JP2004075985A - カーボンブラック、黒色組成物及びカーボンブラックの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粉体抵抗値(VR)[Ω・cm]が、2以上であり、且つVR≧6.7562F−1.0453但しFは、F=(全酸素量[mg/g])×(窒素吸着比表面積[m2/g])−0.4×(DBP吸収量[ml/100g])−0.3で求まる数値を満たすカーボンブラック。このカーボンブラックを含有する黒色組成物。このカーボンブラックは、粉末状カーボンブラックを平均粒径500μm以下の凝集粒子となるように粉砕し、特定条件で表面処理を行うことにより製造される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はカーボンブラックと、このカーボンブラックを含有する黒色組成物と、このカーボンブラックの製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化処理されたカーボンブラックは、未酸化処理カーボンブラックと比較して、黒度、光沢、流動性等のインキ、塗料特性に優れる。
【0003】
印刷インキ用カーボンブラックとしては、黒色度が高いほど好ましく、また分散性と流動性が良いもの程好ましい。カーボンブラックを表面酸化処理して表面に酸性官能基を導入するとインキの分散性と流動性が高くなることが知られている(特公昭45−29754号公報)。
【0004】
粉末状カーボンブラックの酸化処理方法においては、粉末状カーボンブラックを使用用途に応じ、その酸化処理の程度を変更し、酸化反応させ、目的とするカーボンブラックを製造する方法が知られている(特開平11−181326号公報)。
【0005】
なお、第3図は従来のカーボンブラック酸化処理装置の系統図である。空気が配管1に送り込まれ、その途中でオゾン等の酸化剤が添加配管2から添加される。この配管1内の酸化剤含有ガスに対し、定量供給機3を介して粉末状カーボンブラックが供給される。
【0006】
カーボンブラック定量供給機3の下流側の配管1に立ち上がり部が設けられており、この立ち上がり部内でカーボンブラックとガスとが気固接触する。カーボンブラックは、該立ち上がり部内をガスと共に上昇し、表面の酸化処理が行われる。カーボンブラックは、その後、捕集器4へ導入されて捕集される。カーボンブラックが分離されたガスは配管5、送風機6を介して排出される。捕集された表面酸化処理済みのカーボンブラックは、捕集器4から貯蔵タンク7に落下し、貯蔵され、間欠的又は連続的に引き出される。
【0007】
【特許文献1】
特公昭45−29754号公報
【特許文献2】
特開平11−181326号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
分散性や流動性を有する酸化処理されたカーボンブラックを得るには、カーボンブラックに対する酸化剤の重量比を増し酸化処理度を上げる必要があるが、酸化剤の供給能力を越えるレベルまで酸化処理度を上げると生産性の低下を招く。また、カーボンブラックは凝集性が高く、工程を経る中でハンドリングにより凝集化が促進される為、酸化処理度をあげても反応ムラが発生し、品質が安定しないという問題があった。
【0009】
また、この様にして得られた高酸化処理カーボンブラックを使用したインキは、乾燥性に劣るという問題がある。即ち、この酸化処理によりカーボンブラック表面に導入された酸性官能基は、乾燥促進の為に添加されるワニス成分硬化用触媒との親和性が高いために該触媒がカーボンブラックの表面に吸着され易くなり、触媒の効果が損なわれる。従って、乾燥性を上げるにはカーボンブラック表面の酸性官能基は少ない方が望ましい。
【0010】
本発明は、酸性官能基量をいたずらに増加させることなく、従来より優れたインキの流動性、分散性を有するカーボンブラックと、このカーボンブラックを含有する黒色組成物と、このカーボンブラックを得ることができるカーボンブラックの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のカーボンブラックは、粉体抵抗値(VR)[Ω・cm]が、2以上であり、且つ以下の関係式を満足するものである。
VR≧6.7562F−1.0453
但しFは、F=(全酸素量[mg/g])×(窒素吸着比表面積[m2/g])−0.4×(DBP吸収量[ml/100g])−0.3で求まる数値である。
【0012】
一般にカーボンブラックの粉体抵抗値は粒子径や粒子のつながりに影響される。
【0013】
即ち、窒素吸着比表面積が高くなると、粒子径が小さくなり単位重量当たりのカーボンブラック個数が増加するため粉体抵抗値は低くなる。また、DBP吸収量が高くなると、カーボンブラック中の粒子径同士のつながりが多くなるため粉体抵抗値は低くなる。
【0014】
また、カーボンブラックの粒子表面には水酸基やカルボニル基、カルボキシル基等の酸性官能基が存在し、これらの量により粉体抵抗値は大幅に変化する。
【0015】
本発明者らは、粉体抵抗値と、これに影響する上記3つのパラメータ(全酸素量、窒素吸着比表面積及びDBP吸収量)とが特定の関連範囲にあると、カーボンブラックを媒体に分散させてなるインキ、塗料等の黒色組成物におけるカーボンブラックの分散性、黒色組成物の流動性、乾燥特性等が良好になることを見出し、本発明を創案するに到った。
【0016】
本発明のカーボンブラックは、窒素吸着比表面積、DBP吸収量及び全酸素量が従来のカーボンブラックと同等であったとしても粉体抵抗値VRが従来よりも高い。これは、カーボンブラックの表面により均一に酸性官能基が分布している為であると推察される。
【0017】
本発明の黒色組成物は、かかる本発明のカーボンブラックを含有するものである。この黒色組成物としては、印刷インキ、塗料、樹脂組成物などが例示される。
【0018】
本発明のカーボンブラックの製造方法は、粉末状カーボンブラックを粉砕処理する粉砕処理工程と、粉砕処理されたカーボンブラックを表面処理用ガスと接触させて表面処理する工程とを有するカーボンブラックの表面処理方法において、該粉砕工程において該粉末状カーボンブラックを平均粒径500μm以下の凝集粒子となるように粉砕し、カーボンブラック及び表面処理用ガスが並流且つ上向流となるように該カーボンブラック及び表面処理用ガスを縦型反応器内に導入し、該ガス中のカーボンブラック濃度が600g/m3以下であり、該管型反応器内のガスの上昇流速が1〜8m/secである条件でカーボンブラックの表面処理を行うことを特徴とするものである。
【0019】
かかる本発明方法によると、上記特性を有したカーボンブラックを製造することができる。
【0020】
このカーボンブラックの製造方法にあっては、粉末状カーボンブラックが細く粉砕された後、縦型反応器内に比較的低粉末濃度にて表面処理用ガスと並流且つ上向流にて接触するので、カーボンブラックの表面処理が殆ど反応ムラなく行われる。また、この管型反応器内のガスの上昇流速が比較的低速であるため、カーボンブラックの表面処理が十分に行われる。
【0021】
この表面処理としては酸化処理が例示され、この酸化処理のための酸化性ガスとしてはオゾン、硫酸ガス、窒素酸化物などが好適である。
【0022】
本発明のカーボンブラックの製造方法では、粉末状カーボンブラックの粉砕工程を前記表面処理用ガス雰囲気下で行うことが好ましい。本発明のカーボンブラックの製造方法では、縦型反応器内で沈降した粒子の少なくとも一部を粉砕工程に戻してもよく、このようにすることにより、沈降したカーボンブラックを十分に粉砕して表面処理することができる。
【0023】
なお、本発明における全酸素量、窒素吸着比表面積、DBP吸収量、体積抵抗値の定義は次の通りである。
【0024】
[全酸素量(mg/g)]
カーボンブラックを約0.5g精秤し、石英サンプル管に入れ、0.01Torrまで減圧した後、減圧系を閉じ、950℃の電気炉内に30分保持してカーボンブラックに存在する酸素化合物や水素化合物を分解・揮発させる。揮発成分は定量吸引ポンプを通じて、一定容量のガス捕集管に採取する。圧力と温度からガス量を求めると共に、ガスクロマトグラフにて組成分析する。これから、CO,CO2の発生量(mg)を求める。全酸素量は、このCO及びCO2中の酸素量(mg)をカーボンブラック1g当たりからの酸素量に換算した揮発性全酸素量であり、次式により計算される。
全酸素量(mg/g)=CO(mg/g)×16/28+CO2(mg/g)×32/44
【0025】
[窒素吸着比表面積SN2]
窒素吸着比表面積SN2は、JIS K6217に準拠して定義される(単位はm2/g)
【0026】
[DBP吸収量]
DBP吸収量はJIS K6217に準拠する。
【0027】
[粉体抵抗値VR]
内径2cmの円柱状のフッ素樹脂容器であり、かつ容器の内側底部全面に真鍮製電極を取り付けたフッ素樹脂容器に、空気雰囲気下105℃にて1時間で乾燥したカーボンブラックを2g入れる。直径2cmでフッ素樹脂容器内に隙間なく入る大きさであり、かつ、先端に直径2cmでやはりフッ素樹脂容器内に隙間なく入る真鍮製電極を取り付けてあるフッ素樹脂製棒によりふたをする。ただし、先端の真鍮製電極部分はカーボンブラックに接触するように下側にする。テンシロンを用いて、0.2mm/minの一定速度で下がるようにフッ素樹脂棒に対して下向きに荷重をかけていく。荷重をかけながら、フッ素樹脂製容器底部電極とフッ素樹脂製棒先端の電極の間の抵抗を高感度テスターで測定する。フッ素樹脂製容器底部電極とフッ素樹脂製棒先端の電極の間の体積が3.5cm3の時の抵抗値を測定する。
粉体抵抗値(Ω・cm)=[カーボンブラック粉体の断面積(cm2)]×[抵抗値(Ω)]/カーボンブラック粉体の高さ(cm)]
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明のカーボンブラックは、粉体抵抗値VRが2以上且つ(6.7562F−1.0453)以上、好ましくは(11.2750F−2.9927)以上である。このFは、前記の通り、カーボンブラックの全酸素量、窒素吸着比表面積、及びDBP吸収量に基づいて決定される値である。
【0029】
かかる本発明のカーボンブラックは、粉末状カーボンブラックを粉砕し、表面処理、好ましくは表面酸化処理することにより製造される。
【0030】
なお、粉体抵抗値VRが「2以上且つ(6.7562F−1.0453)以上」の範囲を下回ると、カーボンブラック表面の酸化ムラが多くなり、インク等への分散性、あるいはこのカーボンブラックを含んだインクの流動性、乾燥性が低下する。
【0031】
なお、一般に、未酸化のファーネスブラックの粉体抵抗値VRは0.1〜1.8Ω程度である。
【0032】
本発明のカーボンブラックの粉体抵抗値VRは、製造上の制約から40Ω・cm以下が望ましい。
【0033】
本発明のカーボンブラックは、窒素吸着比表面積の値が40〜600(m2/g)の範囲が望ましく、この範囲より高すぎると分散性が悪くなり、低すぎると黒色度が悪くなる。またDBP吸収量の値は40〜200(ml/100g)の範囲が望ましく、この範囲より低すぎると分散性が悪くなり、高すぎるとインキの流動性が悪くなる。
【0034】
一般に、表面酸化処理したカーボンブラックは、比表面積が大きくなるほど酸性官能基は多く付与される。ところが粉体抵抗や、各種材料に配合した際の物性は、酸性官能基の絶対量ではなく単位表面に付与している酸性官能基の数と相関する。全酸素量(mg/g)/比表面積(m2/g)が0.4以上であるとインキの乾燥性が悪くなるため、本発明では、全酸素量/比表面積は0.4未満が望ましい。
【0035】
本発明の黒色組成物は、かかる本発明のカーボンブラックを含むものである。この黒色組成物としては、カーボンブラックにより着色されたインキ組成物、塗料、樹脂組成物などが例示される。印刷インキとしては、平版印刷インキ、グラビア印刷インキ、凸版印刷インキ、スクリーン印刷インキ、フレキソ印刷インキ、凹版印刷インキ、特殊印刷インキ等が例示される。なお、本発明の黒色組成物は、カーボンブラックとして本発明のカーボンブラックのみを含んでも良く、本発明のカーボンブラックと本発明品以外のカーボンブラックとを含んでもよい。
【0036】
次に、本発明に係るインキ組成物の好適な内容について説明する。このインキ組成物は、好ましくは、カーボンブラック、ワニス及び助剤を含有する。ワニスは、天然樹脂、合成樹脂、乾性油または石油系溶剤等のいずれでもよい。助剤としては、乾燥制御剤、粘度制御剤、色調整剤などの他、湿潤剤、防かび剤などが必要に応じて配合される。
【0037】
天然樹脂としては、ロジン、セラック、ギルソナイト等が、また、合成樹脂としては、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、石油樹脂、ビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性ポリアミド樹脂などが挙げられる。乾性油としては、アマニ油、その低重合体などが挙げられる。石油系溶剤としては、スピンドル油、マシン油、モビル油などが挙げられる。
【0038】
インキ中のカーボンブラックの量は、用途に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは5〜50重量%、更に好ましくは10〜30%、特に好ましくは10〜20重量%の範囲である。特に、かかる範囲で有れば、降伏価を持たず、漆黒性、光沢性、乾燥性に優れたインキが得られる。
【0039】
本発明のカーボンブラックを製造するには、粉末状カーボンブラックを粉砕処理する粉砕処理工程と、粉砕処理されたカーボンブラックを表面処理用ガスと接触させて表面処理する工程とを有する表面処理されたカーボンブラックの製造方法において、該粉砕工程において該粉末状カーボンブラックを平均粒径500μm以下の凝集粒子となるように粉砕し、カーボンブラック及び表面処理用ガスが並流且つ上向流となるように該カーボンブラック及び表面処理用ガスを縦型反応器内に導入し、該ガス中のカーボンブラック濃度が600g/m3以下であり、該管型反応器内のガスの上昇流速が1〜8m/secである条件でカーボンブラックの表面処理を行うことによればよい。
【0040】
以下、このカーボンブラックの製造方法について詳細に説明する。
【0041】
本発明のカーボンブラックの製造方法において、原料として使用する凝集化した粉末状カーボンブラックは、通常のファーネス式製造炉に原料油を供給し、熱分解する方法により製造することができる。例えば、1000〜2000℃の高温雰囲気下、ファーネス式製造炉に原料油を装入し、熱分解反応によりカーボンブラックを生成させ、水で急冷した後、捕集バッグフィルターにて、ガスを分離し、捕集することにより製造することができる。このようにして得られた粉末状カーボンブラックは、捕集等の工程において凝集化が促進され、嵩密度が0.200g/cc以上の凝集化された粉末状カーボンブラックとなる。本発明の表面処理方法においては、この様に凝集化された粉末状カーボンブラックを使用する。
【0042】
本発明で粉末状カーボンブラックの粉砕に使用される粉砕装置としては、ボールミル、ロッドミル、振動ボールミル、ボールローラーミル、リングローラーミルなどの各種の微粉砕機が好適である。
【0043】
この粉砕装置では、カーボンブラックの平均粒径(凝集粒子径)が500μm以下、好ましくは100μm以下となるように粉砕する。このようにカーボンブラックを細く粉砕することにより、2次粒子が細く粉砕され、カーボンブラックを均質に表面処理することが可能となる。なお、粉砕後のカーボンブラックの平均粒径は5μm以上特に10μm以上が好ましい。5μmよりも小さい平均粒径にまで粉砕すると、粉砕装置の動力コストが徒に増大することになる。
【0044】
この粉砕時の雰囲気は、空気、窒素、炭酸ガスなどであってもよく、後の表面処理用ガス雰囲気とされてもよい。
【0045】
粉砕されたカーボンブラックは、縦型反応器内に導入され、表面処理用ガスと並流且つ上向流にて該管型反応器内を上昇し、この間に該ガスと接触して表面処理される。
【0046】
この縦型反応器内のガスの上昇流速は1〜8m/sec特に2〜7m/secとりわけ3〜7m/secであることが好ましい。上昇流速が1m/secよりも小さいと、縦型反応器内で沈降する粒子量が多くなり、8m/sec超では、縦型反応器内の滞留時間が短くなり、表面処理が不十分になる。なお、縦型反応器内のカーボンブラックの平均滞留時間は、長時間確保出来るほど好ましいが、あまり長く確保すると設備費用がかさみ、経済性の問題が出てくるため、実用上0.5〜10sec、特に1〜6sec程度が好ましい。
【0047】
この縦型反応器内でのガス中のカーボンブラックの濃度は600g/m3以下好ましくは500g/m3以下特に好ましくは400g/m3以下である。この濃度が600g/m3超であると、縦型反応器内でカーボンブラックが凝集して反応が不十分となったり、あるいは縦型反応器に閉塞が生じ易くなる。なお、この濃度は50g/m3以上特に100g/m3以上が好ましい。50g/m3未満では処理効率が低くなり、処理コスト高になるおそれがある。
【0048】
このガスとしては、カーボンブラックの酸化処理用にはオゾン、硫酸ガス、窒素酸化物(NO2及び/又はNO3など)を含むガスが好適である。
【0049】
この酸化処理用ガス中の酸化成分以外のガスとしては、酸化反応を妨げない組成のものであれば特に限定されるものではなく、例えば、空気、窒素、炭酸ガス等が例示される。
【0050】
酸化処理用ガス中におけるオゾン濃度は0.1〜10体積%、特に0.1〜2体積%が好ましく、硫酸ガス濃度は0.1〜10体積%、特に3〜7体積%が好ましく、窒素酸化物ガス濃度は0.1〜10体積%、特に3〜7体積%が好ましい。
【0051】
なお、縦型反応器内の温度は、常温であってもよく、必要に応じて加熱条件、或いは冷却条件としてもよい。
【0052】
管型反応器内で沈降した粒子の一部又は全量を粉砕装置に戻して再粉砕してもよい。このようにすれば、粒径の大きな粒子を再粉砕して細くし、十分に表面処理することができる。ただし、縦型反応器内で沈降した粒子を表面処理用ガスによって縦型反応器内に戻すようにしてもよい。
【0053】
縦型反応器からガスと共に流出したカーボンブラックは、バッグフィルタ等の捕集器によって捕集される。
【0054】
以下、本発明のカーボンブラックの製造方法における表面酸化処理工程に用いるのに好適な装置の構成を第1,2図を参照して説明する。
【0055】
第1図においては、空気が配管1に送り込まれ、その途中でオゾン等の酸化剤が添加配管2から添加される。この配管1内の酸化剤含有ガスに対し、定量供給機3と粉体輸送機9を介して粉末状カーボンブラックが供給され、ガスとカーボンブラックとが粉砕機10に導入され、カーボンブラックが粉砕される。
【0056】
粉砕されたカーボンブラックは、ガス気流に搬送され、配管11から縦型反応器13の下部に供給される。なお、配管11内のガスに対し添加配管12を介してオゾン等の酸化剤がさらに添加される。
【0057】
縦型反応器13の下部にガスと共に供給されたカーボンブラックは、該縦型反応器13内をガス上昇流と共に上昇し、表面の酸化処理が行われる。カーボンブラックはその後、取出配管14を介して捕集器4へ導入されて捕集される。カーボンブラックが分離されたガスは配管5、送風機6を介して排出される。捕集された表面酸化処理済みのカーボンブラックは、捕集器4から貯蔵タンク7に落下し、貯蔵され、間欠的又は連続的に引き出される。
【0058】
第2図は縦型反応器13内で沈降した粒子を粉体輸送機9を介して粉砕機10へ戻し再度粉砕して縦型反応器13に循環させるようにした実施の形態を示す。第2図のその他の構成は第1図と同一である。この第2図にように、沈降したカーボンブラックを再度粉砕することにより、カーボンブラックが十分に粉砕されて表面処理される。
【0059】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例においてインキの調整方法並びにその試験方法は次の通りである。
【0060】
[インキ分散性]
オフセット輪転インキとして、MS−800ワニス(昭和ワニス社製)100重量部、F−104ワニス(昭和ワニス社製)15重量部、及びカーボンブラック30重量部をプレミックスさせた後、3本ロールミル分散機を用いて5パスさせてインキを調整したときの各パスにおけるカーボンブラックの分散性をJIS
K5701で規定される練和度をグラインドゲージを用いて測定した。
【0061】
[インキ流動性]
前記で調整したインキを用いて、JIS K5701で規定される粘着性の測定におけるインコメータによる1200rpmでの1分後のインコメーター値を10±0.5に調整した後、そのインキをへらで1分間まぜ、0.8gを水平状態のアクリル板のくぼみ部に計り入れ、30分間水平状態を保持した後、アクリル板を垂直にして、0.5分、1分、3分、5分、10分、30分、及び60分後の垂れの長さを測定した。
【0062】
[インキの乾燥性の評価]
JIS K5701により任意に設定したタック調整後のインキにドライヤーを添加後、JIS K5701に準拠し、ガラス板による方法で乾燥性を評価した。測定時間間隔は15分間隔に変更して行った。
インキ100重量部に対し、ドライヤー(6重量%ナフタレン酸コバルト:昭和ワニス製)を5重量部添加した。乾燥の評価は25℃、70%RHの条件で行った。
◎ : 100分以下
○ : 100〜140分
× : 140分以上
【0063】
[平均粒径]
ホソカワミクロン社製EPCSを用いて、レーザー回折・散乱法により測定して求めた。
【0064】
下記実施例及び比較例で用いたカーボンブラックサンプル1、サンプル2、サンプル3はいずれもファーネス式製造炉から製出した粉末状カーボンブラックを、捕集バッグフィルターにてガスと分離・捕集し、ニューマチック輸送し、バッグフィルターを通して空気と分離・捕集したものである。
【0065】
各カーボンブラックの粉砕前の平均粒径(凝集粒子径)、DBP吸収量、窒素吸着比表面積及びヨウ素吸着量は次の表1の通りである。
【0066】
【表1】
【0067】
[実施例1〜4,比較例1〜5]
実施例1〜4、及び比較例1〜5では、第1図に示す装置を用いて上記サンプル1,2又は3を表面酸化処理した。縦型反応器13の内径は表2の通りである。酸化剤としてはオゾンを用いた。その他の運転条件と運転結果及び処理されたカーボンブラックの物性測定値を表2及び表3に示す。
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
表2,3から明らかな通り、本発明例により製造されたカーボンブラックは、インキ流動性を高めると共に樹脂中への分散性も良好である。
【0071】
尚、その他の考察等を次に示す。
【0072】
比較例1は、原料粒度が粗いカーボンブラックを、過大な流速に保持した例である。
【0073】
比較例2,5は、同様な条件で処理した酸化度の異なるカーボンブラックの例である。比較例1,2,5によると、いずれも処理されたカーボンブラックの分散性が低い。
【0074】
比較例3は、比較例2のカーボンブラックを粉砕処理し、平均粒径(凝集粒子径)を200μmとしたが、垂直型反応器内のカーボンブラック濃度を650g/Nm3にまでを高くしたものであり、縦型反応器内に閉塞が生じた。
【0075】
比較例4は、比較例2のカーボンブラックを粉砕処理し、平均粒径(凝集粒子径)を90μmとしたが、カーボンブラック濃度を適切に調節したが、垂直型反応器内の流速を過大にした条件である。この比較例4ではインキ流動性が不良である。
【0076】
[比較例6]
比較例6では、サンプル1のカーボンブラック500gを、内径30cm、長さ60cmの円筒型キルンに入れ、これを最大200℃まで加熱可能な電熱式高温漕に設置し、10rpmで回転させつつ、(株)ワコーシステムコントロール社製の型式OR−4Zで発生させた1万ppmのオゾンを5L/分の流量で流し、カーボンブラックと接触反応させた。オゾンとカーボンブラックの接触部の温度は50℃とし4時間処理した。同一条件で3バッチ処理し、得られたカーボンブラックを均一に混合して評価用カーボンブラックとした。表3の通り、この比較例6では、インキの乾燥性が不良である。
【0077】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、従来と同じレベルの揮発性全酸素量を有していながら、良好な分散性、流動性を発揮させることが可能となるカーボンブラックと、このカーボンブラックを含有した黒色組成物と、このカーボンブラックを製造することができるカーボンブラックの製造方法とが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態を示す系統図である。
【図2】別の実施の形態を示す系統図である。
【図3】従来例を示す系統図である。
【符号の説明】
1 配管
2 酸化剤添加用配管
3 定量供給機
4 捕集器
10 粉砕機
13 縦型反応器
Claims (10)
- 粉体抵抗値(VR)[Ω・cm]が、2以上であり、且つ以下の関係式を満足することを特徴とするカーボンブラック。
VR≧6.7562F−1.0453
(但しFは、F=(全酸素量[mg/g])×(窒素吸着比表面積[m2/g])−0.4×(DBP吸収量[ml/100g])−0.3で求まる数値。) - 請求項1において、粉体抵抗値(VR)[Ω・cm]が、VR≧11.2750F−2.9927を満足することを特徴とするカーボンブラック。
- 請求項1又は2において、窒素吸着比表面積が40〜600[m2/g]であり、DBP吸収量が40〜200[ml/100g]であることを特徴とするカーボンブラック。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、全酸素量と窒素吸着比表面積との比(全酸素量/窒素吸着比表面積)が0.4mg/m2未満であることを特徴とするカーボンブラック。
- カーボンブラックを含有する黒色組成物において、該カーボンブラックが請求項1ないし4のいずれか1項に記載のカーボンブラックであることを特徴とする黒色組成物。
- 粉末状カーボンブラックを粉砕処理する粉砕処理工程と、
粉砕処理されたカーボンブラックを表面処理用ガスと接触させて表面処理する工程と
を有する表面処理されたカーボンブラックの製造方法において、
該粉砕工程において該粉末状カーボンブラックを平均粒径500μm以下の凝集粒子となるように粉砕し、
カーボンブラック及び表面処理用ガスが並流且つ上向流となるように該カーボンブラック及び表面処理用ガスを縦型反応器内に導入し、該ガス中のカーボンブラック濃度が600g/m3以下であり、該管型反応器内のガスの上昇流速が1〜8m/secである条件でカーボンブラックの表面処理を行うことを特徴とするカーボンブラックの製造方法。 - 請求項6において、粉末状カーボンブラックを平均粒径が100μm以下となるように粉砕することを特徴とするカーボンブラックの製造方法。
- 請求項6又は7において、該表面処理用ガスはカーボンブラックの表面の酸化処理を行う酸化性ガスであることを特徴とするカーボンブラックの製造方法。
- 請求項6ないし8のいずれか1項において、該粉末状カーボンブラックの粉砕工程を前記表面処理用ガス雰囲気下で行うことを特徴とするカーボンブラックの製造方法。
- 請求項6ないし9のいずれか1項において、前記縦型反応器内で沈降した粒子の少なくとも一部を前記粉砕工程に戻すことを特徴とするカーボンブラックの製造方法。
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