JP2004083091A - 複合容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】石油資源の節減や廃棄物に係る環境保全等を考慮した紙製の外側容器と薄肉のプラスチック製内側容器が一体化されている複合容器において、その一体化に食品や医薬品等に対し安全性や衛生性に欠ける危惧のある接着剤を必要とせず、外側容器への美粧印刷が可能で、かつ外側容器の紙と内側容器のプラスチックが容易に分離分別可能な環境調和型の複合容器の提供にある。
【解決手段】上記外側容器10の胴部及び又は底部の少なくとも一箇所に切り欠き開口部12を有し、前記内側容器20には、切り欠き開口部12に相当する位置にアンダーカット部22が形成されていて、これら切り欠き開口部12にアンダーカット部22が嵌合固着されている複合容器1で、さらに外側容器10には二重紙層部14を有している複合容器である。
【選択図】図1
【解決手段】上記外側容器10の胴部及び又は底部の少なくとも一箇所に切り欠き開口部12を有し、前記内側容器20には、切り欠き開口部12に相当する位置にアンダーカット部22が形成されていて、これら切り欠き開口部12にアンダーカット部22が嵌合固着されている複合容器1で、さらに外側容器10には二重紙層部14を有している複合容器である。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品や医療・医薬品等を収納し密封性を必要とする容器に関するものであり、さらに詳しくは、石油資源の節減や廃棄物に係る環境保全等を考慮した紙を主体とした外側容器と上端開口部にフランジ部を有するプラスチック製の内側容器の組み合わせでなる複合容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、食品や医療・医薬品等を収納し、さらに密封性を必要とする容器として、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート等プラスチック製の上端開口部にフランジ部を有するトレー状容器が知られ、そのフランジ部にヒートシール等で蓋材を密封するプラスチック製容器が広く用いられている。
【0003】
しかし近年、廃棄物の増加や石油資源の枯渇等による地球規模での環境問題が叫ばれている中、上記プラスチック製のトレー状容器においても、プラスチック部を超薄肉とした内側容器とそれを補強するための紙製の外側容器とを組み合わせて複合容器とすることによって、石油資源の節減が図られ、また使用後の廃棄に際し紙とプラスチックとを容易に分離分別してそれぞれのリサイクル化が図られるようにした環境調和型の容器が種々提案されている。
【0004】
上記紙とプラスチックの組み合わせでなる環境調和型の容器として、例えば特開平2−263625号公報や実開平3−23014号公報に提案されているように、外装が紙製のスリーブで、内装が合成樹脂製のカップでなり、そのスリーブの接着部に易分離用の引きちぎり部を設けた容器で、この引きちぎり部を設けることによって、簡単に紙とプラスチックを分離できるようにしたもので、かつ内装である合成樹脂製のカップには紙スリーブが落下しないように、ノッチが設けられた合成樹脂製容器がある。
【0005】
しかしながら、上記事例の複合容器は、単なる紙製スリーブの巻き付けのみによるものであって、プラスチックの使用率が高く(石油資源の節減が図れず)、かつ印刷適性は底部にはなく、印刷適性に優れる範囲が少ないという問題点があった。
【0006】
また、上記紙とプラスチックの組み合わせでなる容器として、例えば実公平3−56506号公報に提案されているように、シート成形で紙製の外側容器内にプラスチック製の内側容器を一体化した窓付きの複合容器としたもので、その一体化に紙製の外側容器の内面全面に熱溶融性の接着剤が塗布によって介在している複合容器がある。
【0007】
しかしながら、上記事例の複合容器は、熱溶融性の接着剤が介在しているため、接着剤の塗布工程とその材料が多くなることに加え、この熱溶融性の接着剤は、熱溶融等で溶出される低分子量物質が内側容器(プラスチック)を通して内容物である食品や医薬品に対し、食品の味を変えたり、医薬品等の安全性(衛生性等を含む)を欠いたりする危惧があるという問題があり、好ましくないものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、食品や医療・医薬品等を収納し密封性を必要とする容器で、石油資源の節減や廃棄物に係る環境保全等を考慮した紙を主体とした外側容器と上端開口部にフランジ部を有する薄肉のプラスチック製内側容器の組み合わせで一体化される複合容器において、その一体化に塗布工程と材料による製造コストが嵩む、かつ食品や医薬品等に対し安全性や衛生性に欠ける危惧のある接着剤を必要とせず、紙製でなる外側容器の胴部と底部へも美粧印刷が可能で、かつプラスチック製内側容器の薄肉化で石油資源の節減を図れ、外側容器の紙と内側容器のプラスチックが容易に分離分別可能でリサイクルを容易にする環境調和型の複合容器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、紙を主体とした外側容器と、その外側容器内に収納され、一体で無継目に成形されたプラスチック製の内側容器とでなる複合容器において、前記外側容器の胴部および/または底部の少なくとも一箇所に切り欠き開口部を有し、前記内側容器には、前記外側容器の切り欠き開口部の周縁に相当する位置にアンダーカット部が形成されていて、前記外側容器の切り欠き開口部に内側容器に形成されているアンダーカット部が嵌合され固着されていることを特徴とする複合容器としたものである。
【0010】
上記請求項1の発明によれば、上記紙を主体とした外側容器の切り欠き開口部にプラスチック製の内側容器のアンダーカット部が嵌合され固着されていて、この固着に接着剤が使用されていないので、その工程が短縮されているとともに、内容物への低分子量物質の溶出の危惧がなく、食品や医薬品に対する安全性や衛生性に優れ、また胴部と底部を有する紙を主体とした外側容器によって、プラスチック製の内側容器を補強することかできるので、プラスチック製の内側容器の薄肉化が図られ、かつその胴部と底部とともに印刷適性を有する面とし美粧性に優れる印刷が可能で、また、プラスチック製の内側容器によって、耐水性等各種耐性や衛生性等を保持することができる複合容器とすることができる。また、紙を主体とした外側容器の切り欠き開口部に嵌合されているプラスチック製の内側容器のアンダーカット部を外すことによって、外側容器と内側容器を容易に分離分別することができ、それぞれのリサイクルを容易にし、上記内側容器の薄肉化とともに環境保全に配慮された複合容器を提供できる。
【0011】
また、請求項2の発明では、上記外側容器の少なくとも一箇所が二重の紙層部分を有していることを特徴とする請求項1または2記載の複合容器としたものである。
【0012】
上記請求項2の発明によれば、外側容器の二重の紙層部分(糊代片とそれが貼着される部分)を設けることによって、その段差部に内側容器の樹脂が成形時に入り込むので、外側容器と内側容器との固着を補完することができ、特に外側容器の切り欠き開口部に二重の紙層部分を有することによって、この切り欠き開口部と成形時に使用される雌型とのクリアランス部が二重の紙厚に相当するので、このクリアランス部に内側容器の樹脂が入り込んで嵩高のアンダーカット部を形成し、よって外側容器と内側容器との嵌合固着をより強固にする複合容器とすることができる。
【0013】
さらにまた、請求項3の発明では、上記内側容器の成形と、内側容器へのアンダーカット部の形成と、該アンダーカット部と外側容器の切り欠き開口部との嵌合は、雌型内に外側容器を載置してその内部で成形する真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法、ブロー成形法あるいはインジェクション成形法のいずれかでなされていることを特徴とする請求項1または2記載の複合容器としたものである。
【0014】
上記請求項3の発明によれば、上記プラスチック製の内側容器の成形とともに、そのアンダーカット部の形成と、このアンダーカット部と外側容器の切り欠き開口部との嵌合固着を上記成形法で一挙になされるので、生産性に優れかつ外側容器と内側容器の固着に接着剤を必要とせず、よってこの接着剤塗布に係わる工程短縮と材料節減による製造コストの低減と、食品に対する味の変化や医療・医薬品に対する安全性と衛生性を保持できる複合容器とすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0016】
本発明は、食品や医療・医薬品等を収納し密封性を必要とするトレー状の容器に関するものであり、さらに詳しくは、石油資源の節減や廃棄物に係る環境保全等を考慮したもので、例えば図1(b)の側断面図に示すように、紙製の外側容器(10)とその内面に、上端開口部にフランジ部(21)を有するプラスチック製の内側容器(20)を接合して組み合わされたトレー状の複合容器(1)に関するものである。
【0017】
そこで上記請求項1に係る発明は、図1(a)の斜視図およびそのA面とC面を表す図1(b)の断面図に示すように、例えば紙製の外側容器(10)と、その外側容器(10)内に収容され、一体で無継目に成形されているプラスチック製の内側容器(20)とが固着されてなるトレー状の複合容器(1)において、このプラスチック製の内側容器(20)は、従来のプラスチック製の容器に比べ、超薄肉とし、その薄い分を紙製の外側容器(10)で補強して石油資源の節約を図り、使用後は紙とプラスチックを分離分別し、それぞれをリサイクルし易くした環境調和型の複合容器(1)としたもので、その特徴とするところは、紙製でトレー状の外側容器(10)の胴部の一面に切り欠き開口部(12)を有し、この外側容器(10)内に収容されている内側容器(20)には、この切り欠き開口部(12)に食い込むようにアンダーカット部(22)が形成されていて、この切り欠き開口部(12)にアンダーカット部(22)が嵌合し、外側容器(10)と内側容器(20)が固着されている複合容器(1)であり、さらに外側容器(10)の胴部と底部へも印刷適性を持たせた美粧性に優れたトレー状の複合容器(1)とするものである。
【0018】
上記図1(a)、(b)に示す切り欠き開口部(12)は、その外側容器(10)の対向面のもう一箇所に設けて、外側容器(10)と内側容器(20)の固着を平均化することもできる。
【0019】
また、図2(a)の斜視図およびそのA面とB面を表す図2(b)の断面図に示すように、例えば紙製の外側容器(10)と、その外側容器(10)内に収容され、一体で無継目に成形されているプラスチック製の内側容器(20)とが固着されてなるトレー状の複合容器(1)において、紙製でトレー状の外側容器(10)の胴部の一面の2箇所に三角形状の切り欠き開口部(12)を設け、さらに対向する面の2箇所に同様の三角形状の切り欠き開口部(図示せず)を設けて、これら切り欠き開口部(12)に相当する内側容器(20)のアンダーカット部(22)の嵌合で、外側容器(10)と内側容器(20)の固着をより強固にかつ平均化されて固着されている複合容器(1)とすることもできる。
【0020】
また、図3(a)の斜視図およびそのA面とB面を表す図3(b)の断面図に示すように、例えば紙製でトレー状の外側容器(10)の底部の1箇所に四角形状の対向する2辺が切断され、その四角形状の対向する他の2辺で内部に折り曲げられている切り欠き開口部(12)を設けて、これら切り欠き開口部(12)に相当する内側容器(20)のアンダーカット部(22)の嵌合で、外側容器(10)と内側容器(20)の固着を強固にする複合容器(1)とすることもできる。
【0021】
また、図4(a)の斜視図およびそのA面を表す図4(b)の断面図に示すように、例えば紙製でトレー状の外側容器(10)の底部の2箇所に四角形状の3辺が切断され、その四角形状の他の1辺で内部に折り曲げられている切り欠き開口部(12)を設けて、これら切り欠き開口部(12)に相当する内側容器(20)のアンダーカット部(22)の嵌合で、外側容器(10)と内側容器(20)の固着をより強固にする複合容器(1)とすることもできる。
【0022】
さらにまた、図5(a)の斜視図およびそのB面を表す図5(b)の断面図に示すように、例えば紙製でトレー状の外側容器(10)の底部の4コーナーに、それぞれ4個の切り欠き開口部(12)を設けて、これら切り欠き開口部(12)に相当する内側容器(20)のアンダーカット部(22)の嵌合によって、外側容器(10)と内側容器(20)の固着をより強固にする複合容器(1)とすることもできる。
【0023】
また、上記請求項1に係る発明では、図示しないが、上記切り欠き開口部を外側容器の胴部と底部の両面に1箇あるいは複数箇設け、これら切り欠き開口部のそれぞれに内側容器に形成されているアンダーカット部が嵌合され固着している複合容器とすることもできる。
【0024】
また、上記請求項2に係る発明は、例えば図1(a)および図2(b)に示すように、外側容器(10)の胴部一面の一箇所に紙層が2重になっている2重紙層部(14)を有している複合容器(1)であり、このように紙層が2重になっていて厚い2重紙層(14)があると、この厚み分だけ内側容器(20)の樹脂が入り込み易くなり、その結果内側容器(20)と外側容器(10)との接合固着を補完する複合容器(1)とすることができる。この2重紙層部(14)が対向する胴部面にもう一個の2重紙層部(図示せず)を設けてもよく、さらにはこれらの面の他の2面に設けても接合固着の補完をより優位なものとすることもできる。
【0025】
また、上記請求項2に係る発明は、例えば図6(a)の斜視図およびそのA面とB面を表す図6(b)の断面図に示すように、外側容器(10)の胴部一面および対向する面(図示せず)の下端一箇所に切り欠き開口部(12)をそれぞれ有し、これら切り欠き開口部(12)の下端に紙層が合わされて2重になっている2重紙層部(14)を有している複合容器(1)であり、このように、外側容器の切り欠き開口部(12)に2重紙層部(14)を有することによって、この切り欠き開口部(12)と成形時に使用される雌型(図示せず)とのクリアランス部が2重紙層部(14)の紙厚に相当するので、このクリアランス部に内側容器(20)の樹脂が入り込んで嵩高のアンダーカット部(22)を形成し、よって外側容器(10)と内側容器(20)との嵌合固着をより強固にする複合容器(1)とすることができる。
【0026】
さらにまた、上記請求項2に係る発明は、例えば図7(a)の斜視図およびそのC面とD面を表す図7(b)の断面図に示すように、外側容器(10)の胴部一面および対向する面(図示せず)の下端一箇所に切り欠き開口部(12)をそれぞれ有し、これら切り欠き開口部(12)の上端に、この切り欠き開口部(12)を形成した紙層の折り返しでなる紙層が合わされて2重になっている2重紙層部(14)を有している複合容器(1)であり、このように、外側容器の切り欠き開口部(12)に2重紙層部(14)を有することによって、この切り欠き開口部(12)と成形時に使用される雌型(図示せず)とのクリアランス部が2重紙層部(14)の紙厚に相当するので、このクリアランス部に内側容器(20)の樹脂が入り込んで嵩高のアンダーカット部(22)を形成し、よって外側容器(10)と内側容器(20)との嵌合固着をより強固にする複合容器(1)とすることができる。
【0027】
また、上記請求項3に係る発明は、例えば図8の側断面図に示すように、プラスチック製の内側容器(20)の成形と、この内側容器(20)に対するアンダーカット部(22)の形成と、さらにこのアンダーカット部(22)と外側容器(10)の切り欠き開口部(12)との嵌合は、雌型(30)内に外側容器(10)を載置し、その外側容器(10)の内部に樹脂シートにより成形する真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法、あるいはパリソンを載置して成形するブロー成形法、溶融樹脂を射出して成形するインジェクション成形法のいずれかでなされている複合容器(1)である。
【0028】
このように、プラスチック製の内側容器(20)の成形とともに、そのアンダーカット部(22)の形成と、このアンダーカット部(22)と外側容器(10)の切り欠き開口部(12)との嵌合固着を上記成形法で一挙に行うことができるので、従来のように接着剤で固着していたものに比べ、接着剤塗布に係わる工程短縮と材料節減による製造コストの低減が図られ、かつ食品に対する味の変化や医療・医薬品に対する安全性と衛生性を保持できる複合容器(1)とするものである。
【0029】
以下に本発明の複合容器を構成する材料等についてその実施の形態をさらに詳しく説明する。
まず本発明の複合容器を構成する外側容器の材料としては、坪量150〜500g/m2 の範囲の板紙で、例えばコートボール、ノーコートボール、アイボリー、特殊マニラあるいはチップボール等板紙が挙げられ、さらには段ボールでもよいが、表面への印刷適性を考慮すればコートボールやアイボリー等が好ましく用いられ、美粧性に優れた複合容器を得ることができる。
【0030】
また、本発明の複合容器を構成する内側容器の材料としては、熱可塑性樹脂が好ましく使用することができ、その成形方法によって成形適性が少々異なるが、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、ポリエチレン樹脂およびこれら混合物、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂あるいはポリビニルアルコール樹脂等が挙げられ、内容物の種類やその保存(耐)性あるいは成形方法等によって適宜選定される。例えば延伸ブロー成形の場合は、延伸ブロー成形性がよく、水蒸気バリア性に優れ、衛生性も良好であることからポリプロピレン樹脂が好適に使用される材料である。
【0031】
上記材料でなる外側容器と内側容器の厚みは、複合容器としてのサイズにもよるが、例えば上端開口部が110×80mm、底部が90×60mm、高さが35mmのトレー状容器の場合、外側容器を形成する板紙の坪量は、270g/m2 程度で、内側容器を形成するプラスチックの厚みは、環境面からは薄い方が好ましく、40〜80μm程度とするのが一般的である。
【0032】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
即ち、上記請求項1に係る発明においては、紙を主体とした外側容器と、その外側容器内に収納され、一体で無継目に成形されたプラスチック製の内側容器とでなる複合容器において、前記紙を主体とした外側容器の切り欠き開口部にプラスチック製の内側容器のアンダーカット部が嵌合され固着されていて、この固着に接着剤が使用されていないので、その工程が短縮されているとともに、内容物への低分子量物質の溶出の危惧がなく、食品や医薬品に対する安全性や衛生性に優れ、また胴部と底部を有する紙を主体とした外側容器によって、プラスチック製の内側容器を補強することかできるので、プラスチック製の内側容器の薄肉化が図られ、かつその胴部と底部とともに印刷適性を有する面とし美粧性に優れる印刷が可能であり、さらにまたプラスチック製の内側容器によって、耐水性等各種耐性や衛生性等を保持することができる複合容器とすることができる。また、紙を主体とした外側容器の切り欠き開口部に嵌合されているプラスチック製の内側容器のアンダーカット部を外すことによって、外側容器と内側容器を容易に分離分別することができ、それぞれのリサイクルを容易にし、上記内側容器の薄肉化とともに環境保全に配慮された複合容器を提供できる。
【0033】
また、上記請求項2に係る発明においては、外側容器に二重の紙層部分(糊代片とそれが貼着される部分)を設けることによって、この部分の段差部に、内側容器の樹脂が成形時に入り込むので、外側容器と内側容器との固着を補完することができ、特に外側容器の切り欠き開口部に二重の紙層部分を有すると、この切り欠き開口部と成形時に使用される雌型とのクリアランス部が二重の紙厚に相当するので、このクリアランス部に内側容器の樹脂が入り込んで嵩高のアンダーカット部を形成し、よって外側容器と内側容器との嵌合固着をより強固にする複合容器とすることができる。
【0034】
さらにまた、上記請求項3に係る発明においては、上記プラスチック製の内側容器の成形とともに、そのアンダーカット部の形成と、このアンダーカット部と外側容器の切り欠き開口部との嵌合固着を、真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法、ブロー成形法あるいはインジェクション成形法のいずれかで一挙になされるので、生産性に優れかつ外側容器と内側容器の固着に接着剤を必要とせず、よってこの接着剤塗布に係わる工程短縮と材料節減による製造コストの低減と、食品に対する味の変化や医療・医薬品に対する安全性と衛生性を保持できる複合容器とすることができる。
【0035】
従って本発明は、食品や医療・医薬品等を収納し密封性を必要とする容器で、石油資源の節減や廃棄物に係る環境保全等に配慮した紙を主体とした外側容器と上端開口部にフランジ部を有する薄肉プラスチック製の内側容器の組み合わせでなる複合容器において、優れた実用上の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合容器の一実施の形態を説明する図であり、
(a)は、その斜視図であり、
(b)は、(a)のA面およびC面を表す断面図である。
【図2】本発明の複合容器の他の一実施の形態を説明する図であり、
(a)は、その斜視図であり、
(b)は、(a)のA面およびB面を表す断面図である。
【図3】本発明の複合容器のさらに他の一実施の形態を説明する図であり、
(a)は、その斜視図であり、
(b)は、(a)のA面およびB面を表す断面図である。
【図4】本発明の複合容器のさらに他の一実施の形態を説明する図であり、
(a)は、その斜視図であり、
(b)は、(a)のA面を表す断面図である。
【図5】本発明の複合容器のさらに他の一実施の形態を説明する図であり、
(a)は、その斜視図であり、
(b)は、(a)のB面を表す断面図である。
【図6】本発明の複合容器のさらに他の一実施の形態を説明する図であり、
(a)は、その斜視図であり、
(b)は、(a)のA面およびB面を表す断面図である。
【図7】本発明の複合容器のさらに他の一実施の形態を説明する図であり、
(a)は、その斜視図であり、
(b)は、(a)のA面およびB面を表す断面図である。
【図8】本発明の複合容器の成形時の一事例の形態を説明する断面図である。
【符号の説明】
1‥‥複合容器
10‥‥外側容器
12‥‥切り欠き開口部
14‥‥2重紙層部
20‥‥内側容器
21‥‥フランジ部
22‥‥アンダーカット部
30‥‥雌型
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品や医療・医薬品等を収納し密封性を必要とする容器に関するものであり、さらに詳しくは、石油資源の節減や廃棄物に係る環境保全等を考慮した紙を主体とした外側容器と上端開口部にフランジ部を有するプラスチック製の内側容器の組み合わせでなる複合容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、食品や医療・医薬品等を収納し、さらに密封性を必要とする容器として、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート等プラスチック製の上端開口部にフランジ部を有するトレー状容器が知られ、そのフランジ部にヒートシール等で蓋材を密封するプラスチック製容器が広く用いられている。
【0003】
しかし近年、廃棄物の増加や石油資源の枯渇等による地球規模での環境問題が叫ばれている中、上記プラスチック製のトレー状容器においても、プラスチック部を超薄肉とした内側容器とそれを補強するための紙製の外側容器とを組み合わせて複合容器とすることによって、石油資源の節減が図られ、また使用後の廃棄に際し紙とプラスチックとを容易に分離分別してそれぞれのリサイクル化が図られるようにした環境調和型の容器が種々提案されている。
【0004】
上記紙とプラスチックの組み合わせでなる環境調和型の容器として、例えば特開平2−263625号公報や実開平3−23014号公報に提案されているように、外装が紙製のスリーブで、内装が合成樹脂製のカップでなり、そのスリーブの接着部に易分離用の引きちぎり部を設けた容器で、この引きちぎり部を設けることによって、簡単に紙とプラスチックを分離できるようにしたもので、かつ内装である合成樹脂製のカップには紙スリーブが落下しないように、ノッチが設けられた合成樹脂製容器がある。
【0005】
しかしながら、上記事例の複合容器は、単なる紙製スリーブの巻き付けのみによるものであって、プラスチックの使用率が高く(石油資源の節減が図れず)、かつ印刷適性は底部にはなく、印刷適性に優れる範囲が少ないという問題点があった。
【0006】
また、上記紙とプラスチックの組み合わせでなる容器として、例えば実公平3−56506号公報に提案されているように、シート成形で紙製の外側容器内にプラスチック製の内側容器を一体化した窓付きの複合容器としたもので、その一体化に紙製の外側容器の内面全面に熱溶融性の接着剤が塗布によって介在している複合容器がある。
【0007】
しかしながら、上記事例の複合容器は、熱溶融性の接着剤が介在しているため、接着剤の塗布工程とその材料が多くなることに加え、この熱溶融性の接着剤は、熱溶融等で溶出される低分子量物質が内側容器(プラスチック)を通して内容物である食品や医薬品に対し、食品の味を変えたり、医薬品等の安全性(衛生性等を含む)を欠いたりする危惧があるという問題があり、好ましくないものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、食品や医療・医薬品等を収納し密封性を必要とする容器で、石油資源の節減や廃棄物に係る環境保全等を考慮した紙を主体とした外側容器と上端開口部にフランジ部を有する薄肉のプラスチック製内側容器の組み合わせで一体化される複合容器において、その一体化に塗布工程と材料による製造コストが嵩む、かつ食品や医薬品等に対し安全性や衛生性に欠ける危惧のある接着剤を必要とせず、紙製でなる外側容器の胴部と底部へも美粧印刷が可能で、かつプラスチック製内側容器の薄肉化で石油資源の節減を図れ、外側容器の紙と内側容器のプラスチックが容易に分離分別可能でリサイクルを容易にする環境調和型の複合容器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、紙を主体とした外側容器と、その外側容器内に収納され、一体で無継目に成形されたプラスチック製の内側容器とでなる複合容器において、前記外側容器の胴部および/または底部の少なくとも一箇所に切り欠き開口部を有し、前記内側容器には、前記外側容器の切り欠き開口部の周縁に相当する位置にアンダーカット部が形成されていて、前記外側容器の切り欠き開口部に内側容器に形成されているアンダーカット部が嵌合され固着されていることを特徴とする複合容器としたものである。
【0010】
上記請求項1の発明によれば、上記紙を主体とした外側容器の切り欠き開口部にプラスチック製の内側容器のアンダーカット部が嵌合され固着されていて、この固着に接着剤が使用されていないので、その工程が短縮されているとともに、内容物への低分子量物質の溶出の危惧がなく、食品や医薬品に対する安全性や衛生性に優れ、また胴部と底部を有する紙を主体とした外側容器によって、プラスチック製の内側容器を補強することかできるので、プラスチック製の内側容器の薄肉化が図られ、かつその胴部と底部とともに印刷適性を有する面とし美粧性に優れる印刷が可能で、また、プラスチック製の内側容器によって、耐水性等各種耐性や衛生性等を保持することができる複合容器とすることができる。また、紙を主体とした外側容器の切り欠き開口部に嵌合されているプラスチック製の内側容器のアンダーカット部を外すことによって、外側容器と内側容器を容易に分離分別することができ、それぞれのリサイクルを容易にし、上記内側容器の薄肉化とともに環境保全に配慮された複合容器を提供できる。
【0011】
また、請求項2の発明では、上記外側容器の少なくとも一箇所が二重の紙層部分を有していることを特徴とする請求項1または2記載の複合容器としたものである。
【0012】
上記請求項2の発明によれば、外側容器の二重の紙層部分(糊代片とそれが貼着される部分)を設けることによって、その段差部に内側容器の樹脂が成形時に入り込むので、外側容器と内側容器との固着を補完することができ、特に外側容器の切り欠き開口部に二重の紙層部分を有することによって、この切り欠き開口部と成形時に使用される雌型とのクリアランス部が二重の紙厚に相当するので、このクリアランス部に内側容器の樹脂が入り込んで嵩高のアンダーカット部を形成し、よって外側容器と内側容器との嵌合固着をより強固にする複合容器とすることができる。
【0013】
さらにまた、請求項3の発明では、上記内側容器の成形と、内側容器へのアンダーカット部の形成と、該アンダーカット部と外側容器の切り欠き開口部との嵌合は、雌型内に外側容器を載置してその内部で成形する真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法、ブロー成形法あるいはインジェクション成形法のいずれかでなされていることを特徴とする請求項1または2記載の複合容器としたものである。
【0014】
上記請求項3の発明によれば、上記プラスチック製の内側容器の成形とともに、そのアンダーカット部の形成と、このアンダーカット部と外側容器の切り欠き開口部との嵌合固着を上記成形法で一挙になされるので、生産性に優れかつ外側容器と内側容器の固着に接着剤を必要とせず、よってこの接着剤塗布に係わる工程短縮と材料節減による製造コストの低減と、食品に対する味の変化や医療・医薬品に対する安全性と衛生性を保持できる複合容器とすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0016】
本発明は、食品や医療・医薬品等を収納し密封性を必要とするトレー状の容器に関するものであり、さらに詳しくは、石油資源の節減や廃棄物に係る環境保全等を考慮したもので、例えば図1(b)の側断面図に示すように、紙製の外側容器(10)とその内面に、上端開口部にフランジ部(21)を有するプラスチック製の内側容器(20)を接合して組み合わされたトレー状の複合容器(1)に関するものである。
【0017】
そこで上記請求項1に係る発明は、図1(a)の斜視図およびそのA面とC面を表す図1(b)の断面図に示すように、例えば紙製の外側容器(10)と、その外側容器(10)内に収容され、一体で無継目に成形されているプラスチック製の内側容器(20)とが固着されてなるトレー状の複合容器(1)において、このプラスチック製の内側容器(20)は、従来のプラスチック製の容器に比べ、超薄肉とし、その薄い分を紙製の外側容器(10)で補強して石油資源の節約を図り、使用後は紙とプラスチックを分離分別し、それぞれをリサイクルし易くした環境調和型の複合容器(1)としたもので、その特徴とするところは、紙製でトレー状の外側容器(10)の胴部の一面に切り欠き開口部(12)を有し、この外側容器(10)内に収容されている内側容器(20)には、この切り欠き開口部(12)に食い込むようにアンダーカット部(22)が形成されていて、この切り欠き開口部(12)にアンダーカット部(22)が嵌合し、外側容器(10)と内側容器(20)が固着されている複合容器(1)であり、さらに外側容器(10)の胴部と底部へも印刷適性を持たせた美粧性に優れたトレー状の複合容器(1)とするものである。
【0018】
上記図1(a)、(b)に示す切り欠き開口部(12)は、その外側容器(10)の対向面のもう一箇所に設けて、外側容器(10)と内側容器(20)の固着を平均化することもできる。
【0019】
また、図2(a)の斜視図およびそのA面とB面を表す図2(b)の断面図に示すように、例えば紙製の外側容器(10)と、その外側容器(10)内に収容され、一体で無継目に成形されているプラスチック製の内側容器(20)とが固着されてなるトレー状の複合容器(1)において、紙製でトレー状の外側容器(10)の胴部の一面の2箇所に三角形状の切り欠き開口部(12)を設け、さらに対向する面の2箇所に同様の三角形状の切り欠き開口部(図示せず)を設けて、これら切り欠き開口部(12)に相当する内側容器(20)のアンダーカット部(22)の嵌合で、外側容器(10)と内側容器(20)の固着をより強固にかつ平均化されて固着されている複合容器(1)とすることもできる。
【0020】
また、図3(a)の斜視図およびそのA面とB面を表す図3(b)の断面図に示すように、例えば紙製でトレー状の外側容器(10)の底部の1箇所に四角形状の対向する2辺が切断され、その四角形状の対向する他の2辺で内部に折り曲げられている切り欠き開口部(12)を設けて、これら切り欠き開口部(12)に相当する内側容器(20)のアンダーカット部(22)の嵌合で、外側容器(10)と内側容器(20)の固着を強固にする複合容器(1)とすることもできる。
【0021】
また、図4(a)の斜視図およびそのA面を表す図4(b)の断面図に示すように、例えば紙製でトレー状の外側容器(10)の底部の2箇所に四角形状の3辺が切断され、その四角形状の他の1辺で内部に折り曲げられている切り欠き開口部(12)を設けて、これら切り欠き開口部(12)に相当する内側容器(20)のアンダーカット部(22)の嵌合で、外側容器(10)と内側容器(20)の固着をより強固にする複合容器(1)とすることもできる。
【0022】
さらにまた、図5(a)の斜視図およびそのB面を表す図5(b)の断面図に示すように、例えば紙製でトレー状の外側容器(10)の底部の4コーナーに、それぞれ4個の切り欠き開口部(12)を設けて、これら切り欠き開口部(12)に相当する内側容器(20)のアンダーカット部(22)の嵌合によって、外側容器(10)と内側容器(20)の固着をより強固にする複合容器(1)とすることもできる。
【0023】
また、上記請求項1に係る発明では、図示しないが、上記切り欠き開口部を外側容器の胴部と底部の両面に1箇あるいは複数箇設け、これら切り欠き開口部のそれぞれに内側容器に形成されているアンダーカット部が嵌合され固着している複合容器とすることもできる。
【0024】
また、上記請求項2に係る発明は、例えば図1(a)および図2(b)に示すように、外側容器(10)の胴部一面の一箇所に紙層が2重になっている2重紙層部(14)を有している複合容器(1)であり、このように紙層が2重になっていて厚い2重紙層(14)があると、この厚み分だけ内側容器(20)の樹脂が入り込み易くなり、その結果内側容器(20)と外側容器(10)との接合固着を補完する複合容器(1)とすることができる。この2重紙層部(14)が対向する胴部面にもう一個の2重紙層部(図示せず)を設けてもよく、さらにはこれらの面の他の2面に設けても接合固着の補完をより優位なものとすることもできる。
【0025】
また、上記請求項2に係る発明は、例えば図6(a)の斜視図およびそのA面とB面を表す図6(b)の断面図に示すように、外側容器(10)の胴部一面および対向する面(図示せず)の下端一箇所に切り欠き開口部(12)をそれぞれ有し、これら切り欠き開口部(12)の下端に紙層が合わされて2重になっている2重紙層部(14)を有している複合容器(1)であり、このように、外側容器の切り欠き開口部(12)に2重紙層部(14)を有することによって、この切り欠き開口部(12)と成形時に使用される雌型(図示せず)とのクリアランス部が2重紙層部(14)の紙厚に相当するので、このクリアランス部に内側容器(20)の樹脂が入り込んで嵩高のアンダーカット部(22)を形成し、よって外側容器(10)と内側容器(20)との嵌合固着をより強固にする複合容器(1)とすることができる。
【0026】
さらにまた、上記請求項2に係る発明は、例えば図7(a)の斜視図およびそのC面とD面を表す図7(b)の断面図に示すように、外側容器(10)の胴部一面および対向する面(図示せず)の下端一箇所に切り欠き開口部(12)をそれぞれ有し、これら切り欠き開口部(12)の上端に、この切り欠き開口部(12)を形成した紙層の折り返しでなる紙層が合わされて2重になっている2重紙層部(14)を有している複合容器(1)であり、このように、外側容器の切り欠き開口部(12)に2重紙層部(14)を有することによって、この切り欠き開口部(12)と成形時に使用される雌型(図示せず)とのクリアランス部が2重紙層部(14)の紙厚に相当するので、このクリアランス部に内側容器(20)の樹脂が入り込んで嵩高のアンダーカット部(22)を形成し、よって外側容器(10)と内側容器(20)との嵌合固着をより強固にする複合容器(1)とすることができる。
【0027】
また、上記請求項3に係る発明は、例えば図8の側断面図に示すように、プラスチック製の内側容器(20)の成形と、この内側容器(20)に対するアンダーカット部(22)の形成と、さらにこのアンダーカット部(22)と外側容器(10)の切り欠き開口部(12)との嵌合は、雌型(30)内に外側容器(10)を載置し、その外側容器(10)の内部に樹脂シートにより成形する真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法、あるいはパリソンを載置して成形するブロー成形法、溶融樹脂を射出して成形するインジェクション成形法のいずれかでなされている複合容器(1)である。
【0028】
このように、プラスチック製の内側容器(20)の成形とともに、そのアンダーカット部(22)の形成と、このアンダーカット部(22)と外側容器(10)の切り欠き開口部(12)との嵌合固着を上記成形法で一挙に行うことができるので、従来のように接着剤で固着していたものに比べ、接着剤塗布に係わる工程短縮と材料節減による製造コストの低減が図られ、かつ食品に対する味の変化や医療・医薬品に対する安全性と衛生性を保持できる複合容器(1)とするものである。
【0029】
以下に本発明の複合容器を構成する材料等についてその実施の形態をさらに詳しく説明する。
まず本発明の複合容器を構成する外側容器の材料としては、坪量150〜500g/m2 の範囲の板紙で、例えばコートボール、ノーコートボール、アイボリー、特殊マニラあるいはチップボール等板紙が挙げられ、さらには段ボールでもよいが、表面への印刷適性を考慮すればコートボールやアイボリー等が好ましく用いられ、美粧性に優れた複合容器を得ることができる。
【0030】
また、本発明の複合容器を構成する内側容器の材料としては、熱可塑性樹脂が好ましく使用することができ、その成形方法によって成形適性が少々異なるが、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、ポリエチレン樹脂およびこれら混合物、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂あるいはポリビニルアルコール樹脂等が挙げられ、内容物の種類やその保存(耐)性あるいは成形方法等によって適宜選定される。例えば延伸ブロー成形の場合は、延伸ブロー成形性がよく、水蒸気バリア性に優れ、衛生性も良好であることからポリプロピレン樹脂が好適に使用される材料である。
【0031】
上記材料でなる外側容器と内側容器の厚みは、複合容器としてのサイズにもよるが、例えば上端開口部が110×80mm、底部が90×60mm、高さが35mmのトレー状容器の場合、外側容器を形成する板紙の坪量は、270g/m2 程度で、内側容器を形成するプラスチックの厚みは、環境面からは薄い方が好ましく、40〜80μm程度とするのが一般的である。
【0032】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
即ち、上記請求項1に係る発明においては、紙を主体とした外側容器と、その外側容器内に収納され、一体で無継目に成形されたプラスチック製の内側容器とでなる複合容器において、前記紙を主体とした外側容器の切り欠き開口部にプラスチック製の内側容器のアンダーカット部が嵌合され固着されていて、この固着に接着剤が使用されていないので、その工程が短縮されているとともに、内容物への低分子量物質の溶出の危惧がなく、食品や医薬品に対する安全性や衛生性に優れ、また胴部と底部を有する紙を主体とした外側容器によって、プラスチック製の内側容器を補強することかできるので、プラスチック製の内側容器の薄肉化が図られ、かつその胴部と底部とともに印刷適性を有する面とし美粧性に優れる印刷が可能であり、さらにまたプラスチック製の内側容器によって、耐水性等各種耐性や衛生性等を保持することができる複合容器とすることができる。また、紙を主体とした外側容器の切り欠き開口部に嵌合されているプラスチック製の内側容器のアンダーカット部を外すことによって、外側容器と内側容器を容易に分離分別することができ、それぞれのリサイクルを容易にし、上記内側容器の薄肉化とともに環境保全に配慮された複合容器を提供できる。
【0033】
また、上記請求項2に係る発明においては、外側容器に二重の紙層部分(糊代片とそれが貼着される部分)を設けることによって、この部分の段差部に、内側容器の樹脂が成形時に入り込むので、外側容器と内側容器との固着を補完することができ、特に外側容器の切り欠き開口部に二重の紙層部分を有すると、この切り欠き開口部と成形時に使用される雌型とのクリアランス部が二重の紙厚に相当するので、このクリアランス部に内側容器の樹脂が入り込んで嵩高のアンダーカット部を形成し、よって外側容器と内側容器との嵌合固着をより強固にする複合容器とすることができる。
【0034】
さらにまた、上記請求項3に係る発明においては、上記プラスチック製の内側容器の成形とともに、そのアンダーカット部の形成と、このアンダーカット部と外側容器の切り欠き開口部との嵌合固着を、真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法、ブロー成形法あるいはインジェクション成形法のいずれかで一挙になされるので、生産性に優れかつ外側容器と内側容器の固着に接着剤を必要とせず、よってこの接着剤塗布に係わる工程短縮と材料節減による製造コストの低減と、食品に対する味の変化や医療・医薬品に対する安全性と衛生性を保持できる複合容器とすることができる。
【0035】
従って本発明は、食品や医療・医薬品等を収納し密封性を必要とする容器で、石油資源の節減や廃棄物に係る環境保全等に配慮した紙を主体とした外側容器と上端開口部にフランジ部を有する薄肉プラスチック製の内側容器の組み合わせでなる複合容器において、優れた実用上の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合容器の一実施の形態を説明する図であり、
(a)は、その斜視図であり、
(b)は、(a)のA面およびC面を表す断面図である。
【図2】本発明の複合容器の他の一実施の形態を説明する図であり、
(a)は、その斜視図であり、
(b)は、(a)のA面およびB面を表す断面図である。
【図3】本発明の複合容器のさらに他の一実施の形態を説明する図であり、
(a)は、その斜視図であり、
(b)は、(a)のA面およびB面を表す断面図である。
【図4】本発明の複合容器のさらに他の一実施の形態を説明する図であり、
(a)は、その斜視図であり、
(b)は、(a)のA面を表す断面図である。
【図5】本発明の複合容器のさらに他の一実施の形態を説明する図であり、
(a)は、その斜視図であり、
(b)は、(a)のB面を表す断面図である。
【図6】本発明の複合容器のさらに他の一実施の形態を説明する図であり、
(a)は、その斜視図であり、
(b)は、(a)のA面およびB面を表す断面図である。
【図7】本発明の複合容器のさらに他の一実施の形態を説明する図であり、
(a)は、その斜視図であり、
(b)は、(a)のA面およびB面を表す断面図である。
【図8】本発明の複合容器の成形時の一事例の形態を説明する断面図である。
【符号の説明】
1‥‥複合容器
10‥‥外側容器
12‥‥切り欠き開口部
14‥‥2重紙層部
20‥‥内側容器
21‥‥フランジ部
22‥‥アンダーカット部
30‥‥雌型
Claims (3)
- 紙を主体とした外側容器と、その外側容器内に収納され、一体で無継目に成形されたプラスチック製の内側容器とでなる複合容器において、前記外側容器の胴部および/または底部の少なくとも一箇所に切り欠き開口部を有し、前記内側容器には、前記外側容器の切り欠き開口部の周縁に相当する位置にアンダーカット部が形成されていて、前記外側容器の切り欠き開口部に内側容器に形成されているアンダーカット部が嵌合され固着されていることを特徴とする複合容器。
- 上記外側容器の少なくとも一箇所が二重の紙層部分を有していることを特徴とする請求項1記載の複合容器。
- 上記内側容器の成形と、内側容器へのアンダーカット部の形成と、該アンダーカット部と外側容器の切り欠き開口部との嵌合は、雌型内に外側容器を載置してその内部で成形する真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法、ブロー成形法あるいはインジェクション成形法のいずれかでなされていることを特徴とする請求項1または2記載の複合容器。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002248523A JP2004083091A (ja) | 2002-08-28 | 2002-08-28 | 複合容器 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007145393A (ja) * | 2005-11-30 | 2007-06-14 | Dainippon Printing Co Ltd | 絞り成形紙容器 |
JP2014144612A (ja) * | 2013-01-30 | 2014-08-14 | Toyo Aluminum Ekco Products Kk | パルプモールド成型体 |
-
2002
- 2002-08-28 JP JP2002248523A patent/JP2004083091A/ja active Pending
Cited By (2)
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JP2007145393A (ja) * | 2005-11-30 | 2007-06-14 | Dainippon Printing Co Ltd | 絞り成形紙容器 |
JP2014144612A (ja) * | 2013-01-30 | 2014-08-14 | Toyo Aluminum Ekco Products Kk | パルプモールド成型体 |
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