JP2004074554A - インクジェット印刷機 - Google Patents

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Masaki Kono
河野 正樹
Tomio Ando
安藤 富雄
Masaru Masuda
増田 勝
Masae Motoki
本木 正栄
Atsushi Yanaka
矢仲 厚志
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Abstract

【課題】精密・大型化が進むインクジェット印刷機の印字手段に関して、効率よく安定した保守作業を行う手段を備えたインクジェット印刷機を提供すること。
【解決手段】記録媒体を積載もしくは支持して送り出す搬送手段と、前記搬送手段上の、前記記録媒体に液体記録材の微小液滴を吐出して画像形成する印刷手段と、前記印刷手段をメンテナンスするための保守手段とを備えたインクジェット印刷機において、前記印刷手段の下方に進退可能な第1搬送部と、該第1搬送部と対峙する第2搬送部からなる搬送手段とから構成されているインクジェット印刷機を提供する。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、記録媒体上に液体記録材を吐出させることにより記録を行うインクジェット印刷機に関するものであり、特に印刷手段の液体記録材吐出部の保守手段に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット印刷機は、インク等の液体記録材を印刷手段に内蔵された複数の微少なノズル口から、液滴径、吐出速度などを一定に保ちながら吐出させることにより用紙等の記録媒体に画像を形成する装置である。実際の画像の形成は、前記印刷手段を前記記録媒体に対して相対的に移動させることによって行う。通常のインクジェット印刷機では、大きな領域に印刷するために、前記記録媒体の搬送方向に対して垂直な方向に前記印刷手段を走査させることによって画像を得る方式が一般的で、前記記録媒体は前記印刷手段動作中には停止しており、前記印刷手段の往復運動の際のわずかな停止期間内で、間欠的に搬送される。
【0003】
また、前記ノズル口は非常に微細であるため、前記液体記録材内の異物や、前記ノズル口を有する吐出部表面の汚れ、または前記吐出部表面の傷、もしくは長期放置による前記液体記録材自体の変質などにより、吐出する液滴の状態に影響が出易く、場合によっては前記ノズル口が詰まって吐出不可能になることもある。このような事情を鑑みて、記録媒体上に液体記録材を吐出させることにより記録を行うインクジェット印刷機においては、定期的に前記ノズル口を有する吐出部表面等の保守点検を自動ないし手動で行なっているが、従来のインクジェット印刷機では保守を行う際、前記印刷手段全体を本来、印刷時にあるべき位置から別な場所に移動させた後、保守動作を行なうといった方法が一般的であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、昨今インクジェット印刷機はノズル口の数とインクの種類を容易に増加できるのでカラー化および高精細化が急速に進み、前記液体記録材を吐出するノズル口の径やピッチが非常に小さくなってきている。また、市場の高速印刷への要求も高まり、印刷手段の大型化が進んでいる。
【0005】
このため、今まで以上に頻繁に印刷手段の保守作業が必要となってきている反面、高精細化および高速化によって印字手段の精密・大型化が進み、その結果として印字手段自体を高速で走査させたり、保守作業の度に印字手段を特定の位置に移動させる事が困難になってきている。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、精密・大型化が進むインクジェット印刷機の印字手段に関して、効率よく安定した保守作業を行なう手段を備えたインクジェット印刷機を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するべくなされた請求項1記載の発明は、記録媒体を積載もしくは支持して送り出す搬送手段と、前記搬送手段上の、前記記録媒体に液体記録材の微小液滴を吐出して画像形成する印刷手段と、前記印刷手段をメンテナンスするための保守手段とを備えたインクジェット印刷機において、前記印刷手段の下方に進退可能な第1搬送部と、該第1搬送部と対峙する第2搬送部からなる搬送手段とから構成されていることを特徴とするインクジェット印刷機である。
【0008】
この構成により、前記第1搬送部を後退させることによって、前記印刷手段下方の空間が開放されるため、前記印刷手段を印刷時の位置に固定したまま保守作業を行なう事が容易となる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記第1、および第2搬送部が、無端ベルトコンベアからなることを特徴とする、請求項1記載のインクジェット印刷機である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記第1搬送部が、伸縮自在な無端ベルトコンベアーであることを特徴とする、請求項2記載のインクジェット印刷機である。
この構成により、前記第1搬送部であるベルトコンベアーを縮めることによって、前記印刷手段下方の空間が開放されるため、前記印刷手段を印刷時の位置に固定したまま保守作業を行なう事が容易となる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記搬送手段は、第1の搬送部の表面に開口が複数設けられており、前記開口の下方にエアーチャンバー室を備えたことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット印刷機である。
【0012】
このような構成とすることにより、複数の開口部のあるエアーチャンバー室の内部を負圧にすることにより、前記第1搬送部の開口部から流入する空気によって、前記搬送手段上の記録媒体を第1搬送部表面に密着保持させることを特徴とするものである。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記エアーチャンバー室は、前記無端ベルトコンベアーの伸張方向に移動自在に設置され、前記無端ベルトコンベアー伸縮時に前記折り返しローラーおよび前記端ローラーと一体となって、前記無端ベルトコンベアーの伸張方向に移動することを特徴とする、請求項4記載のインクジェット印刷機である。
【0014】
この構成により、前記記録媒体の搬送中の浮きあがりや、前記無端ベルト表面とのずれなどが最小限に抑えられ、前記記録媒体と前記印刷手段との相対的な距離や速度を高い精度で一定に保つことができるため、高品質の印刷が容易となる。
【0015】
また、前記ベルトコンベアー伸縮動作時にも常に前記エアーチャンバー室内の負圧によって前記記録媒体をベルト表面に密着保持することが可能になる。例えば前記記録媒体が枚葉の用紙で一定の間隔を空けて連続して搬送されている場合などにおいて、搬送されている用紙と用紙の間で前記ベルトコンベアーを伸縮させて前記印刷手段の空打ちなどを行なう際に、次に搬送されてくる前記用紙が前記印刷手段の近傍に近づくまで前記ベルトコンベアーを縮めておき、前記用紙の搬送速度と同じ速度で前記ベルトコンベアーを伸長させることにより、タクトタイムを稼ぎつつ前記印刷手段下において安定した搬送を行うことが容易となる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、前記保守手段は、前記印刷手段の液体記録材の吐出部を覆い隠して外気と断絶する遮断手段と、前記印刷手段によって空吐出された前記液体記録材の微少液滴を受ける回収手段と、前記吐出部から強制的に圧力をかけて排出させた前記液体記録材を受け止め、更に前記吐出部の表面に残留した異物や前記液体記録材を負圧により除去する清掃手段とを備えたことを特徴とする、請求項1記載のインクジェット印刷機である。
【0017】
前記遮断手段により、空気中の埃や前記記録媒体からの初塵などによる前記印刷手段の前記液体記録材吐出部の汚染を防いだり、前記液体記録材の乾燥を防ぐことによって前記ノズル口の目詰まり等を防止することが容易となる。
また、前記清掃手段により、前記液体記録材中の異物が万が一前記ノズル口に詰まった場合でも取除くことが容易となり、前記の空気中の埃や前記記録媒体からの初塵等が前記液体記録材吐出部に万が一付着しても、これを取除いて元の状態に復帰させることが容易となる。さらに、前記回収手段により、例えば印刷中のような前記遮断手段が使用できない場合でも、前記記録部材が枚葉紙の場合は、用紙と用紙の間隔で前記液体記録材を空吐出させることによって、前記液体記録材の乾燥による目詰まりや、前記初塵物質等による前記液体吐出部の汚染を防ぐことが容易となる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、前記保守手段は、前記遮断手段、前記清掃手段、および前記回収手段が、前記記録媒体の搬送面に平行で、かつ前記第1搬送部の進退方向に垂直な方向に一列に並んでおり、これらが一体となって前記記録媒体の搬送面に平行で、かつ前記第1搬送部の進退方向に垂直な方向、および、前記記録媒体の搬送面に垂直な方向に移動自在に支持されていることを特徴とする、請求項6記載のインクジェット印刷機である。
【0019】
この構成により、前記印刷手段の保守作業を行なう際に、前記保守手段の中で必要な構成要素(前記遮断手段、前記清掃手段、前記回収手段)が前記印刷手段の真下に位置するように、前記保守手段全体を前記記録媒体の搬送面に平行で、かつ前記第1搬送部の進退方向に垂直な方向に移動させることが可能となり、特に、前記遮断手段、前記清掃手段を用いる場合には、前記保守手段全体を、前記記録媒体の搬送面に垂直な方向に移動させ、前記遮断手段、または前記清掃手段を前記印刷手段に近づけることが可能となるため、前記印刷手段を固定したまま一連の保守作業を行なうことが容易となる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、前記搬送手段は、前記記録媒体の位置を検知する位置検出手段を備えたことを特徴とする、請求項1記載のインクジェット印刷機である。
この構成により、前記搬送手段にの第1搬送部の進退のタイミングを検知することが可能となり、例えば、前記記録媒体が枚葉の用紙であった場合、前記印刷手段の空打ちなど行なう際に、用紙と用紙の間隔が前記印刷手段近辺を通過する間のみ空打ちをすることが容易となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本実施形態のインクジェット印刷機について説明する。
【0022】
図1は、本発明によるインクジェット印刷機の一実施例の構成を説明する図であって、1は、画像を形成する印刷手段、2は、前記印刷手段1のための保守手段、3は、伸縮自在な無端ベルトコンベアー(第1搬送部)、4は、前記第1搬送部3と対峙する、通常の無端ベルトコンベアー(第2搬送部)、5aは、無端ベルトコンベアー3の、伸張方向に移動自在に支持されている下流側の端ローラー、5bは、無端ベルトコンベアー3の、伸張方向に移動自在に支持されている折り返しローラー、5cは、無端ベルトコンベアー3の、折り返しローラー、5dは、無端ベルトコンベアー4の、上流側の端ローラー、6は、無端ベルトコンベアー3の、ベルトに構成された複数の開口(等間隔で複数設けられた中の一つを示す)、7は、矩形状のエアーチャンバー室、8は、前記エアーチャンバー室7の上面に構成されたスリット状の開口部、9は、負圧発生装置、10は、前記負圧発生装置9と、エアーチャンバーを繋ぐ柔軟性のある導管である。
また、Aは、搬送中の記録媒体である。なお、伸縮自在な無端ベルトコンベアー3の上流側、および無端ベルトコンベアー4の下流側は、省略してある。
【0023】
図2は、本発明によるインクジェット印刷機の一実施例の構成を説明する要部説明図であって、図1における保守手段2の詳細構造を示す。2aは、印刷手段の液体記録材の吐出部を覆い隠す遮断手段、2bは、印刷手段より空吐出された液体記録材を受ける回収手段、2cは、印刷手段の液体記録材の、吐出部表面を清潔な状態に保つための清掃手段である。また、Y、Zは、保守手段2の移動自在な方向を示す。
【0024】
図1に示すように、搬送手段である無端ベルトコンベアー3、4が、直列に並んだ状態で、図示しない機台上に水平に設置されており、Xの方向に回転して用紙等の記録媒体Aを送り出す。
印刷手段1が、前記無端ベルトコンベアー3の、下流側の端部上方に一定の間隔(少なくとも1mm以上の隙間)を設けて、支持体(図示していない)によって、前記機台(図示しない)に固定されており、この下を、前記記録媒体Aを通過させながら、インク等の液体記録材の微少液滴を吐出して画像形成する。
【0025】
前記無端ベルトコンベアー3の下流側のベルトは、ローラー5a、5b、5cを介して伸張したまま、折り返された状態で掛けられている。 そして、前記無端ベルトコンベアー3の端ローラー5aと、折り返しローラー5bは、支持部材(図示しない)を介して一体となっており、ベルト伸張方向に移動自在に設置されている。
【0026】
従って、前記ローラー構成部が、ベルト伸張方向に稼働することにより、ベルトを一定の張力で伸張したまま、前記無端ベルトコンベアー3の全長を伸縮させることが可能となる。また、高さ方向に薄い矩形状のエアーチャンバー室7が、前記端ローラー5aと、前記折り返しローラー5bの間の位置に、上下をベルトで挟まれる形で設置されている。前記エアーチャンバー室7の上面には、スリット状の開口部8が設けられ、前記無端ベルトコンベアー3のベルトには、前記スリット状の開口部8に対応した幅位置に複数の開口6が、等間隔で1周分設けられているため、前記エアーチャンバー室7の内部の空気は、前記無端ベルトコンベアー3のベルトを介して常に大気に導通している。
【0027】
また、前記エアーチャンバー室7は、柔軟で変形自在な導管10を経由して負圧発生手段9と接続されており、前記負圧発生装置9を稼働させることにより、前記エアーチャンバー室8の内部が負圧となって、前記無端ベルトコンベアー3の、ベルトの開口6より空気を吸い込むことが可能となる。
これによって、記録媒体Aを、前記無端ベルトコンベアー3の表面に密着保持したまま搬送することができ、前記印刷手段1近辺を高い精度で搬送することが容易となる。
【0028】
更に、前記エアーチャンバー室7は、図示しない前記支持部材によって、前記端ローラー5a、および前記折り返しローラー5bと一体化されており、前記無端ベルトコンベアー3のベルト伸張方向に移動自在である。
これにより、前記無端ベルトコンベアー3の伸縮時には、前記エアーチャンバー室7も一緒になってベルト伸縮方向に稼働するので、常にベルトの開口6から空気を吸入することが出来るようになり、前記記録媒体を密着保持できる。
【0029】
また、保守手段2は、伸縮可能な前記無端ベルトコンベアー3、および前記エアーチャンバー室7を介する形で、前記印刷手段1の真下に設置されている。図2のごとく、前記保守手段2は、ガイドレール等(図示しない)によって、前記記録媒体Aの搬送面に平行で、かつ前記無端ベルトコンベアー3の伸張方向に垂直な方向(この場合Y方向)および、前記記録媒体Aの搬送面に垂直な方向(この場合Z方向)に移動自在に支持されている。前記保守手段2は、遮断手段2a、回収手段2b、清掃手段2cの、3つの機能を持った部位で構成されている。前記遮断手段2aは、該上面が、前記印刷手段1の液体記録材吐出部よりも、わずかに大きな矩形状の凹部で構成されており、前記印刷手段1の、前記液体記録材の吐出部を、前記遮断手段2aの凹部にはめ込む形で覆い隠し、インク等の前記記録媒体の乾燥および劣化、前記記録媒体の吐出部への異物の付着、混入などを防止する。
【0030】
また、前記回収手段2bは、前記印刷手段1の、前記液体記録材吐出部の位置に合わせて、スリット状に開口した天板と、その内部の図示しない記録媒体回収手段から構成されている。前記印刷手段1は、同じ画像を連続して印刷している場合、常に使用していない液体記録材吐出部の目詰まりを起こす可能性が高くなる。このため、連続印刷中に定期的に全吐出部から液体記録材を空吐出させて、前記印刷手段1の液体記録材吐出部の目詰まりを防止する。前記清掃手段2cは、前記印刷手段1の液体記録材吐出部から、強制的に圧力をかけて排出させた前記液体記録材を溜める受け皿と、前記吐出部の表面に残留した異物や、劣化した液体記録材等を負圧により除去する吸引手段から構成されている。前記吸引手段上面の前記印刷手段1との接触部分には、板状の樹脂部材が設置されており、前記印刷手段1の液体記録材吐出部への接触による損傷を最小限に抑えつつ、異物や劣化した液体記録材等を掻き落とす効果がある。
また、前記吸引手段はY方向に可動自在であって、吸引しながら走査することによって、前記印刷手段1の液体記録材吐出部全面を清掃することが可能である。
【0031】
前記保守手段2の3つの手段を、固定された前記印刷手段1に適応するため、必要な手段が前記印刷手段1の真下に位置するように、前記保守手段2全体をY方向に移動させる。また、必要に応じて保守手段2全体をZ方向にも移動させる。例えば、回収作業から遮断作業への切替え時の動作を説明する(図3参照)。
【0032】
最初、前記回収手段2bが、前記印刷手段1の真下にあり、回収作業を行なっている(図3(a))。次に、前記印刷手段1の真下に、前記遮断手段が来る位置まで、前記保守手段2全体をY方向に移動する(図3(b))。
その後、前記保守手段2全体をZ方向に移動させて、前記印刷手段1の液体記録材の吐出部を覆い隠す。(図3(c))
【0033】
図4は、本発明のインクジェット印刷機において、保守手段2の清掃手段使用時の動作を説明する、無端ベルトコンベアー3の伸張方向の断面図である。本図は動作順序毎に(a)、(b)、(c)、(d)の符号を付加した。
【0034】
まず、図4(a)に示すように、前記無端ベルトコンベアー3の端ローラー5a、折り返しローラー5b、およびエアーチャンバー室7が、一体的に搬送方向Xと逆向きに稼働して、前記無端ベルトコンベアー3が縮み、前記無端ベルトコンベアー3と、無端ベルトコンベアー4との間に空間が出来る。この間に、前記保守手段2全体が、紙面に垂直な方向に稼働して、必要な手段(この場合清掃手段2c)が、前記印刷手段1の真下に来るように位置決めされる。
【0035】
次に、図4(b)に示すように、前記保守手段2の清掃手段の吸引手段上面部が、前記印刷手段1の液体記録材吐出部に接触する位置までゆっくりと上昇する。
【0036】
続いて、図4(c)に示すように、前記保守手段2全体が上昇したまま、前記保守手段2の清掃作業(液体記録材の強制排出および前記吸引部材による異物の掻取りなど)を行ない、清掃作業が完了次第、前記保守手段2全体が下降する。
【0037】
その後、図4(d)に示すように、前記無端ベルトコンベアー3の端ローラー5a、折り返しローラー5b、およびエアーチャンバー室7が、一体的に搬送方向Xと同じ向きに稼働して、前記無端ベルトコンベアー3が元の位置まで戻って、一連の作業が完了する。
【0038】
図5は、本発明のインクジェット印刷機において、保守手段2の回収手段を使用した、連続印字中の空吐出動作を説明する無端ベルトコンベアー3の伸張方向の断面図である。本図も、図4と同様に動作順序毎に(a)、(b)、(c)、(d)の符号を付加した。
【0039】
図5(a)は、用紙等の枚葉の記録媒体Aが、一定間隔を保って連続で、Xの方向に搬送されている状態を示す。本図は、前記記録媒体Aが、印刷手段1の下を通過して印刷を行なっている瞬間を示すものであり、11は、インク等の液体記録材の吐出軌跡である。
なお、12(a)、12(b)は、前記記録媒体Aの位置をリアルタイムに検出する位置検出手段であり、例えば、前記記録媒体Aの端部を検出する光電センサー等の検出手段と、ロータリーエンコーダー等による計数手段の組み合わせである。
【0040】
まず、図5(b)に示すように、前記位置検出手段12(a)、12(b)によって、前記記録媒体Aが、前記印字手段1の下方から下流側へ通過したことが確認された時点で、前記無端ベルトコンベアー3の端ローラー5a、折り返しローラー5b、およびエアーチャンバー室7が、一体的に搬送方向Xと逆向きに稼働して、前記無端ベルトコンベアー3が縮み、前記無端ベルトコンベアー3と無端ベルトコンベアー4との間に空間が出来る。この動作を行なう前に、あらかじめ、前記保守手段2全体が、紙面に垂直な方向に稼働して、必要な手段(この場合回収手段2b)が、前記印刷手段1の真下に来るように位置決めされている。その後、前記無端ベルトコンベアー3が縮みきったところで、前記保守手段2全体が、前記印刷手段1の液体記録材吐出部の近傍まで高速で上昇する。
【0041】
続いて、図5(c)に示すように、前記保守手段2全体が上昇したままの状態で、前記印刷手段1の空吐出を行ない、吐出された液体記録材11を前記回収手段にて回収する。その直後、前記保守手段2全体が、高速で下降する。
【0042】
なお、前記無端ベルトコンベアー3は、前記記録媒体Aの搬送速度とほぼ同速度で伸縮動作し、しかも、エアーチャンバー7が、前記無端ベルトコンベアー3と一緒に可動するので、伸縮動作中もベルトへの密着保持が可能となるため、前記記録媒体Aが、縮んだ状態の前記無端ベルトコンベアー3の下流端にたどり着く直前まで、前記無端ベルトコンベアー3を縮めておくことが可能となる。これにより、印字速度を高めた場合などにおいて、通常では空吐出の時間が十分取れない状況でも、前記位置検出手段12(a)、12(b)による細かな位置制御を行なうことにより、前記記録媒体Aの間隔を活かした十分な空吐出が行なえる。
【0043】
図5(d)は、空吐出が完了後、前記無端ベルトコンベアー3の端ローラー5a、折り返しローラー5b、およびエアーチャンバー室7が、一体的に搬送方向Xと同じ向きに稼働し、前記無端ベルトコンベアー3が元の位置まで戻る過程を示している。前記無端ベルトコンベアー3が完全に伸び切った状態で一連の空吐出動作が終了する。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、用紙等の記録媒体上にインク等の液体記録材を吐出させることにより、記録を行うインクジェット印刷機の印刷手段の保守手段において、精密・大型化が進み、その取り扱いが難しい印字手段に関しても、効率よく安定した保守作業を行なうことが可能となる。
【0045】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット印刷機の一実施例を示す説明図である。
【図2】本発明のインクジェット印刷機の保守手段の一実施例を示す説明図である。
【図3】本発明のインクジェット印刷機の保守手段における、回収手段から遮断手段への切り替え時の動作の説明図である。
【図4】本発明のインクジェット印刷機を用いて印刷手段の保守作業を行う場合の保守手段および搬送手段動作の説明図である。
【図5】本発明のインクジェット印刷機を用いて印刷手段の空吐出を行う場合の保守手段および搬送手段動作の説明図である。
【符号の説明】
1…印刷手段
2…保守手段
3…無端ベルトコンベアー(伸縮)
4…無端ベルトコンベアー
5a…端ローラー
5b…折り返しローラー
5c…折り返しローラー
5d…端ローラー
6…開口
7…エアーチャンバー室
8…開口
9…不圧発生装置
10…導管
11…液体記録材
12(a)…位置検出手段(光電センサー)
12(b)…位置検出手段(ロータリーエンコーダー)
A…記録媒体
X…記録媒体の搬送方向
Y…保守手段の移動可能な方向(搬送方向に垂直な方向)
Z…保守手段の移動可能な方向(上下方向)

Claims (8)

  1. 記録媒体を積載もしくは支持して送り出す搬送手段と、前記搬送手段上の、前記記録媒体に液体記録材の微小液滴を吐出して画像形成する印刷手段と、前記印刷手段をメンテナンスするための保守手段とを備えたインクジェット印刷機において、前記印刷手段の下方に進退可能な第1搬送部と、該第1搬送部と対峙する第2搬送部からなる搬送手段とから構成されていることを特徴とするインクジェット印刷機。
  2. 前記第1、および第2搬送部が、無端ベルトコンベアからなることを特徴とする、請求項1記載のインクジェット印刷機。
  3. 前記第1搬送部が、伸縮自在な無端ベルトコンベアーであることを特徴とする、請求項2記載のインクジェット印刷機。
  4. 前記搬送手段は、第1の搬送部の表面に開口が複数設けられており、前記開口の下方にエアーチャンバー室を備えたことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット印刷機。
  5. 前記エアーチャンバー室は、前記無端ベルトコンベアーの伸張方向に移動自在に設置され、前記無端ベルトコンベアー伸縮時に前記折り返しローラーおよび前記端ローラーと一体となって、前記無端ベルトコンベアーの伸張方向に移動することを特徴とする、請求項4記載のインクジェット印刷機。
  6. 前記保守手段は、前記印刷手段の液体記録材の吐出部を覆い隠して外気と断絶する遮断手段と、前記印刷手段によって空吐出された前記液体記録材の微少液滴を受ける回収手段と、前記吐出部から強制的に圧力をかけて排出させた前記液体記録材を受け止め、更に前記吐出部の表面に残留した異物や前記液体記録材を負圧により除去する清掃手段とを備えたことを特徴とする、請求項1記載のインクジェット印刷機。
  7. 前記保守手段は、前記遮断手段、前記清掃手段、および前記回収手段が、前記記録媒体の搬送面に平行で、かつ前記第1搬送部の進退方向に垂直な方向に一列に並んでおり、これらが一体となって前記記録媒体の搬送面に平行で、かつ前記第1搬送部の進退方向に垂直な方向、および、前記記録媒体の搬送面に垂直な方向に移動自在に支持されていることを特徴とする、請求項6記載のインクジェット印刷機。
  8. 前記搬送手段は、前記記録媒体の位置を検知する位置検出手段を備えたことを特徴とする、請求項1記載のインクジェット印刷機。
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