JP2004074027A - 曝気方法及び装置並びに前記曝気装置を備えた浄化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】処理対象である水に含まれる有機物等の汚濁物質を高効率で曝気処理することが可能であると共に、当該水中に含まれる、又は曝気により気化した有機物等の酸化分解処理を行なうことが可能な曝気装置を提供する。
【解決手段】底部に排水構造を備えた曝気槽を設け、この曝気槽内にショットピーニングにより酸素欠乏傾斜構造を有する酸化金属被膜が形成された多孔板を配置すると共に、処理対象とする水を前記多孔板の表面に向かって噴射する散水手段を設けることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、曝気方法及びこの方法を実施するための曝気装置並びに前記曝気装置を備えた浄化装置に関し、有機物をはじめとする汚濁物質を含む汚水の処理に用いられ、特に、前記汚濁物質を気化して除去する曝気処理と共に汚濁物質の酸化分解処理を行なう曝気方法及び曝気装置並びに前記曝気装置を備えた浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
家庭廃水、工場廃水、下水等、有機物をはじめとする汚濁物質を含む汚水を処理する方法は従来から多種提案されているが、その一つに、処理対象である汚水に空気を供給することによって水質の浄化を行なう「曝気処理」がある。
【0003】
この曝気処理には、散水手段にて処理対象である水を大気中に散布する散水法、スクリュその他の攪拌装置にて水を攪拌することにより空気と接触させる機械式攪拌法、水没させた多孔質の散気板あるいは散気管にて圧縮空気を供給する散気法などがあり、このようにして処理対象である水を空気と接触させることにより、この水に含まれる揮発性有機物等を気化させて当該有機物等を水中から除去したり、好気的微生物を利用した生物酸化法等において微生物に酸素を供給し、当該微生物の活動を活性化するのに利用されている。
【0004】
このような曝気処理を行なう曝気装置は、養魚用池、湖沼、内湾等、動植物の活動によりアンモニアや亜硝酸等の有機物が発生する閉鎖性水域の汚水の浄化に対しても以前から利用されている。
【0005】
図3に示す曝気装置70は、一例として鯉等を養殖する養魚用池の水を処理対象として使用するものであり、図3に示す構成例では、曝気装置70の下方に既知の濾過装置30が取り付けられ、全体として浄化装置1’を構成している。
【0006】
前記浄化装置1’の一部を成す従来の曝気装置70は、底面27が通水性を有するパンチングメタルや金網等で形成されている略直方体の容器である曝気槽20の内部に、バクテリア等の微生物72が付着したセラミック等の多孔質濾材71が高さ方向の約3分の1程度充填されている。また、前記濾材71の上方には多数の小孔が形成された散水管を備えた散水手段11が当該小孔を下向きとするよう配置されており、養魚池から汲み上げられた水はこの散水手段11により曝気槽20内に噴射されるよう構成されている。
【0007】
また、当該曝気槽20内部に充填された濾材71には日光の照射により藻等が発生するため、これを防止すべく、曝気槽20の上面26は遮光性の蓋にて被蓋されている。
【0008】
以上説明した構成の従来の曝気装置70による汚水処理を説明すると、まず、浄化対象水系である養魚用池の水が処理対象として散水手段11より曝気槽20内部へ噴射される。噴射された水は、散水手段11による噴射時の他、曝気槽20の内壁や、曝気槽20内部に充填された濾材71との衝突による飛散の際に空気と接触し、水中に含まれる揮発性有機物を気化させ水中から除去する曝気処理が行なわれる。その後、曝気された水は前記散水手段11下方に位置する曝気槽20内の濾材71間を通過する際に、前記曝気処理によっては除去することのできない餌の食べ残しや魚の糞等の有機物、その他の水中の汚濁物質が前記濾材71に捕捉されると共に、捕捉された有機物等は濾材71の表面に付着させたバクテリア等の微生物72によって酸化分解される。
【0009】
従って、上記構成を備えた図3に示す曝気装置70は、散水による前記曝気処理に加え、バクテリア等の微生物72による生物濾過処理も行なうことができる。本明細書において前記濾材による捕捉及び微生物による酸化分解をあわせて「生物濾過」という。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の曝気装置70にあっては、バクテリア等の微生物72を濾材71に多量に付着させて生物濾過効果を向上させるために、比較的粒径の小さい濾材71を曝気槽20内に多数充填して表面積を稼ぐよう構成されている。従って、濾材71間に形成される間隙は狭くなることから、散水手段11より噴射された水は、充填された濾材71の最上層71’に衝突するとその勢いを失い、その下層に配置されている濾材71に対しては重力により落下する際にその表面上を流れ落ちるのみとなる。そのため、処理対象である水が濾材71と衝突し飛散することによる空気との接触という効果は充填された前記濾材71のうちのごく一部(最上層71’)でしか得ることができず、曝気効果が十分であるとはいえなかった。
【0011】
一方、曝気効果を高める方法として、前記散水手段11の水圧を上げ、濾材71の最上層71’との衝突時に生じる水の飛散をより激しくすることも考えられるが、水が高い圧力で濾材71と衝突することにより当該濾材71に付着している微生物72が除去されてしまうため、生物濾過効果が減少してしまう。
【0012】
以上のように、従来の曝気装置70においては、曝気効果と生物濾過効果の双方を高効率で発揮させることが困難であった。
【0013】
また、処理対象である水を曝気処理すると、水中に存在する揮発性の有機物等は気化するので当該水中からは除去されたといえるが、前記気化された有機物等は雨などと接触することによって再び水中へ戻ってしまうことから、これのみでは根本的な除去が行なわれたとはいえない。従って、上記曝気処理によって気化された有機物等についても、これを単に大気中に放出するのみではなく、分解除去を行なうことが望ましい。
【0014】
しかし、上記従来の曝気装置70にあっては、曝気処理により気化した有機物は最上層71’以外の濾材71には接触しにくいため、濾材71に付着する微生物72による生物濾過効果が得にくく、気化したこれらの有機物等は分解されることなく大気中に放出されてしまうという問題があった。
【0015】
この他にも、前記微生物72による生物濾過では、有機物を酸化分解する微生物の活動が湿度や水のPH等、種々の条件によって変化してしまうため、安定した生物濾過効果を得ることが困難であるという問題を有していた。
【0016】
そこで、本発明は、処理対象である水に含まれる揮発性有機物等の汚濁物質を気化させる曝気処理を高効率で行なうことができると共に、前記水に含まれる有機物等の汚濁物質を分解除去可能であり、また、曝気によって気化された汚濁物質についても分解除去が可能な曝気方法及び曝気装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明の曝気方法は、処理対象とする水を散水手段11により曝気槽20内に噴射し、前記曝気槽20内に配置され、ショットピーニングにより形成された酸素欠乏傾斜構造を有する酸化金属被膜22を有する多孔板21と衝突させ飛散させることにより曝気処理を行なうと共に、当該水中に含まれる、又は、前記曝気処理によって水中から気化した汚濁物質を前記多孔板21の酸化金属被膜22と接触させることによって酸化分解処理することを特徴とする(請求項1)。
【0018】
前記曝気方法を実施するための本発明の曝気装置10は、底部に排水構造を備えた曝気槽20を設け、この曝気槽内20にショットピーニングにより酸素欠乏傾斜構造を有する酸化金属被膜22が形成された多孔板21を配置すると共に、処理対象とする水を前記多孔板21の表面に向かって噴射する散水手段11を設けたことを特徴とする(請求項2)。
【0019】
前記曝気槽20は、その上部を開放し、又は透光性の蓋体にて被蓋されていることが好ましい(請求項3)。
【0020】
曝気効率向上のため、前記曝気槽20内には、前記多孔板21を複数枚、相互に略平行となるよう所定間隔で配置することが好ましい(請求項4)。
【0021】
また、前記多孔板21をチタン製の金網とし、これに形成する酸化金属被膜22をチタニア被膜とすることもできる(請求項5)。
【0022】
前記多孔板21に形成された酸化金属被膜22は、粒径が200μm以下、好ましくは30μm〜100μmの、球状又は多角形状の金属粉体を、噴射圧力0.3MPa、好ましくは0.5MPa以上で噴射することによって形成することが好ましく(請求項6)、前記酸化金属被膜22の形成に使用する前記金属粉体は、チタン、亜鉛、タングステン、錫、ジルコニウム、又はこれらの合金から成る粉体を使用することができる(請求項7)。
【0023】
また、底部に排水構造を備えた曝気槽20を設け、この曝気槽20内にショットピーニングにより酸素欠乏傾斜構造を有する酸化金属被膜22が形成された多孔板21を配置すると共に、処理対象とする水を前記多孔板21の表面に向かって噴射する散水手段11を設けた本発明の曝気装置10の下方に、前記曝気槽20の底部から排出された曝気処理後の水を導入すると共に、この導入された水を濾過する濾過装置30を配置し、浄化装置1とすることもできる(請求項8)。
【0024】
前記浄化装置1に使用する濾過装置30は、微生物72により生物濾過を行なう濾過装置30とすることが好ましい(請求項9)。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の曝気装置の実施形態を、以下、図を参照しつつ説明する。本実施形態にあっては、前記従来の曝気装置70と同様、一例として鯉等を養殖する養魚用池を浄化対象水系とし、この池の水を処理対象として使用する曝気装置10について説明する。
【0026】
本発明の曝気装置10は、底部に排水構造を備えた曝気槽20を設け、この曝気槽20内にショットピーニングにより酸素欠乏傾斜構造を有する酸化金属被膜が形成された多孔板21を配置すると共に、処理対象とする水を前記多孔板21の表面に向かって噴射する散水手段11を設けたものである。
【0027】
図1に示す曝気装置10にあっては、上面26を開口しており、底面27が通水性を有するパンチングメタルや金網等で形成されている略直方体の容器である曝気槽20の内部に、酸素欠乏傾斜構造を有する酸化金属被膜22の形成された3枚の多孔板21を上下方向に所定間隔で水平に配置すると共に、前記多孔板21の上方には処理対象となる水を下方に向かって噴射する散水手段11を設けており、養魚池から汲み上げられた水は、この散水手段11から曝気槽20内部へと噴射され、曝気槽20内部の多孔板21等を通過した後、底面27より排出されるよう構成されている。
【0028】
本実施形態にあっては、曝気槽20底部の排水構造を、底面27が通水性を有するよう構成することにより実現しているが、曝気処理後の水を曝気槽20から排出することができるような構造であれば特に限定されず、例えば、曝気槽20の底部を略逆角(円)錐状とし、当該底部の先端に接続された排水管から曝気処理後の水を排出するよう構成したり、曝気槽の底面27又は側面25下方に直接排水管を設けることとしてもよい。
【0029】
なお、後述するように既知の濾過装置30を前記曝気装置10の下方へ配置して浄化装置1と成し、曝気処理後の水を当該濾過装置30へと導入するような場合には、本実施形態のように曝気槽20の底面27全体から排水可能であるよう構成することが好ましい。
【0030】
前記散水手段11は、前記多孔板21の表面に対し処理対象となる水を噴射し得るものであれば如何なる構成であっても良いが、本実施形態にあっては、曝気槽の側面25を貫通して曝気槽20内部の中央に至る給水管13の先端に、噴射時の水圧により回転する散水器12を取り付けたものを散水手段11としている。従って、前記散水手段11から噴射された水は散水器12の回転に伴って前記多孔板21の表面と万遍なく衝突し、好適に飛散する。
【0031】
また、前記散水手段11は、噴射する水の圧力を変化させる水圧調整手段を備えており、本装置を使用する状況に応じて水圧を調整可能に構成されていることが好ましい。
【0032】
従来の曝気装置70では、散水手段11より噴射された水が下層に位置する濾材71と衝突飛散しないため、高い曝気効果を得ることが困難であった。
【0033】
しかし、本発明では多孔板21を所定間隔にて曝気槽20に収容することとしており、当該多孔板21によれば、処理対象である水は最上段に配置された多孔板21aに衝突した後にもその勢いを失わず飛翔を続け、下方に配置された多孔板21b,21cとも衝突することが可能であり、好適に空気と接触することができるため、高い曝気効果を得ることができる。
【0034】
なお、前記多孔板21の収容枚数や曝気槽20内での配置間隔、また、散水手段11の構成等は、処理対象である水が多孔板21の表面と好適に衝突して飛散することにより空気と十分に接触し、高い曝気効果を得ることができるものであれば特に限定されず、例えば、前記多孔板21の枚数を4枚以上としたり、前記多孔板21を水平でなく傾斜させて配置してもよい。
【0035】
また、前記多孔板21の形状は図1に示すような平板状に限らず、曝気槽20内部において湾曲させ、または筒状に形成することもできる。
【0036】
例えば、略円筒状に丸めた多孔板21を曝気槽20内部へ挿入すると共に、一端開口を閉塞された金属、塩化ビニル、その他のパイプにその肉厚を貫通する多数の小孔が全周にわたって形成された散水管を散水手段11として前記多孔板21の内部中央に配置し、前記散水管から、その周囲に配置されている多孔板21に向かって処理対象である水を放射線状に噴射するよう構成することもできる。
【0037】
このような構成とすることにより、散水手段11が上述した実施形態の散水器12のように回転する構成を備えていなくても、多孔板21の表面全体に処理対象である水を噴射することが可能となる。
【0038】
また、多孔板21をこのように円筒状に形成した場合でも、径の異なる複数の円筒状の多孔板21を曝気槽20内部に同心状に挿入することにより、前述する実施形態のように、処理対象の水を多孔板21に複数回衝突飛散させ、曝気効率を向上させることが可能である。
【0039】
前記曝気槽20に収容される多孔板21は、前記散水手段11から噴射された処理対象である水を衝突させて曝気を促進すると共に、当該多孔板21に形成された酸化金属被膜22によって、前記水中に含まれる、又は前記曝気処理により気化した有機物等の汚濁物質を酸化分解するためのものである。
【0040】
従って、この多孔板21は、処理対象である水と十分な接触面積が確保でき、錆や腐食等、長期間の水との接触による劣化に強く、後述の酸素欠乏傾斜構造を有する酸化金属被膜22を形成することが可能な材質から成るものとする。
【0041】
多孔板21に要求される前述の条件から、前記多孔板の材質としては、各種金属の他、セラミック等を使用することができる。また、金属製のものを使用する場合には錆や腐食に強いステンレス鋼やチタン製の金網を使用することが好ましい。
【0042】
特に、チタン製の金網は腐食等が生じ難く長期の使用に馴染むだけでなく、水に溶けにくく、人体や動植物に対して無害であることが知られていることから、本実施形態にあっては前記多孔板21としてチタン製の金網で、厚みが1.0mm、開孔の大きさが短幅6.8mm×長幅12.7mmの菱形、線径が1.0mmのラス21を用いることとする。
【0043】
ここでラスとは、軟鋼薄板に多くの切れ目を一定間隔に入れ、横に引き伸ばして網状にしたメタルラスや、鉄線により成形されたワイヤーラス等が含まれるが、前記金網としては、前述のラスに限定されず既知の各種金網を使用することができる。
【0044】
なお、本実施形態にあっては前記多孔板21として金網を使用することとしているが、前述する多孔板の条件を満たすものであれば特に限定されず、パンチングメタルやハニカム状に押出成形されたもの等、多数の開孔を有する各種の多孔板を使用することが可能である。
【0045】
前記多孔板である金網21にはショットピーニングにより酸化金属被膜22が形成されており、当該酸化金属被膜22が、従来の曝気装置70において行なわれていた前記微生物72による生物濾過効果と同様の酸化分解効果を発揮するよう構成されている。
【0046】
前記金網21に形成される酸化金属被膜22は、金属粉体を前記金網に対して高速投射することにより形成される。前記被膜形成に使用する金属としては、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、タングステン(W)、錫(Sn)、ジルコニウム(Zr)及びこれらの合金等を挙げることができる。これらの金属粉体を例えば圧縮空気を利用して前記金網21に高速噴射すると、当該金属粉体は前記金網21表面に溶融付着すると共に、この溶融付着の際に酸化するため、金網21にはTiO、ZnO、WO、SnO、ZrO等の酸化金属被膜22が形成される。
【0047】
上記方法により形成された酸化金属被膜22は、被膜表面からの深さが増すにつれて酸素との結合がわずかづつ欠乏気味となる構造(本明細書において、このような構造を「酸素欠乏傾斜構造」という。)を有している。
【0048】
上記TiO、ZnO、WO、SnO、ZrO等の酸化金属は、紫外線の照射により有機物等の酸化分解を行なう光触媒機能を発揮する。しかし、紫外線は水に対する透過率が低いことから、本発明の曝気装置10のように水中で有機物等の酸化分解を行なう必要のある分野においては、紫外線に応答して光触媒機能を発揮する既知の光触媒(以下、「紫外線応答型光触媒」という。)を使用することは困難であった。
【0049】
しかし、本発明に使用する酸化金属被膜22は、前述する酸素欠乏傾斜構造により、紫外線以外の電磁波(ガンマ線、X線、可視光線、赤外線、電波等)に対しても応答するという性質を有しており、上記電磁波のうちいずれかのエネルギーがあれば光触媒機能を発揮することができる。従って、酸化金属被膜22に水が噴射される本曝気装置10の構成においても好適に有機物等の酸化分解を行なうことができる。
【0050】
さらに、金属粉体の噴射により形成された本発明の酸化金属被膜22は安定した酸素欠乏傾斜構造を有するため、長期間にわたって安定した光触媒機能を発揮することができる。
【0051】
前記酸素欠乏傾斜構造を有する酸化金属被膜22の形成に使用する金属粉体の形状は、球状または多角形状が好ましく、粒径は200μm以下、好ましくは30μm〜100μmとする。また、噴射圧力は0.3MPa以上で、噴射粉体の材質等にもよるが、形成された被膜22を安定させるために、好ましくは0.5MPa以上とする。
【0052】
前記被膜22の形成に使用する金属は、光触媒機能を発揮するものであれば上記例に限定されず、また、上記金属等に白金(Pt)やパラジウム(Pd)、銀(Ag)等の貴金属粉体を混合して同時に噴射することによりこれらの金属を被膜中に担持させることもできる。
【0053】
本実施形態にあっては、多孔板である前記チタン製のラス21表面にチタン(Ti)粉末をブラストしてチタニア(酸化チタンTiO)被膜を形成し、当該チタニア被膜22によって前記有機物等の酸化分解処理を行なうこととする。
【0054】
前記曝気槽20に金網21を収容する本発明の構成により、高い曝気効果が得られる点は上述したとおりであるが、この他、当該金網21表面の酸素欠乏傾斜構造を有する酸化金属被膜22によって、本発明の曝気装置10は以下のような効果が得られる。
【0055】
本発明において有機物等の酸化分解を行なう酸化金属被膜22は、ショットピーニングにより金網21上に安定した状態で溶融付着して形成されたものであることから、従来の曝気装置70において濾材71に付着させた微生物72等のように、散水手段11から噴射される水の圧力を上げても金網21から流れ落ちることがなく、従って前記水圧の上昇による曝気効率の向上を図ることが可能となる。また、散水手段11の水圧を上げることは、酸化金属被膜22が有機物を分解することにより形成された無機物が金網21表面に付着するのを防止することにもつながる。
【0056】
さらに、本発明の前記金網21に形成された酸化金属被膜22は酸素欠乏傾斜構造を有していることから、水との接触による光触媒機能の低減という紫外線応答型光触媒が有する問題が生じず、高い光触媒効果を得ることができる。
【0057】
なお、本発明で用いる前記酸化金属被膜22は、前述した従来の曝気装置70における微生物72と同様に各種の汚濁物質を分解することが可能であるが、これに加え、光触媒によって分解されることが知られている物質等についても酸化分解することができる。本発明で用いる前記酸化金属被膜22が分解可能なものとしては、アンモニア、亜硝酸等の有機物のほか、ダイオキシン等の揮発性有機塩素化合物や有機リン化合物、ホルムアルデヒド、窒素酸化物(NOx)、硫黄化合物(SOx)といった有害物質、大腸菌や黄色ブドウ球菌等の細菌類など、種々の汚濁物質等が広く含まれる。
【0058】
従って、前記酸化金属被膜22を用いた本発明の曝気装置10によれば、上記物質や菌の分解により、脱臭、抗菌、防汚等の効果を得ることができる。
【0059】
さらに、従来の曝気装置70にあっては、曝気槽20に充填された濾材71による生物濾過は、水中に含まれる有機物に対して行なわれ、曝気処理によって気化され水中から除去された有機物については酸化分解されないまま大気に放出されるという問題があった。しかし、本発明の曝気装置10では、曝気槽20内に収容された金網21が多数の開孔を有しており、且つ、各金網21が所定間隔を介して配置されていることから、散水手段11より噴射された水のは最上段に配置された金網21aの表面のみでなく、下方に配置された金網21b、21cの表面とも衝突飛散し、曝気がなされる。これらの曝気により気化した有機物等は、前記曝気槽20内の空間を流動することとなるが、この際、これらの有機物等は前記金網21a,21b,21c表面の酸化金属被膜22と接触することにより酸化分解されることから、曝気により気化した有機物等の汚濁物質をそのまま大気に放出することを防ぐことができる。
【0060】
本発明の前記曝気装置10は、曝気槽20内部に収容する前記金網21の酸化金属被膜22に十分な電磁波を与えることにより高効率の光触媒効果を得るものであるため、曝気槽20内に太陽光線等の電磁波が当たるよう構成されていることが好ましい。
【0061】
本実施形態にあっては、前記曝気槽20の上面26を開口しているが、この他、前記上面26をガラス等、透光性の高い材質からなる蓋にて被蓋することもできる。また、前記曝気槽20内に配置する金網21と同様に酸化金属被膜が形成された金網21にて曝気槽20の上面26を被蓋してもよい。これにより、曝気槽20内部で気化された有機物等は、前記上面26を介して曝気槽外に流出する際にも金網21と接触し酸化分解される。
【0062】
また、前記曝気槽20底部の排水構造を本実施形態のように通水性を有する底面27によって実現する場合には、当該底面27を曝気槽20内に配置する金網21と同様に酸化金属被膜22が形成された金網21で形成してもよい。これにより、曝気槽20の底面27においても、金網21の酸化金属被膜22による酸化分解効果を得ることができる。
【0063】
以上説明した構成の本発明の曝気装置10による汚水処理を説明すると、まず、処理対象となる養魚用池の水は、散水手段11の給水管13を通じて散水器12より噴射される。噴射された水は前記散水手段11による噴射時の他、曝気槽20の内壁や、曝気槽20内部に収容された金網21との衝突による飛散の際に空気と接触し、水中に含まれる揮発性有機物を気化させて水中から除去する前記曝気処理が行なわれる。本発明の曝気装置10においては、この曝気処理は、前記金網21のうち最上段に位置する金網21aのみならず、その下方に所定間隔で配置された中段、下段の金網21b,21cにおいても行なわれるため、高い曝気効率を得ることができる。前記曝気処理された水は、その後前記金網21の開孔を通過するが、その際、前記曝気処理によって除去されなかった餌の食べ残しや魚の糞等の有機物、細菌類、その他の水中の汚濁物質は前記金網21表面の酸化金属被膜22と接触することにより酸化分解される。また、前記曝気によって気化した有機物等も、金網21の酸化金属被膜22と接触することにより酸化分解が行なわれる。
【0064】
前記金網21を通過し、曝気槽20の底面27より排出された水は、浄化対象水系であるもとの養魚池へ返送されてもよく、または、後述するように既知の濾過装置30へと導入されてもよい。
【0065】
本発明の曝気装置10は、図1に示すように、既知の濾過装置30と組み合わせ、浄化装置1として構成することもできる。
【0066】
以下、図1に示す実施形態における浄化装置1の全体構成について説明すると、前記本発明の曝気装置10の下方には2つの濾過槽を有する濾過装置30が配置されており、前記濾過装置30は、略直方体に形成されたドライ濾過槽31と、角筒状の胴部45と略逆角錐状に形成された底部47から成るウェット濾過槽41が上下方向に重ねられて成る。
【0067】
本実施形態にあっては、前記曝気装置10は、曝気槽底面27の四隅に所定長さの足28が設けられており、曝気装置10の下方に前記濾過装置30を配置した際、前記濾過装置30との間に所定の空間が形成されるよう構成されている。
【0068】
曝気装置10の下方に配置されるドライ濾過槽31は、前記曝気槽20と同様、その底面37が通水性を有するパンチングメタルや金網等で形成されていると共に、その底面37の四隅には所定長さの足38が設けられている。
【0069】
また、ドライ濾過槽31の上面36は開口しており、その上方に重ねられている曝気槽20を通過した水は当該開口36からドライ濾過槽内部に導入されるよう構成されているが、前記曝気槽20とドライ濾過槽31との間に形成された空間を通過した水が確実に前記ドライ濾過槽31の開口36内に導入されるよう、当該上面開口36の周縁には、外側に向かって斜め上方向に傾斜するつば39が設けられている。
【0070】
前記ドライ濾過槽31の内部には、砂、セラミック濾材、その他の既知の濾材32が水没しない状態に配置されており、処理対象の水がこのドライ濾過槽31内を通過すると、その中に含まれる汚濁物質が前記濾材32に捕捉除去されるよう構成されている。なお、ドライ濾過槽31内部に配置される濾材32にも、前記従来の曝気装置70に用いられている濾材71と同様、バクテリア等の微生物72を付着させてもよい。
【0071】
ドライ濾過槽31のさらに下方に配置されるウェット濾過槽41は、その内部に、バクテリア等の微生物の住処となる濾材、例えばロール状に形成されたブラシから成る濾材や、マット状乃至は網状の濾材、網袋等にサンゴ砂、牡蠣殻、その他前述したセラミック濾材等の既知の濾材42が配置されている。
【0072】
また、前記ウェット濾過槽41の上面46は開口しており、前記ドライ濾過槽31を通過した水をウェット濾過槽41の内部に導入するろうと状の捕水管48がこの開口46内に挿入されている。
【0073】
前記捕水管48は、その先端がウェット濾過槽41内部の前記濾材42よりも下方に位置するよう取り付けられていると共に、ウェット濾過槽41の濾材42配置位置よりも上方の胴部45に排水管50が取り付けられており、従って、処理対象の水は処理対象水中に水没する濾材42中を下方から上方へと通過し、その後前記排水管50よりウエット濾過槽41外に排出されるオーバーフロー型に構成されている。
【0074】
また、略逆角錐状に形成された底部47の中央には、メンテナンス時の水抜き等に使用する廃棄管60が接続されている。前記廃棄管60には自動廃水が可能となるよう電磁弁61が設けられていることが好ましい。
【0075】
上記構成からなる本実施形態の浄化装置1による浄化処理工程を説明すると、まず、浄化対象水系である養魚用池の水が前記曝気装置10の散水手段11より曝気槽20内へと噴射される。噴射された処理対象である水は、その後、曝気槽20内において曝気処理及び金網21表面の酸化金属被膜22による酸化分解処理を経て、曝気槽底面27より排出される。当該曝気装置10により処理された水は、前記曝気装置10の下方に位置する濾過装置30のうち、ドライ濾過槽31内部へと導入される。なお、この導入の際、曝気槽底面27から排出された水は、前記曝気槽20と前記ドライ濾過槽31との間に形成された空間においても空気と接触するため、当該空間においても曝気処理がなされる。
【0076】
前記曝気装置10からドライ濾過槽31へと導入された水は、ドライ濾過槽31内に配置されている濾材32中を重力に従って通過し、この際、前記曝気装置10において除去しきれなかった懸濁性物質等の汚濁物質が前記濾材32によって捕捉される。また、前記濾材32がバクテリア等の微生物72を付着している場合には、当該微生物72によって捕捉された有機物等が生物濾過される。
【0077】
前記ドライ濾過槽31を通過した水は、当該ドライ濾過槽31よりもさらに下方に位置するウェット濾過槽41へと導入される。処理対象である水が前記ドライ濾過槽31からウェット濾過槽41へ導入される際には、ウェット濾過槽41の上面開口部46に取り付けられた捕水管48を通じてウェット濾過槽41内部へと直接導入される。その後、処理対象である水はウェット濾過槽41内部を充填しつつ、捕水管48の先端より上方に配置された濾材42を下から上へと浸透して通過することにより濾過される。
【0078】
ウェット濾過槽41における濾過も、前記ドライ濾過槽31における処理と同様、濾材42が汚濁物質を捕捉除去する他、当該濾材42がバクテリア等の微生物72を付着させている場合には当該微生物72による生物濾過が行なわれる。
【0079】
上記ドライ濾過槽31、ウェット濾過槽41からなる濾過装置30によって濾過処理された水は、ウェット濾過槽胴部45に設けられた排水管50を通じて浄化対象水系であるもとの養魚用池へと戻される。
【0080】
また、掃除などのメンテナンスのため、浄化装置内の水を廃棄する必要がある場合には、前記ウェット濾過槽41の底部47に設けられた廃棄管60を通じて当該浄化装置1中の水が廃棄される。
【0081】
従って、本実施形態のように本発明の曝気装置10を既知の濾過装置30と組み合わせ、浄化装置1として使用することにより、処理対象である水に含まれている汚濁物質の量が前記曝気装置10における処理能力を超えている、又は前記曝気装置10によっては除去できない懸濁性物質等の汚濁物質が含まれているために、前記曝気装置10によって処理された水に未だ汚濁物質が含まれてる場合であっても、これらの濾過装置30(ドライ濾過槽31及びウェット濾過槽41)によって更に汚濁物質の除去を行なうことにより、処理対象である水を好適に浄化することができる。
【0082】
なお、浄化装置1を構成するにあたって前記本発明の曝気装置10と組み合わせる濾過装置30は、前記曝気装置10による処理後の水をさらに浄化する機能を備えたものであれば、如何なるものであってもよく、例えば、前記濾過装置30のうち、ドライ濾過槽31をなくしてウェット濾過槽41のみからなる濾過装置30を使用してもよく、また、濾過槽30に充填、配置する濾材32,42も既知の種々の濾材から選択することができ、本実施形態には限定されない。
【0083】
また、濾過装置30に使用する濾材32,42に微生物72を付着しないことも可能であるが、前記曝気装置10における酸化金属被膜22の酸化分解に加えて生物濾過効果を得ることができるため、濾過装置30に使用する濾材32,42には微生物72を付着させることが好ましい。なお、本発明の曝気装置10により処理され、前記曝気槽20内部に収容されている酸化金属被膜の形成された金網21を通過した水は、前記濾材に付着させたバクテリア等の微生物72を活性化することができ、当該微生物72を用いた生物濾過を続けて行なうのに好適である。
【0084】
【実施例】
上記実施形態において説明した本発明の曝気装置10と従来の曝気装置70の下方にドライ濾過槽31及びウェット濾過槽41から成る濾過装置30を備えた図1及び図3に示す浄化装置1、1’を、それぞれ同条件の養魚用池に設置し、比較試験を行なった。
【0085】
(実施例1)
2〜4才の鯉が約50匹飼育されている室内の養魚用池(水量80t)にて、9ヶ月にわたって浄化装置を使用した。浄化装置による循環水量は1時間あたり約20tとした。
【0086】
【表1】
Figure 2004074027
【0087】
本発明の浄化装置1を使用した池においては、従来の浄化装置1’を使用した池において発生する黒色の藻やヘドロが発生することなく、きれいな緑色の藻が生え、また、濾過装置30の内部についても苔がほとんど発生しないことから、掃除等のメンテナンスを頻繁に行なう必要がなかった。この他、水の状態についても高い透明度を保つと共に臭いの発生を抑えることができ、鯉の状態もよいことから、養魚用池の環境を好適に維持することができたといえる。
【0088】
上記実施例から、本発明の曝気装置10が、処理対象である水に含まれる汚濁物質を高効率に分解除去することを確認できた。
【0089】
(実施例2)
実施例1と同様、図1及び図3に示す浄化装置1、1’を用いて、それぞれ水量30tの室内の養魚用池にて、当才の鯉約1000匹の飼育を6ヶ月にわたって行なった。尚、池の水は所定温度に加温されており、浄化による循環水量は1時間あたり約15tとした。
【0090】
【表2】
Figure 2004074027
【0091】
上記結果からわかるように、本発明の浄化装置1にあっては、汚濁物質の除去をはじめ消臭、抗菌効果等も得られるため、鯉の成長状態もよく、病気による死亡率も低く、体長の大きな鯉の飼育が可能となった。
【0092】
また、前記実施例1と同様に池や濾過装置30内の状態も良好に保たれているといえる。
【0093】
さらに、本実施例においては、使用した養魚用池の水は所定温度に加温されているものであるため、当該池に新たに水を補給する場合には、供給する際に所定温度に加温する必要がある。従来の浄化装置1’の場合、池の水の状態があまりよくないため頻繁に新しい水を補給する必要があり、その水を加温する燃料コストも高くなるという問題があった。しかし、本発明の曝気装置10を用いれば、水をよい状態に長期間保つことが可能であり、新しい水の補給が少量で済むため、当該補給する水を加温する燃料コストも低減させることが可能となった。
【0094】
(実施例3)
本発明の曝気装置10に用いる金網21を投入した水道水について、時間の経過に伴うORP(酸化還元電位)の変化を測定した。ここで、ORPとは水が他の物質を酸化しやすい状態にあるのか、還元しやすい状態にあるのかを表すもので、この値が高いほど他の物質を酸化する力が強いといえる。
【0095】
本実施例においては、100ccのビーカーに水道水100ccを入れ、このビーカーの内径と略同径の円筒状に丸めた金網を水深と同一長さ水道水中に浸漬し、ORPの経時変化を測定した。
【0096】
【表3】
Figure 2004074027
【0097】
上記結果から、金網21を浸漬していない未処理の水道水では、時間が経過すると共にORPが徐々に上昇しているのに対し、本発明で使用する金網21を浸漬した水道水では、時間の経過と共にORPの値が著しく低下していることがわかる。
【0098】
近年、人間を含めた生物組織は酸化によって老化することが知られるようになっている。このことから考えれば、水の酸化力を示すORPの値が低い方が生物の育成環境には好ましいといえる。
【0099】
従って、このようなORPの値を低減することができる前述の金網21を使用した本発明の曝気装置10にあっては、養魚池、湖沼、その他生物の育成環境等となっている水系の曝気に使用するに好適なものであることが判る。
【0100】
【発明の効果】
本発明の曝気装置によれば、曝気槽に濾材を充填するのでなく、多孔板を収容するため、散水手段によって噴射された水は、前記散水手段から最も近い位置に配置された多孔板だけでなく、それよりも離れた位置に配置された多孔板とも好適に衝突して飛散するため、高い曝気効果を得ることが可能となる。
【0101】
また、前記多孔板には酸化金属被膜が形成されており、処理対象である水に含まれる汚濁物質は当該酸化金属被膜により酸化分解されるため、従来の曝気装置における生物濾過効果と同様の効果を発揮することができる他、光触媒によって分解可能な種々の物質をも分解することができ、脱臭、抗菌、防汚等、種々の効果が得られる。
【0102】
また、曝気槽内部に配置された前記多孔板は所定間隔を有しており、前記酸化金属被膜による分解は、散水手段から噴射された水中の汚濁物質のみならず、前記曝気処理により気化した汚濁物質に対しても行なうことが可能であるため、大気中にこれらの汚濁物質が放出され2次災害を引き起こすことを防止することができる。
【0103】
さらに、前記多孔板表面の酸化金属被膜はショットピーニングにより形成されており、濾材に付着させた微生物のように流れ落ちることがないため、曝気効率向上のために散水手段から噴射する水の圧力を上昇させることが可能である。
【0104】
また、前記ショットピーニングにより形成された酸化金属被膜は、酸素欠乏傾斜構造を有しており、当該酸素欠乏傾斜構造により紫外線以外の可視光線、赤外線といった電磁波にも応答する性質を有しているため、水と接触することから紫外線による光触媒効果が得られにくい本発明の構成においても好適に光触媒効果を発揮することができる。
【0105】
従来の曝気装置においては、曝気槽に濾材を充填しているため、当該濾材の洗浄、交換等、メンテナンスが煩雑であったが、本発明の曝気装置においては、曝気槽に収容するのは多孔板であり、前記多孔板は構造も簡単であることから、メンテナンスが容易となる。
【0106】
本発明の曝気装置を使用すると、浄化対象水系の水をよい状態に長期間保つことが可能となるため、新たな水の補給が少量で済み、コストの低減を図ることができる。
【0107】
また、本発明の曝気装置によれば、有機物等の汚濁物質は酸化分解される一方、処理対象である水についてはORPの値を下げることができ、生物の育成環境に好適であるといえる。
【0108】
本発明の曝気装置は既知の濾過装置と組み合わせ、浄化装置として使用することが可能であり、浄化装置として使用することによって、曝気装置によっては除去できない懸濁性物質等の汚濁物質を濾過装置の濾材によって除去することができることから、浄化効率を高めることができる。
【0109】
また、前記濾過装置の濾材にバクテリア等の微生物を付着させている場合には、本発明の曝気装置による酸化分解処理に加え、濾過装置において生物濾過処理も行なわれることから、有機物等の汚濁物質を好適に分解除去することが可能となる。
【0110】
なお、本発明の曝気装置によって処理された水は、濾材に付着させた前記バクテリア等の微生物を活性化する効果があるため、濾過装置における生物濾過効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願の曝気装置を備えた浄化装置の一実施形態を示す断面図。
【図2】図1に示す曝気装置に使用する金網の一部拡大図。
【図3】従来の曝気装置を備えた浄化装置の概略断面図。
【符号の説明】
1,1’ 浄化装置
10 本願曝気装置
11 散水手段
12 散水器
13 給水管
20 曝気槽
21 多孔板(金網)
21a 最上段
21b 中段
21c 最下段
22 酸化金属被膜
25 側面(曝気槽の)
26 上面(曝気槽の)
27 底面(曝気槽の)
28 足(曝気槽の)
30 濾過装置
31 ドライ濾過槽
32 濾材(ドライ濾過槽の)
36 上面(ドライ濾過槽の)
37 底面(ドライ濾過槽の)
38 足(ドライ濾過槽の)
39 つば(ドライ濾過槽の)
41 ウェット濾過槽
42 濾材(ウェット濾過槽の)
45 胴部(ウェット濾過槽の)
46 上面(ウェット濾過槽の)
47 底部(ウェット濾過槽の)
48 捕水管
50 排水管
60 廃棄管
61 電磁弁
70 従来曝気装置
71 濾材(従来曝気装置の)
71’ 濾材最上層
72 微生物

Claims (9)

  1. 処理対象とする水を散水手段により曝気槽内に噴射し、前記曝気槽内に配置され、ショットピーニングにより形成された酸素欠乏傾斜構造を有する酸化金属被膜の多孔板に衝突させ飛散させることにより曝気処理を行なうと共に、
    当該水中に含まれる、又は、前記曝気処理によって水中から気化した汚濁物質を前記多孔板の酸化金属被膜と接触させることによって酸化分解処理することを特徴とする曝気方法。
  2. 底部に排水構造を備えた曝気槽を設け、この曝気槽内にショットピーニングにより酸素欠乏傾斜構造を有する酸化金属被膜が形成された多孔板を配置すると共に、処理対象とする水を前記多孔板の表面に向かって噴射する散水手段を設けたことを特徴とする曝気装置。
  3. 前記曝気槽は、その上部を開放し、又は透光性の蓋体にて被蓋されていることを特徴とする請求項2記載の曝気装置。
  4. 前記多孔板を前記曝気槽内に複数枚相互に略平行となるよう所定間隔で配置したことを特徴とする請求項2又は3記載の曝気装置。
  5. 前記多孔板がチタン製の金網であり、前記多孔板に形成された酸化金属被膜がチタニア被膜であることを特徴とする請求項2〜4いずれか1項記載の曝気装置。
  6. 前記多孔板に形成された酸化金属被膜が、粒径が200μm以下、好ましくは30μm〜100μmの、球状又は多角形状の金属粉体を、噴射圧力0.3MPa、好ましくは0.5MPa以上で噴射することによって形成されたことを特徴とする請求項2〜5いずれか1項記載の曝気装置。
  7. 前記多孔板の酸化金属被膜の形成に使用する前記金属粉体が、チタン、亜鉛、タングステン、錫、ジルコニウム、又はこれらの合金から成る粉体であることを特徴とする請求項2〜6いずれか1項記載の曝気装置。
  8. 底部に排水構造を備えた曝気槽を設け、この曝気槽内にショットピーニングにより酸素欠乏傾斜構造を有する酸化金属被膜が形成された多孔板を配置すると共に、処理対象とする水を前記多孔板の表面に向かって噴射する散水手段を設けた曝気装置と、
    前記曝気装置の下方に配置され、前記曝気槽の底部から排出された曝気処理後の水を導入すると共に、この導入された水を濾過する濾過装置を備えたことを特徴とする浄化装置。
  9. 前記濾過装置が、微生物により生物濾過を行なう濾過装置であることを特徴とする請求項8記載の浄化装置。
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