JP2004093483A - 多層膜反射鏡及び露光装置 - Google Patents

多層膜反射鏡及び露光装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2004093483A
JP2004093483A JP2002257610A JP2002257610A JP2004093483A JP 2004093483 A JP2004093483 A JP 2004093483A JP 2002257610 A JP2002257610 A JP 2002257610A JP 2002257610 A JP2002257610 A JP 2002257610A JP 2004093483 A JP2004093483 A JP 2004093483A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
refractive index
multilayer
soft
protective layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002257610A
Other languages
English (en)
Inventor
Masayuki Shiraishi
白石 雅之
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
Priority to JP2002257610A priority Critical patent/JP2004093483A/ja
Publication of JP2004093483A publication Critical patent/JP2004093483A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
  • Optical Elements Other Than Lenses (AREA)
  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)

Abstract

【課題】表面のカーボンコンタミを抑制し得る多層膜反射鏡、露光装置を提供する。
【解決手段】本発明の多層膜反射鏡は、軟X線領域での屈折率と真空の屈折率との差が大きい物質からなる第1層3と前記屈折率と真空の屈折率との差が小さい物質からなる第2層2とを基板上に交互に積層してなる多層膜を備える。前記多層膜の最上層の上に、酸化物標準生成自由エネルギーが炭素の酸化物標準生成自由エネルギーよりも高い物質からなる保護層4を備えることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軟X線領域で用いられる多層膜反射鏡、及び露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路の微細化に伴い、光の回折限界によって制限される光学系の解像力を向上させるために、従来の紫外線に代えてこれより短い波長(11〜14nm)のX線を使用した投影リソグラフィ技術が開発されている(例えば、D.Tichenor, et al., SPIE2437(1995)292参照)。この技術は、最近ではEUV(Extreme Ultra Violet)リソグラフィと呼ばれており、従来の波長190nm程度の光線を用いた光リソグラフィでは実現不可能な、70nm以下の解像力を得られる技術として期待されている。
【0003】
X線の波長領域での物質の複素屈折率nは、n=1−δ−ik(δ、k:複素数)で表わされる。この屈折率の虚部kはX線の吸収を表す。δ、kは1に比べて非常に小さいため、この領域での屈折率は1に非常に近い。したがって従来のレンズのような透過屈折型の光学素子を使用できない。屈折率が1よりも僅かに小さいことによる全反射を利用した斜入射ミラーや、界面での微弱な反射光を位相を合わせて多数重畳させて全体として高い反射率が得られる多層膜ミラーなどが使用される。
【0004】
13.4nm付近の波長域では、モリブデン(Mo)層とシリコン(Si)層を交互に積層したMo/Si多層膜を用いると直入射で67.5%の反射率を得ることができ、波長11.3nm付近の波長域では、Mo層とベリリウム(Be)層を交互に積層したMo/Be多層膜を用いると直入射で70.2%の反射率を得ることができる(例えば、C.Montcalm, Proc. SPIE, Vol. 3331 (1998) P.42参照)。
【0005】
EUVリソグラフィ装置は、主として軟X線光源、照明光学系、マスクステージ、結像光学系、ウェハステージ等により構成される。軟X線光源には、レーザープラズマ光源、放電プラズマ光源や放射光等が使用される。照明光学系は、反射面に斜め方向から入射した軟X線を反射させる斜入射ミラー、反射面が多層膜により形成される多層膜反射鏡、および所定の波長の軟X線のみを透過させるフィルター等により構成され、フォトマスク上を所望の波長の軟X線で照明する。なお、上述のように、軟X線の波長域では透明な物質は存在しないので、フォトマスクには従来の透過型のマスクではなく反射型のマスクが使用される。フォトマスク上に形成された回路パターンは、複数の多層膜反射鏡等で構成された投影結像光学系により、フォトレジストが塗布されたウェハ上に結像して該フォトレジストに転写される。なお、軟X線は大気に吸収されて減衰するため、その光路は全て所定の真空度(例えば、1×10−5Torr以下)に維持されている。
【0006】
投影結像光学系は複数の多層膜反射鏡により構成される。多層膜反射鏡の反射率は100%ではないので、光量の損失を抑えるためにミラーの枚数はできるだけ少なくすることが好ましい。これまでに、4枚の多層膜反射鏡からなる光学系(例えば、T.Jewell and K.Thompson, USP 5,315,629、T.Jewell, USP 5,063,586)や、6枚の多層膜反射鏡からなる光学系(例えば、D.Williamson,特開平9−211332、USP 5,815,310参照)等が報告されている。光束が一方向に進行する屈折光学系と異なり、反射光学系では光学系の中で光束が往復することになるので、反射鏡による光束のけられを避けるという制限のために、開口数(NA)を大きくすることが難しい。4枚光学系ではNAを0.15程度までにしかできないが、6枚光学系では更にNAの大きい光学系の設計が可能になる。マスクステージとウェハステージが投影結像光学系の両側に配置できるように、反射鏡の枚数は通常は偶数になっている。このような投影結像光学系は、限られた面数で光学系の収差を補正しなければならないので、各反射鏡には非球面形状が適用され、また、所定の像高の近傍でのみ収差の補正されたリングフィールド光学系になっている。フォトマスク上のパターン全体をウェハ上に転写するためには、マスクステージとウェハステージとを、光学系の倍率分だけ異なる速度でスキャンさせながら露光を行う。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
こうした露光装置内は、軟X線領域での光の減衰を防止するため真空に保たれているが、露光装置内は完全な真空にはなっておらず、例えばウエハ上のレジストから揮発する、炭化水素等の有機物系のガス等が常に存在する環境にある。この炭化水素を含有する残留ガスとしては、上述のレジストから揮発するものの他に、例えば真空排気系(真空ポンプ)に用いられるオイルに起因するもの、装置内部の可動部分の潤滑剤に起因するもの、装置内部で使用される部品(例えば電気ケーブルの被覆材料など)に起因するものがある。
【0008】
EUV露光装置の場合は、装置の内部の真空中にフォトレジストを塗布したウェハが導入される。ここにEUV光が照射された場合、装置内に残留している溶剤が蒸発したり、レジストを構成する樹脂が分解脱離し、このため炭化水素を含むガスが装置内に放出されることになる。そして、この炭化水素を含んだガス分子は、露光装置内の壁面に吸着されることがあり、多層膜反射鏡上に吸着された場合、そこに軟X線が照射されると、光化学反応により有機物分子が分解され、C(炭素)を主成分とする物質が固着する。この炭素を主成分とする物質の固着をカーボンコンタミネーション(略してカーボンコンタミ)という。
【0009】
カーボンコンタミは、多層膜反射鏡の反射領域に形成され、反射鏡の反射率を低下させる。
EUV露光装置においては、多層膜反射鏡の反射率がわずかに低下しただけでも露光装置のスループットに大きな影響を与える。従って、カーボンコンタミが付着しないようにするのが望ましい。また、カーボンコンタミが付着した場合にも容易に除去できるようにする必要がある。このようなカーボンコンタミを除去するには、オゾン等の酸素系のガスを用いてプラズマを発生させ、カーボンを酸化させて二酸化炭素等のガスにして除去するオゾン・アッシングと呼ばれる方法が知られている。
【0010】
上述したような、カーボンコンタミを酸化除去する方法は非常に有効な手段であるが、カーボンを酸化して除去できる反面、多層膜反射鏡の表面をも酸化させてしまい、多層膜反射鏡の性能を劣化させてしまうことが懸念されている。これは、多層膜を構成するMo及びSiは、使用温度範囲の平衡状態において炭素よりも酸化されやすい物質であるという点も一因である。
【0011】
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、表面のカーボンコンタミに伴う反射率低下を抑制し得る多層膜反射鏡、露光装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明にかかる多層膜反射鏡は、軟X線領域での屈折率と真空の屈折率との差が大きい物質からなる第1層と前記屈折率と真空の屈折率との差が小さい物質からなる第2層とを基板上に交互に積層してなる多層膜を備える多層膜反射鏡であって、更に、前記多層膜の最上層上に、酸化物標準生成自由エネルギーが炭素の酸化物標準生成自由エネルギーよりも高い物質からなる保護層を備えることを特徴とする。
【0013】
上記多層膜反射鏡によれば、前記多層膜の最上層上に、酸化物標準生成自由エネルギーが炭素の酸化物標準生成自由エネルギーよりも高い物質からなる保護層を備えているので、残留酸素ガスやオゾン・アッシングにおいて、多層膜自体の酸化を防止できる。
【0014】
本発明にかかる露光装置は、軟X線を発生させる軟X線光源と、この軟X線光源からの軟X線をマスクを介して感応基板に導く光学系と、を有し、前記マスクのパターンを前記感応基板へ転写する露光装置であって、前記光学系中の反射鏡及び/又は前記マスクが、軟X線領域での屈折率と真空の屈折率との差が大きい物質からなる第1層と前記屈折率と真空の屈折率との差が小さい物質からなる第2層とを基板上に交互に積層した多層膜反射鏡であり、多層膜の最上層の上に、酸化物標準生成自由エネルギーが炭素の酸化物標準生成自由エネルギーよりも高い物質からなる保護層が形成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の露光装置の方式は特に限定されず、縮小投影露光方式及び近接等倍転写方式等であってよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る多層膜反射鏡を示す概略断面図である。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る多層膜反射鏡1は、軟X線領域での屈折率と真空の屈折率との差が大きい物質からなる第1層(重原子層)3と前記屈折率と真空の屈折率との差が小さい物質からなる第2層(軽原子層)2とを基板5上に交互に積層してなる。
基板5としては、例えば、低熱膨張ガラスであるコーニング社製ULEが用いられる。基板5には、その表面粗さによる反射率の低下を防止するために、基板5の表面を0.3nmRMS以下の表面粗さに研磨して用いることが好ましい。なお、基板5としては、他にショット社製Zerodur等を用いることができる。
【0017】
Mo/Si多層膜は、基板5上にスパッタリング法を用いて成膜されている。図1において、Siからなる第1層(軽原子層2)の厚みは41.4Åであり、Moからなる第2層(重原子層3)の厚みは27.6Åである。従って、多層膜の周期永(一周期の長さ)は69Åである。そして、図1における多層膜反射鏡においては、基板上に軽原子層2が成膜され、該軽原子層2上に重原子層3が成膜され、交互に繰り返し軽原子層2を50層、重原子層3を49層とし多層膜とされている。50層目の軽原子層2の上に、銅からなる保護層4が形成されている。保護層4の厚さは10Åである。
【0018】
2種類の物質のいずれが、平衡状態において酸化されやすいかを決定する因子は、ギッブズ(Gibbs)の酸化物標準生成自由エネルギーである。通常は、この酸化物標準生成自由エネルギーは負の値であり、より負である方が酸化物が安定であることを意味する。
【0019】
図には示さないが、各種物質の酸化物標準生成自由エネルギーと温度の関係を表したグラフにおいて、2種類の物質を比較し、ある温度において、グラフで下方にある物質は、上方にある物質よりも酸化されやすいことがわかる。または、上方にある物質の酸化物がある場合、下方にある物質の単体を共存させると、下方にある物質は上方にある物質の酸化物を還元し、下方にある物質が酸化物となる。このように、酸化物の安定温度図は大変便利な指標となる。
【0020】
図2は、炭素、モリブデン及びシリコンについて簡単に比較できる同様なグラフを示す。図2は、炭素、モリブデン及びシリコンについて、各種の温度に対する平衡酸素分圧を表わすグラフである。図2においては、縦軸はlogPOのように平衡酸素分圧の対数で表されているが、ギッブズの酸化物標準生成自由エネルギーで表されているのと同様に見ることができる。その理由は、平衡酸素分圧POとギッブズの酸化物標準生成自由エネルギーとは、以下の関係にある。
lnPO = (ΔGf°MxOy) /RT + ln (aMxOy 2/y/a 2x/y
【0021】
上記式において、Mは金属、MxOyは金属酸化物、aは活量係数、Rは気体定数、Tは温度である。活量係数に関する部分は定数であり、グラフを上下に平行移動させるだけであり、平衡酸素分圧の対数の表現と、ギッブズの酸化物標準生成自由エネルギーによる表現とは同等である。図2においては、低温側は600℃程度までしか表されていないが、その温度において、炭素の酸化曲線であるC−COライン、CO−COラインよりも、Mo−MoOライン、Si−SiOラインの方が下にあることがわかる。多層膜反射鏡を通常に使用する温度においては、炭素よりもモリブデンやシリコンの方が酸化されやすいことがわかる。このことは、通常の使用状態において、露光装置内に酸素ガスが残留している場合、カーボンコンタミである炭素が残留酸素ガスで酸化されるよりも、多層膜反射鏡を構成するモリブデンやシリコンの方が酸化されやすいことを意味する。また、オゾン・アッシング等の手法を用いた場合にも、炭素に比べ、モリブデンやシリコンも酸化されやすいと考えられる。酸化のされやすさが逆転するのは、1800℃程度の温度であり、かなりの高温になると、炭素と、モリブデンやシリコンとの酸化されやすさが逆転する。1800℃という温度は、MO/Si多層膜の耐熱温度をはるかに超えており、実際に、露光装置をこのような高温下で用いることはない。
【0022】
図3は、更に多くの物質についてギッブズの酸化物標準生成自由エネルギーを表にまとめたものである(Metals reference book, No.1参照)。図3においては、最初から「−ΔG」の形式で表してあるので、表中の正の値は実際には負である。本発明の課題を解決するためには、炭素の酸化物標準生成自由エネルギーよりも高い酸化物標準生成自由エネルギーを有する物質を選択して最上層に用いればよい。ここで、酸化物標準生成自由エネルギーは温度の関数であるから、まず温度範囲を限定する必要がある。通常の多層膜反射鏡の使用温度は常温であり、また、一般的なMo/Si多層膜は耐熱温度が200℃程度である。さらに、特別に耐熱性を持たせたMo/Si系の多層膜においても、その耐熱温度は700℃程度であるから、常温から700℃までの範囲において比較すればよい。
【0023】
図3から明らかなように、炭素の第一酸化レベルであるCOで、27℃における酸化物標準生成自由エネルギーは−33.0kcal/molであり、227℃においては−37.2kcal/molであり、727℃においては−47.65kcal/molである。また、第二酸化レベルであるCOでは、27℃における酸化物標準生成自由エネルギーは−94.2kcal/molであり、727℃においては−94.3kcal/molであり、727℃においては−94.4kcal/molである。
【0024】
例えば、銅の場合、CuOが27℃において−34.6kcal/molであり、227℃において−31.0kcal/molであり、727℃において−22.8kca/molである。また、CuOが27℃において−30.4kcal/molであり、227℃において−26.0kcal/molであり、727℃において−15.9kca/molである。従って、多層膜反射鏡において、最上層上に、銅からなる保護層を設けることが好ましい。
【0025】
図3からわかるように、炭素の酸化物標準生成自由エネルギーよりも高いという条件を満たす元素は銅である。銅は、他の金属と比較しても酸化物標準生成自由エネルギーが高いことがわかる。また、鉛はC−COのレベルと比較すると標準生成自由エネルギーは低いが、CO−COレベルと比較すると標準生成自由エネルギーは高く、従って、多層膜反射鏡において、最上層上に、鉛からなる保護層を設けることが好ましい。
【0026】
水銀も、上記条件を満たすが、水銀の単体は常温で液体であるため、多層膜反射鏡の構成物質としては不適切である。また、ルテニウムは、従来より多層膜反射鏡の酸化防止用の保護物質の候補として考えられており、ルテニウムも上記の条件を満たす。しかしながら、ルテニウムは極めて高価な金属であるため、安価な銅や鉛を用いることが好ましい。
【0027】
上述したように、ギッブズの酸化物標準生成自由エネルギーを指標として、酸化の度合いを比較して炭素よりも酸化されにくい物質を選択することができる。このようにして選択した物質を、Mo/Si多層膜の上に、最上層として1層積層すれば、その層に対して付着した炭素の方が酸化されやすいようになる。
【0028】
なお、図1に示す多層膜反射鏡において、Mo/Si多層膜の上に銅からなる保護層を形成した場合、軟X線における反射率への影響を考慮する必要がある。銅からなる保護層を形成した場合、Mo層27.6Å、Si層41.4Åの厚さの層を交互に50層対積層したMo/Si層多層膜(この場合の多層膜の最上層はSi層である)の上に、銅からなる保護層を1Å積層した場合に、反射率がどのように変化するかを示す。図4は、図1に示す多層膜反射鏡の最上層上に、銅からなる保護層4を1Å積層した場合の反射率の変化を示すグラフである。
【0029】
図4において、横軸は銅からなる保護層4の厚さを示し、縦軸は、反射率を示す。図4から明らかなように、銅からなる保護層4がない場合の理論反射率は72.25%であり、銅からなる保護層4の厚さが6Åまでは、むしろ反射率は僅かに上昇する。これは、銅からなる保護層4が多層膜反射鏡の重原子層の役割を果たしているためである。銅からなる保護層4の厚さが7Å以上になると、元のMo/Si多層膜の反射率を下回り、13Åの厚みで1%、16Åの厚みで2%反射率が低下する。従って、1%の反射率低下を許容するなら、銅からなる保護層4の厚みは13Å以下とし、2%の反射率低下を許容するなら、16Å以下とする。上述したように、保護層4は重原子層の役割を果たすので、本発明の多層膜反射鏡の最上層は、軟X線領域での屈折率と真空の屈折率との差が小さい物質からなる層とすることが好ましい。
【0030】
なお、ギッブズの酸化物標準生成自由エネルギーは平衡状態を基本とした指標であり、選択した物質が常に酸化されない状態を維持するわけではない。使用状態によっては、反応速度論が支配的となり、銅はもちろん、白金族であるルテニウムでさえ容易に酸化され、その使用においては多層膜反射鏡の酸化防止には十分留意する必要がある。
【0031】
次に、本発明の実施の形態に係るX線露光装置について図面を参照しつつ説明する。
図5は、図1に示す多層膜反射鏡を搭載したX線露光装置の全体構成を示す図である。
このX線露光装置は、露光用の照明光として、波長13nm近傍の軟X線領域の光(以下、EUV光)を用いて、ステップアンドスキャン方式により露光動作を行う投影露光装置である。
【0032】
X線露光装置10の最上流部には、レーザ光源13が配置されている。レーザ光源13は、赤外域から可視域の波長のレーザ光を供給する機能を有し、例えば半導体レーザ励起によるYAGレーザやエキシマレーザ等を使用する。レーザ光源13から発せられたレーザ光は、集光光学系15により集光され、下部に配置されたレーザプラズマ光源17に達する。レーザプラズマ光源17は、波長13nm近傍のX線を効率よく発生することができる。
【0033】
レーザプラズマ光源17には、図示せぬノズルが配置されており、キセノンガスを噴出する。噴出されたキセノンガスはレーザプラズマ光源17において高照度のレーザ光を受ける。キセノンガスは、高照度のレーザ光のエネルギーにより高温になり、プラズマ状態に励起され、低ポテンシャル状態へ遷移する際にEUV光を放出する。EUV光は、大気に対する透過率が低いため、その光路はチャンバ(真空室)19により覆われて外気が遮断されている。なお、キセノンガスを放出するノズルからデブリが発生するため、チャンバ19を他のチャンバとは別に配置する必要がある。
【0034】
レーザプラズマ光源17の上部には、Mo/Si多層膜をコートした回転放物面反射鏡21が配置されている。レーザプラズマ光源17から輻射されたX線は、放物面反射鏡21に入射し、波長13nm付近のX線のみが露光装置10の下方に向かって平衡に反射される。
【0035】
回転放物面反射鏡21の下方には、厚さ0.15nmのBe(ベリリウム)からなる可視光カットX線透過フィルター23が配置されている。放物面反射鏡21で反射されたX線の内、所望の13nmのX線のみが透過フィルター23を通過する。透過フィルター23付近は、チャンバ25により覆われて外気を遮断している。
【0036】
透過フィルター23の下方には、露光チャンバ43が設置されている。露光チャンバ43内の透過フィルター23の下方には、照明光学系27が配置されている。照明光学系27は、コンデンサー系の反射鏡、フライアイ光学系の反射鏡等で構成されており、透過フィルター23から入力されたX線を円弧上に整形し、図の左方に向かって照射する。
【0037】
照明光学系27の図の左方には、X線反射鏡29が配置されている。X線反射鏡29は、図の右側の反射面29aが凹型をした円形の回転放物円ミラーであり、保持部材により垂直に保持されている。X線反射鏡29は、反射面29aが高精度に加工された石英の基板からなる。反射面29aには、波長13nmのX線の反射率が高いMoとSiの多層膜が形成されている。なお、波長が10〜15nmのX線を用いる場合には、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)等の物質、Si、Be(ベリリウム)、BC(4ホウ化炭素)等の物質とを組み合わせた多層膜でも良い。
【0038】
X線反射鏡29の図の右方には、光路折り曲げ反射鏡31が斜めに配置されている。光路折り曲げ反射鏡31の上方には、反射型マスク33が、反射面が下になるように水平に配置されている。照明光学系27から放出されたX線は、X線反射鏡29により反射集光された後に、光路折り曲げ反射鏡31を介して、反射型マスク33の反射面に達する。
【0039】
反射型マスク33の反射面にも多層膜からなる反射鏡が形成されている。この反射膜には、ウェハ39に転写するパターンに応じたマスクパターンが形成されている。反射型マスク33は、その上部に図示されたマスクステージ35に固定されている。マスクステージ35は、少なくともY方向に移動可能であり、光路折り曲げ反射鏡31で反射されたX線を順次マスク33上に照射する。
【0040】
反射型マスク33の下部には、順に投影光学系37、ウェハ39が配置されている。投影光学系37は、複数の反射鏡からなり、反射型マスク33上のパターンを所定の縮小倍率(例えば1/4)に縮小し、ウェハ39上に結像する。ウェハ39は、XYZ方向に移動可能なウェハステージ41に吸着等により固定されている。
【0041】
露光チャンバ43にはゲートバルブ45を介して予備排気室47(ロードロック室)が設けられている。予備排気室47には真空ポンプ49が接続しており、真空ポンプ49の運転により予備排気室47は真空排気される。
【0042】
露光動作を行う際には、照明光学系27により反射型マスク33の反射面にEUV光を照射する。その際、反射投影光学系37に対して反射型マスク33及びウェハ39を投影光学系の縮小倍率により定まる所定の速度比で相対的に同期走査する。これにより、反射型マスク33の回路パターンの全体をウェハ39上の複数のショット領域の各々にステップアンドスキャン方式で転写する。なお、ウェハ39のチップは例えば25×25mm角であり、レジスト上で0.07μmL/SのICパターンが露光できる。
【0043】
図5に示す露光装置10においては、照明光学系27、マスク33及び投影光学系37のうちの少なくとも1つとして、上述した本発明の多層膜反射鏡を用いている。このため、図5に示す露光装置における多層膜反射鏡はカーボンコンタミの量を少なくすることができる。
【0044】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、本発明の範囲は、かかる実施例に限定されないことはいうまでもない。
実施例1
図1に示す多層膜反射鏡を用いてカーボンコンタミに対する性能を、図1に示す多層膜反射鏡において保護層4を有しない多層膜反射鏡と比較した。保護層4を備えた多層膜反射鏡は、保護層を有しない多層膜反射鏡と比較して、一定時間後のカーボンコンタミの量は少なかった。残留酸素ガスとの反応により、保護層4を構成する銅よりも、炭素の方が酸化されやすいため、多層膜反射鏡を構成する物質の酸化には酸素は消費されず、炭素の酸化に消費されたためと考えられる。なお、保護層4を備える多層膜反射鏡の軟X線反射率は、保護層4を有しない多層膜反射鏡と比べ、0.5%の低下に抑えられた。
【0045】
実施例2
図1に示す多層膜葉鏡を用いてカーボンコンタミに対する性能を、オゾン・アッシングを用いて試験した。なお、図1に示す多層膜反射鏡において保護層4を有しない多層膜反射鏡と比較した。保護層4を備えた多層膜反射鏡は、保護層を有しない多層膜反射鏡と比較して、プロセス時間が短く、多層膜の酸化量は少なかった。保護層4を構成する銅が、炭素よりも酸化され難いため、多層膜を構成する物質を酸化するのに消費されるオゾン量が減少し、より少量のオゾンで炭素を除去することができ、かつ多層膜の酸化量を抑えることができたためと考えられる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の多層膜反射鏡によれば、多層膜の最上層に、酸化物標準生成自由エネルギーが炭素の酸化物標準生成自由エネルギーよりも高い物質からなる保護層を備えているため、多層膜反射鏡を構成する物質の酸化に酸素が消費されず、このため表面のカーボンコンタミを減少することができる。
【0047】
本発明の露光装置によれば、用いられる多層膜反射鏡が多層膜の最上層に、酸化物標準生成自由エネルギーが炭素の酸化物標準生成自由エネルギーよりも高い物質からなる保護層を備えているため、多層膜反射鏡を構成する物質の酸化に酸素が消費されず、このため表面のカーボンコンタミを減少することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る多層膜反射鏡を示す概略断面図である。
【図2】炭素、モリブデン及びシリコンについて、各種の温度に対する平衡酸素分圧を表わすグラフである。
【図3】多くの物質についてギッブズの酸化物標準生成自由エネルギーを表にまとめたものである。
【図4】図1に示す多層膜反射鏡の最上層上に、銅からなる保護層4を1Å積層した場合の反射率の変化を示すグラフである。
【図5】図1に示す多層膜反射鏡を搭載したX線露光装置の全体構成を示す図である。
【符号の説明】
1 多層膜反射鏡            2 軽原子層
3 重原子層              4 保護層
5 基板                10 X線露光装置
13 レーザ光源            15 集光光学系
17 レーザプラズマ光源        19 チャンバ
21 回転放物面反射鏡         23 X線透過フィルター
25 チャンバ             27 照明光学系
29 X線反射鏡            31 光路折り曲げ反射鏡
33 反射型マスク           35 マスクステージ
37 投影光学系            39 ウェハ
41 ウェハステージ          43 露光チャンバ
45 ゲートバルブ           47 予備排気室
49 真空ポンプ            55 ゲートバルブ
57 流量制御メーター         59 ガス室
62 多層膜反射鏡           63 多層膜反射鏡
64 多層膜反射鏡           65 多層膜反射鏡
66 多層膜反射鏡           67 多層膜反射鏡

Claims (6)

  1. 軟X線領域での屈折率と真空の屈折率との差が大きい物質からなる第1層と前記屈折率と真空の屈折率と0の差が小さい物質からなる第2層とを基板上に交互に積層してなる多層膜を備える多層膜反射鏡であって、
    更に、前記多層膜の最上層の上に、酸化物標準生成自由エネルギーが炭素の酸化物標準生成自由エネルギーよりも高い物質からなる保護層を備えることを特徴とする多層膜反射鏡。
  2. 前記保護層を構成する物質は、700℃以下の温度範囲で、その酸化物標準生成自由エネルギーが炭素の酸化物標準生成自由エネルギーよりも高い物質である、請求項1に記載の多層膜反射鏡。
  3. 前記保護層を構成する物質が、銅又は鉛からなる物質である、請求項1又は2に記載の多層膜反射鏡。
  4. 前記第1層がモリブデンからなり、前記第2層がシリコンからなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層膜反射鏡。
  5. 前記保護層の厚みが16Å以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層膜反射鏡。
  6. 軟X線を発生させる軟X線光源と、この軟X線光源からの軟X線をマスクを介して感応基板に導く光学系と、を有し、
    前記マスクのパターンを前記感応基板へ転写する露光装置であって、
    前記光学系中の反射鏡及び/又は前記マスクが、
    軟X線領域での屈折率と真空の屈折率との差が大きい物質からなる第1層と前記屈折率と真空の屈折率との差が小さい物質からなる第2層とを基板上に交互に積層した多層膜反射鏡であり、
    多層膜の最上層の上に、酸化物標準生成自由エネルギーが炭素の酸化物標準生成自由エネルギーよりも高い物質からなる保護層が形成されていることを特徴とする露光装置。
JP2002257610A 2002-09-03 2002-09-03 多層膜反射鏡及び露光装置 Pending JP2004093483A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002257610A JP2004093483A (ja) 2002-09-03 2002-09-03 多層膜反射鏡及び露光装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002257610A JP2004093483A (ja) 2002-09-03 2002-09-03 多層膜反射鏡及び露光装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004093483A true JP2004093483A (ja) 2004-03-25

Family

ID=32062468

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002257610A Pending JP2004093483A (ja) 2002-09-03 2002-09-03 多層膜反射鏡及び露光装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004093483A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006194690A (ja) * 2005-01-12 2006-07-27 Nikon Corp 多層膜反射鏡、euv露光装置、及び多層膜反射鏡におけるコンタミネーションの除去方法
JP2008261650A (ja) * 2007-04-10 2008-10-30 Ntt Advanced Technology Corp 軟x線フィルタ及びその製造方法
WO2008148516A2 (en) * 2007-06-06 2008-12-11 Carl Zeiss Smt Ag Reflective optical element and method for operating an euv lithography device
JP2009055064A (ja) * 2003-10-20 2009-03-12 Asml Netherlands Bv リソグラフィ機器で使用するミラー上での上部層、リソグラフィ機器で使用するミラー、このようなミラーを備えるリソグラフィ機器及びデバイスの製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009055064A (ja) * 2003-10-20 2009-03-12 Asml Netherlands Bv リソグラフィ機器で使用するミラー上での上部層、リソグラフィ機器で使用するミラー、このようなミラーを備えるリソグラフィ機器及びデバイスの製造方法
JP2006194690A (ja) * 2005-01-12 2006-07-27 Nikon Corp 多層膜反射鏡、euv露光装置、及び多層膜反射鏡におけるコンタミネーションの除去方法
JP4539335B2 (ja) * 2005-01-12 2010-09-08 株式会社ニコン 多層膜反射鏡、euv露光装置、及び多層膜反射鏡におけるコンタミネーションの除去方法
JP2008261650A (ja) * 2007-04-10 2008-10-30 Ntt Advanced Technology Corp 軟x線フィルタ及びその製造方法
WO2008148516A2 (en) * 2007-06-06 2008-12-11 Carl Zeiss Smt Ag Reflective optical element and method for operating an euv lithography device
WO2008148516A3 (en) * 2007-06-06 2009-01-29 Zeiss Carl Smt Ag Reflective optical element and method for operating an euv lithography device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5511818B2 (ja) リソグラフィ装置用の光学素子、かかる光学素子を含むリソグラフィ装置、およびかかる光学素子を製造する方法
JP5380285B2 (ja) リソグラフィ装置
JP5449358B2 (ja) レチクル、リソグラフィ装置、およびレチクルを生成する方法
EP1596252B1 (en) Lithographic apparatus and device manufacturing method
JP2005101537A (ja) 露光装置及びそれを用いたデバイスの製造方法
JP2008288299A (ja) 多層膜反射鏡、照明装置、露光装置、及びデバイス製造方法
JP5752786B2 (ja) 多層ミラー及びそのロバスト性を改善する方法
US20120170015A1 (en) Spectral purity filter, lithographic apparatus, method for manufacturing a spectral purity filter and method of manufacturing a device using lithographic apparatus
US20060145094A1 (en) Optical element, lithographic apparatus including such an optical element, device manufacturing method, and device manufactured thereby
JP2003243292A (ja) 反射マスク、露光装置及びその清掃方法
JP4564019B2 (ja) 酸化物の量を減らす方法および酸化物の量を減らすための調整システム
KR101625934B1 (ko) 다층 미러 및 리소그래피 장치
JP2003227898A (ja) 多層膜反射鏡、軟x線光学機器、露光装置及びその清掃方法
JP2006170811A (ja) 多層膜反射鏡、euv露光装置、及び軟x線光学機器
JP2004093483A (ja) 多層膜反射鏡及び露光装置
JP2010272677A (ja) 光学素子、露光装置及びデバイス製造方法
JP2004134743A (ja) リソグラフ装置およびデバイス製造方法
TWI422984B (zh) 包含磁鐵之微影裝置、在微影裝置中之磁鐵之保護方法和器件製造方法
JP2006194764A (ja) 多層膜反射鏡および露光装置
WO2011035963A1 (en) Spectral purity filter, lithographic apparatus, and device manufacturing method
JP5158331B2 (ja) Euv露光装置
JP2008152037A (ja) 光学素子、露光装置、及びデバイス製造方法
JP2006173502A (ja) 光学素子及びこれを用いた投影露光装置
JP2005300249A (ja) 多層膜反射鏡、多層膜反射鏡の製造方法、及びeuv露光装置
JP2006170812A (ja) 多層膜反射鏡、euv露光装置、及び軟x線光学機器

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20040315

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20040316