JP2004074050A - 塗布装置および塗布方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗布領域に液体を精度良く塗布することができる塗布装置および塗布方法を提供する。
【解決手段】マスク4を試塗位置に位置させた状態でノズルをX方向に往復移動させながらマスク4に向けて有機EL材料を吐出させて塗布軌跡CLをマスク4の内周面上に形成する。そして、この塗布軌跡CLの光学像ICLをCCDカメラで撮像し、その塗布軌跡CLを示す画像データを制御部のメモリに一時的に記憶する。また、マスク4を塗布位置に位置させた状態で基板1の溝11の光学像I11をCCDカメラで撮像し、その溝11を示す画像データを制御部のメモリに一時的に記憶する。そして、それらの画像データに基づき塗布軌跡CLと溝11とが一致するように基板1を位置決めする。その後で、塗布処理を実行する。
【選択図】    図8

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、基板とノズルとを相対的に移動させながら前記ノズルから液体を前記基板に供給することで、前記基板の所定の塗布領域に前記液体を塗布する塗布装置および塗布方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の塗布装置として、例えば特開2002−75640号公報に記載された装置がある。この塗布装置は上記液体として有機EL材料をガラス基板に塗布する装置である。この装置では、予め基板に形成された溝にノズルを沿わせるように基板とノズルとを相対的に移動させてノズルからの有機EL材料を溝内に流し込んでおり、こうすることで基板の溝(塗布領域)への有機EL材料の塗布を実行している。
【0003】
このように基板とノズルとを相対的に移動させることで塗布領域たる溝に有機EL材料を塗布する場合、基板とノズルとの相対的な位置ずれが生じていると、有機EL材料が溝の周囲に塗布されてしまう。そこで、上記従来装置では、基板の四隅に形成されている位置合せマークをCCDカメラで撮像し、その画像データと、予め与えられている溝のレイアウトデータとに基づき塗布のスタートポイントを算出した後、ノズルおよび基板を相対移動させてノズルをスタートポイントの直上位置に位置決めしている。それに続いて、ノズルを移動させながらノズルから有機EL材料を吐出させて溝への有機EL材料の塗布を実行している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ノズルから吐出される有機EL材料は略柱状形状を有しているが、その形状や吐出方向などは常に安定しているわけではなく、有機EL材料の流量やノズル周辺の環境(温度や湿度)などに応じて相違することがある。このため、塗布軌跡、つまりノズルを基板に対して相対的に移動させながら有機EL材料を吐出させた際に基板上に塗布される有機EL材料の軌跡は、有機EL材料の流量などに応じて変動することがある。そして、それらの要因(流量変化や環境変化など)により塗布軌跡が変動して溝(塗布領域)からずれてしまうと、製品不良を引き起こしてしまう。
【0005】
したがって、従来装置のようにノズルによる塗布処理前にノズルを単にスタートポイントに位置決めするのみでは、上記した要因(流量変化や環境変化など)により塗布軌跡と溝(塗布領域)とに位置ずれが発生するのを防止することができないという問題があった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、塗布領域に液体を精度良く塗布することができる塗布装置および塗布方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、基板とノズルとを相対的に移動させながらノズルから液体を基板に供給することで、基板の所定の塗布領域に液体を塗布する塗布装置であって、上記目的を達成するため、基板に対してノズルを相対移動させながらノズルから液体を吐出することで形成される塗布軌跡を撮像する撮像手段と、撮像手段から出力される塗布軌跡に関する塗布軌跡情報に基づき、塗布軌跡が塗布領域に一致するように、基板とノズルとの相対的な位置関係を調整する制御手段とを備えている。
【0008】
このように構成された発明では、基板に対してノズルを相対移動させながらノズルから液体を吐出して塗布軌跡が試し塗りとして形成され、その塗布軌跡が撮像手段により撮像される。そして、その塗布軌跡が塗布領域に一致するように、基板とノズルとの相対的な位置関係が調整される。すなわち、流量変化や環境変化などの要因により塗布軌跡が変動したとしても、その変動に対応して基板とノズルとの相対的な位置関係が調整される。このため、塗布軌跡が塗布領域と一致したまま塗布処理が実行されて塗布領域に液体が精度良く塗布される。
【0009】
ここで、基板の保持形態として、例えばノズルに対して相対的に移動自在となっているステージにより基板を保持してもよく、この場合、ステージを駆動するステージ駆動機構部を制御することで上記位置関係の調整を精度良く行うことができる。
【0010】
また、塗布処理を行うにあたって、マスク本体に対して塗布領域に対応する開口を形成してなるマスクを用いて行うようにしてもよい。具体的には、該開口が塗布領域に対向するようにマスクを配置した状態で、ノズルがマスクに向けて液体を供給することでマスクの開口を介して塗布領域に液体を選択的に塗布することができる。この場合、ノズルから吐出された液体はマスクの開口を介して基板に供給されるため、その基板上のうち該開口に対向する塗布領域に選択的に液体が塗布され、その塗布領域以外の領域に液体が塗布されるのを確実に防止する。このように開口に対応した塗布領域に液体が正確に塗布される。
【0011】
このようにマスクを用いる場合には、上記選択塗布に先立って、マスク本体の表面に塗布軌跡を形成することができる。つまり、基板上に塗布軌跡を形成させることなく、基板とノズルとの相対的な位置関係を調整することができ、基板に余分な塗布軌跡を形成するのを防止することができる。
【0012】
また、マスクを採用した場合、マスクを移動させるマスク駆動機構部をさらに設け、このマスク駆動機構部によってマスクを移動させることで開口を塗布領域に対向する塗布位置に位置させたり、マスク本体を塗布領域に対向させてマスク本体の表面に塗布軌跡を形成可能な試塗位置に位置させるのが望ましい。というのも、マスクを固定配置した場合、塗布軌跡を形成するとき(試塗処理)と、実際に塗布領域に液体を塗布するとき(塗布処理)とで、基板およびノズルの両方を移動させる必要があり、装置構成の複雑化や大型化を招いてしまうのに対し、マスクを移動させる際にはこれらの問題を抑制することができるからである。
【0013】
また、マスクに付着した液体を除去するマスク洗浄ユニットを設けると、マスクに付着した塗布軌跡を洗浄除去することができる。このため、マスクを繰り返して使用することができ、ランニングコストを低減させることができる。
【0014】
また、所定の周回軌道上を循環移動する無端ベルトをマスク本体とし、その無端ベルトの一部に開口を形成したものをマスクとして用いることができる。すなわち、開口が基板の塗布領域に対向する塗布位置まで無端ベルト(マスク)を移動させた後に、ノズルから液体が吐出されて塗布領域に選択塗布され、その塗布領域以外の領域に液体が塗布されるのを確実に防止することができる。また、試塗位置まで無端ベルト(マスク)を移動させた後に、ノズルから液体が吐出されて塗布軌跡が形成される。このように無端ベルトの回転移動により試塗処理と塗布処理とを容易に切替えることができ、効率的である。
【0015】
また、周回軌道上に配置され、マスクに付着した液体を除去するマスク洗浄ユニットを設けると、無端ベルトの移動によりベルト各部は周回軌道上に配置されたマスク洗浄ユニットに搬送され、塗布処理の際にマスクの開口の周囲部分に付着した液体やマスク本体に付着した塗布軌跡を洗浄除去することができる。このため、マスクを繰り返して使用することができ、ランニングコストを低減させることができる。
【0016】
上記のようにマスクが所定の移動経路に沿って移動する場合、その移動経路上にマスク洗浄ユニットを配置し、移動しているマスクに対して液体を溶解する溶剤を吐出してマスクを洗浄するように構成してもよく、こうすることでマスク洗浄ユニットのコンパクト化を図ることができる。
【0017】
また、塗布軌跡の形成場所としては、上記したマスク以外に、基板の非塗布領域に形成してもよく、この場合、マスクが不要となり、装置構成を簡素化することができる。
【0018】
また、撮像手段によって塗布軌跡のみならず、塗布領域を撮像するように構成してもよく、この場合、撮像手段から塗布領域に関する塗布領域情報および塗布軌跡情報が出力される。そこで、塗布領域情報と塗布軌跡情報とに基づき、塗布軌跡が塗布領域に一致するように、基板とノズルとの相対的な位置関係を調整するようにしてもよい。このように塗布領域および塗布軌跡を実際に求めた上で塗布軌跡と塗布領域とを一致させるようにしているので、塗布軌跡と塗布領域とを高精度に一致させることができ、塗布領域への液体の塗布精度をさらに高めることができる。
【0019】
さらに、この発明は、基板とノズルとを相対的に移動させながら該ノズルから液体を基板に供給することで、基板上の所定の塗布領域に液体を塗布する塗布方法であって、上記目的を達成するため、塗布領域への液体の塗布に先立って下記の第1工程および第2工程を実行している。すなわち、第1工程は、基板に対してノズルを相対移動させながらノズルから液体を吐出して塗布軌跡を形成する工程であり、第2工程は、塗布軌跡と塗布領域とが一致するように基板およびノズルの少なくとも一方を移動させる工程である。
【0020】
このように構成された発明では、試し塗りとして形成された塗布軌跡が塗布領域に一致するように基板とノズルとの相対的な位置関係が調整された後で、塗布領域への液体の塗布(塗布処理)が実行される。このため、流量変化や環境変化などの要因により塗布軌跡が変動したとしても、その変動に対応して基板とノズルとの相対的な位置関係が調整された状態、つまり塗布軌跡が塗布領域と一致した状態で塗布処理が実行され、塗布領域に液体が精度良く塗布される。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明にかかる塗布装置の第1実施形態を示す図である。また、図2は図1の塗布装置での基板、マスクおよびノズルの位置関係を模式的に示す図である。この塗布装置は、基板1上に形成された溝11に液体状の有機EL材料を塗布する有機EL塗布装置であり、各溝11が本発明の「塗布領域」に相当し、また有機EL材料が本発明の「液体」に相当している。
【0022】
この塗布装置では、基板1を載置するステージ2が設けられている。このステージ2はY方向にスライド自在で、しかも垂直軸に対してθ方向に回動自在となっている。また、ステージ2にはステージ駆動機構部21が接続されており、装置全体を制御する制御部3からの動作指令に応じてステージ駆動機構部21が作動することでステージ2をY方向に移動させたり、θ方向に回転させてステージ2上の基板1を位置決めすることができる。
【0023】
また、このステージ2の上方には、各溝11に対応した形状を有する開口42を無端ベルト(マスク本体)41に1個形成してなるマスク4が配置されている。この無端ベルト41は4つのローラ43〜46に掛け渡されている。そして、制御部3からの駆動指令に応じてマスク駆動機構部47が作動すると、ローラ43が回転してマスク4を所定の周回軌道に沿って矢印方向Xに循環移動させる。このため、制御部3によってマスク駆動機構部47を制御することでマスク4に形成された開口42を図2に示すように基板1上の溝11に対向配置させることができる。また、開口42が基板1からX方向に離れた位置に移動させることも可能となっている。なお、図2においては、基板1と、マスク4と、次に説明するノズルとの位置関係を明らかにするため、これら基板1、マスク4およびノズルを上下方向Zにおいて実際より広く離間させた状態を図示している。
【0024】
また、マスク4が形成する周回ループの内側にノズル5が配設されている。このノズル5はノズル駆動機構部51と接続されており、制御部3からの動作指令に応じてノズル駆動機構部51が作動することでノズル5をX方向に往復移動可能となっている。したがって、上記のようにして開口42が基板1上の溝11に対向する位置(塗布位置)にマスク4を位置決めした状態で、ノズル5をX方向に移動させると、ノズル5はマスク4の開口42に沿って移動することとなる。
【0025】
このノズル5は有機EL材料の供給部と配管接続されており、この供給部から圧送されてくる有機EL材料をマスク4に向けて吐出可能となっている。このため、図2に示すように塗布位置に位置決めされたマスク4に向けて有機EL材料を吐出させると、ノズル5から吐出された有機EL材料のうちマスク4の開口42を通過したものだけが基板1に塗布される。つまり、基板1の溝11に選択的に有機EL材料が塗布される。一方、マスク4の開口42以外に吐出されてきた有機EL材料はマスク4に付着することとなり、基板1への供給が阻止され、その結果、溝11以外の基板表面に有機EL材料が塗布されるのを確実に防止することができる。
【0026】
そして、マスク4を塗布位置に固定したままノズル5をX方向に移動させると、X方向に延設された溝11に有機EL材料がライン状に塗布されていく。このときも、ノズル5から吐出された有機EL材料は開口42を通過したものだけが基板1に供給されて塗布されることから溝11に対して正確に有機EL材料を塗布することができる。なお、図面中の符号52はノズル5の先端部に付着する有機EL材料を洗浄除去するためのノズル洗浄部であり、ノズル洗浄が必要となると、適宜マスク4に設けられたノズル洗浄用貫通孔48を介してノズル5の先端部をノズル洗浄部52に浸漬させてノズル洗浄を行う。
【0027】
上記のようにしてノズル5による塗布処理を実行した際、マスク4の開口42の周囲部分、特にノズル5の移動経路(図2中の矢印P)の延長線上に位置する周囲部分49に余分な有機EL材料が付着しやすく、この有機EL材料をマスク4から除去することが望まれる。そこで、この実施形態では、マスク4の開口42の周囲部分49に付着する有機EL材料を専門的に除去する液体回収部6、6を周囲部分49に対応させて配設している。すなわち、図1に示すようにノズル5の移動範囲(X方向における基板サイズと同程度の範囲)の両端に液体回収部6、6がそれぞれ配置されている。
【0028】
図3は液体回収部の構成を示す斜視図である。この液体回収部6はマスク4の周回方向Xにおける下流側に配置されたものであり、図示を省略する液体吸引機構部と配管接続されている。そして、制御部3からの液体回収指令に応じて回収駆動機構部61(図1)が作動すると、液体吸引機構部から液体回収部6に対して負圧が与えられ、マスク4の開口42の周囲部分49を臨むように設けられた回収口62を介して周囲部分49から有機EL材料Lを吸引し、所定の回収タンクに回収除去する。なお、図3では下流側の液体回収部6のみを図示しているが、上流側の液体回収部6も全く同様の構成を有しており、上流側の周囲部分49から有機EL材料を吸引除去する。
【0029】
この実施形態では、マスク4に付着する有機EL材料を洗浄除去するために、マスク洗浄ユニット7がマスク4の周回方向Xにおける下流側(図1の右手側)、より詳しくは下流側の液体回収部6とローラ44との間に配置されている。以下、図4および図5を参照しつつマスク洗浄ユニットの構成について説明する。
【0030】
図4はマスク洗浄ユニットの構成を示す斜視図であり、図5は図4のマスク洗浄ユニットの断面図である。このマスク洗浄ユニット7は、これらの図に示すようにX方向における上流側に配設された溶剤吐出部71と、下流側に配設された洗浄物回収部72とで構成されている。この溶剤吐出部71は、マスク4を挟んで上下方向Zに対称配置された上部吐出部711と、下部吐出部712とを備えている。これら上部および下部吐出部711、712はともに同一構成を有している。すなわち、これらの吐出部711、712は図示を省略する溶剤供給部に配管接続されており、制御部3からの溶剤吐出指令に応じて洗浄駆動機構部73(図1)が作動すると、溶剤供給部から有機EL材料を溶解する溶剤が吐出部711、712に圧送される。
【0031】
そして、この溶剤供給を受けた上部吐出部711では、図5に示すように本体711aの内部に形成された流路711bを介して溶剤が圧送され、吐出口711cからマスク4の内周面S1に吐出される。これによって、マスク4の内周面S1に付着している有機EL材料が洗浄される。また、この溶剤供給を受けた下部吐出部712においても、上部吐出部711と同様にして溶剤吐出が行われる。すなわち、下部吐出部712においても、図5に示すように本体712aの内部に形成された流路712bを介して圧送される溶剤が吐出口712cからマスク4の外周面S2に吐出される。これによって、マスク4の外周面S2に付着している有機EL材料が洗浄される。なお、この実施形態では、各吐出部711、712から吐出された溶剤ならびに溶解された有機EL材料、つまり洗浄物がマスク4の内周面S1および外周面S2に沿って洗浄物回収部72に流れるように溶剤の吐出方向を調整している。
【0032】
この洗浄物回収部72は、図5に示すように、マスク4を挟んで上下方向Zに対称配置された上部回収部721と、下部回収部722とを備えている。これら上部および下部回収部721、722はともに同一構成を有している。すなわち、これらの回収部721、722は図示を省略する洗浄物吸引機構部に配管接続されており、制御部3からの洗浄物回収指令に応じて洗浄駆動機構部73(図1)が作動すると、洗浄物吸引機構部から回収部721、722に対して負圧が与えられ、マスク4の内周面S1および外周面S2を臨むように設けられた回収口721a、722aを介してマスク4から洗浄物(溶剤+有機EL材料)を吸引し、所定の回収タンクに回収除去する。
【0033】
さらに、この実施形態では、マスク4の内周面S1を撮像するための2つのCCDカメラ81、82が設けられており、各CCDカメラ81、82からの出力信号を画像処理部83に出力するように構成されている。そして、この画像処理部83はCCDカメラ81、82からの画像信号に対して所定の画像処理を施した後、画像処理後の画像データを制御部3に出力している。なお、この画像データを受け取った制御部3は後で詳述するアライメント処理を施してノズル5による塗布軌跡と、基板1上の溝11(塗布領域)とを正確に一致させて塗布処理の精度を高める。
【0034】
次に、上記のように構成された塗布装置の動作について、図6ないし図9を参照しつつ説明する。図6は図1の塗布装置の動作を示すフローチャートである。この塗布装置では、図示を省略する搬送ロボットにより未処理の基板1がステージ2上に載置される(ステップS1)と、制御部3がメモリ(図示省略)に予め記憶されているプログラムにしたがって装置各部を以下のように制御してアライメント処理(ステップS2)を実行する。
【0035】
図7はアライメント処理のフローチャートである。また、図8はアライメント処理の内容を示す模式図である。このアライメント処理は、ノズル5による塗布軌跡と基板1上の溝11(塗布領域)とを正確に一致させる処理である。
【0036】
このアライメント処理では、まず図8(a)に示すように、マスク4を試塗位置に位置させる(ステップS21)。この「試塗位置」とは、無端ベルト41のうち開口42が形成されていない部分が基板1と対向する位置である。そして、制御部3からの動作指令に応じてノズル駆動機構部51が作動してノズル5をX方向に往復移動させるとともに、マスク4に向けて有機EL材料を吐出させる(ステップS22)。これによって、塗布軌跡CLがマスク4の内周面上に形成される。そして、この塗布軌跡CLの光学像IclをCCDカメラ81、82で撮像する(ステップS23)。これによって、例えば図8(a)中の画像I81、I82に示すような塗布軌跡CLの光学像Iclが撮像され、画像処理部83で適当な画像処理が施された後、その塗布軌跡CLを示す画像データが本発明の「塗布軌跡情報」として制御部3に出力され、メモリに一時的に記憶される。
【0037】
次のステップS24では、制御部3からの駆動指令に応じてマスク駆動機構部47が作動してマスク4をX方向に移動させて塗布位置に位置決めする(同図(b))。また、このマスク移動に伴って塗布軌跡CLが形成されたベルト領域がマスク洗浄ユニット7に搬送されていくため、マスク移動とともに制御部3からの溶剤吐出指令に応じて洗浄駆動機構部73(図1)が作動してマスク洗浄を実行する(ステップS25)。これによって、試し塗りのためにマスク4に形成された塗布軌跡CLは除去される。
【0038】
そして、塗布位置ではマスク4の開口42は基板1の溝(塗布領域)11と対向配置されているため、この溝11の光学像I11をCCDカメラ81、82で撮像する(ステップS26)。例えば同図(b)では画像I81、I82に示すような溝(塗布領域)11の光学像I11が撮像され、画像処理部83で適当な画像処理が施された後、その溝(塗布領域)11を示す画像データが本発明の「塗布領域情報」として制御部3に出力され、メモリに一時的に記憶される。なお、溝11と塗布軌跡CLとの相対関係の理解を容易にするため、各画像I81、I82に塗布軌跡CLを示す仮想線(1点鎖線)を付している。ここで、溝11の光学像I11と塗布軌跡CLとが非平行となっており、塗布軌跡CLと溝11とが一致していないことがわかる。
【0039】
そこで、この実施形態では、図8(c)に示すように、制御部3が光学像I11の画像データ(塗布領域情報)と光学像Iclの画像データ(塗布軌跡情報)とに基づきθ方向における塗布軌跡CLに対する溝11の傾き量を演算により求めた(ステップS27)後、制御部3からの動作指令に応じてステージ駆動機構部21が作動してステージ2をθ方向に上記傾き量だけ回転させて塗布軌跡CLと溝11とが平行となるようにステージ2上の基板1を位置決めする(ステップS28)。また、単に基板1を回転位置決めするのみで塗布軌跡CLが溝11の中心からずれている場合には、さらにステージ2をY方向に移動させて塗布軌跡CLが溝11の中心に位置するように制御する。こうすることで、塗布軌跡CLと塗布領域たる溝11とを完全に一致させることができる。
【0040】
こうして、基板1のアライメント処理が完了すると、図6のステップS3に進んで塗布処理を実行する。図9は塗布処理のフローチャートである。この塗布処理では、制御部3からの動作指令に応じてノズル駆動機構部51が作動してノズル5をスタートポイント、つまり開口42と対向配置されている溝11の上流端部(図8(d)の左端)に対応する位置に位置決めする(ステップS31)。そして、制御部3からの動作指令に応じてノズル駆動機構部51が作動してノズル5を(+X)方向に移動させるとともに、マスク4に向けて有機EL材料を吐出させる(ステップS32)。このとき、ノズル5から吐出された有機EL材料のうちマスク4の開口42を通過したものだけが該開口42と対向する溝11に選択的に塗布される。そして、マスク4の開口42以外に吐出されてきた有機EL材料はマスク4に付着することとなり、基板1への供給が阻止され、その結果、溝11以外の基板表面に有機EL材料が塗布されるのを確実に防止することができる。また、ノズル5の移動に伴って溝11に有機EL材料がライン状に塗布されていく。特に、本実施形態では、このライン塗布に先だってアライメント処理(ステップS2)を行うことでノズル5による塗布軌跡CLを溝11と完全に一致させているため、溝11に確実に有機EL材料を塗布することができる。
【0041】
また、この実施形態では、ライン塗布の際にマスク4の上流側周囲部分49(図2)に付着する有機EL材料を回収除去するために、上流側液体回収部6を作動させる(ステップS33)。ただし、上流側液体回収部6の作動によりノズル5から吐出される有機EL材料の流れが乱れると塗布精度に悪影響が及ぶため、この悪影響が及ばない範囲で上流側液体回収部6を作動させるのが望ましく、例えばノズル5が液体回収部6から所定距離だけ離れた位置を移動している間でのみ作動させるように制御するようにすればよい。この点に関しては、後で説明する下流側液体回収部6においても全く同様である。
【0042】
そして、ノズル5が折り返し位置、つまりライン塗布処理中の溝11の下流端部(図8(d)の右端)に対応する位置にまで移動してくると、ステップS34で「YES」と判断されて、上流側と同様に、マスク4の下流側周囲部分49(図2)に付着する有機EL材料を回収除去するために、下流側液体回収部6を作動させる(ステップS35)。
【0043】
さらに、ステップS36で全ての塗布対象の溝11に有機EL材料を塗布したか否かを判断する。そして、このステップS36で「NO」と判断する、つまり未塗布の溝11が残っていると、制御部3からの動作指令に応じてステージ駆動機構部21が作動してステージ2をY方向に所定ピッチだけ移動させた(ステップS37)後、ステップS38に進み、次の溝11に対してライン塗布を実行する。
【0044】
すなわち、ノズル5の移動方向を反転させ、制御部3からの動作指令に応じてノズル駆動機構部51が作動してノズル5を(−X)方向に移動させるとともに、このときも、ノズル5から吐出された有機EL材料のうちマスク4の開口42を通過したものだけが該開口42と対向する溝11に選択的に塗布される。
【0045】
また、ノズル5の復動時においても、往動時と同様に、マスク4の下流側周囲部分49に付着する有機EL材料を回収除去するために、下流側液体回収部6を作動させる(ステップS39)。
【0046】
そして、ノズル5がスタートポイント、つまりライン塗布処理中の溝11の下流端部(図8(d)の左端)に対応する位置にまで移動してくると、ステップS40で「YES」と判断されて、マスク4の上流側周囲部分49に付着する有機EL材料を回収するために、上流側液体回収部6を作動させる(ステップS41)。
【0047】
次に、ノズル5がスタートポイントに戻ってくると、ステップS40で「YES」と判断され、さらにステップS42で全ての塗布対象の溝11に有機EL材料を塗布したか否かを判断する。そして、このステップS42で「NO」と判断する、つまり未塗布の溝11が残っている間、制御部3からの動作指令に応じてステージ駆動機構部21が作動してステージ2をY方向に所定ピッチだけ移動させた(ステップS43)後、ステップS32に進み、次の溝11に対して上記一連のライン塗布を実行する。
【0048】
一方、ステップS42で「YES」と判断すると、塗布処理を終了し、図6のステップS4に進む。
【0049】
このステップS4では、制御部3からの駆動指令に応じてマスク駆動機構部47が作動してマスク4をX方向に移動させるとともに、搬送ロボットによりステージ2から処理済の基板1をアンロードし、次の処理装置に搬送する。
【0050】
また、上記マスク移動に伴って開口42が形成されたベルト領域がマスク洗浄ユニット7に搬送されていくため、マスク移動とともに制御部3からの溶剤吐出指令に応じて洗浄駆動機構部73(図1)が作動してマスク洗浄を実行する(ステップS6)。これによって、開口42の周囲部分に付着した余剰の有機EL材料はマスク4から除去され、再利用が可能となる。
【0051】
以上のように、この実施形態によれば、塗布処理(ステップS3)に先立って、アライメント処理(ステップS2)を実行しているので、流量変化や環境変化などの要因により塗布軌跡CLが変動したとしても、その変動に対応して基板1とノズル5との相対的な位置関係が調整された状態、つまり塗布軌跡CLが溝11と一致した状態となっている。そして、この状態で塗布処理が実行されるため、溝11に確実に有機EL材料を塗布することができる。
【0052】
また、ノズル5から吐出された有機EL材料をマスク4の開口42を介して基板1に供給して塗布するように構成しているため、その基板1上のうち該開口42に対向する溝11に選択的に有機EL材料を塗布することができ、その溝11以外の領域に有機EL材料が塗布されるのを確実に防止することができる。したがって、この塗布装置を用いることで溝11に有機EL材料を正確に塗布することができる。
【0053】
また、アライメント処理(ステップS2)により塗布軌跡CLがマスク4に付着し、また塗布処理(ステップS3)によりノズル5から吐出された有機EL材料のうち開口42から外れた有機EL材料がマスク4に付着するが、マスク4を洗浄するマスク洗浄ユニット7を設け、毎回マスク洗浄しているため、マスク4を繰り返して使用することが可能となってランニングコストを低減させることができる。
【0054】
さらに、上記実施形態では、所定の周回軌道上を循環移動する無端ベルト41の一部に開口42を形成したものをマスク4として用いているため、板状のマスクをマスク収容部と塗布位置との間でマスク搬送ロボットなどの搬送装置により往復搬送する場合に比べて装置構成を簡素化することができ、装置の小型化やコスト低減を図ることができる。また、上記のようにして塗布処理を行った場合、開口42を形成したベルト部分では、その開口42の周囲部分49に有機EL材料が付着するが、塗布処理の完了に続いて無端ベルト41を周回軌道に沿って移動させると、開口42を形成したベルト部分が基板1から離れてマスク4に付着した有機EL材料がマスク4から離れて基板1に再付着するのを防止することができる。しかも、無端ベルト41の移動により有機EL材料が付着したベルト部分は周回軌道上に配置されたマスク洗浄ユニット7に搬送され、マスク搬送と同時にマスク洗浄を行うことができ、塗布装置のスループットを向上することができる。
【0055】
図10は、この発明にかかる塗布装置の第2実施形態を示す図である。この第2実施形態にかかる塗布装置では、マスク4に関連する構成を有しておらず、ノズル5から有機EL材料を基板1の溝(塗布領域)11に直接塗布するように構成するとともに、試し塗りたる塗布軌跡を基板1の非塗布領域に行う点が第1実施形態と相違しており、その他の構成は基本的に第1実施形態と同一である。したがって、同一構成については同一符号を付して構成説明を省略する。
【0056】
図11は、図10の塗布装置の動作を示すフローチャートである。この塗布装置では、図示を省略する搬送ロボットにより未処理の基板1がステージ2上に載置される(ステップS1)と、制御部3がメモリ(図示省略)に予め記憶されているプログラムにしたがって装置各部を以下のように制御してアライメント処理(ステップS20)を実行する。このアライメント処理は、基板1の非塗布領域に塗布軌跡を形成し、その塗布軌跡を利用して基板1とノズル5との相対的な位置関係を調整することでノズル5による塗布軌跡と基板1上の溝11(塗布領域)とを正確に一致させる処理である。以下、図12および図13を参照しつつ詳述する。
【0057】
図12はアライメント処理のフローチャートである。また、図13はアライメント処理の内容を示す模式図である。この塗布装置の初期状態では、図13(a)に示すように、ノズル5はノズル洗浄部52に待機している。なお、図13中の符号A81、A82はそれぞれCCDカメラ81、82の撮像エリアを示している。
【0058】
そして、アライメント処理の開始指令が制御部3から与えられると、この開始指令に応じてステージ駆動機構部21が作動してステージ2をY方向に移動させ、基板1の非塗布領域12をノズル5の移動経路R(2点鎖線)上に位置させる(ステップS201)。この位置が、本発明の「試塗位置」に相当する。そして、制御部3からの動作指令に応じてノズル駆動機構部51が作動してノズル5をX方向に往復移動させるとともに、基板1の非塗布領域12に向けて有機EL材料を吐出させる(ステップS202)。これによって、塗布軌跡CLが基板1の非塗布領域12上に形成される。そして、この塗布軌跡CLの光学像IclをCCDカメラ81、82で撮像する(ステップS203)。これによって、例えば図13(b)中の画像I81、I82に示すような塗布軌跡CLの光学像Iclが撮像され、画像処理部83で適当な画像処理が施された後、その塗布軌跡CLを示す画像データが本発明の「塗布軌跡情報」として制御部3に出力され、メモリに一時的に記憶される。
【0059】
次のステップS204では、駆動指令に応じてステージ駆動機構部21が作動してステージ2をY方向に移動させ、図13(c)に示すように、基板1の塗布領域11をノズル5の移動経路R上に位置させる(ステップS204)。この位置が、本発明の「塗布位置」に相当する。そして、塗布位置では、溝11の光学像I11をCCDカメラ81、82で撮像する(ステップS205)。これによって、例えば同図(c)中の画像I81、I82に示すような溝(塗布領域)11の光学像I11が撮像され、画像処理部83で適当な画像処理が施された後、その溝(塗布領域)11を示す画像データが本発明の「塗布領域情報」として制御部3に出力され、メモリに一時的に記憶される。なお、溝11と塗布軌跡CLとの相対関係の理解を容易にするため、各画像I81、I82に塗布軌跡CLを示す仮想線(1点鎖線)を付している。ここで、溝11の光学像I11と塗布軌跡CLとが非平行となっており、塗布軌跡CLと溝11とが一致していないことがわかる。
【0060】
そこで、この第2実施形態では、図13(d)に示すように、制御部3が光学像I11の画像データ(塗布領域情報)と光学像Iclの画像データ(塗布軌跡情報)とに基づきθ方向における塗布軌跡CLに対する溝11の傾き量を演算により求めた(ステップS206)後、制御部3からの動作指令に応じてステージ駆動機構部21が作動してステージ2をθ方向に上記傾き量だけ回転させて塗布軌跡CLと溝11とが平行となるようにステージ2上の基板1を位置決めする(ステップS207)。また、単に基板1を回転位置決めするのみで塗布軌跡CLが溝11の中心からずれている場合には、さらにステージ2をY方向に移動させて塗布軌跡CLが溝11の中心に位置するように制御する。こうすることで、塗布軌跡CLと塗布領域たる溝11とを完全に一致させることができる。
【0061】
こうして、基板1のアライメント処理が完了すると、図11のステップS30に進んで塗布処理を実行する。図14は塗布処理のフローチャートである。この塗布処理では、制御部3からの動作指令に応じてノズル駆動機構部51が作動してノズル5をスタートポイント、つまり溝11の一方端部に対応する位置に位置決めする(ステップS301)。そして、制御部3からの動作指令に応じてノズル駆動機構部51が作動してノズル5を(+X)方向に移動させるとともに、基板1に向けて有機EL材料を吐出させる(ステップS302)。この実施形態では、予めアライメント処理により塗布軌跡CLを溝11に一致させているため、ノズル5からの有機EL材料が確実に溝11に供給される。また、ノズル5の移動に伴って溝11に有機EL材料がライン状に塗布されていく。
【0062】
そして、ノズル5が折り返し位置、つまりライン塗布処理中の溝11の他方端部に対応する位置にまで移動してくると、ステップS303で「YES」と判断されて、さらに、ステップS304で全ての塗布対象の溝11に有機EL材料を塗布したか否かを判断する。そして、このステップS304で「NO」と判断する、つまり未塗布の溝11が残っていると、制御部3からの動作指令に応じてステージ駆動機構部21が作動してステージ2をY方向に所定ピッチだけ移動させた(ステップS305)後、ステップS306に進み、次の溝11に対してライン塗布を実行する。
【0063】
すなわち、ノズル5の移動方向を反転させ、制御部3からの動作指令に応じてノズル駆動機構部51が作動してノズル5を(−X)方向に移動させるとともに、基板1への有機EL材料の吐出を継続させる(ステップS306)。このときにも、往動時と同様に、ノズル5から吐出された有機EL材料は確実に溝11に塗布される。
【0064】
次に、ノズル5がスタートポイントに戻ってくると、ステップS307で「YES」と判断され、さらにステップS308で全ての塗布対象の溝11に有機EL材料を塗布したか否かを判断する。そして、このステップS308で「NO」と判断する、つまり未塗布の溝11が残っている間、制御部3からの動作指令に応じてステージ駆動機構部21が作動してステージ2をY方向に所定ピッチだけ移動させた(ステップS309)後、ステップS302に進み、次の溝11に対して上記一連のライン塗布を実行する。
【0065】
一方、ステップS308で「YES」と判断すると、塗布処理を終了し、図11のステップS5に進み、搬送ロボットによりステージ2から処理済の基板1をアンロードし、次の処理装置に搬送する。
【0066】
以上のように、この第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、塗布処理(ステップS30)に先立って、アライメント処理(ステップS20)を実行しているので、流量変化や環境変化などの要因により塗布軌跡CLが変動したとしても、その変動に対応して基板1とノズル5との相対的な位置関係が調整された状態、つまり塗布軌跡CLが溝11と一致した状態となっている。そして、この状態で塗布処理が実行されるため、溝11に確実に有機EL材料を塗布することができる。
【0067】
また、この第2実施形態では、マスク4やそれに関連する構成を設ける必要がないため、装置構成を簡素化することができ、装置コストの低減を図ることができる。
【0068】
また、アライメント処理(ステップS20)により塗布軌跡CLが基板1の非塗布領域12に付着することとなるが、この非塗布領域12は最終製品に直接関係しない領域であるため、塗布軌跡CLをそのまま残存させてもよい。また、除去するのが望ましい場合には、非塗布領域12のみを洗浄するマスク洗浄ユニットをさらに装備させるようにすればよい。
【0069】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では塗布軌跡情報および塗布領域情報をこの順序で取得しているが、この順序を入れ替えてもよいことは言うまでもない。
【0070】
また、上記実施形態では、2つのCCDカメラ81、82により塗布軌跡CLおよび溝(塗布領域)11を撮像しており、これらCCDカメラ81、82が本発明の「撮像手段」として機能しているが、撮像手段を構成するカメラの個数や配設位置などは上記実施形態に限定されるものではなく、任意であり、例えば単一のカメラにより塗布軌跡CLおよび溝(塗布領域)11を撮像するようにしてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、撮像手段たるCCDカメラ81、82により塗布軌跡CLおよび溝(塗布領域)11を撮像して本発明の「塗布軌跡情報」および「塗布領域情報」を取得しているが、「塗布領域情報」については他の方法により求めるようにしてもよい。例えば基板1上の溝11のレイアウトなどについてはCAD(Computer Aided Design)を使って設計されているため、そのレイアウトデータに基づき「塗布領域情報」を求めるようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、ノズル5がX方向に移動し、また基板1がY方向に移動するように構成することで基板1とノズル5とが相対移動可能に構成されているが、いずれか一方のみを移動させるように構成してもよく、本発明は基板とノズルとを相対的に移動させながら前記ノズルから液体を前記基板に供給することで、前記基板の所定の塗布領域に前記液体を塗布する塗布装置全般に適用することができる。
【0073】
また、上記実施形態では、ノズル5は1つの溝11に対して1個のノズルが対応しているが、複数のノズルを一体的に並設してマスク4の1つの開口42から複数の溝を同時に塗布するように構成してもよい。また、ノズル5に複数の吐出口を設けて複数の溝を同時に塗布するようにしてもよいし、1つの溝11を塗布するように構成してもよい。
【0074】
また、第1実施形態では、無端ベルト41に開口42を1個設けてなるマスク4を用いているが、開口42の個数や配設位置などについては特に限定されるものではなく、例えば複数個設けるようにしてもよい。また、無端ベルト41を用いることが必須構成要件ではなく、例えば板状のマスクを使用して塗布処理を行う塗布装置に対しても本発明を適用することができる。
【0075】
また、上記第1および第2実施形態では、X方向に1ライン状の溝11がY方向に複数個形成された基板1に対して有機EL材料を塗布する塗布装置に対して本発明を適用しているが、X方向に2ライン以上の溝が形成された基板に有機EL材料を塗布する塗布装置や溝を設けることなく基板の所定の表面領域に直接有機EL材料を塗布する塗布装置などにも本発明を適用することができる。特にマスクを用いる塗布装置では、その塗布領域(上記溝や所定の表面領域)に対応した開口を有するマスクを用いればよいし、マスクを用いずに直接基板に有機EL材料を塗布する塗布装置ではノズル5からの有機EL材料の吐出タイミングを制御するようにすればよい。
【0076】
さらに、本発明の適用対象は有機EL塗布装置に限定されるものではなく、半導体ウエハ、ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、光ディスク用基板などの各種基板にフォトレジスト液、現像液、エッチング液などの塗布液を塗布する塗布装置に対して適用することができる。すなわち、本発明は液体を基板上の塗布領域に塗布する塗布装置全般に適用することができる。
【0077】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、基板に対してノズルを相対移動させながらノズルから液体を吐出して塗布軌跡を形成し、その塗布軌跡が塗布領域に一致するように基板とノズルとの相対的な位置関係を調整するように構成しているので、流量変化や環境変化などの要因により塗布軌跡が変動したとしても、常に塗布軌跡を塗布領域と一致させた状態で塗布処理を実行することができ、塗布領域に液体を精度良く塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる塗布装置の第1実施形態を示す図である。
【図2】図1の塗布装置での基板、マスクおよびノズルの位置関係を模式的に示す図である。
【図3】液体回収部の構成を示す斜視図である。
【図4】マスク洗浄ユニットの構成を示す斜視図である。
【図5】図4のマスク洗浄ユニットの断面図である。
【図6】図1の塗布装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】第1実施形態でのアライメント処理のフローチャートである。
【図8】第1実施形態でのアライメント処理の内容を示す模式図である。
【図9】第1実施形態での塗布処理のフローチャートである。
【図10】この発明にかかる塗布装置の第2実施形態を示す図である。
【図11】図10の塗布装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】第2実施形態でのアライメント処理のフローチャートである。
【図13】第2実施形態でのアライメント処理の内容を示す模式図である。
【図14】第2実施形態での塗布処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1…基板
2…ステージ
3…制御部(制御手段)
4…マスク
5…ノズル
7…マスク洗浄ユニット
11…溝(塗布領域)
12…非塗布領域
21…ステージ駆動機構部
41…無端ベルト(ベルト本体)
47…マスク駆動機構部
42…開口
81、82…CCDカメラ(撮像手段)

Claims (11)

  1. 基板とノズルとを相対的に移動させながら前記ノズルから液体を前記基板に供給することで、前記基板の所定の塗布領域に前記液体を塗布する塗布装置において、
    前記基板に対して前記ノズルを相対移動させながら前記ノズルから液体を吐出することで形成される塗布軌跡を撮像する撮像手段と、
    前記撮像手段から出力される前記塗布軌跡に関する塗布軌跡情報に基づき、前記塗布軌跡が前記塗布領域に一致するように、前記基板と前記ノズルとの相対的な位置関係を調整する制御手段と
    を備えたことを特徴する塗布装置。
  2. 前記基板を保持しながら前記ノズルに対して相対的に移動自在となっているステージと、前記ステージを駆動するステージ駆動機構部とをさらに備え、
    前記制御手段は前記ステージ駆動機構部を制御して前記位置関係の調整を行う請求項1記載の塗布装置。
  3. マスク本体に対して前記塗布領域に対応する開口を形成してなるマスクをさらに備え、
    該開口が前記塗布領域に対向するように前記マスクを配置した状態で、前記ノズルが前記マスクに向けて前記液体を供給することで前記マスクの開口を介して前記塗布領域に前記液体を選択的に塗布する一方、
    前記選択塗布に先立って、前記マスク本体の表面に前記塗布軌跡を形成するとともに該塗布軌跡が前記塗布領域に一致するように前記基板と前記ノズルとの相対的な位置関係を調整する請求項1または2記載の塗布装置。
  4. 前記マスクを移動させるマスク駆動機構部をさらに備え、
    前記マスク駆動機構部は、前記マスクを移動させることで前記開口を前記塗布領域に対向する塗布位置に位置させたり、前記マスク本体を前記塗布領域に対向させて前記マスク本体の表面に前記塗布軌跡を形成可能な試塗位置に位置させる請求項3記載の塗布装置。
  5. 前記マスクに付着した前記液体を除去するマスク洗浄ユニットをさらに備えた請求項3または4記載の塗布装置。
  6. 前記マスクは所定の周回軌道上を循環移動する無端ベルトを前記マスク本体とし、その無端ベルトの一部に前記開口を形成したものである請求項3または4記載の塗布装置。
  7. 前記周回軌道上に配置され、前記マスクに付着した前記液体を除去するマスク洗浄ユニットをさらに備えた請求項6記載の塗布装置。
  8. 前記マスク洗浄ユニットは、移動している前記マスクに対して前記液体を溶解する溶媒を吐出して前記マスクを洗浄する請求項5または7記載の塗布装置。
  9. 前記基板上には前記塗布領域と、非塗布領域とが設けられており、該非塗布領域に前記塗布軌跡が形成される請求項1または2記載の塗布装置。
  10. 前記撮像手段は前記塗布領域を撮像可能となっており、
    前記制御手段は、前記撮像手段から出力される前記塗布領域に関する塗布領域情報と前記塗布軌跡情報とに基づき、前記塗布軌跡が前記塗布領域に一致するように、前記基板と前記ノズルとの相対的な位置関係を調整する請求項1ないし9のいずれかに記載の塗布装置。
  11. 基板とノズルとを相対的に移動させながら該ノズルから液体を前記基板に供給することで、前記基板上の所定の塗布領域に前記液体を塗布する塗布方法において、
    前記塗布領域への前記液体の塗布に先立って下記の第1工程および第2工程を実行することを特徴とする塗布方法。
    前記第1工程は、前記基板に対して前記ノズルを相対移動させながら前記ノズルから液体を吐出して塗布軌跡を形成する工程であり、
    前記第2工程は、前記塗布軌跡と前記塗布領域とが一致するように前記基板および前記ノズルの少なくとも一方を移動させる工程である。
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