【0013】
図1は、本発明に係る有機EL表示装置の積層構造を示す模式図である。図1において、本発明に係る有機EL表示装置は、ガラス透明基板1とその上に成膜された透明導電膜をストライプ状にパターニングされた複数の陽極2(第1電極)、発光層となる有機層3、陽極2に交差する複数の陰極4(第2電極)を順に蒸着積層して形成される。有機層3を挾持して互いに対向して対をなす陽極2と陰極4とによって有機EL素子となる発光部が形成され、陽極2及び陰極4の各々が互いに対向して交差する交差領域部の発光部を1画素として各層がマトリクス状に形成、配列されている。
【0014】
陽極2としては、発光層からの光を取り出すために透明である必要があり、かつ仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、或いはこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく、具体例としては、金、CuI、ITO、SnO2、ZnO2等の導電性材料が挙げられる。この陽極2は、これらの電極物質を蒸着法やスパッタリング法等の方法で薄膜を形成させることができ、その厚みは250nm〜10μmであるもの、さらに300nm〜1μmがより好ましい。これは、例えば、1画素の大きさが0.5mm×0.5mm以下程度の一般的なディスプレイであると考えた場合、用いられる陽極のライン幅も1画素と同じ幅になるため、250nm未満では抵抗値が高いため、電圧降下による輝度むらが発生するからである。また、10μmを超えると透明電極としての光の透過率が低下してしまうため、好ましくない。
【0015】
陰極4は、効率よく電子を発光層に伝達させるため、仕事関数の低い金属が好ましく、具体的には、スズ、インジウム、銀、アルミニウム、鉛、マグネシウムなどの金属や希土類単体、アルカリ金属、或いはこれらの合金等を使用することができる。また陰極4は、蒸着法やスパッタリング法等の方法で成膜され、その厚みは陽極2の厚み以上であることが好ましく、すなわち、図1中において、陰極4の膜厚tcと陽極2の膜厚tiとの関係がtc≧tiであることが好ましく、さらに陽極2のうち該陽極2以外の部分に形成された陰極4の膜厚tcと陽極2の膜厚tiとの関係がtc≧tiであることがより好ましい。これは、tc<tiであると、図4に示すように陽極の段差部(図4中、×部)で陰極の厚みが薄くなり、抵抗値が高くなったり、段差切れによる導通不良を起こす場合があるからである。
【0016】
また、陰極ラインの導通を確実に得るためには、陽極2の縁部(エッジ部)における陰極4の最薄部の膜厚が100Å以上であることが好ましい。
【0017】
有機層3は、例えば、正孔輸送層と発光層の2層構造からなるが、本構成に限定されるものではなく、発光層1層のみの構成や、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層等をさらに形成して多層構造としてもよい。
【0018】
正孔輸送層を形成する材料としては、特に限定されず、従来から正孔輸送材料として使用されている化合物、もしくは新規化合物などが使用可能である。例えば、α−NPD{N,N’−ジ(α−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン}、MTDATA{4−4’−4’’−トリス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン}、TPD{N、N’−ジフェニル−N、N’−ビス(3−フェニル)−1,1’−ビフェニル−ビフェニル−4,4’−ジアミン}などが挙げられる。
【0019】
発光層を形成する材料としては、主に以前から発光体として知られていたアントラセンやピレン、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体及びその誘導体の他、ビススチリルアントラセン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、クマリン誘導体オキサジアゾール誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、オキサゾール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ペリノン誘導体などが使用される。また、ポリマー系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体などを使用することができる。さらに、発光層中に、発光効率を向上させたり、発光寿命を延ばす目的で、微量の不純物を意図的に混入させてもよい。具体的には、ルブレン、キナクリドン誘導体、フェノキサゾン660、ジシアノメチレンスチリルピラン誘導体、ペリノン、ペリレン、クマリン誘導体、ジメチルアミノピラジンカルボニトリル、ピラジンジカルボニトリル誘導体、Nile Red、ローダミン誘導体などから選択される。
【0020】
有機層3の形成は、主に真空蒸着法によって行われるが、その他、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、溶媒からのコーティング等も可能である。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0022】
〔実施例1〕
図1は、実施例1の有機EL表示装置の積層構造を示す模式図である。図1において、透明基板1として40mm×60mmの無アルカリガラスを用い、その上に陽極2としてITOの薄膜をスパッタリング法により3000Åの厚みに成膜した。このときのシート抵抗は5.2Ω/sqであった。
【0023】
次に、ITO面をフォトエッチングして、図2に示すようなライン状のITO電極パターンを形成した。陽極2としてのITO膜パターンはライン幅0.4mm、ライン間隔は0.1mm、長さ30mmである。そして、このITOパターン付き基板101をアセトン、IPAで洗浄したあと、UVオゾン洗浄を行った。
【0024】
続いて、このITOパターン付きガラス基板101を市販の蒸着装置(日本真空技術社製)の基板ホルダに固定し、モリブデン製の抵抗加熱ボートに正孔輸送層材料として、α−NPD(N、N’−ジフェニル−N、N’−ビス(1−ナフチル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン)を100mg、また発光層材料としてAlq3(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体)を別のモリブデン製ボートに100mg入れ、装置内を2×10−4Paの真空度となるまで排気し、到達した時点でα−NPDが入ったボートに電流を流して加熱し、厚さ400Åのα−NPD層を蒸着した。さらに同様の要領で、Alq3が入ったボートに電流を流して加熱し、α−NPD層の表面に厚さ600ÅのAlq3層を蒸着して有機層3の形成を終了した。
【0025】
次に、予め基板ホルダにセットしておいた陰極形成用のシャドウマスクをスライドさせて透明ガラス基板所定位置に合わせ、予めアルミニウムを1g入れておいたタングステン製ボートを加熱し、蒸発速度7Å/secとなるよう温度を調節した。安定したところで上部に設置されているシャッターを開放し、3200Åの膜厚となったところで成膜を完了し、図3に示すように陽極2に直交する陰極4を形成し、ITO/α−NPD/Alq3/Alの構造をもつマトリックス型の有機EL表示装置を作製した。陰極4は幅0.25mm、陰極の間隔0.25mm、長さ50mmであり、陽極2と合わせて透明ガラス基板上に20mm×40mmの発光エリアを形成する。
【0026】
そして、ここで得られた有機EL表示装置の各陰極ラインの両端部間における抵抗値をそれぞれの陰極ラインについて測定したところ、平均値で15Ω、最高値で18Ωであった。
【0027】
また、この有機EL表示装置のITOエッジ部の切断面を観察したところ、陰極の最も薄い部分の膜厚は約300Åであることからも、陰極ラインの導通が良好であることが確認された。さらに、この有機EL表示装置の表示性能を確認すべく、陽極2と陰極4間に8Vの電圧を印加したところ、全ての画素が発光し、表示面中央部にて420cd/m2の輝度が得られた。このとき、陰極ライン方向両端での輝度差は最大10cd/m2であった。
【0028】
〔比較例1〕
実施例1と同様にして有機層3を形成した後、陰極4の成膜を1500Åで完了した。陰極4の形成時に用いたシャドウマスクは実施例1と同じものであり、アルミニウムの蒸発速度は同じく7Å/secで成膜した。
【0029】
このようにして得られた有機EL表示装置の各陰極ラインの両端部間における抵抗値をそれぞれの陰極ラインについて測定したところ、平均値で40Ω、最高値で180Ωであった。
【0030】
また、この有機EL表示装置のITOエッジ部の切断面を観察したところ、陰極4の最も薄い部分の膜厚は約60Åであった。そして、この有機EL表示装置の表示性能を確認すべく、陽極2と陰極4間に8Vの電圧を印加したところ、表示面中央部の輝度は380cd/m2に減少し、陰極ライン方向両端での輝度差は最大30cd/m2であった。
【0031】
〔比較例2〕
実施例1と同様にして有機層3を形成した後、陰極4の成膜を700Åで完了した。陰極4の形成時に用いたシャドウマスクは実施例1と同じものであり、アルミニウムの蒸発速度は同じく7Å/secで成膜した。
【0032】
このようにして得られた有機EL表示装置の各陰極ラインの両端部間における抵抗値をそれぞれの陰極ラインについて測定したところ、平均値で83Ω、最高値で1.6kΩであった。
【0033】
また、この有機EL表示装置のITOエッジ部の切断面を観察したところ、陰極4の最も薄い部分の膜厚は50Å以下であった。そして、この有機EL表示装置の表示性能を確認するために陽極2と陰極4間に8Vの電圧を印加したところ、表示面中央部の輝度は230cd/m2に減少し、さらに陰極4沿いに極端に暗いラインが見られた。また、この表示装置において陰極ライン方向両端での輝度差は最大45cd/m2であった。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、陽極の抵抗による輝度むらを低減するために陽極の厚みを厚くしても、陽極のエッジ部での陰極の膜厚が確保されるので、輝度むらの低減、段差切れによる導通不良を防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る有機EL表示装置の積層構造を示す模式図である。
【図2】実施例1の有機EL表示装置において、第1電極(陽極)が形成された透明基板を示す模式図である。
【図3】実施例1の有機EL表示装置において、第1電極(陽極)が形成された透明基板の上に有機層及び第2電極(陰極)が形成された透明基板を示す模式図である。
【図4】従来の有機EL表示装置における積層構造の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 透明基板
2 陽極
3 有機層
4 陰極
101 ITOパターン付き基板
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示デバイスや光源として利用される有機エレクトロルミネセンス表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機エレクトロルミネセンス(以下、「EL」と称する。)素子は、無機EL素子に比べて、低電圧駆動、高輝度であり、加えて多数の色の発光が容易に得られるという特徴があることから、各種の発光デバイスやカラーディスプレイの分野に広く利用されるようになった。
【0003】
有機EL素子としては、図4に示すように、ガラス透明基板1上に、第1電極としてITO等の透明電極からなる複数の陽極2、正孔輸送層及び発光層等からなる有機層3、第2電極として陽極2に交差する複数の陰極4を順に蒸着積層して形成される。有機層3を挾持して互いに対向して対をなす陽極2と陰極4とによって有機EL素子となる発光部が形成され、陽極2及び陰極4の各々が互いに対向して交差する交差領域部の発光部を1画素として各層がマトリクス状に形成、配列されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような有機EL素子を画素としたディスプレイを大画面化するときの1つの問題は、高精細、大面積になるほど陽極ラインのアスペクト比(長さ/幅比)が大きくなり、陽極ラインの電気抵抗が高くなることである。その結果、十分な輝度を得るために必要な電流を陽極ラインに流すと、陽極ラインの抵抗による電圧降下が大きくなり、その分、輝度むらが生じたり、駆動電圧が大きくなるという問題があり、陽極の電気抵抗を低下させる必要が生じる。
【0005】
しかしながら陽極として通常用いられるインジウム錫酸化物(以下、「ITO」と称する。)は、その物性から抵抗率を1.3×10−4Ω・cm程度までしか下げられない。
【0006】
その他、陽極の電気抵抗を低下させる方法としては、例えば、特開平10−106751号公報に開示されているように、陽極の側面に良導電性金属ラインを設けるものや、特開平05−307997号公報に開示されているように陽極上の1部に良導電性金属ラインを設けたものが知られている。
【0007】
しかしながら、陽極の側面に良導電性金属ラインを設けるものは、陽極ラインのパターニングの他に良導電性金属ラインのパターニングが必要になるため、その工程が複雑になるという問題がある。また、陽極上の1部に良導電性金属ラインを設けるものは、良導電性金属ラインによって不透明部分ができ、画素の開口率を狭くしてしまうという問題がある。
【0008】
その他、陽極の厚みを大きくすれば電気抵抗は低下するが、陰極を蒸着した際に陽極の段差部で陰極の膜厚が薄くなり抵抗値が増加したり、段差切れによる導通不良が発生する可能性が高くなる。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みて創案されたものであり、その目的は、陽極の電気抵抗を低下させつつ、陰極の抵抗増加および段差切れによる導通不良を防止することができる有機EL表示装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決すべく、本発明に係る有機EL表示装置は、基板上に、第1電極、少なくとも有機発光材料からなる発光層を含む有機層、及び第2電極を順次積層した有機エレクトロルミネセンス素子を複数配して成る有機EL表示装置において、
第1電極の厚みは250nm〜10μmであり、かつ第2電極の膜厚tcと第1電極の膜厚tiとの関係がtc≧tiであることを特徴とする。
【0011】
上記の有機EL表示装置において、第1電極の縁部における第2電極の最薄部の膜厚が100Å以上であることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明するが、本発明は本実施形態に限られない。
【0013】
図1は、本発明に係る有機EL表示装置の積層構造を示す模式図である。図1において、本発明に係る有機EL表示装置は、ガラス透明基板1とその上に成膜された透明導電膜をストライプ状にパターニングされた複数の陽極2(第1電極)、発光層となる有機層3、陽極2に交差する複数の陰極4(第2電極)を順に蒸着積層して形成される。有機層3を挾持して互いに対向して対をなす陽極2と陰極4とによって有機EL素子となる発光部が形成され、陽極2及び陰極4の各々が互いに対向して交差する交差領域部の発光部を1画素として各層がマトリクス状に形成、配列されている。
【0014】
陽極2としては、発光層からの光を取り出すために透明である必要があり、かつ仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、或いはこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく、具体例としては、金、CuI、ITO、SnO2、ZnO2等の導電性材料が挙げられる。この陽極2は、これらの電極物質を蒸着法やスパッタリング法等の方法で薄膜を形成させることができ、その厚みは250nm〜10μmであるもの、さらに300nm〜1μmがより好ましい。これは、例えば、1画素の大きさが0.5mm×0.5mm以下程度の一般的なディスプレイであると考えた場合、用いられる陽極のライン幅も1画素と同じ幅になるため、250nm未満では抵抗値が高いため、電圧降下による輝度むらが発生するからである。また、10μmを超えると透明電極としての光の透過率が低下してしまうため、好ましくない。
【0015】
陰極4は、効率よく電子を発光層に伝達させるため、仕事関数の低い金属が好ましく、具体的には、スズ、インジウム、銀、アルミニウム、鉛、マグネシウムなどの金属や希土類単体、アルカリ金属、或いはこれらの合金等を使用することができる。また陰極4は、蒸着法やスパッタリング法等の方法で成膜され、その厚みは陽極2の厚み以上であることが好ましく、すなわち、図1中において、陰極4の膜厚tcと陽極2の膜厚tiとの関係がtc≧tiであることが好ましく、さらに陽極2のうち該陽極2以外の部分に形成された陰極4の膜厚tcと陽極2の膜厚tiとの関係がtc≧tiであることがより好ましい。これは、tc<tiであると、図4に示すように陽極の段差部(図4中、×部)で陰極の厚みが薄くなり、抵抗値が高くなったり、段差切れによる導通不良を起こす場合があるからである。
【0016】
また、陰極ラインの導通を確実に得るためには、陽極2の縁部(エッジ部)における陰極4の最薄部の膜厚が100Å以上であることが好ましい。
【0017】
有機層3は、例えば、正孔輸送層と発光層の2層構造からなるが、本構成に限定されるものではなく、発光層1層のみの構成や、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層等をさらに形成して多層構造としてもよい。
【0018】
正孔輸送層を形成する材料としては、特に限定されず、従来から正孔輸送材料として使用されている化合物、もしくは新規化合物などが使用可能である。例えば、α−NPD{N,N’−ジ(α−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン}、MTDATA{4−4’−4’’−トリス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン}、TPD{N、N’−ジフェニル−N、N’−ビス(3−フェニル)−1,1’−ビフェニル−ビフェニル−4,4’−ジアミン}などが挙げられる。
【0019】
発光層を形成する材料としては、主に以前から発光体として知られていたアントラセンやピレン、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体及びその誘導体の他、ビススチリルアントラセン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、クマリン誘導体オキサジアゾール誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、オキサゾール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ペリノン誘導体などが使用される。また、ポリマー系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体などを使用することができる。さらに、発光層中に、発光効率を向上させたり、発光寿命を延ばす目的で、微量の不純物を意図的に混入させてもよい。具体的には、ルブレン、キナクリドン誘導体、フェノキサゾン660、ジシアノメチレンスチリルピラン誘導体、ペリノン、ペリレン、クマリン誘導体、ジメチルアミノピラジンカルボニトリル、ピラジンジカルボニトリル誘導体、Nile Red、ローダミン誘導体などから選択される。
【0020】
有機層3の形成は、主に真空蒸着法によって行われるが、その他、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、溶媒からのコーティング等も可能である。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0022】
〔実施例1〕
図1は、実施例1の有機EL表示装置の積層構造を示す模式図である。図1において、透明基板1として40mm×60mmの無アルカリガラスを用い、その上に陽極2としてITOの薄膜をスパッタリング法により3000Åの厚みに成膜した。このときのシート抵抗は5.2Ω/sqであった。
【0023】
次に、ITO面をフォトエッチングして、図2に示すようなライン状のITO電極パターンを形成した。陽極2としてのITO膜パターンはライン幅0.4mm、ライン間隔は0.1mm、長さ30mmである。そして、このITOパターン付き基板101をアセトン、IPAで洗浄したあと、UVオゾン洗浄を行った。
【0024】
続いて、このITOパターン付きガラス基板101を市販の蒸着装置(日本真空技術社製)の基板ホルダに固定し、モリブデン製の抵抗加熱ボートに正孔輸送層材料として、α−NPD(N、N’−ジフェニル−N、N’−ビス(1−ナフチル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン)を100mg、また発光層材料としてAlq3(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体)を別のモリブデン製ボートに100mg入れ、装置内を2×10−4Paの真空度となるまで排気し、到達した時点でα−NPDが入ったボートに電流を流して加熱し、厚さ400Åのα−NPD層を蒸着した。さらに同様の要領で、Alq3が入ったボートに電流を流して加熱し、α−NPD層の表面に厚さ600ÅのAlq3層を蒸着して有機層3の形成を終了した。
【0025】
次に、予め基板ホルダにセットしておいた陰極形成用のシャドウマスクをスライドさせて透明ガラス基板所定位置に合わせ、予めアルミニウムを1g入れておいたタングステン製ボートを加熱し、蒸発速度7Å/secとなるよう温度を調節した。安定したところで上部に設置されているシャッターを開放し、3200Åの膜厚となったところで成膜を完了し、図3に示すように陽極2に直交する陰極4を形成し、ITO/α−NPD/Alq3/Alの構造をもつマトリックス型の有機EL表示装置を作製した。陰極4は幅0.25mm、陰極の間隔0.25mm、長さ50mmであり、陽極2と合わせて透明ガラス基板上に20mm×40mmの発光エリアを形成する。
【0026】
そして、ここで得られた有機EL表示装置の各陰極ラインの両端部間における抵抗値をそれぞれの陰極ラインについて測定したところ、平均値で15Ω、最高値で18Ωであった。
【0027】
また、この有機EL表示装置のITOエッジ部の切断面を観察したところ、陰極の最も薄い部分の膜厚は約300Åであることからも、陰極ラインの導通が良好であることが確認された。さらに、この有機EL表示装置の表示性能を確認すべく、陽極2と陰極4間に8Vの電圧を印加したところ、全ての画素が発光し、表示面中央部にて420cd/m2の輝度が得られた。このとき、陰極ライン方向両端での輝度差は最大10cd/m2であった。
【0028】
〔比較例1〕
実施例1と同様にして有機層3を形成した後、陰極4の成膜を1500Åで完了した。陰極4の形成時に用いたシャドウマスクは実施例1と同じものであり、アルミニウムの蒸発速度は同じく7Å/secで成膜した。
【0029】
このようにして得られた有機EL表示装置の各陰極ラインの両端部間における抵抗値をそれぞれの陰極ラインについて測定したところ、平均値で40Ω、最高値で180Ωであった。
【0030】
また、この有機EL表示装置のITOエッジ部の切断面を観察したところ、陰極4の最も薄い部分の膜厚は約60Åであった。そして、この有機EL表示装置の表示性能を確認すべく、陽極2と陰極4間に8Vの電圧を印加したところ、表示面中央部の輝度は380cd/m2に減少し、陰極ライン方向両端での輝度差は最大30cd/m2であった。
【0031】
〔比較例2〕
実施例1と同様にして有機層3を形成した後、陰極4の成膜を700Åで完了した。陰極4の形成時に用いたシャドウマスクは実施例1と同じものであり、アルミニウムの蒸発速度は同じく7Å/secで成膜した。
【0032】
このようにして得られた有機EL表示装置の各陰極ラインの両端部間における抵抗値をそれぞれの陰極ラインについて測定したところ、平均値で83Ω、最高値で1.6kΩであった。
【0033】
また、この有機EL表示装置のITOエッジ部の切断面を観察したところ、陰極4の最も薄い部分の膜厚は50Å以下であった。そして、この有機EL表示装置の表示性能を確認するために陽極2と陰極4間に8Vの電圧を印加したところ、表示面中央部の輝度は230cd/m2に減少し、さらに陰極4沿いに極端に暗いラインが見られた。また、この表示装置において陰極ライン方向両端での輝度差は最大45cd/m2であった。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、陽極の抵抗による輝度むらを低減するために陽極の厚みを厚くしても、陽極のエッジ部での陰極の膜厚が確保されるので、輝度むらの低減、段差切れによる導通不良を防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る有機EL表示装置の積層構造を示す模式図である。
【図2】実施例1の有機EL表示装置において、第1電極(陽極)が形成された透明基板を示す模式図である。
【図3】実施例1の有機EL表示装置において、第1電極(陽極)が形成された透明基板の上に有機層及び第2電極(陰極)が形成された透明基板を示す模式図である。
【図4】従来の有機EL表示装置における積層構造の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 透明基板
2 陽極
3 有機層
4 陰極
101 ITOパターン付き基板
Claims (2)
- 基板上に、第1電極、少なくとも有機発光材料からなる発光層を含む有機層、及び第2電極を順次積層した有機エレクトロルミネセンス素子を複数配して成る有機エレクトロルミネセンス表示装置において、
第1電極の厚みは250nm〜10μmであり、かつ第2電極の膜厚tcと第1電極の膜厚tiとの関係がtc≧tiであることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス表示装置。 - 第1電極の縁部における第2電極の最薄部の膜厚が100Å以上であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002257393A JP2004095456A (ja) | 2002-09-03 | 2002-09-03 | 有機エレクトロルミネセンス表示装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002257393A JP2004095456A (ja) | 2002-09-03 | 2002-09-03 | 有機エレクトロルミネセンス表示装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004095456A true JP2004095456A (ja) | 2004-03-25 |
Family
ID=32062301
Family Applications (1)
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JP2002257393A Withdrawn JP2004095456A (ja) | 2002-09-03 | 2002-09-03 | 有機エレクトロルミネセンス表示装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004095456A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100570998B1 (ko) | 2004-06-30 | 2006-04-13 | 삼성에스디아이 주식회사 | 유기 전계 발광 소자 및 그 형성 방법 |
-
2002
- 2002-09-03 JP JP2002257393A patent/JP2004095456A/ja not_active Withdrawn
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