JP2004072918A - スイッチング電源回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】回路基板サイズの縮小及びコストダウンを図る。
【解決手段】フルブリッジ結合方式による電流共振形コンバータに対して、部分共振電圧回路を組み合わせた複合共振形コンバータとして他励式の構成とする。そのうえで、スイッチング素子をスイッチング駆動するのにあたり、1つのコントロールIC2によりハイサイド用の第1のドライブ信号と、ローサイド用の第2のドライブ信号とを出力させる。そして、第1のドライブ信号を利用して、スイッチング素子Q1,Q4をスイッチング駆動する。また、第2のドライブ信号を利用して、スイッチング素子Q2,Q3をスイッチング駆動するように構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】フルブリッジ結合方式による電流共振形コンバータに対して、部分共振電圧回路を組み合わせた複合共振形コンバータとして他励式の構成とする。そのうえで、スイッチング素子をスイッチング駆動するのにあたり、1つのコントロールIC2によりハイサイド用の第1のドライブ信号と、ローサイド用の第2のドライブ信号とを出力させる。そして、第1のドライブ信号を利用して、スイッチング素子Q1,Q4をスイッチング駆動する。また、第2のドライブ信号を利用して、スイッチング素子Q2,Q3をスイッチング駆動するように構成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子機器に電源として備えられるスイッチング電源回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スイッチング電源回路として、例えばフライバックコンバータやフォワードコンバータなどの形式のスイッチングコンバータを採用したものが広く知られている。これらのスイッチングコンバータはスイッチング動作波形が矩形波状であることから、スイッチングノイズの抑制には限界がある。また、その動作特性上、電力変換効率の向上にも限界があることがわかっている。
そこで、先に本出願人により、各種共振形コンバータによるスイッチング電源回路が各種提案されている。共振形コンバータは容易に高電力変換効率が得られると共に、スイッチング動作波形が正弦波状となることで低ノイズが実現される。また、比較的少数の部品点数により構成することができるというメリットも有している。
【0003】
図6は、先に本出願人により提案された発明に基づいて構成することのできるスイッチング電源回路の一例を示す回路図である。この電源回路には他励式の電流共振形コンバータが採用されている。
この図に示す電源回路においては、商用交流電源ACに対して、ブリッジ整流回路Di及び平滑コンデンサCiからなる全波整流平滑回路が接続されており、交流入力電圧VACの等倍のレベルに対応する整流平滑電圧Eiを生成する。
【0004】
この図において、上記整流平滑電圧Eiを入力してスイッチングを行うスイッチングコンバータは、フルブリッジ結合方式による他励式の電流共振形コンバータとされている。
このため、この図に示す電流共振形コンバータとしては、図のように4つのスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4をフルブリッジ結合方式によって接続している。つまり、スイッチング素子[Q1,Q2][Q3,Q4]の組を、それぞれハイサイド/ローサイドの関係により直列に接続したハーフブリッジ回路として形成する。そのうえで、これらハーフブリッジ回路であるスイッチング素子[Q1,Q2][Q3,Q4]の組を、それぞれ直流入力電圧(Ei)と一次側アース間に並列に挿入するようにして設けている。
【0005】
この場合、駆動方式が他励式とされるのに対応して、上記スイッチング素子Q1〜Q4には、MOS−FETが採用されている。なお、例えばMOS−FETの他に、IGBTなどが採用されてもよい。
また、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間に対しては、図示する方向にクランプダイオードDD1が接続される。同様にして、スイッチング素子Q2〜Q4に対しても、クランプダイオードDD2〜DD4が接続される。
また、スイッチング素子Q1のゲート−ソース間に対しては、抵抗R12が並列に接続される。同様にして、スイッチング素子Q2〜Q4のゲート−ソース間に対しては、抵抗R22,R32,R42が並列に接続される。
【0006】
また、スイッチング素子Q2,Q4のドレイン−ソース間に対しては、それぞれ並列に、部分共振コンデンサCp1,Cp2が接続されている。
部分共振コンデンサCp1,Cp2のキャパシタンスと、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の漏洩インダクタンス成分L1によっては、それぞれ並列共振回路(部分電圧共振回路)を形成する。
そして、このようにして、部分電圧共振回路が形成されることによっては、スイッチング素子Q1〜Q4がターンオン/ターンオフする短期間にのみ電圧共振する部分電圧共振動作が得られる。
なお、スイッチング素子Q1〜Q4をスイッチング駆動するための構成については後述する。
【0007】
絶縁コンバータトランスPITはスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング出力を二次側に伝送する。
絶縁コンバータトランスPITの構造としては、ここでの図示は省略するが、例えばEE型コアに対して、一次巻線N1及び二次巻線N2を、一次側と二次側とに対応して形成された分割領域の各々に巻装して構成される。また、この場合には、図6に示すようにして、一次側には三次巻線N3も巻装される。
【0008】
この絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の一端は、直列共振コンデンサC1を介してスイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインの接続に接続される。また一次巻線N1の他端は、スイッチング素子Q3のソースとスイッチング素子Q4のドレインの接点に接続される。
フルブリッジ結合方式では、後述するようにして、スイッチング素子[Q1,Q4]の組と、スイッチング素子[Q2,Q3]の組が交互にスイッチング動作するが、一次巻線N1が上記のようにして接続されていることで、この一次巻線N1にスイッチング出力が得られるようにされる。
【0009】
そして、上記直列共振コンデンサC1のキャパシタンスと、一次巻線N1のインダクタンス成分L1を含む絶縁コンバータトランスPITの漏洩インダクタンス成分(L1)により一次側スイッチングコンバータの動作を電流共振形とするための一次側直列共振回路を形成している。
このようにして、この図に示す一次側スイッチングコンバータとしては、電流共振形としての動作と、前述した部分電圧共振動作とが複合的に得られていることになる。
なお、本明細書では、このようにして一次側スイッチングコンバータを共振形とする共振動作に加えて、部分電圧共振動作などの共振動作が複合的に得られるように構成されたスイッチングコンバータについて、複合共振形コンバータともいうことにする。
【0010】
また、絶縁コンバータトランスPITにおいて、一次側に巻装される三次巻線N3に対しては、図示するようにして、ダイオードD4及びコンデンサC4から成る半波整流回路が接続されている。この半波整流回路によって得られた低圧の直流電圧は、後述するコントロールIC11、及びドライブIC12,13の電源入力端子Vccに対して、動作電源として供給される。
なお、コントロールIC11、及びドライブIC12,13の電源入力端子Vccは、起動抵抗Rsを介して整流平滑電圧Eiのラインに対しても接続されている。これにより、電源回路の起動時においては、コントロールIC11、及びドライブIC12,13は、整流平滑電圧Eiのラインに得られる直流電圧を起動抵抗Rsを介して入力して動作を開始するようにされる。
【0011】
絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2に対しては、二次側アースに接続されるセンタータップが設けられる。そのうえで、図示するようにして、二次巻線N2に対して、2本の整流ダイオードDO1,DO2、及び平滑コンデンサCoを接続することで、両波整流回路が形成される。この両波整流回路が、二次巻線N2に励起された交番電圧について全波整流動作を行うことによって、平滑コンデンサCOの両端に二次側直流出力電圧EOが得られる。
二次側直流出力電圧EOは、図示しない負荷に対して供給される。さらに、この二次側直流出力電圧EOは、図示するように制御回路1のための検出電圧としても分岐して入力される。
【0012】
そして、この場合のようにして、フルブリッジ結合方式による電流共振形コンバータを他励式によってスイッチング駆動するためには、図示するように、コントロールIC11と、2つのドライブIC12,13との3つのICを設けるようにされる。これらコントロールIC11と、ドライブIC12,13は、例えばバイポーラトランジスタにより構成される汎用のアナログIC(Integrated Circuit)とされる。
【0013】
コントロールIC11は、発振回路、発振周波数を可変制御する制御回路、及び保護回路を備えて構成される。そして、後述するようにしてドライブ1C12,13によってスイッチング駆動されるスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング周波数を可変制御することで、スイッチング周波数制御方式によって二次側直流出力の安定化を図るようにされている。
【0014】
制御回路1は、二次側直流出力電圧EOのレベル変化に応じて、そのレベルを変化させた出力(制御出力)を、フォトカプラ10を介してコントロールIC13の制御入力端子Cntに対して出力する。確認のために述べておくと、フォトカプラ10は、二次側にある制御回路1と、一次側にあるコントロールIC10とを直流的に絶縁するために設けられている。
【0015】
コントロールIC11では、内部に備える発振回路により発振信号を生成して出力端子Voから出力する。また、この発振回路により生成される発振信号は、内部の制御回路によって、入力端子Cntに入力された制御出力に基づいて、その発振周波数を可変される。つまり、出力端子Voからは、制御回路1から入力端子Cntに入力された制御出力に基づいて周波数が可変された発振信号が出力されることになる。この出力端子Voから出力される発振信号は、コントロールIC12,13の各発振信号入力端子Vcに入力される。
【0016】
また、この図において、そのための回路は示していないが、コントロールIC11では、電源回路における所定部位の過電流又は過電圧状態を検出したのに応じて、例えば発振信号の出力を停止してスイッチング動作を停止させるなど、所要の保護動作が得られるようにも動作する。
【0017】
ドライブIC12は、一方のハーフブリッジ回路であるスイッチング素子Q1,Q2をスイッチング駆動するために設けられる。
ドライブIC12のドライブ信号出力端子VGHは、抵抗R11を介して、ハイサイド側のスイッチング素子Q1のゲートに対して接続される。また、ドライブ信号出力端子VGLは、抵抗R21を介してローサイド側のスイッチング素子Q2のゲートに対して接続される。また、端子Vsは、スイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインとの間に接続される。
また、ドライブIC12に対しては、ハイサイドのスイッチング素子Q1を適正なドライブ信号レベル(ゲート電圧レベル)により駆動するために、コンデンサCb1、ダイオードDBS1、及びコンデンサCBS1から成るブートストラップ回路が接続される。
このブートストラップ回路は、図示するようにして、コンデンサCb1の端部をゲート−ソース間抵抗R12を介してスイッチング素子Q1のゲートと接続し、コンデンサCBS1の端部側を一次側アース間に接続している。また、コンデンサCb1とダイオードDBS1のカソードとの接続点を端子Vbと接続している。また、ダイオードDBS1のアノードとコンデンサCBS1との接続点を端子Vc2と接続している。
また、アース端子Eは、一次側アース間に対して接続される。
【0018】
そして、このドライブIC12では、発振信号入力端子Vcに入力された発振信号を利用して、この入力された発振信号の発振周波数に応じた周期による、スイッチング素子Q1,Q2のためのドライブ信号(ゲート電圧)を生成する。そして、このドライブ信号を、それぞれ、ドライブ信号出力端子VGH,VGLから出力する。
【0019】
また、ドライブIC13は、他方のハーフブリッジ回路であるスイッチング素子Q3,Q4をスイッチング駆動するために設けられる。
ドライブIC13のドライブ信号出力端子VGHは、抵抗R31を介して、ハイサイド側のスイッチング素子Q3のゲートに対して接続される。ドライブ信号出力端子VGLは、抵抗R41を介してローサイド側のスイッチング素子Q4のゲートに対して接続される。また、端子Vsは、スイッチング素子Q3のソースとスイッチング素子Q4のドレインとの間に接続される。
また、この場合にも、ドライブIC13に対して、ハイサイドのスイッチング素子Q3を適正なドライブ信号レベル(ゲート電圧レベル)により駆動するために、コンデンサCb2、ダイオードDBS2、及びコンデンサCBS2から成るブートストラップ回路が接続される。
【0020】
そして、ドライブIC13においても、発振信号入力端子Vcに入力された発振信号発振信号の発振周波数に応じた周期による、スイッチング素子Q1,Q2のためのドライブ信号(ゲート電圧)を生成する。そして、このドライブ信号を、それぞれ、ドライブ信号出力端子VGH,VGLから出力する。
【0021】
ここで、図7により、上記ドライブIC12,13から出力されるドライブ信号により駆動されるスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作のタイミングについて説明する。
ドライブIC12のドライブ信号出力端子VGHからは、図7(a)に示す波形に対応するドライブ信号(ゲート電圧)が出力される。これにより、スイッチング素子Q1のゲートには、この図7(a)に示す波形によるゲート−ソース間電圧VGS(Q1)が発生する。
また、ドライブIC12のドライブ信号出力端子VGLから出力されるドライブ信号によっては、図7(b)に示す波形によるゲート−ソース間電圧VGS(Q2)が発生する。
【0022】
また、ドライブIC13のドライブ信号出力端子VGHから出力されるドライブ信号によっては、図7(c)に示す波形によるゲート−ソース間電圧VGS(Q3)が発生し、ドライブ信号出力端子VGLから出力されるドライブ信号によっては、図7(d)に示す波形によるゲート−ソース間電圧VGS(Q4)が発生する。
【0023】
なお、上記各ゲート−ソース間電圧VGS(Q1)〜VGS(Q4)としての正極パルスは、それぞれ、ドレイン−ソース間を導通させるためのゲート閾値(≒5V)以上とされる。そして、例えばスイッチング素子Q1については、ゲート−ソース間電圧VGS(Q1)として正極パルスが出力される期間がオンとなる期間であり、0レベルとなっている期間がオフとなる期間となる。同様にして、スイッチング素子Q2〜Q4についても、ゲート−ソース間電圧VGS(Q2)〜VGS(Q4)として正極パルスが出力される期間がオンとなる期間であり、0レベルとなっている期間がオフとなる期間となる。
【0024】
そして、先ずは、図7(a)(b)を比較して分かるように、ドライブIC12によってスイッチング駆動されるスイッチング素子Q1,Q2については、交互にオン/オフするタイミングとなるようにして、スイッチング動作を行う。
つまり、ドライブIC12のドライブ信号出力端子VGH,VGLから出力されるドライブ信号は、図7(a)(b)に示す波形に対応して、互いに180°の位相差を有するようにして生成されるものである。
【0025】
また、ドライブIC12のドライブ信号出力端子VGH,VGLから出力されるドライブ信号は、図に示す期間tdが形成されるようにして、パルス幅が調整されている。
つまり、スイッチング素子Q1がターンオフして、スイッチング素子Q2がターンオンするまでの間と、スイッチング素子Q2がターンオフして、スイッチング素子Q1がターンオンするまでの間とにおいて、期間tdとしての一定期間のデッドタイムが形成されるようにしているものである。このデッドタイムは、前述した部分電圧共振動作として、スイッチング素子Q1〜Q4がターンオン/ターンオフするタイミングでの短時間において、部分共振コンデンサCp1,Cp2における充放電の動作が確実に得られるようにすることを目的としているものである。
【0026】
また、図7(c)(d)を比較して分かるように、スイッチング素子Q3,Q4についても、ドライブIC13によって交互にオン/オフするタイミングとなるようにしてスイッチング駆動される。また、スイッチング素子Q3,Q4がターンオン/ターンオフするタイミングにおいても、部分電圧共振動作のための期間tdとしてのデッドタイムが形成されるように、正極パルスの幅が設定されていることが分かる。
【0027】
そして、図7(a)(b)(c)(d)を比較して分かるように、スイッチング素子Q1〜Q4は、同じスイッチング周波数によってスイッチング動作を行うようにされたうえで、スイッチング素子[Q1,Q4]の組とスイッチング素子[Q2,Q3]の組とが、それぞれ同じタイミングでオン/オフするようにされている。
【0028】
つまり、フルブリッジ結合方式の電流共振形コンバータのスイッチング動作としては、スイッチング素子[Q1,Q4]の組とスイッチング素子[Q2,Q3]の組が交互にオン/オフ動作を行うようにされているものである。このようにして、平滑コンデンサCiの両端電圧(整流平滑電圧Ei)を直流入力電圧として、スイッチング素子[Q1,Q4]及び[Q2,Q3]の組が交互にオン/オフを繰り返すと共に、一次側直列共振回(C1−N1)によって電流共振形としての動作が得られることで、絶縁コンバータトランスの一次側巻線N1に共振電流波形に近いドライブ電流を供給することになる。そして、これに応じて一次巻線N1に発生する交番電圧が二次巻線N2に励起されるようにして伝達され、さらに、二次巻線N2に接続された整流回路によって、二次側直流出力電圧Eoが得られることになる。
【0029】
そして、前述したように、制御回路1から出力される制御出力に応じて、コントロールIC11からは、二次側直流出力電圧Eoのレベル変化に応じて、その発振周波数が可変された発振信号が、ドライブIC12,13の各発振信号入力端子Vcに入力されることになる。
これにより、スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作としては、上記図7に示したゲート−ソース間電圧VGSに対応するオン/オフタイミングを維持した上で、二次側直流出力電圧Eoのレベル変化に応じてスイッチング周波数が可変制御されることになる。このようにしてスイッチング周波数が可変制御されることで、一次側から二次側に電力伝送する際における共振インピーダンスが変化することになるが、この結果、二次側直流出力電圧Eoが所定レベルで安定化するようにして定電圧制御が行われることになる。
なお、この図6に示す電源回路は、例えば、交流入力電圧VAC=85V〜144V、負荷電力Po=300W〜0Wの変動範囲に対応して、二次側直流出力電圧Eo=200Vで安定化させるという条件に対応して構成されている。
【0030】
また、図8の波形図により、上記図6に示した電源回路における要部の動作を、スイッチング周期により示す。ここでは、スイッチング素子[Q2,Q3]の組のスイッチング動作に対応した動作が示されている。
スイッチング素子Q2,Q3は、期間t1においてオンとなり、期間t2においてオフとなるように動作する。そして、オンとなる期間t1においては、図8(b)に示すようにして、スイッチング素子Q2//クランプダイオードDD2から成るスイッチング回路にスイッチング電流IQ2が流れる。同様の波形により、スイッチング素子Q3//クランプダイオードDD3から成るスイッチング回路にも、スイッチング電流IQ3が流れる。また、スイッチング電流IQ2,IQ3は、オフとなる期間t1においては、0レベルとなる。
また、スイッチング素子Q2,Q3のオン/オフ動作に応じた、ドレイン−ソース間電圧VQ2,VQ3は、図8(a)に示すようにして、オンとなる期間t1では0レベルで、オフとなる期間t2では、所定の正極性のパルスが得られる波形となる。
【0031】
なお、他方のスイッチング素子[Q1,Q4]の組のスイッチング動作に応じては、上記図8(a)(b)に対して180°の位相差を有した上で同一波形となる、スイッチング電流及びドレイン−ソース間電圧波形が得られることとなる。
【0032】
そして、上記のようにしてスイッチング素子Q1〜Q4がスイッチング動作を行うことで、一次巻線N1には、スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング電流が流れることになる。これにより、一次巻線N1に流れる一次巻線電流I1としては、図8(e)に示す波形が得られることになる。
また、一次巻線N1の両端には、図8(c)に示すようにしてスイッチング周期に応じて、正極性と負極性とで反転する波形による一次巻線電圧V1が得られることになる。
【0033】
また、二次側の動作として、二次巻線N2の整流ダイオードDO1側の端部とセンタータップ間には、図8(b)に示す波形による交番電圧としての二次巻線電圧V2が得られる。そして、センタータップから二次巻線N2に流れる整流電流IDは、図示するようにして、期間t1、t2ごとに正極性として現れる。この整流電流IDは、期間t1においては整流ダイオードDO2に流れ、期間t2においては整流ダイオードDO1に流れるものとなる。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】
これまでの説明からも分かるように、上記図6に示した他励式のフルブリッジ結合方式による電流共振形コンバータでは、4石のスイッチング素子をスイッチング周波数制御方式によりスイッチング駆動している。そして、このために、発振、制御、保護回路系を内蔵した1つのコントロールIC11と、2つの電流共振形コンバータドライブ用のドライブIC12,13とを組み合わせて使用するようにしている。
このようにして3つのICが必要なのは、汎用のドライブICとしては、ハイサイドとローサイドの2つで一組のスイッチング素子を駆動する構成を採っていることに依る。つまり、1組のハーフブリッジ結合された2本のスイッチング素子から成るスイッチング回路を駆動する構成を採っているものである。従って、フルブリッジ結合方式に対応して、2組のハーフブリッジ回路を駆動する場合には、2組のドライブICが必要とされることになる。
そのうえで、2組のドライブICが、スイッチング周波数制御を伴うスイッチング駆動を、同期して行うことができるようにする必要から、これらのドライブICとは別に、スイッチング周波数制御によるドライブが可能なコントロールICが必要となるものである。
【0035】
そして、これらのICは、例えば実際においては、コントロールIC11は16ピン分の端子を有し、ドライブIC12,13は14ピン分の端子を有している。図6には示していないが、実際においては、コントロールIC11、及びドライブIC12,13には、これらのピン端子に対して多数の外付け部品が接続されることになる。例えば、実際の外付け部品の数としては、コントロールIC11は27点であり、ドライブIC12,13はそれぞれ10点となる。そして、この場合にはさらに周辺に3点の部品素子を必要とし、合計で50点もの外付け部品が接続されることとなる。
さらには、図6にても示しているように、各ハイサイドのスイッチング素子Q1,Q3を適切にドライブするためにはブートストラップ回路を設ける必要がある。このブートストラップ回路も、コントロールIC12,13とで、それぞれ1つづつ必要であり、従って、2組のブートストラップ回路が必要となるものである。
このようにして、図6に示す電源回路では、3つのICを備え、さらに、上記のようにして、多数の外付け部品が接続されることになる。このため、その分、回路規模が大きくなると共に、コストも高くなっているということがいえる。
【0036】
また、コントロールIC11、及びドライブIC12,13は、前述もしたようにバイポーラトランジスタの集合によるアナログICとされる。このため、交流入力電圧VACの上昇や負荷電力の低下に応じて、スイッチング周波数を上昇させるようにしてスイッチング駆動を行うときには、これらIC内部におけるバイポーラトランジスタのオン/オフ動作としても、スイッチング周波数に応じて速い周期となる。このために、IC内部における電力損失が増加することになる。具体的には、コントロールIC11、及びドライブIC12,13における消費電力として、最低スイッチング周波数時には全体で0.6Wとなる。しかし、最高スイッチング周波数時には、各ICにおける消費電力が0.9Wにまで増加する。従って、最高スイッチング周波数時には、トータルで2.7Wの消費電力となる。つまり、最低スイッチング周波数時に対して最高スイッチング周波数時には、2.7W−0.6W=2.1Wにまで消費電力が増加することとなってしまう。
【0037】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は上記した課題を考慮して、他励式によるフルブリッジ結合方式の電流共振形コンバータを備える電源回路において、スイッチング素子をスイッチング駆動するための駆動回路系における回路規模の縮小及びコストダウンを図ると共に、電力損失の低減を図ることを目的とする。
【0038】
このため、ハイサイドのスイッチング素子と、ローサイドのスイッチング素子とをハーフブリッジ結合して形成される第1のハーフブリッジ回路と、第2のハーフブリッジ回路を備え、これら第1のハーフブリッジ回路と第2のハーフブリッジ回路とを、直流入力電圧と一次側アース間に対して並列に接続することで形成される、フルブリッジ結合のスイッチング手段と、スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段と、少なくとも、スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、この一次巻線に得られたスイッチング出力としての交番電圧が励起される二次巻線とを巻装して形成される絶縁コンバータトランスと、少なくとも、絶縁コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分と、一次巻線に直列接続された一次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成され、スイッチング手段の動作を電流共振形とする一次側直列共振回路とを備える。
また、各ハーフブリッジ回路を形成する2つのスイッチング素子のうち、一方のスイッチング素子に対して並列接続された部分電圧共振コンデンサのキャパシタンスと、絶縁コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分によって形成され、各スイッチング素子がターンオン及びターンオフするタイミングに応じてのみ電圧共振動作が得られる一次側部分電圧共振回路を設ける。
また、絶縁コンバータトランスの二次巻線に得られる交番電圧を入力して、整流動作を行うことで二次側直流出力電圧を生成するように構成された直流出力電圧生成手段と、二次側直流出力電圧のレベルに応じてスイッチング駆動手段を制御して、スイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで、二次側直流出力電圧に対する定電圧制御を行うように構成された定電圧制御手段を備える。そして、上記スイッチング駆動手段については、各スイッチング素子をスイッチング駆動するためのドライブ信号として、互いに180°の位相差を有するとされる波形による、所要の周波数に応じた第1のドライブ信号と第2のドライブ信号を生成して出力するドライブ信号生成回路と、第1のドライブ信号に基づいて第1のハーフブリッジ回路のハイサイドのスイッチング素子と、第2のハーフブリッジ回路のローサイドのスイッチング素子が同じオン/オフタイミングとなるようにスイッチング駆動する第1の駆動回路と、第2のドライブ信号に基づいて第1のハーフブリッジ回路のローサイドのスイッチング素子と、第2のハーフブリッジ回路のハイサイドのスイッチング素子が同じオン/オフタイミングとなるようにスイッチング駆動する、第2の駆動回路とを備えて構成することとした。
【0039】
上記構成によると、本発明のスイッチング電源回路は、一次側スイッチングコンバータとして、フルブリッジ結合方式による電流共振形コンバータに対して、部分共振電圧回路を組み合わせた構成を採っていることになる。また、電流共振形コンバータを形成する各スイッチング素子に対するスイッチング駆動方式としては、他励式を採る。
そのうえで、他励式によりスイッチング素子をスイッチング駆動するのにあたっては、1つのドライブ信号生成回路により、互いに180°の位相差を有するとされる第1のドライブ信号と第2のドライブ信号とを生成するようにされる。そして、第1のドライブ信号に基づいては、一方の同じオン/オフタイミングの組となるべき、第1のハーフブリッジ回路のハイサイドのスイッチング素子と、第2のハーフブリッジ回路のローサイドのスイッチング素子とをスイッチング駆動するようにされる。
また、第2のドライブ信号に基づいては、他方の同じオン/オフタイミングの組となるべき、第1のハーフブリッジ回路のローサイドのスイッチング素子と、第2のハーフブリッジ回路のハイサイドのスイッチング素子とをスイッチング駆動するようにされる。
このような構成によれば、1つの第1のドライブ信号を基として、一方の同じオン/オフタイミングの組となるべき2本のスイッチング素子を駆動することが可能となっている。また、同じく、1つの第2のドライブ信号を基として、他方の同じオン/オフタイミングの組となるべき2本のスイッチング素子を駆動することが可能となっているものである。
【0040】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成を示す回路図である。この図1に示す電源回路は、一次側に対して、4石のスイッチング素子を備えたフルブリッジ結合方式の電流共振形コンバータが備えられる。また、スイッチング駆動方式としては他励式を採る。そして、この電流共振形コンバータのスイッチング素子がターンオン/ターンオフする時にのみ電圧共振する部分電圧共振回路が組み合わされている。
【0041】
図1に示す回路において、商用交流電源ACに対しては、ブリッジ整流回路Di及び平滑コンデンサCiとから成る全波整流回路が備えられる。この場合、平滑コンデンサCiの両端には、交流入力電圧VACの等倍に対応するレベルの整流平滑電圧Eiが得られる。この整流平滑電圧Eiは、直流入力電圧として後段の電流共振形コンバータに対して入力される。
【0042】
この図に示す電流共振形コンバータは、フルブリッジ結合方式とされることに対応して4石のスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4を備える。また、この場合には他励式とされることに対応して、これらスイッチング素子Q1〜Q4は、電圧駆動タイプであるMOS−FETとされる。
【0043】
スイッチング素子Q1のドレインは、整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)のラインと接続される。スイッチング素子Q1のソースは、スイッチング素子Q2のドレインと接続される。スイッチング素子Q2のソースは一次側アースに対して接続される。
つまり、スイッチングQ1,Q2は、スイッチング素子Q1がハイサイドで、スイッチング素子Q2がローサイドとなるようにしてハーフブリッジ結合されるようにして直列に接続され、これにより、1組のハーフブリッジ回路(第1のハーフブリッジ回路)を形成している。
【0044】
同様にして、スイッチング素子Q3のドレインは、整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)のラインと接続され、ソースは、スイッチング素子Q4のドレインと接続される。スイッチング素子Q4のソースは一次側アースに対して接続される。つまり、スイッチングQ3,Q4については、スイッチング素子Q3がハイサイドで、スイッチング素子Q4がローサイドとなるようにしてハーフブリッジ結合して接続され、1組のハーフブリッジ回路(第2のハーフブリッジ回路)を形成する。
このような接続態様に依れば、スイッチング素子[Q1,Q2]の組と、スイッチング素子[Q3,Q4]の組とによる2組のハーフブリッジ回路が、直流入力電圧(Ei)のラインと一次側アース間に対して並列に挿入されていることになる。これにより、フルブリッジ結合方式としてのスイッチング回路系が形成されることになる。
【0045】
また、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間には、クランプダイオードDD1が並列に接続される。クランプダイオードDD1のアノード、カソードは、それぞれ、スイッチング素子Q1のソース、ドレインに対して接続される。このクランプダイオードDD1は、スイッチング素子Q1と共に1組のスイッチング回路を形成し、スイッチング素子Q1がターンオンするときの逆方向電流を流す経路を形成する。
同様の接続態様により、スイッチング素子Q2,Q3,Q4に対しても、それぞれ、クランプダイオードDD2,DD3,DD4が並列に接続される。
【0046】
また、スイッチング素子Q1のゲート−ソース間には、ゲート−ソース間抵抗R12が接続される。同様に、スイッチング素子Q2,Q3,Q4に対しても、ゲート−ソース間抵抗R22,R32,R42が接続される。
【0047】
また、各ハーフブリッジ回路におけるローサイドのスイッチング素子Q2,Q4のドレイン−ソース間に対しては、それぞれ並列に、部分共振コンデンサCp1,Cp2が接続されている。
部分共振コンデンサCp1,Cp2のキャパシタンスと、後述する絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の漏洩インダクタンス成分L1によっては、それぞれ並列共振回路(部分電圧共振回路)を形成する。
そして、このようにして、部分電圧共振回路が形成されることによっては、スイッチング素子Q1〜Q4がターンオン/ターンオフする短期間にのみ電圧共振する部分電圧共振動作が得られる。
なお、これらスイッチング素子Q1〜Q4についてのスイッチング駆動回路系の構成については後述する。
【0048】
絶縁コンバータトランスPITはスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング出力を二次側に伝送する。
絶縁コンバータトランスPITの構造としては、ここでの図示は省略するが、例えばEE型コアに対して、一次巻線N1及び二次巻線N2を、一次側と二次側とに対応して形成された分割領域の各々に巻装して構成される。また、この場合の絶縁コンバータトランスPITにおいては、図示するように、一次側に三次巻線N3も巻装される。
【0049】
絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の一端は、直列共振コンデンサC1を介してスイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインの接続に接続される。また一次巻線N1の他端は、スイッチング素子Q3のソースとスイッチング素子Q4のドレインの接点に接続される。
【0050】
そして、上記直列共振コンデンサC1のキャパシタンスと、一次巻線N1のインダクタンス成分L1を含む絶縁コンバータトランスPITの漏洩インダクタンス成分(L1)によっては一次側直列共振回路が形成される。
フルブリッジ結合方式では、後述するようにして、スイッチング素子[Q1,Q4]の組と、スイッチング素子[Q2,Q3]の組が交互にスイッチング動作するが、上記のようにして一次巻線N1−直列共振コンデンサC1から成る一次側直列共振回路が接続されていることで、この一次側直列共振回路には、スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング出力が伝達されることになる。そして、このスイッチング出力に応じて一次側直列共振回路が共振動作を行うことで、電流共振形としての動作が得られる。そして、一次巻線N1には、この電流共振形としての動作に応じて、共振波形に近い一次巻線電流I1が得られることとなる。
【0051】
このようにして、本実施の形態のスイッチングコンバータとしては、電流共振形としての動作と、前述した部分電圧共振動作とが複合的に得られていることになる。つまり、複合共振形コンバータとしての構成が採られている。
【0052】
また、絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2には、上記一次巻線N1に伝達されるスイッチング出力に応じて励起された交番電圧が発生する。
この場合、二次巻線N2に対しては、センタータップが設けられている。このセンタータップは二次側アースに接続される。そのうえで、図示するようにして、二次巻線N2に対して、2本の整流ダイオードDO1,DO2、及び平滑コンデンサCoを接続することで、両波整流回路が形成される。この両波整流回路が、二次巻線N2に励起された交番電圧を入力して整流動作を行うことによって、平滑コンデンサCOの両端電圧として、二次側直流出力電圧EOが得られる。
二次側直流出力電圧EOは、図示しない負荷に対して供給される。さらに、この二次側直流出力電圧EOは、図示するように制御回路1のための検出電圧としても分岐して入力される。
【0053】
また、この場合の絶縁コンバータトランスPITでは、一次側において、三次巻線N3が巻装されている。
三次巻線N3に対しては、図示するようにして、ダイオードD4及びコンデンサC4から成る半波整流回路が接続される。この半波整流回路によって得られた低圧の直流電圧は、後述するコントロールIC2の電源入力端子Vccに対して、動作電源として供給される。
【0054】
制御回路1は、例えば二次側の直流出力電圧EOのレベルに応じてそのレベルが可変される電流又は電圧を制御出力として得る。この制御出力は、コントロールIC2の制御端子Vcに対して出力される。
コントロールIC2では、後述するようにして発振信号を生成するとともに、この発振信号を利用して、スイッチング素子を他励式により駆動するためのハイサイド用とローサイド用のドライブ信号を出力する。そして、このドライブ信号によって、スイッチング素子Q1〜Q4が所要のスイッチングタイミングによりスイッチング駆動されることになる。
そして、コントロールIC2では、制御端子Vcに入力された制御出力レベルに応じて、内部で生成する発振信号の周波数を可変するように動作する。これによって、ドライブ信号の周波数が制御出力レベルに応じて可変されることになる。つまり、コントロールIC2では、制御端子Vcに入力された制御出力レベルに応じて、スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング周波数を可変制御するように動作する。
スイッチング周波数が可変されることによっては、直列共振回路における共振インピーダンスが変化することになる。このようにして共振インピーダンスが変化することによっては、一次側の直列共振回路の一次巻線N1に供給される電流量が変化して二次側に伝送される電力も変化することになる。これにより、二次側出力電圧が変化することとなって定電圧制御が図られることになる。
【0055】
続いては、図1に示す電源回路における、スイッチング素子Q1〜Q4をスイッチング駆動するためのスイッチング駆動回路系について説明する。本実施の形態のスイッチング駆動回路系は、主として、1つのコントロールIC2と、2組のドライブトランスCDT−1,CDT−2を備えて構成される。
コントロールIC2は、電流共振形コンバータを他励式により駆動するための発振回路、制御回路、及び保護回路等を備えて構成されるもので、内部にバイポーラトランジスタを備えたアナログIC(Integrated Circuit)とされる。このコントロールIC2は、実際においては18個のピン端子を備えるが、この図1では、そのうち必要に応じた所要数のピン端子のみを示している。
【0056】
このコントロールIC2は、前述もしたように、電源入力端子Vccに入力された直流電圧により動作する。また、このコントロールIC2は、アース端子Eにより一次側アースに接地させるようにしている。
【0057】
そして、コントロールICにおいては、スイッチング素子に対してドライブ信号(ゲート電圧)を出力するための端子として、2つのドライブ信号出力端子VGH,VGLが備えられる。
ドライブ信号出力端子VGHからは、ハイサイドのスイッチング素子をスイッチング駆動するためのドライブ信号(第1のドライブ信号)が出力され、ドライブ信号出力端子VGLからは、ローサイドのスイッチング素子をスイッチング駆動するためのドライブ信号(第2のドライブ信号)が出力される。
そして、この場合には、ドライブ信号出力端子VGHは、ゲート抵抗R11を介してハイサイドのスイッチング素子Q1のゲートと接続される。また、分岐して、コンデンサC3B−R3Bの直列接続を介してドライブトランスCDT−2の一次巻線N21の一端に接続される。一次巻線N21の他端は、ブートストラップ用の端子Vsに対して接続される。
これにより、ドライブ信号出力端子VGHから出力されるドライブ信号は、スイッチング素子Q1のゲートに対して出力されると共に、CDT−2の一次巻線N21にも出力されることになる。
【0058】
また、ドライブ信号出力端子VGLは、ゲート抵抗R21を介してハイサイドのスイッチング素子Q2のゲートと接続される。また、分岐して、コンデンサC3A−R3Aの直列接続を介して、ドライブトランスCDT−1の一次巻線N11の一端に接続される。一次巻線N11の他端は、一次側アースに対して接続される。これにより、ドライブ信号出力端子VGLから出力されるドライブ信号は、スイッチング素子Q2のゲートに対して出力されると共に、CDT−1の一次巻線N11にも出力されることになる。
【0059】
また、この場合には、1組のブートストラップ回路が設けられる。このブートストラップ回路は、図示するようにして、コンデンサCBS,ダイオードDBS、及びコンデンサCbを備えている。コンデンサCBSの負極端子は、一次側アースに接続され、正極端子は、ダイオードDBSのアノードと、コントロールIC2の端子Vc2との接続点に接続される。
また、ダイオードDBSのカソードは、端子VBと接続されると共に、コンデンサCbを介して端子Vsに対して接続される。端子Vsは、ゲート−ソース間抵抗R12を介してスイッチング素子Q1のゲートに対して接続されている。このようにしてブートストラップ回路が設けられることで、後述するようにして、ハイサイドのスイッチング素子Q1に対して印加されるドライブ信号(ゲート電圧VGH1)は、スイッチング素子Q1を適正にドライブ可能なレベルとなるように、レベルシフトが行われることになる。
【0060】
ドライブトランスCDT−1は、スイッチング素子Q3をスイッチング駆動するために設けられるもので、図示するようにして、一次巻線N11と二次巻線N12とが巻装される。
先の説明によると、一次巻線N11には、コントロールIC2のドライブ信号出力端子VGLから出力されるドライブ信号が伝送されてくることになる。そして、ドライブトランスCDT−1においては、トランス結合を介してこの一次巻線N11に得られたドライブ信号を、二次巻線N12に励起させるようにして伝達することになる。
【0061】
二次巻線N12の一端は、ゲート抵抗R31を介して、スイッチング素子Q3のゲートに接続され、他端は、スイッチング素子Q3のソースと、スイッチング素子Q4のドレインとの接続点に対して接続される。
【0062】
このようなドライブトランスCDT−1の二次側における接続形態によると、コントロールIC2のドライブ信号出力端子VGLから出力されるドライブ信号として、ドライブトランスCDT−1の一次巻線N11に出力されたドライブ信号は、ドライブトランスCDT−1のトランス結合を介して、スイッチング素子Q3のゲートに印加されることになる。
そして、ドライブ信号出力端子VGLから出力されるドライブ信号は、先にも述べたように、ドライブトランスを介することなくスイッチング素子Q2のゲートにも印加される。
従って、ドライブ信号出力端子VGLから出力されるドライブ信号は、スイッチング素子Q2,Q3に対して共通に出力されるように構成されているということがいえる。つまり、ドライブ信号出力端子VGLから出力されるドライブ信号に基づいてスイッチング素子を駆動する駆動回路系(第2の駆動回路)としては、スイッチング素子Q2,Q3を駆動する構成を採っているものである。
【0063】
一方、ドライブトランスCDT−2は、スイッチング素子Q4をスイッチング駆動するために設けられるもので、一次巻線N21と二次巻線N22とが巻装される。
前述したように、ドライブトランスCDT−2の一次巻線N21には、コントロールIC2のドライブ信号出力端子VGHから出力されるドライブ信号が伝送される。ドライブトランスCDT−2においては、この一次巻線N21に得られたドライブ信号を、トランス結合を介して二次巻線N22に伝達する。
二次巻線N22の一端は、ゲート抵抗R41を介して、スイッチング素子Q4のゲートに接続され、他端は、一次側アースに対して接続される。
【0064】
このようなドライブトランスCDT−2の二次側における接続形態によれば、ドライブ信号出力端子VGHから出力されるドライブ信号は、ドライブトランスCDT−2のトランス結合を介して一次側から二次側に伝送され、スイッチング素子Q4のゲートに印加される構成が採られていることになる。
また、ドライブ信号出力端子VGHから出力されるドライブ信号は、ドライブトランスを介することなく、スイッチング素子Q1のゲートにも印加されるから、ドライブ信号出力端子VGHから出力されるドライブ信号は、スイッチング素子Q1,Q4に対して共通に出力されていることとなる。つまり、ドライブ信号出力端子VGHから出力されるドライブ信号に基づいてスイッチング素子を駆動する駆動回路系(第1の駆動回路)としては、スイッチング素子Q1,Q4を駆動する構成となっている。
【0065】
ここで、上記ドライブトランスCDT−1,CDT−2の構造例について、図4及び図5を参照して説明しておく。
先ず図4に示すドライブトランスCDT(CDT−1,CDT−2)は、フェライト材によるE型コアCR1、CR2を互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コアを備える。
そして、一次側と二次側の巻装部について相互に独立するようにして分割した形状により、例えば樹脂などによって形成される、ボビンBが備えられる。このボビンBの一方の巻装部に対して一次巻線(N11,N21)が巻装される。また、他方の巻装部に対して二次巻線(N12,N22)が巻装される。このようにして一次巻線及び二次巻線が巻装されたボビンBを上記EE型コア(CR1,CR2)に取り付けることで、一次側巻線及び二次側巻線とがそれぞれ異なる巻装領域により、EE型コアの中央磁脚に巻装される状態となる。このようにしてドライブトランスCDT全体としての構造が得られる。
また、この場合のEE型コアにおいては、中央磁脚に対してはギャップは形成しないものとしている。これによって、所要の結合係数による密結合の状態が得られるようにしている。
【0066】
また、ドライブトランスCDT(CDT−1,CDT−2)としては、図5に示すようにして、U型コアを用いた絶縁コンバータトランスPITの構造とすることもできる。
この図5に示す絶縁コンバータトランスPITは、2つのU型コアCR11,CR12を組み合わせてU−U型コアを形成する。この際、U型コアCR11,CR12の各磁脚が対向する面に対しては、ギャップを形成せずに、そのまま磁脚の対向面どうしを接触させている。
そして、ボビンBに対して、図示するようにして一次巻線(N11,N21)と、二次巻線(N12,N22)とを互いに分割された巻装部に巻装した上で、上記のようにして形成されるU−U型コアの一方の磁脚に対して、取り付けるようにされる。
【0067】
続いて、先に図1により説明したスイッチング駆動回路系の構成による、スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング駆動動作について説明する。
コントロールIC2では、内部の発振回路により所要の周波数の発振信号を生成する。なお、この発振回路は、後述するようにして制御回路1から端子Vcに入力される制御出力のレベルに応じて、発振信号の周波数を可変するようにされている。
そして、コントロールIC2では、上記発振回路にて生成された発振信号を利用して、ハイサイド用のドライブ信号と、ローサイド用のドライブ信号を生成する。そして、ハイサイド用のドライブ信号をドライブ信号出力端子VGHから出力し、ローサイド用のドライブ信号をドライブ信号出力端子VGLから出力するようにされる。
【0068】
上記のようにして、ドライブ信号出力端子VGH,VGLから出力されるドライブ信号による、スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング駆動タイミングについて、図2を参照して説明する。図2には、スイッチング素子Q1〜Q4の各ゲート−ソース間電圧が示されている。
ここで先ず、図2(a)と図2(b)を参照して、ドライブ信号出力端子VGHから出力されるハイサイド用のドライブ信号と、ドライブ信号出力端子VGLから出力されるローサイド用のドライブ信号との関係に応じた、スイッチング素子Q1、Q2のスイッチングタイミングについて説明しておく。
【0069】
スイッチング素子Q1に対しては、ドライブ信号出力端子VGHから出力されるハイサイド用のドライブ信号がゲート抵抗R11を介して印加される。これによって、スイッチング素子Q1のゲート−ソース間電圧VGH1としては、このハイサイド用のドライブ信号に対応した波形が得られることになる。
つまり、図2(a)に示すようにして、1スイッチング周期内において、正極性による矩形波のパルスが発生する期間と、0Vとなる期間が得られることになる。
そして、この図2(a)に示されるゲート−ソース間電圧VGH1によって、スイッチング素子Q1は、先ず、1スイッチング周期内において、正極性の矩形波パルスが得られるタイミングでオン状態となるようにされる。つまり、スイッチング素子Q1がオンとなるには、ゲート閾値電圧(≒5V)以上の適切なレベルの電圧が印加されることが必要である。上記正極性のパルスとしてのゲート−ソース間電圧VGH1は10Vと成るように設定されているから、この正極性のパルスが印加される期間に対応してオンとなる状態が得られることになる。そして、ゲート−ソース間電圧VGH1が0Vでゲート閾値電圧以下となると、オフ状態に切り換わることになる。このようなタイミングにより、スイッチング素子Q1は、オン/オフするようにしてスイッチング動作を行うことになる。
【0070】
一方、スイッチング素子Q2に対しては、ドライブ信号出力端子VGLから出力されるローサイド用のドライブ信号が、ゲート抵抗R21を介して印加されるようになっている。このドライブ信号に応じては、図2(b)に示す波形によるスイッチング素子Q2のゲート−ソース間電圧VGL1が得られる。
つまり、ゲート−ソース間電圧VGL1は、図2(a)に示したスイッチング素子Q1のゲート−ソース間電圧VGH1と同じ波形とされたうえで、タイミングとしては、ゲート−ソース間電圧VGH1に対して180°の位相差を有した波形が得られているものである。このことから、スイッチング素子Q2は、スイッチング素子Q1と交互にオン/オフするタイミングによりスイッチング駆動されることになる。
また、図2(a)(b)によると、スイッチング素子Q1がターンオフしてスイッチング素子Q2がターンオンするまでの間と、スイッチング素子Q2がターンオフして、スイッチング素子Q1がターンオンするまでの間には期間tdが形成されるようになっている。
【0071】
この期間tdは、スイッチング素子Q1(Q4),Q2(Q3)が共にオフとなるデッドタイムとされる。このデッドタイムとしての期間tdは、部分電圧共振動作として、スイッチング素子Q1〜Q4がターンオン/ターンオフするタイミングでの短時間において、部分共振コンデンサCp1,Cp2における充放電の動作が確実に得られるようにすることを目的として形成している。そして、このような期間tdとしての時間長は、例えばコントロールIC2側で設定することができるようになっており、コントロールIC2では、設定された時間長による期間tdが形成されるように、ドライブ信号出力端子VGH,VGLから出力すべきドライブ信号についてのパルス幅のデューティ比を可変する。
【0072】
続いては、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング動作としてのオン/オフタイミングの関係が得られていることを前提として、スイッチング素子Q3,Q4のオン/オフタイミングについて説明する。
先の説明によると、ドライブ信号出力端子VGHから出力されるハイサイド用のドライブ信号は、スイッチング素子Q1のゲートに印加されると共に、ドライブトランスCDT−2のトランス結合を介するようにして、スイッチング素子Q4に対しても印加されることになる。
そして、上記ハイサイド用のドライブ信号が、ドライブトランスCDT−2のトランス結合を介して一次側から二次側に伝送されることによっては、二次側で得られるドライブ信号は、0レベルを基準に正/負に反転する波形となって得られる。これに応じて、ドライブトランスCDT−2の二次巻線側からドライブ信号が印加されるスイッチング素子Q4のゲート−ソース間電圧VGH2は、図2(c)に示すものとなる。
【0073】
つまり、1スイッチング周期内において、正極性の+10Vの矩形波パルスが得られる期間と、負極性による−10Vの矩形波パルスとなる期間が得られる。ここで、正極性の+10Vの矩形波パルスが得られる期間は、図2(a)のゲート−ソース間電圧VGH1が正極性の矩形パルスが得られる期間と同一となる。また、負極性による−10Vの矩形波パルスとなる期間は、図2(a)のゲート−ソース間電圧VGH1が0レベルとなる期間と同一となる。
そして、このような波形のゲート−ソース間電圧VGH2が得られることによっては、スイッチング素子Q4は、1スイッチング周期内において、正極性の矩形パルスが得られている期間においてオン状態となるようにされる。一方、負極性の矩形パルスが得られている期間においてオフ状態となるようにされる。従って、スイッチング素子Q4のオン/オフタイミングは、図2(a)のゲート−ソース間電圧VGH1に対応するスイッチング素子Q1と同様となる。つまり、スイッチング素子Q1,Q4は、同じタイミングでオン/オフするようにスイッチング駆動される。
【0074】
また、スイッチング素子Q3については、ドライブ信号出力端子VGLから出力されるローサイド用のドライブ信号(ゲート電圧)が、ドライブトランスCDT−1を介するようにして印加されていることになる。
このローサイド用のドライブ信号についても、ドライブトランスCDT−1のトランス結合を介して一次側から二次側に伝送されることで、0レベルを基準に正/負に反転する波形の信号となって二次側で得られることになる。このため、スイッチング素子Q3のゲート−ソース間電圧VGL2は、図2(d)に示すようにして、1スイッチング周期内において、正極性の+10Vの矩形波パルスとなる期間と、負極性による−10Vの矩形波パルスとなる波形が得られる。これに応じて、スイッチング素子Q3は、1スイッチング周期内において、正極性の矩形パルスが得られている期間においてオン状態となり、負極性の矩形パルスが得られている期間においてオフ状態となるようにスイッチング動作を行うことになる。
そして、このオン/オフタイミングは、図2(b)のゲート−ソース間電圧VGL1に対応するスイッチング素子Q2と同様となるものであり、従って、スイッチング素子Q3は、スイッチング素子Q4と同じタイミングでオン/オフするようにスイッチング駆動されることになる。
【0075】
ここで、上記図2に示したようにして、各スイッチング素子Q1〜Q4におけるゲート−ソース間電圧VGH1,VGL1,VGH2,VGL2として、+10Vの正極パルス又は±10Vの正/負のパルスが得られるようにするために、図1に示す回路の実際としては、次のように各素子を選定している。
CDT(CDT−1,CDT−2)の一次巻線N11,N21=50T
CDT(CDT−1,CDT−2)の二次巻線N12,N22=100T
コンデンサC3A,C3B=0.1μF
抵抗R3A,R3B=47Ω
ゲート抵抗R11,R21,R31,R41=10Ω
ゲート−ソース間抵抗R12,R22,R32,R42=2.2KΩ
【0076】
このようにして、図1に示す電源回路では、スイッチング素子[Q1,Q4]の組と、スイッチング素子[Q2,Q3]の組とが交互にオン/オフするようにしてスイッチング駆動される。
そしてスイッチング動作として、スイッチング素子[Q1,Q4]の組がオンとなっているときには、出力として、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース→直列共振コンデンサC1→一次巻線N1→スイッチング素子Q4のドレイン−ソース→一次側アースの経路で電流が流れる。
また、スイッチング素子[Q2,Q3]の組がオンとなっているときには、出力として、スイッチング素子Q3のドレイン−ソース→一次巻線N1→直列共振コンデンサC1→スイッチング素子Q2のドレイン−ソース→一次側アースの経路で電流が流れる。そして、この動作が繰り返されるのに応じて、一次側直列共振回路(C1−N1)では共振動作が得られることになり、絶縁コンバータトランスの一次側巻線N1に共振電流波形に近いドライブ電流を供給することになる。
【0077】
また、上記のようにしてスイッチング素子[Q1,Q4]の組がターンオフ/ターンオンするタイミングでは、スイッチング素子Q4に対して接続された並列共振コンデンサCp2が、自身のキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンス成分L1によって並列共振回路を形成し、電圧共振動作を行う。つまり、スイッチング素子[Q1,Q4]の組のターンオフ/ターンオン時にのみ電圧共振となる部分電圧共振動作が得られる。
同様にして、スイッチング素子[Q2,Q3]の組がターンオフ/ターンオンするタイミングでは、スイッチング素子Q2に対して接続された並列共振コンデンサCp1のキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンス成分L1によって並列共振回路が形成される。そして、スイッチング素子[Q2,Q3]の組のターンオフ/ターンオン時において部分電圧共振動作が得られる。
【0078】
このようにして、本実施の形態では、スイッチング素子[Q1,Q4][Q2,Q3]の各組(スイッチング回路)が交互にオン/オフするフルブリッジ結合方式の電流共振形コンバータと、部分電圧共振回路(Cp1,Cp2,N1)が組み合わされたコンバータが形成されているものである。
【0079】
図3の波形図は、上記したスイッチング動作に対応する要部の波形を示している。
この図3によると、先ず、スイッチング素子のオン/オフタイミングとして、スイッチング素子[Q1,Q4]の組は、図3に示す期間t1においてオンとなり、期間t2に対応してオフとなるように動作していることになる。
これに応じて、スイッチング素子[Q1,Q4]には、図3(b)に示すようにしてスイッチング電流IQ1,IQ4が流れるようにされる。つまり、期間t1においては、先ず負極性方向としてクランプダイオードDD1,DD4を介して流れた後、正極性に反転するようにしてスイッチング素子Q1,Q4のドレイン−ソースを流れる波形が得られる。そして、期間t2においては0レベルとなるものである。
また、上記のようにしてスイッチング電流IQ1,IQ4が流れるのに応じては、スイッチング素子[Q1,Q4]のドレイン−ソース間電圧VQ1,VQ4としては、期間t1では0レベルで、期間t2においては正極性のパルスとなる波形が得られる。
【0080】
そして、スイッチング素子[Q2,Q3]の組の動作として、図3(c)には、スイッチング素子[Q2,Q3]のドレイン−ソース間電圧VQ2,VQ3が示され、図3(d)には、スイッチング素子[Q2,Q3]のスイッチング電流IQ2,IQ3が示されている。
この図3(c)(d)に示すドレイン−ソース間電圧VQ2,VQ3、スイッチング電流IQ2,IQ3は、図3(a)(b)に示したドレイン−ソース間電圧VQ1,VQ4、スイッチング電流IQ1,IQ4に対して、180°の位相差を有していることがわかる。つまり、スイッチング素子[Q2,Q3]は、スイッチング素子[Q1,Q4]の組がオンとなる期間t1においてはオフとなり、スイッチング素子[Q1,Q4]の組がオフとなる期間t2においてはオンとなるようにスイッチング動作しているものである。このようにして、これら図3(a)(b)(c)(d)によっても、スイッチング素子[Q1,Q4][Q2,Q3]の各組が交互にオン/オフするスイッチング動作となっていることが分かる。
そして、このようなスイッチング動作に応じて、一次巻線N1には、図3(f)に示すようにして、一次巻線電流I1が流れる。この一次巻線電流I1は、期間t1においては、スイッチング電流IQ1,IQ4としてのスイッチング電流が流れ、期間t2においては、スイッチング電流IQ1,IQ4とは逆方向にスイッチング電流IQ2,IQ3が流れることに対応して得られるものである。
【0081】
また、図3(e)には、スイッチング素子Q2に対して並列に接続した部分共振コンデンサCp1に流れる部分共振電流Icpが示されている。
この図3(e)から分かるように、部分共振電流Icpは、スイッチング素子がターンオン/ターンオフするタイミングに対応する期間tdのみの短時間において流れている。この部分共振電流Icpは、スイッチング素子Q1〜Q4がターンオン/ターンオフする短期間にのみ電圧共振する部分電圧共振動作に対応しているものである。
【0082】
ここで、これまで説明した図1に示す電源回路と、先行技術として図6に示した電源回路とを比較すると次のようなことがいえる。
先ず、他励式によりフルブリッジ結合方式よる4石のスイッチング素子を、スイッチング周波数制御方式によりスイッチング駆動するのにあたり、図6に示す電源回路では、3つのICが必要とされている。これに対して、図1に示す本実施の形態の電源回路では、1つのコントロールIC2のみとされている。つまり、図1に示す電源回路では、スイッチング駆動のためのIC数が減少していることになる。これにより、回路規模が縮小され、また、コストも削減されることになる。
【0083】
そして、スイッチング駆動のためのICの数が削減されたことで、外付け部品の数も削減されることになる。
具体的には図6に示す電源回路では、先にも説明したように、合計で50点の外付け部品が接続されていたものである。これに対して図1に示す電源回路では、コントロールIC2の実際のピン端子数が18とされたうえで、9点の外付け部品が接続される。つまり、本実施の形態では、大幅に外付け部品の点数が削減されることになる。
また、図6に示す回路では、2つのドライブIC11,12が設けられていたのに対応して、ハイサイドのスイッチング素子のゲート電圧をシフトするためのブートストラップ回路として、スイッチング素子Q1,Q3のそれぞれに対応した2系統が必要とされていた。
これに対して、本実施の形態では、図1に示したように、ブートストラップ回路は1系統とされている。このようにして、ブートストラップ回路が2系統から1系統となったことによっても、部品点数が削減されていることになる。
【0084】
ただし、図1に示す電源回路では、図6に示した電源回路と比較すると、ドライブトランスCDT−1,CDT−2と、これらのドライブトランスにドライブ信号を入力するためのコンデンサC3A,抵抗R3A、及びコンデンサC3B,抵抗R3Bが新たに追加されることになる。しかしながら、これらの部品点数と、上記したコントロールIC2の外付け部品を合計しても15点程度であり、図1に示す電源回路の部品点数は、図6に示す電源回路に対して大幅に削減されているということがいえる。また、ドライブトランスCDT−1,CDT−2も非常に小さいサイズであることから、スイッチング駆動用のICが複数備えられることと比較すれば、図1に示す電源回路のほうが、回路規模ははるかに小さいものとなる。
このようにして、図1に示す本実施の形態の電源回路は、図6に示す電源回路よりも、スイッチング駆動用のICの数が削減されており、さらには、部品素子の数も大幅に削減されることになる。これにより、電源回路の規模は大幅に縮小されるので、実際の回路基板サイズについても、これまでより大幅に小さなものとすることができる。また、コストダウンも有効に図られる。
【0085】
また、スイッチング駆動用のICの数が削減されることによっては、それだけ消費電力も低減されることになる。
先に説明したように、図6に示した電源回路における3つのICの総合的な消費電力は、スイッチング周波数が最低から最高の範囲に対応して、0.6W〜2.7Wであった。これに対して図1に示す電源回路では、スイッチング周波数が最低(50KHz)から最高(150KHz)の範囲に対応するコントロールIC2の消費電力は、0.2W〜0.9Wとなる。つまり、スイッチング駆動のためのIC部位における消費電力は、図6に示す電源回路に対して1/3にまで低減されることになる。
【0086】
また、図1に示す電源回路では、スイッチング素子Q3,Q4については、図2(c)(d)にも示したように、オフ時には、負極性に反転した−10Vのゲート−ソース間電圧VGH2,VGL2が印加される。これによって、スイッチング素子Q3,Q4については、ターンオフ時における下降時間が短縮されて、その分、この下降時間に依る電力損失が低減することにもなる。これにより、電力変換効率が向上することになり、また、スイッチング素子Q3,Q4における発熱も低下してより高い信頼性が得られることになる。
【0087】
なお、本発明としては上記した実施の形態としての構成に限定される必要はない。例えば、先に説明した各部品素子の定数なども、実際の条件等に応じて変更されて構わない。また、例えば絶縁コンバータトランスPITの二次側において二次側直流出力電圧を生成するための回路構成としても、適宜変更されて構わない。また、上記実施の形態では、ドライブトランスにより、同じオン/オフタイミングとなるべき2つのスイッチング素子の一方にドライブ信号を伝達する構成としていたが、例えばドライブトランスを用いる以外のドライブ信号伝達のための構成を採ることも考えられる。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したようにして本発明は、一次側スイッチングコンバータとして、フルブリッジ結合方式による電流共振形コンバータに対して、部分共振電圧回路を組み合わせた構成を採っている。また、電流共振形コンバータを形成する各スイッチング素子に対するスイッチング駆動方式としては、他励式を採る。
そのうえで、スイッチング素子をスイッチング駆動するのにあたり、1つのドライブ信号生成回路により、互いに180°の位相差を有するとされるハイサイド用の第1のドライブ信号と、ローサイド用の第2のドライブ信号とを生成するようにされる。
そして、第1のドライブ信号を利用して、一方の同じオン/オフタイミングの組となるべき、第1のハーフブリッジ回路のハイサイドのスイッチング素子と、第2のハーフブリッジ回路のローサイドのスイッチング素子とをスイッチング駆動するようにしている。また、第2のドライブ信号を利用して、他方の同じオン/オフタイミングの組となるべき、第1のハーフブリッジ回路のローサイドのスイッチング素子と、第2のハーフブリッジ回路のハイサイドのスイッチング素子とをスイッチング駆動するようにしている。
【0089】
上記した構成であれば、第1のドライブ信号及び第2のドライブ信号を基として、それぞれ、同じオン/オフタイミングの組となるべき2本のスイッチング素子を駆動することが可能となる。
これにより、第1のドライブ信号と第2のドライブ信号を生成するためのドライブ信号生成回路としては1系統でよいことになる。そして、回路の実際として、このドライブ信号生成回路がICとされる場合には、1つのICによりフルブリッジ結合された4本のスイッチング素子を適正にスイッチング駆動することが可能とされることになる。
【0090】
例えば先行技術としては、フルブリッジ結合された4本のスイッチング素子をスイッチング駆動するのには3つのICが必要とされていた。これに対して、本発明によっては、1つのICで4本のスイッチング素子をスイッチング駆動することになるから、その分、電源回路としての回路基板サイズの小型軽量化及びコストダウンを大幅に図ることができる。
また、ICの数が削減されるのに伴っては、ICに接続すべき外付け部品や周辺部品の点数も削減されることになる。これによって、上記した回路基板サイズの小型軽量化及びコストダウンの効果は、さらに促進されることになる。
また、ICの数が削減された分、ICにおける電力消費も低減するから、これまでより低消費電力の電源回路が得られることにもなるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。
【図2】図1に示す電源回路におけるスイッチング素子のゲート−ソース間電圧を示す波形図である。
【図3】図1に示す電源回路のスイッチング周期による動作を示す波形図である。
【図4】図1に示す電源回路に備えられるドライブトランスの構造例を示す断面図である。
【図5】図1に示す電源回路に備えられるドライブトランスの構造例を示す断面図である。
【図6】先行技術としての電源回路の構成例を示す回路図である。
【図7】図6に示す電源回路におけるスイッチング素子のゲート−ソース間電圧を示す波形図である。
【図8】図6に示す電源回路のスイッチング周期による動作を示す波形図である。
【符号の説明】
1 制御回路、2 コントロールIC、Di ブリッジ整流回路、Ci 平滑コンデンサ、Q1〜Q4 スイッチング素子、CDT−1,CDT−2 ドライブトランス、PIT 絶縁コンバータトランス、C1 一次側直列共振コンデンサ、Cp1,Cp2 部分共振コンデンサ、N1 一次巻線(絶縁コンバータトランス)、N11,N21 一次巻線(ドライブトランス)、N12,N22 二次巻線(ドライブトランス)、C3A,C3B コンデンサ、R3A,R3B 抵抗、R11,R21,R31,R41 ゲート抵抗、R12,R22,R32,R42 ゲート−ソース間抵抗
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子機器に電源として備えられるスイッチング電源回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スイッチング電源回路として、例えばフライバックコンバータやフォワードコンバータなどの形式のスイッチングコンバータを採用したものが広く知られている。これらのスイッチングコンバータはスイッチング動作波形が矩形波状であることから、スイッチングノイズの抑制には限界がある。また、その動作特性上、電力変換効率の向上にも限界があることがわかっている。
そこで、先に本出願人により、各種共振形コンバータによるスイッチング電源回路が各種提案されている。共振形コンバータは容易に高電力変換効率が得られると共に、スイッチング動作波形が正弦波状となることで低ノイズが実現される。また、比較的少数の部品点数により構成することができるというメリットも有している。
【0003】
図6は、先に本出願人により提案された発明に基づいて構成することのできるスイッチング電源回路の一例を示す回路図である。この電源回路には他励式の電流共振形コンバータが採用されている。
この図に示す電源回路においては、商用交流電源ACに対して、ブリッジ整流回路Di及び平滑コンデンサCiからなる全波整流平滑回路が接続されており、交流入力電圧VACの等倍のレベルに対応する整流平滑電圧Eiを生成する。
【0004】
この図において、上記整流平滑電圧Eiを入力してスイッチングを行うスイッチングコンバータは、フルブリッジ結合方式による他励式の電流共振形コンバータとされている。
このため、この図に示す電流共振形コンバータとしては、図のように4つのスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4をフルブリッジ結合方式によって接続している。つまり、スイッチング素子[Q1,Q2][Q3,Q4]の組を、それぞれハイサイド/ローサイドの関係により直列に接続したハーフブリッジ回路として形成する。そのうえで、これらハーフブリッジ回路であるスイッチング素子[Q1,Q2][Q3,Q4]の組を、それぞれ直流入力電圧(Ei)と一次側アース間に並列に挿入するようにして設けている。
【0005】
この場合、駆動方式が他励式とされるのに対応して、上記スイッチング素子Q1〜Q4には、MOS−FETが採用されている。なお、例えばMOS−FETの他に、IGBTなどが採用されてもよい。
また、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間に対しては、図示する方向にクランプダイオードDD1が接続される。同様にして、スイッチング素子Q2〜Q4に対しても、クランプダイオードDD2〜DD4が接続される。
また、スイッチング素子Q1のゲート−ソース間に対しては、抵抗R12が並列に接続される。同様にして、スイッチング素子Q2〜Q4のゲート−ソース間に対しては、抵抗R22,R32,R42が並列に接続される。
【0006】
また、スイッチング素子Q2,Q4のドレイン−ソース間に対しては、それぞれ並列に、部分共振コンデンサCp1,Cp2が接続されている。
部分共振コンデンサCp1,Cp2のキャパシタンスと、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の漏洩インダクタンス成分L1によっては、それぞれ並列共振回路(部分電圧共振回路)を形成する。
そして、このようにして、部分電圧共振回路が形成されることによっては、スイッチング素子Q1〜Q4がターンオン/ターンオフする短期間にのみ電圧共振する部分電圧共振動作が得られる。
なお、スイッチング素子Q1〜Q4をスイッチング駆動するための構成については後述する。
【0007】
絶縁コンバータトランスPITはスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング出力を二次側に伝送する。
絶縁コンバータトランスPITの構造としては、ここでの図示は省略するが、例えばEE型コアに対して、一次巻線N1及び二次巻線N2を、一次側と二次側とに対応して形成された分割領域の各々に巻装して構成される。また、この場合には、図6に示すようにして、一次側には三次巻線N3も巻装される。
【0008】
この絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の一端は、直列共振コンデンサC1を介してスイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインの接続に接続される。また一次巻線N1の他端は、スイッチング素子Q3のソースとスイッチング素子Q4のドレインの接点に接続される。
フルブリッジ結合方式では、後述するようにして、スイッチング素子[Q1,Q4]の組と、スイッチング素子[Q2,Q3]の組が交互にスイッチング動作するが、一次巻線N1が上記のようにして接続されていることで、この一次巻線N1にスイッチング出力が得られるようにされる。
【0009】
そして、上記直列共振コンデンサC1のキャパシタンスと、一次巻線N1のインダクタンス成分L1を含む絶縁コンバータトランスPITの漏洩インダクタンス成分(L1)により一次側スイッチングコンバータの動作を電流共振形とするための一次側直列共振回路を形成している。
このようにして、この図に示す一次側スイッチングコンバータとしては、電流共振形としての動作と、前述した部分電圧共振動作とが複合的に得られていることになる。
なお、本明細書では、このようにして一次側スイッチングコンバータを共振形とする共振動作に加えて、部分電圧共振動作などの共振動作が複合的に得られるように構成されたスイッチングコンバータについて、複合共振形コンバータともいうことにする。
【0010】
また、絶縁コンバータトランスPITにおいて、一次側に巻装される三次巻線N3に対しては、図示するようにして、ダイオードD4及びコンデンサC4から成る半波整流回路が接続されている。この半波整流回路によって得られた低圧の直流電圧は、後述するコントロールIC11、及びドライブIC12,13の電源入力端子Vccに対して、動作電源として供給される。
なお、コントロールIC11、及びドライブIC12,13の電源入力端子Vccは、起動抵抗Rsを介して整流平滑電圧Eiのラインに対しても接続されている。これにより、電源回路の起動時においては、コントロールIC11、及びドライブIC12,13は、整流平滑電圧Eiのラインに得られる直流電圧を起動抵抗Rsを介して入力して動作を開始するようにされる。
【0011】
絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2に対しては、二次側アースに接続されるセンタータップが設けられる。そのうえで、図示するようにして、二次巻線N2に対して、2本の整流ダイオードDO1,DO2、及び平滑コンデンサCoを接続することで、両波整流回路が形成される。この両波整流回路が、二次巻線N2に励起された交番電圧について全波整流動作を行うことによって、平滑コンデンサCOの両端に二次側直流出力電圧EOが得られる。
二次側直流出力電圧EOは、図示しない負荷に対して供給される。さらに、この二次側直流出力電圧EOは、図示するように制御回路1のための検出電圧としても分岐して入力される。
【0012】
そして、この場合のようにして、フルブリッジ結合方式による電流共振形コンバータを他励式によってスイッチング駆動するためには、図示するように、コントロールIC11と、2つのドライブIC12,13との3つのICを設けるようにされる。これらコントロールIC11と、ドライブIC12,13は、例えばバイポーラトランジスタにより構成される汎用のアナログIC(Integrated Circuit)とされる。
【0013】
コントロールIC11は、発振回路、発振周波数を可変制御する制御回路、及び保護回路を備えて構成される。そして、後述するようにしてドライブ1C12,13によってスイッチング駆動されるスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング周波数を可変制御することで、スイッチング周波数制御方式によって二次側直流出力の安定化を図るようにされている。
【0014】
制御回路1は、二次側直流出力電圧EOのレベル変化に応じて、そのレベルを変化させた出力(制御出力)を、フォトカプラ10を介してコントロールIC13の制御入力端子Cntに対して出力する。確認のために述べておくと、フォトカプラ10は、二次側にある制御回路1と、一次側にあるコントロールIC10とを直流的に絶縁するために設けられている。
【0015】
コントロールIC11では、内部に備える発振回路により発振信号を生成して出力端子Voから出力する。また、この発振回路により生成される発振信号は、内部の制御回路によって、入力端子Cntに入力された制御出力に基づいて、その発振周波数を可変される。つまり、出力端子Voからは、制御回路1から入力端子Cntに入力された制御出力に基づいて周波数が可変された発振信号が出力されることになる。この出力端子Voから出力される発振信号は、コントロールIC12,13の各発振信号入力端子Vcに入力される。
【0016】
また、この図において、そのための回路は示していないが、コントロールIC11では、電源回路における所定部位の過電流又は過電圧状態を検出したのに応じて、例えば発振信号の出力を停止してスイッチング動作を停止させるなど、所要の保護動作が得られるようにも動作する。
【0017】
ドライブIC12は、一方のハーフブリッジ回路であるスイッチング素子Q1,Q2をスイッチング駆動するために設けられる。
ドライブIC12のドライブ信号出力端子VGHは、抵抗R11を介して、ハイサイド側のスイッチング素子Q1のゲートに対して接続される。また、ドライブ信号出力端子VGLは、抵抗R21を介してローサイド側のスイッチング素子Q2のゲートに対して接続される。また、端子Vsは、スイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインとの間に接続される。
また、ドライブIC12に対しては、ハイサイドのスイッチング素子Q1を適正なドライブ信号レベル(ゲート電圧レベル)により駆動するために、コンデンサCb1、ダイオードDBS1、及びコンデンサCBS1から成るブートストラップ回路が接続される。
このブートストラップ回路は、図示するようにして、コンデンサCb1の端部をゲート−ソース間抵抗R12を介してスイッチング素子Q1のゲートと接続し、コンデンサCBS1の端部側を一次側アース間に接続している。また、コンデンサCb1とダイオードDBS1のカソードとの接続点を端子Vbと接続している。また、ダイオードDBS1のアノードとコンデンサCBS1との接続点を端子Vc2と接続している。
また、アース端子Eは、一次側アース間に対して接続される。
【0018】
そして、このドライブIC12では、発振信号入力端子Vcに入力された発振信号を利用して、この入力された発振信号の発振周波数に応じた周期による、スイッチング素子Q1,Q2のためのドライブ信号(ゲート電圧)を生成する。そして、このドライブ信号を、それぞれ、ドライブ信号出力端子VGH,VGLから出力する。
【0019】
また、ドライブIC13は、他方のハーフブリッジ回路であるスイッチング素子Q3,Q4をスイッチング駆動するために設けられる。
ドライブIC13のドライブ信号出力端子VGHは、抵抗R31を介して、ハイサイド側のスイッチング素子Q3のゲートに対して接続される。ドライブ信号出力端子VGLは、抵抗R41を介してローサイド側のスイッチング素子Q4のゲートに対して接続される。また、端子Vsは、スイッチング素子Q3のソースとスイッチング素子Q4のドレインとの間に接続される。
また、この場合にも、ドライブIC13に対して、ハイサイドのスイッチング素子Q3を適正なドライブ信号レベル(ゲート電圧レベル)により駆動するために、コンデンサCb2、ダイオードDBS2、及びコンデンサCBS2から成るブートストラップ回路が接続される。
【0020】
そして、ドライブIC13においても、発振信号入力端子Vcに入力された発振信号発振信号の発振周波数に応じた周期による、スイッチング素子Q1,Q2のためのドライブ信号(ゲート電圧)を生成する。そして、このドライブ信号を、それぞれ、ドライブ信号出力端子VGH,VGLから出力する。
【0021】
ここで、図7により、上記ドライブIC12,13から出力されるドライブ信号により駆動されるスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作のタイミングについて説明する。
ドライブIC12のドライブ信号出力端子VGHからは、図7(a)に示す波形に対応するドライブ信号(ゲート電圧)が出力される。これにより、スイッチング素子Q1のゲートには、この図7(a)に示す波形によるゲート−ソース間電圧VGS(Q1)が発生する。
また、ドライブIC12のドライブ信号出力端子VGLから出力されるドライブ信号によっては、図7(b)に示す波形によるゲート−ソース間電圧VGS(Q2)が発生する。
【0022】
また、ドライブIC13のドライブ信号出力端子VGHから出力されるドライブ信号によっては、図7(c)に示す波形によるゲート−ソース間電圧VGS(Q3)が発生し、ドライブ信号出力端子VGLから出力されるドライブ信号によっては、図7(d)に示す波形によるゲート−ソース間電圧VGS(Q4)が発生する。
【0023】
なお、上記各ゲート−ソース間電圧VGS(Q1)〜VGS(Q4)としての正極パルスは、それぞれ、ドレイン−ソース間を導通させるためのゲート閾値(≒5V)以上とされる。そして、例えばスイッチング素子Q1については、ゲート−ソース間電圧VGS(Q1)として正極パルスが出力される期間がオンとなる期間であり、0レベルとなっている期間がオフとなる期間となる。同様にして、スイッチング素子Q2〜Q4についても、ゲート−ソース間電圧VGS(Q2)〜VGS(Q4)として正極パルスが出力される期間がオンとなる期間であり、0レベルとなっている期間がオフとなる期間となる。
【0024】
そして、先ずは、図7(a)(b)を比較して分かるように、ドライブIC12によってスイッチング駆動されるスイッチング素子Q1,Q2については、交互にオン/オフするタイミングとなるようにして、スイッチング動作を行う。
つまり、ドライブIC12のドライブ信号出力端子VGH,VGLから出力されるドライブ信号は、図7(a)(b)に示す波形に対応して、互いに180°の位相差を有するようにして生成されるものである。
【0025】
また、ドライブIC12のドライブ信号出力端子VGH,VGLから出力されるドライブ信号は、図に示す期間tdが形成されるようにして、パルス幅が調整されている。
つまり、スイッチング素子Q1がターンオフして、スイッチング素子Q2がターンオンするまでの間と、スイッチング素子Q2がターンオフして、スイッチング素子Q1がターンオンするまでの間とにおいて、期間tdとしての一定期間のデッドタイムが形成されるようにしているものである。このデッドタイムは、前述した部分電圧共振動作として、スイッチング素子Q1〜Q4がターンオン/ターンオフするタイミングでの短時間において、部分共振コンデンサCp1,Cp2における充放電の動作が確実に得られるようにすることを目的としているものである。
【0026】
また、図7(c)(d)を比較して分かるように、スイッチング素子Q3,Q4についても、ドライブIC13によって交互にオン/オフするタイミングとなるようにしてスイッチング駆動される。また、スイッチング素子Q3,Q4がターンオン/ターンオフするタイミングにおいても、部分電圧共振動作のための期間tdとしてのデッドタイムが形成されるように、正極パルスの幅が設定されていることが分かる。
【0027】
そして、図7(a)(b)(c)(d)を比較して分かるように、スイッチング素子Q1〜Q4は、同じスイッチング周波数によってスイッチング動作を行うようにされたうえで、スイッチング素子[Q1,Q4]の組とスイッチング素子[Q2,Q3]の組とが、それぞれ同じタイミングでオン/オフするようにされている。
【0028】
つまり、フルブリッジ結合方式の電流共振形コンバータのスイッチング動作としては、スイッチング素子[Q1,Q4]の組とスイッチング素子[Q2,Q3]の組が交互にオン/オフ動作を行うようにされているものである。このようにして、平滑コンデンサCiの両端電圧(整流平滑電圧Ei)を直流入力電圧として、スイッチング素子[Q1,Q4]及び[Q2,Q3]の組が交互にオン/オフを繰り返すと共に、一次側直列共振回(C1−N1)によって電流共振形としての動作が得られることで、絶縁コンバータトランスの一次側巻線N1に共振電流波形に近いドライブ電流を供給することになる。そして、これに応じて一次巻線N1に発生する交番電圧が二次巻線N2に励起されるようにして伝達され、さらに、二次巻線N2に接続された整流回路によって、二次側直流出力電圧Eoが得られることになる。
【0029】
そして、前述したように、制御回路1から出力される制御出力に応じて、コントロールIC11からは、二次側直流出力電圧Eoのレベル変化に応じて、その発振周波数が可変された発振信号が、ドライブIC12,13の各発振信号入力端子Vcに入力されることになる。
これにより、スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作としては、上記図7に示したゲート−ソース間電圧VGSに対応するオン/オフタイミングを維持した上で、二次側直流出力電圧Eoのレベル変化に応じてスイッチング周波数が可変制御されることになる。このようにしてスイッチング周波数が可変制御されることで、一次側から二次側に電力伝送する際における共振インピーダンスが変化することになるが、この結果、二次側直流出力電圧Eoが所定レベルで安定化するようにして定電圧制御が行われることになる。
なお、この図6に示す電源回路は、例えば、交流入力電圧VAC=85V〜144V、負荷電力Po=300W〜0Wの変動範囲に対応して、二次側直流出力電圧Eo=200Vで安定化させるという条件に対応して構成されている。
【0030】
また、図8の波形図により、上記図6に示した電源回路における要部の動作を、スイッチング周期により示す。ここでは、スイッチング素子[Q2,Q3]の組のスイッチング動作に対応した動作が示されている。
スイッチング素子Q2,Q3は、期間t1においてオンとなり、期間t2においてオフとなるように動作する。そして、オンとなる期間t1においては、図8(b)に示すようにして、スイッチング素子Q2//クランプダイオードDD2から成るスイッチング回路にスイッチング電流IQ2が流れる。同様の波形により、スイッチング素子Q3//クランプダイオードDD3から成るスイッチング回路にも、スイッチング電流IQ3が流れる。また、スイッチング電流IQ2,IQ3は、オフとなる期間t1においては、0レベルとなる。
また、スイッチング素子Q2,Q3のオン/オフ動作に応じた、ドレイン−ソース間電圧VQ2,VQ3は、図8(a)に示すようにして、オンとなる期間t1では0レベルで、オフとなる期間t2では、所定の正極性のパルスが得られる波形となる。
【0031】
なお、他方のスイッチング素子[Q1,Q4]の組のスイッチング動作に応じては、上記図8(a)(b)に対して180°の位相差を有した上で同一波形となる、スイッチング電流及びドレイン−ソース間電圧波形が得られることとなる。
【0032】
そして、上記のようにしてスイッチング素子Q1〜Q4がスイッチング動作を行うことで、一次巻線N1には、スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング電流が流れることになる。これにより、一次巻線N1に流れる一次巻線電流I1としては、図8(e)に示す波形が得られることになる。
また、一次巻線N1の両端には、図8(c)に示すようにしてスイッチング周期に応じて、正極性と負極性とで反転する波形による一次巻線電圧V1が得られることになる。
【0033】
また、二次側の動作として、二次巻線N2の整流ダイオードDO1側の端部とセンタータップ間には、図8(b)に示す波形による交番電圧としての二次巻線電圧V2が得られる。そして、センタータップから二次巻線N2に流れる整流電流IDは、図示するようにして、期間t1、t2ごとに正極性として現れる。この整流電流IDは、期間t1においては整流ダイオードDO2に流れ、期間t2においては整流ダイオードDO1に流れるものとなる。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】
これまでの説明からも分かるように、上記図6に示した他励式のフルブリッジ結合方式による電流共振形コンバータでは、4石のスイッチング素子をスイッチング周波数制御方式によりスイッチング駆動している。そして、このために、発振、制御、保護回路系を内蔵した1つのコントロールIC11と、2つの電流共振形コンバータドライブ用のドライブIC12,13とを組み合わせて使用するようにしている。
このようにして3つのICが必要なのは、汎用のドライブICとしては、ハイサイドとローサイドの2つで一組のスイッチング素子を駆動する構成を採っていることに依る。つまり、1組のハーフブリッジ結合された2本のスイッチング素子から成るスイッチング回路を駆動する構成を採っているものである。従って、フルブリッジ結合方式に対応して、2組のハーフブリッジ回路を駆動する場合には、2組のドライブICが必要とされることになる。
そのうえで、2組のドライブICが、スイッチング周波数制御を伴うスイッチング駆動を、同期して行うことができるようにする必要から、これらのドライブICとは別に、スイッチング周波数制御によるドライブが可能なコントロールICが必要となるものである。
【0035】
そして、これらのICは、例えば実際においては、コントロールIC11は16ピン分の端子を有し、ドライブIC12,13は14ピン分の端子を有している。図6には示していないが、実際においては、コントロールIC11、及びドライブIC12,13には、これらのピン端子に対して多数の外付け部品が接続されることになる。例えば、実際の外付け部品の数としては、コントロールIC11は27点であり、ドライブIC12,13はそれぞれ10点となる。そして、この場合にはさらに周辺に3点の部品素子を必要とし、合計で50点もの外付け部品が接続されることとなる。
さらには、図6にても示しているように、各ハイサイドのスイッチング素子Q1,Q3を適切にドライブするためにはブートストラップ回路を設ける必要がある。このブートストラップ回路も、コントロールIC12,13とで、それぞれ1つづつ必要であり、従って、2組のブートストラップ回路が必要となるものである。
このようにして、図6に示す電源回路では、3つのICを備え、さらに、上記のようにして、多数の外付け部品が接続されることになる。このため、その分、回路規模が大きくなると共に、コストも高くなっているということがいえる。
【0036】
また、コントロールIC11、及びドライブIC12,13は、前述もしたようにバイポーラトランジスタの集合によるアナログICとされる。このため、交流入力電圧VACの上昇や負荷電力の低下に応じて、スイッチング周波数を上昇させるようにしてスイッチング駆動を行うときには、これらIC内部におけるバイポーラトランジスタのオン/オフ動作としても、スイッチング周波数に応じて速い周期となる。このために、IC内部における電力損失が増加することになる。具体的には、コントロールIC11、及びドライブIC12,13における消費電力として、最低スイッチング周波数時には全体で0.6Wとなる。しかし、最高スイッチング周波数時には、各ICにおける消費電力が0.9Wにまで増加する。従って、最高スイッチング周波数時には、トータルで2.7Wの消費電力となる。つまり、最低スイッチング周波数時に対して最高スイッチング周波数時には、2.7W−0.6W=2.1Wにまで消費電力が増加することとなってしまう。
【0037】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は上記した課題を考慮して、他励式によるフルブリッジ結合方式の電流共振形コンバータを備える電源回路において、スイッチング素子をスイッチング駆動するための駆動回路系における回路規模の縮小及びコストダウンを図ると共に、電力損失の低減を図ることを目的とする。
【0038】
このため、ハイサイドのスイッチング素子と、ローサイドのスイッチング素子とをハーフブリッジ結合して形成される第1のハーフブリッジ回路と、第2のハーフブリッジ回路を備え、これら第1のハーフブリッジ回路と第2のハーフブリッジ回路とを、直流入力電圧と一次側アース間に対して並列に接続することで形成される、フルブリッジ結合のスイッチング手段と、スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段と、少なくとも、スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、この一次巻線に得られたスイッチング出力としての交番電圧が励起される二次巻線とを巻装して形成される絶縁コンバータトランスと、少なくとも、絶縁コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分と、一次巻線に直列接続された一次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成され、スイッチング手段の動作を電流共振形とする一次側直列共振回路とを備える。
また、各ハーフブリッジ回路を形成する2つのスイッチング素子のうち、一方のスイッチング素子に対して並列接続された部分電圧共振コンデンサのキャパシタンスと、絶縁コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分によって形成され、各スイッチング素子がターンオン及びターンオフするタイミングに応じてのみ電圧共振動作が得られる一次側部分電圧共振回路を設ける。
また、絶縁コンバータトランスの二次巻線に得られる交番電圧を入力して、整流動作を行うことで二次側直流出力電圧を生成するように構成された直流出力電圧生成手段と、二次側直流出力電圧のレベルに応じてスイッチング駆動手段を制御して、スイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで、二次側直流出力電圧に対する定電圧制御を行うように構成された定電圧制御手段を備える。そして、上記スイッチング駆動手段については、各スイッチング素子をスイッチング駆動するためのドライブ信号として、互いに180°の位相差を有するとされる波形による、所要の周波数に応じた第1のドライブ信号と第2のドライブ信号を生成して出力するドライブ信号生成回路と、第1のドライブ信号に基づいて第1のハーフブリッジ回路のハイサイドのスイッチング素子と、第2のハーフブリッジ回路のローサイドのスイッチング素子が同じオン/オフタイミングとなるようにスイッチング駆動する第1の駆動回路と、第2のドライブ信号に基づいて第1のハーフブリッジ回路のローサイドのスイッチング素子と、第2のハーフブリッジ回路のハイサイドのスイッチング素子が同じオン/オフタイミングとなるようにスイッチング駆動する、第2の駆動回路とを備えて構成することとした。
【0039】
上記構成によると、本発明のスイッチング電源回路は、一次側スイッチングコンバータとして、フルブリッジ結合方式による電流共振形コンバータに対して、部分共振電圧回路を組み合わせた構成を採っていることになる。また、電流共振形コンバータを形成する各スイッチング素子に対するスイッチング駆動方式としては、他励式を採る。
そのうえで、他励式によりスイッチング素子をスイッチング駆動するのにあたっては、1つのドライブ信号生成回路により、互いに180°の位相差を有するとされる第1のドライブ信号と第2のドライブ信号とを生成するようにされる。そして、第1のドライブ信号に基づいては、一方の同じオン/オフタイミングの組となるべき、第1のハーフブリッジ回路のハイサイドのスイッチング素子と、第2のハーフブリッジ回路のローサイドのスイッチング素子とをスイッチング駆動するようにされる。
また、第2のドライブ信号に基づいては、他方の同じオン/オフタイミングの組となるべき、第1のハーフブリッジ回路のローサイドのスイッチング素子と、第2のハーフブリッジ回路のハイサイドのスイッチング素子とをスイッチング駆動するようにされる。
このような構成によれば、1つの第1のドライブ信号を基として、一方の同じオン/オフタイミングの組となるべき2本のスイッチング素子を駆動することが可能となっている。また、同じく、1つの第2のドライブ信号を基として、他方の同じオン/オフタイミングの組となるべき2本のスイッチング素子を駆動することが可能となっているものである。
【0040】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成を示す回路図である。この図1に示す電源回路は、一次側に対して、4石のスイッチング素子を備えたフルブリッジ結合方式の電流共振形コンバータが備えられる。また、スイッチング駆動方式としては他励式を採る。そして、この電流共振形コンバータのスイッチング素子がターンオン/ターンオフする時にのみ電圧共振する部分電圧共振回路が組み合わされている。
【0041】
図1に示す回路において、商用交流電源ACに対しては、ブリッジ整流回路Di及び平滑コンデンサCiとから成る全波整流回路が備えられる。この場合、平滑コンデンサCiの両端には、交流入力電圧VACの等倍に対応するレベルの整流平滑電圧Eiが得られる。この整流平滑電圧Eiは、直流入力電圧として後段の電流共振形コンバータに対して入力される。
【0042】
この図に示す電流共振形コンバータは、フルブリッジ結合方式とされることに対応して4石のスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4を備える。また、この場合には他励式とされることに対応して、これらスイッチング素子Q1〜Q4は、電圧駆動タイプであるMOS−FETとされる。
【0043】
スイッチング素子Q1のドレインは、整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)のラインと接続される。スイッチング素子Q1のソースは、スイッチング素子Q2のドレインと接続される。スイッチング素子Q2のソースは一次側アースに対して接続される。
つまり、スイッチングQ1,Q2は、スイッチング素子Q1がハイサイドで、スイッチング素子Q2がローサイドとなるようにしてハーフブリッジ結合されるようにして直列に接続され、これにより、1組のハーフブリッジ回路(第1のハーフブリッジ回路)を形成している。
【0044】
同様にして、スイッチング素子Q3のドレインは、整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)のラインと接続され、ソースは、スイッチング素子Q4のドレインと接続される。スイッチング素子Q4のソースは一次側アースに対して接続される。つまり、スイッチングQ3,Q4については、スイッチング素子Q3がハイサイドで、スイッチング素子Q4がローサイドとなるようにしてハーフブリッジ結合して接続され、1組のハーフブリッジ回路(第2のハーフブリッジ回路)を形成する。
このような接続態様に依れば、スイッチング素子[Q1,Q2]の組と、スイッチング素子[Q3,Q4]の組とによる2組のハーフブリッジ回路が、直流入力電圧(Ei)のラインと一次側アース間に対して並列に挿入されていることになる。これにより、フルブリッジ結合方式としてのスイッチング回路系が形成されることになる。
【0045】
また、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間には、クランプダイオードDD1が並列に接続される。クランプダイオードDD1のアノード、カソードは、それぞれ、スイッチング素子Q1のソース、ドレインに対して接続される。このクランプダイオードDD1は、スイッチング素子Q1と共に1組のスイッチング回路を形成し、スイッチング素子Q1がターンオンするときの逆方向電流を流す経路を形成する。
同様の接続態様により、スイッチング素子Q2,Q3,Q4に対しても、それぞれ、クランプダイオードDD2,DD3,DD4が並列に接続される。
【0046】
また、スイッチング素子Q1のゲート−ソース間には、ゲート−ソース間抵抗R12が接続される。同様に、スイッチング素子Q2,Q3,Q4に対しても、ゲート−ソース間抵抗R22,R32,R42が接続される。
【0047】
また、各ハーフブリッジ回路におけるローサイドのスイッチング素子Q2,Q4のドレイン−ソース間に対しては、それぞれ並列に、部分共振コンデンサCp1,Cp2が接続されている。
部分共振コンデンサCp1,Cp2のキャパシタンスと、後述する絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の漏洩インダクタンス成分L1によっては、それぞれ並列共振回路(部分電圧共振回路)を形成する。
そして、このようにして、部分電圧共振回路が形成されることによっては、スイッチング素子Q1〜Q4がターンオン/ターンオフする短期間にのみ電圧共振する部分電圧共振動作が得られる。
なお、これらスイッチング素子Q1〜Q4についてのスイッチング駆動回路系の構成については後述する。
【0048】
絶縁コンバータトランスPITはスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング出力を二次側に伝送する。
絶縁コンバータトランスPITの構造としては、ここでの図示は省略するが、例えばEE型コアに対して、一次巻線N1及び二次巻線N2を、一次側と二次側とに対応して形成された分割領域の各々に巻装して構成される。また、この場合の絶縁コンバータトランスPITにおいては、図示するように、一次側に三次巻線N3も巻装される。
【0049】
絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の一端は、直列共振コンデンサC1を介してスイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインの接続に接続される。また一次巻線N1の他端は、スイッチング素子Q3のソースとスイッチング素子Q4のドレインの接点に接続される。
【0050】
そして、上記直列共振コンデンサC1のキャパシタンスと、一次巻線N1のインダクタンス成分L1を含む絶縁コンバータトランスPITの漏洩インダクタンス成分(L1)によっては一次側直列共振回路が形成される。
フルブリッジ結合方式では、後述するようにして、スイッチング素子[Q1,Q4]の組と、スイッチング素子[Q2,Q3]の組が交互にスイッチング動作するが、上記のようにして一次巻線N1−直列共振コンデンサC1から成る一次側直列共振回路が接続されていることで、この一次側直列共振回路には、スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング出力が伝達されることになる。そして、このスイッチング出力に応じて一次側直列共振回路が共振動作を行うことで、電流共振形としての動作が得られる。そして、一次巻線N1には、この電流共振形としての動作に応じて、共振波形に近い一次巻線電流I1が得られることとなる。
【0051】
このようにして、本実施の形態のスイッチングコンバータとしては、電流共振形としての動作と、前述した部分電圧共振動作とが複合的に得られていることになる。つまり、複合共振形コンバータとしての構成が採られている。
【0052】
また、絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2には、上記一次巻線N1に伝達されるスイッチング出力に応じて励起された交番電圧が発生する。
この場合、二次巻線N2に対しては、センタータップが設けられている。このセンタータップは二次側アースに接続される。そのうえで、図示するようにして、二次巻線N2に対して、2本の整流ダイオードDO1,DO2、及び平滑コンデンサCoを接続することで、両波整流回路が形成される。この両波整流回路が、二次巻線N2に励起された交番電圧を入力して整流動作を行うことによって、平滑コンデンサCOの両端電圧として、二次側直流出力電圧EOが得られる。
二次側直流出力電圧EOは、図示しない負荷に対して供給される。さらに、この二次側直流出力電圧EOは、図示するように制御回路1のための検出電圧としても分岐して入力される。
【0053】
また、この場合の絶縁コンバータトランスPITでは、一次側において、三次巻線N3が巻装されている。
三次巻線N3に対しては、図示するようにして、ダイオードD4及びコンデンサC4から成る半波整流回路が接続される。この半波整流回路によって得られた低圧の直流電圧は、後述するコントロールIC2の電源入力端子Vccに対して、動作電源として供給される。
【0054】
制御回路1は、例えば二次側の直流出力電圧EOのレベルに応じてそのレベルが可変される電流又は電圧を制御出力として得る。この制御出力は、コントロールIC2の制御端子Vcに対して出力される。
コントロールIC2では、後述するようにして発振信号を生成するとともに、この発振信号を利用して、スイッチング素子を他励式により駆動するためのハイサイド用とローサイド用のドライブ信号を出力する。そして、このドライブ信号によって、スイッチング素子Q1〜Q4が所要のスイッチングタイミングによりスイッチング駆動されることになる。
そして、コントロールIC2では、制御端子Vcに入力された制御出力レベルに応じて、内部で生成する発振信号の周波数を可変するように動作する。これによって、ドライブ信号の周波数が制御出力レベルに応じて可変されることになる。つまり、コントロールIC2では、制御端子Vcに入力された制御出力レベルに応じて、スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング周波数を可変制御するように動作する。
スイッチング周波数が可変されることによっては、直列共振回路における共振インピーダンスが変化することになる。このようにして共振インピーダンスが変化することによっては、一次側の直列共振回路の一次巻線N1に供給される電流量が変化して二次側に伝送される電力も変化することになる。これにより、二次側出力電圧が変化することとなって定電圧制御が図られることになる。
【0055】
続いては、図1に示す電源回路における、スイッチング素子Q1〜Q4をスイッチング駆動するためのスイッチング駆動回路系について説明する。本実施の形態のスイッチング駆動回路系は、主として、1つのコントロールIC2と、2組のドライブトランスCDT−1,CDT−2を備えて構成される。
コントロールIC2は、電流共振形コンバータを他励式により駆動するための発振回路、制御回路、及び保護回路等を備えて構成されるもので、内部にバイポーラトランジスタを備えたアナログIC(Integrated Circuit)とされる。このコントロールIC2は、実際においては18個のピン端子を備えるが、この図1では、そのうち必要に応じた所要数のピン端子のみを示している。
【0056】
このコントロールIC2は、前述もしたように、電源入力端子Vccに入力された直流電圧により動作する。また、このコントロールIC2は、アース端子Eにより一次側アースに接地させるようにしている。
【0057】
そして、コントロールICにおいては、スイッチング素子に対してドライブ信号(ゲート電圧)を出力するための端子として、2つのドライブ信号出力端子VGH,VGLが備えられる。
ドライブ信号出力端子VGHからは、ハイサイドのスイッチング素子をスイッチング駆動するためのドライブ信号(第1のドライブ信号)が出力され、ドライブ信号出力端子VGLからは、ローサイドのスイッチング素子をスイッチング駆動するためのドライブ信号(第2のドライブ信号)が出力される。
そして、この場合には、ドライブ信号出力端子VGHは、ゲート抵抗R11を介してハイサイドのスイッチング素子Q1のゲートと接続される。また、分岐して、コンデンサC3B−R3Bの直列接続を介してドライブトランスCDT−2の一次巻線N21の一端に接続される。一次巻線N21の他端は、ブートストラップ用の端子Vsに対して接続される。
これにより、ドライブ信号出力端子VGHから出力されるドライブ信号は、スイッチング素子Q1のゲートに対して出力されると共に、CDT−2の一次巻線N21にも出力されることになる。
【0058】
また、ドライブ信号出力端子VGLは、ゲート抵抗R21を介してハイサイドのスイッチング素子Q2のゲートと接続される。また、分岐して、コンデンサC3A−R3Aの直列接続を介して、ドライブトランスCDT−1の一次巻線N11の一端に接続される。一次巻線N11の他端は、一次側アースに対して接続される。これにより、ドライブ信号出力端子VGLから出力されるドライブ信号は、スイッチング素子Q2のゲートに対して出力されると共に、CDT−1の一次巻線N11にも出力されることになる。
【0059】
また、この場合には、1組のブートストラップ回路が設けられる。このブートストラップ回路は、図示するようにして、コンデンサCBS,ダイオードDBS、及びコンデンサCbを備えている。コンデンサCBSの負極端子は、一次側アースに接続され、正極端子は、ダイオードDBSのアノードと、コントロールIC2の端子Vc2との接続点に接続される。
また、ダイオードDBSのカソードは、端子VBと接続されると共に、コンデンサCbを介して端子Vsに対して接続される。端子Vsは、ゲート−ソース間抵抗R12を介してスイッチング素子Q1のゲートに対して接続されている。このようにしてブートストラップ回路が設けられることで、後述するようにして、ハイサイドのスイッチング素子Q1に対して印加されるドライブ信号(ゲート電圧VGH1)は、スイッチング素子Q1を適正にドライブ可能なレベルとなるように、レベルシフトが行われることになる。
【0060】
ドライブトランスCDT−1は、スイッチング素子Q3をスイッチング駆動するために設けられるもので、図示するようにして、一次巻線N11と二次巻線N12とが巻装される。
先の説明によると、一次巻線N11には、コントロールIC2のドライブ信号出力端子VGLから出力されるドライブ信号が伝送されてくることになる。そして、ドライブトランスCDT−1においては、トランス結合を介してこの一次巻線N11に得られたドライブ信号を、二次巻線N12に励起させるようにして伝達することになる。
【0061】
二次巻線N12の一端は、ゲート抵抗R31を介して、スイッチング素子Q3のゲートに接続され、他端は、スイッチング素子Q3のソースと、スイッチング素子Q4のドレインとの接続点に対して接続される。
【0062】
このようなドライブトランスCDT−1の二次側における接続形態によると、コントロールIC2のドライブ信号出力端子VGLから出力されるドライブ信号として、ドライブトランスCDT−1の一次巻線N11に出力されたドライブ信号は、ドライブトランスCDT−1のトランス結合を介して、スイッチング素子Q3のゲートに印加されることになる。
そして、ドライブ信号出力端子VGLから出力されるドライブ信号は、先にも述べたように、ドライブトランスを介することなくスイッチング素子Q2のゲートにも印加される。
従って、ドライブ信号出力端子VGLから出力されるドライブ信号は、スイッチング素子Q2,Q3に対して共通に出力されるように構成されているということがいえる。つまり、ドライブ信号出力端子VGLから出力されるドライブ信号に基づいてスイッチング素子を駆動する駆動回路系(第2の駆動回路)としては、スイッチング素子Q2,Q3を駆動する構成を採っているものである。
【0063】
一方、ドライブトランスCDT−2は、スイッチング素子Q4をスイッチング駆動するために設けられるもので、一次巻線N21と二次巻線N22とが巻装される。
前述したように、ドライブトランスCDT−2の一次巻線N21には、コントロールIC2のドライブ信号出力端子VGHから出力されるドライブ信号が伝送される。ドライブトランスCDT−2においては、この一次巻線N21に得られたドライブ信号を、トランス結合を介して二次巻線N22に伝達する。
二次巻線N22の一端は、ゲート抵抗R41を介して、スイッチング素子Q4のゲートに接続され、他端は、一次側アースに対して接続される。
【0064】
このようなドライブトランスCDT−2の二次側における接続形態によれば、ドライブ信号出力端子VGHから出力されるドライブ信号は、ドライブトランスCDT−2のトランス結合を介して一次側から二次側に伝送され、スイッチング素子Q4のゲートに印加される構成が採られていることになる。
また、ドライブ信号出力端子VGHから出力されるドライブ信号は、ドライブトランスを介することなく、スイッチング素子Q1のゲートにも印加されるから、ドライブ信号出力端子VGHから出力されるドライブ信号は、スイッチング素子Q1,Q4に対して共通に出力されていることとなる。つまり、ドライブ信号出力端子VGHから出力されるドライブ信号に基づいてスイッチング素子を駆動する駆動回路系(第1の駆動回路)としては、スイッチング素子Q1,Q4を駆動する構成となっている。
【0065】
ここで、上記ドライブトランスCDT−1,CDT−2の構造例について、図4及び図5を参照して説明しておく。
先ず図4に示すドライブトランスCDT(CDT−1,CDT−2)は、フェライト材によるE型コアCR1、CR2を互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コアを備える。
そして、一次側と二次側の巻装部について相互に独立するようにして分割した形状により、例えば樹脂などによって形成される、ボビンBが備えられる。このボビンBの一方の巻装部に対して一次巻線(N11,N21)が巻装される。また、他方の巻装部に対して二次巻線(N12,N22)が巻装される。このようにして一次巻線及び二次巻線が巻装されたボビンBを上記EE型コア(CR1,CR2)に取り付けることで、一次側巻線及び二次側巻線とがそれぞれ異なる巻装領域により、EE型コアの中央磁脚に巻装される状態となる。このようにしてドライブトランスCDT全体としての構造が得られる。
また、この場合のEE型コアにおいては、中央磁脚に対してはギャップは形成しないものとしている。これによって、所要の結合係数による密結合の状態が得られるようにしている。
【0066】
また、ドライブトランスCDT(CDT−1,CDT−2)としては、図5に示すようにして、U型コアを用いた絶縁コンバータトランスPITの構造とすることもできる。
この図5に示す絶縁コンバータトランスPITは、2つのU型コアCR11,CR12を組み合わせてU−U型コアを形成する。この際、U型コアCR11,CR12の各磁脚が対向する面に対しては、ギャップを形成せずに、そのまま磁脚の対向面どうしを接触させている。
そして、ボビンBに対して、図示するようにして一次巻線(N11,N21)と、二次巻線(N12,N22)とを互いに分割された巻装部に巻装した上で、上記のようにして形成されるU−U型コアの一方の磁脚に対して、取り付けるようにされる。
【0067】
続いて、先に図1により説明したスイッチング駆動回路系の構成による、スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング駆動動作について説明する。
コントロールIC2では、内部の発振回路により所要の周波数の発振信号を生成する。なお、この発振回路は、後述するようにして制御回路1から端子Vcに入力される制御出力のレベルに応じて、発振信号の周波数を可変するようにされている。
そして、コントロールIC2では、上記発振回路にて生成された発振信号を利用して、ハイサイド用のドライブ信号と、ローサイド用のドライブ信号を生成する。そして、ハイサイド用のドライブ信号をドライブ信号出力端子VGHから出力し、ローサイド用のドライブ信号をドライブ信号出力端子VGLから出力するようにされる。
【0068】
上記のようにして、ドライブ信号出力端子VGH,VGLから出力されるドライブ信号による、スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング駆動タイミングについて、図2を参照して説明する。図2には、スイッチング素子Q1〜Q4の各ゲート−ソース間電圧が示されている。
ここで先ず、図2(a)と図2(b)を参照して、ドライブ信号出力端子VGHから出力されるハイサイド用のドライブ信号と、ドライブ信号出力端子VGLから出力されるローサイド用のドライブ信号との関係に応じた、スイッチング素子Q1、Q2のスイッチングタイミングについて説明しておく。
【0069】
スイッチング素子Q1に対しては、ドライブ信号出力端子VGHから出力されるハイサイド用のドライブ信号がゲート抵抗R11を介して印加される。これによって、スイッチング素子Q1のゲート−ソース間電圧VGH1としては、このハイサイド用のドライブ信号に対応した波形が得られることになる。
つまり、図2(a)に示すようにして、1スイッチング周期内において、正極性による矩形波のパルスが発生する期間と、0Vとなる期間が得られることになる。
そして、この図2(a)に示されるゲート−ソース間電圧VGH1によって、スイッチング素子Q1は、先ず、1スイッチング周期内において、正極性の矩形波パルスが得られるタイミングでオン状態となるようにされる。つまり、スイッチング素子Q1がオンとなるには、ゲート閾値電圧(≒5V)以上の適切なレベルの電圧が印加されることが必要である。上記正極性のパルスとしてのゲート−ソース間電圧VGH1は10Vと成るように設定されているから、この正極性のパルスが印加される期間に対応してオンとなる状態が得られることになる。そして、ゲート−ソース間電圧VGH1が0Vでゲート閾値電圧以下となると、オフ状態に切り換わることになる。このようなタイミングにより、スイッチング素子Q1は、オン/オフするようにしてスイッチング動作を行うことになる。
【0070】
一方、スイッチング素子Q2に対しては、ドライブ信号出力端子VGLから出力されるローサイド用のドライブ信号が、ゲート抵抗R21を介して印加されるようになっている。このドライブ信号に応じては、図2(b)に示す波形によるスイッチング素子Q2のゲート−ソース間電圧VGL1が得られる。
つまり、ゲート−ソース間電圧VGL1は、図2(a)に示したスイッチング素子Q1のゲート−ソース間電圧VGH1と同じ波形とされたうえで、タイミングとしては、ゲート−ソース間電圧VGH1に対して180°の位相差を有した波形が得られているものである。このことから、スイッチング素子Q2は、スイッチング素子Q1と交互にオン/オフするタイミングによりスイッチング駆動されることになる。
また、図2(a)(b)によると、スイッチング素子Q1がターンオフしてスイッチング素子Q2がターンオンするまでの間と、スイッチング素子Q2がターンオフして、スイッチング素子Q1がターンオンするまでの間には期間tdが形成されるようになっている。
【0071】
この期間tdは、スイッチング素子Q1(Q4),Q2(Q3)が共にオフとなるデッドタイムとされる。このデッドタイムとしての期間tdは、部分電圧共振動作として、スイッチング素子Q1〜Q4がターンオン/ターンオフするタイミングでの短時間において、部分共振コンデンサCp1,Cp2における充放電の動作が確実に得られるようにすることを目的として形成している。そして、このような期間tdとしての時間長は、例えばコントロールIC2側で設定することができるようになっており、コントロールIC2では、設定された時間長による期間tdが形成されるように、ドライブ信号出力端子VGH,VGLから出力すべきドライブ信号についてのパルス幅のデューティ比を可変する。
【0072】
続いては、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング動作としてのオン/オフタイミングの関係が得られていることを前提として、スイッチング素子Q3,Q4のオン/オフタイミングについて説明する。
先の説明によると、ドライブ信号出力端子VGHから出力されるハイサイド用のドライブ信号は、スイッチング素子Q1のゲートに印加されると共に、ドライブトランスCDT−2のトランス結合を介するようにして、スイッチング素子Q4に対しても印加されることになる。
そして、上記ハイサイド用のドライブ信号が、ドライブトランスCDT−2のトランス結合を介して一次側から二次側に伝送されることによっては、二次側で得られるドライブ信号は、0レベルを基準に正/負に反転する波形となって得られる。これに応じて、ドライブトランスCDT−2の二次巻線側からドライブ信号が印加されるスイッチング素子Q4のゲート−ソース間電圧VGH2は、図2(c)に示すものとなる。
【0073】
つまり、1スイッチング周期内において、正極性の+10Vの矩形波パルスが得られる期間と、負極性による−10Vの矩形波パルスとなる期間が得られる。ここで、正極性の+10Vの矩形波パルスが得られる期間は、図2(a)のゲート−ソース間電圧VGH1が正極性の矩形パルスが得られる期間と同一となる。また、負極性による−10Vの矩形波パルスとなる期間は、図2(a)のゲート−ソース間電圧VGH1が0レベルとなる期間と同一となる。
そして、このような波形のゲート−ソース間電圧VGH2が得られることによっては、スイッチング素子Q4は、1スイッチング周期内において、正極性の矩形パルスが得られている期間においてオン状態となるようにされる。一方、負極性の矩形パルスが得られている期間においてオフ状態となるようにされる。従って、スイッチング素子Q4のオン/オフタイミングは、図2(a)のゲート−ソース間電圧VGH1に対応するスイッチング素子Q1と同様となる。つまり、スイッチング素子Q1,Q4は、同じタイミングでオン/オフするようにスイッチング駆動される。
【0074】
また、スイッチング素子Q3については、ドライブ信号出力端子VGLから出力されるローサイド用のドライブ信号(ゲート電圧)が、ドライブトランスCDT−1を介するようにして印加されていることになる。
このローサイド用のドライブ信号についても、ドライブトランスCDT−1のトランス結合を介して一次側から二次側に伝送されることで、0レベルを基準に正/負に反転する波形の信号となって二次側で得られることになる。このため、スイッチング素子Q3のゲート−ソース間電圧VGL2は、図2(d)に示すようにして、1スイッチング周期内において、正極性の+10Vの矩形波パルスとなる期間と、負極性による−10Vの矩形波パルスとなる波形が得られる。これに応じて、スイッチング素子Q3は、1スイッチング周期内において、正極性の矩形パルスが得られている期間においてオン状態となり、負極性の矩形パルスが得られている期間においてオフ状態となるようにスイッチング動作を行うことになる。
そして、このオン/オフタイミングは、図2(b)のゲート−ソース間電圧VGL1に対応するスイッチング素子Q2と同様となるものであり、従って、スイッチング素子Q3は、スイッチング素子Q4と同じタイミングでオン/オフするようにスイッチング駆動されることになる。
【0075】
ここで、上記図2に示したようにして、各スイッチング素子Q1〜Q4におけるゲート−ソース間電圧VGH1,VGL1,VGH2,VGL2として、+10Vの正極パルス又は±10Vの正/負のパルスが得られるようにするために、図1に示す回路の実際としては、次のように各素子を選定している。
CDT(CDT−1,CDT−2)の一次巻線N11,N21=50T
CDT(CDT−1,CDT−2)の二次巻線N12,N22=100T
コンデンサC3A,C3B=0.1μF
抵抗R3A,R3B=47Ω
ゲート抵抗R11,R21,R31,R41=10Ω
ゲート−ソース間抵抗R12,R22,R32,R42=2.2KΩ
【0076】
このようにして、図1に示す電源回路では、スイッチング素子[Q1,Q4]の組と、スイッチング素子[Q2,Q3]の組とが交互にオン/オフするようにしてスイッチング駆動される。
そしてスイッチング動作として、スイッチング素子[Q1,Q4]の組がオンとなっているときには、出力として、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース→直列共振コンデンサC1→一次巻線N1→スイッチング素子Q4のドレイン−ソース→一次側アースの経路で電流が流れる。
また、スイッチング素子[Q2,Q3]の組がオンとなっているときには、出力として、スイッチング素子Q3のドレイン−ソース→一次巻線N1→直列共振コンデンサC1→スイッチング素子Q2のドレイン−ソース→一次側アースの経路で電流が流れる。そして、この動作が繰り返されるのに応じて、一次側直列共振回路(C1−N1)では共振動作が得られることになり、絶縁コンバータトランスの一次側巻線N1に共振電流波形に近いドライブ電流を供給することになる。
【0077】
また、上記のようにしてスイッチング素子[Q1,Q4]の組がターンオフ/ターンオンするタイミングでは、スイッチング素子Q4に対して接続された並列共振コンデンサCp2が、自身のキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンス成分L1によって並列共振回路を形成し、電圧共振動作を行う。つまり、スイッチング素子[Q1,Q4]の組のターンオフ/ターンオン時にのみ電圧共振となる部分電圧共振動作が得られる。
同様にして、スイッチング素子[Q2,Q3]の組がターンオフ/ターンオンするタイミングでは、スイッチング素子Q2に対して接続された並列共振コンデンサCp1のキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンス成分L1によって並列共振回路が形成される。そして、スイッチング素子[Q2,Q3]の組のターンオフ/ターンオン時において部分電圧共振動作が得られる。
【0078】
このようにして、本実施の形態では、スイッチング素子[Q1,Q4][Q2,Q3]の各組(スイッチング回路)が交互にオン/オフするフルブリッジ結合方式の電流共振形コンバータと、部分電圧共振回路(Cp1,Cp2,N1)が組み合わされたコンバータが形成されているものである。
【0079】
図3の波形図は、上記したスイッチング動作に対応する要部の波形を示している。
この図3によると、先ず、スイッチング素子のオン/オフタイミングとして、スイッチング素子[Q1,Q4]の組は、図3に示す期間t1においてオンとなり、期間t2に対応してオフとなるように動作していることになる。
これに応じて、スイッチング素子[Q1,Q4]には、図3(b)に示すようにしてスイッチング電流IQ1,IQ4が流れるようにされる。つまり、期間t1においては、先ず負極性方向としてクランプダイオードDD1,DD4を介して流れた後、正極性に反転するようにしてスイッチング素子Q1,Q4のドレイン−ソースを流れる波形が得られる。そして、期間t2においては0レベルとなるものである。
また、上記のようにしてスイッチング電流IQ1,IQ4が流れるのに応じては、スイッチング素子[Q1,Q4]のドレイン−ソース間電圧VQ1,VQ4としては、期間t1では0レベルで、期間t2においては正極性のパルスとなる波形が得られる。
【0080】
そして、スイッチング素子[Q2,Q3]の組の動作として、図3(c)には、スイッチング素子[Q2,Q3]のドレイン−ソース間電圧VQ2,VQ3が示され、図3(d)には、スイッチング素子[Q2,Q3]のスイッチング電流IQ2,IQ3が示されている。
この図3(c)(d)に示すドレイン−ソース間電圧VQ2,VQ3、スイッチング電流IQ2,IQ3は、図3(a)(b)に示したドレイン−ソース間電圧VQ1,VQ4、スイッチング電流IQ1,IQ4に対して、180°の位相差を有していることがわかる。つまり、スイッチング素子[Q2,Q3]は、スイッチング素子[Q1,Q4]の組がオンとなる期間t1においてはオフとなり、スイッチング素子[Q1,Q4]の組がオフとなる期間t2においてはオンとなるようにスイッチング動作しているものである。このようにして、これら図3(a)(b)(c)(d)によっても、スイッチング素子[Q1,Q4][Q2,Q3]の各組が交互にオン/オフするスイッチング動作となっていることが分かる。
そして、このようなスイッチング動作に応じて、一次巻線N1には、図3(f)に示すようにして、一次巻線電流I1が流れる。この一次巻線電流I1は、期間t1においては、スイッチング電流IQ1,IQ4としてのスイッチング電流が流れ、期間t2においては、スイッチング電流IQ1,IQ4とは逆方向にスイッチング電流IQ2,IQ3が流れることに対応して得られるものである。
【0081】
また、図3(e)には、スイッチング素子Q2に対して並列に接続した部分共振コンデンサCp1に流れる部分共振電流Icpが示されている。
この図3(e)から分かるように、部分共振電流Icpは、スイッチング素子がターンオン/ターンオフするタイミングに対応する期間tdのみの短時間において流れている。この部分共振電流Icpは、スイッチング素子Q1〜Q4がターンオン/ターンオフする短期間にのみ電圧共振する部分電圧共振動作に対応しているものである。
【0082】
ここで、これまで説明した図1に示す電源回路と、先行技術として図6に示した電源回路とを比較すると次のようなことがいえる。
先ず、他励式によりフルブリッジ結合方式よる4石のスイッチング素子を、スイッチング周波数制御方式によりスイッチング駆動するのにあたり、図6に示す電源回路では、3つのICが必要とされている。これに対して、図1に示す本実施の形態の電源回路では、1つのコントロールIC2のみとされている。つまり、図1に示す電源回路では、スイッチング駆動のためのIC数が減少していることになる。これにより、回路規模が縮小され、また、コストも削減されることになる。
【0083】
そして、スイッチング駆動のためのICの数が削減されたことで、外付け部品の数も削減されることになる。
具体的には図6に示す電源回路では、先にも説明したように、合計で50点の外付け部品が接続されていたものである。これに対して図1に示す電源回路では、コントロールIC2の実際のピン端子数が18とされたうえで、9点の外付け部品が接続される。つまり、本実施の形態では、大幅に外付け部品の点数が削減されることになる。
また、図6に示す回路では、2つのドライブIC11,12が設けられていたのに対応して、ハイサイドのスイッチング素子のゲート電圧をシフトするためのブートストラップ回路として、スイッチング素子Q1,Q3のそれぞれに対応した2系統が必要とされていた。
これに対して、本実施の形態では、図1に示したように、ブートストラップ回路は1系統とされている。このようにして、ブートストラップ回路が2系統から1系統となったことによっても、部品点数が削減されていることになる。
【0084】
ただし、図1に示す電源回路では、図6に示した電源回路と比較すると、ドライブトランスCDT−1,CDT−2と、これらのドライブトランスにドライブ信号を入力するためのコンデンサC3A,抵抗R3A、及びコンデンサC3B,抵抗R3Bが新たに追加されることになる。しかしながら、これらの部品点数と、上記したコントロールIC2の外付け部品を合計しても15点程度であり、図1に示す電源回路の部品点数は、図6に示す電源回路に対して大幅に削減されているということがいえる。また、ドライブトランスCDT−1,CDT−2も非常に小さいサイズであることから、スイッチング駆動用のICが複数備えられることと比較すれば、図1に示す電源回路のほうが、回路規模ははるかに小さいものとなる。
このようにして、図1に示す本実施の形態の電源回路は、図6に示す電源回路よりも、スイッチング駆動用のICの数が削減されており、さらには、部品素子の数も大幅に削減されることになる。これにより、電源回路の規模は大幅に縮小されるので、実際の回路基板サイズについても、これまでより大幅に小さなものとすることができる。また、コストダウンも有効に図られる。
【0085】
また、スイッチング駆動用のICの数が削減されることによっては、それだけ消費電力も低減されることになる。
先に説明したように、図6に示した電源回路における3つのICの総合的な消費電力は、スイッチング周波数が最低から最高の範囲に対応して、0.6W〜2.7Wであった。これに対して図1に示す電源回路では、スイッチング周波数が最低(50KHz)から最高(150KHz)の範囲に対応するコントロールIC2の消費電力は、0.2W〜0.9Wとなる。つまり、スイッチング駆動のためのIC部位における消費電力は、図6に示す電源回路に対して1/3にまで低減されることになる。
【0086】
また、図1に示す電源回路では、スイッチング素子Q3,Q4については、図2(c)(d)にも示したように、オフ時には、負極性に反転した−10Vのゲート−ソース間電圧VGH2,VGL2が印加される。これによって、スイッチング素子Q3,Q4については、ターンオフ時における下降時間が短縮されて、その分、この下降時間に依る電力損失が低減することにもなる。これにより、電力変換効率が向上することになり、また、スイッチング素子Q3,Q4における発熱も低下してより高い信頼性が得られることになる。
【0087】
なお、本発明としては上記した実施の形態としての構成に限定される必要はない。例えば、先に説明した各部品素子の定数なども、実際の条件等に応じて変更されて構わない。また、例えば絶縁コンバータトランスPITの二次側において二次側直流出力電圧を生成するための回路構成としても、適宜変更されて構わない。また、上記実施の形態では、ドライブトランスにより、同じオン/オフタイミングとなるべき2つのスイッチング素子の一方にドライブ信号を伝達する構成としていたが、例えばドライブトランスを用いる以外のドライブ信号伝達のための構成を採ることも考えられる。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したようにして本発明は、一次側スイッチングコンバータとして、フルブリッジ結合方式による電流共振形コンバータに対して、部分共振電圧回路を組み合わせた構成を採っている。また、電流共振形コンバータを形成する各スイッチング素子に対するスイッチング駆動方式としては、他励式を採る。
そのうえで、スイッチング素子をスイッチング駆動するのにあたり、1つのドライブ信号生成回路により、互いに180°の位相差を有するとされるハイサイド用の第1のドライブ信号と、ローサイド用の第2のドライブ信号とを生成するようにされる。
そして、第1のドライブ信号を利用して、一方の同じオン/オフタイミングの組となるべき、第1のハーフブリッジ回路のハイサイドのスイッチング素子と、第2のハーフブリッジ回路のローサイドのスイッチング素子とをスイッチング駆動するようにしている。また、第2のドライブ信号を利用して、他方の同じオン/オフタイミングの組となるべき、第1のハーフブリッジ回路のローサイドのスイッチング素子と、第2のハーフブリッジ回路のハイサイドのスイッチング素子とをスイッチング駆動するようにしている。
【0089】
上記した構成であれば、第1のドライブ信号及び第2のドライブ信号を基として、それぞれ、同じオン/オフタイミングの組となるべき2本のスイッチング素子を駆動することが可能となる。
これにより、第1のドライブ信号と第2のドライブ信号を生成するためのドライブ信号生成回路としては1系統でよいことになる。そして、回路の実際として、このドライブ信号生成回路がICとされる場合には、1つのICによりフルブリッジ結合された4本のスイッチング素子を適正にスイッチング駆動することが可能とされることになる。
【0090】
例えば先行技術としては、フルブリッジ結合された4本のスイッチング素子をスイッチング駆動するのには3つのICが必要とされていた。これに対して、本発明によっては、1つのICで4本のスイッチング素子をスイッチング駆動することになるから、その分、電源回路としての回路基板サイズの小型軽量化及びコストダウンを大幅に図ることができる。
また、ICの数が削減されるのに伴っては、ICに接続すべき外付け部品や周辺部品の点数も削減されることになる。これによって、上記した回路基板サイズの小型軽量化及びコストダウンの効果は、さらに促進されることになる。
また、ICの数が削減された分、ICにおける電力消費も低減するから、これまでより低消費電力の電源回路が得られることにもなるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。
【図2】図1に示す電源回路におけるスイッチング素子のゲート−ソース間電圧を示す波形図である。
【図3】図1に示す電源回路のスイッチング周期による動作を示す波形図である。
【図4】図1に示す電源回路に備えられるドライブトランスの構造例を示す断面図である。
【図5】図1に示す電源回路に備えられるドライブトランスの構造例を示す断面図である。
【図6】先行技術としての電源回路の構成例を示す回路図である。
【図7】図6に示す電源回路におけるスイッチング素子のゲート−ソース間電圧を示す波形図である。
【図8】図6に示す電源回路のスイッチング周期による動作を示す波形図である。
【符号の説明】
1 制御回路、2 コントロールIC、Di ブリッジ整流回路、Ci 平滑コンデンサ、Q1〜Q4 スイッチング素子、CDT−1,CDT−2 ドライブトランス、PIT 絶縁コンバータトランス、C1 一次側直列共振コンデンサ、Cp1,Cp2 部分共振コンデンサ、N1 一次巻線(絶縁コンバータトランス)、N11,N21 一次巻線(ドライブトランス)、N12,N22 二次巻線(ドライブトランス)、C3A,C3B コンデンサ、R3A,R3B 抵抗、R11,R21,R31,R41 ゲート抵抗、R12,R22,R32,R42 ゲート−ソース間抵抗
Claims (2)
- ハイサイドのスイッチング素子と、ローサイドのスイッチング素子とをハーフブリッジ結合して形成される第1のハーフブリッジ回路と、第2のハーフブリッジ回路を備え、これら第1のハーフブリッジ回路と第2のハーフブリッジ回路とを、直流入力電圧と一次側アース間に対して並列に接続することで形成される、フルブリッジ結合のスイッチング手段と、
上記スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段と、
少なくとも、上記スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、該一次巻線に得られたスイッチング出力としての交番電圧が励起される二次巻線とを巻装して形成される絶縁コンバータトランスと、
少なくとも、上記絶縁コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分と、上記一次巻線に直列接続された一次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成され、上記スイッチング手段の動作を電流共振形とする一次側直列共振回路と、
上記各ハーフブリッジ回路を形成する2つのスイッチング素子のうち、一方のスイッチング素子に対して並列接続された部分電圧共振コンデンサのキャパシタンスと、上記絶縁コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分によって形成され、上記各スイッチング素子がターンオン及びターンオフするタイミングに応じてのみ電圧共振動作が得られる一次側部分電圧共振回路と、
上記絶縁コンバータトランスの二次巻線に得られる交番電圧を入力して、整流動作を行うことで二次側直流出力電圧を生成するように構成された直流出力電圧生成手段と、
上記二次側直流出力電圧のレベルに応じて上記スイッチング駆動手段を制御して、上記スイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで、二次側直流出力電圧に対する定電圧制御を行うように構成された定電圧制御手段とを備え、
上記スイッチング駆動手段は、
上記各スイッチング素子をスイッチング駆動するためのドライブ信号として、互いに180°の位相差を有するとされる波形による、所要の周波数に応じた第1のドライブ信号と第2のドライブ信号を生成して出力するドライブ信号生成回路と、
上記第1のドライブ信号に基づいて、上記第1のハーフブリッジ回路のハイサイドのスイッチング素子と、上記第2のハーフブリッジ回路のローサイドのスイッチング素子が同じオン/オフタイミングとなるようにスイッチング駆動する、第1の駆動回路と、
上記第2のドライブ信号に基づいて、上記第1のハーフブリッジ回路のローサイドのスイッチング素子と、上記第2のハーフブリッジ回路のハイサイドのスイッチング素子が同じオン/オフタイミングとなるようにスイッチング駆動する、第2の駆動回路と、
備えることを特徴とするスイッチング電源回路。 - 上記第1の駆動回路は、
一次巻線と二次巻線が巻装された第1のドライブトランスを備えると共に、
上記第1のドライブ信号によって、上記第1のハーフブリッジ回路のハイサイドのスイッチング素子をスイッチング駆動すると共に、上記第1のドライブ信号を上記第1のドライブトランスの一次巻線に対して供給し、この第1のドライブトランスの二次巻線に伝達された上記第1のドライブ信号によって、上記第2のハーフブリッジ回路のローサイドのスイッチング素子がスイッチング駆動されるように構成され、
上記第2の駆動回路は、
一次巻線と二次巻線が巻装された第2のドライブトランスを備えると共に、
上記第2のドライブ信号によって、上記第1のハーフブリッジ回路のローサイドのスイッチング素子をスイッチング駆動すると共に、上記第2のドライブ信号を上記第2のドライブトランスの一次巻線に対して供給し、この第2のドライブトランスの二次巻線に伝達された上記第2のドライブ信号によって、上記第2のハーフブリッジ回路のハイサイドのスイッチング素子がスイッチング駆動されるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
Priority Applications (1)
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JP2002230185A JP2004072918A (ja) | 2002-08-07 | 2002-08-07 | スイッチング電源回路 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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Country | Link |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103268131A (zh) * | 2012-11-26 | 2013-08-28 | 陈景忠 | 小体积宽电压光电高压驱动模块 |
WO2018097474A1 (ko) * | 2016-11-24 | 2018-05-31 | 주식회사 토비스 | 무선 전력 수신 기능 및 무선 신호 송신 기능을 포함하는 전자장치 |
-
2002
- 2002-08-07 JP JP2002230185A patent/JP2004072918A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103268131A (zh) * | 2012-11-26 | 2013-08-28 | 陈景忠 | 小体积宽电压光电高压驱动模块 |
CN103268131B (zh) * | 2012-11-26 | 2016-10-12 | 扬州工业职业技术学院 | 小体积宽电压光电高压驱动模块 |
WO2018097474A1 (ko) * | 2016-11-24 | 2018-05-31 | 주식회사 토비스 | 무선 전력 수신 기능 및 무선 신호 송신 기능을 포함하는 전자장치 |
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