JP2004091545A - スラッシュ成型用パウダー組成物 - Google Patents
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Abstract
【課 題】成型時の離型性に優れ、バッキング材として使用されるウレタンフォームとの接着性に優れているスラッシュ成型用パウダー組成物の提供。および、前記スラッシュ成型用パウダー組成物を用いて成型した成型品の提供。
【解決手段】熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)および水酸基末端ポリオキシアルキレンオキサイド変性シリコン樹脂(B)を含むことを特徴とするスラッシュ成型用パウダー組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)および水酸基末端ポリオキシアルキレンオキサイド変性シリコン樹脂(B)を含むことを特徴とするスラッシュ成型用パウダー組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はスラッシュ成型用パウダー組成物に関する。より詳しくは、成型時の離型性およびバッキング材として使用されるウレタンフォームとの接着性に優れる成型品を与えるスラッシュ成型用パウダー組成物に関する。また、本発明は前記スラッシュ成型用パウダー組成物を用いてスラッシュ成型された成型品にも関する。
【0002】
【従来の技術】
スラッシュ成型法は、複雑な形状の製品が容易に成型できること、肉厚が均一にできること、材料の歩留まりが良いことから、自動車の内装材等の用途に広く利用されており、主に軟質のポリ塩化ビニル(PVC)系粉末がこのような用途に使用されている。
【0003】
しかし、軟質化されたPVCは低分子量の可塑剤を多量に含有するため、可塑剤の凝固点以下ではソフト感が損なわれてしまう。また、経年後に可塑剤が抜けることにより表皮収縮による寸法変化が大きく意匠性で制約を受ける場合がある。さらに経年後に可塑剤が抜けることによりエアバッグ展開性能の確保が難しい等の問題点を有しており、PVCに代わる材料の開発が求められている。
【0004】
スラッシュ成型を行う際、通常、外部離型材の金型への塗布は行わず、樹脂にあらかじめ添加している内部離型材によって金型との離型性を付与しているが、この際、内部離型材が成型後の皮膜表面にブリードしてきたり、また、バッキング剤として通常使用されるフォーム剤との密着性を阻害するといった問題がしばしば発生している。そこで、成型時の離型性に優れ、バッキング剤との密着性に優れたスラッシュ成型用パウダー組成物が待ち望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、成型時の離型性に優れ、ウレタンフォーム等のバッキング材との接着性に優れたスラッシュ成型用パウダー組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、前記スラッシュ成型用パウダー組成物を用いて成型した成型品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)および水酸基末端ポリオキシアルキレンオキサイド変性シリコン樹脂(B)を含むスラッシュ成型用パウダー組成物が、成型時の離型性に優れ、バッキング材として使用されるウレタンフォームとの接着性に驚くほど優れていることを見出した。上記熱可塑性ポリウレタン樹脂が、有機イソシアネート(a1)、ジオール類(a2)、および、モノオール(a3)および/またはモノアミン(a4)を含んでなるイソシアネート基末端プレポリマーとジアミン化合物(a5)とを鎖伸長反応に付して得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂であることが好ましく、また、シリコン樹脂(B)を構成するジメチルシロキサン/ポリオキシアルキレンオキサイドの重量比が30/70〜70/30の範囲にあるシリコン樹脂であることが好ましく、上記スラッシュ成型用パウダー組成物が、熱可塑性ウレタン樹脂(A)および水酸基末端アルキレンオキサイド変性シリコン樹脂(B)を含有する混合液を噴霧乾燥することにより製造されるスラッシュ成型用パウダー組成物であることが好ましいことを知見した。
【0007】
さらに、本発明者らは、上記スラッシュ成型用パウダー組成物を用いて成型された成型品が、成型品表面のブリードのない成型品であり、バッキング材として通常使用されるフォーム材との密着性に優れた成型品であることを見出した。上記成型品が自動車内装品であることが好ましいことを知見した。
本発明者らは、かかる種々の新知見を得たのち、さらに検討を重ね、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1) 熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)および水酸基末端ポリオキシアルキレンオキサイド変性シリコン樹脂(B)を含むことを特徴とするスラッシュ成型用パウダー組成物、
(2) 熱可塑性ポリウレタン樹脂が、有機イソシアネート(a1)、ジオール類(a2)、および、モノオール(a3)および/またはモノアミン(a4)を含んでなるイソシアネート基末端プレポリマーとジアミン化合物(a5)とを鎖伸長反応に付して得られることを特徴とする(1)に記載のスラッシュ成型用パウダー組成物、
(3) シリコン樹脂(B)を構成するポリジメチルシロキサンとポリオキシアルキレンオキサイドの割合であるポリジメチルシロキサン/ポリオキシアルキレンオキサイド(重量比)が30/70〜70/30の範囲にあることを特徴とする(1)または(2)に記載のスラッシュ成型用パウダー組成物、
に関する。
【0009】
また、本発明は、
(4) 熱可塑性ウレタン樹脂(A)および水酸基末端アルキレンオキサイド変性シリコン樹脂(B)を含有する混合液を噴霧乾燥することにより製造されることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のスラッシュ成型用パウダー組成物、
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載のスラッシュ成型用パウダー組成物を用いて成型された成型品、
(6) 自動車内装品であることを特徴とする(5)に記載の成型品、
に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係るスラッシュ成型用パウダー組成物は、熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)および水酸基末端ポリオキシアルキレンオキサイド変性シリコン樹脂(B)を含むスラッシュ成型用パウダー組成物であれば、特に限定されない。以下、本発明に係るスラッシュ成型用パウダー組成物の各構成要件について説明する。
【0011】
これらのうち、熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)は、通常ウレタン結合を少なくとも一個以上有する熱可塑性樹脂であるが、本発明において、特に限定されず、熱可塑性ポリウレタン樹脂と称される公知のものであって良く、例えば、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法で製造される200〜260℃で溶融可能な熱可塑性ポリウレタン樹脂が挙げられる。その中で有機ジイソシアネート(a1)、およびジオール類(a2)、およびモノオール(a3)および/又はモノアミン(a4)からなるイソシアネート基末端プレポリマーをジアミン化合物(a5)により鎖伸長を行うことにより得たものを好適に使用することが出来る。
【0012】
この、熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)を形成する有機ジイソシアネート(a1)としては、通常イソシアネート機を少なくとも1個有する有機化合物であるが、本発明において特に限定されず、有機イソシアネートと称される公知のものであって良い。上記有機イソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートおよびトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−(又は、2,2,4−)トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート等の脂肪族ジイソシアネートの単独あるいは2種類以上の混合物を挙げることができる。
【0013】
さらに、本発明においては、上記有機イソシアネート(a1)に、モノイソシアネートを含有させてもよい。該モノイソシアネートとして、例えば、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、n−ヘキシルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、2−エチルヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネートまたはベンジルイソシアネート等を挙げることができる。
また、本発明においては、上記したこれら有機イソシアネート(a1)を、単独で用いても、又は2種以上併用してもよく、このような有機イソシアネートとして、上記脂環族ジイソシアネートまたは上記脂肪族ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の有機イソシアネートを用いることが好ましい。
【0014】
本発明において用いられるジオール類(a2)は、通常二個の水酸基を有する化合物であるが、本発明において、特に限定されず、公知のものであってよい。上記ジオール類(a2)としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールまたはアクリルポリオール等が挙げられる。以下、これら例示したジオール類について説明する。
【0015】
本発明において使用されるポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコール等を挙げることができる。上記ポリプロピレングリコールとしては、例えば、低分子量のポリオール或いは低分子量のアミンを開始剤としたエチレンオキサイド、またはプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの付加重合物(2種以上のアルキレンオキサイドのランダム及び/又はブロック重合物を含む。)等を挙げることができる。上記ポリテトラメチレングリコールとしては、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物、例えばポリテトラメチレンエーテルグリコール等を挙げることができる。また、上記ポリテトラメチレングリコールとして、デュポン株式会社製の商標名テラタンなどの市販品を用いてもよい。
【0016】
本発明で使用されるポリエステルポリオールとしては、例えば、分子末端に水酸基をもつ多価カルボン酸と二価アルコールとの重縮合物等を挙げることができる。
上記多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸等を挙げることができる。該脂肪族カルボン酸としては、例えば、脂肪族飽和カルボン酸または脂肪族不飽和カルボン酸が挙げられ、本発明で使用される脂肪族飽和カルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバチン酸、ヘプタン酸、オクチル酸、ぺラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸またはステアリン酸等の脂肪族飽和ジカルボン酸、水添ダイマー酸、ヘット酸、またはこれらのカルボン酸からなる酸無水物、すなわち無水シュウ酸、無水コハク酸、無水2−ドデシルコハク酸、無水2−トリデシルコハク酸、無水2−テトラデシルコハク酸、無水2−ペンタデシルコハク酸、無水2−ヘキサデシルコハク酸、無水2−ヘプタデシルコハク酸、無水2−オクタデシルコハク酸、またはこれらのカルボン酸からなる酸ハライド、すなわちシュウ酸ジクロリド、アジピン酸クロライドまたはセバチン酸クロライド等の二価のカルボン酸を挙げることができ、三価以上のカルボン酸として、例えば、マレイン化脂肪酸、ブタン1,2,3−トリカルボン酸トリメチル、ブタン1,2,3−トリカルボン酸トリエチル、ブタン−1,2,3−トリカルボン酸ブチル、ブタン−1,2,3−トリカルボン酸ペンチル、ブタン−1,2,3−トリカルボン酸ヘキシル、ブタン−1,2,3−トリカルボン酸ヘプチル、ブタン−1,2,3−トリカルボン酸オクチル、ブタン−1,2,3−トリカルボン酸ノニル、ブタン−1,2,3−トリカルボン酸デシル、ブタン−1,2,3−トリカルボン酸フェニル、ブタン−1,2,3−トリカルボン酸ナフチル、2−エトキシカルボニルコハク酸ジエチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)ドデカン酸エチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)トリデカン酸エチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)テトラデカン酸エチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)ペンタデカン酸エチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)ヘキサデカン酸エチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)ヘプタデカン酸エチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)オクタデカン酸エチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)ノナデカン酸エチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)イコサン酸エチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)ヘンイコサン酸エチル、ブタンテトラカルボン酸または1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等を挙げることができる。
【0017】
また、本発明で使用される脂肪族不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、1−ブテンー2,4−ジカルボン酸(別名2−メチレングルタル酸)、メテニル置換コハク酸、エテニル置換コハク酸、プロペニル置換コハク酸、ブテニル置換コハク酸、ペンテニル置換コハク酸、ヘキセニル置換コハク酸、ヘプテニル置換コハク酸、オクテニル置換コハク酸、ノネニル置換コハク酸、デセニル置換コハク酸、ウンデセニル置換コハク酸、ドデセニル置換コハク酸、トリデセニル置換コハク酸、テトラデセニル置換コハク酸、ペンタデセニル置換コハク酸、ヘキサデセニル置換コハク酸、ヘプタデセニル置換コハク酸、オクタデセニル置換コハク酸、ノナデセニル置換コハク酸、イコセニル置換コハク酸、ヘンイコセニル置換コハク酸、ドコセニル置換コハク酸、トリアコンテニル置換コハク酸、ヘントリアコンテニル置換コハク酸、テトラコンテニル置換コハク酸、ペンタコンテニル置換コハク酸、2−オクテニル置換コハク酸、2−ノネニル置換コハク酸、2−デセニル置換コハク酸、2−ウンデセニル置換コハク酸、2−ドデセニル置換コハク酸、2−トリデセニル置換コハク酸、2−テトラデセニル置換コハク酸、2−ペンタデセニル置換コハク酸、2−ヘキサデセニル置換コハク酸、2−ヘプタデセニル置換コハク酸、2−オクタデセニル置換コハク酸、2−ノナデセニル置換コハク酸、2−イコセニル置換コハク酸、2−ヘンイコセニル置換コハク酸、2−ドコセニル置換コハク酸、2−トリアコンテニル置換コハク酸、2−ヘントリアコンテニル置換コハク酸、2−テトラコンテニル置換コハク酸、2−ペンタコンテニル置換コハク酸、1−オクチル−1−ペンテン−4,5−ジカルボン酸、1−ノニル−1−ペンテン−4,5−ジカルボン酸、1−デシル−1−ペンテン−4,5−ジカルボン酸、1−ウンデシル−1−ペンテン−4,5−ジカルボン酸、1−トリデシル−1−ペンテン−4,5−ジカルボン酸、1−イコシル−1−ペンテン−4,5−ジカルボン酸、1−ヘンイコシル−1−ペンテン−4,5−ジカルボン酸、1−ドコシル−1−ペンテン−4,5−ジカルボン酸、またはこれらの酸無水物、すなわち無水マレイン酸、無水イタコン酸、1,2−ジメチルマレイン酸無水物、オクテニル無水コハク酸、ノネニル無水コハク酸、デセニル無水コハク酸、ウンデセニル無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、トリデセニル無水コハク酸、テトラデセニル無水コハク酸、ペンタデセニル無水コハク酸、ヘキサデセニル無水コハク酸、ヘプタデセニル無水コハク酸、オクタデセニル無水コハク酸、ノナデセニル無水コハク酸、イコセニル無水コハク酸、ヘンイコセニル無水コハク酸、ドコセニル無水コハク酸、トリアコンテニル無水コハク酸、ヘントリアコンテニル無水コハク酸、テトラコンテニル無水コハク酸、ペンタコンテニル無水コハク酸、イコセニルコハク酸無水物、ヘンイコセニルコハク酸無水物、ドコセニルコハク酸無水物、無水−2−(1−オクタデセニル)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、3−メチル無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、ダイマー酸、または酸ハライドであるフマル酸ジクロライド等の二価のカルボン酸を挙げることができ、三価のカルボン酸としては、例えば、マレイン化バルチミン酸、マレイン化ステアリン酸、マレイン化オレイン酸または3−ブテン−1,2,3−トリカルボン酸等を挙げることができる。
【0018】
本発明で使用される芳香族カルボン酸としては、例えば、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、無水フタル酸、ベンジルカルボン酸クロライドまたはイソフタル酸クロライド等の二価のカルボン酸を挙げることができ、三価以上のカルボン酸として、例えば、ベンゼントリカルボン酸、無水トリメリット酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸無水物、トリメリット酸トリクロライドまたは無水トリメリット酸クロライド等を挙げることができる。
【0019】
本発明で使用される二価のアルコールとして、例えば、3−メチルペンタンジオール、エチレングリコール、プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、ドデカンジオール、トリデカンジオール、テトラデカンジオール、ペンタデカンジオール、ヘキサデカンジオール、ヘプタデカンジオール、オクタデカンジオール、ノナデカンジオール、イコサンジオール、ヘンイコサンジオール、ドコサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ヘプタデカン−1,2−ジオール、オクタデカン−1,2−ジオール、ノナデカン−1,2−ジオール、イコサン−1,2−ジオール、水素化ビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオールまたはビスフェノールA等を挙げることができる。
これら多価カルボン酸と二価アルコールとの重縮合反応は、公知の条件で行うことができる。
【0020】
本発明で使用されるポリカーボネートポリオールは、通常炭酸エステル結合および水酸基を二個以上有する重合体であるが、本発明において、特に限定されず、公知のものであってよい。例えば低分子量ポリオールを開始剤としたエチレンカーボネートの開環重合物等を挙げることができる。上記低分子量ポリオールとして、上記二価のアルコールなどを用いることができる。
【0021】
本発明で使用されるポリカプロラクトンポリオールは、例えば多価アルコール等を開始剤としたε−カプロラクトンの開環重合物等を挙げることができる。また、例えばダウ・ケミカル日本株式会社の商品名トーンまたはダイセル化学工業株式会社製の商品名プラクセル等の市販品を用いてもよい。
【0022】
本発明で使用されるアクリルポリオールとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルまたはメタクリル酸ブチル等のアルキルエステルと、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシブチルまたはメタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基を有するエステルとの共重合体等を挙げることができる。
【0023】
また、ジオール類(a2)として低分子ジオールを用いることも出来る。低分子量ジオールとして、例えば、ポリエステルポリオールにおいて前記した二価アルコール等を用いることができる。
【0024】
本発明で使用されるモノオール類(a3)は、通常水酸基を一個有する化合物であるが、本発明において、特に限定されず、公知のものであってよい。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、イコサノール、ヘンイコサノール、ドコサノール、トリアコンタノール又はヘントリアコンタノール等の脂肪族飽和アルコール、例えば2−プロペン−1−オール、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−オール等のヘキサジエノール、ヘプタジエノール、オクタジエノール、ノナジエノール、デカジエノール、ウンデカジエノール、ドデカジエノール、イコサジエノール、ヘンイコサジエノール、ドコサジエノール又はその他のアルケニルアルコール等の脂肪族不飽和アルコール、シクロペンタノールなどの脂環式アルコール、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコール、またはフリフリルアルコールなどの複素環式アルコールなどを挙げることができる。
【0025】
本発明で使用されるモノアミン類(a4)は、通常アミノ基を一個有する化合物であるが、本発明において、特に限定されず、公知のものであってよい。例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミンまたはジ−t−ブチルアミン等を挙げることができる。
【0026】
また、鎖伸長剤として用いるジアミン類(a5)は、通常アミノ基を二個有する化合物であるが、本発明において、特に限定されず、公知のものであってよい。このようなジアミン類として、例えば、脂環族アミンまたは脂肪族アミンなどを用いることが出来る。上記脂環族アミンとしては、例えば、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ジアミノシクロヘキサンまたはジ−(アミノメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。上記脂肪族アミンとしては、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン、1,2−ジアミノエタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタンまたは1,6−ジアミノヘキサン等を挙げることができる。
【0027】
本発明における熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)を製造する場合、その製造法は、例えば塊状重合法、懸濁重合法または乳化重合法等の公知の製造法であってよく、特に限定されるものではない。好ましい製造法として、例えば、有機イソシアネート(a1)とジオール類(a2)とを、ジオール類(a2)の水酸基1当量に対して、有機イソシアネート(a1)のイソシアネート基を1.1〜4当量の比で反応させる。当量比が1.1未満であると、得られたウレタン樹脂の分子量が大きくなり過ぎ、粘度が高くなって作業性を低下させる場合がある。また、当量比が4を越えると、得られたウレタン樹脂の分子量が小さくなり過ぎ、成型品の耐熱性が低下してしまう場合がある。有機イソシアネート(a1)とジオール類(a2)とを窒素雰囲気下において、好ましくは反応温度約30〜120℃で約1〜6時間反応させ、より好ましくは、反応温度約50〜90℃で約3〜4時間反応させる。反応系におけるイソシアネート基の残存量が所望の値となった時点で反応を終了させることが特に好ましい。この反応において、イソシアネート基の残存量は、反応途中において反応物を経時的にサンプリングして、アミン当量法に従い滴定を行うことにより求めることができる。また、この反応においては、スズ系、鉛系またはアミン系などの公知のウレタン化触媒を用いることができ、また、必要に応じて、アセトニトリル、トルエン、メチルエチルケトンまたは酢酸エチルなどの公知の溶剤を用いてもよい。
ついで、最終的に得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)の分子量を調整する為、モノオール(a3)および/またはモノアミン(a4)を添加し、更に0.5〜3時間攪拌を行うことによりイソシアネート基末端プレポリマーを得ることが出来る。この得られたイソシアネート基末端プレポリマーをジアミン類(a5)で鎖伸長することにより熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)を得ることが出来る。この際、好適にはイソシアネート基末端プレポリマーを外部乳化剤にて水中に乳化分散させた後、ジアミン類を添加することにより熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)を得ることが出来る。
【0028】
また、本発明における熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)として、協和発酵工業株式会社製の商品名エステン、クラレ株式会社製の商品名クラミロンU、大日精化工業株式会社製の商品名レザミンP、大日本インキ化学工業株式会社製の商品名パンデックス、ダウ・ケミカル日本株式会社製の商品名ペレセンまたは商品名アイソプラスト、ディーアイシー バイエル ポリマー株式会社製の商品名パンデックス、商品名デスモパンまたは商品名テキシン、日本ミラクトラン株式会社製の商品名ミラクトラン、またはBASFポリウレタンエラストマーズ株式会社製の商品名エラストランなどの市販品を用いることもできる。
【0029】
本発明における水酸基末端ポリオキシアルキレンオキサイド変性シリコン樹脂(B)は、通常ポリジメチルシロキサンと水酸基末端ポリオキシアルキレンオキサイドの共重合体であるが、本発明において、特に限定されず、公知のものであってよい。本発明においては、ポリジメチルシロキサン/水酸基末端ポリオキシアルキレンオキサイドの重量比が30/70〜70/30の範囲にあることが好ましい。市販品の例としては信越シリコーン株式会社製の製品名KF−352、KF−353またはKF−354等が挙げられる。また、シリコンオイルなどの他のシリコン樹脂を併用しても良い。
これらポリオキシアルキレンオキサイド変性シリコン樹脂(B)の使用量は熱可塑性ウレタン樹脂100重量部に対し、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部である。使用量がこれらの値より少ない場合、所望の離型性が得られなくなる恐れがある。逆にこれらの値より多い場合、過剰のシリコン樹脂が成型用金型に付着して型汚れを起こしたり、パウダーの粉体流動性が低下したりすることがある。
【0030】
本発明におけるスラッシュ成型用パウダー組成物は必要に応じて、アクリル樹脂またはスチレンアクリル樹脂等の他の熱可塑性樹脂、または他の公知の添加剤、例えば可塑剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤または離型剤などを任意に添加することが出来る。これら添加剤は各成分の合成時に添加しておいても良く、また、各成分を混合する際に添加しても良い。更に、粉体化を行った後、例えばヘンシェルミキサーやナウターミキサーなどを用いて混合を行っても良い。
【0031】
本発明において使用される可塑剤は、特に限定されず、公知のものであってよい。例えば、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル(DOPともいう。)、フタル酸ジブチルベンジルまたはフタル酸ジイソデシル等のフタル酸エステル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシルまたはセバシン酸−2−エチルヘキシル等の脂肪族二塩基酸エステル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシルまたはトリメリット酸トリオクチル等のトリメリット酸エステル、オレイン酸ブチル等の脂肪酸エステル、ジエチレングリコールジ安息香酸エステルまたはジプロピレングリコールジ安息香酸エステル等の安息香酸エステル、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルフォスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェートまたはトリブトキシホスフェート等の脂肪族リン酸エステル、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェートまたはトリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート等の芳香族リン酸エステル、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(βークロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェートまたはトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート等のハロゲン脂肪族リン酸エステル、またはこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
【0032】
本発明において使用される耐熱安定剤は、特に限定されず、公知のものであってよい。例えば、上記安定剤として、公知の酸化防止剤または紫外線吸収剤等を使用することができる。上記酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリフェニルフォスファイトまたはジフェニルイソデシルフォスファイト等が挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、フェニルサリシレートまたはビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等が挙げられる。
【0033】
本発明におけるスラッシュ成型用パウダー組成物の製造方法については特に限定されるものではなく、通常公知の手法によって製造することが出来る。例えば、▲1▼熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)と水酸基末端ポリオキシアルキレンオキサイド変性シリコン樹脂(B)、および必要に応じて各種添加剤を溶融混錬した後、この混合物を冷凍粉砕もしくはマイクロペレット法によりパウダー化を行い、製造する方法、又は▲2▼熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)、水酸基末端ポリオキシアルキレンオキサイド変性シリコン樹脂(B)および必要に応じて各種添加剤を含有する混合液を噴霧乾燥することによりパウダー化を行う方法等が挙げられる。本発明において、これらのうち、▲2▼の方法が好適に用いられ、この場合、上記熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)を水分散させて用いることが好ましく、また、上記水酸基末端ポリオキシアルキレンオキサイド変性シリコン樹脂(B)を水分散させて用いることも好ましい。
【0034】
上記手法を用いて得られるスラッシュ成型用パウダーの粒子径は特に限定されないが、好ましくは重量平均粒子径で約50〜300μmである。粒子径が50μm以下の場合、パウダーの流動性が著しく低下してしまい、スラッシュ成型時に成型むらを生じる恐れがあり、粒子径が300μm以上の場合、成型品表面にピンホールが大量に発生する恐れがある。
【0035】
本発明に係る成型品は、上記スラッシュ成型用パウダー組成物を用いてスラッシュ成型された成型品である限り、特に限定されない。本発明においては、上記成型品を自動車内装品として、例えばインストルメントパネル、グラブドアカバー、コンソール、ハンドル、カーテンエアバッグ部品又はドア部品等に用いることが特に好ましい。上記自動車内装品は、自動車の内装に用いられる上記成型品であれば、特に限定されない。上記自動車内装品をインストルメントパネルに用いる場合、例えば、上記スラッシュ成型された成型品を表皮として、芯材を嵌合し、間にクッション材としてのウレタンフォームを注入してインストルメントパネルに用いること等が挙げられる。
【0036】
本発明では、上記スラッシュ成型用パウダー組成物を用いてスラッシュ成型することにより、上記成型品を製造することができる。該製造方法は、上記スラッシュ成型用パウダー組成物を用いてスラッシュ成型する限り、他は特に限定されない。また、スラッシュ成型法についても特に限定されず、例えば、あらかじめ所定温度に加熱した金型上に、上記パウダー組成物を付着、溶融させた後、冷却を行う公知の方法であってよい。
【0037】
本発明において、上記スラッシュ成型用パウダー組成物を用いて、例えば、▲1▼加熱工程、▲2▼パウダリング工程▲3▼冷却工程▲4▼離型工程を経るスラッシュ成型により本発明の成型品を製造できる。上記▲1▼の加熱工程では金型1の予熱を行う工程であり、図2のようにヒーター2などの加熱装置を用いて金型1を加熱する。本発明においては加熱温度が約200℃〜300℃であることが好ましい。
【0038】
上記▲2▼のパウダリング工程では図3のようにスラッシュ成型用パウダー組成物をためたパウダーボックス3上に上記▲1▼の加熱工程で加熱した金型をセットし、所望のパターンにて金型とパウダーボックスを回転させる。この際、金型に接したパウダーが溶融し、金型上にシート4を形成する。上記▲3▼の冷却工程では金型1及び熱溶融したシート4を例えば水冷により離型可能な温度まで冷却を行い上記▲4▼の工程にて金型から成型品を取り出す。また、必要に応じて冷却工程の前に180℃〜350℃にてあと加熱を行うこともできる。
【0039】
【実施例】
製造例1 ウレタンプレポリマー1の合成
窒素導入管および攪拌棒を取り付けた重合容器中にタケラックU−2720(三井武田ケミカル株式会社製アジペート系ポリエステル樹脂)1458.5重量部、タケラックU−2220(三井武田ケミカル株式会社製アジペート系ポリエステル樹脂)1458.5重量部、および1,3−ブタンジオール113.1重量部を投入し、80℃で1時間混合した。更にジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(H12MDI)726.1重量部およびヘキサメチレンジイソシアネート199.5重量部を添加し、80℃で3時間攪拌を行った。更にオクチル酸第一錫0.1重量部を添加し90℃以下にて30分攪拌を続けた。アミン当量が所定の値に達したことを確認した後、2−エチルヘキシルアルコール44.3重量部を添加した後、1時間80℃で攪拌を行った。再度、アミン当量が所定の値に到達したことを確認した後、冷却を行い、ウレタンプレポリマー1を得た。
【0040】
製造例2 ウレタンエマルションA−1の作成
製造例1で得たウレタンプレポリマー1 3504重量部をあらかじめ60℃に加温後、掻き取り羽根および高速攪拌羽根2本を有する3軸ミキサー中に投入し、更に乳化剤としてサンノールTD3130(ライオン(株)製)を224.3重量部添加し、60℃で45分攪拌を行った。更に脱イオン水150重量部を添加した後、30分攪拌を行った。その後攪拌を続けながら脱イオン水100重量部を7分割して5分毎にそれぞれ投入後、さらに脱イオン水1402重量部を添加し、ウレタンプレポリマーAの水分散液を得た。更に5重量%リン酸二水素ナトリウム水溶液278.9重量部を加えた後、20重量%ヘキサメチレンジアミン364.8重量部を40℃以下にて30分かけて連続添加を行った。更に50℃で2時間攪拌後、イルガノックス(チバスペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)2454.0重量部、チヌビン(チバスペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)329 12.0重量部、アデカスタブLA−52(旭電化工業株式会社製) 12.0重量部、トルエン28.1重量部、およびサンノールTD−31307.8重量部からなる安定剤乳化液を加え、更に50℃で一晩熟成を行い、ウレタンエマルションA−1を得た。
【0041】
製造例3 ウレタンプレポリマー2の合成
窒素導入管および攪拌棒を取り付けた重合容器中にタケラックU−2720(三井武田ケミカル株式会社製アジペート系ポリエステル樹脂)1563.8重量部、タケラックU−2220(三井武田ケミカル株式会社製アジペート系ポリエステル樹脂)1563.8重量部、および1,3−ブタンジオール22.0重量部を投入し、80℃で1時間混合した。更にジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(H12MDI)826.5重量部を添加し、80℃で3時間攪拌を行った。更にオクチル酸第一錫0.1重量部を添加し90℃以下にて30分攪拌を続けた。アミン当量が所定の値に達したことを確認した後、2−エチルヘキシルアルコール44.3重量部を添加した後、更に1時間80℃で攪拌を行った。再度、アミン当量が所定の値に到達したことを確認した後、冷却を行い、ウレタンプレポリマー2を得た。
【0042】
製造例4 ウレタンエマルションA―2の作成
ウレタンプレポリマーとして製造例3で得たプレポリマー2を3479重量部、鎖伸長剤として20重量%ヘキサメチレンジアミン467.8重量部用いたこと以外は製造例2と同様の方法によりウレタンエマルションA−2を得た。
上記製造例で得られたウレタンエマルションA−1およびA−2の各構成要素を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
(実施例1)
ウレタンエマルションA−1 100重量部およびKF−353(信越シリコーン株式会社製)0.5重量部を混合後、スプレードライヤ(大川原化工機株式会社製OD−50型)にてアトマイザー回転数5000rpm、熱風温度100℃で混合物の噴霧乾燥を行い、ウレタンパウダーを得た。この得られたパウダーを更に顔料とヘンシェルミキサ中にて混合することによりスラッシュ成型用パウダー組成物P−1を得た。
【0045】
(物性測定方法)
金型を240℃に加熱した後、実施例にて得たパウダー300gを金型上にふりまき、8秒間靜置させた後、溶融しなかった余分な粉を払い落とす。更に60秒間靜置後、水冷して成型シートを作製した。そして、以下のとおり、物性測定を行った。
溶融性を、上記成型シートを作製する中で、上記8秒間靜置後の上記パウダーの状態を観察・評価した。評価基準は次の通りである。
離型性を、上記シートの離型時、抵抗力を以下の評価基準により比較した。
接着性 上記スラッシュ成型により得たシートをウレタン発泡用の金型にセットし、40℃に加温し、ここにMCP9310(三井武田ケミカル株式会社製ポリマーポリオール)およびPM−708(三井武田ケミカル株式会社製イソシアネート)からなるウレタン発泡用原料を投入、発泡密着した。これから1インチ幅の試験片を切り出し、成型シートとフォーム相との接着強度を測定および剥離面の状態を観察した。
【0046】
(実施例2〜4)
表3に示す各構成要素の配合割合にて実施例1と同様の方法でもって、混合、スプレードライおよび着色を行うことによりスラッシュ成型用パウダー組成物P−2〜P−4を得た。
実施例1〜4で得られたスラッシュ成型用パウダー組成物の各種物性の測定結果を表2に示す。
【0047】
(比較例1)
KF−353を用いないこと以外は実施例1と同様の方法にて混合を行い、スラッシュ成型用パウダー組成物P−5を得た。
【0048】
(比較例2)
KF−353の代わりにL−7002(日本ユニカー株式会社製メトキシ末端ポリオキシエチレン変性シリコン樹脂)を0.5重量部用いたこと以外は実施例1と同様の方法により混合を行い、スラッシュ成型用パウダー組成物P−6を得た。
【0049】
(比較例3)
KF−353の代わりにセロゾール524(中京油脂株式会社製カルナバワックス)を0.5重量部用いたこと以外は実施例1と同様の方法により混合を行い、所望のスラッシュ成型用パウダー組成物P−7を得た。
上記比較例1〜3で得られたスラッシュ成型用パウダー組成物の各構成要素および各種物性の測定結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
物性測定の結果、表2に見られるように、比較例1または2で得られた試料を除き、実施例1〜4、または比較例3により得られた試料の全てが離型性に優れていた。しかし、実施例1〜4により得られた試料の全てが接着性に優れているのに対し、比較例3により得られた試料は接着性が劣っていた。
【0052】
【発明の効果】
本発明によって、成型時の離型性およびバッキング材として使用されるウレタンフォームとの接着性に優れたスラッシュ成型用パウダー組成物を提供できる。また、本発明のスラッシュ成型用パウダー組成物を用いて成型することによって、成型品表面における可塑剤のブリードが抑制され、バッキング材として通常使用されるフォーム材との密着性に優れた成型品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスラッシュ成型において用いられる金型及びパウダーボックスにおけるパウダーの模式図である。
【図2】金型とヒーターの模式図であって、本発明のスラッシュ成型における加熱工程での金型の状態を示す。
【図3】金型及びパウダーボックスにおけるパウダーの模式図であって、本発明のスラッシュ成型におけるパウダリング工程でのパウダーと金型の状態を示す。(a)は、パウダーボックスにセットされた加熱した金型の状態を示す。また、(b)は、金型加熱後パウダーボックスを回転中の金型の状態を示す。
【図4】パウダリング後の成型物及びパウダーボックスにおけるパウダーの模式図である。
【図5】成型物の冷却の模式図であって、本発明のスラッシュ成型における冷却工程での成型物および冷水の状態を示す。
【図6】成型品の模式図であって、離型工程後に得られたシート状の成型品及び成型品から分離された金型を示す。
【符号の説明】
1 金型
2 ヒーター
3 パウダーボックス中のパウダー
4 成型品
5 冷水
【発明の属する技術分野】
本発明はスラッシュ成型用パウダー組成物に関する。より詳しくは、成型時の離型性およびバッキング材として使用されるウレタンフォームとの接着性に優れる成型品を与えるスラッシュ成型用パウダー組成物に関する。また、本発明は前記スラッシュ成型用パウダー組成物を用いてスラッシュ成型された成型品にも関する。
【0002】
【従来の技術】
スラッシュ成型法は、複雑な形状の製品が容易に成型できること、肉厚が均一にできること、材料の歩留まりが良いことから、自動車の内装材等の用途に広く利用されており、主に軟質のポリ塩化ビニル(PVC)系粉末がこのような用途に使用されている。
【0003】
しかし、軟質化されたPVCは低分子量の可塑剤を多量に含有するため、可塑剤の凝固点以下ではソフト感が損なわれてしまう。また、経年後に可塑剤が抜けることにより表皮収縮による寸法変化が大きく意匠性で制約を受ける場合がある。さらに経年後に可塑剤が抜けることによりエアバッグ展開性能の確保が難しい等の問題点を有しており、PVCに代わる材料の開発が求められている。
【0004】
スラッシュ成型を行う際、通常、外部離型材の金型への塗布は行わず、樹脂にあらかじめ添加している内部離型材によって金型との離型性を付与しているが、この際、内部離型材が成型後の皮膜表面にブリードしてきたり、また、バッキング剤として通常使用されるフォーム剤との密着性を阻害するといった問題がしばしば発生している。そこで、成型時の離型性に優れ、バッキング剤との密着性に優れたスラッシュ成型用パウダー組成物が待ち望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、成型時の離型性に優れ、ウレタンフォーム等のバッキング材との接着性に優れたスラッシュ成型用パウダー組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、前記スラッシュ成型用パウダー組成物を用いて成型した成型品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)および水酸基末端ポリオキシアルキレンオキサイド変性シリコン樹脂(B)を含むスラッシュ成型用パウダー組成物が、成型時の離型性に優れ、バッキング材として使用されるウレタンフォームとの接着性に驚くほど優れていることを見出した。上記熱可塑性ポリウレタン樹脂が、有機イソシアネート(a1)、ジオール類(a2)、および、モノオール(a3)および/またはモノアミン(a4)を含んでなるイソシアネート基末端プレポリマーとジアミン化合物(a5)とを鎖伸長反応に付して得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂であることが好ましく、また、シリコン樹脂(B)を構成するジメチルシロキサン/ポリオキシアルキレンオキサイドの重量比が30/70〜70/30の範囲にあるシリコン樹脂であることが好ましく、上記スラッシュ成型用パウダー組成物が、熱可塑性ウレタン樹脂(A)および水酸基末端アルキレンオキサイド変性シリコン樹脂(B)を含有する混合液を噴霧乾燥することにより製造されるスラッシュ成型用パウダー組成物であることが好ましいことを知見した。
【0007】
さらに、本発明者らは、上記スラッシュ成型用パウダー組成物を用いて成型された成型品が、成型品表面のブリードのない成型品であり、バッキング材として通常使用されるフォーム材との密着性に優れた成型品であることを見出した。上記成型品が自動車内装品であることが好ましいことを知見した。
本発明者らは、かかる種々の新知見を得たのち、さらに検討を重ね、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1) 熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)および水酸基末端ポリオキシアルキレンオキサイド変性シリコン樹脂(B)を含むことを特徴とするスラッシュ成型用パウダー組成物、
(2) 熱可塑性ポリウレタン樹脂が、有機イソシアネート(a1)、ジオール類(a2)、および、モノオール(a3)および/またはモノアミン(a4)を含んでなるイソシアネート基末端プレポリマーとジアミン化合物(a5)とを鎖伸長反応に付して得られることを特徴とする(1)に記載のスラッシュ成型用パウダー組成物、
(3) シリコン樹脂(B)を構成するポリジメチルシロキサンとポリオキシアルキレンオキサイドの割合であるポリジメチルシロキサン/ポリオキシアルキレンオキサイド(重量比)が30/70〜70/30の範囲にあることを特徴とする(1)または(2)に記載のスラッシュ成型用パウダー組成物、
に関する。
【0009】
また、本発明は、
(4) 熱可塑性ウレタン樹脂(A)および水酸基末端アルキレンオキサイド変性シリコン樹脂(B)を含有する混合液を噴霧乾燥することにより製造されることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のスラッシュ成型用パウダー組成物、
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載のスラッシュ成型用パウダー組成物を用いて成型された成型品、
(6) 自動車内装品であることを特徴とする(5)に記載の成型品、
に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係るスラッシュ成型用パウダー組成物は、熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)および水酸基末端ポリオキシアルキレンオキサイド変性シリコン樹脂(B)を含むスラッシュ成型用パウダー組成物であれば、特に限定されない。以下、本発明に係るスラッシュ成型用パウダー組成物の各構成要件について説明する。
【0011】
これらのうち、熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)は、通常ウレタン結合を少なくとも一個以上有する熱可塑性樹脂であるが、本発明において、特に限定されず、熱可塑性ポリウレタン樹脂と称される公知のものであって良く、例えば、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法で製造される200〜260℃で溶融可能な熱可塑性ポリウレタン樹脂が挙げられる。その中で有機ジイソシアネート(a1)、およびジオール類(a2)、およびモノオール(a3)および/又はモノアミン(a4)からなるイソシアネート基末端プレポリマーをジアミン化合物(a5)により鎖伸長を行うことにより得たものを好適に使用することが出来る。
【0012】
この、熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)を形成する有機ジイソシアネート(a1)としては、通常イソシアネート機を少なくとも1個有する有機化合物であるが、本発明において特に限定されず、有機イソシアネートと称される公知のものであって良い。上記有機イソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートおよびトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−(又は、2,2,4−)トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート等の脂肪族ジイソシアネートの単独あるいは2種類以上の混合物を挙げることができる。
【0013】
さらに、本発明においては、上記有機イソシアネート(a1)に、モノイソシアネートを含有させてもよい。該モノイソシアネートとして、例えば、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、n−ヘキシルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、2−エチルヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネートまたはベンジルイソシアネート等を挙げることができる。
また、本発明においては、上記したこれら有機イソシアネート(a1)を、単独で用いても、又は2種以上併用してもよく、このような有機イソシアネートとして、上記脂環族ジイソシアネートまたは上記脂肪族ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の有機イソシアネートを用いることが好ましい。
【0014】
本発明において用いられるジオール類(a2)は、通常二個の水酸基を有する化合物であるが、本発明において、特に限定されず、公知のものであってよい。上記ジオール類(a2)としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールまたはアクリルポリオール等が挙げられる。以下、これら例示したジオール類について説明する。
【0015】
本発明において使用されるポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコール等を挙げることができる。上記ポリプロピレングリコールとしては、例えば、低分子量のポリオール或いは低分子量のアミンを開始剤としたエチレンオキサイド、またはプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの付加重合物(2種以上のアルキレンオキサイドのランダム及び/又はブロック重合物を含む。)等を挙げることができる。上記ポリテトラメチレングリコールとしては、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物、例えばポリテトラメチレンエーテルグリコール等を挙げることができる。また、上記ポリテトラメチレングリコールとして、デュポン株式会社製の商標名テラタンなどの市販品を用いてもよい。
【0016】
本発明で使用されるポリエステルポリオールとしては、例えば、分子末端に水酸基をもつ多価カルボン酸と二価アルコールとの重縮合物等を挙げることができる。
上記多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸等を挙げることができる。該脂肪族カルボン酸としては、例えば、脂肪族飽和カルボン酸または脂肪族不飽和カルボン酸が挙げられ、本発明で使用される脂肪族飽和カルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバチン酸、ヘプタン酸、オクチル酸、ぺラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸またはステアリン酸等の脂肪族飽和ジカルボン酸、水添ダイマー酸、ヘット酸、またはこれらのカルボン酸からなる酸無水物、すなわち無水シュウ酸、無水コハク酸、無水2−ドデシルコハク酸、無水2−トリデシルコハク酸、無水2−テトラデシルコハク酸、無水2−ペンタデシルコハク酸、無水2−ヘキサデシルコハク酸、無水2−ヘプタデシルコハク酸、無水2−オクタデシルコハク酸、またはこれらのカルボン酸からなる酸ハライド、すなわちシュウ酸ジクロリド、アジピン酸クロライドまたはセバチン酸クロライド等の二価のカルボン酸を挙げることができ、三価以上のカルボン酸として、例えば、マレイン化脂肪酸、ブタン1,2,3−トリカルボン酸トリメチル、ブタン1,2,3−トリカルボン酸トリエチル、ブタン−1,2,3−トリカルボン酸ブチル、ブタン−1,2,3−トリカルボン酸ペンチル、ブタン−1,2,3−トリカルボン酸ヘキシル、ブタン−1,2,3−トリカルボン酸ヘプチル、ブタン−1,2,3−トリカルボン酸オクチル、ブタン−1,2,3−トリカルボン酸ノニル、ブタン−1,2,3−トリカルボン酸デシル、ブタン−1,2,3−トリカルボン酸フェニル、ブタン−1,2,3−トリカルボン酸ナフチル、2−エトキシカルボニルコハク酸ジエチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)ドデカン酸エチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)トリデカン酸エチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)テトラデカン酸エチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)ペンタデカン酸エチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)ヘキサデカン酸エチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)ヘプタデカン酸エチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)オクタデカン酸エチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)ノナデカン酸エチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)イコサン酸エチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)ヘンイコサン酸エチル、ブタンテトラカルボン酸または1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等を挙げることができる。
【0017】
また、本発明で使用される脂肪族不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、1−ブテンー2,4−ジカルボン酸(別名2−メチレングルタル酸)、メテニル置換コハク酸、エテニル置換コハク酸、プロペニル置換コハク酸、ブテニル置換コハク酸、ペンテニル置換コハク酸、ヘキセニル置換コハク酸、ヘプテニル置換コハク酸、オクテニル置換コハク酸、ノネニル置換コハク酸、デセニル置換コハク酸、ウンデセニル置換コハク酸、ドデセニル置換コハク酸、トリデセニル置換コハク酸、テトラデセニル置換コハク酸、ペンタデセニル置換コハク酸、ヘキサデセニル置換コハク酸、ヘプタデセニル置換コハク酸、オクタデセニル置換コハク酸、ノナデセニル置換コハク酸、イコセニル置換コハク酸、ヘンイコセニル置換コハク酸、ドコセニル置換コハク酸、トリアコンテニル置換コハク酸、ヘントリアコンテニル置換コハク酸、テトラコンテニル置換コハク酸、ペンタコンテニル置換コハク酸、2−オクテニル置換コハク酸、2−ノネニル置換コハク酸、2−デセニル置換コハク酸、2−ウンデセニル置換コハク酸、2−ドデセニル置換コハク酸、2−トリデセニル置換コハク酸、2−テトラデセニル置換コハク酸、2−ペンタデセニル置換コハク酸、2−ヘキサデセニル置換コハク酸、2−ヘプタデセニル置換コハク酸、2−オクタデセニル置換コハク酸、2−ノナデセニル置換コハク酸、2−イコセニル置換コハク酸、2−ヘンイコセニル置換コハク酸、2−ドコセニル置換コハク酸、2−トリアコンテニル置換コハク酸、2−ヘントリアコンテニル置換コハク酸、2−テトラコンテニル置換コハク酸、2−ペンタコンテニル置換コハク酸、1−オクチル−1−ペンテン−4,5−ジカルボン酸、1−ノニル−1−ペンテン−4,5−ジカルボン酸、1−デシル−1−ペンテン−4,5−ジカルボン酸、1−ウンデシル−1−ペンテン−4,5−ジカルボン酸、1−トリデシル−1−ペンテン−4,5−ジカルボン酸、1−イコシル−1−ペンテン−4,5−ジカルボン酸、1−ヘンイコシル−1−ペンテン−4,5−ジカルボン酸、1−ドコシル−1−ペンテン−4,5−ジカルボン酸、またはこれらの酸無水物、すなわち無水マレイン酸、無水イタコン酸、1,2−ジメチルマレイン酸無水物、オクテニル無水コハク酸、ノネニル無水コハク酸、デセニル無水コハク酸、ウンデセニル無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、トリデセニル無水コハク酸、テトラデセニル無水コハク酸、ペンタデセニル無水コハク酸、ヘキサデセニル無水コハク酸、ヘプタデセニル無水コハク酸、オクタデセニル無水コハク酸、ノナデセニル無水コハク酸、イコセニル無水コハク酸、ヘンイコセニル無水コハク酸、ドコセニル無水コハク酸、トリアコンテニル無水コハク酸、ヘントリアコンテニル無水コハク酸、テトラコンテニル無水コハク酸、ペンタコンテニル無水コハク酸、イコセニルコハク酸無水物、ヘンイコセニルコハク酸無水物、ドコセニルコハク酸無水物、無水−2−(1−オクタデセニル)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、3−メチル無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、ダイマー酸、または酸ハライドであるフマル酸ジクロライド等の二価のカルボン酸を挙げることができ、三価のカルボン酸としては、例えば、マレイン化バルチミン酸、マレイン化ステアリン酸、マレイン化オレイン酸または3−ブテン−1,2,3−トリカルボン酸等を挙げることができる。
【0018】
本発明で使用される芳香族カルボン酸としては、例えば、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、無水フタル酸、ベンジルカルボン酸クロライドまたはイソフタル酸クロライド等の二価のカルボン酸を挙げることができ、三価以上のカルボン酸として、例えば、ベンゼントリカルボン酸、無水トリメリット酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸無水物、トリメリット酸トリクロライドまたは無水トリメリット酸クロライド等を挙げることができる。
【0019】
本発明で使用される二価のアルコールとして、例えば、3−メチルペンタンジオール、エチレングリコール、プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、ドデカンジオール、トリデカンジオール、テトラデカンジオール、ペンタデカンジオール、ヘキサデカンジオール、ヘプタデカンジオール、オクタデカンジオール、ノナデカンジオール、イコサンジオール、ヘンイコサンジオール、ドコサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ヘプタデカン−1,2−ジオール、オクタデカン−1,2−ジオール、ノナデカン−1,2−ジオール、イコサン−1,2−ジオール、水素化ビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオールまたはビスフェノールA等を挙げることができる。
これら多価カルボン酸と二価アルコールとの重縮合反応は、公知の条件で行うことができる。
【0020】
本発明で使用されるポリカーボネートポリオールは、通常炭酸エステル結合および水酸基を二個以上有する重合体であるが、本発明において、特に限定されず、公知のものであってよい。例えば低分子量ポリオールを開始剤としたエチレンカーボネートの開環重合物等を挙げることができる。上記低分子量ポリオールとして、上記二価のアルコールなどを用いることができる。
【0021】
本発明で使用されるポリカプロラクトンポリオールは、例えば多価アルコール等を開始剤としたε−カプロラクトンの開環重合物等を挙げることができる。また、例えばダウ・ケミカル日本株式会社の商品名トーンまたはダイセル化学工業株式会社製の商品名プラクセル等の市販品を用いてもよい。
【0022】
本発明で使用されるアクリルポリオールとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルまたはメタクリル酸ブチル等のアルキルエステルと、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシブチルまたはメタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基を有するエステルとの共重合体等を挙げることができる。
【0023】
また、ジオール類(a2)として低分子ジオールを用いることも出来る。低分子量ジオールとして、例えば、ポリエステルポリオールにおいて前記した二価アルコール等を用いることができる。
【0024】
本発明で使用されるモノオール類(a3)は、通常水酸基を一個有する化合物であるが、本発明において、特に限定されず、公知のものであってよい。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、イコサノール、ヘンイコサノール、ドコサノール、トリアコンタノール又はヘントリアコンタノール等の脂肪族飽和アルコール、例えば2−プロペン−1−オール、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−オール等のヘキサジエノール、ヘプタジエノール、オクタジエノール、ノナジエノール、デカジエノール、ウンデカジエノール、ドデカジエノール、イコサジエノール、ヘンイコサジエノール、ドコサジエノール又はその他のアルケニルアルコール等の脂肪族不飽和アルコール、シクロペンタノールなどの脂環式アルコール、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコール、またはフリフリルアルコールなどの複素環式アルコールなどを挙げることができる。
【0025】
本発明で使用されるモノアミン類(a4)は、通常アミノ基を一個有する化合物であるが、本発明において、特に限定されず、公知のものであってよい。例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミンまたはジ−t−ブチルアミン等を挙げることができる。
【0026】
また、鎖伸長剤として用いるジアミン類(a5)は、通常アミノ基を二個有する化合物であるが、本発明において、特に限定されず、公知のものであってよい。このようなジアミン類として、例えば、脂環族アミンまたは脂肪族アミンなどを用いることが出来る。上記脂環族アミンとしては、例えば、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ジアミノシクロヘキサンまたはジ−(アミノメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。上記脂肪族アミンとしては、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン、1,2−ジアミノエタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタンまたは1,6−ジアミノヘキサン等を挙げることができる。
【0027】
本発明における熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)を製造する場合、その製造法は、例えば塊状重合法、懸濁重合法または乳化重合法等の公知の製造法であってよく、特に限定されるものではない。好ましい製造法として、例えば、有機イソシアネート(a1)とジオール類(a2)とを、ジオール類(a2)の水酸基1当量に対して、有機イソシアネート(a1)のイソシアネート基を1.1〜4当量の比で反応させる。当量比が1.1未満であると、得られたウレタン樹脂の分子量が大きくなり過ぎ、粘度が高くなって作業性を低下させる場合がある。また、当量比が4を越えると、得られたウレタン樹脂の分子量が小さくなり過ぎ、成型品の耐熱性が低下してしまう場合がある。有機イソシアネート(a1)とジオール類(a2)とを窒素雰囲気下において、好ましくは反応温度約30〜120℃で約1〜6時間反応させ、より好ましくは、反応温度約50〜90℃で約3〜4時間反応させる。反応系におけるイソシアネート基の残存量が所望の値となった時点で反応を終了させることが特に好ましい。この反応において、イソシアネート基の残存量は、反応途中において反応物を経時的にサンプリングして、アミン当量法に従い滴定を行うことにより求めることができる。また、この反応においては、スズ系、鉛系またはアミン系などの公知のウレタン化触媒を用いることができ、また、必要に応じて、アセトニトリル、トルエン、メチルエチルケトンまたは酢酸エチルなどの公知の溶剤を用いてもよい。
ついで、最終的に得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)の分子量を調整する為、モノオール(a3)および/またはモノアミン(a4)を添加し、更に0.5〜3時間攪拌を行うことによりイソシアネート基末端プレポリマーを得ることが出来る。この得られたイソシアネート基末端プレポリマーをジアミン類(a5)で鎖伸長することにより熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)を得ることが出来る。この際、好適にはイソシアネート基末端プレポリマーを外部乳化剤にて水中に乳化分散させた後、ジアミン類を添加することにより熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)を得ることが出来る。
【0028】
また、本発明における熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)として、協和発酵工業株式会社製の商品名エステン、クラレ株式会社製の商品名クラミロンU、大日精化工業株式会社製の商品名レザミンP、大日本インキ化学工業株式会社製の商品名パンデックス、ダウ・ケミカル日本株式会社製の商品名ペレセンまたは商品名アイソプラスト、ディーアイシー バイエル ポリマー株式会社製の商品名パンデックス、商品名デスモパンまたは商品名テキシン、日本ミラクトラン株式会社製の商品名ミラクトラン、またはBASFポリウレタンエラストマーズ株式会社製の商品名エラストランなどの市販品を用いることもできる。
【0029】
本発明における水酸基末端ポリオキシアルキレンオキサイド変性シリコン樹脂(B)は、通常ポリジメチルシロキサンと水酸基末端ポリオキシアルキレンオキサイドの共重合体であるが、本発明において、特に限定されず、公知のものであってよい。本発明においては、ポリジメチルシロキサン/水酸基末端ポリオキシアルキレンオキサイドの重量比が30/70〜70/30の範囲にあることが好ましい。市販品の例としては信越シリコーン株式会社製の製品名KF−352、KF−353またはKF−354等が挙げられる。また、シリコンオイルなどの他のシリコン樹脂を併用しても良い。
これらポリオキシアルキレンオキサイド変性シリコン樹脂(B)の使用量は熱可塑性ウレタン樹脂100重量部に対し、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部である。使用量がこれらの値より少ない場合、所望の離型性が得られなくなる恐れがある。逆にこれらの値より多い場合、過剰のシリコン樹脂が成型用金型に付着して型汚れを起こしたり、パウダーの粉体流動性が低下したりすることがある。
【0030】
本発明におけるスラッシュ成型用パウダー組成物は必要に応じて、アクリル樹脂またはスチレンアクリル樹脂等の他の熱可塑性樹脂、または他の公知の添加剤、例えば可塑剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤または離型剤などを任意に添加することが出来る。これら添加剤は各成分の合成時に添加しておいても良く、また、各成分を混合する際に添加しても良い。更に、粉体化を行った後、例えばヘンシェルミキサーやナウターミキサーなどを用いて混合を行っても良い。
【0031】
本発明において使用される可塑剤は、特に限定されず、公知のものであってよい。例えば、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル(DOPともいう。)、フタル酸ジブチルベンジルまたはフタル酸ジイソデシル等のフタル酸エステル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシルまたはセバシン酸−2−エチルヘキシル等の脂肪族二塩基酸エステル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシルまたはトリメリット酸トリオクチル等のトリメリット酸エステル、オレイン酸ブチル等の脂肪酸エステル、ジエチレングリコールジ安息香酸エステルまたはジプロピレングリコールジ安息香酸エステル等の安息香酸エステル、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルフォスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェートまたはトリブトキシホスフェート等の脂肪族リン酸エステル、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェートまたはトリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート等の芳香族リン酸エステル、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(βークロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェートまたはトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート等のハロゲン脂肪族リン酸エステル、またはこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
【0032】
本発明において使用される耐熱安定剤は、特に限定されず、公知のものであってよい。例えば、上記安定剤として、公知の酸化防止剤または紫外線吸収剤等を使用することができる。上記酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリフェニルフォスファイトまたはジフェニルイソデシルフォスファイト等が挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、フェニルサリシレートまたはビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等が挙げられる。
【0033】
本発明におけるスラッシュ成型用パウダー組成物の製造方法については特に限定されるものではなく、通常公知の手法によって製造することが出来る。例えば、▲1▼熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)と水酸基末端ポリオキシアルキレンオキサイド変性シリコン樹脂(B)、および必要に応じて各種添加剤を溶融混錬した後、この混合物を冷凍粉砕もしくはマイクロペレット法によりパウダー化を行い、製造する方法、又は▲2▼熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)、水酸基末端ポリオキシアルキレンオキサイド変性シリコン樹脂(B)および必要に応じて各種添加剤を含有する混合液を噴霧乾燥することによりパウダー化を行う方法等が挙げられる。本発明において、これらのうち、▲2▼の方法が好適に用いられ、この場合、上記熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)を水分散させて用いることが好ましく、また、上記水酸基末端ポリオキシアルキレンオキサイド変性シリコン樹脂(B)を水分散させて用いることも好ましい。
【0034】
上記手法を用いて得られるスラッシュ成型用パウダーの粒子径は特に限定されないが、好ましくは重量平均粒子径で約50〜300μmである。粒子径が50μm以下の場合、パウダーの流動性が著しく低下してしまい、スラッシュ成型時に成型むらを生じる恐れがあり、粒子径が300μm以上の場合、成型品表面にピンホールが大量に発生する恐れがある。
【0035】
本発明に係る成型品は、上記スラッシュ成型用パウダー組成物を用いてスラッシュ成型された成型品である限り、特に限定されない。本発明においては、上記成型品を自動車内装品として、例えばインストルメントパネル、グラブドアカバー、コンソール、ハンドル、カーテンエアバッグ部品又はドア部品等に用いることが特に好ましい。上記自動車内装品は、自動車の内装に用いられる上記成型品であれば、特に限定されない。上記自動車内装品をインストルメントパネルに用いる場合、例えば、上記スラッシュ成型された成型品を表皮として、芯材を嵌合し、間にクッション材としてのウレタンフォームを注入してインストルメントパネルに用いること等が挙げられる。
【0036】
本発明では、上記スラッシュ成型用パウダー組成物を用いてスラッシュ成型することにより、上記成型品を製造することができる。該製造方法は、上記スラッシュ成型用パウダー組成物を用いてスラッシュ成型する限り、他は特に限定されない。また、スラッシュ成型法についても特に限定されず、例えば、あらかじめ所定温度に加熱した金型上に、上記パウダー組成物を付着、溶融させた後、冷却を行う公知の方法であってよい。
【0037】
本発明において、上記スラッシュ成型用パウダー組成物を用いて、例えば、▲1▼加熱工程、▲2▼パウダリング工程▲3▼冷却工程▲4▼離型工程を経るスラッシュ成型により本発明の成型品を製造できる。上記▲1▼の加熱工程では金型1の予熱を行う工程であり、図2のようにヒーター2などの加熱装置を用いて金型1を加熱する。本発明においては加熱温度が約200℃〜300℃であることが好ましい。
【0038】
上記▲2▼のパウダリング工程では図3のようにスラッシュ成型用パウダー組成物をためたパウダーボックス3上に上記▲1▼の加熱工程で加熱した金型をセットし、所望のパターンにて金型とパウダーボックスを回転させる。この際、金型に接したパウダーが溶融し、金型上にシート4を形成する。上記▲3▼の冷却工程では金型1及び熱溶融したシート4を例えば水冷により離型可能な温度まで冷却を行い上記▲4▼の工程にて金型から成型品を取り出す。また、必要に応じて冷却工程の前に180℃〜350℃にてあと加熱を行うこともできる。
【0039】
【実施例】
製造例1 ウレタンプレポリマー1の合成
窒素導入管および攪拌棒を取り付けた重合容器中にタケラックU−2720(三井武田ケミカル株式会社製アジペート系ポリエステル樹脂)1458.5重量部、タケラックU−2220(三井武田ケミカル株式会社製アジペート系ポリエステル樹脂)1458.5重量部、および1,3−ブタンジオール113.1重量部を投入し、80℃で1時間混合した。更にジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(H12MDI)726.1重量部およびヘキサメチレンジイソシアネート199.5重量部を添加し、80℃で3時間攪拌を行った。更にオクチル酸第一錫0.1重量部を添加し90℃以下にて30分攪拌を続けた。アミン当量が所定の値に達したことを確認した後、2−エチルヘキシルアルコール44.3重量部を添加した後、1時間80℃で攪拌を行った。再度、アミン当量が所定の値に到達したことを確認した後、冷却を行い、ウレタンプレポリマー1を得た。
【0040】
製造例2 ウレタンエマルションA−1の作成
製造例1で得たウレタンプレポリマー1 3504重量部をあらかじめ60℃に加温後、掻き取り羽根および高速攪拌羽根2本を有する3軸ミキサー中に投入し、更に乳化剤としてサンノールTD3130(ライオン(株)製)を224.3重量部添加し、60℃で45分攪拌を行った。更に脱イオン水150重量部を添加した後、30分攪拌を行った。その後攪拌を続けながら脱イオン水100重量部を7分割して5分毎にそれぞれ投入後、さらに脱イオン水1402重量部を添加し、ウレタンプレポリマーAの水分散液を得た。更に5重量%リン酸二水素ナトリウム水溶液278.9重量部を加えた後、20重量%ヘキサメチレンジアミン364.8重量部を40℃以下にて30分かけて連続添加を行った。更に50℃で2時間攪拌後、イルガノックス(チバスペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)2454.0重量部、チヌビン(チバスペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)329 12.0重量部、アデカスタブLA−52(旭電化工業株式会社製) 12.0重量部、トルエン28.1重量部、およびサンノールTD−31307.8重量部からなる安定剤乳化液を加え、更に50℃で一晩熟成を行い、ウレタンエマルションA−1を得た。
【0041】
製造例3 ウレタンプレポリマー2の合成
窒素導入管および攪拌棒を取り付けた重合容器中にタケラックU−2720(三井武田ケミカル株式会社製アジペート系ポリエステル樹脂)1563.8重量部、タケラックU−2220(三井武田ケミカル株式会社製アジペート系ポリエステル樹脂)1563.8重量部、および1,3−ブタンジオール22.0重量部を投入し、80℃で1時間混合した。更にジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(H12MDI)826.5重量部を添加し、80℃で3時間攪拌を行った。更にオクチル酸第一錫0.1重量部を添加し90℃以下にて30分攪拌を続けた。アミン当量が所定の値に達したことを確認した後、2−エチルヘキシルアルコール44.3重量部を添加した後、更に1時間80℃で攪拌を行った。再度、アミン当量が所定の値に到達したことを確認した後、冷却を行い、ウレタンプレポリマー2を得た。
【0042】
製造例4 ウレタンエマルションA―2の作成
ウレタンプレポリマーとして製造例3で得たプレポリマー2を3479重量部、鎖伸長剤として20重量%ヘキサメチレンジアミン467.8重量部用いたこと以外は製造例2と同様の方法によりウレタンエマルションA−2を得た。
上記製造例で得られたウレタンエマルションA−1およびA−2の各構成要素を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
(実施例1)
ウレタンエマルションA−1 100重量部およびKF−353(信越シリコーン株式会社製)0.5重量部を混合後、スプレードライヤ(大川原化工機株式会社製OD−50型)にてアトマイザー回転数5000rpm、熱風温度100℃で混合物の噴霧乾燥を行い、ウレタンパウダーを得た。この得られたパウダーを更に顔料とヘンシェルミキサ中にて混合することによりスラッシュ成型用パウダー組成物P−1を得た。
【0045】
(物性測定方法)
金型を240℃に加熱した後、実施例にて得たパウダー300gを金型上にふりまき、8秒間靜置させた後、溶融しなかった余分な粉を払い落とす。更に60秒間靜置後、水冷して成型シートを作製した。そして、以下のとおり、物性測定を行った。
溶融性を、上記成型シートを作製する中で、上記8秒間靜置後の上記パウダーの状態を観察・評価した。評価基準は次の通りである。
離型性を、上記シートの離型時、抵抗力を以下の評価基準により比較した。
接着性 上記スラッシュ成型により得たシートをウレタン発泡用の金型にセットし、40℃に加温し、ここにMCP9310(三井武田ケミカル株式会社製ポリマーポリオール)およびPM−708(三井武田ケミカル株式会社製イソシアネート)からなるウレタン発泡用原料を投入、発泡密着した。これから1インチ幅の試験片を切り出し、成型シートとフォーム相との接着強度を測定および剥離面の状態を観察した。
【0046】
(実施例2〜4)
表3に示す各構成要素の配合割合にて実施例1と同様の方法でもって、混合、スプレードライおよび着色を行うことによりスラッシュ成型用パウダー組成物P−2〜P−4を得た。
実施例1〜4で得られたスラッシュ成型用パウダー組成物の各種物性の測定結果を表2に示す。
【0047】
(比較例1)
KF−353を用いないこと以外は実施例1と同様の方法にて混合を行い、スラッシュ成型用パウダー組成物P−5を得た。
【0048】
(比較例2)
KF−353の代わりにL−7002(日本ユニカー株式会社製メトキシ末端ポリオキシエチレン変性シリコン樹脂)を0.5重量部用いたこと以外は実施例1と同様の方法により混合を行い、スラッシュ成型用パウダー組成物P−6を得た。
【0049】
(比較例3)
KF−353の代わりにセロゾール524(中京油脂株式会社製カルナバワックス)を0.5重量部用いたこと以外は実施例1と同様の方法により混合を行い、所望のスラッシュ成型用パウダー組成物P−7を得た。
上記比較例1〜3で得られたスラッシュ成型用パウダー組成物の各構成要素および各種物性の測定結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
物性測定の結果、表2に見られるように、比較例1または2で得られた試料を除き、実施例1〜4、または比較例3により得られた試料の全てが離型性に優れていた。しかし、実施例1〜4により得られた試料の全てが接着性に優れているのに対し、比較例3により得られた試料は接着性が劣っていた。
【0052】
【発明の効果】
本発明によって、成型時の離型性およびバッキング材として使用されるウレタンフォームとの接着性に優れたスラッシュ成型用パウダー組成物を提供できる。また、本発明のスラッシュ成型用パウダー組成物を用いて成型することによって、成型品表面における可塑剤のブリードが抑制され、バッキング材として通常使用されるフォーム材との密着性に優れた成型品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスラッシュ成型において用いられる金型及びパウダーボックスにおけるパウダーの模式図である。
【図2】金型とヒーターの模式図であって、本発明のスラッシュ成型における加熱工程での金型の状態を示す。
【図3】金型及びパウダーボックスにおけるパウダーの模式図であって、本発明のスラッシュ成型におけるパウダリング工程でのパウダーと金型の状態を示す。(a)は、パウダーボックスにセットされた加熱した金型の状態を示す。また、(b)は、金型加熱後パウダーボックスを回転中の金型の状態を示す。
【図4】パウダリング後の成型物及びパウダーボックスにおけるパウダーの模式図である。
【図5】成型物の冷却の模式図であって、本発明のスラッシュ成型における冷却工程での成型物および冷水の状態を示す。
【図6】成型品の模式図であって、離型工程後に得られたシート状の成型品及び成型品から分離された金型を示す。
【符号の説明】
1 金型
2 ヒーター
3 パウダーボックス中のパウダー
4 成型品
5 冷水
Claims (6)
- 熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)および水酸基末端ポリオキシアルキレンオキサイド変性シリコン樹脂(B)を含むことを特徴とするスラッシュ成型用パウダー組成物。
- 熱可塑性ポリウレタン樹脂が、有機イソシアネート(a1)、ジオール類(a2)、および、モノオール(a3)および/またはモノアミン(a4)を含んでなるイソシアネート基末端プレポリマーとジアミン化合物(a5)とを鎖伸長反応に付して得られることを特徴とする請求項1に記載のスラッシュ成型用パウダー組成物。
- シリコン樹脂(B)を構成するポリジメチルシロキサンとポリオキシアルキレンオキサイドの割合であるポリジメチルシロキサン/ポリオキシアルキレンオキサイド(重量比)が30/70〜70/30の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載のスラッシュ成型用パウダー組成物。
- 熱可塑性ウレタン樹脂(A)および水酸基末端アルキレンオキサイド変性シリコン樹脂(B)を含有する混合液を噴霧乾燥することにより製造されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスラッシュ成型用パウダー組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のスラッシュ成型用パウダー組成物を用いて成型された成型品。
- 自動車内装品であることを特徴とする請求項5に記載の成型品。
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WO2005049731A1 (ja) * | 2003-11-20 | 2005-06-02 | Zeon Corporation | 粉体成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物及びその製造方法 |
CN108084400A (zh) * | 2017-12-29 | 2018-05-29 | 美瑞新材料股份有限公司 | 一种高性能热塑性聚氨酯弹性体的制备方法 |
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- 2002-08-29 JP JP2002252134A patent/JP2004091545A/ja active Pending
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