JP2004078158A - 光導波路、光モジュールおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光軸調整を容易にして、性能、低コスト性を兼ね備えた光導波路、光モジュール、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】光モジュールは、第1の基板1、第2の基板2、PD3、LD4、および光ファイバ5を備えている。第1および第2の基板1および2の内部には、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cが形成される。第1および第2の光導波路コア1cおよび2cは、第1および第2の基板1および2が接合されることによって、それぞれ光接続部を構成する。LD4は、第2の光導波路コア2cおよび光ファイバ5を介して、光信号を送信することが可能である。また、光ファイバ5から第2の光導波路コア2cに出射される光信号は、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの光接続部を介して第1の光導波路コア1cを伝搬し、PD3で受信することが可能である。
【選択図】 図1
【解決手段】光モジュールは、第1の基板1、第2の基板2、PD3、LD4、および光ファイバ5を備えている。第1および第2の基板1および2の内部には、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cが形成される。第1および第2の光導波路コア1cおよび2cは、第1および第2の基板1および2が接合されることによって、それぞれ光接続部を構成する。LD4は、第2の光導波路コア2cおよび光ファイバ5を介して、光信号を送信することが可能である。また、光ファイバ5から第2の光導波路コア2cに出射される光信号は、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの光接続部を介して第1の光導波路コア1cを伝搬し、PD3で受信することが可能である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光導波路、光モジュール、およびそれらの製造方法に関し、より特定的には、光通信等に用いられる光信号を分岐結合して伝搬させる光導波路、光モジュール、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、公衆通信やコンピュータネットワーク等では、高速化、高機能化を目的として広帯域性をもつ光通信を利用し、波長多重光伝送や双方向光伝送の機能を付加した光通信システムが浸透しつつある。この光通信分野において、高度な光信号処理を行うために、各種機能を持つ光集積回路の研究が盛んに行われている。光集積回路は、光導波路を基本要素としており、光導波路は、屈折率の高いコア領域を相対的に屈折率の低いクラッド層で覆うことによって、コア領域に光を閉じこめて伝搬させるものであり、コアをパターン化して配列することで、多種の機能を実現している。特に、石英系光導波路は、低損失性、物理的・化学的安定性、光ファイバとの整合性等数々のメリットを有しており、代表的な受動光導波路となっている。光導波路の製造方法としては、コア・クラッド膜形成方法として火炎堆積法を用い、コアパターン形成法として反応性イオンエッチング法を用いるものが代表的である。上記コア・クラッド膜形成方法としては、火炎堆積法以外にCVD(Chemical Vapor Deposition)法、真空蒸着法、スパッタ法等も提案されている。
【0003】
また、上記光導波路上に光半導体素子等を搭載し、小型化、多機能化、低コスト化する技術が有力視されており、現在盛んに研究が行われている。これらのモジュールでは、Si基板上に石英系光導波路を形成した光導波路プラットホーム上に半導体レーザやフォトダイオードなどの光半導体素子を搭載し、集積化を行っている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
図10は、特許文献1で開示された光モジュールの構造を示す図である。図10において、当該光モジュールは、予めエッチング等により加工を行ったSi基板101上に、火炎堆積法等を用いて石英系の光導波路コア102cを有する光導波路基板102を形成する。その後、当該光モジュールは、光導波路基板102の余剰に堆積した石英系材料を除去した空間に対して、レーザダイオード(LD)103およびフォトダイオード(PD)104を実装する。これらLD103およびPD104は、Si基板101あるいは光導波路基板102上に実装される。
【0005】
光導波路コア102cは、光導波路基板102の側面に一方の端面102caを形成している。また、光導波路コア102cは、PD104が実装される上記空間に形成される光導波路基板102の側面に他方の側面102cbを形成している。そして、光導波路コア102cは、分岐路を有しており、当該分岐路を伝搬する光信号を端面102caおよび102cb間に形成されている光導波路コア102cの中間点に形成される反射面102crで反射することによって端面102caに伝送されるように当該分岐路が形成されている。この光導波路コア102cの分岐路は、反射面102crとLD103が実装される上記空間に形成される光導波路基板102の側面とを接続し、当該側面に端面102ccを形成する。
【0006】
上述した光導波路コア102cの分岐部に形成されている反射面102crは、光フィルタ105によって構成されている。この光フィルタ105は、一体となったSi基板101および光導波路基板102にダイシング等の加工によって溝を形成し、当該溝に挟入および固定することによって配置される。つまり、上記溝によって端面102caおよび102cb間に形成されている光導波路コア102cがその中間点で切断され、上記溝は、光フィルタ105を挟入することによって埋められる。したがって、典型的には、光フィルタ105は、光導波路コア102cの断面形状より充分に大きな面積を有しており、反射面102crは、光フィルタ105の一方面の一部と光導波路コア102cの上記切断面とが接合することによって形成される。この光フィルタ105は、当該光モジュールに光波長多重等の機能を持たせるために、所望の波長範囲に含まれる波長を有する光信号を透過し、当該波長範囲以外の波長を有する光信号を反射させる特性を有している。
【0007】
次に、上記光モジュールにおける光信号の伝搬について説明する。LD103は、光フィルタ105が反射する上記波長範囲に含まれる波長の光信号を端面102ccに向けて出射する。LD103から出射した光信号は、端面102ccから光導波路コア102cの分岐路を伝搬し、反射面102crに入射する。この光信号の波長が光フィルタ105が反射する上記波長範囲に含まれるため、反射面102crに入射した光信号は、反射面102crで反射し、光導波路コア102cの内部を端面102caに向けて伝搬され、端面102caから出射される。
【0008】
一方、端面102caから光導波路コア102cに、光フィルタ105が反射する上記波長範囲に含まない波長の光信号が入射する。この光信号は、端面102caから光導波路コア102c内を伝搬して、反射面102crに入射する。この光信号の波長が光フィルタ105が反射する上記波長範囲に含まれないため、反射面102crに入射した光信号は、反射面102crを透過し、光導波路コア102cの内部を端面102cbに向けて伝搬され、端面102cbから出射される。そして、端面102cbから出射した光信号は、PD104に入射する。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−68705号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記光モジュールの光導波路コア102cの分岐部は、伝搬する光信号の損失を抑制するために微細で高精度なパターンを形成する必要がある。例えば、LD103から出射され、反射面102crで反射した後、端面102caから出射される光信号に対しては、端面102caおよび102cb間に形成されている光導波路コア102cとその分岐路との間の角度を、当該光信号の反射角に合致させなければならない。さらに、上記反射角は、光フィルタ105と端面102caおよび102cb間に形成されている光導波路コア102cおよびその分岐路との間で形成する角度も大きく影響する。この光フィルタ105の角度は、上述した一体となったSi基板101および光導波路基板102に加工することによって形成される溝で決定されるため、高精度な溝加工が要求される。また、好ましくは、上記溝には光フィルタ105が隙間なく挟入されるのが望ましいが、このような寸法精度を安定させることが非常に困難であり、光フィルタ105は、若干の隙間を有した状態で上記溝に挟入される場合が多い。この場合、光フィルタ105と上記溝との隙間が光信号の伝搬に影響しない接着剤等で埋められる。しかし、上記光フィルタ105の角度は、上記隙間が接着剤等で埋められても、当該溝内部での光フィルタ105の反りや傾きによって大きく変化する。
【0011】
このような上記光モジュールを伝搬する光信号の損失を抑制するためには、当該光信号がシングルモードの場合、±1μm以下の位置精度、位置調整、組立、および固定が必要となる。これらの位置精度を満足させるために、現状高精度な加工機等の製造機械を用いる必要があり、光軸調整等の位置調整については、何軸もの自動調整機構を備えたシステムで行われ、上記光モジュールの量産性および経済性の面で多大な問題を有していた。したがって、上記光モジュールについては、大量生産には不向きで低コスト化が困難であるという課題を有していた。
【0012】
それ故に、本発明の目的は、光軸調整を容易にして、性能、低コスト性を兼ね備えた光導波路、光モジュール、およびそれらの製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記目的を達成するために、本発明は、以下に述べるような特徴を有している。
第1の発明は、光信号を分岐結合する光導波路であって、
その下面と平行に第1の光導波路コアが内部に形成された第1の基板と、
その上面と平行に第2の光導波路コアが内部に形成された第2の基板とを備え、
第1の基板の下面および第2の基板の上面を接合し、第1および第2の光導波路コアのそれぞれ一部が接触するように重ねることによって、第1および第2の光導波路コアの間の光接続部を形成する。
【0014】
第1の発明によれば、第1および第2の光導波路コアが重なることによって形成される光接続部によって、受信した光信号を分岐したり、送信する光信号を結合する機能を実現できる。また、上記光分岐結合機能を備えるための第1および第2の光導波路コア同士の光軸調整は容易であり、その光導波路を低コストで大量生産することができる。
【0015】
第2の発明は、第1の発明に従属する発明であって、
第1の光導波路コアは、第1の基板の下面に対して平行に形成された凹形状の第1の溝に、相対的に高い屈折率を有する高屈折率材料を充填することによって形成され、
第2の光導波路コアは、第2の基板の上面に対して平行に形成された凹形状の第2の溝に、相対的に高い屈折率を有する高屈折率材料を充填することによって形成され、
第1の基板の下面および第2の基板の上面とは、相対的に高い屈折率を有する高屈折率材料によって接合される。
【0016】
第2の発明によれば、第1および第2の光導波路コアは、成形された第1および第2の溝に高屈折率材料を充填するだけで容易に形成することが可能であるため、低コストな光導波路を大量生産することが可能である。
【0017】
第3の発明は、第1の発明に従属する発明であって、
第1および第2の基板が有する屈折率は、互いに異なっており、
第1および第2の光導波路コアの断面形状は、それらの断面形状の幅および高さの少なくとも一方が互いに異なっている。
【0018】
第3の発明によれば、第1および第2の光導波路コアの断面形状と、第1および第2の基板の屈折率を調整することによって、伝搬する光信号に対して波長分離する機能を付加することができる。
【0019】
第4の発明は、第1の発明に従属する発明であって、
第1の基板の下面および第2の基板の上面に対して互いの接合位置関係を調整することによって、その面積を増減させた光接続部を形成する。
【0020】
第4の発明によれば、第1および第2の光導波路コアが重複する光接続部の面積を増減することで、受信した光信号を第1および第2の光導波路コアへ所望の分岐比で分岐したり、送信するそれぞれの光エネルギの比を調整することができる。
【0021】
第5の発明は、第2の発明に従属する発明であって、
第1および第2の溝に充填し、かつ第1の基板の下面と第2の基板の上面とを接合する高屈折率材料は、同じ紫外線硬化樹脂であることを特徴とする。
【0022】
第5の発明によれば、第1および第2の基板を接合する接合材料として、第1および第2の基板に形成された第1および第2の溝に充填する紫外線硬化樹脂と同じものを用いることによって、第1および第2の光導波路コアの形成と第1および第2の基板の接合とを、同じ高屈折率材料を用いて1度の作業工程で行うことができる。
【0023】
第6の発明は、第2の発明に従属する発明であって、
第1および第2の溝に充填し、かつ第1の基板の下面と第2の基板の上面とを接合する高屈折率材料は、同じガラス系材料であることを特徴とする。
【0024】
第6の発明によれば、第1および第2の基板を接合する接合材料として、第1および第2の基板に形成された第1および第2の溝に充填するガラス系材料と同じものを用いることによって、第1および第2の光導波路コアの形成と第1および第2の基板の接合とを、同じ高屈折率材料を用いて1度の作業工程で行うことができる。
【0025】
第7の発明は、第2の発明に従属する発明であって、
第1および第2の基板は、低屈折率材料としてガラス系材料が第1および第2の溝を含めて成形されることによって形成されることを特徴とする。
【0026】
第8の発明は、第2の発明に従属する発明であって、
第1および第2の基板は、低屈折率材料として透明樹脂が第1および第2の溝を含めて成形されることによって形成されることを特徴とする。
【0027】
第7および第8の発明によれば、第1および第2の基板の内部に形成される第1および第2の光導波路コアを伝搬する光信号の光損失を低減し、容易にクラッドを形成することができる。
【0028】
第9の発明は、第1の発明に従属する発明であって、
第1および第2の基板は、それぞれの所定の位置に設けられた位置決め用マーカを用いて位置決めされることを特徴とする。
【0029】
第9の発明によれば、第1および第2の基板の光軸位置について、それぞれに設けられたマーカを用いて、容易に調整することができる。
【0030】
第10の発明は、光導波路および光素子の間に光信号を分岐結合して伝搬させる光モジュールであって、
その下面と平行に第1の光導波路コアが内部に形成された第1の基板と、
その上面と平行に第2の光導波路コアが内部に形成された第2の基板と、
第1および第2の基板の少なくとも一方に固定された光ファイバと、
第2の基板の上面の一部に実装され、第1および第2の光導波路コアのそれぞれの一方端面と光接続される複数の光素子とを備え、
第1の基板の下面および第2の基板の上面を接合し、第1および第2の光導波路コアのそれぞれ一部が接触するように重ねることによって、第1および第2の光導波路コアの間の光接続部を形成する。
【0031】
第10の発明によれば、第1および第2の光導波路コアが重なることによって形成される光接続部によって、受信した光信号を分岐したり、送信する光信号を結合する機能を実現できる。また、上記光分岐結合機能を備えるための第1および第2の光導波路コア同士の光軸調整は容易であり、その光モジュールを低コストで大量生産することができる。さらに、その光モジュールは、光ファイバおよび複数の光素子の間を送受信する光信号を光接続部を介して分岐結合して伝搬させることができる。
【0032】
第11の発明は、第10の発明に従属する発明であって、
第1の光導波路コアは、第1の基板の下面に対して平行に形成された凹形状の第1の溝に、相対的に高い屈折率を有する高屈折率材料を充填することによって形成され、
第2の光導波路コアは、第2の基板の上面に対して平行に形成された凹形状の第2の溝に、相対的に高い屈折率を有する高屈折率材料を充填することによって形成され、
第1の基板の下面および第2の基板の上面とは、相対的に高い屈折率を有する高屈折率材料によって接合される。
【0033】
第12の発明は、第10の発明に従属する発明であって、
第1および第2の基板が有する屈折率は、互いに異なっており、
第1および第2の光導波路コアの断面形状は、それらの断面形状の幅および高さの少なくとも一方が互いに異なっている。
【0034】
第13の発明は、第10の発明に従属する発明であって、
第1の基板の下面および第2の基板の上面に対して互いの接合位置関係を調整することによって、その面積を増減させた光接続部を形成する。
【0035】
第14の発明は、第11の発明に従属する発明であって、
第1および第2の溝に充填し、かつ第1の基板の下面と第2の基板の上面とを接合する高屈折率材料は、同じ紫外線硬化樹脂であることを特徴とする。
【0036】
第15の発明は、第11の発明に従属する発明であって、
第1および第2の溝に充填し、かつ第1の基板の下面と第2の基板の上面とを接合する高屈折率材料は、同じガラス系材料であることを特徴とする。
【0037】
第16の発明は、第11の発明に従属する発明であって、
第1および第2の基板は、低屈折率材料としてガラス系材料が第1および第2の溝を含めて成形されることによって形成されることを特徴とする。
【0038】
第17の発明は、第11の発明に従属する発明であって、
第1および第2の基板は、低屈折率材料として透明樹脂が第1および第2の溝を含めて成形されることによって形成されることを特徴とする。
【0039】
第18の発明は、第11の発明に従属する発明であって、
第1および第2の基板の少なくとも一方には、光ファイバをその条溝内面に沿わせて固定することによって第1および第2の光導波路コアのいずれかの他方端面および光ファイバの光軸を一致させる光ファイバ配列用溝が形成される。
【0040】
第18の発明によれば、光ファイバを光ファイバ配列用溝に沿わせて固定することによって、容易に光ファイバと第1あるいは第2の光導波路コアの光軸を一致させることができる。
【0041】
第19の発明は、第18の発明に従属する発明であって、
第1および第2の基板は、第1および第2の溝および光ファイバ配列用溝から選択される少なくとも1つが型造された成形型を用いた成形によって形成されることを特徴とする。
【0042】
第19の発明によれば、第1および第2の溝および光ファイバ配列用溝が型造された成形型を用いて、第1および第2の基板をそれぞれ1度の成形工程で一体成形することが可能であり、低コストな光モジュールを大量生産することが可能である。
【0043】
第20の発明は、第10の発明に従属する発明であって、
光素子は、光半導体素子であり、
第2の基板の上面には、伝送線路が形成され、
光素子は、伝送線路と電気的に接続される。
【0044】
第21の発明は、第20の発明に従属する発明であって、
伝送線路は、マイクロストリップ線路およびコプレナー線路の一方であることを特徴とする。
【0045】
第20あるいは第21の発明によれば、第2の基板に様々な機能が集積された光集積回路を構成できる。
【0046】
第22の発明は、光導波路および光素子の間に光信号を伝搬させる光モジュール製造方法であって、
その下面に対して凹形状の第1の溝がその下面と平行に形成された第1の基板を成形によって形成する第1の基板成形ステップと、
その上面に対して凹形状の第2の溝がその上面と平行に形成された第2の基板を成形によって形成する第2の基板成形ステップと、
第2の基板の上面に光素子を所定の位置に実装する光素子実装ステップと、
第1の基板に形成された第1の溝に第1および第2の基板が有する屈折率より相対的に高い屈折率を有する高屈折率材料を充填することによって第1の光導波路コアを形成し、かつ同じ高屈折率材料を少なくともその第1の基板の下面に塗布する高屈折率材料充填ステップと、
第2の基板に実装された光素子の光軸を基準に、第1の基板を第2の基板の上面に対して平行に位置調整し、第1および第2の光導波路コアのそれぞれ一部が接触するように重ねることによって、第1および第2の光導波路コアの間の光接続部を形成する位置調整ステップと、
第1の基板の下面と第2の基板の上面との接合により、第1の基板の下面に塗布された高屈折率材料を第2の基板に形成された第2の溝に充填することによって第2の光導波路コアを形成する接合ステップとを含む。
【0047】
第22の発明によれば、第1および第2の基板よりも相対的に高い屈折率を有する高屈折率材料を用いることによって、第1および第2の溝内部に充填されたそれらの高屈折率材料は、第1および第2の光導波路コアとして機能し、容易に光導波路コアを形成できる。そして、第1および第2の光導波路コアが重なることによって形成される光接続部によって、受信した光信号を分岐したり、送信する光信号を結合する光分岐結合機能を有する光モジュールを実現できる。また、上記光分岐結合機能を備えるための第1および第2の光導波路コアの光軸調整は容易であり、その光モジュールを低コストで大量生産することができるものである。さらに、その光モジュールの第1および第2の光導波路コアと、光素子の高さ方向の光軸調整も容易であり、他の方向の光軸調整についても第1の基板を第2の基板の上面に対して平行に位置を調整することによって、容易に調整することができるため、大量生産に向いた低コスト化が実現できる。さらに、その光モジュールの第1および第2の光導波路コアの形成および第1および第2の溝を含んだ第1および第2の基板の成形も容易であるため、低コストな光モジュールを大量生産することが可能である。
【0048】
【発明の実施の形態】
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る光モジュールの構造について説明する。なお、図1は、当該光モジュールの斜視図である。図1において、当該光モジュールは、第1の基板1、第2の基板2、フォトダイオード(PD)3、レーザダイオード(LD)4、および光ファイバ5を備えている。なお、以下の説明では、当該光モジュールをPDおよびLD3および4側から見た面を正面、光ファイバ5側から見た面を背面、第1の基板1側から見た面を上面、第2の基板2側から見た面を下面、該正面から右側の側面を右側面、および該正面から左側の側面を左側面として説明を行う。また、後述するように、第1の基板1、第2の基板2、および光ファイバ5は、互いに接着剤等の接合材料で固定されるが、図1では説明を簡単にするために、当該接合材料を図示しない。
【0049】
第2の基板2は略直方体形状を有しており、その上面には、高さ方向(図示Z軸方向)に対して段差が形成され、該上面は、この段差によって互いに平行の上段面および下段面が形成される。なお、上記段差を形成する段差形成面2sは、第2の基板2の正面に向けて形成される。
【0050】
第2の基板2の上段面の一部は、第1の基板1の下面と接合される。なお、第1の基板1の下面および第2の基板2の上段面とは、所定の接合材料にて接合され、接合材料厚さγが形成されるが、ここでは図示せず接合部の詳細については後述する。また、第2の基板2内部には、第2の光導波路コア2cが形成される。第2の光導波路コア2cは、第2の基板2の内部で、かつ上記第1の基板1の下面との接合面と接する位置に形成される。また、第2の光導波路コア2cは、第2の基板2の上段面のほぼ中央部と段差形成面2sのほぼ中央部とを結ぶ図示Y軸方向に形成されており、該段差形成面2s(正面側)に一方端面2caが形成される。また、第2の基板の上段面のほぼ中央部(背面側)には、第2の光導波路コア2cの他方端面2cbが形成される。
【0051】
また、第2の基板2の上段面には、その上段面に対して凹形状を有する光ファイバ配列用溝2fが形成される。この光ファイバ配列用溝2fは、上記第2の光導波路コア2cと同一の方向の溝として形成され、第2の基板2のほぼ中央部に配置される第2の光導波路コア2cの他方端面2cbを含む面と、第2の基板2の上記Y軸方向の背面とを空間で結んでいる。以下の説明では、光ファイバ配列用溝2fによって形成される第2の基板2の背面側の開口部を背面開口部とし、光ファイバ配列用溝2fによって形成される第2の光導波路コア2cの他方端面2cbを含む面を光ファイバ配列用溝2fの正面とする。なお、第2の光導波路コア2cおよび光ファイバ配列用溝2fの詳細な位置については、後述する。
【0052】
第2の基板2の下段面には、所定の電極パターンおよび伝送線路2pが形成される。なお、第2の基板2の下段面に形成される伝送線路2pについては、マイクロストリップ線路あるいはコプレナー線路で構成することが可能である。
【0053】
第1の基板1は略直方体形状を有しており、その正面と第2の基板2の段差形成面2sとが同一平面上に配置されるように、その下面および第2の基板2の上段面が接合される。第1の基板1内部には、第1の光導波路コア1cが形成される。第1の光導波路コア1cは、第1の基板1の内部で、かつ上記第2の基板2の上段面との接合面と接する位置に形成される。また、第1の光導波路コア1cは、第1の基板1のほぼ中央部と正面の中央から左側面側に所定寸法ずれた部位とを結ぶ方向(つまり、図示Y軸方向および第2の光導波路コア2cに対して、所定の角度を有する方向)に形成されており、該正面に一方端面1caが形成される。一方、第1の光導波路コア1cは、第1の基板1の下面中央部付近で、かつ第1の基板1の内部に形成される傾斜面1csによって他方端面が構成される。第1の光導波路コア1cの他方端部は、この傾斜面1csおよび第1の基板1の下面に挟まれることによって先狭の楔形に形成され、その最狭部が該下面に一致する。そして、第1の基板1の下面で形成される第1の光導波路コア1cの上記他方端部の一方面は、第1および第2の基板1および2が接合されることによって、少なくとも第2の光導波路コア2cの上面側の面の一部と上記接合材料を介して接続され、それぞれ光接続部を構成する。つまり、傾斜面1csは、第2の光導波路コア2cとの上記光接続部に対して、図示Z軸方向(上面側)に形成される。なお、第1の光導波路コア1cの詳細な位置については、後述する。
【0054】
PD3およびLD4は、第2の基板2の下段面上に実装される。このPD3は、その受光部の光軸が第1の基板1に形成される第1の光導波路コア1cの正面に形成される端面1caから出射される光信号の光軸と一致するように実装される。また、LD4は、その発光部の光軸が第2の基板2に形成される第2の光導波路コア2cの段差形成面2sに形成される端面2caの光軸と一致するように実装される。なお、PD3およびLD4の詳細な位置については、後述する。また、PD3およびLD4は、第2の基板2の下段面に形成される電極パターンおよび伝送線路2pと電気的に接続される。
【0055】
光ファイバ5は、第2の基板2に形成されている光ファイバ配列用溝2fに沿って、光ファイバ配列用溝2fと所定の接合材料で固定される。光ファイバ5は、その光軸が第2の基板2に形成される第2の光導波路コア2cの光軸と一致するように配置され、第2の光導波路コア2cの他方端面2cbおよび光ファイバ5の一方端面とが接合される。つまり、光ファイバ5、第2の光導波路コア2c、およびLD4の発光部の光軸は、互いに一致しており、LD4は、第2の光導波路コア2cおよび光ファイバ5を介して、光信号を送信することが可能である。また、光ファイバ5から第2の光導波路コア2cに出射される光信号は、上述した第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの光接続部を介して第1の光導波路コア1cを伝搬し、PD3で受信することが可能であるが、これら光信号の伝搬動作については後述する。また、光ファイバ5の詳細な位置についても、後述する。
【0056】
次に、図2を参照して、本発明の光モジュールの上面から見た構造について説明する。上述したように、第2の基板2内部には、第2の光導波路コア2cが形成される。第2の光導波路コア2cは、段差形成面2sのほぼ中央に形成される一方端面2caと、第2の基板2の上段面のほぼ中央部に形成される光ファイバ配列用溝2fの正面に対して同一平面上に形成される他方端面2cbとを結ぶ図示Y軸方向に形成されている。また、第2の光導波路コア2cの光軸L2は、光ファイバ配列用溝2fに沿って配置される光ファイバ5および第2の基板2の下段面に実装されるLD4の発光部4aの光軸と互いに一致して配置される。また、第2の光導波路コア2cの他方端面2cbと光ファイバ5の一方端面とは、接合されている。
【0057】
一方、第1の基板1内部には、第1の光導波路コア1cが形成される。上述したように、第1の光導波路コア1cは、第1の基板1の正面の中央から左側面側に所定寸法ずれた部位に形成される一方端面1caと、第1の基板1のほぼ中央部に形成される傾斜面1csとを結ぶ図示Y軸方向および第2の光導波路コア2cに対して所定の角度を有する方向に形成されている。また、第1の光導波路コア1cの光軸L1は、第2の基板2の下段面に実装されるPD3の受光部3aと交差するように配置される。そして、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cのそれぞれの一部が、図示Z軸方向(紙面の垂直方向)で重複し、当該重複領域によって上述した光接続部を構成している。第1および第2の光導波路コア1cおよび2cが重複する光接続部の図示Z軸方向に、少なくともその一部が当該Z軸方向に重複するように傾斜面1csが配置される。なお、図2では、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの光軸L1およびL2を、それぞれ直線で構成したが、光軸L1を上記光接続部付近で光軸L2とほぼ平行になるように第1の光導波路コア1cを曲げ形状に形成することによって、図示Z軸方向に上記傾斜面1csが上記光接続部に完全に含まれるように配置してもかまわない。
【0058】
次に、図3を参照して、本発明の光モジュールの右側面から見た構造について説明する。図3において、上述したように第1および第2の基板1および2は、互いにその下面および上段面で図示しない接合材料で接合されている。第2の光導波路コア2cは、その接合部と接するように図示Z軸方向に深さβで第2の基板2側に形成されている。また、第1の光導波路コア1cは、その接合部と接するように図示Z軸方向に深さαで第1の基板1側に形成されている。そして、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cは、上述した図示Z軸方向で重複する光接続部領域で上記接続材料を介して接続されている。また、LD4は、第2の基板2の下段面に実装されており、光ファイバ5は、第2の基板2に形成された光ファイバ配列用溝2fに沿って、第2の基板2に図示しない接合材料で固定されている。そして、第2の基板2に形成される光ファイバ配列用溝2fの正面、第1の基板1の背面、および光ファイバ5の一方端面とは、互いに同一平面上に一致するように固定される。つまり、光ファイバ5の一方端面は、光ファイバ配列用溝2fの正面の一部および第1の基板1の背面の一部と接合される。また、第1の基板1の正面および第2の基板2の正面側に形成される段差形成面2sは、互いに同一平面上に一致するように接合される。そして、光ファイバ5の光軸、第2の光導波路コア2cの光軸、およびLD4の発光部4aの中心は、互いに光軸L2上で一致するように配置される。なお、PD3も、その受光部3aと第1の光導波路コア1cの光軸L1と交差するように第2の基板2の下段面に実装されるが、ここでは、図示を省略する。
【0059】
次に、図4を参照して、本発明の光モジュールの正面から見た構造について説明する。なお、図4では、説明を簡単にするために、当該光モジュールの正面に配置されるPD3およびLD4については図示を省略する。図4において、上述したように第1および第2の基板1および2の下面および上段面は、所定の接合材料で接合されている。上記接合材料は、接合材料厚さγを有する接合材料層6を形成している。また、上記接合材料と第1および第2の光導波路コア1cおよび2cとの材料は、好ましくは高屈折率材料としてのガラス系材料や紫外線硬化樹脂等が用いられる。つまり、上述したように第1および第2の光導波路コア1cおよび2cが接合材料層6と接するように形成されているため、接合材料層6と第1および第2の光導波路コア1cおよび2cとは、同一の材料で構成された場合、一体で形成することができる。このように、接合材料層6と第1および第2の光導波路コア1cおよび2cとを同一の接合材料で構成することによって、後述する当該光モジュールの製造が容易になる。
【0060】
ここで、本発明の光モジュールの第1および第2の光導波路コア1cおよび2cにおける光軸位置について説明する。上述したように、接合材料層6と第1および第2の光導波路コア1cおよび2cとが、高屈折率材料としてのガラス系材料や紫外線硬化樹脂等の同一の材料で、接合材料層6の接合材料厚さγと第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの高さ方向(図示Z軸方向)の深さαおよびβで形成される。このとき、図示Z軸方向における第1の光導波路コア1cの光軸L1の位置は、(α+γ)/2となる。また、図示Z軸方向における第2の光導波路コア2cの光軸L2の位置は、(β+γ)/2となる。当該光モジュールでは、第2の基板2の下段面からこれらの光軸L1およびL2までの高さと、PD3の実装面から受光部3aまでの高さおよびLD4の実装面から発光部4aまでの高さとを、予め合致するように調整することによって、図示Z軸方向の位置を容易に一致させることができる。
【0061】
次に、図5を参照して、本発明の光モジュールの背面から見た構造について説明する。図5において、上述したように第1および第2の基板1および2の下面および上段面は、接合材料層6によって接合されている。また、第2の基板2に形成されている光ファイバ配列用溝2fの開口部の段面形状は2等辺3角形であり、等しい2辺間の挟角の頂点が上記光軸L2と平行にZ軸方向上に配置され、他の2頂点は第2の基板2の上段面上に配置される。光ファイバ配列用溝2fに沿って背面開口部側から光ファイバ5が配置され、光ファイバ5は、その外周面の2ヶ所が光ファイバ配列用溝2fと接して第2の基板2に固定される。
【0062】
ここで、本発明の光モジュールの第2の光導波路コア2cおよび光ファイバ5のコア5cにおける光軸位置について説明する。接合材料層6および第2の光導波路コア2cが、高屈折率材料としてのガラス系材料や紫外線硬化樹脂等の同一の材料で、接合材料層6の接合材料厚さγおよび第2の基板2における第2の光導波路コア2cの高さ方向(図示Z軸方向)の深さβで形成された場合、図示Z軸方向における第2の光導波路コア2c光軸L2の位置は、(β+γ)/2となる。一方、光ファイバ配列用溝2fは、その内面に沿って光ファイバ5を配置した場合、配置された光ファイバ5の光軸が、第2の光導波路コア2cの光軸L2と一致するように形成される。つまり、光ファイバ5を光ファイバ配列用溝2fに沿って配置し固定することによって、光ファイバ5のコア5cの光軸と、第2の光導波路コア2cの光軸L2とを容易に一致させることができる。
【0063】
次に、図1〜図5を参照して、本発明の光モジュールで送受信する光信号の動作について説明する。当該光モジュールで受信する光信号は、光ファイバ5を伝搬して光ファイバ5の上記一方端面から第2の光導波路コア2cに入射する。このとき、光ファイバ5の上記一方端面および第2の光導波路コア2cの他方端面2cbが接合されており、それぞれの光軸も一致して配置されているため、非常に小さい損失で上記光信号を伝搬することができる。
【0064】
そして、第2の光導波路コア2cに入射した上記光信号は、第2の光導波路コア2c内を伝搬し、上述した光接続部に到達する。この光接続部では、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cが、接合材料層6を介して光接続されているので、上記光信号の一部は、当該光接続部から接合材料層6を介して第1の光導波路コア1cへ分岐する。つまり、上記光信号は、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cに分岐して伝搬される。
【0065】
ここで、第1の光導波路コア1cを伝搬する光信号の波長について説明する。一般的に、光導波路を導波できる光信号の波長は、コアおよびクラッドの屈折率やコア寸法に依存し、当該波長によっても屈折率が変化する。以下、光導波路を導波する光信号が0次モードで波長が1.3μmおよび1.55μmを一例として、説明を行う。
【0066】
図6(a)は、波長1.3μmにおける等価屈折率の光導波路深さ依存性を示すグラフであり、図6(b)は、波長1.55μmにおける等価屈折率の光導波路深さ依存性を示すグラフである。図6(a)および図6(b)共に、横軸を光導波路深さ(μm)、縦軸を等価屈折率を示している。
【0067】
図6(a)において、本発明の光モジュールは、波長1.3μmにおいて、第1の光導波路コア1cの屈折率を1.511、第1の光導波路コア1c以外の第1の基板1の屈折率を1.504、第2の光導波路コア2c以外の第2の基板2の屈折率を1.509で構成されているとする。図6(a)は、このような屈折率で構成される光モジュールにおける、等価屈折率の第1の光導波路コア1cの深さ依存性を示している。なお、このグラフで示す第1の光導波路コア1cの深さとは、接合材料層6の厚さを含んでおり、つまり、深さα+厚さγで示される寸法である(図4参照)。
【0068】
図6(a)に示すように、第1の光導波路コア1cの深さ依存性を示す実線は、等価屈折率1.509を示す横軸と深さ2.8μmで交差している。この等価屈折率1.509以下の領域は、上述した波長1.3μmにおける第2の基板2の屈折率が1.509より低い等価屈折率を示す領域であるため、当該領域における導波モードは存在しない。すなわち、0次モードで波長1.3μmの光信号におけるカットオフ深さが2.8μmであり、上記第1の光導波路コア1c深さα+γは、2.8μmより大きければ0次モードの波長1.3μmの光信号が第1の光導波路コア1cを導波することになる。
【0069】
一方、図6(b)において、上述した光モジュールは、波長1.55μmの場合、第1の光導波路コア1cの屈折率が1.507、第1の光導波路コア1c以外の第1の基板1の屈折率が1.501、第2の光導波路コア2c以外の第2の基板2の屈折率が1.506で構成される。図6(b)は、このような屈折率で構成される光モジュールにおける、等価屈折率の第1の光導波路コア1cの深さ依存性を示している。なお、このグラフで示す第1の光導波路コア1cの深さも、接合材料層6の厚さを含んだ深さα+厚さγで示される寸法である(図4参照)。
【0070】
図6(b)に示すように、第1の光導波路コア1cの深さ依存性を示す実線は、等価屈折率1.506を示す横軸と深さ5.3μmで交差している。この等価屈折率1.506以下の領域は、上述した波長1.55μmにおける第2の基板2の屈折率が1.506より低い等価屈折率を示す領域であるため、当該領域における導波モードは存在しない。すなわち、0次モードで波長1.55μmの光信号におけるカットオフ深さが5.3μmであり、上記第1の光導波路コア1c深さα+γは、5.3μmより大きければ0次モードの波長1.55μmの光信号が第1の光導波路コア1cを導波することになる。なお、上述した第1の光導波路コア1cの深さ依存性は、第2の光導波路コア2cにおいても第1の光導波路コア1cと同一の材料で構成されることによって、同様の特性が示される。
【0071】
例えば、このような等価屈折率の第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの深さ依存性に基づいて、第1の光導波路コア1cの深さαに接合材料層6の厚さγを加えた寸法α+γ=4μm、第2の光導波路コア2cの深さβに接合材料層6の厚さγを加えた寸法β+γ=8μmとした場合、光ファイバ5から第2の光導波路コア2cに波長1.3μmおよび1.55μmの光信号が入射すると、第1の光導波路コア1cには、波長1.3μmの光信号のみが導波される。つまり、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの深さαおよびβと、接合材料層6の厚さγとを変化させることによって、本発明の光モジュールは、所望の波長分離機能を持たせることができる。
【0072】
このような所望の波長分離機能を有する光モジュールにおける、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの深さαおよびβと、接合材料層6の厚さγとを設定する方法について説明する。ここで、第2の光導波路コア2cには0次モードの波長λ1およびλ2(λ1<λ2)の光信号を導波させ、第1の光導波路コア1cには0次モードの波長λ1の光信号のみを導波させるものとする。また、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの屈折率を、波長λ1において屈折率n11、波長λ2において屈折率n12とする。また、第2の光導波路コア2c以外の第2の基板2の屈折率を、波長λ1において屈折率n21、波長λ2において屈折率n22とする。また、第1の光導波路コア1c以外の第1の基板1の屈折率を、波長λ1において屈折率n31、波長λ2において屈折率n32とする。なお、屈折率n21≠n31および屈折率n22≠n32とする。このように構成される光モジュールにおいて、第1の光導波路コア1cの深さαに接合材料層6の厚さγを加えた寸法α+γを、
【数1】
で設定する。一方、第2の光導波路コア2cの深さβに接合材料層6の厚さγを加えた寸法β+γを、
【数2】
で設定する。このように、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの深さαおよびβと、接合材料層6の厚さγと、それぞれの屈折率とを設定することによって、第2の光導波路コア2cには0次モードの波長λ1およびλ2の光信号を導波させ、第1の光導波路コア1cには0次モードの波長λ1の光信号のみを導波させる所望の波長分離機能を有する光モジュールを実現することができる。
【0073】
図1〜図5に戻り、上記光接続部で分岐した光信号は、第1の光導波路コア1cをその深さαに応じた波長の光信号のみ伝搬され、端面1caから出射される。そして、端面1caから出射された光信号は、PD3の受光部3aに入射する。
【0074】
一方、LD4の発光部4aから出射される光信号は、第2の光導波路コア2cの端面2caから入射し、第2の光導波路コア2cを伝搬して端面2cbに到達する。そして、上記光信号は、端面2cbと接合している光ファイバ5の一方端面に入射し、光ファイバ5を伝搬していく。
【0075】
なお、上述したような波長分離機能が不要である場合、本発明の光モジュールでは、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの深さαおよびβは、同じ深さにしてもかまわないし、上述した式(1)および式(2)のような設定をしなくてもよい。この場合、当該光モジュールは、上記波長分離機能を持たない単純な光分岐を行う光モジュールとして用いることができる。
【0076】
また、上述したように、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cのそれぞれの一部が、Z軸方向(図2紙面の垂直方向)で重複し、当該重複領域によって光接続部を構成している。第1および第2の基板1および2の相対的な位置関係を調整することによって、上記重複領域の面積を調整することができる。つまり、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cが重複する光接続部の面積を増減することができる。例えば、上記光接続部の面積を相対的に小さくすることによって、第1の光導波路コア1cへ分岐する光エネルギが少なくなり、上記光接続部の面積を相対的に大きくすることによって、第1の光導波路コア1cへ分岐する光エネルギが多くなる。したがって、光接続部の面積を増減することで、光ファイバ5から入射する光信号を第1および第2の光導波路コア1cおよび2cへ所望の分岐比で分岐することができる。なお、当該光モジュールを光結合器として機能させる場合、光接続部の面積を増減することで、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cから光ファイバ5へ出射するそれぞれの光エネルギの比を調整できることは言うまでもない。
【0077】
次に、図7を参照して、本発明の光モジュールの製造方法として、第1の基板1の詳細な構造について説明する。なお、図7は、第1の光導波路コア1cを形成する前の第1の基板1を下面側から見た斜視図である。図7において、第1の基板1の下面に対して凹形状に、第1の光導波路コア用溝1cgが形成されている。この第1の光導波路コア用溝1cgは、その内部に高屈折率材料としてのガラス系材料や紫外線硬化樹脂等を充填することによって、第1の光導波路コア1cを形成する溝である。したがって、上記第1の光導波路コア用溝1cgは、上述した第1の光導波路コア1cの形状と同様に形成され、その溝深さ(図示Z軸方向の深さ)は、第1の基板1の下面と平行に深さαである。そして、第1の光導波路コア用溝1cgは、第1の基板1のほぼ中央部と正面の中央から左側面側に所定寸法ずれた部位とを結ぶ方向(つまり、図示Y軸方向に対して、所定の角度を有する方向)を延伸方向とした略直方体形状であり、その一方端は、該正面に溝開口部1cgaが形成される。また、第1の光導波路コア用溝1cgの他方端は、第1の基板1の下面中央部付近に形成される溝傾斜面1cgsで終端する。第1の光導波路コア用溝1cgの他方端は、この溝傾斜面1cgsおよび第1の基板1の下面に挟まれることによって先狭の楔形に形成され、その最浅部が該下面に一致する。なお、この溝傾斜面1cgsは、前述した第1の光導波路コア1cの傾斜面1csを形成するための形成面であり、他の詳細な形状は、前述の傾斜面1csと同様である(図1〜図3参照)。
【0078】
第1の基板1は、好ましくは、ガラスもしくは透明樹脂等の低屈折率の材料を用いて成形される。その成形に用いられる成形型は、第1の基板1の全体形状に加えて、上述した第1の光導波路コア用溝1cgが成形されるように型造される。したがって、第1の光導波路コア用溝1cgが形成された第1の基板1は、上記成形型を用いて低屈折率の材料を成形することによって容易に製造することができる。なお、第1の基板1上面の所定の位置には、後述するPD3に対する位置決めを行うためのマーカ1m(図示せず)が上記成形時に同時に形成される。
【0079】
次に、図8を参照して、本発明の光モジュールを構成する第2の基板2の詳細な構造について説明する。なお、図8は、第2の基板2を上面側から見た斜視図である。図8において、第2の基板2は略直方体形状を有しており、その上面には、段差形成面2sによって互いに平行の上段面および下段面が形成されている。なお、段差形成面2sは、第2の基板2の正面に向かって形成される。
【0080】
そして、第2の基板2の上段面に対して凹形状に、上述した光ファイバ配列用溝2fおよび第2の光導波路コア用溝2cgが形成されている。この第2の光導波路コア用溝2cgは、その内部に高屈折率材料としてのガラス系材料や紫外線硬化樹脂等を充填することによって、第2の光導波路コア2cを形成する溝である。したがって、上記第2の光導波路コア用溝2cgは、上述した第2の光導波路コア2cの形状と同様に形成され、その溝深さ(図示Z軸方向の深さ)は、第2の基板2の上段面と平行に深さβである。また、上述したように光ファイバ配列用溝2fおよび第2の光導波路コア用溝2cgは、同一方向に形成されている。第2の光導波路コア用溝2cgは、その溝形状が図示Y軸方向を延伸方向とした略直方体形状であり、その一方端は、段差形成面2sに一方側溝開口部2cgaが形成される。また、第2の光導波路用コア溝2cgの他方端は、光ファイバ配列用溝2fの正面に他方側溝開口部2cgbが形成される。また、光ファイバ配列用溝2fは、その溝形状が図示Y軸方向を延伸方向とした2等辺3角柱形状であり、その等しい2辺間の挟角の頂点を結ぶ直線が第2の光導波路コア用溝2cgのY軸方向の中心軸と平行にZ軸方向にずらして配置され、他の2頂点を結ぶ直線が第2の基板2の上段面上に配置されるように形成される。なお、上述したように光ファイバ配列用溝2fは、その内面に沿って光ファイバ5を配置した場合、配置された光ファイバ5の光軸が、第2の光導波路コア2cを伝搬する光の光軸と一致するように形成される。
【0081】
第2の基板2は、好ましくは、ガラスもしくは透明樹脂等の低屈折率の材料を用いて成形される。その成形に用いられる成形型は、第2の基板2の全体形状に加えて、上述した第2の光導波路コア用溝2cgおよび光ファイバ配列用溝2fが成形されるように型造される。したがって、第2の光導波路コア用溝2cgおよび光ファイバ配列用溝2fが形成された第2の基板2は、上記成形型を用いて低屈折率の材料を成形することによって容易に製造することができる。なお、第2の基板2の下段面の所定の位置には、後述するLD4に対する位置決めを行うためのマーカ2m(図示せず)が上記成形時に同時に形成される。
【0082】
次に、図9を参照して、当該光モジュールの組立方法について説明する。図9において、まず、第2の基板2の下段面にPD3およびLD4が所定の位置に実装される。なお、好ましくは、PD3に設けられている受光部3aの実装面からの中心高さは、第1の光導波路コア1cの光軸の実装面からの高さと一致させる。また、LD4に設けられている発光部4aの実装面からの中心高さは、第2の光導波路コア2cの光軸の実装面からの高さと一致させる。このように、受光部3aおよび発光部4aの上記高さ、あるいは、段差形成面2sの図示Z軸方向の高さ等を調整し、予めそれぞれの図示Z軸方向の光軸位置を一致させることによって、PD3と、LD4と、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cとの図示Z軸方向の光軸合わせが容易になる。また、PD3およびLD4には、図示X軸方向に対する光軸位置決めを行うためのマーカ3mおよび4mが設けられている。したがって、LD4は、図示X軸方向の位置を当該LD4に設けられたマーカ4mおよび第2の基板2の下段面に設けられたマーカ2mを用いて、X軸方向の光軸が調整され、第2の基板2の下段面に実装される。
【0083】
次に、第1の基板1の下面および第1の光導波路コア用溝1cgに、高屈折率の接合材料としてガラス系材料や紫外線硬化樹脂等を塗布して充填する。好ましくは、上記接合材料の塗布をスピンコーティングで行い、その回転数を500〜8000rpmの範囲で行う。これによって、第1の基板1の下面に、上述した第1の光導波路コア1cおよび接合材料層6が形成される。
【0084】
そして、第1の基板1の下面および第2の基板2の上段面を貼り合わせることによって、第1の基板1の下面および第2の基板2の上段面とが接合材料層6によって接合される。この貼り合わせによって、第2の基板2に形成されている第2の光導波路コア用溝2cgには、接合材料層6が充填される。つまり、第2の光導波路コア用溝2cgには、接合材料層6の高屈折率の接合材料としてガラス系材料や紫外線硬化樹脂等が充填される。このとき、第1の光導波路コア1cおよびPD3に設けられている受光部3aの光軸調整は、図示Z軸方向は不要であるが、図示X軸方向については、PD3に設けられたマーカ3mおよび第1の基板1の成形時にその上面に設けたマーカ1mを用いて、PD3を基準に第1の基板1を移動させることによって位置決めされる。そして、第1の基板1と接合された第2の基板2の光ファイバ配列用溝2fに高屈折率の接合材料としてガラス系材料や紫外線硬化樹脂等を塗布して充填し、当該光ファイバ配列用溝2fに沿って光ファイバ5を配置し、光ファイバ5の一方端面を光ファイバ配列用溝2fの正面および第1の基板1の背面と接合する。
【0085】
なお、第1および第2の基板1および2の位置合わせは、PD3に設けられたマーカ3mを用いなくてもかまわない。例えば、第1および第2の基板1および2にそれぞれ設けられた別のマーカを用いて、第1および第2の基板1および2の位置合わせを行ってもいいし、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cに対する画像処理等を用いて、それぞれの位置を合わせることにより、第1および第2の基板1および2の位置合わせを行ってもかまわない。また、第2の光導波路コア2cおよび光ファイバ5は、光軸が一致した状態で配置されているため、第1の基板1および第2の基板2とを貼り合わせる際に、光ファイバ5からの出力をPD3で観測することによって、第1および第2の基板1および2の位置合わせを行ってもかまわない。また、上記貼り合わせ前の接合材料層6の形成は、第1の基板1の下面と接合する第2の基板2の上段面の領域に形成してもかまわない。これは、第2の基板2の上段面の上記領域と、第2の光導波路コア用溝2cgおよび光ファイバ配列用溝2fとに、高屈折率の接合材料としてガラス系材料や紫外線硬化樹脂等を塗布して充填する。好ましくは、上記接合材料の塗布をスピンコーティングで行い、その回転数を500〜8000rpmの範囲で行う。これによって、第2の基板2の上段面に、上述した第2の光導波路コア2cおよび接合材料層6が形成され、その後、第1の基板1の下面と貼り合わせても同様の接合が可能であることは言うまでもない。
【0086】
次に、光軸調整を含めた位置合わせが完了した第1および第2の基板1および2、および光ファイバ5の接合部に紫外線を照射することによって、該接合部および第1および第2の光導波路コア用溝1cgおよび2cgに充填された紫外線硬化樹脂を硬化させ、互いに固定される。そして、第1および第2の光導波路コア用溝1cgおよび2cg内で硬化した紫外線硬化樹脂は、第1および第2の基板1および2よりも高い屈折率を有するものを用いているため、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cとして機能する。これにより光分岐結合機能を有する光モジュールが完成する。
【0087】
なお、上述した当該光モジュールにおける光軸調整は、先に第1および第2の基板1および2を固定した後、PD3およびLD4の位置を調整し、該PD3およびLD4を実装してもかまわない。
【0088】
このように、第1の基板1および第2の基板2よりも高い屈折率を有するガラス系材料や紫外線硬化樹脂等を用いることによって、第1および第2の光導波路コア用溝1cgおよび2cg内部に充填されたガラス系材料や紫外線硬化樹脂は、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cとして機能する。そして、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの接続によって、受信した光信号を分岐したり、送信する光信号を結合する光分岐結合機能を有する光モジュールを実現できる。また、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cが重複する光接続部の面積を増減することで、光ファイバ5から入射する光信号を第1および第2の光導波路コア1cおよび2cへ所望の分岐比で分岐したり、光ファイバ5へ出射するそれぞれの光エネルギの比を調整することができる。さらに、上記光分岐結合機能を備えるための第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの光軸調整は容易であり、当該光モジュールを低コストで大量生産することができるものである。また、当該光モジュールの第1および第2の光導波路コア1cおよび2cと、PD3およびLD4の高さ方向(Z軸方向)の光軸調整も容易であり、他の方向の光軸調整についても第1の基板1等を第2の基板2の上段面に対して平行に位置を調整することによって、容易に調整することができるため、大量生産に向いた低コスト化が実現できる。そして、当該光モジュールの第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの形成および第1および第2の基板1および2の成形も容易であるため、低コストな光モジュールを大量生産することが可能である。また、第1の光導波路コア1cの断面寸法と、第1および第2の基板1および2の屈折率を調整することによって、波長分離機能を付加した光モジュールを簡単に実現できる。
【0089】
なお、第1および第2の光導波路コア用溝1cgおよび2cg等については、上述したように成形で形成するのが生産上望ましいが、これに限るものでなく、必要に応じてエッチングにより形成しても構わない。また、第1および第2の光導波路コア用溝1cgおよび2cgにガラス系材料や紫外線硬化樹脂を充填させたが、これに限るものでなく、熱硬化性樹脂やポリイミド等を充填してもかまわない。
【0090】
また、上述では、第2の基板2の下段面にPD3およびLD4を実装したが、これに限るものではなく、例えば、コア径の異なる別の光導波路や、レンズ、アイソレータ、フィルタ、あるいは波長板等、様々な構成部品を実装してもかまわない。また、PD3およびLD4以外に、光半導体素子駆動用半導体や増幅器等の半導体素子やLCR部品を実装してもよく、基板の両面に実装してもよい。また、第2の基板2の下段面に電極パターンおよび伝送線路2pを形成して説明したが、別の高周波回路基板に電極パターンおよび伝送線路を形成し、第2の基板2の下段面に配置してもよい。また、当該光モジュールを光信号の受信のみ、あるいは送信のみに用いる場合、複数のPD3のみや複数のLD4のみの組合せで第2の基板2の下段面に実装してもかまわない。さらに、PD3およびLD4は、それぞれの配置位置を逆にしてもかまわない。つまり、LD4から出射した光信号を第1の光導波路コア1cから光ファイバ5に送信し、光ファイバ5から受信した光信号を第2の光導波路コア2cを伝搬させ、そのまま端面2caから出射させてPD3に入射させてもかまわない。
【0091】
また、第2の光導波路コア2cの他方端面に接続する光伝送路は、光ファイバ5に限らず、様々な光伝送路を接続することができることは言うまでもない。また、複数の光ファイバを配置してもかまわない。また、光ファイバ5の代わりに、アイソレータやレンズ、フィルタ、波長板などを配置してもよい。
【0092】
また、2本の直線の光導波路を組み合わせた一例を説明したが、これに限るものではなく、一般に使用されている光導波路パターン全てに応用することができ、光波の曲がり、分岐、および結合の制御もできる。また、第1の光導波路コア1cに設けられた傾斜面1csはなくてもかまわず、例えば、光軸に対して垂直な端面で構成しても、第2の光導波路コア2cとの間に光接続部を形成している限り、同様の光分岐結合機能を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光モジュールの構造について説明するための斜視図である。
【図2】図1の光モジュールの上面から見た構造について説明するための上面図である。
【図3】図1の光モジュールの右側面から見た構造について説明するための右側面図である。
【図4】図1の光モジュールの正面から見た構造について説明するための正面図である。
【図5】図1の光モジュールの背面から見た構造について説明するための背面図である。
【図6】図1の光モジュールの波長における等価屈折率の光導波路深さ依存性を示すグラフである。
【図7】図1の光モジュールの製造方法として、第1の基板1の詳細な構造について説明する斜視図である。
【図8】図1の光モジュールの製造方法として、第2の基板2の詳細な構造について説明する斜視図である。
【図9】図1の光モジュールの組立方法について説明する斜視図である。
【図10】従来の光モジュールの構造の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…第1の基板
1c…第1の光導波路コア
1ca、2ca、2cb…端面
1cs…傾斜面
1cg…第1の光導波路コア用溝
1cga、2cga、2cgb…溝開口部
1cgs…溝傾斜面
1m、2m、3m、4m…マーカ
2…第2の基板
2c…第2の光導波路コア
2cg…第2の光導波路コア用溝
2f…光ファイバ配列用溝
2p…電極パターンおよび伝送線路
2s…段差形成面
3…PD
3a…受光部
4…LD
4a…発光部
5…光ファイバ
5c…コア
6…接合材料層
L1、L2…光軸
【発明の属する技術分野】
本発明は、光導波路、光モジュール、およびそれらの製造方法に関し、より特定的には、光通信等に用いられる光信号を分岐結合して伝搬させる光導波路、光モジュール、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、公衆通信やコンピュータネットワーク等では、高速化、高機能化を目的として広帯域性をもつ光通信を利用し、波長多重光伝送や双方向光伝送の機能を付加した光通信システムが浸透しつつある。この光通信分野において、高度な光信号処理を行うために、各種機能を持つ光集積回路の研究が盛んに行われている。光集積回路は、光導波路を基本要素としており、光導波路は、屈折率の高いコア領域を相対的に屈折率の低いクラッド層で覆うことによって、コア領域に光を閉じこめて伝搬させるものであり、コアをパターン化して配列することで、多種の機能を実現している。特に、石英系光導波路は、低損失性、物理的・化学的安定性、光ファイバとの整合性等数々のメリットを有しており、代表的な受動光導波路となっている。光導波路の製造方法としては、コア・クラッド膜形成方法として火炎堆積法を用い、コアパターン形成法として反応性イオンエッチング法を用いるものが代表的である。上記コア・クラッド膜形成方法としては、火炎堆積法以外にCVD(Chemical Vapor Deposition)法、真空蒸着法、スパッタ法等も提案されている。
【0003】
また、上記光導波路上に光半導体素子等を搭載し、小型化、多機能化、低コスト化する技術が有力視されており、現在盛んに研究が行われている。これらのモジュールでは、Si基板上に石英系光導波路を形成した光導波路プラットホーム上に半導体レーザやフォトダイオードなどの光半導体素子を搭載し、集積化を行っている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
図10は、特許文献1で開示された光モジュールの構造を示す図である。図10において、当該光モジュールは、予めエッチング等により加工を行ったSi基板101上に、火炎堆積法等を用いて石英系の光導波路コア102cを有する光導波路基板102を形成する。その後、当該光モジュールは、光導波路基板102の余剰に堆積した石英系材料を除去した空間に対して、レーザダイオード(LD)103およびフォトダイオード(PD)104を実装する。これらLD103およびPD104は、Si基板101あるいは光導波路基板102上に実装される。
【0005】
光導波路コア102cは、光導波路基板102の側面に一方の端面102caを形成している。また、光導波路コア102cは、PD104が実装される上記空間に形成される光導波路基板102の側面に他方の側面102cbを形成している。そして、光導波路コア102cは、分岐路を有しており、当該分岐路を伝搬する光信号を端面102caおよび102cb間に形成されている光導波路コア102cの中間点に形成される反射面102crで反射することによって端面102caに伝送されるように当該分岐路が形成されている。この光導波路コア102cの分岐路は、反射面102crとLD103が実装される上記空間に形成される光導波路基板102の側面とを接続し、当該側面に端面102ccを形成する。
【0006】
上述した光導波路コア102cの分岐部に形成されている反射面102crは、光フィルタ105によって構成されている。この光フィルタ105は、一体となったSi基板101および光導波路基板102にダイシング等の加工によって溝を形成し、当該溝に挟入および固定することによって配置される。つまり、上記溝によって端面102caおよび102cb間に形成されている光導波路コア102cがその中間点で切断され、上記溝は、光フィルタ105を挟入することによって埋められる。したがって、典型的には、光フィルタ105は、光導波路コア102cの断面形状より充分に大きな面積を有しており、反射面102crは、光フィルタ105の一方面の一部と光導波路コア102cの上記切断面とが接合することによって形成される。この光フィルタ105は、当該光モジュールに光波長多重等の機能を持たせるために、所望の波長範囲に含まれる波長を有する光信号を透過し、当該波長範囲以外の波長を有する光信号を反射させる特性を有している。
【0007】
次に、上記光モジュールにおける光信号の伝搬について説明する。LD103は、光フィルタ105が反射する上記波長範囲に含まれる波長の光信号を端面102ccに向けて出射する。LD103から出射した光信号は、端面102ccから光導波路コア102cの分岐路を伝搬し、反射面102crに入射する。この光信号の波長が光フィルタ105が反射する上記波長範囲に含まれるため、反射面102crに入射した光信号は、反射面102crで反射し、光導波路コア102cの内部を端面102caに向けて伝搬され、端面102caから出射される。
【0008】
一方、端面102caから光導波路コア102cに、光フィルタ105が反射する上記波長範囲に含まない波長の光信号が入射する。この光信号は、端面102caから光導波路コア102c内を伝搬して、反射面102crに入射する。この光信号の波長が光フィルタ105が反射する上記波長範囲に含まれないため、反射面102crに入射した光信号は、反射面102crを透過し、光導波路コア102cの内部を端面102cbに向けて伝搬され、端面102cbから出射される。そして、端面102cbから出射した光信号は、PD104に入射する。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−68705号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記光モジュールの光導波路コア102cの分岐部は、伝搬する光信号の損失を抑制するために微細で高精度なパターンを形成する必要がある。例えば、LD103から出射され、反射面102crで反射した後、端面102caから出射される光信号に対しては、端面102caおよび102cb間に形成されている光導波路コア102cとその分岐路との間の角度を、当該光信号の反射角に合致させなければならない。さらに、上記反射角は、光フィルタ105と端面102caおよび102cb間に形成されている光導波路コア102cおよびその分岐路との間で形成する角度も大きく影響する。この光フィルタ105の角度は、上述した一体となったSi基板101および光導波路基板102に加工することによって形成される溝で決定されるため、高精度な溝加工が要求される。また、好ましくは、上記溝には光フィルタ105が隙間なく挟入されるのが望ましいが、このような寸法精度を安定させることが非常に困難であり、光フィルタ105は、若干の隙間を有した状態で上記溝に挟入される場合が多い。この場合、光フィルタ105と上記溝との隙間が光信号の伝搬に影響しない接着剤等で埋められる。しかし、上記光フィルタ105の角度は、上記隙間が接着剤等で埋められても、当該溝内部での光フィルタ105の反りや傾きによって大きく変化する。
【0011】
このような上記光モジュールを伝搬する光信号の損失を抑制するためには、当該光信号がシングルモードの場合、±1μm以下の位置精度、位置調整、組立、および固定が必要となる。これらの位置精度を満足させるために、現状高精度な加工機等の製造機械を用いる必要があり、光軸調整等の位置調整については、何軸もの自動調整機構を備えたシステムで行われ、上記光モジュールの量産性および経済性の面で多大な問題を有していた。したがって、上記光モジュールについては、大量生産には不向きで低コスト化が困難であるという課題を有していた。
【0012】
それ故に、本発明の目的は、光軸調整を容易にして、性能、低コスト性を兼ね備えた光導波路、光モジュール、およびそれらの製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記目的を達成するために、本発明は、以下に述べるような特徴を有している。
第1の発明は、光信号を分岐結合する光導波路であって、
その下面と平行に第1の光導波路コアが内部に形成された第1の基板と、
その上面と平行に第2の光導波路コアが内部に形成された第2の基板とを備え、
第1の基板の下面および第2の基板の上面を接合し、第1および第2の光導波路コアのそれぞれ一部が接触するように重ねることによって、第1および第2の光導波路コアの間の光接続部を形成する。
【0014】
第1の発明によれば、第1および第2の光導波路コアが重なることによって形成される光接続部によって、受信した光信号を分岐したり、送信する光信号を結合する機能を実現できる。また、上記光分岐結合機能を備えるための第1および第2の光導波路コア同士の光軸調整は容易であり、その光導波路を低コストで大量生産することができる。
【0015】
第2の発明は、第1の発明に従属する発明であって、
第1の光導波路コアは、第1の基板の下面に対して平行に形成された凹形状の第1の溝に、相対的に高い屈折率を有する高屈折率材料を充填することによって形成され、
第2の光導波路コアは、第2の基板の上面に対して平行に形成された凹形状の第2の溝に、相対的に高い屈折率を有する高屈折率材料を充填することによって形成され、
第1の基板の下面および第2の基板の上面とは、相対的に高い屈折率を有する高屈折率材料によって接合される。
【0016】
第2の発明によれば、第1および第2の光導波路コアは、成形された第1および第2の溝に高屈折率材料を充填するだけで容易に形成することが可能であるため、低コストな光導波路を大量生産することが可能である。
【0017】
第3の発明は、第1の発明に従属する発明であって、
第1および第2の基板が有する屈折率は、互いに異なっており、
第1および第2の光導波路コアの断面形状は、それらの断面形状の幅および高さの少なくとも一方が互いに異なっている。
【0018】
第3の発明によれば、第1および第2の光導波路コアの断面形状と、第1および第2の基板の屈折率を調整することによって、伝搬する光信号に対して波長分離する機能を付加することができる。
【0019】
第4の発明は、第1の発明に従属する発明であって、
第1の基板の下面および第2の基板の上面に対して互いの接合位置関係を調整することによって、その面積を増減させた光接続部を形成する。
【0020】
第4の発明によれば、第1および第2の光導波路コアが重複する光接続部の面積を増減することで、受信した光信号を第1および第2の光導波路コアへ所望の分岐比で分岐したり、送信するそれぞれの光エネルギの比を調整することができる。
【0021】
第5の発明は、第2の発明に従属する発明であって、
第1および第2の溝に充填し、かつ第1の基板の下面と第2の基板の上面とを接合する高屈折率材料は、同じ紫外線硬化樹脂であることを特徴とする。
【0022】
第5の発明によれば、第1および第2の基板を接合する接合材料として、第1および第2の基板に形成された第1および第2の溝に充填する紫外線硬化樹脂と同じものを用いることによって、第1および第2の光導波路コアの形成と第1および第2の基板の接合とを、同じ高屈折率材料を用いて1度の作業工程で行うことができる。
【0023】
第6の発明は、第2の発明に従属する発明であって、
第1および第2の溝に充填し、かつ第1の基板の下面と第2の基板の上面とを接合する高屈折率材料は、同じガラス系材料であることを特徴とする。
【0024】
第6の発明によれば、第1および第2の基板を接合する接合材料として、第1および第2の基板に形成された第1および第2の溝に充填するガラス系材料と同じものを用いることによって、第1および第2の光導波路コアの形成と第1および第2の基板の接合とを、同じ高屈折率材料を用いて1度の作業工程で行うことができる。
【0025】
第7の発明は、第2の発明に従属する発明であって、
第1および第2の基板は、低屈折率材料としてガラス系材料が第1および第2の溝を含めて成形されることによって形成されることを特徴とする。
【0026】
第8の発明は、第2の発明に従属する発明であって、
第1および第2の基板は、低屈折率材料として透明樹脂が第1および第2の溝を含めて成形されることによって形成されることを特徴とする。
【0027】
第7および第8の発明によれば、第1および第2の基板の内部に形成される第1および第2の光導波路コアを伝搬する光信号の光損失を低減し、容易にクラッドを形成することができる。
【0028】
第9の発明は、第1の発明に従属する発明であって、
第1および第2の基板は、それぞれの所定の位置に設けられた位置決め用マーカを用いて位置決めされることを特徴とする。
【0029】
第9の発明によれば、第1および第2の基板の光軸位置について、それぞれに設けられたマーカを用いて、容易に調整することができる。
【0030】
第10の発明は、光導波路および光素子の間に光信号を分岐結合して伝搬させる光モジュールであって、
その下面と平行に第1の光導波路コアが内部に形成された第1の基板と、
その上面と平行に第2の光導波路コアが内部に形成された第2の基板と、
第1および第2の基板の少なくとも一方に固定された光ファイバと、
第2の基板の上面の一部に実装され、第1および第2の光導波路コアのそれぞれの一方端面と光接続される複数の光素子とを備え、
第1の基板の下面および第2の基板の上面を接合し、第1および第2の光導波路コアのそれぞれ一部が接触するように重ねることによって、第1および第2の光導波路コアの間の光接続部を形成する。
【0031】
第10の発明によれば、第1および第2の光導波路コアが重なることによって形成される光接続部によって、受信した光信号を分岐したり、送信する光信号を結合する機能を実現できる。また、上記光分岐結合機能を備えるための第1および第2の光導波路コア同士の光軸調整は容易であり、その光モジュールを低コストで大量生産することができる。さらに、その光モジュールは、光ファイバおよび複数の光素子の間を送受信する光信号を光接続部を介して分岐結合して伝搬させることができる。
【0032】
第11の発明は、第10の発明に従属する発明であって、
第1の光導波路コアは、第1の基板の下面に対して平行に形成された凹形状の第1の溝に、相対的に高い屈折率を有する高屈折率材料を充填することによって形成され、
第2の光導波路コアは、第2の基板の上面に対して平行に形成された凹形状の第2の溝に、相対的に高い屈折率を有する高屈折率材料を充填することによって形成され、
第1の基板の下面および第2の基板の上面とは、相対的に高い屈折率を有する高屈折率材料によって接合される。
【0033】
第12の発明は、第10の発明に従属する発明であって、
第1および第2の基板が有する屈折率は、互いに異なっており、
第1および第2の光導波路コアの断面形状は、それらの断面形状の幅および高さの少なくとも一方が互いに異なっている。
【0034】
第13の発明は、第10の発明に従属する発明であって、
第1の基板の下面および第2の基板の上面に対して互いの接合位置関係を調整することによって、その面積を増減させた光接続部を形成する。
【0035】
第14の発明は、第11の発明に従属する発明であって、
第1および第2の溝に充填し、かつ第1の基板の下面と第2の基板の上面とを接合する高屈折率材料は、同じ紫外線硬化樹脂であることを特徴とする。
【0036】
第15の発明は、第11の発明に従属する発明であって、
第1および第2の溝に充填し、かつ第1の基板の下面と第2の基板の上面とを接合する高屈折率材料は、同じガラス系材料であることを特徴とする。
【0037】
第16の発明は、第11の発明に従属する発明であって、
第1および第2の基板は、低屈折率材料としてガラス系材料が第1および第2の溝を含めて成形されることによって形成されることを特徴とする。
【0038】
第17の発明は、第11の発明に従属する発明であって、
第1および第2の基板は、低屈折率材料として透明樹脂が第1および第2の溝を含めて成形されることによって形成されることを特徴とする。
【0039】
第18の発明は、第11の発明に従属する発明であって、
第1および第2の基板の少なくとも一方には、光ファイバをその条溝内面に沿わせて固定することによって第1および第2の光導波路コアのいずれかの他方端面および光ファイバの光軸を一致させる光ファイバ配列用溝が形成される。
【0040】
第18の発明によれば、光ファイバを光ファイバ配列用溝に沿わせて固定することによって、容易に光ファイバと第1あるいは第2の光導波路コアの光軸を一致させることができる。
【0041】
第19の発明は、第18の発明に従属する発明であって、
第1および第2の基板は、第1および第2の溝および光ファイバ配列用溝から選択される少なくとも1つが型造された成形型を用いた成形によって形成されることを特徴とする。
【0042】
第19の発明によれば、第1および第2の溝および光ファイバ配列用溝が型造された成形型を用いて、第1および第2の基板をそれぞれ1度の成形工程で一体成形することが可能であり、低コストな光モジュールを大量生産することが可能である。
【0043】
第20の発明は、第10の発明に従属する発明であって、
光素子は、光半導体素子であり、
第2の基板の上面には、伝送線路が形成され、
光素子は、伝送線路と電気的に接続される。
【0044】
第21の発明は、第20の発明に従属する発明であって、
伝送線路は、マイクロストリップ線路およびコプレナー線路の一方であることを特徴とする。
【0045】
第20あるいは第21の発明によれば、第2の基板に様々な機能が集積された光集積回路を構成できる。
【0046】
第22の発明は、光導波路および光素子の間に光信号を伝搬させる光モジュール製造方法であって、
その下面に対して凹形状の第1の溝がその下面と平行に形成された第1の基板を成形によって形成する第1の基板成形ステップと、
その上面に対して凹形状の第2の溝がその上面と平行に形成された第2の基板を成形によって形成する第2の基板成形ステップと、
第2の基板の上面に光素子を所定の位置に実装する光素子実装ステップと、
第1の基板に形成された第1の溝に第1および第2の基板が有する屈折率より相対的に高い屈折率を有する高屈折率材料を充填することによって第1の光導波路コアを形成し、かつ同じ高屈折率材料を少なくともその第1の基板の下面に塗布する高屈折率材料充填ステップと、
第2の基板に実装された光素子の光軸を基準に、第1の基板を第2の基板の上面に対して平行に位置調整し、第1および第2の光導波路コアのそれぞれ一部が接触するように重ねることによって、第1および第2の光導波路コアの間の光接続部を形成する位置調整ステップと、
第1の基板の下面と第2の基板の上面との接合により、第1の基板の下面に塗布された高屈折率材料を第2の基板に形成された第2の溝に充填することによって第2の光導波路コアを形成する接合ステップとを含む。
【0047】
第22の発明によれば、第1および第2の基板よりも相対的に高い屈折率を有する高屈折率材料を用いることによって、第1および第2の溝内部に充填されたそれらの高屈折率材料は、第1および第2の光導波路コアとして機能し、容易に光導波路コアを形成できる。そして、第1および第2の光導波路コアが重なることによって形成される光接続部によって、受信した光信号を分岐したり、送信する光信号を結合する光分岐結合機能を有する光モジュールを実現できる。また、上記光分岐結合機能を備えるための第1および第2の光導波路コアの光軸調整は容易であり、その光モジュールを低コストで大量生産することができるものである。さらに、その光モジュールの第1および第2の光導波路コアと、光素子の高さ方向の光軸調整も容易であり、他の方向の光軸調整についても第1の基板を第2の基板の上面に対して平行に位置を調整することによって、容易に調整することができるため、大量生産に向いた低コスト化が実現できる。さらに、その光モジュールの第1および第2の光導波路コアの形成および第1および第2の溝を含んだ第1および第2の基板の成形も容易であるため、低コストな光モジュールを大量生産することが可能である。
【0048】
【発明の実施の形態】
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る光モジュールの構造について説明する。なお、図1は、当該光モジュールの斜視図である。図1において、当該光モジュールは、第1の基板1、第2の基板2、フォトダイオード(PD)3、レーザダイオード(LD)4、および光ファイバ5を備えている。なお、以下の説明では、当該光モジュールをPDおよびLD3および4側から見た面を正面、光ファイバ5側から見た面を背面、第1の基板1側から見た面を上面、第2の基板2側から見た面を下面、該正面から右側の側面を右側面、および該正面から左側の側面を左側面として説明を行う。また、後述するように、第1の基板1、第2の基板2、および光ファイバ5は、互いに接着剤等の接合材料で固定されるが、図1では説明を簡単にするために、当該接合材料を図示しない。
【0049】
第2の基板2は略直方体形状を有しており、その上面には、高さ方向(図示Z軸方向)に対して段差が形成され、該上面は、この段差によって互いに平行の上段面および下段面が形成される。なお、上記段差を形成する段差形成面2sは、第2の基板2の正面に向けて形成される。
【0050】
第2の基板2の上段面の一部は、第1の基板1の下面と接合される。なお、第1の基板1の下面および第2の基板2の上段面とは、所定の接合材料にて接合され、接合材料厚さγが形成されるが、ここでは図示せず接合部の詳細については後述する。また、第2の基板2内部には、第2の光導波路コア2cが形成される。第2の光導波路コア2cは、第2の基板2の内部で、かつ上記第1の基板1の下面との接合面と接する位置に形成される。また、第2の光導波路コア2cは、第2の基板2の上段面のほぼ中央部と段差形成面2sのほぼ中央部とを結ぶ図示Y軸方向に形成されており、該段差形成面2s(正面側)に一方端面2caが形成される。また、第2の基板の上段面のほぼ中央部(背面側)には、第2の光導波路コア2cの他方端面2cbが形成される。
【0051】
また、第2の基板2の上段面には、その上段面に対して凹形状を有する光ファイバ配列用溝2fが形成される。この光ファイバ配列用溝2fは、上記第2の光導波路コア2cと同一の方向の溝として形成され、第2の基板2のほぼ中央部に配置される第2の光導波路コア2cの他方端面2cbを含む面と、第2の基板2の上記Y軸方向の背面とを空間で結んでいる。以下の説明では、光ファイバ配列用溝2fによって形成される第2の基板2の背面側の開口部を背面開口部とし、光ファイバ配列用溝2fによって形成される第2の光導波路コア2cの他方端面2cbを含む面を光ファイバ配列用溝2fの正面とする。なお、第2の光導波路コア2cおよび光ファイバ配列用溝2fの詳細な位置については、後述する。
【0052】
第2の基板2の下段面には、所定の電極パターンおよび伝送線路2pが形成される。なお、第2の基板2の下段面に形成される伝送線路2pについては、マイクロストリップ線路あるいはコプレナー線路で構成することが可能である。
【0053】
第1の基板1は略直方体形状を有しており、その正面と第2の基板2の段差形成面2sとが同一平面上に配置されるように、その下面および第2の基板2の上段面が接合される。第1の基板1内部には、第1の光導波路コア1cが形成される。第1の光導波路コア1cは、第1の基板1の内部で、かつ上記第2の基板2の上段面との接合面と接する位置に形成される。また、第1の光導波路コア1cは、第1の基板1のほぼ中央部と正面の中央から左側面側に所定寸法ずれた部位とを結ぶ方向(つまり、図示Y軸方向および第2の光導波路コア2cに対して、所定の角度を有する方向)に形成されており、該正面に一方端面1caが形成される。一方、第1の光導波路コア1cは、第1の基板1の下面中央部付近で、かつ第1の基板1の内部に形成される傾斜面1csによって他方端面が構成される。第1の光導波路コア1cの他方端部は、この傾斜面1csおよび第1の基板1の下面に挟まれることによって先狭の楔形に形成され、その最狭部が該下面に一致する。そして、第1の基板1の下面で形成される第1の光導波路コア1cの上記他方端部の一方面は、第1および第2の基板1および2が接合されることによって、少なくとも第2の光導波路コア2cの上面側の面の一部と上記接合材料を介して接続され、それぞれ光接続部を構成する。つまり、傾斜面1csは、第2の光導波路コア2cとの上記光接続部に対して、図示Z軸方向(上面側)に形成される。なお、第1の光導波路コア1cの詳細な位置については、後述する。
【0054】
PD3およびLD4は、第2の基板2の下段面上に実装される。このPD3は、その受光部の光軸が第1の基板1に形成される第1の光導波路コア1cの正面に形成される端面1caから出射される光信号の光軸と一致するように実装される。また、LD4は、その発光部の光軸が第2の基板2に形成される第2の光導波路コア2cの段差形成面2sに形成される端面2caの光軸と一致するように実装される。なお、PD3およびLD4の詳細な位置については、後述する。また、PD3およびLD4は、第2の基板2の下段面に形成される電極パターンおよび伝送線路2pと電気的に接続される。
【0055】
光ファイバ5は、第2の基板2に形成されている光ファイバ配列用溝2fに沿って、光ファイバ配列用溝2fと所定の接合材料で固定される。光ファイバ5は、その光軸が第2の基板2に形成される第2の光導波路コア2cの光軸と一致するように配置され、第2の光導波路コア2cの他方端面2cbおよび光ファイバ5の一方端面とが接合される。つまり、光ファイバ5、第2の光導波路コア2c、およびLD4の発光部の光軸は、互いに一致しており、LD4は、第2の光導波路コア2cおよび光ファイバ5を介して、光信号を送信することが可能である。また、光ファイバ5から第2の光導波路コア2cに出射される光信号は、上述した第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの光接続部を介して第1の光導波路コア1cを伝搬し、PD3で受信することが可能であるが、これら光信号の伝搬動作については後述する。また、光ファイバ5の詳細な位置についても、後述する。
【0056】
次に、図2を参照して、本発明の光モジュールの上面から見た構造について説明する。上述したように、第2の基板2内部には、第2の光導波路コア2cが形成される。第2の光導波路コア2cは、段差形成面2sのほぼ中央に形成される一方端面2caと、第2の基板2の上段面のほぼ中央部に形成される光ファイバ配列用溝2fの正面に対して同一平面上に形成される他方端面2cbとを結ぶ図示Y軸方向に形成されている。また、第2の光導波路コア2cの光軸L2は、光ファイバ配列用溝2fに沿って配置される光ファイバ5および第2の基板2の下段面に実装されるLD4の発光部4aの光軸と互いに一致して配置される。また、第2の光導波路コア2cの他方端面2cbと光ファイバ5の一方端面とは、接合されている。
【0057】
一方、第1の基板1内部には、第1の光導波路コア1cが形成される。上述したように、第1の光導波路コア1cは、第1の基板1の正面の中央から左側面側に所定寸法ずれた部位に形成される一方端面1caと、第1の基板1のほぼ中央部に形成される傾斜面1csとを結ぶ図示Y軸方向および第2の光導波路コア2cに対して所定の角度を有する方向に形成されている。また、第1の光導波路コア1cの光軸L1は、第2の基板2の下段面に実装されるPD3の受光部3aと交差するように配置される。そして、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cのそれぞれの一部が、図示Z軸方向(紙面の垂直方向)で重複し、当該重複領域によって上述した光接続部を構成している。第1および第2の光導波路コア1cおよび2cが重複する光接続部の図示Z軸方向に、少なくともその一部が当該Z軸方向に重複するように傾斜面1csが配置される。なお、図2では、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの光軸L1およびL2を、それぞれ直線で構成したが、光軸L1を上記光接続部付近で光軸L2とほぼ平行になるように第1の光導波路コア1cを曲げ形状に形成することによって、図示Z軸方向に上記傾斜面1csが上記光接続部に完全に含まれるように配置してもかまわない。
【0058】
次に、図3を参照して、本発明の光モジュールの右側面から見た構造について説明する。図3において、上述したように第1および第2の基板1および2は、互いにその下面および上段面で図示しない接合材料で接合されている。第2の光導波路コア2cは、その接合部と接するように図示Z軸方向に深さβで第2の基板2側に形成されている。また、第1の光導波路コア1cは、その接合部と接するように図示Z軸方向に深さαで第1の基板1側に形成されている。そして、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cは、上述した図示Z軸方向で重複する光接続部領域で上記接続材料を介して接続されている。また、LD4は、第2の基板2の下段面に実装されており、光ファイバ5は、第2の基板2に形成された光ファイバ配列用溝2fに沿って、第2の基板2に図示しない接合材料で固定されている。そして、第2の基板2に形成される光ファイバ配列用溝2fの正面、第1の基板1の背面、および光ファイバ5の一方端面とは、互いに同一平面上に一致するように固定される。つまり、光ファイバ5の一方端面は、光ファイバ配列用溝2fの正面の一部および第1の基板1の背面の一部と接合される。また、第1の基板1の正面および第2の基板2の正面側に形成される段差形成面2sは、互いに同一平面上に一致するように接合される。そして、光ファイバ5の光軸、第2の光導波路コア2cの光軸、およびLD4の発光部4aの中心は、互いに光軸L2上で一致するように配置される。なお、PD3も、その受光部3aと第1の光導波路コア1cの光軸L1と交差するように第2の基板2の下段面に実装されるが、ここでは、図示を省略する。
【0059】
次に、図4を参照して、本発明の光モジュールの正面から見た構造について説明する。なお、図4では、説明を簡単にするために、当該光モジュールの正面に配置されるPD3およびLD4については図示を省略する。図4において、上述したように第1および第2の基板1および2の下面および上段面は、所定の接合材料で接合されている。上記接合材料は、接合材料厚さγを有する接合材料層6を形成している。また、上記接合材料と第1および第2の光導波路コア1cおよび2cとの材料は、好ましくは高屈折率材料としてのガラス系材料や紫外線硬化樹脂等が用いられる。つまり、上述したように第1および第2の光導波路コア1cおよび2cが接合材料層6と接するように形成されているため、接合材料層6と第1および第2の光導波路コア1cおよび2cとは、同一の材料で構成された場合、一体で形成することができる。このように、接合材料層6と第1および第2の光導波路コア1cおよび2cとを同一の接合材料で構成することによって、後述する当該光モジュールの製造が容易になる。
【0060】
ここで、本発明の光モジュールの第1および第2の光導波路コア1cおよび2cにおける光軸位置について説明する。上述したように、接合材料層6と第1および第2の光導波路コア1cおよび2cとが、高屈折率材料としてのガラス系材料や紫外線硬化樹脂等の同一の材料で、接合材料層6の接合材料厚さγと第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの高さ方向(図示Z軸方向)の深さαおよびβで形成される。このとき、図示Z軸方向における第1の光導波路コア1cの光軸L1の位置は、(α+γ)/2となる。また、図示Z軸方向における第2の光導波路コア2cの光軸L2の位置は、(β+γ)/2となる。当該光モジュールでは、第2の基板2の下段面からこれらの光軸L1およびL2までの高さと、PD3の実装面から受光部3aまでの高さおよびLD4の実装面から発光部4aまでの高さとを、予め合致するように調整することによって、図示Z軸方向の位置を容易に一致させることができる。
【0061】
次に、図5を参照して、本発明の光モジュールの背面から見た構造について説明する。図5において、上述したように第1および第2の基板1および2の下面および上段面は、接合材料層6によって接合されている。また、第2の基板2に形成されている光ファイバ配列用溝2fの開口部の段面形状は2等辺3角形であり、等しい2辺間の挟角の頂点が上記光軸L2と平行にZ軸方向上に配置され、他の2頂点は第2の基板2の上段面上に配置される。光ファイバ配列用溝2fに沿って背面開口部側から光ファイバ5が配置され、光ファイバ5は、その外周面の2ヶ所が光ファイバ配列用溝2fと接して第2の基板2に固定される。
【0062】
ここで、本発明の光モジュールの第2の光導波路コア2cおよび光ファイバ5のコア5cにおける光軸位置について説明する。接合材料層6および第2の光導波路コア2cが、高屈折率材料としてのガラス系材料や紫外線硬化樹脂等の同一の材料で、接合材料層6の接合材料厚さγおよび第2の基板2における第2の光導波路コア2cの高さ方向(図示Z軸方向)の深さβで形成された場合、図示Z軸方向における第2の光導波路コア2c光軸L2の位置は、(β+γ)/2となる。一方、光ファイバ配列用溝2fは、その内面に沿って光ファイバ5を配置した場合、配置された光ファイバ5の光軸が、第2の光導波路コア2cの光軸L2と一致するように形成される。つまり、光ファイバ5を光ファイバ配列用溝2fに沿って配置し固定することによって、光ファイバ5のコア5cの光軸と、第2の光導波路コア2cの光軸L2とを容易に一致させることができる。
【0063】
次に、図1〜図5を参照して、本発明の光モジュールで送受信する光信号の動作について説明する。当該光モジュールで受信する光信号は、光ファイバ5を伝搬して光ファイバ5の上記一方端面から第2の光導波路コア2cに入射する。このとき、光ファイバ5の上記一方端面および第2の光導波路コア2cの他方端面2cbが接合されており、それぞれの光軸も一致して配置されているため、非常に小さい損失で上記光信号を伝搬することができる。
【0064】
そして、第2の光導波路コア2cに入射した上記光信号は、第2の光導波路コア2c内を伝搬し、上述した光接続部に到達する。この光接続部では、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cが、接合材料層6を介して光接続されているので、上記光信号の一部は、当該光接続部から接合材料層6を介して第1の光導波路コア1cへ分岐する。つまり、上記光信号は、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cに分岐して伝搬される。
【0065】
ここで、第1の光導波路コア1cを伝搬する光信号の波長について説明する。一般的に、光導波路を導波できる光信号の波長は、コアおよびクラッドの屈折率やコア寸法に依存し、当該波長によっても屈折率が変化する。以下、光導波路を導波する光信号が0次モードで波長が1.3μmおよび1.55μmを一例として、説明を行う。
【0066】
図6(a)は、波長1.3μmにおける等価屈折率の光導波路深さ依存性を示すグラフであり、図6(b)は、波長1.55μmにおける等価屈折率の光導波路深さ依存性を示すグラフである。図6(a)および図6(b)共に、横軸を光導波路深さ(μm)、縦軸を等価屈折率を示している。
【0067】
図6(a)において、本発明の光モジュールは、波長1.3μmにおいて、第1の光導波路コア1cの屈折率を1.511、第1の光導波路コア1c以外の第1の基板1の屈折率を1.504、第2の光導波路コア2c以外の第2の基板2の屈折率を1.509で構成されているとする。図6(a)は、このような屈折率で構成される光モジュールにおける、等価屈折率の第1の光導波路コア1cの深さ依存性を示している。なお、このグラフで示す第1の光導波路コア1cの深さとは、接合材料層6の厚さを含んでおり、つまり、深さα+厚さγで示される寸法である(図4参照)。
【0068】
図6(a)に示すように、第1の光導波路コア1cの深さ依存性を示す実線は、等価屈折率1.509を示す横軸と深さ2.8μmで交差している。この等価屈折率1.509以下の領域は、上述した波長1.3μmにおける第2の基板2の屈折率が1.509より低い等価屈折率を示す領域であるため、当該領域における導波モードは存在しない。すなわち、0次モードで波長1.3μmの光信号におけるカットオフ深さが2.8μmであり、上記第1の光導波路コア1c深さα+γは、2.8μmより大きければ0次モードの波長1.3μmの光信号が第1の光導波路コア1cを導波することになる。
【0069】
一方、図6(b)において、上述した光モジュールは、波長1.55μmの場合、第1の光導波路コア1cの屈折率が1.507、第1の光導波路コア1c以外の第1の基板1の屈折率が1.501、第2の光導波路コア2c以外の第2の基板2の屈折率が1.506で構成される。図6(b)は、このような屈折率で構成される光モジュールにおける、等価屈折率の第1の光導波路コア1cの深さ依存性を示している。なお、このグラフで示す第1の光導波路コア1cの深さも、接合材料層6の厚さを含んだ深さα+厚さγで示される寸法である(図4参照)。
【0070】
図6(b)に示すように、第1の光導波路コア1cの深さ依存性を示す実線は、等価屈折率1.506を示す横軸と深さ5.3μmで交差している。この等価屈折率1.506以下の領域は、上述した波長1.55μmにおける第2の基板2の屈折率が1.506より低い等価屈折率を示す領域であるため、当該領域における導波モードは存在しない。すなわち、0次モードで波長1.55μmの光信号におけるカットオフ深さが5.3μmであり、上記第1の光導波路コア1c深さα+γは、5.3μmより大きければ0次モードの波長1.55μmの光信号が第1の光導波路コア1cを導波することになる。なお、上述した第1の光導波路コア1cの深さ依存性は、第2の光導波路コア2cにおいても第1の光導波路コア1cと同一の材料で構成されることによって、同様の特性が示される。
【0071】
例えば、このような等価屈折率の第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの深さ依存性に基づいて、第1の光導波路コア1cの深さαに接合材料層6の厚さγを加えた寸法α+γ=4μm、第2の光導波路コア2cの深さβに接合材料層6の厚さγを加えた寸法β+γ=8μmとした場合、光ファイバ5から第2の光導波路コア2cに波長1.3μmおよび1.55μmの光信号が入射すると、第1の光導波路コア1cには、波長1.3μmの光信号のみが導波される。つまり、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの深さαおよびβと、接合材料層6の厚さγとを変化させることによって、本発明の光モジュールは、所望の波長分離機能を持たせることができる。
【0072】
このような所望の波長分離機能を有する光モジュールにおける、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの深さαおよびβと、接合材料層6の厚さγとを設定する方法について説明する。ここで、第2の光導波路コア2cには0次モードの波長λ1およびλ2(λ1<λ2)の光信号を導波させ、第1の光導波路コア1cには0次モードの波長λ1の光信号のみを導波させるものとする。また、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの屈折率を、波長λ1において屈折率n11、波長λ2において屈折率n12とする。また、第2の光導波路コア2c以外の第2の基板2の屈折率を、波長λ1において屈折率n21、波長λ2において屈折率n22とする。また、第1の光導波路コア1c以外の第1の基板1の屈折率を、波長λ1において屈折率n31、波長λ2において屈折率n32とする。なお、屈折率n21≠n31および屈折率n22≠n32とする。このように構成される光モジュールにおいて、第1の光導波路コア1cの深さαに接合材料層6の厚さγを加えた寸法α+γを、
【数1】
で設定する。一方、第2の光導波路コア2cの深さβに接合材料層6の厚さγを加えた寸法β+γを、
【数2】
で設定する。このように、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの深さαおよびβと、接合材料層6の厚さγと、それぞれの屈折率とを設定することによって、第2の光導波路コア2cには0次モードの波長λ1およびλ2の光信号を導波させ、第1の光導波路コア1cには0次モードの波長λ1の光信号のみを導波させる所望の波長分離機能を有する光モジュールを実現することができる。
【0073】
図1〜図5に戻り、上記光接続部で分岐した光信号は、第1の光導波路コア1cをその深さαに応じた波長の光信号のみ伝搬され、端面1caから出射される。そして、端面1caから出射された光信号は、PD3の受光部3aに入射する。
【0074】
一方、LD4の発光部4aから出射される光信号は、第2の光導波路コア2cの端面2caから入射し、第2の光導波路コア2cを伝搬して端面2cbに到達する。そして、上記光信号は、端面2cbと接合している光ファイバ5の一方端面に入射し、光ファイバ5を伝搬していく。
【0075】
なお、上述したような波長分離機能が不要である場合、本発明の光モジュールでは、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの深さαおよびβは、同じ深さにしてもかまわないし、上述した式(1)および式(2)のような設定をしなくてもよい。この場合、当該光モジュールは、上記波長分離機能を持たない単純な光分岐を行う光モジュールとして用いることができる。
【0076】
また、上述したように、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cのそれぞれの一部が、Z軸方向(図2紙面の垂直方向)で重複し、当該重複領域によって光接続部を構成している。第1および第2の基板1および2の相対的な位置関係を調整することによって、上記重複領域の面積を調整することができる。つまり、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cが重複する光接続部の面積を増減することができる。例えば、上記光接続部の面積を相対的に小さくすることによって、第1の光導波路コア1cへ分岐する光エネルギが少なくなり、上記光接続部の面積を相対的に大きくすることによって、第1の光導波路コア1cへ分岐する光エネルギが多くなる。したがって、光接続部の面積を増減することで、光ファイバ5から入射する光信号を第1および第2の光導波路コア1cおよび2cへ所望の分岐比で分岐することができる。なお、当該光モジュールを光結合器として機能させる場合、光接続部の面積を増減することで、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cから光ファイバ5へ出射するそれぞれの光エネルギの比を調整できることは言うまでもない。
【0077】
次に、図7を参照して、本発明の光モジュールの製造方法として、第1の基板1の詳細な構造について説明する。なお、図7は、第1の光導波路コア1cを形成する前の第1の基板1を下面側から見た斜視図である。図7において、第1の基板1の下面に対して凹形状に、第1の光導波路コア用溝1cgが形成されている。この第1の光導波路コア用溝1cgは、その内部に高屈折率材料としてのガラス系材料や紫外線硬化樹脂等を充填することによって、第1の光導波路コア1cを形成する溝である。したがって、上記第1の光導波路コア用溝1cgは、上述した第1の光導波路コア1cの形状と同様に形成され、その溝深さ(図示Z軸方向の深さ)は、第1の基板1の下面と平行に深さαである。そして、第1の光導波路コア用溝1cgは、第1の基板1のほぼ中央部と正面の中央から左側面側に所定寸法ずれた部位とを結ぶ方向(つまり、図示Y軸方向に対して、所定の角度を有する方向)を延伸方向とした略直方体形状であり、その一方端は、該正面に溝開口部1cgaが形成される。また、第1の光導波路コア用溝1cgの他方端は、第1の基板1の下面中央部付近に形成される溝傾斜面1cgsで終端する。第1の光導波路コア用溝1cgの他方端は、この溝傾斜面1cgsおよび第1の基板1の下面に挟まれることによって先狭の楔形に形成され、その最浅部が該下面に一致する。なお、この溝傾斜面1cgsは、前述した第1の光導波路コア1cの傾斜面1csを形成するための形成面であり、他の詳細な形状は、前述の傾斜面1csと同様である(図1〜図3参照)。
【0078】
第1の基板1は、好ましくは、ガラスもしくは透明樹脂等の低屈折率の材料を用いて成形される。その成形に用いられる成形型は、第1の基板1の全体形状に加えて、上述した第1の光導波路コア用溝1cgが成形されるように型造される。したがって、第1の光導波路コア用溝1cgが形成された第1の基板1は、上記成形型を用いて低屈折率の材料を成形することによって容易に製造することができる。なお、第1の基板1上面の所定の位置には、後述するPD3に対する位置決めを行うためのマーカ1m(図示せず)が上記成形時に同時に形成される。
【0079】
次に、図8を参照して、本発明の光モジュールを構成する第2の基板2の詳細な構造について説明する。なお、図8は、第2の基板2を上面側から見た斜視図である。図8において、第2の基板2は略直方体形状を有しており、その上面には、段差形成面2sによって互いに平行の上段面および下段面が形成されている。なお、段差形成面2sは、第2の基板2の正面に向かって形成される。
【0080】
そして、第2の基板2の上段面に対して凹形状に、上述した光ファイバ配列用溝2fおよび第2の光導波路コア用溝2cgが形成されている。この第2の光導波路コア用溝2cgは、その内部に高屈折率材料としてのガラス系材料や紫外線硬化樹脂等を充填することによって、第2の光導波路コア2cを形成する溝である。したがって、上記第2の光導波路コア用溝2cgは、上述した第2の光導波路コア2cの形状と同様に形成され、その溝深さ(図示Z軸方向の深さ)は、第2の基板2の上段面と平行に深さβである。また、上述したように光ファイバ配列用溝2fおよび第2の光導波路コア用溝2cgは、同一方向に形成されている。第2の光導波路コア用溝2cgは、その溝形状が図示Y軸方向を延伸方向とした略直方体形状であり、その一方端は、段差形成面2sに一方側溝開口部2cgaが形成される。また、第2の光導波路用コア溝2cgの他方端は、光ファイバ配列用溝2fの正面に他方側溝開口部2cgbが形成される。また、光ファイバ配列用溝2fは、その溝形状が図示Y軸方向を延伸方向とした2等辺3角柱形状であり、その等しい2辺間の挟角の頂点を結ぶ直線が第2の光導波路コア用溝2cgのY軸方向の中心軸と平行にZ軸方向にずらして配置され、他の2頂点を結ぶ直線が第2の基板2の上段面上に配置されるように形成される。なお、上述したように光ファイバ配列用溝2fは、その内面に沿って光ファイバ5を配置した場合、配置された光ファイバ5の光軸が、第2の光導波路コア2cを伝搬する光の光軸と一致するように形成される。
【0081】
第2の基板2は、好ましくは、ガラスもしくは透明樹脂等の低屈折率の材料を用いて成形される。その成形に用いられる成形型は、第2の基板2の全体形状に加えて、上述した第2の光導波路コア用溝2cgおよび光ファイバ配列用溝2fが成形されるように型造される。したがって、第2の光導波路コア用溝2cgおよび光ファイバ配列用溝2fが形成された第2の基板2は、上記成形型を用いて低屈折率の材料を成形することによって容易に製造することができる。なお、第2の基板2の下段面の所定の位置には、後述するLD4に対する位置決めを行うためのマーカ2m(図示せず)が上記成形時に同時に形成される。
【0082】
次に、図9を参照して、当該光モジュールの組立方法について説明する。図9において、まず、第2の基板2の下段面にPD3およびLD4が所定の位置に実装される。なお、好ましくは、PD3に設けられている受光部3aの実装面からの中心高さは、第1の光導波路コア1cの光軸の実装面からの高さと一致させる。また、LD4に設けられている発光部4aの実装面からの中心高さは、第2の光導波路コア2cの光軸の実装面からの高さと一致させる。このように、受光部3aおよび発光部4aの上記高さ、あるいは、段差形成面2sの図示Z軸方向の高さ等を調整し、予めそれぞれの図示Z軸方向の光軸位置を一致させることによって、PD3と、LD4と、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cとの図示Z軸方向の光軸合わせが容易になる。また、PD3およびLD4には、図示X軸方向に対する光軸位置決めを行うためのマーカ3mおよび4mが設けられている。したがって、LD4は、図示X軸方向の位置を当該LD4に設けられたマーカ4mおよび第2の基板2の下段面に設けられたマーカ2mを用いて、X軸方向の光軸が調整され、第2の基板2の下段面に実装される。
【0083】
次に、第1の基板1の下面および第1の光導波路コア用溝1cgに、高屈折率の接合材料としてガラス系材料や紫外線硬化樹脂等を塗布して充填する。好ましくは、上記接合材料の塗布をスピンコーティングで行い、その回転数を500〜8000rpmの範囲で行う。これによって、第1の基板1の下面に、上述した第1の光導波路コア1cおよび接合材料層6が形成される。
【0084】
そして、第1の基板1の下面および第2の基板2の上段面を貼り合わせることによって、第1の基板1の下面および第2の基板2の上段面とが接合材料層6によって接合される。この貼り合わせによって、第2の基板2に形成されている第2の光導波路コア用溝2cgには、接合材料層6が充填される。つまり、第2の光導波路コア用溝2cgには、接合材料層6の高屈折率の接合材料としてガラス系材料や紫外線硬化樹脂等が充填される。このとき、第1の光導波路コア1cおよびPD3に設けられている受光部3aの光軸調整は、図示Z軸方向は不要であるが、図示X軸方向については、PD3に設けられたマーカ3mおよび第1の基板1の成形時にその上面に設けたマーカ1mを用いて、PD3を基準に第1の基板1を移動させることによって位置決めされる。そして、第1の基板1と接合された第2の基板2の光ファイバ配列用溝2fに高屈折率の接合材料としてガラス系材料や紫外線硬化樹脂等を塗布して充填し、当該光ファイバ配列用溝2fに沿って光ファイバ5を配置し、光ファイバ5の一方端面を光ファイバ配列用溝2fの正面および第1の基板1の背面と接合する。
【0085】
なお、第1および第2の基板1および2の位置合わせは、PD3に設けられたマーカ3mを用いなくてもかまわない。例えば、第1および第2の基板1および2にそれぞれ設けられた別のマーカを用いて、第1および第2の基板1および2の位置合わせを行ってもいいし、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cに対する画像処理等を用いて、それぞれの位置を合わせることにより、第1および第2の基板1および2の位置合わせを行ってもかまわない。また、第2の光導波路コア2cおよび光ファイバ5は、光軸が一致した状態で配置されているため、第1の基板1および第2の基板2とを貼り合わせる際に、光ファイバ5からの出力をPD3で観測することによって、第1および第2の基板1および2の位置合わせを行ってもかまわない。また、上記貼り合わせ前の接合材料層6の形成は、第1の基板1の下面と接合する第2の基板2の上段面の領域に形成してもかまわない。これは、第2の基板2の上段面の上記領域と、第2の光導波路コア用溝2cgおよび光ファイバ配列用溝2fとに、高屈折率の接合材料としてガラス系材料や紫外線硬化樹脂等を塗布して充填する。好ましくは、上記接合材料の塗布をスピンコーティングで行い、その回転数を500〜8000rpmの範囲で行う。これによって、第2の基板2の上段面に、上述した第2の光導波路コア2cおよび接合材料層6が形成され、その後、第1の基板1の下面と貼り合わせても同様の接合が可能であることは言うまでもない。
【0086】
次に、光軸調整を含めた位置合わせが完了した第1および第2の基板1および2、および光ファイバ5の接合部に紫外線を照射することによって、該接合部および第1および第2の光導波路コア用溝1cgおよび2cgに充填された紫外線硬化樹脂を硬化させ、互いに固定される。そして、第1および第2の光導波路コア用溝1cgおよび2cg内で硬化した紫外線硬化樹脂は、第1および第2の基板1および2よりも高い屈折率を有するものを用いているため、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cとして機能する。これにより光分岐結合機能を有する光モジュールが完成する。
【0087】
なお、上述した当該光モジュールにおける光軸調整は、先に第1および第2の基板1および2を固定した後、PD3およびLD4の位置を調整し、該PD3およびLD4を実装してもかまわない。
【0088】
このように、第1の基板1および第2の基板2よりも高い屈折率を有するガラス系材料や紫外線硬化樹脂等を用いることによって、第1および第2の光導波路コア用溝1cgおよび2cg内部に充填されたガラス系材料や紫外線硬化樹脂は、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cとして機能する。そして、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの接続によって、受信した光信号を分岐したり、送信する光信号を結合する光分岐結合機能を有する光モジュールを実現できる。また、第1および第2の光導波路コア1cおよび2cが重複する光接続部の面積を増減することで、光ファイバ5から入射する光信号を第1および第2の光導波路コア1cおよび2cへ所望の分岐比で分岐したり、光ファイバ5へ出射するそれぞれの光エネルギの比を調整することができる。さらに、上記光分岐結合機能を備えるための第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの光軸調整は容易であり、当該光モジュールを低コストで大量生産することができるものである。また、当該光モジュールの第1および第2の光導波路コア1cおよび2cと、PD3およびLD4の高さ方向(Z軸方向)の光軸調整も容易であり、他の方向の光軸調整についても第1の基板1等を第2の基板2の上段面に対して平行に位置を調整することによって、容易に調整することができるため、大量生産に向いた低コスト化が実現できる。そして、当該光モジュールの第1および第2の光導波路コア1cおよび2cの形成および第1および第2の基板1および2の成形も容易であるため、低コストな光モジュールを大量生産することが可能である。また、第1の光導波路コア1cの断面寸法と、第1および第2の基板1および2の屈折率を調整することによって、波長分離機能を付加した光モジュールを簡単に実現できる。
【0089】
なお、第1および第2の光導波路コア用溝1cgおよび2cg等については、上述したように成形で形成するのが生産上望ましいが、これに限るものでなく、必要に応じてエッチングにより形成しても構わない。また、第1および第2の光導波路コア用溝1cgおよび2cgにガラス系材料や紫外線硬化樹脂を充填させたが、これに限るものでなく、熱硬化性樹脂やポリイミド等を充填してもかまわない。
【0090】
また、上述では、第2の基板2の下段面にPD3およびLD4を実装したが、これに限るものではなく、例えば、コア径の異なる別の光導波路や、レンズ、アイソレータ、フィルタ、あるいは波長板等、様々な構成部品を実装してもかまわない。また、PD3およびLD4以外に、光半導体素子駆動用半導体や増幅器等の半導体素子やLCR部品を実装してもよく、基板の両面に実装してもよい。また、第2の基板2の下段面に電極パターンおよび伝送線路2pを形成して説明したが、別の高周波回路基板に電極パターンおよび伝送線路を形成し、第2の基板2の下段面に配置してもよい。また、当該光モジュールを光信号の受信のみ、あるいは送信のみに用いる場合、複数のPD3のみや複数のLD4のみの組合せで第2の基板2の下段面に実装してもかまわない。さらに、PD3およびLD4は、それぞれの配置位置を逆にしてもかまわない。つまり、LD4から出射した光信号を第1の光導波路コア1cから光ファイバ5に送信し、光ファイバ5から受信した光信号を第2の光導波路コア2cを伝搬させ、そのまま端面2caから出射させてPD3に入射させてもかまわない。
【0091】
また、第2の光導波路コア2cの他方端面に接続する光伝送路は、光ファイバ5に限らず、様々な光伝送路を接続することができることは言うまでもない。また、複数の光ファイバを配置してもかまわない。また、光ファイバ5の代わりに、アイソレータやレンズ、フィルタ、波長板などを配置してもよい。
【0092】
また、2本の直線の光導波路を組み合わせた一例を説明したが、これに限るものではなく、一般に使用されている光導波路パターン全てに応用することができ、光波の曲がり、分岐、および結合の制御もできる。また、第1の光導波路コア1cに設けられた傾斜面1csはなくてもかまわず、例えば、光軸に対して垂直な端面で構成しても、第2の光導波路コア2cとの間に光接続部を形成している限り、同様の光分岐結合機能を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光モジュールの構造について説明するための斜視図である。
【図2】図1の光モジュールの上面から見た構造について説明するための上面図である。
【図3】図1の光モジュールの右側面から見た構造について説明するための右側面図である。
【図4】図1の光モジュールの正面から見た構造について説明するための正面図である。
【図5】図1の光モジュールの背面から見た構造について説明するための背面図である。
【図6】図1の光モジュールの波長における等価屈折率の光導波路深さ依存性を示すグラフである。
【図7】図1の光モジュールの製造方法として、第1の基板1の詳細な構造について説明する斜視図である。
【図8】図1の光モジュールの製造方法として、第2の基板2の詳細な構造について説明する斜視図である。
【図9】図1の光モジュールの組立方法について説明する斜視図である。
【図10】従来の光モジュールの構造の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…第1の基板
1c…第1の光導波路コア
1ca、2ca、2cb…端面
1cs…傾斜面
1cg…第1の光導波路コア用溝
1cga、2cga、2cgb…溝開口部
1cgs…溝傾斜面
1m、2m、3m、4m…マーカ
2…第2の基板
2c…第2の光導波路コア
2cg…第2の光導波路コア用溝
2f…光ファイバ配列用溝
2p…電極パターンおよび伝送線路
2s…段差形成面
3…PD
3a…受光部
4…LD
4a…発光部
5…光ファイバ
5c…コア
6…接合材料層
L1、L2…光軸
Claims (22)
- 光信号を分岐結合する光導波路であって、
その下面と平行に第1の光導波路コアが内部に形成された第1の基板と、
その上面と平行に第2の光導波路コアが内部に形成された第2の基板とを備え、
前記第1の基板の下面および前記第2の基板の上面を接合し、前記第1および第2の光導波路コアのそれぞれ一部が接触するように重ねることによって、前記第1および第2の光導波路コアの間の光接続部を形成する、光導波路。 - 前記第1の光導波路コアは、前記第1の基板の下面に対して平行に形成された凹形状の第1の溝に、相対的に高い屈折率を有する高屈折率材料を充填することによって形成され、
前記第2の光導波路コアは、前記第2の基板の上面に対して平行に形成された凹形状の第2の溝に、相対的に高い屈折率を有する高屈折率材料を充填することによって形成され、
前記第1の基板の下面および前記第2の基板の上面とは、相対的に高い屈折率を有する高屈折率材料によって接合される、請求項1に記載の光導波路。 - 前記第1および第2の基板が有する屈折率は、互いに異なっており、
前記第1および第2の光導波路コアの断面形状は、当該断面形状の幅および高さの少なくとも一方が互いに異なっている、請求項1に記載の光導波路。 - 前記第1の基板の下面および前記第2の基板の上面に対して互いの接合位置関係を調整することによって、その面積を増減させた前記光接続部を形成することを特徴とする、請求項1に記載の光導波路。
- 前記第1および第2の溝に充填し、かつ前記第1の基板の下面と前記第2の基板の上面とを接合する前記高屈折率材料は、同じ紫外線硬化樹脂であることを特徴とする、請求項2に記載の光導波路。
- 前記第1および第2の溝に充填し、かつ前記第1の基板の下面と前記第2の基板の上面とを接合する高屈折率材料は、同じガラス系材料であることを特徴とする、請求項2に記載の光導波路。
- 前記第1および第2の基板は、低屈折率材料としてガラス系材料が前記第1および第2の溝を含めて成形されることによって形成されることを特徴とする、請求項2に記載の光導波路。
- 前記第1および第2の基板は、低屈折率材料として透明樹脂が前記第1および第2の溝を含めて成形されることによって形成されることを特徴とする、請求項2に記載の光導波路。
- 前記第1および第2の基板は、それぞれの所定の位置に設けられた位置決め用マーカを用いて位置決めされることを特徴とする、請求項1に記載の光導波路。
- 光導波路および光素子の間に光信号を分岐結合して伝搬させる光モジュールであって、
その下面と平行に第1の光導波路コアが内部に形成された第1の基板と、
その上面と平行に第2の光導波路コアが内部に形成された第2の基板と、
前記第1および第2の基板の少なくとも一方に固定された光ファイバと、
前記第2の基板の上面の一部に実装され、前記第1および第2の光導波路コアのそれぞれの一方端面と光接続される複数の光素子とを備え、
前記第1の基板の下面および前記第2の基板の上面を接合し、前記第1および第2の光導波路コアのそれぞれ一部が接触するように重ねることによって、前記第1および第2の光導波路コアの間の光接続部を形成する、光モジュール。 - 前記第1の光導波路コアは、前記第1の基板の下面に対して平行に形成された凹形状の第1の溝に、相対的に高い屈折率を有する高屈折率材料を充填することによって形成され、
前記第2の光導波路コアは、前記第2の基板の上面に対して平行に形成された凹形状の第2の溝に、相対的に高い屈折率を有する高屈折率材料を充填することによって形成され、
前記第1の基板の下面および前記第2の基板の上面とは、相対的に高い屈折率を有する高屈折率材料によって接合される、請求項10に記載の光モジュール。 - 前記第1および第2の基板が有する屈折率は、互いに異なっており、
前記第1および第2の光導波路コアの断面形状は、当該断面形状の幅および高さの少なくとも一方が互いに異なっている、請求項10に記載の光モジュール。 - 前記第1の基板の下面および前記第2の基板の上面に対して互いの接合位置関係を調整することによって、その面積を増減させた前記光接続部を形成することを特徴とする、請求項10に記載の光モジュール。
- 前記第1および第2の溝に充填し、かつ前記第1の基板の下面と前記第2の基板の上面とを接合する前記高屈折率材料は、同じ紫外線硬化樹脂であることを特徴とする、請求項11に記載の光モジュール。
- 前記第1および第2の溝に充填し、かつ前記第1の基板の下面と前記第2の基板の上面とを接合する前記高屈折率材料は、同じガラス系材料であることを特徴とする、請求項11に記載の光モジュール。
- 前記第1および第2の基板は、低屈折率材料としてガラス系材料が前記第1および第2の溝を含めて成形されることによって形成されることを特徴とする、請求項11に記載の光モジュール。
- 前記第1および第2の基板は、低屈折率材料として透明樹脂が前記第1および第2の溝を含めて成形されることによって形成されることを特徴とする、請求項11に記載の光モジュール。
- 前記第1および第2の基板の少なくとも一方には、前記光ファイバをその条溝内面に沿わせて固定することによって前記第1および第2の光導波路コアのいずれかの他方端面および前記光ファイバの光軸を一致させる光ファイバ配列用溝が形成される、請求項11に記載の光モジュール。
- 前記第1および第2の基板は、前記第1および第2の溝および前記光ファイバ配列用溝から選択される少なくとも1つが型造された成形型を用いた成形によって形成されることを特徴とする、請求項18に記載の光モジュール。
- 前記光素子は、光半導体素子であり、
前記第2の基板の上面には、伝送線路が形成され、
前記光素子は、前記伝送線路と電気的に接続される、請求項10に記載の光モジュール。 - 前記伝送線路は、マイクロストリップ線路およびコプレナー線路の一方であることを特徴とする、請求項20に記載の光モジュール。
- 光導波路および光素子の間に光信号を伝搬させる光モジュール製造方法であって、
その下面に対して凹形状の第1の溝が該下面と平行に形成された第1の基板を成形によって形成する第1の基板成形ステップと、
その上面に対して凹形状の第2の溝が該上面と平行に形成された第2の基板を成形によって形成する第2の基板成形ステップと、
前記第2の基板の上面に前記光素子を所定の位置に実装する光素子実装ステップと、
前記第1の基板に形成された前記第1の溝に前記第1および第2の基板が有する屈折率より相対的に高い屈折率を有する高屈折率材料を充填することによって第1の光導波路コアを形成し、かつ同じ前記高屈折率材料を少なくとも該第1の基板の下面に塗布する高屈折率材料充填ステップと、
前記第2の基板に実装された前記光素子の光軸を基準に、前記第1の基板を前記第2の基板の上面に対して平行に位置調整し、前記第1および第2の光導波路コアのそれぞれ一部が接触するように重ねることによって、前記第1および第2の光導波路コアの間の光接続部を形成する位置調整ステップと、
前記第1の基板の下面と前記第2の基板の上面との接合により、前記第1の基板の下面に塗布された前記高屈折率材料を前記第2の基板に形成された前記第2の溝に充填することによって第2の光導波路コアを形成する接合ステップとを含む、光モジュール製造方法。
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