JP2004079264A - 光源管の電極構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】エミッション電流を増加させることができる光源管の電極構造を提供する。
【解決手段】ゲート構造体4は、メッシュ部4−1と周辺部4−2とから構成される。メッシュ部4−1は、複数の略六角形状の枠4−3とこの枠4−3内部に配設される複数のメッシュ4−4とから構成される。このメッシュ4−4は、カソード5側に突出した凸形状を有する。
【選択図】 図2
【解決手段】ゲート構造体4は、メッシュ部4−1と周辺部4−2とから構成される。メッシュ部4−1は、複数の略六角形状の枠4−3とこの枠4−3内部に配設される複数のメッシュ4−4とから構成される。このメッシュ4−4は、カソード5側に突出した凸形状を有する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源管に関し、特に光源管における電極構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
蛍光表示管やFED(Field Emission Display)などに代表される光源管は、真空外囲器内に、アノード、カソード、ゲートを備えた三極構造を有し、カソードに対してメッシュ状に構成されたゲートが正電位となるように電圧を印加することにより、カソードから放出された電子をアノードに向けて加速し、例えばアノードに付着した蛍光体に衝突させることにより発光を得るものである。近年では、このような光源管において、金属基板上にCNT(Carbon Nano Tube)やカーボンナノファイバ等の電子放出材料を配置した電界放出型のカソードを使用することが提案されている。
【0003】
上述したような光源管の発光輝度は、カソードから放出される電子の量、つまりカソードを流れる電流(以下、エミッション電流という)の量に関係し、エミッション電流が多いほど光源管の発光輝度が向上する。電界放出型のカソードにおいては一般に、エミッション電流は、カソードの面積が大きくなるほど増加する。このため、従来では、カソードの面積を大きくすることで光源管の発光輝度の向上を図っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電界放出型のカソードを用いた場合には、ゲートにカソードに対して正電位を印加してカソード近傍の電界強度を強くする必要があるため、電子放出材料が配置されたカソードの全面から電子を引き出すには、カソードに対向するゲートをカソードとほぼ同じ面積にしなければならない。また、ゲートは、カソードから引き出された電子を通過させるため、薄いほうが好ましいが、その面積が大きくなるほど、たわみやすくなる。したがって、例えば円曲面の凹凸など、わずかなギャップの違いによる局所的な電界集中が起こると、一部のCNTのみに強電界がかかり、その他のCNTには弱い電界しか印加されない。すると、電界が集中する一ヶ所の限られたCNTのみからしか電子が放出されず、カソードの面積を大きくしても、エミッション電流を増加させることができなくなってしまう。
そこで、本発明は、上述したような課題を解決するためになされたものであり、エミッション電流を増加させることができる光源管の電極構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述したような課題を解決するために本発明にかかる光源管の電極構造は、真空外囲器内に少なくとも、蛍光材料が付着したアノードと、このアノードに対向して略平行に配置された導体基板表面に電子放出材料を配置したカソードと、アノードとカソードとの間にアノードとカソードより離間して配設されたゲートとを有する光源管の電極構造において、ゲートは、導電性材料からなるメッシュを備え、このメッシュに形成されたカソードの方向に突出した複数の突出部を有することを特徴とする。この光源管の電極構造によれば、ゲートとカソードとの距離は、突出部とこの突出部に対向するカソード上の部分が最も短くなる。
【0006】
本発明にかかる他の形態の光源管の電極構造は、真空外囲器内に少なくとも、蛍光材料が付着したアノードと、このアノードに対向して略平行に配置された導体基板表面に電子放出材料を配置したカソードと、アノードとカソードとの間にアノードとカソードより離間して配設されたゲートとを有する光源管の電極構造において、ゲートは、複数の開口部を有する枠と、この枠上に配設された導電性材料からなるメッシュとを備え、このメッシュに形成され、枠の開口部よりカソードの方向に突出した突出部を有するようにしてもよい。この光源管の電極構造によれば、ゲートとカソードとの距離は、メッシュの突出した部分と、この部分に対向するカソード上の部分が最も短くなる。
また、枠に設けられた開口部は、平面視六角形状を有するようにしてもよい。このような構成にすることにより、開口部の面積を広くとることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本実施の形態にかかる光源管の断面図、図2(a)は、ゲートの正面図、図2(b)は、図2(a)におけるII−II線断面図である。
【0008】
全体を符号1で示す光源管は、円筒形のガラス管の一端に透光性を有するフェースガラスが低融点フリットガラスで接着固定され、他端に複数のリードピンが挿通されるとともに排気管が一体的に形成されたステムガラスが溶着されて形成された真空外囲器2を有し、この真空外囲器2内は10−3〜10−4Pa程度の圧力に真空排気されている。
【0009】
真空外囲器2内部には、フェースガラスが設けられた端部側にフェースガラスに対向する面に蛍光体(図示せず)が被着したアノード3が配置され、このアノード3に対向して略箱状のゲート構造体4がアノード3の方向にメッシュ部4−1を向けて配設され、このゲート構造体4の中にカソード5が絶縁体6を介して配設されている。そして、アノード3、ゲート構造体4およびカソード5のそれぞれには、真空外囲器2の外に引き出されたリードピンを介して電圧が印加される。
【0010】
金属基板からなるアノード3は、ゲート構造体4およびカソード5のそれぞれに対して略平行に設置される。
【0011】
ゲート構造体4は、メッシュ部4−1とこのメッシュ部4−1をカソードより所定の間隔だけ離間させて指示する周辺部4−2とから構成される。メッシュ部4−1は、図2(a)に示すように、平面視六角形状の開口が複数形成された枠4−3とこの枠4−3の各開口部内に配設されるメッシュ4−4とから構成される。このメッシュ4−4は、図2(b)に示すように、カソード5側に突出した凸形状を有する。
このようなゲート構造体4は、エッチングにより略六角形状の開口が複数形成された枠4−3と、エッチングによりメッシュのパターンが形成された金属基板からなるメッシュ4−4とを貼り合わせたものである。枠4−3の複数の開口部から露出しているメッシュ4−4には、複数の突起を有する型でプレスすることにより、複数の突出部が形成されている。このメッシュ4−4に形成された突出部は、枠4−3の開口部と同一のピッチで形成されており、これらの2つの部材を貼り合わせると、メッシュ4−4の突出部が枠4−3から露出する。
なお、本実施の形態において、枠4−3の間隔(六角形の略平行に対向する辺の間隔)は、0.5〜5mm、メッシュ4−4の目のピッチは、0.05〜0.5mmが望ましい。
また、枠4−3の材質は、耐熱性があり、強固なものが望ましい。例えば、ステンレス等の導体の他、セラミック等の非導電体により形成することができるが、メッシュ4−4の材料には、その熱膨張率がほぼ等しいことが望ましい。
【0012】
金属基板からなるカソード5は、ゲート構造体4に対向する表面に電子放出材料としてCNTが配置されている。また、カソード5のゲート構造体4の枠4−3に対向する部分には、シールド5−1が配設されている。なお、CNTは、例えばCVD法などによりカソード5上に配置される。
【0013】
次に、ゲート構造体4を図2に示すような形状にした理由について説明する。
発明者らは、カソードの面積とエミッション電流の関係について、光源管ランプ(ノリタケ伊勢電子製、NS027A、フェースガラス直径約27mm、全長約81.6mm、アノード電圧:10kV、アノード電流(エミッション電流):250μA、ゲート電圧:2kV以下、ゲート電流:定電流駆動)を用いて実験を行った。電子放出材料としてCNTが配置されたゲートの面積の1/500のカソード(直径0.8mm)を光源管ランプに配設し、定格の駆動電圧をかけたところ、エミッション電流として100μA以上の電流を安定に観測することができた。0.8mmというカソードの直径は、ゲートとカソードとの間隔がほぼ一定である、つまり局所的な電界集中が発生しないと考えることができるほど、非常に小さい値である。したがって、この場合、カソードは、その全面から電子をゲートに向けて放出していると考えることができる。
これにより、もし、全てのCNTがエミッションに寄与するならば、ゲートと同じ面積のカソードを用いた場合、概算すると最低でも50mAのエミッション電流を得る能力があると考えられる。しかし、現実には、ゲートのたわみ等の問題により、カソードに局所的な電界集中が発生してしまい、理論値通りのエミッション電流を得ることができない。
【0014】
そこで、発明者らは、面積の小さなカソード、つまり小さな部分(スポット)でも電界集中が起こるなら100μAのエミッション電流を得ることができるのだから、その小さなスポットを複数つくるならエミッション電流を増大させることができると考え、ゲート構造体4の形状を、図2に示すような、カソード5側に突出した凸形状のメッシュ4−4が複数設けられるように形成した。本実施の形態にかかる光源管1は、ゲート構造体4に、カソード5側に突出したメッシュ4−4を複数設けることにより、ゲート構造体4とカソード5との距離が短い部分を複数形成し、カソード5上に電界強度が他の部分より強いスポットを複数つくり、エミッション電流の増大を図った。
【0015】
次に、本実施の形態にかかる光源管1の動作について説明する。
まず、カソード5に対してゲート構造体4が正電位となるように電圧を印加すると、カソード5近傍の電界強度が強くなる。この際、カソード5のメッシュ4−4の頂上部付近に対向する部分は、ゲート構造体4との距離が最も短いので、カソード5の他の部分より電界強度が強くなる。このため、カソード5の複数のメッシュ4−4の頂上部付近に対向する部分に設置されているCNTから電子が放出される。複数のメッシュ4−4の頂上部付近に対向する部分のカソード5から放出された電子は、ゲート構造体4−カソード5間の電界により加速され、メッシュ部4−1を通過してアノード3に向かい、このアノード3によってさらに加速され、真空外囲器2の前面内側に被着した蛍光体に衝突する。これにより光源管1は発光する。
【0016】
上述したように、本実施の形態によれば、ゲート構造体4がカソード5の方向に突出した複数のメッシュ4−4を有することにより、カソード5近傍において電界強度が強くなるスポットを複数つくることができるので、カソード5から引き出される電子の量が増大し、結果としてエミッション電流を増大させることができる。
【0017】
本実施の形態によれば、耐熱性のある強固な枠4−3を設けることによりゲート構造体4の熱変形の問題を解消することができる。
これにより、本実施の形態にかかる光源管1には、例えば50μm以下の薄いメッシュ4−4を利用することができるので、分配率が向上し、低消費電力化を実現することができる。
また、熱変形の問題が解消されたため、ゲート構造体4−カソード5間のギャップを精密に制御することも可能となる。これにより、本実施の形態にかかる光源管1は、駆動電圧のばらつきを小さくすること、および駆動電圧の低下を実現することもできる。例えば、上述した光源管ランプ(ノリタケ伊勢電子製、NS027A)において、従来はゲートに2kV以下の駆動電圧をかけて得たのと同等の輝度が、本実施の形態(メッシュ部4−1の面積80mm2、枠4−3の間隔0.5mm、メッシュ4−4の目のピッチ0.05mm)によれば500V以下の駆動電圧で得ることができた。
さらに、本実施の形態によれば、枠4−3が六角形状を有するので、ゲート構造体4の強度の保ち、かつ開口面積を大きくすることができるので、分配率が向上する。
【0018】
なお、本実施の形態において、メッシュ4−4に形成されるパターンは、図2に示すような格子状に限らず、例えば図3に示すような六角形状など適宜自由に変形、変更することができる。
【0019】
また、本実施の形態において、カソード5にシールド5−1が設けられているが、このシールド5−1を設ける替わりに、カソード5上に配置するCNTをCVD法によってメッシュ4−4に対向する部分に選択成長させ、枠4−3に対向する部分にCNTを配置しないようにしてもよい。
さらに、本実施の形態において、カソード5上に配置される電子放出材料にCNTが用いられているが、電子放出材料としてはCNTに限定されず、例えばカーボンナノファイバやDLC(Diamond Like Carbon)など電界放出型の各種電子放出材料を用いることができる。
【0020】
また、本実施の形態において、ゲート構造体4に設けられている枠4−3は、必要に応じて設けなくてもよい。
さらに、本実施の形態において、メッシュ4−4は、図2(b)に示されるように、枠4−3のアノード3側から枠4−3と貼り合わされているが、枠4−3のカソード5側から枠4−3と貼り合わせるようにしてもよい。
また、本実施の形態において、ゲート構造体4は、枠4−3とメッシュ4−4とを貼り合わせた後に、これらの部材を複数の突起を有する型でプレスすることにより、枠4−3の開口部から露出しているメッシュ4−4に突出部を形成するようにしてもよい。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ゲートにカソードの方向に突出したメッシュを設けることにより、カソード上に電界強度が強くなる部分を複数つくり、カソードから引き出される電子の量を増大させることにより、エミッション電流を増大させることができる。
また、本発明によれば、枠を設けることにより、ゲートの変形を防ぐことができるので薄いメッシュの利用および精密なギャップ制御が可能となる。これにより、分配率の向上による低消費電力化、駆動電圧のばらつきの低下および駆動電圧の低下を実現することができる。
【0022】
さらに、本実施の形態によれば、枠が六角形状を有するので、ゲートの強度の保ち、かつ開口面積を大きくすることができるので、分配率が向上し、低消費電力化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態にかかる光源管の断面図である。
【図2】(a)ゲートの正面図、(b)図2(a)におけるII−II線断面図である。
【図3】ゲートの変形例である。
【符号の説明】
1…光源管、2…真空外囲器、3…アノード、4…ゲート構造体、4−1…メッシュ部、4−2…周辺部、4−3…枠、4−4…メッシュ、5…カソード、6…絶縁体。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源管に関し、特に光源管における電極構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
蛍光表示管やFED(Field Emission Display)などに代表される光源管は、真空外囲器内に、アノード、カソード、ゲートを備えた三極構造を有し、カソードに対してメッシュ状に構成されたゲートが正電位となるように電圧を印加することにより、カソードから放出された電子をアノードに向けて加速し、例えばアノードに付着した蛍光体に衝突させることにより発光を得るものである。近年では、このような光源管において、金属基板上にCNT(Carbon Nano Tube)やカーボンナノファイバ等の電子放出材料を配置した電界放出型のカソードを使用することが提案されている。
【0003】
上述したような光源管の発光輝度は、カソードから放出される電子の量、つまりカソードを流れる電流(以下、エミッション電流という)の量に関係し、エミッション電流が多いほど光源管の発光輝度が向上する。電界放出型のカソードにおいては一般に、エミッション電流は、カソードの面積が大きくなるほど増加する。このため、従来では、カソードの面積を大きくすることで光源管の発光輝度の向上を図っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電界放出型のカソードを用いた場合には、ゲートにカソードに対して正電位を印加してカソード近傍の電界強度を強くする必要があるため、電子放出材料が配置されたカソードの全面から電子を引き出すには、カソードに対向するゲートをカソードとほぼ同じ面積にしなければならない。また、ゲートは、カソードから引き出された電子を通過させるため、薄いほうが好ましいが、その面積が大きくなるほど、たわみやすくなる。したがって、例えば円曲面の凹凸など、わずかなギャップの違いによる局所的な電界集中が起こると、一部のCNTのみに強電界がかかり、その他のCNTには弱い電界しか印加されない。すると、電界が集中する一ヶ所の限られたCNTのみからしか電子が放出されず、カソードの面積を大きくしても、エミッション電流を増加させることができなくなってしまう。
そこで、本発明は、上述したような課題を解決するためになされたものであり、エミッション電流を増加させることができる光源管の電極構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述したような課題を解決するために本発明にかかる光源管の電極構造は、真空外囲器内に少なくとも、蛍光材料が付着したアノードと、このアノードに対向して略平行に配置された導体基板表面に電子放出材料を配置したカソードと、アノードとカソードとの間にアノードとカソードより離間して配設されたゲートとを有する光源管の電極構造において、ゲートは、導電性材料からなるメッシュを備え、このメッシュに形成されたカソードの方向に突出した複数の突出部を有することを特徴とする。この光源管の電極構造によれば、ゲートとカソードとの距離は、突出部とこの突出部に対向するカソード上の部分が最も短くなる。
【0006】
本発明にかかる他の形態の光源管の電極構造は、真空外囲器内に少なくとも、蛍光材料が付着したアノードと、このアノードに対向して略平行に配置された導体基板表面に電子放出材料を配置したカソードと、アノードとカソードとの間にアノードとカソードより離間して配設されたゲートとを有する光源管の電極構造において、ゲートは、複数の開口部を有する枠と、この枠上に配設された導電性材料からなるメッシュとを備え、このメッシュに形成され、枠の開口部よりカソードの方向に突出した突出部を有するようにしてもよい。この光源管の電極構造によれば、ゲートとカソードとの距離は、メッシュの突出した部分と、この部分に対向するカソード上の部分が最も短くなる。
また、枠に設けられた開口部は、平面視六角形状を有するようにしてもよい。このような構成にすることにより、開口部の面積を広くとることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本実施の形態にかかる光源管の断面図、図2(a)は、ゲートの正面図、図2(b)は、図2(a)におけるII−II線断面図である。
【0008】
全体を符号1で示す光源管は、円筒形のガラス管の一端に透光性を有するフェースガラスが低融点フリットガラスで接着固定され、他端に複数のリードピンが挿通されるとともに排気管が一体的に形成されたステムガラスが溶着されて形成された真空外囲器2を有し、この真空外囲器2内は10−3〜10−4Pa程度の圧力に真空排気されている。
【0009】
真空外囲器2内部には、フェースガラスが設けられた端部側にフェースガラスに対向する面に蛍光体(図示せず)が被着したアノード3が配置され、このアノード3に対向して略箱状のゲート構造体4がアノード3の方向にメッシュ部4−1を向けて配設され、このゲート構造体4の中にカソード5が絶縁体6を介して配設されている。そして、アノード3、ゲート構造体4およびカソード5のそれぞれには、真空外囲器2の外に引き出されたリードピンを介して電圧が印加される。
【0010】
金属基板からなるアノード3は、ゲート構造体4およびカソード5のそれぞれに対して略平行に設置される。
【0011】
ゲート構造体4は、メッシュ部4−1とこのメッシュ部4−1をカソードより所定の間隔だけ離間させて指示する周辺部4−2とから構成される。メッシュ部4−1は、図2(a)に示すように、平面視六角形状の開口が複数形成された枠4−3とこの枠4−3の各開口部内に配設されるメッシュ4−4とから構成される。このメッシュ4−4は、図2(b)に示すように、カソード5側に突出した凸形状を有する。
このようなゲート構造体4は、エッチングにより略六角形状の開口が複数形成された枠4−3と、エッチングによりメッシュのパターンが形成された金属基板からなるメッシュ4−4とを貼り合わせたものである。枠4−3の複数の開口部から露出しているメッシュ4−4には、複数の突起を有する型でプレスすることにより、複数の突出部が形成されている。このメッシュ4−4に形成された突出部は、枠4−3の開口部と同一のピッチで形成されており、これらの2つの部材を貼り合わせると、メッシュ4−4の突出部が枠4−3から露出する。
なお、本実施の形態において、枠4−3の間隔(六角形の略平行に対向する辺の間隔)は、0.5〜5mm、メッシュ4−4の目のピッチは、0.05〜0.5mmが望ましい。
また、枠4−3の材質は、耐熱性があり、強固なものが望ましい。例えば、ステンレス等の導体の他、セラミック等の非導電体により形成することができるが、メッシュ4−4の材料には、その熱膨張率がほぼ等しいことが望ましい。
【0012】
金属基板からなるカソード5は、ゲート構造体4に対向する表面に電子放出材料としてCNTが配置されている。また、カソード5のゲート構造体4の枠4−3に対向する部分には、シールド5−1が配設されている。なお、CNTは、例えばCVD法などによりカソード5上に配置される。
【0013】
次に、ゲート構造体4を図2に示すような形状にした理由について説明する。
発明者らは、カソードの面積とエミッション電流の関係について、光源管ランプ(ノリタケ伊勢電子製、NS027A、フェースガラス直径約27mm、全長約81.6mm、アノード電圧:10kV、アノード電流(エミッション電流):250μA、ゲート電圧:2kV以下、ゲート電流:定電流駆動)を用いて実験を行った。電子放出材料としてCNTが配置されたゲートの面積の1/500のカソード(直径0.8mm)を光源管ランプに配設し、定格の駆動電圧をかけたところ、エミッション電流として100μA以上の電流を安定に観測することができた。0.8mmというカソードの直径は、ゲートとカソードとの間隔がほぼ一定である、つまり局所的な電界集中が発生しないと考えることができるほど、非常に小さい値である。したがって、この場合、カソードは、その全面から電子をゲートに向けて放出していると考えることができる。
これにより、もし、全てのCNTがエミッションに寄与するならば、ゲートと同じ面積のカソードを用いた場合、概算すると最低でも50mAのエミッション電流を得る能力があると考えられる。しかし、現実には、ゲートのたわみ等の問題により、カソードに局所的な電界集中が発生してしまい、理論値通りのエミッション電流を得ることができない。
【0014】
そこで、発明者らは、面積の小さなカソード、つまり小さな部分(スポット)でも電界集中が起こるなら100μAのエミッション電流を得ることができるのだから、その小さなスポットを複数つくるならエミッション電流を増大させることができると考え、ゲート構造体4の形状を、図2に示すような、カソード5側に突出した凸形状のメッシュ4−4が複数設けられるように形成した。本実施の形態にかかる光源管1は、ゲート構造体4に、カソード5側に突出したメッシュ4−4を複数設けることにより、ゲート構造体4とカソード5との距離が短い部分を複数形成し、カソード5上に電界強度が他の部分より強いスポットを複数つくり、エミッション電流の増大を図った。
【0015】
次に、本実施の形態にかかる光源管1の動作について説明する。
まず、カソード5に対してゲート構造体4が正電位となるように電圧を印加すると、カソード5近傍の電界強度が強くなる。この際、カソード5のメッシュ4−4の頂上部付近に対向する部分は、ゲート構造体4との距離が最も短いので、カソード5の他の部分より電界強度が強くなる。このため、カソード5の複数のメッシュ4−4の頂上部付近に対向する部分に設置されているCNTから電子が放出される。複数のメッシュ4−4の頂上部付近に対向する部分のカソード5から放出された電子は、ゲート構造体4−カソード5間の電界により加速され、メッシュ部4−1を通過してアノード3に向かい、このアノード3によってさらに加速され、真空外囲器2の前面内側に被着した蛍光体に衝突する。これにより光源管1は発光する。
【0016】
上述したように、本実施の形態によれば、ゲート構造体4がカソード5の方向に突出した複数のメッシュ4−4を有することにより、カソード5近傍において電界強度が強くなるスポットを複数つくることができるので、カソード5から引き出される電子の量が増大し、結果としてエミッション電流を増大させることができる。
【0017】
本実施の形態によれば、耐熱性のある強固な枠4−3を設けることによりゲート構造体4の熱変形の問題を解消することができる。
これにより、本実施の形態にかかる光源管1には、例えば50μm以下の薄いメッシュ4−4を利用することができるので、分配率が向上し、低消費電力化を実現することができる。
また、熱変形の問題が解消されたため、ゲート構造体4−カソード5間のギャップを精密に制御することも可能となる。これにより、本実施の形態にかかる光源管1は、駆動電圧のばらつきを小さくすること、および駆動電圧の低下を実現することもできる。例えば、上述した光源管ランプ(ノリタケ伊勢電子製、NS027A)において、従来はゲートに2kV以下の駆動電圧をかけて得たのと同等の輝度が、本実施の形態(メッシュ部4−1の面積80mm2、枠4−3の間隔0.5mm、メッシュ4−4の目のピッチ0.05mm)によれば500V以下の駆動電圧で得ることができた。
さらに、本実施の形態によれば、枠4−3が六角形状を有するので、ゲート構造体4の強度の保ち、かつ開口面積を大きくすることができるので、分配率が向上する。
【0018】
なお、本実施の形態において、メッシュ4−4に形成されるパターンは、図2に示すような格子状に限らず、例えば図3に示すような六角形状など適宜自由に変形、変更することができる。
【0019】
また、本実施の形態において、カソード5にシールド5−1が設けられているが、このシールド5−1を設ける替わりに、カソード5上に配置するCNTをCVD法によってメッシュ4−4に対向する部分に選択成長させ、枠4−3に対向する部分にCNTを配置しないようにしてもよい。
さらに、本実施の形態において、カソード5上に配置される電子放出材料にCNTが用いられているが、電子放出材料としてはCNTに限定されず、例えばカーボンナノファイバやDLC(Diamond Like Carbon)など電界放出型の各種電子放出材料を用いることができる。
【0020】
また、本実施の形態において、ゲート構造体4に設けられている枠4−3は、必要に応じて設けなくてもよい。
さらに、本実施の形態において、メッシュ4−4は、図2(b)に示されるように、枠4−3のアノード3側から枠4−3と貼り合わされているが、枠4−3のカソード5側から枠4−3と貼り合わせるようにしてもよい。
また、本実施の形態において、ゲート構造体4は、枠4−3とメッシュ4−4とを貼り合わせた後に、これらの部材を複数の突起を有する型でプレスすることにより、枠4−3の開口部から露出しているメッシュ4−4に突出部を形成するようにしてもよい。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ゲートにカソードの方向に突出したメッシュを設けることにより、カソード上に電界強度が強くなる部分を複数つくり、カソードから引き出される電子の量を増大させることにより、エミッション電流を増大させることができる。
また、本発明によれば、枠を設けることにより、ゲートの変形を防ぐことができるので薄いメッシュの利用および精密なギャップ制御が可能となる。これにより、分配率の向上による低消費電力化、駆動電圧のばらつきの低下および駆動電圧の低下を実現することができる。
【0022】
さらに、本実施の形態によれば、枠が六角形状を有するので、ゲートの強度の保ち、かつ開口面積を大きくすることができるので、分配率が向上し、低消費電力化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態にかかる光源管の断面図である。
【図2】(a)ゲートの正面図、(b)図2(a)におけるII−II線断面図である。
【図3】ゲートの変形例である。
【符号の説明】
1…光源管、2…真空外囲器、3…アノード、4…ゲート構造体、4−1…メッシュ部、4−2…周辺部、4−3…枠、4−4…メッシュ、5…カソード、6…絶縁体。
Claims (3)
- 真空外囲器内に少なくとも、蛍光材料が付着したアノードと、
このアノードに対向して略平行に配置された導体基板表面に電子放出材料を配置したカソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に前記アノードと前記カソードより離間して配設されたゲートとを有する光源管の電極構造において、
前記ゲートは、導電性材料からなるメッシュを備え、
このメッシュに形成された前記カソードの方向に突出した複数の突出部を有することを特徴とする光源管の電極構造。 - 真空外囲器内に少なくとも、蛍光材料が付着したアノードと、
このアノードに対向して略平行に配置された導体基板表面に電子放出材料を配置したカソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に前記アノードと前記カソードより離間して配設されたゲートとを有する光源管の電極構造において、
前記ゲートは、複数の開口部を有する枠と、
この枠上に配設された導電性材料からなるメッシュとを備え、このメッシュに形成され、前記枠の開口部より前記カソードの方向に突出した突出部を有することを特徴とする光源管の電極構造。 - 請求項2記載の光源管の電極構造において、
前記開口部は、平面視六角形状を有すること特徴とする光源管の電極構造。
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WO2006109621A1 (ja) * | 2005-04-05 | 2006-10-19 | Fuji Jukogyo Kabushiki Kaisha | 発光装置 |
JP2010225318A (ja) * | 2009-03-19 | 2010-10-07 | Fuji Heavy Ind Ltd | 発光装置 |
-
2002
- 2002-08-13 JP JP2002235565A patent/JP2004079264A/ja active Pending
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