JP2004075292A - 搬送装置、搬送設備、並びに、搬送設備の設置方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】搬送設備58は、ダクト61内に搬送装置1を設置したものである。搬送装置1は、複数の搬送モジュール2を連結板50により連結したものである。搬送装置1は、上下方向および左右方向に屈曲可能である。搬送モジュール2は、搬送方向に短尺であり、2本のローラ5の間に1本のモータ内蔵ローラ6を備えている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、搬送装置および当該搬送装置の設置方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、銀行や郵便局、オフィス、病院等のように大量の書類や物品を扱う場所では、スペースを有効利用しつつ、これらの物品を効率よく搬送するために、部屋の天井と上階の床面との間にダクトを設け、このダクト内にローラコンベア等の搬送装置を敷設している。書類等の搬送物は、コンテナに収納されるなどして、ダクト内に設置された搬送装置により、前記搬送物を必要とする場所まで搬送される。
【0003】
上記した従来の搬送装置は、大部分がダクト内に収納されており、物品を搭載する部分以外は部屋内に殆ど露呈していない。そのため、従来技術の搬送装置によれば、カルテ等の書類を効率よく搬送すると共に、部屋内のスペースを有効利用することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の建築物において、天井裏は、部屋に電力を供給するための電気配線や、配水管等が張り巡らされているため非常に狭い。また、通常の建築物においては、部屋のスペースをより大きく取るために、天井裏の高さが低くなっている場合が多く、天井裏での作業は極めて困難を伴う。
【0005】
さらに、通常の建築物では、天井裏の高さが低いばかりか、部屋から天井裏に繋がる開口が狭い。一般的に物品の搬送に使用されている搬送装置は、搬送方向に長尺であるため、前記した開口から天井裏に設置されたダクト内に搬送装置を搬入する作業は極めて困難な作業である。従って、既設の建設物の天井裏に、新たに搬送装置を敷設するのは極めて困難であるという問題がある。
【0006】
上記したように、天井裏はスペースが狭く、新たに搬送装置の設置が困難であるため、従来技術では建築物の建設と同時に搬送装置を作りつけることが多い。かかる手法によれば、搬送装置の設置は容易に行えるが、天井裏はスペースが狭く作業性が悪いため、搬送装置のメンテナンスが困難であるという問題を有する。
【0007】
そこで、本発明は、上記した問題に鑑み、建設物の天井裏のように搬送装置の設置が困難な場所であっても設置およびメンテナンスを容易に行える搬送装置、当該搬送装置を備えた搬送設備、並びに、前記搬送装置の設置方法の提供を目的とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した問題を解決すべく提供される請求項1に記載の発明は、物品を搭載して搬送する複数の搬送モジュールが直列に連結された搬送装置において、前記搬送モジュールは、隣接する搬送モジュール同士を連結する連結部材を有し、搬送モジュールは、連結部材によって物品の搬送方向に対して上下方向及び/又は左右方向に屈曲自在に連結されていることを特徴とする搬送装置である。
【0009】
本発明の搬送装置は、物品の搬送方向に対して上下方向及び/又は左右方向に屈曲自在なように搬送モジュールを連結したものであるため、様々な形状に変形することができる。そのため、本発明の搬送装置は、天井裏や地下のダクト内の様にスペースが狭かったり、当該スペースに連通する開口が小さいなどの理由で従来技術の搬送装置では設置が困難であった場所にも容易に設置することができる。
【0010】
また、上記した搬送装置において、搬送モジュールは、物品の搬送方向の長さが、物品の搬送面の幅よりも短いことを特徴とするものであってもよい。(請求項2)
【0011】
本発明の搬送装置は、物品の搬送方向の長さが、物品の搬送面の幅よりも短い搬送モジュールを複数連結したものである。そのため、本発明の搬送装置は、搬送モジュール毎に適宜屈曲させ、搬送モジュール毎にダクト等の内部に搬入することができるため、天井裏に設けたダクト等のような狭く作業が困難な場所や、開口が小さく、長尺物の搬入・搬出が困難である場所にでも容易に出し入れすることができる。
【0012】
また、本発明の搬送装置は、搬送方向に短い搬送モジュールを複数連結したものであるため、容易かつ精度良く物品の搬送経路を微調整できる。またさらに、本発明の搬送装置は、複数の搬送モジュールを連結したものであるため、搬送モジュールの連結部において折り畳むなどしてコンパクトな構成として保管することができる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、連結部材は、一対のフレーム部材の双方に設けられており、それぞれが独立的に隣接する搬送モジュールのフレーム同士を近接・離反自在に連結することを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置である。
【0014】
かかる構成によれば、隣接する搬送モジュールのフレーム同士を近接・離反させることにより、搬送装置の形状を所望の形状に調整することができる。そのため、電気配線や配管等の都合で、搬送経路を屈曲させざるを得ないような場所であっても、容易に搬送装置の設置が行える。
【0015】
請求項1乃至3のいずれかに記載の搬送装置において、搬送装置を構成する複数の搬送モジュールのうち、少なくともいずれか一つは、固定軸に対して回転自在に支持されたローラ本体内にモータが内蔵され、当該モータの回転動力が前記ローラ本体に伝達されることでローラ本体が固定軸に対して回転駆動するモータ内蔵ローラを備えていることを特徴とするものであることが望ましい。(請求項4)
【0016】
請求項5に記載の発明は、一又は複数の搬送モジュールは、当該搬送モジュールに隣接する搬送モジュールにおける物品の搬送状況に応じて駆動することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の搬送装置である。
【0017】
本発明の搬送装置は、隣接する搬送モジュールにおける物品の搬送状況に応じて駆動する搬送モジュールを具備しているため、物品を所望の位置まで高効率かつ精度良く搬送することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の搬送装置と、当該搬送装置を案内するガイド部材とを有することを特徴とする搬送設備である。
【0019】
本発明の搬送設備が備える搬送装置は、上記した請求項1乃至5のいずれかに記載の搬送装置であり、上下方向及び/又は左右方向に屈曲可能である。そのため、本発明の搬送設備では、搬送装置をガイド部材の形状にあわせて設置することができる。従って、本発明の搬送設備は、電気配線や配管などの都合に応じてガイド部材の形状を比較的自由に屈曲させることができ、あらゆる場所に搬送設備を設けることができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の搬送装置と、当該搬送装置を案内するガイド部材とを具備し、当該搬送装置の物品の搬送面とガイド部材との間には、気体あるいは液体を供給することにより前記搬送面の一部又は全部をガイド部材の底面より上方に押し上げる昇降装置が設けられていることを特徴とする搬送設備である。
【0021】
本発明の搬送設備は、搬送面を押し上げ、搬送モジュールを浮上させる昇降装置を具備している。そのため、上記した構成によれば、搬送モジュールを上昇させた状態で搬送面を駆動させることにより、搬送モジュールを順次昇降装置に沿って自走させ、所望の位置まで移動させることができる。そのため、上記した構成によれば、ガイド部材への搬送装置の設置作業および取り外しを容易かつスムーズに行うことができる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、ガイド部材がダクトであることを特徴とする請求項6又は7に記載の搬送設備である。
【0023】
本発明の搬送設備において搬送装置を収納するダクトは筒状であり、建築物の天井裏等のように狭い場所に設置される場合が多い。またさらに、天井裏等には電気配線や配管等が張り巡らされていることが多く、ダクトの形状を屈曲させねばならない場合がある。しかし、上記請求項6又は7に記載の搬送設備において採用されている搬送装置は、複数の搬送モジュールを上下方向及び/又は左右方向に屈曲自在に連結したものであるため、ダクトのように筒状で狭い場所であっても好適に設置することができる。
【0024】
本発明の搬送設備は、通常、建築物の天井裏等に設置されるダクト内に搬送装置を収納したものであり、部屋内等のスペースを占拠しない。そのため、本発明の搬送設備によれば、スペースの有効利用を図りつつ、物品を効率よく搬送することができる。
【0025】
請求項9に記載の発明は、搬送装置を案内するガイド部材を敷設する工程と、外部から搬送装置を搬入し、当該搬送装置を前記案内部材に沿うように押し込む工程とを有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の搬送設備の設置方法である。
【0026】
上記した搬送装置は、複数の搬送モジュールを連結したものであり、その連結部において上下方向及び/又は左右方向に屈曲可能である。そのため、上記したように、予め設置したガイド部材に沿って搬送装置を押し込むことにより、当該搬送装置が前記ガイド部材に沿うように変形し、容易に搬送設備を設置することができる。
【0027】
請求項10に記載の発明は、搬送装置を案内するガイド部材を設置する工程と、搬送装置の一部又は全部をガイド部材の底面より上方に浮上させる昇降装置を前記ガイド部材に沿って敷設する工程と、搬送装置の一部又は全部を昇降装置の上に搭載する工程と、当該昇降装置を駆動させ、搬送装置を浮上させる行程と、搬送装置に通電し、搬送面を駆動させる工程と、前記昇降装置を下降させる工程とを有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の搬送設備の設置方法である。
【0028】
上記したように、本発明では搬送装置の一部又は全部を昇降装置に搭載した後、搬送装置に通電し、搬送面を駆動させることにより、搬送モジュールが所定の位置まで自走する。そのため、本発明によれば、予め敷設された昇降装置上に搬送モジュールを搭載し、搬送面の駆動を開始させるだけで所望の位置に搬送設備を設置することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
続いて本発明の一実施形態である搬送装置、並びに、搬送設備について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態である搬送装置を示す斜視図であり、図2は、図1に示す搬送装置において採用されている搬送モジュールを示す斜視図である。図3は、図1に示す搬送装置において採用されているモータ内蔵ローラの内部構造を示す断面図である。図4は、本発明の一実施形態である搬送設備を示す平面図であり、図5は、その搬送設備を構築す方法を示す模式図である。図6は、図1に示す搬送装置をダクト内に設置した状態を示す側面図である。図7は、図1に示す搬送装置の設置作業中におけるダクト内の様子を示す側面図である。図8は、本発明の一実施形態である搬送設備を示す斜視図である。図9は、本発明の第2実施形態である搬送装置を示す斜視図である。図10は、本発明の第2実施形態である搬送設備を示す平面図である。図11は、本発明の第2実施形態の搬送装置に採用されているクロスコンベアの斜視図であり、図12は、このクロスコンベアの要部の分解斜視図である。図13は、図11のクロスコンベアの搬送手段のコロ列の斜視図である。また、図14は、図11に示すクロスコンベアのA−A断面図であり、図15は、図11のクロスコンベアの平面図である。またさらに、図16は、図11のクロスコンベアの側面図である。図17は、図11のクロスコンベアで採用するカムの斜視図であり、図18は、ストッパープレートの斜視図である。図19は、図11のクロスコンベアで採用する筒体側抵抗部材の斜視図である。図20は、図11のクロスコンベアで採用する横搬送用コロの断面図である。図21は、図11のクロスコンベアの動作を示す説明図であり、モータ内蔵ローラと、カムとカム包囲玉軸受けと横方向ガイド部材と高さ方向ガイド部材と横方向搬送部とローラコンベアとの位置関係を示す図である。また、図22は、図11のクロスコンベアの正転時における動作を示す説明図であり、モータ内蔵ローラの回転軸と、ストッパープレートとストッパーとの位置関係を示す図である。図23は、図11のクロスコンベアの逆転時における動作を示す説明図であり、モータ内蔵ローラの回転軸と、ストッパープレートとストッパーとの位置関係を示す図である。
【0030】
図1に示すように、搬送装置1は、搬送方向に短尺の搬送モジュール2を、搬送方向に直列に多数連結したものである。搬送モジュール2は、図2に示すように、平行に配列されたフレーム3(以下、必要に応じてフレーム3L,3Rと称す)の間に、2本のローラ5および1本のモータ内蔵ローラ6を平行に取り付けたものである。さらに詳細には、モータ内蔵ローラ6は、フレーム3の長手方向の略中央部に設けられており、その両側にローラ5が等間隔で回転自在に固定されている。
【0031】
フレーム3は、長手方向の長さがaであり、フレーム3L,3Rの間隔b、即ち搬送モジュール2の搬送面を形成するローラ5およびモータ内蔵ローラ6のローラ本体7の幅よりも小さい。また、フレーム3は、フレーム本体3aと蓋体3bとにより構成されている。フレーム本体3aは、側面4側が開口しており、その内部に後述するケーブル19やコントローラ40等が収納されている。蓋体3bは、フレーム本体の側面4側の開口を被覆するものである。蓋体3bには、貫通孔3cが設けられており、当該貫通孔3cを介して後述するコミュニケーションケーブル41がフレーム3の外部に取り出されている。
【0032】
ローラ5は、ローラ本体7の両端からローラ本体7の内外を連通する固定軸13,15が突出したものである。ローラ本体7は、両端が開口した金属製の筒体であり、両端に閉塞部材8,10が一体的に取り付けられ閉塞されている。閉塞部材8には、閉塞部材8の全周にわたって凹部11,12が設けられており、これによりプーリが形成されている。また、ローラ本体7の両端からは、固定軸13,15が突出している。ローラ本体7は、固定軸13,15に対して回転自在に固定されている。
【0033】
モータ内蔵ローラ6は、図3に示すように、上記したローラ5に採用されている両端が開口した金属製のローラ本体7と、その両端を閉塞する閉塞部材8,10を具備している。また、モータ内蔵ローラ6は、ローラ本体7の内部にモータ16と減速機17とを内蔵している。ローラ本体7の両端からは固定軸18,20が突出している。固定軸18は、ローラ本体7の内外を連通するものである。固定軸18は、閉塞部材8に軸受け21を介して回転自在に取り付けられている。固定軸18は、軸方向に貫通した貫通孔(図示せず)を有し、ローラ本体7の内外を連通している。モータ16への電源の供給、並びに、モータ16や後述する位置検出子25との電気信号の送受信を行うケーブル19は、固定軸18の貫通孔を通じてローラ本体7の外部に取り出されている。固定軸20は、棒状の部材であり、閉塞部材10に対して軸受け22によって回転自在に取り付けられている。
【0034】
モータ16は、電磁石からなる複数の固定子(図示せず)と、磁極を有する回転子(図示せず)と、位置検出子25とを備えた3相4極ブラシレスモータである。モータ16の中心軸30の一端側は、軸受け26を介して固定軸18に回転自在に支持されている。また、回転子の他端側は、回転子の回転動力を減速してローラ本体7に伝達する減速機17に軸受け27を介して固定されている。位置検出子25は、前記回転子の近傍に配置され、回転子の磁極の周方向の位置を検知し、磁極検知信号を発信するものである。
【0035】
位置検出子25は、ホール素子とパワースイッチング回路の全部あるいは一部を一体化したホールIC28を3つ備えている。さらに具体的には、ホールIC28は、磁界の大きさを検知するホール素子と、該ホール素子により検出された微小信号を増幅する増幅器と、増幅器において増幅された信号を方形波に成型するシュミットトリガ回路と、安定化電源回路と、温度補償回路とを備えている。なお、本実施形態においては、位置検出子25は、ホールIC28を3つ備えたものであるが、ホールIC28はいくつ設けられてもよい。また、位置検出子25は、ホールIC28により磁極を検知する磁気式のものに限定されるものではなく、これに限らず発光ダイオードとフォトセンサを用いたフォト・インタラプタ式のものや磁気飽和素子を用いたインダクタンス式のものなど、いかなる方式の磁極位置検知手段を採用してもよい。
【0036】
減速機17は遊星歯車列からなる減速機であり、モータ16の回転動力を所定の減速比で減速するものである。モータ16の中心軸30は、連結部材31を介して閉塞部材10に連結されている。よって、モータ16の回転動力は、減速機17において減速され、連結部材31を介して閉塞部材10に伝播される。閉塞部材10は、ピン32によってローラ本体7と一体化されているため、ローラ本体7は、閉塞部材10に伝播された回転動力により回転駆動する。
【0037】
モータ16への電力の供給およびモータ16やホールIC28との電気信号の送受信を行うケーブル19は、フレーム3に固定されているコントローラ40に接続されている。コントローラ40は、例えば、CMOS ICや微分回路、積分回路などを用いたデジタル回路により構成することができ、マイコン制御を行うものとすることもできる。
【0038】
コントローラ40は、各搬送モジュール2毎に設置され、それぞれの駆動源であるモータ内蔵ローラ6のケーブル19に接続されている。また、隣接する搬送モジュール2のコントローラ40同士は、コミュニケーションケーブル41によって相互に接続されている。コントローラ40は、搬送モジュール2毎に独立的にモータ内蔵ローラ6を駆動・停止するものである。
【0039】
さらに詳細には、コントローラ40は、上流側および下流側に隣接する搬送モジュール2における物品の搬送状況に応じてモータ内蔵ローラ6を駆動させるものである。即ち、コントローラ40は、物品の搬送形態に応じて搬送モードを一斉搬送モード、分離モード、および搬送禁止モードのいずれかに切り替え可能なものであり、その設定に応じてモータ内蔵ローラ6への通電状態を変更するものである。
【0040】
ここで、一斉搬送モードとは、搬送装置1に搭載されている複数の物品を一斉に搬送する搬送形態を指し、搬送装置1に搭載された物品は、初期状態を維持したまま下流側へ向けて一斉に搬送される。また、分離搬送モードとは、物品の存在する制御ゾーン同士の間に被搬送物の存在しない制御ゾーンを所定数だけ形成させながら被搬送物を切り離した状態で下流側へ向けて搬送させる搬送形態を指している。また、搬送禁止モードとは、上流側から搬送されてきた物品を停止させる搬送形態を指している。
【0041】
さらに詳細には、自ゾーンのコントローラ40(以下、必要に応じてコントローラ40Sと称す)が一斉搬送モードに設定されており、以下の▲1▼,▲2▼,▲3▼に示す3条件のいずれかを満たす場合、コントローラ40Sは、モータ内蔵ローラ6(モータ内蔵ローラ6S)に通電し、搬送モジュール2(搬送モジュール2S)を駆動させる。
▲1▼ 下流側の搬送モジュール2(搬送モジュール2D)のモータ内蔵ローラ6(モータ内蔵ローラ6D)が駆動状態であり、自ゾーンの搬送モジュール2Sあるいは上流側の搬送モジュール2(搬送モジュール2U)の少なくともいずれかに物品が搭載されている場合。
▲2▼ 下流側の搬送モジュール2Dのモータ内蔵ローラ6Dが停止状態であり、下流側の搬送モジュール2Dおよび上流側の搬送モジュール2Uに物品が搭載されており、搬送モジュール2Sに物品が搭載されていない場合。
▲3▼ 下流側の搬送モジュール2Dのモータ内蔵ローラ6Dが停止状態であり、下流側の搬送モジュール2Dに物品が搭載されておらず、自ゾーンあるいは上流側の搬送モジュール2S,2Uの少なくともいずれかに物品が搭載されている場合。
【0042】
また、自ゾーンのコントローラ40Sが分離搬送モードに設定されており、以下の2条件(▲4▼,▲5▼)のいずれかを満たす場合、コントローラ40Sは、モータ内蔵ローラ6Sに通電を行い、搬送モジュール2Sを駆動させる。
▲4▼ 下流側ゾーンの搬送モジュール2Dに物品が搭載されており、自ゾーンの搬送モジュール2Sに物品が搭載されておらず、上流側の搬送モジュール2Uに物品が搭載されている場合。
▲5▼ 下流側ゾーンの搬送モジュール2Dに物品が搭載されておらず、自ゾーンの搬送モジュール2Sまたは上流側の搬送モジュール2Uのいずれか一方に物品が搭載されている場合。
【0043】
搬送モジュール2は、上記したようにモータ内蔵ローラ6の両脇にローラ5を1本ずつ平行に配したものであり、隣接するローラ5,モータ内蔵ローラ6間には連動ベルト14が懸架されている。連動ベルト14は、閉塞部材8の凹部11,12により形成されるプーリに係合しており、中心に配置されたモータ内蔵ローラ6の回転動力は、連動ベルト14を介して両脇のローラ5に伝達される。そのため、ローラ5は、モータ内蔵ローラ6の回転駆動に連動して、同一方向に回転する。なお、本実施形態において、搬送モジュール2は、ローラ5とモータ内蔵ローラ6とにわたって連動ベルト14を懸架した構成を有するが、本発明はこれに限定されるものではなく、連動ベルト14を懸架しない構成とすることも可能である。また、本実施形態において、モータ内蔵ローラ6は、搬送モジュール2の略中央部に設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、搬送方向の上流側あるいは下流側に偏って設けられていてもよい。
【0044】
本実施形態の搬送装置1は、上記した搬送モジュール2をフレーム3L,3Rの上流側および下流側の端部に設けられた連結板50(連結部材)を介して多数連結したものである。連結板50は、図2に示すように略長方形の板体であり、貫通孔51と連結板50の長手方向に長い長孔52とが設けられている。
【0045】
連結板50は、貫通孔51に挿通されたピン53により、搬送方向の下流側に位置する搬送モジュール2のフレーム3に回転自在に固定されている。また、連結板50は、長孔52に挿通されたピン55により搬送方向の上流側に位置するフレーム3に回転自在に取り付けられている。従って、隣接する搬送モジュール2,2は、ピン53,55を中心として、搬送方向に対して上下方向に屈曲可能なように連結されている。
【0046】
またさらに、ピン55は、連結板50の長孔52に沿って摺動可能である。そのため、隣接する搬送モジュール2,2のフレーム3L同士の間隔およびフレーム3R同士の間隔は、長孔52とピン55との相対位置を調整することにより独立的に変更できる。従って、図4に示すように、搬送方向に対して左方側のフレーム3L同士の間隔L1 と、右方側のフレーム3R同士の距離L2 とを独立的に調整することにより、搬送装置1による物品の搬送方向を左右に変更することができる。さらに詳細には、フレーム3L同士の間隔L1 をフレーム3R同士の間隔L2 よりも小さくすることにより搬送経路を左方に向けることができ、間隔L1 を間隔L2 より大きくすることにより搬送経路を右方に向けることができる。
【0047】
また、搬送装置1は、連結板50により連結されておりピン53,55を中心として自由に屈曲できるため、搬送装置1は、図5に示すようにロール状に巻き付けるなどしてコンパクトな状態に変形させることができる。
【0048】
上記した搬送装置1は、図5および図6に示すようにビル等の建築物の部屋60の天井裏64に設けられたダクト61内のように、従来技術の搬送装置では設置が困難な場所であっても容易に設置することができ、これにより搬送設備58を形成することができる。以下、天井裏64に設けられたダクト61内に搬送装置1を設置し、搬送設備58を構築する方法について詳細に説明する。
【0049】
図5に示すように、天井裏64は、部屋60の天井62と、上階の床面63との間に形成される空間である。天井裏64に設けられたダクト61は、天井62に設けられた開口67により部屋60と連通している。ダクト61は、図5および図8に示すように箱形であり、天井裏64の高さよりも高さが低い。また、ダクト61の幅Wは、搬送モジュール2の幅wよりも僅かに大きい。また、ダクト61内には、2本の空気導入管65,66がダクト61の長手方向に平行に配置されている。空気導入管65,66はホース状であり、図6に示すように、常時は拉げて平坦であるが、外部から空気を導入することにより膨張し、図7に示すように管径がdとなる。
【0050】
搬送装置1を天井裏64に設置されたダクト61内に設置する際は、先ず空気導入管65,66に空気を圧送し、空気導入管65,66を膨張させる。続いて、図5に示すように、天井62に設けられた開口67から搬送装置1の先端側の搬送モジュール2をダクト61内に押し入れ、膨張した空気導入管65,66上にローラ5およびモータ内蔵ローラ6を搭載する。ここで、図7に示すように、膨張した空気導入管65,66の管径dは、搬送モジュール2のローラ5およびモータ内蔵ローラ6の下面とフレーム3の下面との間隔cよりも大きい。そのため、搬送モジュール2は、ローラ5およびモータ内蔵ローラ6の下面と空気導入管65,66とが接触し、フレーム3がダクト61の底面から離れた状態となる。
【0051】
先端側の搬送モジュール2をダクト61内の空気導入管65,66上に搭載した後、搬送モジュール1の主電源(図示せず)を投入すると、モータ内蔵ローラ6が駆動する。モータ内蔵ローラ6の駆動に連動して、搬送モジュール2のローラ5が回転を開始する。上記したように、搬送モジュール2のローラ5およびモータ内蔵ローラ6は、空気導入管65,66に接触しているが、フレーム3は天井62から離れ、浮いた状態となっている。そのため、先端側の搬送モジュール2は、モータ内蔵ローラ6およびローラ5の回転に伴い空気導入管65,66上を自走し始める。
【0052】
上記したようにダクト61の幅Wは、搬送モジュールの幅wとほぼ同一であるため、自走を開始した搬送モジュール2は、ダクト61に沿って図4,図8中に矢印Iで示す方向に移動を開始すると共に、その下流側に隣接する搬送モジュール2を順次ダクト61内に引き込む。
【0053】
図4に示すように、本実施形態においてダクト61は所定の位置で緩やかに左右方向に屈曲している。そのため、ダクト61内を移動する搬送モジュール2が図4中の左方向に屈曲した屈曲部68に差し掛かると、搬送モジュール2は徐々に方向変換を行う。さらに詳細には、搬送モジュール2が屈曲部68に差し掛かると、搬送方向左側のフレーム3Lがダクト61の壁面に当接し、移動が阻止される。一方、搬送方向右側のフレーム3Rは、ダクト61の壁面から離れているため、搬送モジュール2の右側には、進行方向に力が作用する。即ち、屈曲部68に差し掛かった搬送モジュール2の右側のフレーム3Rに、屈曲部68の接線方向に作用する力Fが押し進めようとする力が作用する。一方、屈曲部68に差し掛かった搬送モジュール2の左側のフレーム3Lには、屈曲部68の接線方向に押し戻そうとする力fが作用する。
【0054】
屈曲部68に差し掛かった搬送モジュール2のフレーム3L,3Rに作用する力により、この搬送モジュール2のフレーム3Rと、その上流側に隣接する搬送モジュール2のフレーム3Rとの間隔が押し広げられる。それに伴い、先端側の搬送モジュール2は、徐々に屈曲部68に沿って方向転換し、下流側に進行する。屈曲部68を超えた搬送モジュール2は、屈曲部68に差し掛かる前と同様にして、空気導入管65,66上を自走する。
【0055】
先端側の搬送モジュール2が空気導入管65,66上を自走し、ダクト61の末端に達すると、モータ内蔵ローラ6への電力の供給を停止し、搬送装置1の駆動を停止させる。続いて、搬送装置1とダクト61との間に敷設されている空気導入管65,66から空気を排出すると、図6に示すように搬送装置1のフレーム3L,3Rがダクト61上に下降し、搬送装置1の敷設作業が完了する。
【0056】
一方、メンテナンス等のために搬送装置1をダクト61内から取り出す場合は、空気導入管65,66に空気を導入し、ダクト61の底面から搬送装置1を浮上させる。続いて、搬送装置1に電力を供給し、各搬送ゾーン2のモータ内蔵ローラ6を上記したのとは逆方向に回転させる。搬送装置1は、ダクト61内を開口67側(図4,8中矢印R側)に向けて移動を開始し、部屋60に搬出される。
【0057】
搬送装置1は、ダクト61から部屋60内に搬送モジュール2を容易に取り出すことができる。また、搬送装置1は、部屋60内に搬出後に搬送モジュール2を連結している連結板50を取り外せば、所望の搬送モジュール2のみを容易に取り外し、修理あるいは交換することができる。そのため、搬送装置1は、従来技術の搬送装置よりもメンテナンスを容易かつ効率よく行うことができる。
【0058】
搬送装置1は、ピン53,55を用いて連結板50を脱着し、連結する搬送モジュール2の数を調整するだけで、ダクト61の全長にほぼ合致する長さに調整することができる。また、搬送装置1は、搬送方向の長さがaであり、フレーム3L,3Rの間隔bよりも短い搬送モジュール2を連結したものであるため、全長の調整を容易かつ精度良く行える。
【0059】
上記した実施形態では、搬送装置1を天井裏64に設けたダクト61内に設置する場合を例示したが、搬送装置1はこれに限らずあらゆる場所に設置することができ、通常の搬送装置では搬入・搬出が困難な地下などにも好適に設置することができる。
【0060】
以下、本発明の第2実施形態である搬送装置について図面を参照しながら詳細に説明する。図9において、70は本実施形態の搬送装置である。搬送装置70は、上記第1実施形態の搬送装置1とほぼ同様の構造を有するため、重複する部分については同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0061】
搬送装置70は、先端側の搬送モジュール2に物品の搬送方向を転換するクロスコンベア71を設けている点が搬送装置1と大きく異なる。以下、本実施形態の搬送装置70に特有の構成であるクロスコンベア71を中心として、搬送装置70について説明する。
【0062】
図10に示すクロスコンベア71は、搬送モジュール2に採用されているモータ内蔵ローラ6と同様の構造で、モータ内蔵ローラ6よりも小型のモータ内蔵ローラ72を駆動源としている。
【0063】
クロスコンベア71は、モータ内蔵ローラ72に加えて、固定側フレーム73、カム75、ストッパプレート76、高さ方向ガイド77、横方向ガイド78、筒体側抵抗部材80、横方向搬送部81及びベルト82等を備えている。前記した部材の中で、カム75、ストッパプレート76、高さ方向ガイド77、横方向ガイド78は、モータ内蔵ローラ72の両端の固定軸74a,74bに合わせて2個ずつ設けられている。またベルト82についても各2個有する。
【0064】
順次説明すると、モータ内蔵ローラ72は、図14に示すように先の実施形態で採用したモータ内蔵ローラ6と略同様のものであり、ローラ本体7の内部にモータ16と遊星歯車列からなる減速機17が内蔵されたものである。そしてローラ本体7の両端から中心軸74a,74bが突出している。クロスコンベア71では、中心軸74a,74bは六角形をしている。モータ内蔵ローラ72に内蔵されたモータ16は、ブラシレスモータであり、正逆回転の他、回転数をカウントしてローラ本体7及び中心軸74a,74bの回転角度を制御することができる。またクロスコンベア71で採用するモータ内蔵ローラ72に特有の構成として、ローラ本体7の両端近傍に環状の溝83が設けられている。即ちクロスコンベア71では、モータ内蔵ローラ72をプーリとして活用している。
【0065】
固定側フレーム73は、図11、図16に示すように横断面が凹状をした部材であり、底面85と左右の側面86,87を備える。固定側フレーム73の天面側は開放されている。ただし、固定側フレーム73の両端部分は、左右の側面86,87が長手方向に張り出され、図11,図16の様にその上端面同士が内側に折り曲げられている。そのため固定側フレーム73の上部であって、長手方向の両端部には内フランジ部88が形成されている。そして当該内フランジ部88には2個づつ孔90が設けられている。当該孔90は、クロスコンベア71を他の部材に取り付ける際の取付け孔となるものである。
また左右の側面86,87には、放熱用及び共鳴防止用の開口91が7個づつ設けられている。
【0066】
カム75は、図12、図17の様に円柱状のカム本体92を有する。そしてカム本体92の一端側にフランジ部95が設けられている。またカム本体92には、環状の溝96が設けられている。後記する様にカム本体92の外周には玉軸受け93が装着され、フランジ部95は玉軸受けの内輪の一面側を押さえるものである。また玉軸受け93の内輪の他面側は、溝96にCリング等を装着して固定する。カム75の中心を離れた位置には貫通孔97が設けられている。貫通孔97は、モータ内蔵ローラ72の中心軸74a,74bに合わせて六角形をしている。
【0067】
ストッパープレート76は、図18に示すように略円形の板であり、その周部の一部に突出部98が設けられている。またストッパープレート76についても六角形の貫通孔100が設けられている。貫通孔100の位置は、ストッパープレート76の円形部分の中心から僅かにずれる。
【0068】
高さ方向ガイド77は、外枠部材101と摺動体102によって構成されている。またさらに外枠部材101は、平行に立設された二本の柱部材103と、二本の桟部材105によって構成されている。二本の桟部材105は、いずれも二本の柱部材103の前面側に取り付けられており、二本の桟部材105の間にはその全長にわたって障害物はない。
【0069】
一方、摺動体102は、直方体状の板体であり、一方寄りの部分に玉軸受け106が嵌め込まれている。
【0070】
高さ方向ガイド77は、前記した摺動体102が外枠部材101の二本の柱部材103の間で挟まれたものである。そして摺動体102の側面は、二本の柱部材103の内面と接し、摺動体102は当該柱部材103に沿ってのみ移動できる。
【0071】
横方向ガイド78は、長方形の枠状をした部材である。即ち横方向ガイド78は、図12の様に二本の垂直部材107,107と水平部材108,108に囲まれた枠体であり、その内部は空洞である。水平部材108,108の内面同士は平行である。
横方向ガイド78の下側に位置する水平部材108には突起110が設けられている。突起110は、ストッパーとして機能するものであり、横方向ガイド78の水平部材108の中心部にあり、一方に向かって突出している。クロスコンベア71では、ストッパープレート76と突起110によって軸抵抗付与手段が構成されている。
なお横方向ガイド78の正面及び裏面には、蓋部材が設けられるが図示を省略している。
【0072】
筒体側抵抗部材80は、ナイロン等の樹脂によって成形されたものであり、図12、図19の様に直方体の一面に半円状の切り欠き部111が設けられたものである。また切り欠き部111が設けられた面と対向する面にはピン状の突起112が設けられている。また当該突起112の先端部にはネジが形成されている。
【0073】
横方向搬送部81は、長尺状の支持部材113に6個の横搬送用コロ115a〜115fが回転可能に取り付けられたものである。
また支持部材113は、蓋体構成部116とコロ支持部117によって構成されている。即ち蓋体構成部116は、帯状の鋼板を曲げ加工して溝状としたものであり、長尺状であって、天面部118と左右の側面部120を備えている。
【0074】
コロ支持部117についても一枚の帯状鋼板を曲げ加工して作られたものであり、図12の様に底部121と左右の側面部122を備える。コロ支持部117の底部121は平面状であるが、左右の側面部122は「く」の字状に曲がった形状をしている。即ち左右の側面部122は底部121に対していずれも互いに内側に向かって傾斜している。そして左右の側面部122は、中間程度の高さの部位から互いに平行に向き合う。そして当該平行部123に孔125が設けられ、後記する様に軸126が挿通されて横搬送用コロ115が回転可能に取り付けられている。
横方向搬送部81の支持部材113は、前記した蓋体構成部116の上に、コロ支持部117が背中合わせに溶接されたものである。蓋体構成部116の天面部118及びコロ支持部117の底部121には図示しない開口が設けられており、後記するベルト82が配される。
【0075】
横搬送用コロ115は、外形形状が略円柱状であるが、図20の様に外周部に3列の溝127,128,129が形成されている。即ち横搬送用コロ115の両端側には、V溝127,129が設けられている。両端に設けられたV溝127,129は、深さや幅その他が同一である。
また当該V溝127,129の間に設けられたV溝128は、両端側のV溝127,129に比べて深い。
【0076】
横搬送用コロ115は、図16の様に、軸126及び玉軸受け130を介して前記支持部材113に取り付けられている。横搬送用コロ115は、図13,図15等の様に一列に並んで取り付けられている。そして隣り合う横搬送用コロ115のV溝127,129同士の間にベルト131a〜131eが懸架されている。より具体的には、図11,図13左端の横搬送用コロ115aのV溝127と隣接する横搬送用コロ115bのV溝127の間にベルト131aが懸架されている。
そして続く横搬送用コロ115bのV溝129と隣接する横搬送用コロ115cのV溝129の間にベルト131bが懸架されている。
【0077】
こうして順次、横搬送用コロ115cのV溝127とコロ115dのV溝127の間にベルト131cが懸架され、横搬送用コロ115dのV溝129と横搬送用コロ115eのV溝129の間にベルト131dが懸架され、横搬送用コロ115eのV溝127と横搬送用コロ115fのV溝127の間にベルト131eが懸架されている。
【0078】
そのため横方向搬送部81は、全ての横搬送用コロ115a〜115fが連動し、一つの横搬送用コロ115を回転させると、他の全ての横搬送用コロ115が同期的に回転する。
なお後記するように、6個の横搬送用コロ115a〜115fの内、両端から二番目の横搬送用コロ115b,115eが動力入力部材として機能する。
【0079】
次にクロスコンベア71を構成する各部材同士の関係について説明する。
クロスコンベア71は、前記した様に一つの固定側フレーム73、モータ内蔵ローラ72及び横方向搬送部81と、各2個のカム75、ストッパープレート76、高さ方向ガイド77、横方向ガイド78、筒体側抵抗部材80を有する。そしてモータ内蔵ローラ72は、固定側フレーム73の凹部内にあり、横方向搬送部81は固定側フレーム73の上部に位置する。横方向搬送部81の蓋体構成部116は、固定側フレーム73の上部に被さる。
【0080】
上記した構成の内、固定側の部材は固定側フレーム73に取り付けられ、移動する部材は横方向搬送部81に取り付けられる。また動力伝達部材は、モータ内蔵ローラ72を中心として配置される。
【0081】
以下、モータ内蔵ローラ72を中心としてクロスコンベア71を構成する各部材の関係を具体的に説明する。
モータ内蔵ローラ72の両端から突出した中心軸74a,74bには、図12に示すようにカム75、ストッパープレート76及び高さ方向ガイド77の摺動体102が順次取り付けられている。
即ちモータ内蔵ローラ72の六角形の中心軸74a,74bは、カム75に設けられた六角形の貫通孔97に挿通されている。中心軸74a,74bとカム75は、六角形の軸と六角形の貫通孔97が嵌合し、両者は相対回転を許さない。
【0082】
モータ内蔵ローラ72の中心軸74a,74bに取り付けられたカム75の外周には玉軸受け93(以下 カム包囲玉軸受け)が取り付けられている。そしてカム包囲玉軸受け93は、横方向ガイド78の中に配置されている。即ちカム包囲玉軸受け93は、横方向ガイド78の長方形の枠内にあり、水平部材108,108の内面と常時接している。
なお上記したカム包囲玉軸受け93は、横方向ガイド78とカム75との接触抵抗を減少させるために設けられたものである。従って実際上は、カム75とカム包囲玉軸受け93とが一体となってカムとしての機能を果たし、両者が一体となったものがカムであるともいえる。クロスコンベア71では、横方向ガイド78とカム75との接触抵抗を減少させるために玉軸受けを使用したが、他の軸受けを使用することもできる。もちろん当該部材を省略することも可能である。
【0083】
前記した様に横方向ガイド78の正面及び裏面には、図示しない蓋部材が設けられており、カム75及びカム包囲玉軸受け93が横方向ガイド78から脱落することはない。
前記した様にカム包囲玉軸受け93は、横方向ガイド78の長方形の枠内にあり、水平部材108,108の内面と常時接しているので、カム75及びカム包囲玉軸受け93は、水平方向にのみ自由度を持ち、上下方向には移動できない。
【0084】
横方向ガイド78は固定側フレーム73に取り付けられている。また横方向ガイド78から突出した突起(ストッパー)69は、ストッパープレート76側に向かって突出している。
【0085】
またモータ内蔵ローラ72の中心軸74a,74bのカム取付け部分よりも先端側の部位にはストッパープレート76が取り付けられている。ストッパープレート76についても六角形の軸と六角形の貫通孔100が嵌合し、両者は相対回転しない。従ってストッパープレート76はモータ内蔵ローラ72の中心軸74a,74b及び前記したカム75と同期的に回転する。また前記した横方向ガイド78から突出した突起(ストッパー)110は、ストッパープレート76の周部に設けられた突出部98の回転軌跡内に突出している。
【0086】
さらに中心軸74a,74bの先端側は、高さ方向ガイド77の摺動体102に挿通されている。摺動体102には前記した様に玉軸受け106が嵌め込まれており、モータ内蔵ローラ72の中心軸74a,74bの先端側は玉軸受け106の内輪に挿入されている。従ってモータ内蔵ローラ72の中心軸74a,74bと摺動体102は、相対回転を許す。
【0087】
前記した様に高さ方向ガイド77の摺動体102は、外枠部材101の柱部材103に沿ってのみ移動でき、本実施形態では、柱部材103は垂直方向に立設されているので、摺動体102は天地方向にのみ移動する。また摺動体102に挿入されたモータ内蔵ローラ72の中心軸74a,74bも同様であり、天地方向にのみ移動可能である。
【0088】
また前記した高さ方向ガイド77の外枠部材101側は固定側フレーム73に取り付けられ、摺動体102は横方向搬送部81に取り付けられている。
【0089】
モータ内蔵ローラ72と横方向搬送部81の位置関係を見ると、モータ内蔵ローラ72の真上に横方向搬送部81の横搬送用コロ115の列があり、横搬送用コロ115の軸線と投影線はモータ内蔵ローラ72の軸線と重なる。そして前記した様にモータ内蔵ローラ72のローラ本体7の両端近傍に環状の溝83が設けられているが、当該環状の溝83の真上には横方向搬送部81の両端から二番目の横搬送用コロ115b,115eが位置する。
そしてローラ本体7の両端近傍に設けられた環状の溝83とその真上に位置する横搬送用コロ115b,115eの各中央のV溝128の間にベルト82が懸架されている。
【0090】
ここでモータ内蔵ローラ72のローラ本体7の環状の溝83と横搬送用コロ115b,115eは回転軸が交差関係(より正確には食い違い関係)にあり、溝83とV溝128はねじれ位置にあるが、本実施形態では、両者の間にベルト82をたすき掛け状に懸架している。即ちローラ本体7の環状の溝83と横搬送用コロ115b,115eは食い違い関係にあり、ねじれているが、両者の中心を通過する垂直線同士は一致する。加えて横搬送用コロ115b,115eの中央のV溝128は深い。そのためベルト82はややねじられるものの、環状の溝83及び中央のV溝128を離脱せず、両者の間に動力を伝動することができる。即ち本実施形態では、ねじれ位置に懸架されたベルト82が回転軸変更機構となっている。
【0091】
従ってクロスコンベア71では、モータ内蔵ローラ72のローラ本体7が回転すると、ベルト82が走行して動力入力部材たる横搬送用コロ115b,115eが回転する。そして全ての横搬送用コロ115a〜115fがベルト131a〜131eによって連動するので、モータ内蔵ローラ72のローラ本体7が回転すると、横方向搬送部81の全ての横搬送用コロ115a〜115fが同期的に回転する。
【0092】
また筒体側抵抗部材80は、モータ内蔵ローラ72のローラ本体7の上部にあり、筒体側抵抗部材80の半円状の切り欠き部111はモータ内蔵ローラ72のローラ本体7と接している。そして筒体側抵抗部材80のピン状の突起112が図示しない保持孔に挿通され、その上部のネジ部にナットを係合されている。そのため筒体側抵抗部材80は、ピン状の突起112をガイドとして昇降可能であるが離脱することはない。また図12の様にピン状の突起112にはバネ89が挿通されて、半円状の切り欠き部111を常時モータ内蔵ローラ72のローラ本体7に押圧している。そのため筒体側抵抗部材80は、モータ内蔵ローラ72のローラ本体7に常時一定の抵抗を付与している。
【0093】
クロスコンベア71は、搬送装置70の先端側の搬送モジュール2を構成するローラ5とモータ内蔵ローラ6との間にそれぞれ1基ずつ設けられている。即ち、搬送装置70は、先端側の搬送モジュール2が縦方向に物品を搬送するローラ5およびモータ内蔵ローラ6と、横方向に物品を搬送するクロスコンベア71とを備えている。
【0094】
次に本実施形態の搬送装置70に採用されているクロスコンベア71の作用を図21、図22を参照しつつ説明する。図21は、前記した様に本実施形態のクロスコンベア71の動作を示す説明図であり、モータ内蔵ローラ72と、カム75とカム包囲玉軸受け93と横方向ガイド78と高さ方向ガイド77と横方向搬送部81との位置関係を示すものである。
【0095】
即ち、大円はモータ内蔵ローラ72のローラ本体7を示し、最も小さい円はモータ内蔵ローラ2の中心軸74a,74bを示す。また中心軸74a,74bの外側にあって偏心した円は、カム75を示す。さらにカム75を取り巻く円はカム包囲玉軸受け93を示している。また縦横にのびる平行線は、横方向ガイド78と高さ方向ガイド77を示している。
【0096】
本実施形態のクロスコンベア71では、前記した様にカム包囲玉軸受け93は、横方向ガイド78の長方形の枠内にあり、水平部材108,108の内面と常時接しているので、カム75及びカム包囲玉軸受け93は、水平方向にのみ自由度を持ち、上下方向には移動できない。
【0097】
また前記した様に高さ方向ガイド77の摺動体102は、外枠部材101の柱部材103に沿ってのみ移動できるので、摺動体102に挿入されたモータ内蔵ローラ72の中心軸74a,74bは天地方向にのみ移動可能である。
【0098】
さらに横方向搬送部81は摺動体102に接合されているから、横方向搬送部81はモータ内蔵ローラ72の中心軸74a,74bの移動に伴って動く。
【0099】
また図22は、前記した様に本実施形態のクロスコンベア71の正転時における動作を示す説明図であり、モータ内蔵ローラ72の中心軸74a,74bと、ストッパープレート76とストッパー(突起)110との位置関係を示す。即ち中心の六角形がモータ内蔵ローラ72の中心軸74a,74bを示す。またその周囲の突出部98を有する円は、ストッパープレート76を示す。さらに外側の四角形は横方向ガイド78であり、下部の二重円はストッパー(突起)110である。
【0100】
本実施形態のクロスコンベア71では、カム75及びカム包囲玉軸受け93は、横方向ガイド78の長方形の枠内にあり、上下方向には移動できない。またカム75及びカム包囲玉軸受け93を保持する横方向ガイド78は固定側フレーム73に取り付けられているから、カム75及びカム包囲玉軸受け93の回転軸たるモータ内蔵ローラ72の中心軸74a,74bの高さは、カム75の姿勢(回転角度)によって決定される。
【0101】
さらに前記した様にモータ内蔵ローラ72の中心軸74a,74bは、高さ方向ガイド77の摺動体102に取り付けられており、摺動体102は、天地方向にのみ移動可能であるから、モータ内蔵ローラ72の中心軸74a,74bは天地方向にのみ移動できる。
【0102】
従って横方向ガイド78及び高さ方向ガイド77の作用により、モータ内蔵ローラ72の中心軸74a,74bは、高さ方向にのみ自由度を持つ。さらにモータ内蔵ローラ72の中心軸74a,74bの高さは、カム75の姿勢(回転角度)によってのみ決定される。また横方向搬送部81は摺動体102を介してモータ内蔵ローラ72の中心軸74a,74bと連結されているから、横方向搬送部81の高さについてもカム75の姿勢(回転角度)によってのみ決定される。
【0103】
上記実施形態では、ダクト61が緩やかに屈曲した形状であったが、天井裏64に設けられた電気配線や配管等の都合により、屈曲部分が図10に示すように直角あるいは直角に近い形状のダクト135を設置せざるを得ない場合がある。上記したように、搬送装置1は、隣接する搬送モジュール2のフレーム3L同士の間隔およびフレーム3R同士の間隔を調整することにより、搬送方向に対して左右に屈曲させることができるが、図10に示すダクト135のように搬送路136と搬送路137とが直角あるいは直角に近い角度で交差している場合は、単一の搬送装置1でダクト135に沿った搬送路を形成するのは困難である。
【0104】
この場合、図10に示すように、本実施形態の搬送装置70と上記した搬送装置1とを組み合わせることにより、屈曲部68が直角あるいは直角に近いダクト135であっても搬送経路を形成し、搬送設備134を構築することができる。以下、ダクト135に搬送装置1,70を設置し、搬送設備134を構築する方法について詳細に説明する。
【0105】
ダクト135内には、搬送路135に沿って2本の空気導入管65a,66aが平行に配置されている。また同様に、ダクト135の搬送路136には、空気導入管65b,66bが設置されている。空気導入管65a,65b,66a,66bはいずれも上記した空気導入管65,66と同様にホース状であり、外部から空気を導入することにより膨張し、管径がdとなる。
【0106】
ダクト135は、搬送路136に連通した開口138と、搬送路137に連通した開口140とを有する。搬送装置1,70の設置に先立って、空気導入管65a,65b,66a,66bに空気が導入される。空気導入管65a,65b,66a,66bの管径がdとなると、先ず上記第1実施形態と同様にして搬送装置70を設置する。さらに詳細には、開口138から搬送装置1の先端側の搬送モジュール2をダクト135内に押し入れ、膨張した空気導入管65a,66a上にローラ5およびモータ内蔵ローラ6を搭載する。
【0107】
続いて、搬送モジュール1の主電源(図示せず)を投入し、モータ内蔵ローラ6を駆動させる。モータ内蔵ローラ6を駆動させると、それに連動して搬送モジュール2のローラ5が回転を開始する。先端側の搬送モジュール2は、モータ内蔵ローラ6およびローラ5の回転回転動力により空気導入管65a,66a上を図10の矢印I1 方向に自走すると共に、搬送モジュール2の駆動力によりこの搬送モジュール2に後続する搬送モジュール2を順次ダクト135内へ引き込む。
【0108】
搬送装置70の先端側にある搬送モジュール2が空気導入管65a,66a上を移動し、ダクト135の屈曲部に衝突すると、モータ内蔵ローラ6への電力の供給を停止し、搬送装置70を停止させる。続いて、搬送装置70の下方に敷設されている空気導入管65a,66aから空気を排出することにより、搬送装置70の搬送路137内への敷設作業が完了する。
【0109】
続いて、搬送装置1をダクト135の搬送路137内に設置する。即ち、搬送装置1の先端側の搬送モジュール2を開口140からダクト135内に導入し、空気により管径がdとなるまで膨張した空気導入管65b,66b上に搭載する。その後、搬送装置1に通電し、各搬送モジュール2のモータ内蔵ローラ6を駆動させることにより、搬送装置1を順次図10の矢印I2 方向に引き込む。搬送装置1が搬送路137内に引き込まれ、先端側の搬送モジュール2が、予め搬送路136内に設置された搬送装置70の先端側の搬送モジュール2に衝突すると、搬送装置1への通電を停止する。搬送装置1の駆動が停止すると、搬送装置1の下方に敷設されている空気導入管65b,66bから空気を排出することにより、搬送装置1の設置が完了する。
【0110】
続いて、上記した手順でダクト135内に設置された搬送装置1,70を用いた物品の搬送手順を示す。なお、以下において、物品は搬送装置70が設置された搬送路136側から搬送路137側に搬送されるものとする。
【0111】
本実施形態の搬送設備134において、搬送装置70に搭載された物品は、上記した搬送装置1と同様にして下流側(図10中 矢印I1 方向)に向けて搬送される。搬送装置70の最下流側の搬送モジュール2、即ちクロスコンベア71が設置された搬送モジュール2まで物品が移動すると、当該搬送モジュール2のモータ内蔵ローラ6が停止すると共に、クロスコンベア71が駆動を開始する。
【0112】
さらに詳細には、クロスコンベア71の横搬送用コロ115a〜115fは、搬送装置70の先端側にある搬送モジュール2のローラ5およびモータ内蔵ローラ6の間にあり、常時は図21(a)の様にカム75は、突出部分が上の位置にある。即ち、カム75の回転軸たるモータ内蔵ローラ72の中心軸74a,74bは、下部に位置する。従って横方向搬送部81についても低い位置にあり、横方向搬送部81の横搬送用コロ115は、いずれも搬送モジュール2の搬送面よりも下に沈んでいる。
またこの時、ストッパープレート76は図21(a)の様に突出部98が右上部に位置する回転角度にある。
【0113】
そして先端側の搬送モジュール2に搬送路137に設置された搬送装置1に移載すべき物品が至ると、クロスコンベア71のモータ内蔵ローラ72に内蔵されているモータ16に通電される。モータ16に通電されると、ローラ本体7と中心軸74a,74bのいずれかが回転することとなるが、上記したタイミングの場合は、中心軸74a,74bが優先的に回転する。
【0114】
即ち、本実施形態のクロスコンベア71では、モータ内蔵ローラ72のローラ本体7に筒体側抵抗部材80が接し、さらに筒体側抵抗部材80はバネ89によって常時ローラ本体7に向かって押圧されている。そのためローラ本体7には相当の負荷抵抗がかかり、回りにくい。これに対して中心軸74a,74bは抵抗は比較的少ないから、抵抗の高いローラ本体7が停止し、抵抗の軽い中心軸74a,74bが回転する。その結果、中心軸74a,74bと一体に一体的に取り付けられたカム75が図21(b)(c)の様に回転する。前記した様に横方向搬送部81の高さはカム75の姿勢(回転角度)によってのみ決定されるが、カム75が回転して図21(b)の様にカム75の突出部分が水平方向の位置に至る。さらに回転が進行し、図21(c)の様にカム75の突出部分が上方向の位置に至る過程では、中心軸74a,74bの位置が次第に上昇する。その結果、横方向搬送部81は次第に上昇し、遂には横方向搬送部81の横搬送用コロ115が、搬送モジュール2の搬送面よりも上方に突出して物品をすくい上げる。
【0115】
一方、ストッパープレート76は中心軸74a,74bに一体的に固定されているので、前記したカム75と同期的に回転する。即ち、図21(b)の様にカム75の突出部分が水平方向の位置に至った際には、ストッパープレート76は図22(b)の様に略水平位置に突出部98が至る。またさらに中心軸74a,74bが回転してカム75の姿勢が図21(c)の様になると、ストッパープレート76の突出部98が図22(c)の様に右下の位置に至り、ストッパーたる突起110に衝突する。その結果、中心軸74a,74bに極めて大きな抵抗がかかり、中心軸74a,74bの回転が阻止される。
【0116】
そして前記した様にモータ16に通電されると、ローラ本体7と中心軸74a,74bのいずれかが回転するが、ストッパープレート76の突出部98が図22(c)の様にストッパー(突起)110と接すると中心軸74a,74bが全く回転できないから、筒体側抵抗部材80の抵抗力に抗してモータ内蔵ローラ72のローラ本体7が回転を開始する。
【0117】
その結果、ローラ本体7に懸架したベルト82が走行し、動力入力部材たる横搬送用コロ115b,115eに回転を伝え、さらにベルト131a〜131eを介して横方向搬送部81の全ての横搬送用コロ115a〜115fが回転する。そのためクロスコンベア71によってすくい上げられた物品は、横方向に移動し、搬送装置70の先端側の搬送モジュール2に隣接する搬送装置1の搬送モジュール2へと移載される。
【0118】
搬送装置70上を移動してきた物品が、搬送装置1に移載されると、クロスコンベア71のモータ内蔵ローラ72を逆方向に回転させる。ここでモータ内蔵ローラ72を逆方向に回転させると横方向搬送部81の横搬送用コロ115a〜115fが回転を停止し、横方向搬送部81が降下を開始する。
【0119】
即ち、モータ内蔵ローラ72を逆方向に回転させると、図22(c)から図22(b)の様にストッパープレート76の突出部98がストッパー(突起)110から離れる方向に移動する。一方、モータ内蔵ローラ72のローラ本体7は、筒体側抵抗部材80によって常時抵抗がかけられているから、抵抗の軽い中心軸74a,74b側が回転する。そして逆回転を開始してから、回転数のカウントを開始し、所定の回転数に至った時にモータ16を停止する。即ち図22(a)の様にカム75は、突出部分が上の位置となり、図21(a)の様に横方向搬送部81が沈んだところでモータ16を停止する。
【0120】
物品が搬送装置70から搬送装置1へと移載されると、搬送装置1の搬送モジュール2が順次駆動を開始し、物品を搬送装置1の下流側に搬送する。
【0121】
上記したように、搬送モジュール2に物品の搬送方向を変換するクロスコンベア71等を設け、複数の搬送モジュール1,70を組み合わせれば、ダクトの形状がいかなる形状であっても搬送設備134を容易に形成することができ、物品を所望の位置まで確実に搬送することができる。
【0122】
上記した第1実施形態、並びに、第2実施形態では、ダクト61,135内に空気導入管65,66を設け、搬送装置1,70を自走させることにより搬送装置1,70を設置する方法を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。さらに詳細には、開口67,138,140を介して順次搬送モジュール2をダクト61,135内に押し込んでいくことによっても、搬送装置1,70をダクト61,135内に設置することができる。
【0123】
また、上記した各実施形態では、搬送装置1として、搬送方向に短尺のローラコンベアからなる搬送モジュール2を複数連結したものを例示したが、複数ある搬送モジュール2のうち少なくとも1基はベルトコンベアであってもよい。また、上記した搬送装置1,70を構成する搬送モジュール2は、いずれも1本のローラ5と、2本のモータ内蔵ローラ6とを組み合わせたものであったが、搬送モジュール2はいかなる構成を有するものであってもよい。また、搬送モジュール2は、単一のローラ5あるいはモータ内蔵ローラ6で構成されていてもよい。
【0124】
なお、上記各実施形態においては、電気絶縁性等を考慮し、搬送装置1,70を昇降させる昇降手段として、絶縁性の高い空気を導入することにより膨張する空気導入管65,66を設けた構成を例示したが、昇降手段はこれに限らず、液体等を導入すると膨張するホース等をはじめとしてあらゆるものを採用可能である。また、上記実施形態においては、メンテナンスのために搬送装置1,70をダクト61,135内から取り出す場合の利便性を考慮し、空気導入管65,66を常時ダクト61,135内に設置しておく構成を例示したが、搬送装置1,70の設置後に空気導入管65,66をダクト61,135内から取り出してもよい。
【0125】
また、上記実施形態においては、搬送モジュール2同士を連結板50によって連結した構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば搬送モジュール2の一部又は全部をゴムやバネ等の可撓性を有する部材で連結した構成とすることも可能である。
【0126】
上記実施形態では、搬送装置1,70を天井裏64に設けられたダクト61,135内に設置した構成を例示したが、ダクト61,135は地下等のいかなる場所に設置されたものであってもよい。また、搬送設備58,134は、搬送装置1,70を筒状のダクト61,135内に設置したものであったが、本発明の搬送設備は、ダクト61,135に限らずレール等のいかなるガイド部材に沿って搬送装置1,70を設置したものであってもよい。
【0127】
【発明の効果】
本発明の搬送装置によれば、搬送モジュールの連結部分において上下方向及び/又は左右方向に屈曲させることにより、搬送装置を様々な形状に変形させることができ、天井裏や地下のダクト内のように従来技術の搬送装置では設置が困難であった場所にも搬送装置の設置を容易に行える。
【0128】
また、本発明の搬送設備は、上記した搬送装置を備えたものであるため、搬送装置をダクトの形状にあわせて設置することができる。そのため、本発明の搬送設備は、電気配線や配管などの都合に応じてダクト等のガイド部材の形状を比較的自由に屈曲させることができる。
【0129】
また、本発明の搬送設備の設置方法によれば、ダクト等のガイド部材への搬送装置の設置およびメンテナンスを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である搬送装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す搬送装置において採用されている搬送モジュールを示す斜視図である。
【図3】図1に示す搬送装置において採用されているモータ内蔵ローラの内部構造を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態である搬送設備を示す平面図である。
【図5】図4に示す搬送設備を構築す方法を示す模式図である。
【図6】図1に示す搬送装置をダクト内に設置した状態を示す側面図である。
【図7】図1に示す搬送装置の設置作業中におけるダクト内の様子を示す側面図である。
【図8】本発明の一実施形態である搬送設備を示す斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態である搬送装置を示す斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態である搬送設備を示す平面図である。
【図11】本発明の第2実施形態の搬送装置に採用されているクロスコンベアの斜視図である。
【図12】図11に示すクロスコンベアの要部の分解斜視図である。
【図13】図11のクロスコンベアの搬送手段のコロ列の斜視図である。
【図14】図11に示すクロスコンベアのA−A断面図である。
【図15】図11のクロスコンベアの平面図である。
【図16】図11のクロスコンベアの側面図である。
【図17】図11のクロスコンベアで採用するカムの斜視図である。
【図18】図11のクロスコンベアで採用するストッパープレートの斜視図である。
【図19】図11のクロスコンベアで採用する筒体側抵抗部材の斜視図である。
【図20】図11のクロスコンベアで採用する横搬送用コロの断面図である。
【図21】図11のクロスコンベアの動作を示す説明図であり、モータ内蔵ローラと、カムとカム包囲玉軸受けと横方向ガイド部材と高さ方向ガイド部材と横方向搬送部とローラコンベアとの位置関係を示す。
【図22】図11のクロスコンベアの正転時における動作を示す説明図であり、モータ内蔵ローラの回転軸と、ストッパープレートとストッパーとの位置関係を示す。
【図23】図11のクロスコンベアの逆転時における動作を示す説明図であり、モータ内蔵ローラの回転軸と、ストッパープレートとストッパーとの位置関係を示す。
【符号の説明】
1,70 搬送装置
2 搬送モジュール
3 フレーム
5 ローラ
6 モータ内蔵ローラ
40 コントローラ
50 連結板
58,134 搬送設備
61,135 ダクト
65,66 空気導入管
71 クロスコンベア
Claims (10)
- 物品を搭載して搬送する複数の搬送モジュールが直列に連結された搬送装置において、前記搬送モジュールは、隣接する搬送モジュール同士を連結する連結部材を有し、搬送モジュールは、連結部材によって物品の搬送方向に対して上下方向及び/又は左右方向に屈曲自在に連結されていることを特徴とする搬送装置。
- 搬送モジュールは、物品の搬送方向の長さが、物品の搬送面の幅よりも短いことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
- 連結部材は、一対のフレーム部材の双方に設けられており、それぞれが独立的に隣接する搬送モジュールのフレーム同士を近接・離反自在に連結することを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置。
- 搬送装置を構成する複数の搬送モジュールのうち、少なくともいずれか一つは、固定軸に対して回転自在に支持されたローラ本体内にモータが内蔵され、当該モータの回転動力が前記ローラ本体に伝達されることでローラ本体が固定軸に対して回転駆動するモータ内蔵ローラを備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の搬送装置。
- 一又は複数の搬送モジュールは、当該搬送モジュールに隣接する搬送モジュールにおける物品の搬送状況に応じて駆動することを特徴とする請求項 1乃至4のいずれかに記載の搬送装置。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の搬送装置と、当該搬送装置を案内するガイド部材とを有することを特徴とする搬送設備。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の搬送装置と、当該搬送装置を案内するガイド部材とを具備し、当該搬送装置の物品の搬送面とガイド部材との間には、気体あるいは液体を供給することにより前記搬送面の一部又は全部をガイド部材の底面より上方に押し上げる昇降装置が設けられていることを特徴とする搬送設備。
- ガイド部材はダクトであることを特徴とする請求項6又は7に記載の搬送設備。
- 搬送装置を案内するガイド部材を敷設する工程と、外部から搬送装置を搬入し、当該搬送装置を前記案内部材に沿うように押し込む工程とを有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の搬送設備の設置方法。
- 搬送装置を案内するガイド部材を設置する工程と、搬送装置の一部又は全部をガイド部材の底面より上方に浮上させる昇降装置を前記ガイド部材に沿って敷設する工程と、搬送装置の一部又は全部を昇降装置の上に搭載する工程と、当該昇降装置を駆動させ、搬送装置を浮上させる行程と、搬送装置に通電し、搬送面を駆動させる工程と、前記昇降装置を下降させる工程とを有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の搬送設備の設置方法。
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