JP2004079039A - 復号方法及び復号装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】バーストエラーの原因となる低い周波数のノイズがある場合にも、正しく復号できる復号方法及び復号装置を提供する。
【解決手段】データ列を構成するランの境界ごとにサンプリングした再生信号のレベルの変動に着目し、上記レベルの変動が最も少なくなるようなデータ列を、元のデータ列と推定して復号を行う。この結果、バーストエラーの原因となる低い周波数のノイズが付加されている場合にも高い精度のデータ判定を実現することが可能になる。
【選択図】 図2
【解決手段】データ列を構成するランの境界ごとにサンプリングした再生信号のレベルの変動に着目し、上記レベルの変動が最も少なくなるようなデータ列を、元のデータ列と推定して復号を行う。この結果、バーストエラーの原因となる低い周波数のノイズが付加されている場合にも高い精度のデータ判定を実現することが可能になる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体から再生した再生信号、または伝送媒体によって取得した再生信号から元のデータを復号する方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、各種記録媒体を用いたデータの記録再生技術で利用される再生装置には、その記録媒体に記録した信号を再生信号として読み取るピックアップ装置や、このピックアップ装置で読み取った再生信号から元のデータを復号する復号装置等を有して構成されている。
【0003】
従来の記録再生技術として、いわゆるパーシャルレスポンス最尤復号(PRML)と呼ばれる復号法に基づいて、再生信号からデータを復号するように構成されたものが知られている。
このパーシャルレスポンス最尤復号法とは、記録したバイナリデータ列を所定のルールで変換して再生した再生信号のサンプル列を生成することに相当するパーシャルレスポンスなる技術と、再生信号のサンプル列から元のデータ列を復号する最尤復号技術とを融合した符号復号化技術である。
【0004】
なお、この場合のパーシャルレスポンスとは、記録したデータ列を線形の畳み込み演算によって、複数の所定のレベルをとるサンプル列に変換した信号を再生信号として生成することに相当する。
また、最尤復号とは、伝送用のデータ列あるいはデータ記録用のデータ列として考えられる全てのデータ列を前記パーシャルレスポンスにおける線形畳み込み演算に基づいて多値レベルで表されるサンプル列に変換して再生信号の予測信号を生成し、実際に検出した再生信号に最も近い予測信号を選択して出力する復号方法のことをいう。
【0005】
ここで、記録媒体に記録したデータ列をd(n)とし、再生信号をサンプリングして得られたサンプル列をr(n)とする。なお、nはデータの番号を表しているものとする。
従来のパーシャルレスポンスの一例としてターゲットレスポンスをPR(aba)とした例について考える。データ列d(n)と、サンプル列r(n)の間の関係は、ノイズや歪み等がない理想的な状態では、
r(n)=ad(n−1)+bd(n)+ad(n+1)
のように表すことができる。
【0006】
一方、最尤復号では、記録したデータ列として考えられる全てのデータ列の中から最も尤度の大きいデータ列を選択する。ここでは、考えられるデータ列をd’(n)と表すものとする。また、これらのデータ列を再生した場合に得られると予測される再生信号の予測信号のサンプル列をr’(n)とすると、このサンプル列もPR(aba)のルールに従って生成されるので、
r’(n)=ad’(n−1)+bd’(n)+ad’(n+1)
と表すことができる。
【0007】
再生信号の予測信号のサンプルと、実際の再生信号のサンプルとの間のメトリックは、
|r(n)−r’(n)|
あるいは、
|r(n)−r’(n)|2
で定義される。また、予測信号全体と再生信号全体の間のメトリックは、上記メトリックを全てのサンプルにわたって積算したメトリック、
Σ|r(n)−r’(n)|
あるいは、
Σ|r(n)−r’(n)|2
で定義される。このように求められた各予測信号と再生信号の間のメトリックは、各予測信号の元となったデータ列の尤らしさ、すなわち、尤度に対して単調減少の関係にある。したがって、上記によって求められた距離が小さければ小さいほど、元の記録したデータ列に近いと考えられる。
【0008】
再生信号にノイズや歪みがない理想的な場合、記録したデータ列と同じデータ列で予測信号を生成すれば、予測信号と再生信号の間の距離は必ず0になる。一方、記録したデータ列とは異なるデータ列で予測信号を生成すれば、前述の予測信号と再生信号との間の距離は必ず正の値となる。従って、予測信号と再生信号の距離が0になるデータ列が、記録したデータ列であると推定出来る。
【0009】
一方、再生信号にノイズがある場合は、記録したデータ列と同じデータ列で生成した予測信号は、再生信号との間の距離が0になるとは限らない。しかし、ノイズが十分小さいならば記録したデータ列と異なるデータ列で生成した予測信号と再生信号の間の距離より小さい値になる。したがって、予測信号と再生信号の距離が最も小さくなるようなデータ列が記録したデータ列であると推定できる。
【0010】
以上のように、パーシャルレスポンス最尤復号とは、予測信号と再生信号を比較して、実際の再生信号に最も近い予測信号を選択して復号することにより、記録したデータ列を推定する方法である。このため、実際に得られた再生信号がノイズを含んでいても、最も尤度の大きい予測信号を求めて、元のデータ列を推定できる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上のようなパーシャルレスポンス最尤復号方法が効果を発揮するためには、生成される予測信号の振幅レベルが実際の再生信号の振幅レベルと一致することが必要である。 したがって、再生信号の振幅レベルが変動したり、また、アシンメトリなどでゆがんだりすると、その効果は減少する。
【0012】
図11は、チャネルビットの境界でサンプリングした再生信号のサンプル列の一例を示す説明図である。上段に記録したデータ列を、下段にパーシャルレスポンスPRを(1221)に設定して生成した再生信号のサンプル列を示した。
サンプル列の生成する際、元のデータ列にメディアノイズを付加し、さらに、パーシャルレスポンス出力として得られたサンプル列に、サーボ等の取れ残りで生じるだろう低い周波数のノイズを、ここでは40クロックを1周期とする正弦波ノイズとして付加した。図11は、上記の40クロックを1周期とする正弦波ノイズが極大となっている区間におけるサンプル列を表している。
【0013】
図12は、図11の再生信号のサンプル列を太線L1で示したスライスレベルによって2値化した様子を示す説明図である。通常、記録再生技術のスライスレベルは、再生信号をスライスレベルで二値化して得た過去のデータ列を低周波フィルタリングした際の直流成分が最小となるように制御されている。しかしながら、上記フィルタリングのカットオフ周波数より高い周波数のノイズが付加される場合、これらのノイズは取れ残りエラーとして再生信号中に残留する。また、図12の下段に、二値化したデータ列とエラーを併記した。ここでは、再生信号とスライスレベルが大幅にずれているため、二値化したデータ列にはバーストエラーが6チャネルビットにわたって生じている。
【0014】
図13は、図11の再生信号のサンプル列をPRMLに入力して得られた最尤信号のサンプル列と、これを2値化した様子を示す説明図である。PRMLでは、最小ランレングスの制約を満たさないデータ列を省くことができるため、図12の中央で生じていた最小ランレングスのランが消失するエラー(図12のe2)が自動的に修正される。
一方、図12の左側で生じたエラー(図12のe1)は、図13においても依然として修正されていない。
このように、PRMLでは、最小ランレングスのエラーや、ランダムノイズから生じたエラーは修正できるが、低い周波数のノイズによって予測信号と実際の再生信号のレベルがずれたことで生じたエラーは必ずしも修正できない。
【0015】
ここで、図11のように再生信号に低い周波数のノイズが付加された場合、再生信号のゼロクロス点の振幅レベル、すなわち、記録したデータ列中のランの境界をサンプリングしたサンプルの振幅レベルがどのようなレベルにあるかを考察する。
図14に、記録したデータ列のエッジ(ランの境界)を再生してサンプリングした再生信号のサンプルを接続した折れ線L3を示した。図14に示すように、折れ線L3は、他のサンプル点を接続した折れ線と比較して、大きく変動せず滑らかに接続される。一方、この折れ線L3は、スライスレベルL1から大きくずれているが、これは再生信号に低い周波数のノイズを加算したためである。
【0016】
図15は、データ列のランの境界でないところでサンプリングした再生信号のサンプルを接続した場合を示す説明図である。図15からわかるように、この折れ線L3の折れ点のひとつに相当するサンプルを別のサンプルに変更した場合、この折れ線L3は大きく変動した折れ線L3’となる。
したがって、ランの境界と候補となる時刻を検出し、これらの候補の中から、これらのサンプル点を接続した折れ線の振幅レベルの変動が少なくなるものを選択していくことで、低い周波数のノイズを除去した復号が可能となる。
【0017】
図16は、図14をさらに拡張して、ひとつのランを構成するいくつかのサンプルを対応するサンプル毎に接続した例である。ランの境界が正しく検出されれば、ランを構成するサンプルを対応するサンプル毎に接続した折れ線L4、L4‘の変動も小さくなる。以上のように、各ランの境界におけるサンプルの変動が小さくなるようにランレングスの組み合わせを決めれば、バーストエラーの原因となる低い周波数のノイズがあっても正しくデータを検出できる。
【0018】
本発明は、以上のような実情に着目して提案されたものであり、低い周波数のノイズの影響を受けることなく、適正な復号を行うことができる復号方法及び復号装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するため、記録媒体から再生した再生信号または伝送媒体を通して入力した再生信号から元のデータ列を復号する復号方法であって、データ列の尤度が、データ列を構成するランのランレングスの組み合わせによって定義され、前記データ列の尤度が最大となるようなデータ列が出力されることを特徴としている。
また本発明は、記録媒体から再生した再生信号または伝送媒体を通して入力した再生信号からデータ列を復号する復号装置であって、データ列の尤度が、データ列を構成するランのランレングスの組み合わせによって定義され、前記データ列の尤度が最大となるようなデータ列が出力されることを特徴としている。
【0020】
本発明による復号方法及び復号装置では、復号するデータ列として可能なデータ列の中から、データ列を構成するランのランレングスの組み合わせが最も尤もらしくなるようなデータ列を選択して復号するようにした。
したがって、バーストエラーの原因となるような例えばランの両端にわたって相関のある周期の長いノイズがあっても、適正な復号を実現できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による復号方法及び復号装置の実施の形態例について説明する。まず、本実施の形態例による復号方法及び復号装置の概要について説明する。
本例で用いる復号方法および復号装置は、候補となるデータ列の中から、各ランのランレングスの組み合わせ最も尤もらしくなるデータ列を選択するものである。候補となるデータ列は、以下のような方法で決定できる。
【0022】
まず、前記データ列は、再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、前記データ列を構成するn番目のランの開始時刻をt(n)として、前記データ列のランの境界を再生した再生信号のサンプルr(t(n))が、再生信号をセンターレベルの上下に配した所定の第1、第2の判定レベルa、−b(a、b>0)の間の振幅であるようなデータ列であるとする。
このため、再生信号のサンプル列において充分振幅が大きいサンプルは復号後の符号を決定してデータ列の候補を絞りこみ、そうでないサンプルには可能な符号の組み合わせを考えてデータ列候補を生成する。また、2つの判定レベルの振幅を適切に設定することによって、折り返しによって誤りの生じる可能性を取り除くことができる。
【0023】
また、前記データ列は、元のデータ列の最小ランレングスをd、チャネルビットクロックの周期をT、前記n番目のランの開始時刻をt(n)、再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)として、時刻t(n)−0.5dTから時刻t(n)+0.5dTまでの時間で1クロック毎にサンプリングしたd+1個の再生信号のサンプルr(t(n)−0.5dT)・・・r(t(n)+0.5dT)がみたす大小関係が、
単調増加
r(t(n)−0.5dT)≦・・・≦r(t(n)+0.5dT)
あるいは、単調減少
r(t(n)−0.5dT)≧・・・≧r(t(n)+0.5dT)
となっているようなデータ列であるとする。
このため、構成するランの開始時刻の候補となる時刻は、最小ランレングスの制約を満たす。すなわち、前記データ列の候補は自動的に最小ランレングスの制約を満たす。
【0024】
一方、前記データ列の尤度は、再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、データ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、前記n番目のランの両端t1=t(n)、t2=t(n)+r(n)を再生してサンプリングした2つの再生信号のサンプルr(t1)、r(t2)の振幅レベルにおける距離
mb (n)=|r(t1)−r(t2)|
をn番目のランのメトリックとして、前記データ列を構成する全てのランのメトリックを積算したメトリック
M = Σn mb (n)
に対して単調減少の関係にある値として定義される。
本例によれば、再生信号のセンターレベルは再生信号をサンプリングしたサンプルの相対的な振幅レベルのみから決まる。よって、再生信号の本来のセンターレベルと、検出されたスライスレベルとの間でずれが生じることによって発生していたバーストエラーを抑制できる。
【0025】
また、前記データ列の尤度は、再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、前記データ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)、kを0≦k≦r(n)/2なる整数または半整数とし、前記n番目のランに含まれる2つの時刻t1=t(n)+k、及びt2=t(n)+r(n)−kで再生信号をサンプリングした2つのサンプルの振幅レベル差、
d(n、k)=|r(t1)−r(t2)|
を前記n番目のランに含まれる全てのサンプルにわたって積算した値
mb (n)=Σk d(n、k)
を前記n番目のランにおけるメトリックとして、前記データ列を構成する全てのランにおけるメトリックを積算したメトリック
M = Σn mb (n)
に対して単調減少の関係にある値として定義される。
このため、従来のPRML法の様に再生信号のサンプルと予測信号のサンプルの間で振幅レベルを比較することでデータを復号する代りに、再生信号の検出サンプル同士で振幅レベルを比較することでデータを復号することができる。また、予測信号のサンプルのレベルが実際の再生信号をサンプリングしたレベルからずれている場合に生じるバーストエラーも除去することができる。
【0026】
あるいは、前記データ列の尤度は、再生信号の時刻tにおける振幅をr(t)、前記データ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、前記n番目のランの両端t1=t(n)、t2=t(n)+r(n)を再生してサンプリングした2つのサンプルの振幅r(t1)、r(t2)の絶対値の和
ms (n)=|r(t(n))|+|r(t(n)+r(n))|
を前記n番目のランにおけるメトリックとし、前記データ列を構成する全てのランにおける積算して得られるメトリック
M =Σn ms (n)
に対して単調減少の関係にある値によって定義される。
このため従来のような、スライスレベルを参照とした復号も可能である。
【0027】
もしくは、前記データ列の尤度は、前記再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、前記データ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、
前記ランの両端t1=t(n)、t2=t(n)+r(n)で再生してサンプリングした2つのサンプルの振幅r(t1)、r(t2)の絶対値の和で定義されるメトリック
ms (n)=|r(t1)|+|r(t2)|
および、差の絶対値で定義されるメトリック
mb(n)=|r(t1)−r(t2)|
に対して、メトリックmb (n)とメトリックms (n)を所定の比α:βで加算して得られるメトリック
m(n)=αmb (n)+βms (n)
を前記n番目のランにおけるメトリックとして、前記データ列を構成する全てのランにおけるメトリックを積算したメトリック
M =Σn m(n)
に対して単調減少の関係にある値によって定義される。
このため、再生信号のスライスレベルに対する絶対的な振幅レベルのみならず、サンプル同士の振幅レベルのように相対振幅レベルを併用した上でデータを復号することが可能となる。
【0028】
また、上記の方法において、2つのサンプルの振幅が有する差の絶対値をそのまま用いる代わりに、この距離の二乗をメトリックとして用いることもできる。あるいは、同様に上記の方法において、2つのサンプルの振幅が有する距離をそのまま用いる代りに、前記距離の単調増加関数あるいは単調減少関数で定義されたメトリックを用いることもできる。
なお、以上の各処理は、例えばプログラマブルロジック回路などのデジタル論理回路を用いた演算処理によって行われるものとする。
【0029】
次に、以上のような本例の最尤復号方法を実現する装置の構成例について図面を用いて説明する。
図1は、本実施の形態例における最尤復号方法を適用した記録情報再生装置の概要を示す図である。
この記録情報再生装置は、記録情報を記録した記録媒体1Aと、この記録媒体1Aに記録した信号を再生信号として読み取るピックアップ1Bと、このピックアップ1Bによって読み出された再生信号をAD変換してサンプリングするADコンバータ1Cと、このADコンバータ1Cによって得られた再生信号のサンプルから記録媒体1Aに記録されていたデータを復号する復号装置1Dによって構成されている。
なお、本発明は、図1に示すような光ディスク型の記録媒体1Aをピックアップ1Bで読み出す再生装置に限らず、他の記録媒体を用いたものや、伝送媒体から変調信号を受信して復号するようなシステムに広く適用できるものとする。
【0030】
図2は、本実施の形態例における復号装置1Dの構成を示すブロック図である。
この復号装置1Dは、データ列候補生成部2Aと、データ列選択部2Bによって構成される。
データ列候補生成部2Aは、再生信号をサンプリングしたサンプル列r(kT)を入力して、復号するデータ列の候補となるデータ列を生成して出力する。
データ列選択部2Bは、再生信号をサンプリングしたサンプル列r(kT)と、データ列候補生成部2Aより出力されたデータ列候補を入力して、データ列を構成しているランの組み合わせからデータ列のメトリックを計算し、前記メトリックが最小となるようなデータ列を出力する。
ここで、再生信号のチャネルビットクロックの周期をTとし、再生信号のサンプル列はチャネルビット境界でサンプリングされているものとし、また、再生信号のk番目のサンプルをr(kT)とした。
【0031】
図3は データ列候補生成部2Aの構成例を示す図である。
このデータ列候補生成部2Aは、二レベル判定部3Aと、サンプル比較部3Bと、データ列候補生成部3Cによって構成されている。
二レベル判定部3Aは、再生信号のサンプルを入力して、所定の二つのレベルと比較することで、正符号、負符号、あるいはエッジ(ランの境界)候補の3グループに入力し、正符号検出信号3a、負符号検出信号3b、エッジ候補検出信号3cを出力する。
サンプル比較部3Bでは、最小ランレングス数+1個の再生信号のサンプルに対する大小関係から、正符号、負符号あるいはエッジ候補の3グループに分類して、正符号検出信号3d、負符号検出信号3e、エッジ候補3fを出力する。
また、データ列生成部3Cは、二レベル判定部3A及びサンプル比較部3Bによって得られた正符号検出信号、負符号検出信号に基づいてデータ列の一部の符号を決定し、エッジ候補信号によって、各エッジに対して複数のエッジの候補を求め、それぞれの候補をエッジとするようなデータ列を生成する。そして、このようにして得られた全ての可能なデータ列をデータ列候補として出力する。
【0032】
図4は、データ列選択部2Bを実現するための構成例を示すブロック図である。
このデータ列選択部2Bは、メトリック計算部4Aと、NRZI変換部4Bと、データ列選択部4Cと、遅延ライン4Dによって構成されている。
NRZI変換部4Bでは、候補となるデータ列が入力され、NRZI変換によって前記データ列のランの境界で「1」を出力し、それ以外の位置で「0」となるNRZI信号が出力される。
遅延ライン4Dでは、再生信号のサンプル列r(kT)が入力されて、NRZI変換後のデータ列候補と同じ時間(ここでは、nTとする)に相当する遅延を加えたサンプル列r((k+n)T)が出力される。
メトリック計算部4Aでは、再生信号のサンプル列r(kT)と、NRZI変換されたデータ列の候補が入力されて、各データ列の候補が有するメトリックが出力される。
データ列選択部4Cは、データ列候補と、メトリック計算部4Aから出力された各データ列に対応するメトリックが入力され、データ列候補の中からメトリックが最小となるものを選択して出力する。
【0033】
図5は、二レベル判定回路3Aを実現するための構成例を示す図である。
この二レベル判定回路3Aは、再生信号のサンプル列r(kT)と、第1の判定レベル「a」、第2の判定レベル「−b」が入力され、正符号検出信号と負符号検出信号とエッジ候補検出信号を出力するように構成されている。
第1の判定レベル「a」、および、第2の判定レベル「−b」は、再生信号がスライスレベルと交差する時刻をtとして、時刻(t+T)あるいは時刻(t−T)における振幅のうち大きいレベルの平均値と、小さいレベルの平均値として設定される。
正符号検出信号は、再生信号のサンプル列r(kT)が、第1の判定レベルより大きい時に「1」、それ以外では「0」となる論理信号として出力される。
負符号検出信号は、再生信号のサンプル列r(kT)が、第2の判定レベルより小さい時に「1」、それ以外では「0」となる論理信号として出力される。
エッジ検出信号は、再生信号のサンプル列r(kT)が、第1の判定レベルより小さく、かつ、第2の判定レベルより大きい時に「1」、それ以外では「0」となる論理信号として出力される。
【0034】
図6は、サンプル比較回路3Bを実現するための構成例を示す図である。
このサンプル比較回路3Bは、サンプル大小比較部6Aと、フリップフロップ6B、6Cによって構成されている。
フリップフロップ6Bは、再生信号のサンプル列r(kT+T)を入力して1チャネルクロック分遅延したサンプル列r(kT)を出力する。
フリップフロップ6Bは、再生信号のサンプル列r(kT)を入力して1チャネルクロック分遅延したサンプル列r(kT−T)を出力する。
【0035】
サンプル大小比較部6Aは、3個の再生信号のサンプル列r(kT)、r(kT+T)、r(kT−T)を入力して、正符号検出信号と負符号検出信号とエッジ候補検出信号を出力する。
正符号検出信号は、再生信号のサンプル列r(kT)が、残りの2つのサンプルr(kT−T)、r(kT+T)より大きいときに「1」となり、それ以外では「0」となる論理信号として出力される。
負符号検出信号は、再生信号のサンプル列r(kT)が、残りの2つのサンプルr(kT−T)、r(kT+T)より小さいときに「1」となり、それ以外では「0」となる論理信号として出力される。
エッジ検出信号は、再生信号のサンプル列r(kT)が、残りの2つのサンプルが有する振幅の間にあるときに「1」となり、それ以外では「0」となる論理信号として出力される。
【0036】
図7は、データ列候補生成回路3Cを実現するための構成例を示す図である。このデータ列候補生成回路3Cは、NRZIデータ列候補生成部7Aと、NRZ変換部7Bによって構成されている。
NRZIデータ列候補生成部7Aは、二レベル判定回路とサンプル比較回路から出力された正符号検出信号3a、3d、負符号検出信号3b、3e、エッジ検出信号3c、3fに基づいて、NRZIデータ列として考えられる候補を全て出力する。その詳細は、図8により説明する。
NRZ変換部7Bは、前記NRZIデータ列候補生成部7Aから出力されたNRZIデータ列候補を、NRZ変換してNRZデータ列候補として出力する。
【0037】
図8は、NRZIデータ列候補生成部7Aの動作例を示すタイミングチャートである。
このNRZIデータ列候補生成部7Aでは、エッジ候補検出信号3c、3fの論理積信号3cΛ3fが入力される。
論理積信号は、データ列を構成する各ランのエッジに相当する時刻の候補となる時刻で「1」となり、それ以外では「0」となる信号となっている。
ここでデータ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)として、その候補となる複数の時刻をt1(n)、t2(n)・・・とする。
そして、候補のデータ列は、データ列における任意のn番目のエッジt(n)に対し、候補となる時刻t1(n)、t2(n)・・・のいずれか1つをn番目のランの開始時刻として組合せた信号として出力される。
具体的には図8において、エッジ候補信号1は、復号データ列におけるn−1番目のエッジとして、その候補となる時刻t1(n−1)、t2(n−1)の中からt1(n−1)を選択し、また、n+1番目のエッジとして、その候補となる時刻t1(n+1)、t2(n+1)、t3(n+1)の中からt1 (n+1)を選択して生成された信号である。また、それ以降のエッジ候補信号2から6についても同様にして生成される。
【0038】
図9は、メトリック計算部4Aを実現するための構成例を示す図である。
このメトリック計算部4Aは、サンプルホールド部9Aと、ラン毎のメトリック計算部9Bと、積算部9Cよりなる回路を複数並列に設けて構成されている。サンプルホールド部9Aでは、再生信号のサンプル列と、NRZIデータ列の候補の1つが入力されて、入力したNRZIデータ列が「1」となる毎、すなわち、元のNRZデータ列を構成するランの境界が出現する毎に再生信号のサンプルの値をホールドする。
ラン毎のメトリック計算部9Bでは、再生信号のサンプル列と、サンプルホールド部9Aから出力されたサンプルホールド信号と、NRZIデータ列の候補の1つが入力されて、入力したNRZIデータ列が「1」となる毎、すなわち、元のNRZデータ列を構成するランの境界が出現する毎に、再生信号のサンプル値とサンプルホールド信号のサンプル値との差の絶対値が出力される。
積算部9Cでは、ラン毎のメトリック計算部9Bから出力されたラン毎にメトリック出力信号が積算されて、NRZIデータ列の元のNRZデータ列が有する全体のメトリックとして出力される。
【0039】
図10は、データ列のメトリックの計算方法を示すタイミングチャートである。図10の最上段には再生信号のサンプル列を示し、二段目にはNRZIデータ列を示し、三段目にはサンプルホールド信号を示し、四段目にラン毎のメトリック信号を示している。サンプルホールド信号は、NRZIデータ列が「1」となる毎に、再生信号のサンプルの値rn をサンプルホールドしている。ラン毎のメトリック信号は、NRZIデータ列が「1」となる毎に、その時刻における再生信号のサンプルの値rn と、その時刻の直前におけるサンプルホールド信号のサンプルの値rn−1 との間の差の絶対値|rn −rn−1 |を第n−1番目のランのメトリックとして出力している。
【0040】
以上のように構成することで、記録媒体や伝送媒体を通して再生した再生信号からデータ列を復号する復号法において、候補となるデータ列の中から、データ列を構成している各ランのランレングスの組み合わせを最も尤らしくするデータ列を選択して出力する復号方法を実現することができる。
なお、本実施の形態例を実現する手段として、データ列の候補を生成する部分は、例えば図3で示したデータ列候補生成部2Aによって実現でき、また、各ランのランレングスの組合せたときの尤度を最大とするようなデータ列を選択する部分は、例えば図4で示したデータ列選択部2Bによって実現される。
【0041】
また、請求項2におけるデータ列の候補を検出する方法は、図5で示した二レベル判定部によって実現できる。
また、請求項3におけるデータ列の候補を検出する方法は、図6で示したサンプル大小比較部によって実現できる。
また、請求項4におけるデータ列の各ランが有するメトリックを計算する方法は図10に示した動作で実現できる。また、データ列全体のメトリックを検出する方法は、図9で示した構成で実現できる。
【0042】
また、請求項5におけるデータ列の各ランが有するメトリックを検出する方法は、図10において複数のサンプルホールドを用意し、図10におけるNRZIデータ列が「1」となるタイミングと前後のタイミングでサンプルホールドを用意することで容易に実現できる。また、データ列のメトリックは、上述の方法によって求められたメトリックを積算することによって得られる。
また、請求項6におけるデータ列の各ランが有するメトリックを検出する方法は、図10において、NRZIデータ列が「1」となる時刻における再生信号のサンプルの絶対値を各ランのメトリックとして出力することで容易に実現できる。また、データ列全体のメトリックは、上述の方法によって求められたメトリックを積算することによって得られる。
また、請求項7におけるデータ列のメトリックは、上記の請求項5、6を実現する方法を併用することで実現できる。
【0043】
また、図2において、データ列候補生成部2Aからデータ列選択部2Bに転送されるデータ列候補の信号は、NRZによるデータ列ではなく、NRZIによるデータ列としてもよい。この場合、図4におけるNRZI変換装置4B、および、図7におけるNRZ変換装置7Bを省略し、代りに、図4におけるデータ列選択装置4Cの後段に、NRZ変換装置を配置すればよい。
また、以上の方法は、ある程度の再生信号サンプル列をメモリに記憶した上で復号するような形態である。リアルタイムによる検出方法も可能であるが、その詳細はここでは省略する。
【0044】
以上のように本実施の形態による復号方法及び復号装置によれば、従来のPRML法と異なり、ラン毎でデータ列の尤度の判定を行うことが可能になる。したがって、オフセットノイズなどの低い周波数のノイズから生じるバーストエラ−に対して効果を発揮することが可能となる。
したがって、本実施の形態による復号方法及び復号装置によれば、昨今の記録再生技術における高密度化において要求される高い精度のデータ判定能力を実現することが可能となる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の復号方法及び復号装置によれば、データ列の候補の中から、前記データ列を構成する各ランのランレングスの組み合わせが最も尤らしくなるデータ列を選択するようにしたことで、バーストエラーの原因となるような例えばランの両端にわたって相関のあるような長い周期のノイズが発生している場合でも、適正な復号を実現できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態例における復号方法を適用した記録情報再生装置の概要を示す図である。
【図2】図1に示す記録情報再生装置における復号装置の構成例を示す図である。
【図3】図1に示す記録情報再生装置におけるデータ列候補生成部の構成例を示す図である。
【図4】図2に示す最尤復号装置におけるデータ列選択部の構成例を示す図である。
【図5】図3に示すデータ列候補生成部における二レベル判定回路の構成例を示す図である。
【図6】図3に示すデータ列候補生成部におけるサンプル比較回路の構成例を示す図である。
【図7】図3に示すデータ列候補生成部におけるデータ列候補生成回路の構成例を示す図である。
【図8】図7に示すデータ列候補生成回路におけるNRZIデータ列候補生成部の動作例を示すタイミングチャートである。
【図9】図4に示すデータ列選択部におけるメトリック計算部の構成例を示す図である。
【図10】図9に示すメトリック計算部におけるデータ列のメトリックの計算方法を示すタイミングチャートである。
【図11】記録媒体から再生された再生信号をチャネルビットクロックでサンプリングした場合の波形例を示す説明図である。
【図12】過去のサンプルから推定されたスライスレベルによって図11に示す再生信号のサンプルを二値化して復号する場合の波形例を示す説明図である。
【図13】パーシャルレスポンス最尤復号によって図11に示す再生信号のサンプルを復号する場合の波形例を示す説明図である。
【図14】記録媒体に記録した際のデータ列のエッジ部で図11に示す再生信号のサンプリングした場合の波形例を示す説明図である。
【図15】記録媒体に記録した際のデータ列のエッジ部以外で図11に示す再生信号のサンプリングした場合の波形例を示す説明図である。
【図16】記録媒体に記録した際のデータ列のエッジ部とその前後における再生信号のサンプリングした場合の波形例を示す説明図である。
【符号の説明】
1A……記録媒体、1B……ピックアップ、1C……ADコンバータ、1D……復号装置、2A……データ列候補生成部、2B……データ列選択部、3A……二レベル判定部、3B……サンプル比較部、3C……データ列候補生成部、4A……メトリック計算部、4B……NRZI変換部、4C……データ選択部、4D……遅延ライン、6A……サンプル大小比較部、6B、6C……フリップフロップ、7A……NRZIデータ列候補生成部、7B……NRZ変換部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体から再生した再生信号、または伝送媒体によって取得した再生信号から元のデータを復号する方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、各種記録媒体を用いたデータの記録再生技術で利用される再生装置には、その記録媒体に記録した信号を再生信号として読み取るピックアップ装置や、このピックアップ装置で読み取った再生信号から元のデータを復号する復号装置等を有して構成されている。
【0003】
従来の記録再生技術として、いわゆるパーシャルレスポンス最尤復号(PRML)と呼ばれる復号法に基づいて、再生信号からデータを復号するように構成されたものが知られている。
このパーシャルレスポンス最尤復号法とは、記録したバイナリデータ列を所定のルールで変換して再生した再生信号のサンプル列を生成することに相当するパーシャルレスポンスなる技術と、再生信号のサンプル列から元のデータ列を復号する最尤復号技術とを融合した符号復号化技術である。
【0004】
なお、この場合のパーシャルレスポンスとは、記録したデータ列を線形の畳み込み演算によって、複数の所定のレベルをとるサンプル列に変換した信号を再生信号として生成することに相当する。
また、最尤復号とは、伝送用のデータ列あるいはデータ記録用のデータ列として考えられる全てのデータ列を前記パーシャルレスポンスにおける線形畳み込み演算に基づいて多値レベルで表されるサンプル列に変換して再生信号の予測信号を生成し、実際に検出した再生信号に最も近い予測信号を選択して出力する復号方法のことをいう。
【0005】
ここで、記録媒体に記録したデータ列をd(n)とし、再生信号をサンプリングして得られたサンプル列をr(n)とする。なお、nはデータの番号を表しているものとする。
従来のパーシャルレスポンスの一例としてターゲットレスポンスをPR(aba)とした例について考える。データ列d(n)と、サンプル列r(n)の間の関係は、ノイズや歪み等がない理想的な状態では、
r(n)=ad(n−1)+bd(n)+ad(n+1)
のように表すことができる。
【0006】
一方、最尤復号では、記録したデータ列として考えられる全てのデータ列の中から最も尤度の大きいデータ列を選択する。ここでは、考えられるデータ列をd’(n)と表すものとする。また、これらのデータ列を再生した場合に得られると予測される再生信号の予測信号のサンプル列をr’(n)とすると、このサンプル列もPR(aba)のルールに従って生成されるので、
r’(n)=ad’(n−1)+bd’(n)+ad’(n+1)
と表すことができる。
【0007】
再生信号の予測信号のサンプルと、実際の再生信号のサンプルとの間のメトリックは、
|r(n)−r’(n)|
あるいは、
|r(n)−r’(n)|2
で定義される。また、予測信号全体と再生信号全体の間のメトリックは、上記メトリックを全てのサンプルにわたって積算したメトリック、
Σ|r(n)−r’(n)|
あるいは、
Σ|r(n)−r’(n)|2
で定義される。このように求められた各予測信号と再生信号の間のメトリックは、各予測信号の元となったデータ列の尤らしさ、すなわち、尤度に対して単調減少の関係にある。したがって、上記によって求められた距離が小さければ小さいほど、元の記録したデータ列に近いと考えられる。
【0008】
再生信号にノイズや歪みがない理想的な場合、記録したデータ列と同じデータ列で予測信号を生成すれば、予測信号と再生信号の間の距離は必ず0になる。一方、記録したデータ列とは異なるデータ列で予測信号を生成すれば、前述の予測信号と再生信号との間の距離は必ず正の値となる。従って、予測信号と再生信号の距離が0になるデータ列が、記録したデータ列であると推定出来る。
【0009】
一方、再生信号にノイズがある場合は、記録したデータ列と同じデータ列で生成した予測信号は、再生信号との間の距離が0になるとは限らない。しかし、ノイズが十分小さいならば記録したデータ列と異なるデータ列で生成した予測信号と再生信号の間の距離より小さい値になる。したがって、予測信号と再生信号の距離が最も小さくなるようなデータ列が記録したデータ列であると推定できる。
【0010】
以上のように、パーシャルレスポンス最尤復号とは、予測信号と再生信号を比較して、実際の再生信号に最も近い予測信号を選択して復号することにより、記録したデータ列を推定する方法である。このため、実際に得られた再生信号がノイズを含んでいても、最も尤度の大きい予測信号を求めて、元のデータ列を推定できる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上のようなパーシャルレスポンス最尤復号方法が効果を発揮するためには、生成される予測信号の振幅レベルが実際の再生信号の振幅レベルと一致することが必要である。 したがって、再生信号の振幅レベルが変動したり、また、アシンメトリなどでゆがんだりすると、その効果は減少する。
【0012】
図11は、チャネルビットの境界でサンプリングした再生信号のサンプル列の一例を示す説明図である。上段に記録したデータ列を、下段にパーシャルレスポンスPRを(1221)に設定して生成した再生信号のサンプル列を示した。
サンプル列の生成する際、元のデータ列にメディアノイズを付加し、さらに、パーシャルレスポンス出力として得られたサンプル列に、サーボ等の取れ残りで生じるだろう低い周波数のノイズを、ここでは40クロックを1周期とする正弦波ノイズとして付加した。図11は、上記の40クロックを1周期とする正弦波ノイズが極大となっている区間におけるサンプル列を表している。
【0013】
図12は、図11の再生信号のサンプル列を太線L1で示したスライスレベルによって2値化した様子を示す説明図である。通常、記録再生技術のスライスレベルは、再生信号をスライスレベルで二値化して得た過去のデータ列を低周波フィルタリングした際の直流成分が最小となるように制御されている。しかしながら、上記フィルタリングのカットオフ周波数より高い周波数のノイズが付加される場合、これらのノイズは取れ残りエラーとして再生信号中に残留する。また、図12の下段に、二値化したデータ列とエラーを併記した。ここでは、再生信号とスライスレベルが大幅にずれているため、二値化したデータ列にはバーストエラーが6チャネルビットにわたって生じている。
【0014】
図13は、図11の再生信号のサンプル列をPRMLに入力して得られた最尤信号のサンプル列と、これを2値化した様子を示す説明図である。PRMLでは、最小ランレングスの制約を満たさないデータ列を省くことができるため、図12の中央で生じていた最小ランレングスのランが消失するエラー(図12のe2)が自動的に修正される。
一方、図12の左側で生じたエラー(図12のe1)は、図13においても依然として修正されていない。
このように、PRMLでは、最小ランレングスのエラーや、ランダムノイズから生じたエラーは修正できるが、低い周波数のノイズによって予測信号と実際の再生信号のレベルがずれたことで生じたエラーは必ずしも修正できない。
【0015】
ここで、図11のように再生信号に低い周波数のノイズが付加された場合、再生信号のゼロクロス点の振幅レベル、すなわち、記録したデータ列中のランの境界をサンプリングしたサンプルの振幅レベルがどのようなレベルにあるかを考察する。
図14に、記録したデータ列のエッジ(ランの境界)を再生してサンプリングした再生信号のサンプルを接続した折れ線L3を示した。図14に示すように、折れ線L3は、他のサンプル点を接続した折れ線と比較して、大きく変動せず滑らかに接続される。一方、この折れ線L3は、スライスレベルL1から大きくずれているが、これは再生信号に低い周波数のノイズを加算したためである。
【0016】
図15は、データ列のランの境界でないところでサンプリングした再生信号のサンプルを接続した場合を示す説明図である。図15からわかるように、この折れ線L3の折れ点のひとつに相当するサンプルを別のサンプルに変更した場合、この折れ線L3は大きく変動した折れ線L3’となる。
したがって、ランの境界と候補となる時刻を検出し、これらの候補の中から、これらのサンプル点を接続した折れ線の振幅レベルの変動が少なくなるものを選択していくことで、低い周波数のノイズを除去した復号が可能となる。
【0017】
図16は、図14をさらに拡張して、ひとつのランを構成するいくつかのサンプルを対応するサンプル毎に接続した例である。ランの境界が正しく検出されれば、ランを構成するサンプルを対応するサンプル毎に接続した折れ線L4、L4‘の変動も小さくなる。以上のように、各ランの境界におけるサンプルの変動が小さくなるようにランレングスの組み合わせを決めれば、バーストエラーの原因となる低い周波数のノイズがあっても正しくデータを検出できる。
【0018】
本発明は、以上のような実情に着目して提案されたものであり、低い周波数のノイズの影響を受けることなく、適正な復号を行うことができる復号方法及び復号装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するため、記録媒体から再生した再生信号または伝送媒体を通して入力した再生信号から元のデータ列を復号する復号方法であって、データ列の尤度が、データ列を構成するランのランレングスの組み合わせによって定義され、前記データ列の尤度が最大となるようなデータ列が出力されることを特徴としている。
また本発明は、記録媒体から再生した再生信号または伝送媒体を通して入力した再生信号からデータ列を復号する復号装置であって、データ列の尤度が、データ列を構成するランのランレングスの組み合わせによって定義され、前記データ列の尤度が最大となるようなデータ列が出力されることを特徴としている。
【0020】
本発明による復号方法及び復号装置では、復号するデータ列として可能なデータ列の中から、データ列を構成するランのランレングスの組み合わせが最も尤もらしくなるようなデータ列を選択して復号するようにした。
したがって、バーストエラーの原因となるような例えばランの両端にわたって相関のある周期の長いノイズがあっても、適正な復号を実現できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による復号方法及び復号装置の実施の形態例について説明する。まず、本実施の形態例による復号方法及び復号装置の概要について説明する。
本例で用いる復号方法および復号装置は、候補となるデータ列の中から、各ランのランレングスの組み合わせ最も尤もらしくなるデータ列を選択するものである。候補となるデータ列は、以下のような方法で決定できる。
【0022】
まず、前記データ列は、再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、前記データ列を構成するn番目のランの開始時刻をt(n)として、前記データ列のランの境界を再生した再生信号のサンプルr(t(n))が、再生信号をセンターレベルの上下に配した所定の第1、第2の判定レベルa、−b(a、b>0)の間の振幅であるようなデータ列であるとする。
このため、再生信号のサンプル列において充分振幅が大きいサンプルは復号後の符号を決定してデータ列の候補を絞りこみ、そうでないサンプルには可能な符号の組み合わせを考えてデータ列候補を生成する。また、2つの判定レベルの振幅を適切に設定することによって、折り返しによって誤りの生じる可能性を取り除くことができる。
【0023】
また、前記データ列は、元のデータ列の最小ランレングスをd、チャネルビットクロックの周期をT、前記n番目のランの開始時刻をt(n)、再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)として、時刻t(n)−0.5dTから時刻t(n)+0.5dTまでの時間で1クロック毎にサンプリングしたd+1個の再生信号のサンプルr(t(n)−0.5dT)・・・r(t(n)+0.5dT)がみたす大小関係が、
単調増加
r(t(n)−0.5dT)≦・・・≦r(t(n)+0.5dT)
あるいは、単調減少
r(t(n)−0.5dT)≧・・・≧r(t(n)+0.5dT)
となっているようなデータ列であるとする。
このため、構成するランの開始時刻の候補となる時刻は、最小ランレングスの制約を満たす。すなわち、前記データ列の候補は自動的に最小ランレングスの制約を満たす。
【0024】
一方、前記データ列の尤度は、再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、データ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、前記n番目のランの両端t1=t(n)、t2=t(n)+r(n)を再生してサンプリングした2つの再生信号のサンプルr(t1)、r(t2)の振幅レベルにおける距離
mb (n)=|r(t1)−r(t2)|
をn番目のランのメトリックとして、前記データ列を構成する全てのランのメトリックを積算したメトリック
M = Σn mb (n)
に対して単調減少の関係にある値として定義される。
本例によれば、再生信号のセンターレベルは再生信号をサンプリングしたサンプルの相対的な振幅レベルのみから決まる。よって、再生信号の本来のセンターレベルと、検出されたスライスレベルとの間でずれが生じることによって発生していたバーストエラーを抑制できる。
【0025】
また、前記データ列の尤度は、再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、前記データ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)、kを0≦k≦r(n)/2なる整数または半整数とし、前記n番目のランに含まれる2つの時刻t1=t(n)+k、及びt2=t(n)+r(n)−kで再生信号をサンプリングした2つのサンプルの振幅レベル差、
d(n、k)=|r(t1)−r(t2)|
を前記n番目のランに含まれる全てのサンプルにわたって積算した値
mb (n)=Σk d(n、k)
を前記n番目のランにおけるメトリックとして、前記データ列を構成する全てのランにおけるメトリックを積算したメトリック
M = Σn mb (n)
に対して単調減少の関係にある値として定義される。
このため、従来のPRML法の様に再生信号のサンプルと予測信号のサンプルの間で振幅レベルを比較することでデータを復号する代りに、再生信号の検出サンプル同士で振幅レベルを比較することでデータを復号することができる。また、予測信号のサンプルのレベルが実際の再生信号をサンプリングしたレベルからずれている場合に生じるバーストエラーも除去することができる。
【0026】
あるいは、前記データ列の尤度は、再生信号の時刻tにおける振幅をr(t)、前記データ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、前記n番目のランの両端t1=t(n)、t2=t(n)+r(n)を再生してサンプリングした2つのサンプルの振幅r(t1)、r(t2)の絶対値の和
ms (n)=|r(t(n))|+|r(t(n)+r(n))|
を前記n番目のランにおけるメトリックとし、前記データ列を構成する全てのランにおける積算して得られるメトリック
M =Σn ms (n)
に対して単調減少の関係にある値によって定義される。
このため従来のような、スライスレベルを参照とした復号も可能である。
【0027】
もしくは、前記データ列の尤度は、前記再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、前記データ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、
前記ランの両端t1=t(n)、t2=t(n)+r(n)で再生してサンプリングした2つのサンプルの振幅r(t1)、r(t2)の絶対値の和で定義されるメトリック
ms (n)=|r(t1)|+|r(t2)|
および、差の絶対値で定義されるメトリック
mb(n)=|r(t1)−r(t2)|
に対して、メトリックmb (n)とメトリックms (n)を所定の比α:βで加算して得られるメトリック
m(n)=αmb (n)+βms (n)
を前記n番目のランにおけるメトリックとして、前記データ列を構成する全てのランにおけるメトリックを積算したメトリック
M =Σn m(n)
に対して単調減少の関係にある値によって定義される。
このため、再生信号のスライスレベルに対する絶対的な振幅レベルのみならず、サンプル同士の振幅レベルのように相対振幅レベルを併用した上でデータを復号することが可能となる。
【0028】
また、上記の方法において、2つのサンプルの振幅が有する差の絶対値をそのまま用いる代わりに、この距離の二乗をメトリックとして用いることもできる。あるいは、同様に上記の方法において、2つのサンプルの振幅が有する距離をそのまま用いる代りに、前記距離の単調増加関数あるいは単調減少関数で定義されたメトリックを用いることもできる。
なお、以上の各処理は、例えばプログラマブルロジック回路などのデジタル論理回路を用いた演算処理によって行われるものとする。
【0029】
次に、以上のような本例の最尤復号方法を実現する装置の構成例について図面を用いて説明する。
図1は、本実施の形態例における最尤復号方法を適用した記録情報再生装置の概要を示す図である。
この記録情報再生装置は、記録情報を記録した記録媒体1Aと、この記録媒体1Aに記録した信号を再生信号として読み取るピックアップ1Bと、このピックアップ1Bによって読み出された再生信号をAD変換してサンプリングするADコンバータ1Cと、このADコンバータ1Cによって得られた再生信号のサンプルから記録媒体1Aに記録されていたデータを復号する復号装置1Dによって構成されている。
なお、本発明は、図1に示すような光ディスク型の記録媒体1Aをピックアップ1Bで読み出す再生装置に限らず、他の記録媒体を用いたものや、伝送媒体から変調信号を受信して復号するようなシステムに広く適用できるものとする。
【0030】
図2は、本実施の形態例における復号装置1Dの構成を示すブロック図である。
この復号装置1Dは、データ列候補生成部2Aと、データ列選択部2Bによって構成される。
データ列候補生成部2Aは、再生信号をサンプリングしたサンプル列r(kT)を入力して、復号するデータ列の候補となるデータ列を生成して出力する。
データ列選択部2Bは、再生信号をサンプリングしたサンプル列r(kT)と、データ列候補生成部2Aより出力されたデータ列候補を入力して、データ列を構成しているランの組み合わせからデータ列のメトリックを計算し、前記メトリックが最小となるようなデータ列を出力する。
ここで、再生信号のチャネルビットクロックの周期をTとし、再生信号のサンプル列はチャネルビット境界でサンプリングされているものとし、また、再生信号のk番目のサンプルをr(kT)とした。
【0031】
図3は データ列候補生成部2Aの構成例を示す図である。
このデータ列候補生成部2Aは、二レベル判定部3Aと、サンプル比較部3Bと、データ列候補生成部3Cによって構成されている。
二レベル判定部3Aは、再生信号のサンプルを入力して、所定の二つのレベルと比較することで、正符号、負符号、あるいはエッジ(ランの境界)候補の3グループに入力し、正符号検出信号3a、負符号検出信号3b、エッジ候補検出信号3cを出力する。
サンプル比較部3Bでは、最小ランレングス数+1個の再生信号のサンプルに対する大小関係から、正符号、負符号あるいはエッジ候補の3グループに分類して、正符号検出信号3d、負符号検出信号3e、エッジ候補3fを出力する。
また、データ列生成部3Cは、二レベル判定部3A及びサンプル比較部3Bによって得られた正符号検出信号、負符号検出信号に基づいてデータ列の一部の符号を決定し、エッジ候補信号によって、各エッジに対して複数のエッジの候補を求め、それぞれの候補をエッジとするようなデータ列を生成する。そして、このようにして得られた全ての可能なデータ列をデータ列候補として出力する。
【0032】
図4は、データ列選択部2Bを実現するための構成例を示すブロック図である。
このデータ列選択部2Bは、メトリック計算部4Aと、NRZI変換部4Bと、データ列選択部4Cと、遅延ライン4Dによって構成されている。
NRZI変換部4Bでは、候補となるデータ列が入力され、NRZI変換によって前記データ列のランの境界で「1」を出力し、それ以外の位置で「0」となるNRZI信号が出力される。
遅延ライン4Dでは、再生信号のサンプル列r(kT)が入力されて、NRZI変換後のデータ列候補と同じ時間(ここでは、nTとする)に相当する遅延を加えたサンプル列r((k+n)T)が出力される。
メトリック計算部4Aでは、再生信号のサンプル列r(kT)と、NRZI変換されたデータ列の候補が入力されて、各データ列の候補が有するメトリックが出力される。
データ列選択部4Cは、データ列候補と、メトリック計算部4Aから出力された各データ列に対応するメトリックが入力され、データ列候補の中からメトリックが最小となるものを選択して出力する。
【0033】
図5は、二レベル判定回路3Aを実現するための構成例を示す図である。
この二レベル判定回路3Aは、再生信号のサンプル列r(kT)と、第1の判定レベル「a」、第2の判定レベル「−b」が入力され、正符号検出信号と負符号検出信号とエッジ候補検出信号を出力するように構成されている。
第1の判定レベル「a」、および、第2の判定レベル「−b」は、再生信号がスライスレベルと交差する時刻をtとして、時刻(t+T)あるいは時刻(t−T)における振幅のうち大きいレベルの平均値と、小さいレベルの平均値として設定される。
正符号検出信号は、再生信号のサンプル列r(kT)が、第1の判定レベルより大きい時に「1」、それ以外では「0」となる論理信号として出力される。
負符号検出信号は、再生信号のサンプル列r(kT)が、第2の判定レベルより小さい時に「1」、それ以外では「0」となる論理信号として出力される。
エッジ検出信号は、再生信号のサンプル列r(kT)が、第1の判定レベルより小さく、かつ、第2の判定レベルより大きい時に「1」、それ以外では「0」となる論理信号として出力される。
【0034】
図6は、サンプル比較回路3Bを実現するための構成例を示す図である。
このサンプル比較回路3Bは、サンプル大小比較部6Aと、フリップフロップ6B、6Cによって構成されている。
フリップフロップ6Bは、再生信号のサンプル列r(kT+T)を入力して1チャネルクロック分遅延したサンプル列r(kT)を出力する。
フリップフロップ6Bは、再生信号のサンプル列r(kT)を入力して1チャネルクロック分遅延したサンプル列r(kT−T)を出力する。
【0035】
サンプル大小比較部6Aは、3個の再生信号のサンプル列r(kT)、r(kT+T)、r(kT−T)を入力して、正符号検出信号と負符号検出信号とエッジ候補検出信号を出力する。
正符号検出信号は、再生信号のサンプル列r(kT)が、残りの2つのサンプルr(kT−T)、r(kT+T)より大きいときに「1」となり、それ以外では「0」となる論理信号として出力される。
負符号検出信号は、再生信号のサンプル列r(kT)が、残りの2つのサンプルr(kT−T)、r(kT+T)より小さいときに「1」となり、それ以外では「0」となる論理信号として出力される。
エッジ検出信号は、再生信号のサンプル列r(kT)が、残りの2つのサンプルが有する振幅の間にあるときに「1」となり、それ以外では「0」となる論理信号として出力される。
【0036】
図7は、データ列候補生成回路3Cを実現するための構成例を示す図である。このデータ列候補生成回路3Cは、NRZIデータ列候補生成部7Aと、NRZ変換部7Bによって構成されている。
NRZIデータ列候補生成部7Aは、二レベル判定回路とサンプル比較回路から出力された正符号検出信号3a、3d、負符号検出信号3b、3e、エッジ検出信号3c、3fに基づいて、NRZIデータ列として考えられる候補を全て出力する。その詳細は、図8により説明する。
NRZ変換部7Bは、前記NRZIデータ列候補生成部7Aから出力されたNRZIデータ列候補を、NRZ変換してNRZデータ列候補として出力する。
【0037】
図8は、NRZIデータ列候補生成部7Aの動作例を示すタイミングチャートである。
このNRZIデータ列候補生成部7Aでは、エッジ候補検出信号3c、3fの論理積信号3cΛ3fが入力される。
論理積信号は、データ列を構成する各ランのエッジに相当する時刻の候補となる時刻で「1」となり、それ以外では「0」となる信号となっている。
ここでデータ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)として、その候補となる複数の時刻をt1(n)、t2(n)・・・とする。
そして、候補のデータ列は、データ列における任意のn番目のエッジt(n)に対し、候補となる時刻t1(n)、t2(n)・・・のいずれか1つをn番目のランの開始時刻として組合せた信号として出力される。
具体的には図8において、エッジ候補信号1は、復号データ列におけるn−1番目のエッジとして、その候補となる時刻t1(n−1)、t2(n−1)の中からt1(n−1)を選択し、また、n+1番目のエッジとして、その候補となる時刻t1(n+1)、t2(n+1)、t3(n+1)の中からt1 (n+1)を選択して生成された信号である。また、それ以降のエッジ候補信号2から6についても同様にして生成される。
【0038】
図9は、メトリック計算部4Aを実現するための構成例を示す図である。
このメトリック計算部4Aは、サンプルホールド部9Aと、ラン毎のメトリック計算部9Bと、積算部9Cよりなる回路を複数並列に設けて構成されている。サンプルホールド部9Aでは、再生信号のサンプル列と、NRZIデータ列の候補の1つが入力されて、入力したNRZIデータ列が「1」となる毎、すなわち、元のNRZデータ列を構成するランの境界が出現する毎に再生信号のサンプルの値をホールドする。
ラン毎のメトリック計算部9Bでは、再生信号のサンプル列と、サンプルホールド部9Aから出力されたサンプルホールド信号と、NRZIデータ列の候補の1つが入力されて、入力したNRZIデータ列が「1」となる毎、すなわち、元のNRZデータ列を構成するランの境界が出現する毎に、再生信号のサンプル値とサンプルホールド信号のサンプル値との差の絶対値が出力される。
積算部9Cでは、ラン毎のメトリック計算部9Bから出力されたラン毎にメトリック出力信号が積算されて、NRZIデータ列の元のNRZデータ列が有する全体のメトリックとして出力される。
【0039】
図10は、データ列のメトリックの計算方法を示すタイミングチャートである。図10の最上段には再生信号のサンプル列を示し、二段目にはNRZIデータ列を示し、三段目にはサンプルホールド信号を示し、四段目にラン毎のメトリック信号を示している。サンプルホールド信号は、NRZIデータ列が「1」となる毎に、再生信号のサンプルの値rn をサンプルホールドしている。ラン毎のメトリック信号は、NRZIデータ列が「1」となる毎に、その時刻における再生信号のサンプルの値rn と、その時刻の直前におけるサンプルホールド信号のサンプルの値rn−1 との間の差の絶対値|rn −rn−1 |を第n−1番目のランのメトリックとして出力している。
【0040】
以上のように構成することで、記録媒体や伝送媒体を通して再生した再生信号からデータ列を復号する復号法において、候補となるデータ列の中から、データ列を構成している各ランのランレングスの組み合わせを最も尤らしくするデータ列を選択して出力する復号方法を実現することができる。
なお、本実施の形態例を実現する手段として、データ列の候補を生成する部分は、例えば図3で示したデータ列候補生成部2Aによって実現でき、また、各ランのランレングスの組合せたときの尤度を最大とするようなデータ列を選択する部分は、例えば図4で示したデータ列選択部2Bによって実現される。
【0041】
また、請求項2におけるデータ列の候補を検出する方法は、図5で示した二レベル判定部によって実現できる。
また、請求項3におけるデータ列の候補を検出する方法は、図6で示したサンプル大小比較部によって実現できる。
また、請求項4におけるデータ列の各ランが有するメトリックを計算する方法は図10に示した動作で実現できる。また、データ列全体のメトリックを検出する方法は、図9で示した構成で実現できる。
【0042】
また、請求項5におけるデータ列の各ランが有するメトリックを検出する方法は、図10において複数のサンプルホールドを用意し、図10におけるNRZIデータ列が「1」となるタイミングと前後のタイミングでサンプルホールドを用意することで容易に実現できる。また、データ列のメトリックは、上述の方法によって求められたメトリックを積算することによって得られる。
また、請求項6におけるデータ列の各ランが有するメトリックを検出する方法は、図10において、NRZIデータ列が「1」となる時刻における再生信号のサンプルの絶対値を各ランのメトリックとして出力することで容易に実現できる。また、データ列全体のメトリックは、上述の方法によって求められたメトリックを積算することによって得られる。
また、請求項7におけるデータ列のメトリックは、上記の請求項5、6を実現する方法を併用することで実現できる。
【0043】
また、図2において、データ列候補生成部2Aからデータ列選択部2Bに転送されるデータ列候補の信号は、NRZによるデータ列ではなく、NRZIによるデータ列としてもよい。この場合、図4におけるNRZI変換装置4B、および、図7におけるNRZ変換装置7Bを省略し、代りに、図4におけるデータ列選択装置4Cの後段に、NRZ変換装置を配置すればよい。
また、以上の方法は、ある程度の再生信号サンプル列をメモリに記憶した上で復号するような形態である。リアルタイムによる検出方法も可能であるが、その詳細はここでは省略する。
【0044】
以上のように本実施の形態による復号方法及び復号装置によれば、従来のPRML法と異なり、ラン毎でデータ列の尤度の判定を行うことが可能になる。したがって、オフセットノイズなどの低い周波数のノイズから生じるバーストエラ−に対して効果を発揮することが可能となる。
したがって、本実施の形態による復号方法及び復号装置によれば、昨今の記録再生技術における高密度化において要求される高い精度のデータ判定能力を実現することが可能となる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の復号方法及び復号装置によれば、データ列の候補の中から、前記データ列を構成する各ランのランレングスの組み合わせが最も尤らしくなるデータ列を選択するようにしたことで、バーストエラーの原因となるような例えばランの両端にわたって相関のあるような長い周期のノイズが発生している場合でも、適正な復号を実現できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態例における復号方法を適用した記録情報再生装置の概要を示す図である。
【図2】図1に示す記録情報再生装置における復号装置の構成例を示す図である。
【図3】図1に示す記録情報再生装置におけるデータ列候補生成部の構成例を示す図である。
【図4】図2に示す最尤復号装置におけるデータ列選択部の構成例を示す図である。
【図5】図3に示すデータ列候補生成部における二レベル判定回路の構成例を示す図である。
【図6】図3に示すデータ列候補生成部におけるサンプル比較回路の構成例を示す図である。
【図7】図3に示すデータ列候補生成部におけるデータ列候補生成回路の構成例を示す図である。
【図8】図7に示すデータ列候補生成回路におけるNRZIデータ列候補生成部の動作例を示すタイミングチャートである。
【図9】図4に示すデータ列選択部におけるメトリック計算部の構成例を示す図である。
【図10】図9に示すメトリック計算部におけるデータ列のメトリックの計算方法を示すタイミングチャートである。
【図11】記録媒体から再生された再生信号をチャネルビットクロックでサンプリングした場合の波形例を示す説明図である。
【図12】過去のサンプルから推定されたスライスレベルによって図11に示す再生信号のサンプルを二値化して復号する場合の波形例を示す説明図である。
【図13】パーシャルレスポンス最尤復号によって図11に示す再生信号のサンプルを復号する場合の波形例を示す説明図である。
【図14】記録媒体に記録した際のデータ列のエッジ部で図11に示す再生信号のサンプリングした場合の波形例を示す説明図である。
【図15】記録媒体に記録した際のデータ列のエッジ部以外で図11に示す再生信号のサンプリングした場合の波形例を示す説明図である。
【図16】記録媒体に記録した際のデータ列のエッジ部とその前後における再生信号のサンプリングした場合の波形例を示す説明図である。
【符号の説明】
1A……記録媒体、1B……ピックアップ、1C……ADコンバータ、1D……復号装置、2A……データ列候補生成部、2B……データ列選択部、3A……二レベル判定部、3B……サンプル比較部、3C……データ列候補生成部、4A……メトリック計算部、4B……NRZI変換部、4C……データ選択部、4D……遅延ライン、6A……サンプル大小比較部、6B、6C……フリップフロップ、7A……NRZIデータ列候補生成部、7B……NRZ変換部。
Claims (30)
- 記録媒体から再生した再生信号または伝送媒体を通して入力した再生信号から元のデータ列を復号する復号方法であって、
データ列の尤度が、データ列を構成するランのランレングスの組み合わせによって定義され、
前記データ列の尤度が最大となるようなデータ列が出力される、
ことを特徴とする復号方法。 - 前記データ列は、
前記データ列を構成するn番目のランの始まる時刻をt(n)とし、前記再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)とした場合に、
前記データ列のランの境界を再生した再生信号のサンプルr(t(n))が、再生信号のセンターレベルの上下に配した所定の第1の判定レベルa(a>0)と第2の判定レベル−b(b>0)の間の振幅を有しているサンプルである、
ことを特徴とする請求項1記載の復号方法。 - 前記データ列は、
元のデータ列の最小ランレングスをd、チャネルビットクロックの周期をT、前記データ列を構成するn番目のランの始まる時刻をt(n)、時刻tにおける再生信号の振幅をr(t)として、
時刻t(n)−0.5dTから時刻t(n)+0.5dTまでの時間で1クロック毎にサンプリングしたd+1個の再生信号のレベルr(t(n)−0.5dT)・・・r(t(n)+0.5dT)がみたす大小関係が、
単調増加
r(t(n)−0.5dT)≦・・・≦r(t(n)+0.5dT)
あるいは、単調減少
r(t(n)−0.5dT)≧・・・≧r(t(n)+0.5dT)
となるデータ列である、
ことを特徴とする請求項1記載の復号方法。 - 前記データ列の尤度は、
再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、データ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、
前記n番目のランの境界t1=t(n)、t2=t(n)+r(n)を再生してサンプリングした再生信号の2つのサンプルr(t1)、r(t2)の振幅レベルにおける距離
mb (n)=|r(t1)−r(t2)|
をn番目のランのメトリックとして、
前記データ列を構成する全てのランのメトリックを積算したメトリック
M = Σn mb (n)
に対して単調減少の関係にある値として定義されている、
ことを特徴とする請求項1記載の復号方法。 - 前記データ列の尤度は、
再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、前記データ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)、kを0≦k≦r(n)/2なる整数または半整数とし、
前記n番目のランにおける2つの時刻t1=t(n)+k、及びt2=t(n)+r(n)−kで再生信号をサンプリングした2つのサンプルの振幅レベル差、
d(n、k)=|r(t1)−r(t2)|
を前記n番目のランに含まれる全てのサンプルにわたって積算した値
mb (n)=Σk d(n、k)
を前記n番目のランにおけるメトリックとして、
前記データ列を構成する全てのランにおけるメトリックを積算したメトリックM = Σn mb (n)
に対して単調減少の関係にある値として定義されている、
ことを特徴とする請求項1記載の復号方法。 - 前記データ列の尤度は、
再生信号の時刻tにおける振幅をr(t)、前記データ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、
前記n番目のランの両端t1=t(n)、t2=t(n)+r(n)を再生してサンプリングした2つのサンプルの振幅r(t1)、r(t2)の絶対値の和
ms (n)=|r(t(n))|+|r(t(n)+r(n))|
を前記n番目のランにおけるメトリックとし、
前記データ列を構成する全てのランにおける積算して得られるメトリック
M =Σn ms (n)
に対して単調減少の関係にある値によって定義されている、
ことを特徴とする請求項1記載の復号方法。 - 前記データ列の尤度は、
前記再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、前記データ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、
前記ランの両端t1=t(n)、t2=t(n)+r(n)で再生してサンプリングした2つのサンプルの振幅r(t1)、r(t2)の絶対値の和で定義されるメトリック
ms (n)=|r(t1)|+|r(t2)|
および、差の絶対値で定義されるメトリック
mb(n)=|r(t1)−r(t2)|
に対して、
メトリックmb (n)とメトリックms (n)を所定の比α:βで加算して得られるメトリック
m(n)=αmb (n)+βms (n)
を前記n番目のランにおけるメトリックとして、
前記データ列を構成する全てのランにおけるメトリックを積算したメトリック
M =Σn m(n)
に対して単調減少の関係にある値によって定義されている、
ことを特徴とする請求項1記載の復号方法。 - 前記データ列の尤度は、
前記再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、前記データ列を構成するn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、
前記n番目のランの両端t1=t(n)、t2=t(n)+r(n)を再生してサンプリングした2つのサンプルr(t1)、r(t2)の距離の二乗
mb (n)=|r(t1)−r(t2)|2
を前記n番目のランにおけるメトリックとして、
前記データ列を構成する全てランにおけるメトリックを積算したメトリック
M = Σn mb (n)
に対して単調減少の関係にある値として与えられる、
ことを特徴とする請求項1記載の復号方法。 - 前記データ列の尤度は、
前記再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、前記データ列を構成するn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、さらに、kを0≦k≦r(n)/2なる整数または半整数として、
前記データ列を構成するランに含まれる所定の2つの時刻t1=t(n)+k、及びt2=t(n)+r(n)−kで再生信号をサンプリングした2つのサンプルの距離、
d(n、k)=|r(t1)−r(t2)|2
を前記n番目のランに含まれる全てのサンプルにわたって積算した値
mb (n)=Σk d(n、k)
を前記n番目のランにおけるメトリックとし、
前記データ列を構成する全てのランにおけるメトリックを積算したメトリック
M = Σn mb (n)
に対して単調減少の関係にある値として定義されている、
ことを特徴とする請求項1記載の復号方法。 - 前記データ列の尤度は、
前記再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、前記データ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、
前記n番目のランの両端t1=t(n)、t2=t(n)+r(n)を再生してサンプリングした2つのサンプルr(t1)、r(t2)の振幅の二乗を加算した値
ms (n)=|r(t(n))|2+|r(t(n)+r(n))|2
を前記n番目のランにおけるメトリックとし、
前記データ列を構成する全てのランにおけるメトリックを積算したメトリック
M =Σn ms (n)
に対して単調減少の関係にある値によって定義されている、
ことを特徴とする請求項1記載の復号方法。 - 前記データ列の尤度は、
再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、n番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、
前記n番目のランの両端t1=t(n)、t2=t(n)+r(n)で再生してサンプリングした2つのサンプルの振幅r(t1)、r(t2)の二乗の和で定義されるメトリック
ms (n)=|r(t1)|2+|r(t2)|2
および、差の二乗で定義されるメトリック
mb(n)=|r(t1)−r(t2)|2
を所定の比α:βで加算したメトリック
m(n)=αmb (n)+βms (n)
を前記n番目のランにおけるメトリックとし、
前記データ列を構成する全てのランにおけるメトリックを積算したメトリック
M =Σn m(n)
に対して単調減少の関係にある値によって定義されている、
ことを特徴とする請求項1記載の復号方法。 - 前記データ列の尤度は、
再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、前記データ列を構成するn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、
前記n番目のランの両端t1=t(n)、t2=t(n)+r(n)を再生してサンプリングした2つのサンプルr(t1)、r(t2)の振幅レベルにおける距離と単調増加の関係にある値を前記ランにおけるメトリックとして、
前記データ列を構成する全てのランにおけるメトリックを積算したメトリックに対して単調減少の関係にある値として定義される、
ことを特徴とする請求項1記載の復号方法。 - 前記データ列の尤度は、
再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、前記データ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)、kを0≦k≦r(n)/2なる整数または半整数とし、
前記n番目のランにおける2つの時刻t1=t(n)+k、及びt2=t(n)+r(n)−kで再生信号をサンプリングした2つのサンプルr(t1)、r(t2)の振幅レベル差の絶対値と単調増加の関係にある値を、前記n番目のランにおける全てのサンプルにわたって積算した値を、前記n番目のランにおけるメトリックとし、
前記データ列における全てのランのメトリックを積算して得られるメトリックに対して単調減少の関係にある値として定義されている、
ことを特徴とする請求項1記載の復号方法。 - 前記データ列の尤度は、
前記再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、前記データ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、
前記ランの両端t1=t(n)、t2=t(n)+r(n)で再生してサンプリングした2つのサンプルの振幅r(t1)、r(t2)の絶対値と単調増加の関係にある値を加算して得られた和を前記ランにおけるメトリックとし、
前記データ列における全てのランのメトリックを積算して得たメトリックに対して単調減少の関係にある値によって定義されている、
ことを特徴とする請求項1記載の復号方法。 - 前記データ列の尤度は、
再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、前記データ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、
前記ランの両端t1=t(n)、t2=t(n)+r(n)で再生してサンプリングした2つのサンプルの振幅r(t1)、r(t2)の絶対値の和に対して単調増加の関係にある値と、振幅r(t1)、r(t2)の差の絶対値と単調増加の関係にある値を、所定の比α:βで加算したメトリックを、前記n番目ランにおけるメトリックとし、前記データ列における全てのランのメトリックを積算して得たメトリックに対して単調減少の関係にある値によって定義されている、
ことを特徴とする請求項1記載の復号方法。 - 記録媒体から再生した再生信号または伝送媒体を通して入力した再生信号から元のデータ列を復号する復号装置であって、
データ列の尤度が、データ列を構成するランのランレングスの組み合わせによって定義され、
前記データ列の尤度が最大となるようなデータ列が出力される、
ことを特徴とする復号装置。 - 前記データ列は、
前記データ列を構成するn番目のランの始まる時刻をt(n)とし、前記再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)とした場合に、
前記データ列のランの境界を再生した再生信号のサンプルr(t(n))が、再生信号のセンターレベルの上下に配した所定の第1の判定レベルa(a>0)と第2の判定レベル−b(b>0)の間の振幅を有しているサンプルである、
ことを特徴とする請求項16記載の復号装置。 - 前記データ列は、
元のデータ列の最小ランレングスをd、チャネルビットクロックの周期をT、前記データ列を構成するn番目のランの始まる時刻をt(n)、時刻tにおける再生信号の振幅をr(t)として、
時刻t(n)−0.5dTから時刻t(n)+0.5dTまでの時間で1クロック毎にサンプリングしたd+1個の再生信号のレベルr(t(n)−0.5dT)・・・r(t(n)+0.5dT)がみたす大小関係が、
単調増加
r(t(n)−0.5dT)≦・・・≦r(t(n)+0.5dT)
あるいは、単調減少
r(t(n)−0.5dT)≧・・・≧r(t(n)+0.5dT)
となるデータ列である、
ことを特徴とする請求項16記載の復号装置。 - 前記データ列の尤度は、
再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、データ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、
前記n番目のランの境界t1=t(n)、t2=t(n)+r(n)を再生してサンプリングした再生信号の2つのサンプルr(t1)、r(t2)の振幅レベルにおける距離
mb (n)=|r(t1)−r(t2)|
をn番目のランのメトリックとして、
前記データ列を構成する全てのランのメトリックを積算したメトリック
M = Σn mb (n)
に対して単調減少の関係にある値として定義されている、
ことを特徴とする請求項16記載の復号装置。 - 前記データ列の尤度は、
再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、前記データ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)、kを0≦k≦r(n)/2なる整数または半整数とし、
前記n番目のランにおける2つの時刻t1=t(n)+k、及びt2=t(n)+r(n)−kで再生信号をサンプリングした2つのサンプルの振幅レベル差、
d(n、k)=|r(t1)−r(t2)|
を前記n番目のランに含まれる全てのサンプルにわたって積算した値
mb (n)=Σk d(n、k)
を前記n番目のランにおけるメトリックとして、
前記データ列を構成する全てのランにおけるメトリックを積算したメトリック
M = Σn mb (n)
に対して単調減少の関係にある値として定義されている、
ことを特徴とする請求項16記載の復号装置。 - 前記データ列の尤度は、
再生信号の時刻tにおける振幅をr(t)、前記データ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、
前記n番目のランの両端t1=t(n)、t2=t(n)+r(n)を再生してサンプリングした2つのサンプルの振幅r(t1)、r(t2)の絶対値の和
ms (n)=|r(t(n))|+|r(t(n)+r(n))|
を前記n番目のランにおけるメトリックとし、
前記データ列を構成する全てのランにおける積算して得られるメトリック
M =Σn ms (n)
に対して単調減少の関係にある値によって定義されている、
ことを特徴とする請求項16記載の復号装置。 - 前記データ列の尤度は、
前記再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、前記データ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、
前記ランの両端t1=t(n)、t2=t(n)+r(n)で再生してサンプリングした2つのサンプルの振幅r(t1)、r(t2)の絶対値の和で定義されるメトリック
ms (n)=|r(t1)|+|r(t2)|
および、差の絶対値で定義されるメトリック
mb(n)=|r(t1)−r(t2)|
に対して、
メトリックmb (n)とメトリックms (n)を所定の比α:βで加算して得られるメトリック
m(n)=αmb (n)+βms (n)
を前記n番目のランにおけるメトリックとして、
前記データ列を構成する全てのランにおけるメトリックを積算したメトリック
M =Σn m(n)
に対して単調減少の関係にある値によって定義されている、
ことを特徴とする請求項16記載の復号装置。 - 前記データ列の尤度は、
前記再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、前記データ列を構成するn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、
前記n番目のランの両端t1=t(n)、t2=t(n)+r(n)を再生してサンプリングした2つのサンプルr(t1)、r(t2)の距離の二乗
mb (n)=|r(t1)−r(t2)|2
を前記n番目のランにおけるメトリックとして、
前記データ列を構成する全てランにおけるメトリックを積算したメトリック
M = Σn mb (n)
に対して単調減少の関係にある値として与えられる
ことを特徴とする請求項16記載の復号装置。 - 前記データ列の尤度は、
前記再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、前記データ列を構成するn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、さらに、kを0≦k≦r(n)/2なる整数または半整数として、
前記データ列を構成するランに含まれる所定の2つの時刻t1=t(n)+k、及びt2=t(n)+r(n)−kで再生信号をサンプリングした2つのサンプルの距離、
d(n、k)=|r(t1)−r(t2)|2
を前記n番目のランに含まれる全てのサンプルにわたって積算した値
mb (n)=Σk d(n、k)
を前記n番目のランにおけるメトリックとし、
前記データ列を構成する全てのランにおけるメトリックを積算したメトリック
M = Σn mb (n)
に対して単調減少の関係にある値として定義されている、
ことを特徴とする請求項16記載の復号装置。 - 前記データ列の尤度は、
前記再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、前記データ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、
前記n番目のランの両端t1=t(n)、t2=t(n)+r(n)を再生してサンプリングした2つのサンプルr(t1)、r(t2)の振幅の二乗を加算した値
ms (n)=|r(t(n))|2+|r(t(n)+r(n))|2
を前記n番目のランにおけるメトリックとし、
前記データ列を構成する全てのランにおけるメトリックを積算したメトリック
M =Σn ms (n)
に対して単調減少の関係にある値によって定義されている、
ことを特徴とする請求項16記載の復号装置。 - 前記データ列の尤度は、
再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、n番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、
前記n番目のランの両端t1=t(n)、t2=t(n)+r(n)で再生してサンプリングした2つのサンプルの振幅r(t1)、r(t2)の二乗の和で定義されるメトリック
ms (n)=|r(t1)|2+|r(t2)|2
および、差の二乗で定義されるメトリック
mb(n)=|r(t1)−r(t2)|2
を所定の比α:βで加算したメトリック
m(n)=αmb (n)+βms (n)
を前記n番目のランにおけるメトリックとし、
前記データ列を構成する全てのランにおけるメトリックを積算したメトリック
M =Σn m(n)
に対して単調減少の関係にある値によって定義されている、
ことを特徴とする請求項16記載の復号装置。 - 前記データ列の尤度は、
再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、前記データ列を構成するn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、
前記n番目のランの両端t1=t(n)、t2=t(n)+r(n)を再生してサンプリングした2つのサンプルr(t1)、r(t2)の振幅レベルにおける距離と単調増加の関係にある値を前記ランにおけるメトリックとして、
前記データ列を構成する全てのランにおけるメトリックを積算したメトリックに対して単調減少の関係にある値として定義される、
ことを特徴とする請求項16記載の復号装置。 - 前記データ列の尤度は、
再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、前記データ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)、kを0≦k≦r(n)/2なる整数または半整数とし、
前記n番目のランにおける2つの時刻t1=t(n)+k、及びt2=t(n)+r(n)−kで再生信号をサンプリングした2つのサンプルr(t1)、r(t2)の振幅レベル差の絶対値と単調増加の関係にある値を、前記n番目のランにおける全てのサンプルにわたって積算した値を、前記n番目のランにおけるメトリックとし、
前記データ列における全てのランのメトリックを積算して得られるメトリックに対して単調減少の関係にある値として定義されている、
ことを特徴とする請求項16記載の復号装置。 - 前記データ列の尤度は、
前記再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、前記データ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、
前記ランの両端t1=t(n)、t2=t(n)+r(n)で再生してサンプリングした2つのサンプルの振幅r(t1)、r(t2)の絶対値と単調増加の関係にある値を加算して得られた和を前記ランにおけるメトリックとし、
前記データ列における全てのランのメトリックを積算して得たメトリックに対して単調減少の関係にある値によって定義されている、
ことを特徴とする請求項16記載の復号装置。 - 前記データ列の尤度は、
再生信号の時刻tにおける信号振幅をr(t)、前記データ列におけるn番目のランの開始時刻をt(n)、ランレングスをr(n)とし、
前記ランの両端t1=t(n)、t2=t(n)+r(n)で再生してサンプリングした2つのサンプルの振幅r(t1)、r(t2)の絶対値の和に対して単調増加の関係にある値と、振幅r(t1)、r(t2)の差の絶対値と単調増加の関係にある値を、所定の比α:βで加算したメトリックを、前記n番目ランにおけるメトリックとし、前記データ列における全てのランのメトリックを積算して得たメトリックに対して単調減少の関係にある値によって定義されている、
ことを特徴とする請求項16記載の復号装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002235502A JP2004079039A (ja) | 2002-08-13 | 2002-08-13 | 復号方法及び復号装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002235502A JP2004079039A (ja) | 2002-08-13 | 2002-08-13 | 復号方法及び復号装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2004079039A true JP2004079039A (ja) | 2004-03-11 |
Family
ID=32019976
Family Applications (1)
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JP2002235502A Pending JP2004079039A (ja) | 2002-08-13 | 2002-08-13 | 復号方法及び復号装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004079039A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007071917A (ja) * | 2005-09-02 | 2007-03-22 | Pentax Corp | 反射防止構造を有する光学素子 |
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2002
- 2002-08-13 JP JP2002235502A patent/JP2004079039A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007071917A (ja) * | 2005-09-02 | 2007-03-22 | Pentax Corp | 反射防止構造を有する光学素子 |
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