JP2004090836A - 剛体電車線 - Google Patents
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Abstract
【課題】トロリ線の着脱が容易であり、着脱によってトロリ線の挟持する脚片が破断しても、トロリ線が脱落する恐れがほとんどない安全性に優れた剛体電車線を提供する。
【解決手段】架台1と、架台1に固定されるトロリ線tとを具える。架台1は、取付片2と、取付片2から下方に向かって伸びる固定脚片3と、固定脚片3に沿って配置されて一端を取付片2に連結される開閉脚片4とを具える。固定脚片3の端部、及び開閉脚片4の他端には、イア部5を設けている。固定脚片3のイア部5と開閉脚片4のイア部5とでトロリ線tを挟持して、両脚片3及び4に締付ボルト7を貫通させてナット9で締め付け、トロリ線tを架台1に固定する。
【選択図】 図1
【解決手段】架台1と、架台1に固定されるトロリ線tとを具える。架台1は、取付片2と、取付片2から下方に向かって伸びる固定脚片3と、固定脚片3に沿って配置されて一端を取付片2に連結される開閉脚片4とを具える。固定脚片3の端部、及び開閉脚片4の他端には、イア部5を設けている。固定脚片3のイア部5と開閉脚片4のイア部5とでトロリ線tを挟持して、両脚片3及び4に締付ボルト7を貫通させてナット9で締め付け、トロリ線tを架台1に固定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、剛体電車線に関するものである。特に、トロリ線の着脱が容易で、トロリ線の脱落を防止することができる剛体電車線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の剛体電車線として、以下のものが知られている。
(従来例1)
これは、図3に示すように断面がほぼT型の架台30にイア33を介してトロリ線tを保持する構成である。架台30は、上片31と、この上片31に直交する脚片32とを具える。そして、脚片32下部の両側に一対のイア33を配置し、イア33の端部でトロリ線tを把持する。脚片32とイア33とは、それぞれ中間部にボルト34が貫通され、ナット35で締め付けることでトロリ線tを固定している。
【0003】
(従来例2)
これは、図4に示すように断面がほぼT型の架台40の下端にトロリ線tを半永久的に一体接合したものである。架台40とトロリ線tとの接合は、架台40の下端をかしめにより塑性変形させることで行っている。
【0004】
(従来例3)
その他、図5に示す剛体電車線がある(特許文献1参照)。これは、図5に示すように断面ほぼT字状の架台50に上片51と、上片51に一体化されて開閉可能な一対の脚片52とを具える。この剛体電車線は、両脚片52の下端を開いてトロリ線tを挟み、両脚片52の中間部にボルト53を貫通させて、ナット54で締め付けることでトロリ線tを固定している。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−313255号公報(第3ページ、第2図参照)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の技術では、以下のような問題があった。
従来例1では、架台30と一対のイア33とがそれぞれ別部品となっており部品点数が多いことから、施工性、点検容易性の点で十分とは言い難い。また、部品点数が多いことで、初期コストも高くなる。
【0007】
従来例2では、トロリ線tの装着にかしめ機などの特殊な機器を必要とする。このかしめ作業を現場で行えば施工性が悪く、工場で行えば現場での施工性は改善されるが、工場内では大きさに制限を受けるため、長尺物を得ることができない。また、トロリ線tは、架台40の塑性変形により堅固に固定されているため、磨耗した場合に取り替えることができない。
【0008】
従来例3では、部品点数も比較的少なく、また、ナット54の締め付けにてトロリ線tを装着するため、作業性に優れる。しかし、交換などでトロリ線tの着脱の度に脚片52の開閉を繰り返すことで、脚片52の根元側(上片51と繋がる側)に材料強度を超える振動(負荷)が断続的に加えられる可能性がある。そして、遂には、脚片52が疲労破断して、脚片52がトロリ線ごと上片51から脱落する恐れがある。
【0009】
そこで、本発明の主目的は、トロリ線の着脱が容易であり、着脱によってトロリ線の挟持する脚片が破断しても、トロリ線が脱落する恐れがほとんどない安全性に優れた剛体電車線を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、トロリ線の保持を行う架台として、構造物側に固定される取付片に一体化された固定脚片と、固定脚片に対して開閉自在な開閉脚片とを具えて、両脚片を締付機構にて固定することで上記目的を達成する。
【0011】
即ち、本発明剛体電車線は、構造物側に固定される取付片と、前記取付片に一体化された固定脚片と、一端が前記取付片に連結され、他端が固定脚片に対して常時は開閉可能な開閉脚片と、前記各脚片の端部に形成されたイア部と、前記両イア部の間に挟持されるトロリ線と、前記両脚片の締付機構とを具えることを特徴とする。
【0012】
以下、本発明の構成をより詳しく説明する。固定脚片は、トロリ線の着脱による振動によって破断しないような強度と厚みを有することが好ましい。従来例3では、一対の脚片がほぼ均等な厚みであり、それぞれの厚みが比較的薄いことから、脚片52が疲労破断してトロリ線が脱落する恐れがある。そこで、本発明では、固定脚片と開閉脚片との厚みの比率を変え、固定脚片の厚みを比較的厚く、開閉脚片の厚みを比較的薄くする。このように脚片の厚みを変えることで、固定脚片の破断を防止し、かつ締付機構で締め付けることで、開閉脚片が破断しても、トロリ線が脱落する恐れがほとんどない。
【0013】
開閉脚片は、固定脚片に一体に形成されていもよく、固定脚片と別個に形成して後に取り付けて連結させてもよい。また、開閉脚片は、後述するイア部が形成できる程度の厚みを有するものであればよい。
【0014】
イア部の形状は、例えば、トロリ線に設けられた溝に嵌合する爪状が挙げられる。締付機構の具体例としては、両脚片をボルトで貫通し、ナットで締め付けるものが好適である。
【0015】
ここで、常時とは締付機構により両脚片を締め付けていないときをいう。本発明剛体電車線は、常時は、開閉脚片が固定脚片に対して開閉可能であるため、開閉脚片を開くことで、両イア部の間隔をトロリ線の取付面の幅よりも広くすることができる。そのため、トロリ線の着脱を容易に行うことができる。
【0016】
上記の構成により、本発明剛体電車線は、締付機構となるボルトを締めたり緩めたりするという簡単な操作で開閉脚片の開閉を可能とし、トロリ線の着脱を容易にすることができる。また、固定脚片は、比較的厚みが厚いことで剛性が高いため、トロリ線の着脱の際に生じる振動により疲労して破断する可能性はほとんどない。一方、開閉脚片は、トロリ線の着脱の際に繰り返し開閉することで、取付片との連結部分が破断することが考えられる。しかし、仮に開閉脚片の連結部分が破断しても、締付機構による締め付けが維持されることで、両脚片によるトロリ線の挟持が解かれることがないため、トロリ線が脱落する恐れがほとんどなく、安全性が高い。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明剛体電車線の組み立て前の構成図、図2は組み立て後の構成図である。本発明剛体電車線は、架台1と、架台1に固定されるトロリ線tとを具える。架台1は、構造物側に固定される取付片2と、取付片2から右方に向かって伸びる固定脚片3と、固定脚片3に沿って配置されて一端を取付片2に連結される開閉脚片4とを具える。固定脚片3の端部(同右端)、及び開閉脚片4の他端(同右端)には、イア部5を設けている。以下、より詳しく説明する。
【0018】
<架台>
(取付片及び固定脚片)
取付片2は、ほぼ帯状の平板である。この取付片2の中間には、固定脚片3が一体化されている。固定脚片3は、断面がほぼL型に形成され、端部側(図1において右端側)にボルト孔(図示せず)が形成されている。端部に形成されたイア部5は、後述するトロリ線tの溝12に嵌合する爪状の突起である。図1において、水平方向に伸びる部分は、後述する開閉脚片よりも厚みを厚くして剛性を持たせている。
【0019】
(開閉脚片)
開閉脚片4は、帯状の比較的薄い平板である。開閉脚片4の一端には、長手方向にピン溝(図示せず)が設けてある。そして、取付片2と固定脚片3との境界付近の連結部2aには、この開閉脚片4の一端が嵌め込まれる嵌合溝が設けられており、嵌合溝には、開閉脚片4のピン溝と合わせてピン孔となるピン溝(図示せず)が同様に長手方向に設けられている。この開閉脚片4のピン溝と連結部2aのピン溝とがつくるピン孔の両側(図1において紙面手前及び紙面奥)にそれぞれピン6を差し込むことで、開閉脚片4を取付片2に連結させて、取付片2から抜け落ちることを防止する。このとき、開閉脚片4は、ピン6を中心に図1において上方に回転可能に固定される(図1矢印参照)。開閉脚片4の他端側(図1において右端側)にはボルト孔(図示せず)が形成され、その端部には、上記固定脚片3と同様のイア部5が形成されている。なお、本例において開閉脚片は、取付片と別個に形成されたもので、取付片にピンにて連結させる構成を説明したが、取付片に一体に形成されていてもよい。
【0020】
上記構成により、常時は、開閉脚片4の他端側が固定脚片3に対して開閉可能であり、両イア部5の間隔を変化させることができる。即ち、開閉脚片4を開けて固定脚片3から離した状態にすると、両イア部5間の距離は、トロリ線tの取付面10の幅よりも大きくすることができる。逆に、開閉脚片4を閉じて固定脚片3に接触させた状態にすると、両イア部5の間隔は、トロリ線tにおいて溝12が形成された個所の幅にほぼ等しくなる(図2参照)。このように開閉脚片4を固定脚片3に近接離反させることことで、トロリ線tの着脱を行うことができる。
【0021】
取付片2及び固定脚片3、開閉脚片4は、押し出し成形により長尺のものをきわめて容易に製造できる。両イア部5の間隔が異なる製品を作製するには、固定脚片3においてトロリ線tの取付面10が接する接続面3aの面積を大きくするとよい。即ち、接続面3aの長さ(図1において上下方向の大きさ)を大きくするとよい。接続面3aの長さを変えるには、取付片2及び固定脚片3の押し出し成形に用いるダイスを交換するとよい。
【0022】
<トロリ線>
トロリ線tは、従来と同様の構成のものが適用できる。具体的には、図1において左方に取付面10を、同右部にパンタグラフのすり板との摺動面11を具え、両側面にイア部5が嵌め込まれる溝12が形成されている。
【0023】
<剛体電車線の組み立て手順>
上記の剛体電車線は、以下のように組み立てる。まず、取付片2の接続部2aに開閉脚片4をピン6にて連結しておく。そして、開閉脚片4を上方に上げて開き、両イア部5の間隔がトロリ線tの取付面10の幅よりも広くなるように広げる。このとき、開閉脚片4は、ピン6により回転可能に支持されているため、特殊な工具などにより強制的に開く必要はない。次に、開閉脚片4を開けた状態で固定脚片3のイア部5の凸部にトロリ線tの溝12を嵌め込む。そして、上げていた開閉脚片4を離して、開閉脚片4のイア部5の凸部をトロリ線tの溝12に嵌め込む。開閉脚片4を固定脚片3にほぼ接した状態にして、両脚片3及び4のボルト孔に締付ボルト7を貫通し、座付きナット8、ナット9で締め付けてトロリ線tを架台1に固定する。トロリ線tの固定後、架台1を構造物の壁面や天井などに設けた碍子に固定する。
【0024】
なお、架台1自体を構造物の碍子側に固定する手段は従来と同様である。具体的には、取付片2の装着面2bを壁面などに固定された碍子側の装着面に対向させて配置し、碍子側に固定するための取付金具に取付片2の両側を挟持させることで行うとよい。また、架台1の構造物側への固定は、取付片2の装着面2bを水平方向に向けて固定する場合、垂直方向に向けて固定する場合が考えられる。図1では、取付片2の装着面2bを水平方向に向けて固定する場合を示す。
【0025】
上記本発明剛体電車線は、トロリ線の交換などにおいてトロリ線の着脱が締付ボルトの締め付け又は緩め、及び開閉脚片の開閉だけできわめて容易に行うことができる。また、交換などで開閉脚片の開閉を繰り返し行うことにより、開閉脚片の連結部分が破断することがあっても、締付ボルトとナットにて固定脚片と開閉脚片とが締め付けられていることで、トロリ線や開閉脚片の脱落を防止することができる。
【0026】
なお、本発明剛体電車線では、固定脚部の接続面の長さを大きくして、固定脚部のイア部と開閉脚部のイア部との間隔が広いものを用意することで幅広のトロリ線を把持することができる。幅広のトロリ線を用いることができれば、パンタグラフのすり板の局部磨耗を防止できると共に、集電効率を改善できる。その上、トロリ線自体も長持ちする。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明分割型剛体電車線によれば、開閉脚片の開閉及び締付機構の締め付け・緩めだけで容易にトロリ線を着脱することができるという優れた効果を奏し得る。また、トロリ線の着脱の際に開閉脚片の開閉を繰り返すことで、連結部分が疲労により破断することがあっても、締付機構にて両脚片が締め付けられているため、トロリ線の保持が維持され、トロリ線が脱落することがなく、安全性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明剛体電車線の組み立て前の構成図である。
【図2】本発明剛体電車線の組み立て後の構成図である。
【図3】架台とイアとが独立した構成である従来の剛体電車線の構成図である。
【図4】トロリ線をかしめにより架台に固定した従来の剛体電車線の構成図である。
【図5】上片と一体に形成された一対の脚片によりトロリ線を挟持する従来の剛体電車線の構成図である。
【符号の説明】
1 架台 2 取付片 2a 連結部 2b 装着面 3 固定脚片 3a 接続面
4 開閉脚片 5 イア部 6 ピン 7 締付ボルト 8 座付きナット
9 ナット 10 取付面 11 摺動面 12 溝
30、40、50 架台 31、51 上片 32、52 脚片 33 イア 34、53 ボルト
35、54 ナット
t トロリ線
【発明の属する技術分野】
本発明は、剛体電車線に関するものである。特に、トロリ線の着脱が容易で、トロリ線の脱落を防止することができる剛体電車線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の剛体電車線として、以下のものが知られている。
(従来例1)
これは、図3に示すように断面がほぼT型の架台30にイア33を介してトロリ線tを保持する構成である。架台30は、上片31と、この上片31に直交する脚片32とを具える。そして、脚片32下部の両側に一対のイア33を配置し、イア33の端部でトロリ線tを把持する。脚片32とイア33とは、それぞれ中間部にボルト34が貫通され、ナット35で締め付けることでトロリ線tを固定している。
【0003】
(従来例2)
これは、図4に示すように断面がほぼT型の架台40の下端にトロリ線tを半永久的に一体接合したものである。架台40とトロリ線tとの接合は、架台40の下端をかしめにより塑性変形させることで行っている。
【0004】
(従来例3)
その他、図5に示す剛体電車線がある(特許文献1参照)。これは、図5に示すように断面ほぼT字状の架台50に上片51と、上片51に一体化されて開閉可能な一対の脚片52とを具える。この剛体電車線は、両脚片52の下端を開いてトロリ線tを挟み、両脚片52の中間部にボルト53を貫通させて、ナット54で締め付けることでトロリ線tを固定している。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−313255号公報(第3ページ、第2図参照)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の技術では、以下のような問題があった。
従来例1では、架台30と一対のイア33とがそれぞれ別部品となっており部品点数が多いことから、施工性、点検容易性の点で十分とは言い難い。また、部品点数が多いことで、初期コストも高くなる。
【0007】
従来例2では、トロリ線tの装着にかしめ機などの特殊な機器を必要とする。このかしめ作業を現場で行えば施工性が悪く、工場で行えば現場での施工性は改善されるが、工場内では大きさに制限を受けるため、長尺物を得ることができない。また、トロリ線tは、架台40の塑性変形により堅固に固定されているため、磨耗した場合に取り替えることができない。
【0008】
従来例3では、部品点数も比較的少なく、また、ナット54の締め付けにてトロリ線tを装着するため、作業性に優れる。しかし、交換などでトロリ線tの着脱の度に脚片52の開閉を繰り返すことで、脚片52の根元側(上片51と繋がる側)に材料強度を超える振動(負荷)が断続的に加えられる可能性がある。そして、遂には、脚片52が疲労破断して、脚片52がトロリ線ごと上片51から脱落する恐れがある。
【0009】
そこで、本発明の主目的は、トロリ線の着脱が容易であり、着脱によってトロリ線の挟持する脚片が破断しても、トロリ線が脱落する恐れがほとんどない安全性に優れた剛体電車線を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、トロリ線の保持を行う架台として、構造物側に固定される取付片に一体化された固定脚片と、固定脚片に対して開閉自在な開閉脚片とを具えて、両脚片を締付機構にて固定することで上記目的を達成する。
【0011】
即ち、本発明剛体電車線は、構造物側に固定される取付片と、前記取付片に一体化された固定脚片と、一端が前記取付片に連結され、他端が固定脚片に対して常時は開閉可能な開閉脚片と、前記各脚片の端部に形成されたイア部と、前記両イア部の間に挟持されるトロリ線と、前記両脚片の締付機構とを具えることを特徴とする。
【0012】
以下、本発明の構成をより詳しく説明する。固定脚片は、トロリ線の着脱による振動によって破断しないような強度と厚みを有することが好ましい。従来例3では、一対の脚片がほぼ均等な厚みであり、それぞれの厚みが比較的薄いことから、脚片52が疲労破断してトロリ線が脱落する恐れがある。そこで、本発明では、固定脚片と開閉脚片との厚みの比率を変え、固定脚片の厚みを比較的厚く、開閉脚片の厚みを比較的薄くする。このように脚片の厚みを変えることで、固定脚片の破断を防止し、かつ締付機構で締め付けることで、開閉脚片が破断しても、トロリ線が脱落する恐れがほとんどない。
【0013】
開閉脚片は、固定脚片に一体に形成されていもよく、固定脚片と別個に形成して後に取り付けて連結させてもよい。また、開閉脚片は、後述するイア部が形成できる程度の厚みを有するものであればよい。
【0014】
イア部の形状は、例えば、トロリ線に設けられた溝に嵌合する爪状が挙げられる。締付機構の具体例としては、両脚片をボルトで貫通し、ナットで締め付けるものが好適である。
【0015】
ここで、常時とは締付機構により両脚片を締め付けていないときをいう。本発明剛体電車線は、常時は、開閉脚片が固定脚片に対して開閉可能であるため、開閉脚片を開くことで、両イア部の間隔をトロリ線の取付面の幅よりも広くすることができる。そのため、トロリ線の着脱を容易に行うことができる。
【0016】
上記の構成により、本発明剛体電車線は、締付機構となるボルトを締めたり緩めたりするという簡単な操作で開閉脚片の開閉を可能とし、トロリ線の着脱を容易にすることができる。また、固定脚片は、比較的厚みが厚いことで剛性が高いため、トロリ線の着脱の際に生じる振動により疲労して破断する可能性はほとんどない。一方、開閉脚片は、トロリ線の着脱の際に繰り返し開閉することで、取付片との連結部分が破断することが考えられる。しかし、仮に開閉脚片の連結部分が破断しても、締付機構による締め付けが維持されることで、両脚片によるトロリ線の挟持が解かれることがないため、トロリ線が脱落する恐れがほとんどなく、安全性が高い。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明剛体電車線の組み立て前の構成図、図2は組み立て後の構成図である。本発明剛体電車線は、架台1と、架台1に固定されるトロリ線tとを具える。架台1は、構造物側に固定される取付片2と、取付片2から右方に向かって伸びる固定脚片3と、固定脚片3に沿って配置されて一端を取付片2に連結される開閉脚片4とを具える。固定脚片3の端部(同右端)、及び開閉脚片4の他端(同右端)には、イア部5を設けている。以下、より詳しく説明する。
【0018】
<架台>
(取付片及び固定脚片)
取付片2は、ほぼ帯状の平板である。この取付片2の中間には、固定脚片3が一体化されている。固定脚片3は、断面がほぼL型に形成され、端部側(図1において右端側)にボルト孔(図示せず)が形成されている。端部に形成されたイア部5は、後述するトロリ線tの溝12に嵌合する爪状の突起である。図1において、水平方向に伸びる部分は、後述する開閉脚片よりも厚みを厚くして剛性を持たせている。
【0019】
(開閉脚片)
開閉脚片4は、帯状の比較的薄い平板である。開閉脚片4の一端には、長手方向にピン溝(図示せず)が設けてある。そして、取付片2と固定脚片3との境界付近の連結部2aには、この開閉脚片4の一端が嵌め込まれる嵌合溝が設けられており、嵌合溝には、開閉脚片4のピン溝と合わせてピン孔となるピン溝(図示せず)が同様に長手方向に設けられている。この開閉脚片4のピン溝と連結部2aのピン溝とがつくるピン孔の両側(図1において紙面手前及び紙面奥)にそれぞれピン6を差し込むことで、開閉脚片4を取付片2に連結させて、取付片2から抜け落ちることを防止する。このとき、開閉脚片4は、ピン6を中心に図1において上方に回転可能に固定される(図1矢印参照)。開閉脚片4の他端側(図1において右端側)にはボルト孔(図示せず)が形成され、その端部には、上記固定脚片3と同様のイア部5が形成されている。なお、本例において開閉脚片は、取付片と別個に形成されたもので、取付片にピンにて連結させる構成を説明したが、取付片に一体に形成されていてもよい。
【0020】
上記構成により、常時は、開閉脚片4の他端側が固定脚片3に対して開閉可能であり、両イア部5の間隔を変化させることができる。即ち、開閉脚片4を開けて固定脚片3から離した状態にすると、両イア部5間の距離は、トロリ線tの取付面10の幅よりも大きくすることができる。逆に、開閉脚片4を閉じて固定脚片3に接触させた状態にすると、両イア部5の間隔は、トロリ線tにおいて溝12が形成された個所の幅にほぼ等しくなる(図2参照)。このように開閉脚片4を固定脚片3に近接離反させることことで、トロリ線tの着脱を行うことができる。
【0021】
取付片2及び固定脚片3、開閉脚片4は、押し出し成形により長尺のものをきわめて容易に製造できる。両イア部5の間隔が異なる製品を作製するには、固定脚片3においてトロリ線tの取付面10が接する接続面3aの面積を大きくするとよい。即ち、接続面3aの長さ(図1において上下方向の大きさ)を大きくするとよい。接続面3aの長さを変えるには、取付片2及び固定脚片3の押し出し成形に用いるダイスを交換するとよい。
【0022】
<トロリ線>
トロリ線tは、従来と同様の構成のものが適用できる。具体的には、図1において左方に取付面10を、同右部にパンタグラフのすり板との摺動面11を具え、両側面にイア部5が嵌め込まれる溝12が形成されている。
【0023】
<剛体電車線の組み立て手順>
上記の剛体電車線は、以下のように組み立てる。まず、取付片2の接続部2aに開閉脚片4をピン6にて連結しておく。そして、開閉脚片4を上方に上げて開き、両イア部5の間隔がトロリ線tの取付面10の幅よりも広くなるように広げる。このとき、開閉脚片4は、ピン6により回転可能に支持されているため、特殊な工具などにより強制的に開く必要はない。次に、開閉脚片4を開けた状態で固定脚片3のイア部5の凸部にトロリ線tの溝12を嵌め込む。そして、上げていた開閉脚片4を離して、開閉脚片4のイア部5の凸部をトロリ線tの溝12に嵌め込む。開閉脚片4を固定脚片3にほぼ接した状態にして、両脚片3及び4のボルト孔に締付ボルト7を貫通し、座付きナット8、ナット9で締め付けてトロリ線tを架台1に固定する。トロリ線tの固定後、架台1を構造物の壁面や天井などに設けた碍子に固定する。
【0024】
なお、架台1自体を構造物の碍子側に固定する手段は従来と同様である。具体的には、取付片2の装着面2bを壁面などに固定された碍子側の装着面に対向させて配置し、碍子側に固定するための取付金具に取付片2の両側を挟持させることで行うとよい。また、架台1の構造物側への固定は、取付片2の装着面2bを水平方向に向けて固定する場合、垂直方向に向けて固定する場合が考えられる。図1では、取付片2の装着面2bを水平方向に向けて固定する場合を示す。
【0025】
上記本発明剛体電車線は、トロリ線の交換などにおいてトロリ線の着脱が締付ボルトの締め付け又は緩め、及び開閉脚片の開閉だけできわめて容易に行うことができる。また、交換などで開閉脚片の開閉を繰り返し行うことにより、開閉脚片の連結部分が破断することがあっても、締付ボルトとナットにて固定脚片と開閉脚片とが締め付けられていることで、トロリ線や開閉脚片の脱落を防止することができる。
【0026】
なお、本発明剛体電車線では、固定脚部の接続面の長さを大きくして、固定脚部のイア部と開閉脚部のイア部との間隔が広いものを用意することで幅広のトロリ線を把持することができる。幅広のトロリ線を用いることができれば、パンタグラフのすり板の局部磨耗を防止できると共に、集電効率を改善できる。その上、トロリ線自体も長持ちする。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明分割型剛体電車線によれば、開閉脚片の開閉及び締付機構の締め付け・緩めだけで容易にトロリ線を着脱することができるという優れた効果を奏し得る。また、トロリ線の着脱の際に開閉脚片の開閉を繰り返すことで、連結部分が疲労により破断することがあっても、締付機構にて両脚片が締め付けられているため、トロリ線の保持が維持され、トロリ線が脱落することがなく、安全性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明剛体電車線の組み立て前の構成図である。
【図2】本発明剛体電車線の組み立て後の構成図である。
【図3】架台とイアとが独立した構成である従来の剛体電車線の構成図である。
【図4】トロリ線をかしめにより架台に固定した従来の剛体電車線の構成図である。
【図5】上片と一体に形成された一対の脚片によりトロリ線を挟持する従来の剛体電車線の構成図である。
【符号の説明】
1 架台 2 取付片 2a 連結部 2b 装着面 3 固定脚片 3a 接続面
4 開閉脚片 5 イア部 6 ピン 7 締付ボルト 8 座付きナット
9 ナット 10 取付面 11 摺動面 12 溝
30、40、50 架台 31、51 上片 32、52 脚片 33 イア 34、53 ボルト
35、54 ナット
t トロリ線
Claims (1)
- 構造物側に固定される取付片と、
前記取付片に一体化された固定脚片と、
一端が前記取付片に連結され、他端が固定脚片に対して常時は開閉可能な開閉脚片と、
前記各脚片の端部に形成されたイア部と、
前記両イア部の間に挟持されるトロリ線と、
前記両脚片の締付機構とを具えることを特徴とする剛体電車線。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002257089A JP2004090836A (ja) | 2002-09-02 | 2002-09-02 | 剛体電車線 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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Family
ID=32062117
Family Applications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004090836A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007106182A (ja) * | 2005-10-11 | 2007-04-26 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 剛体電車線用の架台及び剛体電車線 |
KR200472837Y1 (ko) | 2012-01-30 | 2014-05-27 | (주)케이콘 | 전차선 연결장치 |
-
2002
- 2002-09-02 JP JP2002257089A patent/JP2004090836A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007106182A (ja) * | 2005-10-11 | 2007-04-26 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 剛体電車線用の架台及び剛体電車線 |
JP4738968B2 (ja) * | 2005-10-11 | 2011-08-03 | 住友電気工業株式会社 | 剛体電車線用の架台及び剛体電車線 |
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