JP2001240766A - 酸性カーボンブラックの製造方法 - Google Patents

酸性カーボンブラックの製造方法

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JP2001240766A
JP2001240766A JP23801399A JP23801399A JP2001240766A JP 2001240766 A JP2001240766 A JP 2001240766A JP 23801399 A JP23801399 A JP 23801399A JP 23801399 A JP23801399 A JP 23801399A JP 2001240766 A JP2001240766 A JP 2001240766A
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gas
nitric acid
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temperature
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Nobutake Mise
信猛 見勢
Yutaka Fukuyama
裕 福山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固結を防止でき、また同時に非常に効率的に
広範囲の分散系においてより漆黒性の高い酸化カーボン
ブラックを製造する。 【解決手段】 硝酸を含む気流中でカーボンブラックを
分散させた状態で、カーボンブラックと硝酸ガスと接触
混合させることを特徴とする酸性カーボンブラックの製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インキ、塗料、樹
脂、ゴム等の着色用、耐候性等改善や導電性調整のため
の充填剤用途において好適に用いられる酸化カーボンブ
ラックの製造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カーボンブラックをインキ、塗料、樹脂
等の着色用に用いる場合に、カーボンブラック表面の酸
化処理を行い、表面に酸性の酸素含有官能基からなる揮
発成分を付与させることによりインクの流動性や分散
性、光学適性を改善させる事は広く知られている。この
場合の酸化処理としては、硝酸や過酸化水素、次亜塩素
酸塩等の液状酸化剤を用いる方法と、高温の酸素含有ガ
スや、二酸化窒素、オゾン等の酸化性ガスを用いる方法
が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】液状酸化剤を用いる例
としては、特公昭45−29754号公報に液硝酸を用
いた方法、特公昭52−13808号公報に過酸化水素
を用いた方法が開示されているが、これら液状酸化剤を
用いる方法では酸化工程において液状酸化剤がバインダ
ーとして作用し、得られたカーボンブラックは強く凝
集、固結してしまい、特公昭45−29754号公報に
開示されているような粉砕処理をしないと実用の分散系
では使用できない。特に、粒子径の小さいカーボンブラ
ックでは一旦凝集、固結すると、物理的な粉砕を行って
も、酸化処理前のサイズまでの復帰は困難であり、大き
な凝集塊が残り、光学適性等での著しい劣化をもたら
す。酸化剤として酸化性ガスを用いる例として、特公昭
46−18368号公報にはオゾンを酸化剤として用い
たカーボンブラックの酸化が、特公昭44−5691号
公報には二酸化窒素又は硝酸ガスを酸化剤として用い回
転ドラム型反応装置又は流動床反応装置内でカーボンブ
ラックを撹拌・流動させた状態で酸化させる方法が、各
々開示されているが、これらの方法は著しく酸化処理時
間が長く、経済性が悪い。
【0004】また、酸化性ガスとして二酸化窒素や硝酸
を用いた場合には、酸化処理後のカーボンブラックをワ
ニス等へ分散すると、著しい粘度増加をもたらし、実用
上問題となることが判明した。この原因としては、これ
ら二酸化窒素や硝酸を用いた場合には、酸化処理の際に
100〜200℃程度まで加温した状態で酸化する必要
があり、このため、酸化による含酸素揮発分付与の反応
と並行して、カーボンブラック表面の炭素微結晶が酸化
剤ガスによりガス化する反応が発生し、表面が多孔化し
比表面積が増加し、このような多孔質なカーボンブラッ
クをワニス等へ分散させると、表面の細孔部分にワニス
が吸蔵され、自由に移動でにるワニス分が少なくなり、
著しい粘度増加をもたらすものと考えられる。
【0005】また、特に酸化性ガスとして二酸化窒素又
は硝酸ガスを用いて酸化処理を行った場合、酸化処理後
のカーボンブラックは、処理前に比べて必ずしも各種特
性が向上してはいないことがあることが判明した。硝酸
ガス又は二酸化窒素で酸化した場合、カーボンブラック
の単位表面積当たりの揮発分を0.1mg/m2程度付
与しても酸化前のカーボンブラックに比べ適性の向上は
ほとんど見られず、光学適性の向上効果発現には、さら
に酸化剤の量や反応時間を大幅に増加させる必要がある
ことがわかった。その原因としては、酸化性ガスと粉体
状のカーボンブラックとを反応させる場合、酸化反応速
度が著しく速いことから、均一に反応させるためには、
カーボンブラック粉体及び酸化性ガスを高速に流動させ
る必要があると考えられ、回転ドラム式装置や流動床式
反応器では装置内のガス及び粉体の流速が遅く十分な流
動が得られず酸化状態の不均一が発生していることが考
えられる。
【0006】特公昭49−11998号公報には、カー
ボンブラックを空気等のキャリヤーガス中に浮遊させて
反応器へ導入し、そこへ反応性ガスとしてオゾンを混入
して酸化させる方法が記載されている。しかしながら、
オゾンガスは、通常、酸素又は酸素を含有した空気を原
料としてオゾン発生器において発生させるが、原料中の
酸素のうち8〜10体積%程度までしかオゾンにかえる
ことができず、原料中の酸素の約90%はそのまま、発
生したオゾンガスと混合した状態で存在している。一
方、カーボンブラックと接触させるガス中の酸素及びオ
ゾンの合計の濃度が気体組成の21vol%を越えると
粉塵爆発を生じる危険性が極めて高くなることから、接
触させるガスの酸素及びオゾンの合計の濃度はそれ%以
下とする必要がある。このため、カーボンブラックと接
触するオゾンガスの濃度は21vol%×0.1=2.
1vol%が上限となる。従って、カーボンブラックの
揮発分を高めようとすると、反応系内でのカーボンブラ
ックの濃度を著しく低くして反応させる必要があり経済
性を大きく損なう。
【0007】カーボンブラックの流動性及び分散性改善
のために得られたカーボンブラックを強く凝集させるこ
となく、酸化反応時のカーボンブラックの賦活反応によ
る比表面積増加を抑制し、かつ高い揮発分を付与させた
広い範囲で高い漆黒性を得ることのできる各種適性の良
好なカーボンブラックの製造を均一、かつ効率的に行う
ことが本発明の課題である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、各種酸化
剤を用いたカーボンブラックの酸化反応について、各酸
化剤の反応条件毎の反応特性及び各種反応装置での混合
性、均一性及び得られたカーボンブラックの各種分散系
での性質等について種々検討した結果、酸化剤として硝
酸ガスを使用し、高速気流中にカーボンブラックを同伴
させて酸化を行うことにより、高い揮発分を均一な状態
で付与させることができ良好な応用適性を発揮するカー
ボンブラックが得られることを見出し本発明に至った。
すなわち本発明は、硝酸を含む気流中でカーボンブラッ
クを分散させた状態で、カーボンブラックと硝酸ガスと
接触混合させることを特徴とする酸性カーボンブラック
の製造方法に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で酸化処理を行うことができる母体のカーボンブ
ラックは限定されず、公知の製造設備により製造される
ファーネスブラックやチャンネルブラック、サーマルブ
ラック、アセチレンブラック等の種々のカーボンブラッ
クを用いる事ができるが、特にファーネス法により製造
されるファーネスブラックを用いる事が好ましい。カー
ボンブラックは一般的な粉状態のものを以下に説明する
酸化処理に供するのが反応効率、得られる酸化カーボン
ブラックの物性等の観点から好ましい。
【0010】本発明では以下に示すような硝酸ガスを酸
化剤として用いる同伴気流方式の酸化方法を用いる。こ
こで、同伴気流式の酸化方法は、酸化剤として硝酸ガス
を使用し、この高速気流中にカーボンブラックを同伴さ
せながら好適な温度条件下で酸化させた後、窒素酸化物
と酸化カーボンブラックとを分離する製造プロセスによ
って、高い揮発分を均一な状態で付与させ良好な応用適
性を発揮するカーボンブラックを得ることのできる新規
な酸化方法で、より詳細には、硝酸ガスを通常1体積%
以上30体積%以下、好ましくは2体積%以上15体積
%以下含有した硝酸含有ガスを通常3m/秒以上、好ま
しくは5m/秒以上の流速で流通させた中に、該ガス中
の硝酸が二酸化窒素に自己分解する前にカーボンブラッ
クを分散させ、カーボンブラックを気流中で反応装置内
を同伴移送させる。この時、単位体積ガス中に含まれる
硝酸ガスの重量と同ガス中に分散させるカーボンブラッ
クの重量の比(硝酸/カーボンブラック比)が最終的に
カーボンブラックに付与される揮発分量を支配する重要
な因子となる。即ち、多量の揮発分を付与させる場合に
は硝酸/カーボンブラック比を高くすることで揮発分量
の調整を行う。硝酸ガスを上記の濃度とするには、加
熱、超音波等の手段により、気相中の硝酸ガス濃度を高
めることにより達成することができる。
【0011】また、カーボンブラックと反応させる硝酸
含有ガスは、硝酸の他に空気や窒素等の不活性ガス及び
原料とする硝酸や空気中に含まれる水による水蒸気を含
むガスを用いることができる。この混気ガスは含有する
硝酸及び水蒸気等の成分が全く凝縮を起こさない温度ま
で予め予熱した状態で導入し、かつ途中温度低下しない
様保温または加熱した状態で導入する必要がある。しか
しながら、硝酸ガスは温度が高くなるにつれ、二酸化窒
素への分解が急速に発生することからカーボンブラック
と接触するまでの混気ガスの温度は50℃以上200℃
以下の範囲とすることが好適である。
【0012】カーボンブラックは通常捕集バッグ等で回
収された際に互いに凝集し、数100nm〜数mm程度
に弱く凝集した状態で存在しており、酸化反応を行う際
には、このような凝集した状態で気流中に導入すると、
同伴装置内での沈降した装置内面への付着が発生した
り、凝集部分と非凝集部分とでカーボンブラックの局所
濃度が異なることにより、局所的な硝酸/カーボンブラ
ック濃度の不均一が発生し、得られたカーボンブラック
の性質が不均一になる原因となる。凝集性の弱い、嵩比
重の低いカーボンブラックについては、単純にカーボン
ブラックを前述の高速気流中に混合させるだけで十分気
流のエネルギーにより解砕させ、均一なカーボンブラッ
ク濃度の状態で酸化を行うことができるが、嵩比重の高
いカーボンブラックのような凝集性の強いカーボンブラ
ックについては、3m/秒から5m/秒程度の気流のエ
ネルギーが十分な解砕が行われないことがある。そこ
で、カーボンブラックをより好適な状態で分散させるた
めに、各種の気相分散装置や解砕装置を用いることが好
ましい。このような目的の装置の内、本発明の実施装置
中に最もコンパクトに設置することが可能なものとし
て、高速の同伴気流の圧力を利用し、カーボンブラック
と気流との接触部分のみを部分的にさらに高速化し、2
0m/秒以上、より好ましくは50m/秒以上の流速に
加速してカーボンブラック供給装置から供給されるカー
ボンブラックと衝突させることでより高い破砕エネルギ
ーを瞬間的に加えるイジェクター式の分散装置を用いる
ことは極めて有効である。
【0013】この同伴移送中に硝酸含有ガスとカーボン
ブラックとを高速気流のエネルギーにより強く混合させ
ながら、反応雰囲気を硝酸による酸化反応が効率的に起
こる50℃以上の温度でかつ、酸化反応により生成した
官能基の熱分解が抑制できる250℃以下の温度に保持
した状態で、硝酸による酸化反応により好適な揮発分が
十分量付与されるのに必要な10秒から600秒の間同
伴気流中で反応させることが好ましい。また、高い揮発
分/N2SA比のカーボンブラックを得るためには、酸
化反応領域の温度は50℃以上200℃以下の範囲に保
つことが好ましい。このような所定の流速範囲でカーボ
ンブラックを一定範囲の温度に維持しながら滞留させる
装置としては、間接温度制御機能を有する2重管式の反
応管装置等を用いることができる。
【0014】なお、この反応の間に、初期の酸化反応で
消費された硝酸を補う目的で途中硝酸ガスを気流中に混
合させることも可能である。この後、硝酸による反応の
副生物である二酸化窒素、一酸化窒素等の窒素酸化物ガ
スを含有する反応後ガスと酸化されたカーボンブラック
とを分離する。反応後ガスと酸化カーボンブラックとを
分離する方法としてはサイクロン等の粉体輸送能力を変
更させる方式の分級装置や、捕集バッグによる捕集バッ
グ方式等様々な方法を適用することが可能であるが、細
かな粒子を完全にガスから分離するのには捕集バッグフ
ィルターによる分離方法を取ることが望ましい。この際
使用するバッグは表面を耐酸耐窒素酸化物性を補強した
ガラス繊維等で構成される炉布で作成することが耐久性
上好適である。
【0015】好適な反応時間である10から600秒間
が経過した後のカーボンブラックは表面に反応性に富ん
だ二酸化窒素や未反応の硝酸を吸着した状態になってお
り特にこれらの物質は温度が高くなるにつれ急激に発熱
しながらカーボンブラック表面の炭素原子と反応を起こ
す。このため、バッグ式フィルターで酸化カーボンブラ
ックを回収する場合、カーボンブラックがガスと分離さ
れて蓄積した状態となる捕集部分ではそれ以前の気流部
分に比べ放熱の効率が低い為、この反応による発熱が起
こるとカーボンブラックの温度が上昇し、一旦、表面に
ついた官能基が分解し脱離したり、高温で窒素酸化物と
カーボンブラックとが反応することによって発生する賦
活反応による比表面積増、また更に高温では燃焼が起こ
りカーボンブラックが消失することが起こる。このよう
な現象の要因について検討した結果このもとになる発熱
反応はカーボンブラックの温度が110℃以上で発生
し、更に120℃以上で急激に進行する。特に7重量%
以上まで高度に揮発分を付与させる条件で酸化を実施し
た場合には、酸化カーボンブラックが蓄積した状態で1
20℃以上に達すると急激にカーボンブラックの温度が
連鎖的に上昇し、カーボンブラックの一部又は全体が適
性を阻害させる200℃以上に短時間で達することが判
明した。この様な急激な温度上昇を回避する為には捕集
バッグ部分、において間接式の熱交換式の温度調整装置
や、直接冷媒ガスを噴出させる温度調節装置を設置しこ
の部分の温度を調整できる製造装置を用いて、通常12
0℃以下、より好ましくは100℃以下に制御した条件
で製造することが好適である。
【0016】この状態で得られた酸化カーボンブラック
は窒素酸化物を多量に吸着しているため、この酸化カー
ボンブラックを少なくとも設定温度に対し上下各々50
℃以内の温度範囲で温度制御可能なカーボンブラックが
流動しながら装置内部でガスと接触する構造を有する脱
離装置中において、通常100℃以上200℃以下、好
ましくは150℃以上200℃以下の温度に加熱し、含
有する窒素酸化物量が少なくとも200ppm以下より
好ましくは100ppm以下となるまで5分から600
分を保持し、酸化カーボンブラック表面に吸着された窒
素酸化物を脱離させることで有害な窒素酸化を殆ど含ま
ない酸性カーボンブラックを得る。
【0017】以上の方法により高い揮発分が均一な状態
で付与され良好な応用適性を発揮する酸化カーボンブラ
ックを得ることができる。上述したように、着色用途等
で用いられるカーボンブラックにおいてカーボンブラッ
ク表面を酸化して揮発分を増加させることが行われる
が、この際カーボンブラックの単位表面積当たりの揮発
分量が少ないと分散系での分散安定性や塗布した物の光
学適性が低くなる場合がある。
【0018】しかしながら、従来技術によりカーボンブ
ラックを種々の酸化剤で酸化させた場合には、酸化剤量
を増加させたり反応温度を高めて反応を促進させても、
単位面積当たりの揮発分を示す、揮発分/N2SAの比
はせいぜい0.35mg/m2程度までしか増加せず頭
打ちとなる。これは、酸化剤に対して反応活性なカーボ
ンブラックが、酸化反応が進むにつれ減少するためと考
えられる。以上説明した本発明の酸化方法においてもこ
のように反応活性なカーボンブラックが次第に減少して
いくという傾向はみられるものの、酸化反応領域の温度
を120〜200℃に制御した条件で、硝酸/カーボン
ブラック比及びカーボンブラックを同伴する気流中での
滞留時間を以上説明した適切な条件に設定することによ
り、酸化剤によるカーボンブラックの賦活反応による比
表面積増加が抑制されることから単位面積当たりの揮発
分量、すなわち揮発分/N2SA比が0.35mg/m2
を超え、さらには0.50mg/m2以上にまで増加さ
せることが可能であることが見出され、こうして得られ
たカーボンブラックは著しく分散安定性や光学適性が良
好となる。
【0019】また、粘調なワニス中にカーボンブラック
を5重量%を越える比較的高い配合比率で分散させるオ
フセット用インキや各種ベースインキ等のインキ組成物
においては、一旦流動状態に分散させたインキ分散体中
においてカーボンブラック粒子が互いにフロキュレーシ
ョンを起こし構造粘性を発生させる。インキの製造工程
や貯蔵中にインキタンク中などで一定期間以上静置状態
で貯蔵すると構造粘性が強い場合には著しく粘度が高く
なり容易に排出や移送ができなくなるという問題が発生
する。上記の硝酸混気ガスとカーボンブラックを反応さ
せる場合において種々検討した結果、同伴気流中で酸化
させる酸化反応領域の温度を50℃以上、130℃以下
で制御した条件で製造したカーボンブラックは、その光
学適性や他の応用適性が同等で、構造粘性が著しく低く
なることが判明した。
【0020】図1に本発明の実施が可能なカーボンブラ
ックを気流に同伴させて酸化反応を行うための装置(以
下、同伴気流式酸化反応装置という。)の一例の概略を
示す。図1に示す同伴気流式酸化反応装置は、硝酸気化
装置、カーボンブラック供給/分散装置、反応装置、分
離装置及び脱離装置からなる。硝酸気化装置は、カーボ
ンブラックに同伴させるための空気や窒素等のガスを1
00〜150℃に予熱した状態で、ヒーター34により
加熱された円筒35内に導入し、硝酸定量ポンプ36に
より供給して加圧式スプレーにより円筒35内に微噴霧
して気化させ、高圧の硝酸ガス含有気流を発生させるも
のである。
【0021】こうして得られた硝酸ガス含有気流中に、
カーボンブラック供給/分散装置(30)により母体カ
ーボンブラックを定量供給しながら気流中に分散させ
る。カーボンブラック供給/分散装置の詳細を図2に示
す。図2中、311はホッパー、312はインバーター
制御ロータリーバルブからなる定量供給器、313はイ
ジェクター、314はガス噴出ノズルである。反応装置
は、恒温槽32と、その中に螺旋状に設置された配管
(以下、反応管とも称する)33から成る。恒温槽32
は、カーボンブラックを同伴する気流を一定流速範囲で
一定温度範囲に制御した状態に所定の滞留時間保持させ
るために、大気温度から250℃までの温度調節した空
気を熱風器39より導通させることにより温度調節が可
能となっている。反応管33はステンレス製で、螺旋状
に曲げられて恒温槽内に設置されている。このように反
応装置は、恒温槽の温度を調節することにより反応管内
の温度を間接的に制御できる二重構造となっている。
【0022】図1に示す装置では、反応装置は3基が直
列に配置されており、これらは組み替え可能である。図
中、31はイジェクター式分散機、37は空気コンプレ
ッサー、38は分離装置である。カーボンブラックは硝
酸ガス含有気流に同伴して反応管内に導入され、酸化反
応を受ける。カーボンブラックの酸化処理における気流
中でのカーボンブラックの滞留時間の調整は、この反応
装置の接続個数を変更することによっても容易に調整可
能である。酸化反応後のカーボンブラックを含有する気
流は、引き続き冷却部配管内を通りながら冷却され、カ
ーボンブラックと酸化反応後のガスとを分離する分離装
置に導入される。
【0023】分離装置38は、捕集バッグでカーボンブ
ラックを回収することにより酸化反応後のガスと分離す
る。分離されたカーボンブラックは、脱離装置に導入さ
れる。脱離装置の断面の概略を図3に示す。脱離装置
は、外部に加熱ヒーターを有する円筒部(390)、円
筒部の下部全面に設置された入口フィルター(393)
を有し、加熱空気供給口(392)から入口フィルター
を通じて加熱空気が円筒内に導入され、円筒内部のカー
ボンブラックは流動状態となり含有する窒素酸化物と水
分とがカーボンブラックから脱離される。図3中、39
4は出口フィルター、395はガス排出口である。
【0024】以上のような製造方法を用いて得られた酸
化カーボンブラックは、広範囲の分散系においてより漆
黒性の高いカーボンブラック組成物を得ることができ
る。以上説明した本発明の製造方法で得られた酸化カー
ボンブラックを含有する塗料組成物、樹脂組成物、イン
キ組成物を調製することにより、これら各種の用途で好
適な特性を発揮させることができる。以上説明したよう
に本発明により得られた酸化カーボンブラックは各種の
ビヒクル中での分散性が極めて優れていると同時に非常
に高黒度であるため、これら各種の組成物も極めて優れ
た特性を有するものとなる。
【0025】なお、本発明の製造方法で得られた酸化カ
ーボンブラックを用いた塗料組成物、樹脂組成物、ゴム
組成物及びインク組成物を得るには、本発明のいずれか
のカーボンブラックを含有する以外は、公知の各種の方
法を採用して所望の組成物を調製することができる。例
えば、各種の熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂、それ
らの樹脂の混合物あるいはフィラー等の各種添加物を加
えたものであってもよい。樹脂成分にカーボンブラック
を添加し、必要に応じて混練する場合は、樹脂混練機と
して通常使用されているもの、例えばバッチ式開放型と
してロールミキサー、バッチ式密閉型としてバンバリー
タイプミキサー、連続スクリュー式として単軸混練押出
機、二軸混練押出機、連続ローター式として単軸混練
機、二軸混練機等を使用することもできる。カーボンブ
ラックの含有量もまた公知の技術を採用して決定すれば
よく、一般に0.1〜60重量%が好適である。
【0026】本発明で得られた酸化カーボンブラックを
含有する塗料組成物を調製する場合、使用するワニスと
しては塗料に用いることのできるものであれば特に限定
されず、例えば各種の油性塗料、酒精塗料、合成樹脂塗
料、水性塗料に用いられるものを用いればよく、目的と
する塗料も特に限定されず、油ペイント、油エナメル、
フェノール樹脂又はマレイン酸樹脂、アルキド樹脂塗
料、アミノアルキド樹脂塗料、尿素樹脂塗料、酒精塗
料、ラッカー、ビニル樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、ポ
リエステル樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、ポリウレタン
樹脂塗料、シリコーン樹脂塗料、エマルジョン樹脂塗
料、水溶性樹脂塗料が挙げられる。カーボンブラックの
含有量もまた公知の技術を採用して決定すればよく、一
般には0.1〜10重量%が好適である。
【0027】本発明で得られた酸化カーボンブラックを
含有するインク組成物を得るにはカーボンブラックとし
て本発明で得られる酸化カーボンブラックを用いる以外
は特に限定されない。従来より知られる各種のワニス、
溶剤と配合し、充分に分散を行うが、特に水性インキ組
成物として用いると優れている。例えば、ワニスとして
アルカリ可溶型樹脂、ヒドロゾル型樹脂等各種の水溶性
ワニスとともに水性媒体に分散する等、公知の手段を採
用すれば良い。分散方法は特に限定されない。また分散
方法も各種公知の方法を用い、各種の添加剤を添加して
もよい。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明する。なお、平均粒子径、N2SA比表面積、cDB
P、揮発分、造粒粒子の硬さ、pH、インキの静置流動
性、含有NOx量は、各々以下の方法により求めたもの
である。
【0029】(平均粒子径)電子顕微鏡法による。電子
顕微鏡法とは、以下に示す方法である。カーボンブラッ
クをクロロホルムに投入し200KHzの超音波を20
分間照射し分散させた後、分散試料を支持膜に固定す
る。これを透過型電子顕微鏡で写真撮影し、写真上の直
径と写真の拡大倍率により粒子径を計算する。この操作
を約1500回にわたって実施し、それらの値の算術平
均により求める。 (揮発分)揮発分はJIS K 6221−82に従っ
て決定した。 (N2SA比表面積)N2SA比表面積は、ASTM D
3037−88に従って決定した。 (cDBP)破砕DBP吸収数(cDBP)はASTM
D−3493−88に従って決定した。 (造粒粒子の硬さ)”造粒粒子の硬さ測定方法”JIS
K 1510−88bに従って決定した。 (pH)pHの測定方法はASTM D−1512−8
4に従って決定した。
【0030】(含有NOx量)フラスコ内でカーボンブ
ラック1.0gに0.05重量%硝酸水溶液50mlを
加え、スターラーにて30分間撹拌しカーボンブラック
中のNOxを溶出させた後、遠心分離器でカーボンブラ
ックと上澄み溶液を分離する。同上澄み溶液20ml
に、予め水酸化ナトリウム及び酢酸でpHを7.0±
0.1に調整したスルファニルアミド0.0193mo
l/L水溶液15mlと亜鉛粉末0.5gを加え全体の
容積が100mlになるまで純水を加えて1分間混合す
る。混合液を濾紙で濾過したした後、濾液20ml採取
しこれに20重量%の塩酸水溶液3mlと0.01重量
%のN−1−ナフチルエチレンジアミン溶液1mlを加
えた後、全体の容積が25mlになるまで純水を加えた
後、混合し15℃〜30℃で15分間静置する。静置後
溶液を石英製吸光度測定セルに移し、545nmの波長
に調整した吸光度測定器にて吸光度を測定する。予め3
種類以上の既知の濃度の硝酸カリウム溶液を上記遠心分
離操作以降の処方で吸光度測定した結果から作成した吸
光度と二酸化窒素(NO2)濃度の校正用の回帰式を用
いて、測定した溶液のNO2濃度を算出し、 含有NOx濃度(ppm)=測定溶液のNO2濃度×50
/20 の関係式でカーボンブラックの含有NOx濃度を決定す
る。
【0031】(インキの静置流動性)昭和ワニス(株)
製フェノール樹脂「MS−800」38.0gと同社製
アルキッド樹脂「F−104」2.0gと日本石油
(株)製「6号ソルベント」5.7gとをディスパーに
おいて混合し混合ワニスを作成する。混合ワニス45.
7gとカーボンブラック20.0gとをポリエチレン製
のカップ内で混合した試料を3本ロールミルにて、練和
したインキがフルスパン50μmの粒ゲージで10μm
以下の分散度となるまで3回から7回程度繰り返し練和
し、分散インキを作成する。同分散インキ20.0gと
混合ワニス23.8gとを3本ロールミルにおいて3回
練和した後6号ソルベントを7.64g添加し更に3回
練和し調製インキを作成する。同調製インキ2.0gと
6号ソルベント0.28gとをガラス板上において3分
間以上軟膏へらにて練和した後、0.7±0.1gを、
水平においた平滑なガラス板上に上部よりインキを垂ら
す。そのままの状態で25℃±5℃にて3時間静置した
後、ガラス板を垂直に立てて1時間後までにインキの流
動した長さを測定し決定する。
【0032】(実施例1)三菱カーボンブラック「#2
600」(三菱化学製、平均粒子径:13.0nm、N
2SA:370m2/g、cDBP:48ml/100
g、揮発分:2.1重量%)を母体として用い、図1に
概略を示す同伴気流式酸化反応装置を用い、酸化処理を
行った。図に示す同伴気流式酸化反応装置において、硝
酸気化装置からカーボンブラック供給/分散装置までの
間は全長3m(滞留時間約0.5秒)とした。カーボン
ブラックを分散させるイジェクター部分はノズル径2m
mのものを用い、噴出速度を約300m/sとした。図
2に示す反応装置において配管は内径25mmのステン
レス製で、全長100mのものが直径1.8〜2mmの
螺旋状に曲げられ、反応槽内に設置されたものである。
冷却部配管の全長は10mである。各実施例及び比較例
においては、滞留時間の調整は、この反応装置の接続個
数を変更することにより行った。
【0033】98%濃硝酸を空気中に気化させた硝酸ガ
ス濃度8.0体積%の混気ガスを150℃に予熱し、1
0m/秒の流速の気流としてガス温度を150℃で制御
した反応管内に流通させ、この気流中にカーボンブラッ
ク100重量部に対して硝酸量91重量部となる様、カ
ーボンブラックを56g/分の割合で定量供給しながら
イジェクターで分散させ、カーボンブラックの反応管内
での滞留時間を30秒間として酸化反応させた後、カー
ボンブラックを同伴する気流を50℃まで冷却し、捕集
バッグで反応後ガスと酸化カーボンブラックを分離し
た。得られた酸化カーボンブラック1kgを、図3に示
す流動床式の脱離装置にて窒素酸化物の脱離を行った。
【0034】脱離装置の円筒部は内径400mm、高さ
600mmのものである。以下の実施例及び比較例にお
いては、円筒部にカーボンブラック1kgを充填した状
態で、120℃に予熱した脱離用空気を100リットル
/分で導入しながら、装置内温度を120℃に調整しな
がら1時間予備加熱した後、引き続き昇温して150℃
として1時間保持して脱離を行った後、30℃まで冷却
してカーボンブラックを取り出して充分混合した後、サ
ンプリングを行い、物性の測定、光学適性等の評価を行
った。回収したカーボンブラックは、揮発分:18.2
重量%、N2SA:403m 2/g、揮発分/N2SA
比:0.45mg/m2、pH:2.2、含有NOx量:
75ppmであった。また、脱離前の酸化カーボンブラ
ックの含有NOx量は4600ppmであった。
【0035】(実施例2)三菱カーボンブラック「#2
600」を母体として用い、実施例1で用いた同伴気流
式酸化装置を用いて酸化反応を行った。98%濃硝酸を
空気中に気化させた硝酸ガス濃度10.0体積%の混気
ガスを150℃に予熱し、10m/秒の流速の気流とし
てガス温度を150℃に制御した反応管内に流通させ、
この気流中に、カーボンブラック100重量部に対して
硝酸量112重量部となる様、カーボンブラックを56
g/分の割合で定量供給しながらイジェクターで分散さ
せ、カーボンブラックの反応管内での滞留時間を30秒
間として酸化反応させた後、カーボンブラックを同伴す
る気流を50℃まで冷却し、捕集バッグで反応後ガスと
酸化カーボンブラックを分離した。得られた酸化カーボ
ンブラック1kgを、図3に示す流動床式の脱離装置に
て実施例1と同様にして窒素酸化物の脱離を行った。回
収したカーボンブラックは、揮発分:20.7重量%、
2SA:405m2/g、揮発分/N2SA比:0.5
1mg/m2、pH2.2、含有NOx量:72ppmで
あった。
【0036】(実施例3)三菱カーボンブラック「#2
600」を母体として用い、実施例1で用いた同伴気流
式酸化反応装置により酸化処理を行った。98%濃硝酸
を空気中に気化させた硝酸ガス濃度10.0体積%の混
気ガスを150℃に予熱し、10m/秒の流速の気流と
してガス温度を150℃に制御した反応管内に流通さ
せ、この気流中に、カーボンブラック100重量部に対
して硝酸量112重量部となる様、カーボンブラックを
56g/分の割合で定量供給しながらイジェクターで分
散させ、カーボンブラックの反応管内での滞留時間を2
0秒間として酸化反応させた後、カーボンブラックを同
伴する気流を50℃まで冷却し、捕集バッグで反応後ガ
スと酸化カーボンブラックを分離した。得られた酸化カ
ーボンブラック1kgを、図3に示す流動床式の脱離装
置にて実施例1と同様にして窒素酸化物の脱離を行っ
た。回収したカーボンブラックは、揮発分:16.8重
量%、N2SA:396m2/g、揮発分/N2SA比:
0.42mg/m2、pH2.2、含有NOx量:81p
pmであった。
【0037】(実施例4)三菱カーボンブラック「#4
7」(三菱化学製。平均粒子径:23.4nm、N2
A:126m2/g、揮発分:0.6重量%)を母体と
して用い、実施例1で用いた同伴気流式酸化反応装置に
より酸化処理を行った。70%硝酸を空気中に気化させ
た、硝酸ガス濃度5.0体積%の混気ガスを100℃に
予熱し、10m/秒の流速の気流としてガス温度を10
0℃に制御した反応管内に流通させ、この気流中にカー
ボンブラック100重量部に対して硝酸量15.0重量
部となる様、カーボンブラックを240g/分の割合で
定量供給しながらイジェクターで分散させ、カーボンブ
ラックの反応管内での滞留時間を20秒間として酸化反
応させた後、カーボンブラックを同伴する気流を50℃
まで冷却し、捕集バッグで反応後ガスと酸化カーボンブ
ラックを分離した。得られた酸化カーボンブラック1k
gを、図3に示す流動床式の脱離装置にて実施例1と同
様にして窒素酸化物の脱離を行った回収したカーボンブ
ラックは、揮発分:3.6重量%、N2SA:126m2
/g、揮発分/N2SA比:0.29mg/m2、pH
3.2、含有NOx量:31ppmであった。また、こ
のカーボンブラックを分散させたインキの静置流動性は
537mm/時間であった。
【0038】(実施例5)三菱カーボンブラック「#4
7」を母体として用い、実施例1で用いた同伴気流式酸
化反応装置により酸化処理を行った。98%濃硝酸を空
気中に気化させた、硝酸ガス濃度5.0体積%の混気ガ
スを100℃に予熱し、10m/秒の流速の気流として
ガス温度を70℃に制御した反応管内に流通させ、この
気流中にカーボンブラック100重量部に対して硝酸量
15.0重量部となる様、カーボンブラックを260g
/分の割合で定量供給しながらイジェクターで分散さ
せ、カーボンブラックの反応管内での滞留時間を20秒
間として酸化反応させた後、カーボンブラック分散気流
を30℃まで冷却し、捕集バッグで反応後ガスと酸化カ
ーボンブラックを分離した。得られた酸化カーボンブラ
ック1kgを、図3に示す流動床式の脱離装置にて実施
例1と同様にして窒素酸化物の脱離を行った。回収した
カーボンブラックは、揮発分:3.1重量%、N2
A:126m2/g、揮発分/N2SA比:0.25mg
/m2、pH3.3、含有NOx量:27ppmであっ
た。また、このカーボンブラックを分散させたインキの
静置流動性は643mm/時間であった。
【0039】(実施例6)三菱カーボンブラック「#4
7」を母体として用い、実施例1で用いた同伴気流式酸
化反応装置により酸化処理を行った。70%硝酸を空気
中に気化させた、硝酸ガス濃度5.0体積%の混気ガス
を100℃に予熱し、10m/秒の流速の気流としてガ
ス温度を100℃に制御した反応管内に流通させ、この
気流中にカーボンブラック100重量部に対して硝酸量
10.0重量部となる様、カーボンブラックを360g
/分の割合で定量供給しながらイジェクターで分散さ
せ、カーボンブラックの反応管内での滞留時間を20秒
間として酸化反応させた後、カーボンブラック分散気流
を50℃まで冷却し、捕集バッグで反応後ガスと酸化カ
ーボンブラックを分離した。得られた酸化カーボンブラ
ック1kgを、図3に示す流動床式の脱離装置にて実施
例1と同様にして窒素酸化物の脱離を行った。回収した
カーボンブラックは、揮発分:2.7重量%、N2
A:126m2/g、揮発分/N2SA比:0.21mg
/m2、pH3.4、含有NOx量:25ppmであっ
た。また、このカーボンブラックを分散させたインキの
静置流動性は218mm/時間であった。
【0040】(比較例1)三菱カーボンブラック「#2
600」を、実施例1で用いた同伴気流式酸化反応装置
により酸化処理を行った。空気を原料としてオゾン発生
器によりオゾンを発生させたオゾン濃度1.6体積%の
ガスを27℃、10m/秒の流速の気流として反応器内
に流通させ、この気流中にカーボンブラック100重量
部に対してオゾン105重量部となる様、カーボンブラ
ックを10g/分の割合で定量供給しながらイジェクタ
ーで分散させ、カーボンブラックの反応管内での滞留時
間を30秒間として酸化反応させた後、捕集バッグで反
応後ガスを分離し酸化カーボンブラックを回収した。回
収したカーボンブラックは、揮発分:10.2重量%、
2SA:368m2/g、揮発分/N2SA比:0.2
8mg/m2、pH2.3、含有NOx量:106ppm
であった。
【0041】(比較例2)三菱カーボンブラック「#2
600」を、二酸化窒素濃度10.0体積%のガスを1
50℃に予熱し、10m/秒の流速の気流としてガス温
度を150℃に制御した反応管内に流通させ、この気流
中にカーボンブラック100重量部に対して硝酸量22
0重量部となる様、カーボンブラックを20g/分の割
合で定量供給しながらイジェクターで分散させ、カーボ
ンブラックの反応管内での滞留時間を30秒間として酸
化反応させた後、カーボンブラックを同伴する気流を5
0℃まで冷却し、捕集バッグで反応後ガスと酸化カーボ
ンブラックを分離した。得られた酸化カーボンブラック
1kgを、図3に示す流動床式の脱離装置にて実施例1
と同様にして窒素酸化物の脱離を行った。回収したカー
ボンブラックは、揮発分:11.6重量%、N2SA:
407m2/g、揮発分/N2SA:0.29mg/
2、pH2.5、含有NOx量:34ppmであった。
【0042】(比較例3)三菱カーボンブラック「#2
600」500gと70重量%の希硝酸500gとをス
ーパーミキサー中で1000rpmで1分間混合した
後、図3に示す流動床式の脱離装置に全量充填し、15
0℃に予熱した脱離用空気を100L/分で導入しなが
ら、装置内ガス温度を150℃に調整しながら3時間脱
離を行った後、30℃まで冷却し、酸化カーボンブラッ
クを回収した。回収したカーボンブラックは、揮発分:
11.5重量%、N2SA:422m2/g、揮発分/
2SA:0.27mg/m2、pH2.2、含有NOx
量:118ppmで、殆どが硬い粒状になっており造粒
粒子の硬さは35.4g重であった。
【0043】(比較例4)加熱炉内に設置した直径35
0mm長さ400mmの外周部に撹拌翼を取り付けた回
転式キルン内に三菱カーボンブラック「#2600」5
00gを装填し、15rpmで回転させながらキルン内
部温度を150℃±20℃に調節した状態で、70%硝
酸を10g/分の割合で30分間、カーボンブラック1
00重量部に対する硝酸量が40重量部になるまで加圧
式スプレーノズルによりキルン中央部において噴霧し酸
化を行い、その後、空気を200L/分の割合でキルン
内に60分間導入し残存する窒素酸化物の脱離を行っ
た。脱離後加熱炉を停止し、酸化カーボンブラックを回
収した。回収したカーボンブラックは、揮発分:15.
2重量%、N2SA:483m2/g、揮発分/N2
A:0.31mg/m2、pH2.2、含有NOx量:8
6ppmで、一部に硬い粒状のものが存在しており造粒
粒子の硬さは27.2g重であった。
【0044】(比較例5)三菱カーボンブラック「#2
600」を母体として用い、実施例1で用いた同伴気流
式酸化反応装置により酸化処理を行った。98%濃硝酸
を空気中に気化させた、硝酸ガス濃度10.0体積%の
混気ガスを100℃に予熱し、10m/秒の流速の気流
としてガス温度を100℃に制御した反応管内に流通さ
せ、この気流中にカーボンブラック100重量部に対す
る硝酸量が112重量部となる様、カーボンブラックを
64g/分の割合で定量供給しながらイジェクターで分
散させ、カーボンブラックの反応管内での滞留時間を3
0秒間として酸化反応させた後、カーボンブラックを同
伴する気流を50℃まで冷却し、捕集バッグで反応後ガ
スと酸化カーボンブラックを分離した。得られた酸化カ
ーボンブラック1kgを、図3に示す流動床式の脱離装
置にて実施例1と同様にして窒素酸化物の脱離を行っ
た。回収したカーボンブラックは、揮発分:13.1重
量%、N2SA:391m2/g、揮発分/N2SA比:
0.33mg/m2、pH2.3、含有NOx量:78p
pmであった。
【0045】(比較例6)三菱カーボンブラック「#2
600」を母体として用い、実施例1で用いた同伴気流
式酸化反応装置により酸化処理を行った。98%濃硝酸
を空気中に気化させた硝酸ガス濃度10.0体積%の混
気ガスを100℃に予熱し、10m/秒の流速の気流と
してガス温度を100℃に制御した反応管内に流通さ
せ、この気流中にカーボンブラック100重量部に対し
て硝酸量112重量部となる様、カーボンブラックを6
4g/分の割合で定量供給しながらイジェクターで分散
させ、カーボンブラックの反応管内での滞留時間を20
秒間として酸化反応させた後、カーボンブラックを同伴
する気流を50℃まで冷却し、捕集バッグで反応後ガス
と酸化カーボンブラックを分離した。得られた酸化カー
ボンブラック1kgを、図3に示す流動床式の脱離装置
にて実施例1と同様にして窒素酸化物の脱離を行った。
回収したカーボンブラックは、揮発分:13.0重量
%、N2SA:389m2/g、揮発分/N2SA:0.
33mg/m2、pH2.2、含有NOx量:93ppm
であった。
【0046】(比較例7)三菱カーボンブラック「#4
7」を母体として用い、実施例1で用いた同伴気流式酸
化反応装置により酸化処理を行った。98%濃硝酸を空
気中に気化させた、硝酸ガス濃度5.0体積%の混気ガ
スを150℃に予熱し、10m/秒の流速の気流として
ガス温度を150℃に制御した反応管内に流通させ、こ
の気流中にカーボンブラック100重量部に対して硝酸
量15.0重量部となる様、カーボンブラックを260
g/分の割合で定量供給しながらイジェクターで分散さ
せ、カーボンブラックの反応管内での滞留時間を20秒
間として酸化反応させた後、カーボンブラックを同伴す
る気流を50℃まで冷却し、捕集バッグで反応後ガスと
酸化カーボンブラックを分離した。得られた酸化カーボ
ンブラック1kgを、図3に示す流動床式の脱離装置に
て実施例1と同様にして窒素酸化物の脱離を行った。回
収したカーボンブラックは、揮発分:3.4重量%、N
2SA:138m2/g、揮発分/N2SA:0.25m
g/m2、pH3.3、含有NOx量:28ppmであっ
た。また、このカーボンブラックを分散させたインキの
静置流動性は85mm/時間であった。
【0047】(比較例8)三菱カーボンブラック「#4
7」を母体として用い、実施例1で用いた同伴気流式酸
化反応装置により酸化処理を行った。二酸化窒素濃度1
0.0体積%の混気ガスを100℃に予熱し、10m/
秒の流速の気流としてガス温度を100℃に制御した反
応管内に流通させ、この気流中にカーボンブラック10
0重量部に対して硝酸量110重量部となる様、カーボ
ンブラックを40g/分の割合で定量供給しながらイジ
ェクターで分散させ、カーボンブラックの反応管内での
滞留時間を30秒間として酸化反応させた後、カーボン
ブラックを同伴する気流を50℃まで冷却し、捕集バッ
グで反応後ガスと酸化カーボンブラックを分離した。得
られた酸化カーボンブラック1kgを、図3に示す流動
床式の脱離装置にて実施例1と同様にして窒素酸化物の
脱離を行った。回収したカーボンブラックは、揮発分:
3.0重量%、N2SA:141m2/g、揮発分/N2
SA比:0.21mg/m2、pH3.4、含有NO
x量:27ppmであった。また、このカーボンブラッ
クを分散させたインキの静置流動性は12mm/時間で
あった。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】以上の実施例及び製造例からわかるよう
に、ガス状の硝酸を含有する混合ガス気流中にカーボン
ブラックを分散させて気流のエネルギーによりカーボン
ブラックを分散させた状態で硝酸ガスと接触させて酸化
処理を行うことにより、カーボンブラックが固結して硬
い粒状となる問題を解決することができ、短時間で非常
に効率的に酸化処理を行うことができ、しかも得られた
酸化カーボンブラックは、単位表面積当たり、より多く
の揮発分を付与されることが可能であることがわかる。
【0052】また、反応領域の温度を100℃として酸
化反応を行った実施例5、6ではインキの静置流動性が
各々643mm/時間、218mm/時間であり、同等
の条件で反応領域の温度を150℃として酸化反応を行
った比較例7でインキの静置流動性が85mm/時間で
あるのと比べて大幅に向上している。このことからも、
インキの静置流動性が高いものが望まれる、粘調なワニ
スに5wt%を超える高配分でカーボンブラックを分散
させる用途に対しては本発明において50〜130℃で
酸化処理を行うのが望ましいことがわかる。
【0053】一方、反応領域の温度を150℃として酸
化反応を行った実施例2、3では揮発分/N2SA比が
0.51mg/m2、0.42mg/m2と、同等の条件
で反応領域の温度を100℃として酸化反応を行った比
較例5、6では揮発分/N2SA比が0.33mg/
2、0.33mg/m2であるのと比べて大幅に向上し
ている。このことから、特に光学適性及び分散性を向上
させるべく単位面積当たりの揮発分のより多く付与され
た酸化カーボンブラックを得るには、本発明において1
20〜200℃で酸化処理を行うのが望ましいことがわ
かる。
【0054】
【発明の効果】本発明により、固結を防止でき、また同
時に非常に効率的に広範囲の分散系においてより漆黒性
の高い酸化カーボンブラックの製造を行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いることのできる同伴気流式酸化装
置の一例を示す概略図
【図2】本発明で用いることのできるカーボンブラック
分散/供給装置の一例を示す概略図
【図3】本発明で用いることのできる脱離装置の一例を
示す概略図
【符号の説明】
34 ヒーター 30 カーボンブラック供給/分散装置 311 ホッパー 312 インバーター制御ロータリーバルブからなる定
量供給器 313 イジェクター 314 ガス噴出ノズル 390 外部に加熱ヒーターを有する円筒部(390) 393 円筒部の下部全面に設置された入口フィルター 394 出口フィルター 395 ガス排出口

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硝酸を含む気流中でカーボンブラックを
    分散させた状態で、カーボンブラックと硝酸ガスと接触
    混合させることを特徴とする酸性カーボンブラックの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 硝酸ガスを含む気流の温度を50℃から
    200℃に保つことを特徴とする請求項1の酸性カーボ
    ンブラックの製造方法。
  3. 【請求項3】 硝酸ガスを含む気流の温度を120℃か
    ら200℃に保つことを特徴とする請求項1の酸性カー
    ボンブラックの製造方法。
  4. 【請求項4】 硝酸ガスを含む気流の温度を50℃から
    130℃に保つことを特徴とする請求項1の酸性カーボ
    ンブラックの製造方法。
  5. 【請求項5】 硝酸ガスを含む気流とカーボンブラック
    との接触時間を10から600秒間とすることを特徴と
    する請求項1〜4のいずれかの酸性カーボンブラックの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかの製造方法で得
    られた酸性カーボンブラックと窒素酸化物含有ガスとを
    分離し、次いで、該酸性カーボンブラックに吸着された
    窒素酸化物を100℃から200℃で脱離させることを
    特徴する酸性カーボンブラックの回収方法。
  7. 【請求項7】 酸性カーボンブラックと窒素酸化物を分
    離する方法としてバッグ式フィルターを用いることを特
    徴とする請求項6の酸性カーボンブラックの回収方法。
  8. 【請求項8】 バッグ式フィルターの温度を120℃以
    下に保つことを特徴とする請求項7の酸性カーボンブラ
    ックの回収方法。
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