JP2004073939A - スプレー用容器及びスプレー - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明では、簡易にかつ確実に気化ガスのみを噴射させ液化ガスの液
漏れを防止できるスプレー容器を提供する。
【解決手段】スプレー用容器2を、開閉可能な噴出口20を備える容器本体4と、前記噴出口20に対してより近位において開口する開口部42と、より遠位において開口する開口部44との少なくとも2つの開口部を有し、前記容器本体4の前記噴出口20側に連通される1あるいは2以上の管体40と、前記各開口部42,44を開閉する開閉手段60、とを備えるようにする。前記開閉手段60は、前記スプレー用容器2が正立時には、前記管体40の前記近位開口部側42を開放し、前記遠位開口部側44を遮断する一方、前記スプレー用容器2が倒立時には、前記管体40の前記近位開口部42側を遮断し、前記遠位開口部44側を開放するようにする。この容器2によれば、正立時であっても倒立時であっても、ヘッドスペース側にある開口部側が開放され、常時気
化ガスのみを噴射できる。
【選択図】図1
漏れを防止できるスプレー容器を提供する。
【解決手段】スプレー用容器2を、開閉可能な噴出口20を備える容器本体4と、前記噴出口20に対してより近位において開口する開口部42と、より遠位において開口する開口部44との少なくとも2つの開口部を有し、前記容器本体4の前記噴出口20側に連通される1あるいは2以上の管体40と、前記各開口部42,44を開閉する開閉手段60、とを備えるようにする。前記開閉手段60は、前記スプレー用容器2が正立時には、前記管体40の前記近位開口部側42を開放し、前記遠位開口部側44を遮断する一方、前記スプレー用容器2が倒立時には、前記管体40の前記近位開口部42側を遮断し、前記遠位開口部44側を開放するようにする。この容器2によれば、正立時であっても倒立時であっても、ヘッドスペース側にある開口部側が開放され、常時気
化ガスのみを噴射できる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、スプレー用容器に関し、特に、液化ガス(液体)噴出させることなく、気化ガスのみを噴出させるようにしたガススプレー用容器及びスプレーに関する。
【0002】
【従来の技術】
各種精密機器やOA機器等のクリーニング処理には、圧縮エアを吹付けすることが行われている。
圧縮エアを吐出させるためには、エアコンプレッサーなどを用いることが一般的であるが、小規模、あるいは個人的に使用することは困難である。
そこで、簡易に圧縮エアを供給する技術が、特開平10−52676号公報に開示されている。この公報には、スプレーノズルを備えた缶体内に、ガス吸蔵体を、その上面とスプレーノズルとの間にガス溜め用の空間部を残して充てんし、このガス吸蔵体に不燃性のガスを吸蔵させたスプレー式クリーナーが記載されている。ガス吸蔵体は、缶体内にポリウレタンフォームのような多孔性発泡合成樹脂を注入し、缶体内で発泡処理することにより缶体に成形一体化し、その後、この発泡体の表面に形成された薄膜に小孔を空けた上で、缶体内に液化ガスを充てんし、小孔によりガス吸蔵体内に液化ガスを含浸吸蔵させることが記載されている。
このクリーナーによれば、ガス吸蔵体に液化ガスが吸蔵されており、昇華したガスが空間部に常時充満した形態となっているため、連続的にガスを噴射することができることが記載されている。
また、ガス吸蔵体の上面に非多孔性の薄膜であって、適当数の小孔を設けることにより、クリーナーを逆さまにしても、液漏れが防止されることが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、缶体に発泡性合成樹脂を注入して発泡成形して適度な上部空間部を備えつつ缶体に発泡一体化させることは容易ではなく、倒立時の液もれ現象を完全に防ぐことも困難であった。
また、缶体に、予め発泡したガス吸蔵体を充てんすることも考えられるが、工業的に実施可能な作業ではなかった。
そこで、本発明では、簡易にかつ確実に気化ガスのみを噴射させ液化ガスの液漏れを防止できるスプレー容器及びスプレーを提供することを、その目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、本発明者が検討したところ、容器本体内に導入される管体に、噴出口の近位側と遠位側とにそれぞれ開口部を備えるようにし、正立時であっても倒立時であっても、ヘッドスペース側にある開口部側が開放され、液化ガス中にある開口部側が遮断されるようにすることにより、常時気化ガスのみを噴射できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、以下の手段が提供される。
(1)スプレー用容器であって、
噴出口を備える容器本体と、
前記噴出口に対してより近位において開口する開口部と、より遠位において開口する開口部との少なくとも2つの開口部を有し、前記容器本体の前記噴出口側に連通される1あるいは2以上の管体と、
前記各開口部を開閉する開閉手段、
とを備え、
前記開閉手段は、前記スプレー用容器が正立時には、前記管体の前記近位開口部側を開放し、前記遠位開口部側を遮断する一方、前記スプレー用容器が倒立時には、前記管体の前記近位開口部側を遮断し、前記遠位開口部側を開放する、容器。
(2)前記開閉手段は、重力により移動する遮断部材を有し、この遮断部材は、少なくとも、前記開口部側の遮断時には、遮断しようとする開口部あるいは遮断しようとする開口部の前記噴出口側の管体内を封止する位置に移動するようになっている、(1)記載の容器。
(3)前記遮断部材は、球状体である、(2)記載の容器。
(4)前記管体は、分岐しており、分岐した各管体側に近位開口部と遠位開口部とをそれぞれ備える、(1)〜(3)のいずれかに記載の容器。
(5)前記管体は、近位開口部を備える管体と、遠位開口部を備える管体とをそれぞれ有する、(1)〜(3)のいずれかに記載の容器。
(6)スプレー用容器であって、
噴出口を備える容器本体と、
前記噴出口に対してより近位において開口する開口部と、より遠位において開口する開口部との少なくとも2つの開口部を有し、前記容器本体の前記噴出口側に連通される1あるいは2以上の管体と、
前記各開口部を開閉する開閉手段、
とを備え、
前記開閉手段は、前記各開口部に付随してそれぞれ設けられ、各開閉手段は、重力により移動可能な球状体を遮断部材として有し、
前記近位開口部の遮断部材は、前記スプレー用容器が正立時には、当該近位開口部側を開放し、前記スプレー用容器が倒立時には、当該近位開口部側を封止する位置に移動し、
前記遠位開口部の遮断部材は、前記スプレー用容器が正立時には、当該遠位開口部側を遮断し、前記スプレー用容器が倒立時には、当該遠位開口部側を開放する位置に移動するようになっている、容器。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載のスプレー用容器中に液化ガスを有す
る、スプレー。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のスプレー用容器は、開閉可能な噴出口を備える容器本体と、前記噴出口に対してより近位において開口する開口部と、より遠位において開口する開口部との少なくとも2つの開口部を有し、前記容器本体の前記噴出口側に連通される1あるいは2以上の管体と、前記各開口部を開閉する開閉手段、とを備えている。この開閉手段は、前記スプレー用容器が正立時には、前記管体の前記近位開口部側を開放し、前記遠位開口部側を遮断する一方、前記スプレー用容器が倒立時には、前記管体の前記近位開口部側を遮断し、前記遠位開口部側を開放するように構成されている。
本容器によれば、前記噴出口に対してより近位において開口する開口部と、より遠位において開口する開口部との少なくとも2つの開口部を有し、前記容器本体の前記噴出口側に連通される1あるいは2以上の管体を有している。そして、これらの開口部が上記のとおり開閉されるようになっているため、正立時においても倒立時においても、上方側に形成されるヘッドスペースにある気化ガスのみが噴出口より噴射され、液化ガスの液漏れを防止できる。また、2種類の開口部を管体に付随する開閉手段によって噴射制御するため、容易に液化ガスの漏出を防止できる。さらに、液化ガスの充てん工程を変更することなく本噴射制御を達成できる。
【0006】
以下、本発明の実施の形態について、スプレー用容器について説明し、次いで、かかる容器を用いたスプレーについて説明する。
なお、図1〜図6に例示するスプレー用容器の形態は、あくまで本発明の一形態であり、本発明を拘束するものではない。
図1には、本発明に係るスプレー用容器2の一形態が示されている。本容器2は、噴出口20を備える容器本体4と、この容器本体4の本体内部に保持された管体40とを備えている。
【0007】
(容器本体)
容器本体4は、一般的に、スプレー用容器に用いられる公知の容器を用いることができる。液化ガスや圧縮ガスの充てん・噴出に適した容器を用いることが好ましい。材質は特に問わないで、金属製、プラスチック製などを用いることができる。容器本体4は、通常、上方に開口6を有するボトル状体となっている。なお、開口6は、容器本体4自体によって構成されていてもよいし、容器本体4の開口6に装着した蓋体の開口部によって構成されていてもよい。
【0008】
(噴出口)
噴出口20は、開口6において容器本体4の内部と連通するように設けられる。容器本体4の内部と必要に応じて連通可能に備えられていることが好ましい。すなわち、適時、噴出口20から容器本体4の内部の充てん物を噴射可能としておくことが好ましい。このような構成は、スプレー用容器において周知の構成であり、当業者であれば、必要に応じて適切な構成を採用することができる。たとえば、図1に例示するように、容器本体4の開口6近傍に、噴射部材22を備えることもできる。この噴射部材22は、容器本体4の開口6の近傍に装着可能で容器本体4の内部と連通するケーシング24と、このケーシング24に内蔵されるスプリングなどの弾性体26と、周壁に設けた貫通孔28aを備える筒体28であって、この弾性体26よって上下動可能でかつケーシング24の開口6において前記貫通孔28aの形成部位がシールされるとともに、その上端側が容器本体4の外部に突出するように備えられる筒体28と備えている。筒体28が噴出口20を構成していてもよいし、筒体28に対して、さらに、ノズルなどが付与されて噴出口20が構成されていてもよい。
この噴射部材22によれば、常時は、筒体28の貫通孔28aは、開口6において適当なシール材によりシールされている。一方、弾性体26を圧縮するように筒体28を下方移動させることにより、貫通孔28aがシール部位より下方に位置され、これにより、貫通孔28aを介して筒体28と容器本体4の内部とが連通し、筒体28を介して、噴出口20と容器本体4の内部とが連通する。なお、かかる噴射部材22は、蓋体と一体構成されて、容器本体4の開口端縁に装着可能となっていることが好ましい。さらに、この噴射部材22に、後述する管体40やこれに付随する開閉手段60を予め備えさせておくことにより、本容器2及びスプレーを容易に製造することができる。
【0009】
(管体)
噴出口20側に連通するように、好ましくは、噴出口20に付随して、容器本体4の内部に管体40が収納されている。管体40は、容器本体2の噴出口20側と通じる一方、容器本体4の内部に開口する開口部を備えている。本発明においては、管体40は、1本でもよく、また2本以上備えられていてもよいが、1本あるいは2本以上の管体40において、噴出口20に対して近位の開口部42と噴出口20に対して遠位の開口部44とを備えるようにする。
本発明における管体40の形態としては、たとえば、以下の形態を例示することができる。
(1)1本の管体に対して、近位開口部と遠位開口部とを備える形態
(2)(1)の変形であって、1本の管体が二股に分岐するか、あるいは1本の管体の途中で分岐した管体を有し、管体の2つの先端側にそれぞれ近位開口部と遠位開口部とを有する形態
(3)それぞれ独立に噴出口側に連通される2本の管体を備えており、一方の管体が近位開口部を備え、他方の管体が遠位開口部を備えている形態
(4)1本の管体が、管体の二点を連絡するループ状の管路を有しており、この管体の当該二点間に近位開口部を有し、前記管体の下方にある管体の先端を遠位開口部とする形態
図1〜3には、上記(1)に対応する管体40を示し、図4及び図5には、上記(2)に対応する管体40を示している。図6には、上記(4)に対応する管体40を示している。
【0010】
近位開口部42は、容器2が正立時において、容器本体4の内部に充てんされる液化ガスの予定される液面より高い位置で開口するようにすることが好ましい。当該高さ位置において開口させることにより、容器2の正立時において形成される液化ガス上方のヘッドスペースの気化ガスが確実に噴射可能となる。
一方、遠位開口部44は、容器2が倒立時において、容器本体4の内部に充てんされる液化ガスの予定される液面より高い位置で開口するようにすることが好ましい。該高さ位置において開口させることにより、容器2の倒立時において形成される液化ガス上方のヘッドスペースの気化ガスが確実に噴射可能となる。
このように近位開口部42と遠位開口部44とを設けることにより、近位開口部42は、噴出口20に近接して設けられ、遠位開口部44は容器本体4の底部に近接して設けられることになる。
なお、近位開口部42及び遠位開口部44の開口形態は、各種形態を採ることができる。すなわち、管体40における開口位置や開口形状については、後述する開閉手段60等の関係で所望の開閉制御を実現できる形態を選択するようにする。また、管体40は、1体の管体で構成するのに限定しない。複数の管体を直列に連結して構成することもできる。
【0011】
(開閉手段)
管体40には、近位開口部42と遠位開口部44との開閉を行う開閉手段60を備えている。
開閉手段60は、容器2が正立時には、管体40の近位開口部42側を開放し、前記遠位開口部44側を遮断する一方、容器2が倒立時には、管体40の近位開口部42側を遮断し、遠位開口部44側を開放するようになっている。 開閉手段60は、このため、近位開口部42と遠位開口部44とにそれぞれ備えられていることが好ましい。上記した管体40の各種態様のうち、(1)〜(3)においては、開閉手段60をそれぞれの開口部42、44に対して設けることができる。また、上記(4)の管体40においては、一つの開閉手段で両開口部42、44の開閉を実現することもできる。
【0012】
開閉手段60としては、重力によって変位する遮断部材62で前記開口部42、44あるいはこれらの開口部42、44へ通じる管体40の一部位を開閉することにより、上記した開閉制御を容易に実現することができる。重力により移動する遮断部材62を用いることにより、容器2の正立時と倒立時における遮断部材62の移動により開口部42、44や管体40の一部の開放及び封止状態を容易に設計することができる。
具体的には、遮断部材62は、少なくとも、各開口部42、44側の遮断時には、遮断しようとする開口部42、44あるいは遮断しようとする開口部42、44の前記噴出口20側において管体40内を封止する位置に移動し保持されるようになっている。なお、遮断部材62は、前記開口部側の開放時には、当該開口部側を遮断しない位置に存在していればよい。より好ましくは、近位開口部42の遮断部材62は、容器2が正立時には、近位開口部42側を開放し、容器2が倒立時には、近位開口部42側を封止する位置に移動し保持され、遠位開口部44の遮断部材62は、容器2が正立時には、遠位開口部44側を遮断し、容器2が倒立時には、遠位開口部44側を開放する位置に移動し保持されるようになっている。
【0013】
遮断部材62は、重力によって移動して、開口部42、44や管体40の一部を封止可能であれば、特に形態や材質を限定するものではない。容器2の正立と倒立に付随して容易に移動可能であり、かつ、開口部42、44や管体40の封止性を考慮すると、遮断部材は、好ましくは、球状体である。より好ましくは完全な球体である。また、材質としては、気化ガス中でも液化ガス中でも容易に変位可能とするには、ある程度以上の比重を備えていることが好ましい。したがって、セラミックスやガラスの他、金属を含むかあるいは金属製であることが好ましい。なお、遮断部材62は、開口部42、44や管体40の封止すべき部位においてこれらを封止可能なサイズに形成される。
【0014】
遮断部材62を重力によって移動可能に、管体40に付随させるには、遮断部材62の移動域に対応して遮断部材62がその内部を変位可能な管路を付設することが好ましい。
以下、上記した管体40の(1)〜(3)の形態について、近位開口部42と遠位開口部44とのそれぞれに遮断部材用の管路72、74を設けた構成を図1〜図5に基づいて説明する。
【0015】
図1〜図3の形態は、既に述べたように、上記(1)の形態の管路40である。この形態にあっては、近位開口部42と遠位開口部44の先端側には、遮断部材用の管路72、74がそれぞれ備えられている。また、それぞれの管路72、74において開閉手段60が構成されている。
管路72、74自体は、それぞれ、開口部42,44と連通し、容器本体4の内部とも連通している。
管路72、74は、正立時に、遮断部材62が重力により移動して保持される位置と、倒立時に、重力により変位して保持される位置とが規制されるようになっている。本形態では、管路72、74は、鉛直方向に伸びる直管状に形成されている。
【0016】
管路72は、側部に開口を73を備えており、容器2が正立時には、図2に示すように、遮断部材62が開口部42の下方の所定位置に移動し、保持され、開口73を開放し、近位開口部42と容器本体4の内部とが連通するようになっている。すなわち、管体40の近位開口部42側が開放されるようになっている。なお、遮断部材62の保持部位は、遮断部材62を当該部位で支持できるようになっていればよい。たとえば、管路72の当該部分は壁部でもよいし、単に管路72の内方に突出する凸部を備える開口であってもよい。
一方、容器2が倒立した時には、図3に示すように、管路72では、遮断部材62が規定された保持部位(図3において開口部42の上方の所定位置)に移動し、保持される。これにより、近位開口部42側を遮断することができる。なお、倒立時の遮断部材62の保持部位は、遮断部材62を当該部位で支持できる凸状部などで構成し、当該部位に遮断部材62が存在しないときの管路72の当該部位の連通状態が確保されるようになっている。
【0017】
一方、遠位開口部44の先に備えられる管路74は、側部に開口75を備えており、容器2が正立時には、図2に示すように、遮断部材62が開口部44の上方の所定位置に保持され、遠位開口部44側を遮断するようになっている。なお、管路74における正立時の遮断部材62の保持部位は、遮断部材62を当該部位で支持できる凸状部などで構成し、当該部位に遮断部材62が存在しないときにおいて、管路74の当該部位の連通状態が確保されるようになっている。
【0018】
容器2が倒立時には、図3に示すように、遮断部材62が開口部44の下方にある管路74の所定部位に移動し、保持され、開口75を開放し、近位開口部42と容器本体4の内部とが連通するようになっている。すなわち、管体40の遠位開口部44側が開放されるようになっている。なお、遮断部材62の当該保持部位は、遮断部材62を当該部位で支持できるようになっていればよい。たとえば、管路72の当該部分は壁部でもよいし、単に管路72の内方に突出する凸部を備える開口であってもよい。
このような構成によれば、正立時においては、近位開口部42からヘッドスペースガスが噴出口20から噴射可能となっており、倒立時においては、遠位開口部44からヘッドスペースガスが噴出口20から噴射可能となっている。また、同時に、いずれの状態においても、液化ガスの液漏れが防止されている。
【0019】
図4〜図5の形態は、既に述べたように、上記(2)の形態の管路40である。この形態にあっては、分岐した一方の管路40aの近位開口部42の先端側に管路72が備えられ、分岐した他方の管路40bの遠位開口部44の噴出口20側の管体40の一部に管路74が備えられている。それぞれの管路72、74において開閉手段60が構成されている。
この形態においても、管路72、74自体は、それぞれ、開口部42,44と連通し、容器本体4の内部とも連通している。
【0020】
管路72、74は、先の形態と同様に、正立時に、遮断部材62が重力により移動して保持される位置と、倒立時に、重力により移動して保持される位置とが規制されるようになっている。本形態でも、管路72、74は、鉛直方向に伸びる直管状に形成されている。
【0021】
管路72は、側部に開口73を備えており、容器2が正立時には、図4に示すように、遮断部材62が開口部42の下方の所定位置に保持され、開口73を介して、近位開口部42と容器本体4の内部とが連通するようになっている。すなわち、管体40の近位開口部42側が開放されるようになっている。なお、遮断部材62の保持部位は、遮断部材62を当該部位で支持できるようになっていればよい。たとえば、管路72の当該部分は壁部でもよいし、単に管路72の内方に突出する凸部を備える開口であってもよい。
【0022】
一方、容器2が倒立した時には、図5に示すように、管路72では、遮断部材62が規定された保持部位(図4において開口部73及び開口部42とほぼ同位置)に移動し、保持される。これにより、近位開口部42側を遮断することができる。なお、本形態においても、倒立時の遮断部材62の保持部位は、特に限定しないで壁部や凸状部などを採用することができる。
【0023】
また、管路74は、側部に、管体40bに連通する開口を75を備えるとともに、管体40aへの連通口76に連通している。容器2が正立時には、図4に示すように、遮断部材62が開口75とほぼ同位置(連通口76より上方位置)に移動し保持され、管体40の遠位開口部44側を遮断するようになっている。なお、当該正立時の遮断部材62の保持部位は、遮断部材62を当該部位で支持できる凸状などで形成し、当該部位に遮断部材62が存在しない状態においては、管路74と連通口76との連通状態が確保できるようになっている。
【0024】
一方、容器2が倒立時には、図5に示すように、遮断部材62が開口部44の下方にある管路74の所定部位であって、かつ開口75の下方に保持される。これにより、開口75を開放し、遠位開口部44と容器本体4の内部とが連通するようになっている。すなわち、管体40の遠位開口部44側が開放されるようになっている。なお、遮断部材62の当該保持部位は、遮断部材62を当該部位で支持できる壁部の他、遮断部材62を支持可能な凸状などで構成してもよい。
このような構成によれば、正立時においては、近位開口部42からヘッドスペースガスが噴出口20から噴射可能となっており、倒立時においては、遠位開口部44からヘッドスペースガスが噴出口20から噴射可能となっている。また、同時に、いずれの状態においても、液化ガスの液漏れが防止されている。
【0025】
上記(3)の形態の管体については、近位開口部を備えた管体と遠位開口部を備えた管体にそれぞれ上述のような開閉手段60を備えることができる。
また、図6に例示する上記(4)の形態の管体40については、たとえば、次のように構成することができる。
すなわち、図6(a)に示すように、この管体40は、ループ状管路41を別途有している。なお、図6(a)は、管体40の上方が噴出口20側となっている。当該ループ状管路41は、管体40上の2点A,Bを連絡するように構成されている。近位開口部42をこの2点A,B間に形成し、遠位開口部44を管体40の下端側に形成する。
このような形態の場合、遮断部材62をループ状管路41の近傍の管体40内で移動・保持させることにより一つの遮断部材62で近位開口部42と遠位開口部44との双方の開閉制御を実現できる。すなわち、図6(a)に示すように、正立時には、遮断部材62がループ状管路41の分岐部B以下の所定部位に移動し保持可能に構成する。これにより、正立時においては、遠位開口部44側は遮断され、近位開口部42側において管体40が開放される。
【0026】
一方、図6(b)に示すように、倒立時には、遮断部材62が近位開口部42を封止するように移動し、保持可能に構成する。かかる構成により、倒立時には、遠位開口部44側が開放され、近位開口部42側が遮断される。
【0027】
以上説明した形態においては、いずれも、正立時には、液化ガスの上方のヘッドスペースの気化ガスが噴射可能であり、倒立時にも、同様に液化ガスの上方のヘッドスペースの気化ガスが噴射可能となっている。近位開口部42と遠位開口部44の開閉手段60による開閉制御は、正立〜倒立あるいはこの逆に過程における重力による遮断部材の変位を利用しているため、確実にかつ簡易に実現されている。
【0028】
なお、上記した形態では、特に、管体40に対して管路72、74とが一体状となっているが、これに限定するものではなく、各種の管体40と管路72、74は別部材であってもよい。また、管路72、74が管体40の一部を構成する部材とすることもできる。管体40の構成をできるだけ簡略化するには、管体40の近位開口部42あるいは遠位開口部44の近傍と管路72あるいは管路74とを一体化した部材を構成し、これを直管状に構成した管体40に連結するようにすることもできる。さらに、管体40に対するループ状管路41についても、両者は一体成形されていてもよいし、それぞれ別個の部材を連結して構成する他、各種の連結形態を採ることができる。
このように、管体40、及びこれに付随する開口部42,44や開閉手段60を含む構成は、必要に応じて、特に、組み立て、取り付け作業性の他、用いる管体40等の成形手段に応じて、その連結形態や一体性を適宜変更することができる。
【0029】
かかるスプレー用容器2を用いることにより、常時、気化ガスを噴射可能なスプレーを提供することができる。かかるスプレーは、スプレー用容器2に、従来と同様の方法によって、液化ガスや圧縮ガスを充てんすることによって製造することができる。液化ガスとしては、塩素、アンモニア、プロパン、フロンなどを用いることができる。また、圧縮ガスとしては、空気、酸素、窒素等
を用いることができる。
かかるスプレーは、小規模でガスを噴射使用して、洗浄や殺菌などを行うのに都合がよい。したがって、本スプレー用容器はクリーナー容器として好適であり、本スプレーは、クリーナー用として好適である。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、簡易にかつ確実に気化ガスのみを噴射させ液化ガスの液漏れを防止できるスプレー容器及びスプレーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の容器の一形態を示す図である。
【図2】図1に示す容器の正立時の状態を示す図である。
【図3】図1に示す容器の倒立時の状態を示す図である。
【図4】本発明の容器の他の一形態であり、正立時の状態を示す図である。
【図5】図4に示す容器の倒立時の状態を示す図である。
【図6】本発明の容器における管体の一例を示す図である。
【符号の説明】
2 スプレー用容器
4 容器本体
6 開口
20 噴出口
22 噴射部材
40 管体
41 ループ状管路
42 近位開口部
44 遠位開口部
60 開閉手段
62 遮断部材
72、74 管路
【発明の属する技術分野】
この発明は、スプレー用容器に関し、特に、液化ガス(液体)噴出させることなく、気化ガスのみを噴出させるようにしたガススプレー用容器及びスプレーに関する。
【0002】
【従来の技術】
各種精密機器やOA機器等のクリーニング処理には、圧縮エアを吹付けすることが行われている。
圧縮エアを吐出させるためには、エアコンプレッサーなどを用いることが一般的であるが、小規模、あるいは個人的に使用することは困難である。
そこで、簡易に圧縮エアを供給する技術が、特開平10−52676号公報に開示されている。この公報には、スプレーノズルを備えた缶体内に、ガス吸蔵体を、その上面とスプレーノズルとの間にガス溜め用の空間部を残して充てんし、このガス吸蔵体に不燃性のガスを吸蔵させたスプレー式クリーナーが記載されている。ガス吸蔵体は、缶体内にポリウレタンフォームのような多孔性発泡合成樹脂を注入し、缶体内で発泡処理することにより缶体に成形一体化し、その後、この発泡体の表面に形成された薄膜に小孔を空けた上で、缶体内に液化ガスを充てんし、小孔によりガス吸蔵体内に液化ガスを含浸吸蔵させることが記載されている。
このクリーナーによれば、ガス吸蔵体に液化ガスが吸蔵されており、昇華したガスが空間部に常時充満した形態となっているため、連続的にガスを噴射することができることが記載されている。
また、ガス吸蔵体の上面に非多孔性の薄膜であって、適当数の小孔を設けることにより、クリーナーを逆さまにしても、液漏れが防止されることが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、缶体に発泡性合成樹脂を注入して発泡成形して適度な上部空間部を備えつつ缶体に発泡一体化させることは容易ではなく、倒立時の液もれ現象を完全に防ぐことも困難であった。
また、缶体に、予め発泡したガス吸蔵体を充てんすることも考えられるが、工業的に実施可能な作業ではなかった。
そこで、本発明では、簡易にかつ確実に気化ガスのみを噴射させ液化ガスの液漏れを防止できるスプレー容器及びスプレーを提供することを、その目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、本発明者が検討したところ、容器本体内に導入される管体に、噴出口の近位側と遠位側とにそれぞれ開口部を備えるようにし、正立時であっても倒立時であっても、ヘッドスペース側にある開口部側が開放され、液化ガス中にある開口部側が遮断されるようにすることにより、常時気化ガスのみを噴射できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、以下の手段が提供される。
(1)スプレー用容器であって、
噴出口を備える容器本体と、
前記噴出口に対してより近位において開口する開口部と、より遠位において開口する開口部との少なくとも2つの開口部を有し、前記容器本体の前記噴出口側に連通される1あるいは2以上の管体と、
前記各開口部を開閉する開閉手段、
とを備え、
前記開閉手段は、前記スプレー用容器が正立時には、前記管体の前記近位開口部側を開放し、前記遠位開口部側を遮断する一方、前記スプレー用容器が倒立時には、前記管体の前記近位開口部側を遮断し、前記遠位開口部側を開放する、容器。
(2)前記開閉手段は、重力により移動する遮断部材を有し、この遮断部材は、少なくとも、前記開口部側の遮断時には、遮断しようとする開口部あるいは遮断しようとする開口部の前記噴出口側の管体内を封止する位置に移動するようになっている、(1)記載の容器。
(3)前記遮断部材は、球状体である、(2)記載の容器。
(4)前記管体は、分岐しており、分岐した各管体側に近位開口部と遠位開口部とをそれぞれ備える、(1)〜(3)のいずれかに記載の容器。
(5)前記管体は、近位開口部を備える管体と、遠位開口部を備える管体とをそれぞれ有する、(1)〜(3)のいずれかに記載の容器。
(6)スプレー用容器であって、
噴出口を備える容器本体と、
前記噴出口に対してより近位において開口する開口部と、より遠位において開口する開口部との少なくとも2つの開口部を有し、前記容器本体の前記噴出口側に連通される1あるいは2以上の管体と、
前記各開口部を開閉する開閉手段、
とを備え、
前記開閉手段は、前記各開口部に付随してそれぞれ設けられ、各開閉手段は、重力により移動可能な球状体を遮断部材として有し、
前記近位開口部の遮断部材は、前記スプレー用容器が正立時には、当該近位開口部側を開放し、前記スプレー用容器が倒立時には、当該近位開口部側を封止する位置に移動し、
前記遠位開口部の遮断部材は、前記スプレー用容器が正立時には、当該遠位開口部側を遮断し、前記スプレー用容器が倒立時には、当該遠位開口部側を開放する位置に移動するようになっている、容器。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載のスプレー用容器中に液化ガスを有す
る、スプレー。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のスプレー用容器は、開閉可能な噴出口を備える容器本体と、前記噴出口に対してより近位において開口する開口部と、より遠位において開口する開口部との少なくとも2つの開口部を有し、前記容器本体の前記噴出口側に連通される1あるいは2以上の管体と、前記各開口部を開閉する開閉手段、とを備えている。この開閉手段は、前記スプレー用容器が正立時には、前記管体の前記近位開口部側を開放し、前記遠位開口部側を遮断する一方、前記スプレー用容器が倒立時には、前記管体の前記近位開口部側を遮断し、前記遠位開口部側を開放するように構成されている。
本容器によれば、前記噴出口に対してより近位において開口する開口部と、より遠位において開口する開口部との少なくとも2つの開口部を有し、前記容器本体の前記噴出口側に連通される1あるいは2以上の管体を有している。そして、これらの開口部が上記のとおり開閉されるようになっているため、正立時においても倒立時においても、上方側に形成されるヘッドスペースにある気化ガスのみが噴出口より噴射され、液化ガスの液漏れを防止できる。また、2種類の開口部を管体に付随する開閉手段によって噴射制御するため、容易に液化ガスの漏出を防止できる。さらに、液化ガスの充てん工程を変更することなく本噴射制御を達成できる。
【0006】
以下、本発明の実施の形態について、スプレー用容器について説明し、次いで、かかる容器を用いたスプレーについて説明する。
なお、図1〜図6に例示するスプレー用容器の形態は、あくまで本発明の一形態であり、本発明を拘束するものではない。
図1には、本発明に係るスプレー用容器2の一形態が示されている。本容器2は、噴出口20を備える容器本体4と、この容器本体4の本体内部に保持された管体40とを備えている。
【0007】
(容器本体)
容器本体4は、一般的に、スプレー用容器に用いられる公知の容器を用いることができる。液化ガスや圧縮ガスの充てん・噴出に適した容器を用いることが好ましい。材質は特に問わないで、金属製、プラスチック製などを用いることができる。容器本体4は、通常、上方に開口6を有するボトル状体となっている。なお、開口6は、容器本体4自体によって構成されていてもよいし、容器本体4の開口6に装着した蓋体の開口部によって構成されていてもよい。
【0008】
(噴出口)
噴出口20は、開口6において容器本体4の内部と連通するように設けられる。容器本体4の内部と必要に応じて連通可能に備えられていることが好ましい。すなわち、適時、噴出口20から容器本体4の内部の充てん物を噴射可能としておくことが好ましい。このような構成は、スプレー用容器において周知の構成であり、当業者であれば、必要に応じて適切な構成を採用することができる。たとえば、図1に例示するように、容器本体4の開口6近傍に、噴射部材22を備えることもできる。この噴射部材22は、容器本体4の開口6の近傍に装着可能で容器本体4の内部と連通するケーシング24と、このケーシング24に内蔵されるスプリングなどの弾性体26と、周壁に設けた貫通孔28aを備える筒体28であって、この弾性体26よって上下動可能でかつケーシング24の開口6において前記貫通孔28aの形成部位がシールされるとともに、その上端側が容器本体4の外部に突出するように備えられる筒体28と備えている。筒体28が噴出口20を構成していてもよいし、筒体28に対して、さらに、ノズルなどが付与されて噴出口20が構成されていてもよい。
この噴射部材22によれば、常時は、筒体28の貫通孔28aは、開口6において適当なシール材によりシールされている。一方、弾性体26を圧縮するように筒体28を下方移動させることにより、貫通孔28aがシール部位より下方に位置され、これにより、貫通孔28aを介して筒体28と容器本体4の内部とが連通し、筒体28を介して、噴出口20と容器本体4の内部とが連通する。なお、かかる噴射部材22は、蓋体と一体構成されて、容器本体4の開口端縁に装着可能となっていることが好ましい。さらに、この噴射部材22に、後述する管体40やこれに付随する開閉手段60を予め備えさせておくことにより、本容器2及びスプレーを容易に製造することができる。
【0009】
(管体)
噴出口20側に連通するように、好ましくは、噴出口20に付随して、容器本体4の内部に管体40が収納されている。管体40は、容器本体2の噴出口20側と通じる一方、容器本体4の内部に開口する開口部を備えている。本発明においては、管体40は、1本でもよく、また2本以上備えられていてもよいが、1本あるいは2本以上の管体40において、噴出口20に対して近位の開口部42と噴出口20に対して遠位の開口部44とを備えるようにする。
本発明における管体40の形態としては、たとえば、以下の形態を例示することができる。
(1)1本の管体に対して、近位開口部と遠位開口部とを備える形態
(2)(1)の変形であって、1本の管体が二股に分岐するか、あるいは1本の管体の途中で分岐した管体を有し、管体の2つの先端側にそれぞれ近位開口部と遠位開口部とを有する形態
(3)それぞれ独立に噴出口側に連通される2本の管体を備えており、一方の管体が近位開口部を備え、他方の管体が遠位開口部を備えている形態
(4)1本の管体が、管体の二点を連絡するループ状の管路を有しており、この管体の当該二点間に近位開口部を有し、前記管体の下方にある管体の先端を遠位開口部とする形態
図1〜3には、上記(1)に対応する管体40を示し、図4及び図5には、上記(2)に対応する管体40を示している。図6には、上記(4)に対応する管体40を示している。
【0010】
近位開口部42は、容器2が正立時において、容器本体4の内部に充てんされる液化ガスの予定される液面より高い位置で開口するようにすることが好ましい。当該高さ位置において開口させることにより、容器2の正立時において形成される液化ガス上方のヘッドスペースの気化ガスが確実に噴射可能となる。
一方、遠位開口部44は、容器2が倒立時において、容器本体4の内部に充てんされる液化ガスの予定される液面より高い位置で開口するようにすることが好ましい。該高さ位置において開口させることにより、容器2の倒立時において形成される液化ガス上方のヘッドスペースの気化ガスが確実に噴射可能となる。
このように近位開口部42と遠位開口部44とを設けることにより、近位開口部42は、噴出口20に近接して設けられ、遠位開口部44は容器本体4の底部に近接して設けられることになる。
なお、近位開口部42及び遠位開口部44の開口形態は、各種形態を採ることができる。すなわち、管体40における開口位置や開口形状については、後述する開閉手段60等の関係で所望の開閉制御を実現できる形態を選択するようにする。また、管体40は、1体の管体で構成するのに限定しない。複数の管体を直列に連結して構成することもできる。
【0011】
(開閉手段)
管体40には、近位開口部42と遠位開口部44との開閉を行う開閉手段60を備えている。
開閉手段60は、容器2が正立時には、管体40の近位開口部42側を開放し、前記遠位開口部44側を遮断する一方、容器2が倒立時には、管体40の近位開口部42側を遮断し、遠位開口部44側を開放するようになっている。 開閉手段60は、このため、近位開口部42と遠位開口部44とにそれぞれ備えられていることが好ましい。上記した管体40の各種態様のうち、(1)〜(3)においては、開閉手段60をそれぞれの開口部42、44に対して設けることができる。また、上記(4)の管体40においては、一つの開閉手段で両開口部42、44の開閉を実現することもできる。
【0012】
開閉手段60としては、重力によって変位する遮断部材62で前記開口部42、44あるいはこれらの開口部42、44へ通じる管体40の一部位を開閉することにより、上記した開閉制御を容易に実現することができる。重力により移動する遮断部材62を用いることにより、容器2の正立時と倒立時における遮断部材62の移動により開口部42、44や管体40の一部の開放及び封止状態を容易に設計することができる。
具体的には、遮断部材62は、少なくとも、各開口部42、44側の遮断時には、遮断しようとする開口部42、44あるいは遮断しようとする開口部42、44の前記噴出口20側において管体40内を封止する位置に移動し保持されるようになっている。なお、遮断部材62は、前記開口部側の開放時には、当該開口部側を遮断しない位置に存在していればよい。より好ましくは、近位開口部42の遮断部材62は、容器2が正立時には、近位開口部42側を開放し、容器2が倒立時には、近位開口部42側を封止する位置に移動し保持され、遠位開口部44の遮断部材62は、容器2が正立時には、遠位開口部44側を遮断し、容器2が倒立時には、遠位開口部44側を開放する位置に移動し保持されるようになっている。
【0013】
遮断部材62は、重力によって移動して、開口部42、44や管体40の一部を封止可能であれば、特に形態や材質を限定するものではない。容器2の正立と倒立に付随して容易に移動可能であり、かつ、開口部42、44や管体40の封止性を考慮すると、遮断部材は、好ましくは、球状体である。より好ましくは完全な球体である。また、材質としては、気化ガス中でも液化ガス中でも容易に変位可能とするには、ある程度以上の比重を備えていることが好ましい。したがって、セラミックスやガラスの他、金属を含むかあるいは金属製であることが好ましい。なお、遮断部材62は、開口部42、44や管体40の封止すべき部位においてこれらを封止可能なサイズに形成される。
【0014】
遮断部材62を重力によって移動可能に、管体40に付随させるには、遮断部材62の移動域に対応して遮断部材62がその内部を変位可能な管路を付設することが好ましい。
以下、上記した管体40の(1)〜(3)の形態について、近位開口部42と遠位開口部44とのそれぞれに遮断部材用の管路72、74を設けた構成を図1〜図5に基づいて説明する。
【0015】
図1〜図3の形態は、既に述べたように、上記(1)の形態の管路40である。この形態にあっては、近位開口部42と遠位開口部44の先端側には、遮断部材用の管路72、74がそれぞれ備えられている。また、それぞれの管路72、74において開閉手段60が構成されている。
管路72、74自体は、それぞれ、開口部42,44と連通し、容器本体4の内部とも連通している。
管路72、74は、正立時に、遮断部材62が重力により移動して保持される位置と、倒立時に、重力により変位して保持される位置とが規制されるようになっている。本形態では、管路72、74は、鉛直方向に伸びる直管状に形成されている。
【0016】
管路72は、側部に開口を73を備えており、容器2が正立時には、図2に示すように、遮断部材62が開口部42の下方の所定位置に移動し、保持され、開口73を開放し、近位開口部42と容器本体4の内部とが連通するようになっている。すなわち、管体40の近位開口部42側が開放されるようになっている。なお、遮断部材62の保持部位は、遮断部材62を当該部位で支持できるようになっていればよい。たとえば、管路72の当該部分は壁部でもよいし、単に管路72の内方に突出する凸部を備える開口であってもよい。
一方、容器2が倒立した時には、図3に示すように、管路72では、遮断部材62が規定された保持部位(図3において開口部42の上方の所定位置)に移動し、保持される。これにより、近位開口部42側を遮断することができる。なお、倒立時の遮断部材62の保持部位は、遮断部材62を当該部位で支持できる凸状部などで構成し、当該部位に遮断部材62が存在しないときの管路72の当該部位の連通状態が確保されるようになっている。
【0017】
一方、遠位開口部44の先に備えられる管路74は、側部に開口75を備えており、容器2が正立時には、図2に示すように、遮断部材62が開口部44の上方の所定位置に保持され、遠位開口部44側を遮断するようになっている。なお、管路74における正立時の遮断部材62の保持部位は、遮断部材62を当該部位で支持できる凸状部などで構成し、当該部位に遮断部材62が存在しないときにおいて、管路74の当該部位の連通状態が確保されるようになっている。
【0018】
容器2が倒立時には、図3に示すように、遮断部材62が開口部44の下方にある管路74の所定部位に移動し、保持され、開口75を開放し、近位開口部42と容器本体4の内部とが連通するようになっている。すなわち、管体40の遠位開口部44側が開放されるようになっている。なお、遮断部材62の当該保持部位は、遮断部材62を当該部位で支持できるようになっていればよい。たとえば、管路72の当該部分は壁部でもよいし、単に管路72の内方に突出する凸部を備える開口であってもよい。
このような構成によれば、正立時においては、近位開口部42からヘッドスペースガスが噴出口20から噴射可能となっており、倒立時においては、遠位開口部44からヘッドスペースガスが噴出口20から噴射可能となっている。また、同時に、いずれの状態においても、液化ガスの液漏れが防止されている。
【0019】
図4〜図5の形態は、既に述べたように、上記(2)の形態の管路40である。この形態にあっては、分岐した一方の管路40aの近位開口部42の先端側に管路72が備えられ、分岐した他方の管路40bの遠位開口部44の噴出口20側の管体40の一部に管路74が備えられている。それぞれの管路72、74において開閉手段60が構成されている。
この形態においても、管路72、74自体は、それぞれ、開口部42,44と連通し、容器本体4の内部とも連通している。
【0020】
管路72、74は、先の形態と同様に、正立時に、遮断部材62が重力により移動して保持される位置と、倒立時に、重力により移動して保持される位置とが規制されるようになっている。本形態でも、管路72、74は、鉛直方向に伸びる直管状に形成されている。
【0021】
管路72は、側部に開口73を備えており、容器2が正立時には、図4に示すように、遮断部材62が開口部42の下方の所定位置に保持され、開口73を介して、近位開口部42と容器本体4の内部とが連通するようになっている。すなわち、管体40の近位開口部42側が開放されるようになっている。なお、遮断部材62の保持部位は、遮断部材62を当該部位で支持できるようになっていればよい。たとえば、管路72の当該部分は壁部でもよいし、単に管路72の内方に突出する凸部を備える開口であってもよい。
【0022】
一方、容器2が倒立した時には、図5に示すように、管路72では、遮断部材62が規定された保持部位(図4において開口部73及び開口部42とほぼ同位置)に移動し、保持される。これにより、近位開口部42側を遮断することができる。なお、本形態においても、倒立時の遮断部材62の保持部位は、特に限定しないで壁部や凸状部などを採用することができる。
【0023】
また、管路74は、側部に、管体40bに連通する開口を75を備えるとともに、管体40aへの連通口76に連通している。容器2が正立時には、図4に示すように、遮断部材62が開口75とほぼ同位置(連通口76より上方位置)に移動し保持され、管体40の遠位開口部44側を遮断するようになっている。なお、当該正立時の遮断部材62の保持部位は、遮断部材62を当該部位で支持できる凸状などで形成し、当該部位に遮断部材62が存在しない状態においては、管路74と連通口76との連通状態が確保できるようになっている。
【0024】
一方、容器2が倒立時には、図5に示すように、遮断部材62が開口部44の下方にある管路74の所定部位であって、かつ開口75の下方に保持される。これにより、開口75を開放し、遠位開口部44と容器本体4の内部とが連通するようになっている。すなわち、管体40の遠位開口部44側が開放されるようになっている。なお、遮断部材62の当該保持部位は、遮断部材62を当該部位で支持できる壁部の他、遮断部材62を支持可能な凸状などで構成してもよい。
このような構成によれば、正立時においては、近位開口部42からヘッドスペースガスが噴出口20から噴射可能となっており、倒立時においては、遠位開口部44からヘッドスペースガスが噴出口20から噴射可能となっている。また、同時に、いずれの状態においても、液化ガスの液漏れが防止されている。
【0025】
上記(3)の形態の管体については、近位開口部を備えた管体と遠位開口部を備えた管体にそれぞれ上述のような開閉手段60を備えることができる。
また、図6に例示する上記(4)の形態の管体40については、たとえば、次のように構成することができる。
すなわち、図6(a)に示すように、この管体40は、ループ状管路41を別途有している。なお、図6(a)は、管体40の上方が噴出口20側となっている。当該ループ状管路41は、管体40上の2点A,Bを連絡するように構成されている。近位開口部42をこの2点A,B間に形成し、遠位開口部44を管体40の下端側に形成する。
このような形態の場合、遮断部材62をループ状管路41の近傍の管体40内で移動・保持させることにより一つの遮断部材62で近位開口部42と遠位開口部44との双方の開閉制御を実現できる。すなわち、図6(a)に示すように、正立時には、遮断部材62がループ状管路41の分岐部B以下の所定部位に移動し保持可能に構成する。これにより、正立時においては、遠位開口部44側は遮断され、近位開口部42側において管体40が開放される。
【0026】
一方、図6(b)に示すように、倒立時には、遮断部材62が近位開口部42を封止するように移動し、保持可能に構成する。かかる構成により、倒立時には、遠位開口部44側が開放され、近位開口部42側が遮断される。
【0027】
以上説明した形態においては、いずれも、正立時には、液化ガスの上方のヘッドスペースの気化ガスが噴射可能であり、倒立時にも、同様に液化ガスの上方のヘッドスペースの気化ガスが噴射可能となっている。近位開口部42と遠位開口部44の開閉手段60による開閉制御は、正立〜倒立あるいはこの逆に過程における重力による遮断部材の変位を利用しているため、確実にかつ簡易に実現されている。
【0028】
なお、上記した形態では、特に、管体40に対して管路72、74とが一体状となっているが、これに限定するものではなく、各種の管体40と管路72、74は別部材であってもよい。また、管路72、74が管体40の一部を構成する部材とすることもできる。管体40の構成をできるだけ簡略化するには、管体40の近位開口部42あるいは遠位開口部44の近傍と管路72あるいは管路74とを一体化した部材を構成し、これを直管状に構成した管体40に連結するようにすることもできる。さらに、管体40に対するループ状管路41についても、両者は一体成形されていてもよいし、それぞれ別個の部材を連結して構成する他、各種の連結形態を採ることができる。
このように、管体40、及びこれに付随する開口部42,44や開閉手段60を含む構成は、必要に応じて、特に、組み立て、取り付け作業性の他、用いる管体40等の成形手段に応じて、その連結形態や一体性を適宜変更することができる。
【0029】
かかるスプレー用容器2を用いることにより、常時、気化ガスを噴射可能なスプレーを提供することができる。かかるスプレーは、スプレー用容器2に、従来と同様の方法によって、液化ガスや圧縮ガスを充てんすることによって製造することができる。液化ガスとしては、塩素、アンモニア、プロパン、フロンなどを用いることができる。また、圧縮ガスとしては、空気、酸素、窒素等
を用いることができる。
かかるスプレーは、小規模でガスを噴射使用して、洗浄や殺菌などを行うのに都合がよい。したがって、本スプレー用容器はクリーナー容器として好適であり、本スプレーは、クリーナー用として好適である。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、簡易にかつ確実に気化ガスのみを噴射させ液化ガスの液漏れを防止できるスプレー容器及びスプレーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の容器の一形態を示す図である。
【図2】図1に示す容器の正立時の状態を示す図である。
【図3】図1に示す容器の倒立時の状態を示す図である。
【図4】本発明の容器の他の一形態であり、正立時の状態を示す図である。
【図5】図4に示す容器の倒立時の状態を示す図である。
【図6】本発明の容器における管体の一例を示す図である。
【符号の説明】
2 スプレー用容器
4 容器本体
6 開口
20 噴出口
22 噴射部材
40 管体
41 ループ状管路
42 近位開口部
44 遠位開口部
60 開閉手段
62 遮断部材
72、74 管路
Claims (7)
- スプレー用容器であって、
噴出口を備える容器本体と、
前記噴出口に対してより近位において開口する開口部と、より遠位において開口する開口部との少なくとも2つの開口部を有し、前記容器本体の前記噴出
口側に連通される1あるいは2以上の管体と、
前記各開口部を開閉する開閉手段、
とを備え、
前記開閉手段は、前記スプレー用容器が正立時には、前記管体の前記近位開口部側を開放し、前記遠位開口部側を遮断する一方、前記スプレー用容器が倒立時には、前記管体の前記近位開口部側を遮断し、前記遠位開口部側を開放す
る、容器。 - 前記開閉手段は、重力により移動する遮断部材を有し、この遮断部材は、少なくとも、前記開口部側の遮断時には、遮断しようとする開口部あるいは遮断しようとする開口部の前記噴出口側の管体内を封止する位置に
移動するようになっている、請求項1記載の容器。 - 前記遮断部材は、球状体である、請求項2記載の容器。
- 前記管体は、分岐しており、分岐した各管体側に近位開口部
と遠位開口部とをそれぞれ備える、請求項1〜3のいずれかに記載の容器。 - 前記管体は、近位開口部を備える管体と、遠位開口部を備え
る管体とをそれぞれ有する、請求項1〜3のいずれかに記載の容器。 - スプレー用容器であって、
噴出口を備える容器本体と、
前記噴出口に対してより近位において開口する開口部と、より遠位において開口する開口部との少なくとも2つの開口部を有し、前記容器本体の前記噴出
口側に連通される1あるいは2以上の管体と、
前記各開口部を開閉する開閉手段、
とを備え、
前記開閉手段は、前記各開口部に付随してそれぞれ設けられ、各開閉手段は、重力により移動可能な球状体を遮断部材として有し、
前記近位開口部の遮断部材は、前記スプレー用容器が正立時には、当該近位開口部側を開放し、前記スプレー用容器が倒立時には、当該近位開口部側を封止する位置に移動し、
前記遠位開口部の遮断部材は、前記スプレー用容器が正立時には、当該遠位開口部側を遮断し、前記スプレー用容器が倒立時には、当該遠位開口部側を開放する位置に移動するようになっている、容器。 - 請求項1〜6のいずれかに記載のスプレー用容器中に液化ガスを有する、スプレー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002235281A JP2004073939A (ja) | 2002-08-12 | 2002-08-12 | スプレー用容器及びスプレー |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002235281A JP2004073939A (ja) | 2002-08-12 | 2002-08-12 | スプレー用容器及びスプレー |
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JP2004073939A true JP2004073939A (ja) | 2004-03-11 |
Family
ID=32019805
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002235281A Pending JP2004073939A (ja) | 2002-08-12 | 2002-08-12 | スプレー用容器及びスプレー |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004073939A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007319729A (ja) * | 2006-05-30 | 2007-12-13 | Kyowa Industrial Co Ltd | 吸引式噴射器 |
-
2002
- 2002-08-12 JP JP2002235281A patent/JP2004073939A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007319729A (ja) * | 2006-05-30 | 2007-12-13 | Kyowa Industrial Co Ltd | 吸引式噴射器 |
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