JP2004092019A - 床用目地カバー装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】隣接する建造物の床間の目地に差し渡されて該目地を覆うカバー体と、該カバー体の一端に配設されたスライダーと、一方の床の側縁に配設されて前記スライダーを目地に沿う方向に摺動可能に支持するレール部材とを備えた床用目地カバー装置にあって、カバー体の一端と、該カバー体に対向する床の側縁との間に隙間が生じることがないようにした構成を提供する。
【解決手段】スライダー16を支持するレール部材17の受縁部を、一方の建造物側に向けて下方傾斜する傾斜受縁部17aとし、スライダー16に、該スライダー16を一方の建造物A側に向けて偏寄移動させる力を常に作用させるようにした。これにより、カバー体Cの一端を一方の建造物Aの床f1 の側縁に密着させておけば、定常時において、カバー体C上を人や自動車が通行することによって振動が生じても、カバー体Cが位置保持され、カバー体Cの一端と床f1 の側縁との間に隙間が生じることがない。
【選択図】  図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、隣接する建造物の床間の目地を覆う床用目地カバー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
緩衝機能を備えた免震装置によって下部が支持された建物にあっては、地震時における水平方向の揺れが大きくなる傾向がある。このような免震構造の建物の周囲には、隣接する人工地盤との間に、前記揺れを吸収し得る比較的広幅の目地が形成されており、かかる免震構造の建物の目地に好適に使用し得る床用目地カバー装置が、本願出願人によって、特願2002−185301号として先に出願されている。
【0003】
先願にかかる床用目地カバー装置において、図9に示すように、隣接する建造物の床間の目地sに差し渡されて該目地sを覆うカバー体Cの一端にスライダーaを配設し、一方の建造物Aの床f1 の側縁に、前記スライダーaを目地sに沿う方向に摺動可能に支持するレール部材bを配設した構成が提案されている。かかる構成にあっては、地震時に、隣接する建造物の床相互が前後方向(目地sに沿う方向)に相対変位すると、レール部材bに支持されたスライダーaの摺動作用を介して、カバー体Cの一端が一方の床f1 の側縁に沿って前後方向に摺動して、その相対変位に追従する。これにより、床用目地カバー装置を、カバー体Cの他端の前後両側に壁等の立上がり部が形成されている場所に適用し得るようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記床用目地カバー装置にあっては、レール部材bを構成する受縁部cが水平であるため、施工時にカバー体Cの一端を床f1 の側縁に密着させておいても、カバー体C上を人や自動車が通行する時に生ずる振動によって、カバー体Cが次第にずれて、図9に示すように、床f1 の側縁との間に隙間dができてしまう。このため、見た目が悪く、また、該隙間dに砂やゴミ等の異物が入り込む虞があった。
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点を解消し得る床用目地カバー装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、隣接する建造物の床間の目地に差し渡されて該目地を覆うカバー体と、該カバー体の一端に配設されたスライダーと、一方の床の側縁に配設されて前記スライダーを目地に沿う方向に摺動可能に支持するレール部材とを備えた床用目地カバー装置において、前記スライダーを支持するレール部材の受縁部を、一方の建造物側に向けて下方傾斜する傾斜受縁部としたことを特徴とする床用目地カバー装置である。
【0007】
ここで、上記構成は、カバー体の他端を自由端とし、該自由端が他方の建造物の床側縁上に少なくとも目地幅方向に摺動可能に乗載される床用目地カバー装置に好適に適用される。
【0008】
かかる構成にあって、レール部材の傾斜受縁部が一方の建造物側に向けて下方傾斜していることにより、該傾斜受縁部に支持されているスライダーには、該スライダーを一方の建造物側に向けて偏寄移動させる力が常に作用する。これにより、カバー体の一端を一方の建造物の床の側縁に密着させておけば、カバー体上を人や自動車が通行することによって振動が生じても、カバー体が位置保持され、カバー体の一端と床の側縁との間に隙間が生じることがない。
【0009】
また、レール部材の傾斜受縁部に支持されるスライダーの下部に、該傾斜受縁部と同方向に傾斜する傾斜面を設ける構成が提案される。かかる構成にあっては、スライダーの下部がレール部材の傾斜受縁部に面接触することにより、カバー体の荷重が分散されて摩擦抵抗が低減するため、傾斜受縁部の低位側へのスライダーの偏寄移動を容易に行わせることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施例を、図1〜図8に基づいて説明する。
図面において、Aは緩衝機能を備えた免震装置(図示省略)によって下部が支持された免震構造の建造物、Bは該建造物Aの周囲に形成された人工地盤からなる建造物であって、目地sを介して隣接している。目地sは、建造物Aの周囲に沿って所定幅で形成され、地震時における建造物Aと周囲の建造物Bとの水平方向の相対的な揺れを吸収し得るようになっている。
【0011】
前記建造物Bの床f2 の側縁には、図面において左右方向(目地sの幅方向)に比較的長い水平受縁1aと、該水平受縁1aの外端から床f2 の上面に向けて上方傾斜する傾斜受縁1bとを備えた摺動受枠体1が配設されている。該摺動受枠体1は、図2に示すように、カバー体Cを配置した状態において、その目地sに沿うカバー体Cの前後幅に対応する所定の長さに形成されている。
【0012】
建造物Aの床f1 と建造物Bの床f2 の間には、カバー体Cが差し渡され、目地sを覆っている。該カバー体Cは、図2に示すように、目地sに沿う方向に複数個が連続状に配設されるものであって、各カバー体Cは、図1に示すように、その一端の下部が建造物Aの床f1 の側縁に、後述する保持手段5を介して少なくとも目地sの幅方向に移動不能に保持され、他端を自由端としており、該自由端が前記摺動受枠体1の水平受縁1a上に摺動可能に乗載されている。ここで、建造物Bの床f2 の側縁には、図2に示すように、両端に位置するカバー体C,Cの側傍に建造物Bを構成する壁等の立ち上がり部14,14が形成されており、該立ち上がり部14,14が両端のカバー体C,Cの側縁に夫々当接することによって、各カバー体Cの自由端が前後方向(目地sに沿う方向)に移動不能に位置規制されている。これにより、各カバー体Cの自由端は建造物B側において左右方向(目地sの幅方向)にのみ摺動し得るようになっている。
【0013】
カバー体Cの自由端は、その端縁3と前記摺動受枠体1の傾斜受縁1bとの間に適宜幅の空隙が生じるようにして水平受縁1a上に乗載されており、この空隙を作動空隙2としている。また、カバー体Cの自由端が乗載される摺動受枠体1の水平受縁1a上には、上面にテフロンコーティング等の滑性面を形成した薄板状のパッキン15が被着されており、該パッキン15の滑性面によって、カバー体Cの自由端の摺動が容易となるようにしている。
【0014】
カバー体Cの自由端には、図3に示すように、端縁3の上部に端部カバー板4がヒンジ6で上下方向に回動可能に枢結されており、該端部カバー板4の外端が、カバー体Cの上面8と略面一となるようにして建造物Bの床f2 の上面に摺動可能に乗載されている。そして、該端部カバー板4によって、前記作動空隙2の上方を遮蔽するようにしている。
【0015】
前記カバー体Cは、矩形状の周枠と底板とによって浅底容器状に形成されており、その内底部に複数のメインバー12aとクロスバー12bとを格子状に組み付けてなる剛性基枠部13が配設されている。該剛性基枠部13はグレーチングとして一般に用いられるものと同一構造であり、この剛性基枠部13によって、カバー体C上にかかる荷重に耐え得る所定の強度を得るようにしている。また、該剛性基枠部13の上部には、モルタルm及びタイルt等からなる床仕上材10が充填されている。
【0016】
前記保持手段5を図4〜図6に基づいて説明する。
保持手段5は、カバー体Cの一端の下部に配設されたスライダー16と、建造物Aの床f1 の側縁に配設されて前記スライダー16を目地sに沿う方向に摺動可能に支持するレール部材17とによって構成されている。
【0017】
レール部材17は、図4,図5に示すように、一方の建造物A側に向けて傾斜する傾斜受縁部17aと垂直縁部17bとを備え、かつ傾斜受縁部17aの前端に、その前端縁を上方に曲成した係止縁部17cを備えた断面略L形に形成されており、スライダー16が前後方向(目地sに沿う方向)に摺動し得るように所定の長さに形成されている。前記係止縁部17cは、スライダー16の前縁に当接して該スライダー16の脱落を防止し、かつ該スライダー16を前後方向に案内するガイド手段となっている。また、傾斜受縁部17a上には、上面にテフロンコーティング等の滑性面を形成した薄板状のパッキン18が被着されており、該パッキン18の滑性面によって、スライダー16の摺動が容易となるようにしている。また、傾斜受縁部17aの下位側位置には、上下方向に貫通する水抜き孔24が設けられており、該水抜き孔24によって傾斜受縁部17aに溜まった雨水等を下方に排出し得るようになっている。
【0018】
一方、前記スライダー16は、図6に示すように、角パイプを素材に用いてカバー体Cの横幅と略同じ長さに形成されており、カバー体Cの底板に溶接或いはボルト締め等の固着手段を介して固定されている。ここで、スライダー16の上部後縁とカバー体Cの下面との間には、図5,図6に示すように、所定の厚みを有するフラットバーからなるスペーサ杆19が介装されており、これによって角パイプからなるスライダー16を傾斜させて、該スライダー16の下部に前記レール部材17の傾斜受縁部17aと同方向に傾斜する傾斜面20が設けられている。
【0019】
前記レール部材17は、図5等に示すように、断面L形のフランジ21と溶接等の固着手段を介して一体化されている。ここで、フランジ21の前端上面と、レール部材17の傾斜受縁部17aの前端縁下面との間には、所定の厚みを有するフラットバーからなるスペーサ杆22が介装されており、これによって傾斜受縁部17aの傾斜角度を保持するようにしている。そして、該フランジ21を建造物Aの側縁に植設されたアンカーボルト23にナット24で固定することにより、該フランジ21と一体化されたレール部材17を建造物Aの床f1 の側縁に取り付けるようにしている。また、該レール部材17は、スライダー16を支持した状態において、カバー体Cの上面8が建造物Aの床f1 の上面と略面一となる高さ位置に取り付けられる。
【0020】
かかる構成にあって、カバー体Cは、常時は図1に示す定常位置で目地sを覆っている。ここで、図4に示すように、該カバー体Cの一端を支持するレール部材17の傾斜受縁部17aが、一方の建造物A側に向けて下方傾斜していることにより、該傾斜受縁部17aに支持されているスライダー16には、該スライダー16を一方の建造物A側に向けて偏寄移動させる力が常に作用する。これにより、カバー体Cの一端を一方の建造物Aの床f1 の側縁に密着させておけば、定常時において、カバー体C上を人や自動車が通行することによって振動が生じても、カバー体Cが位置保持され、カバー体Cの一端と床f1 の側縁との間に隙間が生じることがない。また、スライダー16の下部に、レール部材17の傾斜受縁部17aと同方向に傾斜する傾斜面20が設けられていることにより、スライダー16の下部がレール部材17の傾斜受縁部17aに面接触し、カバー体Cの荷重が分散されて摩擦抵抗が低減するため、傾斜受縁部17aの低位側へのスライダー16の偏寄移動を容易に行わせることができる。
【0021】
一方、地震時において、建造物Aと、隣接する建造物Bとが近接する方向に比較的小さく相対変位すると、カバー体Cの自由端が摺動受枠体1の水平受縁1a上を作動空隙2の範囲内で水平に摺動してその相対変位に追従し、さらに大きく相対変位すると、カバー体Cは、図7に示すように、カバー体Cの建造物A側の一端を支点として傾動して、自由端の端縁3が、摺動受枠体1の傾斜受縁1bに沿ってずれ上がることにより、その相対変位から逃げることができる。この時、自由端の端縁3に枢結されている端部カバー板4が、自重により下方傾斜する状態となって建造物Bの床f2 の上面に常時密着して摺動するため、該端部カバー板4が中空に突出することによる通行障害を防止することができる。
【0022】
また、建造物Aと、隣接する建造物Bとが離れる方向に相対変位すると、図8に示すように、カバー体Cは、その自由端が摺動受枠体1の水平受縁1a上を、傾斜受縁1bと逆方向に向けて水平に摺動してその相対変位に追従する。
【0023】
そして、地震が終って建造物Aと建造物Bとが定常位置に戻ると、これに伴なってカバー体Cの自由端も図1に示した水平受縁1a上の定常位置に戻り、カバー体Cが定常状態に復帰する。この時、カバー体Cの一端と床f1 の側縁との間に隙間が生じている場合には、カバー体Cを建造物A側に押圧して該隙間を塞ぐようにする。このような押圧操作時においても、スライダー16を一方の建造物A側に向けて偏寄移動させる力が常に作用していることにより、その押圧操作を容易に行うことができる。
【0024】
また、建造物Aと、隣接する建造物Bとが前後方向(目地sに沿う方向)に相対変位すると、図2に示すように、カバー体Cの自由端が建造物Bの立ち上がり部14,14によって位置規制されていることにより、カバー体Cの建造物A側の端部が、レール部材17に支持されたスライダー16の摺動作用を介して前後方向に摺動し、その相対変位に追従することができる。
【0025】
さらに、建造物Aと、隣接する建造物Bとが上下方向に相対変位すると、カバー体Cは、保持手段5により建造物Aの床f1 の側縁に保持された一端を支点として、建造物Aもしくは隣接する建造物Bの上下動に伴なって傾動して、その相対変位に追従する。
【0026】
尚、本発明にかかる床用目地カバー装置は、免震装置によって下部が支持された免震構造の建造物以外の一般的な建造物にも適用することが可能である。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、上述したように、スライダー16を支持するレール部材17の受縁部を、一方の建造物側に向けて下方傾斜する傾斜受縁部17aとしたから、スライダー16に、該スライダー16を一方の建造物A側に向けて偏寄移動させる力を常に作用させることができる。これにより、カバー体Cの一端を一方の建造物Aの床f1 の側縁に密着させておけば、定常時において、カバー体C上を人や自動車が通行することによって振動が生じても、カバー体Cが位置保持され、カバー体Cの一端と床f1 の側縁との間に隙間が生じることがない。また、スライダー16の下部に、レール部材17の傾斜受縁部17aと同方向に傾斜する傾斜面20が設けられていることにより、スライダー16の下部がレール部材17の傾斜受縁部17aに面接触し、カバー体Cの荷重が分散されて摩擦抵抗が低減するため、傾斜受縁部17aの低位側へのスライダー16の偏寄移動を容易に行わせることができる等の優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる床用目地カバー装置の施工状態を示す縦断側面図である。
【図2】カバー板Cの自由端の側傍に立ち上がり部14,14がある状態を例的に示した施工状態の概略平面図である。
【図3】端部カバー板4部分の拡大図である。
【図4】保持手段5部分の拡大図である。
【図5】図4における保持手段5部分の分離状態を示す拡大図である。
【図6】スライダー16とレール部材17の斜視図である。
【図7】建造物Aと建造物Bとが近接する方向に相対変位した状態におけるカバー体C及び端部カバー板4の作用を示す説明図である。
【図8】建造物Aと建造物Bとが離れる方向に相対変位した状態におけるカバー体Cの作用を示す説明図である。
【図9】従来構成の側断面図である。
【符号の説明】
A 建造物
B 建造物
C カバー体
f1,f2 床
s 目地
16 スライダー
17 レール部材
17a 傾斜受縁部(受縁部)
20 傾斜面

Claims (2)

  1. 隣接する建造物の床間の目地に差し渡されて該目地を覆うカバー体と、該カバー体の一端に配設されたスライダーと、一方の床の側縁に配設されて前記スライダーを目地に沿う方向に摺動可能に支持するレール部材とを備えた床用目地カバー装置において、
    前記スライダーを支持するレール部材の受縁部を、一方の建造物側に向けて下方傾斜する傾斜受縁部としたことを特徴とする床用目地カバー装置。
  2. レール部材の傾斜受縁部に支持されるスライダーの下部に、該傾斜受縁部と同方向に傾斜する傾斜面を設けたことを特徴とする請求項1に記載した床用目地カバー装置。
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