JP2004076272A - 継手構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】地震等によって雄型金具に軸方向の力が作用しても、継手金具が損傷するのを防止でき、継手金具の信頼性を高めること。
【解決手段】継手金具8が、セグメント2において雄型金具6に作用する軸方向の力を吸収しかつ緩和する緩衝材9を備え、この緩衝材9は、セグメント2内の継手板5と袋ナット61との間に介設されて、雄型金具6の基部側を挿通させる弾性体からなり、袋ナット61が雄型金具6の基部に締結されたとき、座金の機能を果たし、例えばウレタンゴムのように適度の硬質でかつ弾性を有する合成樹脂製からなっている。
【選択図】 図3
【解決手段】継手金具8が、セグメント2において雄型金具6に作用する軸方向の力を吸収しかつ緩和する緩衝材9を備え、この緩衝材9は、セグメント2内の継手板5と袋ナット61との間に介設されて、雄型金具6の基部側を挿通させる弾性体からなり、袋ナット61が雄型金具6の基部に締結されたとき、座金の機能を果たし、例えばウレタンゴムのように適度の硬質でかつ弾性を有する合成樹脂製からなっている。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、トンネルなどを構成するセグメント同士の接合箇所に適用される継手構造に係り、特に継手金具の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
トンネルを構築する方法としては、掘削穴の内面側にコンクリート製やスチール製等からなるセグメントを組み立ててリング状の筒状壁体を構築する、いわゆるシールド工法が一般的である。このシールド工法に用いられるセグメントとしては、平面視長方形状で円弧状版状のものが主流であり、これらセグメントがそれぞれ周方向に接合されてリング状の筒状壁体が構築され、この筒状壁体のセグメントと他方のセグメントとが軸方向に接合されることで、トンネルが構成される。
【0003】
筒状壁体のセグメントと他方のセグメントとの接合に際しては、それぞれの一端及び他端の接合部に互いに連通する挿通孔を有する継手板を埋め込んでおき、これら継手板の挿通孔にボルト等のような雄型金具を挿通させ、この雄型金具にナット等からなる雌型金具を締結させることで筒状壁体のセグメントと他方のセグメントとが接合される構造が一般的である。このような雄型金具と雌型金具とを備えた継手金具を有する継手構造が種々提案され、実用に供されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の継手構造においては、筒状壁体のセグメントとこれと隣り合う他方のセグメントとが、ボルト等のような雄型金具、ナット等のような雌型金具によって締結された剛体構造となっているので、例えば、地震等が起きて雄型金具に軸方向の力が作用すると、雄型金具に亀裂やひび割れ等が生じて継手金具が損傷するばかりでなく、継手金具が取り付けられているセグメントが損傷する問題があり、引いてはトンネルの大事故を招くおそれがあった。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、地震等によって継手金具に軸方向の力が作用しても、継手金具が損傷するのを防止でき、継手金具の信頼性を高めることができる継手構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、継手金具が、一方のセグメントに設けられた雄型金具と、隣接する他方のセグメントに設けられた雌型金具とを備えてなり、一方のセグメントの前記雄型金具を他方のセグメントの前記雌型金具に挿入したとき、前記雌型金具が前記雄型金具を係止して双方のセグメントを互いに接合する継手構造において、前記雄型金具に地震時に発生する軸方向に作用する力を緩和させる緩衝材を備えていることを特徴とする。
【0007】
この発明に係る継手構造によれば、地震によって継手金具の雄型金型に軸方向の力が発生すると、その力を緩衝材が吸収しかつ緩和するので、雄型金具が損傷するのを防ぐことができるばかりでなく、双方のセグメントが損傷するを防ぐことができ、良好な継手機能を維持することができる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の継手構造において、前記緩衝材は、一方のセグメントに埋設された金属板と、前記雄型金具を前記金属板に対し他方のセグメント方向に突出させて固定する支持ナットとの間に介設されていることを特徴とする。
【0009】
この発明に係る継手構造によれば、緩衝材が、セグメントの一端に埋設された金属板と、該金属板に対し雄型金具を固定する支持ナットとの間に介設されているので、地震によって金属板及び雄型金型に軸方向の力が発生すると、その力を緩衝材が確実に吸収しかつ緩和することができる。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2記載の継手構造において、前記継手金具は、一方のセグメントの前記金属板に前記支持ナットにより固定された前記雄型金具と、他方のセグメントに埋設された雌型用継手板に取り付けられると共に、該雌型用継手板に挿通した前記雄型金具を係止する雌型金具とを備えたピボット継手であることを特徴とする。
【0011】
この発明に係る継手構造によれば、ピボット継手で継手金具が構成されているので、緩衝材を追加するだけでピボット継手の機能、耐久性、及び耐震性を確実に高めることができる。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項2記載の継手構造において、前記継手金具は、一方のセグメントの前記金属板に当接する鋼製プレートと、該鋼製プレート及び前記金属板に対して前記支持ナットにより突出して固定された前記雄型金具と、他方のセグメントに埋設された雌型用継手板に取り付けられると共に、該雌型用継手板に挿通した前記雄型金具を係止する雌型金具とを備えたプッシュグリップ継手であることを特徴とする。
【0013】
この発明に係る継手構造によれば、プッシュグリップ継手で継手金具が構成されているので、緩衝材を追加するだけでプッシュグリップ継手の機能、耐久性、及び耐震性を確実に高めることができる。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項2記載の継手構造において、前記継手金具は、一方のセグメントの前記金属板に対し前記支持ナットにより固定された前記雄型金具と、他方のセグメントに埋設され、かつ挿入路を有する雌型金具とからなり、該雌型金具内の挿入路に前記雄型金具が嵌挿されたとき、該雄型金具を係止するコーンコネクタ継手であることを特徴とする。
【0015】
この発明に係る継手構造によれば、コーンコネクタ継手で継手金具が構成されているので、緩衝材を追加するだけで、コーンコネクタ継手の機能、耐久性、及び耐震性を確実に高めることができる。
【0016】
請求項6に係る発明は、請求項2記載の継手構造において、前記継手金具は、一方のセグメントの前記金属板に前記支持ナットにより固定された雄型金具としてのボルトと、他方のセグメントに埋設された雌型用継手板と、該雌型用継手板を挿通した前記ボルトを係止する雌型継手としてのナットであることを特徴とする。
【0017】
この発明に係る継手構造によれば、ボルトとナットで継手金具が構成されているので、緩衝材を追加するだけで継手の機能、耐久性、及び耐震性を確実に高めることができる。
【0018】
請求項7に係る発明は、請求項5又は6記載の継手構造において、セグメント内に、少なくとも前記緩衝材、前記支持ナット及び前記雄型金具の基部を、これらの外表面を包囲する第2緩衝材を介在させて埋設していることを特徴とする。
【0019】
この発明に係る継手構造によれば、支持ナット及び雄型金具の基部が、これらの外表面を包囲する第2緩衝材を介在させてセグメントに埋設されるので、第2緩衝材によっても地震時に発生する軸方向に作用する力を吸収しかつ緩和することができ、継手の継手の機能、耐久性、及び耐震性をいっそう確実に高めることができる。
【0020】
請求項8に係る発明は、継手金具が、一方のセグメント及び隣接する他方のセグメントにそれぞれ挿通する雄型金具と、雄型金具を係止する雌型金具とを備えてなり、雄型金具が一方のセグメントから他方のセグメントに連通したとき、前記雌型金具によって係止されて双方のセグメントを互いに接合する継手構造において、前記雄型金具に地震時に発生する軸方向に作用する力を緩和させる緩衝材を備えていることを特徴とする。
【0021】
この発明に係る継手構造によれば、地震によって継手金具の雄型金型に軸方向の力が発生すると、その力を緩衝材が吸収しかつ緩和するので、一方のセグメントから他方のセグメントに連通した雄型金具が損傷するのを防ぐことができるばかりでなく、双方のセグメントが損傷するを防ぐことができ、良好な継手機能を維持することができる。
【0022】
請求項9に係る発明は、請求項8記載の継手構造において、前記緩衝材は、他方のセグメントに埋設された金属板と、一方のセグメントから他方のセグメントの前記金属板を連通した前記雄型金具を固定する雌型金具としてのナットとの間に介設されていることを特徴とする。
【0023】
この発明に係る継手構造によれば、緩衝材が、セグメントの他端に埋設された金属板と、雄型金具を固定する支持ナットとの間に介設されているので、地震によって金属板及び雄型金型に軸方向の力が発生すると、その力を緩衝材が確実に吸収しかつ緩和することができる。
【0024】
請求項10に係る発明は、請求項9記載の継手構造において、各セグメント内に、前記緩衝材及び前記支持ナットを、それらの外周面を覆う第2緩衝材を介在させて埋設していることを特徴とする。
【0025】
この発明に係る継手構造によれば、緩衝材及び支持ナットが、これらの外表面を包囲する第2緩衝材を介在させてセグメントに埋設されるので、第2緩衝材によっても地震時に発生する軸方向に作用する力を吸収しかつ緩和することができ、継手の継手の機能、耐久性、及び耐震性をいっそう確実に高めることができる。
【0026】
請求項11に係る発明は、請求項1、2、8、9のいずれかに記載の継手構造において、前記緩衝材は、弾性を有する合成樹脂製の座金からなることを特徴とする。
【0027】
この発明に係る継手構造によれば、緩衝材が弾性を有する合成樹脂製の座金からなっているので、簡単な構成で高い耐震性を実現することができる。
【0028】
請求項12に係る発明は、請求項7又は10のいずれかに記載の継手構造において、前記第2緩衝材は、弾性を有する合成樹脂製からなることを特徴とする。
【0029】
この発明に係る継手構造によれば、第2緩衝材も弾性有する合成樹脂からなるので、簡単な構成で高い耐震性を実現することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1から図6はこの発明の一実施の形態に係る継手構造をピボット継手に適用した図であって、図1は筒状壁体のセグメントに被接合セグメントが軸方向に接合されるときの説明用斜視図、図2は筒状壁体を構築するセグメントを示す斜視図、図3は筒状壁体にセグメントが接合される前の状態を示す要部の側面断面図、図4は図3の継手金具における雌型金具の内部状態を示す側面断面図、図5は筒状壁体にセグメントが接合された状態を示す要部の側面断面図、図6は図5の継手金具における雌型金具の内部状態を示す側面断面図である。
図1及び図2において、符号1、2はセグメントである。これらセグメント1及び2は、例えばコンクリートCによって図2のように平面視長方形状で円弧状版状に形成されている。そして、セグメント1が図1のように周方向に互いに接合されることでリング状の筒状壁体3が構築され、この筒状壁体3のセグメント1に、被接合側としてのセグメント2が軸方向に接合されるようになっている。
【0031】
図3〜図6に示すように、セグメント1及び2の軸方向の一端の接合部には継手板(雌型用継手板)4が埋設されると共に、他端の接合部には継手板(金属板)5が埋設されている。継手板4には一端側挿通孔としての挿通孔4aが穿設され、継手板5には他端側挿通孔としての挿通孔5aが穿設されている。
【0032】
そして、筒状壁体3のセグメント1の一端の接合部に対しセグメント2の他端の接合部が、雄型金具6と雌型金具7とを備えた継手金具8によって軸方向に接合されるようになっている。
【0033】
継手金具8の雄型金具6は、図3及び図5に示すように、その基部側におねじが形成された棒体からなるもので、支持ナットとしての袋ナット61を備えており、セグメント3の継手板4の挿通孔4aに挿通して袋ナット61で締め付けることで、筒状壁体3に向かって突出する状態で固定されている。この雄型金具6は、その先端部に先細となるテーパ形状に形成されたテーパ部6aが設けられ、テーパ部6aより基部側にそれより小径に形成されたくびれ部6bが設けられ、更にくびれ部6bより基部側には継手板5と当接する鍔部6cが設けられている。
【0034】
雌型金具7は、図3から図6のように、セグメント1に埋設された継手板4の裏側に固定されるハウジング71と、ハウジング71の開口側に取り付けられたカバー72と、ハウジング71内に配設された一対の係止部材73とを備えている。
ハウジング71に取り付けられたカバー72には、その中心に、挿通孔5aと連通する挿入孔74が設けられ、この挿入孔74から雄型金具6がハウジング71内に挿入されるようになっている。
【0035】
ハウジング71は、カバー72が取り付けられた開口側が大径に形成された保持空間75とされ、奥部側が小径に形成された小径空間76とされている。そして、このハウジング71の保持空間75に、一対の係止部材73が保持されている。係止部材73は、図4及び図6のように外周が略円弧状に形成されたもので、その内周側の互いに対向する部分には、雄型金具6のくびれ部6bの径と略同一径からなる嵌合凹部77が形成されている。
【0036】
一対の係止部材73のうち、一方の係止部材73の一端部には、摺動凹部73aが形成され、他方の係止部材73の一端部には、摺動凹部73aに摺動可能に嵌合された摺動凸部73bが形成されている。そして、これら摺動凹部73aと摺動凸部73bとの嵌合箇所を中心として双方の係止部材73が回動可能とされている。
また、これら係止部材73の外周側には、円弧状に形成された板ばね(付勢部材)78が設けられており、この板ばね78によってそれぞれの係止部材73が内周方向、つまり、係止部材73同士が摺動凹部73aと摺動凸部73bとの嵌合箇所を中心として回動することで互いに近接する方向に付勢されるようになっている。
【0037】
係止部材73同士及び小径空間76には、リング状に形成されたキャップ79が嵌合され、これによって、係止部材73が、板ばね78の付勢力に抗して継手板4の挿通孔4aの外周側に配置された状態に保持されている。
【0038】
そして、この継手金具8は、筒状壁体3におけるセグメント1の雌型金具7と、セグメント2の雄型金具6とを互いに組み付ける場合、雄型金具6を、雌型金具7のカバー72に設けられた挿入孔74に挿入すると、雄型金具6のテーパ部6aが、係止部材73を保持しているキャップ79に当接してキャップ79を小径空間76内に押し込むようになっている。
【0039】
このとき、キャップ79が小径空間76内に完全に押し込まれ、かつ雄型金具6のテーパ部6aが係止部材73を越えた時点で、板ばね78によってそれぞれ内周側へ付勢されていることから、嵌合凹部77が雄型金具6のくびれ部6bに嵌合しながら、摺動凹部73aと摺動凸部73bとの嵌合箇所を中心として回動されて雄型金具6を挟持すると、雄型金具6が一対の係止部材73によって係止されて基部側への移動が禁止されることで、雄型金具6と雌型金具7とが互いに組み付けられ、これによって筒状壁体3のセグメント1にセグメント2が軸方向に接合されるようになっている。
そして、筒状壁体3側に接合されたセグメント2が図1及び図2のようなセグメント継手Sによってセグメント2と周方向に接合されることで新たな筒状壁体が構築されることとなっている。図3において、符号2bはボルトボックスである。
【0040】
また、この実施形態では、継手金具8が、筒状壁体3において、雄型金具6に作用する軸方向の力を吸収しかつ緩和する緩衝材9を備えている。
この緩衝材9は、セグメント2内の継手板5と袋ナット61との間に介設されてあって、かつ雄型金具6の基部側を挿通させる弾性体からなっている。この緩衝材9は、袋ナット61が雄型金具6の基部に締結されたとき、座金としての機能を果たしており、また、筒状壁体3のセグメント1にセグメント2が接合された状態にあって、かつ雄型金具6に軸方向の力が作用したとき、その軸方向の力を弾性力で吸収しかつ緩和できるようになっており、例えばウレタンゴムのように適度の硬質でかつ弾性を有する合成樹脂製からなっている。
【0041】
この実施形態は、上記構成であるので、図1のように筒状壁体3のセグメント1に対し、継手金具8によってセグメント2が接合され、またそのセグメント2が互いにセグメント継手Sによって周方向に接合されることで筒状壁体3が構築され、これが同様に繰り返されることで所望の長さのトンネルが形成される。
このようなセグメント1とセグメント2とが軸方向に接合された状態にあるとき、例えば地震等が発生して継手金具8の雄型金具6に軸方向の力が作用すると、その作用力により雄型金具6が損傷するおそれがある。
【0042】
しかしながら、セグメント2においては、前述のように雄型金具6が袋ナット61によって継手板5に固定されていると共に、その継手板5と袋ナット61との間に雄型金具6を挿通する緩衝材9が介設され、緩衝材9が雄型金具6に作用した軸方向の力を吸収しかつ緩和することができるので、雄型金具6が損傷するのを防止できるばかりでなく、袋ナット61及び継手板4、5が損傷するのを防止することができ、雄型金具6の耐破壊力が高まって、良好な継手機能を維持することができる。
【0043】
従って、地震等によって雄型金型61に軸方向の力が作用しても、継手金具8が損傷することがないばかりでなく、セグメント1、2が損傷するそおれもなくなり、トンネルの事故防止を図ることができる。
【0044】
しかも、緩衝材9は、セグメント2の継手板5と袋ナット61との間に介設されただけであって、かつ弾性を有する一つの部材により、地震等に対する耐久性を確実に高め、継手金具8としての信頼性を高めることができ、簡単な構成で実現することができる。
なお、図示実施形態では、雄型金具6を固定するため、支持ナットとして袋ナット61を用いた例を示したが、これに限らず、雄型金具6の基部側を挿通する一般的なナットを用いても同様であるのはいうまでもない。
また、この実施形態においては、セグメント1、2を軸方向に接合する継手金具8としてピボット継手を用いた例を示したが、他の種類の継手にも同様に適用することができる。以下にその例を説明する。
【0045】
図7はこの発明の第2の実施形態に係る継手構造を示している。
この場合は、いわゆるプッシュグリップ継手と呼ばれる継手金具8に適用したものであって、該継手金具8の雄型金具10は、セグメント2の継手板(雌型用継手板)5を挿通し、かつ基部側の外周におねじを有すると共に先端側の外周に長さ方向に沿い波歯状に形成された歯部11を有する棒状に形成され、これを継手板5の内側に金属プレート13を介して取り付ける支持ナット12と、金属プレート13に溶接等によって固定されたアンカー14とを備えている。
【0046】
一方、雌型金型20は、セグメント1の継手板4の内側に固定された雌型金具本体21と、雌型金具本体21の内部に雄型金具10を挿入できるように形成された挿入空間22と、挿入空間22の奥部に周方向に複数分割形成された係止部材23とを備えている。係止部材23は、雄型金具10の外周に設けられた歯部11を係止するためのものであって、詳細に図示していないが、挿入空間22内において求心方向に付勢されている。雌型金具本体21の外周にはアンカー24が溶接等によって取り付けられている。
【0047】
そして、筒状壁体3における雄型金具10の先端部が、筒状壁体3の継手板4から雌型金具本体21の挿入空間22内に挿入され、かつ係止部材23側に至ると、係止部材23が雄型金具10の挿入を許容すべく一旦拡径すると共に、自身の付勢力で雄型金具10の歯部11を係止することにより、継手板4と5とが互いに当接し、これによって筒状壁体3のセグメント1にセグメント2が接合されるようになっている。
【0048】
この実施形態では、金属プレート13と支持ナット12との間に緩衝材9が設けられ、この緩衝材9の弾性力で、地震等によって作用した雄型金具10の軸方向の力を吸収緩和するようにしており、従って、基本的は前述した実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0049】
図8及び図9はこの発明の第3の実施形態に係る継手構造を示している。
この場合は、いわゆるコーンコネクタ継手と呼ばれる継手金具8に適用したものであって、該継手金具8の雄型金具30は、図9のように、セグメント2の接合部2aを挿通する棒状をなしており、その基部側が金属プレート33を介して接合部2aに固定される支持ナット32とを備えている。雄型金具30の先端側は、一旦拡径されると共に、その拡径部分の先端に次第に先細形状に形成される筒状テーパ部31が設けられ、その先端に外周方向に若干突出する爪34が設けられると共に、爪34及び筒状テーパ部31の周囲に軸方向に沿うスリット35が複数設けられている。スリット35は、筒状テーパ部31の途中位置から爪34の先端まで設けられ、該爪34の先端で開口されている。
【0050】
継手金具8の雌型金具40は、筒状壁体3のセグメント1の前記接合部2aと対向する接合部1aに、雄型金具30の先端部と略対応する形状の挿入路42を有する雌型金具本体41が埋設されると共に、挿入路42の奥部に爪34を収納する拡大空間43が設けられ、その拡大空間43の外周に支圧板(ワッシャー)44が設けられている。
【0051】
そして、セグメント2の雄型金具30の先端を、筒状壁体3のセグメント1における雌型金具40の挿入路42に嵌挿すると、挿入路42を形成する空間が狭まるに従い、雄型金具30のスリット35の間隔が次第に狭まることで雄型金具30の先端側が縮径し、その縮径した状態で雄型金具30の爪34が拡大空間43に至ると、爪34が筒状テーパ部31の弾性力で復元して支圧板44に係合されると共に、拡大空間43と挿入路42間に係止されることにより、筒状壁体3のセグメント1にセグメント2が接合されるようになっている。
【0052】
この実施形態においても、金属プレート33と支持ナット32との間に緩衝材9が設けられ、この緩衝材9の弾性力で、地震等によって作用した雄型金具31の軸方向の力を吸収緩和するようにしており、従って、基本的は前述した実施形態と同様の作用効果が得られる。
更に、この実施形態では、金属プレート33、緩衝材9、支持ナット32及び雄型金具30の基部が、これら33、9、32、30を包囲する第2緩衝材36を介在させてコンクリートCに埋設されている。そして、地震等によって発生した軸方向の力を第2緩衝材36によって吸収しかつ緩和することで、地震時に対する継手金具の信頼性及び耐震性をいっそう高めるようにしている。第2緩衝材36は、緩衝材9と同様の材質からなっている。
【0053】
これまでの実施形態においては、予め、セグメント1に継手金具8の雄型金具6、10、30が取り付けられると共に雌型金具7、20、40が埋設されることで、セグメント2から雄型金具6、10、30が突出する継手金具8を用いた例を示したが、これに限らず、図10のようなタイプの継手金具8にも適用することができる。
【0054】
図10はこの発明の第4の実施形態に係る継手構造を示している。即ち、この場合は、継手金具8の雄型金具がボルト50で、かつ雌型金具がナット60で構成されている。
そして、筒状壁体3のセグメント1の継手板4にセグメント2の継手板5を当接したとき、ボルト50を図10の矢印方向に、セグメント1のボルトボックス1bから継手板4の挿通孔4aを通って継手板5の挿通孔5aに挿通させ、このボルト50をナット60に締め付けることにより、筒状壁体3のセグメント1にセグメント2が接合されることとなる。
【0055】
セグメント1の継手板4の内側には一対の側板51が固定されると共に、側板51にアンカー52が固定され、側板51と継手板4とコンクリートCとによってボルトボックス1bが形成されている。
また、セグメント2の継手板5の内側には一対の側板62が固定されると共に、側板62にアンカー63が固定され、更に継手板5、側板62、アンカー63がコンクリートCに埋設されている。
【0056】
この実施形態においても、筒状壁体3におけるセグメント1とこれに接合されたセグメント2と間に、地震等によって作用した軸方向の力を吸収緩和する緩衝材9が介設されており、従って、前述したこれまでの実施形態と同様の作用効果が得られ、また緩衝材9、ナット60がこれらを包囲する第2緩衝材64の介在によってコンクリートCに埋設されることで、軸方向に対する力をいっそう緩和できるようになっている。
しかも、ボルト50、ナット60、緩衝材9と、第2緩衝材64とで継手金具8が構成されるので、継手金具8の全体構成が簡素化されているにも拘わらず、軸方向の力に対する耐久性の高い継手金具8が得られる。
【0057】
このような構成の継手構造としては、例えば図11のような継手構造にも同様に適用することができる。図11はこの発明の第5の実施の形態に係る継手構造を示している。
この場合は、雄型金具としてのボルト50が筒状壁体3のセグメント1の継手板4からセグメント2の継手板5に挿通し、金属プレート65を介して雌型金具としてのナット60によって締結されることでセグメント1と2とが軸方向に接合される構造となっている。なお、図11において、符号53はボルト50の頭部と継手板4との間に設けられた座金であり、図10と同一部分には同一符号を付している。
【0058】
この実施形態においても、継手板5と、ナット60側の金属製プレート65との間に緩衝材9が介設されることで、同様の効果が得られる。このような継手構造は、これまで前述した実施の形態と比較すると、構成が簡単であり、比較的軽量なトンネルを構築する場合に適用することが好ましい。
【0059】
図12はこの発明の第6の実施の形態に係る継手構造を示している。
この場合は、図10の実施形態の一部の構成を変更したものであって、セグメント2に設けられた継手板5に、雄型金具としての段部80aを有する両ねじボルト80が支持ナット81によって突出して固定されている。この場合、両ねじボルト80の一端側がワッシャ82及び緩衝材9を介して継手板5に挿通されると共に、この両ねじボルト80の一端側の基部が支持ナット81によって締結されることで、継手板5に対し両ねじボルト80の他端側が突出するように固定され、これら継手板5、緩衝材9、ワッシャ82、支持ナット81の外表面がこれらを包囲する第2緩衝材83を介在させてコンクリートCに埋設されている。
【0060】
そして、両ねじボルト80の他端側の先端が、筒状壁体3のセグメント1に設けられた継手板(雌型継手板)4に挿通され、かつワッシャ91、雌型金具としてのナット90によって係止されることで双方のセグメント1、2が軸方向に接合されるようになっている。従って、この実施形態によれば、緩衝材9及び第2緩衝材83を備えているので、基本的には、前述した実施形態と同様の作用効果が得られる。
また、図12に示す実施形態では、継手板5に対し両ねじボルト80が支持ナット81で固定された例を示したが、支持ナット81に相当する頭部を有するボルトで構成すると共に、そのボルトの頭部をコンクリートCで埋設することで固定することもできる。
【0061】
なお、これまで説明した図示実施形態においては、全て、セグメント1及び2を互いに軸方向に接合する場合に適用した例を示したが、セグメント1及び2を周方向に接合するセグメント継手Sに適用しても、同様の作用効果が得られる。また、緩衝材9が、ウレタンゴムで構成された例を示したが、これに限らず、軸方向の力を吸収しかつ緩和し得る合成樹脂製の材質であれば、他のものであってもよい。更に、セグメント1、2がコンクリートC(コンクリート型セグメント)で構成された例を示したが、スチール型セグメント、中詰コンクリート型セグメント等であってもよい。。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、地震等によって継手金具の雄型金型に軸方向の力が発生したとき、その力を緩衝材が緩和すするように構成したので、緩衝材によって雄型金具が損傷するのを防ぐことができるばかりでなく、双方のセグメントが損傷するを防ぐことができ、良好な継手機能を維持することができると共に、セグメントの耐久性を高めることができる効果が得られる。
【0063】
請求項2に係る発明によれば、簡単な構成で良好な継手機能を維持できる効果が得られる。
【0064】
請求項3に係る発明によれば、緩衝材を追加するだけでピボット継手の機能、耐久性、及び耐震性を高めることができる効果が得られる。
【0065】
請求項4に係る発明によれば、緩衝材を追加するだけでプッシュグリップ継手の機能、耐久性、及び耐震性を高めることができる効果が得られる。
【0066】
請求項5に係る発明によれば、コーンコネクタ継手の機能、耐久性、及び耐震性を高めることができる効果が得られる。
【0067】
請求項6によれば、緩衝材を追加するだけで継手の機能、耐久性、及び耐震性を確実に高めることができる効果が得られる。
【0068】
請求項7に係る発明によれば、第2緩衝材によっても地震時に発生する軸方向に作用する力を吸収しかつ緩和することができ、継手の継手の機能、耐久性、及び耐震性をいっそう確実に高めることができる効果が得られる。
【0069】
請求項8に係る発明によれば、一方のセグメントから他方のセグメントに連通した雄型金具が損傷するのを防ぐことができるばかりでなく、双方のセグメントが損傷するを防ぐことができ、良好な継手機能を維持することができる効果が得られる。
【0070】
請求項9に係る発明によれば、緩衝材が地震時に発生する軸方向の力を確実に吸収しかつ緩和することができる効果が得られる。
【0071】
請求項10に係る発明によれば、第2緩衝材によっても地震時に発生する軸方向に作用する力を緩和でき、継手の継手の機能、耐久性、及び耐震性をいっそう確実に高めることができる効果が得られる。
【0072】
請求項11に係る発明によれば、簡単な構成及び材質で高い耐震性を実現できる効果が得られる。
【0073】
請求項12に係る発明によれば、第2緩衝材も簡単な構成及び材質で高い耐震性を実現できる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態に係る継手構造をピボット継手に適用した図であって、筒状壁体のセグメントにセグメントが軸方向に接合されるときの説明用斜視図である。
【図2】筒状壁体を構築するセグメントを示す斜視図である。
【図3】筒状壁体のセグメントにセグメントが接合される前の状態を示す要部の側面断面図である。
【図4】図3の継手金具における雌型金具の内部状態を示す側面断面図である。
【図5】筒状壁体のセグメントにセグメントが接合された状態を示す要部の側面断面図である。
【図6】図5の継手金具における雌型金具の内部状態を示す側面断面図である。
【図7】この発明の第2の実施の形態に係る継手構造をプッシュグリップ継手に適用した図であって、筒状壁体のセグメントとセグメントが軸方向に接合された状態を示す要部の断面図である。
【図8】この発明の第3の実施の形態に係る継手構造をコーンコネクタ継手に適用した図であって、(a)は筒状壁体が構築される状態を示す斜視図、(b)はセグメントを示す斜視図である。
【図9】筒状壁体のセグメントにセグメントが接合された状態を示す要部の断面図である。
【図10】この発明の第4の実施の形態に係る継手構造を示す図であって、筒状壁体のセグメントとセグメントとが接合された状態を示す要部の断面図である。
【図11】この発明の第5の実施の形態に係る継手構造を示す図であって、筒状壁体のセグメントにセグメントが接合された状態を示す要部の断面図である。
【図12】この発明の第6の実施の形態に係る継手構造を示す図であって、筒状壁体のセグメントにセグメントが接合される前の状態を示す要部の断面図である。
【符号の説明】
1、2 セグメント
3 筒状壁体
4 継手板(雌型継手板)
5 継手板(金属板)
6、10、30 雄型金具
7、20、40 雌型金具
8 継手金具
50 雄型金具としてのボルト
60、90 雌型金具としてのナット
12、32、61、81 支持ナット
13、33 金属プレート
9 緩衝材
36、64、83 第2緩衝材
80 雄型金具としての両ねじボルト
【発明の属する技術分野】
この発明は、トンネルなどを構成するセグメント同士の接合箇所に適用される継手構造に係り、特に継手金具の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
トンネルを構築する方法としては、掘削穴の内面側にコンクリート製やスチール製等からなるセグメントを組み立ててリング状の筒状壁体を構築する、いわゆるシールド工法が一般的である。このシールド工法に用いられるセグメントとしては、平面視長方形状で円弧状版状のものが主流であり、これらセグメントがそれぞれ周方向に接合されてリング状の筒状壁体が構築され、この筒状壁体のセグメントと他方のセグメントとが軸方向に接合されることで、トンネルが構成される。
【0003】
筒状壁体のセグメントと他方のセグメントとの接合に際しては、それぞれの一端及び他端の接合部に互いに連通する挿通孔を有する継手板を埋め込んでおき、これら継手板の挿通孔にボルト等のような雄型金具を挿通させ、この雄型金具にナット等からなる雌型金具を締結させることで筒状壁体のセグメントと他方のセグメントとが接合される構造が一般的である。このような雄型金具と雌型金具とを備えた継手金具を有する継手構造が種々提案され、実用に供されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の継手構造においては、筒状壁体のセグメントとこれと隣り合う他方のセグメントとが、ボルト等のような雄型金具、ナット等のような雌型金具によって締結された剛体構造となっているので、例えば、地震等が起きて雄型金具に軸方向の力が作用すると、雄型金具に亀裂やひび割れ等が生じて継手金具が損傷するばかりでなく、継手金具が取り付けられているセグメントが損傷する問題があり、引いてはトンネルの大事故を招くおそれがあった。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、地震等によって継手金具に軸方向の力が作用しても、継手金具が損傷するのを防止でき、継手金具の信頼性を高めることができる継手構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、継手金具が、一方のセグメントに設けられた雄型金具と、隣接する他方のセグメントに設けられた雌型金具とを備えてなり、一方のセグメントの前記雄型金具を他方のセグメントの前記雌型金具に挿入したとき、前記雌型金具が前記雄型金具を係止して双方のセグメントを互いに接合する継手構造において、前記雄型金具に地震時に発生する軸方向に作用する力を緩和させる緩衝材を備えていることを特徴とする。
【0007】
この発明に係る継手構造によれば、地震によって継手金具の雄型金型に軸方向の力が発生すると、その力を緩衝材が吸収しかつ緩和するので、雄型金具が損傷するのを防ぐことができるばかりでなく、双方のセグメントが損傷するを防ぐことができ、良好な継手機能を維持することができる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の継手構造において、前記緩衝材は、一方のセグメントに埋設された金属板と、前記雄型金具を前記金属板に対し他方のセグメント方向に突出させて固定する支持ナットとの間に介設されていることを特徴とする。
【0009】
この発明に係る継手構造によれば、緩衝材が、セグメントの一端に埋設された金属板と、該金属板に対し雄型金具を固定する支持ナットとの間に介設されているので、地震によって金属板及び雄型金型に軸方向の力が発生すると、その力を緩衝材が確実に吸収しかつ緩和することができる。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2記載の継手構造において、前記継手金具は、一方のセグメントの前記金属板に前記支持ナットにより固定された前記雄型金具と、他方のセグメントに埋設された雌型用継手板に取り付けられると共に、該雌型用継手板に挿通した前記雄型金具を係止する雌型金具とを備えたピボット継手であることを特徴とする。
【0011】
この発明に係る継手構造によれば、ピボット継手で継手金具が構成されているので、緩衝材を追加するだけでピボット継手の機能、耐久性、及び耐震性を確実に高めることができる。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項2記載の継手構造において、前記継手金具は、一方のセグメントの前記金属板に当接する鋼製プレートと、該鋼製プレート及び前記金属板に対して前記支持ナットにより突出して固定された前記雄型金具と、他方のセグメントに埋設された雌型用継手板に取り付けられると共に、該雌型用継手板に挿通した前記雄型金具を係止する雌型金具とを備えたプッシュグリップ継手であることを特徴とする。
【0013】
この発明に係る継手構造によれば、プッシュグリップ継手で継手金具が構成されているので、緩衝材を追加するだけでプッシュグリップ継手の機能、耐久性、及び耐震性を確実に高めることができる。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項2記載の継手構造において、前記継手金具は、一方のセグメントの前記金属板に対し前記支持ナットにより固定された前記雄型金具と、他方のセグメントに埋設され、かつ挿入路を有する雌型金具とからなり、該雌型金具内の挿入路に前記雄型金具が嵌挿されたとき、該雄型金具を係止するコーンコネクタ継手であることを特徴とする。
【0015】
この発明に係る継手構造によれば、コーンコネクタ継手で継手金具が構成されているので、緩衝材を追加するだけで、コーンコネクタ継手の機能、耐久性、及び耐震性を確実に高めることができる。
【0016】
請求項6に係る発明は、請求項2記載の継手構造において、前記継手金具は、一方のセグメントの前記金属板に前記支持ナットにより固定された雄型金具としてのボルトと、他方のセグメントに埋設された雌型用継手板と、該雌型用継手板を挿通した前記ボルトを係止する雌型継手としてのナットであることを特徴とする。
【0017】
この発明に係る継手構造によれば、ボルトとナットで継手金具が構成されているので、緩衝材を追加するだけで継手の機能、耐久性、及び耐震性を確実に高めることができる。
【0018】
請求項7に係る発明は、請求項5又は6記載の継手構造において、セグメント内に、少なくとも前記緩衝材、前記支持ナット及び前記雄型金具の基部を、これらの外表面を包囲する第2緩衝材を介在させて埋設していることを特徴とする。
【0019】
この発明に係る継手構造によれば、支持ナット及び雄型金具の基部が、これらの外表面を包囲する第2緩衝材を介在させてセグメントに埋設されるので、第2緩衝材によっても地震時に発生する軸方向に作用する力を吸収しかつ緩和することができ、継手の継手の機能、耐久性、及び耐震性をいっそう確実に高めることができる。
【0020】
請求項8に係る発明は、継手金具が、一方のセグメント及び隣接する他方のセグメントにそれぞれ挿通する雄型金具と、雄型金具を係止する雌型金具とを備えてなり、雄型金具が一方のセグメントから他方のセグメントに連通したとき、前記雌型金具によって係止されて双方のセグメントを互いに接合する継手構造において、前記雄型金具に地震時に発生する軸方向に作用する力を緩和させる緩衝材を備えていることを特徴とする。
【0021】
この発明に係る継手構造によれば、地震によって継手金具の雄型金型に軸方向の力が発生すると、その力を緩衝材が吸収しかつ緩和するので、一方のセグメントから他方のセグメントに連通した雄型金具が損傷するのを防ぐことができるばかりでなく、双方のセグメントが損傷するを防ぐことができ、良好な継手機能を維持することができる。
【0022】
請求項9に係る発明は、請求項8記載の継手構造において、前記緩衝材は、他方のセグメントに埋設された金属板と、一方のセグメントから他方のセグメントの前記金属板を連通した前記雄型金具を固定する雌型金具としてのナットとの間に介設されていることを特徴とする。
【0023】
この発明に係る継手構造によれば、緩衝材が、セグメントの他端に埋設された金属板と、雄型金具を固定する支持ナットとの間に介設されているので、地震によって金属板及び雄型金型に軸方向の力が発生すると、その力を緩衝材が確実に吸収しかつ緩和することができる。
【0024】
請求項10に係る発明は、請求項9記載の継手構造において、各セグメント内に、前記緩衝材及び前記支持ナットを、それらの外周面を覆う第2緩衝材を介在させて埋設していることを特徴とする。
【0025】
この発明に係る継手構造によれば、緩衝材及び支持ナットが、これらの外表面を包囲する第2緩衝材を介在させてセグメントに埋設されるので、第2緩衝材によっても地震時に発生する軸方向に作用する力を吸収しかつ緩和することができ、継手の継手の機能、耐久性、及び耐震性をいっそう確実に高めることができる。
【0026】
請求項11に係る発明は、請求項1、2、8、9のいずれかに記載の継手構造において、前記緩衝材は、弾性を有する合成樹脂製の座金からなることを特徴とする。
【0027】
この発明に係る継手構造によれば、緩衝材が弾性を有する合成樹脂製の座金からなっているので、簡単な構成で高い耐震性を実現することができる。
【0028】
請求項12に係る発明は、請求項7又は10のいずれかに記載の継手構造において、前記第2緩衝材は、弾性を有する合成樹脂製からなることを特徴とする。
【0029】
この発明に係る継手構造によれば、第2緩衝材も弾性有する合成樹脂からなるので、簡単な構成で高い耐震性を実現することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1から図6はこの発明の一実施の形態に係る継手構造をピボット継手に適用した図であって、図1は筒状壁体のセグメントに被接合セグメントが軸方向に接合されるときの説明用斜視図、図2は筒状壁体を構築するセグメントを示す斜視図、図3は筒状壁体にセグメントが接合される前の状態を示す要部の側面断面図、図4は図3の継手金具における雌型金具の内部状態を示す側面断面図、図5は筒状壁体にセグメントが接合された状態を示す要部の側面断面図、図6は図5の継手金具における雌型金具の内部状態を示す側面断面図である。
図1及び図2において、符号1、2はセグメントである。これらセグメント1及び2は、例えばコンクリートCによって図2のように平面視長方形状で円弧状版状に形成されている。そして、セグメント1が図1のように周方向に互いに接合されることでリング状の筒状壁体3が構築され、この筒状壁体3のセグメント1に、被接合側としてのセグメント2が軸方向に接合されるようになっている。
【0031】
図3〜図6に示すように、セグメント1及び2の軸方向の一端の接合部には継手板(雌型用継手板)4が埋設されると共に、他端の接合部には継手板(金属板)5が埋設されている。継手板4には一端側挿通孔としての挿通孔4aが穿設され、継手板5には他端側挿通孔としての挿通孔5aが穿設されている。
【0032】
そして、筒状壁体3のセグメント1の一端の接合部に対しセグメント2の他端の接合部が、雄型金具6と雌型金具7とを備えた継手金具8によって軸方向に接合されるようになっている。
【0033】
継手金具8の雄型金具6は、図3及び図5に示すように、その基部側におねじが形成された棒体からなるもので、支持ナットとしての袋ナット61を備えており、セグメント3の継手板4の挿通孔4aに挿通して袋ナット61で締め付けることで、筒状壁体3に向かって突出する状態で固定されている。この雄型金具6は、その先端部に先細となるテーパ形状に形成されたテーパ部6aが設けられ、テーパ部6aより基部側にそれより小径に形成されたくびれ部6bが設けられ、更にくびれ部6bより基部側には継手板5と当接する鍔部6cが設けられている。
【0034】
雌型金具7は、図3から図6のように、セグメント1に埋設された継手板4の裏側に固定されるハウジング71と、ハウジング71の開口側に取り付けられたカバー72と、ハウジング71内に配設された一対の係止部材73とを備えている。
ハウジング71に取り付けられたカバー72には、その中心に、挿通孔5aと連通する挿入孔74が設けられ、この挿入孔74から雄型金具6がハウジング71内に挿入されるようになっている。
【0035】
ハウジング71は、カバー72が取り付けられた開口側が大径に形成された保持空間75とされ、奥部側が小径に形成された小径空間76とされている。そして、このハウジング71の保持空間75に、一対の係止部材73が保持されている。係止部材73は、図4及び図6のように外周が略円弧状に形成されたもので、その内周側の互いに対向する部分には、雄型金具6のくびれ部6bの径と略同一径からなる嵌合凹部77が形成されている。
【0036】
一対の係止部材73のうち、一方の係止部材73の一端部には、摺動凹部73aが形成され、他方の係止部材73の一端部には、摺動凹部73aに摺動可能に嵌合された摺動凸部73bが形成されている。そして、これら摺動凹部73aと摺動凸部73bとの嵌合箇所を中心として双方の係止部材73が回動可能とされている。
また、これら係止部材73の外周側には、円弧状に形成された板ばね(付勢部材)78が設けられており、この板ばね78によってそれぞれの係止部材73が内周方向、つまり、係止部材73同士が摺動凹部73aと摺動凸部73bとの嵌合箇所を中心として回動することで互いに近接する方向に付勢されるようになっている。
【0037】
係止部材73同士及び小径空間76には、リング状に形成されたキャップ79が嵌合され、これによって、係止部材73が、板ばね78の付勢力に抗して継手板4の挿通孔4aの外周側に配置された状態に保持されている。
【0038】
そして、この継手金具8は、筒状壁体3におけるセグメント1の雌型金具7と、セグメント2の雄型金具6とを互いに組み付ける場合、雄型金具6を、雌型金具7のカバー72に設けられた挿入孔74に挿入すると、雄型金具6のテーパ部6aが、係止部材73を保持しているキャップ79に当接してキャップ79を小径空間76内に押し込むようになっている。
【0039】
このとき、キャップ79が小径空間76内に完全に押し込まれ、かつ雄型金具6のテーパ部6aが係止部材73を越えた時点で、板ばね78によってそれぞれ内周側へ付勢されていることから、嵌合凹部77が雄型金具6のくびれ部6bに嵌合しながら、摺動凹部73aと摺動凸部73bとの嵌合箇所を中心として回動されて雄型金具6を挟持すると、雄型金具6が一対の係止部材73によって係止されて基部側への移動が禁止されることで、雄型金具6と雌型金具7とが互いに組み付けられ、これによって筒状壁体3のセグメント1にセグメント2が軸方向に接合されるようになっている。
そして、筒状壁体3側に接合されたセグメント2が図1及び図2のようなセグメント継手Sによってセグメント2と周方向に接合されることで新たな筒状壁体が構築されることとなっている。図3において、符号2bはボルトボックスである。
【0040】
また、この実施形態では、継手金具8が、筒状壁体3において、雄型金具6に作用する軸方向の力を吸収しかつ緩和する緩衝材9を備えている。
この緩衝材9は、セグメント2内の継手板5と袋ナット61との間に介設されてあって、かつ雄型金具6の基部側を挿通させる弾性体からなっている。この緩衝材9は、袋ナット61が雄型金具6の基部に締結されたとき、座金としての機能を果たしており、また、筒状壁体3のセグメント1にセグメント2が接合された状態にあって、かつ雄型金具6に軸方向の力が作用したとき、その軸方向の力を弾性力で吸収しかつ緩和できるようになっており、例えばウレタンゴムのように適度の硬質でかつ弾性を有する合成樹脂製からなっている。
【0041】
この実施形態は、上記構成であるので、図1のように筒状壁体3のセグメント1に対し、継手金具8によってセグメント2が接合され、またそのセグメント2が互いにセグメント継手Sによって周方向に接合されることで筒状壁体3が構築され、これが同様に繰り返されることで所望の長さのトンネルが形成される。
このようなセグメント1とセグメント2とが軸方向に接合された状態にあるとき、例えば地震等が発生して継手金具8の雄型金具6に軸方向の力が作用すると、その作用力により雄型金具6が損傷するおそれがある。
【0042】
しかしながら、セグメント2においては、前述のように雄型金具6が袋ナット61によって継手板5に固定されていると共に、その継手板5と袋ナット61との間に雄型金具6を挿通する緩衝材9が介設され、緩衝材9が雄型金具6に作用した軸方向の力を吸収しかつ緩和することができるので、雄型金具6が損傷するのを防止できるばかりでなく、袋ナット61及び継手板4、5が損傷するのを防止することができ、雄型金具6の耐破壊力が高まって、良好な継手機能を維持することができる。
【0043】
従って、地震等によって雄型金型61に軸方向の力が作用しても、継手金具8が損傷することがないばかりでなく、セグメント1、2が損傷するそおれもなくなり、トンネルの事故防止を図ることができる。
【0044】
しかも、緩衝材9は、セグメント2の継手板5と袋ナット61との間に介設されただけであって、かつ弾性を有する一つの部材により、地震等に対する耐久性を確実に高め、継手金具8としての信頼性を高めることができ、簡単な構成で実現することができる。
なお、図示実施形態では、雄型金具6を固定するため、支持ナットとして袋ナット61を用いた例を示したが、これに限らず、雄型金具6の基部側を挿通する一般的なナットを用いても同様であるのはいうまでもない。
また、この実施形態においては、セグメント1、2を軸方向に接合する継手金具8としてピボット継手を用いた例を示したが、他の種類の継手にも同様に適用することができる。以下にその例を説明する。
【0045】
図7はこの発明の第2の実施形態に係る継手構造を示している。
この場合は、いわゆるプッシュグリップ継手と呼ばれる継手金具8に適用したものであって、該継手金具8の雄型金具10は、セグメント2の継手板(雌型用継手板)5を挿通し、かつ基部側の外周におねじを有すると共に先端側の外周に長さ方向に沿い波歯状に形成された歯部11を有する棒状に形成され、これを継手板5の内側に金属プレート13を介して取り付ける支持ナット12と、金属プレート13に溶接等によって固定されたアンカー14とを備えている。
【0046】
一方、雌型金型20は、セグメント1の継手板4の内側に固定された雌型金具本体21と、雌型金具本体21の内部に雄型金具10を挿入できるように形成された挿入空間22と、挿入空間22の奥部に周方向に複数分割形成された係止部材23とを備えている。係止部材23は、雄型金具10の外周に設けられた歯部11を係止するためのものであって、詳細に図示していないが、挿入空間22内において求心方向に付勢されている。雌型金具本体21の外周にはアンカー24が溶接等によって取り付けられている。
【0047】
そして、筒状壁体3における雄型金具10の先端部が、筒状壁体3の継手板4から雌型金具本体21の挿入空間22内に挿入され、かつ係止部材23側に至ると、係止部材23が雄型金具10の挿入を許容すべく一旦拡径すると共に、自身の付勢力で雄型金具10の歯部11を係止することにより、継手板4と5とが互いに当接し、これによって筒状壁体3のセグメント1にセグメント2が接合されるようになっている。
【0048】
この実施形態では、金属プレート13と支持ナット12との間に緩衝材9が設けられ、この緩衝材9の弾性力で、地震等によって作用した雄型金具10の軸方向の力を吸収緩和するようにしており、従って、基本的は前述した実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0049】
図8及び図9はこの発明の第3の実施形態に係る継手構造を示している。
この場合は、いわゆるコーンコネクタ継手と呼ばれる継手金具8に適用したものであって、該継手金具8の雄型金具30は、図9のように、セグメント2の接合部2aを挿通する棒状をなしており、その基部側が金属プレート33を介して接合部2aに固定される支持ナット32とを備えている。雄型金具30の先端側は、一旦拡径されると共に、その拡径部分の先端に次第に先細形状に形成される筒状テーパ部31が設けられ、その先端に外周方向に若干突出する爪34が設けられると共に、爪34及び筒状テーパ部31の周囲に軸方向に沿うスリット35が複数設けられている。スリット35は、筒状テーパ部31の途中位置から爪34の先端まで設けられ、該爪34の先端で開口されている。
【0050】
継手金具8の雌型金具40は、筒状壁体3のセグメント1の前記接合部2aと対向する接合部1aに、雄型金具30の先端部と略対応する形状の挿入路42を有する雌型金具本体41が埋設されると共に、挿入路42の奥部に爪34を収納する拡大空間43が設けられ、その拡大空間43の外周に支圧板(ワッシャー)44が設けられている。
【0051】
そして、セグメント2の雄型金具30の先端を、筒状壁体3のセグメント1における雌型金具40の挿入路42に嵌挿すると、挿入路42を形成する空間が狭まるに従い、雄型金具30のスリット35の間隔が次第に狭まることで雄型金具30の先端側が縮径し、その縮径した状態で雄型金具30の爪34が拡大空間43に至ると、爪34が筒状テーパ部31の弾性力で復元して支圧板44に係合されると共に、拡大空間43と挿入路42間に係止されることにより、筒状壁体3のセグメント1にセグメント2が接合されるようになっている。
【0052】
この実施形態においても、金属プレート33と支持ナット32との間に緩衝材9が設けられ、この緩衝材9の弾性力で、地震等によって作用した雄型金具31の軸方向の力を吸収緩和するようにしており、従って、基本的は前述した実施形態と同様の作用効果が得られる。
更に、この実施形態では、金属プレート33、緩衝材9、支持ナット32及び雄型金具30の基部が、これら33、9、32、30を包囲する第2緩衝材36を介在させてコンクリートCに埋設されている。そして、地震等によって発生した軸方向の力を第2緩衝材36によって吸収しかつ緩和することで、地震時に対する継手金具の信頼性及び耐震性をいっそう高めるようにしている。第2緩衝材36は、緩衝材9と同様の材質からなっている。
【0053】
これまでの実施形態においては、予め、セグメント1に継手金具8の雄型金具6、10、30が取り付けられると共に雌型金具7、20、40が埋設されることで、セグメント2から雄型金具6、10、30が突出する継手金具8を用いた例を示したが、これに限らず、図10のようなタイプの継手金具8にも適用することができる。
【0054】
図10はこの発明の第4の実施形態に係る継手構造を示している。即ち、この場合は、継手金具8の雄型金具がボルト50で、かつ雌型金具がナット60で構成されている。
そして、筒状壁体3のセグメント1の継手板4にセグメント2の継手板5を当接したとき、ボルト50を図10の矢印方向に、セグメント1のボルトボックス1bから継手板4の挿通孔4aを通って継手板5の挿通孔5aに挿通させ、このボルト50をナット60に締め付けることにより、筒状壁体3のセグメント1にセグメント2が接合されることとなる。
【0055】
セグメント1の継手板4の内側には一対の側板51が固定されると共に、側板51にアンカー52が固定され、側板51と継手板4とコンクリートCとによってボルトボックス1bが形成されている。
また、セグメント2の継手板5の内側には一対の側板62が固定されると共に、側板62にアンカー63が固定され、更に継手板5、側板62、アンカー63がコンクリートCに埋設されている。
【0056】
この実施形態においても、筒状壁体3におけるセグメント1とこれに接合されたセグメント2と間に、地震等によって作用した軸方向の力を吸収緩和する緩衝材9が介設されており、従って、前述したこれまでの実施形態と同様の作用効果が得られ、また緩衝材9、ナット60がこれらを包囲する第2緩衝材64の介在によってコンクリートCに埋設されることで、軸方向に対する力をいっそう緩和できるようになっている。
しかも、ボルト50、ナット60、緩衝材9と、第2緩衝材64とで継手金具8が構成されるので、継手金具8の全体構成が簡素化されているにも拘わらず、軸方向の力に対する耐久性の高い継手金具8が得られる。
【0057】
このような構成の継手構造としては、例えば図11のような継手構造にも同様に適用することができる。図11はこの発明の第5の実施の形態に係る継手構造を示している。
この場合は、雄型金具としてのボルト50が筒状壁体3のセグメント1の継手板4からセグメント2の継手板5に挿通し、金属プレート65を介して雌型金具としてのナット60によって締結されることでセグメント1と2とが軸方向に接合される構造となっている。なお、図11において、符号53はボルト50の頭部と継手板4との間に設けられた座金であり、図10と同一部分には同一符号を付している。
【0058】
この実施形態においても、継手板5と、ナット60側の金属製プレート65との間に緩衝材9が介設されることで、同様の効果が得られる。このような継手構造は、これまで前述した実施の形態と比較すると、構成が簡単であり、比較的軽量なトンネルを構築する場合に適用することが好ましい。
【0059】
図12はこの発明の第6の実施の形態に係る継手構造を示している。
この場合は、図10の実施形態の一部の構成を変更したものであって、セグメント2に設けられた継手板5に、雄型金具としての段部80aを有する両ねじボルト80が支持ナット81によって突出して固定されている。この場合、両ねじボルト80の一端側がワッシャ82及び緩衝材9を介して継手板5に挿通されると共に、この両ねじボルト80の一端側の基部が支持ナット81によって締結されることで、継手板5に対し両ねじボルト80の他端側が突出するように固定され、これら継手板5、緩衝材9、ワッシャ82、支持ナット81の外表面がこれらを包囲する第2緩衝材83を介在させてコンクリートCに埋設されている。
【0060】
そして、両ねじボルト80の他端側の先端が、筒状壁体3のセグメント1に設けられた継手板(雌型継手板)4に挿通され、かつワッシャ91、雌型金具としてのナット90によって係止されることで双方のセグメント1、2が軸方向に接合されるようになっている。従って、この実施形態によれば、緩衝材9及び第2緩衝材83を備えているので、基本的には、前述した実施形態と同様の作用効果が得られる。
また、図12に示す実施形態では、継手板5に対し両ねじボルト80が支持ナット81で固定された例を示したが、支持ナット81に相当する頭部を有するボルトで構成すると共に、そのボルトの頭部をコンクリートCで埋設することで固定することもできる。
【0061】
なお、これまで説明した図示実施形態においては、全て、セグメント1及び2を互いに軸方向に接合する場合に適用した例を示したが、セグメント1及び2を周方向に接合するセグメント継手Sに適用しても、同様の作用効果が得られる。また、緩衝材9が、ウレタンゴムで構成された例を示したが、これに限らず、軸方向の力を吸収しかつ緩和し得る合成樹脂製の材質であれば、他のものであってもよい。更に、セグメント1、2がコンクリートC(コンクリート型セグメント)で構成された例を示したが、スチール型セグメント、中詰コンクリート型セグメント等であってもよい。。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、地震等によって継手金具の雄型金型に軸方向の力が発生したとき、その力を緩衝材が緩和すするように構成したので、緩衝材によって雄型金具が損傷するのを防ぐことができるばかりでなく、双方のセグメントが損傷するを防ぐことができ、良好な継手機能を維持することができると共に、セグメントの耐久性を高めることができる効果が得られる。
【0063】
請求項2に係る発明によれば、簡単な構成で良好な継手機能を維持できる効果が得られる。
【0064】
請求項3に係る発明によれば、緩衝材を追加するだけでピボット継手の機能、耐久性、及び耐震性を高めることができる効果が得られる。
【0065】
請求項4に係る発明によれば、緩衝材を追加するだけでプッシュグリップ継手の機能、耐久性、及び耐震性を高めることができる効果が得られる。
【0066】
請求項5に係る発明によれば、コーンコネクタ継手の機能、耐久性、及び耐震性を高めることができる効果が得られる。
【0067】
請求項6によれば、緩衝材を追加するだけで継手の機能、耐久性、及び耐震性を確実に高めることができる効果が得られる。
【0068】
請求項7に係る発明によれば、第2緩衝材によっても地震時に発生する軸方向に作用する力を吸収しかつ緩和することができ、継手の継手の機能、耐久性、及び耐震性をいっそう確実に高めることができる効果が得られる。
【0069】
請求項8に係る発明によれば、一方のセグメントから他方のセグメントに連通した雄型金具が損傷するのを防ぐことができるばかりでなく、双方のセグメントが損傷するを防ぐことができ、良好な継手機能を維持することができる効果が得られる。
【0070】
請求項9に係る発明によれば、緩衝材が地震時に発生する軸方向の力を確実に吸収しかつ緩和することができる効果が得られる。
【0071】
請求項10に係る発明によれば、第2緩衝材によっても地震時に発生する軸方向に作用する力を緩和でき、継手の継手の機能、耐久性、及び耐震性をいっそう確実に高めることができる効果が得られる。
【0072】
請求項11に係る発明によれば、簡単な構成及び材質で高い耐震性を実現できる効果が得られる。
【0073】
請求項12に係る発明によれば、第2緩衝材も簡単な構成及び材質で高い耐震性を実現できる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態に係る継手構造をピボット継手に適用した図であって、筒状壁体のセグメントにセグメントが軸方向に接合されるときの説明用斜視図である。
【図2】筒状壁体を構築するセグメントを示す斜視図である。
【図3】筒状壁体のセグメントにセグメントが接合される前の状態を示す要部の側面断面図である。
【図4】図3の継手金具における雌型金具の内部状態を示す側面断面図である。
【図5】筒状壁体のセグメントにセグメントが接合された状態を示す要部の側面断面図である。
【図6】図5の継手金具における雌型金具の内部状態を示す側面断面図である。
【図7】この発明の第2の実施の形態に係る継手構造をプッシュグリップ継手に適用した図であって、筒状壁体のセグメントとセグメントが軸方向に接合された状態を示す要部の断面図である。
【図8】この発明の第3の実施の形態に係る継手構造をコーンコネクタ継手に適用した図であって、(a)は筒状壁体が構築される状態を示す斜視図、(b)はセグメントを示す斜視図である。
【図9】筒状壁体のセグメントにセグメントが接合された状態を示す要部の断面図である。
【図10】この発明の第4の実施の形態に係る継手構造を示す図であって、筒状壁体のセグメントとセグメントとが接合された状態を示す要部の断面図である。
【図11】この発明の第5の実施の形態に係る継手構造を示す図であって、筒状壁体のセグメントにセグメントが接合された状態を示す要部の断面図である。
【図12】この発明の第6の実施の形態に係る継手構造を示す図であって、筒状壁体のセグメントにセグメントが接合される前の状態を示す要部の断面図である。
【符号の説明】
1、2 セグメント
3 筒状壁体
4 継手板(雌型継手板)
5 継手板(金属板)
6、10、30 雄型金具
7、20、40 雌型金具
8 継手金具
50 雄型金具としてのボルト
60、90 雌型金具としてのナット
12、32、61、81 支持ナット
13、33 金属プレート
9 緩衝材
36、64、83 第2緩衝材
80 雄型金具としての両ねじボルト
Claims (12)
- 継手金具が、一方のセグメントに設けられた雄型金具と、隣接する他方のセグメントに設けられた雌型金具とを備えてなり、一方のセグメントの前記雄型金具を他方のセグメントの前記雌型金具に挿入したとき、前記雌型金具が前記雄型金具を係止して双方のセグメントを互いに接合する継手構造において、
前記雄型金具に地震時に発生する軸方向に作用する力を緩和させる緩衝材を備えていることを特徴とする継手構造。 - 請求項1記載の継手構造において、
前記緩衝材は、一方のセグメントに埋設された金属板と、前記雄型金具を前記金属板に対し他方のセグメント方向に突出させて固定する支持ナットとの間に介設されていることを特徴とする継手構造。 - 請求項2記載の継手構造において、
前記継手金具は、一方のセグメントの前記金属板に前記支持ナットにより固定された前記雄型金具と、他方のセグメントに埋設された雌型用継手板に取り付けられると共に、該雌型用継手板に挿通した前記雄型金具を係止する雌型金具とを備えたピボット継手であることを特徴とする継手構造。 - 請求項2記載の継手構造において、
前記継手金具は、一方のセグメントの前記金属板に当接する鋼製プレートと、該鋼製プレート及び前記金属板に対して前記支持ナットにより突出して固定された前記雄型金具と、他方のセグメントに埋設された雌型用継手板に取り付けられると共に、該雌型用継手板に挿通した前記雄型金具を係止する雌型金具とを備えたプッシュグリップ継手であることを特徴とする継手構造。 - 請求項2記載の継手構造において、
前記継手金具は、一方のセグメントの前記金属板に対し前記支持ナットにより固定された前記雄型金具と、他方のセグメントに埋設され、かつ挿入路を有する雌型金具とからなり、該雌型金具内の挿入路に前記雄型金具が嵌挿されたとき、該雄型金具を係止するコーンコネクタ継手であることを特徴とする継手構造。 - 請求項2記載の継手構造において、
前記継手金具は、一方のセグメントの前記金属板に前記支持ナットにより固定された雄型金具としてのボルトと、他方のセグメントに埋設された雌型用継手板と、該雌型用継手板を挿通した前記ボルトを係止する雌型継手としてのナットであることを特徴とする継手構造。 - 請求項5又は6記載の継手構造において、
セグメント内に、少なくとも前記緩衝材、前記支持ナット及び前記雄型金具の基部を、これらの外表面を包囲する第2緩衝材を介在させて埋設していることを特徴とする継手構造。 - 継手金具が、一方のセグメント及び他方のセグメントにそれぞれ挿通する雄型金具と、雄型金具を係止する雌型金具とを備えてなり、雄型金具が一方のセグメントから他方のセグメントに連通したとき、前記雌型金具によって係止されて双方のセグメントを互いに接合する継手構造において、
前記雄型金具に地震時に発生する軸方向に作用する力を緩和させる緩衝材を備えていることを特徴とする継手構造。 - 請求項8記載の継手構造において、
前記緩衝材は、他方のセグメントに埋設された金属板と、一方のセグメントから他方のセグメントの前記金属板を連通した前記雄型金具を固定する雌型金具としてのナットとの間に介設されていることを特徴とする継手構造。 - 請求項9記載の継手構造において、
各セグメント内に、前記緩衝材及び前記支持ナットを、それらの外周面を覆う第2緩衝材を介在させて埋設していることを特徴とする継手構造。 - 請求項1、2、8、9のいずれかに記載の継手構造において、
前記緩衝材は、弾性を有する合成樹脂製の座金からなることを特徴とする継手構造。 - 請求項7又は10のいずれかに記載の継手構造において、前記第2緩衝材は、弾性を有する合成樹脂製からなることを特徴とする継手構造。
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-
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