JP2004079644A - 半導体素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体素子のp型半導体層のホールキャリア濃度を確保しつつ特性・信頼性を向上する。
【解決手段】半導体素子のp型半導体層10を、ホールキャリア濃度がp型半導体層全体のホールキャリア濃度よりも低くなる低キャリア濃度層11と、Cが導入されたカーボンドープ層12との積層構造にする。低キャリア濃度層11のp型不純物に拡散定数が比較的大きなZnなどを用い、かつ、そのホールキャリア濃度を低く抑え、これによってp型半導体層10全体として不足するホールキャリアを、拡散定数が小さいCを導入したカーボンドープ層12によって補う。これにより、p型半導体層10全体のホールキャリア濃度を確保することができるとともに、プロファイル劣化を低減することができ、半導体素子の特性・信頼性を向上させることができる。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体素子に関し、特に光通信システムにおいて広く用いられる半導体レーザ、半導体フォトディテクタなどの半導体素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、光通信システムで用いられる半導体レーザ、半導体フォトディテクタ、光アンプ、光合成器/分波器、光導波路などの半導体素子は、主に、InPやGaAsなどに代表される化合物半導体の基板上に作製されている。近年では、素子自体の小型化や他の部品との高集積化を図るため、これらの半導体素子を同一基板上に集積したいわゆる半導体光集積素子の開発が盛んに行われている。
【0003】
このような半導体素子の作製には、例えば有機金属気相成長(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy,MOVPE)法などの結晶成長法が用いられる。半導体素子は、これを構成する化合物半導体の結晶成長、あるいは所定伝導型の不純物の導入を伴う結晶成長により、その素子構造が形成される。所定伝導型の不純物を導入するに際し、n型不純物にはシリコン(Si)やスズ(Sn)などが、p型不純物には亜鉛(Zn)やベリリウム(Be)などが、それぞれ広く用いられている。
【0004】
また、特に近年では、従来用いられているp型不純物と比較してドーピング効率が高く、結晶中での拡散も小さいという利点から、カーボン(C)をp型不純物として用いたドーピング技術も開発されている。
【0005】
例えば、Cを導入したInGaAsやInAlAsでは、1019〜1020cm−3の高いホールキャリア濃度が得られており、また、CのGaAs中における温度800℃での拡散定数は2×10−16cm/s程度である。これに対し、Zn,BeのGaAs中における温度800℃での拡散定数はそれぞれ6×10−14cm/s,1×10−15cm/s程度であり、Cのそれに比べて著しく大きいことが示されている。これらの知見は、例えば、(1)A. Tandon et al., J. Crystal Growth, vol. 192, p.p.47−55 (1998),(2)A. Ougazzaden et al., J. Crystal Growth, vol. 221, p.p. 66−69 (2000),(3)B. T. Cunningham etal., Appl. Phys. Lett., vol. 55, p.p. 687−689 (1989),などの文献において開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、例えば光通信用半導体レーザなどのp型クラッド層の材料として広く用いられているInPでは、通常、Cを導入してもp型の伝導型を示さず、p型クラッド層をはじめとするp型半導体層を有する半導体素子の作製において、Cは有効なp型不純物として使用することができないという問題点があった。
【0007】
また、従来のZn,Beなどのp型不純物は、ホールキャリア濃度が1019cm−3台となるような高濃度のドーピングレベルでは、結晶内での拡散が著しく、デバイス特性を劣化させるという問題点があった。
【0008】
このZn,Beの場合、そのドーピングレベルを1018cm−3台に下げたとしても、この導入に続いて行われる半導体結晶成長などのプロセスで、同様に結晶内での不純物拡散が発生してしまう。その結果、設定値よりもドーピングレベルが低下したり、導入した不純物の結晶内でのプロファイルが設計通りにならなかったりするといった問題を引き起こしているのが現状である。
【0009】
Zn,Beでこのような拡散の問題を生じさせないためには、1017cm−3台の低濃度でこれらの不純物を導入する必要がある。しかし、実際のデバイス作製上は、ドーピングレベルを低く抑えれば素子抵抗が増加するなどの特性劣化が生じ、この方法のみでは現実的な解決策とはなり得ない。
【0010】
また、p型半導体層に、Cの導入によりp型の伝導型を発現するようになるInAlAsなどのAlを含んだ層を用いた場合には、この層が、例えばメサ構造に加工する場合など、素子作製プロセスにおいて露出するとその表面が酸化され、結晶性の劣化が生じ易い。これはその後のプロセスにおいても異常成長などの問題を引き起こすことがあり、素子の特性・信頼性の低下を招く。そのため、現状では、Alを含んだ層のみによってp型半導体層を形成することは極力控えられている。
【0011】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、ホールキャリア濃度を確保しつつ導入したp型不純物の拡散を抑制し、素子の特性・信頼性を向上させることのできる構造のp型半導体層を有する半導体素子を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記課題を解決するために、図1に例示するような構成のp型半導体層を有する半導体素子が提供される。本発明の半導体素子は、ホールキャリア濃度がp型半導体層全体のホールキャリア濃度よりも低くなる半導体層である低キャリア濃度層と、カーボンが導入された半導体層であるカーボンドープ層と、が積層された構造を有するp型半導体層を有することを特徴とする。
【0013】
このような半導体素子は、例えば図1に示すように、低キャリア濃度層11とカーボンドープ層12とが積層された構造のp型半導体層10を有している。ここで、p型半導体層10全体として例えば2×1018cm−3程度のホールキャリア濃度が必要な場合、低キャリア濃度層11のホールキャリア濃度は、p型半導体層全体のホールキャリア濃度よりも低くなるよう、例えば1×1017cm−3程度に低く抑えられる。そして、これによってp型半導体層10全体として不足するホールキャリアは、拡散定数が小さいCをそのホールキャリア濃度が例えば1×1019cm−3程度の高濃度となるように導入されたカーボンドープ層12によって補われる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の半導体素子が有するp型半導体層の構成例を示す図である。
【0015】
p型半導体層10は、InGaAsPなどの化合物半導体に、ホールキャリア濃度がp型半導体層10全体のホールキャリア濃度よりも低くなるようにp型不純物が導入された低キャリア濃度層11と、InGaAlAsなどの化合物半導体にCがp型不純物として導入されたカーボンドープ層12とが、順に積層された多層構造を有している。このp型半導体層10は、カーボンドープ層12が低キャリア濃度層11間に挟まれるようにして積層されているが、p型半導体層の上下両端は低キャリア濃度層であってもカーボンドープ層であっても構わない。
【0016】
なお、この図1では、p型半導体層10を構成する複数の低キャリア濃度層11およびカーボンドープ層12のうち、このp型半導体層10が他の層と接合される界面の付近に存在するものについて図示し、p型半導体層10内部の一部の領域についてはその図示を省略している。
【0017】
低キャリア濃度層11に導入されるp型不純物としては、従来広く用いられているZn,Beなどを用いることができる。Zn,Beなどは結晶内での拡散定数が比較的大きいため、低キャリア濃度層11は、これらのp型不純物を導入して得られるホールキャリア濃度が、1017cm−3台の低濃度となるようにそれぞれ形成されている。このように、低キャリア濃度層11のホールキャリア濃度を1017cm−3台程度に低く抑えることで、Znなどの拡散定数の比較的大きなp型不純物の結晶内での拡散が低減されるようになる。
【0018】
一方、カーボンドープ層12は、結晶内での拡散定数が小さいCを導入して得られ、そのホールキャリア濃度が1019cm−3台の高濃度となるようにそれぞれ形成されている。このカーボンドープ層12には、用いる化合物半導体として、前述したInGaAlAsのほか、InAlAsなど、一定条件下でCを高濃度に導入することのできるものが用いられる。
【0019】
これらの低キャリア濃度層11およびカーボンドープ層12に導入されるp型不純物は、各層内に一様に導入されていても、部分的あるいは周期的にその濃度分布に偏りをもたせた変調構造を形成するように導入されていてもよい。
【0020】
ここで、例えばp型半導体層10全体の正味のホールキャリア濃度を約2×1018cm−3に設定し、低キャリア濃度層11およびカーボンドープ層12の合計膜厚(p型半導体層10の膜厚)を約2μmに設定する。このとき、カーボンドープ層12のホールキャリア濃度を約1×1019cm−3とすれば、カーボンドープ層12はその膜厚の合計が400nm程度であればよいことになる。
【0021】
したがって、例えば、ホールキャリア濃度が約1×1019cm−3で膜厚が約5nmであるカーボンドープ層12の80層の各層が、ホールキャリア濃度が約1×1017cm−3で膜厚が約20nmである低キャリア濃度層11間に挟まれた構造とする。これにより、正味のホールキャリア濃度が約2×1018cm−3で、膜厚が約2μmのp型半導体層10を形成することができる。
【0022】
このように、結晶内で拡散し易いZnなどのp型不純物を低濃度で含む層と拡散し難いCを高濃度で含む層とを順に積層してp型半導体層10を形成する。これにより、p型半導体層10全体で正味必要とされる1018〜1019cm−3程度のホールキャリア濃度を確保することができるようになるとともに、Znなどのp型不純物の拡散が抑制される。したがって、従来、光通信用光デバイスで利用されるInGaAsPなどのInP系材料のMOVPE成長および素子作製プロセスにおいて、高濃度の不純物導入時に生じていたような不純物拡散の問題を回避することができるようになる。
【0023】
半導体素子のp型半導体層は、当然、その半導体素子の種類によって必要となるホールキャリア濃度や膜厚が異なる。そのため、それに応じて低キャリア濃度層およびカーボンドープ層のホールキャリア濃度や膜厚を設定する。
【0024】
図2はp型半導体層の他の構成例を示す図である。
p型半導体層20は、Znなどのp型不純物を導入して得られる低キャリア濃度層21と、Cを導入して得られるカーボンドープ層22とが積層された構造を有している。この図2には、p型半導体層20全体の正味の膜厚を約500nmに設定し、そのホールキャリア濃度を約1.5×1018cm−3に設定した場合の構成例を示している。
【0025】
ただし、図2では、p型半導体層20を構成する複数の低キャリア濃度層21およびカーボンドープ層22のうち、このp型半導体層20の他の層との接合界面となる面付近に存在するものについて図示し、p型半導体層20内部の一部の領域についてはその図示を省略している。
【0026】
このようなp型半導体層20では、例えば、ホールキャリア濃度が約1×1019cm−3で膜厚が約5nmであるカーボンドープ層22の15層の各層が、ホールキャリア濃度が約1×1017cm−3で膜厚が約27nmである低キャリア濃度層21間に挟まれた構造とする。これにより、正味のホールキャリア濃度が約1.5×1018cm−3で、膜厚が約500nmのp型半導体層20を形成することができる。
【0027】
また、図1および図2に例示したp型半導体層10,20においては、Znなどのp型不純物を導入して低キャリア濃度層11,21を形成している。ここで、本発明に係るp型半導体層においては、ホールキャリア濃度がp型半導体層全体のホールキャリア濃度よりも低くなる低キャリア濃度層として、p型不純物を導入しないアンドープ層を用いることも可能である。
【0028】
図3はアンドープ層を有するp型半導体層の構成例を示す図である。
p型半導体層30は、Znなどのp型不純物が導入されないアンドープ層31と、Cを導入して得られるカーボンドープ層32とが積層された構造を有している。この図3には、p型半導体層30全体の正味の膜厚を約2μmに設定し、そのホールキャリア濃度を約2×1018cm−3に設定した場合の構成例を示している。
【0029】
ただし、図3では、p型半導体層30を構成する複数のアンドープ層31およびカーボンドープ層32のうち、このp型半導体層30の他の層との接合界面となる面付近に存在するものについて図示し、p型半導体層30内部の一部の領域についてはその図示を省略している。
【0030】
このようなp型半導体層30では、例えば、ホールキャリア濃度が約1×1019cm−3で膜厚が約2.5nmであるカーボンドープ層32の160層の各層が、膜厚が約10nmであるアンドープ層31間に挟まれた構造とする。これにより、正味のホールキャリア濃度が約2×1018cm−3で、膜厚が約2μmのp型半導体層30を形成することができる。
【0031】
なお、以上に例示したような構造を有する半導体素子のp型半導体層を形成するに当たっては、p型半導体層を構成する各層の形成に用いる材料の組み合わせを考慮する。低キャリア濃度層(アンドープ層を含む。以下同じ。)とカーボンドープ層とをヘテロ接合する際に生じる両価電子帯のバンド不連続量により、p型半導体層内でのホールキャリアの拡散の程度が異なり、素子特性が変化するためである。
【0032】
図4はp型半導体層におけるエネルギーバンド構造の模式図である。
この図4には、本発明に係るp型半導体層においてカーボンドープ層が低キャリア濃度層間に挟まれた領域におけるエネルギーバンド構造を模式的に示している。
【0033】
通常、異種材料間のヘテロ接合では、各々の材料固有のバンドギャップエネルギから伝導帯および価電子帯のバンド不連続量△Ec,△Evが一意に決定される。したがって、各層の材料を適当に選択することで、低キャリア濃度層領域とカーボンドープ層領域との間のエネルギーレベル差、すなわち価電子帯のバンド不連続量△Evを小さくすることができる。ただし、図4では、価電子帯のバンド不連続量△Evがほぼゼロである状態を図示している。
【0034】
このように、価電子帯のバンド不連続量△Evを小さくすることにより、p型半導体層内におけるホールキャリアの拡散が、エネルギー障壁によって阻害されてしまうのを防止することができる。p型半導体層が形成される半導体素子の使用環境などを考慮すれば、価電子帯のバンド不連続量△Evが室温300Kでの熱エネルギーkT(k:ボルツマン定数,T:温度(K))である26meV以下となるような材料の組み合わせを選択することが好ましい。
【0035】
このような要件を満たす材料の組み合わせとしては、先に例示したような低キャリア濃度層に用いるInGaAsPおよびカーボンドープ層に用いるInGaAlAsなど、以下の表1に示すような組み合わせが可能である。
【0036】
【表1】
Figure 2004079644
【0037】
この表1において、左欄には組成比が示されており、各組成比の材料の組み合わせは、「低キャリア濃度層/カーボンドープ層」の順で記載されている。また、半導体レーザや光導波路などの光閉じ込め構造を有する半導体素子の作製においては、材料の屈折率が重要な物性定数となるため、これを右欄に併せて記載している。
【0038】
この表1に挙げた材料の組み合わせにおいては、それぞれ、価電子帯のバンド不連続量△Evを0〜1meV程度にすることが可能である。
また、p型半導体層の形成に当たっては、低キャリア濃度層間にそれぞれ周期的に多層配置するカーボンドープ層を、その周期が100nm以下程度となるよう、近接させることが好ましい。p型半導体層では、半導体素子の電界環境により、価電子帯のエネルギーレベルEvがカーボンドープ層領域で高くなり、低キャリア濃度層領域では低くなるようなエネルギーバンド構造の変形が生じ得る。このような場合、カーボンドープ層の周期が大きすぎると、半導体素子の動作時に、p型半導体層全体にホールキャリアが拡散せず、カーボンドープ層にホールキャリアが局在してしまうようになる。カーボンドープ層の周期を100nm以下程度にしておくことで、ホールキャリアの局在を防止することが可能になる。
【0039】
また、p型半導体層を構成するカーボンドープ層の化合物半導体には、その組成にAlが比較的高い割合で含まれていることが多い。しかし、p型半導体層においては、Alを含む層の使用は極力抑えることが望ましい。
【0040】
例えば、Alを多く含んだp型クラッド層を有する半導体レーザを作製する場合を想定する。この場合、半導体レーザを構成する各層の形成後、レーザとして動作させる領域を形成するため、エッチングによりストライプ状のメサ構造が形成される。その際、Alを多く含んだp型クラッド層がメサ構造の側面に露出すると、酸化やコンタミネーションによってその結晶性が劣化してしまう。さらに、引き続き行われるメサ構造の埋め込み成長の際には、異常成長の発生などを引き起こし、素子の特性・信頼性の低下を招くおそれがある。
【0041】
したがって、本発明に係るp型半導体層においては、Alを含むカーボンドープ層の使用は抑えた方が半導体素子の特性・信頼性向上の効果は大きくなる。そのため、このようなAlを含むカーボンドープ層がp型半導体層全体の中に占める膜厚は、p型半導体層全体の膜厚の約50%以下とすることが好ましい。
【0042】
以上説明したように、作製すべき半導体素子の種類や使用環境、バンド不連続性、用いる材料の組成などを考慮して、カーボンドープ層および低キャリア濃度層の各層のホールキャリア濃度、膜厚、層数を設定する。そして、本発明に係るp型半導体層を形成することにより、従来Znなどを高濃度に導入する際に生じていた不純物拡散によるプロファイルの劣化を低減することができ、特性・信頼性の高い半導体素子を作製することができるようになる。
【0043】
以下、本発明に係るp型半導体層の半導体素子への適用例について述べる。
このp型半導体層は、例えば、半導体フォトディテクタや半導体レーザなどの半導体光デバイスに好適に用いることができる。これらの半導体光デバイスには、通常、InP系の化合物半導体が用いられ、例えばp型半導体層の価電子帯のバンド不連続量が0meVに近い値となる表1に示したような材料を用いることができる。
【0044】
なお、1.55μmあるいは1.3μm波長帯で発光するInGaAsPのバルクの固相組成比と屈折率は、In0.58Ga0.42As0.900.10で約3.579,In0.717Ga0.283As0.6110.389で約3.388である。したがって、このような屈折率を示す化合物半導体でコア層を構成する場合には、このコア層の屈折率より小さな値を示す表1のような材料を用いて、p型クラッド層を形成することが可能である。
【0045】
図5は半導体フォトディテクタの構成例を示す図である。
半導体フォトディテクタ40は、高抵抗InP基板41上に、n型InP層42、n型InGaAs光吸収層43、p型クラッド層44およびp型InGaAsPコンタクト層45が順に積層された構造を有している。
【0046】
この半導体フォトディテクタ40のp型クラッド層44は、図1から図3に例示した構造と同様の構造とすることが可能であり、ここでは、p型クラッド層44全体の正味のホールキャリア濃度が約1.5×1018cm−3で、膜厚約1.5μmに形成されている。
【0047】
また、n型InP層42は、n型不純物による電子キャリア濃度が約2.0×1018cm−3で、膜厚約2.0μmに形成されている。n型InGaAs光吸収層43は、n型不純物による電子キャリア濃度が約2.0×1016cm−3で、膜厚約0.3μmに形成されている。p型InGaAsPコンタクト層45は、p型不純物によるホールキャリア濃度が約1.5×1018cm−3で、膜厚約0.05μmに形成されている。
【0048】
このような構成の半導体フォトディテクタ40を形成することにより、p型クラッド層44におけるホールキャリア濃度が確保されるとともに、その形成過程におけるプロファイルの劣化を低減することができる。したがって、高特性・高信頼性の半導体フォトディテクタ40を実現することができる。
【0049】
図6は半導体レーザの構成例を示す図である。
半導体レーザ50は、n型InP基板51上に、n型InPバッファ層52、第1のInGaAsP光閉じ込め層53、InGaAsP活性層54、第2のInGaAsP光閉じ込め層55およびp型クラッド層56が順に積層された構造を有している。
【0050】
この半導体レーザ50のp型クラッド層56は、図1から図3に例示した構造と同様の構造、すなわちカーボンドープ層と低キャリア濃度層との多層構造とする。p型クラッド層56は、ここでは、その全体の正味のホールキャリア濃度が約1.5×1018cm−3で、膜厚約0.5μmに形成されている。
【0051】
また、n型InPバッファ層52は、n型不純物による電子キャリア濃度が約1.5×1018cm−3で、膜厚約0.3μmに形成されている。第1,第2InGaAsP光閉じ込め層53,55は、アンドープで、膜厚約0.05μmに形成されている。InGaAsP活性層54は、例えば所定の発光波長となるようにバリア層と井戸層とを交互に積層した多重量子井戸構造で構成され、ここでは膜厚約0.1μmに形成されている。
【0052】
一例として、図6に示した半導体レーザ50の作製方法の概略について述べる。
n型InP基板51上への結晶成長は、アルシン(AsH)、ホスフィン(PH)、トリメチルインジウム(TMI)、トリエチルガリウム(TEG)およびトリメチルアルミニウム(TMA)を原料として用いたMOVPE法により行う。n型不純物の原料にはモノシラン(SiH)あるいはジシラン(Si)を用いる。また、p型クラッド層56の形成に用いるp型不純物としては、CおよびZnを用い、その原料にはそれぞれカーボンテトラブロマイド(CBr)およびジエチルジンク(DEZ)を用いる。
【0053】
p型クラッド層56を構成するカーボンドープ層以外の各層の成長は、成長温度450〜630℃程度の通常の温度範囲にて行う。カーボンドープ層の成長温度は350〜570℃程度とする。カーボンドープ層の成長温度が570℃を上回る場合には、p型不純物として用いるCBrのエッチング効果により、成長する結晶層のエッチングがさらに著しく発生し得る。また、成長温度が350℃を下回る場合には、原料となる有機金属ガスの分解が起こりにくくなるため結晶の成長効率が低下してしまうことが起こり得る。
【0054】
このような条件下での半導体レーザ50の作製は、まず、n型InP基板51上に電子キャリア濃度が約1.5×1018cm−3のn型InPバッファ層52を膜厚約0.3μmで形成する。そして、このn型InPバッファ層52上に、アンドープの第1のInGaAsP光閉じ込め層53を膜厚約0.05μmで形成した後、InGaAsP活性層54を形成する。
【0055】
InGaAsP活性層54は、バリア層と井戸層とを順に積層した多重量子井戸構造で構成し、ここではバリア層を7層、井戸層を6層配置し、InGaAsP活性層54全体の膜厚が約0.1μmになるように形成する。InGaAsP活性層54のバリア層は室温での発光波長が1.3μm程度のInGaAsPで形成し、井戸層は多重量子井戸構造全体の発光波長が1.55μmとなるInGaAsPで形成する。
【0056】
InGaAsP活性層54の形成後は、この上にアンドープの第2のInGaAsP光閉じ込め層55を形成する。これにより、InGaAsP活性層54が、アンドープの第1,第2のInGaAsP光閉じ込め層53,55で挟まれた構造の半導体レーザ50のコア層が形成される。
【0057】
最後に、第2のInGaAsP光閉じ込め層55上に、p型クラッド層56を形成する。p型クラッド層56は、例えば、図2に示した構造と同様に形成することができる。その場合、Znを一様に導入して得られたホールキャリア濃度が約1×1017cm−3のp型In0.973Ga0.027As0.0580.942で膜厚約27nmである低キャリア濃度層と、Cを導入して得られたホールキャリア濃度が約1×1019cm−3のp型In0.52Al0.48Asで膜厚約5nmであるカーボンドープ層とを順に積層し、p型クラッド層56を形成する。
【0058】
その後、図示しないが、実際にレーザとして動作させる領域を形成するため、エッチングによりストライプ状のメサ構造を形成し、さらに、そのメサ構造を埋め込み、所定の電極形成プロセスなどを経て、半導体レーザ50の基本構造を完成する。
【0059】
このような半導体レーザ50によれば、p型クラッド層56におけるホールキャリア濃度が確保されるとともに、その形成過程におけるプロファイルの劣化を低減することができ、高特性・高信頼性の半導体レーザ50を実現することができる。
【0060】
なお、ここでは、半導体フォトディテクタ40および半導体レーザ50を例に説明したが、このほか、本発明に係るp型半導体層は、光アンプ、光合成器/分波器、光導波路など、種々の半導体素子に適用することが可能である。
【0061】
(付記1) p型半導体層を有する半導体素子において、
ホールキャリア濃度が前記p型半導体層全体のホールキャリア濃度よりも低くなる半導体層である低キャリア濃度層と、カーボンが導入された半導体層であるカーボンドープ層と、が積層された構造を有するp型半導体層を有することを特徴とする半導体素子。
【0062】
(付記2) 前記低キャリア濃度層は、p型不純物が導入されない半導体層であるアンドープ層であることを特徴とする付記1記載の半導体素子。
(付記3) 前記低キャリア濃度層と前記カーボンドープ層との価電子帯のバンド不連続量が、0meVから26meVの範囲内であることを特徴とする付記1記載の半導体素子。
【0063】
(付記4) 前記カーボンドープ層は、前記カーボンドープ層の前記p型半導体層内における合計膜厚が前記p型半導体層の膜厚に対する約50%の膜厚よりも薄くなるように形成されることを特徴とする付記1記載の半導体素子。
【0064】
(付記5) 前記低キャリア濃度層は、前記低キャリア濃度層のホールキャリア濃度が1017cm−3台を超えないように形成されることを特徴とする付記1記載の半導体素子。
【0065】
(付記6) 前記低キャリア濃度層はInGaAsPを用いて形成され、前記カーボンドープ層はInGaAlAsを用いて形成されることを特徴とする付記1記載の半導体素子。
【0066】
(付記7) 前記低キャリア濃度層はInGaAsPを用いて形成され、前記カーボンドープ層はInAlAsを用いて形成されることを特徴とする付記1記載の半導体素子。
【0067】
(付記8) 前記低キャリア濃度層はInPを用いて形成され、前記カーボンドープ層はInAlAsを用いて形成されることを特徴とする付記1記載の半導体素子。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、半導体素子のp型半導体層を、ホールキャリア濃度がp型半導体層全体のホールキャリア濃度よりも低い低キャリア濃度層と、Cを導入したカーボンドープ層との積層構造にする。これにより、p型半導体層全体のホールキャリア濃度を確保することができるとともに、半導体素子中での不純物拡散によるプロファイルの劣化を低減することができ、素子特性および信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体素子が有するp型半導体層の構成例を示す図である。
【図2】p型半導体層の他の構成例を示す図である。
【図3】アンドープ層を有するp型半導体層の構成例を示す図である。
【図4】p型半導体層におけるエネルギーバンド構造の模式図である。
【図5】半導体フォトディテクタの構成例を示す図である。
【図6】半導体レーザの構成例を示す図である。
【符号の説明】
10,20,30 p型半導体層
11,21 低キャリア濃度層
12,22,32 カーボンドープ層
31 アンドープ層
40 半導体フォトディテクタ
41 高抵抗InP基板
42 n型InP層
43 n型InGaAs光吸収層
44 p型クラッド層
45 p型InGaAsPコンタクト層
50 半導体レーザ
51 n型InP基板
52 n型InPバッファ層
53 第1のInGaAsP光閉じ込め層
54 InGaAsP活性層
55 第2のInGaAsP光閉じ込め層
56 p型クラッド層

Claims (5)

  1. p型半導体層を有する半導体素子において、
    ホールキャリア濃度が前記p型半導体層全体のホールキャリア濃度よりも低くなる半導体層である低キャリア濃度層と、カーボンが導入された半導体層であるカーボンドープ層と、が積層された構造を有するp型半導体層を有することを特徴とする半導体素子。
  2. 前記低キャリア濃度層は、p型不純物が導入されない半導体層であるアンドープ層であることを特徴とする請求項1記載の半導体素子。
  3. 前記低キャリア濃度層と前記カーボンドープ層との価電子帯のバンド不連続量が、0meVから26meVの範囲内であることを特徴とする請求項1記載の半導体素子。
  4. 前記カーボンドープ層は、前記カーボンドープ層の前記p型半導体層内における合計膜厚が前記p型半導体層の膜厚に対する約50%の膜厚よりも薄くなるように形成されることを特徴とする請求項1記載の半導体素子。
  5. 前記低キャリア濃度層は、前記低キャリア濃度層のホールキャリア濃度が1017cm−3台を超えないように形成されることを特徴とする請求項1記載の半導体素子。
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