JP2004122483A - 感熱記録体 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録感度が高く、画質の良好な感熱記録体の提供。
【解決手段】紙支持体上に下塗層、感熱記録層を順次積層して成る感熱記録体において、該下塗層の層厚が、その最も厚い部分と最も薄い部分との差がその中間値に対し60%以内であることを特徴とする感熱記録体。
【解決手段】紙支持体上に下塗層、感熱記録層を順次積層して成る感熱記録体において、該下塗層の層厚が、その最も厚い部分と最も薄い部分との差がその中間値に対し60%以内であることを特徴とする感熱記録体。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩基性無色染料と顕色剤との発色反応を利用した感熱記録体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、無色又は淡色の電子供与性染料前駆体(以下染料前駆体という)と染料前駆体と加熱した時に反応して発色させる顕色剤とを主成分とする感熱記録層を有する感熱記録体は、広く実用化されている。この感熱記録体に記録を行うには、サーマルヘッドを内蔵したサーマルプリンター等が用いられるが、このような感熱記録法は、従来実用化された他の記録法に比べて、記録時に騒音がない、現像定着の必要がない、メンテナンスフリーである、機器が比較的安価でありコンパクトである、得られた発色が非常に鮮明であるといった特徴から、情報産業の発展に伴い、ファクシミリやコンピューター分野、各種計測器、ラベル用等に広く使用されている。
【0003】
近年、記録装置の多様化や高性能化の進展に伴って高速印字及び高速の画像形成も可能となってきており、感熱記録体の記録感度に対してより優れた品質が求められている。また、用途の多様化に伴い、低濃度から高濃度にいたるいずれの領域においても、高画質の記録像が得られることも求められている。
【0004】
これらの要求を満たす方法として、スーパーカレンダー等により感熱記録体表面の平滑度を高めることが一般的に行われている。また、感熱記録層と支持体の間に下塗層(下塗層)を設けることや、スーパーカレンダーにより下塗層の平滑性を向上することが提案されている。さらに、例えば特許文献1には、ドット再現性および記録感度の向上を目的として、感熱記録層と支持体の間に2層の下塗層を設けることが記載されている。
【特許文献1】
特開昭63−209882号公報(請求項1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、高平滑化を目的とした強いカレンダー処理は、感熱記録表面の必要以上の光沢化あるいは、白色度の低下、すなわち地肌かぶりを生じ、更には感熱ヘッドとの密着性が向上したことにより感熱ヘッドへのかす付着や印字時のスティッキングがみられる等の欠点が生じてくる。これに対し、下塗層を設けることにより、支持体の凹凸が埋まりより滑らかな表面が形成され、感熱塗工層設置後の表面平滑性が向上すると考えられ、強いスーパーカレンダー処理をすることなしに小さな印加エネルギーで高感度化が可能となる。このように下塗層によって、高感度・高画質化が進んではきたが、近年のより一層の高感度・高画質化への要求には、下塗層の設置だけでは対応できなくなってきている。また、下塗層にカレンダーをかけると、カレンダー圧によって下塗層の多孔性が損なわれ、断熱性を失い感度が低下してしまう。
そこで、本発明は、これらの問題を招くことなく、高感度・高画質の記録画像が得られる感熱記録体を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、紙支持体上に下塗層、感熱記録層を積層して成る感熱記録体において、該下塗層の層厚が、最も厚い部分と最も薄い部分との差がその中間値に対し60%以内であることを特徴とする感熱記録体とすることによって達成された。
【0007】
本発明において優れた効果が得られる理由は明らかでないが、次のように考えられる。下塗層は、紙支持体表面の凹凸を埋める作用があるとともに断熱層としても機能するが、下塗層の層厚が不均一であると層厚の薄い部分では断熱不十分となり、層厚の厚い部分に比べて、同じエネルギーで印字した場合に記録濃度が低くなる。その結果、ドットの再現性に差違が生じ(ドット抜けが発生する)、画質の低下を招くと考えられる。これに対し、本発明においては、従来に比べより均一な下塗層が形成されることにより、高画質化が可能となったと推察される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明における下塗層は、層厚の最も厚い部分と薄い部分との差が、最も厚い部分と薄い部分との中間値に対し60%以内であることが必要であり、紙支持体の凹凸を埋め、層厚のバラツキが小さく平坦で、表面の均一性が高いことが重要である。より好ましくは、50%以内にあることが望ましい。本発明において層厚の差は、感熱記録体の断面を電子顕微鏡によって撮影した任意の5箇所(電顕写真5枚)から、それぞれ最も厚い部分(A1〜A5)と最も薄い部分(B1〜B5)の厚さを測定し、その中で最も厚い部分の値(Amax)と最も薄い部分の値(Bmax)との差で表す。また中間値とは、(Amax+Bmax)÷2にて表される値である。
【0009】
本発明において下塗層を形成するにあたっては、塗工・乾燥工程を2度以上に分けて行うことが望ましい。下塗層を2度以上に分けて形成することは、同じ塗布量の下塗層を一度に形成する場合に比べ、比較的薄い層を積層することから、各層は困難を伴うことなく均一に形成されると考えられる。また、主に第1層目は支持体の凹凸を平坦化することに寄与し、第2層目はより均一な層形成に寄与すると考えられる。また、塗工層中のバインダーの局在化による層強度の低下等も、下塗層を一度に設けるよりも2層以上に形成した方が改善され好ましい。
【0010】
また、本発明のような下塗層を紙支持体上に形成するためには、下塗層用塗液の脱水量が100g/m2以下であることが望ましい。脱水量は、塗液を調整後、紙支持体となる原紙を用いて、この原紙に吸い取られる水の量を測定したものであり、脱水量の値が小さいほど保水性が良好であるといえる。脱水量が高すぎる塗液の場合は、塗工装置のアプリケーション部において紙支持体から塗液に対し直ちに脱水作用が働き、水分を吸収した紙支持体ではそれを構成する繊維が膨潤し、凹凸が発生して塗工層の不均一化が引き起こされたり、あるいは、急激な脱水により塗液中の固形分が増加してストリーク(固化した塗液が付着した部分の塗布量低下や未塗工部の発生)を引き起こすなど、本来下塗層が備えるべき特性が著しく損なわれる。特に、下塗層を2層以上設ける場合には、第1層の下塗層用塗液の脱水量が上記範囲にあることが望ましい。
【0011】
本発明に用いる下塗層は、顔料とバインダーとを主成分として含有し、さらに保水剤を顔料100重量部に対して1〜5重量部、好ましくは、顔料100重量部に対して2〜4重量部含有することにより、塗液の脱水量が制御され均一な下塗層を形成することができ望ましい。保水剤としては、変性珪酸塩のような無機重合体、ポリアクリル酸塩及びスチレンマレイン酸無水物共重合体のような合成重合体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース誘導体とアルギン酸ナトリウムのような多糖類等が挙げられるが、特に規定するものではない。中でも、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースが好ましい。
【0012】
下塗層に含有される顔料としては、焼成クレー、焼成カオリン、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、無定形シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム等が挙げられる。特に焼成カオリンは、発色感度と画質のバランスに優れた感熱記録体が得られ最も好ましい。
【0013】
本発明の下塗層には、上記以外に、バインダーとしてデンプン、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子やスチレン・ブタジエン共重合体ラテックス、アクリル酸系共重合体等の合成樹脂エマルジョン等の水溶性高分子等を混合して水性系の塗液を調整し、通常の塗工機を用いて紙支持体上に塗布、乾燥することによって容易に行われる。中でも、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックおよびポリビニルアルコール(完全ケン化)が好ましい。
【0014】
塗工方法としてはエアーナイフ法、ブレード法、グラビア法、ロールコーター法等の既知の塗布方法をいずれも利用してよいが、高濃度の塗工が可能で塗液が支持体に浸透しにくく、均一な層構成が形成されることからブレード塗工によって下塗層を形成することが好ましい。
【0015】
本発明の紙支持体に用いる原紙は、木材パルプを主原料とし、これを抄紙して製造する。木材パルプとしては、針葉樹パルプ、広葉樹パルプのいずれも使用可能であるが、短繊維で平滑性の出しやすい広葉樹パルプがより好ましい。なお、必要に応じて、木材パルプの一部をポリエチレン、ポリプロピレン等からなる合成パルプ、あるいはポリエステル、ポリビニルアルコール、ナイロン等からなる合成繊維に置換えてもよい。原紙中には、ロジン、パラフィンワックス、高級脂肪酸塩、アルケニルコハク酸塩、脂肪酸無水物、アルキルケテンダイマーのような内添サイズ剤を加えてもよい。内添サイズ以外の内添薬品として、ポリアクリルアミド、スターチ、ポリビニルアルコール、メラミンホルムアルデヒド縮合物等の紙力増強剤、無水マレイン酸共重合体とポリアルキレンポリアミンとの反応物、高級脂肪酸四級アンモニウム塩等の柔軟化剤、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、カオリン、二酸化チタン、尿素樹脂微粒子等の填料、硫酸バンド、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン等の定着剤、蛍光染料等を必要に応じて原紙中に添加してもよい。
【0016】
なお、原紙表面に公知の表面サイズ剤を塗布し、その上に下塗層を設けてもよい。表面サイズ剤の例としては、ポリビニルアルコール、スターチ、ポリアクリルアミド、ゼラチン、カゼイン、スチレン無水マレイン酸共重合体、アルキルケテンダイマー、ポリウレタン、エポキシ化脂肪酸アミド等を挙げることができる。
【0017】
また、紙支持体の平滑性を向上させる目的で、上記塗布層の塗布時、または塗布後、グロスカレンダーまたはスーパーカレンダーのようなカレンダー処理を実施することが好ましい。
【0018】
下塗層上に形成する感熱記録層は、従来公知の製造方法に拠って形成する。
本発明の感熱記録体に使用する無色ないし淡色の塩基性無色染料としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙分野で公知のものは全て使用可能であり、特に制限されるものではないが、トリフェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、フルオレン系、ジビニル系化合物等が好ましい。以下に代表的な無色ないし淡色の塩基性無色染料の具体例を示す。また、これらの塩基性無色染料は単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0019】
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド
〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド
〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
<フルオラン系ロイコ染料>
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−n−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン
<ジビニル系ロイコ染料>
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
3,3−ビス−〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド
3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
<その他>
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3´−ニトロ)アニリノラクタム
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4´−ニトロ)アニリノラクタム
1,1−ビス−〔2´,2´,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジニトリルエタン
1,1−ビス−〔2´,2´,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン
1,1−ビス−〔2´,2´,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジアセチルエタン
ビス−〔2,2,2´,2´−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル
【0020】
本発明の感熱記録体に使用する顕色剤としては、無色ないし淡色の塩基性染料を発色させる従来公知の顕色剤を併用することができる。かかる顕色剤としては、例えば、特開平3−207688号、特開平5−24366号公報等に記載のビスフェノールA類、4−ヒドロキシ安息香酸エステル類、4−ヒドロキシフタル酸ジエステル類、フタル酸モノエステル類、ビス−(ヒドロキシフェニル)スルフィド類、4−ヒドロキシフェニルアリールスルホン類、4−ヒドロキシフェニルアリールスルホナート類、1,3−ジ[2−(ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]−ベンゼン類、4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸エステル、ビスフェノールスルホン類が例示される。
【0021】
本発明の感熱記録体に使用する増感剤としては、従来公知の増感剤を使用することができる。かかる増感剤としては、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アマイド、エチレンビスアミド、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、β−ベンジルオキシナフタレン、4−ビフェニル−p−トリルエーテル、m−ターフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−α−ナフチルカーボネート、1,4−ジエトキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、o−キシレン−ビス−(フェニルエーテル)、4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニル、4,4′−エチレンジオキシ−ビス−安息香酸ジベンジルエステル、ジベンゾイルオキシメタン、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エチレン、ビス[2−(4−メトキシ−フェノキシ)エチル]エーテル、p−ニトロ安息香酸メチル、p−トルエンスルホン酸フェニルを例示することができるが、特にこれらに制限されるものではない。これらの増感剤は、単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0022】
また、記録画像の耐油性効果等を示す画像安定剤として、
4,4′−ブチリデン(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)
2,2′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメチル−4,4′−スルホニルジフェノール
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン
等を添加することもできる。
【0023】
バインダーとしては、重合度が200〜1900の完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体並びにエチルセルロール、アセチルセルロースのようなセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチルラールポリスチロースおよびそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロ樹脂を例示することができる。これらの高分子物質は水、アルコール、ケトン、エステル、炭化水素等の溶剤に溶かして使用するほか、水又は他の媒体中に乳化又はペースト状に分散した状態で使用し、要求品質に応じて併用することも出来る。
【0024】
填料としては、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウムなどの無機または有機充填剤などが挙げられる。
【0025】
このほかに脂肪酸金属塩などの離型剤、ワックス類などの滑剤、ベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤、グリオキザールなどの耐水化剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料等を使用することができる。
【0026】
本発明の感熱記録体に使用する塩基性無色染料、顕色剤、その他の各種成分の種類及び量は要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、通常、塩基性無色染料1部に対して顕色剤0.5〜10部、填料0.5〜10部程度が使用される。
【0027】
塩基性無色染料、顕色剤並びに必要に応じて添加する材料は、ボールミル、アトライター、サンドグライダーなどの粉砕機あるいは適当な乳化装置によって数ミクロン以下の粒子径になるまで微粒化し、バインダーおよび目的に応じて各種の添加材料を加えて塗液とする。塗布する手段は特に限定されるものではなく、周知慣用技術に従って塗布することができ、例えばエアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ビルブレードコーター、ロールコーターなど各種コーターを備えた塗工機が適宜選択され使用される。中でもブレードコーターが好ましい。感熱記録層の塗布量は特に限定されず、通常乾燥重量で2〜12g/m2の範囲である。
【0028】
本発明の感熱記録体はさらに、保存性を高める目的で、高分子物質等のオーバーコート層を感熱記録層上に設けたり、支持体の感熱記録層とは反対面にバックコート層を設け、カールの矯正を図ることも可能である。また、各層の塗工後にスーパーカレンダーがけ等の平滑化処理を施すなど、感熱記録体分野における各種公知の技術を必適宜付加することができる。
【0029】
【実施例】
<<感熱記録体の製造;実施例1〜4、比較例1〜4>>
以下に本発明の感熱記録体を実施例によって説明する。尚、説明中、部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を示す。各種溶液、分散液、あるいは塗液を以下のように調製した。
【0030】
〔A液〕
焼成カオリン 100部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(固形分48%) 40部
完全ケン化ポリビニルアルコール(10%水溶液) 30部
カルボキシメチルセルロース2%水溶液 25部
ヒドロキシメチルセルロース(固形分40%) 8部
水 130部
〔B液〕
焼成カオリン 100部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(固形分48%) 40部
完全ケン化ポリビニルアルコール(10%水溶液) 30部
カルボキシメチルセルロース2%水溶液 25部
ヒドロキシメチルセルロース(固形分100%) 0.6部
水 150部
〔C液〕
焼成カオリン 100部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(固形分48%) 40部
完全ケン化ポリビニルアルコール(10%水溶液) 30部
カルボキシメチルセルロース2%水溶液 25部
アクリル系保水剤(固形分30%) 3部
水 130部
〔D液〕
焼成カオリン 100部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(固形分48%) 40部
完全ケン化ポリビニルアルコール(10%水溶液) 30部
カルボキシメチルセルロース2%水溶液 25部
水 130部
これらの下塗層塗液を紙支持体(坪量100g/m2、密度:0.85g/cm3、サイズ度:80秒)の片面に表2に示したようにブレード塗工方式にて塗布、乾燥を行い下塗層を得た。下塗層を2層以上設ける場合は、支持体上に第1層その上に第2層として、それぞれ順次塗布、乾燥を行った。
【0031】
次に下記配合の顕色剤分散液(E液)、及び塩基性無色染料分散液(F液)を、それぞれ別々にサンドグラインダーで平均粒子径1ミクロンになるまで湿式磨砕を行った。
〔E液〕
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン 6.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 18.8部
水 11.2部
〔F液〕
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 2.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 4.6部
水 2.6部
次いで下記の割合で分散液を混合して記録層の塗液とした。
記録層塗液
E液(顕色剤分散液) 36.0部
F液(塩基性無色染料分散液) 9.2部
カオリンクレー(50%分散液) 12.0部
次いで、記録層塗液を前記下塗層形成紙の下塗層上に塗布量6.0g/m2となるように塗布した後、乾燥を行い、このシートをスーパーカレンダーで平滑度が500〜600秒になるように処理して感熱記録体を得た。
【0032】
<塗液脱水量評価>
静的保水度計(AA−GWR:メンブレンフィルタ5μm使用、50kPa、40秒設定)にて、上記で用いた紙支持体7〜8枚を用いて下塗層塗液からの脱水量を測定し評価した。
【0033】
<下塗層表面性評価>
下塗層を設けた後、ベック式平滑度計で測定し評価した。下塗層を2層以上設けた場合は、2層目を設けた後測定した。
【0034】
<下塗層厚>
電子顕微鏡にて感熱記録体の断面を無作為に5箇所撮影し、5枚の電子顕微鏡写真(感熱記録体の横幅250μmの範囲)それぞれにおいて、最も厚い部分(A1〜A5)と最も薄い部分の厚さ(B1〜B5)を測定し、その中で最も厚い部分の値(Amax)と最も薄い部分の値(Bmin)との差で表す。また中間値とは、(Amax+Bmin)÷2にて表される値である。
【0035】
<記録感度評価>
大倉電気社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.41mj/dotで印字した。記録部の記録濃度は、マクベス濃度計(RD−914)で測定し評価した。
【0036】
<画質評価>
前記感熱記録紙印字試験機を用い、印加エネルギー0.21mj/dotで印字、ベタ印字部を目視で評価した。
○:白抜け部分が観察されない。
△:白抜け部分が若干観察される。
×:白抜け部分が非常に多い。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、記録感度が高く、画質の優れた感熱記録体を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩基性無色染料と顕色剤との発色反応を利用した感熱記録体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、無色又は淡色の電子供与性染料前駆体(以下染料前駆体という)と染料前駆体と加熱した時に反応して発色させる顕色剤とを主成分とする感熱記録層を有する感熱記録体は、広く実用化されている。この感熱記録体に記録を行うには、サーマルヘッドを内蔵したサーマルプリンター等が用いられるが、このような感熱記録法は、従来実用化された他の記録法に比べて、記録時に騒音がない、現像定着の必要がない、メンテナンスフリーである、機器が比較的安価でありコンパクトである、得られた発色が非常に鮮明であるといった特徴から、情報産業の発展に伴い、ファクシミリやコンピューター分野、各種計測器、ラベル用等に広く使用されている。
【0003】
近年、記録装置の多様化や高性能化の進展に伴って高速印字及び高速の画像形成も可能となってきており、感熱記録体の記録感度に対してより優れた品質が求められている。また、用途の多様化に伴い、低濃度から高濃度にいたるいずれの領域においても、高画質の記録像が得られることも求められている。
【0004】
これらの要求を満たす方法として、スーパーカレンダー等により感熱記録体表面の平滑度を高めることが一般的に行われている。また、感熱記録層と支持体の間に下塗層(下塗層)を設けることや、スーパーカレンダーにより下塗層の平滑性を向上することが提案されている。さらに、例えば特許文献1には、ドット再現性および記録感度の向上を目的として、感熱記録層と支持体の間に2層の下塗層を設けることが記載されている。
【特許文献1】
特開昭63−209882号公報(請求項1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、高平滑化を目的とした強いカレンダー処理は、感熱記録表面の必要以上の光沢化あるいは、白色度の低下、すなわち地肌かぶりを生じ、更には感熱ヘッドとの密着性が向上したことにより感熱ヘッドへのかす付着や印字時のスティッキングがみられる等の欠点が生じてくる。これに対し、下塗層を設けることにより、支持体の凹凸が埋まりより滑らかな表面が形成され、感熱塗工層設置後の表面平滑性が向上すると考えられ、強いスーパーカレンダー処理をすることなしに小さな印加エネルギーで高感度化が可能となる。このように下塗層によって、高感度・高画質化が進んではきたが、近年のより一層の高感度・高画質化への要求には、下塗層の設置だけでは対応できなくなってきている。また、下塗層にカレンダーをかけると、カレンダー圧によって下塗層の多孔性が損なわれ、断熱性を失い感度が低下してしまう。
そこで、本発明は、これらの問題を招くことなく、高感度・高画質の記録画像が得られる感熱記録体を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、紙支持体上に下塗層、感熱記録層を積層して成る感熱記録体において、該下塗層の層厚が、最も厚い部分と最も薄い部分との差がその中間値に対し60%以内であることを特徴とする感熱記録体とすることによって達成された。
【0007】
本発明において優れた効果が得られる理由は明らかでないが、次のように考えられる。下塗層は、紙支持体表面の凹凸を埋める作用があるとともに断熱層としても機能するが、下塗層の層厚が不均一であると層厚の薄い部分では断熱不十分となり、層厚の厚い部分に比べて、同じエネルギーで印字した場合に記録濃度が低くなる。その結果、ドットの再現性に差違が生じ(ドット抜けが発生する)、画質の低下を招くと考えられる。これに対し、本発明においては、従来に比べより均一な下塗層が形成されることにより、高画質化が可能となったと推察される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明における下塗層は、層厚の最も厚い部分と薄い部分との差が、最も厚い部分と薄い部分との中間値に対し60%以内であることが必要であり、紙支持体の凹凸を埋め、層厚のバラツキが小さく平坦で、表面の均一性が高いことが重要である。より好ましくは、50%以内にあることが望ましい。本発明において層厚の差は、感熱記録体の断面を電子顕微鏡によって撮影した任意の5箇所(電顕写真5枚)から、それぞれ最も厚い部分(A1〜A5)と最も薄い部分(B1〜B5)の厚さを測定し、その中で最も厚い部分の値(Amax)と最も薄い部分の値(Bmax)との差で表す。また中間値とは、(Amax+Bmax)÷2にて表される値である。
【0009】
本発明において下塗層を形成するにあたっては、塗工・乾燥工程を2度以上に分けて行うことが望ましい。下塗層を2度以上に分けて形成することは、同じ塗布量の下塗層を一度に形成する場合に比べ、比較的薄い層を積層することから、各層は困難を伴うことなく均一に形成されると考えられる。また、主に第1層目は支持体の凹凸を平坦化することに寄与し、第2層目はより均一な層形成に寄与すると考えられる。また、塗工層中のバインダーの局在化による層強度の低下等も、下塗層を一度に設けるよりも2層以上に形成した方が改善され好ましい。
【0010】
また、本発明のような下塗層を紙支持体上に形成するためには、下塗層用塗液の脱水量が100g/m2以下であることが望ましい。脱水量は、塗液を調整後、紙支持体となる原紙を用いて、この原紙に吸い取られる水の量を測定したものであり、脱水量の値が小さいほど保水性が良好であるといえる。脱水量が高すぎる塗液の場合は、塗工装置のアプリケーション部において紙支持体から塗液に対し直ちに脱水作用が働き、水分を吸収した紙支持体ではそれを構成する繊維が膨潤し、凹凸が発生して塗工層の不均一化が引き起こされたり、あるいは、急激な脱水により塗液中の固形分が増加してストリーク(固化した塗液が付着した部分の塗布量低下や未塗工部の発生)を引き起こすなど、本来下塗層が備えるべき特性が著しく損なわれる。特に、下塗層を2層以上設ける場合には、第1層の下塗層用塗液の脱水量が上記範囲にあることが望ましい。
【0011】
本発明に用いる下塗層は、顔料とバインダーとを主成分として含有し、さらに保水剤を顔料100重量部に対して1〜5重量部、好ましくは、顔料100重量部に対して2〜4重量部含有することにより、塗液の脱水量が制御され均一な下塗層を形成することができ望ましい。保水剤としては、変性珪酸塩のような無機重合体、ポリアクリル酸塩及びスチレンマレイン酸無水物共重合体のような合成重合体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース誘導体とアルギン酸ナトリウムのような多糖類等が挙げられるが、特に規定するものではない。中でも、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースが好ましい。
【0012】
下塗層に含有される顔料としては、焼成クレー、焼成カオリン、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、無定形シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム等が挙げられる。特に焼成カオリンは、発色感度と画質のバランスに優れた感熱記録体が得られ最も好ましい。
【0013】
本発明の下塗層には、上記以外に、バインダーとしてデンプン、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子やスチレン・ブタジエン共重合体ラテックス、アクリル酸系共重合体等の合成樹脂エマルジョン等の水溶性高分子等を混合して水性系の塗液を調整し、通常の塗工機を用いて紙支持体上に塗布、乾燥することによって容易に行われる。中でも、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックおよびポリビニルアルコール(完全ケン化)が好ましい。
【0014】
塗工方法としてはエアーナイフ法、ブレード法、グラビア法、ロールコーター法等の既知の塗布方法をいずれも利用してよいが、高濃度の塗工が可能で塗液が支持体に浸透しにくく、均一な層構成が形成されることからブレード塗工によって下塗層を形成することが好ましい。
【0015】
本発明の紙支持体に用いる原紙は、木材パルプを主原料とし、これを抄紙して製造する。木材パルプとしては、針葉樹パルプ、広葉樹パルプのいずれも使用可能であるが、短繊維で平滑性の出しやすい広葉樹パルプがより好ましい。なお、必要に応じて、木材パルプの一部をポリエチレン、ポリプロピレン等からなる合成パルプ、あるいはポリエステル、ポリビニルアルコール、ナイロン等からなる合成繊維に置換えてもよい。原紙中には、ロジン、パラフィンワックス、高級脂肪酸塩、アルケニルコハク酸塩、脂肪酸無水物、アルキルケテンダイマーのような内添サイズ剤を加えてもよい。内添サイズ以外の内添薬品として、ポリアクリルアミド、スターチ、ポリビニルアルコール、メラミンホルムアルデヒド縮合物等の紙力増強剤、無水マレイン酸共重合体とポリアルキレンポリアミンとの反応物、高級脂肪酸四級アンモニウム塩等の柔軟化剤、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、カオリン、二酸化チタン、尿素樹脂微粒子等の填料、硫酸バンド、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン等の定着剤、蛍光染料等を必要に応じて原紙中に添加してもよい。
【0016】
なお、原紙表面に公知の表面サイズ剤を塗布し、その上に下塗層を設けてもよい。表面サイズ剤の例としては、ポリビニルアルコール、スターチ、ポリアクリルアミド、ゼラチン、カゼイン、スチレン無水マレイン酸共重合体、アルキルケテンダイマー、ポリウレタン、エポキシ化脂肪酸アミド等を挙げることができる。
【0017】
また、紙支持体の平滑性を向上させる目的で、上記塗布層の塗布時、または塗布後、グロスカレンダーまたはスーパーカレンダーのようなカレンダー処理を実施することが好ましい。
【0018】
下塗層上に形成する感熱記録層は、従来公知の製造方法に拠って形成する。
本発明の感熱記録体に使用する無色ないし淡色の塩基性無色染料としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙分野で公知のものは全て使用可能であり、特に制限されるものではないが、トリフェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、フルオレン系、ジビニル系化合物等が好ましい。以下に代表的な無色ないし淡色の塩基性無色染料の具体例を示す。また、これらの塩基性無色染料は単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0019】
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド
〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド
〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
<フルオラン系ロイコ染料>
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−n−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン
<ジビニル系ロイコ染料>
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
3,3−ビス−〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド
3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
<その他>
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3´−ニトロ)アニリノラクタム
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4´−ニトロ)アニリノラクタム
1,1−ビス−〔2´,2´,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジニトリルエタン
1,1−ビス−〔2´,2´,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン
1,1−ビス−〔2´,2´,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジアセチルエタン
ビス−〔2,2,2´,2´−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル
【0020】
本発明の感熱記録体に使用する顕色剤としては、無色ないし淡色の塩基性染料を発色させる従来公知の顕色剤を併用することができる。かかる顕色剤としては、例えば、特開平3−207688号、特開平5−24366号公報等に記載のビスフェノールA類、4−ヒドロキシ安息香酸エステル類、4−ヒドロキシフタル酸ジエステル類、フタル酸モノエステル類、ビス−(ヒドロキシフェニル)スルフィド類、4−ヒドロキシフェニルアリールスルホン類、4−ヒドロキシフェニルアリールスルホナート類、1,3−ジ[2−(ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]−ベンゼン類、4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸エステル、ビスフェノールスルホン類が例示される。
【0021】
本発明の感熱記録体に使用する増感剤としては、従来公知の増感剤を使用することができる。かかる増感剤としては、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アマイド、エチレンビスアミド、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、β−ベンジルオキシナフタレン、4−ビフェニル−p−トリルエーテル、m−ターフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−α−ナフチルカーボネート、1,4−ジエトキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、o−キシレン−ビス−(フェニルエーテル)、4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニル、4,4′−エチレンジオキシ−ビス−安息香酸ジベンジルエステル、ジベンゾイルオキシメタン、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エチレン、ビス[2−(4−メトキシ−フェノキシ)エチル]エーテル、p−ニトロ安息香酸メチル、p−トルエンスルホン酸フェニルを例示することができるが、特にこれらに制限されるものではない。これらの増感剤は、単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0022】
また、記録画像の耐油性効果等を示す画像安定剤として、
4,4′−ブチリデン(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)
2,2′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメチル−4,4′−スルホニルジフェノール
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン
等を添加することもできる。
【0023】
バインダーとしては、重合度が200〜1900の完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体並びにエチルセルロール、アセチルセルロースのようなセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチルラールポリスチロースおよびそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロ樹脂を例示することができる。これらの高分子物質は水、アルコール、ケトン、エステル、炭化水素等の溶剤に溶かして使用するほか、水又は他の媒体中に乳化又はペースト状に分散した状態で使用し、要求品質に応じて併用することも出来る。
【0024】
填料としては、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウムなどの無機または有機充填剤などが挙げられる。
【0025】
このほかに脂肪酸金属塩などの離型剤、ワックス類などの滑剤、ベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤、グリオキザールなどの耐水化剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料等を使用することができる。
【0026】
本発明の感熱記録体に使用する塩基性無色染料、顕色剤、その他の各種成分の種類及び量は要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、通常、塩基性無色染料1部に対して顕色剤0.5〜10部、填料0.5〜10部程度が使用される。
【0027】
塩基性無色染料、顕色剤並びに必要に応じて添加する材料は、ボールミル、アトライター、サンドグライダーなどの粉砕機あるいは適当な乳化装置によって数ミクロン以下の粒子径になるまで微粒化し、バインダーおよび目的に応じて各種の添加材料を加えて塗液とする。塗布する手段は特に限定されるものではなく、周知慣用技術に従って塗布することができ、例えばエアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ビルブレードコーター、ロールコーターなど各種コーターを備えた塗工機が適宜選択され使用される。中でもブレードコーターが好ましい。感熱記録層の塗布量は特に限定されず、通常乾燥重量で2〜12g/m2の範囲である。
【0028】
本発明の感熱記録体はさらに、保存性を高める目的で、高分子物質等のオーバーコート層を感熱記録層上に設けたり、支持体の感熱記録層とは反対面にバックコート層を設け、カールの矯正を図ることも可能である。また、各層の塗工後にスーパーカレンダーがけ等の平滑化処理を施すなど、感熱記録体分野における各種公知の技術を必適宜付加することができる。
【0029】
【実施例】
<<感熱記録体の製造;実施例1〜4、比較例1〜4>>
以下に本発明の感熱記録体を実施例によって説明する。尚、説明中、部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を示す。各種溶液、分散液、あるいは塗液を以下のように調製した。
【0030】
〔A液〕
焼成カオリン 100部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(固形分48%) 40部
完全ケン化ポリビニルアルコール(10%水溶液) 30部
カルボキシメチルセルロース2%水溶液 25部
ヒドロキシメチルセルロース(固形分40%) 8部
水 130部
〔B液〕
焼成カオリン 100部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(固形分48%) 40部
完全ケン化ポリビニルアルコール(10%水溶液) 30部
カルボキシメチルセルロース2%水溶液 25部
ヒドロキシメチルセルロース(固形分100%) 0.6部
水 150部
〔C液〕
焼成カオリン 100部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(固形分48%) 40部
完全ケン化ポリビニルアルコール(10%水溶液) 30部
カルボキシメチルセルロース2%水溶液 25部
アクリル系保水剤(固形分30%) 3部
水 130部
〔D液〕
焼成カオリン 100部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(固形分48%) 40部
完全ケン化ポリビニルアルコール(10%水溶液) 30部
カルボキシメチルセルロース2%水溶液 25部
水 130部
これらの下塗層塗液を紙支持体(坪量100g/m2、密度:0.85g/cm3、サイズ度:80秒)の片面に表2に示したようにブレード塗工方式にて塗布、乾燥を行い下塗層を得た。下塗層を2層以上設ける場合は、支持体上に第1層その上に第2層として、それぞれ順次塗布、乾燥を行った。
【0031】
次に下記配合の顕色剤分散液(E液)、及び塩基性無色染料分散液(F液)を、それぞれ別々にサンドグラインダーで平均粒子径1ミクロンになるまで湿式磨砕を行った。
〔E液〕
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン 6.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 18.8部
水 11.2部
〔F液〕
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 2.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 4.6部
水 2.6部
次いで下記の割合で分散液を混合して記録層の塗液とした。
記録層塗液
E液(顕色剤分散液) 36.0部
F液(塩基性無色染料分散液) 9.2部
カオリンクレー(50%分散液) 12.0部
次いで、記録層塗液を前記下塗層形成紙の下塗層上に塗布量6.0g/m2となるように塗布した後、乾燥を行い、このシートをスーパーカレンダーで平滑度が500〜600秒になるように処理して感熱記録体を得た。
【0032】
<塗液脱水量評価>
静的保水度計(AA−GWR:メンブレンフィルタ5μm使用、50kPa、40秒設定)にて、上記で用いた紙支持体7〜8枚を用いて下塗層塗液からの脱水量を測定し評価した。
【0033】
<下塗層表面性評価>
下塗層を設けた後、ベック式平滑度計で測定し評価した。下塗層を2層以上設けた場合は、2層目を設けた後測定した。
【0034】
<下塗層厚>
電子顕微鏡にて感熱記録体の断面を無作為に5箇所撮影し、5枚の電子顕微鏡写真(感熱記録体の横幅250μmの範囲)それぞれにおいて、最も厚い部分(A1〜A5)と最も薄い部分の厚さ(B1〜B5)を測定し、その中で最も厚い部分の値(Amax)と最も薄い部分の値(Bmin)との差で表す。また中間値とは、(Amax+Bmin)÷2にて表される値である。
【0035】
<記録感度評価>
大倉電気社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.41mj/dotで印字した。記録部の記録濃度は、マクベス濃度計(RD−914)で測定し評価した。
【0036】
<画質評価>
前記感熱記録紙印字試験機を用い、印加エネルギー0.21mj/dotで印字、ベタ印字部を目視で評価した。
○:白抜け部分が観察されない。
△:白抜け部分が若干観察される。
×:白抜け部分が非常に多い。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、記録感度が高く、画質の優れた感熱記録体を得ることができる。
Claims (3)
- 紙支持体上に下塗層、感熱記録層を積層して成る感熱記録体において、該下塗層の層厚が、最も厚い部分と最も薄い部分との差がその中間値に対し60%以内であることを特徴とする感熱記録体。
- 下塗層が2層以上設けられている請求項1記載の感熱記録体。
- 下塗層用塗液の脱水量が100g/m2以下である請求項1または2記載の感熱記録体。
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