JP2004076783A - 転がり軸受の潤滑方法および潤滑装置 - Google Patents

転がり軸受の潤滑方法および潤滑装置 Download PDF

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Abstract

【課題】低速回転から高速回転まで、潤滑の信頼性を確保しつつ安定した温度上昇を示すことが可能な転がり軸受の潤滑方法および潤滑装置を提供する。
【解決手段】この転がり軸受の潤滑方法は、転がり軸受の運転中に潤滑油を供給する潤滑方法であって、転がり軸受3の温度を設定許容範囲に保つために、運転中に潤滑油の供給量を供給量変更手段2により自動的に、または手動で変更する。潤滑油の供給は、潤滑油供給手段1を用いてエアオイルの状態で行う。潤滑油の供給量は、転がり軸受3の回転速度に応じて変更する。回転速度に応じた潤滑油の供給量の変更は、潤滑油供給量を互いに異ならせた複数種類の潤滑条件で、回転速度に応じた転がり軸受3の温度上昇データのサンプリングを行い、そのサンプリング結果に応じて行う。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、工作機械用主軸支持部やボールねじ支持部等に用いられる転がり軸受の潤滑方法および潤滑装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
転がり軸受における潤滑の目的は、転がり面および滑り面に薄い油膜を形成して、金属製の内外輪と金属製の転動体が直接接触するのを防止することであり、次のような効果が得られる。
▲1▼ 摩擦および摩耗の低減
▲2▼ 摩擦熱の排出
▲3▼ 軸受寿命の延長
▲4▼ 錆止め
▲5▼ 異物の侵入防止
潤滑によりこれらの効果を発揮させるためには、軸受の使用条件に適した潤滑方法を採用すると共に、良質な潤滑剤を選定すること、および適切な密封構造を設計することが必要である。密封構造を適切に設計することは、潤滑剤中のダスト除去、外部からの異物の侵入防止、および潤滑剤の洩れ防止に必要である。
【0003】
一般に、工作機械用主軸の支持に用いられる転がり軸受では、潤滑油の攪拌による発熱をできるだけ小さくするために、使用する潤滑油量は非常に少なく制限される。図7は、このような転がり軸受での使用潤滑油量と、摩擦損失および軸受温度との関係を示す。同図において、潤滑油量の領域は、I〜Vに区分して示してある。同図における最も温度上昇の低い油量領域IIでは、エアオイル潤滑が採用される。
【0004】
エアオイル潤滑では、図8にシステム例を示すように、レベルスイッチ付きのタンク34、ポンプ35、およびタイマ41で制御されるソレノイドバルブ40を用い、潤滑油を軸受33毎に正確に計量して最適間隔で送り出す。これを、給油管36の末端でエア供給路38のエアと混合した後、軸受33に向けたノズル56で潤滑必要部に吹き付けるという構成を持つ。そのため、工作機械主軸の高速化、低温度上昇に適合する潤滑方法として広く用いられている。
【0005】
しかし、高速回転時には、軸受温度が上昇するため潤滑油の油膜形成能が低下する。加えて、軸受33における回転部周辺の空気が連れ回って形成されるエアカーテンも増大するため、高速回転時ほど潤滑条件が厳しくなり、ノズル56から供給された潤滑油も軸受内部へ入り難くなる。このため、エアオイル潤滑における潤滑油の供給量は、最高回転時に十分な信頼性を確保できるように決定されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
エアオイル潤滑では、上記のように潤滑条件の厳しい最高回転時を想定して潤滑油の供給量が決定されている。
一方、低速回転時には、軸受温度が低く、軸受内部への潤滑油の供給を妨害するエアカーテンの形成能力も低い。そのため、高速回転時ほど潤滑条件は厳しくなく、潤滑油量も多く必要としない。つまり、高速回転時に最適となるように軸受33への潤滑油量を決定すると、低速回転時には潤滑油過多の状態となる。エアオイル潤滑は、図7の温度変化極小の油量領域IIに該当するので、前述のように潤滑油が過多になると攪拌抵抗により軸受温度が上昇する。
【0007】
この発明の目的は、低速回転から高速回転まで、潤滑の信頼性を確保しつつ安定した温度上昇を示す潤滑が可能な転がり軸受の潤滑方法および潤滑装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明の転がり軸受の潤滑方法は、転がり軸受の運転中に潤滑油を供給する潤滑方法であって、転がり軸受の温度変化抑制のために、運転中に潤滑油の供給量を変更することを特徴とする。
この方法によると、運転中に潤滑条件に応じて、潤滑油の供給量を変更することができる。そのため、低速回転から高速回転まで、潤滑の信頼性を確保しつつ安定した温度上昇を示す潤滑が可能となる。
【0009】
上記潤滑油の供給は、エアオイルの状態で行うものとしても良い。エアオイル潤滑は、高速回転に対応して低温度上昇の潤滑が行える。このエアオイル潤滑において、運転中に潤滑油の供給量を変更することにより、広範な回転速度に対応した適切な潤滑が行える。
【0010】
上記運転中の潤滑油供給量の変更は、転がり軸受の回転速度に応じて行うようにしても良い。適切な潤滑油量は軸受の回転速度に応じて異なるため、回転速度に応じて運転中に潤滑油供給量を変更することで、低速回転から高速回転まで、潤滑の信頼性を確保しつつ安定した温度上昇を示す潤滑が行える。
なお、温度上昇には、潤滑油の供給量以外の因子、例えば荷重や振動等も含まれる。しかし、温度上昇を潤滑油量の切換の因子にすると、油量が適切である場合にも係わらず、油量を変更してしまう恐れがあり、焼損や極大領域の発生等の別の不具合が発生する可能性が出て来る。回転速度に応じて潤滑油量を切換るようにすると、これらの不具合が避けられる。
【0011】
上記のようにして転がり軸受の回転速度に応じた潤滑油供給量の変更を行う場合に、潤滑油供給量を互いに異ならせた複数種類の潤滑条件で、回転速度に応じた転がり軸受の温度上昇データのサンプリングを行い、サンプリング結果に応じて、回転速度に応じた潤滑油の供給量の変更を行うようにしても良い。
軸受の温度上昇は、軸受だけでなく、その周辺部品、例えばハウジング、軸、密封装置等の幾何学的形状や放熱条件によって決定される。その場合に、温度上昇を計算などシュミレートによって予測することは非常に難しい。サンプリングによると、種々の潤滑条件における温度上昇を見ることができ、各潤滑油量における軸受温度上昇との関係を把握することができる。特に、エアオイル潤滑の場合は、潤滑油量と軸受温度上昇の関係の再現性は非常に高いため、例えば1回のサンプリングで十分な場合が多い。
【0012】
サンプリングデータは、回転速度を横軸に軸受温度を縦軸にそれぞれとってグラフとした場合に、回転速度に応じて潤滑条件を変更することにより、極大点が小さくなり、または極大点が実質上発生しないように潤滑条件を組み合わせるようにしても良い。
このような潤滑条件の組み合わせを得るには、例えば、潤滑油量を異ならせた複数種類のサンプリングデータのグラフを重ね合わせたグラフを作成する。この重ね合わせグラフから、極大領域を通過することなく、最低回転速度から最高回転速度に至ることのできる経路を、回転速度領域毎のグラフ部分を選択することによって決定する。この場合に、切換段数は少ない方が制御が簡単であるため、潤滑油供給量の条件を2つ組合わせるだけで極大領域が無くなるのであれば、2段切換とすることが好ましい。高速主軸等のように、低速域と高速域とで適正な油量の差が大きい場合は、3段以上の潤滑油量の条件の組み合わせを行うようにしても良い。
【0013】
運転中の潤滑油供給量の変更は、手動の操作で行うようにしても良く、また設定条件に応じ、回転速度の情報信号に従って自動的に行うようにしても良い。設定条件によって自動変更を行うようにすれば、オペレータの判断や操作を必要とせずに、回転速度に応じた潤滑油供給量の変更が行われる。
【0014】
この発明の転がり軸受の潤滑装置は、転がり軸受の運転中に潤滑油を供給する潤滑油供給手段と、上記転がり軸受の運転中に、設定条件に応じて上記潤滑油供給手段に潤滑油の供給量を変更させる供給量変更手段とを備えたものである。
この構成によると、運転中に供給量変更手段が潤滑油供給手段に潤滑油の供給量を変更させることで、低速回転から高速回転まで、潤滑の信頼性を確保しつつ安定した温度上昇を示すことが可能となる。
【0015】
上記潤滑油供給手段は、例えば、転がり軸受にエアオイルを吐出するものとされる。
上記供給量変更手段は、上記設定条件が転がり軸受の回転速度に関する条件であり、回転速度に応じて上記潤滑油供給手段に潤滑油の供給量を変更させるものであっても良い。上記供給量変更手段は、転がり軸受の複数に区分される回転速度領域毎に供給量が設定されていて、入力された回転速度の情報に応じて、その設定された供給量に変更させるものであっても良い。
【0016】
また、上記潤滑油供給手段は間欠的に潤滑油を供給するものである場合に、上記供給量変更手段は、上記潤滑油供給手段の潤滑油の供給間隔を変更するものであっても良い。間欠的に潤滑油を供給するものである場合に、潤滑油供給量の変更は、1回の供給あたりの供給量を調整する方式と、供給間隔を変更する方式との2種類が採れるが、供給間隔を変える方式の方が制御が簡単になる。供給間隔の変更は、例えばタイマーの制御で可能となる。1回の供給あたりの供給量の調整は、例えばバルブの開放量を機械的に制御する必要があるため、比較的構造が複雑になる。
【0017】
この発明の転がり軸受の潤滑装置において、上記転がり軸受は、工作機械の主軸を支持する軸受であっても良い。工作機械の主軸は、高速化の傾向にあり、また加工目的に応じて異なる回転速度で運転されることがあるうえ、加工精度の確保のために発熱の抑制が強く求められ、潤滑上の要求が厳しい。この発明の潤滑装置によると、このような要求に対応して、高速化、低温度上昇に適合する潤滑が行える。
【0018】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態を図1および図2と共に説明する。図1は、この転がり軸受の潤滑方法に用いられる潤滑装置の概略構成を示す。この潤滑装置は、潤滑油供給手段1と、供給量変更手段2とを備える。潤滑油供給手段1は、転がり軸受3の運転中に潤滑油を供給する手段である。供給量変更手段2は、転がり軸受3の運転中に、設定条件に応じて、潤滑油供給手段2に潤滑油の供給量を変更させる手段である。
【0019】
潤滑油供給手段1は、転がり軸受3にエアオイルを間欠的に吐出するものであり、次のように構成されている。この潤滑油供給手段1は、タンク4内の潤滑油を搬送用のエアで油路6へ圧送するポンプ5と、ポンプ5の上流側に接続されたエア供給路7と、このエア供給路7から分岐されて油路6の先端で合流するエア分岐供給路8とを備える。タンク4はレベルスイッチ付きであり、他のタンク(図示せず)から1回のショット分の潤滑油が溜められる。エア供給路7は、ソレノイドバルブ10が介在し、このバルブ10が開いている間だけポンプ5からの潤滑油の圧送が可能である。エア供給路7におけるソレノイドバルブ10の上手側には圧力スイッチ9が設けられている。エア供給路7およびエア分岐供給路8には、その分岐箇所よりも上手側から、エアフィルタ11およびミストセパレータ12で濾過されたエアが圧送される。エア分岐供給路8は可変の絞り弁が設けられていて、流量調節が可能である。エア分岐供給路8からは、常にエアが圧送される。油路6の潤滑油は、エア分岐供給路8から圧送されたエアと、油路6の先端の合流部で混合してエアオイルとされる。このエアオイルが、エアオイルライン13を経て、その先端のノズル26から軸受3に吐出される。
【0020】
供給量変更手段2は、潤滑油供給手段1に潤滑油供給量の情報信号を与える手段であり、制御装置15に設けられている。制御装置15は、コンピュータ式のものであり、転がり軸受3で支持される主軸の回転速度とこの潤滑装置の潤滑条件を制御するプログラムを備える。このプログラムの一部により供給量変更手段2が構成される。制御装置15は、さらに転がり軸受3を備えた工作機械等の機械全体の制御を行う装置であっても良い。制御装置15は、パーソナルコンピュータであっても、コンピュータ式のプログラマブルコントローラであっても、その他の制御機能を持つ機器であっても良い。また制御装置15は、軸受装備機械の制御用とは別に設けられたものであっても良い。
供給量変更手段2は、回転速度検出手段14から得られる軸受回転速度の情報信号に応じて、上記潤滑油供給量の情報信号を生成するものとされる。回転速度検出手段14は、転がり軸受3で支持する軸、またはその駆動用のモータ(図示せず)の回転速度を検出するものであっても、また上記モータを制御する指令値から軸受回転速度を得るものであっても良い。
供給量変更手段2は、転がり軸受3の複数に区分される回転速度領域毎に供給量が設定されていて、回転速度検出手段14から入力された回転速度を、回転速度領域を区分する設定速度と比較し、対応する回転速度領域の設定供給量の信号を出力する。回転速度領域の区分数は、2つであっても、3つ以上であっても良い。
潤滑油供給量の情報信号は、この実施形態では、潤滑油供給手段1の潤滑油の供給間隔を変更する指令としてある。具体的には、ソレノイドバルブ10を開状態に動作させる指令を、設定供給間隔に応じて出力するものとしてある。
【0021】
潤滑対象の転がり軸受3は、例えば工作機械の主軸を支持する軸受である。ここでは転がり軸受3は、図2に示す単列の円筒ころ軸受であり、内輪22と外輪23の転走面22a,23a間に円筒ころからなる複数の転動体24を介在させたものである。転動体24は保持器25のポケット内に保持される。
ノズル26はリング状の部材とされ、その円周方向の1箇所または複数箇所に吐出孔28が設けられている。ノズル26は、軸受外から内輪22の転走面22aにエアオイルを吹き付けるものとしてある。ノズル部材26は、軸受3の外輪23を取付けたハウジング29に取付けられる。ノズル部材26のハウジング29への取付けは、外輪間座(図示せず)を介して行っても良い。ノズル26の吐出孔28の入口は、上記エアオイルライン13に、そのハウジング29内の流路部分13aを介して接続されている。
【0022】
なお、転がり軸受3は、図2の例では内輪鍔付きのものとしたが、内輪鍔無しで外輪鍔付きのものであっても良く、またアンギュラ玉軸受等の玉軸受であっても良い。また、ノズル26は、図3(A)や図3(B)に示すものを用いても良い。
【0023】
図3(A)の例では、転がり軸受3の内輪22の外径面に、転走面22aに続く斜面部22bが設けられ、この斜面部22bに隙間を持って沿うように、上記ノズル26が設けられている。ノズル26はリング状の部材とされ、その円周方向の1箇所または複数箇所に、吐出孔28が設けられている。ノズル部材26のハウジング29への取付けは、外輪間座30を介して行われ、またはハウジング29に直接に取付けられる。
図3(B)の例は、転がり軸受3をアンギュラ玉軸受としている。また、同図の例では、斜面部22bに円周溝27を設け、この円周溝27に対向してノズル26が開口するものとしてある。このように円周溝27を設ける構成は、玉軸受に限らず、円筒ころ軸受など、転がり軸受一般に適用できる。
【0024】
上記構成の潤滑装置における潤滑方法を説明する。転がり軸受3の運転中は、回転速度検出手段14により転がり軸受3の内輪回転速度が監視される。回転速度検出手段14で検出された回転速度の情報信号は、供給量変更手段2により、回転速度領域を区分する速度設定値と比較され、供給量変更手段2は、対応する設定供給量の信号を出力する。この信号は、ソレノイドバルブ10を開状態に動作させる信号であり、この信号の間隔が、ノズル6から吐出するエアオイルの供給間隔となる。供給量変更手段2は、例えば回転速度領域を2つに区分し、エアオイルの供給間隔を低速の領域では長くし、高速の領域では短くする。例えば、長い方の間隔は15分間隔とされ、短い方の間隔は5分間隔とされる。このように、運転中に供給量変更手段2が潤滑油供給手段1に潤滑油の供給量を変更させることで、低速回転から高速回転まで、潤滑の信頼性を確保しつつ安定した温度上昇を示すことが可能となる。
【0025】
つぎに、試験例と共に、潤滑油供給量を変更する回転速度の定め方につき説明する。
図4は、単列円筒ころ軸受(N1020K、軸受内径φ100mm、外径φ150mm)をエアオイル潤滑で試験したときの軸受外輪の温度上昇を示したものである。回転速度を横軸に、軸受温度を縦軸にそれぞれ採ってサンプリングデータをグラフとしている。エアオイル潤滑は、図8に示したノズル56で行い、その狙い位置は内輪転走面とした。この際の試験条件を表1に示す。なお、「外輪温度上昇」とは、外輪温度から試験装置の機台温度を差し引いた値である。
【0026】
【表1】
Figure 2004076783
【0027】
表1の試験条件における潤滑油量0.02ml/1ショット/5min は、軸受への1回のエアオイル噴射で0.02mlの潤滑油を供給し、噴射の間隔を5min (分)とすることを言う。この値は、最高回転速度12000min −1における信頼性が確保できる値として決定・採用したものである。
【0028】
図4のグラフ(曲線a)では、回転速度4000min −1から8000min −1にかけて温度上昇の極大領域が存在している。特に、4000min −1および8000min −1において顕著な極大部分が生じている。これは、上記した潤滑油の攪拌抵抗によるものであると考えられる。このような軸受33の温度上昇は、工作機械主軸に適用した場合、主軸の熱膨張による加工精度劣化を引き起こすだけでなく、潤滑油過多により軸受33が焼損する可能性も高くなる。
【0029】
図5のグラフ(曲線b(プロットを■で示したグラフ))は、表1の試験条件のうち、潤滑油量のみを削減した条件で試験を行った結果である。この場合の試験条件を表2に示す。
【0030】
【表2】
Figure 2004076783
【0031】
図5のグラフ(曲線b(1ショット/15min 間隔))では、図4の場合(1ショット/5min 間隔)のような温度上昇の極大点が存在しない。これは、潤滑油過多に起因する攪拌抵抗が減少したためであると考えられる。一方、潤滑油量が(1ショット/15min −1)の場合は、潤滑油量(1ショット/5min −1)の場合に比べて油量を削減しているにもかかわらず、温度上昇は低減されていない。このことは、図7に示す油量領域IIにおける温度上昇極小点付近に潤滑条件が位置していることを示している。そのため、例えばエアオイル供給システムの不具合や加減速時など、潤滑条件の悪化に対し、軸受温度が急激に上昇する可能性が高い。
【0032】
図4,図5の結果をまとめると、つぎの通りである。5min 間隔とした場合、極大領域が発生するものの、高速でも十分な油量を確保している。高速時において、5min 間隔の方(油量の多い方)が15min 間隔(油量の少ない方)よりも温度が低くなっている。このことは、5min 間隔よりも間隔を長くすると、焼損の可能性が高まることを意味する。逆に5min 間隔よりも間隔を短くして油量を増やすと、極大領域が高速側に広がってくるので、15min 間隔(油量の少ない方)の条件で運転しなければならない速度領域が高速側に伸びてしまう。この場合も15min 間隔での焼損の可能性が高まってしまう。15min 間隔では、高速時の温度上昇は大きいが、中、低速範囲で極大領域は発生していない。
【0033】
これら図4,図5の試験結果から、回転速度領域によって潤滑条件の切換を行えば、低速回転から高速回転まで、潤滑の信頼性を確保しつつ、安定した温度上昇を示すことが予想される。
そこで、この実施形態では、図4のグラフ(曲線a)と図5のグラフ(曲線b)とを重ね合わせて図5に示し、この重ね合わせグラフから、極大点が実質上発生しないように潤滑条件を組み合わせた。例えば、回転速度が10000min −1未満では1ショット/15min 間隔の供給量として潤滑油供給量を少なくし、回転速度が10000min −1以上になると1ショット/5min 間隔の供給量に切り換えて潤滑油量が多くなるように、供給量変更手段2を設定した。すなわち、表3に示す潤滑条件とした。
【0034】
【表3】
Figure 2004076783
【0035】
このように運転中に回転速度を監視し、回転速度に応じて潤滑油の供給量を変更することで、図6に示すように、低速回転から高速回転まで、潤滑の信頼性を確保しつつ、安定した温度上昇を示す潤滑が行えた。
【0036】
この実施形態における効果を纏めると、次の通りである。
・低速回転から高速回転まで、極大領域を持たない安定した温度上昇を示すエアオイル潤滑が可能となった。
・温度上昇の安定化を図るだけでなく、潤滑の信頼性、特に高速領域の信頼性の確保が可能である。
・従来の非可変潤滑油量の供給システムでは、中低速領域でも高速領域と同一量の潤滑油を供給していたが、この実施形態ではそれが不要となった。その結果、中低速領域では潤滑油消費量が削減され、潤滑装置のランニングコストの削減、環境負荷低減が可能になった。
【0037】
なお、上記実施形態では、2段切換を採用したが、使用回転速度の範囲に応じて多段切換や、無段切換を採用しても良い。
【0038】
【発明の効果】
この発明の転がり軸受の潤滑方法は、転がり軸受の運転中に潤滑油を供給する潤滑方法であって、運転途中で潤滑油の供給量を変更することとしたため、低速回転から高速回転まで、潤滑の信頼性を確保しつつ安定した温度上昇を示すことができる。
また、この発明の転がり軸受の潤滑装置は、転がり軸受の運転中に潤滑油を供給する潤滑油供給手段と、上記転がり軸受の運転中に、設定条件に応じて上記潤滑油供給手段に潤滑油の供給量を変更させる供給量変更手段とを設けたため、低速回転から高速回転まで、潤滑の信頼性を確保しつつ安定した温度上昇を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の転がり軸受の潤滑方法に用いられる潤滑装置の概略図である。
【図2】同潤滑方法により潤滑される転がり軸受およびその周辺部を示す拡大断面図である。
【図3】(A),(B)はそれぞれ同潤滑方法により潤滑される他の各転がり軸受およびその周辺部を示す拡大断面図である。
【図4】潤滑油量大の潤滑条件の場合の試験結果を示すグラフである。
【図5】潤滑油量小の潤滑条件の場合の試験結果を示すグラフである。
【図6】潤滑油供給量を運転途中で変化させた場合の温度変化を示すグラフである。
【図7】転がり軸受の潤滑における油量と温度上昇・摩擦損失との関係を示すグラフである。
【図8】従来の転がり軸受潤滑方法に用いられるシステムの概略図である。
【符号の説明】
1…潤滑油供給手段
2…供給量変更手段
3…転がり軸受
10…ソレノイドバルブ
14…回転速度センサ

Claims (13)

  1. 転がり軸受の運転中に潤滑油を供給する潤滑方法であって、転がり軸受の温度変化の抑制のために、運転中に潤滑油の供給量を変更することを特徴とする転がり軸受の潤滑方法。
  2. 請求項1において、潤滑油の供給をエアオイルの状態で行う転がり軸受の潤滑方法。
  3. 請求項1または請求項2において、転がり軸受の回転速度に応じて潤滑油の供給量を変更する転がり軸受の潤滑方法。
  4. 請求項3において、潤滑油供給量を互いに異ならせた複数種類の潤滑条件で、回転速度に応じた転がり軸受の温度上昇データのサンプリングを行い、そのサンプリング結果に応じて、回転速度に応じた潤滑油の供給量の変更を行う転がり軸受の潤滑方法。
  5. 請求項4において、回転速度を横軸に軸受温度を縦軸にそれぞれ採ってサンプリングデータをグラフとした場合に、回転速度に応じて潤滑条件を変更することにより、極大点が実質上発生しないように、または極大点が小さくなるように潤滑条件を組み合わせる転がり軸受の潤滑方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかにおいて、運転途中の潤滑油供給量の変更を、設定条件に応じ、回転速度の情報信号に従って自動的に行う転がり軸受の潤滑方法。
  7. 請求項1ないし請求項5のいずれかにおいて、運転途中の潤滑油供給量の変更を手動の操作で行う転がり軸受の潤滑方法。
  8. 転がり軸受の運転中に潤滑油を供給する潤滑油供給手段と、上記転がり軸受の運転中に、設定条件に応じて上記潤滑油供給手段に潤滑油の供給量を変更させる供給量変更手段とを備えた転がり軸受の潤滑装置。
  9. 請求項8において、上記潤滑油供給手段が、転がり軸受にエアオイルを吐出するものである転がり軸受の潤滑装置。
  10. 請求項8または請求項9において、上記供給量変更手段は、上記設定条件が転がり軸受の回転速度に関する条件であり、回転速度に応じて上記潤滑油供給手段に潤滑油の供給量を変更させるものである転がり軸受の潤滑装置。
  11. 請求項10において、上記供給量変更手段は、転がり軸受の複数に区分される回転速度領域毎に供給量が設定されていて、入力された回転速度の情報に応じて、その設定された供給量に変更させるものである転がり軸受の潤滑装置。
  12. 請求項8ないし請求項11のいずれかにおいて、上記潤滑油供給手段は間欠的に潤滑油を供給するものであり、上記供給量変更手段は、上記潤滑油供給手段の潤滑油の供給間隔を変更するものである転がり軸受の潤滑装置。
  13. 請求項8ないし請求項12のいずれかにおいて、上記転がり軸受は、工作機械の主軸を支持する軸受である転がり軸受の潤滑装置。
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