JP2004084079A - 水系コーティング剤用流動性改良剤 - Google Patents

水系コーティング剤用流動性改良剤 Download PDF

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Abstract

【課題】紙コーティングカラーおよび顔料またはフィラーおよび/またはバインダーを主体とする水系コーティング剤の高剪断速度下で流動性を改善させる薬剤を提供すること。
【解決手段】一般式(1)で示される重量平均分子量が5,000〜100,000であり、ある限定された末端炭化水素基と組成をもつポリウレタン系化合物Aと一般式(2)で示される重量平均分子量が400〜30,000であり、ある限定された末端炭化水素基と組成をもつポリオキシアルキレン誘導体化合物Bとを含む流動性改良剤。
化合物A
−(OR−I−[(OR−I−(OR−I−(OR−X・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
化合物B
−(OR−Y・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水系コーティング剤用流動性改良剤に関するものである。さらに詳しくはフィラーおよび/またはバインダーを主体とする水系コーティング剤の高剪断速度下での流動性を改善することのできる流動性改良剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、水系コーティング剤としてはフィラー、バインダー、分散剤などと水から構成される分散物が多く知られている。従来、この水系コーティング剤の流動性を調整する目的で、縮合リン酸塩、ポリカルボン酸塩などの分散剤やアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、アクリル系合成品などの増粘剤が使用されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの従来の添加剤は、低〜中剪断速度下では一定の流動性を保つことが可能であるが、高剪断速度下では満足のいく効果が得られなかった。塗工紙の製造においては、紙コーティングカラーの高剪断速度下での流動性を改善するために、高剪断速度下での粘度を下げる必要がある。低〜中剪断速度下で減粘効果を発揮する分散剤の中には高剪断速度下での粘度を下げるものもあるが保水性が乏しくなり、結果として高剪断速度下での流動性は悪化する。一方、保水性付与機能を持つ増粘剤は、紙コーティングカラーの保水性を向上させることができるか、低〜中剪断速度における粘度を上げ、塗工時など高剪断速度下での流動性を低下させる欠点を有していた。すなわち、未だ紙コーティングカラーの高剪断速度下での流動性を満足するものはなく安定した高濃度・高速塗工化の実現に障害となっていた。本発明の目的は、上記の欠点を改善し、高剪断速度下で流動性を改善させる薬剤を提供することにある。なお、ここで言う低剪断速度とは10/秒未満、中剪断速度とは10/秒以上、10/秒未満。高剪断速度とは10/秒以上を意味し、以下同じとする。
【0004】
【課題を解決しようとする手段】
本発明者らは、上記課題を克服するための技術を鋭意検討した結果、水系コーティング剤の高剪断速度下での粘度を低く抑え、かつ、保水性を付与するために特定の化合物が有効であることを見出した。すなわち本発明は、一般式(1)で示される重量平均分子量が5,000〜100,000である化合物Aと一般式(2)で示される重量平均分子量が400〜30,000である化合物Bとを含む流動性改良剤であり、化合物Aと化合物Bの質量比が99:1〜50:50である流動性改良剤であり、フィラーを含む水系コーティング剤において流動性改良剤をフィラー100部に対して0.01〜20質量部含有することを特徴とする水系コーティング剤であり、水系コーティング剤がフィラーおよびバインダーを含む紙コーティングカラーである水系コーティング剤である。
化合物A
−(OR−I−[(OR−I−(OR−I−(OR−X
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
(式中、X,Xは炭素数が4〜36のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびアリールアルキルアリール基からなる群より選ばれる官能基を示す。OR、OR、OR、ORは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、l、oは1〜500の整数、m、nは15〜1000の整数、zは1〜60の整数を示し、I、I、Iはジイソシアネート化合物の残基を示す。)
化合物B
−(OR−Y・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
(式中、Y、Yは水素および/または炭素数が1〜36のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アリールアルキルアリール基、アシル基およびこれら炭化水素基の任意の水素をヒドロキシル基および/またはアミノ基および/またはカルボニル基および/またはカルボキシル基などの官能基で置換した基からなる群より選ばれる基を示す。ORは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、pは1〜680の整数を示す。)
【0005】
【発明の実施の形態】
化合物Aを構成する官能基X、Xは、炭素数が4〜36のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびアリールアルキルアリール基からなる群から選ばれる。なお、ここで言う炭素数とは重量平均炭素数を意味し、以下同じとする。
【0006】
炭素数が4〜36のアルキル基としては、例えばブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、イソトリデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、オクタデシル基およびイソステアリル基などがあげられる。
【0007】
炭素数が4〜36のシクロアルキル基としては、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基およびメチルシクロヘプチル基などがあげられる。
【0008】
炭素数が4〜36のアルケニル基としては、例えばブテニル基、ブタジエニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基およびオレイル基などがあげられる。
【0009】
炭素数が4〜36のシクロアルケニル基としては、例えばシクロペンテニル基、2,4−シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基、2,4−シクロヘキサジエニル基、シクロヘプテニル基、メチルシクロペンテニル基、メチルシクロヘキセニル基およびメチルシクロヘプテニル基などがあげられる。
【0010】
炭素数が4〜36のアリール基としては、例えばフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、アントリル基およびピレニル基などがあげられる。
【0011】
炭素数が4〜36のアルキルアリール基としては、例えばトルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基およびトリデシルフェニル基などがあげられる。
【0012】
炭素数が4〜36のアリールアルキル基としては、例えばベンジル基およびベンズヒドリル基などがあげられる。
【0013】
炭素数が4〜36のアリールアルキルアリール基としては、例えばスチレン化フェニル基およびベンジルフェニル基などがあげられる。
【0014】
これらのうち好ましくは炭素数が6〜24の基であり、さらに好ましくは炭素数が10〜22の基である。炭素数が4未満では高剪断速度下で粘度低下効果が少ない。また、炭素数が36を越えると化合物Aが親水性に乏しくなり、水系コーティング剤に均一混合できなくなるため、高剪断速度下での低粘度化効果が発現しない。化合物Aを構成する官能基X、Xはこれらのうちの単一物でも良く、複数の混合物でも良い。
【0015】
化合物Aを構成するOR、OR、OR、ORは炭素数が2〜4のオキシアルキレン基である。OR、OR、OR、ORの炭素数が2未満および4を越えると化合物Aの親水性が乏しくなり、水系コーティング剤と均一混合できなくなるため、高剪断速度下での低粘度化効果が発現しない。炭素数が2〜4のオキシアルキレン基としてはオキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基などがあげられる。これらの内オキシエチレン基は必須である。オキシエチレン基の割合は好ましくは全オキシアルキレン基の60質量%以上、さらに好ましくは全オキシアルキレン基の80質量%以上である。オキシエチレン基が60質量%未満では化合物Aが親水性に乏しくなり、水系コーティング剤に均一混合できなくなることがあり、目的とする効果の発現が不安定になったり、印刷適性など他の物性に悪影響を与えることがある。また、化合物Aに含まれるオキシアルキレン基OR、OR、ORの炭素数の組成比・付加モル数は単一の組成でも良いし、異なる複数の組成の混合物でも良い。オキシアルキレン基であるOR、ORの付加モル数lおよびoは1〜500であり、好ましくは2〜400であり、さらに好ましくは3〜300である。またOR、ORの付加モル数m、nについては15〜1,000であり、好ましくは18〜900であり、さらに好ましくは20〜800である。OR、OR、OR、ORの付加モル数l、m、n、oが規定範囲数未満の場合には高剪断速度下での低粘度化効果の発現が乏しく、保水性などに悪影響をあたえる。l、m、n、oが規定範囲数を越える場合には高剪断速度下での低粘度化効果が乏しくなったり、増粘効果を示したりして好ましくない。
【0016】
化合物A中の繰り返し構造のモル数zは1〜60である。好ましくは2〜55である。zが1未満の場合には高剪断速度下での低粘度化効果の発現が乏しく、保水性などに悪影響をあたえる。zが60を越える場合には高剪断速度下での低粘度化効果が乏しくなったり、増粘効果を示したりして好ましくない。
【0017】
化合物Aの重量平均分子量は5,000〜100,000である。好ましくは重量平均分子量7,000〜80,000である。重量平均分子量が5,000未満の場合には高剪断速度下での低粘度化効果の発現が乏しく、保水性などに悪影響をあたえる。重量平均分子量が100,000を越える場合には高剪断速度下での低粘度化効果が乏しくなったり、増粘効果を示したりして好ましくない。
【0018】
本発明の化合物Aを構成するI、I、Iはジイソシアネート化合物の残基であり、特に限定されない。I、I、Iの由来となるジイソシアネート化合物としては例えば、脂肪族系ジイソシアネート化合物、芳香族系ジイソシアネート化合物および脂環族系ジイソシアネート化合物などがあげられる。
【0019】
脂肪族系ジイソシアネート化合物としては例えば、メチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ジプロピルエーテルジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、3−メトキシヘキサンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルペンタンジイソシアネート、3−ブトキシヘキサンジイソシアネート、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテルジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、パラキシリレンジイソシアネートおよびテトラメチルキシリレンジイソシアネートなどがあげられる。
【0020】
芳香族系ジイソシアネート化合物としては例えば、メタフェニレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジメチルベンゼンジイソシアネート、エチルベンゼンジイソシアネート、イソプロピルベンゼンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジエトキシジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネートおよび2,2’−ジメチル−5,5’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートなどがあげられる。
【0021】
脂環族系ジイソシアネート化合物としては例えば、シクロヘキシルジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートなどがあげられる。化合物Aを構成するジイソシアネート残基I、I、Iは、これらのうちの単一の化合物に由来するものでも良く、複数の化合物の混合物に由来するものでも良い。
【0022】
化合物Aを合成する方法としては公知のウレタン化反応を用いて合成することができる。例えばポリエーテルモノオール、ポリエーテルジオールおよびジイソシアネートを反応温度40〜130℃で2〜10時間反応して合成できる。例えば、ポリエーテルモノオール、ポリエーテルジオールおよびジイソシアネートから合成する場合、全量一括仕込みによる合成方法でも良く、またポリエーテルジオールとジイソシアネートを反応させたのち、ポリエーテルモノオールと反応させ合成する方法あるいはポリエーテルモノオールとジイソシアネートを反応させた後ポリエーテルジオールと反応させ合成する方法でも良い。反応により一部副生成物ができる場合があるが、主生成物が化合物Aを構成するウレタン変性ポリエーテルであり副生成物との混合物で使用できる。
【0023】
反応温度は40〜130℃であり、好ましくは70〜100℃である。40℃未満では反応速度が遅く、時間がかかりすぎる欠点があり、また130℃より高い温度では異常な副反応が起こり好ましくない。
【0024】
これらの反応においては必要に応じて溶剤を使用しても良い。使用される溶剤は活性水素を含有しないことを要し、例えば芳香族系溶剤としてトルエンおよびキシレンなど、脂肪族系溶剤として石油エーテルおよびn−ヘキサンなど、脂環族系溶剤としてシクロヘキサン、シクロヘキサノンおよびデカリンなど、ハロゲン含有溶剤としてクロロホルム、四塩化炭素、エチレンジクロライドおよびクロルベンゼンなど、エステル系溶剤として酢酸エチル、酢酸ブチルおよび酢酸ペンチルなど、ケトン系溶剤としてメチルエチルケトン、ジエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンなどがあげられる。
【0025】
また必要に応じてウレタン化反応に使用される触媒としては、例えばアミン系化合物としてトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ヘプタメチルジエチレントリアミン、N−メチルモルホリン、ベンジルトリエチルアンモニウムハイドロオキサイドなど、金属含有化合物として塩化第一スズ、塩化第2スズ、オクチル酸スズ、オクチル酸鉛、ジブチルチンジラウレート、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛、ナフテン酸カリウムおよび三塩化アンチモンなどがあげられる。触媒添加量は仕込み全質量に対し、0.001〜1質量%である。また添加方法は通常反応初期に加えるが反応中に分割して添加しても良い。
【0026】
化合物Bを構成する末端基Y、Yは水素および/または炭素数が1〜36のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アリールアルキルアリール基、アシル基および末端基XおよびY中の任意の水素をヒドロキシル基および/またはアミノ基および/またはカルボニル基および/またはカルボキシル基などの官能基で置換した基などがあげられる。
【0027】
炭素数が1〜36のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、イソトリデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、オクタデシル基およびイソステアリル基などがあげられる。
【0028】
炭素数が1〜36のシクロアルキル基としては、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基およびメチルシクロヘプチル基などがあげられる。
【0029】
炭素数が1〜36のアルケニル基としては、例えばビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ブタジエニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基およびオレイル基などがあげられる。
【0030】
炭素数が1〜36のシクロアルケニル基としては、例えばシクロペンテニル基、2,4−シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基、2,4−シクロヘキサジエニル基、シクロヘプテニル基、メチルシクロペンテニル基、メチルシクロヘキセニル基およびメチルシクロヘプテニル基などがあげられる。
【0031】
炭素数が1〜36のアリール基としては、例えばフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、アントリル基およびピレニル基などがあげられる。
【0032】
炭素数が1〜36のアルキルアリール基としては、例えばトルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基およびトリデシルフェニル基などがあげられる。
【0033】
炭素数が1〜36のアリールアルキル基としては、例えばベンジル基、ジフェニルメチル基およびベンズヒドリル基などがあげられる。
【0034】
炭素数が1〜36のアリールアルキルアリール基としては、例えばスチレン化フェニル基およびベンジルフェニル基などがあげられる。
【0035】
炭素数が1〜36のアシル基としては、例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、2−エチルヘキサノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ラウロイル基、トリデカノイル基、イソトリデカノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、ブテノイル基、ブタジエノイル基、ペンテノイル基、ヘキセノイル基、ヘプテノイル基、オクテノイル基、ノネノイル基、デセノイル基、ウンデセノイル基、ドデセノイル基、テトラデセノイル基、オレオイル基、シクロペンタノイル基、シクロヘキサノイル基、シクロヘプタノイル基、メチルシクロペンタノイル基、メチルシクロヘキサノイル基、メチルシクロヘプタノイル基、シクロペンテノイル基、2,4−シクロペンタジエノイル基、シクロヘキセノイル基、2,4−シクロヘキサジエノイル基、シクロヘプテノイル基、メチルシクロペンテノイル基、メチルシクロヘキセノイル基、メチルシクロヘプテノイル基、ベンゾイル基、フェニルアセチル基、α−ナフトイル基、β−ナフトイル基、アントロイル基、ピレノイル基、トルオイル基、ジメチルベンゾイル基、トリメチルベンゾイル基、エチルベンゾイル基、プロピルベンゾイル基、イソプロピルベンゾイル基、ブチルベンゾイル基、ペンチルベンゾイル基、ヘキシルベンゾイル基、ヘプチルベンゾイル基、オクチルベンゾイル基、ノニルベンゾイル基、デシルベンゾイル基、ウンデシルベンゾイル基、ドデシルベンゾイル基、トリデシルベンゾイル基およびスチレン化ベンゾイル基などがあげられる。
【0036】
末端基YおよびY中の任意の水素をヒドロキシル基および/またはアミノ基および/またはカルボニル基および/またはカルボキシル基で置換した官能基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシデシル基、ヒドロキシオクタデシル基、ジヒドロキシプロピル基、ジヒドロキシヘプチル基、ジヒドロキシオクタデシル基、トリヒドロキシオクチル基、トリヒドロキシヘキサデシル基、ヒドロキシシクロヘキシル基、ジヒドロキシシクロヘプチル基、2−ヒドロキシ−4−メチルシクロペンチル基、2,4−ジヒドロキシ−6−メチルシクロヘプチル基、4−(3,6−ジヒドロキシ)−ノニルシクロヘキシル基、ヒドロキシブテニル基、ヒドロキシブタジエニル基、ジヒドロキシヘキセニル基、ジヒドロキシヘプテニル基、トリヒドロキシウンデセニル基、トリヒドロキシテトラデセニル基、トリヒドロキシオクタデセニル基、システイニル基、グルタミル基、グルタミニル基、セリル基、チロシル基、トリプトフィル基、ノルロイシル基、バリル基、ヒスチジル基、アルギニル基、オルニチル基、グリシル基、グリコロイル基、サリチロイル基、ガロイル基、グリセロイル基およびバニロイル基などがあげられる。
【0037】
これらのうち好ましくは炭素数が6〜24の末端基であり、さらに好ましくは炭素数が10〜22の末端基である。炭素数が36を越えると化合物Bが親水性に乏しくなり、水系コーティング剤と均一混合できなくなることがあり、目的とする効果の発現が不安定になったり、印刷適性など他の物性に悪影響を与える。
【0038】
化合物Bを構成するORは炭素数が2〜4のオキシアルキレン基である。ORの炭素数が2未満および4を越えると化合物Bの親水性が乏しくなり、水系コーティング剤と均一混合できなくなるため、高剪断速度下での低粘度化効果が発現しない。炭素数が2〜4のオキシアルキレン基としてはオキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基などがあげられる。オキシアルキレン基の組成のうち、オキシエチレン基の割合は好ましくは全オキシアルキレン基の60質量%以上、特に好ましくは全オキシアルキレン基の80質量%以上である。オキシエチレン基が60質量%未満では化合物Eの親水性が乏しくなり、水系コーティング剤と均一混合できなくなるため、目的とする効果の発現が不安定になったり、印刷適性などの物性に影響を与えることがある。化合物Bに用いるポリアルキレングリコール誘導体は一種類の化合物でも良く、また、ORの組成比およびオキシアルキレン基の付加モル数および末端基Y、Yが異なる複数の化合物の混合物でも良い。オキシアルキレン基であるORの付加モル数pについては1〜680であり、好ましくは2〜650であり、さらに好ましくは3〜620である。
【0039】
化合物Bの重量平均分子量は400〜30,000である。好ましくは重量平均分子量500〜15,000である。重量平均分子量が400未満の場合には高剪断速度下での低粘度化効果の発現が乏しく、また印刷適性に悪影響をおよぼし、30,000を越える場合にも高剪断速度下での低粘度化効果が乏しくなったり、増粘効果を示したりして好ましくない。
【0040】
化合物A、化合物Bの重量平均分子量は分子量既知のポリスチレンおよびノルマルプロピルベンゼンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(G.P.C)を用いて測定することができる。例えば東ソ−株式会社製、型式HLC−8120GPCのゲルパーミエーションクロマトグラフィ(G.P.C)を用いて以下の条件で測定できる。カラムは東ソー(株)型式SuperH−4000x2本と型式SuperH−3000x1本を用い、カラム温度は40℃、検出器は示差屈折系(RI検出器)、溶離液としてTHF(試薬1級、片山化学工業製)を用い、流速は0.5ml/min、試料濃度1%試料溶液注入量10μL、データ処理機として東ソー(株)製、型式SC−8020、分子量既知のポリスチレンの標準物質として東ソー(株)製、TSKポリスチレンを用いる。TSKポリスチレンのグレードは、F128(重量平均分子量1,300,000)、F80(重量平均分子量791,000)、F40(重量平均分子量427,000)、F20(重量平均分子量184,000)、F10(重量平均分子量98,900)、F4(重量平均分子量43,000)、F2(重量平均分子量17,300)、F1(重量平均分子量10,100)、A5000(重量平均分子量6,400)およびA2500(重量平均分子量2,800)である。また、ノルマルプロピルベンゼン(重量平均分子量120.019)である。
【0041】
本発明の水系コーティング剤用流動性改良剤中の化合物Aを化合物Bと混合する方法としては化合物Aと化合物Bとを直接混合しても良く、また化合物Aおよび/もしくは化合物Bを水あるいは適当な溶剤で希釈後混合しても良い。
【0042】
直接混合する場合の混合温度は40〜130℃が適当であり、好ましくは70〜100℃である。40℃未満では十分な混合が行われるまで時間がかかりすぎる欠点があり、また130℃より高い温度では異常な副反応が起こり好ましくない。
【0043】
また、希釈して混合する場合の混合温度は40〜130℃が適当であり、好ましくは50〜90℃である。40℃未満では十分な混合が行われるまで時間がかかりすぎる欠点があり、また130℃より高い温度では異常な副反応が起こり好ましくない。
【0044】
本発明の水系コーティング剤用流動性改良剤中の化合物Aと化合物Bの比率は質量比でA:B=99:1〜50:50である。50:50より化合物Bの比率が増えると、印刷適性など他の物性に影響を与える。
【0045】
また、本発明の水系コーティング剤用流動性改良剤は、顔料またはフィラーおよび/またはバインダーを主体とする水系コーティング剤の高剪断速度下での低粘度化かつ保水性の付与効果に優れ、流動性の改善に有効であり、顔料またはフィラースラリー用、紙コーティングカラー用流動性改良剤として特に有効である。具体的には、顔料またはフィラースラリーの高濃度化、高流動化、および製紙業界の技術トレンドである紙コーティングカラーの高濃度・高速塗工化に最適である。
【0046】
これらの水系コーティング剤における顔料またはフィラーとしては、たとえばクレイ、炭酸カルシウム、酸化チタン、サチンホワイト、硫酸バリウム、タルク、酸化亜鉛、石膏、シリカ、フェライトなどの無機顔料およびポリスチレン系プラスチックピグメントなどの有機顔料があげられ、単独または併用して使用される。
【0047】
水系コーティング剤におけるバインダーとしては澱粉、変性澱粉、カゼイン、変性大豆蛋白質などの天然バインダーおよびスチレンブタジエンラテックス、カルボキシル変性スチレンブタジエンラテックス、アクリル系樹脂エマルション、酢酸ビニル系樹脂エマルション、塩化ビニル系樹脂エマルション、アクリルスチレン系樹脂エマルション、シリコン樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション、ABSラテックス、NBRラテックスおよびCRラテックスなどの合成バインダーがあげられる。
【0048】
本発明の水系コーティング剤用流動性改良剤の使用量(固形分換算)は、水系コーティング剤中の顔料またはフィラー100質量部に対して通常0.01〜20質量部であり、好ましくは0.05〜10質量部、更に好ましくは0.1〜5質量部である。0.01質量部未満では目標とする高剪断速度下での流動性改良性能の発現が乏しく、20質量部を越える場合増粘性が見られ低粘度化には好ましくない。
【0049】
本発明の水系コーティング剤用流動性改良剤は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐水化剤、防腐防黴剤、消泡剤、分散剤、潤滑・離型剤、消臭剤、香料、染料および顔料などを含有または混合して使用しても良い。
【0050】
本発明の水系コーティング剤用流動性改良剤を顔料またはフィラーを主体とする水系顔料またはフィラースラリー用の改良剤として用いる場合、本発明の水系コーティング剤用流動性改良剤の使用量(固形分換算)は、顔料またはフィラー100質量部に対して通常0.01〜20質量部であり、好ましくは0.05〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。0.01質量部未満では高剪断速度下での低粘度化が乏しく、20質量部を越えると、保水性や印刷適性などの他の物性に悪影響をおよぼす。本発明の水系コーティング剤用流動性改良剤を用いたスラリーは、通常水性分散液の形で使用され、必要に応じてその他の添加剤、例えば縮合リン酸塩、ポリカルボン酸塩などの分散剤、脂肪酸エステルなどの消泡剤、脂肪酸塩などの潤滑剤、湿潤剤および防腐剤などを添加してもよい。
【0051】
本発明の水系コーティング剤用流動性改良剤を顔料またはフィラーおよびバインダーを主体とする紙コーティングカラーの改良剤として用いる場合、本発明の水系コーティング剤用流動性改良剤の使用量(固形分換算)は、紙コーティングカラー中の顔料またはフィラー100質量部に対して通常0.01〜20質量部であり、好ましくは0.05〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。0.01質量部未満では高剪断速度下での低粘度化が乏しく、20質量部を越えると、保水性・印刷適性など他の性能に悪影響をおよぼす。本発明の水系コーティング剤用流動性改良剤を用いた紙コーティングカラーは、通常水性分散液の形で使用され、必要に応じてその他の添加剤、例えば縮合リン酸塩、ポリカルボン酸塩などの分散剤、脂肪酸エステルなどの消泡剤、脂肪酸塩などの潤滑剤、グリオキザールや尿素樹脂あるいはポリアミドポリアミン系樹脂などの耐水化剤、湿潤剤、防腐剤および蛍光染料などが添加される。また本発明の水系コーティング剤用流動性改良剤以外の分散剤、保水剤および増粘剤、例えばアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースおよびポリビニルアルコールなどを併用することもできる。
【0052】
本発明の水系コーティング剤用流動性改良剤を用いた紙コーティングカラーは、広葉樹、針葉樹などの木材繊維を原料とした木材パルプ(砕木パルプ、リファイナー砕木パルプおよびサーモメカニカルパルプなどの機械パルプ、クラフトパルプおよび亜硫酸パルプなどの化学パルプ、ケミグランドパルプ、中性亜硫酸セミケミカルパルプなどのセミケミカルパルプなど)、新聞、雑誌、情報用紙および印刷紙などを原料とした古紙再生パルプ(離解パルプおよび脱インキパルプなど)、木材以外の繊維を原料とした非木材パルプ(パガス、ケナフ、アシ、ワラ、麻およびリンターなどの非木材繊維を原料としたパルプ、ナイロン、ビニロン、テトロン、アクリル、レーヨンおよびポリオレフィンなどの合成繊維をパルプ状にした合成パルプなど)などを適宜単独または併用して抄紙した原紙に塗工される。
【0053】
紙コーティングカラーは公知の方法で、例えばエアナイフコーター、カーテンフローコーター、ブレードコーター、ロールコーターおよびロッドコーターなどにより原紙にコーティングできる。コーティング後、乾燥し必要に応じてカレンダーリングまたはスーパーカレンダーリング仕上げを行う。コーティング温度は通常10〜60℃、乾燥温度は通常90〜150℃、カレンダーリング、スーパーカレンダーリングあるいはソフトニップカレンダーリングの温度は通常30〜200℃である。
【0054】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお以下の実施例において部とは質量部を、%は質量%を意味する。
【0055】
実施例1
温度計、窒素導入管および高粘度用攪拌機を付した容量1000mlの4つ口フラスコにポリエチレングリコール(重量平均分子量6000)を500部、ブチルアルコールにオキシエチレン基を3モル付加したポリエーテルモノオールを6.87部入れ低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03%とした。ついで70℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネートを16.8部加え、窒素気流下85〜90℃でイソシアネート含量が0%になるまで反応させ(5時間)、化合物Aを得た。反応終了後、化合物Bであるポリエチレングリコール(重量平均分子量6000)を100部加え、常圧下80℃で混合し(2時間)、固体状の水系コーティング剤用流動性改良剤(実施例1)を得た。
【0056】
実施例2
温度計、窒素導入管および高粘度用攪拌機を付した容量1000mlの4つ口フラスコにオキシエチレン基とオキシブチレン基を質量比80:20の割合で付加させたポリエーテルジオール(重量平均分子量6400)を500部、ヘキシルアルコールにオキシエチレン基を1モル付加したポリエーテルモノオールを4.56部入れ低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03%とした。ついで70℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネートを15.8部加え、窒素気流下85〜90℃でイソシアネート含量が0%になるまで反応させ(5時間)、化合物Aを得た。反応終了後、化合物Bであるポリエチレングリコール(重量平均分子量6000)を250部加え、常圧下80℃で混合し(2時間)、固体状の水系コーティング剤用流動性改良剤(実施例2)を得た。
【0057】
実施例3
温度計、窒素導入管および高粘度用攪拌機を付した容量1000mlの4つ口フラスコにポリエチレングリコール(重量平均分子量10000)を500部、オクタデシルアルコールにオキシエチレン基を5モル付加したポリエーテルモノオールを8.17部入れ低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03%とした。ついで70℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネートを9.80部加え、窒素気流下85〜90℃でイソシアネート含量が0%になるまで反応させ(5時間)、化合物Aを得た。反応終了後、化合物Bであるオキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基を質量比80:10:10の割合で付加させ末端基の一方が水素、もう一方がn−ブチル基であるポリアルキレングリコール誘導体(重量平均分子量7400)を150部加え、常圧下80℃で混合し(2時間)、固体状の水系コーティング剤用流動性改良剤(実施例3)を得た。
【0058】
実施例4
温度計、窒素導入管および高粘度用攪拌機を付した容量1000mlの4つ口フラスコにオキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基を質量比80:10:10の割合で付加させたポリエーテルジオール(重量平均分子量1000)を500部、ヘキシルアルコールにオキシエチレン基を4モル、オキシプロピレン基を1モル付加したポリエーテルモノオールを32.2部入れ低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03%とした。ついで70℃に冷却し、トリレンジイソシアネートを95.7部加え、窒素気流下85〜90℃でイソシアネート含量が0%になるまで反応させ(5時間)、化合物Aを得た。反応終了後、化合物Bである一方の末端基が水素、もう一方の末端基がベンゾイル基であるポリエチレングリコール誘導体(重量平均分子量6000)を200部加え、常圧下80℃で混合し(2時間)、固体状の水系コーティング剤用流動性改良剤(実施例4)を得た。
【0059】
実施例5
温度計、窒素導入管および高粘度用攪拌機を付した容量1000mlの4つ口フラスコにポリエチレングリコール(重量平均分子量20000)を500部、ラウリルアルコールにオキシエチレン基を6モル、ポリオキシプロピレン基を3モル、オキシプロピレン基を1モル付加したポリエーテルモノオールを29.7部入れ低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03%とした。ついで70℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネートを8.02部加え、窒素気流下85〜90℃でイソシアネート含量が0%になるまで反応させ(5時間)、化合物Aを得た。反応終了後、化合物Bであるオキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基を質量比80:10:10の割合で付加させ、両方の末端基がステアロイル基であるポリアルキレングリコール誘導体(重量平均分子量7800)を50部加え、常圧下80℃で混合し(2時間)、固体状の水系コーティング剤用流動性改良剤(実施例5)を得た。
【0060】
実施例6
温度計、窒素導入管および高粘度用攪拌機を付した容量1000mlの4つ口フラスコにオキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基を質量比80:10:10の割合で付加させたポリエーテルジオール(重量平均分子量1000)を500部、ヘキシルアルコールにオキシエチレン基を12モル、ポリオキシプロピレン基を6モル、オキシプロピレン基を2モル付加したポリエーテルモノオールを98.2部入れ低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03%とした。ついで70℃に冷却し、水添キシリレンジイソシアネートを107部加え、窒素気流下85〜90℃でイソシアネート含量が0%になるまで反応させ(5時間)、化合物Aを得た。反応終了後、化合物Bである一方の末端基がプロペニル基、もう一方の末端基がn−ブチル基であるポリエチレングリコール誘導体(重量平均分子量5000)を150部加え、常圧下80℃で混合し(2時間)、固体状の水系コーティング剤用流動性改良剤(実施例6)を得た。
【0061】
実施例7
温度計、窒素導入管および高粘度用攪拌機を付した容量1000mlの4つ口フラスコにオキシエチレン基とオキシプロピレン基を質量比70:30の割合で付加させたポリエーテルジオール(重量平均分子量20000)を500部、ラウリルアルコールにオキシエチレン基を25モル付加したポリエーテルモノオールを21.9部入れ低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03%とした。ついで70℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネートを5.60部加え、窒素気流下85〜90℃でイソシアネート含量が0%になるまで反応させ(5時間)、化合物Aを得た。反応終了後、化合物Bであるオキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基を質量比80:10:10の割合で付加させ、両方の末端基がアクリロイル基であるポリアルキレングリコール誘導体(重量平均分子量5600)を250部加え、常圧下80℃で混合し(2時間)、固体状の水系コーティング剤用流動性改良剤(実施例7)を得た。
【0062】
実施例8
温度計、窒素導入管および高粘度用攪拌機を付した容量1000mlの4つ口フラスコにオキシエチレン基、ポリプロピレン基およびオキシプロピレン基を質量比60:30:10の割合で付加させたポリエーテルジオール(重量平均分子量4000)を500部、オクタデシルアルコールにオキシエチレン基を16モル、ポリオキシプロピレン基を2モル付加したポリエーテルモノオールを53.1部入れ低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03%とした。ついで70℃に冷却し、キシリレンジイソシアネートを28.2部加え、窒素気流下85〜90℃でイソシアネート含量が0%になるまで反応させ(5時間)、化合物Aを得た。反応終了後、化合物Bであるポリエチレングリコール(重量平均分子量20000)を150部加え、常圧下80℃で混合し(2時間)、固体状の水系コーティング剤用流動性改良剤(実施例8)を得た。
【0063】
実施例9
温度計、窒素導入管および高粘度用攪拌機を付した容量1000mlの4つ口フラスコにオキシエチレン基、ポリプロピレン基およびオキシプロピレン基を質量比60:30:10の割合で付加させたポリエーテルジオール(重量平均分子量2000)を500部、オレイルアルコールにオキシエチレン基を20モル、オキシプロピレン基を5モル付加したポリエーテルモノオールを11.4部入れ低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03%とした。ついで70℃に冷却し、キシリレンジイソシアネートを16.5部加え、窒素気流下85〜90℃でイソシアネート含量が0%になるまで反応させ(5時間)、化合物Aを得た。反応終了後、化合物Bであるオキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基を質量比80:10:10の割合で付加させたポリアルキレングリコール(重量平均分子量6400)を150部加え、常圧下80℃で混合し(2時間)、固体状の水系コーティング剤用流動性改良剤(実施例9)を得た。
【0064】
実施例10
温度計、窒素導入管および高粘度用攪拌機を付した容量1000mlの4つ口フラスコにオキシエチレン基、ポリプロピレン基およびオキシプロピレン基を質量比60:30:10の割合で付加させたポリエーテルジオール(重量平均分子量10000)を500部、、オクタコシルアルコールにオキシエチレン基を16モルオキシプロピレン基を4モル付加したポリエーテルモノオールを25.8部入れ低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03%とした。ついで70℃に冷却し、テトラメチレンジイソシアネートを8.40部加え、窒素気流下85〜90℃でイソシアネート含量が0%になるまで反応させ(5時間)、化合物Aを得た。反応終了後、化合物Bであるオキシエチレン基およびオキシプロピレン基を質量比70:30の割合で付加させたポリアルキレングリコール(重量平均分子量4500)を250部加え、常圧下80℃で混合し(2時間)、固体状の水系コーティング剤用流動性改良剤(実施例10)を得た。
【0065】
実施例11
温度計、窒素導入管および高粘度用攪拌機を付した容量1000mlの4つ口フラスコにポリエチレングリコール(重量平均分子量6000)を500部、γ−アントロールにオキシエチレン基を10モル付加したポリエーテルモノオールを21.1部入れ低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03%とした。ついで70℃に冷却し、トリレンジイソシアネートを17.4部加え、窒素気流下85〜90℃でイソシアネート含量が0%になるまで反応させ(5時間)、化合物Aを得た。反応終了後、化合物Bであるポリエチレングリコール(重量平均分子量6000)を150部加え、常圧下80℃で混合し(2時間)、固体状の水系コーティング剤用流動性改良剤(実施例11)を得た。
【0066】
実施例12
温度計、窒素導入管および高粘度用攪拌機を付した容量1000mlの4つ口フラスコにポリエチレングリコール(重量平均分子量7300)を500部、オクチルフェノールにオキシエチレン基を15モル付加したポリエーテルモノオールを23.7部入れ低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03%とした。ついで70℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネートを13.8部加え、窒素気流下85〜90℃でイソシアネート含量が0%になるまで反応させ(5時間)、化合物Aを得た。反応終了後、化合物Bであるポリエチレングリコール(重量平均分子量10000)を150部加え、常圧下80℃で混合し(2時間)、固体状の水系コーティング剤用流動性改良剤(実施例12)を得た。
【0067】
実施例13
温度計、窒素導入管および高粘度用攪拌機を付した容量1000mlの4つ口フラスコにポリエチレングリコール(重量平均分子量6000)を500部、ベンジルアルコールにオキシエチレン基を8モル、オキシプロピレン基を1モル、オキシブチレン基を1モル付加したポリエーテルモノオールを22.8部入れ低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03%とした。ついで70℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネートを17.5部加え、窒素気流下85〜90℃でイソシアネート含量が0%になるまで反応させ(5時間)、化合物Aを得た。反応終了後、化合物Bであるポリエチレングリコール(重量平均分子量10000)を200部加え、常圧下80℃で混合し(2時間)、固体状の水系コーティング剤用流動性改良剤(実施例13)を得た。
【0068】
実施例14
温度計、窒素導入管および高粘度用攪拌機を付した容量1000mlの4つ口フラスコにポリエチレングリコール(重量平均分子量20000)を500部、オレイルアルコールにオキシエチレン基を8モル、オキシプロピレン基を2モル付加したポリエーテルモノオールを17.7部入れ低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03%とした。ついで70℃に冷却し、テトラメチレンジイソシアネートを5.25部加え、窒素気流下85〜90℃でイソシアネート含量が0%になるまで反応させ(5時間)、化合物Aを得た。反応終了後、化合物Bであるオキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基を質量比60:30:10の割合で付加させ、一方の末端基がフェニル基、もう一方の末端基が2−エチルヘキシル基であるポリアルキレングリコール誘導体(重量平均分子量2000)を150部加え、常圧下80℃で混合し(2時間)、固体状の水系コーティング剤用流動性改良剤(実施例14)を得た。
【0069】
実施例15
温度計、窒素導入管および高粘度用攪拌機を付した容量1000mlの4つ口フラスコにオキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基を質量比80:10:10の割合で付加させたポリエーテルジオール(重量平均分子量13000)を500部、ベヘニルアルコールにオキシエチレン基を20モル、オキシプロピレン基を5モル付加したポリエーテルモノオールを21.9部入れ低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03%とした。ついで70℃に冷却し、テトラメチレンジイソシアネートを6.46部加え、窒素気流下85〜90℃でイソシアネート含量が0%になるまで反応させ(5時間)、化合物Aを得た。反応終了後、化合物Bであるオキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基を質量比60:30:10の割合で付加させたポリアルキレングリコール(重量平均分子量2400)を200部加え、常圧下80℃で混合し(2時間)、固体状の水系コーティング剤用流動性改良剤(実施例15)を得た。
【0070】
実施例16
温度計、窒素導入管および高粘度用攪拌機を付した容量1000mlの4つ口フラスコにポリエチレングリコール(重量平均分子量6800)のポリエーテルジオールを500部、スチレン化フェノールにオキシエチレン基を6モル、オキシプロピレン基を3モル、オキシブチレン基を1モル付加したポリエーテルモノオールを32.6部入れ低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03%とした。ついで70℃に冷却し、テトラメチレンジイソシアネートを13.7部加え、窒素気流下85〜90℃でイソシアネート含量が0%になるまで反応させ(5時間)、化合物Aを得た。反応終了後、化合物Bであるオキシエチレン基、およびオキシブチレン基を質量比80:20の割合で付加させたポリアルキレングリコール(重量平均分子量5000)を150部加え、常圧下80℃で混合し(2時間)、固体状の水系コーティング剤用流動性改良剤(実施例16)を得た。
【0071】
実施例17
温度計、窒素導入管および高粘度用攪拌機を付した容量1000mlの4つ口フラスコにオキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシプロピレン基を質量比80:10:10の割合で付加させたポリエーテルジオール(重量平均分子量10000)を500部、オクタコシルアルコールにオキシエチレン基を30モル付加したポリエーテルモノオールを43.2部入れ低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03%とした。ついで70℃に冷却し、トリレンジイソシアネートを10.9部加え、窒素気流下85〜90℃でイソシアネート含量が0%になるまで反応させ(5時間)、化合物Aを得た。反応終了後、化合物Bであるポリエチレングリコールの一方の末端基が水素、もう一方の末端基がサリチロイル基であるポリエチレングリコール誘導体(重量平均分子量7800)を150部加え、常圧下80℃で混合し(2時間)、固体状の水系コーティング剤用流動性改良剤(実施例17)を得た。
【0072】
実施例18
温度計、窒素導入管および高粘度用攪拌機を付した容量1000mlの4つ口フラスコにポリエチレングリコール(重量平均分子量8000)を500部、オクチルフェノールにオキシエチレン基を50モル付加したポリエーテルモノオールを100部入れ低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03%とした。ついで70℃に冷却し、トリレンジイソシアネートを14.5部加え、窒素気流下85〜90℃でイソシアネート含量が0%になるまで反応させ(5時間)、化合物Aを得た。反応終了後、化合物Bであるオキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシプロピレン基を質量比80:10:10の割合で付加させ一方の末端基が水素、もう一方の末端基がグリシル基であるポリアルキレングリコール誘導体(重量平均分子量5800)を150部加え、常圧下80℃で混合し(2時間)、固体状の水系コーティング剤用流動性改良剤(実施例18)を得た。
【0073】
実施例19
温度計、窒素導入管および高粘度用攪拌機を付した容量1000mlの4つ口フラスコにオキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシプロピレン基を質量比80:10:10の割合で付加させたポリエーテルジオール(重量平均分子量6000)を500部、n−ブチルアルコールにオキシエチレン基を50モル付加したポリエーテルモノオールを94.8部入れ低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03%とした。ついで70℃に冷却し、テトラメチレンジイソシアネートを14.6部加え、窒素気流下85〜90℃でイソシアネート含量が0%になるまで反応させ(5時間)、化合物Aを得た。反応終了後、化合物Bであるポリエチレングリコールの末端基の両方がグリコロイル基であるポリエチレングリコール誘導体(重量平均分子量7400)を100部加え、常圧下80℃で混合し(2時間)、固体状の水系コーティング剤用流動性改良剤(実施例19)を得た。
【0074】
比較例
実施例1の場合と同様にして、以下の比較例1〜3を得た。
【0075】
比較例1
温度計、窒素導入管および高粘度用攪拌機を付した容量1000mlの4つ口フラスコにポリエチレングリコール(重量平均分子量200)を250部、n−ブチルアルコールにオキシエチレン基を16モル、オキシプロピレン基を2モル、オキシブチレン基を2モル付加したポリエーテルモノオールを159部入れ低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03%とした。ついで70℃に冷却し、テトラメチレンジイソシアネートを186部加え、窒素気流下85〜90℃でイソシアネート含量が0%になるまで反応させ(5時間)、化合物Aを得た。反応終了後、化合物Bであるポリエチレングリコール(重量平均分子量60」00)を150部加え、常圧下80℃で混合し(2時間)、固体状の水系コーティング剤用流動性改良剤(比較例1)を得た。
【0076】
比較例2
温度計、窒素導入管および高粘度用攪拌機を付した容量1000mlの4つ口フラスコにポリエチレングリコール(重量平均分子量20000)を500部、ヘキシルアルコールにオキシエチレン基を16モル、オキシプロピレン基を2モル、オキシブチレン基を2モル付加したポリエーテルモノオールを6.14部入れ低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03%とした。ついで70℃に冷却し、テトラメチレンジイソシアネートを3.94部加え、、窒素気流下85〜90℃でイソシアネート含量が0%になるまで反応させ(5時間)、化合物Aを得た。反応終了後、化合物Bであるオキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシプロピレン基を質量比80:10:10の割合で付加させたポリアルキレングリコール(重量平均分子量6400)を150部加え、常圧下80℃で混合し(2時間)、固体状の水系コーティング剤用流動性改良剤(比較例2)を得た。
【0077】
比較例3
温度計、窒素導入管および高粘度用攪拌機を付した容量1000mlの4つ口フラスコにポリエチレングリコール(重量平均分子量13000)を500部、n−ブチルアルコールにオキシエチレン基を16モル、オキシプロピレン基を2モル、オキシブチレン基を2モル付加したポリエーテルモノオールを94.4部入れ低圧下(5〜10mmHg)にて80〜90℃で3時間脱水し、系の水分含量を0.03%とした。ついで70℃に冷却し、テトラメチレンジイソシアネートを12.1部加え、窒素気流下85〜90℃でイソシアネート含量が0%になるまで反応させ(5時間)、化合物Aを得た。反応終了後、化合物Bであるオキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシプロピレン基を質量比80:10:10の割合で付加させたポリアルキレングリコール(重量平均分子量6400)を150部加え、常圧下80℃で混合し(2時間)、固体状の水系コーティング剤用流動性改良剤(比較例3)を得た。
【0078】
比較例4
アルギン酸ソーダ(君津化成(株)製キミツアルギンL−2)の5%水溶液を調整し改良剤を得た。
【0079】
比較例5
カルボキシメチルセルロース(第一工業製薬(株)製セロゲンPR)の5%水溶液を調整し改良剤を得た。
【0080】
比較例6
縮合リン酸ナトリウム塩の5%水溶液を調整し改良剤を得た。
【0081】
実施例1〜19、比較例1〜3で合成された化合物Aの重量平均分子量を表1に示した。
【0082】
【表1】
Figure 2004084079
【0083】
実施例1〜19および比較例1〜6の性能を以下の方法により評価した。結果を表2および表3に示した。
【0084】
評価例1
(1)スラリーの配合(部:固形分換算、重量部を意味する)
No.2カオリン〔J.M.HUBER社製、Hydrasperse〕70部、重質炭酸カルシウム〔(株)ファイマテック製、FMT−90〕15部、軽質炭酸カルシウム〔奥多摩工業(株)製、タマパールTP−221GS〕15部、水酸化ナトリウム0.2〜0.3部、および本発明の水系コーティング剤用流動性改良剤0.2部なる配合でpH9.0、塗料濃度70%のスラリーを作成した。
(2)スラリー物性
▲1▼低剪断粘度:(株)東京計器製BM型粘度計、60rpm、25℃で測定。粘度は低いほうが好ましい。
▲2▼高剪断粘度:熊谷理器製ハーキュレス粘度計、8800rpm、25℃で測定。粘度は低い方が好ましい。
【0085】
【表2】
Figure 2004084079
【0086】
評価例2
(1)紙コーティングカラーの配合(部:固形分換算、重量部を意味する)
No.2カオリン〔J.M.HUBER社製、Hydrasperse〕70部、重質炭酸カルシウム〔(株)ファイマテック製、FMT−90〕15部、軽質炭酸カルシウム〔奥多摩工業(株)製、タマパールTP−222−HS〕15部、分散剤〔サンノプコ(株)製、SNディスパーサント5040〕0.2部、水酸化ナトリウム0.2〜0.3部、リン酸変性澱粉〔日本食品加工(株)製、MS−4600〕3部、SBRラテックス〔ジェイエスアール(株)製、JSR2803F〕12部、潤滑剤〔サンノプコ(株)製、ノプコートC−104−HS〕1部、保水剤〔サンノプコ(株)製、SNシックナー924〕0.1部および本発明の水系コーティング剤用流動性改良剤0.2部なる配合でpH9.0、塗料濃度63%の紙コーティングカラーを作成した。
(2)紙コーティングカラー物性
▲1▼低剪断粘度:(株)東京計器製BM型粘度計、60rpm、25℃で測定。粘度は低いほうが好ましい。
▲2▼高剪断粘度:熊谷理機製ハーキュレス粘度計、8800rpm、25℃で測定。粘度は低い方が好ましい。
▲3▼保水性:カルテック・サイエンティフィック(株)製、グラビメトリック・ウォーターリテンションメーター、圧力0.5Kg/m2、加圧時間30秒間の脱水量。数値小さい方が好ましい。
【0087】
【表3】
Figure 2004084079
【0088】
【発明の効果】
本発明の水系コーティング剤用流動性改良剤を顔料またはフィラーおよびバインダーを主体として含有する紙コーティングカラーの改良剤として用いる場合、剪断速度10/秒以上の高剪断速度下で紙コーティングカラーの粘度を低く抑えることができ、且つ優れた保水性を有するという従来知られなかった効果を有している。これらの機能により本発明の水系コーティング剤用流動性改良剤は、紙コーティングカラーの掻き取り時に、ストリーク、ブリーディング、ブレード磨耗の低減等、コーティング適性に優れ、高速コーティングに適した物性を有する紙コーティングカラーを調整することができる効果を有する。さらに本発明の水系コーティング剤用流動性改良剤は保水性付与機能に基づくバインダー等のマイグレーション抑制、高剪断速度下での低粘度化機能に基づくブレード圧の低下、あるいは塗布し、掻き取り後の紙コーティングカラーの不動化促進等の効果を有しており、塗工むらのない均質で嵩高の塗被層を形成させることができ、平滑で白紙光沢、印刷光沢、および吸水インキ着肉等の優れた塗被紙を得ることができる。上記効果を奏することから本発明の水系コーティング剤用流動性改良剤は、塗工紙の製造における生産性の向上、品質の向上、原価の低減、省エネルギーなどの観点から製紙業界の塗工技術動向である紙コーティングカラーの高濃度・高速塗工化を実現し、良好な紙コーティングカラー物性、高い操業性と高い塗工紙物性、印刷適性を付与することができ塗被紙の製造に好適である。

Claims (4)

  1. 一般式(1)で示される重量平均分子量が5,000〜100,000である化合物Aと一般式(2)で示される重量平均分子量が400〜30,000である化合物Bとを含む流動性改良剤。
    化合物A
    −(OR−I−[(OR−I−(OR−I−(OR−X・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
    (式中、X,Xは炭素数が4〜36のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびアリールアルキルアリール基からなる群より選ばれる官能基を示す。OR、OR、OR、ORは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、l、oは1〜500の整数、m、nは15〜1000の整数、zは1〜60の整数を示し、I、I、Iはジイソシアネート化合物の残基を示す。)
    化合物B
    −(OR−Y・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
    (式中、Y、Yは水素および/または炭素数が1〜36のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アリールアルキルアリール基、アシル基およびこれら炭化水素基の任意の水素をヒドロキシル基および/またはアミノ基および/またはカルボニル基および/またはカルボキシル基などの官能基で置換した基からなる群より選ばれる基を示す。ORは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、pは1〜680の整数を示す。)
  2. 化合物Aと化合物Bの質量比が99:1〜50:50である請求項1記載の流動性改良剤。
  3. フィラーを含む水系コーティング剤において請求項1または2に記載の流動性改良剤をフィラー100部に対して0.01〜20質量部含有することを特徴とする水系コーティング剤。
  4. 水系コーティング剤がフィラーおよびバインダーを含む紙コーティングカラーである、請求項3に記載の水系コーティング剤。
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