JP2004075606A - 3級炭素塩素化炭化水素の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】次亜塩素酸を用いてジクミルクロライド等の塩素化炭化水素化合物を製造するにあたっては、最終的な純度を上げるために晶析等の操作を必要としたり、それに伴う収率低下の問題がある。
【解決手段】次亜塩素酸金属塩水溶液およびプロトン酸との反応により製造される塩素化炭化水素化合物の混合物を精製するために、アルカリ水溶液によりアルコール化合物に変換した後、固液分離により精製する。その後得られた固形物を塩酸水により再び塩素化することにより、純度が高く、高収率で塩素化炭化水素化合物を得ることができる。
【選択図】 なし。
【解決手段】次亜塩素酸金属塩水溶液およびプロトン酸との反応により製造される塩素化炭化水素化合物の混合物を精製するために、アルカリ水溶液によりアルコール化合物に変換した後、固液分離により精製する。その後得られた固形物を塩酸水により再び塩素化することにより、純度が高く、高収率で塩素化炭化水素化合物を得ることができる。
【選択図】 なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塩素化炭化水素化合物を得る方法に関する。さらに具体的にいえば、次亜塩素酸化合物を用いて炭化水素化合物の3級炭素を選択的に塩素化する方法に関するものである。ここで合成される3級炭素の塩素化された化合物は、塩素置換基の反応活性を利用して各種の合成反応試薬として有用である。たとえば1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン〔1,4−ジクミルクロライド、p−Cl(CH3)2CC6H4C(CH3)2Cl〕のような芳香族置換塩素化炭化水素は末端官能性ポリイソブチレン、あるいはポリイソブチレンをブロック成分とするブロック共重合体、例えばスチレン−イソブチレン−スチレン共重合体等を製造する際のカチオン重合開始剤として用いられることが知られている〔米国特許第4276394号明細書,USP5527870(Maeda et al.1994)〕。
【0002】
【従来の技術】
このような開始剤の合成法としては、1,4−ジイソプロピルベンゼンを原料として用いる以下の方法が知られている。
【0003】
ひとつは脱水素反応によって1,4−ジイソプロペニルベンゼン(CH2=(CH3)CC6H4C(CH3)=CH2)を合成し(米国特許第3429941号明細書)、これに塩化水素を付加する反応(O.Nuyken et al.,Makromol.Chem.,186,173(1985))である。もうひとつは空気酸化によって1,4−ビス(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ベンゼン(1,4−HO(CH3)2CC6H4C(CH3)2OH)を合成し(例えば特開昭60−174737)、これに塩化水素を作用させる反応(V.S.C.Chang etal.,Polymer Bulletin,4,513(1981))が知られている。
【0004】
以上の合成では2段階以上の反応操作を必要とするので、1段階で目的の1,4−ジクミルクロライドを合成する方法としては1,4−ジイソプロピルベンゼン(1,4−H(CH3)2CC6H4C(CH3)2H)に太陽光照射下、塩素ガスを作用する反応(M.S.Kharashch et al.,J.Am.Chem.Soc.,61,2142(1939))が報告されている。光照射による反応では塩素置換部位の選択性を制御することが課題である。
【0005】
これに対して、1,4−ジイソプロピルベンゼンのベンジル位を塩素化して1,4−ジクミルクロライドを得る方法として、相関移動触媒存在下(Bu4N(HSO4))、次亜塩素酸ソーダを作用させる方法が報告されている(H.E.Fonouni et al.,J.Am.Chem.Soc,1983,105,7672)。しかしながら、この方法においては高価な相関移動触媒を使用しており、工業的に有利な反応とは言い難い。相間移動触媒を使用せずに次亜塩素酸によって塩素化する方法についても報告されている(F.Minisci et al.,Chim.Ind.,70,52(1988);特開平09−143106)。次亜塩素酸を用いて1,4−ジイソプロピルベンゼンの3級炭素を塩素化し、1,4−ジクミルクロライドを得る方法は、1段階であり光塩素化に比べ選択性も高く有効である。しかしながら、次亜塩素酸は非常に不安定な物質であり、常に同じ濃度の次亜塩素酸を調製しこれを保存することは困難である。したがって、原料に対して一定量の仕込み量を設定した場合、当量関係が同じにならないため安定した反応収率・選択性および製品品質を得ることは難しい。
【0006】
次亜塩素酸を用いて1,4−ジクミルクロライドを製造することについては、特開平9−143106にも開示されているが、上記の問題点が解決されていないため、特開平9−143106も工業化に適した製造方法を提供するものとはいえない。
【0007】
特開2000−63303も同様に次亜塩素酸を用いた1,4−ジクミルクロライドの製造方法であるが、純度アップのために、冷凍機電気代が高コストとなる晶析操作等を必要としていたり、それに伴う収率低下は避けられなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
次亜塩素酸化合物を用いて塩素化反応を行った場合、効率的に行ったとしても、高選択的に望みの部位のみに塩素を導入するには限界があり、引き続き行われる晶析等の高純度化操作によっても収率は低下し、工業的に安定した反応収率・選択性および製品品質を得ることが困難である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、次亜塩素酸を用いた塩素化炭化水素化合物の純度を高め、収率を上げることである。本発明者らはこれらの問題点を詳細に解明し解決する方法について鋭意検討した結果、反応生成物を一旦アルカリ下で加水分解して目的成分をアルコール化合物として選択的に固体とし、純度を高める方法を見い出し、本発明に到った。
【0010】
すなわち本発明は、一般式(1):
CnR1 mHk(CHR2R3)j(1)
[式中、nは1〜12の整数で、m、kはそれぞれ0〜25の整数であり、jは1〜10の整数である。R1は塩素、臭素、ヨウ素、酸素、窒素、イオウ、及びリンからなる群より選ばれる原子を表し、mが2以上の場合R1は同じでもそれぞれ異なっていてもよい。またCnR1 mHkで表されるj価の基は、第三級炭素原子−水素結合を有さない。R2、R3はそれぞれ炭素数1〜5の脂肪族飽和炭化水素基又はその水素原子の一部をハロゲン原子で置換した基を表し、第三級炭素原子−水素結合を有さないものである。]で表される化合物を次亜塩素酸金属塩水溶液およびプロトン酸との反応により製造される、一般式(2):
CnR1 mHk(CR2R3Cl)j(2)
[式中、m、n、k、j、R1、R2、R3は上記と同じ]で表される塩素化炭化水素化合物を含む混合物を精製するために、該混合物を、アルカリ水溶液と混合して、一般式(3):
CnR1 mHk(CR2R3OH)j(3)
[式中、m、n、k、j、R1、R2、R3は上記と同じ]で表される化合物に変換し、固液分離により固形物として分離し、その固形物に塩酸水を添加して精製された一般式(2)で表される化合物を得ることを特徴とする塩素化炭化水素化合物の製造方法に関する。
【0011】
さらには、上記工程に引き続いて、油水分離した有機層に、塩化水素ガスを接触させることを特徴とする塩素化炭化水素化合物の製造方法に関する。
【0012】
好ましい実施態様としては、一般式(1)で表される化合物が、イソプロピル置換基を有する芳香族炭化水素であることを特徴とする製造方法に関する。
【0013】
好ましい実施態様としては、前記次亜塩素酸金属塩が、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸バリウム、次亜塩素酸銅、及び次亜塩素酸第二銅からなる群より選ばれることを特徴とする製造方法に関する。
【0014】
好ましい実施態様としては、前記プロトン酸が塩酸、硫酸、および酢酸からなる群より選ばれることを特徴とする製造方法に関する。
【0015】
好ましい実施態様としては、前記アルカリ水溶液が、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水溶液であることを特徴とする製造方法に関する。
【0016】
好ましい実施態様としては、前記一般式(1)から一般式(2)を製造する際に、ハロゲン化有機溶剤を使用することを特徴とする製造方法に関する。
【0017】
好ましい実施態様としては、前記一般式(1)から一般式(2)を製造する際に、ハロゲン化有機溶剤として、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、エチルクロライド、エチレンジクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、1−トリクロロ−2−トリフルオロエタン、及びトリフルオロメチルベンゼンからなる群より選ばれる有機溶剤を使用することを特徴とする製造方法に関する。
【0018】
好ましい実施態様としては、前記アルカリ水溶液を混合し、一般式(3)を製造、固液分離する工程において、芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素系有機溶剤を使用し、さらに固形物の洗浄に使用することを特徴とする製造方法に関する。
【0019】
好ましい実施態様としては、前記アルカリ水溶液を混合し、一般式(3)を製造、固液分離する工程において、芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素系有機溶剤として、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、及びキシレンからなる群より選ばれる有機溶剤を使用することを特徴とする製造方法に関する。
【0020】
好ましい実施態様としては、前記一般式(3)から一般式(2)を製造する際に、炭化水素系有機溶剤またはハロゲン化有機溶剤を使用することを特徴とする製造方法に関する。
【0021】
好ましい実施態様としては、前記一般式(3)から一般式(2)を製造する際に使用する炭化水素系有機溶剤またはハロゲン化有機溶剤が、ヘキサン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、ブチルクロライド、及びエチルクロライドからなる群より選ばれることを特徴とする製造方法に関する。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明において原料として用いる炭化水素化合物としては、一般式(1):
CnR1 mHk(CHR2R3)j (1)
[式中、nは1〜12の整数で、m、kはそれぞれ0〜25の整数であり、jは1〜10の整数である。R1は塩素、臭素、ヨウ素、酸素、窒素、イオウ、及びリンからなる群より選ばれる原子を表し、mが2以上の場合R1は同じでもそれぞれ異なっていてもよい。またCnR1 mHkで表されるj価の基は、第三級炭素原子−水素結合を有さない。R2、R3はそれぞれ炭素数1〜5の脂肪族飽和炭化水素基又はその水素原子の一部をハロゲン原子で置換した基を表し、第三級炭素原子−水素結合を有さないものである。]で表される化合物が使用できる。式中のR2、R3としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基などの炭化水素基、又はこれらの基の炭素原子上に塩素原子等の置換基を有するものが好ましく、その中でも両方がメチル基であるイソプロピル置換基が特に好ましい。
【0023】
さらに一般式(4):
C6H6−z(CHR4R5)z (4)
[式中、zは1〜4の整数で、R4、R5は炭素数1〜5の脂肪族飽和炭化水素基で、第三級炭素原子−水素結合を有さないものである。]で表される化合物が好ましく使用できる。R4、R5としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基などの炭化水素基が好ましく、その中でも両方がメチル基であるイソプロピル置換基が特に好ましい。
【0024】
本発明において一般式(1)で表される化合物としては、例えば以下のものを好ましく例示することができる。
【0025】
【化1】
【0026】
本発明によって得られる塩素化炭化水素化合物としては、一般式(2):
CnR1 mHk(CR2R3Cl)j(2)
[式中、m、n、k、j、R1、R2、R3は上記と同じ]で表され、具体的化合物としては、以下のものを好ましく例示することができる。
【0027】
【化2】
【0028】
本発明で用いる次亜塩素酸金属塩としては、特に限定されないが、例えば次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸バリウム、次亜塩素酸銅、及び次亜塩素酸第二銅があげられる。なかでも工業的な入手の容易さや取り扱いの簡便さおよび反応収率・選択性が良好である点から、次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。 次亜塩素酸金属塩水溶液の濃度は特に限定されるものではないが、反応の収率・選択性が良好である点から0.7mol/kg以上が好ましい。入手した次亜塩素酸ナトリウムの濃度が0.7mol/kg以上である場合には、水で希釈して使用することができる。この場合の水は、水道水、イオン交換水、蒸留水等を示すが、場合によってはNaCl、KCl等の金属塩を含有していてもよい。
【0029】
本発明において用いる次亜塩素酸金属塩水溶液の量は、含塩素量が理論量に対して当量以上であれば特に制限されるものではないが、大過剰の次亜塩素酸金属塩水溶液を用いた際には副反応が進行し、目的化合物の純度の低下を招くことも考えられる。このことから、効率良く高純度で目的物を得るために、理論量に対して1.0〜10倍モルであることが好ましく、特に1.0〜5倍モルが好ましい。
【0030】
本発明において用いるプロトン酸の例としては、特に限定されないが、例えば塩酸、硫酸、硝酸、及び酢酸を挙げることができる。なかでも反応収率・選択性が良好である点から、塩酸が好ましい。プロトン酸の添加方法に関しては、連続添加あるいは何回かに分けて添加することが好ましいが、一括添加も可能である。連続添加する場合、添加時間は0.5〜15分が好ましく、特に1〜5分が好ましい。用いるプロトン酸の量に関しては、反応系中の水層のpHが好ましくは4〜9さらに好ましくは5〜7の範囲に調整される量であればよい。また、用いるプロトン酸の濃度に関しては特に限定されるものではないが、品質、反応時間、工業化を考えた時の反応槽の容量等の観点から、比較的高濃度であることが好ましく、35wt%以上の濃塩酸が特に好ましい。
【0031】
本発明において、一般式(1)から一般式(2)への塩素化反応は、無溶媒中で行うことも可能であるが、有機溶剤を用いて、原料を希釈した状態で反応することが好ましい。有機溶剤としては、特に限定はないが、塩素化反応で変質されにくく、添加効果の持続が期待できるハロゲン化有機溶剤が好ましく、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、エチルクロライド、エチレンジクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、1−トリクロロ−2−トリフルオロエタン、及びトリフルオロメチルベンゼンが好ましく用いられ、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、エチルクロライド、が特に好ましく用いられる。
【0032】
この塩素化反応の温度は特に制限されるものでは無いが、次亜塩素酸が比較的不安定であるため、低温で反応を行うことが好ましく、−15℃〜40℃で反応を行うことが好ましい。さらに好ましくは、−5℃〜25℃である。反応温度が40℃より高いと次亜塩素酸の分解が加速され、反応途中で濃度がほとんどゼロになってしまう。また、−15℃より低いと氷結しやすく好ましくない。次亜塩素酸の分解は危険な塩素ガスの発生を伴うため、安全上からも上記の温度範囲で反応を行うことが好ましい。
【0033】
塩素化反応終了後の一般式(2)で表される塩素化炭化水素化合物を含む混合物は、塩素化反応による副生成物等の不純物を多く含有しているため、目的とする塩素化炭化水素の純度は低い。そこで副生成物等の不純物を効率よく取り除くため、該混合物を、アルカリ水溶液と混合して、一般式(3):
CnR1 mHk(CR2R3OH)j(3)
[式中、m、n、k、j、R1、R2、R3は上記と同じ]で表される化合物に変換し、固液分離により固形物として分離し、精製する。
【0034】
本発明に使用されるアルカリ水溶液としては、特に限定されるものではないが、金属水酸化物の水溶液が好ましく、取り扱い易く入手が容易であることから水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液が特に好ましい。水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムは、固体をそのまま用いることもできる。
【0035】
アルカリ水溶液によるアルコール化の反応は無溶媒中、あるいは先の反応に使用した有機溶剤をそのままにして行うことも可能であるが、さらに有機溶剤を用いて、原料を希釈した状態で反応することが好ましい。有機溶剤としては、特に限定はないが、反応選択性が高い点、および固液分離して有機溶剤洗浄により精製する工程において、目的化合物である一般式(3)で表されるアルコール化合物の溶解性が低く、不純物の溶解性が高い、芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素系有機溶剤を好ましく使用することができる。その中でもペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、及びキシレンが好ましく、さらにはヘキサンが特に好ましく用いられる。有機溶剤の添加量は先の反応に使用した有機溶剤を含む元の有機層に対して10〜200重量部が好ましく、50〜100重量部が特に好ましい。
【0036】
アルカリ水溶液によるアルコール化の反応の温度は特に制限されるものでは無いが、40℃〜100℃で反応を行うことが好ましく、反応速度と反応選択性の観点から50℃〜80℃が特に好ましい。反応温度が低いと目的とする一般式(3)の収率確保に多大な時間を必要とし、逆に反応温度が高い場合は、アルカリ水溶液下での反応容器材質への影響の点で好ましくない。
【0037】
本発明に使用されるアルカリ水溶液のアルカリ濃度は、たとえば、水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液を用いる場合、0.1〜10wt%が好ましく、1〜5wt%がさらに好ましい。濃度が薄いと必要とする液量が多くなり、反応器の容量の観点で好ましくない。濃度が濃い場合は反応容器材質への影響の観点や、反応選択性低下の観点で好ましくない。反応容器としては、品質劣化を避けるため、グラスライニングやテフロン(登録商標)ライニング製の容器を用いることが好ましい。
【0038】
また、一度に多量のアルカリ水溶液を仕込む代わりに、2回以上に分けて添加することもできる。これにより、一度に高濃度のアルカリを添加することを避け、低濃度ながら必要当量以上のアルカリを添加することが可能になる。
【0039】
一般式(3)で表されるアルコール化合物の固液分離では、遠心分離やろ布を用いた加圧ろ過等の一般的な固液分離法が実施可能である。固体に付着する不純物としての液を低減させるため、遠心力の増大やろ過時間の確保、窒素等のガス通気による液切り等を実施することが有効である。さらに、固体に付着する不純物を低減させるために、固液分離と有機溶剤や純水の添加を繰り返すことが有効である。添加する有機溶剤としては、一般式(3)で表されるアルコール化合物に対する溶解度の低い有機溶剤が好ましく、先に示したアルコール化に使用される芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素系有機溶剤が使用でき、トルエンやヘキサンが特に好ましい。有機溶剤添加時には、可能なら、攪拌や液混合を実施することも有効である。
【0040】
上記固液分離、精製された一般式(3)で表されるアルコール化合物の固形物に塩酸水を添加して、本発明の目的物である純度の高い一般式(2)で表される塩素化炭化水素化合物を得る。
【0041】
本最終の塩素化反応の反応温度は、反応速度や品質の点で−10〜40℃が好ましく、0〜30℃が特に好ましい。40℃以上では品質の劣化が生じやすくなる。本反応は無溶媒中で行うことも可能であるが、有機溶剤を用いて、原料を希釈した状態で反応することが好ましい。有機溶剤としては、炭化水素系有機溶剤またはハロゲン化有機溶剤が好ましく用いられる。本発明の塩素化炭化水素化合物を合成反応、特にカチオン重合の開始剤に使用する場合、その重合に使用される有機溶剤を用いることにより、有機溶剤の除去等の手間を省くことができるため特に好ましく、ヘキサン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、ブチルクロライド、及びエチルクロライドが挙げられる。有機溶剤の添加量は、一般式(2)が溶解する量であれば特に制限はない。
【0042】
上記反応により得られた一般式(2)で表される塩素化炭化水素化合物は、そのままでも純度が高く使用することができるが、必要に応じてさらに純度を上げたい場合には、引き続いて、油水分離を行い塩酸水溶液を分離し、該化合物を含有する有機層の気相部、又は液中に塩素ガスを導入、接触させ純度を上げることができる。塩化水素ガスを接触させる時には、有機層を攪拌することが好ましい。さらに、有機層中へ塩化水素ガスをバブリングしながら攪拌する方法が好ましい。
【0043】
塩化水素ガスと接触させる場合の反応温度は、反応速度や品質の点で−10〜40℃が好ましく、0〜30℃が特に好ましい。40℃以上では反応進行が著しく低下する。
【0044】
本発明によって得られた一般式(2)で表される塩素化炭化水素化合物は、塩素置換基の反応活性を利用して各種の合成反応試薬として使用される。特に本発明によって高純度の塩素化炭化水素化合物が得られるため、末端が制御されたポリイソブチレン、あるいはポリイソブチレンをブロック成分とする各種のブロック共重合体、例えばスチレン−イソブチレン−スチレン共重合体等の開始剤として好適に使用される。
【0045】
【実施例】
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。
【0046】
(実施例1)
温度計、バッフル、撹拌機を備えた内容積0.002m3ガラス製セパラブルフラスコに1,4−ジイソプロピルベンゼン(0.045kg)、モノクロロベンゼン(0.03kg)、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(1.2kg,0.9mol/kg)を加え、撹拌しながら氷浴で冷却しておく。続いて滴下ロートにより濃塩酸(0.08kg,35wt%)を3分かけてゆっくりと液中に添加した後、さらに60分撹拌した。反応終了後、有機層と水層を静置分離により分液し、有機層に濃塩酸(0.03kg、35wt%)を加え約5分間激しく撹拌することにより有機層中に微分散している次亜塩素酸の失活を行った。有機層を分液し、モノクロロベンゼン溶液として反応生成物を得た。生成物中の1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンの収率については、ガスクロマトグラフィ(以下、GCと略記)分析により求めた(収率60.0%)。
【0047】
洗浄した同一容器に、分液したモノクロロベンゼン溶液とヘキサン0.04kgおよび2wt%水酸化ナトリウム水溶液を1kg加え、60℃で5時間攪拌し続けたところ、水層は最後までアルカリ性を示し、この加水分解反応による1,4−ビス(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ベンゼンの選択性は約90%であった。
【0048】
さらに、固形分をヘキサンと純水で洗浄後、35wt%濃塩酸0.3kgとトルエン0.05kg存在下で攪拌して1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンを得た。NMRによる純度は95%、最終収率は45%であった。
【0049】
(実施例2)
アルコール化の反応での反応温度を50℃にし、反応時間を8時間にした以外は、実施例1と同様に行った。アルコール化の反応による1,4−ビス(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ベンゼンの選択性は約90%であった。それ以降も実施例1と同様に行った結果、最終的に得た1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンのNMRによる純度は95%、最終収率は45%であった。
【0050】
(実施例3)
アルコール化の反応で、最初に添加する水酸化ナトリウム水溶液の濃度を1wt%にし、水層pHが酸性を示したのを確認した後に、25wt%水酸化ナトリウム水溶液0.04kgを添加した以外は、実施例1と同様に行った。アルコール化の反応による1,4−ビス(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ベンゼンの選択性は約90%であった。それ以降も実施例1と同様に行った結果、最終的に得た1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンのNMRによる純度は95%、最終収率は45%であった。
【0051】
(実施例4)
アルコール化の反応での添加有機溶剤および生成固形物の洗浄有機溶剤を、ヘキサンの代わりにトルエンにし、反応温度を75℃にした以外は実施例1と同様に行った。アルコール化の反応による1、4−ビス(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ベンゼンの選択性は約70%であった。
【0052】
1、4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンのNMRによる純度は95%、最終収率は35%であった。
【0053】
(実施例5)
実施例1に引き続き、最終的に得た1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンのトルエン溶液に25℃で1.5時間マグネチックスターラーで撹拌しながら塩化水素ガスをバブリングした結果、最終的に得た1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンのNMRによる純度は99.5%、最終収率は約50%であった。
【0054】
(実施例6)
実施例1に引き続き、最終的に得た1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンのトルエン溶液に5℃で1.5時間塩化水素ガスをバブリングした結果、最終的に得た1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンのNMRによる純度は99.0%、最終収率は約50%であった。
【0055】
(比較例1)
実施例1において、ヘキサンと2wt%水酸化ナトリウム水溶液を添加する代わりに、ヘキサンを添加して冷却晶析を行ったところ、得られた乾燥結晶中の1、4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンのNMRによる純度は90%、最終収率は30%であった。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、一般式(2)で表される塩素化炭化水素化合物を高純度かつ高収率で効率良く得ることができる。
【発明の属する技術分野】本発明は塩素化炭化水素化合物を得る方法に関する。さらに具体的にいえば、次亜塩素酸化合物を用いて炭化水素化合物の3級炭素を選択的に塩素化する方法に関するものである。ここで合成される3級炭素の塩素化された化合物は、塩素置換基の反応活性を利用して各種の合成反応試薬として有用である。たとえば1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン〔1,4−ジクミルクロライド、p−Cl(CH3)2CC6H4C(CH3)2Cl〕のような芳香族置換塩素化炭化水素は末端官能性ポリイソブチレン、あるいはポリイソブチレンをブロック成分とするブロック共重合体、例えばスチレン−イソブチレン−スチレン共重合体等を製造する際のカチオン重合開始剤として用いられることが知られている〔米国特許第4276394号明細書,USP5527870(Maeda et al.1994)〕。
【0002】
【従来の技術】
このような開始剤の合成法としては、1,4−ジイソプロピルベンゼンを原料として用いる以下の方法が知られている。
【0003】
ひとつは脱水素反応によって1,4−ジイソプロペニルベンゼン(CH2=(CH3)CC6H4C(CH3)=CH2)を合成し(米国特許第3429941号明細書)、これに塩化水素を付加する反応(O.Nuyken et al.,Makromol.Chem.,186,173(1985))である。もうひとつは空気酸化によって1,4−ビス(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ベンゼン(1,4−HO(CH3)2CC6H4C(CH3)2OH)を合成し(例えば特開昭60−174737)、これに塩化水素を作用させる反応(V.S.C.Chang etal.,Polymer Bulletin,4,513(1981))が知られている。
【0004】
以上の合成では2段階以上の反応操作を必要とするので、1段階で目的の1,4−ジクミルクロライドを合成する方法としては1,4−ジイソプロピルベンゼン(1,4−H(CH3)2CC6H4C(CH3)2H)に太陽光照射下、塩素ガスを作用する反応(M.S.Kharashch et al.,J.Am.Chem.Soc.,61,2142(1939))が報告されている。光照射による反応では塩素置換部位の選択性を制御することが課題である。
【0005】
これに対して、1,4−ジイソプロピルベンゼンのベンジル位を塩素化して1,4−ジクミルクロライドを得る方法として、相関移動触媒存在下(Bu4N(HSO4))、次亜塩素酸ソーダを作用させる方法が報告されている(H.E.Fonouni et al.,J.Am.Chem.Soc,1983,105,7672)。しかしながら、この方法においては高価な相関移動触媒を使用しており、工業的に有利な反応とは言い難い。相間移動触媒を使用せずに次亜塩素酸によって塩素化する方法についても報告されている(F.Minisci et al.,Chim.Ind.,70,52(1988);特開平09−143106)。次亜塩素酸を用いて1,4−ジイソプロピルベンゼンの3級炭素を塩素化し、1,4−ジクミルクロライドを得る方法は、1段階であり光塩素化に比べ選択性も高く有効である。しかしながら、次亜塩素酸は非常に不安定な物質であり、常に同じ濃度の次亜塩素酸を調製しこれを保存することは困難である。したがって、原料に対して一定量の仕込み量を設定した場合、当量関係が同じにならないため安定した反応収率・選択性および製品品質を得ることは難しい。
【0006】
次亜塩素酸を用いて1,4−ジクミルクロライドを製造することについては、特開平9−143106にも開示されているが、上記の問題点が解決されていないため、特開平9−143106も工業化に適した製造方法を提供するものとはいえない。
【0007】
特開2000−63303も同様に次亜塩素酸を用いた1,4−ジクミルクロライドの製造方法であるが、純度アップのために、冷凍機電気代が高コストとなる晶析操作等を必要としていたり、それに伴う収率低下は避けられなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
次亜塩素酸化合物を用いて塩素化反応を行った場合、効率的に行ったとしても、高選択的に望みの部位のみに塩素を導入するには限界があり、引き続き行われる晶析等の高純度化操作によっても収率は低下し、工業的に安定した反応収率・選択性および製品品質を得ることが困難である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、次亜塩素酸を用いた塩素化炭化水素化合物の純度を高め、収率を上げることである。本発明者らはこれらの問題点を詳細に解明し解決する方法について鋭意検討した結果、反応生成物を一旦アルカリ下で加水分解して目的成分をアルコール化合物として選択的に固体とし、純度を高める方法を見い出し、本発明に到った。
【0010】
すなわち本発明は、一般式(1):
CnR1 mHk(CHR2R3)j(1)
[式中、nは1〜12の整数で、m、kはそれぞれ0〜25の整数であり、jは1〜10の整数である。R1は塩素、臭素、ヨウ素、酸素、窒素、イオウ、及びリンからなる群より選ばれる原子を表し、mが2以上の場合R1は同じでもそれぞれ異なっていてもよい。またCnR1 mHkで表されるj価の基は、第三級炭素原子−水素結合を有さない。R2、R3はそれぞれ炭素数1〜5の脂肪族飽和炭化水素基又はその水素原子の一部をハロゲン原子で置換した基を表し、第三級炭素原子−水素結合を有さないものである。]で表される化合物を次亜塩素酸金属塩水溶液およびプロトン酸との反応により製造される、一般式(2):
CnR1 mHk(CR2R3Cl)j(2)
[式中、m、n、k、j、R1、R2、R3は上記と同じ]で表される塩素化炭化水素化合物を含む混合物を精製するために、該混合物を、アルカリ水溶液と混合して、一般式(3):
CnR1 mHk(CR2R3OH)j(3)
[式中、m、n、k、j、R1、R2、R3は上記と同じ]で表される化合物に変換し、固液分離により固形物として分離し、その固形物に塩酸水を添加して精製された一般式(2)で表される化合物を得ることを特徴とする塩素化炭化水素化合物の製造方法に関する。
【0011】
さらには、上記工程に引き続いて、油水分離した有機層に、塩化水素ガスを接触させることを特徴とする塩素化炭化水素化合物の製造方法に関する。
【0012】
好ましい実施態様としては、一般式(1)で表される化合物が、イソプロピル置換基を有する芳香族炭化水素であることを特徴とする製造方法に関する。
【0013】
好ましい実施態様としては、前記次亜塩素酸金属塩が、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸バリウム、次亜塩素酸銅、及び次亜塩素酸第二銅からなる群より選ばれることを特徴とする製造方法に関する。
【0014】
好ましい実施態様としては、前記プロトン酸が塩酸、硫酸、および酢酸からなる群より選ばれることを特徴とする製造方法に関する。
【0015】
好ましい実施態様としては、前記アルカリ水溶液が、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水溶液であることを特徴とする製造方法に関する。
【0016】
好ましい実施態様としては、前記一般式(1)から一般式(2)を製造する際に、ハロゲン化有機溶剤を使用することを特徴とする製造方法に関する。
【0017】
好ましい実施態様としては、前記一般式(1)から一般式(2)を製造する際に、ハロゲン化有機溶剤として、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、エチルクロライド、エチレンジクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、1−トリクロロ−2−トリフルオロエタン、及びトリフルオロメチルベンゼンからなる群より選ばれる有機溶剤を使用することを特徴とする製造方法に関する。
【0018】
好ましい実施態様としては、前記アルカリ水溶液を混合し、一般式(3)を製造、固液分離する工程において、芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素系有機溶剤を使用し、さらに固形物の洗浄に使用することを特徴とする製造方法に関する。
【0019】
好ましい実施態様としては、前記アルカリ水溶液を混合し、一般式(3)を製造、固液分離する工程において、芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素系有機溶剤として、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、及びキシレンからなる群より選ばれる有機溶剤を使用することを特徴とする製造方法に関する。
【0020】
好ましい実施態様としては、前記一般式(3)から一般式(2)を製造する際に、炭化水素系有機溶剤またはハロゲン化有機溶剤を使用することを特徴とする製造方法に関する。
【0021】
好ましい実施態様としては、前記一般式(3)から一般式(2)を製造する際に使用する炭化水素系有機溶剤またはハロゲン化有機溶剤が、ヘキサン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、ブチルクロライド、及びエチルクロライドからなる群より選ばれることを特徴とする製造方法に関する。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明において原料として用いる炭化水素化合物としては、一般式(1):
CnR1 mHk(CHR2R3)j (1)
[式中、nは1〜12の整数で、m、kはそれぞれ0〜25の整数であり、jは1〜10の整数である。R1は塩素、臭素、ヨウ素、酸素、窒素、イオウ、及びリンからなる群より選ばれる原子を表し、mが2以上の場合R1は同じでもそれぞれ異なっていてもよい。またCnR1 mHkで表されるj価の基は、第三級炭素原子−水素結合を有さない。R2、R3はそれぞれ炭素数1〜5の脂肪族飽和炭化水素基又はその水素原子の一部をハロゲン原子で置換した基を表し、第三級炭素原子−水素結合を有さないものである。]で表される化合物が使用できる。式中のR2、R3としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基などの炭化水素基、又はこれらの基の炭素原子上に塩素原子等の置換基を有するものが好ましく、その中でも両方がメチル基であるイソプロピル置換基が特に好ましい。
【0023】
さらに一般式(4):
C6H6−z(CHR4R5)z (4)
[式中、zは1〜4の整数で、R4、R5は炭素数1〜5の脂肪族飽和炭化水素基で、第三級炭素原子−水素結合を有さないものである。]で表される化合物が好ましく使用できる。R4、R5としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基などの炭化水素基が好ましく、その中でも両方がメチル基であるイソプロピル置換基が特に好ましい。
【0024】
本発明において一般式(1)で表される化合物としては、例えば以下のものを好ましく例示することができる。
【0025】
【化1】
【0026】
本発明によって得られる塩素化炭化水素化合物としては、一般式(2):
CnR1 mHk(CR2R3Cl)j(2)
[式中、m、n、k、j、R1、R2、R3は上記と同じ]で表され、具体的化合物としては、以下のものを好ましく例示することができる。
【0027】
【化2】
【0028】
本発明で用いる次亜塩素酸金属塩としては、特に限定されないが、例えば次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸バリウム、次亜塩素酸銅、及び次亜塩素酸第二銅があげられる。なかでも工業的な入手の容易さや取り扱いの簡便さおよび反応収率・選択性が良好である点から、次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。 次亜塩素酸金属塩水溶液の濃度は特に限定されるものではないが、反応の収率・選択性が良好である点から0.7mol/kg以上が好ましい。入手した次亜塩素酸ナトリウムの濃度が0.7mol/kg以上である場合には、水で希釈して使用することができる。この場合の水は、水道水、イオン交換水、蒸留水等を示すが、場合によってはNaCl、KCl等の金属塩を含有していてもよい。
【0029】
本発明において用いる次亜塩素酸金属塩水溶液の量は、含塩素量が理論量に対して当量以上であれば特に制限されるものではないが、大過剰の次亜塩素酸金属塩水溶液を用いた際には副反応が進行し、目的化合物の純度の低下を招くことも考えられる。このことから、効率良く高純度で目的物を得るために、理論量に対して1.0〜10倍モルであることが好ましく、特に1.0〜5倍モルが好ましい。
【0030】
本発明において用いるプロトン酸の例としては、特に限定されないが、例えば塩酸、硫酸、硝酸、及び酢酸を挙げることができる。なかでも反応収率・選択性が良好である点から、塩酸が好ましい。プロトン酸の添加方法に関しては、連続添加あるいは何回かに分けて添加することが好ましいが、一括添加も可能である。連続添加する場合、添加時間は0.5〜15分が好ましく、特に1〜5分が好ましい。用いるプロトン酸の量に関しては、反応系中の水層のpHが好ましくは4〜9さらに好ましくは5〜7の範囲に調整される量であればよい。また、用いるプロトン酸の濃度に関しては特に限定されるものではないが、品質、反応時間、工業化を考えた時の反応槽の容量等の観点から、比較的高濃度であることが好ましく、35wt%以上の濃塩酸が特に好ましい。
【0031】
本発明において、一般式(1)から一般式(2)への塩素化反応は、無溶媒中で行うことも可能であるが、有機溶剤を用いて、原料を希釈した状態で反応することが好ましい。有機溶剤としては、特に限定はないが、塩素化反応で変質されにくく、添加効果の持続が期待できるハロゲン化有機溶剤が好ましく、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、エチルクロライド、エチレンジクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、1−トリクロロ−2−トリフルオロエタン、及びトリフルオロメチルベンゼンが好ましく用いられ、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、エチルクロライド、が特に好ましく用いられる。
【0032】
この塩素化反応の温度は特に制限されるものでは無いが、次亜塩素酸が比較的不安定であるため、低温で反応を行うことが好ましく、−15℃〜40℃で反応を行うことが好ましい。さらに好ましくは、−5℃〜25℃である。反応温度が40℃より高いと次亜塩素酸の分解が加速され、反応途中で濃度がほとんどゼロになってしまう。また、−15℃より低いと氷結しやすく好ましくない。次亜塩素酸の分解は危険な塩素ガスの発生を伴うため、安全上からも上記の温度範囲で反応を行うことが好ましい。
【0033】
塩素化反応終了後の一般式(2)で表される塩素化炭化水素化合物を含む混合物は、塩素化反応による副生成物等の不純物を多く含有しているため、目的とする塩素化炭化水素の純度は低い。そこで副生成物等の不純物を効率よく取り除くため、該混合物を、アルカリ水溶液と混合して、一般式(3):
CnR1 mHk(CR2R3OH)j(3)
[式中、m、n、k、j、R1、R2、R3は上記と同じ]で表される化合物に変換し、固液分離により固形物として分離し、精製する。
【0034】
本発明に使用されるアルカリ水溶液としては、特に限定されるものではないが、金属水酸化物の水溶液が好ましく、取り扱い易く入手が容易であることから水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液が特に好ましい。水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムは、固体をそのまま用いることもできる。
【0035】
アルカリ水溶液によるアルコール化の反応は無溶媒中、あるいは先の反応に使用した有機溶剤をそのままにして行うことも可能であるが、さらに有機溶剤を用いて、原料を希釈した状態で反応することが好ましい。有機溶剤としては、特に限定はないが、反応選択性が高い点、および固液分離して有機溶剤洗浄により精製する工程において、目的化合物である一般式(3)で表されるアルコール化合物の溶解性が低く、不純物の溶解性が高い、芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素系有機溶剤を好ましく使用することができる。その中でもペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、及びキシレンが好ましく、さらにはヘキサンが特に好ましく用いられる。有機溶剤の添加量は先の反応に使用した有機溶剤を含む元の有機層に対して10〜200重量部が好ましく、50〜100重量部が特に好ましい。
【0036】
アルカリ水溶液によるアルコール化の反応の温度は特に制限されるものでは無いが、40℃〜100℃で反応を行うことが好ましく、反応速度と反応選択性の観点から50℃〜80℃が特に好ましい。反応温度が低いと目的とする一般式(3)の収率確保に多大な時間を必要とし、逆に反応温度が高い場合は、アルカリ水溶液下での反応容器材質への影響の点で好ましくない。
【0037】
本発明に使用されるアルカリ水溶液のアルカリ濃度は、たとえば、水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液を用いる場合、0.1〜10wt%が好ましく、1〜5wt%がさらに好ましい。濃度が薄いと必要とする液量が多くなり、反応器の容量の観点で好ましくない。濃度が濃い場合は反応容器材質への影響の観点や、反応選択性低下の観点で好ましくない。反応容器としては、品質劣化を避けるため、グラスライニングやテフロン(登録商標)ライニング製の容器を用いることが好ましい。
【0038】
また、一度に多量のアルカリ水溶液を仕込む代わりに、2回以上に分けて添加することもできる。これにより、一度に高濃度のアルカリを添加することを避け、低濃度ながら必要当量以上のアルカリを添加することが可能になる。
【0039】
一般式(3)で表されるアルコール化合物の固液分離では、遠心分離やろ布を用いた加圧ろ過等の一般的な固液分離法が実施可能である。固体に付着する不純物としての液を低減させるため、遠心力の増大やろ過時間の確保、窒素等のガス通気による液切り等を実施することが有効である。さらに、固体に付着する不純物を低減させるために、固液分離と有機溶剤や純水の添加を繰り返すことが有効である。添加する有機溶剤としては、一般式(3)で表されるアルコール化合物に対する溶解度の低い有機溶剤が好ましく、先に示したアルコール化に使用される芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素系有機溶剤が使用でき、トルエンやヘキサンが特に好ましい。有機溶剤添加時には、可能なら、攪拌や液混合を実施することも有効である。
【0040】
上記固液分離、精製された一般式(3)で表されるアルコール化合物の固形物に塩酸水を添加して、本発明の目的物である純度の高い一般式(2)で表される塩素化炭化水素化合物を得る。
【0041】
本最終の塩素化反応の反応温度は、反応速度や品質の点で−10〜40℃が好ましく、0〜30℃が特に好ましい。40℃以上では品質の劣化が生じやすくなる。本反応は無溶媒中で行うことも可能であるが、有機溶剤を用いて、原料を希釈した状態で反応することが好ましい。有機溶剤としては、炭化水素系有機溶剤またはハロゲン化有機溶剤が好ましく用いられる。本発明の塩素化炭化水素化合物を合成反応、特にカチオン重合の開始剤に使用する場合、その重合に使用される有機溶剤を用いることにより、有機溶剤の除去等の手間を省くことができるため特に好ましく、ヘキサン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、ブチルクロライド、及びエチルクロライドが挙げられる。有機溶剤の添加量は、一般式(2)が溶解する量であれば特に制限はない。
【0042】
上記反応により得られた一般式(2)で表される塩素化炭化水素化合物は、そのままでも純度が高く使用することができるが、必要に応じてさらに純度を上げたい場合には、引き続いて、油水分離を行い塩酸水溶液を分離し、該化合物を含有する有機層の気相部、又は液中に塩素ガスを導入、接触させ純度を上げることができる。塩化水素ガスを接触させる時には、有機層を攪拌することが好ましい。さらに、有機層中へ塩化水素ガスをバブリングしながら攪拌する方法が好ましい。
【0043】
塩化水素ガスと接触させる場合の反応温度は、反応速度や品質の点で−10〜40℃が好ましく、0〜30℃が特に好ましい。40℃以上では反応進行が著しく低下する。
【0044】
本発明によって得られた一般式(2)で表される塩素化炭化水素化合物は、塩素置換基の反応活性を利用して各種の合成反応試薬として使用される。特に本発明によって高純度の塩素化炭化水素化合物が得られるため、末端が制御されたポリイソブチレン、あるいはポリイソブチレンをブロック成分とする各種のブロック共重合体、例えばスチレン−イソブチレン−スチレン共重合体等の開始剤として好適に使用される。
【0045】
【実施例】
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。
【0046】
(実施例1)
温度計、バッフル、撹拌機を備えた内容積0.002m3ガラス製セパラブルフラスコに1,4−ジイソプロピルベンゼン(0.045kg)、モノクロロベンゼン(0.03kg)、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(1.2kg,0.9mol/kg)を加え、撹拌しながら氷浴で冷却しておく。続いて滴下ロートにより濃塩酸(0.08kg,35wt%)を3分かけてゆっくりと液中に添加した後、さらに60分撹拌した。反応終了後、有機層と水層を静置分離により分液し、有機層に濃塩酸(0.03kg、35wt%)を加え約5分間激しく撹拌することにより有機層中に微分散している次亜塩素酸の失活を行った。有機層を分液し、モノクロロベンゼン溶液として反応生成物を得た。生成物中の1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンの収率については、ガスクロマトグラフィ(以下、GCと略記)分析により求めた(収率60.0%)。
【0047】
洗浄した同一容器に、分液したモノクロロベンゼン溶液とヘキサン0.04kgおよび2wt%水酸化ナトリウム水溶液を1kg加え、60℃で5時間攪拌し続けたところ、水層は最後までアルカリ性を示し、この加水分解反応による1,4−ビス(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ベンゼンの選択性は約90%であった。
【0048】
さらに、固形分をヘキサンと純水で洗浄後、35wt%濃塩酸0.3kgとトルエン0.05kg存在下で攪拌して1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンを得た。NMRによる純度は95%、最終収率は45%であった。
【0049】
(実施例2)
アルコール化の反応での反応温度を50℃にし、反応時間を8時間にした以外は、実施例1と同様に行った。アルコール化の反応による1,4−ビス(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ベンゼンの選択性は約90%であった。それ以降も実施例1と同様に行った結果、最終的に得た1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンのNMRによる純度は95%、最終収率は45%であった。
【0050】
(実施例3)
アルコール化の反応で、最初に添加する水酸化ナトリウム水溶液の濃度を1wt%にし、水層pHが酸性を示したのを確認した後に、25wt%水酸化ナトリウム水溶液0.04kgを添加した以外は、実施例1と同様に行った。アルコール化の反応による1,4−ビス(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ベンゼンの選択性は約90%であった。それ以降も実施例1と同様に行った結果、最終的に得た1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンのNMRによる純度は95%、最終収率は45%であった。
【0051】
(実施例4)
アルコール化の反応での添加有機溶剤および生成固形物の洗浄有機溶剤を、ヘキサンの代わりにトルエンにし、反応温度を75℃にした以外は実施例1と同様に行った。アルコール化の反応による1、4−ビス(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ベンゼンの選択性は約70%であった。
【0052】
1、4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンのNMRによる純度は95%、最終収率は35%であった。
【0053】
(実施例5)
実施例1に引き続き、最終的に得た1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンのトルエン溶液に25℃で1.5時間マグネチックスターラーで撹拌しながら塩化水素ガスをバブリングした結果、最終的に得た1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンのNMRによる純度は99.5%、最終収率は約50%であった。
【0054】
(実施例6)
実施例1に引き続き、最終的に得た1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンのトルエン溶液に5℃で1.5時間塩化水素ガスをバブリングした結果、最終的に得た1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンのNMRによる純度は99.0%、最終収率は約50%であった。
【0055】
(比較例1)
実施例1において、ヘキサンと2wt%水酸化ナトリウム水溶液を添加する代わりに、ヘキサンを添加して冷却晶析を行ったところ、得られた乾燥結晶中の1、4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンのNMRによる純度は90%、最終収率は30%であった。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、一般式(2)で表される塩素化炭化水素化合物を高純度かつ高収率で効率良く得ることができる。
Claims (12)
- 一般式(1):
CnR1 mHk(CHR2R3)j(1)
[式中、nは1〜12の整数で、m、kはそれぞれ0〜25の整数であり、jは1〜10の整数である。R1は塩素、臭素、ヨウ素、酸素、窒素、イオウ、及びリンからなる群より選ばれる原子を表し、mが2以上の場合R1は同じでもそれぞれ異なっていてもよい。またCnR1 mHkで表されるj価の基は、第三級炭素原子−水素結合を有さない。R2、R3はそれぞれ炭素数1〜5の脂肪族飽和炭化水素基又はその水素原子の一部をハロゲン原子で置換した基を表し、第三級炭素原子−水素結合を有さないものである。]で表される化合物を次亜塩素酸金属塩水溶液およびプロトン酸との反応により製造される、一般式(2):
CnR1 mHk(CR2R3Cl)j(2)
[式中、m、n、k、j、R1、R2、R3は上記と同じ]で表される塩素化炭化水素化合物を含む混合物を精製するために、該混合物を、アルカリ水溶液と混合して、一般式(3):
CnR1 mHk(CR2R3OH)j(3)
[式中、m、n、k、j、R1、R2、R3は上記と同じ]で表される化合物に変換し、固液分離により固形物として分離し、その固形物に塩酸水を添加して精製された一般式(2)で表される化合物を得ることを特徴とする塩素化炭化水素化合物の製造方法。 - 請求項1記載の工程に引き続いて、油水分離した有機層に、塩化水素ガスを接触させることを特徴とする塩素化炭化水素化合物の製造方法。
- 一般式(1)で表される化合物が、イソプロピル置換基を有する芳香族炭化水素であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記次亜塩素酸金属塩が、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸バリウム、次亜塩素酸銅、及び次亜塩素酸第二銅からなる群より選ばれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記プロトン酸が塩酸、硫酸、および酢酸からなる群より選ばれることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記アルカリ水溶液が、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水溶液であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記一般式(1)から一般式(2)を製造する際に、ハロゲン化有機溶剤を使用することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記一般式(1)から一般式(2)を製造する際に、ハロゲン化有機溶剤として、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、エチルクロライド、エチレンジクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、1−トリクロロ−2−トリフルオロエタン、及びトリフルオロメチルベンゼンからなる群より選ばれる有機溶剤を使用することを特徴とする請求項7記載の製造方法。
- 前記アルカリ水溶液を混合し、一般式(3)を製造、濾過分離する工程において、芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素系有機溶剤を使用し、さらに固形物の洗浄に使用することを特徴とする請求項1〜8記載のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記アルカリ水溶液を混合し、一般式(3)を製造、濾過分離する工程において、芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素系有機溶剤として、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、及びキシレンからなる群より選ばれる有機溶剤を使用することを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
- 前記一般式(3)から一般式(2)を製造する際に、炭化水素系有機溶剤またはハロゲン化有機溶剤を使用することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記一般式(3)から一般式(2)を製造する際に使用する炭化水素系有機溶剤またはハロゲン化有機溶剤が、ヘキサン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、ブチルクロライド、及びエチルクロライドからなる群より選ばれることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
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