JP2004094178A - 電子写真エンドレスベルト、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】位置検知が正確で画像ズレが少ない高画質な画像が得られ、高温高湿環境下でもスジ状の画像欠陥が発生しない電子写真エンドレスベルト、該電子写真エンドレスベルトからなる中間転写ベルト、該中間転写ベルトを有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供する。
【解決手段】ベルト状基体、蛇行防止部材および位置検知部材を有する電子写真エンドレスベルトにおいて、該蛇行防止部材が、該ベルト状基体の一方の端部の内周面側に配置され、該位置検知部材が、該ベルト状基体の他方の端部の外周面側に配置され、該蛇行防止部材と該位置検知部材とが該電子写真エンドレスベルトの幅方向で200mm〜250mm離間しており、かつ、該ベルト状部材が、結着樹脂として熱可塑性樹脂を含有し、該ベルト状基体のSPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値が、300nA〜2000nAである。
【選択図】 図5
【解決手段】ベルト状基体、蛇行防止部材および位置検知部材を有する電子写真エンドレスベルトにおいて、該蛇行防止部材が、該ベルト状基体の一方の端部の内周面側に配置され、該位置検知部材が、該ベルト状基体の他方の端部の外周面側に配置され、該蛇行防止部材と該位置検知部材とが該電子写真エンドレスベルトの幅方向で200mm〜250mm離間しており、かつ、該ベルト状部材が、結着樹脂として熱可塑性樹脂を含有し、該ベルト状基体のSPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値が、300nA〜2000nAである。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真エンドレスベルト、特にはその中でも中間転写ベルト、および、該中間転写ベルトと電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、レーザービームプリンターなどの電子写真装置に用いられる中間転写体、電子写真感光体、転写搬送部材、定着部材などには、剛体のドラム形状のもの以外に、フレキシブルなエンドレスベルト形状のもの(電子写真エンドレスベルト)が使用されている。
【0003】
電子写真エンドレスベルトは、通常、電子写真装置内で、その内周面側に配置された少なくとも2本以上のローラーに張架、支持され、任意の張力を与えられながら回転駆動されて用いられている。
【0004】
ところが、電子写真エンドレスベルトを支持するローラーの直径、フレ、その回転軸の真直度、各々のローラーの平行度にわずかな誤差やばらつきがあるため、電子写真エンドレスベルトが回転駆動中に左右に蛇行することは不可避である。
【0005】
電子写真エンドレスベルトが左右に蛇行することにより、露光位置や転写位置がずれ、画像ズレが発生してしまう。また、フルカラー電子写真装置の場合には、電子写真エンドレスベルト上あるいは電子写真エンドレスベルト上で搬送される転写材上での色重ね時に、各色の作像位置がずれるため、色ズレを生じてしまう。
【0006】
そこで、このような電子写真エンドレスベルトの蛇行を防止するために、これまで様々な方法が提案されている。ここ近年では、電子写真エンドレスベルトのベルト状基体の内周面に蛇行防止部材を設けて、電子写真エンドレスベルトの蛇行を防止する方法が数多く提案されている。
【0007】
例えば、この蛇行防止部材の断面形状に嵌合するような溝を外周面に全周にわたって設けたローラーを用い、内周面に全周にわたって蛇行防止部材が設けられた電子写真エンドレスベルトを、このローラーの溝に蛇行防止部材を嵌合させつつ回転させることによって蛇行を防止する方法が挙げられる。
【0008】
また別の例として、電子写真エンドレスベルトのベルト状基体の両端部に設けられた蛇行防止部材の内側同士の距離とほぼ同じ長さのローラーを用い、このローラーに該ベルトを張架し、ベルト両端の蛇行防止部材とローラーとを嵌合させつつ回転させることによって蛇行を防止する方法が挙げられる。
【0009】
またさらに別の例としては、電子写真エンドレスベルトの蛇行防止部材が嵌合する段差部を軸方向端部に設けたローラーを用いることによって、電子写真エンドレスベルトの蛇行を防止する方法が挙げられる。
【0010】
上記方法によって、電子写真エンドレスベルトを蛇行させることなく、スムーズに走行させることができる。これにより画像ズレや、色ズレのない良好な画像の形成が可能となる。
【0011】
一方、通常、電子写真エンドレスベルトを電子写真装置内で用いる場合には、トナー画像の書き出し位置などを制御するための何らかの手段を備えている。
【0012】
例えば、特開平9−96943号公報などには、電子写真エンドレスベルトのベルト状基体にマーク(位置検知部材)を設け、このマークをセンサーで検知してから画像の書き出しを開始するという方法が開示されている。この方法では、非常に安価に検知でき、装置も小型化できて好ましい。
【0013】
さて、電子写真エンドレスベルトは、電子写真装置の小型化や軽量化などの観点から、通常、膜厚が薄いものが多く、また、小径のローラーに張架されて使用されるために、ある程度の柔軟性が要求される。
【0014】
一方、電子写真エンドレスベルトのベルト状基体に取り付けられる蛇行防止部材は、電子写真エンドレスベルトの蛇行を防止し、安定して走行させるためには、電子写真エンドレスベルトの寄り力に耐え得るだけの剛性を有していることが要求される。
【0015】
薄膜で、柔軟性のある電子写真エンドレスベルトのベルト状基体に剛性を有する蛇行防止部材を設けると、この電子写真エンドレスベルトをローラーに張架した際に、蛇行防止部材が設けられた部分とそうでない部分とでは、スティフネス(腰の強さ、剛性)の違いにより、電子写真エンドレスベルトの屈曲の度合いにわずかな差が生じる。
【0016】
電子写真エンドレスベルトのベルト状基体の内周面に蛇行防止部材を設け、その部分の外周面に位置検知部材を設ける場合、従来は、このわずかな屈曲性の違いにより、図7に示すようにローラー87の溝86に嵌合させた蛇行防止部材82が盛り上がり、結果的に電子写真エンドレスベルトのベルト状基体81および位置検知部材83も盛り上がってしまって正確な検知ができず、画像ズレの原因となっていた(84は位置検知センサーの投光部、85は位置検知センサーの受光部である)。
【0017】
また、蛇行防止部材は、通常、ベルト状基体の内周長に合わせた長さにあらかじめ裁断されたものをベルト状基体の内周面に貼り付けることとなるが、この場合には蛇行防止部材につなぎ目ができてしまうのは避けられない。特に、つなぎ目の上に位置検知部材が存在した場合には、極端な屈曲性の違いにより、正確な位置検知が不可能となる。これを避けるためには、位置検知部材の取り付けの際に蛇行防止部材のつなぎ目を避ける、または、蛇行防止部材の取り付けの際に位置検知部材の位置を避ければよいが、量産工程を考慮した場合には、蛇行防止部材のつなぎ目部分や位置検知部材の位置を判定して、ここを避けるというような工程を入れると生産性の低下や管理の増大を招き、結果的にコストアップにつながってしまうといった問題がある。
【0018】
そこで、蛇行防止部材の盛り上がりを防止するための手段として、電子写真エンドレスベルトを張架する際のテンション(ベルトテンション)を増加させるという方法が挙げられるが、ベルトテンションの増加は電子写真エンドレスベルトのクリープを引き起こし、寿命を低下させる恐れがある。また、高すぎるベルトテンションは、電子写真エンドレスベルトの蛇行をより助長する恐れもある。
【0019】
従来、このような問題を解決するために、比較的剛性の低い蛇行防止部材を使用しなければならなかった。ただし、剛性の低い蛇行防止部材を使用した場合には、幅方向への蛇行を防止する効果が弱まってしまい、ひどいときには蛇行防止部材がローラーに乗り上げてしまうことさえあった。
【0020】
特に、電子写真感光体と中間転写ベルトとを一体に支持するプロセスカートリッジを用いた場合、実際に電子写真装置本体に設置・使用される場合とは異なり、流通段階で多くの振動を受けたり、高温高湿環境下に長時間置かれたりすることが多い。このような過酷な環境下に長時間置かれた場合には、ベルトのクリープの進行は加速される上、永久変形によってベルトに曲げ癖が生じてしまい、ここに位置検知部材が存在した場合には正確な位置検知ができなくなるといった問題が生ずる。このような理由により、電子写真感光体と中間転写ベルトとを一体に支持するプロセスカートリッジを用いた場合には、上記問題点はより顕著に生じる。
【0021】
【特許文献1】
特開平9−96943号公報
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ベルトテンションを増加させる方法や、剛性の低い蛇行防止部材を使用する方法が有していた問題点が生じることがなく、画像ズレや色ズレのない良好な画像の形成が可能な電子写真エンドレスベルトを提供することにある。
【0023】
また、本発明の目的は、中間転写ベルトとして上記電子写真エンドレスベルトを採用したプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、まず、ベルト状基体、蛇行防止部材および位置検知部材を有する電子写真エンドレスベルトにおいて、蛇行防止部材を、ベルト状基体の一方の端部の内周面側に配置し、位置検知部材を、該ベルト状基体の他方の端部の外周面側に配置し、かつ、該蛇行防止部材と該位置検知部材とが該電子写真エンドレスベルトの幅方向で200mm〜250mm離間するようにしたことで、上記目的は達成することができることを見いだした。
【0025】
しかしながら、蛇行防止部材および位置検知部材を上記のように配置した電子写真エンドレスベルトを使用すると(特に中間転写ベルトとして使用すると)、高温高湿という厳しい環境下では、出力画像にスジ状の欠陥が発生することがわかった。この問題は、高温高湿環境以外の環境(常温常湿環境など)で画像出力した場合では、さほど顕在化しなかった問題であった。
【0026】
高温高湿環境下では、一次転写ローラーおよび中間転写ベルトの抵抗が不安定になる傾向がある。そのため、両者の抵抗が一時的に高くなる場合があり、両者間の剥離時の放電現象が発生しやすくなる。加えて、蛇行防止部材を上記のように設置することにより、電子写真エンドレスベルトである中間転写ベルトと電子写真感光体との摺動、摩擦がさらに強く行われることにより、上記問題がより顕在化すると考えられる。
【0027】
そこで、本発明者らは検討をさらに進めた結果、蛇行防止部材および位置検知部材を上記のように配置した上で、さらにベルト状部材の結着樹脂として熱可塑性樹脂を採用し、かつ、ベルト状基体のSPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値が300nA〜2000nAとなるようにすることで、高温高湿環境下で蛇行防止部材および位置検知部材を上記のように配置した電子写真エンドレスベルトを使用しても、スジ状の欠陥が発生しなくなることを見いだした。
【0028】
すなわち、本発明は、ベルト状基体、蛇行防止部材および位置検知部材を有する電子写真エンドレスベルトにおいて、
該蛇行防止部材が、該ベルト状基体の一方の端部の内周面側に配置され、
該位置検知部材が、該ベルト状基体の他方の端部の外周面側に配置され、
該蛇行防止部材と該位置検知部材とが該電子写真エンドレスベルトの幅方向で200mm〜250mm離間しており、かつ、
該ベルト状部材が、結着樹脂として熱可塑性樹脂を含有し、
該ベルト状基体のSPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値が、300nA〜2000nAである
ことを特徴とする電子写真エンドレスベルトである。
【0029】
また、本発明は、中間転写ベルトとして上記電子写真エンドレスベルトを採用したプロセスカートリッジおよび電子写真装置である。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明をより詳細に説明する。
【0031】
まず、本発明の電子写真エンドレスベルトはベルト状基体、蛇行防止部材および位置検知部材を有している。そして、ベルト状基体と蛇行防止部材の厚さや、物性・屈曲性の違いに起因する蛇行防止部材のベルト状基体表面での盛り上がりによる位置検知ズレを防止するために、図5に示すように、ベルト状基体61の一方の端部の内周面側に、電子写真エンドレスベルトの蛇行を防止するための蛇行防止部材62を配置し、ベルト状基体の他方の端部の外周面側に、電子写真エンドレスベルトの所定の位置を検知するための位置検知部材63を配置する。そして、蛇行防止部材62と位置検知部材63とを200mm〜250mm離間させる。64は位置検知センサーの投光部、65は位置検知センサーの受光部である。また、66は蛇行防止部材62を嵌合させる溝である。
【0032】
なお、図5には、蛇行防止部材62の断面形状に嵌合するような溝66を外周面に全周にわたって設けたローラー67を用い、内周面に全周にわたって蛇行防止部材62が設けられた電子写真エンドレスベルトを、このローラー67の溝66に蛇行防止部材62を嵌合させつつ回転させることによって蛇行を防止する形態を示したが、図6のように、電子写真エンドレスベルトの蛇行防止部材が嵌合する段差部76を軸方向端部に設けたローラー77を用いることによって、電子写真エンドレスベルトの蛇行を防止する形態を採ってもよい。図6においては、71がベルト状基体、72が蛇行防止部材、73が位置検知部材、74が位置検知センサーの投光部、75は位置検知センサーの受光部、76が段差部、77が電子写真エンドレスベルトを張架するローラーである。
【0033】
また、図5、図6において、Lは本発明における蛇行防止部材と位置検知部材との距離を指す。
【0034】
図7に示すように、蛇行防止部材が配置された端部と同じ側の端部に位置検知部材を取り付けると、位置検知部材が蛇行防止部材の盛り上がりによる影響を受け、正確な位置検知ができなくなり、位置検知センサーと位置検知部材による位置検知精度が低下してしまう。
【0035】
また、電子写真エンドレスベルト(ベルト状基体)の幅は、通常、200mm〜400mmの範囲である。200mm未満では対応できる用紙サイズに制限があり過ぎ(例えばA4サイズ不可)、400mmを超える場合には、電子写真装置本体の大型化を招いてしまう。さらに、電子写真装置の小型化と対応できる用紙サイズとの両立を考慮すると、電子写真エンドレスベルト(ベルト状基体)の幅は、220mm〜350mmの範囲が好適である。
【0036】
これに伴い、蛇行防止部材と位置検知部材とを電子写真エンドレスベルトの幅方向で200mm〜250mm離間するように配置させるのが好適となる。200mm未満では位置検知精度が低下するばかりか、画像領域にかかってしまう可能性がある。一方、250mmを超える場合には、電子写真エンドレスベルトのサイズが大きくなり、結果的に電子写真装置の大型化を招いてしまう。
【0037】
なお、蛇行防止部材と位置検知部材とを200mm〜250mm離間させることがより好ましい。
【0038】
蛇行防止部材と位置検知部材とを離間させることにより、蛇行防止部材のつなぎ目部分を検知して、それを避ける必要もなくなり、生産性の低下やコストアップを招くことがない。
【0039】
また、蛇行防止部材と位置検知部材とを離間させることにより、ベルトテンションを必要以上に増加させずに済み、適正なベルトテンションで電子写真エンドレスベルトを張架することができるため、クリープを抑えられ、結果的にベルトの長寿命化にもつながる。本発明において、好適なベルトテンションの範囲は、5N〜70Nである。
【0040】
また、蛇行防止部材と位置検知部材とを離間させることにより、従来はその剛性の高さゆえに使用を控えていた、より蛇行防止効果の高い高弾性率の蛇行防止部材を使用することができ、色ズレなどを大幅に低減できる。本発明において、蛇行防止部材の好適な弾性率の範囲は0.01Pa〜100MPaであり、より好ましくは0.1Pa〜50Mpaである。
【0041】
また、蛇行防止部材や位置検知部材は、電子写真装置の大型化を招かない範囲で、所望の画像を得るためのトナーが乗る範囲(画像領域)の外の箇所(非画像領域)に配置することが好ましい。画像領域内に蛇行防止部材や位置検知部材を配置した場合、蛇行防止部材の盛り上がりや、位置検知部材の厚みに起因する電子写真エンドレスベルトの段差により、画像に悪影響を及ぼすことがある。
【0042】
また、位置検知部材は電子写真エンドレスベルトのベルト状基体上に複数設けることが好ましい。電子写真エンドレスベルトの周方向に1箇所だけしか位置検知部材が存在しない場合には、電源を入れてから位置検知部材を検知するまでの間のベルトの回転時間が長くなってしまい、スループットの低下を招いてしまう恐れがある。
【0043】
また、本発明の電子写真エンドレスベルトのベルト状基体は、熱可塑性樹脂を主成分とするもの、すなわち、結着樹脂として熱可塑性樹脂を有するものであり、かつ、SPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値が、300nA〜2000nAであるものである。
【0044】
表面総和電流値が300nA未満である場合には、電子写真エンドレスベルト(ベルト状基体)上に適度な電荷のリークサイトが不足することで、高温高湿環境下においては、トナーに放電起因の電荷ムラが生じ、これがスジ状の画像欠陥を発生させる場合がある。これが複数色の色ズレが発生した際の画像不良をさらに悪化させる場合がある。一方、2000nAを超える場合には、高温高湿環境下においては、スジ状の画像欠陥を発生に加え、電子写真エンドレスベルト(ベルト状基体)の耐圧性が著しく低下してしまう。
【0045】
なお、より好ましい25μm×25μmの表面総和電流値の範囲は、600nA〜1000nAである。
【0046】
また、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂(PET、PBT、PEN、PARなど)、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホンやポリエーテルサルホンおよびポリフェニレンサルファイドなどの硫黄含有樹脂、ポリフッ化ビニリデンおよびポリエチレン−四フッ化エチレン共重合体などのフッ素原子含有樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、ポリ塩化ビニリデン、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂および変性ポリフェニレンオキサイド樹脂などや、これらの各種変性樹脂や共重合体を1種類あるいは2種類以上を使用することができる。
【0047】
また、電子写真装置中で電子写真エンドレスベルトを使用する際には、その電子写真プロセスに合わせた抵抗値の調整が必要となる。
【0048】
本発明の電子写真エンドレスベルト(ベルト状基体)の電気抵抗値を調節するために混合する添加剤は、特に制限されるものではないが、抵抗を調整する導電性フィラーとしては、カーボンブラックや各種の導電性金属酸化物などが挙げられ、非フィラー系抵抗調整剤としては、各種金属塩やグリコール類などの低分子量のイオン導電剤やエーテル結合や水酸基などを分子内に含んだ帯電防止樹脂、または、電子導電性を示す有機高分子化合物などが挙げられる。
【0049】
また、本発明の電子写真エンドレスベルトのベルト状基体を得る方法も、特に限定されるものではないが、成形方法としては、シームレスベルトの製造方法を採用することが可能で、かつ、製造効率が高くてコストを抑制できる製造方法が好ましい。その方法としては、環状ダイから連続溶融押し出しし、その後、必要な長さに切断してベルトを製造する方法が挙げられる。例えば、インフレーション成形などが好適である。
【0050】
以下に、本発明に用いる電子写真エンドレスベルトのベルト状基体の製造方法の一例を説明する。
【0051】
図3に、本発明の電子写真エンドレスベルトのベルト状基体の成形装置(インフレーション装置)の概略構成の一例を示す。本成形装置は、主として、押し出し機、押し出しダイおよび気体吹き込み装置から構成される。
【0052】
まず、成形用樹脂(ゴムでもよい)、導電剤、添加剤などの材料を所望の処方に基づき、予備混合後、混練分散させた成形用原料を押し出し機100に具備したホッパー102に投入する。
【0053】
押し出し機100は、成形用原料が後工程でのベルト成形が可能となる溶融粘度となり、また、材料相互が均一分散するように、設定温度および押し出し機のスクリュー構成は選択される。
【0054】
成形用原料は、押し出し機100中で溶融混練されて溶融体となり、環状ダイ103に入る。環状ダイ103には気体導入路104が配設されており、気体導入路104より空気が環状ダイ103の中央に吹き込まれることによって環状ダイ103を通過した溶融体は径方向に拡大膨張し、筒状フィルム110となる。
【0055】
このとき吹き込まれる気体は、空気以外に窒素、二酸化炭素またはアルゴンなどを選択することができる。
【0056】
膨張した成形体(筒状フィルム)は、外部冷却リング105により冷却されつつ上方向に引き上げられる。通常、インフレーション装置では、安定板106でチューブを左右から押し潰して、シート状に折り畳み、ピンチローラー107で内部のエアーが抜けないように挟持して、一定速度で引き取る方法が採られる。
【0057】
次いで、引き取られた筒状フィルムをカット装置108で切断し、所望の大きさの筒状フィルムを得る。
【0058】
次に、この筒状フィルムに表面平滑性や寸法を調整したり、成形の際にフィルムについた折り目を除去したりするなどの目的で型を使用した加工を行う。
【0059】
具体的には、熱膨張率の異なる材料で作られた直径の異なる一組の円筒型を使用する方法がある。
【0060】
小径の円筒型(内型)の熱膨張率は大径の円筒型(外型)の熱膨張率より大きくなるようにし、この内型に成形した筒状フィルムを被せた後、その内型を外型内に挿入して、内型と外型で筒状フィルムを挟み込むようにする。内型と外型の間のギャップは、加熱する温度と内型・外型の熱膨張率の差および必要とされる圧力で計算して求める。
【0061】
内側から、内型・筒状フィルム・外型の順でセットされた型を、筒状フィルムに用いられた樹脂の軟化点温度付近まで加熱する。熱膨張率の大きい内型は、加熱によって外型の内径以上に膨張しようとするため、筒状フィルム全面に均一な圧力がかかる。このとき、軟化点付近に達した筒状フィルムの表面は、平滑に加工した外型内面に押し付けられ、筒状フィルム表面の平滑性が向上する。その後、冷却して筒状フィルムを型から外すことで平滑な表面性を得ることができる。
【0062】
蛇行を防止するために内周長の左右差の小さい電子写真エンドレスベルト(のベルト状基体)を得る方法として、上記方法を用いることがより好ましい。
【0063】
また、上記説明は単層ベルトに関してであるが、2層の場合は図4に示されるように、さらに押し出し機101を追加配置し、押し出し機100の混練溶融体と同時に2層用の環状ダイ103へ、押し出し機101の混練溶融体を送り込み、2層同時に拡大膨張させ2層ベルトを得ることができる。
【0064】
もちろん3層以上の時は、層数に応じて押し出し機を準備すればよい。このようにこの方法では単層のみならず、多層構成の電子写真エンドレスベルト(のベルト状基体)を一段工程で、かつ、短時間に寸法精度良く成形することが可能である。この短時間成形が可能ということは、大量生産および低コスト生産が可能であるということである。
【0065】
環状ダイのギャップ(ダイスリット)の幅に対する成形された筒状フィルムの厚さの比に関しては、前者に対して後者が1/3以下であることが好ましく、さらには1/5以下であることがより好ましい。
【0066】
また、環状ダイのギャップ(ダイスリット)の外径に対する筒状フィルムの外径の比に関しては、50%〜400%の範囲が好ましい。
【0067】
これらは材料の延伸状態を表すものであり、厚さ比が1/3より大きい場合は延伸が不十分で強度の低下や抵抗および厚さのムラなどの不具合が生じやすくなる。一方、外径が400%を超える場合や50%未満の場合は、延伸の度合いが大きく、成形安定性が低下したり本発明に必要な厚さを確保したりすることが難しくなる。
【0068】
ところで、ベルト状基体のSPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値を300nA〜2000nAの範囲に収めるためには、使用する材料(熱可塑性樹脂および各種添加剤)、および、それら材料の分散状態を制御する必要がある。
【0069】
まず、使用する材料に関しては、結着樹脂である熱可塑性樹脂に対し、上述したような様々な添加剤を使用することが可能であるが、電気抵抗値を調節するために混合する添加剤としては、導電性フィラーが好ましく、非相溶系の帯電防止樹脂がさらに好ましい。導電性フィラーを使用した場合は、その分散状態によって局所的に導電性が著しく高くなり耐圧性を損なう場合があるが、分散状態を均一に制御できれば問題はない。また、非相溶系の帯電防止樹脂の場合は、結着樹脂である熱可塑性樹脂と同じ有機系のため均一な分散が容易であり、また表面層でスジ状のドメイン層を維持できるため適度なリークサイトを保ちやすい。
【0070】
また、分散状態を制御する好適な方法として挙げられるのは、予備混合段階においてペレット状の帯電防止樹脂と、粉砕した粉状の帯電防止樹脂を併せて使用する方法がある。これは粒子状の帯電防止樹脂による分散の均一化で電流ムラを抑え、また、ペレット状の帯電防止樹脂でスジ状の分散構造を保ち、適度なリークサイトを維持し画像特性を良好に保つ狙いがある。
【0071】
他にも均一性を増すために、また、予備混合装置の条件では、攪拌翼の上羽、下羽の形状調整および、処理回転数を増やして設定することで帯電防止樹脂の均一な分散状態を得ることができる。
【0072】
また、各材料を予備混合装置に投入する際、結着樹脂である熱可塑性樹脂をあらかじめ投入しておき、その他の添加剤などを攪拌と共に少量ずつ投入していく、2段投入により均一な分散を得る方法が挙げられる。
【0073】
他にも、予備混合を粒子とペレット状の材料で別々に行い、混練時のフィーダーに投入する際、この2つを同時に投入しつつ混練を行うことで、フィーダー内での各材料の比重差による分級を防ぎ、より均一な分散状態を得る方法も挙げられる。
【0074】
次に、混練条件においては各シリンダーの設定温度を180〜210℃の範囲で調整し、加えて樹脂圧力の誤差範囲を±1Paに抑えることでより安定した混練を行い、さらにスクリュー回転数を210rpm以上に保つことで材料に対してせん断力がより加わるようにする。これらの混練条件により、均一な分散状態が得られる。混練装置としては、2軸押し出し機、単軸押し出し機などの各種押し出し機で分散させる方法やニーダー、バンバリーミキサーなどの各種ミキサー、2本ロール、3本ロールミルなどの各種ロールミルなどの中でも、分散コントロールを行うためには2軸押し出し機が好ましい。これは、2軸押し出し機ではスクリュー構成の変更が容易であり、適切な分散状態の条件をスクリュー構成の変更で見いだすことができるため、また、吐出量と軸回転数が個別にコントロールできるので、樹脂の滞留時間を変えることができ、スクリューを変えない状態でも分散状態を変えることができ、分散の最適条件を見つけやすいためである。
【0075】
さらに、押し出し途中にサイドフィードを備えた混練装置を使用することにより、帯電防止樹脂のみそこから投入し、帯電防止樹脂に対するせん断力を弱めに調整することにより、スジ状のドメイン構造を維持することができる。
【0076】
その後の電子写真エンドレスベルトの成形は、SPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値を300nA〜2000nAの範囲に収めるという意味においても、上記インフレーション成形を採用することが好ましい。温度、吐出量を高めに設定し、冷却速度および引き取り速度を速く設定して行うことにより、環状ダイスから出てくる溶融樹脂時の帯電防止樹脂のスジ状のドメイン構造を維持する方向で制御できる。また、帯電防止樹脂などの電気抵抗値を調節するために混合する添加剤に対し、MFR値が低めの結着樹脂(熱可塑性樹脂)を使用することによって、帯電防止樹脂のスジ状の分散構造を維持する方法が挙げられる。
【0077】
このように、予備混合条件、混練条件、インフレーション成形条件、材料を特定の範囲で制御して行うことにより、帯電防止樹脂などの電気抵抗値を調節するために混合する添加剤の均一分散および、スジ状のドメイン構造を維持することを徹底することで、SPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値を300nA〜2000nAの範囲に収め、ベルト表面の適度なリークサイトを維持し、色ズレが良好で、高温高湿環境下においても優れた画像特性を得ることができるのである。
【0078】
さて、本発明の電子写真エンドレスベルトの蛇行防止部材の厚さは0.3mm〜6mmが好ましい。0.3mm未満の場合には、十分な蛇行防止効果が得られないことがあり、場合によっては蛇行防止部材がローラーに乗り上げてしまう場合もある。一方、6mmを超える場合には、電子写真エンドレスベルトのベルト状基体の内周長と蛇行防止部材の内周長との差が大きくなり、電子写真エンドレスベルトを実際に使用する際、電子写真エンドレスベルトを張架しているローラーに電子写真エンドレスベルトが巻き付いたときに、電子写真エンドレスベルトの曲げに対し、蛇行防止部材が追随せずに、盛り上がりが大きくなることがある。
【0079】
ベルト状基体への蛇行防止部材の取り付けには、安価で、精度良く取り付けが可能で、長期にわたって接着性を維持できる両面粘着テープによる取り付けが好ましい。なお、両面粘着テープはその粘着剤に補強基剤を有するものが、加工精度、取り付け精度、接着性、耐久性などの点でより好ましい。
【0080】
両面粘着テープの補強基剤の材質・特性については、取り付け精度を維持できるものであれば何ら制限はないが、例えば、クラフト紙、和紙およびクレープ紙などの紙や、レーヨン(スフ)、綿、アセテート、ガラス、ポリエステルおよびビニロンなどの単独または混紡などの織布や、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどの割布や、レーヨン、ポリプロピレン、芳香族ポリアミド、ポリエステルおよびガラスなどの不織布類や、セロハン、アセテート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンや、ポリウレタンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴムおよびポリクロロプレンゴムなどの単独または混合物のゴムシートや、ポリウレタン、ポリエチレン、ブチルゴム、ポリクロロプレンゴムおよびアクリルゴムなどの発泡体などが挙げられる。
【0081】
これらの中でも、特に好適に用いられる材料として、レーヨン、ポリプロピレン、芳香族ポリアミド、ポリエステルおよびガラスなどの不織布が挙げられる。これらは加工性が良好で、加工精度、取り付け精度に優れ、安価に入手でき、接着(粘着)強度を著しく向上させる効果がある。両面粘着テープの補強基剤の厚さは、25μm〜500μmが好ましい。
【0082】
両面粘着テープの粘着剤(接着剤)としては、ゴム系(ウレタンゴム、天然ゴム系、スチレン−ブタジエンゴム系、イソブチレンゴム系、イソプレンゴム系、スチレン−イソプレンブロック共重合体およびスチレン−ブタジエンブロック共重合体など)、アクリル系およびシリコーン系などが挙げられ、また、これら材料やその他の材料を2種以上組み合わせて使用してもよい。これらの中では、アクリル系粘着剤を使用した両面粘着テープが、接着強度に優れており好ましい。
【0083】
また、蛇行防止部材の材質については、電子写真エンドレスベルトの蛇行を防止するのに十分な強度を有していればどのようなものを用いても構わない。例えば、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴムおよびフッ素ゴムなどのソリッドや発泡体などが挙げられる。特に、圧縮残留歪が他の材質に比較して優れているポリウレタンゴムおよびシリコーンゴムが好ましい。また、これらの発泡体は、柔軟性に優れており、電子写真エンドレスベルトの屈曲性に及ぼす影響が少なく、安定したベルト走行性が得られて好ましい。
【0084】
また、本発明における位置検知部材としては、シール形状のものや、塗装によって設けたものが挙げられる。塗布精度や塗料のはみ出しなどを考慮すると、シール形状のものは精度良く貼り付け可能で、自動化に向いており、高精度と低コストの両立ができて好ましい。
【0085】
本発明における位置検知シールの基材の材質については、特に制限はなく、従来知られているものが使用できる。例えば、クラフト紙、和紙およびクレープ紙などの紙や、レーヨン(スフ)、綿、アセテート、ガラス、ポリエステルおよびビニロンなどの単独または混紡などの織布や、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどの割布や、レーヨン、ポリプロピレン、芳香族ポリアミド、ポリエステルおよびガラスなどの不織布類や、セロハン、アセテート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリエステルなどのフィルムなどが挙げられる。
【0086】
位置検知シールの粘着剤(接着剤)としては、ゴム系(ウレタンゴム、天然ゴム系、スチレン−ブタジエンゴム系、イソブチレンゴム系、イソプレンゴム系、スチレン−イソプレンブロック共重合体およびスチレン−ブタジエンブロック共重合体など)、アクリル系およびシリコーン系などが挙げられ、また、これら材料やその他の材料を2種以上組み合わせて使用してもよい。これらの中では、アクリル系粘着剤を使用したものが、接着強度に優れており好ましい。
【0087】
また、位置検知シールの構成としては、最も簡単な単層の基材と単層の粘着剤との組み合わせからなるものだけでなく、必要に応じて複数の基材や複数の粘着剤層を重ね合わせた構成としたり、塗装や蒸着などによって多層化したりしてもよい。
【0088】
位置検知シールの作製方法としては、従来知られている方法を採用することができるが、打抜き刃を用いた打ち抜きによる方法が精度に優れ、生産性がよく、安価に製造できて好ましい。
【0089】
また、本発明の電子写真エンドレスベルトは、中間転写ベルトと電子写真感光体とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジ(中間転写ベルト−電子写真感光体一体プロセスカートリッジ)用の中間転写ベルトとしても非常に好適に用いることができる。
【0090】
中間転写ベルト−電子写真感光体一体プロセスカートリッジが、流通段階で、長期間ローラーに張架された状態で高温高湿の過酷な環境下に置かれ、万が一、蛇行防止部材が永久変形を起こし、曲げ癖が発生したとしても、本発明の電子写真エンドレスベルトである中間転写ベルトを用いれば、位置検知部材は蛇行防止部材から一定の距離だけ離れた所に存在するので、その影響を受けることがない。
【0091】
一方、中間転写ベルト−電子写真感光体一体プロセスカートリッジとした場合には、プロセスカートリッジは消耗品として扱われることとなるため、より安価に製造できることが必須課題となる。そのため、それを構成する部品も安価であることが望まれる。本発明のように、電子写真エンドレスベルト(中間転写ベルト)への蛇行防止部材の取り付けに、安価で購入可能な両面粘着テープを使用すれば、低コスト化が実現できて好ましい。位置検知部材もシール(位置検知シール)を貼るだけとすれば、やはり低コスト化が実現できて好ましい。
【0092】
また、プロセスカートリッジの小型化とコストダウンのため、中間転写ベルトのクリーニング方式は、電荷付与手段によって二次転写残トナーを一次転写時とは逆の極性に帯電させて、一次転写時と同時に電子写真感光体に戻す一次転写同時クリーニング方式を用いるのが好ましい。
【0093】
具体的には、中間転写ベルト上に離接可能に配置した電荷付与手段(例えば電化付与ローラー)に電圧を印加して、二次転写残トナーに一次転写時と逆極性の電荷を与え、続く一次転写部において、一次転写電界により電子写真感光体に戻す方式である。もちろん、電荷付与手段は、ローラー以外の、例えばコロナ帯電機やブレードなどを用いてもよく、中間転写ベルト上の二次転写残トナーに電荷を付与できるものであれば、どの形状のものを用いても構わない。
【0094】
中間転写ベルト上から電子写真感光体に戻されたトナーは、クリーニングブレードなどの電子写真感光体クリーニング手段で除去される。この方式によれば、プロセスカートリッジの小型化と低コスト化に大きな効果がある。
【0095】
また、駆動機構が簡単で部品点数の削減や小型化に適し、より安価に製造できるという点で、中間転写ベルトは2本のローラーで張架する方式が好ましい。
【0096】
中間転写ベルトを張架する張架ローラーのうち、中間転写ベルトに張力をかけるテンションローラーは、中間転写ベルトの伸びに対応するために中間転写ベルトの伸び方向に対して少なくとも1mm以上スライドすることが好ましい。また、中間転写ベルトがスリップすることなく確実に駆動するためには、5N以上の力で中間転写ベルトを張架することが好ましい。
【0097】
以下、本発明の電子写真エンドレスベルトを中間転写ベルトとして用いた、中転写ベルト−電子写真感光体一体プロセスカートリッジを有する電子写真装置について具体的に説明する。
【0098】
図1は、本発明の中間転写ベルト−電子写真感光体一体プロセスカートリッジ(後述の図2)を備えたフルカラー電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
【0099】
図1において、ドラム形状の電子写真感光体(感光ドラム)1は、矢示の方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
【0100】
電子写真感光体1は回転過程で、ローラー形状の(一次)帯電手段(帯電ローラー)2により所定の極性・電位に一様に帯電処理される。32は帯電手段の電源であり、直流に交流を重畳して印加してもよいし、直流のみ印加してもよい。
【0101】
次いで、不図示の露光手段(フルカラー原稿画像の色分解・結像露光光学系、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザービームを出力するレーザースキャナーによる走査露光系など)による露光光3を受けることにより目的のフルカラー画像の第1の色成分像(例えばイエロー色成分像)に対応した静電潜像が形成される。
【0102】
次いで、その静電潜像が第1の現像手段(イエロー色現像手段41)により第1色であるイエロートナーYにより現像される。このとき、第2〜第4の現像手段(マゼンタ色現像手段42、シアン色現像手段43およびブラック色現像手段44)の各現像手段は作動−オフになっていて電子写真感光体1には作用せず、上記第1色のイエロートナー画像は上記第2〜第4の現像手段により影響を受けない。
【0103】
中間転写ベルト5は、矢印方向に電子写真感光体1と同じ周速度をもって回転駆動されている。電子写真感光体1上に形成担持された上記第1色のイエロートナー画像が、電子写真感光体1と中間転写ベルト5との当接部を通過する過程で、ローラー形状の一次転写手段(一次転写ローラー)6から中間転写ベルト5に印加される一次転写バイアスにより形成される電界により、中間転写ベルト5の外周面に順次一次転写されていく。
【0104】
中間転写ベルト5に対応する第一色のイエロートナー画像の転写を終えた電子写真感光体1の表面は、クリーニングブレード13’を有する電子写真感光体クリーニング手段13により清掃される。
【0105】
以下、同様に第2色のマゼンタトナー画像、第3色のシアントナー画像、第4色のブラックトナー画像が順次中間転写ベルト5上に重ね合わせて転写され、目的のフルカラー画像に対応した合成フルカラートナー画像が形成される。
【0106】
なお、中間転写ベルトの位置検知は位置検知センサー15によって行われる。また、濃度検知センサー14は、濃度制御するためのパッチの検知するために設けられている。
【0107】
ローラー形状の二次転写手段(二次転写ローラー)7は、二次転写対向ローラー8に対応して平行に軸受させて、中間転写ベルト5の下面部に離間可能な状態に配設してある。
【0108】
電子写真感光体1から中間転写ベルト5への第1〜第4色のトナー画像の順次重畳転写のための一次転写バイアスは、トナーとは逆極性(+)でバイアス電源30から印加される。その印加電圧は、例えば+100V〜2kVの範囲である。
【0109】
電子写真感光体1から中間転写ベルト5への第1〜第3色のトナー画像の一次転写工程において、二次転写ローラー7は中間転写ベルト5から離間させることも可能である。
【0110】
中間転写ベルト5上に転写された合成フルカラートナー画像の第2の画像担持体である転写材Pへの転写は、二次転写ローラー7が中間転写ベルト5に当接されると共に、ローラー形状の給紙手段(給紙ローラー)11から転写材ガイド10を通って、中間転写ベルト5と二次転写ローラー7との当接部に所定のタイミングで転写材Pが給送され、二次転写バイアスが電源31から二次転写ローラー7に印加される。この二次転写バイアスにより中間転写ベルト5から第2の画像担持体である転写材Pへ合成フルカラートナー画像が二次転写される。トナー画像の転写を受けた転写材Pは、ローラー形状の定着手段(定着ローラー)15へ導入されて加熱定着される。
【0111】
転写材Pへの画像転写終了後、中間転写ベルト5には離接自在に配置されたローラー形状の電荷付与手段(電荷付与ローラー)9が当接され、電子写真感光体1とは逆極性のバイアスを印加することにより、転写材Pに転写されずに中間転写ベルト5上に残留している二次転写残トナーに一次転写時と逆極性の電荷が付与される。33はバイアス電源である。ここでは、直流に交流を重畳して印加している。
【0112】
一次転写時と逆極性に帯電された二次転写残トナーは、電子写真感光体1との当接部およびその近傍において電子写真感光体1に静電的に転写されることにより、中間転写ベルトがクリーニングされる。この工程は一次転写と同時に行うことができるため、スループットの低下を生じない。
【0113】
次に、図1に示される電子写真装置に搭載される本発明の中間転写ベルト−電子写真感光体一体プロセスカートリッジについてより具体的に説明する。
【0114】
図2は、本発明のプロセスカートリッジの概略構成の一例を示す図である。
【0115】
図2に示されるプロセスカートリッジは、少なくとも中間転写ベルト5と電子写真感光体1、クリーニングブレード13’を有する電子写真感光体クリーニング手段13および電荷付与手段(電荷付与ローラー)9が一体のユニットとして構成され、電子写真装置本体と容易に着脱できるようになっている。
【0116】
中間転写ベルトのクリーニングは、前述のように二次転写残トナーを一次転写時と逆の極性に帯電させ、中間転写ベルトと電子写真感光体との当接部で中間転写ベルトから電子写真感光体に戻す方式を採用しており、本図では中抵抗の弾性体からなるローラー形状の電荷付与手段(電荷付与ローラー)9を装備している。そして、電子写真感光体のクリーニングは、ブレードクリーニングである。また、廃トナー容器も一体となっており、中間転写ベルトと電子写真感光体の双方の転写残トナーがプロセスカートリッジ交換時に同時に廃棄されるため、メンテナンス性の向上に貢献している。
【0117】
また、中間転写ベルト5は、二次転写対向ローラー8とテンションローラー12の2本の張架ローラーで張架され、部品点数の削減と小型化を図っている。
【0118】
ここで、二次転写対向ローラー8は中間転写ベルトを駆動する駆動ローラーであると同時に、電荷付与ローラーの対向ローラーとなっている。中間転写ベルトに従動して回転するテンションローラー12は、スライドする機構を有しており、圧縮ばねにより矢印の方向に圧接され、中間転写ベルトに張力を与えている。そのスライド幅は1〜5mmが好ましくで、バネの圧力合計は5〜70Nが好ましい。また、電子写真感光体1と二次転写対向ローラー(兼、駆動ローラー)8は不図示のカップリングを有し、本体から回転駆動力が伝達されるようになっている。
【0119】
なお、図1および2においては、二次転写対向ローラー(兼、駆動ローラー)8は、中間転写ベルトの蛇行防止部材が嵌合する段差部を軸方向端部に設けたローラーでもあり、テンションローラー12は、中間転写ベルトの蛇行防止部材の断面形状に嵌合するような溝を外周面に全周にわたって設けたローラーでもある。
【0120】
図2に示す中間転写ベルト−電子写真感光体一体プロセスカートリッジは、ユーザーが使用する時点で一体であればよく、その製造過程での取り扱いや回収後の分解のしやすさなどを考慮すると、例えば、中間転写ベルトを有する中間転写ベルトユニットと電子写真感光体を有する電子写真感光体ユニットのようにいくつかのユニットに分離可能な設計を行った方が好ましい。
【0121】
電子写真エンドレスベルト上に設けられた位置検知部材を検知する位置検知手段としては、従来知られている方法を用いることができる。特に、本発明においては、例えば、可視光線や赤外線などを用いた光電センサー(位置検知センサー)、中でも特に反射型の位置検知センサーを用いるのが好ましい。電子写真エンドレスベルトの位置検知センサーとして透過型のセンサーを用いた場合、中間転写ベルトの材質などに制約があり、特に本発明のような中間転写ベルト−電子写真感光体一体プロセスカートリッジとした場合には、電子写真装置本体側とプロセスカートリッジ側とに位置検知センサーの投光部と受光部とを別々に搭載する必要があり、検知精度を低下させるばかりか、プロセスカートリッジコストの増大を招いてしまう。
【0122】
以上、本発明の電子写真エンドレスベルトを中間転写ベルトとして用いる場合を中心に説明してきたが、本発明の電子写真エンドレスベルトは、中間転写ベルト以外にも、感光ベルト、転写ベルト、搬送ベルト、定着ベルトなど、蛇行防止と位置検知が求められるベルト全般に適用することができる。
【0123】
なお、本発明における特性の各測定方法は以下のとおりである。
【0124】
<膜厚測定方法>
本発明の電子写真エンドレスベルト(中間転写ベルト)の着色層の膜厚は、ベルト中央部を等間隔で8点全周にわたって切り取り、単層の場合は、ダイアルゲージにて測定し平均した値であり、多層の場合は光学顕微鏡により断面を観察し測定し平均した値である。
【0125】
<表面総和電流値測定方法>
測定装置としてはSPM:走査型プローブ顕微鏡(セイコーインスツルメンツ(株)製)を用い、SPA400−AFM(原子間力顕微鏡:電流同時測定)を接続して行った。
【0126】
走査エリア:24794nm四方
印加電圧:100V
試料:5mm四方にベルトをカット
25μm×25μmの表面について、1回の測定で、256×256箇所のポイントを測定し、その合計を総和電流値とした。そして、この測定をベルト状基体1本につき合計10回、測定位置をずらしつつ行い、得られる総和電流値の平均値をそのベルトの25μm×25μmの表面総和電流値とした。
【0127】
【実施例】
(実施例1)
ポリフッ化ビニリデン樹脂(エルフアトケム カイナー720) 72.7部
ポリエーテルエステルアミド(ペレスタット NC6321) 7部
パーフルオロブタンスルホン酸カリウム 0.3部
酸化亜鉛粒子(体積平均粒径:0.5μm) 20部
上記処方の中で、ポリエーテルエステルアミド7部のうち3部を粉砕機にかけた粉状のものを使用し、残り4部はペレット状のポリエーテルエステルアミドを使用した。また、ポリフッ化ビニリデン樹脂よりも、MFR値が若干高いポリエーテルエステルアミドを使用した。
【0128】
次に、粉状であるポリエーテルエステルアミドとパーフルオロブタンスルホン酸カリウム、および、酸化亜鉛粒子、また、ペレット状であるポリフッ化ビニリデン樹脂とポリエーテルエステルアミド樹脂を別々に予備混合を行った。予備混合装置の条件は、攪拌翼の上羽根/下羽根をS/BLの型に設定し、処理回転数を30Hzとした。
【0129】
次に、上記予備混合を行った粉状の材料と、ペレット状の材料を少量ずつ混練装置のフィーダーに投入しつつ混練を行った。このときの混練条件は、押出温度を210℃、スクリュー回転数を450rpmである。また、混練樹脂圧力の振れを±1Paに抑えて混練を行った。
【0130】
混練装置としては、直径30mmの同方向回転噛合2軸押し出し機を使用し、さらに、押し出し途中にサイドフィーダーが設けられている混練装置を使用した。そして混練を行う際は、4部のペレット状のポリエーテルエステルアミド樹脂のうち2部を、押し出し途中に設けられているサイドフィードから投入した。そして、所望のスジ状のドメイン構造および、微少範囲の電気抵抗になるようにポリエーテルエステルアミド樹脂などの添加剤を十分にバインダー中に均一分散させた。この混練を経て2mmのペレットとした成形用原料を得た。
【0131】
次に、図3に示す構成のインフレーション成形装置において、成形用ダイ103は単層用環状ダイとし、ダイスリットの外径が100mmのものを用いた。ダイスリットの幅は0.8mmとした。
【0132】
次に、この成形装置の材料ホッパー102へ、十分に加熱乾燥させた上記成形用原料を投入し、加熱溶融して環状ダイから210℃で円筒状に押し出した。環状ダイの周囲には外部冷却リング105が設置されており、押し出されたフィルムに周囲から空気を吹き付け、冷却を行った。
【0133】
次に、押し出された筒状フィルムの内部には気体導入路104より空気を吹き込み、直径220mmまで拡大膨張した後、引き取り装置で一定の速度で連続的に引き取った。環状ダイ103の直径と成形された筒状フィルムの直径の比率は220%となった。なお、空気の導入は直径が所望の値になった時点で停止した。
【0134】
次に、ピンチローラーに続くカット装置108で筒状フィルムをカットした。
【0135】
厚さムラが安定した後、長さ370mmで切断して筒状フィルムを成形した。
【0136】
この筒状フィルム1を熱膨張率の異なる金属からなる一組の円筒体を用いてサイズの調整、表面平滑性の調整および折り目の除去を行った。熱膨張率の高い円筒体(内型)に筒状フィルムを被せて、それを、内面を平滑に加工した円筒体(外型)に挿入し、170℃で20分間加熱した。室温まで冷却後、内型・外型から筒状フィルムを外し、表面を加工した筒状フィルムを得た。なお、金属酸化物粒子は白色のものを用いたため、表面を加工した筒状フィルムは白色であった。
【0137】
また、SPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値は760nAであった。
【0138】
表面を加工した筒状フィルムの両端部をさらに精密カットを行い、幅290mmのベルト状基体を得た。なお、このベルト状基体の厚さは85μmで、抵抗率を測定したところ、体積抵抗率は3.3×1010Ω・cm、表面抵抗は2.6×1011Ω・□となった。
【0139】
厚さ1.5mmのポリウレタンフォームに、厚さ50μmの不織布基材の一方の面には厚さ55μm、他方の面には厚さ155μmのアクリル系粘着材が設けられた両面粘着テープを、厚さ155μmの面がポリウレタンフォーム側になるように貼り合わせ、幅5mm、長さ688mmにカットして蛇行防止部材とした。
【0140】
また、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの一方の面には黒色塗装を施し、他方の面にはアクリル系粘着材(厚さ20μm)を設け、縦10mm×横10mmに打ち抜いて位置検知シールとした。ベルト状基体が白色であるのに対し、位置検知シールは黒色であるので反射率は異なっている。
【0141】
上記蛇行防止部材を、上記成形によって得られたベルト状基体の一方の端部に、端部から3mm中央寄りのベルト状基体内周面の位置に周方向に取り付けた。
【0142】
さらに、蛇行防止部材を取り付けた端部の反対の端部のベルト状基体外周面に上記位置検知シールを筒状ベルト基体周方向の等間隔4ヶ所に、端部に沿って貼り付け、中間転写ベルトを得た。蛇行防止部材と位置検知部材との幅方向の距離は235mmであった。なお、蛇行防止部材、位置検知部材ともに非画像領域に取り付けた。
【0143】
<画像評価>
得られた中間転写ベルトを図1に示す構成の電子写真装置にセットし、80g/m2紙にフルカラー画像のプリント試験を行った。この際に使用した露光装置は600dpiのデジタルレーザー方式とした。なお、試験環境は常温常湿環境(23℃、60%)、および高温高湿環境(40℃、90%)の2環境で行った。高温高湿環境については1週間放置した後試験を行い、色ズレに加え、画像不良のチェックを行った。各環境で、得られた画像を目視で評価した。
【0144】
続けて毎分4枚のスピードで連続8000枚の耐久プリント試験を行い、同様に画像の評価を行った。
【0145】
また、高温高湿環境下でのスジ画像の評価は次のとおりである。
【0146】
中間転写ベルトを1週間環境放置(40℃、90%)した後、図1に示す構成の(フルカラー)電子写真装置に装着し、その環境下で80g/m2紙にブラック、マゼンダ、シアンのハーフトーン画像および、ベタ画像をプリントした。そして以下のような項目を定義し、画像の目視評価を行った。
【0147】
画像上に全くスジ画像が無い:A
スジ画像の幅が画像領域幅の1/2未満である:B
スジ画像の幅が画像領域幅の1/2以上である:C
評価結果を表1に示す。
【0148】
(実施例2)
ポリフッ化ビニリデン樹脂(エルフアトケム カイナー720) 60部
導電性カーボンブラック 20部
酸化亜鉛粒子(体積平均粒径:0.5μm) 20部
材料の配合を上記のように変更し、ベルト状基体の直径を140mm、幅250mmとした以外は、実施例1と同様の方法でベルト状基体を得た。
【0149】
実施例1と同様の蛇行防止部材を、上記成形によって得られたベルト状基体の一方の端部に、端部から3mm中央寄りのベルト状基体内周面の位置に周方向に取り付けた。
【0150】
さらに、蛇行防止部材を取り付けた端部の反対の端部のベルト状基体外周面に実施例1と同様の位置検知シールを筒状ベルト基体周方向の等間隔4ヶ所に、端部に沿って貼り付け、中間転写ベルトを得た。蛇行防止部材と位置検知部材との幅方向の距離は220mmであった。なお、蛇行防止部材、位置検知部材ともに非画像領域に取り付けた。
【0151】
また、ベルト状基体のSPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値は1500nAであった。
【0152】
得られた中間転写ベルトを図1に示す構成の電子写真装置にセットし、実施例1と同様にしてフルカラー画像のプリント試験を行った。評価結果を表1に示す。
【0153】
(実施例3)
ポリフッ化ビニリデン樹脂(エルフアトケム カイナー720) 65部
ポリエーテルエステルアミド(ペレスタット NC6321) 15部
酸化亜鉛粒子(体積平均粒径:0.5μm) 20部
材料の配合を上記のように変更し、ベルト状基体の直径を142mm、幅255mmとした以外は、実施例1と同様の方法でベルト状基体を得た。
【0154】
実施例1と同様の蛇行防止部材を、上記成形によって得られたベルト状基体の一方の端部に、端部から3mm中央寄りのベルト状基体内周面の位置に周方向に取り付けた。
【0155】
さらに、蛇行防止部材を取り付けた端部の反対の端部のベルト状基体外周面に実施例1と同様の位置検知シールを筒状ベルト基体周方向の等間隔4ヶ所に、端部に沿って貼り付け、中間転写ベルトを得た。蛇行防止部材と位置検知部材との幅方向の距離は225mmであった。なお、蛇行防止部材、位置検知部材ともに非画像領域に取り付けた。
【0156】
また、ベルト状基体のSPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値は560nAであった。
【0157】
得られた中間転写ベルトを図1に示す構成の電子写真装置にセットし、実施例1と同様にしてフルカラー画像のプリント試験を行った。評価結果を表1に示す。
【0158】
(比較例1)
ポリフッ化ビニリデン樹脂(エルフアトケム カイナー720) 78部
パーフルオロブタンスルホン酸カリウム 2部
酸化亜鉛粒子(体積平均粒径:0.5μm) 20部
上記配合の材料を一度に予備混合を行い、その後、1軸押し出し機を使用した混練装置を使用して混練を行った。この混練を経て、2mmのペレットとした成形用原料を得た。その後は、実施例1と同様の成形方法にてベルト状基体を得た。
【0159】
実施例1と同様の蛇行防止部材を、上記成形によって得られたベルト状基体の一方の端部に、端部から3mm中央寄りのベルト状基体内周面の位置に周方向に取り付けた。
【0160】
さらに、蛇行防止部材を取り付けた端部のベルト状基体外周面に実施例1と同様の位置検知シールを筒状ベルト基体周方向の等間隔4ヶ所に、端部に沿って貼り付け、中間転写ベルトを得た。なお、蛇行防止部材、位置検知部材ともに非画像領域に取り付けた。
【0161】
また、ベルト状基体のSPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値は230nAであった。
【0162】
得られた中間転写ベルトを図1に示す構成の電子写真装置にセットし、実施例1と同様にしてフルカラー画像のプリント試験を行った。評価結果を表1に示す。
【0163】
(比較例2)
低密度ポリエチレン(920g/m2) 94部
アクリルゴム粒子 6部
ベルト状基体の成形用原料の材料の配合を上記のように変更した以外は、比較例1と同様にして中間転写ベルトを得た。
【0164】
また、ベルト状基体のSPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値は110nAであった。
【0165】
得られた中間転写ベルトを図1に示す構成の電子写真装置にセットし、実施例1と同様にしてフルカラー画像のプリント試験を行った。評価結果を表1に示す。
【0166】
(比較例3)
エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー 70部
導電性カーボン 30部
ベルト状基体の成形用原料の材料の配合を上記のように変更した以外は、比較例1と同様にして中間転写ベルトを得た。
【0167】
得られた中間転写ベルトを図1に示す構成の電子写真装置にセットし、実施例1と同様にしてフルカラー画像のプリント試験を行った。評価結果を表1に示す。
【0168】
(参考例1)
ポリフッ化ビニリデン樹脂(エルフアトケム カイナー720) 71.0部
ポリエーテルエステルアミド(ペレスタット NC6321) 9部
酸化亜鉛粒子(体積平均粒径:0.5μm) 20部
上記配合の材料を一度に予備混合を行い、その後、1軸押し出し機を使用した混練装置を使用し混練を行った。この混練を経て2mmのペレットとした成形用原料を得た。その後は、実施例1と同様の成形方法にてベルト状基体を得て、実施例1と同様の蛇行防止部材および位置検知部材を実施例1と同様に配置し、中間転写ベルトを得た。
【0169】
また、ベルト状基体のSPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値は200nAであった。
【0170】
得られた中間転写ベルトを図1に示す構成の電子写真装置にセットし、実施例1と同様にしてフルカラー画像のプリント試験を行った。評価結果を表1に示す。
【0171】
(参考例2)
ポリフッ化ビニリデン樹脂(エルフアトケム カイナー720) 58部
導電性カーボンブラック 22部
酸化亜鉛粒子(体積平均粒径:0.5μm) 20部
材料の配合を上記のように変更した以外は、参考例1と同様にしてベルト状基体を得て、実施例1と同様の蛇行防止部材および位置検知部材を実施例1と同様に配置し、中間転写ベルトを得た。
【0172】
また、ベルト状基体のSPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値は2800nAであった。
【0173】
得られた中間転写ベルトを図1に示す構成の電子写真装置にセットし、実施例1と同様にしてフルカラー画像のプリント試験を行った。評価結果を表1に示す。
【0174】
【表1】
【0175】
【発明の効果】
本発明によれば、位置検知が正確で色ズレ・画像ズレが少ない高画質な画像が得られ、高温高湿環境下でもスジ状の画像欠陥が発生しない電子写真エンドレスベルトを提供することができる。
【0176】
また、本発明によれば、上記電子写真エンドレスベルトからなる中間転写ベルト、該中間転写ベルトを有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中間転写ベルト−電子写真感光体一体プロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の中間転写ベルト−電子写真感光体一体プロセスカートリッジの概略構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の中間転写ベルト(単層)の成形装置の概略構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の中間転写ベルト(2層)の成形装置の概略構成の一例を示す図である。
【図5】本発明の電子写真エンドレスベルトと位置検知センサーとの関係、および、蛇行防止部材の断面形状に嵌合するような溝を外周面に全周にわたって設けたローラーを用い、内周面に全周にわたって蛇行防止部材が設けられた電子写真エンドレスベルトを、このローラーの溝に蛇行防止部材を嵌合させつつ回転させることによって蛇行を防止する場合を示す図である。
【図6】本発明の電子写真エンドレスベルトと位置検知センサーとの関係、および、蛇行防止部材が嵌合する段差部を軸方向端部に設けたローラーを用いることによって、電子写真エンドレスベルトの蛇行を防止する場合を示す図である。
【図7】従来の電子写真エンドレスベルトと位置検知センサーを示す図である。
【符号の説明】
1 電子写真感光体(感光ドラム)
2 帯電手段(帯電ローラー)
3 露光光
5 中間転写ベルト
6 一次転写手段(一次転写ローラー)
7 二次転写手段(二次転写ローラー)
8 二次転写対向ローラー(兼、駆動ローラー)
9 電荷付与手段(電荷付与ローラー)
10 転写材ガイド
11 給紙手段(給紙ローラー)
12 テンションローラー
13 電子写真感光体クリーニング手段
13‘ クリーニングブレード
14 濃度検知センサー
15 位置検知センサー
16 定着手段
30、31、33 バイアス電源
32 帯電手段電源
41 イエロー色現像手段
42 マゼンタ色現像手段
43 シアン色現像手段
44 ブラック色現像手段
A プロセスカートリッジ
P 転写材
61 ベルト状基体
62 蛇行防止部材
63 位置検知部材
64 投光部
65 受光部
66 溝
67 ローラー
71 ベルト状基体
72 蛇行防止部材
73 位置検知部材
74 位置検知センサー
75 濃度検知センサー
76 段差部
77 ローラー(駆動ローラー)
L 蛇行防止部材と位置検知部材との距離
81 ベルト状基体
82 蛇行防止部材
83 位置検知部材
84 投光部
85 受光部
86 溝
87 ローラー
100、101 1軸押し出し機
102 ホッパー
103 環状ダイ
104 気体導入路
105 外部冷却リング
106 安定板
107 ピンチローラー
108 カット装置
110 筒状フィルム
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真エンドレスベルト、特にはその中でも中間転写ベルト、および、該中間転写ベルトと電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、レーザービームプリンターなどの電子写真装置に用いられる中間転写体、電子写真感光体、転写搬送部材、定着部材などには、剛体のドラム形状のもの以外に、フレキシブルなエンドレスベルト形状のもの(電子写真エンドレスベルト)が使用されている。
【0003】
電子写真エンドレスベルトは、通常、電子写真装置内で、その内周面側に配置された少なくとも2本以上のローラーに張架、支持され、任意の張力を与えられながら回転駆動されて用いられている。
【0004】
ところが、電子写真エンドレスベルトを支持するローラーの直径、フレ、その回転軸の真直度、各々のローラーの平行度にわずかな誤差やばらつきがあるため、電子写真エンドレスベルトが回転駆動中に左右に蛇行することは不可避である。
【0005】
電子写真エンドレスベルトが左右に蛇行することにより、露光位置や転写位置がずれ、画像ズレが発生してしまう。また、フルカラー電子写真装置の場合には、電子写真エンドレスベルト上あるいは電子写真エンドレスベルト上で搬送される転写材上での色重ね時に、各色の作像位置がずれるため、色ズレを生じてしまう。
【0006】
そこで、このような電子写真エンドレスベルトの蛇行を防止するために、これまで様々な方法が提案されている。ここ近年では、電子写真エンドレスベルトのベルト状基体の内周面に蛇行防止部材を設けて、電子写真エンドレスベルトの蛇行を防止する方法が数多く提案されている。
【0007】
例えば、この蛇行防止部材の断面形状に嵌合するような溝を外周面に全周にわたって設けたローラーを用い、内周面に全周にわたって蛇行防止部材が設けられた電子写真エンドレスベルトを、このローラーの溝に蛇行防止部材を嵌合させつつ回転させることによって蛇行を防止する方法が挙げられる。
【0008】
また別の例として、電子写真エンドレスベルトのベルト状基体の両端部に設けられた蛇行防止部材の内側同士の距離とほぼ同じ長さのローラーを用い、このローラーに該ベルトを張架し、ベルト両端の蛇行防止部材とローラーとを嵌合させつつ回転させることによって蛇行を防止する方法が挙げられる。
【0009】
またさらに別の例としては、電子写真エンドレスベルトの蛇行防止部材が嵌合する段差部を軸方向端部に設けたローラーを用いることによって、電子写真エンドレスベルトの蛇行を防止する方法が挙げられる。
【0010】
上記方法によって、電子写真エンドレスベルトを蛇行させることなく、スムーズに走行させることができる。これにより画像ズレや、色ズレのない良好な画像の形成が可能となる。
【0011】
一方、通常、電子写真エンドレスベルトを電子写真装置内で用いる場合には、トナー画像の書き出し位置などを制御するための何らかの手段を備えている。
【0012】
例えば、特開平9−96943号公報などには、電子写真エンドレスベルトのベルト状基体にマーク(位置検知部材)を設け、このマークをセンサーで検知してから画像の書き出しを開始するという方法が開示されている。この方法では、非常に安価に検知でき、装置も小型化できて好ましい。
【0013】
さて、電子写真エンドレスベルトは、電子写真装置の小型化や軽量化などの観点から、通常、膜厚が薄いものが多く、また、小径のローラーに張架されて使用されるために、ある程度の柔軟性が要求される。
【0014】
一方、電子写真エンドレスベルトのベルト状基体に取り付けられる蛇行防止部材は、電子写真エンドレスベルトの蛇行を防止し、安定して走行させるためには、電子写真エンドレスベルトの寄り力に耐え得るだけの剛性を有していることが要求される。
【0015】
薄膜で、柔軟性のある電子写真エンドレスベルトのベルト状基体に剛性を有する蛇行防止部材を設けると、この電子写真エンドレスベルトをローラーに張架した際に、蛇行防止部材が設けられた部分とそうでない部分とでは、スティフネス(腰の強さ、剛性)の違いにより、電子写真エンドレスベルトの屈曲の度合いにわずかな差が生じる。
【0016】
電子写真エンドレスベルトのベルト状基体の内周面に蛇行防止部材を設け、その部分の外周面に位置検知部材を設ける場合、従来は、このわずかな屈曲性の違いにより、図7に示すようにローラー87の溝86に嵌合させた蛇行防止部材82が盛り上がり、結果的に電子写真エンドレスベルトのベルト状基体81および位置検知部材83も盛り上がってしまって正確な検知ができず、画像ズレの原因となっていた(84は位置検知センサーの投光部、85は位置検知センサーの受光部である)。
【0017】
また、蛇行防止部材は、通常、ベルト状基体の内周長に合わせた長さにあらかじめ裁断されたものをベルト状基体の内周面に貼り付けることとなるが、この場合には蛇行防止部材につなぎ目ができてしまうのは避けられない。特に、つなぎ目の上に位置検知部材が存在した場合には、極端な屈曲性の違いにより、正確な位置検知が不可能となる。これを避けるためには、位置検知部材の取り付けの際に蛇行防止部材のつなぎ目を避ける、または、蛇行防止部材の取り付けの際に位置検知部材の位置を避ければよいが、量産工程を考慮した場合には、蛇行防止部材のつなぎ目部分や位置検知部材の位置を判定して、ここを避けるというような工程を入れると生産性の低下や管理の増大を招き、結果的にコストアップにつながってしまうといった問題がある。
【0018】
そこで、蛇行防止部材の盛り上がりを防止するための手段として、電子写真エンドレスベルトを張架する際のテンション(ベルトテンション)を増加させるという方法が挙げられるが、ベルトテンションの増加は電子写真エンドレスベルトのクリープを引き起こし、寿命を低下させる恐れがある。また、高すぎるベルトテンションは、電子写真エンドレスベルトの蛇行をより助長する恐れもある。
【0019】
従来、このような問題を解決するために、比較的剛性の低い蛇行防止部材を使用しなければならなかった。ただし、剛性の低い蛇行防止部材を使用した場合には、幅方向への蛇行を防止する効果が弱まってしまい、ひどいときには蛇行防止部材がローラーに乗り上げてしまうことさえあった。
【0020】
特に、電子写真感光体と中間転写ベルトとを一体に支持するプロセスカートリッジを用いた場合、実際に電子写真装置本体に設置・使用される場合とは異なり、流通段階で多くの振動を受けたり、高温高湿環境下に長時間置かれたりすることが多い。このような過酷な環境下に長時間置かれた場合には、ベルトのクリープの進行は加速される上、永久変形によってベルトに曲げ癖が生じてしまい、ここに位置検知部材が存在した場合には正確な位置検知ができなくなるといった問題が生ずる。このような理由により、電子写真感光体と中間転写ベルトとを一体に支持するプロセスカートリッジを用いた場合には、上記問題点はより顕著に生じる。
【0021】
【特許文献1】
特開平9−96943号公報
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ベルトテンションを増加させる方法や、剛性の低い蛇行防止部材を使用する方法が有していた問題点が生じることがなく、画像ズレや色ズレのない良好な画像の形成が可能な電子写真エンドレスベルトを提供することにある。
【0023】
また、本発明の目的は、中間転写ベルトとして上記電子写真エンドレスベルトを採用したプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、まず、ベルト状基体、蛇行防止部材および位置検知部材を有する電子写真エンドレスベルトにおいて、蛇行防止部材を、ベルト状基体の一方の端部の内周面側に配置し、位置検知部材を、該ベルト状基体の他方の端部の外周面側に配置し、かつ、該蛇行防止部材と該位置検知部材とが該電子写真エンドレスベルトの幅方向で200mm〜250mm離間するようにしたことで、上記目的は達成することができることを見いだした。
【0025】
しかしながら、蛇行防止部材および位置検知部材を上記のように配置した電子写真エンドレスベルトを使用すると(特に中間転写ベルトとして使用すると)、高温高湿という厳しい環境下では、出力画像にスジ状の欠陥が発生することがわかった。この問題は、高温高湿環境以外の環境(常温常湿環境など)で画像出力した場合では、さほど顕在化しなかった問題であった。
【0026】
高温高湿環境下では、一次転写ローラーおよび中間転写ベルトの抵抗が不安定になる傾向がある。そのため、両者の抵抗が一時的に高くなる場合があり、両者間の剥離時の放電現象が発生しやすくなる。加えて、蛇行防止部材を上記のように設置することにより、電子写真エンドレスベルトである中間転写ベルトと電子写真感光体との摺動、摩擦がさらに強く行われることにより、上記問題がより顕在化すると考えられる。
【0027】
そこで、本発明者らは検討をさらに進めた結果、蛇行防止部材および位置検知部材を上記のように配置した上で、さらにベルト状部材の結着樹脂として熱可塑性樹脂を採用し、かつ、ベルト状基体のSPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値が300nA〜2000nAとなるようにすることで、高温高湿環境下で蛇行防止部材および位置検知部材を上記のように配置した電子写真エンドレスベルトを使用しても、スジ状の欠陥が発生しなくなることを見いだした。
【0028】
すなわち、本発明は、ベルト状基体、蛇行防止部材および位置検知部材を有する電子写真エンドレスベルトにおいて、
該蛇行防止部材が、該ベルト状基体の一方の端部の内周面側に配置され、
該位置検知部材が、該ベルト状基体の他方の端部の外周面側に配置され、
該蛇行防止部材と該位置検知部材とが該電子写真エンドレスベルトの幅方向で200mm〜250mm離間しており、かつ、
該ベルト状部材が、結着樹脂として熱可塑性樹脂を含有し、
該ベルト状基体のSPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値が、300nA〜2000nAである
ことを特徴とする電子写真エンドレスベルトである。
【0029】
また、本発明は、中間転写ベルトとして上記電子写真エンドレスベルトを採用したプロセスカートリッジおよび電子写真装置である。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明をより詳細に説明する。
【0031】
まず、本発明の電子写真エンドレスベルトはベルト状基体、蛇行防止部材および位置検知部材を有している。そして、ベルト状基体と蛇行防止部材の厚さや、物性・屈曲性の違いに起因する蛇行防止部材のベルト状基体表面での盛り上がりによる位置検知ズレを防止するために、図5に示すように、ベルト状基体61の一方の端部の内周面側に、電子写真エンドレスベルトの蛇行を防止するための蛇行防止部材62を配置し、ベルト状基体の他方の端部の外周面側に、電子写真エンドレスベルトの所定の位置を検知するための位置検知部材63を配置する。そして、蛇行防止部材62と位置検知部材63とを200mm〜250mm離間させる。64は位置検知センサーの投光部、65は位置検知センサーの受光部である。また、66は蛇行防止部材62を嵌合させる溝である。
【0032】
なお、図5には、蛇行防止部材62の断面形状に嵌合するような溝66を外周面に全周にわたって設けたローラー67を用い、内周面に全周にわたって蛇行防止部材62が設けられた電子写真エンドレスベルトを、このローラー67の溝66に蛇行防止部材62を嵌合させつつ回転させることによって蛇行を防止する形態を示したが、図6のように、電子写真エンドレスベルトの蛇行防止部材が嵌合する段差部76を軸方向端部に設けたローラー77を用いることによって、電子写真エンドレスベルトの蛇行を防止する形態を採ってもよい。図6においては、71がベルト状基体、72が蛇行防止部材、73が位置検知部材、74が位置検知センサーの投光部、75は位置検知センサーの受光部、76が段差部、77が電子写真エンドレスベルトを張架するローラーである。
【0033】
また、図5、図6において、Lは本発明における蛇行防止部材と位置検知部材との距離を指す。
【0034】
図7に示すように、蛇行防止部材が配置された端部と同じ側の端部に位置検知部材を取り付けると、位置検知部材が蛇行防止部材の盛り上がりによる影響を受け、正確な位置検知ができなくなり、位置検知センサーと位置検知部材による位置検知精度が低下してしまう。
【0035】
また、電子写真エンドレスベルト(ベルト状基体)の幅は、通常、200mm〜400mmの範囲である。200mm未満では対応できる用紙サイズに制限があり過ぎ(例えばA4サイズ不可)、400mmを超える場合には、電子写真装置本体の大型化を招いてしまう。さらに、電子写真装置の小型化と対応できる用紙サイズとの両立を考慮すると、電子写真エンドレスベルト(ベルト状基体)の幅は、220mm〜350mmの範囲が好適である。
【0036】
これに伴い、蛇行防止部材と位置検知部材とを電子写真エンドレスベルトの幅方向で200mm〜250mm離間するように配置させるのが好適となる。200mm未満では位置検知精度が低下するばかりか、画像領域にかかってしまう可能性がある。一方、250mmを超える場合には、電子写真エンドレスベルトのサイズが大きくなり、結果的に電子写真装置の大型化を招いてしまう。
【0037】
なお、蛇行防止部材と位置検知部材とを200mm〜250mm離間させることがより好ましい。
【0038】
蛇行防止部材と位置検知部材とを離間させることにより、蛇行防止部材のつなぎ目部分を検知して、それを避ける必要もなくなり、生産性の低下やコストアップを招くことがない。
【0039】
また、蛇行防止部材と位置検知部材とを離間させることにより、ベルトテンションを必要以上に増加させずに済み、適正なベルトテンションで電子写真エンドレスベルトを張架することができるため、クリープを抑えられ、結果的にベルトの長寿命化にもつながる。本発明において、好適なベルトテンションの範囲は、5N〜70Nである。
【0040】
また、蛇行防止部材と位置検知部材とを離間させることにより、従来はその剛性の高さゆえに使用を控えていた、より蛇行防止効果の高い高弾性率の蛇行防止部材を使用することができ、色ズレなどを大幅に低減できる。本発明において、蛇行防止部材の好適な弾性率の範囲は0.01Pa〜100MPaであり、より好ましくは0.1Pa〜50Mpaである。
【0041】
また、蛇行防止部材や位置検知部材は、電子写真装置の大型化を招かない範囲で、所望の画像を得るためのトナーが乗る範囲(画像領域)の外の箇所(非画像領域)に配置することが好ましい。画像領域内に蛇行防止部材や位置検知部材を配置した場合、蛇行防止部材の盛り上がりや、位置検知部材の厚みに起因する電子写真エンドレスベルトの段差により、画像に悪影響を及ぼすことがある。
【0042】
また、位置検知部材は電子写真エンドレスベルトのベルト状基体上に複数設けることが好ましい。電子写真エンドレスベルトの周方向に1箇所だけしか位置検知部材が存在しない場合には、電源を入れてから位置検知部材を検知するまでの間のベルトの回転時間が長くなってしまい、スループットの低下を招いてしまう恐れがある。
【0043】
また、本発明の電子写真エンドレスベルトのベルト状基体は、熱可塑性樹脂を主成分とするもの、すなわち、結着樹脂として熱可塑性樹脂を有するものであり、かつ、SPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値が、300nA〜2000nAであるものである。
【0044】
表面総和電流値が300nA未満である場合には、電子写真エンドレスベルト(ベルト状基体)上に適度な電荷のリークサイトが不足することで、高温高湿環境下においては、トナーに放電起因の電荷ムラが生じ、これがスジ状の画像欠陥を発生させる場合がある。これが複数色の色ズレが発生した際の画像不良をさらに悪化させる場合がある。一方、2000nAを超える場合には、高温高湿環境下においては、スジ状の画像欠陥を発生に加え、電子写真エンドレスベルト(ベルト状基体)の耐圧性が著しく低下してしまう。
【0045】
なお、より好ましい25μm×25μmの表面総和電流値の範囲は、600nA〜1000nAである。
【0046】
また、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂(PET、PBT、PEN、PARなど)、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホンやポリエーテルサルホンおよびポリフェニレンサルファイドなどの硫黄含有樹脂、ポリフッ化ビニリデンおよびポリエチレン−四フッ化エチレン共重合体などのフッ素原子含有樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、ポリ塩化ビニリデン、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂および変性ポリフェニレンオキサイド樹脂などや、これらの各種変性樹脂や共重合体を1種類あるいは2種類以上を使用することができる。
【0047】
また、電子写真装置中で電子写真エンドレスベルトを使用する際には、その電子写真プロセスに合わせた抵抗値の調整が必要となる。
【0048】
本発明の電子写真エンドレスベルト(ベルト状基体)の電気抵抗値を調節するために混合する添加剤は、特に制限されるものではないが、抵抗を調整する導電性フィラーとしては、カーボンブラックや各種の導電性金属酸化物などが挙げられ、非フィラー系抵抗調整剤としては、各種金属塩やグリコール類などの低分子量のイオン導電剤やエーテル結合や水酸基などを分子内に含んだ帯電防止樹脂、または、電子導電性を示す有機高分子化合物などが挙げられる。
【0049】
また、本発明の電子写真エンドレスベルトのベルト状基体を得る方法も、特に限定されるものではないが、成形方法としては、シームレスベルトの製造方法を採用することが可能で、かつ、製造効率が高くてコストを抑制できる製造方法が好ましい。その方法としては、環状ダイから連続溶融押し出しし、その後、必要な長さに切断してベルトを製造する方法が挙げられる。例えば、インフレーション成形などが好適である。
【0050】
以下に、本発明に用いる電子写真エンドレスベルトのベルト状基体の製造方法の一例を説明する。
【0051】
図3に、本発明の電子写真エンドレスベルトのベルト状基体の成形装置(インフレーション装置)の概略構成の一例を示す。本成形装置は、主として、押し出し機、押し出しダイおよび気体吹き込み装置から構成される。
【0052】
まず、成形用樹脂(ゴムでもよい)、導電剤、添加剤などの材料を所望の処方に基づき、予備混合後、混練分散させた成形用原料を押し出し機100に具備したホッパー102に投入する。
【0053】
押し出し機100は、成形用原料が後工程でのベルト成形が可能となる溶融粘度となり、また、材料相互が均一分散するように、設定温度および押し出し機のスクリュー構成は選択される。
【0054】
成形用原料は、押し出し機100中で溶融混練されて溶融体となり、環状ダイ103に入る。環状ダイ103には気体導入路104が配設されており、気体導入路104より空気が環状ダイ103の中央に吹き込まれることによって環状ダイ103を通過した溶融体は径方向に拡大膨張し、筒状フィルム110となる。
【0055】
このとき吹き込まれる気体は、空気以外に窒素、二酸化炭素またはアルゴンなどを選択することができる。
【0056】
膨張した成形体(筒状フィルム)は、外部冷却リング105により冷却されつつ上方向に引き上げられる。通常、インフレーション装置では、安定板106でチューブを左右から押し潰して、シート状に折り畳み、ピンチローラー107で内部のエアーが抜けないように挟持して、一定速度で引き取る方法が採られる。
【0057】
次いで、引き取られた筒状フィルムをカット装置108で切断し、所望の大きさの筒状フィルムを得る。
【0058】
次に、この筒状フィルムに表面平滑性や寸法を調整したり、成形の際にフィルムについた折り目を除去したりするなどの目的で型を使用した加工を行う。
【0059】
具体的には、熱膨張率の異なる材料で作られた直径の異なる一組の円筒型を使用する方法がある。
【0060】
小径の円筒型(内型)の熱膨張率は大径の円筒型(外型)の熱膨張率より大きくなるようにし、この内型に成形した筒状フィルムを被せた後、その内型を外型内に挿入して、内型と外型で筒状フィルムを挟み込むようにする。内型と外型の間のギャップは、加熱する温度と内型・外型の熱膨張率の差および必要とされる圧力で計算して求める。
【0061】
内側から、内型・筒状フィルム・外型の順でセットされた型を、筒状フィルムに用いられた樹脂の軟化点温度付近まで加熱する。熱膨張率の大きい内型は、加熱によって外型の内径以上に膨張しようとするため、筒状フィルム全面に均一な圧力がかかる。このとき、軟化点付近に達した筒状フィルムの表面は、平滑に加工した外型内面に押し付けられ、筒状フィルム表面の平滑性が向上する。その後、冷却して筒状フィルムを型から外すことで平滑な表面性を得ることができる。
【0062】
蛇行を防止するために内周長の左右差の小さい電子写真エンドレスベルト(のベルト状基体)を得る方法として、上記方法を用いることがより好ましい。
【0063】
また、上記説明は単層ベルトに関してであるが、2層の場合は図4に示されるように、さらに押し出し機101を追加配置し、押し出し機100の混練溶融体と同時に2層用の環状ダイ103へ、押し出し機101の混練溶融体を送り込み、2層同時に拡大膨張させ2層ベルトを得ることができる。
【0064】
もちろん3層以上の時は、層数に応じて押し出し機を準備すればよい。このようにこの方法では単層のみならず、多層構成の電子写真エンドレスベルト(のベルト状基体)を一段工程で、かつ、短時間に寸法精度良く成形することが可能である。この短時間成形が可能ということは、大量生産および低コスト生産が可能であるということである。
【0065】
環状ダイのギャップ(ダイスリット)の幅に対する成形された筒状フィルムの厚さの比に関しては、前者に対して後者が1/3以下であることが好ましく、さらには1/5以下であることがより好ましい。
【0066】
また、環状ダイのギャップ(ダイスリット)の外径に対する筒状フィルムの外径の比に関しては、50%〜400%の範囲が好ましい。
【0067】
これらは材料の延伸状態を表すものであり、厚さ比が1/3より大きい場合は延伸が不十分で強度の低下や抵抗および厚さのムラなどの不具合が生じやすくなる。一方、外径が400%を超える場合や50%未満の場合は、延伸の度合いが大きく、成形安定性が低下したり本発明に必要な厚さを確保したりすることが難しくなる。
【0068】
ところで、ベルト状基体のSPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値を300nA〜2000nAの範囲に収めるためには、使用する材料(熱可塑性樹脂および各種添加剤)、および、それら材料の分散状態を制御する必要がある。
【0069】
まず、使用する材料に関しては、結着樹脂である熱可塑性樹脂に対し、上述したような様々な添加剤を使用することが可能であるが、電気抵抗値を調節するために混合する添加剤としては、導電性フィラーが好ましく、非相溶系の帯電防止樹脂がさらに好ましい。導電性フィラーを使用した場合は、その分散状態によって局所的に導電性が著しく高くなり耐圧性を損なう場合があるが、分散状態を均一に制御できれば問題はない。また、非相溶系の帯電防止樹脂の場合は、結着樹脂である熱可塑性樹脂と同じ有機系のため均一な分散が容易であり、また表面層でスジ状のドメイン層を維持できるため適度なリークサイトを保ちやすい。
【0070】
また、分散状態を制御する好適な方法として挙げられるのは、予備混合段階においてペレット状の帯電防止樹脂と、粉砕した粉状の帯電防止樹脂を併せて使用する方法がある。これは粒子状の帯電防止樹脂による分散の均一化で電流ムラを抑え、また、ペレット状の帯電防止樹脂でスジ状の分散構造を保ち、適度なリークサイトを維持し画像特性を良好に保つ狙いがある。
【0071】
他にも均一性を増すために、また、予備混合装置の条件では、攪拌翼の上羽、下羽の形状調整および、処理回転数を増やして設定することで帯電防止樹脂の均一な分散状態を得ることができる。
【0072】
また、各材料を予備混合装置に投入する際、結着樹脂である熱可塑性樹脂をあらかじめ投入しておき、その他の添加剤などを攪拌と共に少量ずつ投入していく、2段投入により均一な分散を得る方法が挙げられる。
【0073】
他にも、予備混合を粒子とペレット状の材料で別々に行い、混練時のフィーダーに投入する際、この2つを同時に投入しつつ混練を行うことで、フィーダー内での各材料の比重差による分級を防ぎ、より均一な分散状態を得る方法も挙げられる。
【0074】
次に、混練条件においては各シリンダーの設定温度を180〜210℃の範囲で調整し、加えて樹脂圧力の誤差範囲を±1Paに抑えることでより安定した混練を行い、さらにスクリュー回転数を210rpm以上に保つことで材料に対してせん断力がより加わるようにする。これらの混練条件により、均一な分散状態が得られる。混練装置としては、2軸押し出し機、単軸押し出し機などの各種押し出し機で分散させる方法やニーダー、バンバリーミキサーなどの各種ミキサー、2本ロール、3本ロールミルなどの各種ロールミルなどの中でも、分散コントロールを行うためには2軸押し出し機が好ましい。これは、2軸押し出し機ではスクリュー構成の変更が容易であり、適切な分散状態の条件をスクリュー構成の変更で見いだすことができるため、また、吐出量と軸回転数が個別にコントロールできるので、樹脂の滞留時間を変えることができ、スクリューを変えない状態でも分散状態を変えることができ、分散の最適条件を見つけやすいためである。
【0075】
さらに、押し出し途中にサイドフィードを備えた混練装置を使用することにより、帯電防止樹脂のみそこから投入し、帯電防止樹脂に対するせん断力を弱めに調整することにより、スジ状のドメイン構造を維持することができる。
【0076】
その後の電子写真エンドレスベルトの成形は、SPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値を300nA〜2000nAの範囲に収めるという意味においても、上記インフレーション成形を採用することが好ましい。温度、吐出量を高めに設定し、冷却速度および引き取り速度を速く設定して行うことにより、環状ダイスから出てくる溶融樹脂時の帯電防止樹脂のスジ状のドメイン構造を維持する方向で制御できる。また、帯電防止樹脂などの電気抵抗値を調節するために混合する添加剤に対し、MFR値が低めの結着樹脂(熱可塑性樹脂)を使用することによって、帯電防止樹脂のスジ状の分散構造を維持する方法が挙げられる。
【0077】
このように、予備混合条件、混練条件、インフレーション成形条件、材料を特定の範囲で制御して行うことにより、帯電防止樹脂などの電気抵抗値を調節するために混合する添加剤の均一分散および、スジ状のドメイン構造を維持することを徹底することで、SPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値を300nA〜2000nAの範囲に収め、ベルト表面の適度なリークサイトを維持し、色ズレが良好で、高温高湿環境下においても優れた画像特性を得ることができるのである。
【0078】
さて、本発明の電子写真エンドレスベルトの蛇行防止部材の厚さは0.3mm〜6mmが好ましい。0.3mm未満の場合には、十分な蛇行防止効果が得られないことがあり、場合によっては蛇行防止部材がローラーに乗り上げてしまう場合もある。一方、6mmを超える場合には、電子写真エンドレスベルトのベルト状基体の内周長と蛇行防止部材の内周長との差が大きくなり、電子写真エンドレスベルトを実際に使用する際、電子写真エンドレスベルトを張架しているローラーに電子写真エンドレスベルトが巻き付いたときに、電子写真エンドレスベルトの曲げに対し、蛇行防止部材が追随せずに、盛り上がりが大きくなることがある。
【0079】
ベルト状基体への蛇行防止部材の取り付けには、安価で、精度良く取り付けが可能で、長期にわたって接着性を維持できる両面粘着テープによる取り付けが好ましい。なお、両面粘着テープはその粘着剤に補強基剤を有するものが、加工精度、取り付け精度、接着性、耐久性などの点でより好ましい。
【0080】
両面粘着テープの補強基剤の材質・特性については、取り付け精度を維持できるものであれば何ら制限はないが、例えば、クラフト紙、和紙およびクレープ紙などの紙や、レーヨン(スフ)、綿、アセテート、ガラス、ポリエステルおよびビニロンなどの単独または混紡などの織布や、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどの割布や、レーヨン、ポリプロピレン、芳香族ポリアミド、ポリエステルおよびガラスなどの不織布類や、セロハン、アセテート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンや、ポリウレタンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴムおよびポリクロロプレンゴムなどの単独または混合物のゴムシートや、ポリウレタン、ポリエチレン、ブチルゴム、ポリクロロプレンゴムおよびアクリルゴムなどの発泡体などが挙げられる。
【0081】
これらの中でも、特に好適に用いられる材料として、レーヨン、ポリプロピレン、芳香族ポリアミド、ポリエステルおよびガラスなどの不織布が挙げられる。これらは加工性が良好で、加工精度、取り付け精度に優れ、安価に入手でき、接着(粘着)強度を著しく向上させる効果がある。両面粘着テープの補強基剤の厚さは、25μm〜500μmが好ましい。
【0082】
両面粘着テープの粘着剤(接着剤)としては、ゴム系(ウレタンゴム、天然ゴム系、スチレン−ブタジエンゴム系、イソブチレンゴム系、イソプレンゴム系、スチレン−イソプレンブロック共重合体およびスチレン−ブタジエンブロック共重合体など)、アクリル系およびシリコーン系などが挙げられ、また、これら材料やその他の材料を2種以上組み合わせて使用してもよい。これらの中では、アクリル系粘着剤を使用した両面粘着テープが、接着強度に優れており好ましい。
【0083】
また、蛇行防止部材の材質については、電子写真エンドレスベルトの蛇行を防止するのに十分な強度を有していればどのようなものを用いても構わない。例えば、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴムおよびフッ素ゴムなどのソリッドや発泡体などが挙げられる。特に、圧縮残留歪が他の材質に比較して優れているポリウレタンゴムおよびシリコーンゴムが好ましい。また、これらの発泡体は、柔軟性に優れており、電子写真エンドレスベルトの屈曲性に及ぼす影響が少なく、安定したベルト走行性が得られて好ましい。
【0084】
また、本発明における位置検知部材としては、シール形状のものや、塗装によって設けたものが挙げられる。塗布精度や塗料のはみ出しなどを考慮すると、シール形状のものは精度良く貼り付け可能で、自動化に向いており、高精度と低コストの両立ができて好ましい。
【0085】
本発明における位置検知シールの基材の材質については、特に制限はなく、従来知られているものが使用できる。例えば、クラフト紙、和紙およびクレープ紙などの紙や、レーヨン(スフ)、綿、アセテート、ガラス、ポリエステルおよびビニロンなどの単独または混紡などの織布や、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどの割布や、レーヨン、ポリプロピレン、芳香族ポリアミド、ポリエステルおよびガラスなどの不織布類や、セロハン、アセテート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリエステルなどのフィルムなどが挙げられる。
【0086】
位置検知シールの粘着剤(接着剤)としては、ゴム系(ウレタンゴム、天然ゴム系、スチレン−ブタジエンゴム系、イソブチレンゴム系、イソプレンゴム系、スチレン−イソプレンブロック共重合体およびスチレン−ブタジエンブロック共重合体など)、アクリル系およびシリコーン系などが挙げられ、また、これら材料やその他の材料を2種以上組み合わせて使用してもよい。これらの中では、アクリル系粘着剤を使用したものが、接着強度に優れており好ましい。
【0087】
また、位置検知シールの構成としては、最も簡単な単層の基材と単層の粘着剤との組み合わせからなるものだけでなく、必要に応じて複数の基材や複数の粘着剤層を重ね合わせた構成としたり、塗装や蒸着などによって多層化したりしてもよい。
【0088】
位置検知シールの作製方法としては、従来知られている方法を採用することができるが、打抜き刃を用いた打ち抜きによる方法が精度に優れ、生産性がよく、安価に製造できて好ましい。
【0089】
また、本発明の電子写真エンドレスベルトは、中間転写ベルトと電子写真感光体とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジ(中間転写ベルト−電子写真感光体一体プロセスカートリッジ)用の中間転写ベルトとしても非常に好適に用いることができる。
【0090】
中間転写ベルト−電子写真感光体一体プロセスカートリッジが、流通段階で、長期間ローラーに張架された状態で高温高湿の過酷な環境下に置かれ、万が一、蛇行防止部材が永久変形を起こし、曲げ癖が発生したとしても、本発明の電子写真エンドレスベルトである中間転写ベルトを用いれば、位置検知部材は蛇行防止部材から一定の距離だけ離れた所に存在するので、その影響を受けることがない。
【0091】
一方、中間転写ベルト−電子写真感光体一体プロセスカートリッジとした場合には、プロセスカートリッジは消耗品として扱われることとなるため、より安価に製造できることが必須課題となる。そのため、それを構成する部品も安価であることが望まれる。本発明のように、電子写真エンドレスベルト(中間転写ベルト)への蛇行防止部材の取り付けに、安価で購入可能な両面粘着テープを使用すれば、低コスト化が実現できて好ましい。位置検知部材もシール(位置検知シール)を貼るだけとすれば、やはり低コスト化が実現できて好ましい。
【0092】
また、プロセスカートリッジの小型化とコストダウンのため、中間転写ベルトのクリーニング方式は、電荷付与手段によって二次転写残トナーを一次転写時とは逆の極性に帯電させて、一次転写時と同時に電子写真感光体に戻す一次転写同時クリーニング方式を用いるのが好ましい。
【0093】
具体的には、中間転写ベルト上に離接可能に配置した電荷付与手段(例えば電化付与ローラー)に電圧を印加して、二次転写残トナーに一次転写時と逆極性の電荷を与え、続く一次転写部において、一次転写電界により電子写真感光体に戻す方式である。もちろん、電荷付与手段は、ローラー以外の、例えばコロナ帯電機やブレードなどを用いてもよく、中間転写ベルト上の二次転写残トナーに電荷を付与できるものであれば、どの形状のものを用いても構わない。
【0094】
中間転写ベルト上から電子写真感光体に戻されたトナーは、クリーニングブレードなどの電子写真感光体クリーニング手段で除去される。この方式によれば、プロセスカートリッジの小型化と低コスト化に大きな効果がある。
【0095】
また、駆動機構が簡単で部品点数の削減や小型化に適し、より安価に製造できるという点で、中間転写ベルトは2本のローラーで張架する方式が好ましい。
【0096】
中間転写ベルトを張架する張架ローラーのうち、中間転写ベルトに張力をかけるテンションローラーは、中間転写ベルトの伸びに対応するために中間転写ベルトの伸び方向に対して少なくとも1mm以上スライドすることが好ましい。また、中間転写ベルトがスリップすることなく確実に駆動するためには、5N以上の力で中間転写ベルトを張架することが好ましい。
【0097】
以下、本発明の電子写真エンドレスベルトを中間転写ベルトとして用いた、中転写ベルト−電子写真感光体一体プロセスカートリッジを有する電子写真装置について具体的に説明する。
【0098】
図1は、本発明の中間転写ベルト−電子写真感光体一体プロセスカートリッジ(後述の図2)を備えたフルカラー電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
【0099】
図1において、ドラム形状の電子写真感光体(感光ドラム)1は、矢示の方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
【0100】
電子写真感光体1は回転過程で、ローラー形状の(一次)帯電手段(帯電ローラー)2により所定の極性・電位に一様に帯電処理される。32は帯電手段の電源であり、直流に交流を重畳して印加してもよいし、直流のみ印加してもよい。
【0101】
次いで、不図示の露光手段(フルカラー原稿画像の色分解・結像露光光学系、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザービームを出力するレーザースキャナーによる走査露光系など)による露光光3を受けることにより目的のフルカラー画像の第1の色成分像(例えばイエロー色成分像)に対応した静電潜像が形成される。
【0102】
次いで、その静電潜像が第1の現像手段(イエロー色現像手段41)により第1色であるイエロートナーYにより現像される。このとき、第2〜第4の現像手段(マゼンタ色現像手段42、シアン色現像手段43およびブラック色現像手段44)の各現像手段は作動−オフになっていて電子写真感光体1には作用せず、上記第1色のイエロートナー画像は上記第2〜第4の現像手段により影響を受けない。
【0103】
中間転写ベルト5は、矢印方向に電子写真感光体1と同じ周速度をもって回転駆動されている。電子写真感光体1上に形成担持された上記第1色のイエロートナー画像が、電子写真感光体1と中間転写ベルト5との当接部を通過する過程で、ローラー形状の一次転写手段(一次転写ローラー)6から中間転写ベルト5に印加される一次転写バイアスにより形成される電界により、中間転写ベルト5の外周面に順次一次転写されていく。
【0104】
中間転写ベルト5に対応する第一色のイエロートナー画像の転写を終えた電子写真感光体1の表面は、クリーニングブレード13’を有する電子写真感光体クリーニング手段13により清掃される。
【0105】
以下、同様に第2色のマゼンタトナー画像、第3色のシアントナー画像、第4色のブラックトナー画像が順次中間転写ベルト5上に重ね合わせて転写され、目的のフルカラー画像に対応した合成フルカラートナー画像が形成される。
【0106】
なお、中間転写ベルトの位置検知は位置検知センサー15によって行われる。また、濃度検知センサー14は、濃度制御するためのパッチの検知するために設けられている。
【0107】
ローラー形状の二次転写手段(二次転写ローラー)7は、二次転写対向ローラー8に対応して平行に軸受させて、中間転写ベルト5の下面部に離間可能な状態に配設してある。
【0108】
電子写真感光体1から中間転写ベルト5への第1〜第4色のトナー画像の順次重畳転写のための一次転写バイアスは、トナーとは逆極性(+)でバイアス電源30から印加される。その印加電圧は、例えば+100V〜2kVの範囲である。
【0109】
電子写真感光体1から中間転写ベルト5への第1〜第3色のトナー画像の一次転写工程において、二次転写ローラー7は中間転写ベルト5から離間させることも可能である。
【0110】
中間転写ベルト5上に転写された合成フルカラートナー画像の第2の画像担持体である転写材Pへの転写は、二次転写ローラー7が中間転写ベルト5に当接されると共に、ローラー形状の給紙手段(給紙ローラー)11から転写材ガイド10を通って、中間転写ベルト5と二次転写ローラー7との当接部に所定のタイミングで転写材Pが給送され、二次転写バイアスが電源31から二次転写ローラー7に印加される。この二次転写バイアスにより中間転写ベルト5から第2の画像担持体である転写材Pへ合成フルカラートナー画像が二次転写される。トナー画像の転写を受けた転写材Pは、ローラー形状の定着手段(定着ローラー)15へ導入されて加熱定着される。
【0111】
転写材Pへの画像転写終了後、中間転写ベルト5には離接自在に配置されたローラー形状の電荷付与手段(電荷付与ローラー)9が当接され、電子写真感光体1とは逆極性のバイアスを印加することにより、転写材Pに転写されずに中間転写ベルト5上に残留している二次転写残トナーに一次転写時と逆極性の電荷が付与される。33はバイアス電源である。ここでは、直流に交流を重畳して印加している。
【0112】
一次転写時と逆極性に帯電された二次転写残トナーは、電子写真感光体1との当接部およびその近傍において電子写真感光体1に静電的に転写されることにより、中間転写ベルトがクリーニングされる。この工程は一次転写と同時に行うことができるため、スループットの低下を生じない。
【0113】
次に、図1に示される電子写真装置に搭載される本発明の中間転写ベルト−電子写真感光体一体プロセスカートリッジについてより具体的に説明する。
【0114】
図2は、本発明のプロセスカートリッジの概略構成の一例を示す図である。
【0115】
図2に示されるプロセスカートリッジは、少なくとも中間転写ベルト5と電子写真感光体1、クリーニングブレード13’を有する電子写真感光体クリーニング手段13および電荷付与手段(電荷付与ローラー)9が一体のユニットとして構成され、電子写真装置本体と容易に着脱できるようになっている。
【0116】
中間転写ベルトのクリーニングは、前述のように二次転写残トナーを一次転写時と逆の極性に帯電させ、中間転写ベルトと電子写真感光体との当接部で中間転写ベルトから電子写真感光体に戻す方式を採用しており、本図では中抵抗の弾性体からなるローラー形状の電荷付与手段(電荷付与ローラー)9を装備している。そして、電子写真感光体のクリーニングは、ブレードクリーニングである。また、廃トナー容器も一体となっており、中間転写ベルトと電子写真感光体の双方の転写残トナーがプロセスカートリッジ交換時に同時に廃棄されるため、メンテナンス性の向上に貢献している。
【0117】
また、中間転写ベルト5は、二次転写対向ローラー8とテンションローラー12の2本の張架ローラーで張架され、部品点数の削減と小型化を図っている。
【0118】
ここで、二次転写対向ローラー8は中間転写ベルトを駆動する駆動ローラーであると同時に、電荷付与ローラーの対向ローラーとなっている。中間転写ベルトに従動して回転するテンションローラー12は、スライドする機構を有しており、圧縮ばねにより矢印の方向に圧接され、中間転写ベルトに張力を与えている。そのスライド幅は1〜5mmが好ましくで、バネの圧力合計は5〜70Nが好ましい。また、電子写真感光体1と二次転写対向ローラー(兼、駆動ローラー)8は不図示のカップリングを有し、本体から回転駆動力が伝達されるようになっている。
【0119】
なお、図1および2においては、二次転写対向ローラー(兼、駆動ローラー)8は、中間転写ベルトの蛇行防止部材が嵌合する段差部を軸方向端部に設けたローラーでもあり、テンションローラー12は、中間転写ベルトの蛇行防止部材の断面形状に嵌合するような溝を外周面に全周にわたって設けたローラーでもある。
【0120】
図2に示す中間転写ベルト−電子写真感光体一体プロセスカートリッジは、ユーザーが使用する時点で一体であればよく、その製造過程での取り扱いや回収後の分解のしやすさなどを考慮すると、例えば、中間転写ベルトを有する中間転写ベルトユニットと電子写真感光体を有する電子写真感光体ユニットのようにいくつかのユニットに分離可能な設計を行った方が好ましい。
【0121】
電子写真エンドレスベルト上に設けられた位置検知部材を検知する位置検知手段としては、従来知られている方法を用いることができる。特に、本発明においては、例えば、可視光線や赤外線などを用いた光電センサー(位置検知センサー)、中でも特に反射型の位置検知センサーを用いるのが好ましい。電子写真エンドレスベルトの位置検知センサーとして透過型のセンサーを用いた場合、中間転写ベルトの材質などに制約があり、特に本発明のような中間転写ベルト−電子写真感光体一体プロセスカートリッジとした場合には、電子写真装置本体側とプロセスカートリッジ側とに位置検知センサーの投光部と受光部とを別々に搭載する必要があり、検知精度を低下させるばかりか、プロセスカートリッジコストの増大を招いてしまう。
【0122】
以上、本発明の電子写真エンドレスベルトを中間転写ベルトとして用いる場合を中心に説明してきたが、本発明の電子写真エンドレスベルトは、中間転写ベルト以外にも、感光ベルト、転写ベルト、搬送ベルト、定着ベルトなど、蛇行防止と位置検知が求められるベルト全般に適用することができる。
【0123】
なお、本発明における特性の各測定方法は以下のとおりである。
【0124】
<膜厚測定方法>
本発明の電子写真エンドレスベルト(中間転写ベルト)の着色層の膜厚は、ベルト中央部を等間隔で8点全周にわたって切り取り、単層の場合は、ダイアルゲージにて測定し平均した値であり、多層の場合は光学顕微鏡により断面を観察し測定し平均した値である。
【0125】
<表面総和電流値測定方法>
測定装置としてはSPM:走査型プローブ顕微鏡(セイコーインスツルメンツ(株)製)を用い、SPA400−AFM(原子間力顕微鏡:電流同時測定)を接続して行った。
【0126】
走査エリア:24794nm四方
印加電圧:100V
試料:5mm四方にベルトをカット
25μm×25μmの表面について、1回の測定で、256×256箇所のポイントを測定し、その合計を総和電流値とした。そして、この測定をベルト状基体1本につき合計10回、測定位置をずらしつつ行い、得られる総和電流値の平均値をそのベルトの25μm×25μmの表面総和電流値とした。
【0127】
【実施例】
(実施例1)
ポリフッ化ビニリデン樹脂(エルフアトケム カイナー720) 72.7部
ポリエーテルエステルアミド(ペレスタット NC6321) 7部
パーフルオロブタンスルホン酸カリウム 0.3部
酸化亜鉛粒子(体積平均粒径:0.5μm) 20部
上記処方の中で、ポリエーテルエステルアミド7部のうち3部を粉砕機にかけた粉状のものを使用し、残り4部はペレット状のポリエーテルエステルアミドを使用した。また、ポリフッ化ビニリデン樹脂よりも、MFR値が若干高いポリエーテルエステルアミドを使用した。
【0128】
次に、粉状であるポリエーテルエステルアミドとパーフルオロブタンスルホン酸カリウム、および、酸化亜鉛粒子、また、ペレット状であるポリフッ化ビニリデン樹脂とポリエーテルエステルアミド樹脂を別々に予備混合を行った。予備混合装置の条件は、攪拌翼の上羽根/下羽根をS/BLの型に設定し、処理回転数を30Hzとした。
【0129】
次に、上記予備混合を行った粉状の材料と、ペレット状の材料を少量ずつ混練装置のフィーダーに投入しつつ混練を行った。このときの混練条件は、押出温度を210℃、スクリュー回転数を450rpmである。また、混練樹脂圧力の振れを±1Paに抑えて混練を行った。
【0130】
混練装置としては、直径30mmの同方向回転噛合2軸押し出し機を使用し、さらに、押し出し途中にサイドフィーダーが設けられている混練装置を使用した。そして混練を行う際は、4部のペレット状のポリエーテルエステルアミド樹脂のうち2部を、押し出し途中に設けられているサイドフィードから投入した。そして、所望のスジ状のドメイン構造および、微少範囲の電気抵抗になるようにポリエーテルエステルアミド樹脂などの添加剤を十分にバインダー中に均一分散させた。この混練を経て2mmのペレットとした成形用原料を得た。
【0131】
次に、図3に示す構成のインフレーション成形装置において、成形用ダイ103は単層用環状ダイとし、ダイスリットの外径が100mmのものを用いた。ダイスリットの幅は0.8mmとした。
【0132】
次に、この成形装置の材料ホッパー102へ、十分に加熱乾燥させた上記成形用原料を投入し、加熱溶融して環状ダイから210℃で円筒状に押し出した。環状ダイの周囲には外部冷却リング105が設置されており、押し出されたフィルムに周囲から空気を吹き付け、冷却を行った。
【0133】
次に、押し出された筒状フィルムの内部には気体導入路104より空気を吹き込み、直径220mmまで拡大膨張した後、引き取り装置で一定の速度で連続的に引き取った。環状ダイ103の直径と成形された筒状フィルムの直径の比率は220%となった。なお、空気の導入は直径が所望の値になった時点で停止した。
【0134】
次に、ピンチローラーに続くカット装置108で筒状フィルムをカットした。
【0135】
厚さムラが安定した後、長さ370mmで切断して筒状フィルムを成形した。
【0136】
この筒状フィルム1を熱膨張率の異なる金属からなる一組の円筒体を用いてサイズの調整、表面平滑性の調整および折り目の除去を行った。熱膨張率の高い円筒体(内型)に筒状フィルムを被せて、それを、内面を平滑に加工した円筒体(外型)に挿入し、170℃で20分間加熱した。室温まで冷却後、内型・外型から筒状フィルムを外し、表面を加工した筒状フィルムを得た。なお、金属酸化物粒子は白色のものを用いたため、表面を加工した筒状フィルムは白色であった。
【0137】
また、SPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値は760nAであった。
【0138】
表面を加工した筒状フィルムの両端部をさらに精密カットを行い、幅290mmのベルト状基体を得た。なお、このベルト状基体の厚さは85μmで、抵抗率を測定したところ、体積抵抗率は3.3×1010Ω・cm、表面抵抗は2.6×1011Ω・□となった。
【0139】
厚さ1.5mmのポリウレタンフォームに、厚さ50μmの不織布基材の一方の面には厚さ55μm、他方の面には厚さ155μmのアクリル系粘着材が設けられた両面粘着テープを、厚さ155μmの面がポリウレタンフォーム側になるように貼り合わせ、幅5mm、長さ688mmにカットして蛇行防止部材とした。
【0140】
また、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの一方の面には黒色塗装を施し、他方の面にはアクリル系粘着材(厚さ20μm)を設け、縦10mm×横10mmに打ち抜いて位置検知シールとした。ベルト状基体が白色であるのに対し、位置検知シールは黒色であるので反射率は異なっている。
【0141】
上記蛇行防止部材を、上記成形によって得られたベルト状基体の一方の端部に、端部から3mm中央寄りのベルト状基体内周面の位置に周方向に取り付けた。
【0142】
さらに、蛇行防止部材を取り付けた端部の反対の端部のベルト状基体外周面に上記位置検知シールを筒状ベルト基体周方向の等間隔4ヶ所に、端部に沿って貼り付け、中間転写ベルトを得た。蛇行防止部材と位置検知部材との幅方向の距離は235mmであった。なお、蛇行防止部材、位置検知部材ともに非画像領域に取り付けた。
【0143】
<画像評価>
得られた中間転写ベルトを図1に示す構成の電子写真装置にセットし、80g/m2紙にフルカラー画像のプリント試験を行った。この際に使用した露光装置は600dpiのデジタルレーザー方式とした。なお、試験環境は常温常湿環境(23℃、60%)、および高温高湿環境(40℃、90%)の2環境で行った。高温高湿環境については1週間放置した後試験を行い、色ズレに加え、画像不良のチェックを行った。各環境で、得られた画像を目視で評価した。
【0144】
続けて毎分4枚のスピードで連続8000枚の耐久プリント試験を行い、同様に画像の評価を行った。
【0145】
また、高温高湿環境下でのスジ画像の評価は次のとおりである。
【0146】
中間転写ベルトを1週間環境放置(40℃、90%)した後、図1に示す構成の(フルカラー)電子写真装置に装着し、その環境下で80g/m2紙にブラック、マゼンダ、シアンのハーフトーン画像および、ベタ画像をプリントした。そして以下のような項目を定義し、画像の目視評価を行った。
【0147】
画像上に全くスジ画像が無い:A
スジ画像の幅が画像領域幅の1/2未満である:B
スジ画像の幅が画像領域幅の1/2以上である:C
評価結果を表1に示す。
【0148】
(実施例2)
ポリフッ化ビニリデン樹脂(エルフアトケム カイナー720) 60部
導電性カーボンブラック 20部
酸化亜鉛粒子(体積平均粒径:0.5μm) 20部
材料の配合を上記のように変更し、ベルト状基体の直径を140mm、幅250mmとした以外は、実施例1と同様の方法でベルト状基体を得た。
【0149】
実施例1と同様の蛇行防止部材を、上記成形によって得られたベルト状基体の一方の端部に、端部から3mm中央寄りのベルト状基体内周面の位置に周方向に取り付けた。
【0150】
さらに、蛇行防止部材を取り付けた端部の反対の端部のベルト状基体外周面に実施例1と同様の位置検知シールを筒状ベルト基体周方向の等間隔4ヶ所に、端部に沿って貼り付け、中間転写ベルトを得た。蛇行防止部材と位置検知部材との幅方向の距離は220mmであった。なお、蛇行防止部材、位置検知部材ともに非画像領域に取り付けた。
【0151】
また、ベルト状基体のSPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値は1500nAであった。
【0152】
得られた中間転写ベルトを図1に示す構成の電子写真装置にセットし、実施例1と同様にしてフルカラー画像のプリント試験を行った。評価結果を表1に示す。
【0153】
(実施例3)
ポリフッ化ビニリデン樹脂(エルフアトケム カイナー720) 65部
ポリエーテルエステルアミド(ペレスタット NC6321) 15部
酸化亜鉛粒子(体積平均粒径:0.5μm) 20部
材料の配合を上記のように変更し、ベルト状基体の直径を142mm、幅255mmとした以外は、実施例1と同様の方法でベルト状基体を得た。
【0154】
実施例1と同様の蛇行防止部材を、上記成形によって得られたベルト状基体の一方の端部に、端部から3mm中央寄りのベルト状基体内周面の位置に周方向に取り付けた。
【0155】
さらに、蛇行防止部材を取り付けた端部の反対の端部のベルト状基体外周面に実施例1と同様の位置検知シールを筒状ベルト基体周方向の等間隔4ヶ所に、端部に沿って貼り付け、中間転写ベルトを得た。蛇行防止部材と位置検知部材との幅方向の距離は225mmであった。なお、蛇行防止部材、位置検知部材ともに非画像領域に取り付けた。
【0156】
また、ベルト状基体のSPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値は560nAであった。
【0157】
得られた中間転写ベルトを図1に示す構成の電子写真装置にセットし、実施例1と同様にしてフルカラー画像のプリント試験を行った。評価結果を表1に示す。
【0158】
(比較例1)
ポリフッ化ビニリデン樹脂(エルフアトケム カイナー720) 78部
パーフルオロブタンスルホン酸カリウム 2部
酸化亜鉛粒子(体積平均粒径:0.5μm) 20部
上記配合の材料を一度に予備混合を行い、その後、1軸押し出し機を使用した混練装置を使用して混練を行った。この混練を経て、2mmのペレットとした成形用原料を得た。その後は、実施例1と同様の成形方法にてベルト状基体を得た。
【0159】
実施例1と同様の蛇行防止部材を、上記成形によって得られたベルト状基体の一方の端部に、端部から3mm中央寄りのベルト状基体内周面の位置に周方向に取り付けた。
【0160】
さらに、蛇行防止部材を取り付けた端部のベルト状基体外周面に実施例1と同様の位置検知シールを筒状ベルト基体周方向の等間隔4ヶ所に、端部に沿って貼り付け、中間転写ベルトを得た。なお、蛇行防止部材、位置検知部材ともに非画像領域に取り付けた。
【0161】
また、ベルト状基体のSPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値は230nAであった。
【0162】
得られた中間転写ベルトを図1に示す構成の電子写真装置にセットし、実施例1と同様にしてフルカラー画像のプリント試験を行った。評価結果を表1に示す。
【0163】
(比較例2)
低密度ポリエチレン(920g/m2) 94部
アクリルゴム粒子 6部
ベルト状基体の成形用原料の材料の配合を上記のように変更した以外は、比較例1と同様にして中間転写ベルトを得た。
【0164】
また、ベルト状基体のSPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値は110nAであった。
【0165】
得られた中間転写ベルトを図1に示す構成の電子写真装置にセットし、実施例1と同様にしてフルカラー画像のプリント試験を行った。評価結果を表1に示す。
【0166】
(比較例3)
エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー 70部
導電性カーボン 30部
ベルト状基体の成形用原料の材料の配合を上記のように変更した以外は、比較例1と同様にして中間転写ベルトを得た。
【0167】
得られた中間転写ベルトを図1に示す構成の電子写真装置にセットし、実施例1と同様にしてフルカラー画像のプリント試験を行った。評価結果を表1に示す。
【0168】
(参考例1)
ポリフッ化ビニリデン樹脂(エルフアトケム カイナー720) 71.0部
ポリエーテルエステルアミド(ペレスタット NC6321) 9部
酸化亜鉛粒子(体積平均粒径:0.5μm) 20部
上記配合の材料を一度に予備混合を行い、その後、1軸押し出し機を使用した混練装置を使用し混練を行った。この混練を経て2mmのペレットとした成形用原料を得た。その後は、実施例1と同様の成形方法にてベルト状基体を得て、実施例1と同様の蛇行防止部材および位置検知部材を実施例1と同様に配置し、中間転写ベルトを得た。
【0169】
また、ベルト状基体のSPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値は200nAであった。
【0170】
得られた中間転写ベルトを図1に示す構成の電子写真装置にセットし、実施例1と同様にしてフルカラー画像のプリント試験を行った。評価結果を表1に示す。
【0171】
(参考例2)
ポリフッ化ビニリデン樹脂(エルフアトケム カイナー720) 58部
導電性カーボンブラック 22部
酸化亜鉛粒子(体積平均粒径:0.5μm) 20部
材料の配合を上記のように変更した以外は、参考例1と同様にしてベルト状基体を得て、実施例1と同様の蛇行防止部材および位置検知部材を実施例1と同様に配置し、中間転写ベルトを得た。
【0172】
また、ベルト状基体のSPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値は2800nAであった。
【0173】
得られた中間転写ベルトを図1に示す構成の電子写真装置にセットし、実施例1と同様にしてフルカラー画像のプリント試験を行った。評価結果を表1に示す。
【0174】
【表1】
【0175】
【発明の効果】
本発明によれば、位置検知が正確で色ズレ・画像ズレが少ない高画質な画像が得られ、高温高湿環境下でもスジ状の画像欠陥が発生しない電子写真エンドレスベルトを提供することができる。
【0176】
また、本発明によれば、上記電子写真エンドレスベルトからなる中間転写ベルト、該中間転写ベルトを有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中間転写ベルト−電子写真感光体一体プロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の中間転写ベルト−電子写真感光体一体プロセスカートリッジの概略構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の中間転写ベルト(単層)の成形装置の概略構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の中間転写ベルト(2層)の成形装置の概略構成の一例を示す図である。
【図5】本発明の電子写真エンドレスベルトと位置検知センサーとの関係、および、蛇行防止部材の断面形状に嵌合するような溝を外周面に全周にわたって設けたローラーを用い、内周面に全周にわたって蛇行防止部材が設けられた電子写真エンドレスベルトを、このローラーの溝に蛇行防止部材を嵌合させつつ回転させることによって蛇行を防止する場合を示す図である。
【図6】本発明の電子写真エンドレスベルトと位置検知センサーとの関係、および、蛇行防止部材が嵌合する段差部を軸方向端部に設けたローラーを用いることによって、電子写真エンドレスベルトの蛇行を防止する場合を示す図である。
【図7】従来の電子写真エンドレスベルトと位置検知センサーを示す図である。
【符号の説明】
1 電子写真感光体(感光ドラム)
2 帯電手段(帯電ローラー)
3 露光光
5 中間転写ベルト
6 一次転写手段(一次転写ローラー)
7 二次転写手段(二次転写ローラー)
8 二次転写対向ローラー(兼、駆動ローラー)
9 電荷付与手段(電荷付与ローラー)
10 転写材ガイド
11 給紙手段(給紙ローラー)
12 テンションローラー
13 電子写真感光体クリーニング手段
13‘ クリーニングブレード
14 濃度検知センサー
15 位置検知センサー
16 定着手段
30、31、33 バイアス電源
32 帯電手段電源
41 イエロー色現像手段
42 マゼンタ色現像手段
43 シアン色現像手段
44 ブラック色現像手段
A プロセスカートリッジ
P 転写材
61 ベルト状基体
62 蛇行防止部材
63 位置検知部材
64 投光部
65 受光部
66 溝
67 ローラー
71 ベルト状基体
72 蛇行防止部材
73 位置検知部材
74 位置検知センサー
75 濃度検知センサー
76 段差部
77 ローラー(駆動ローラー)
L 蛇行防止部材と位置検知部材との距離
81 ベルト状基体
82 蛇行防止部材
83 位置検知部材
84 投光部
85 受光部
86 溝
87 ローラー
100、101 1軸押し出し機
102 ホッパー
103 環状ダイ
104 気体導入路
105 外部冷却リング
106 安定板
107 ピンチローラー
108 カット装置
110 筒状フィルム
Claims (17)
- ベルト状基体、蛇行防止部材および位置検知部材を有する電子写真エンドレスベルトにおいて、
該蛇行防止部材が、該ベルト状基体の一方の端部の内周面側に配置され、
該位置検知部材が、該ベルト状基体の他方の端部の外周面側に配置され、
該蛇行防止部材と該位置検知部材とが該電子写真エンドレスベルトの幅方向で200mm〜250mm離間しており、かつ、
該ベルト状部材が、結着樹脂として熱可塑性樹脂を含有し、
該ベルト状基体のSPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値が、300nA〜2000nAである
ことを特徴とする電子写真エンドレスベルト。 - 前記蛇行防止部材と前記位置検知部材とが前記電子写真エンドレスベルトの幅方向で220mm〜250mm離間している請求項1に記載の電子写真エンドレスベルト。
- 前記蛇行防止部材と前記位置検知部材が前記ベルト状基体の非画像領域に配置されている請求項1または2に記載の電子写真エンドレスベルト。
- 前記電子写真エンドレスベルトが中間転写ベルトである請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真エンドレスベルト。
- 中間転写ベルトを有し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジであって、該中間転写ベルトがベルト状基体、蛇行防止部材および位置検知部材を有する中間転写ベルトであるプロセスカートリッジにおいて、
該蛇行防止部材が、該ベルト状基体の一方の端部の内周面側に配置され、
該位置検知部材が、該ベルト状基体の他方の端部の外周面側に配置され、
該蛇行防止部材と該位置検知部材とが該電子写真エンドレスベルトの幅方向で200mm〜250mm離間しており、かつ、
該ベルト状部材が、結着樹脂として熱可塑性樹脂を含有し、
該ベルト状基体のSPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値が、300nA〜2000nAである
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。 - トナーの画像を担持するための電子写真感光体と、該電子写真感光体との当接部を形成しうる前記中間転写ベルトとを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在である請求項5に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記蛇行防止部材と前記位置検知部材とが前記中間転写ベルトの幅方向で220mm〜250mm離間している請求項5または7に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記蛇行防止部材と前記位置検知部材が前記ベルト状基体の非画像領域に配置されている請求項5〜7のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
- 位置検知センサーの投光部および位置検知センサーの受光部の少なくとも一方を有する請求項5〜8のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
- 前記位置検知センサーが反射型の位置検知センサーである請求項9に記載のプロセスカートリッジ。
- トナーの画像を担持するための電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電するための帯電手段と、該帯電手段によって帯電された電子写真感光体に静電潜像を形成するための露光手段と、該露光手段によって形成された電子写真感光体の静電潜像をトナーにより現像し、電子写真感光体にトナーの画像を形成するための現像手段と、該電子写真感光体から該トナーの画像が一次転写された後に転写されたトナーの画像を転写材に二次転写するための、該電子写真感光体との当接部を形成しうる中間転写ベルトと、該当接部にて該電子写真感光体から該中間転写ベルトへ該トナーの画像を一次転写するための一次転写手段とを有する電子写真装置であって、該中間転写ベルトがベルト状基体、蛇行防止部材および位置検知部材を有する中間転写ベルトである電子写真装置において、
該蛇行防止部材が、該ベルト状基体の一方の端部の内周面側に配置され、
該位置検知部材が、該ベルト状基体の他方の端部の外周面側に配置され、
該蛇行防止部材と該位置検知部材とが該電子写真エンドレスベルトの幅方向で200mm〜250mm離間しており、かつ、
該ベルト状部材が、結着樹脂として熱可塑性樹脂を含有し、
該ベルト状基体のSPM測定による100V印加時の25μm×25μmの表面総和電流値が、300nA〜2000nAである
ことを特徴とする電子写真装置。 - 少なくとも前記電子写真感光体と前記中間転写ベルトとを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジを有する請求項11に記載の電子写真装置。
- 前記蛇行防止部材と前記位置検知部材とが前記中間転写ベルトの幅方向で220mm〜250mm離間している請求項11または12に記載の電子写真装置。
- 前記蛇行防止部材と前記位置検知部材が前記ベルト状基体の非画像領域に配置されている請求項11〜13のいずれかに記載の電子写真装置。
- 位置検知センサーを有する請求項11〜14のいずれかに記載の電子写真装置。
- 前記位置検知センサーの投光部および前記位置検知センサーの受光部の少なくとも一方と前記中間転写ベルトと前記電子写真感光体とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジを有する請求項15に記載の電子写真装置。
- 前記位置検知センサーが反射型の位置検知センサーである請求項15または16に記載の電子写真装置。
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