JP2004087619A - 空芯コイル - Google Patents
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Abstract
【課題】電流センサの測定感度をさらに向上させることができる空芯コイルを得ることを目的とする。
【解決手段】空芯コイルは、絶縁性基板2と、この絶縁性基板2に埋め込まれたコイル本体3とを備えている。絶縁性基板2は基板開口部4を有している。コイル本体3は、基板開口部4の周囲に配置され、銅の導電膜がコイル状に形成された巻き進みコイル部5と巻き戻しコイル部6とを有し、これらが直列に接続されている。絶縁性基板2の厚さ方向に沿って視たときに、巻き進みコイル部5によって鋸歯状の模様が形成されている。また、同様の方向に沿って視たときに、巻き戻しコイル部6は、表面の第2表面導体部15が裏面の渡り部21と交差されて配置されている。
【選択図】 図4
【解決手段】空芯コイルは、絶縁性基板2と、この絶縁性基板2に埋め込まれたコイル本体3とを備えている。絶縁性基板2は基板開口部4を有している。コイル本体3は、基板開口部4の周囲に配置され、銅の導電膜がコイル状に形成された巻き進みコイル部5と巻き戻しコイル部6とを有し、これらが直列に接続されている。絶縁性基板2の厚さ方向に沿って視たときに、巻き進みコイル部5によって鋸歯状の模様が形成されている。また、同様の方向に沿って視たときに、巻き戻しコイル部6は、表面の第2表面導体部15が裏面の渡り部21と交差されて配置されている。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばインパルス大電流等を測定する電流センサに用いられる空芯コイルに関するもので、特に絶縁性の基板を用いて形成された空芯コイルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図15は、特開平6−176947号公報に開示された従来の空芯コイルを示す正面図である。また、図16は、図15の空芯コイルの要部拡大図である。図15及び図16において、空芯コイル100は、円形の基板開口部101を有する二面プリント基板102と、この基板開口部101の周囲に配置されたコイル本体103とを備えている。二面プリント基板102の材質は、非磁性体のエポキシ樹脂である。
【0003】
コイル本体103は、時計回り(矢印104の向き)に導線が一定ピッチで巻回された巻き進みコイル部105と、この巻き進みコイル部105の終端部に接続されて反時計回り(矢印106の向き)に導線が一定ピッチで巻回された巻き戻しコイル部107とから構成されている。巻き進みコイル部105及び巻き戻しコイル部107は、二面プリント基板102の表面及び裏面に複数形成された各導体部108、109が二面プリント基板102を貫通する接続部を介して直列に接続されることにより、それぞれコイル状に形成されたものである。各面の導体部108、109は、基板開口部101を中心として放射状にプリントされた導電膜である。接続部は、二面プリント基板102の貫通孔の内面に形成された導電膜、即ち金属スルーホールである。
【0004】
ここで、図16において、巻き進みコイル部105については、二面プリント基板102の表面に形成された導体部108を太実線で示し、裏面に形成された導体部108を太破線で示している。また、巻き戻しコイル部107については、二面プリント基板102の表面に形成された導体部109を二重実線で示し、裏面に形成された導体部109を二重破線で示している。さらに、分かり易くするため、表面の導体部108、109に対面されて実際には図面に現れない裏面の導体部108、109の部分を表面の導体部と並べて示している。
【0005】
図16に示すように、表面及び裏面では、巻き進みコイル部105の導体部108と巻き戻しコイル部107の導体部109とが交互に一定ピッチで配列されている。
【0006】
巻き進みコイル部105においては、表面及び裏面で、長さの異なる導体部108が交互に一定ピッチで配列されている。巻き戻しコイル部107においても、表面及び裏面で、長さの異なる導体部109が交互に一定ピッチで配列されている。
また、巻き進みコイル部105では、各導体部108が基板開口部101から離れた側、即ち外側で各導体部108のピッチ間の接続が接続部によりなされている。巻き戻しコイル部107では、各導体部109が基板開口部101に近い側、即ち内側で各導体部109のピッチ間の接続が接続部によりなされている。
【0007】
従って、巻き進みコイル部105及び巻き戻しコイル部107においては、矢印104あるいは矢印106の方向に沿って視たときに、それぞれの導線によって囲まれる領域(以下、それぞれ巻き進みコイル部105の断面領域、巻き戻しコイル部107の断面領域という)の面積は巻回ピッチごとに異なっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、電流センサに用いられる空芯コイルは、電流測定の際、基板開口部101に被測定導体が通されて配置されるため、電流センサの測定に寄与する誘導電流は、巻き進みコイル部105及び巻き戻しコイル部107のそれぞれの断面領域を通る磁束によって発生する。
【0009】
従って、測定に寄与する誘導電流を多くして測定感度を向上させるため、巻き進みコイル部105及び巻き戻しコイル部107の各断面領域の面積を同一にして均一に誘導電流を発生させることが望ましい。しかしながら、巻き戻しコイル部107の断面領域及び巻き進みコイル部105の断面領域は、それぞれ巻回ピッチごとに面積が異なっているので、測定感度の向上が阻害されるという問題点があった。
【0010】
また、できるだけ共通の磁束により誘導電流を巻き進みコイル部105及び巻き戻しコイル部107に発生させて、巻き進みコイル部105の導線及び巻き戻しコイル部107が異なる磁束の誘導電流を発生することによる測定誤差を小さくすることが望ましい。従って、矢印104あるいは矢印106に沿って視たときに、各断面領域が重なるように、巻き進みコイル部105及び巻き戻しコイル部107を配置することが望ましい。しかしながら、巻き進みコイル部105の各断面領域及び巻き戻しコイル部107の各断面領域のうち、基板開口部101側に突出されて、隣接する断面領域と一部が重なっていない断面領域が存在するので、それだけ測定誤差が大きくなるという問題点があった。
【0011】
また、絶縁性基板102の厚さ方向(図15及び図16の紙面に対して垂直方向)に沿って視たときに、巻き進みコイル部105の導線によって囲まれる領域(以下、巻き進みコイル部105の正面領域という)及び巻き戻しコイル部107の導線によって囲まれる領域(以下、巻き戻しコイル部107の正面領域という)には、通常、外部電磁界の磁束が通っている。外部電磁界が均一電磁界であると仮定すると、巻き進みコイル部105の導線及び巻き戻しコイル部107の導線には、それぞれ巻き進みコイル部105の正面領域の面積及び巻き戻しコイル部107の正面領域の面積に対応した誘導電流がこの外部電磁界によって発生する。外部電磁界による誘導電流は測定誤差の原因となるので、巻き進みコイル部105及び巻き戻しコイル部107のそれぞれに発生するこの誘導電流が互いに相殺されるように、各正面領域の面積がより同一に近づけられることが望ましい。
【0012】
しかしながら、巻き進みコイル部105の正面領域の面積は、巻き戻しコイル部107の正面領域の面積よりも大きいので、巻き進みコイル部105に発生する誘導電流と巻き戻しコイル部107に発生する誘導電流とが完全に相殺されず、測定誤差を抑制することが困難であるという問題点もあった。
【0013】
そこでこの発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするもので、電流センサの測定感度をさらに向上させることができる空芯コイルを得ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る空芯コイルは、表面、裏面、及び表面と裏面とを貫通し、被測定導体が通される基板開口部を有する絶縁性基板と、基板開口部の周囲で導線が巻回されて構成され、基板開口部を囲むように絶縁性基板に設けられた巻き進みコイル部、及び巻き進みコイル部に重なりつつ導線が巻回されて構成され、基板開口部を囲むように絶縁性基板に設けられた巻き戻しコイル部を有し、被測定導体を流れる電流により巻き進みコイル部及び巻き戻しコイル部に発生する誘導起電力が電気的に同じ向きになるように巻き進みコイル部及び巻き戻しコイル部が直列に接続されて構成されたコイル本体とを備え、巻き進みコイル部は、表面の基板開口部の周囲で略放射状に形成されて基板開口部に近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の第1表面導体部、裏面の基板開口部の周囲で略放射状に形成されて基板開口部の近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の第1裏面導体部、互いに隣接する第1裏面導体部のうちの一方の第1裏面導体部の内側端部と第1表面導体部の内側端部とを電気的に接続する複数の第1内側接続部、及び他方の第1裏面導体部の外側端部と第1表面導体部の外側端部とを電気的に接続する複数の第1外側接続部を有し、巻き戻しコイル部は、表面の基板開口部の周囲で各第1表面導体部と交互になるように略放射状に形成されて基板開口部に近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の第2表面導体部、裏面の基板開口部の周囲で各第1裏面導体部と交互になるように略放射状に形成されて基板開口部に近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の第2裏面導体部、互いに隣接する第2裏面導体部のうちの一方の第2裏面導体部の内側端部と第2表面導体部の内側端部とを電気的に接続する複数の第2内側接続部、及び他方の第2裏面導体部の外側端部と第2表面導体部の外側端部とを電気的に接続する複数の第2外側接続部を有しており、第2内側接続部及び第2外側接続部のいずれか一方は、絶縁性基板の厚さ方向に沿って視たときに、少なくとも1本の第2表面導体部に交差する渡り部をそれぞれ有している。
【0015】
また、表面、裏面、及び表面と裏面とを貫通し、被測定導体が通される基板開口部を有する絶縁性基板と、基板開口部の周囲で導線が巻回されて構成され、基板開口部を囲むように絶縁性基板に設けられた巻き進みコイル部、及び基板開口部の周囲で導線が巻回されて構成され、巻き進みコイル部とともに基板開口部を囲むように絶縁性基板に設けられた巻き戻しコイル部を有し、被測定導体を流れる電流により巻き進みコイル部及び巻き戻しコイル部に発生する誘導起電力が電気的に同じ向きになるように巻き進みコイル部及び巻き戻しコイル部が直列に接続されて構成されたコイル本体とを備え、巻き進みコイル部及び巻き戻しコイル部は、表面の基板開口部の周囲で略放射状に形成されて基板開口部に近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の表面導体部、裏面の基板開口部の周囲で略放射状に形成されて基板開口部の近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の裏面導体部、互いに隣接する裏面導体部のうちの一方の裏面導体部の内側端部と表面導体部の内側端部とを電気的に接続する複数の内側接続部、及び他方の裏面導体部の外側端部と表面導体部の外側端部とを電気的に接続する複数の外側接続部をそれぞれ有し、絶縁性基板の厚さ方向に沿って視たときに、巻き進みコイル部及び巻き戻しコイル部のうちの一方は、各内側接続部が他方の各内側接続部よりも基板開口部に近い側に配置され、各外側接続部が他方の各外側接続部よりも基板開口部に近い側に配置されており、一方のコイル部は、外側接続部を介して互いに接続された表面導体部及び裏面導体部の各内側端部が、表面導体部及び裏面導体部の配列方向に沿って互いに離間されて配置され、他方のコイル部は、内側接続部を介して互いに接続された表面導体部及び裏面導体部の各外側端部が、配列方向に沿って互いに離間されて配置されている。
【0016】
また、被測定導体が通される複数の基板開口部を有する絶縁性基板と、各基板開口部をそれぞれ囲むように絶縁性基板に設けられた複数のコイル本体とを備え、複数のコイル本体は、被測定導体を流れる電流により各コイル本体に発生する誘導起電力が電気的に同じ向きになるように互いに直列に接続されている。
【0017】
また、基板開口部が開放されるように、少なくとも1つのコイル本体を絶縁性基板とともに分割する複数の分割体から構成され、複数の分割体が互いに接続されることにより基板開口部が形成されるようになっており、各分割体は、それぞれの導線を互いに着脱可能に電気的及び機械的に接続する接続手段を有している。
【0018】
また、複数の基板開口部を有する絶縁性基板と、各基板開口部をそれぞれ囲んで絶縁性基板に設けられた複数のコイル本体と、絶縁性基板及び複数のコイル本体を一括して被覆する絶縁体と、各基板開口部に通されるように絶縁体上に形成された被測定導体部とを備え、複数のコイル本体は、被測定導体部を流れる電流により各コイル本体に発生する誘導起電力が電気的に同じ向きになるように互いに直列に接続されている。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る空芯コイルを示す構成図である。図1において、空芯コイル1は、樹脂等の非磁性体で作製された絶縁性基板2と、この絶縁性基板2に設けられたコイル本体3とを備えている。絶縁性基板2は、被測定導体が通される円形状の基板開口部4を中央に有した円板である。コイル本体3は、基板開口部4の外周に沿って導線が巻回されるように形成された巻き進みコイル部5及び巻き戻しコイル部6を有している。
【0020】
巻き進みコイル部5と巻き戻しコイル部6とは接続点7で電気的に直列に接続されている。巻き進みコイル部5及び巻き戻しコイル部6のそれぞれの導線には、被測定導体に流れる電流に対応した誘導起電力が発生するようになっている。巻き進みコイル部5及び巻き戻しコイル部6は、この誘導起電力が電気的に同じ向きになるように巻回されている。また、巻き進みコイル部5及び巻き戻しコイル部6を構成する導線は、絶縁性基板2にコイル状に形成された銅の導電膜である。
即ち、空芯コイル1は、導体が巻き進められた巻き進みコイル部5と、巻き進みコイル部5の終端部に接続されて導線が巻き進みコイル部5に沿って巻き戻された巻き戻しコイル部6とから構成されるロゴスキーコイルである。
【0021】
図2は、図1の接続点7付近のコイル本体3を示す部分拡大図であり、図3は、図1の基板開口部4の外周に沿って(図1の矢印23の向きに沿って)視たときの巻き進みコイル部5及び巻き戻しコイル部6を示す配置図である。また、図4は、図1の絶縁性基板2の厚さ方向に沿って(図1の矢印24の向きに沿って)視たときの空芯コイル1を示す正面図である。なお、図1、図2及び図4において、裏面9に形成された導電膜は、破線で示している。
図1乃至図4において、絶縁性基板2の表面8及び裏面9には、導電膜である複数の第1表面導体部10及び導電膜である複数の第1裏面導体部11がそれぞれプリントされている。また、絶縁性基板2には、絶縁性基板2を貫通する複数の接続部12が形成されている。巻き進みコイル部5は、複数の第1表面導体部10及び複数の第1裏面導体部11が各接続部12を介して電気的に直列に接続されてコイル状に形成されたものである。
【0022】
絶縁性基板2の表面8及び裏面9にはまた、導電膜である複数の第2表面導体部15及び導電膜である複数の第2裏面導体部16がそれぞれプリントされている。各第2表面導体部15は、各第1表面導体部10の間に配置され、各第2裏面導体部16は、各第1裏面導体部11の間に配置されている。また、絶縁性基板2には、絶縁性基板2を貫通する複数の接続部17が形成されている。巻き戻しコイル部6は、複数の第2表面導体部15及び複数の第2裏面導体部16が各接続部17を介して電気的に直列に接続されてコイル状に形成されたものである。
【0023】
各第1表面導体部10は、基板開口部4の周囲で略放射状に一定ピッチで配列されている。なお、基板開口部4に近い側には、第1表面導体部10の内側端部10aが配置され、基板開口部4から遠い側には、第1表面導体部10の外側端部10bが配置されている。
【0024】
各第1裏面導体部11も同様に、基板開口部4の周囲で略放射状に一定ピッチで配列されている。なお、基板開口部4に近い側には、第1裏面導体部11の内側端部11aが配置され、基板開口部4から遠い側には、第1裏面導体部11の外側端部11bが配置されている。
【0025】
図4に示すように、各第1表面導体部10及び各第1裏面導体部11は、絶縁性基板2の厚さ方向に沿って視たとき、各内側端部10aと各内側端部11aとが重なり、各外側端部10bと各外側端部11bとが重なるように配列されている。各第1表面導体部10は、互いに隣接する第1裏面導体部11の間に配置され、内側端部10aが一方の第1裏面導体部11の内側端部11aに重なり、外側端部10bが他方の第1裏面導体部11の外側端部11bに重なるように配列されている。従って、各第1表面導体部10及び各第1裏面導体部11によって基板開口部4の周りに鋸歯状の模様が形成されている。
【0026】
また、図4において、第1表面導体部10及び第1裏面導体部11が、互いに重なっている外側端部10b及び外側端部11bを始点としたベクトルであると考えると、そのベクトルの合成方向に基板開口部4の中心点が存在するように、各第1表面導体部10及び各第1裏面導体部11は設けられている。
【0027】
接続部12は、絶縁性基板2を貫通する貫通孔の内面に形成された銅の導電膜、即ち金属スルーホールである。また、接続部12は、図4において互いに重なる各内側端部10a及び11aを電気的に接続する複数の第1内側接続部13と、図4において互いに重なる各外側端部10b及び11bを電気的に接続する複数の第1外側接続部14とからなっている。
【0028】
各第2表面導体部15は、表面8で基板開口部4の周囲に略放射状に第1表面導体部10と交互になるように一定ピッチで配列されている。基板開口部4に近い側には、第2表面導体部15の内側端部15aが配置され、基板開口部4から遠い側には、第2表面導体部15の外側端部15bが配置されている。
さらに、各第2表面導体部15は、各内側端部15a及び各外側端部15bがそれぞれ各内側端部10a及び各外側端部10bよりも基板開口部4から離れた位置になるように配置されている。
【0029】
各第2裏面導体部16も同様に、裏面9で基板開口部4の周囲に略放射状に第1裏面導体部11と交互になるように一定ピッチで配列されている。基板開口部4に近い側には、第2裏面導体部16の内側端部16aが配置され、基板開口部4から遠い側には、第2裏面導体部16の外側端部16bが配置されている。
さらに、各第2裏面導体部16は、各内側端部16a及び各外側端部16bがそれぞれ各内側端部11a及び各外側端部11bよりも基板開口部4から離れた位置になるように配置されている。
【0030】
図4に示すように、各第2表面導体部15及び各第2裏面導体部16は、絶縁性基板2の厚さ方向に沿って視たとき、各内側端部15aと各内側端部16aとが重なるように配列されている。
【0031】
接続部17は、各内側端部15a及び各内側端部16aを電気的に接続する複数の第2内側接続部18と、各外側端部15b及び各外側端部16bを電気的に接続する複数の第2外側接続部19とからなっている。
【0032】
各第2内側接続部18は、絶縁性基板2を貫通する貫通孔の内面に形成された銅の導電膜、即ち金属スルーホールである。また、各第2内側接続部18は、それぞれ図4において互いに重なる内側端部15a及び16aに接続されている。
【0033】
第2外側接続部19は、図4において、互いに隣接する第2裏面導体部16のうちの一方の第2裏面導体部16に電気的に接続された第2表面導体部15と、他方の第2裏面導体部16とに接続されている。この第2外側接続部19にそれぞれ接続された第2表面導体部15及び他方の第2裏面導体部16の間には、一方の第2裏面導体部16が配置されている。
【0034】
各第2外側接続部19は、外側端部15bに接続されるとともに絶縁性基板2を貫通する貫通部20と、裏面9に形成されて貫通部20及び第2裏面導体部16を電気的に接続する渡り部21とから構成されている。貫通部20は、絶縁性基板2を貫通する貫通孔の内面に形成された銅の導電膜、即ち金属スルーホールである。渡り部21は、裏面9にプリントされた導電膜である。
【0035】
渡り部21は、一端部が貫通部20に接続され、他端部が第2裏面導体部16の外側端部16bに接続されている。また、渡り部21は、第1裏面導体部11及び第2裏面導体部16に交差しないように第1裏面導体部11及び第2裏面導体部16の外側に配置されている。さらに、図4に示すように、渡り部21は、絶縁性基板2の厚さ方向に沿って視たときに、第2表面導体部15と交差されている。この交差する第2表面導体部15は、この渡り部21を有する第2外側接続部19の両端で接続された第2表面導体部15と第2裏面導体部16との間に配置され、外側端部15bがこの渡り部21よりも外側に配置されている。従って、渡り部21は、他の渡り部21にも交差されることなく裏面9に配置される。
【0036】
図5は、図4の巻き進みコイル部5を示す正面図である。図5において、絶縁性基板2の厚さ方向に沿って視たときに、巻き進みコイル部5の導線によって囲まれた領域、ここでは各第1表面導体部10及び各第1裏面導体部11で形成された鋸歯状の模様によって囲まれた領域(以下、巻き進みコイル部5の正面領域という)は、外部電磁界の磁束が通ると巻き進みコイル部5に誘導電流が発生する領域である。
【0037】
図6は、図4の巻き戻しコイル部6を示す正面図である。図6において、絶縁性基板2の厚さ方向に沿って視たときに、巻き戻しコイル部6の導線によって囲まれた領域(以下、巻き戻しコイル部6の正面領域)は、外部電磁界の磁束が通ると巻き戻しコイル部6に誘導電流が発生する領域である。ここでは、巻き戻しコイル部6の正面領域は、第2表面導体部15の一部及び渡り部21で構成される図6における最外周の導線によって囲まれる大領域と、大領域内でその最外周の導線に沿って配置された複数の小領域(図6の斜線部分)とから構成されている。
【0038】
図4においては、図5の巻き進みコイル部5の正面領域と図6の巻き戻しコイル部6の正面領域とが互いに重なっている状態が示されている。図4に示すように、絶縁性基板2の厚さ方向に沿って視たときに、巻き進みコイル部5の正面領域は、巻き戻しコイル部6の最外周の導線によって囲まれる大領域内に配置されている。また、鋸歯状模様の巻き進みコイル部5の正面領域は、各鋸歯部分が巻き戻しコイル部6の各小領域にそれぞれ重なって配置されている。
【0039】
外部電磁界による測定誤差の発生を抑制するためには、巻き進みコイル部5の正面領域の面積と巻き戻しコイル部6の正面領域の面積との面積差が小さいほうが望ましいので、互いに内側端部15a及び16aが重なる各第2表面導体部15及び各第2裏面導体部16の間隔が狭くされて、できるだけ巻き戻しコイル部6の小領域の面積が小さくなるように、各第2表面導体部15及び各第2裏面導体部16が配置される。
【0040】
また、巻き進みコイル部5及び巻き戻しコイル部6は、図3に示すように、基板開口部4の周縁に沿って視たときに、巻き進みコイル部5の導線によって囲まれる領域、即ち第1表面導体部10、第1裏面導体部11、第1内側接続部13及び第1外側接続部14によって囲まれる領域(以下、巻き進みコイル部5の断面領域という)と、巻き戻しコイル部6の導線によって囲まれる領域、即ち第2表面導体部15、第2裏面導体部16、第2内側接続部18及び第2外側接続部19によって囲まれる領域(以下、巻き戻しコイル部6の断面領域という)とが、大部分で互いに重なって配置されている。
【0041】
なお、接続点7で一端部同士が接続された巻き戻しコイル部5及び巻き進みコイル部6の各他端部がコイル本体3の引出部25、26となって絶縁性基板2に取り付けられた信号処理回路27に電気的に接続されている。
【0042】
次に、動作について説明する。被測定導体に電流が流されると、巻き進みコイル部5の断面領域及び巻き戻しコイル部6の断面領域を磁束が通され、コイル本体3に誘導電流が発生する。この誘導電流は、図2に示した矢印の向きに流れるので、各箇所で発生する誘導電流が電気的に互いに相殺されることはない。
【0043】
一方、図4乃至図6に示すように、巻き進みコイル部5の正面領域及び巻き戻しコイル部6の正面領域に外部電磁界が通されると、巻き進みコイル部5及び巻き戻しコイル部6にそれぞれ誘導起電力が発生する。即ち、巻き進みコイル部5には、巻き進みコイル部5の正面領域の面積に応じた誘導起電力が発生し、巻き戻しコイル部6には、巻き戻しコイル部6の正面領域の面積、即ち大領域の面積及び小領域の面積を足し合わせた面積に応じた誘導起電力が発生する。巻き進みコイル部5及び巻き戻しコイル部6のそれぞれに発生する誘導起電力は、電気的に互いに逆向きであるので相殺されるが、誘導起電力の大きさが異なる場合、その差分が誘導電流として導線を流れる。
【0044】
その後、コイル本体3の導線を流れる誘導電流は、信号処理回路27において積分処理されて、被測定導体を流れる電流の電流値が算出される。
【0045】
従って、巻き進みコイル部5の断面領域及び巻き戻しコイル部6の断面領域は、貫通孔の位置変更によりそれぞれ面積が調整可能であるので、各断面領域の面積を容易に同一にすることができ、さらに図3における各断面領域の重なる部分の割合を大きくすることができる。このことから、電流センサに空芯コイル1を用いると、測定感度を向上させることができ、測定誤差を小さくすることができる。
【0046】
また、コイル本体3の導線は、ほとんど完全に基板開口部4の軸線に関して対称に、かつ均一に形成されることができ、さらに測定感度を向上させ、測定誤差を小さくすることができる。
【0047】
また、基板開口部4を有する一枚の絶縁性基板2に複数の貫通孔を形成し、この貫通孔の内面、表面8及び裏面9の所定位置に導電膜を形成するだけで、巻線機を用いなくても容易に空芯コイル1を大量に作製することができ、製造コストも低減させることができる。
【0048】
なお、上記実施の形態においては、巻き戻しコイル部6は、渡り部21が基板開口部4から離れた側、即ち外側に配置されて構成されているが、渡り部21が基板開口部4に近い側、即ち内側に配置されて構成されていても構わない。
【0049】
また、図4において、第2裏面導体部16は、互いに隣接する第1裏面導体部11の間に配置されていればよいので、渡り部21は、2本の第2表面導体部15に交差されるように配置されてもよい。
【0050】
また、上記実施の形態においては、各第1内側接続部13及び各第2内側接続部17は、絶縁性基板2の貫通孔の内面に形成された導電膜、即ち金属スルーホールであるが、基板開口部4の内壁面に導電膜が直接形成されていても構わない。
【0051】
また、各第2外側接続部19の貫通部20は、絶縁性基板2の周縁壁面に導電膜が直接形成されていても構わない。さらに、貫通部20は、絶縁性基板2の厚さ方向に対して傾斜されて形成されていても構わない。
【0052】
また、各第1内側接続部13及び各第2内側接続部17が基板開口部4の内壁面に直接形成される場合、基板開口部4の内壁面に溝部が設けられ、その溝部に導電膜が形成されていても構わない。
また、各貫通部20が絶縁性基板2の周縁壁面に直接形成される場合、絶縁性基板2の周縁壁面に溝部が設けられ、その溝部に導電膜が形成されていても構わない。
【0053】
実施の形態2.
図7は、この発明の実施の形態2に係る空芯コイルを示す要部拡大図である。また、図8は、図7の空芯コイルを絶縁性基板の厚さ方向に沿って視たときの正面図である。図7及び図8において、空芯コイルは、樹脂等の非磁性体で作製された絶縁性基板2と、この絶縁性基板2に設けられたコイル本体3とを備えている。コイル本体3は、基板開口部4の外周に沿って導線が巻回されるように形成された巻き進みコイル部5及び巻き戻しコイル部31を有している。絶縁性基板2、巻き進みコイル部5及び信号処理回路27は、実施の形態1と同様の構成となっている。
【0054】
巻き戻しコイル部31は、接続点7で巻き進みコイル部5と電気的に直列に接続されている。巻き戻しコイル部31の導線には、被測定導体に流れる電流に対応した誘導起電力が発生するようになっている。巻き進みコイル部5及び巻き戻しコイル部31は、この誘導起電力が電気的に同じ向きになるように巻回されている。また、巻き戻しコイル部31を構成する導線は、絶縁性基板2にコイル状に形成された銅の導電膜である。
【0055】
巻き戻しコイル部31は、絶縁性基板2の表面8に形成された導電膜である複数の第2表面導体部15と、裏面9に形成された導電膜である複数の第2裏面導体部16と、絶縁性基板2を貫通して形成され、各第2表面導体部15及び各第2裏面導体部16を電気的に直列に接続する接続部17とから構成されている。
【0056】
各第2表面導体部15は、基板開口部4の周囲で略放射状に一定ピッチで配列されている。従って、基板開口部4に近い側には、第2表面導体部15の内側端部15aが配置され、基板開口部4から遠い側には、第2表面導体部15の外側端部15bが配置されている。
【0057】
各第2裏面導体部16は、基板開口部4の周囲で略放射状に一定ピッチで配列されている。基板開口部4に近い側には、第2裏面導体部16の内側端部16aが配置され、基板開口部4から遠い側には、第2裏面導体部16の外側端部16bが配置されている。
【0058】
図8に示すように、各第2表面導体部15及び各第2裏面導体部16は、絶縁性基板2の厚さ方向に沿って視たとき、各内側端部15aと各内側端部16aとが重なり、各外側端部15bと各外側端部16bとが重なるように配列されている。各第2表面導体部15は、互いに隣接する第2裏面導体部16の間に配置され、内側端部15aが一方の第2裏面導体部16の内側端部16aに重なり、外側端部15bが他方の第2裏面導体部16の外側端部16bに重なるように配列されている。
【0059】
従って、各第2表面導体部15及び各第2裏面導体部16によって基板開口部4の周りに鋸歯状の模様が形成されている。この鋸歯状の模様は、巻き進みコイル部5によって形成される鋸歯状の模様に対して基板開口部4側に形成されている。また、各第2表面導体部15及び各第2裏面導体部16は、各第1表面導体部10及び各第1裏面導体部11に対してほぼ平行に配置されている。
なお、この鋸歯状の模様を構成する巻き戻しコイル部31の導線によって囲まれる領域が、巻き戻しコイル部31の正面領域である。従って、巻き戻しコイル部31の正面領域は、巻き進みコイル部5の正面領域内に配置されている。
【0060】
また、図8に示すように、第2表面導体部15及び第2裏面導体部16が、互いに重なっている外側端部15b及び外側端部16bを始点としたベクトルであると考えると、そのベクトルの合成方向に基板開口部4の中心点が存在するように、各第2表面導体部15及び各第2裏面導体部16は設けられている。
【0061】
接続部17は、絶縁性基板2を貫通する貫通孔の内面に形成された銅の導電膜、即ち金属スルーホールである。また、接続部17は、図8において互いに重なる各内側端部15a及び16aを電気的に接続する複数の第2内側接続部18と、図8において互いに重なる各外側端部15b及び16bを電気的に接続する複数の第2外側接続部19とからなっている。
【0062】
即ち、図8に示すように、巻き戻しコイル部31は、巻き進みコイル部5の基板開口部4側に配置されていることから、各第2内側接続部18が巻き進みコイル部5の各第1内側接続部13よりも基板開口部4に近い側に配置され、各第2外側接続部19が巻き進みコイル部5の各第1外側接続部14よりも基板開口部4に近い側に配置されている。
【0063】
また、絶縁性基板2の厚さ方向に沿って視たときに、第2外側接続部19を介して互いに接続された第2表面導体部15及び第2裏面導体部16の各内側端部15a、16aは、各第2表面導体部15及び各第2裏面導体部16の配列方向に沿って互いに離間されて配置されている。さらに、第2内側接続部18を介して互いに接続された第2表面導体部15及び第2裏面導体部16の各外側端部15b、16bも、各第2表面導体部15及び各第2裏面導体部16の配列方向に沿って互いに離間されて配置されている。なお、ここで、各第2表面導体部15及び各第2裏面導体部16の配列方向は、基板開口部4の周縁に沿った方向である。
【0064】
また、絶縁性基板2の厚さ方向に沿って視たときに、第1外側接続部14を介して互いに接続された第1表面導体部10及び第1裏面導体部11の各内側端部10a、11aは、各第1表面導体部10及び各第1裏面導体部11の配列方向に沿って互いに離間されて配置されている。さらに、第1内側接続部13を介して互いに接続された第1表面導体部10及び第1裏面導体部11の各外側端部10b、11bも、各第1表面導体部10及び各第1裏面導体部11の配列方向に沿って互いに離間されて配置されている。互いに離間された各内側端部10a、11aの間には、第2表面導体部15及び第2裏面導体部16がそれぞれ配置されている。ここで、各第1表面導体部10及び各第1裏面導体部11の配列方向は、基板開口部4の周縁に沿った方向である。
【0065】
巻き進みコイル部5及び巻き戻しコイル部31は、基板開口部4の周縁に沿って視たときに、巻き進みコイル部5の断面領域と、巻き戻しコイル部31の導線によって囲まれる領域、即ち第2表面導体部15、第2裏面導体部16、第2内側接続部18及び第2外側接続部19によって囲まれる領域(以下、巻き戻しコイル部31の断面領域という)とが、大部分で互いに重なって配置されている。
【0066】
空芯コイルはこのように構成されているので、実施の形態1と同様の効果を奏する。また、図8において、巻き戻しコイル部31の正面領域の面積は、第2外側接続部19を介して接続された第2表面導体部15及び第2裏面導体部16の各内側端部15a、16aが互いに離間されているので、各第2表面導体部15と各第2裏面導体部16との間にも正面領域が形成され、図15における従来例の巻き戻しコイル部107の正面領域の面積に比べて大きくなっている。
【0067】
これに対し、巻き進みコイル部5の正面領域の面積は、第1内側接続部13を介して接続された第1表面導体部10及び第1裏面導体部11の各外側端部10a、11aが互いに離間されているので、各第1表面導体部10と各第1裏面導体部11との間に外部の空間が入り込み、図15における従来例の巻き進みコイル部105の正面領域の面積に比べて小さくなっている。
【0068】
従って、実施の形態2に係る空芯コイルによれば、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、巻き進みコイル部5の正面領域の面積と巻き戻しコイル部31の正面領域の面積との面積差を従来例よりも小さくすることができ、外部電磁界による測定誤差をさらに小さくすることができる。
【0069】
なお、実施の形態2においては、巻き戻しコイル部31は巻き進みコイル部5よりも基板開口部4側に配置されているが、巻き進みコイル部5が巻き戻しコイル部31よりも基板開口部4側に配置されていても構わない。
【0070】
また、上記実施の形態においては、各第2内側接続部18は、絶縁性基板2の貫通孔の内面に形成された導電膜、即ち金属スルーホールであるが、基板開口部4の内壁面に導電膜が直接形成されていても構わない。また、各第1外側接続部14は、絶縁性基板2の周縁壁面に導電膜が直接形成されていても構わない。
この場合、各第1外側接続部14及び各第2内側接続部18は、絶縁性基板2の厚さ方向に対して傾斜されて形成されていても構わない。
【0071】
また、各第2内側接続部18が基板開口部4の内壁面に形成される場合、基板開口部4の内壁面に溝部が設けられ、その溝部に導電膜が形成されていても構わない。
さらに、各第1外側接続部14が基板開口部4の内壁面及び絶縁性基板2の周縁壁面に形成される場合、絶縁性基板2の周縁壁面に溝部が設けられ、その溝部に導電膜が形成されていても構わない。
【0072】
また、上記各実施の形態において、空芯コイルは、基板開口部4が揃うように隙間を介して複数枚並べられて電流センサに用いられることにより、さらに測定感度の大きい電流センサを得ることができる。この場合、引出部25及び26は、各コイル本体3が電気的に直列に接続されるように、それぞれ絶縁性基板2の表面8及び裏面9に配置され、空芯コイル1が重ねられたときに接続可能に、例えば一方が凹部で他方が凸部の差し込み式となるようにそれぞれ成形されている。
【0073】
実施の形態3.
図9は、この発明の実施の形態3に係る空芯コイルを示す斜視図である。図9において、絶縁性基板2は、複数の基板開口部4を有している。この複数の基板開口部4は、一枚の平板状の絶縁性基板2に間隔を置いて並べて設けられている。各基板開口部4の周囲には実施の形態1と同様のコイル本体3が配置されている。各コイル本体3は、互いに接続線によって電気的に直列に接続され、さらに接続線によって実施の形態1と同様の信号処理回路に電気的に直列に接続されている。接続線は、絶縁性基板2の表面8あるいは裏面9に形成された銅の導電膜である。
【0074】
このように構成された空芯コイルは、図9に示すように、一本の被測定導体40が各基板開口部4に表面8側あるいは裏面9側から交互に通されて用いられる。この空芯コイルの動作は、実施の形態1と同様である。
【0075】
従って、実施の形態3に係る空芯コイルにおいては、一枚の絶縁性基板2に複数のコイル本体3が設けられているので、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、絶縁性基板2を一枚用いるだけでさらに多くの誘導電流を発生させることができ、電流センサの測定感度を向上させることができる。
【0076】
また、一枚の絶縁性基板2に複数のコイル本体3が配置されるので、電流センサの測定感度を向上させるために複数枚の空芯コイルを重ねる必要がないとともに、絶縁性基板2をコイル本体3ごとにカットする必要もない。従って、空芯コイルの製造に要する労力を軽減でき、製造時間も短縮することができる。
【0077】
なお、コイル本体は、絶縁性基板2に複数配置されていればよいので、実施の形態1と同様の構成だけでなく、基板開口部4の周囲を導電膜である導線が巻き進められて構成された巻き進みコイル部と、巻き進みコイル部とは逆向きに導電膜である導線が巻き戻されて構成された巻き戻しコイル部とを有するロゴスキーコイルであればどのようなものでも構わない。例えば、実施の形態2におけるコイル本体3あるいは従来例と同様のコイル本体103であっても構わない。
【0078】
また、各基板開口部4は、一列だけでなく複数列並べて一枚の絶縁性基板2に設けられていても構わない。
【0079】
実施の形態4.
図10は、この発明の実施の形態4に係る空芯コイを示す斜視図である。図10において、実施の形態4における空芯コイルは、図9の空芯コイルが分割構造とされたものである。即ち、空芯コイルは、互いに着脱可能な複数(2つ)の分割体である主分割体51及び切り離し分割体52から構成されている。
【0080】
空芯コイルを構成する絶縁性基板2及び複数のコイル本体3は、切り離し分割体52が主分割体51から切り離されることにより、分割されるようになっている。また、切り離し分割体52が主分割体51から切り離された状態では、各基板開口部4を形成する絶縁性基板2の内壁面は、一部が切り離されて各基板開口部4が開放されている。
【0081】
即ち、主分割体51は、絶縁性基板2の一部である主基板部53と、各コイル本体3の一部である略C形状の複数の主コイル分割体54とを有している。また、切り離し分割体52は、主基板部53に接続されて絶縁性基板2を形成する切り離し基板部55と、各主コイル分割体54に接続されてコイル本体3を形成する複数の切り離しコイル分割体56とを有している。
【0082】
各基板開口部4は、主基板部53と切り離し基板部55とが接続されることによって初めて形成されるように、主基板部53及び切り離し基板部55の間に配置されている。
また、各主コイル分割体54及び各切り離しコイル部56は、各基板開口部4の周囲の主基板部53側及び切り離し基板部55側にそれぞれ配置されている。
【0083】
各コイル本体3を直列に接続する接続線は、主基板部53及び切り離し基板部55それぞれに形成されている。
【0084】
図11は、互いに切り離されている状態の主分割体51及び切り離し分割体52の要部拡大図である。図11において、主分割体51の側部がステップ面57を有する階段状の係合部58となっており、切り離し分割体52の側部がステップ面59を有する階段状の係合部60となっている。主分割体51及び切り離し分割体52が接続される際には、ステップ面57とステップ面59とが互いに対向されて配置される。
【0085】
主分割体51の係合部58には、ステップ面57から突出した導電性の接続手段であるピン61が設けられている。また、切り離し分割体52の係合部60には、複数の貫通孔が切り離し基板部55の厚さ方向に沿って形成されている。各貫通孔の内面には、導電膜が形成されている。ピン61は、主分割体51及び切り離し分割体52が接続される際に、この貫通孔に挿入されるようになっている。
【0086】
ピン61は、係合部60に形成された貫通孔に挿入される際に貫通孔内面に形成された導電膜に接触するようになっており、ピン61及び導電膜によりコイル本体3の接続部が構成されるようになっている。このようにして、主分割体51及び切り離し分割体52は、各コイル本体3の電気的接続がなされるとともに機械的にも接続されるようになっている。
【0087】
このような構成であるので、実施の形態3と同様の効果を奏するとともに、被測定導体を基板開口部4に通す際にわざわざ被測定導体の端部から基板開口部4に挿入させなくても、切り離し分割体52を主分割体51から切り離してできた空間から被測定導体を基板開口部4に挿入することができ、既設の被測定導体等のように導体の切断が困難な場合でも空芯コイルを容易に装着することができる。また、図12に示すように、被測定導体62が板状で容易に変形できないもの、即ちあらかじめ形状が固定されたものであっても、被測定導体62を基板開口部4に通すことができる。
【0088】
このピン61は、切り離し分割体52の係合部60に設けられていても構わない。この場合、主分割体51の係合部58には、内面に導電膜が形成された貫通孔が形成される。
【0089】
また、空芯コイルは、主分割体51及び切り離し分割体52の2つの分割体から構成されることに限定されることはなく、3つ以上の分割体から構成されていても構わない。
【0090】
また、各分割体は、被測定導体を変形させずに基板開口部4に通すことができるので、すべてが各コイル本体3を分割するようになっていなくてもよい。即ち、少なくとも1つのコイル本体3が分割されるように各分割体が構成されていればよい。
【0091】
また、各コイル本体3を直列に接続する接続線は、主基板部53のみに形成されていてもよいし、切り離し基板部55のみに形成されていてもよい。
【0092】
また、接続手段は、ピン61に限定されず、主コイル分割体54の導線と切り離しコイル分割体56の導線とを電気的及び機械的に互いに接続するものであればどのようなものでも構わない。
【0093】
実施の形態5.
図13は、この発明の実施の形態5に係る空芯コイルを示す斜視図である。図13において、実施の形態3の空芯コイルがエポキシ樹脂等の絶縁体の皮膜により一括して被覆されている。各基板開口部4は、内壁面が絶縁体により被覆されているが、絶縁体により埋め尽くされてはいない。絶縁体上には、各基板開口部4に1回ずつ通されている被測定導体部65が形成されている。被測定導体部65は、絶縁体上に形成された銅の導電膜である。被測定導体65の両端部65a及び65bには、被測定導体が半田等で電気的に接続され、電流が流れるようになっている。また、被測定導体部65は、絶縁性基板2の側面の絶縁体上にも形成されている。
【0094】
被測定導体部65は、絶縁体上にメッキ、パターンニング処理されて形成されている。
【0095】
従って、空芯コイルはこのような構成であるので、実施の形態3と同様の効果を奏するとともに、被測定導体部65と各コイル本体3との位置関係が安定され、被測定導体部65に流れる電流を正確に反映する誘導起電力が各コイル本体3に発生されるようになる。このことから、さらに電流センサの測定感度を向上させ、測定誤差を小さくすることができる。
【0096】
また、被測定導体部65は、絶縁性基板2及びコイル本体3を被覆した絶縁体上に形成された構成であるので、空芯コイルの製造工程内で被測定導体部65を形成することができる。
【0097】
なお、実施の形態5において、被測定導体部65は、それぞれ1回ずつ各基板開口部4に通されているが、複数回通されてコイル本体3を巻回するように絶縁体上にパターンニング処理されていてもよい。このようにすれば、各コイル本体3に発生する誘導起電力がさらに大きくなり、電流センサの測定感度を向上させることができる。
【0098】
また、被測定導体部65は、絶縁性基板2の側面を利用して形成されているが、図14に示すように、コイル本体3周囲の絶縁性基板2に貫通されて形成されていても構わない。
【0099】
また、被測定導体部65は、絶縁体上にメッキされて形成されることが望ましいが、絶縁性基板2及びコイル本体3を被覆する絶縁体上に形成できればどのような方法で形成しても構わない。
【0100】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明に係る空芯コイルでは、巻き進みコイル部は、表面の基板開口部の周囲で略放射状に形成されて基板開口部に近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の第1表面導体部、裏面の基板開口部の周囲で略放射状に形成されて基板開口部の近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の第1裏面導体部、互いに隣接する第1裏面導体部のうちの一方の第1裏面導体部の内側端部と第1表面導体部の内側端部とを電気的に接続する複数の第1内側接続部、他方の第1裏面導体部の外側端部とこの第1表面導体部の外側端部とを電気的に接続する複数の第1外側接続部を有し、巻き戻しコイル部は、表面の基板開口部の周囲で各第1表面導体部と交互になるように略放射状に形成されて基板開口部に近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の第2表面導体部、裏面の基板開口部の周囲で各第1裏面導体部と交互になるように略放射状に形成されて基板開口部に近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の第2裏面導体部、互いに隣接する第2裏面導体部のうちの一方の第2裏面導体部の内側端部と第2表面導体部の内側端部とを電気的に接続する複数の第2内側接続部、他方の第2裏面導体部の外側端部と第2表面導体部の外側端部とを電気的に接続する複数の第2外側接続部を有しており、第2内側接続部及び第2外側接続部のいずれか一方は、絶縁性基板の厚さ方向に沿って視たときに、少なくとも1本の第2表面導体部に交差する渡り部をそれぞれ有しているので、一枚の絶縁性基板に巻き進みコイル部及び巻き戻しコイル部を容易に形成できる。また、第1内側接続部、第1外側接続部、第2内側接続部及び第2外側接続部の配置を調整することにより、巻き進み方向に沿って視たときに、巻き進みコイル部の導線によって囲まれる領域の面積と巻き戻し方向に沿って視たときの巻き戻しコイル部の導線によって囲まれる領域の面積とを同一にすることができ、各領域が互いに重なる部分の割合も大きくすることができる。従って、この空芯コイルが電流センサに用いられる場合、電流センサの測定感度が向上し、測定誤差が小さくなる。
【0101】
また、表面、裏面、及び表面と裏面とを貫通し、被測定導体が通される基板開口部を有する絶縁性基板と、基板開口部の周囲で導線が巻回されて構成され、基板開口部を囲むように絶縁性基板に設けられた巻き進みコイル部、及び基板開口部の周囲で導線が巻回されて構成され、巻き進みコイル部とともに基板開口部を囲むように絶縁性基板に設けられた巻き戻しコイル部を有し、被測定導体を流れる電流により巻き進みコイル部及び巻き戻しコイル部に発生する誘導起電力が電気的に同じ向きになるように巻き進みコイル部及び巻き戻しコイル部が直列に接続されて構成されたコイル本体とを備え、巻き進みコイル部及び巻き戻しコイル部は、表面の基板開口部の周囲で略放射状に形成されて基板開口部に近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の表面導体部、裏面の基板開口部の周囲で略放射状に形成されて基板開口部の近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の裏面導体部、互いに隣接する裏面導体部のうちの一方の裏面導体部の内側端部と表面導体部の内側端部とを電気的に接続する複数の内側接続部、及び他方の裏面導体部の外側端部と表面導体部の外側端部とを電気的に接続する複数の外側接続部をそれぞれ有し、絶縁性基板の厚さ方向に沿って視たときに、巻き進みコイル部及び巻き戻しコイル部のうちの一方は、各内側接続部が他方の各内側接続部よりも基板開口部に近い側に配置され、各外側接続部が他方の各外側接続部よりも基板開口部に近い側に配置されており、一方のコイル部は、外側接続部を介して互いに接続された表面導体部及び裏面導体部の各内側端部が、表面導体部及び裏面導体部の配列方向に沿って互いに離間されて配置され、他方のコイル部は、内側接続部を介して互いに接続された表面導体部及び裏面導体部の各外側端部が、配列方向に沿って互いに離間されて配置されているので、巻き進みコイル部の導線によって囲まれる正面領域の面積と巻き戻しコイル部の導線によって囲まれる正面領域の面積との面積差を小さくでき、外部電磁界による電流センサの測定誤差を小さくすることができる。
【0102】
また、被測定導体が通される複数の基板開口部を有する絶縁性基板と、各基板開口部をそれぞれ囲むように絶縁性基板に設けられた複数のコイル本体とを備え、複数のコイル本体は、被測定導体を流れる電流により各コイル本体に発生する誘導起電力が電気的に同じ向きになるように互いに直列に接続されているので、複数のコイル本体それぞれに誘導起電力を発生させて多くの誘導電流を得ることができる。従って、空芯コイルを電流センサに用いると、電流センサの測定感度を向上させることができる。
【0103】
また、基板開口部が開放されるように、少なくとも1つのコイル本体を絶縁性基板とともに分割する複数の分割体から構成され、複数の分割体が互いに接続されることにより基板開口部が形成されるようになっており、各分割体は、それぞれの導線を互いに着脱可能に電気的及び機械的に接続する接続手段を有しているので、各分割体を切り離すことにより基板開口部に容易に被測定導体を配置することができ、被測定導体の切断を不要にできる。
【0104】
また、複数の基板開口部を有する絶縁性基板と、各基板開口部をそれぞれ囲んで絶縁性基板に設けられた複数のコイル本体と、絶縁性基板及び複数のコイル本体を一括して被覆する絶縁体と、各基板開口部に通されるように絶縁体上に形成された被測定導体部とを備え、複数のコイル本体は、被測定導体部を流れる電流により各コイル本体に発生する誘導起電力が電気的に同じ向きになるように互いに直列に接続されているので、各コイル本体と被測定導体部との位置関係が安定し、被測定導体部の配置変動による測定誤差を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る空芯コイルを示す部分斜視図である。
【図2】図1の接続点付近のコイル本体3を示す部分拡大図である。
【図3】図1の基板開口部の外周に沿って視たときの巻き進みコイル部及び巻き戻しコイル部を示す配置図である。
【図4】図1の絶縁性基板の厚さ方向に沿って視たときの空芯コイルを示す正面図である。
【図5】図4の巻き進みコイル部を示す正面図である。
【図6】図4の巻き戻しコイル部を示す正面図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係る空芯コイルを示す要部拡大図である。
【図8】図8は、図7の空芯コイルを絶縁性基板の厚さ方向に沿って視たときの正面図である。
【図9】この発明の実施の形態3に係る空芯コイルを示す斜視図である。
【図10】この発明の実施の形態4に係る空芯コイルを示す斜視図である。
【図11】互いに切り離されている状態の主分割体及び切り離し分割体の要部拡大図である。
【図12】実施の形態4に係る空芯コイルに取り付けられる被測定導体の一例を示す斜視図である。
【図13】この発明の実施の形態5に係る空芯コイルを示す斜視図である。
【図14】実施の形態5に係る他の例の空芯コイルを示す斜視図である。
【図15】従来の空芯コイルを示す正面図である。
【図16】図15の空芯コイルの要部拡大図である。
【符号の説明】
1 空芯コイル、2 絶縁性基板、3 コイル本体、4 基板開口部、5 巻き進みコイル部、6,31 巻き戻しコイル部、8 表面、9 裏面、10 第1表面導体部、11 第1裏面導体部、13 第1内側接続部、14 第1外側接続部、15 第2表面導体部、16 第2裏面導体部、18 第2内側接続部、19 第2外側接続部、21 渡り部、51 主分割体(分割体)、52 切り離し分割体(分割体)、61 ピン(接続手段)。
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばインパルス大電流等を測定する電流センサに用いられる空芯コイルに関するもので、特に絶縁性の基板を用いて形成された空芯コイルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図15は、特開平6−176947号公報に開示された従来の空芯コイルを示す正面図である。また、図16は、図15の空芯コイルの要部拡大図である。図15及び図16において、空芯コイル100は、円形の基板開口部101を有する二面プリント基板102と、この基板開口部101の周囲に配置されたコイル本体103とを備えている。二面プリント基板102の材質は、非磁性体のエポキシ樹脂である。
【0003】
コイル本体103は、時計回り(矢印104の向き)に導線が一定ピッチで巻回された巻き進みコイル部105と、この巻き進みコイル部105の終端部に接続されて反時計回り(矢印106の向き)に導線が一定ピッチで巻回された巻き戻しコイル部107とから構成されている。巻き進みコイル部105及び巻き戻しコイル部107は、二面プリント基板102の表面及び裏面に複数形成された各導体部108、109が二面プリント基板102を貫通する接続部を介して直列に接続されることにより、それぞれコイル状に形成されたものである。各面の導体部108、109は、基板開口部101を中心として放射状にプリントされた導電膜である。接続部は、二面プリント基板102の貫通孔の内面に形成された導電膜、即ち金属スルーホールである。
【0004】
ここで、図16において、巻き進みコイル部105については、二面プリント基板102の表面に形成された導体部108を太実線で示し、裏面に形成された導体部108を太破線で示している。また、巻き戻しコイル部107については、二面プリント基板102の表面に形成された導体部109を二重実線で示し、裏面に形成された導体部109を二重破線で示している。さらに、分かり易くするため、表面の導体部108、109に対面されて実際には図面に現れない裏面の導体部108、109の部分を表面の導体部と並べて示している。
【0005】
図16に示すように、表面及び裏面では、巻き進みコイル部105の導体部108と巻き戻しコイル部107の導体部109とが交互に一定ピッチで配列されている。
【0006】
巻き進みコイル部105においては、表面及び裏面で、長さの異なる導体部108が交互に一定ピッチで配列されている。巻き戻しコイル部107においても、表面及び裏面で、長さの異なる導体部109が交互に一定ピッチで配列されている。
また、巻き進みコイル部105では、各導体部108が基板開口部101から離れた側、即ち外側で各導体部108のピッチ間の接続が接続部によりなされている。巻き戻しコイル部107では、各導体部109が基板開口部101に近い側、即ち内側で各導体部109のピッチ間の接続が接続部によりなされている。
【0007】
従って、巻き進みコイル部105及び巻き戻しコイル部107においては、矢印104あるいは矢印106の方向に沿って視たときに、それぞれの導線によって囲まれる領域(以下、それぞれ巻き進みコイル部105の断面領域、巻き戻しコイル部107の断面領域という)の面積は巻回ピッチごとに異なっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、電流センサに用いられる空芯コイルは、電流測定の際、基板開口部101に被測定導体が通されて配置されるため、電流センサの測定に寄与する誘導電流は、巻き進みコイル部105及び巻き戻しコイル部107のそれぞれの断面領域を通る磁束によって発生する。
【0009】
従って、測定に寄与する誘導電流を多くして測定感度を向上させるため、巻き進みコイル部105及び巻き戻しコイル部107の各断面領域の面積を同一にして均一に誘導電流を発生させることが望ましい。しかしながら、巻き戻しコイル部107の断面領域及び巻き進みコイル部105の断面領域は、それぞれ巻回ピッチごとに面積が異なっているので、測定感度の向上が阻害されるという問題点があった。
【0010】
また、できるだけ共通の磁束により誘導電流を巻き進みコイル部105及び巻き戻しコイル部107に発生させて、巻き進みコイル部105の導線及び巻き戻しコイル部107が異なる磁束の誘導電流を発生することによる測定誤差を小さくすることが望ましい。従って、矢印104あるいは矢印106に沿って視たときに、各断面領域が重なるように、巻き進みコイル部105及び巻き戻しコイル部107を配置することが望ましい。しかしながら、巻き進みコイル部105の各断面領域及び巻き戻しコイル部107の各断面領域のうち、基板開口部101側に突出されて、隣接する断面領域と一部が重なっていない断面領域が存在するので、それだけ測定誤差が大きくなるという問題点があった。
【0011】
また、絶縁性基板102の厚さ方向(図15及び図16の紙面に対して垂直方向)に沿って視たときに、巻き進みコイル部105の導線によって囲まれる領域(以下、巻き進みコイル部105の正面領域という)及び巻き戻しコイル部107の導線によって囲まれる領域(以下、巻き戻しコイル部107の正面領域という)には、通常、外部電磁界の磁束が通っている。外部電磁界が均一電磁界であると仮定すると、巻き進みコイル部105の導線及び巻き戻しコイル部107の導線には、それぞれ巻き進みコイル部105の正面領域の面積及び巻き戻しコイル部107の正面領域の面積に対応した誘導電流がこの外部電磁界によって発生する。外部電磁界による誘導電流は測定誤差の原因となるので、巻き進みコイル部105及び巻き戻しコイル部107のそれぞれに発生するこの誘導電流が互いに相殺されるように、各正面領域の面積がより同一に近づけられることが望ましい。
【0012】
しかしながら、巻き進みコイル部105の正面領域の面積は、巻き戻しコイル部107の正面領域の面積よりも大きいので、巻き進みコイル部105に発生する誘導電流と巻き戻しコイル部107に発生する誘導電流とが完全に相殺されず、測定誤差を抑制することが困難であるという問題点もあった。
【0013】
そこでこの発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするもので、電流センサの測定感度をさらに向上させることができる空芯コイルを得ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る空芯コイルは、表面、裏面、及び表面と裏面とを貫通し、被測定導体が通される基板開口部を有する絶縁性基板と、基板開口部の周囲で導線が巻回されて構成され、基板開口部を囲むように絶縁性基板に設けられた巻き進みコイル部、及び巻き進みコイル部に重なりつつ導線が巻回されて構成され、基板開口部を囲むように絶縁性基板に設けられた巻き戻しコイル部を有し、被測定導体を流れる電流により巻き進みコイル部及び巻き戻しコイル部に発生する誘導起電力が電気的に同じ向きになるように巻き進みコイル部及び巻き戻しコイル部が直列に接続されて構成されたコイル本体とを備え、巻き進みコイル部は、表面の基板開口部の周囲で略放射状に形成されて基板開口部に近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の第1表面導体部、裏面の基板開口部の周囲で略放射状に形成されて基板開口部の近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の第1裏面導体部、互いに隣接する第1裏面導体部のうちの一方の第1裏面導体部の内側端部と第1表面導体部の内側端部とを電気的に接続する複数の第1内側接続部、及び他方の第1裏面導体部の外側端部と第1表面導体部の外側端部とを電気的に接続する複数の第1外側接続部を有し、巻き戻しコイル部は、表面の基板開口部の周囲で各第1表面導体部と交互になるように略放射状に形成されて基板開口部に近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の第2表面導体部、裏面の基板開口部の周囲で各第1裏面導体部と交互になるように略放射状に形成されて基板開口部に近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の第2裏面導体部、互いに隣接する第2裏面導体部のうちの一方の第2裏面導体部の内側端部と第2表面導体部の内側端部とを電気的に接続する複数の第2内側接続部、及び他方の第2裏面導体部の外側端部と第2表面導体部の外側端部とを電気的に接続する複数の第2外側接続部を有しており、第2内側接続部及び第2外側接続部のいずれか一方は、絶縁性基板の厚さ方向に沿って視たときに、少なくとも1本の第2表面導体部に交差する渡り部をそれぞれ有している。
【0015】
また、表面、裏面、及び表面と裏面とを貫通し、被測定導体が通される基板開口部を有する絶縁性基板と、基板開口部の周囲で導線が巻回されて構成され、基板開口部を囲むように絶縁性基板に設けられた巻き進みコイル部、及び基板開口部の周囲で導線が巻回されて構成され、巻き進みコイル部とともに基板開口部を囲むように絶縁性基板に設けられた巻き戻しコイル部を有し、被測定導体を流れる電流により巻き進みコイル部及び巻き戻しコイル部に発生する誘導起電力が電気的に同じ向きになるように巻き進みコイル部及び巻き戻しコイル部が直列に接続されて構成されたコイル本体とを備え、巻き進みコイル部及び巻き戻しコイル部は、表面の基板開口部の周囲で略放射状に形成されて基板開口部に近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の表面導体部、裏面の基板開口部の周囲で略放射状に形成されて基板開口部の近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の裏面導体部、互いに隣接する裏面導体部のうちの一方の裏面導体部の内側端部と表面導体部の内側端部とを電気的に接続する複数の内側接続部、及び他方の裏面導体部の外側端部と表面導体部の外側端部とを電気的に接続する複数の外側接続部をそれぞれ有し、絶縁性基板の厚さ方向に沿って視たときに、巻き進みコイル部及び巻き戻しコイル部のうちの一方は、各内側接続部が他方の各内側接続部よりも基板開口部に近い側に配置され、各外側接続部が他方の各外側接続部よりも基板開口部に近い側に配置されており、一方のコイル部は、外側接続部を介して互いに接続された表面導体部及び裏面導体部の各内側端部が、表面導体部及び裏面導体部の配列方向に沿って互いに離間されて配置され、他方のコイル部は、内側接続部を介して互いに接続された表面導体部及び裏面導体部の各外側端部が、配列方向に沿って互いに離間されて配置されている。
【0016】
また、被測定導体が通される複数の基板開口部を有する絶縁性基板と、各基板開口部をそれぞれ囲むように絶縁性基板に設けられた複数のコイル本体とを備え、複数のコイル本体は、被測定導体を流れる電流により各コイル本体に発生する誘導起電力が電気的に同じ向きになるように互いに直列に接続されている。
【0017】
また、基板開口部が開放されるように、少なくとも1つのコイル本体を絶縁性基板とともに分割する複数の分割体から構成され、複数の分割体が互いに接続されることにより基板開口部が形成されるようになっており、各分割体は、それぞれの導線を互いに着脱可能に電気的及び機械的に接続する接続手段を有している。
【0018】
また、複数の基板開口部を有する絶縁性基板と、各基板開口部をそれぞれ囲んで絶縁性基板に設けられた複数のコイル本体と、絶縁性基板及び複数のコイル本体を一括して被覆する絶縁体と、各基板開口部に通されるように絶縁体上に形成された被測定導体部とを備え、複数のコイル本体は、被測定導体部を流れる電流により各コイル本体に発生する誘導起電力が電気的に同じ向きになるように互いに直列に接続されている。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る空芯コイルを示す構成図である。図1において、空芯コイル1は、樹脂等の非磁性体で作製された絶縁性基板2と、この絶縁性基板2に設けられたコイル本体3とを備えている。絶縁性基板2は、被測定導体が通される円形状の基板開口部4を中央に有した円板である。コイル本体3は、基板開口部4の外周に沿って導線が巻回されるように形成された巻き進みコイル部5及び巻き戻しコイル部6を有している。
【0020】
巻き進みコイル部5と巻き戻しコイル部6とは接続点7で電気的に直列に接続されている。巻き進みコイル部5及び巻き戻しコイル部6のそれぞれの導線には、被測定導体に流れる電流に対応した誘導起電力が発生するようになっている。巻き進みコイル部5及び巻き戻しコイル部6は、この誘導起電力が電気的に同じ向きになるように巻回されている。また、巻き進みコイル部5及び巻き戻しコイル部6を構成する導線は、絶縁性基板2にコイル状に形成された銅の導電膜である。
即ち、空芯コイル1は、導体が巻き進められた巻き進みコイル部5と、巻き進みコイル部5の終端部に接続されて導線が巻き進みコイル部5に沿って巻き戻された巻き戻しコイル部6とから構成されるロゴスキーコイルである。
【0021】
図2は、図1の接続点7付近のコイル本体3を示す部分拡大図であり、図3は、図1の基板開口部4の外周に沿って(図1の矢印23の向きに沿って)視たときの巻き進みコイル部5及び巻き戻しコイル部6を示す配置図である。また、図4は、図1の絶縁性基板2の厚さ方向に沿って(図1の矢印24の向きに沿って)視たときの空芯コイル1を示す正面図である。なお、図1、図2及び図4において、裏面9に形成された導電膜は、破線で示している。
図1乃至図4において、絶縁性基板2の表面8及び裏面9には、導電膜である複数の第1表面導体部10及び導電膜である複数の第1裏面導体部11がそれぞれプリントされている。また、絶縁性基板2には、絶縁性基板2を貫通する複数の接続部12が形成されている。巻き進みコイル部5は、複数の第1表面導体部10及び複数の第1裏面導体部11が各接続部12を介して電気的に直列に接続されてコイル状に形成されたものである。
【0022】
絶縁性基板2の表面8及び裏面9にはまた、導電膜である複数の第2表面導体部15及び導電膜である複数の第2裏面導体部16がそれぞれプリントされている。各第2表面導体部15は、各第1表面導体部10の間に配置され、各第2裏面導体部16は、各第1裏面導体部11の間に配置されている。また、絶縁性基板2には、絶縁性基板2を貫通する複数の接続部17が形成されている。巻き戻しコイル部6は、複数の第2表面導体部15及び複数の第2裏面導体部16が各接続部17を介して電気的に直列に接続されてコイル状に形成されたものである。
【0023】
各第1表面導体部10は、基板開口部4の周囲で略放射状に一定ピッチで配列されている。なお、基板開口部4に近い側には、第1表面導体部10の内側端部10aが配置され、基板開口部4から遠い側には、第1表面導体部10の外側端部10bが配置されている。
【0024】
各第1裏面導体部11も同様に、基板開口部4の周囲で略放射状に一定ピッチで配列されている。なお、基板開口部4に近い側には、第1裏面導体部11の内側端部11aが配置され、基板開口部4から遠い側には、第1裏面導体部11の外側端部11bが配置されている。
【0025】
図4に示すように、各第1表面導体部10及び各第1裏面導体部11は、絶縁性基板2の厚さ方向に沿って視たとき、各内側端部10aと各内側端部11aとが重なり、各外側端部10bと各外側端部11bとが重なるように配列されている。各第1表面導体部10は、互いに隣接する第1裏面導体部11の間に配置され、内側端部10aが一方の第1裏面導体部11の内側端部11aに重なり、外側端部10bが他方の第1裏面導体部11の外側端部11bに重なるように配列されている。従って、各第1表面導体部10及び各第1裏面導体部11によって基板開口部4の周りに鋸歯状の模様が形成されている。
【0026】
また、図4において、第1表面導体部10及び第1裏面導体部11が、互いに重なっている外側端部10b及び外側端部11bを始点としたベクトルであると考えると、そのベクトルの合成方向に基板開口部4の中心点が存在するように、各第1表面導体部10及び各第1裏面導体部11は設けられている。
【0027】
接続部12は、絶縁性基板2を貫通する貫通孔の内面に形成された銅の導電膜、即ち金属スルーホールである。また、接続部12は、図4において互いに重なる各内側端部10a及び11aを電気的に接続する複数の第1内側接続部13と、図4において互いに重なる各外側端部10b及び11bを電気的に接続する複数の第1外側接続部14とからなっている。
【0028】
各第2表面導体部15は、表面8で基板開口部4の周囲に略放射状に第1表面導体部10と交互になるように一定ピッチで配列されている。基板開口部4に近い側には、第2表面導体部15の内側端部15aが配置され、基板開口部4から遠い側には、第2表面導体部15の外側端部15bが配置されている。
さらに、各第2表面導体部15は、各内側端部15a及び各外側端部15bがそれぞれ各内側端部10a及び各外側端部10bよりも基板開口部4から離れた位置になるように配置されている。
【0029】
各第2裏面導体部16も同様に、裏面9で基板開口部4の周囲に略放射状に第1裏面導体部11と交互になるように一定ピッチで配列されている。基板開口部4に近い側には、第2裏面導体部16の内側端部16aが配置され、基板開口部4から遠い側には、第2裏面導体部16の外側端部16bが配置されている。
さらに、各第2裏面導体部16は、各内側端部16a及び各外側端部16bがそれぞれ各内側端部11a及び各外側端部11bよりも基板開口部4から離れた位置になるように配置されている。
【0030】
図4に示すように、各第2表面導体部15及び各第2裏面導体部16は、絶縁性基板2の厚さ方向に沿って視たとき、各内側端部15aと各内側端部16aとが重なるように配列されている。
【0031】
接続部17は、各内側端部15a及び各内側端部16aを電気的に接続する複数の第2内側接続部18と、各外側端部15b及び各外側端部16bを電気的に接続する複数の第2外側接続部19とからなっている。
【0032】
各第2内側接続部18は、絶縁性基板2を貫通する貫通孔の内面に形成された銅の導電膜、即ち金属スルーホールである。また、各第2内側接続部18は、それぞれ図4において互いに重なる内側端部15a及び16aに接続されている。
【0033】
第2外側接続部19は、図4において、互いに隣接する第2裏面導体部16のうちの一方の第2裏面導体部16に電気的に接続された第2表面導体部15と、他方の第2裏面導体部16とに接続されている。この第2外側接続部19にそれぞれ接続された第2表面導体部15及び他方の第2裏面導体部16の間には、一方の第2裏面導体部16が配置されている。
【0034】
各第2外側接続部19は、外側端部15bに接続されるとともに絶縁性基板2を貫通する貫通部20と、裏面9に形成されて貫通部20及び第2裏面導体部16を電気的に接続する渡り部21とから構成されている。貫通部20は、絶縁性基板2を貫通する貫通孔の内面に形成された銅の導電膜、即ち金属スルーホールである。渡り部21は、裏面9にプリントされた導電膜である。
【0035】
渡り部21は、一端部が貫通部20に接続され、他端部が第2裏面導体部16の外側端部16bに接続されている。また、渡り部21は、第1裏面導体部11及び第2裏面導体部16に交差しないように第1裏面導体部11及び第2裏面導体部16の外側に配置されている。さらに、図4に示すように、渡り部21は、絶縁性基板2の厚さ方向に沿って視たときに、第2表面導体部15と交差されている。この交差する第2表面導体部15は、この渡り部21を有する第2外側接続部19の両端で接続された第2表面導体部15と第2裏面導体部16との間に配置され、外側端部15bがこの渡り部21よりも外側に配置されている。従って、渡り部21は、他の渡り部21にも交差されることなく裏面9に配置される。
【0036】
図5は、図4の巻き進みコイル部5を示す正面図である。図5において、絶縁性基板2の厚さ方向に沿って視たときに、巻き進みコイル部5の導線によって囲まれた領域、ここでは各第1表面導体部10及び各第1裏面導体部11で形成された鋸歯状の模様によって囲まれた領域(以下、巻き進みコイル部5の正面領域という)は、外部電磁界の磁束が通ると巻き進みコイル部5に誘導電流が発生する領域である。
【0037】
図6は、図4の巻き戻しコイル部6を示す正面図である。図6において、絶縁性基板2の厚さ方向に沿って視たときに、巻き戻しコイル部6の導線によって囲まれた領域(以下、巻き戻しコイル部6の正面領域)は、外部電磁界の磁束が通ると巻き戻しコイル部6に誘導電流が発生する領域である。ここでは、巻き戻しコイル部6の正面領域は、第2表面導体部15の一部及び渡り部21で構成される図6における最外周の導線によって囲まれる大領域と、大領域内でその最外周の導線に沿って配置された複数の小領域(図6の斜線部分)とから構成されている。
【0038】
図4においては、図5の巻き進みコイル部5の正面領域と図6の巻き戻しコイル部6の正面領域とが互いに重なっている状態が示されている。図4に示すように、絶縁性基板2の厚さ方向に沿って視たときに、巻き進みコイル部5の正面領域は、巻き戻しコイル部6の最外周の導線によって囲まれる大領域内に配置されている。また、鋸歯状模様の巻き進みコイル部5の正面領域は、各鋸歯部分が巻き戻しコイル部6の各小領域にそれぞれ重なって配置されている。
【0039】
外部電磁界による測定誤差の発生を抑制するためには、巻き進みコイル部5の正面領域の面積と巻き戻しコイル部6の正面領域の面積との面積差が小さいほうが望ましいので、互いに内側端部15a及び16aが重なる各第2表面導体部15及び各第2裏面導体部16の間隔が狭くされて、できるだけ巻き戻しコイル部6の小領域の面積が小さくなるように、各第2表面導体部15及び各第2裏面導体部16が配置される。
【0040】
また、巻き進みコイル部5及び巻き戻しコイル部6は、図3に示すように、基板開口部4の周縁に沿って視たときに、巻き進みコイル部5の導線によって囲まれる領域、即ち第1表面導体部10、第1裏面導体部11、第1内側接続部13及び第1外側接続部14によって囲まれる領域(以下、巻き進みコイル部5の断面領域という)と、巻き戻しコイル部6の導線によって囲まれる領域、即ち第2表面導体部15、第2裏面導体部16、第2内側接続部18及び第2外側接続部19によって囲まれる領域(以下、巻き戻しコイル部6の断面領域という)とが、大部分で互いに重なって配置されている。
【0041】
なお、接続点7で一端部同士が接続された巻き戻しコイル部5及び巻き進みコイル部6の各他端部がコイル本体3の引出部25、26となって絶縁性基板2に取り付けられた信号処理回路27に電気的に接続されている。
【0042】
次に、動作について説明する。被測定導体に電流が流されると、巻き進みコイル部5の断面領域及び巻き戻しコイル部6の断面領域を磁束が通され、コイル本体3に誘導電流が発生する。この誘導電流は、図2に示した矢印の向きに流れるので、各箇所で発生する誘導電流が電気的に互いに相殺されることはない。
【0043】
一方、図4乃至図6に示すように、巻き進みコイル部5の正面領域及び巻き戻しコイル部6の正面領域に外部電磁界が通されると、巻き進みコイル部5及び巻き戻しコイル部6にそれぞれ誘導起電力が発生する。即ち、巻き進みコイル部5には、巻き進みコイル部5の正面領域の面積に応じた誘導起電力が発生し、巻き戻しコイル部6には、巻き戻しコイル部6の正面領域の面積、即ち大領域の面積及び小領域の面積を足し合わせた面積に応じた誘導起電力が発生する。巻き進みコイル部5及び巻き戻しコイル部6のそれぞれに発生する誘導起電力は、電気的に互いに逆向きであるので相殺されるが、誘導起電力の大きさが異なる場合、その差分が誘導電流として導線を流れる。
【0044】
その後、コイル本体3の導線を流れる誘導電流は、信号処理回路27において積分処理されて、被測定導体を流れる電流の電流値が算出される。
【0045】
従って、巻き進みコイル部5の断面領域及び巻き戻しコイル部6の断面領域は、貫通孔の位置変更によりそれぞれ面積が調整可能であるので、各断面領域の面積を容易に同一にすることができ、さらに図3における各断面領域の重なる部分の割合を大きくすることができる。このことから、電流センサに空芯コイル1を用いると、測定感度を向上させることができ、測定誤差を小さくすることができる。
【0046】
また、コイル本体3の導線は、ほとんど完全に基板開口部4の軸線に関して対称に、かつ均一に形成されることができ、さらに測定感度を向上させ、測定誤差を小さくすることができる。
【0047】
また、基板開口部4を有する一枚の絶縁性基板2に複数の貫通孔を形成し、この貫通孔の内面、表面8及び裏面9の所定位置に導電膜を形成するだけで、巻線機を用いなくても容易に空芯コイル1を大量に作製することができ、製造コストも低減させることができる。
【0048】
なお、上記実施の形態においては、巻き戻しコイル部6は、渡り部21が基板開口部4から離れた側、即ち外側に配置されて構成されているが、渡り部21が基板開口部4に近い側、即ち内側に配置されて構成されていても構わない。
【0049】
また、図4において、第2裏面導体部16は、互いに隣接する第1裏面導体部11の間に配置されていればよいので、渡り部21は、2本の第2表面導体部15に交差されるように配置されてもよい。
【0050】
また、上記実施の形態においては、各第1内側接続部13及び各第2内側接続部17は、絶縁性基板2の貫通孔の内面に形成された導電膜、即ち金属スルーホールであるが、基板開口部4の内壁面に導電膜が直接形成されていても構わない。
【0051】
また、各第2外側接続部19の貫通部20は、絶縁性基板2の周縁壁面に導電膜が直接形成されていても構わない。さらに、貫通部20は、絶縁性基板2の厚さ方向に対して傾斜されて形成されていても構わない。
【0052】
また、各第1内側接続部13及び各第2内側接続部17が基板開口部4の内壁面に直接形成される場合、基板開口部4の内壁面に溝部が設けられ、その溝部に導電膜が形成されていても構わない。
また、各貫通部20が絶縁性基板2の周縁壁面に直接形成される場合、絶縁性基板2の周縁壁面に溝部が設けられ、その溝部に導電膜が形成されていても構わない。
【0053】
実施の形態2.
図7は、この発明の実施の形態2に係る空芯コイルを示す要部拡大図である。また、図8は、図7の空芯コイルを絶縁性基板の厚さ方向に沿って視たときの正面図である。図7及び図8において、空芯コイルは、樹脂等の非磁性体で作製された絶縁性基板2と、この絶縁性基板2に設けられたコイル本体3とを備えている。コイル本体3は、基板開口部4の外周に沿って導線が巻回されるように形成された巻き進みコイル部5及び巻き戻しコイル部31を有している。絶縁性基板2、巻き進みコイル部5及び信号処理回路27は、実施の形態1と同様の構成となっている。
【0054】
巻き戻しコイル部31は、接続点7で巻き進みコイル部5と電気的に直列に接続されている。巻き戻しコイル部31の導線には、被測定導体に流れる電流に対応した誘導起電力が発生するようになっている。巻き進みコイル部5及び巻き戻しコイル部31は、この誘導起電力が電気的に同じ向きになるように巻回されている。また、巻き戻しコイル部31を構成する導線は、絶縁性基板2にコイル状に形成された銅の導電膜である。
【0055】
巻き戻しコイル部31は、絶縁性基板2の表面8に形成された導電膜である複数の第2表面導体部15と、裏面9に形成された導電膜である複数の第2裏面導体部16と、絶縁性基板2を貫通して形成され、各第2表面導体部15及び各第2裏面導体部16を電気的に直列に接続する接続部17とから構成されている。
【0056】
各第2表面導体部15は、基板開口部4の周囲で略放射状に一定ピッチで配列されている。従って、基板開口部4に近い側には、第2表面導体部15の内側端部15aが配置され、基板開口部4から遠い側には、第2表面導体部15の外側端部15bが配置されている。
【0057】
各第2裏面導体部16は、基板開口部4の周囲で略放射状に一定ピッチで配列されている。基板開口部4に近い側には、第2裏面導体部16の内側端部16aが配置され、基板開口部4から遠い側には、第2裏面導体部16の外側端部16bが配置されている。
【0058】
図8に示すように、各第2表面導体部15及び各第2裏面導体部16は、絶縁性基板2の厚さ方向に沿って視たとき、各内側端部15aと各内側端部16aとが重なり、各外側端部15bと各外側端部16bとが重なるように配列されている。各第2表面導体部15は、互いに隣接する第2裏面導体部16の間に配置され、内側端部15aが一方の第2裏面導体部16の内側端部16aに重なり、外側端部15bが他方の第2裏面導体部16の外側端部16bに重なるように配列されている。
【0059】
従って、各第2表面導体部15及び各第2裏面導体部16によって基板開口部4の周りに鋸歯状の模様が形成されている。この鋸歯状の模様は、巻き進みコイル部5によって形成される鋸歯状の模様に対して基板開口部4側に形成されている。また、各第2表面導体部15及び各第2裏面導体部16は、各第1表面導体部10及び各第1裏面導体部11に対してほぼ平行に配置されている。
なお、この鋸歯状の模様を構成する巻き戻しコイル部31の導線によって囲まれる領域が、巻き戻しコイル部31の正面領域である。従って、巻き戻しコイル部31の正面領域は、巻き進みコイル部5の正面領域内に配置されている。
【0060】
また、図8に示すように、第2表面導体部15及び第2裏面導体部16が、互いに重なっている外側端部15b及び外側端部16bを始点としたベクトルであると考えると、そのベクトルの合成方向に基板開口部4の中心点が存在するように、各第2表面導体部15及び各第2裏面導体部16は設けられている。
【0061】
接続部17は、絶縁性基板2を貫通する貫通孔の内面に形成された銅の導電膜、即ち金属スルーホールである。また、接続部17は、図8において互いに重なる各内側端部15a及び16aを電気的に接続する複数の第2内側接続部18と、図8において互いに重なる各外側端部15b及び16bを電気的に接続する複数の第2外側接続部19とからなっている。
【0062】
即ち、図8に示すように、巻き戻しコイル部31は、巻き進みコイル部5の基板開口部4側に配置されていることから、各第2内側接続部18が巻き進みコイル部5の各第1内側接続部13よりも基板開口部4に近い側に配置され、各第2外側接続部19が巻き進みコイル部5の各第1外側接続部14よりも基板開口部4に近い側に配置されている。
【0063】
また、絶縁性基板2の厚さ方向に沿って視たときに、第2外側接続部19を介して互いに接続された第2表面導体部15及び第2裏面導体部16の各内側端部15a、16aは、各第2表面導体部15及び各第2裏面導体部16の配列方向に沿って互いに離間されて配置されている。さらに、第2内側接続部18を介して互いに接続された第2表面導体部15及び第2裏面導体部16の各外側端部15b、16bも、各第2表面導体部15及び各第2裏面導体部16の配列方向に沿って互いに離間されて配置されている。なお、ここで、各第2表面導体部15及び各第2裏面導体部16の配列方向は、基板開口部4の周縁に沿った方向である。
【0064】
また、絶縁性基板2の厚さ方向に沿って視たときに、第1外側接続部14を介して互いに接続された第1表面導体部10及び第1裏面導体部11の各内側端部10a、11aは、各第1表面導体部10及び各第1裏面導体部11の配列方向に沿って互いに離間されて配置されている。さらに、第1内側接続部13を介して互いに接続された第1表面導体部10及び第1裏面導体部11の各外側端部10b、11bも、各第1表面導体部10及び各第1裏面導体部11の配列方向に沿って互いに離間されて配置されている。互いに離間された各内側端部10a、11aの間には、第2表面導体部15及び第2裏面導体部16がそれぞれ配置されている。ここで、各第1表面導体部10及び各第1裏面導体部11の配列方向は、基板開口部4の周縁に沿った方向である。
【0065】
巻き進みコイル部5及び巻き戻しコイル部31は、基板開口部4の周縁に沿って視たときに、巻き進みコイル部5の断面領域と、巻き戻しコイル部31の導線によって囲まれる領域、即ち第2表面導体部15、第2裏面導体部16、第2内側接続部18及び第2外側接続部19によって囲まれる領域(以下、巻き戻しコイル部31の断面領域という)とが、大部分で互いに重なって配置されている。
【0066】
空芯コイルはこのように構成されているので、実施の形態1と同様の効果を奏する。また、図8において、巻き戻しコイル部31の正面領域の面積は、第2外側接続部19を介して接続された第2表面導体部15及び第2裏面導体部16の各内側端部15a、16aが互いに離間されているので、各第2表面導体部15と各第2裏面導体部16との間にも正面領域が形成され、図15における従来例の巻き戻しコイル部107の正面領域の面積に比べて大きくなっている。
【0067】
これに対し、巻き進みコイル部5の正面領域の面積は、第1内側接続部13を介して接続された第1表面導体部10及び第1裏面導体部11の各外側端部10a、11aが互いに離間されているので、各第1表面導体部10と各第1裏面導体部11との間に外部の空間が入り込み、図15における従来例の巻き進みコイル部105の正面領域の面積に比べて小さくなっている。
【0068】
従って、実施の形態2に係る空芯コイルによれば、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、巻き進みコイル部5の正面領域の面積と巻き戻しコイル部31の正面領域の面積との面積差を従来例よりも小さくすることができ、外部電磁界による測定誤差をさらに小さくすることができる。
【0069】
なお、実施の形態2においては、巻き戻しコイル部31は巻き進みコイル部5よりも基板開口部4側に配置されているが、巻き進みコイル部5が巻き戻しコイル部31よりも基板開口部4側に配置されていても構わない。
【0070】
また、上記実施の形態においては、各第2内側接続部18は、絶縁性基板2の貫通孔の内面に形成された導電膜、即ち金属スルーホールであるが、基板開口部4の内壁面に導電膜が直接形成されていても構わない。また、各第1外側接続部14は、絶縁性基板2の周縁壁面に導電膜が直接形成されていても構わない。
この場合、各第1外側接続部14及び各第2内側接続部18は、絶縁性基板2の厚さ方向に対して傾斜されて形成されていても構わない。
【0071】
また、各第2内側接続部18が基板開口部4の内壁面に形成される場合、基板開口部4の内壁面に溝部が設けられ、その溝部に導電膜が形成されていても構わない。
さらに、各第1外側接続部14が基板開口部4の内壁面及び絶縁性基板2の周縁壁面に形成される場合、絶縁性基板2の周縁壁面に溝部が設けられ、その溝部に導電膜が形成されていても構わない。
【0072】
また、上記各実施の形態において、空芯コイルは、基板開口部4が揃うように隙間を介して複数枚並べられて電流センサに用いられることにより、さらに測定感度の大きい電流センサを得ることができる。この場合、引出部25及び26は、各コイル本体3が電気的に直列に接続されるように、それぞれ絶縁性基板2の表面8及び裏面9に配置され、空芯コイル1が重ねられたときに接続可能に、例えば一方が凹部で他方が凸部の差し込み式となるようにそれぞれ成形されている。
【0073】
実施の形態3.
図9は、この発明の実施の形態3に係る空芯コイルを示す斜視図である。図9において、絶縁性基板2は、複数の基板開口部4を有している。この複数の基板開口部4は、一枚の平板状の絶縁性基板2に間隔を置いて並べて設けられている。各基板開口部4の周囲には実施の形態1と同様のコイル本体3が配置されている。各コイル本体3は、互いに接続線によって電気的に直列に接続され、さらに接続線によって実施の形態1と同様の信号処理回路に電気的に直列に接続されている。接続線は、絶縁性基板2の表面8あるいは裏面9に形成された銅の導電膜である。
【0074】
このように構成された空芯コイルは、図9に示すように、一本の被測定導体40が各基板開口部4に表面8側あるいは裏面9側から交互に通されて用いられる。この空芯コイルの動作は、実施の形態1と同様である。
【0075】
従って、実施の形態3に係る空芯コイルにおいては、一枚の絶縁性基板2に複数のコイル本体3が設けられているので、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、絶縁性基板2を一枚用いるだけでさらに多くの誘導電流を発生させることができ、電流センサの測定感度を向上させることができる。
【0076】
また、一枚の絶縁性基板2に複数のコイル本体3が配置されるので、電流センサの測定感度を向上させるために複数枚の空芯コイルを重ねる必要がないとともに、絶縁性基板2をコイル本体3ごとにカットする必要もない。従って、空芯コイルの製造に要する労力を軽減でき、製造時間も短縮することができる。
【0077】
なお、コイル本体は、絶縁性基板2に複数配置されていればよいので、実施の形態1と同様の構成だけでなく、基板開口部4の周囲を導電膜である導線が巻き進められて構成された巻き進みコイル部と、巻き進みコイル部とは逆向きに導電膜である導線が巻き戻されて構成された巻き戻しコイル部とを有するロゴスキーコイルであればどのようなものでも構わない。例えば、実施の形態2におけるコイル本体3あるいは従来例と同様のコイル本体103であっても構わない。
【0078】
また、各基板開口部4は、一列だけでなく複数列並べて一枚の絶縁性基板2に設けられていても構わない。
【0079】
実施の形態4.
図10は、この発明の実施の形態4に係る空芯コイを示す斜視図である。図10において、実施の形態4における空芯コイルは、図9の空芯コイルが分割構造とされたものである。即ち、空芯コイルは、互いに着脱可能な複数(2つ)の分割体である主分割体51及び切り離し分割体52から構成されている。
【0080】
空芯コイルを構成する絶縁性基板2及び複数のコイル本体3は、切り離し分割体52が主分割体51から切り離されることにより、分割されるようになっている。また、切り離し分割体52が主分割体51から切り離された状態では、各基板開口部4を形成する絶縁性基板2の内壁面は、一部が切り離されて各基板開口部4が開放されている。
【0081】
即ち、主分割体51は、絶縁性基板2の一部である主基板部53と、各コイル本体3の一部である略C形状の複数の主コイル分割体54とを有している。また、切り離し分割体52は、主基板部53に接続されて絶縁性基板2を形成する切り離し基板部55と、各主コイル分割体54に接続されてコイル本体3を形成する複数の切り離しコイル分割体56とを有している。
【0082】
各基板開口部4は、主基板部53と切り離し基板部55とが接続されることによって初めて形成されるように、主基板部53及び切り離し基板部55の間に配置されている。
また、各主コイル分割体54及び各切り離しコイル部56は、各基板開口部4の周囲の主基板部53側及び切り離し基板部55側にそれぞれ配置されている。
【0083】
各コイル本体3を直列に接続する接続線は、主基板部53及び切り離し基板部55それぞれに形成されている。
【0084】
図11は、互いに切り離されている状態の主分割体51及び切り離し分割体52の要部拡大図である。図11において、主分割体51の側部がステップ面57を有する階段状の係合部58となっており、切り離し分割体52の側部がステップ面59を有する階段状の係合部60となっている。主分割体51及び切り離し分割体52が接続される際には、ステップ面57とステップ面59とが互いに対向されて配置される。
【0085】
主分割体51の係合部58には、ステップ面57から突出した導電性の接続手段であるピン61が設けられている。また、切り離し分割体52の係合部60には、複数の貫通孔が切り離し基板部55の厚さ方向に沿って形成されている。各貫通孔の内面には、導電膜が形成されている。ピン61は、主分割体51及び切り離し分割体52が接続される際に、この貫通孔に挿入されるようになっている。
【0086】
ピン61は、係合部60に形成された貫通孔に挿入される際に貫通孔内面に形成された導電膜に接触するようになっており、ピン61及び導電膜によりコイル本体3の接続部が構成されるようになっている。このようにして、主分割体51及び切り離し分割体52は、各コイル本体3の電気的接続がなされるとともに機械的にも接続されるようになっている。
【0087】
このような構成であるので、実施の形態3と同様の効果を奏するとともに、被測定導体を基板開口部4に通す際にわざわざ被測定導体の端部から基板開口部4に挿入させなくても、切り離し分割体52を主分割体51から切り離してできた空間から被測定導体を基板開口部4に挿入することができ、既設の被測定導体等のように導体の切断が困難な場合でも空芯コイルを容易に装着することができる。また、図12に示すように、被測定導体62が板状で容易に変形できないもの、即ちあらかじめ形状が固定されたものであっても、被測定導体62を基板開口部4に通すことができる。
【0088】
このピン61は、切り離し分割体52の係合部60に設けられていても構わない。この場合、主分割体51の係合部58には、内面に導電膜が形成された貫通孔が形成される。
【0089】
また、空芯コイルは、主分割体51及び切り離し分割体52の2つの分割体から構成されることに限定されることはなく、3つ以上の分割体から構成されていても構わない。
【0090】
また、各分割体は、被測定導体を変形させずに基板開口部4に通すことができるので、すべてが各コイル本体3を分割するようになっていなくてもよい。即ち、少なくとも1つのコイル本体3が分割されるように各分割体が構成されていればよい。
【0091】
また、各コイル本体3を直列に接続する接続線は、主基板部53のみに形成されていてもよいし、切り離し基板部55のみに形成されていてもよい。
【0092】
また、接続手段は、ピン61に限定されず、主コイル分割体54の導線と切り離しコイル分割体56の導線とを電気的及び機械的に互いに接続するものであればどのようなものでも構わない。
【0093】
実施の形態5.
図13は、この発明の実施の形態5に係る空芯コイルを示す斜視図である。図13において、実施の形態3の空芯コイルがエポキシ樹脂等の絶縁体の皮膜により一括して被覆されている。各基板開口部4は、内壁面が絶縁体により被覆されているが、絶縁体により埋め尽くされてはいない。絶縁体上には、各基板開口部4に1回ずつ通されている被測定導体部65が形成されている。被測定導体部65は、絶縁体上に形成された銅の導電膜である。被測定導体65の両端部65a及び65bには、被測定導体が半田等で電気的に接続され、電流が流れるようになっている。また、被測定導体部65は、絶縁性基板2の側面の絶縁体上にも形成されている。
【0094】
被測定導体部65は、絶縁体上にメッキ、パターンニング処理されて形成されている。
【0095】
従って、空芯コイルはこのような構成であるので、実施の形態3と同様の効果を奏するとともに、被測定導体部65と各コイル本体3との位置関係が安定され、被測定導体部65に流れる電流を正確に反映する誘導起電力が各コイル本体3に発生されるようになる。このことから、さらに電流センサの測定感度を向上させ、測定誤差を小さくすることができる。
【0096】
また、被測定導体部65は、絶縁性基板2及びコイル本体3を被覆した絶縁体上に形成された構成であるので、空芯コイルの製造工程内で被測定導体部65を形成することができる。
【0097】
なお、実施の形態5において、被測定導体部65は、それぞれ1回ずつ各基板開口部4に通されているが、複数回通されてコイル本体3を巻回するように絶縁体上にパターンニング処理されていてもよい。このようにすれば、各コイル本体3に発生する誘導起電力がさらに大きくなり、電流センサの測定感度を向上させることができる。
【0098】
また、被測定導体部65は、絶縁性基板2の側面を利用して形成されているが、図14に示すように、コイル本体3周囲の絶縁性基板2に貫通されて形成されていても構わない。
【0099】
また、被測定導体部65は、絶縁体上にメッキされて形成されることが望ましいが、絶縁性基板2及びコイル本体3を被覆する絶縁体上に形成できればどのような方法で形成しても構わない。
【0100】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明に係る空芯コイルでは、巻き進みコイル部は、表面の基板開口部の周囲で略放射状に形成されて基板開口部に近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の第1表面導体部、裏面の基板開口部の周囲で略放射状に形成されて基板開口部の近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の第1裏面導体部、互いに隣接する第1裏面導体部のうちの一方の第1裏面導体部の内側端部と第1表面導体部の内側端部とを電気的に接続する複数の第1内側接続部、他方の第1裏面導体部の外側端部とこの第1表面導体部の外側端部とを電気的に接続する複数の第1外側接続部を有し、巻き戻しコイル部は、表面の基板開口部の周囲で各第1表面導体部と交互になるように略放射状に形成されて基板開口部に近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の第2表面導体部、裏面の基板開口部の周囲で各第1裏面導体部と交互になるように略放射状に形成されて基板開口部に近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の第2裏面導体部、互いに隣接する第2裏面導体部のうちの一方の第2裏面導体部の内側端部と第2表面導体部の内側端部とを電気的に接続する複数の第2内側接続部、他方の第2裏面導体部の外側端部と第2表面導体部の外側端部とを電気的に接続する複数の第2外側接続部を有しており、第2内側接続部及び第2外側接続部のいずれか一方は、絶縁性基板の厚さ方向に沿って視たときに、少なくとも1本の第2表面導体部に交差する渡り部をそれぞれ有しているので、一枚の絶縁性基板に巻き進みコイル部及び巻き戻しコイル部を容易に形成できる。また、第1内側接続部、第1外側接続部、第2内側接続部及び第2外側接続部の配置を調整することにより、巻き進み方向に沿って視たときに、巻き進みコイル部の導線によって囲まれる領域の面積と巻き戻し方向に沿って視たときの巻き戻しコイル部の導線によって囲まれる領域の面積とを同一にすることができ、各領域が互いに重なる部分の割合も大きくすることができる。従って、この空芯コイルが電流センサに用いられる場合、電流センサの測定感度が向上し、測定誤差が小さくなる。
【0101】
また、表面、裏面、及び表面と裏面とを貫通し、被測定導体が通される基板開口部を有する絶縁性基板と、基板開口部の周囲で導線が巻回されて構成され、基板開口部を囲むように絶縁性基板に設けられた巻き進みコイル部、及び基板開口部の周囲で導線が巻回されて構成され、巻き進みコイル部とともに基板開口部を囲むように絶縁性基板に設けられた巻き戻しコイル部を有し、被測定導体を流れる電流により巻き進みコイル部及び巻き戻しコイル部に発生する誘導起電力が電気的に同じ向きになるように巻き進みコイル部及び巻き戻しコイル部が直列に接続されて構成されたコイル本体とを備え、巻き進みコイル部及び巻き戻しコイル部は、表面の基板開口部の周囲で略放射状に形成されて基板開口部に近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の表面導体部、裏面の基板開口部の周囲で略放射状に形成されて基板開口部の近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の裏面導体部、互いに隣接する裏面導体部のうちの一方の裏面導体部の内側端部と表面導体部の内側端部とを電気的に接続する複数の内側接続部、及び他方の裏面導体部の外側端部と表面導体部の外側端部とを電気的に接続する複数の外側接続部をそれぞれ有し、絶縁性基板の厚さ方向に沿って視たときに、巻き進みコイル部及び巻き戻しコイル部のうちの一方は、各内側接続部が他方の各内側接続部よりも基板開口部に近い側に配置され、各外側接続部が他方の各外側接続部よりも基板開口部に近い側に配置されており、一方のコイル部は、外側接続部を介して互いに接続された表面導体部及び裏面導体部の各内側端部が、表面導体部及び裏面導体部の配列方向に沿って互いに離間されて配置され、他方のコイル部は、内側接続部を介して互いに接続された表面導体部及び裏面導体部の各外側端部が、配列方向に沿って互いに離間されて配置されているので、巻き進みコイル部の導線によって囲まれる正面領域の面積と巻き戻しコイル部の導線によって囲まれる正面領域の面積との面積差を小さくでき、外部電磁界による電流センサの測定誤差を小さくすることができる。
【0102】
また、被測定導体が通される複数の基板開口部を有する絶縁性基板と、各基板開口部をそれぞれ囲むように絶縁性基板に設けられた複数のコイル本体とを備え、複数のコイル本体は、被測定導体を流れる電流により各コイル本体に発生する誘導起電力が電気的に同じ向きになるように互いに直列に接続されているので、複数のコイル本体それぞれに誘導起電力を発生させて多くの誘導電流を得ることができる。従って、空芯コイルを電流センサに用いると、電流センサの測定感度を向上させることができる。
【0103】
また、基板開口部が開放されるように、少なくとも1つのコイル本体を絶縁性基板とともに分割する複数の分割体から構成され、複数の分割体が互いに接続されることにより基板開口部が形成されるようになっており、各分割体は、それぞれの導線を互いに着脱可能に電気的及び機械的に接続する接続手段を有しているので、各分割体を切り離すことにより基板開口部に容易に被測定導体を配置することができ、被測定導体の切断を不要にできる。
【0104】
また、複数の基板開口部を有する絶縁性基板と、各基板開口部をそれぞれ囲んで絶縁性基板に設けられた複数のコイル本体と、絶縁性基板及び複数のコイル本体を一括して被覆する絶縁体と、各基板開口部に通されるように絶縁体上に形成された被測定導体部とを備え、複数のコイル本体は、被測定導体部を流れる電流により各コイル本体に発生する誘導起電力が電気的に同じ向きになるように互いに直列に接続されているので、各コイル本体と被測定導体部との位置関係が安定し、被測定導体部の配置変動による測定誤差を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る空芯コイルを示す部分斜視図である。
【図2】図1の接続点付近のコイル本体3を示す部分拡大図である。
【図3】図1の基板開口部の外周に沿って視たときの巻き進みコイル部及び巻き戻しコイル部を示す配置図である。
【図4】図1の絶縁性基板の厚さ方向に沿って視たときの空芯コイルを示す正面図である。
【図5】図4の巻き進みコイル部を示す正面図である。
【図6】図4の巻き戻しコイル部を示す正面図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係る空芯コイルを示す要部拡大図である。
【図8】図8は、図7の空芯コイルを絶縁性基板の厚さ方向に沿って視たときの正面図である。
【図9】この発明の実施の形態3に係る空芯コイルを示す斜視図である。
【図10】この発明の実施の形態4に係る空芯コイルを示す斜視図である。
【図11】互いに切り離されている状態の主分割体及び切り離し分割体の要部拡大図である。
【図12】実施の形態4に係る空芯コイルに取り付けられる被測定導体の一例を示す斜視図である。
【図13】この発明の実施の形態5に係る空芯コイルを示す斜視図である。
【図14】実施の形態5に係る他の例の空芯コイルを示す斜視図である。
【図15】従来の空芯コイルを示す正面図である。
【図16】図15の空芯コイルの要部拡大図である。
【符号の説明】
1 空芯コイル、2 絶縁性基板、3 コイル本体、4 基板開口部、5 巻き進みコイル部、6,31 巻き戻しコイル部、8 表面、9 裏面、10 第1表面導体部、11 第1裏面導体部、13 第1内側接続部、14 第1外側接続部、15 第2表面導体部、16 第2裏面導体部、18 第2内側接続部、19 第2外側接続部、21 渡り部、51 主分割体(分割体)、52 切り離し分割体(分割体)、61 ピン(接続手段)。
Claims (5)
- 表面、裏面、及び前記表面と前記裏面とを貫通し、被測定導体が通される基板開口部を有する絶縁性基板と、
前記基板開口部の周囲で導線が巻回されて構成され、前記基板開口部を囲むように前記絶縁性基板に設けられた巻き進みコイル部、及び前記巻き進みコイル部に重なりつつ導線が巻回されて構成され、前記基板開口部を囲むように前記絶縁性基板に設けられた巻き戻しコイル部を有し、前記被測定導体を流れる電流により前記巻き進みコイル部及び前記巻き戻しコイル部に発生する誘導起電力が電気的に同じ向きになるように前記巻き進みコイル部及び前記巻き戻しコイル部が直列に接続されて構成されたコイル本体と
を備え、
前記巻き進みコイル部は、前記表面の前記基板開口部の周囲で略放射状に形成されて前記基板開口部に近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の第1表面導体部、前記裏面の前記基板開口部の周囲で略放射状に形成されて前記基板開口部の近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の第1裏面導体部、互いに隣接する前記第1裏面導体部のうちの一方の前記第1裏面導体部の内側端部と前記第1表面導体部の内側端部とを電気的に接続する複数の第1内側接続部、及び他方の前記第1裏面導体部の外側端部と前記第1表面導体部の外側端部とを電気的に接続する複数の第1外側接続部を有し、
前記巻き戻しコイル部は、前記表面の前記基板開口部の周囲で各前記第1表面導体部と交互になるように略放射状に形成されて前記基板開口部に近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の第2表面導体部、前記裏面の前記基板開口部の周囲で各前記第1裏面導体部と交互になるように略放射状に形成されて前記基板開口部に近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の第2裏面導体部、互いに隣接する前記第2裏面導体部のうちの一方の前記第2裏面導体部の内側端部と前記第2表面導体部の内側端部とを電気的に接続する複数の第2内側接続部、及び他方の前記第2裏面導体部の外側端部と前記第2表面導体部の外側端部とを電気的に接続する複数の第2外側接続部を有しており、
前記第2内側接続部及び前記第2外側接続部のいずれか一方は、前記絶縁性基板の厚さ方向に沿って視たときに、少なくとも1本の前記第2表面導体部に交差する渡り部をそれぞれ有していることを特徴とする空芯コイル。 - 表面、裏面、及び前記表面と前記裏面とを貫通し、被測定導体が通される基板開口部を有する絶縁性基板と、
前記基板開口部の周囲で導線が巻回されて構成され、前記基板開口部を囲むように前記絶縁性基板に設けられた巻き進みコイル部、及び前記基板開口部の周囲で導線が巻回されて構成され、前記巻き進みコイル部とともに前記基板開口部を囲むように前記絶縁性基板に設けられた巻き戻しコイル部を有し、前記被測定導体を流れる電流により前記巻き進みコイル部及び前記巻き戻しコイル部に発生する誘導起電力が電気的に同じ向きになるように前記巻き進みコイル部及び前記巻き戻しコイル部が直列に接続されて構成されたコイル本体と
を備え、
前記巻き進みコイル部及び前記巻き戻しコイル部は、前記表面の前記基板開口部の周囲で略放射状に形成されて前記基板開口部に近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の表面導体部、前記裏面の前記基板開口部の周囲で略放射状に形成されて前記基板開口部の近い側の内側端部と遠い側の外側端部とを有する複数の裏面導体部、互いに隣接する前記裏面導体部のうちの一方の前記裏面導体部の内側端部と前記表面導体部の内側端部とを電気的に接続する複数の内側接続部、及び他方の前記裏面導体部の外側端部と前記表面導体部の外側端部とを電気的に接続する複数の外側接続部をそれぞれ有し、
前記絶縁性基板の厚さ方向に沿って視たときに、前記巻き進みコイル部及び前記巻き戻しコイル部のうちの一方は、各前記内側接続部が他方の各前記内側接続部よりも前記基板開口部に近い側に配置され、各前記外側接続部が前記他方の各外側接続部よりも前記基板開口部に近い側に配置されており、
前記一方は、前記外側接続部を介して互いに接続された表面導体部及び裏面導体部の各内側端部が、前記表面導体部及び前記裏面導体部の配列方向に沿って互いに離間されて配置され、
前記他方は、前記内側接続部を介して互いに接続された表面導体部及び裏面導体部の各外側端部が、前記配列方向に沿って互いに離間されて配置されていることを特徴とする空芯コイル。 - 被測定導体が通される複数の基板開口部を有する絶縁性基板と、
各前記基板開口部をそれぞれ囲むように前記絶縁性基板に設けられた複数のコイル本体と
を備え、
前記複数のコイル本体は、前記被測定導体を流れる電流により各前記コイル本体に発生する誘導起電力が電気的に同じ向きになるように互いに直列に接続されていることを特徴とする空芯コイル。 - 前記基板開口部が開放されるように、少なくとも1つの前記コイル本体を前記絶縁性基板とともに分割する複数の分割体から構成され、前記複数の前記分割体が互いに接続されることにより前記基板開口部が形成されるようになっており、
各前記分割体は、それぞれの導線を互いに着脱可能に電気的及び機械的に接続する接続手段を有していることを特徴とする請求項3に記載の空芯コイル。 - 複数の基板開口部を有する絶縁性基板と、
各前記基板開口部をそれぞれ囲んで前記絶縁性基板に設けられた複数のコイル本体と、
前記絶縁性基板及び前記複数のコイル本体を一括して被覆する絶縁体と、
各前記基板開口部に通されるように前記絶縁体上に形成された被測定導体部と
を備え、
前記複数のコイル本体は、前記被測定導体部を流れる電流により各前記コイル本体に発生する誘導起電力が電気的に同じ向きになるように互いに直列に接続されていることを特徴とする空芯コイル。
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