JP2004086135A - プラズマディスプレイ装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の辺48〜51を有し、この複数の辺48〜51のうち少なくとも2つの辺のそれぞれに複数の端子を形成したパネル21と、複数の端子に接続される複数の配線板(FPC37、38)とを有するプラズマディスプレイ装置の製造方法において、配線板(FPC37、38)の表面側および裏面側に接着材を塗布するとき、配線板(FPC37/FPC38)の表面側に接着材を塗布した後、配線板(FPC38/FPC37)の裏面側に接着材を塗布する。
【選択図】 図9
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイ装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
大画面で薄型、軽量の表示装置として知られているプラズマディスプレイ装置では、ガス放電により紫外線を発生させ、この紫外線で蛍光体を励起して発光させカラー表示を行っている。そして、基板上に隔壁によって区画された放電セルが設けられており、放電セルに蛍光体層が形成されている構成を有する。
【0003】
このプラズマディスプレイ装置には、大別して、駆動的にはAC型とDC型があり、放電形式では面放電型と対向放電型の2種類があるが、高精細化、大画面化および製造の簡便性から、現状では、プラズマディスプレイ装置の主流は、3電極構造の面放電型のもので、その構造は、一方の基板上にスキャン電極とサステイン電極とで対をなす表示電極を有し、もう一方の基板上に表示電極と交差する方向に配列されたアドレス電極と、隔壁、蛍光体層を有するもので、比較的蛍光体層を厚くすることができ、蛍光体層によるカラー表示に適している。
【0004】
このようなプラズマディスプレイ装置では、基板上に形成された表示電極とアドレス電極は、表示駆動とその制御を行うための電気回路にフレキシブルプリント配線板(以下FPCという)を用いて接続されており、そして表示電極またはアドレス電極を基板端部に引き出して形成した端子とFPCの配線パターンとは異方導電性部材を介して熱圧着することにより電気的導通をとるように接続され、さらにその接続部分に接着材を塗布することにより密着性や気密性を確保している(例えば特許文献1参照)。
【0005】
図15はFPCを接続したパネルの基板端部を示す断面図であり、パネルの基板1上に形成された表示電極またはアドレス電極につながる端子2の上に異方導電性部材3を介してFPC4を配置している。FPC4の先端部には電極端子2と電気的導通をとるための配線パターン5を露出して配置している。そして、FPC4の両面に接着材6を塗布しておりFPC4を基板1に確実に固定するようにしている。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−16502号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のプラズマディスプレイ装置においては図16に示すように、基板1上に形成された端子2が接着材6により直に覆われている部分において、端子2に気泡7が接するように存在した状態で接着材6が形成されることがあった。このような状態でパネルを動作させると、気泡7に接している部分においてマイグレーション現象が起こることによって端子2からひげ状に金属が徐々に析出して延びていき、ある程度時間が経過すれば隣接する端子2間が導通することになり所望の表示ができなくなるという問題があった。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、FPCと基板との接続部分に接着材を適切に塗布できるようにすることを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明のプラズマディスプレイ装置の製造方法は、複数の辺を有し、前記複数の辺のうち少なくとも2つの辺のそれぞれに複数の端子を形成したパネルと、前記複数の端子に接続される複数の配線板とを有するプラズマディスプレイ装置の製造方法において、配線板の表面側および裏面側に接着材を塗布するとき、配線板の表面側に接着材を塗布した後、配線板の裏面側に接着材を塗布するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイ装置の製造方法について、図1〜図14を用いて説明する。
【0011】
まず、プラズマディスプレイ装置におけるプラズマディスプレイパネルの構造について図1を用いて説明する。図1に示すように、ガラス基板などの透明な前面板(第1基板)11上には、スキャン電極12とサステイン電極13とで対をなすストライプ状の表示電極が複数形成され、そしてその表示電極を覆うように誘電体層14が形成され、その誘電体層14上には保護層15が形成されている。
【0012】
また、前面板11に対向配置される背面板(第2基板)16上には、スキャン電極12およびサステイン電極13と交差するように、絶縁体層17で覆われた複数のストライプ状のアドレス電極18が形成されている。このアドレス電極18間の絶縁体層17上には、アドレス電極18と平行に複数の隔壁19が配置され、この隔壁19の側面および絶縁体層17の表面に蛍光体層20が設けられている。
【0013】
スキャン電極12およびサステイン電極13とアドレス電極18とがほぼ直角に立体交差するように、前面板11と背面板16とを微小な放電空間を挟んで対向配置するとともに、周囲を封止し、放電空間に例えばネオンとキセノンの混合ガスを放電ガスとして封入している。放電空間は、隔壁19によって複数の区画に仕切られており、区画毎に赤色、緑色および青色の蛍光体層20が順次配置されている。スキャン電極12およびサステイン電極13とアドレス電極18との交差部は放電セルを形成し、赤色、緑色および青色の蛍光体層20を有する隣接した3つの放電セルがカラー表示を行う1つの画素を構成する。
【0014】
このようなプラズマディスプレイパネルを用いれば、アドレス電極18とスキャン電極12との間で選択的に書き込みパルスを印加してアドレス放電を行った後、周期的な維持パルスをスキャン電極12とサステイン電極13との間に印加して維持放電を行うことで、所定の表示を行うことができる。
【0015】
図2に上記パネルを用いたプラズマディスプレイ装置の全体構成の一例を示している。パネル21を収容する筐体は、前面枠22と金属製のバックカバー23とから構成されている。前面枠22の開口部には光学フィルターおよびパネル21の保護を兼ねたガラスなどからなる前面カバー24が配置されており、この前面カバー24には電磁波の不要輻射を抑制するために、例えば銀蒸着が施されている。また、バックカバー23には、パネル21などで発生した熱を外部に放出するための複数の通気孔23aが設けられている。
【0016】
パネル21は、アルミニウムなどからなるシャーシ部材25の前面に熱伝導シート26を介して接着することにより保持され、そしてシャーシ部材25の後面側には、パネル21を表示駆動させるための複数の回路ブロック27が取り付けられている。熱伝導シート26は、パネル21で発生した熱をシャーシ部材25に効率よく伝え、放熱を行うためのものである。また、回路ブロック27はパネル21の表示駆動とその制御を行うための電気回路を備えており、電気回路とパネル21の縁部に形成された電極引出部とは、シャーシ部材25の四辺の縁部を越えて延びる複数のFPC(図示せず)によって電気的に接続されている。
【0017】
また、シャーシ部材25の後面には、回路ブロック27を取り付けたり、バックカバー23を固定するためのボス部25aがダイカストなどによる一体成型により突設されている。なお、このシャーシ部材25は、アルミニウム平板に固定ピンを固定して構成してもよい。
【0018】
図3はこのような構成のプラズマディスプレイ装置において、バックカバー23を外して内部の配置構造を示す平面図であり、図3においてスキャンドライバ回路ブロック28はパネル21のスキャン電極に所定の信号電圧を供給し、サステインドライバ回路ブロック29はパネル21のサステイン電極に所定の信号電圧を供給し、アドレスドライバ回路ブロック30はパネル21のアドレス電極に所定の信号電圧を供給するものである。そして、スキャンドライバ回路ブロック28、サステインドライバ回路ブロック29はシャーシ部材25の幅方向の両端部(左端部および右端部)にそれぞれ配置され、またアドレスドライバ回路ブロック30はシャーシ部材25の高さ方向の両端部(上端部および下端部)に配置されている。
【0019】
制御回路ブロック31は、テレビジョンチューナなどの外部機器に接続するための接続ケーブルが着脱可能に接続される入力端子部を備えた入力信号回路ブロック32から送られる映像信号に基づき、画像データをパネル21の画素数に応じた画像データ信号に変換してアドレスドライバ回路ブロック30に供給するとともに、放電制御タイミング信号を発生し、各々スキャンドライバ回路ブロック28およびサステインドライバ回路ブロック29に供給し、階調制御などの表示駆動制御を行うものであり、シャーシ部材25のほぼ中央部に配置されている。
【0020】
電源ブロック33は、前述した各回路ブロックに電圧を供給するものであり、制御回路ブロック31と同様、シャーシ部材25のほぼ中央部に配置され、電源ケーブル(図示せず)が装着されるコネクタ34を有する電源入力ブロック35を通して商用電源電圧が供給される。
【0021】
ブラケット36はスタンドポールに装着されるものであり、シャーシ部材25の高さ方向の下端部の位置に取り付けられている。据置用のスタンドに取り付けたスタンドポールの先端部をブラケット36の孔に挿入し、ビスなどによりスタンドポールをブラケット36に固定することによりスタンドが取り付けられ、これによりパネルを立てた状態で保持されることとなる。
【0022】
FPC37(第1配線板)は、パネル21のスキャン電極12、サステイン電極13の電極引出部とスキャンドライバ回路ブロック28、サステインドライバ回路ブロック29のプリント配線板とを接続し、FPC38(第2配線板)はパネル21のアドレス電極18の電極引出部とアドレスドライバ回路ブロック30のプリント配線板とを接続するもので、パネル21の外周部を通して、前面側より背面側に180度湾曲させて引き回して配置している。
【0023】
図4はFPC37、38を取り付ける前のパネル21を示す平面図である。図4(a)はパネル21を背面側から見た図であり、図4(b)はパネル21を前面側から見た図である。パネル21の前面板11および背面板16はほぼ矩形状であり長辺と短辺を有している。図4(a)に示すように、前面板11の短辺である左右両端部には水平方向に伸びて形成されたスキャン電極12またはサステイン電極13それぞれにつながる端子を所定の数だけ並べて形成することにより電極引出部39を設けている。この電極引出部39は複数のブロックに分かれて配置されており、各々の電極引出部39にFPC37が接続される。また、図4(b)に示すように、背面板16の長辺である上下両端部には垂直方向に伸びて形成されたアドレス電極18につながる端子を所定の数だけ並べて形成することにより電極引出部40を設けている。この電極引出部40は複数のブロックに分かれて配置されており、各々の電極引出部40にFPC38が接続される。ここで、上端部と下端部ともに電極引出部40が設けられているのは、アドレス電極18が背面板16の上下方向の中央部で切れている、すなわちアドレス電極18がパネル21の上半分の領域と下半分の領域とに分かれて形成されているためである。したがってこのパネル21は、上半分の領域と下半分の領域のそれぞれにおいてスキャン電極12をほぼ同じタイミングで順次スキャン動作を行うという、いわゆるデュアルスキャン方式のパネルである。
【0024】
図5は前面板11の端部を示す平面図である。図5に示すように、各電極引出部39に設けた端子41は所定の間隔で形成されており、その間隔をaとする。図示していないが同様に、各電極引出部40に設けた端子41は所定の間隔で形成されており、その間隔をbとする。プラズマディスプレイ装置では、パネルの構造上、アドレス電極18につながる端子41間の間隔bは、スキャン電極12またはサステイン電極13につながる端子41間の間隔aよりも狭くなっていることが多い。例えば42型パネルの一例では、端子41間の間隔はa=300μm、b=160μmである。
【0025】
図6はFPC37を前面板11に取り付けた部分の断面図であり、図示していないがFPC38を背面板16に取り付けた部分も同様な構造である。図6に示すように、FPC37は、ポリイミドなどの絶縁性と可とう性を備えた樹脂のベースフィルム42に、銅箔などからなる複数本の配線パターン43を形成し、両端の接続部のみを露出させてその他の配線パターン部分を同じくポリイミドなどの樹脂のカバーフィルム44で覆った構造であり、配線パターン43は異方導電性部材45を介して電極引出部39に設けた端子41に接続されている。異方導電性部材45は絶縁材料の中にニッケルなどの導電性粒子が分散されたものであり、そのままでは導電性を有しないが、前面板11とFPC37との間に介在させて熱圧着により異方導電性部材45を押しつぶすことにより、端子41と配線パターン43との間の導電性粒子が結合され、端子41と配線パターン43との間でのみ導通が得られるというものである。
【0026】
また、図6に示すようにFPC37の先端部と背面板16の端部との間に所定の領域46を設けてFPC37を固定している。この領域46の端子41と異方導電性部材45を覆うようにFPC37のベースフィルム42側に接着材47を塗布している。すなわち、FPC37の表面側に接着材47を塗布している。また、FPC37のカバーフィルム44側に異方導電性部材45を覆うように接着材47を塗布している。すなわち、FPC37の裏面側に接着材47を塗布している。
【0027】
次に、FPC37、FPC38をそれぞれ前面板11、背面板16に接続する方法について図面を用いて説明する。
【0028】
まず始めにパネルの洗浄工程を行う。すなわち、図4に示したパネル21を水洗浄してパネル21に付着しているよごれや異物を除去した後、パネル21を乾燥させる。
【0029】
次にFPCの熱圧着工程を行う。すなわち、FPC37、38の配線パターン43と電極引出部39、40の端子41とを異方導電性部材45を挟んで接続するが、このとき、端子41の配置間隔が狭い方が異物などの影響を受けやすいため、端子間隔の狭い電極引出部40の方を先に熱圧着する。
【0030】
まず、前面板11に対して背面板16が下側に位置するようにパネル21をほぼ水平に配置し、UV(紫外線)洗浄により有機物を除去した後、図7に示すようにパネル21の辺48、49に設けた各電極引出部40の上に異方導電性部材45を配置する。続いて異方導電性部材45上にFPC38を配置し、電極引出部40の端子41とFPC38の配線パターン43との接続部を60℃程度に加熱することによりFPC38を仮固定(仮圧着)する。その後、端子41と配線パターン43との接続部を180℃程度に加熱して熱圧着する。以上により、図8に示すようにFPC38を背面板16に取り付け、電極引出部40の端子41とFPC38の配線パターン43とを異方導電性部材45を挟んで接続する。
【0031】
続いて、パネル21を裏返してほぼ水平に配置し、パネル21の2つの辺50、51についても同様な方法でFPC37を熱圧着することによりFPC37を前面板11に取り付け、電極引出部39の端子41とFPC37の配線パターン43とを異方導電性部材45を挟んで接続する。
【0032】
このようにして、図9に示すように、FPC37が前面板11の端子41に接続され、FPC38が背面板16の端子41に接続されて、FPC37、38の熱圧着工程が終了する。
【0033】
次に、接着材の形成工程を行う。すなわち、前面板11、背面板16に取り付けたFPC37、FPC38のベースフィルム42側とカバーフィルム44側に接着材塗布用ノズルを用いてUV硬化型の接着材47を塗布し、硬化させる。
【0034】
前の工程であるFPCの熱圧着工程の終了時には、パネル21は背面板16に対して前面板11が下側に位置するようにほぼ水平に配置されているので、まずこの状態で、接着材を塗布する領域にUVを照射することにより、有機物を除去するとともに表面ぬれ性を向上させ接着材が密着しやすくかつ広がりやすくなるようにする。
【0035】
次に、パネル21の辺50、51(図9参照)に沿って接着材を吐出しながらノズルを直線的に移動させることにより、図10に示すようにFPC37の表面側に接着材47を塗布する。
【0036】
続いて、パネル21の辺48、49に沿って接着材を吐出しながらノズルを移動させることにより、図11に示すようにFPC38の裏面側に接着材47を塗布する。接着材47をFPC38の裏面側に塗布する際、背面板16の端部に沿って直線的に塗布するとFPC38の間においては接着材47が垂れてしまうので、図11に示すようにFPC38の間では背面板16上に接着材47が塗布されるようにノズルの動きを制御する。ここで、背面板16上に塗布される接着材47は実質的には不要であるので、接着材47を背面板16上に塗布する際のノズルの移動速度をFPC38の裏面側に塗布する際に比べて大きく設定することにより、背面板16上に塗布される接着材47の量を減らすか、あるいは塗布されないようにしてもよい。
【0037】
このように、背面板16に対して前面板11が下側に位置するようにパネル21をほぼ水平に配置した状態で前述した所定の部分に接着材47を塗布する第1の接着材塗布工程を行った後、辺48〜51において塗布した接着材47をUV照射により硬化させる。
【0038】
次に第2の接着材塗布工程を行う。すなわち、パネル21を裏返してほぼ水平に配置した状態で、パネル21の辺48、49に沿ってノズルを直線的に移動させることにより、図10に示したものと同様にFPC38の表面側に接着材47を塗布する。続いて辺50、51に沿ってノズルを移動させることにより、図11に示したものと同様にFPC37の裏面側に接着材47を塗布する。このような第2の接着材塗布工程を行った後、辺48〜51において塗布した接着材47をUV照射により硬化させる。
【0039】
ここで、第1および第2の接着材塗布工程において接着材47を塗布する際、2つのノズルを用いて辺48、49に同時に接着材47を塗布してもよいし、1つのノズルを用いる場合は辺48、49について順次接着材47を塗布すればよい。辺50、51についても同様である。
【0040】
こうして、FPC37の配線パターン43とスキャン電極12またはサステイン電極13につながる端子41とが電気的に接続され、FPC38の配線パターン43とアドレス電極18につながる端子41とが電気的に接続されるとともに、接着材47によってFPC37、FPC38がそれぞれ前面板11、背面板16に固定される。以上で接着材の形成工程が終了する。
【0041】
次に、以上のような本発明のプラズマディスプレイ装置の製造方法によって得られる効果について、背面板16に対して前面板11が下側になるようにパネル21を配置した状態で接着材47を塗布する場合について説明するが、前面板11に対して背面板16が下側になるようにパネル21を配置した状態で接着材47を塗布する場合においても同様の効果が得られる。
【0042】
接着材47を塗布する前においては、FPC37の先端と背面板16との間の領域46(図6参照)では、端子41が露出し端子41が並んだ方向に沿って凹凸が形成されており、このような凹凸部分に接着材47を塗布すると接着材47中に気泡が残りやすくなる。この気泡は時間が経過するにつれて上方に移動していくため、接着材47を塗布した後ある程度の時間をおけば、図12に示すように気泡52が端子41と接することがないように前面板11から浮いた状態となり、マイグレーション現象を発生させるような気泡をなくすことができる。さらには気泡自体を接着材47中からなくすことができる。本実施の形態では、例えばパネル21の辺50、51に沿ってFPC37の表面側に接着材47を塗布した際に接着材47中に気泡が形成された場合、その気泡は辺48、49に沿ってFPC38の裏面側に接着材47を塗布している間に上昇することになり、気泡を上昇させるためだけの時間を別途設定しなくてもよい。このため、接着材47を塗布するのに要する時間を短縮することができ、生産性良くプラズマディスプレイ装置を製造することができる。
【0043】
ここで、辺50、51に沿って接着材47を塗布した際に接着材47中に形成された気泡を問題が発生しないように上昇させるための時間が足りなければ、辺48、49に沿って接着材47を塗布した後、その状態で所定の時間だけ放置することにより問題がない程度に気泡を上昇させてから接着材47を硬化させればよい。また、辺50、51に沿って接着材47を塗布し、その状態で所定の時間だけ放置した後に辺48、49に沿って接着材47を塗布し、続いて接着材47を硬化させてもよい。
【0044】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。前述した実施の形態ではデュアルスキャン方式のパネルについて説明したが、以下ではすべてのスキャン電極を順次スキャンする、いわゆるシングルスキャン方式のパネルの場合について説明する。
【0045】
図13はFPC37、38を取り付ける前のパネル21を示す平面図である。図13(a)はパネル21を背面側から見た図であり、図13(b)はパネル21を前面側から見た図である。パネル21の前面板11および背面板16はほぼ矩形状であり長辺と短辺を有している。図13(a)に示すように、前面板11の短辺である左右両端部には、水平方向に伸びて形成されたスキャン電極12またはサステイン電極13それぞれにつながる端子を所定の数だけ並べて形成することにより電極引出部39を設けている。この電極引出部39は複数のブロックに分かれて配置されており、各々の電極引出部39にFPC37が接続される。また図13(b)に示すように、背面板16の1つの長辺である下端部には垂直方向に伸びて形成されたアドレス電極18につながる端子を所定の数だけ並べて形成することにより電極引出部40を設けている。この電極引出部40は複数のブロックに分かれて配置されており、各々の電極引出部40にFPC38が接続される。各電極引出部39に設けた端子間の間隔aおよび各電極引出部40に設けた端子間の間隔bは前述したものと同様であり、例えば42型のパネルの一例ではa=300μm、b=160μmである。
【0046】
次に、FPC37、38をそれぞれ前面板11、背面板16に接続する方法について図面を用いて説明する。
【0047】
パネルの洗浄工程およびFPCの熱圧着工程については前述した方法と同様に行う。すなわち、パネル21を水洗浄して乾燥させた後、端子間隔の狭い電極引出部40にFPC38を熱圧着し、次に電極引出部39にFPC37を熱圧着する。こうして、図14に示すようにFPC37が前面板11の左右両端部に取り付けられて前面板11の端子41と接続され、FPC38が背面板16の下端部に取り付けられて背面板16の端子41と接続される。
【0048】
次に、接着材の形成工程を行う。すなわち、前面板11、背面板16に取り付けたFPC37、FPC38のベースフィルム42側とカバーフィルム44側に接着材塗布用ノズルを用いてUV硬化型の接着材47を塗布し、硬化させる。
【0049】
前の工程であるFPCの熱圧着工程の終了時には、パネル21は背面板16に対して前面板11が下側に位置するようにほぼ水平に配置されているので、まずこの状態で、接着材を塗布する領域にUVを照射することにより、有機物を除去するとともに表面ぬれ性を向上させ接着材が密着しやすくかつ広がりやすくなるようにする。
【0050】
次に、パネル21の辺50、51(図14参照)に沿って接着材を吐出しながらノズルを直線的に移動させることにより、図10に示したようにFPC37の表面側に接着材47を塗布する。続いて、パネル21の辺49に沿って接着材を吐出しながらノズルを移動させることにより、図11に示したようにFPC38の裏面側に接着材47を塗布する。
【0051】
このように、背面板16に対して前面板11が下側に位置するようにパネル21をほぼ水平に配置した状態で前述した所定の部分に接着材47を塗布する第1の接着材塗布工程を行った後、辺49〜51において塗布した接着材47をUV照射により硬化させる。
【0052】
次に第2の接着材塗布工程を行う。すなわち、パネル21を裏返してほぼ水平に配置した状態で、パネル21の辺49に沿ってノズルを直線的に移動させることにより、図10に示したものと同様にFPC38の表面側に接着材47を塗布する。続いて辺50、51に沿ってノズルを移動させることにより、図11に示したものと同様にFPC37の裏面側に接着材47を塗布する。このような第2の接着材塗布工程を行った後、辺49〜51において塗布した接着材47をUV照射により硬化させる。
【0053】
こうして、FPC37の配線パターン43とスキャン電極12またはサステイン電極13につながる端子41とが電気的に接続され、FPC38の配線パターン43とアドレス電極18につながる端子41とが電気的に接続されるとともに、接着材47によってFPC37、FPC38がそれぞれ前面板11、背面板16に固定される。以上で接着材の形成工程が終了する。
【0054】
以上のようにシングルスキャン方式のパネルにおいて接着材47を形成することにより、前述したデュアルスキャンのパネルの場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、第1の接着材塗布工程においてFPC37の表面側に接着材47を塗布した際にその接着材47中に気泡が形成された場合、その気泡は辺49に沿ってFPC38の裏面側に接着材47を塗布している間に上昇することになる。また、第2の接着材塗布工程においてFPC38の表面側に接着材47を塗布した際にその接着材47中に気泡が形成された場合、その気泡は辺50、51に沿ってFPC37の裏面側に接着材47を塗布している間に上昇することになる。したがって、気泡を上昇させるためだけの時間を別途設定しなくてもよいので、接着材47を塗布するのに要する時間を短縮することができ、生産性良くプラズマディスプレイ装置を製造することができる。
【0055】
ここで、第1の接着材塗布工程においてFPC37の表面側に接着材47を塗布した際にその接着材47中に形成された気泡を問題が発生しないように上昇させるための時間が足りなければ、FPC37の表面側に接着材47を塗布し、続いてFPC38の裏面側に接着材47を塗布した後、その状態で所定の時間だけ放置することにより問題がない程度に気泡を上昇させてから接着材47を硬化させればよい。また、FPC37の表面側に接着材47を塗布し、その状態で所定の時間だけ放置した後にFPC38の裏面側に接着材47を塗布し、続いて接着材47を硬化させてもよい。第2の接着材塗布工程においても同様な所定の時間を設ければよい。
【0056】
また、第1および第2の接着材塗布工程において接着材47を塗布する際、2つのノズルを用いて辺50、51に同時に接着材47を塗布してもよいし、1つのノズルを用いる場合は辺50、51について順次接着材47を塗布すればよい。第1の接着材塗布工程で1つのノズルを用いて接着材を塗布する場合、図14において例えば、最初に辺50に沿ってノズルを下端から上端へ移動させることによりFPC37の表面側に接着材47を塗布し、辺48に沿ってノズルを左端から右端へ移動させた後、辺51に沿ってノズルを上端から下端へ移動させることによりFPC37の表面側に接着材47を塗布し、次に辺49に沿ってノズルを右端から左端へ移動させることによりFPC38の裏面側に接着材47を塗布すればよい。このように、パネル21の周囲を1周するように、FPC37の表面側に接着材47を塗布した後、FPC38の裏面側に接着材47を塗布することにより、前述したように気泡を上昇させるためだけの時間を別途設定しなくてもよいので、接着材47を塗布するのに要する時間を短縮でき、生産性良くプラズマディスプレイ装置を製造することができるとともに、ノズルの不要な動きを少なくすることができるので、効率よく接着材を塗布することができる。また、第2の接着材塗布工程で1つのノズルを用いて接着材を塗布する場合、パネル21の周囲を1周するように、FPC38の表面側に接着材47を塗布した後、FPC37の裏面側に接着材47を塗布することにより、同様の効果を得ることができる。
【0057】
なお、上記それぞれの実施の形態において使用する接着材47の材料としては、変性アクリレートを主成分とするアクリル系UV硬化型接着剤などを用いればよく、その粘度は気泡の上昇時間などを考慮して適宜調整すればよい。例えば、前述した42型パネルにおいて、室温で16000〜24000cpの粘度を有するアクリル系UV硬化型接着剤を用いればよい。
【0058】
また、接着材47の材料としてシリコーン樹脂を用いてもよい。この場合、シリコーン樹脂を塗布した後、例えば50℃程度に加熱することによりシリコーン樹脂を硬化させればよい。室温硬化型シリコーン樹脂を使用する場合には、シリコーン樹脂を塗布した後、室温で放置して自然乾燥させるだけでよい。シリコーン樹脂の粘度は気泡の上昇時間などを考慮して適宜調整すればよい。
【0059】
また、上記それぞれの実施の形態では、接着材47を塗布する際、背面板16に対して前面板11が下側になるようにパネル21をほぼ水平に配置した状態で接着材47を塗布した後、パネル21を裏返してほぼ水平に配置した状態で接着材47を塗布している。すなわち、第1の接着材塗布工程を実施した後で第2の接着材塗布工程を実施しているが、これはパネルを裏返す作業をなるべく行わないように、前の製造工程であるFPCの熱圧着工程の終了時におけるパネルの配置状態で接着材の形成工程に移ったからであり、第1および第2の接着材塗布工程の順序が逆の場合でも本発明を適用することができる。すなわち、先に第2の接着材塗布工程を実施し、その後で第1の接着材塗布工程を実施した場合でも同様の効果を得ることができる。
【0060】
また、上記それぞれの実施の形態のように電極引出部39、40を複数のブロックに分けて配置するのではなく、前面板11の端部に形成されたすべての端子を所定の間隔で配置したパネルや背面板16の端部に形成されたすべての端子を所定の間隔で配置したパネルに対しても本発明を適用することができる。
【0061】
また、上記実施の形態においては、パネルの3つの辺(2つの短辺と1つの長辺)または4つの辺(2つの短辺と2つの長辺)のそれぞれに複数の端子を形成した場合について説明したが、例えば、シングルスキャン方式またはデュアルスキャン方式のパネルであってスキャン電極とサステイン電極をともに同じ1つの短辺に引き出して端子を形成したパネルに対しても本発明を適用することができる。すなわち、複数の辺のうち少なくとも2つの辺のそれぞれに複数の端子を形成したパネルの場合に本発明を適用することができる。
【0062】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によるプラズマディスプレイ装置の製造方法によれば、マイグレーション現象のような問題の原因となる気泡が接着材中に形成されないように、接着材を適切に塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイ装置のパネルの概略構成を示す斜視図
【図2】同プラズマディスプレイ装置の内部の配置構造を示す分解斜視図
【図3】同プラズマディスプレイ装置の内部の配置構造を示す平面図
【図4】(a)、(b)はフレキシブルプリント配線板を取り付ける前の同プラズマディスプレイ装置のパネルの平面図
【図5】同パネルの前面板の端部を示す平面図
【図6】同パネルの前面板にフレキシブルプリント配線板を取り付けた部分の断面図
【図7】同パネルに設けた電極引出部の端子上に異方導電性部材を配置した状態を示す平面図
【図8】同パネルの背面板にフレキシブルプリント配線板を取り付けた状態を示す平面図
【図9】同パネルの前面板および背面板にフレキシブルプリント配線板を取り付けた状態を示す平面図
【図10】フレキシブルプリント配線板の表面側に接着材を塗布した状態を示す平面図
【図11】フレキシブルプリント配線板の裏面側に接着材を塗布した状態を示す平面図
【図12】接着材中の気泡が前面板表面から浮いた状態を示す断面図
【図13】(a)、(b)はフレキシブルプリント配線板を取り付ける前における本発明の他の実施の形態によるプラズマディスプレイ装置のパネルの平面図
【図14】同パネルの前面板および背面板にフレキシブルプリント配線板を取り付けた状態を示す平面図
【図15】従来のプラズマディスプレイ装置におけるパネルの端子とフレキシブルプリント配線板との接続部を示す断面図
【図16】従来のプラズマディスプレイ装置において接着材中に気泡が形成された状態を示す断面図
【符号の説明】
11 前面板
16 背面板
21 パネル
37、38 フレキシブルプリント配線板(FPC)
41 端子
43 配線パターン
47 接着材
Claims (6)
- 複数の辺を有し、前記複数の辺のうち少なくとも2つの辺のそれぞれに複数の端子を形成したパネルと、前記複数の端子に接続される複数の配線板とを有するプラズマディスプレイ装置の製造方法において、配線板の表面側および裏面側に接着材を塗布するとき、配線板の表面側に接着材を塗布した後、配線板の裏面側に接着材を塗布することを特徴とするプラズマディスプレイ装置の製造方法。
- 対向配置した第1基板および第2基板のそれぞれに複数の端子を形成したパネルと、前記第1基板の端子に接続される第1配線板と、前記第2基板の端子に接続される第2配線板とを有するプラズマディスプレイ装置の製造方法において、第1配線板の表面側に接着材を塗布した後、第2配線板の裏面側に接着材を塗布する第1の接着材塗布工程と、第2配線板の表面側に接着材を塗布した後、第1配線板の裏面側に接着材を塗布する第2の接着材塗布工程とを有することを特徴とするプラズマディスプレイ装置の製造方法。
- 第2基板の端子の間隔が第1基板の端子の間隔よりも狭く設定されたパネルについて、第1の接着材塗布工程を行った後、第2の接着材塗布工程を行うことを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイ装置の製造方法。
- 複数の辺を有し、前記複数の辺のうち少なくとも2つの辺のそれぞれに複数の端子を形成したパネルと、前記複数の端子に接続される複数の配線板とを有するプラズマディスプレイ装置の製造方法において、配線板の表面側および裏面側に接着材を塗布するとき、パネルの周囲を1周するように、配線板の表面側に接着材を塗布した後、配線板の裏面側に接着材を塗布することを特徴とするプラズマディスプレイ装置の製造方法。
- 対向配置した第1基板および第2基板のそれぞれに複数の端子を形成したパネルと、前記第1基板の端子に接続される第1配線板と、前記第2基板の端子に接続される第2配線板とを有するプラズマディスプレイ装置の製造方法において、パネルの周囲を1周するように、第1配線板の表面側に接着材を塗布した後、第2配線板の裏面側に接着材を塗布する第1の接着材塗布工程と、パネルの周囲を1周するように、第2配線板の表面側に接着材を塗布した後、第1配線板の裏面側に接着材を塗布する第2の接着材塗布工程とを有することを特徴とするプラズマディスプレイ装置の製造方法。
- 第2基板の端子の間隔が第1基板の端子の間隔よりも狭く設定されたパネルについて、第1の接着材塗布工程を行った後、第2の接着材塗布工程を行うことを特徴とする請求項5に記載のプラズマディスプレイ装置の製造方法。
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