JP2004090299A - 感熱記録体 - Google Patents
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Abstract
【課題】画質の良好な感熱記録体の提供。
【解決手段】支持体上に、顔料とバインダーとを主成分として含有する下塗層、無色ないし淡色の塩基性無色染料と該塩基性無色染料と反応して発色させる顕色剤とを主成分として含有する感熱記録層を設けた感熱記録体において、該下塗層がカルボキシ変性ポリビニルアルコールを顔料100重量部に対して1〜5重量部含有する。
【解決手段】支持体上に、顔料とバインダーとを主成分として含有する下塗層、無色ないし淡色の塩基性無色染料と該塩基性無色染料と反応して発色させる顕色剤とを主成分として含有する感熱記録層を設けた感熱記録体において、該下塗層がカルボキシ変性ポリビニルアルコールを顔料100重量部に対して1〜5重量部含有する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩基性無色染料と顕色剤との発色反応を利用した感熱記録体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、感熱記録体は通常無色ないし淡色の塩基性無色染料とフェノ−ル性化合物等の有機顕色剤とを、それぞれ微細な粒子に磨砕分散した後、両者を混合し、バインダ−、充填剤、感度向上剤、滑剤及びその他の助剤を添加して得られた塗料を、紙、合成紙、フィルム、プラスチック等の支持体に塗工したものであり、サ−マルヘッド、ホットスタンプ、熱ペン、レ−ザ−光等の加熱による瞬時の化学反応により発色し、記録画像が得られる。感熱記録体は、ファクシミリ、コンピュ−タ−の端末プリンタ−、自動券売機、計測用レコ−ダ−等に広範囲に使用されている。近年、記録装置の多様化や高性能化の進展に伴って高速印字及び高速の画像形成も可能となってきており、感熱記録体の記録感度に対してより優れた品質が求められている。また、用途の多様化に伴い、低濃度から高濃度にいたるいずれの領域においても、高画質の記録像が得られることも求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これらの要求を満たす方法として、スーパーカレンダー等により感熱記録層表面の平滑度を高めることが一般的に行われているが、必ずしも満足すべき画質が得られなくなってきている。また、高画質は下塗層の塗工均一性が重要であることが知られており、特開昭56−867921号ではスーパーカレンダーにより下塗層の平滑性を向上することが提案されているが、カレンダー圧によって下塗層の多孔性が損なわれ断熱性を失い感度が低下してしまう。さらに、ドット再現性に優れた感熱記録材料を提供するために、特開2000−108518号では第一中間層、第二中間層を積層する方法が提案されているが、工程が複雑になるなど製造上不利である。
そこで、本発明は、これらの問題を招くことなく、記録感度が高く、高画質の記録画像が得られる感熱記録体を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、支持体上に、顔料とバインダーとを主成分として含有する下塗層、無色ないし淡色の塩基性無色染料と該塩基性無色染料と反応して発色させる顕色剤とを主成分として含有する感熱記録層を設けた感熱記録体において、該下塗層がカルボキシ変性ポリビニルアルコールを顔料100重量部に対して1〜5重量部含有する感熱記録体とすることによって達成された。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明における下塗層は、顔料とバインダーとを主成分として含有し、さらにカルボキシ変性ポリビニルアルコールを顔料100重量部に対して1〜5重量部含有することが重要である。より好ましくは、顔料100重量部に対して2〜4重量部であることが望ましい。カルボキシ変性ポリビニルアルコールは塗液の流動性を改善する効果があると考えられるが、含有量が少なすぎるとその作用が十分に発揮されず、多すぎると塗液粘度が高くなり高濃度塗工が困難となってしまう。塗液の濃度を下げた場合、同じ塗布量を得るためには塗液を多量に塗工しなければならず、乾燥負荷も増大し好ましくない。
【0006】
本発明において優れた効果が得られる理由は明らかではないが、次のように考えられる。本発明で用いられるカルボキシ変性ポリビニルアルコールは、ハーキュレス粘度が低い、すなわち回転力(シェア)がかかっている状態での流動性が高く、シェアの低いところでは不動化しやすい。そのため、塗液の塗工時には滑らかに延び、塗工後は、すぐに固化し均質で凹凸のない塗工層が形成される結果、画像の均質性に寄与する下塗層を与えるものと推察される。また、カルボキシ変性ポリビニルアルコールは保水性が高いことから、支持体へのバインダーの浸透を抑えることができ、その結果凸凹のない塗工層の形成に寄与すると推測される。
【0007】
本発明に使用されるカルボキシ変性ポリビニルアルコールの重合度およびけん化度は、塗料の保水性や塗工層の表面強度が良好なことから、重合度1500以上、けん化度85%以上が好ましい。また、カルボキシル基としては、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられる。
【0008】
本発明の下塗層には、カルボキシ変性ポリビニルアルコール以外に、バインダーとしてデンプン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子やスチレン・ブタジエン共重合体、アクリル酸系共重合体等の合成樹脂エマルジョン等を含有する。
【0009】
下塗層の顔料とバインダーとの配合比率は、選択した成分によって任意に決めることができるが、一般的には20:1〜1:1の間である。この下塗層を形成するにあたっては、塗布量は1〜15g/m2程度で、通常の塗工機を用いて紙、再生紙、プラスチックフィルム、合成紙等の適当な材質の支持体上に塗布することによって容易に行われる。塗工方法としてはエアーナイフ法、ブレード法、グラビア法、ロールコーター法等の既知の塗布方法をいずれも利用してよいが、高濃度の塗工が可能で塗液が支持体に浸透しにくく、均一な層構成が形成されることからブレード塗工によって下塗層を形成することが好ましい。
【0010】
下塗層に含有される顔料としては、(焼成)クレー、(焼成)カオリン、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、無定形シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム等が挙げられる。特に吸油量(JIS K 5101法に基づく)が80cc/100g〜120cc/100gの焼成カオリンは、発色感度と画質のバランスに優れた感熱記録体が得られ最も好ましい。このような焼成カオリンを用いることにより、充分な断熱効果が与えられ感度が高まるとともに、バインダーが顔料に多量に吸収されることがないため、均一な塗工層が形成されて良好な画質が得られると考えられる。一方で、焼成カオリンを用いると、一般に形状が扁平であるためか丸形の炭酸カルシウム等に比べて塗料の流動性に劣る傾向があり、また、焼成されていることから表面にシラノールのOH基(水酸基)が存在せず、水との結合性が弱くなり塗料の保水性が低下しやすいと考えられる。これに対し、本発明では、カルボキシ変性ポリビニルアルコールの作用によって、焼成クレーを用いた場合の塗料適性が改善されると考えられる。
【0011】
さらに、本発明においては、炭酸カルシウムを全顔料に対する含有比率が10%以下となるように用いることが望ましい。この範囲で炭酸カルシウムを含有することにより、塗料の流動性が良好になり、均一な塗工層が形成されて画質が向上すると考えられる。
【0012】
下塗層上に形成する感熱記録層は、従来公知の製造方法に拠って形成する。
本発明の感熱記録体に使用する無色ないし淡色の塩基性無色染料としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙分野で公知のものは全て使用可能であり、特に制限されるものではないが、トリフェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、フルオレン系、ジビニル系化合物等が好ましい。以下に代表的な無色ないし淡色の塩基性無色染料の具体例を示す。また、これらの塩基性無色染料は単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0013】
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド
〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
<フルオラン系ロイコ染料>
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−n−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン
<ジビニル系ロイコ染料>
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
3,3−ビス−〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド
3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
<その他>
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3´−ニトロ)アニリノラクタム
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4´−ニトロ)アニリノラクタム
1,1−ビス−〔2´,2´,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジニトリルエタン
1,1−ビス−〔2´,2´,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン
1,1−ビス−〔2´,2´,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジアセチルエタン
ビス−〔2,2,2´,2´−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル
【0014】
本発明の感熱記録体に使用する顕色剤としては、無色ないし淡色の塩基性染料を発色させる従来公知の顕色剤を併用することができる。かかる顕色剤としては、例えば、特開平3−207688号、特開平5−24366号公報等に記載のビスフェノールA類、4−ヒドロキシ安息香酸エステル類、4−ヒドロキシフタル酸ジエステル類、フタル酸モノエステル類、ビス−(ヒドロキシフェニル)スルフィド類、4−ヒドロキシフェニルアリールスルホン類、4−ヒドロキシフェニルアリールスルホナート類、1,3−ジ[2−(ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]−ベンゼン類、4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸エステル、ビスフェノールスルホン類が例示される。
【0015】
本発明の感熱記録体に使用する増感剤としては、従来公知の増感剤を使用することができる。かかる増感剤としては、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アマイド、エチレンビスアミド、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、β−ベンジルオキシナフタレン、4−ビフェニル−p−トリルエーテル、m−ターフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−α−ナフチルカーボネート、1,4−ジエトキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、o−キシレン−ビス−(フェニルエーテル)、4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニル、4,4′−エチレンジオキシ−ビス−安息香酸ジベンジルエステル、ジベンゾイルオキシメタン、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エチレン、ビス[2−(4−メトキシ−フェノキシ)エチル]エーテル、p−ニトロ安息香酸メチル、p−トルエンスルホン酸フェニルを例示することができるが、特にこれらに制限されるものではない。これらの増感剤は、単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0016】
また、記録画像の耐油性効果等を示す画像安定剤として、
4,4′−ブチリデン(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)
2,2′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメチル−4,4′−スルホニルジフェノール
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン
等を添加することもできる。
【0017】
このほかに脂肪酸金属塩などの離型剤、ワックス類などの滑剤、ベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤、グリオキザールなどの耐水化剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料等を使用することができる。
【0018】
本発明の感熱記録体に使用する塩基性無色染料、顕色剤、その他の各種成分の種類及び量は要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、通常、塩基性無色染料1部に対して顕色剤0.5〜10部、填料0.5〜10部程度が使用される。
【0019】
上記組成からなる塗液を紙、再生紙、合成紙、フィルム、プラスチックフィルム、発泡プラスチックフィルム、不織布等任意の支持体に塗布することによって目的とする感熱記録体が得られる。またこれらを組み合わせた複合シートを支持体として使用してもよい。
【0020】
塩基性無色染料、顕色剤並びに必要に応じて添加する材料は、ボールミル、アトライター、サンドグライダーなどの粉砕機あるいは適当な乳化装置によって数ミクロン以下の粒子径になるまで微粒化し、アクリルエマルジョン、コロイダルシリカおよび目的に応じて各種の添加材料を加えて塗液とする。塗布する手段は特に限定されるものではなく、周知慣用技術に従って塗布することができ、例えばエアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ビルブレードコーター、ロールコーターなど各種コーターを備えたオフマシン塗工機やオンマシン塗工機が適宜選択され使用される。感熱記録層の塗布量は特に限定されず、通常乾燥重量で2〜12g/m2の範囲である。
【0021】
本発明の感熱記録体はさらに、保存性を高める目的で、高分子物質等のオーバーコート層を感熱記録層上に設けたり、発色感度を高める目的で、填料を含有した高分子物質等のアンダーコート層を感熱記録層の下に設けることもできる。支持体の感熱記録層とは反対面にバックコート層を設け、カールの矯正を図ることも可能である。また、各層の塗工後にスーパーカレンダーがけ等の平滑化処理を施すなど、感熱記録体分野における各種公知の技術を必適宜付加することができる。
【0022】
【実施例】
<<感熱記録体の製造;実施例1〜4、比較例1〜4>>
以下に本発明の感熱記録体を実施例によって説明する。尚、説明中、部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を示す。各種溶液、分散液、あるいは塗液を以下のように調製した。
【0023】
[実施例1]
下記配合からなる配合物を攪拌分散して、下塗層塗液を調製した。
次いで、下塗層塗液を支持体(60g/m2の基紙)の片面に塗布した後、乾燥を行い、塗布量10.0g/m2 の下塗層を得た。
下記配合の顕色剤分散液(A液)、及び塩基性無色染料分散液(B液)を、それぞれ別々にサンドグラインダーで平均粒子径1ミクロンになるまで湿式磨砕を行った。
次いで下記の割合で分散液を混合して記録層の塗液とした。
記録層塗液
A液(顕色剤分散液) 36.0部
B液(塩基性無色染料分散液) 9.2部
カオリンクレー(50%分散液) 12.0部
次いで、記録層塗液を前記下塗層形成紙の下塗層上に塗布量6.0g/m2となるように塗布した後、乾燥を行い、このシートをスーパーカレンダーで平滑度が500〜600秒になるように処理して感熱記録体を得た。
【0024】
[実施例2]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合したカルボキシ変性ポリビニルアルコールを他のカルボキシ変性ポリビニルアルコール(クラレ製商品名:KL−318<重合度:約1700、けん化度:85〜90モル%、酢酸ナトリウム:約3%以下>)に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作成した。
【0025】
[実施例3]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合したカルボキシ変性ポリビニルアルコールを他のカルボキシ変性ポリビニルアルコール(クラレ製商品名:KM−118<重合度:約1700、けん化度:95.5〜98.5モル%、酢酸ナトリウム:3%以下>)に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作成した。
【0026】
[実施例4]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合したカルボキシ変性ポリビニルアルコールを他のカルボキシ変性ポリビニルアルコール(日本合成化学社製商品名:T−350<重合度:約1700、けん化度:93〜95モル%、酢酸ナトリウム:3%以下>)に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作成した。
【0027】
[実施例5]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合した顔料を、焼成クレー100部に代えて、焼成クレー95部と炭酸カルシウム(白石工業製商品名:ブリリアント15<吸油量:44cc/100g>)5部に変えた以外は、実施例1と同様に感熱記録体を作成した。
【0028】
[実施例6]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合した顔料を、焼成クレー100部に代えて、シリカ(水沢化学製商品名:ミズシカルP−604<吸油量:135cc/100g>)100部に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作成した。
【0029】
[比較例1]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合したカルボキシ変性ポリビニルアルコールを、完全けん化ポリビニルアルコール(クラレ製商品名:PVA117<重合度:約1700、けん化度:98〜99モル%、酢酸ナトリウム:1%以下>)に変えた以外は、実施例1と同様に感熱記録体を作成した。
【0030】
[比較例2]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合したカルボキシ変性ポリビニルアルコールを、部分けん化型ポリビニルアルコール(クラレ製商品名:PVA217<重合度:約1700、けん化度:87〜89モル%、酢酸ナトリウム:1%以下>)に変えた以外は、実施例1と同様に感熱記録体を作成した。
【0031】
[比較例3]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合したカルボキシ変性ポリビニルアルコール10%溶液の配合部数を5部に変えた以外は、実施例1と同様に感熱記録体を作成した。
【0032】
[比較例4]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合したカルボキシ変性ポリビニルアルコール10%溶液の配合部数を60部に変えた以外は、実施例1と同様の感熱記録体を作成しようとしたが、U液の粘度が上昇し下塗層を形成することができなかった。
【0033】
<下塗層表面性評価>
ベック式平滑度計で測定し評価した。
<記録感度評価>
作製した感熱記録体について、MARKPOINT社製感熱プリンター(ROHM社製サーマルヘッド、KM2004‐A3を装着)を用い印化エネルギー0.096mJ/dotで印字した。記録部の記録濃度は、マクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定し評価した。
<画質評価>
ベタ印字部を目視で評価した。
◎:白抜け部分が観察されない。
○:白抜け部分が若干観察されるが実用上問題ない。
△:白抜け部分がやや多く観察されるが、実用可能である。
×:白抜け部分が非常に多く、実用不可である。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、記録感度が高く、画質の優れた感熱記録体を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩基性無色染料と顕色剤との発色反応を利用した感熱記録体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、感熱記録体は通常無色ないし淡色の塩基性無色染料とフェノ−ル性化合物等の有機顕色剤とを、それぞれ微細な粒子に磨砕分散した後、両者を混合し、バインダ−、充填剤、感度向上剤、滑剤及びその他の助剤を添加して得られた塗料を、紙、合成紙、フィルム、プラスチック等の支持体に塗工したものであり、サ−マルヘッド、ホットスタンプ、熱ペン、レ−ザ−光等の加熱による瞬時の化学反応により発色し、記録画像が得られる。感熱記録体は、ファクシミリ、コンピュ−タ−の端末プリンタ−、自動券売機、計測用レコ−ダ−等に広範囲に使用されている。近年、記録装置の多様化や高性能化の進展に伴って高速印字及び高速の画像形成も可能となってきており、感熱記録体の記録感度に対してより優れた品質が求められている。また、用途の多様化に伴い、低濃度から高濃度にいたるいずれの領域においても、高画質の記録像が得られることも求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これらの要求を満たす方法として、スーパーカレンダー等により感熱記録層表面の平滑度を高めることが一般的に行われているが、必ずしも満足すべき画質が得られなくなってきている。また、高画質は下塗層の塗工均一性が重要であることが知られており、特開昭56−867921号ではスーパーカレンダーにより下塗層の平滑性を向上することが提案されているが、カレンダー圧によって下塗層の多孔性が損なわれ断熱性を失い感度が低下してしまう。さらに、ドット再現性に優れた感熱記録材料を提供するために、特開2000−108518号では第一中間層、第二中間層を積層する方法が提案されているが、工程が複雑になるなど製造上不利である。
そこで、本発明は、これらの問題を招くことなく、記録感度が高く、高画質の記録画像が得られる感熱記録体を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、支持体上に、顔料とバインダーとを主成分として含有する下塗層、無色ないし淡色の塩基性無色染料と該塩基性無色染料と反応して発色させる顕色剤とを主成分として含有する感熱記録層を設けた感熱記録体において、該下塗層がカルボキシ変性ポリビニルアルコールを顔料100重量部に対して1〜5重量部含有する感熱記録体とすることによって達成された。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明における下塗層は、顔料とバインダーとを主成分として含有し、さらにカルボキシ変性ポリビニルアルコールを顔料100重量部に対して1〜5重量部含有することが重要である。より好ましくは、顔料100重量部に対して2〜4重量部であることが望ましい。カルボキシ変性ポリビニルアルコールは塗液の流動性を改善する効果があると考えられるが、含有量が少なすぎるとその作用が十分に発揮されず、多すぎると塗液粘度が高くなり高濃度塗工が困難となってしまう。塗液の濃度を下げた場合、同じ塗布量を得るためには塗液を多量に塗工しなければならず、乾燥負荷も増大し好ましくない。
【0006】
本発明において優れた効果が得られる理由は明らかではないが、次のように考えられる。本発明で用いられるカルボキシ変性ポリビニルアルコールは、ハーキュレス粘度が低い、すなわち回転力(シェア)がかかっている状態での流動性が高く、シェアの低いところでは不動化しやすい。そのため、塗液の塗工時には滑らかに延び、塗工後は、すぐに固化し均質で凹凸のない塗工層が形成される結果、画像の均質性に寄与する下塗層を与えるものと推察される。また、カルボキシ変性ポリビニルアルコールは保水性が高いことから、支持体へのバインダーの浸透を抑えることができ、その結果凸凹のない塗工層の形成に寄与すると推測される。
【0007】
本発明に使用されるカルボキシ変性ポリビニルアルコールの重合度およびけん化度は、塗料の保水性や塗工層の表面強度が良好なことから、重合度1500以上、けん化度85%以上が好ましい。また、カルボキシル基としては、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられる。
【0008】
本発明の下塗層には、カルボキシ変性ポリビニルアルコール以外に、バインダーとしてデンプン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子やスチレン・ブタジエン共重合体、アクリル酸系共重合体等の合成樹脂エマルジョン等を含有する。
【0009】
下塗層の顔料とバインダーとの配合比率は、選択した成分によって任意に決めることができるが、一般的には20:1〜1:1の間である。この下塗層を形成するにあたっては、塗布量は1〜15g/m2程度で、通常の塗工機を用いて紙、再生紙、プラスチックフィルム、合成紙等の適当な材質の支持体上に塗布することによって容易に行われる。塗工方法としてはエアーナイフ法、ブレード法、グラビア法、ロールコーター法等の既知の塗布方法をいずれも利用してよいが、高濃度の塗工が可能で塗液が支持体に浸透しにくく、均一な層構成が形成されることからブレード塗工によって下塗層を形成することが好ましい。
【0010】
下塗層に含有される顔料としては、(焼成)クレー、(焼成)カオリン、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、無定形シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム等が挙げられる。特に吸油量(JIS K 5101法に基づく)が80cc/100g〜120cc/100gの焼成カオリンは、発色感度と画質のバランスに優れた感熱記録体が得られ最も好ましい。このような焼成カオリンを用いることにより、充分な断熱効果が与えられ感度が高まるとともに、バインダーが顔料に多量に吸収されることがないため、均一な塗工層が形成されて良好な画質が得られると考えられる。一方で、焼成カオリンを用いると、一般に形状が扁平であるためか丸形の炭酸カルシウム等に比べて塗料の流動性に劣る傾向があり、また、焼成されていることから表面にシラノールのOH基(水酸基)が存在せず、水との結合性が弱くなり塗料の保水性が低下しやすいと考えられる。これに対し、本発明では、カルボキシ変性ポリビニルアルコールの作用によって、焼成クレーを用いた場合の塗料適性が改善されると考えられる。
【0011】
さらに、本発明においては、炭酸カルシウムを全顔料に対する含有比率が10%以下となるように用いることが望ましい。この範囲で炭酸カルシウムを含有することにより、塗料の流動性が良好になり、均一な塗工層が形成されて画質が向上すると考えられる。
【0012】
下塗層上に形成する感熱記録層は、従来公知の製造方法に拠って形成する。
本発明の感熱記録体に使用する無色ないし淡色の塩基性無色染料としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙分野で公知のものは全て使用可能であり、特に制限されるものではないが、トリフェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、フルオレン系、ジビニル系化合物等が好ましい。以下に代表的な無色ないし淡色の塩基性無色染料の具体例を示す。また、これらの塩基性無色染料は単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0013】
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド
〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
<フルオラン系ロイコ染料>
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−n−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン
<ジビニル系ロイコ染料>
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
3,3−ビス−〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド
3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
<その他>
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3´−ニトロ)アニリノラクタム
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4´−ニトロ)アニリノラクタム
1,1−ビス−〔2´,2´,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジニトリルエタン
1,1−ビス−〔2´,2´,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン
1,1−ビス−〔2´,2´,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジアセチルエタン
ビス−〔2,2,2´,2´−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル
【0014】
本発明の感熱記録体に使用する顕色剤としては、無色ないし淡色の塩基性染料を発色させる従来公知の顕色剤を併用することができる。かかる顕色剤としては、例えば、特開平3−207688号、特開平5−24366号公報等に記載のビスフェノールA類、4−ヒドロキシ安息香酸エステル類、4−ヒドロキシフタル酸ジエステル類、フタル酸モノエステル類、ビス−(ヒドロキシフェニル)スルフィド類、4−ヒドロキシフェニルアリールスルホン類、4−ヒドロキシフェニルアリールスルホナート類、1,3−ジ[2−(ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]−ベンゼン類、4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸エステル、ビスフェノールスルホン類が例示される。
【0015】
本発明の感熱記録体に使用する増感剤としては、従来公知の増感剤を使用することができる。かかる増感剤としては、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アマイド、エチレンビスアミド、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、β−ベンジルオキシナフタレン、4−ビフェニル−p−トリルエーテル、m−ターフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−α−ナフチルカーボネート、1,4−ジエトキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、o−キシレン−ビス−(フェニルエーテル)、4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニル、4,4′−エチレンジオキシ−ビス−安息香酸ジベンジルエステル、ジベンゾイルオキシメタン、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エチレン、ビス[2−(4−メトキシ−フェノキシ)エチル]エーテル、p−ニトロ安息香酸メチル、p−トルエンスルホン酸フェニルを例示することができるが、特にこれらに制限されるものではない。これらの増感剤は、単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0016】
また、記録画像の耐油性効果等を示す画像安定剤として、
4,4′−ブチリデン(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)
2,2′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメチル−4,4′−スルホニルジフェノール
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン
等を添加することもできる。
【0017】
このほかに脂肪酸金属塩などの離型剤、ワックス類などの滑剤、ベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤、グリオキザールなどの耐水化剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料等を使用することができる。
【0018】
本発明の感熱記録体に使用する塩基性無色染料、顕色剤、その他の各種成分の種類及び量は要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、通常、塩基性無色染料1部に対して顕色剤0.5〜10部、填料0.5〜10部程度が使用される。
【0019】
上記組成からなる塗液を紙、再生紙、合成紙、フィルム、プラスチックフィルム、発泡プラスチックフィルム、不織布等任意の支持体に塗布することによって目的とする感熱記録体が得られる。またこれらを組み合わせた複合シートを支持体として使用してもよい。
【0020】
塩基性無色染料、顕色剤並びに必要に応じて添加する材料は、ボールミル、アトライター、サンドグライダーなどの粉砕機あるいは適当な乳化装置によって数ミクロン以下の粒子径になるまで微粒化し、アクリルエマルジョン、コロイダルシリカおよび目的に応じて各種の添加材料を加えて塗液とする。塗布する手段は特に限定されるものではなく、周知慣用技術に従って塗布することができ、例えばエアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ビルブレードコーター、ロールコーターなど各種コーターを備えたオフマシン塗工機やオンマシン塗工機が適宜選択され使用される。感熱記録層の塗布量は特に限定されず、通常乾燥重量で2〜12g/m2の範囲である。
【0021】
本発明の感熱記録体はさらに、保存性を高める目的で、高分子物質等のオーバーコート層を感熱記録層上に設けたり、発色感度を高める目的で、填料を含有した高分子物質等のアンダーコート層を感熱記録層の下に設けることもできる。支持体の感熱記録層とは反対面にバックコート層を設け、カールの矯正を図ることも可能である。また、各層の塗工後にスーパーカレンダーがけ等の平滑化処理を施すなど、感熱記録体分野における各種公知の技術を必適宜付加することができる。
【0022】
【実施例】
<<感熱記録体の製造;実施例1〜4、比較例1〜4>>
以下に本発明の感熱記録体を実施例によって説明する。尚、説明中、部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を示す。各種溶液、分散液、あるいは塗液を以下のように調製した。
【0023】
[実施例1]
下記配合からなる配合物を攪拌分散して、下塗層塗液を調製した。
次いで、下塗層塗液を支持体(60g/m2の基紙)の片面に塗布した後、乾燥を行い、塗布量10.0g/m2 の下塗層を得た。
下記配合の顕色剤分散液(A液)、及び塩基性無色染料分散液(B液)を、それぞれ別々にサンドグラインダーで平均粒子径1ミクロンになるまで湿式磨砕を行った。
次いで下記の割合で分散液を混合して記録層の塗液とした。
記録層塗液
A液(顕色剤分散液) 36.0部
B液(塩基性無色染料分散液) 9.2部
カオリンクレー(50%分散液) 12.0部
次いで、記録層塗液を前記下塗層形成紙の下塗層上に塗布量6.0g/m2となるように塗布した後、乾燥を行い、このシートをスーパーカレンダーで平滑度が500〜600秒になるように処理して感熱記録体を得た。
【0024】
[実施例2]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合したカルボキシ変性ポリビニルアルコールを他のカルボキシ変性ポリビニルアルコール(クラレ製商品名:KL−318<重合度:約1700、けん化度:85〜90モル%、酢酸ナトリウム:約3%以下>)に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作成した。
【0025】
[実施例3]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合したカルボキシ変性ポリビニルアルコールを他のカルボキシ変性ポリビニルアルコール(クラレ製商品名:KM−118<重合度:約1700、けん化度:95.5〜98.5モル%、酢酸ナトリウム:3%以下>)に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作成した。
【0026】
[実施例4]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合したカルボキシ変性ポリビニルアルコールを他のカルボキシ変性ポリビニルアルコール(日本合成化学社製商品名:T−350<重合度:約1700、けん化度:93〜95モル%、酢酸ナトリウム:3%以下>)に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作成した。
【0027】
[実施例5]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合した顔料を、焼成クレー100部に代えて、焼成クレー95部と炭酸カルシウム(白石工業製商品名:ブリリアント15<吸油量:44cc/100g>)5部に変えた以外は、実施例1と同様に感熱記録体を作成した。
【0028】
[実施例6]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合した顔料を、焼成クレー100部に代えて、シリカ(水沢化学製商品名:ミズシカルP−604<吸油量:135cc/100g>)100部に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作成した。
【0029】
[比較例1]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合したカルボキシ変性ポリビニルアルコールを、完全けん化ポリビニルアルコール(クラレ製商品名:PVA117<重合度:約1700、けん化度:98〜99モル%、酢酸ナトリウム:1%以下>)に変えた以外は、実施例1と同様に感熱記録体を作成した。
【0030】
[比較例2]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合したカルボキシ変性ポリビニルアルコールを、部分けん化型ポリビニルアルコール(クラレ製商品名:PVA217<重合度:約1700、けん化度:87〜89モル%、酢酸ナトリウム:1%以下>)に変えた以外は、実施例1と同様に感熱記録体を作成した。
【0031】
[比較例3]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合したカルボキシ変性ポリビニルアルコール10%溶液の配合部数を5部に変えた以外は、実施例1と同様に感熱記録体を作成した。
【0032】
[比較例4]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合したカルボキシ変性ポリビニルアルコール10%溶液の配合部数を60部に変えた以外は、実施例1と同様の感熱記録体を作成しようとしたが、U液の粘度が上昇し下塗層を形成することができなかった。
【0033】
<下塗層表面性評価>
ベック式平滑度計で測定し評価した。
<記録感度評価>
作製した感熱記録体について、MARKPOINT社製感熱プリンター(ROHM社製サーマルヘッド、KM2004‐A3を装着)を用い印化エネルギー0.096mJ/dotで印字した。記録部の記録濃度は、マクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定し評価した。
<画質評価>
ベタ印字部を目視で評価した。
◎:白抜け部分が観察されない。
○:白抜け部分が若干観察されるが実用上問題ない。
△:白抜け部分がやや多く観察されるが、実用可能である。
×:白抜け部分が非常に多く、実用不可である。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、記録感度が高く、画質の優れた感熱記録体を得ることができる。
Claims (3)
- 支持体上に、顔料とバインダーとを主成分として含有する下塗層、無色ないし淡色の塩基性無色染料と該塩基性無色染料と反応して発色させる顕色剤とを主成分として含有する感熱記録層を設けた感熱記録体において、該下塗層がカルボキシ変性ポリビニルアルコールを顔料100重量部に対して1〜5重量部含有することを特徴とする感熱記録体。
- 前記顔料として、JIS K−5101法による吸油量が80ml/100g〜120ml/100gの焼成カオリンを含有する請求項1記載の感熱記録体。
- 前記顔料として、炭酸カルシウムを全顔料に対し10%以下の比率で含有する請求項1または2記載の感熱記録体。
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