JP2004089544A - ゴルフボール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ゴルフボール1の直径Dは、43.0mm以上50.0mm以下である。このゴルフボール1は、コア2とカバー3とを備えている。コア2はゴム組成物が架橋されることによって成形されている。カバー3は、樹脂組成物からなる。カバー3の表面には、ディンプル4が形成されている。カバー3の比重は、1.05以上1.50以下である。このゴルフボール1の慣性モーメントは、85.0gcm2以上、特には88.0gcm2以上である。慣性モーメントは、下記数式(I)によって算出されるYの値以上である。
Y=3.57・D−68.6 (I)
ゴルフボール1の質量は、45.00g以上45.93g以下である。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフボールに関するものである。詳細には、本発明は、コアとカバーとを備えたゴルフボールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ゴルフクラブで打撃されたゴルフボールは空中を飛行し、やがて落下する。飛行中、ゴルフボールは徐々に減速する。ゴルファーにとっての大きな関心事は、飛距離である。ゴルファーは、飛行性能に優れたゴルフボールを望んでいる。打撃直後のゴルフボールの速度(初速)が速いほど、飛距離が大きくなる傾向がある。ゴルフボールメーカーは長年にわたって初速が速いゴルフボールの開発に努力してきたが、現状を超える初速は望めない。米国ゴルフ協会(USGA)のルールには初速の上限が規定されており、一流メーカーのゴルフボールの初速はこの上限にほぼ達しているからである。
【0003】
USGAはまた、そのルールにおいて、ゴルフボールの直径の下限を42.67mmに定めている。このルールでは直径の下限のみが定められており、上限は定められていない。換言すれば、直径が大きいことを理由としてそのゴルフボールがルール不適合と判断されることはありえない。しかしながら、市販されているゴルフボールでは、42.67mmを下回らない範囲でその直径が可能な限り小さく設定されている。直径が小さいゴルフボールでは空気抵抗が小さく、従って飛行中の減速が少ないからである。一流メーカーによって現在市販されている全てのゴルフボールの直径は、42.67mmから42.80mmの範囲にコントロールされている。
【0004】
特開平4−371170号公報(特許文献1)には、通常のゴルフボールよりも直径の大きなゴルフボールが開示されている。このゴルフボールは、フェアウエイに置かれたときに芝生に沈みにくいので、打撃が容易である。このゴルフボールではディンプルの工夫によって空気抵抗の低減が図られおり、これによって大径であることに起因する飛距離低減が抑制されている。
【0005】
特開平6−114123号公報(特許文献2)及び特開平10−211301号公報(特許文献3)には、直径が大きくされることで慣性モーメントが高められたゴルフボールが開示されている。このゴルフボールでは、高い慣性モーメントによって、大径であることに起因する飛距離低減が抑制されている。
【0006】
特表2001−515394公報(特許文献4)には、直径が大きく、かつカバー又はマントル層の比重が大きなゴルフボールが開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平4−371170号公報
【特許文献2】
特開平6−114123号公報
【特許文献3】
特開平10−211301号公報
【特許文献4】
特表2001−515394公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、大径ゴルフボールの飛行性能をさらに改善することにある。
換言すれば、本発明は、打撃容易性と飛距離との両方に優れたゴルフボールの提供をその目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るゴルフボールの直径Dは、43.0mm以上50.0mm以下である。このゴルフボールは、コアとカバーとを備えている。このカバーの比重は、1.05以上1.50以下である。このゴルフボールの慣性モーメントは、85.0gcm2以上である。
【0010】
このゴルフボールは、直径が大きいので芝生に沈みにくい。ゴルファーは、容易にこのゴルフボールを打撃することができる。このゴルフボールでは、カバーの比重が大きいことと慣性モーメントが大きいこととの相乗効果により、打撃直後のスピン速度が遅く、かつ打ち出し角度が大きい。これにより、弾道が適正化される。このゴルフボールは直径が大きいので、飛行時の空気抵抗が大きいが、適正な弾道がこれを補う。このゴルフボールは、飛行性能に優れる。飛行性能の観点から、慣性モーメントは88.0gcm2以上が好ましい。
【0011】
好ましくは、慣性モーメントは、下記数式(I)によって算出されるYの値以上である。
Y=3.57・D−68.6 (I)
このゴルフボールは、飛行性能に極めて優れる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された一部切り欠き断面図である。このゴルフボールは、球状のコアと、カバーとを備えている。カバーの表面には、多数のディンプルが形成されている。このゴルフボールは、カバーの外側にペイント層及びマーク層を備えているが、これらの図示は省略されている。このゴルフボールの質量は、通常は40g以上50g以下、特には44g以上47g以下である。米国ゴルフ協会の規格が満たされる範囲で慣性が高められるという観点から、質量は45.00g以上45.93g以下が好ましい。
【0014】
このゴルフボールは通常のゴルフボールよりも大きく、その直径は43.0mm以上である。ティグラウンドで打撃されたゴルフボールは飛行し、フェアウエイ及びラフの芝生の上又はバンカーの砂の上に静止する。直径が大きなゴルフボールは静止した際に芝生や砂に沈みにくいので、ゴルファーは容易にこのゴルフボールを打撃することができる。大きな直径は、打撃ミスの抑制に寄与する。この観点から、直径は43.5mm以上が好ましく、44.0mm以上がより好ましい。
【0015】
直径が大きすぎると、後述される慣性モーメントの向上によっても、飛行性能が補われにくい。この観点から、直径は50.0mm以下である必要があり、48.0mm以下が好ましく、47.0mm以下が特に好ましい。
【0016】
コアは、ゴム組成物が架橋されることによって形成されている。コアの基材ゴムには、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体及び天然ゴムが好適である。これらのゴムの2種以上が併用されてもよい。反発性能の観点から、ポリブタジエンが主成分とされるのが好ましい。具体的には、全基材ゴムに占めるポリブタジエンの比率は50質量%以上が好ましく、80質量%以上が特に好ましい。シス−1,4結合の比率が40%以上、特には80%以上であるハイシスポリブタジエンが特に好ましい。
【0017】
コアの架橋には、通常は共架橋剤が用いられる。反発性能の観点から好ましい共架橋剤は、炭素数が2から8であるα,β−不飽和カルボン酸の、1価又は2価の金属塩である。好ましい共架橋剤の具体例としては、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸亜鉛及びメタクリル酸マグネシウムが挙げられる。高い反発性能が得られるという理由から、アクリル酸亜鉛が特に好ましい。
【0018】
共架橋剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して15質量部以上40質量部以下が好ましい。配合量が上記範囲未満であると、ゴルフボールの反発性能が不十分となることがある。この観点から、配合量は20質量部以上がより好ましく、22質量部以上が特に好ましい。配合量が上記範囲を超えると、ゴルフボールの打球感が硬くなることがある。この観点から、配合量は35質量部以下がより好ましく、32質量部以下が特に好ましい。
【0019】
コアのゴム組成物には、共架橋剤と共に有機過酸化物が配合されるのが好ましい。有機過酸化物は、架橋反応に寄与する。有機過酸化物の配合により、ゴルフボールの反発性能が高まる。好適な有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及びジ−t−ブチルパーオキサイドが挙げられる。特に汎用性の高い有機過酸化物は、ジクミルパーオキサイドである。
【0020】
有機過酸化物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して0.1質量部以上3.0質量部以下が好ましい。配合量が上記範囲未満であると、ゴルフボールの反発性能が不十分となることがある。この観点から、配合量は0.2質量部以上がより好ましく、0.3質量部以上が特に好ましい。配合量が上記範囲を超えると、ゴルフボールの打球感が硬くなることがある。この観点から、配合量は2.8質量%以下がより好ましく、2.5質量部以下が特に好ましい。
【0021】
コアのゴム組成物には、比重調整等の目的で充填剤が配合されてもよい。典型的な充填剤は、無機塩である。好適な無機塩としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムが例示される。充填剤として、高比重金属からなる粉末が配合されてもよい。高比重金属の具体例としては、タングステン及びモリブデンが挙げられる。充填剤の配合量は、コアの意図した比重が達成されるように適宜決定される。特に好ましい充填剤は、酸化亜鉛である。酸化亜鉛は、単なる比重調整のみならず架橋助剤としても機能する。ゴム組成物には、硫黄、老化防止剤、着色剤、可塑剤、分散剤、しゃく解剤、発泡剤等の各種添加剤が、必要に応じて適量配合される。ゴム組成物に、架橋ゴム粉末又は合成樹脂粉末が配合されてもよい。
【0022】
カバーは通常、樹脂組成物から構成される。樹脂組成物における好適な基材樹脂としては、アイオノマー樹脂、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー及びスチレン系熱可塑性エラストマーが例示される。2種以上の樹脂が併用されてもよい。カバーに、ジエン系ブロック共重合体が配合されてもよい。
【0023】
好適なアイオノマー樹脂として、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸との共重合体におけるカルボン酸の一部が金属イオンで中和されたものが挙げられる。好ましいα−オレフィンは、エチレン及びプロピレンである。好ましいα,β−不飽和カルボン酸は、アクリル酸及びメタクリル酸である。中和のための金属イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン及びネオジムイオンが例示される。中和が、2種以上の金属イオンでなされてもよい。ゴルフボールの反発性能及び耐久性の観点から特に好適な金属イオンは、ナトリウムイオン、亜鉛イオン、リチウムイオン及びマグネシウムイオンである。
【0024】
アイオノマー樹脂の具体例としては、三井デュポンポリケミカル社の商品名「ハイミラン1555」、「ハイミラン1557」、「ハイミラン1601」、「ハイミラン1605」、「ハイミラン1652」、「ハイミラン1705」、「ハイミラン1706」、「ハイミラン1707」、「ハイミラン1855」及び「ハイミラン1856」が例示される。他の具体例としては、デュポン社の商品名「サーリン7311」、「サーリン8120」、「サーリン8320」、「サーリン8940」、「サーリン8945」、「サーリン9910」、「サーリン9945」、「サーリンAD8511」及び「サーリンAD8512」が挙げられる。さらに他の具体例としては、エクソン社の商品名「IOTEK7010」、「IOTEK8000」等が挙げられる。
【0025】
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、BASFポリウレタンエラストマーズ社の商品名「エラストラン」が挙げられ、具体的にはエラストランET880」が挙げられる。ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、東レ社の商品名「ペバックス」が挙げられ、具体的には「ペバックス2533」が挙げられる。ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、東レ・デュポン社の商品名「ハイトレル」が挙げられ、具体的には「ハイトレル3548」及び「ハイトレル4047」が挙げられる。
【0026】
スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレンブロックを含有する熱可塑性エラストマー)には、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、SBSの水添物、SISの水添物及びSIBSの水添物が含まれる。SBSの水添物としては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)が挙げられる。SISの水添物としては、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)が挙げられる。SIBSの水添物としては、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)が挙げられる。スチレン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、三菱化学社の商品名「ラバロン」が挙げられ、具体的には「ラバロンSR04」が挙げられる。
【0027】
上記ジエン系ブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物を主体とするブロックと、共役ジエン系化合物を主体とするブロックとを有する。ジエン系ブロック共重合体は、共役ジエン化合物に由来する二重結合を有する。部分水添されたジエン系ブロック共重合体も好適に用いられうる。ビニル芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン及び1,1−ジフェニルスチレンが例示され、これらの中から1種又は2種以上が選択される。特にスチレンが好適である。共役ジエン系化合物としては、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンが例示され、これらの中から1種又は2種以上が選択される。特にブタジエン及びイソプレン並びにこれらの組み合わせが好適である。好ましいジエン系ブロック共重合体としては、エポキシ基を含有するポリブタジエンブロックを有するSBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)構造のもの、及びエポキシ基を含有するポリイソプレンブロックを有するSIS(スチレン−イソプレン−スチレン)構造のものが挙げられる。ジエン系ブロック共重合体の具体例としては、ダイセル化学社の商品名「エポフレンド」が挙げられ、詳細には「エポフレンドA1010」が挙げられる。
【0028】
カバーの比重は、1.05以上1.50以下である。この比重は、通常のゴルフボールのカバーの比重よりも大きい。比重の大きなカバーは、初期スピン速度の低減に寄与する。この観点から、比重は1.10以上がより好ましく、1.15以上が特に好ましい。比重が上記範囲を超えると、ゴルフボールの反発性能が不十分となることがある。この観点から、比重は1.45以下がより好ましく、1.40以下が特に好ましい。
【0029】
充填剤の配合によってカバーの比重調整が達成されうる。好ましい充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、二酸化チタン、タングステン粉末及びモリブデン粉末が例示される。カバーには、必要に応じ、着色剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等が適量配合される。
【0030】
カバーの厚みは、0.5mm以上2.3mm以下が好ましい。厚みが上記範囲未満であると、カバーの成形が困難となることがあり、また、ゴルフボールの耐久性が不十分となることがある。この観点から、厚みは0.6mm以上がより好ましく、0.7mm以上が特に好ましい。厚みが上記範囲を超えると、ゴルフボールの打球感が硬くなることがある。この観点から、厚みは2.2mm以下がより好ましく、2.1mm以下が特に好ましい。
【0031】
ゴルフボールの慣性モーメントは通常のゴルフボールの慣性モーメントよりも大きく、85.0gcm2以上である。大きな慣性モーメントは、初期スピン速度の低減と打ち出し角度の増大とに寄与する。小さな初期スピン速度と大きな打ち出し角度とを伴って打ち出されたゴルフボールは、ホップすることなく飛行する。このゴルフボールの飛距離は大きい。この観点から、慣性モーメントは86.0gcm2以上がより好ましく、88.0gcm2以上が特に好ましい。ゴルフボールに一般的な材料によって得られる慣性モーメントは150gcm2以下、特には130gcm2以下である。
【0032】
図2は、慣性モーメントと直径との関係が示されたグラフである。この図2において符号Lで示されている直線は、下記数式(I)によって表される。打撃容易性と飛行性能との両立の観点から、直線Lの線上か、又は直線Lよりも上方に位置するゴルフボールが好ましい。換言すれば、慣性モーメントは、下記数式(I)によって算出されるYの値以上であることが好ましい。
Y=3.57・D−68.6 (I)
上記数式(I)において、Dはゴルフボールの直径である。直径Dが大きいゴルフボールは、慣性モーメントが大きい傾向が見られる。数式(I)によって算出されるYの値以上の慣性モーメントを備えたゴルフボールは、直径が大きいことのみならず、他の要因によっても慣性モーメントの増大が図られたものである。
このゴルフボールは、飛行性能に極めて優れる。
【0033】
コアとカバーとの間に、中間層が形成されてもよい。中間層は、コアに類似のゴム組成物から構成されてもよく、カバーに類似の樹脂組成物から構成されてもよい。中間層の比重は、1.10以上1.50以下が好ましい。中間層の厚みは、0.5mm以上2.3mm以下が好ましい。中間層が2以上の層から構成されてもよい。
【0034】
ディンプルの総数は、300個以上700個以下が好ましい。総数が上記範囲未満であると、略球体であるというゴルフボールの本来的特徴が維持されえないおそれがある。この観点から、総数は360個以上がより好ましい。総数が上記範囲を超えると、抗力係数(Cd)が大きくなって飛距離が不十分となるおそれがある。この観点から、総数は600個以下がより好ましい。
【0035】
ディンプルの総容積Vは、400mm3以上900mm3以下が好ましい。総容積Vが上記範囲未満であると、ホップする弾道となるおそれがある。この観点から、総容積Vは450mm3以上がより好ましく、500mm3以上が特に好ましい。総容積Vが上記範囲を超えると、ドロップする弾道となるおそれがある。この観点から、総容積は880mm3以下がより好ましい。ディンプルの容積は、仮想球面(ディンプルが存在しないと仮定されたときのゴルフボールの表面)とディンプル表面とによって囲まれた空間の容積を意味する。
【0036】
ディンプルの表面積占有率は、65%以上95%以下が好ましい。表面積占有率が上記範囲未満であると、飛行中のゴルフボールの揚力が不足するおそれがある。この観点から、表面積占有率は70%以上がより好ましい。表面積占有率が上記範囲を超えると、ゴルフボールの弾道が高くなりすぎるおそれがある。この観点から、表面積占有率は90%以下がより好ましい。
【0037】
ディンプルの平面形状は、円形であってもよく、非円形であってもよい。非円形ディンプルの具体例としては、多角形、楕円、長円及び涙形が例示される。ディンプルの断面形状は、シングルラジアスでもよく、ダブルラジアスであってもよい。
【0038】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0039】
[実施例1]
ハイシスポリブタジエン(ジェイエスアール社の商品名「BR−01」)100質量部、アクリル酸亜鉛25質量部、酸化亜鉛適量、ジクミルパーオキサイド0.8質量部及びジフェニルジスルフィド0.5質量部を混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を球状キャビティを備えた金型に投入し、160℃に23分間保持して、直径が38.6mmであるコアを得た。次に、アイオノマー樹脂(前述の商品名「ハイミラン1605」)50質量部、他のアイオノマー樹脂(前述の商品名「ハイミラン1706」)50質量部、硫酸バリウム51質量部及び二酸化チタン2質量部を混練し、樹脂組成物を得た。次に、球状キャビティを備えた金型にコアを投入し、この球体の周りに加熱によって溶融した樹脂組成物を射出して、厚みが2.2mmのカバーを成形した。カバーの形成と同時に、下記表1に示されるタイプIIのディンプルパターンが形成された。このカバーに既知の塗料を塗装し、実施例1のゴルフボールを得た。このゴルフボールの直径は、43.0mmであった。なお、ゴルフボールの質量が45.4gとなるように、酸化亜鉛の配合量を調整した。
【0040】
[実施例2〜4、実施例6及び比較例1〜3]
配合を下記表2及び表3に示されるように変更し、金型を変更した他は実施例1と同様にして、実施例2〜4、実施例6及び比較例1〜3のゴルフボールを得た。
【0041】
[実施例5]
ハイシスポリブタジエン(前述の商品名「BR−01」)100質量部、アクリル酸亜鉛25質量部、酸化亜鉛適量、ジクミルパーオキサイド0.6質量部及びジフェニルジスルフィド0.5質量部を混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を球状キャビティを備えた金型に投入し、160℃に23分間保持して、直径が37.4mmであるコアを得た。次に、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(前述の商品名「エラストランET880」)100質量部及びタングステンパウダー40質量部を混練し、樹脂組成物を得た。次に、球状キャビティを備えた金型にコアを投入し、この球体の周りに加熱によって溶融した樹脂組成物を射出して、厚みが1.4mmの中間層を成形した。次に、アイオノマー樹脂(前述の商品名「サーリン8945」)50質量部、他のアイオノマー樹脂(前述の商品名「サーリン9945」)40質量部、スチレン系熱可塑性エラストマー(前述の商品名「ラバロンSR04」)10質量部、硫酸バリウム48質量部及び二酸化チタン5質量部を混練し、樹脂組成物を得た。次に、球状キャビティを備えた金型にコア及び中間層からなる球体を投入し、この球体の周りに加熱によって溶融した樹脂組成物を射出して、厚みが1.4mmのカバーを成形した。カバーの形成と同時に、下記表1に示されるタイプIIのディンプルパターンが形成された。このカバーに既知の塗料を塗装し、実施例5のゴルフボールを得た。このゴルフボールの直径は、43.0mmであった。なお、ゴルフボールの質量が45.4gとなるように、酸化亜鉛の配合量を調整した。
【0042】
[比較例4]
配合を下記表3に示されるように変更し、金型を変更した他は実施例5と同様にして、比較例4のゴルフボールを得た。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
[飛距離テスト]
スイングマシン(ツルテンパー社製)に、メタルヘッドを備えたドライバー(住友ゴム工業社の「XXIO W#1」、ロフト:10°、シャフト硬度:S)を装着した。そして、ヘッド速度が40m/secとなるようにマシン条件を設定した。このスイングマシンで23℃に保温されたゴルフボールを打撃し、打ち出し角度、初期スピン速度、キャリー(発射地点から落下地点までの距離)及びトータル(発射地点から静止地点までの距離)を測定した。5回の測定結果の平均値が、下記表4に示されている。
【0047】
【表4】
【0048】
表4において、実施例のゴルフボールは比較例のゴルフボールよりも飛距離が大きい。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【0049】
【発明の効果】
以上説明されたように、本発明のゴルフボールは打撃容易性と飛距離との両方に優れる。このゴルフボールは、スコアの向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された一部切り欠き断面図である。
【図2】図2は、慣性モーメントと直径との関係が示されたグラフである。
【符号の説明】
1・・・ゴルフボール
2・・・コア
3・・・カバー
4・・・ディンプル
Claims (3)
- 直径Dが43.0mm以上50.0mm以下であり、コアと比重が1.05以上1.50以下であるカバーとを備えており、慣性モーメントが85.0gcm2以上であるゴルフボール。
- 上記慣性モーメントが88.0gcm2以上である請求項1に記載のゴルフボール。
- 上記慣性モーメントが、下記数式(I)によって算出されるYの値以上である請求項1又は請求項2に記載のゴルフボール。
Y=3.57・D−68.6 (I)
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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