JP2004076764A - 歯車変速装置の同期機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】シンクロ容量の減少を伴うことなく、非同期時のシンクロナイザリングとコーン部との摩擦を好適に抑制することができる歯車変速装置の同期機構を提供する。
【解決手段】同期機構は、テーパ状の押圧面33aが形成されたシンクロナイザリング33と、押圧面33aに対して当接可能なテーパ状の被押圧面37cが形成されたコーン部37aと、シンクロナイザリング33の押圧面33aをコーン部37aの被押圧面37cに押しつけるシンクロナイザキー2とを備えている。シンクロナイザリング33の外周面とシンクロナイザキー2との間にはばね部材3が配設されている。シンクロナイザキー2においてばね部材3が当接する面は、ばね部材3による付勢力の方向が押圧面33aを被押圧面37cから離間させる方向になるよう、テーパ面とされている。
【選択図】 図1
【解決手段】同期機構は、テーパ状の押圧面33aが形成されたシンクロナイザリング33と、押圧面33aに対して当接可能なテーパ状の被押圧面37cが形成されたコーン部37aと、シンクロナイザリング33の押圧面33aをコーン部37aの被押圧面37cに押しつけるシンクロナイザキー2とを備えている。シンクロナイザリング33の外周面とシンクロナイザキー2との間にはばね部材3が配設されている。シンクロナイザキー2においてばね部材3が当接する面は、ばね部材3による付勢力の方向が押圧面33aを被押圧面37cから離間させる方向になるよう、テーパ面とされている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯車変速装置の同期機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、例えば車載用の歯車変速装置には、変速操作時に互いに異なる回転速度で回転される2つの回転要素の回転速度を同期させ、滑らかな変速を可能とする同期機構が設けられている。
【0003】
ここで、図6を参照して、そうした同期機構の一種であるキー式の同期機構の構成を説明する。この図6は、上記同期機構について、メインシャフト41の軸方向における断面を模式的に示している。なお、この同期機構において、同図6に示す一点鎖線Aを境とする右側の断面構造と左側の断面構造とは同様の構造となっている。そこで、以下の説明では上記一点鎖線を境にした左側の断面構造に基づいてその構造及び同期動作を説明する。
【0004】
同図6に示されるように、この同期機構は、スリーブ31、シンクロナイザハブ32、シンクロナイザキー39、キースプリング40、シンクロナイザリング33、変速ギヤ35に固定されたピース37等から構成されている。そして、同期機構のこれら各構成要素は、歯車変速装置のメインシャフト41に対してその外周に配設されている。
【0005】
すなわち、メインシャフト41には、スプライン係合を通じて一体回転可能にシンクロナイザハブ32が設けられるとともに、そのシンクロナイザハブ32に隣接するかたちで、同メインシャフト41に対して相対回転可能に変速ギヤ35が配設されている。また、シンクロナイザハブ32の外周には、スリーブ31が配設され、更にシンクロナイザハブ32とピース37に形成されたコーン部37aとの間には、シンクロナイザリング33が介設されている。
【0006】
また、スリーブ31の内周には、軸方向に延びるスプライン31aが形成されており、このスプライン31aは、シンクロナイザハブ32の外周に形成されたスプライン(図示略)と係合されている。このように、スリーブ31は、シンクロナイザハブ32に対して一体回転可能、且つ軸方向に相対変位可能な状態で配設されている。更に、スリーブ31の外周には、シフトフォークが係合される環状の溝31bが設けられている。これにより、スリーブ31は、運転者のシフト操作に応じてシフトフォークにより摺動されて、その回転軸方向に変位されるようになる。
【0007】
また、シンクロナイザハブ32の外周面には、周方向に等間隔をおいて、軸方向に延びる複数のキー溝(図示略)が形成されており、それら各キー溝には、シンクロナイザキー39がそれぞれ配設されている(同図6では1つのみ図示)。そして、このシンクロナイザキー39の軸方向中央部には、外周側に突出した突起39aが形成されており、この突起39aは、スリーブ31の内周面に形成された溝31cに係合可能となっている。更に、シンクロナイザキー39は、キースプリング40によってスリーブ31の内周面に押し付けられている。
【0008】
一方、上記ピース37の変速ギヤ35側外周には、スリーブ31の内周面に形成された上記スプライン31aと係合可能なスプライン37bが一体に形成されている。更に、スプライン37bからみてシンクロナイザハブ32側には、上記コーン部37aが一体に突出形成されている。コーン部37aの外周は、シンクロナイザハブ32側に向かって縮径するテーパ状に形成された被押圧面37cとなっている。
【0009】
また、シンクロナイザリング33の内周は、上記被押圧面37cと同様のテーパ状に形成された押圧面33aとなっており、シンクロナイザリング33は、コーン部37aの被押圧面37cとの間で相対回転可能に遊嵌されている。シンクロナイザリング33の変速ギヤ35側外周には、上記スリーブ31内周のスプライン31aと係合可能なスプライン33bが一体に形成されている。更にシンクロナイザリング33のシンクロナイザハブ32側の外周面には、周方向に等間隔をおいて、シンクロナイザキー39がそれぞれ挿入される複数の(同図6では1つのみ図示)キー溝33cが設けられている。そしてシンクロナイザリング33とシンクロナイザハブ32とは、シンクロナイザキー39とキー溝33cとの係合を通じて、一体回転されるようになっている。
【0010】
次に、歯車変速装置の変速動作に伴う同期機構の変速ギヤ35の係合動作を説明する。
変速ギヤ35の噛合開始前には、スリーブ31は変速ギヤ35から離間された位置にあり、スリーブ31内周のスプライン31aは、シンクロナイザハブ32のスプラインのみに係合された状態となっている。すなわち、スリーブ31内周のスプライン31aは、シンクロナイザリング33のスプライン33b、及び変速ギヤ35に固定されたピース37のスプライン37bのいずれとも係合されていない状態となっている。そのため、変速ギヤ35は、シンクロナイザハブ32に対して、すなわち上記メインシャフト41に対して自由に相対回転可能な状態となっている。
【0011】
さて、運転者によって変速操作が開始されると、まずクラッチが切られ、エンジンからメインシャフト41への動力伝達が遮断される。そして、運転者によるシフト操作に応じて、シフトフォークによりスリーブ31が変速ギヤ35側へと摺動させられる。このときのシンクロナイザキー39は、その突起39aとスリーブ31内周の溝31cとの嵌合を通じて、スリーブ31と一体となって変速ギヤ35側へと変位する。これにより、シンクロナイザリング33は、シンクロナイザキー39に押されて、スリーブ31と共に変速ギヤ35側に向けて変位され、同シンクロナイザリング33はコーン部37aに押しつけられるようになる。
【0012】
こうしてシンクロナイザリング33がコーン部37aに押し付けられると、押圧面33aとコーン部37aの被押圧面37cとの間に摩擦が発生する。そしてその摩擦により、シンクロナイザリング33とコーン部37aとの回転速度差、すなわち上記メインシャフト41と変速ギヤ35との回転速度差が次第に縮小されるようになる。
【0013】
その後、上記シフトフォークがスリーブ31を変速ギヤ35方向へと更に移動させようとすると、スリーブ31の内周の溝31cに対するシンクロナイザキー39の突起39aの嵌合が解除され、スリーブ31の更なる変速ギヤ35側への変位が許容されるようになる。そしてその更なる変位により、スリーブ31内周のスプライン31aが、シンクロナイザリング33のスプライン33bと係合しようとする。
【0014】
ところが、このときのシンクロナイザリング33は、コーン部37aとの摩擦により付勢されて、シンクロナイザキー33とキー溝33cとのクリアランスにより許容される分だけ周方向に変位されており、上記スプライン31aとスプライン33bとの回転位相は、若干ずれた状態となっている。そのため、スリーブ31内周のスプライン31aの軸方向端面がシンクロナイザリング33のスプライン33bの軸方向端面に当接され、上記スリーブ31の更なる変位が規制されるようになる。すなわち、スリーブ31が、シンクロナイザリング33を変速ギヤ35側に向けて直接押し付けるようになる。これにより、シンクロナイザリング33の押圧面33aがコーン部37aの被押圧面37cに密着されて、それら押圧面33aと被押圧面37cとの摩擦が増大されるため、被押圧面37cが形成されたピース37を備える変速ギヤ35の回転とメインシャフト41の回転とが同期されるようになる。
【0015】
こうして同期が完了すると、スリーブ31が更に変速ギヤ35側に変位され、その内周のスプライン31aがシンクロナイザリング33のスプライン33b、及び変速ギヤ35に固定されたピース37のスプライン37bに順次係合される。以上により、変速動作に伴う同期機構の変速ギヤ35の係合動作がすべて完了することとなる。
【0016】
このように上記同期機構は、変速ギヤ35に固定されたピース37のコーン部37aへのシンクロナイザリング33の押し付けに応じて発生する摩擦力によって、互いに異なる回転速度で回転される2つの回転要素の回転速度が同期される構造になっている。
【0017】
ここで、変速ギヤ35の係合時、及び同期動作時以外には、シンクロナイザリング33とコーン部37aとは、互いに離間され、相対回転されている。このときシンクロナイザリング33は、上述したように変速ギヤ35とシンクロナイザハブ32等との間に遊嵌されているだけで、その回転軸径方向への変位がある程度許容された状態となっている。そのため、シンクロナイザリング33にその径方向へのぶれが生じることがあり、コーン部37aとの間のクリアランスをその全周に亘り一定に保持しておくことが困難となる。また更に、こうしたぶれが生じることにより、シンクロナイザリング33とコーン部37aとの相対回転中に、上記押圧面33aと被押圧面37cとが一部接触してシンクロナイザリング33の引きずりが発生し、不要な摩擦が生じてしまうこともある。こうした不要な摩擦等は、歯車変速装置内での動力伝達効率の低下を招く原因となる。
【0018】
そこで従来は、例えば実開平2−21338号公報に記載の同期機構なども提案されるに至っている。この同期機構では、図7にその断面構造を示すように、シンクロナイザリング50の押圧面51aを変速ギヤ60のコーン部61に形成された被押圧部61aから離す方向に付勢する環状ばね部材70を備えるようにしている。そしてこの環状ばね部材70の付勢力により、変速ギヤ60の係合時、及び同期動作時以外でも押圧面51aと被押圧面61aとが接触しないようにしている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記公報に記載の同期機構では、環状ばね部材70の採用によって確かに上記不都合の回避が図られるようにはなる。しかし、この環状ばね部材70は、その外周端部がシンクロナイザリング50の押圧面51aに設けられた環状溝52に係合される構造であるために、新たに次のような不都合が無視できないものとなる。すなわち、上記環状溝52を設ける分だけシンクロナイザリング50の押圧面51aの面積が小さくなるため、同期作用に必要な摩擦力、いわゆるシンクロ容量が少なくなってしまう。また、環状溝52を設けた上でこのシンクロ容量を確保しようとする場合には、同期機構そのものが大型化してしまうことにもなる。
【0020】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、シンクロ容量の減少を伴うことなく、非同期動作時のシンクロナイザリングとコーン部との摩擦を好適に抑制することができる歯車変速装置の同期機構を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段及びその作用効果について以下に記載する。
請求項1に記載の発明は、歯車変速装置に設けられた2つの回転要素に対して、その一方の回転要素に一体回転可能、かつその回転軸方向に変位可能に配設されてその内周面にテーパ状の押圧面が形成されたシンクロナイザリングと、他方の回転要素に一体回転可能に配設されて前記シンクロナイザリングの押圧面に対して当接可能なテーパ状の被押圧面が形成されたコーン部とをそれぞれ設け、それら押圧面と被押圧面との接触に基づいて前記2つの回転要素の係合に際しての回転同期が図られる歯車変速装置の同期機構において、前記シンクロナイザリングの前記テーパ状の押圧面が形成された内周面の裏面にあたる外周面に対して、同シンクロナイザリングの押圧面を前記コーン部の被押圧面から離間させる方向に付勢する付勢機構を設けたことをその要旨とする。
【0022】
同構成によれば、上記付勢機構により、シンクロナイザリングの押圧面がコーン部の被押圧面から離間されるようになる。そのため、上記同期機構の非同期動作時において、シンクロナイザリングとコーン部との接触を抑制することができ、これによりシンクロナイザリングとコーン部との摩擦を好適に抑制することができるようになる。また、上記付勢機構は、シンクロナイザリングの押圧面が形成された内周面の裏面にあたる外周面に設けられる。すなわち、シンクロナイザリングの押圧面とは異なる面に上記付勢機構が設けられる。このため、このような付勢機構を設ける場合であっても上記押圧面の面積を確保することができ、もってシンクロ容量の減少を伴うことなく、非同期動作時のシンクロナイザリングとコーン部との摩擦を好適に抑制することができるようになる。
【0023】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の歯車変速装置の同期機構において、前記付勢機構は、前記シンクロナイザリングの外周面の少なくとも一部を覆う部材にその一方端が当接されるとともに、他端が同シンクロナイザリングの外周面に固定された付勢部材を備え、該付勢部材の一方端が当接される前記シンクロナイザリングの外周面を覆う部材の同付勢部材との当接面に、当該付勢機構としての前記方向への付勢を促すテーパ面が形成されてなることをその要旨とする。
【0024】
同構成では、上記付勢機構として、シンクロナイザリングの外周面の少なくとも一部を覆う部材とシンクロナイザリングの外周面との間に付勢部材を設けるようにしている。このため、シンクロナイザリングを確実に付勢することができるようになる。また、シンクロナイザリングの外周面を覆う部材の上記付勢部材との当接面に、上記付勢機構としての前記方向への付勢を促すテーパ面を形成するようにしている。従って、テーパ形状、換言すればテーパ角に応じた付勢部材の分力がシンクロナイザリングに作用し、確実にシンクロナイザリングの押圧面をコーン部の被押圧面から離間させることができるようになる。
【0025】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の歯車変速装置の同期機構において、前記付勢部材の一方端が当接される前記シンクロナイザリングの外周面を覆う部材が、同シンクロナイザリングの外周面側から前記シンクロナイザリングの押圧部を前記コーン部の被押圧部に押しつけるキーであることをその要旨とする。
【0026】
同構成によれば、上記キーを備える同期機構において、請求項2に記載の作用効果を得ることができるようになる。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の歯車変速装置の同期機構において、前記付勢部材の一方端が当接される前記シンクロナイザリングの外周面を覆う部材が、前記シンクロナイザリングと一体回転する回転要素たるハブであることをその要旨とする。
【0027】
同構成によれば、上記請求項3に記載のキーを備えていない同期機構、例えばハブインデックス式の同期機構においても、請求項2に記載の作用効果を得ることができるようになる。
【0028】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の歯車変速装置の同期機構において、前記付勢機構は、前記シンクロナイザリングの外周面の少なくとも一部を覆う部材にその一方端が当接されるとともに、他端が同シンクロナイザリングの外周面に固定された付勢部材を備え、該付勢部材の他端が固定された前記シンクロナイザリングの外周面に、当該付勢機構としての前記方向への付勢を促すテーパ面が形成されてなることをその要旨とする。
【0029】
同構成では、上記付勢機構として、シンクロナイザリングの外周面の少なくとも一部を覆う部材とシンクロナイザリングの外周面との間に付勢部材を設けるようにしているため、シンクロナイザリングを確実に付勢することができるようになる。また、上記付勢部材の他端が固定されたシンクロナイザリングの外周面に、上記付勢機構としての前記方向への付勢を促すテーパ面を形成するようにしている。従って、テーパ形状、換言すればテーパ角に応じた付勢部材の分力がシンクロナイザリングに作用し、確実にシンクロナイザリングの押圧面をコーン部の被押圧面から離間させることができるようになる。
【0030】
請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のいずれかに記載の歯車変速装置の同期機構において、前記付勢部材が、断面略くの字形状を有して弾性変形する板ばねからなることをその要旨とする。
【0031】
同構成によれば、上記付勢部材による付勢力を確保しつつ、その断面方向における大きさを極力小さくすることができる。そのため、同付勢部材を配設するための空間を極力小さくすることができ、上述したような付勢機構を同期機構に設ける場合でも、上記同期機構の大型化を抑制することができるようになる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を車載用の歯車変速装置の同期機構に具体化した一実施の形態について図1〜図3に基づき、詳細に説明する。
【0033】
図1は、本実施の形態にかかる同期機構について、その断面構造を拡大して示す概略図であり、前述した同期動作を行っていない状態での断面図を示している。また、本実施の形態にかかる同期機構と先の図6に示した同期機構とは、シンクロナイザキー2の形状が異なるとともに、ばね部材3を備える点以外は基本的に同一の構成である。また、本実施の形態にかかる同期機構と先の図6に示した同期機構とは、非同期動作時の態様が異なるものの、同期動作時の態様は同一である。そのため、同図1において先の図6と同一の構成要素には同一符号を付し、以下では、上記相違点等を中心に本実施の形態にかかる同期機構を説明する。
【0034】
図1に示されるように、シンクロナイザキー2とシンクロナイザリング33の外周面との間、より具体的にはシンクロナイザリング33の外周面に設けられ、周方向に等間隔をおいて形成される各キー溝33c(同図1では1つのみ図示)には、弾性変形する板ばねであるばね部材3が配設されている。このばね部材3の断面形状は、図2(a)にその断面図、図2(b)にその斜視図を示すように、略「く」の字形状となっており、付勢力を確保しつつもその断面方向における大きさは極力小さくされている。そして、このばね部材3の一方端はシンクロナイザキー2に当接され、他端はキー溝33c、すなわちシンクロナイザリング33の外周面に適宜の固定方法を用いて固定されている。また、このばね部材3は、シンクロナイザキー2とシンクロナイザリング33の外周面側との間に配設されるときに、同ばね部材3が圧縮されるように、その大きさ等が設定されている。
【0035】
一方、シンクロナイザリング33の外周面の一部を覆っているシンクロナイザキー2は、ばね部材3の一方端が当接する面がテーパ面とされている。このテーパ面は、シンクロナイザキー2の突部39aとスリーブ31の内周面に形成された溝31cとの係合部方向に向かって凸となるように形成されている。そしてこのように構成されたばね部材3及びシンクロナイザキー2は、前記シンクロナイザリング33の押圧面33aを前記コーン部37aの前記被押圧面37cから離間させる方向に付勢する付勢機構として機能する。
【0036】
以下、この付勢機構によって得られるシンクロナイザリング33への付勢作用について、図3の参照のもとに詳述する。なお、この図3では、先の図2に示した同期機構の構成部材のうち、シンクロナイザキー2、ばね部材3、シンクロナイザリング33、及びピース37のみを示している。すなわち、上記付勢作用の説明に際して特に関係する同期機構の構成部材のみを選択的に示している。
【0037】
さて、ばね部材3の一方端はシンクロナイザキー2のテーパ面に当接し、他端はシンクロナイザリング33の外周面に固定されている。そのため、ばね部材3の付勢力Fは、同図3に示される態様で、シンクロナイザキー2に設けられたテーパ面のテーパ角に応じて分解される。すなわち、シンクロナイザリング33には、同シンクロナイザリング33を上記メインシャフト41の中心方向に向けて付勢する分力f1と、同シンクロナイザリング33をメインシャフト41の軸方向であってピース37から離間させる方向に向けて付勢する分力f2とが作用するようになる。ここで、ばね部材3は、シンクロナイザリング33の周方向に等間隔をおいて形成されたキー溝33cのそれぞれに設けられている。従って、各ばね部材3による分力f1は、それぞれシンクロナイザリング33をメインシャフト41の中心方向へ移動させる付勢力となり、結局、シンクロナイザリング33のメインシャフト41の中心方向への移動、すなわち偏りを抑制するバランサとして作用する。一方、分力f2は上述のように、シンクロナイザリング33をピース37から離間させる付勢力として作用する。このため、シンクロナイザリング33の押圧面33aはピース37のコーン部37aに形成された被押圧面37cから離間され、不要な摩擦力の発生が抑制されるようになる。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態における同期機構によれば、次のような効果が得られるようになる。
(1)本実施の形態では、シンクロナイザリング33の押圧面33aをコーン部37aの被押圧面37cから離間させる付勢機構として、シンクロナイザリング33の外周面の一部を覆うシンクロナイザキー2とシンクロナイザリング33の外周面との間にばね部材3を配設するようにしている。そのため、シンクロナイザリング33を確実に付勢することができるようになる。さらに、シンクロナイザキー2のばね部材3との当接面に、シンクロナイザリング33の押圧面33aをコーン部37aの被押圧面37cから離間させる方向への付勢を促すテーパ面を形成するようにしている。そのため、テーパ角に応じたばね部材3の分力f2がシンクロナイザリング33に作用し、確実にシンクロナイザリング33の押圧面33aをコーン部37aの被押圧面37cから離間させることができるようになる。こうして上記付勢機構によれば、シンクロナイザリング33とコーン部37aとの摩擦を好適に抑制することができるようになる。
【0039】
(2)また、シンクロナイザリング33の押圧面33aが形成された内周面の裏面にあたる外周面に対して、上記付勢機構を設けるようにしている。すなわち、シンクロナイザリング33の押圧面33aとは異なる面に付勢機構を設けるようにしている。そのため、このような付勢機構を備える場合であっても押圧面33aの面積を確保することができ、もって同期機構のシンクロ容量の減少を伴うことなく、シンクロナイザリング33とコーン部37aとの摩擦を好適に抑制することができるようになる。
【0040】
(3)ばね部材3の断面形状を、略くの字形状としている。そのため、ばね部材3の付勢力を確保しつつ、その断面方向における大きさを極力小さくすることができる。従って、ばね部材3を配設するための空間を極力小さくすることができ、上述したような付勢機構を同期機構に設ける場合でも、上記同期機構の大型化を抑制することができるようになる。
【0041】
なお、上記実施の形態は以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施の形態では、シンクロナイザキー2にテーパ面を形成するようにしたが、図4に示すように、シンクロナイザリング33の外周面の一部を覆うシンクロナイザハブ32の内周面に上記シンクロナイザキー2と同様なテーパ面を形成するようにしてもよい。また、図5に示すように、シンクロナイザリング33の外周面に、シンクロナイザハブ32側に向けて拡径するテーパ面を形成するようにしてもよい。これらの場合には、シンクロナイザキーを備えていない同期機構、例えばシンクロナイザハブ32に突起部を設けてこの突起部をシンクロナイザリング33のキー溝33cに係合させる、いわゆるハブインデックス式の同期機構についても、この発明を適用することで、上記実施の形態に準じた効果を得ることができる。なお、これらの場合には、ばね部材3をキー溝33c以外のシンクロナイザリング33の外周面に固定することもできる。
【0042】
さらに、シンクロナイザキー2、あるいはシンクロナイザハブ32の内周面に上記テーパ面を形成するとともにシンクロナイザリング33の外周面にも上記テーパ面を形成し、両テーパ面の間にばね部材3を配設するようにしてもよい。これによっても、上記実施の形態に準じた効果を得ることができる。
【0043】
・上記実施の形態では、シンクロナイザリング33を付勢する付勢部材として、その断面が略「く」の字形状とされたばね部材3を用いることとした。しかし、シンクロナイザリング33を上記態様で付勢することのできる部材であればどのような部材でもよく、上記板ばねからなるばね部材に限られるものではない。
【0044】
・上記実施の形態では、被押圧面37cが形成されたコーン部37aを備えるピース37を変速ギヤ35とは別体として形成してこれに固定することとした。しかしこれに限らず、これらピース37と変速ギヤ35とは一体の部材として形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる歯車変速装置の同期機構の一実施の形態について、その概略構造を示す断面図。
【図2】同実施の形態におけるばね部材の形状を模式的に示す断面図、及び斜視図。
【図3】同実施の形態における付勢機構の作用を説明する模式図。
【図4】上記実施の形態の変形例についてその概略構造を示す断面図。
【図5】上記実施の形態の変形例についてその概略構造を示す断面図。
【図6】従来の歯車変速装置の同期機構についてその一例を示す断面図。
【図7】従来の歯車変速装置の同期機構についてその一例を示す断面図。
【符号の説明】
2…シンクロナイザキー、3…ばね部材、31…スリーブ、31a…スプライン、31c…溝、32…シンクロナイザハブ、33…シンクロナイザリング、33a…押圧面、33b…スプライン、33c…キー溝、35…変速ギヤ、37…ピース、37a…コーン部、37b…スプライン、37c…被押圧面、39…シンクロナイザキー、39a…突起、40…キースプリング、41…メインシャフト、50…シンクロナイザリング、51a…押圧面、52…環状溝、60…変速ギヤ、61…コーン部、61a…被押圧部、70…環状ばね部材。
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯車変速装置の同期機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、例えば車載用の歯車変速装置には、変速操作時に互いに異なる回転速度で回転される2つの回転要素の回転速度を同期させ、滑らかな変速を可能とする同期機構が設けられている。
【0003】
ここで、図6を参照して、そうした同期機構の一種であるキー式の同期機構の構成を説明する。この図6は、上記同期機構について、メインシャフト41の軸方向における断面を模式的に示している。なお、この同期機構において、同図6に示す一点鎖線Aを境とする右側の断面構造と左側の断面構造とは同様の構造となっている。そこで、以下の説明では上記一点鎖線を境にした左側の断面構造に基づいてその構造及び同期動作を説明する。
【0004】
同図6に示されるように、この同期機構は、スリーブ31、シンクロナイザハブ32、シンクロナイザキー39、キースプリング40、シンクロナイザリング33、変速ギヤ35に固定されたピース37等から構成されている。そして、同期機構のこれら各構成要素は、歯車変速装置のメインシャフト41に対してその外周に配設されている。
【0005】
すなわち、メインシャフト41には、スプライン係合を通じて一体回転可能にシンクロナイザハブ32が設けられるとともに、そのシンクロナイザハブ32に隣接するかたちで、同メインシャフト41に対して相対回転可能に変速ギヤ35が配設されている。また、シンクロナイザハブ32の外周には、スリーブ31が配設され、更にシンクロナイザハブ32とピース37に形成されたコーン部37aとの間には、シンクロナイザリング33が介設されている。
【0006】
また、スリーブ31の内周には、軸方向に延びるスプライン31aが形成されており、このスプライン31aは、シンクロナイザハブ32の外周に形成されたスプライン(図示略)と係合されている。このように、スリーブ31は、シンクロナイザハブ32に対して一体回転可能、且つ軸方向に相対変位可能な状態で配設されている。更に、スリーブ31の外周には、シフトフォークが係合される環状の溝31bが設けられている。これにより、スリーブ31は、運転者のシフト操作に応じてシフトフォークにより摺動されて、その回転軸方向に変位されるようになる。
【0007】
また、シンクロナイザハブ32の外周面には、周方向に等間隔をおいて、軸方向に延びる複数のキー溝(図示略)が形成されており、それら各キー溝には、シンクロナイザキー39がそれぞれ配設されている(同図6では1つのみ図示)。そして、このシンクロナイザキー39の軸方向中央部には、外周側に突出した突起39aが形成されており、この突起39aは、スリーブ31の内周面に形成された溝31cに係合可能となっている。更に、シンクロナイザキー39は、キースプリング40によってスリーブ31の内周面に押し付けられている。
【0008】
一方、上記ピース37の変速ギヤ35側外周には、スリーブ31の内周面に形成された上記スプライン31aと係合可能なスプライン37bが一体に形成されている。更に、スプライン37bからみてシンクロナイザハブ32側には、上記コーン部37aが一体に突出形成されている。コーン部37aの外周は、シンクロナイザハブ32側に向かって縮径するテーパ状に形成された被押圧面37cとなっている。
【0009】
また、シンクロナイザリング33の内周は、上記被押圧面37cと同様のテーパ状に形成された押圧面33aとなっており、シンクロナイザリング33は、コーン部37aの被押圧面37cとの間で相対回転可能に遊嵌されている。シンクロナイザリング33の変速ギヤ35側外周には、上記スリーブ31内周のスプライン31aと係合可能なスプライン33bが一体に形成されている。更にシンクロナイザリング33のシンクロナイザハブ32側の外周面には、周方向に等間隔をおいて、シンクロナイザキー39がそれぞれ挿入される複数の(同図6では1つのみ図示)キー溝33cが設けられている。そしてシンクロナイザリング33とシンクロナイザハブ32とは、シンクロナイザキー39とキー溝33cとの係合を通じて、一体回転されるようになっている。
【0010】
次に、歯車変速装置の変速動作に伴う同期機構の変速ギヤ35の係合動作を説明する。
変速ギヤ35の噛合開始前には、スリーブ31は変速ギヤ35から離間された位置にあり、スリーブ31内周のスプライン31aは、シンクロナイザハブ32のスプラインのみに係合された状態となっている。すなわち、スリーブ31内周のスプライン31aは、シンクロナイザリング33のスプライン33b、及び変速ギヤ35に固定されたピース37のスプライン37bのいずれとも係合されていない状態となっている。そのため、変速ギヤ35は、シンクロナイザハブ32に対して、すなわち上記メインシャフト41に対して自由に相対回転可能な状態となっている。
【0011】
さて、運転者によって変速操作が開始されると、まずクラッチが切られ、エンジンからメインシャフト41への動力伝達が遮断される。そして、運転者によるシフト操作に応じて、シフトフォークによりスリーブ31が変速ギヤ35側へと摺動させられる。このときのシンクロナイザキー39は、その突起39aとスリーブ31内周の溝31cとの嵌合を通じて、スリーブ31と一体となって変速ギヤ35側へと変位する。これにより、シンクロナイザリング33は、シンクロナイザキー39に押されて、スリーブ31と共に変速ギヤ35側に向けて変位され、同シンクロナイザリング33はコーン部37aに押しつけられるようになる。
【0012】
こうしてシンクロナイザリング33がコーン部37aに押し付けられると、押圧面33aとコーン部37aの被押圧面37cとの間に摩擦が発生する。そしてその摩擦により、シンクロナイザリング33とコーン部37aとの回転速度差、すなわち上記メインシャフト41と変速ギヤ35との回転速度差が次第に縮小されるようになる。
【0013】
その後、上記シフトフォークがスリーブ31を変速ギヤ35方向へと更に移動させようとすると、スリーブ31の内周の溝31cに対するシンクロナイザキー39の突起39aの嵌合が解除され、スリーブ31の更なる変速ギヤ35側への変位が許容されるようになる。そしてその更なる変位により、スリーブ31内周のスプライン31aが、シンクロナイザリング33のスプライン33bと係合しようとする。
【0014】
ところが、このときのシンクロナイザリング33は、コーン部37aとの摩擦により付勢されて、シンクロナイザキー33とキー溝33cとのクリアランスにより許容される分だけ周方向に変位されており、上記スプライン31aとスプライン33bとの回転位相は、若干ずれた状態となっている。そのため、スリーブ31内周のスプライン31aの軸方向端面がシンクロナイザリング33のスプライン33bの軸方向端面に当接され、上記スリーブ31の更なる変位が規制されるようになる。すなわち、スリーブ31が、シンクロナイザリング33を変速ギヤ35側に向けて直接押し付けるようになる。これにより、シンクロナイザリング33の押圧面33aがコーン部37aの被押圧面37cに密着されて、それら押圧面33aと被押圧面37cとの摩擦が増大されるため、被押圧面37cが形成されたピース37を備える変速ギヤ35の回転とメインシャフト41の回転とが同期されるようになる。
【0015】
こうして同期が完了すると、スリーブ31が更に変速ギヤ35側に変位され、その内周のスプライン31aがシンクロナイザリング33のスプライン33b、及び変速ギヤ35に固定されたピース37のスプライン37bに順次係合される。以上により、変速動作に伴う同期機構の変速ギヤ35の係合動作がすべて完了することとなる。
【0016】
このように上記同期機構は、変速ギヤ35に固定されたピース37のコーン部37aへのシンクロナイザリング33の押し付けに応じて発生する摩擦力によって、互いに異なる回転速度で回転される2つの回転要素の回転速度が同期される構造になっている。
【0017】
ここで、変速ギヤ35の係合時、及び同期動作時以外には、シンクロナイザリング33とコーン部37aとは、互いに離間され、相対回転されている。このときシンクロナイザリング33は、上述したように変速ギヤ35とシンクロナイザハブ32等との間に遊嵌されているだけで、その回転軸径方向への変位がある程度許容された状態となっている。そのため、シンクロナイザリング33にその径方向へのぶれが生じることがあり、コーン部37aとの間のクリアランスをその全周に亘り一定に保持しておくことが困難となる。また更に、こうしたぶれが生じることにより、シンクロナイザリング33とコーン部37aとの相対回転中に、上記押圧面33aと被押圧面37cとが一部接触してシンクロナイザリング33の引きずりが発生し、不要な摩擦が生じてしまうこともある。こうした不要な摩擦等は、歯車変速装置内での動力伝達効率の低下を招く原因となる。
【0018】
そこで従来は、例えば実開平2−21338号公報に記載の同期機構なども提案されるに至っている。この同期機構では、図7にその断面構造を示すように、シンクロナイザリング50の押圧面51aを変速ギヤ60のコーン部61に形成された被押圧部61aから離す方向に付勢する環状ばね部材70を備えるようにしている。そしてこの環状ばね部材70の付勢力により、変速ギヤ60の係合時、及び同期動作時以外でも押圧面51aと被押圧面61aとが接触しないようにしている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記公報に記載の同期機構では、環状ばね部材70の採用によって確かに上記不都合の回避が図られるようにはなる。しかし、この環状ばね部材70は、その外周端部がシンクロナイザリング50の押圧面51aに設けられた環状溝52に係合される構造であるために、新たに次のような不都合が無視できないものとなる。すなわち、上記環状溝52を設ける分だけシンクロナイザリング50の押圧面51aの面積が小さくなるため、同期作用に必要な摩擦力、いわゆるシンクロ容量が少なくなってしまう。また、環状溝52を設けた上でこのシンクロ容量を確保しようとする場合には、同期機構そのものが大型化してしまうことにもなる。
【0020】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、シンクロ容量の減少を伴うことなく、非同期動作時のシンクロナイザリングとコーン部との摩擦を好適に抑制することができる歯車変速装置の同期機構を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段及びその作用効果について以下に記載する。
請求項1に記載の発明は、歯車変速装置に設けられた2つの回転要素に対して、その一方の回転要素に一体回転可能、かつその回転軸方向に変位可能に配設されてその内周面にテーパ状の押圧面が形成されたシンクロナイザリングと、他方の回転要素に一体回転可能に配設されて前記シンクロナイザリングの押圧面に対して当接可能なテーパ状の被押圧面が形成されたコーン部とをそれぞれ設け、それら押圧面と被押圧面との接触に基づいて前記2つの回転要素の係合に際しての回転同期が図られる歯車変速装置の同期機構において、前記シンクロナイザリングの前記テーパ状の押圧面が形成された内周面の裏面にあたる外周面に対して、同シンクロナイザリングの押圧面を前記コーン部の被押圧面から離間させる方向に付勢する付勢機構を設けたことをその要旨とする。
【0022】
同構成によれば、上記付勢機構により、シンクロナイザリングの押圧面がコーン部の被押圧面から離間されるようになる。そのため、上記同期機構の非同期動作時において、シンクロナイザリングとコーン部との接触を抑制することができ、これによりシンクロナイザリングとコーン部との摩擦を好適に抑制することができるようになる。また、上記付勢機構は、シンクロナイザリングの押圧面が形成された内周面の裏面にあたる外周面に設けられる。すなわち、シンクロナイザリングの押圧面とは異なる面に上記付勢機構が設けられる。このため、このような付勢機構を設ける場合であっても上記押圧面の面積を確保することができ、もってシンクロ容量の減少を伴うことなく、非同期動作時のシンクロナイザリングとコーン部との摩擦を好適に抑制することができるようになる。
【0023】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の歯車変速装置の同期機構において、前記付勢機構は、前記シンクロナイザリングの外周面の少なくとも一部を覆う部材にその一方端が当接されるとともに、他端が同シンクロナイザリングの外周面に固定された付勢部材を備え、該付勢部材の一方端が当接される前記シンクロナイザリングの外周面を覆う部材の同付勢部材との当接面に、当該付勢機構としての前記方向への付勢を促すテーパ面が形成されてなることをその要旨とする。
【0024】
同構成では、上記付勢機構として、シンクロナイザリングの外周面の少なくとも一部を覆う部材とシンクロナイザリングの外周面との間に付勢部材を設けるようにしている。このため、シンクロナイザリングを確実に付勢することができるようになる。また、シンクロナイザリングの外周面を覆う部材の上記付勢部材との当接面に、上記付勢機構としての前記方向への付勢を促すテーパ面を形成するようにしている。従って、テーパ形状、換言すればテーパ角に応じた付勢部材の分力がシンクロナイザリングに作用し、確実にシンクロナイザリングの押圧面をコーン部の被押圧面から離間させることができるようになる。
【0025】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の歯車変速装置の同期機構において、前記付勢部材の一方端が当接される前記シンクロナイザリングの外周面を覆う部材が、同シンクロナイザリングの外周面側から前記シンクロナイザリングの押圧部を前記コーン部の被押圧部に押しつけるキーであることをその要旨とする。
【0026】
同構成によれば、上記キーを備える同期機構において、請求項2に記載の作用効果を得ることができるようになる。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の歯車変速装置の同期機構において、前記付勢部材の一方端が当接される前記シンクロナイザリングの外周面を覆う部材が、前記シンクロナイザリングと一体回転する回転要素たるハブであることをその要旨とする。
【0027】
同構成によれば、上記請求項3に記載のキーを備えていない同期機構、例えばハブインデックス式の同期機構においても、請求項2に記載の作用効果を得ることができるようになる。
【0028】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の歯車変速装置の同期機構において、前記付勢機構は、前記シンクロナイザリングの外周面の少なくとも一部を覆う部材にその一方端が当接されるとともに、他端が同シンクロナイザリングの外周面に固定された付勢部材を備え、該付勢部材の他端が固定された前記シンクロナイザリングの外周面に、当該付勢機構としての前記方向への付勢を促すテーパ面が形成されてなることをその要旨とする。
【0029】
同構成では、上記付勢機構として、シンクロナイザリングの外周面の少なくとも一部を覆う部材とシンクロナイザリングの外周面との間に付勢部材を設けるようにしているため、シンクロナイザリングを確実に付勢することができるようになる。また、上記付勢部材の他端が固定されたシンクロナイザリングの外周面に、上記付勢機構としての前記方向への付勢を促すテーパ面を形成するようにしている。従って、テーパ形状、換言すればテーパ角に応じた付勢部材の分力がシンクロナイザリングに作用し、確実にシンクロナイザリングの押圧面をコーン部の被押圧面から離間させることができるようになる。
【0030】
請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のいずれかに記載の歯車変速装置の同期機構において、前記付勢部材が、断面略くの字形状を有して弾性変形する板ばねからなることをその要旨とする。
【0031】
同構成によれば、上記付勢部材による付勢力を確保しつつ、その断面方向における大きさを極力小さくすることができる。そのため、同付勢部材を配設するための空間を極力小さくすることができ、上述したような付勢機構を同期機構に設ける場合でも、上記同期機構の大型化を抑制することができるようになる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を車載用の歯車変速装置の同期機構に具体化した一実施の形態について図1〜図3に基づき、詳細に説明する。
【0033】
図1は、本実施の形態にかかる同期機構について、その断面構造を拡大して示す概略図であり、前述した同期動作を行っていない状態での断面図を示している。また、本実施の形態にかかる同期機構と先の図6に示した同期機構とは、シンクロナイザキー2の形状が異なるとともに、ばね部材3を備える点以外は基本的に同一の構成である。また、本実施の形態にかかる同期機構と先の図6に示した同期機構とは、非同期動作時の態様が異なるものの、同期動作時の態様は同一である。そのため、同図1において先の図6と同一の構成要素には同一符号を付し、以下では、上記相違点等を中心に本実施の形態にかかる同期機構を説明する。
【0034】
図1に示されるように、シンクロナイザキー2とシンクロナイザリング33の外周面との間、より具体的にはシンクロナイザリング33の外周面に設けられ、周方向に等間隔をおいて形成される各キー溝33c(同図1では1つのみ図示)には、弾性変形する板ばねであるばね部材3が配設されている。このばね部材3の断面形状は、図2(a)にその断面図、図2(b)にその斜視図を示すように、略「く」の字形状となっており、付勢力を確保しつつもその断面方向における大きさは極力小さくされている。そして、このばね部材3の一方端はシンクロナイザキー2に当接され、他端はキー溝33c、すなわちシンクロナイザリング33の外周面に適宜の固定方法を用いて固定されている。また、このばね部材3は、シンクロナイザキー2とシンクロナイザリング33の外周面側との間に配設されるときに、同ばね部材3が圧縮されるように、その大きさ等が設定されている。
【0035】
一方、シンクロナイザリング33の外周面の一部を覆っているシンクロナイザキー2は、ばね部材3の一方端が当接する面がテーパ面とされている。このテーパ面は、シンクロナイザキー2の突部39aとスリーブ31の内周面に形成された溝31cとの係合部方向に向かって凸となるように形成されている。そしてこのように構成されたばね部材3及びシンクロナイザキー2は、前記シンクロナイザリング33の押圧面33aを前記コーン部37aの前記被押圧面37cから離間させる方向に付勢する付勢機構として機能する。
【0036】
以下、この付勢機構によって得られるシンクロナイザリング33への付勢作用について、図3の参照のもとに詳述する。なお、この図3では、先の図2に示した同期機構の構成部材のうち、シンクロナイザキー2、ばね部材3、シンクロナイザリング33、及びピース37のみを示している。すなわち、上記付勢作用の説明に際して特に関係する同期機構の構成部材のみを選択的に示している。
【0037】
さて、ばね部材3の一方端はシンクロナイザキー2のテーパ面に当接し、他端はシンクロナイザリング33の外周面に固定されている。そのため、ばね部材3の付勢力Fは、同図3に示される態様で、シンクロナイザキー2に設けられたテーパ面のテーパ角に応じて分解される。すなわち、シンクロナイザリング33には、同シンクロナイザリング33を上記メインシャフト41の中心方向に向けて付勢する分力f1と、同シンクロナイザリング33をメインシャフト41の軸方向であってピース37から離間させる方向に向けて付勢する分力f2とが作用するようになる。ここで、ばね部材3は、シンクロナイザリング33の周方向に等間隔をおいて形成されたキー溝33cのそれぞれに設けられている。従って、各ばね部材3による分力f1は、それぞれシンクロナイザリング33をメインシャフト41の中心方向へ移動させる付勢力となり、結局、シンクロナイザリング33のメインシャフト41の中心方向への移動、すなわち偏りを抑制するバランサとして作用する。一方、分力f2は上述のように、シンクロナイザリング33をピース37から離間させる付勢力として作用する。このため、シンクロナイザリング33の押圧面33aはピース37のコーン部37aに形成された被押圧面37cから離間され、不要な摩擦力の発生が抑制されるようになる。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態における同期機構によれば、次のような効果が得られるようになる。
(1)本実施の形態では、シンクロナイザリング33の押圧面33aをコーン部37aの被押圧面37cから離間させる付勢機構として、シンクロナイザリング33の外周面の一部を覆うシンクロナイザキー2とシンクロナイザリング33の外周面との間にばね部材3を配設するようにしている。そのため、シンクロナイザリング33を確実に付勢することができるようになる。さらに、シンクロナイザキー2のばね部材3との当接面に、シンクロナイザリング33の押圧面33aをコーン部37aの被押圧面37cから離間させる方向への付勢を促すテーパ面を形成するようにしている。そのため、テーパ角に応じたばね部材3の分力f2がシンクロナイザリング33に作用し、確実にシンクロナイザリング33の押圧面33aをコーン部37aの被押圧面37cから離間させることができるようになる。こうして上記付勢機構によれば、シンクロナイザリング33とコーン部37aとの摩擦を好適に抑制することができるようになる。
【0039】
(2)また、シンクロナイザリング33の押圧面33aが形成された内周面の裏面にあたる外周面に対して、上記付勢機構を設けるようにしている。すなわち、シンクロナイザリング33の押圧面33aとは異なる面に付勢機構を設けるようにしている。そのため、このような付勢機構を備える場合であっても押圧面33aの面積を確保することができ、もって同期機構のシンクロ容量の減少を伴うことなく、シンクロナイザリング33とコーン部37aとの摩擦を好適に抑制することができるようになる。
【0040】
(3)ばね部材3の断面形状を、略くの字形状としている。そのため、ばね部材3の付勢力を確保しつつ、その断面方向における大きさを極力小さくすることができる。従って、ばね部材3を配設するための空間を極力小さくすることができ、上述したような付勢機構を同期機構に設ける場合でも、上記同期機構の大型化を抑制することができるようになる。
【0041】
なお、上記実施の形態は以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施の形態では、シンクロナイザキー2にテーパ面を形成するようにしたが、図4に示すように、シンクロナイザリング33の外周面の一部を覆うシンクロナイザハブ32の内周面に上記シンクロナイザキー2と同様なテーパ面を形成するようにしてもよい。また、図5に示すように、シンクロナイザリング33の外周面に、シンクロナイザハブ32側に向けて拡径するテーパ面を形成するようにしてもよい。これらの場合には、シンクロナイザキーを備えていない同期機構、例えばシンクロナイザハブ32に突起部を設けてこの突起部をシンクロナイザリング33のキー溝33cに係合させる、いわゆるハブインデックス式の同期機構についても、この発明を適用することで、上記実施の形態に準じた効果を得ることができる。なお、これらの場合には、ばね部材3をキー溝33c以外のシンクロナイザリング33の外周面に固定することもできる。
【0042】
さらに、シンクロナイザキー2、あるいはシンクロナイザハブ32の内周面に上記テーパ面を形成するとともにシンクロナイザリング33の外周面にも上記テーパ面を形成し、両テーパ面の間にばね部材3を配設するようにしてもよい。これによっても、上記実施の形態に準じた効果を得ることができる。
【0043】
・上記実施の形態では、シンクロナイザリング33を付勢する付勢部材として、その断面が略「く」の字形状とされたばね部材3を用いることとした。しかし、シンクロナイザリング33を上記態様で付勢することのできる部材であればどのような部材でもよく、上記板ばねからなるばね部材に限られるものではない。
【0044】
・上記実施の形態では、被押圧面37cが形成されたコーン部37aを備えるピース37を変速ギヤ35とは別体として形成してこれに固定することとした。しかしこれに限らず、これらピース37と変速ギヤ35とは一体の部材として形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる歯車変速装置の同期機構の一実施の形態について、その概略構造を示す断面図。
【図2】同実施の形態におけるばね部材の形状を模式的に示す断面図、及び斜視図。
【図3】同実施の形態における付勢機構の作用を説明する模式図。
【図4】上記実施の形態の変形例についてその概略構造を示す断面図。
【図5】上記実施の形態の変形例についてその概略構造を示す断面図。
【図6】従来の歯車変速装置の同期機構についてその一例を示す断面図。
【図7】従来の歯車変速装置の同期機構についてその一例を示す断面図。
【符号の説明】
2…シンクロナイザキー、3…ばね部材、31…スリーブ、31a…スプライン、31c…溝、32…シンクロナイザハブ、33…シンクロナイザリング、33a…押圧面、33b…スプライン、33c…キー溝、35…変速ギヤ、37…ピース、37a…コーン部、37b…スプライン、37c…被押圧面、39…シンクロナイザキー、39a…突起、40…キースプリング、41…メインシャフト、50…シンクロナイザリング、51a…押圧面、52…環状溝、60…変速ギヤ、61…コーン部、61a…被押圧部、70…環状ばね部材。
Claims (6)
- 歯車変速装置に設けられた2つの回転要素に対して、その一方の回転要素に一体回転可能、かつその回転軸方向に変位可能に配設されてその内周面にテーパ状の押圧面が形成されたシンクロナイザリングと、他方の回転要素に一体回転可能に配設されて前記シンクロナイザリングの押圧面に対して当接可能なテーパ状の被押圧面が形成されたコーン部とをそれぞれ設け、それら押圧面と被押圧面との接触に基づいて前記2つの回転要素の係合に際しての回転同期が図られる歯車変速装置の同期機構において、
前記シンクロナイザリングの前記テーパ状の押圧面が形成された内周面の裏面にあたる外周面に対して、同シンクロナイザリングの押圧面を前記コーン部の被押圧面から離間させる方向に付勢する付勢機構を設けた
ことを特徴とする歯車変速装置の同期機構。 - 前記付勢機構は、前記シンクロナイザリングの外周面の少なくとも一部を覆う部材にその一方端が当接されるとともに、他端が同シンクロナイザリングの外周面に固定された付勢部材を備え、該付勢部材の一方端が当接される前記シンクロナイザリングの外周面を覆う部材の同付勢部材との当接面に、当該付勢機構としての前記方向への付勢を促すテーパ面が形成されてなる
請求項1に記載の歯車変速装置の同期機構。 - 前記付勢部材の一方端が当接される前記シンクロナイザリングの外周面を覆う部材が、同シンクロナイザリングの外周面側から前記シンクロナイザリングの押圧部を前記コーン部の被押圧部に押しつけるキーである
請求項2に記載の歯車変速装置の同期機構。 - 前記付勢部材の一方端が当接される前記シンクロナイザリングの外周面を覆う部材が、前記シンクロナイザリングと一体回転する回転要素たるハブである
請求項2に記載の歯車変速装置の同期機構。 - 前記付勢機構は、前記シンクロナイザリングの外周面の少なくとも一部を覆う部材にその一方端が当接されるとともに、他端が同シンクロナイザリングの外周面に固定された付勢部材を備え、該付勢部材の他端が固定された前記シンクロナイザリングの外周面に、当該付勢機構としての前記方向への付勢を促すテーパ面が形成されてなる
請求項1に記載の歯車変速装置の同期機構。 - 前記付勢部材が、断面略くの字形状を有して弾性変形する板ばねからなる
請求項2〜5のいずれかに記載の歯車変速装置の同期機構。
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