JP2002136138A - スイッチング電源回路 - Google Patents

スイッチング電源回路

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JP2002136138A
JP2002136138A JP2000333545A JP2000333545A JP2002136138A JP 2002136138 A JP2002136138 A JP 2002136138A JP 2000333545 A JP2000333545 A JP 2000333545A JP 2000333545 A JP2000333545 A JP 2000333545A JP 2002136138 A JP2002136138 A JP 2002136138A
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winding
circuit
voltage
switching element
primary
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JP2000333545A
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Masayuki Yasumura
昌之 安村
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Sony Corp
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Publication date
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    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02MAPPARATUS FOR CONVERSION BETWEEN AC AND AC, BETWEEN AC AND DC, OR BETWEEN DC AND DC, AND FOR USE WITH MAINS OR SIMILAR POWER SUPPLY SYSTEMS; CONVERSION OF DC OR AC INPUT POWER INTO SURGE OUTPUT POWER; CONTROL OR REGULATION THEREOF
    • H02M1/00Details of apparatus for conversion
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    • H02MAPPARATUS FOR CONVERSION BETWEEN AC AND AC, BETWEEN AC AND DC, OR BETWEEN DC AND DC, AND FOR USE WITH MAINS OR SIMILAR POWER SUPPLY SYSTEMS; CONVERSION OF DC OR AC INPUT POWER INTO SURGE OUTPUT POWER; CONTROL OR REGULATION THEREOF
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  • Power Engineering (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複合共振形スイッチングコンバータにおける
電力損失の低減と、重負荷条件での安定したZVSの確
保、及び製造能率の向上。 【解決手段】 二次側アクティブクランプ回路を備える
複合共振形としてのスイッチング電源回路の絶縁コンバ
ータトランスについて、一次巻線と二次巻線とについて
いわゆる逆転巻きとしたうえで加極性接続するようにす
る。この構造では、一次磁束と二次磁束は打ち消し合う
ように作用することになるため、絶縁コンバータトラン
スのコアに対してギャップを施さなくとも飽和が生じな
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種電子機器に電
源として備えられるスイッチング電源回路に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】スイッチング電源回路として、例えばフ
ライバックコンバータやフォワードコンバータなどの形
式のスイッチングコンバータを採用したものが広く知ら
れている。これらのスイッチングコンバータはスイッチ
ング動作波形が矩形波状であることから、スイッチング
ノイズの抑制には限界がある。また、その動作特性上、
電力変換効率の向上にも限界があることがわかってい
る。そこで、先に本出願人により、共振形コンバータに
よるスイッチング電源回路が各種提案されている。共振
形コンバータは容易に高電力変換効率が得られると共
に、スイッチング動作波形が正弦波状となることで低ノ
イズが実現される。また、比較的少数の部品点数により
構成することができるというメリットも有している。
【0003】図7の回路図は、先に本出願人が提案した
発明に基づいて構成することのできる、先行技術として
のスイッチング電源回路の一例を示している。この図に
示す電源回路の基本構成としては、一次側スイッチング
コンバータとして電圧共振形コンバータを備えている。
【0004】この図に示す電源回路では、ブリッジ整流
回路Di及び平滑コンデンサCiによって、商用交流電
源(交流入力電圧VAC)から交流入力電圧VACの1倍の
レベルに対応する整流平滑電圧Eiを生成する。
【0005】この電源回路の一次側には、1石のスイッ
チング素子Q1によりシングルエンド動作を行う電圧共
振形コンバータ回路として、自励式の構成が示される。
この場合、スイッチング素子Q1には、高耐圧のバイポ
ーラトランジスタ(BJT;接合型トランジスタ)が採
用されている。スイッチング素子Q1のベースは、起動
抵抗RSを介して平滑コンデンサCi(整流平滑電圧E
i)の正極側に接続されて、起動時のベース電流を整流
平滑ラインから得るようにしている。
【0006】また、スイッチング素子Q1のベースと一
次側アース間には、絶縁コンバータトランスPITの一
次側に巻数1T(ターン)で施されたドライブ巻線NB
と、インダクタLB−共振コンデンサCB−ベース電流制
限抵抗RBの直列回路よりなる自励発振駆動用の直列共
振回路が接続される。この自励発振回路によってスイッ
チング素子Q1をオン/オフするスイッチング周波数f
sが生成される。
【0007】また、スイッチング素子Q1のベースと平
滑コンデンサCiの負極(1次側アース)間に挿入され
るクランプダイオードDD1により、スイッチング素子Q
1のオフ時に流れるクランプ電流の経路を形成するよう
にされており、また、スイッチング素子Q1のコレクタ
は、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の巻
始め端部と接続され、エミッタは接地される。
【0008】また、上記スイッチング素子Q1のコレク
タ−エミッタ間に対しては、並列共振コンデンサCrが
並列に接続されている。そしてこの場合にも、並列共振
コンデンサCr自身のキャパシタンスと、絶縁コンバー
タトランスPITの一次巻線N1側のリーケージインダ
クタンスL1とにより電圧共振形コンバータの一次側並
列共振回路を形成する。
【0009】絶縁コンバータトランスPITは、一次側
に得られたスイッチングコンバータのスイッチング出力
を二次側に伝送するために設けられる。この絶縁コンバ
ータトランスPITの構造としては、例えば図8に示さ
れるよにうに、フェライトのE型コアCR1,CR2か
ら成るEE型コアを備える。そして、図示するようにし
て、分割ボビンBを利用して、ともにリッツ線である一
次巻線N1と二次巻線N2とをそれぞれ分割された領域に
対して巻装する。ここで、一次巻線N1と二次巻線N2と
については、ともに同じ巻方向により巻回される。そし
て、EE型コアの中央磁脚に対しては図のようにギャッ
プGを形成するようにしている。このギャップGのギャ
ップ長によって絶縁コンバータトランスPITにおける
漏洩インダクタンスが決定され、また、所要の結合係数
による疎結合が得られるようになっている。ここでの結
合係数kとしては、例えばk≒0.85という疎結合の
状態を得るようにしており、その分、飽和状態が得られ
にくいようにしている。このギャップGは、E型コアC
R1,CR2の中央磁脚を、2本の外磁脚よりも短くす
ることで形成することができ、この場合のギャップ長と
しては、1mm程度とされる。
【0010】ところで、絶縁コンバータトランスPIT
における動作として、一次巻線N1、二次巻線N2の極性
(巻方向)と整流ダイオードDOの接続関係によって、
一次巻線N1のインダクタンスL1と二次巻線N2のイン
ダクタンスL2との相互インダクタンスMについて、+
Mの動作モード(加極性モード:フォワード動作)とな
る場合と−Mの動作モード(減極性モード:フライバッ
ク動作)となる場合とがある。例えば、一次巻線N1と
二次巻線N2の極性(巻方向)が同じであるとして、図
9(a)に示す回路と等価となる場合に相互インダクタ
ンスは+Mとなり、図9(b)に示す回路と等価となる
場合に相互インダクタンスは−Mとなる。
【0011】図7に示すように絶縁コンバータトランス
PITの一次巻線N1の巻始め端部は、メインスイッチ
ング素子Q1のコレクタと接続されて、巻終わり端部は
整流平滑電圧Eiのラインと接続される。また、二次巻
線N2の巻始め端部は二次側アースに対して接続され、
巻終わり端部は整流ダイオードDO1を介して平滑コンデ
ンサCO1の正極端子に対して接続される。このような接
続形態では、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線
N1と二次巻線N2とについて加極性による接続が行われ
ていることになり、これは、図9(a)に示した等価回
路に対応している。
【0012】一次側電圧共振形コンバータを形成するメ
インスイッチング素子Q1のスイッチング出力は、上記
した構造の絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N
1に伝送され、更に二次巻線N2に対して励起されるよう
にして伝達されることになる。この場合、絶縁コンバー
タトランスPITの二次側においては、図示するように
二次巻線N2に対して並列に二次側並列共振コンデンサ
C2が接続されることで、二次巻線N2のリーケージイン
ダクタンスL2と共に二次側並列共振回路を形成する。
そして、この二次側並列共振回路に対して、図示する接
続形態によって整流ダイオードDO1及び平滑コンデンサ
CO1から成る半波整流回路が接続されることで、二次側
直流出力電圧EO1を出力する。
【0013】このような構成による電源回路では、一次
側にはスイッチング動作を電圧共振形とするための並列
共振回路が備えられ、二次側には電圧共振動作を得るた
めの並列共振回路が備えられることになる。なお、本明
細書では、このように一次側及び二次側に対して共振回
路が備えられて動作する構成のスイッチングコンバータ
については、「複合共振形スイッチングコンバータ」と
もいうことにする。
【0014】また、この電源回路においては、二次側に
アクティブクランプ回路20が備えられる。即ち二次側
アクティブクランプ回路20として、MOS−FETの
補助スイッチング素子Q2,クランプコンデンサC3,
ボディダイオードのクランプダイオードDD2を備える。
また、補助スイッチング素子Q2を駆動するための駆動
回路系として、ドライブ巻線Ng1,コンデンサCg1,
抵抗Rg1を備えて成る。
【0015】補助スイッチング素子Q2のドレイン−ソ
ース間に対してはクランプダイオードDD2が並列に接続
される。その接続形態としては、クランプダイオードD
D2のアノードがソースに対して接続され、カソードがド
レインに対して接続されるようになっている。また、補
助スイッチング素子Q2のドレインはクランプコンデン
サC3を介して、二次巻線N2の巻終わり端部と整流ダ
イオードDO1のアノードとの接続点に対して接続され
る。また、補助スイッチング素子Q2のソースは二次側
アースに対して接続される。従って、二次側アクティブ
クランプ回路20としては、上記補助スイッチング素子
Q3、クランプダイオードDD2の並列接続回路に対し
て、クランプコンデンサC3を直列に接続して成るもの
とされる。そして、このようにして形成される回路を二
次側並列共振回路に対して更に並列に接続して構成され
るものである。
【0016】また、補助スイッチング素子Q2の駆動回
路系としては、図示するように、補助スイッチング素子
Q2のゲートに対して、コンデンサCg1−抵抗Rg1−
ドライブ巻線Ng1の直列接続回路が接続される。この
直列接続回路は補助スイッチング素子Q2のための自励
式駆動回路を形成する。即ちこの自励式駆動回路からの
信号電圧がスイッチング素子Q2のゲートに印加されス
イッチング動作が行われる。この場合のドライブ巻線N
g1は、二次巻線N2の巻始め端部側に形成されており、
この場合の巻数としては例えば1T(ターン)としてい
る。これにより、ドライブ巻線Ng1には、一次巻線N1
に得られる交番電圧により励起された電圧が発生する。
また、この場合には、その巻方向の関係から、二次巻線
N2とドライブ巻線Ng1とは逆極性の電圧が得られる。
【0017】また二次側に備えられる制御回路1によっ
て、補助スイッチング素子Q2のスイッチング動作がP
WM制御されるようになっている。即ち二次側直流出力
電圧EO1は制御回路1に供給され、制御回路1がそれに
応じた直流制御電圧を補助スイッチング素子Q2のゲー
トに印加することで、補助スイッチング素子Q2の導通
角が制御される。これによって交流入力電圧VACや負荷
電力Poの変動に対する直流出力電圧E01の定電圧化が
行われる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記図7に
示した電源回路においては、図8の絶縁コンバータトラ
ンスPITの構造によっても示したように、一次巻線N
1と二次巻線N2との巻線方向が同一である。従って、一
次巻線N1に流れる一次巻線電流I1によって、一次巻線
N1には起磁力が生じ、同様にして、二次巻線N2に流れ
る二次巻線電流I2によっては二次巻線N2に対して起磁
力が生じる。これによって、図8に示すようにして一次
側には一次磁束φ1が発生し、二次側には二次磁束φ2
が発生する。ここで、前述もしたように、図7の回路に
おける一次巻線N1と二次巻線N2とは、加極性で接続さ
れていることから、上記した一次磁束φ1と二次磁束φ
2とは互いに加え合う動作となり、従って、絶縁コンバ
ータトランスPITの中央磁脚には、φ1+φ2で表さ
れる磁束が発生することになる。
【0019】即ち、一次巻線N1と二次巻線N2とが同じ
巻方向で、かつ、加極性接続であることによって、中央
磁脚には、一次磁束φ1と二次磁束φ2が加わり合った
比較的大きな磁束が発生することになる。ここで、仮に
絶縁コンバータトランスPITのコアの中央磁脚にギャ
ップが形成されていない(ギャップ長=0)とすると、
例えば負荷電力Po=100W程度以上の条件では、フ
ェライトコアの磁化曲線の飽和領域に入ることになる。
なお、本明細書において、「飽和」といった場合は、こ
のような磁化曲線の飽和領域に入る状態のことを指す。
これによって、コアのインダクタンスが急激に低下し
て、BJTのメインスイッチング素子Q1が破壊する可
能性が高くなる。そこで、絶縁コンバータトランスPI
Tとしては、図8にも示したようにしてギャップGを形
成することで、所要の結合係数による疎結合の状態が得
られるようにしており、これによって飽和が生じないよ
うにしている。
【0020】そして、図7に示す構成の電源回路の場合
において上記した現象を回避してレギュレーション範囲
を満足するためには、絶縁コンバータトランスPITに
形成するギャップGのギャップ長としては、1mm±
0.1mmの精度で管理を行うことが必要とされてい
る。上記したギャップ長の精度を満足するには、E型コ
アCR1,CR2としては、各々の中央磁脚の端部を研
磨して0.5mm±0.05mmという精度で製造管理
を行う必要が生じてくる。従って、E型コアの中央磁脚
を高精度で研磨する工程を要するために製造時間が長く
なり、また、同一のE型コアのギャップ長が異なる絶縁
コンバータトランスの製造を実施する場合に対応して製
品管理を行うのも困難となる。つまり、ギャップを形成
する必要のあることで、製造上の能率の低下を招いてい
る。
【0021】また、絶縁コンバータトランスPITにギ
ャップGを形成した場合、このギャップGの近傍にはフ
リンジ磁束といわれる漏洩磁束が発生するために、リッ
ツ線である一次巻線N1と二次巻線N2において渦電流損
失が発生して局部的な発熱が生じる。この発熱は、温度
が低い巻線に伝導して、巻線自体の温度を高くすること
になる。これによって、いわゆる銅損といわれる電力損
失が増加して、電力変換効率が低下してしまうことが分
かっている。特に、図7に示す回路では、一次巻線N1
に流れる一次巻線電流I1と、二次巻線N2に流れる二次
巻線電流I2に流れる高周波電流量が多いことから、一
次巻線電流I1と二次巻線N2における、リッツ線として
の直流抵抗と上記した渦電流損失による発熱は顕著とな
るものである。
【0022】更に、図7に示す回路では、重負荷の条件
において交流入力電圧VACのレベルがAC100系で7
5V〜85V程度にまで低くなったような場合に、一次
側メインスイッチング素子Q1の動作としてZVS(Zero
Voltage Switching)動作とならない異常動作の期間が
生じることも問題となる。このような現象が持続する
と、メインスイッチング素子Q1が発熱して短時間で破
壊するおそれがある。
【0023】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は上記した
課題を考慮して、スイッチング電源回路として次のよう
に構成する。即ち、直流入力電圧を断続して出力するた
めのメインスイッチング素子を備えて形成されるスイッ
チング手段と、上記スイッチング手段の動作を電圧共振
形とする一次側並列共振回路が形成されるようにして備
えられる一次側並列共振コンデンサと、一次側と二次側
とで疎結合とされる所要の結合係数が得られる構造を有
し、一次側に得られる上記スイッチング手段の出力を二
次側に伝送する絶縁コンバータトランスと、上記絶縁コ
ンバータトランスの二次側巻線に対して二次側共振コン
デンサを接続することで形成される二次側共振回路と、
上記絶縁コンバータトランスの二次側巻線に得られる交
番電圧を入力して整流動作を行うことで二次側直流出力
電圧を得るように構成される直流出力電圧生成手段と、
上記二次側共振コンデンサに対して並列に、クランプコ
ンデンサと二次側補助スイッチング素子とによる直列接
続回路を備えて形成される二次側アクティブクランプ手
段と、上記二次側直流出力電圧に基づく直流制御信号を
上記二次側補助スイッチング素子に印加して上記二次側
補助スイッチング素子の導通角制御を実行することで上
記二次側直流出力電圧を定電圧化する定電圧化手段とを
備える。そして上記絶縁コンバータトランスは、飽和を
抑制するためのギャップが施されていないコアを備える
と共に、上記一次巻線と上記二次巻線は互いに逆となる
巻方向によって上記コアに対して巻回され、上記一次巻
線と上記二次巻線とについては加極性接続されるように
する。
【0024】上記構成によれば、一次側においては電圧
共振形コンバータを形成するための一次側並列共振回路
備え、二次側には、二次巻線及び二次側並列共振コンデ
ンサとにより形成される二次側並列共振回路とが備えら
れた、いわゆる複合共振形スイッチングコンバータの構
成が得られる。また、二次側にアクティブクランプ回路
が設けられ、定電圧制御としては、アクティブクランプ
回路の補助スイッチング素子を導通角制御することで行
う。この構成を基として、絶縁コンバータトランスにつ
いては一次巻線と二次巻線を互いに逆となる巻方向によ
って巻装されたうえで、一次巻線と二次巻線とについて
は加極性接続を行う。これにより、一次巻線と二次巻線
とに得られる磁束は打ち消し合うように作用するので、
コアに生じる磁束は小さなものとすることができ、それ
だけ飽和状態となるのを抑制することができる。このた
めに、本発明のスイッチング電源回路における絶縁コン
バータトランスのコアに対しては、飽和を抑制する目的
のギャップは施されないものである。
【0025】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1の実施の形
態としてのスイッチング電源回路の構成例を示してい
る。この図1に示す電源回路は、一次側に電圧共振形コ
ンバータを備えると共に二次側にはアクティブクランプ
回路と電圧共振回路を備えた複合共振形スイッチングコ
ンバータとしての構成を採る。
【0026】この図に示す電源回路では、ブリッジ整流
回路Di及び平滑コンデンサCiによって、商用交流電
源(交流入力電圧VAC)から交流入力電圧VACの1倍の
レベルに対応する整流平滑電圧Eiを生成する。
【0027】この電源回路の一次側には、1石のスイッ
チング素子Q1によりシングルエンド動作を行う電圧共
振形コンバータ回路として、自励式の構成が示される。
この場合、スイッチング素子Q1には、高耐圧のバイポ
ーラトランジスタ(BJT;接合型トランジスタ)が採
用されている。スイッチング素子Q1のベースは、起動
抵抗RSを介して平滑コンデンサCi(整流平滑電圧E
i)の正極側に接続されて、起動時のベース電流を整流
平滑ラインから得るようにしている。
【0028】また、スイッチング素子Q1のベースと一
次側アース間には、絶縁コンバータトランスPITの一
次側に巻数1T(ターン)で施されたドライブ巻線NB
と、インダクタLB−共振コンデンサCB−ベース電流制
限抵抗RBの直列回路よりなる自励発振駆動用の直列共
振回路が接続される。この自励発振回路によってスイッ
チング素子Q1をオン/オフするスイッチング周波数f
sが生成される。スイッチング周波数fsは約100K
Hzで固定とされる。
【0029】また、スイッチング素子Q1のベースと平
滑コンデンサCiの負極(1次側アース)間に挿入され
るクランプダイオードDD1により、スイッチング素子Q
1のオフ時に流れるクランプ電流の経路を形成するよう
にされており、また、スイッチング素子Q1のコレクタ
は、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の巻
終り始め端部と接続され、エミッタは接地される。
【0030】また、上記スイッチング素子Q1のコレク
タ−エミッタ間に対しては、並列共振コンデンサCrが
並列に接続されている。そしてこの場合にも、並列共振
コンデンサCr自身のキャパシタンスと、絶縁コンバー
タトランスPITの一次巻線N1側のリーケージインダ
クタンスL1とにより電圧共振形コンバータの一次側並
列共振回路を形成する。
【0031】絶縁コンバータトランスPITは、メイン
スイッチング素子Q1のスイッチング出力を二次側に伝
送する。なお、本実施の形態としては、絶縁コンバータ
トランスPITの構造に特徴を有するが、これについて
は後述する。上記絶縁コンバータトランスPITの一次
巻線N1の巻終わり端部は、メインスイッチング素子Q1
のコレクタと接続され、巻始め端部は平滑コンデンサC
iの正極(整流平滑電圧Ei)と接続されている。
【0032】絶縁コンバータトランスPITの二次側で
は、一次巻線N1により誘起された交番電圧が二次巻線
N2に発生する。この場合、二次巻線N2に対しては、二
次側並列共振コンデンサC2が並列に接続されること
で、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2と二次
側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスとによって
並列共振回路が形成される。この並列共振回路により、
二次巻線N2に誘起される交番電圧は共振電圧となる。
つまり二次側において電圧共振動作が得られる。即ち、
この電源回路では、一次側にはスイッチング動作を電圧
共振形とするための並列共振回路が備えられ、二次側に
は電圧共振動作を得るための並列共振回路が備えられ
た、「複合共振形スイッチングコンバータ」としての構
成を有する。
【0033】上記ようにして形成される電源回路の二次
側に対しては、整流ダイオードDO1及び平滑コンデンサ
CO1から成る半波整流回路を備えることで二次側直流出
力電圧EO1を得るようにしている。なお、この直流出力
電圧EO1は制御回路1に対しても分岐して入力される。
制御回路1においては、直流出力電圧EO1を検出電圧及
び制御回路1の動作電源として利用する。
【0034】また、この電源回路においては、二次側に
アクティブクランプ回路20が備えられる。即ち二次側
アクティブクランプ回路20として、MOS−FETの
補助スイッチング素子Q2,クランプコンデンサC3,
ボディダイオードのクランプダイオードDD2を備える。
また、補助スイッチング素子Q2を駆動するための駆動
回路系として、ドライブ巻線Ng1,コンデンサCg1,
抵抗Rg1を備えて成る。
【0035】補助スイッチング素子Q2のドレイン−ソ
ース間に対してはクランプダイオードDD2が並列に接続
される。その接続形態としては、クランプダイオードD
D2のアノードがソースに対して接続され、カソードがド
レインに対して接続されるようになっている。また、補
助スイッチング素子Q2のドレインはクランプコンデン
サC3を介して、二次巻線N2の巻終わり端部と整流ダ
イオードDO1のアノードとの接続点に対して接続され
る。また、補助スイッチング素子Q2のソースは二次側
アースに対して接続される。従って、二次側アクティブ
クランプ回路20としては、上記補助スイッチング素子
Q3、クランプダイオードDD2の並列接続回路に対し
て、クランプコンデンサC3を直列に接続して成るもの
とされる。そして、このようにして形成される回路を二
次側並列共振回路(共振コンデンサC2)に対して更に
並列に接続して構成されるものである。
【0036】また、補助スイッチング素子Q2の駆動回
路系としては、図示するように、補助スイッチング素子
Q2のゲートに対して、コンデンサCg1−抵抗Rg1−
ドライブ巻線Ng1の直列接続回路が接続される。この
直列接続回路は補助スイッチング素子Q2のための自励
式駆動回路を形成する。即ちこの自励式駆動回路からの
信号電圧がスイッチング素子Q2のゲートに印加されス
イッチング動作が行われる。この場合のドライブ巻線N
g1は、二次巻線N2の巻始め端部側に形成されており、
この場合の巻数としては例えば1T(ターン)としてい
る。これにより、ドライブ巻線Ng1には、一次巻線N1
に得られる交番電圧により励起された電圧が発生する。
また、この場合には、その巻方向の関係から、二次巻線
N2とドライブ巻線Ng1とは逆極性の電圧が得られる。
なお、ドライブ巻線Ng1としても、そのターン数は1
Tであればその動作は保証されるが、これに限定される
ものではない。
【0037】また二次側に備えられる制御回路1によっ
て、補助スイッチング素子Q2のスイッチング動作がP
WM制御されるようになっている。即ち二次側直流出力
電圧EO1は制御回路1に供給され、制御回路1がそれに
応じた直流制御電圧を補助スイッチング素子Q2のゲー
トに印加することで、補助スイッチング素子Q2の導通
角が制御される。これによって交流入力電圧VACや負荷
電力Poの変動に対する直流出力電圧E01の定電圧化が
行われる。これは負荷電力の急激な変動に対して非常に
高速過渡応答が速いシステムとなる。
【0038】このような構成の場合、例えばスイッチン
グ周波数は固定とされた上で、負荷変動等による二次側
直流出力電圧EO1のレベル変化に応じて、補助スイッチ
ング素子Q2のオフ期間は一定としてオン期間を可変制
御するという動作が得られる。つまり、補助スイッチン
グ素子Q2のスイッチング動作について、その導通角を
可変制御する動作が得られる。ここで、例えば軽負荷の
状態となって二次側直流出力電圧EO1のレベルが上昇し
たとすると、補助スイッチング素子Q2のオン期間は拡
大されるようにして導通角制御が行われる。
【0039】そして、上記のようにしてPWM制御が行
われる結果、絶縁コンバータトランスPITの二次巻線
N2に誘起される電圧としては、負極性の波形のパルス
幅が拡大し、正極性の波形のパルス幅が短くなる。二次
側整流ダイオードDO1では、この二次側並列共振電圧を
入力してフォワード動作により整流を行うことから、二
次側整流ダイオードDO1が導通してオンとなる期間は短
縮され、一方のオフとなる期間は拡大することになる。
このようにして、結果的には整流ダイオードDO1の導通
角が制御されることで、二次側直流出力電圧の安定化が
図られることになる。
【0040】このようにして二次側にアクティブクラン
プ回路20を設けた構成では、整流ダイオードDO1がオ
フとなる期間において発生する二次側並列共振回路(N
2//C2)の共振パルスのピークレベルについて、アクテ
ィブクランプ回路を設けない場合の構成と比較して、ほ
ぼ1/2程度とすることができる。そして、本実施の形
態においては、二次側に設けられるアクティブクランプ
回路20Aにおける自励発振駆動回路についても、LC
R共振回路(Rg−Cg−Lg)の構成が採られている
ことで、補助スイッチング素子Q2によるスイッチング
損失が低減され、電源回路としてのDC−DC電力変換
効率を、アクティブクランプ回路を設けない構成とした
場合と同等にまで向上されるものである。
【0041】図2は、上記図1に示す電源回路に備えら
れる絶縁コンバータトランスPITの構造を示してい
る。なお、この図においては、説明の便宜上、駆動巻線
Ng1の図示は省略し、一次巻線N1及び二次巻線N2に
ついて示している。絶縁コンバータトランスPITは、
図示するように、2つのE型コアCR1,CR2により
EE型コアを構成する。そして、このEE型コアに対し
て分割ボビンBを備え、図示するようにして、例えば分
割ボビンBのE型コアCR1側の巻装領域に対して一次
巻線N1を巻装し、E型コアCR2側の巻装領域に対し
て二次巻線N2を巻装する。そして、本実施の形態の場
合、一次巻線N1と二次巻線N2の巻回方向としては、図
中におけるコアの左右外側の矢印により示すようにし
て、互いの巻線方向が逆となる、いわゆる逆転巻き構造
となっている。また、本実施の形態の場合には、E型コ
アCR1,CR2の各中央磁脚の対向部位においてはギ
ャップは形成されていない。
【0042】ここで再度、図1を参照して、絶縁コンバ
ータトランスPITの一次巻線N1と二次巻線N2の接続
について説明する。図1に示されるように、例えば一次
巻線N1の巻始め端部と巻終わり端部の接続は、先行技
術として図7に示した回路の場合と逆となる。つまり、
図1に示す回路では、一次巻線N1の巻始め端部は平滑
コンデンサCiの正極端子に対して接続され、巻終わり
端部がメインスイッチング素子Q1のコレクタに対して
接続されるものである。また、二次巻線N2としては、
その巻終わり端部が整流ダイオードDO1を介して平滑コ
ンデンサCO1の正極端子と接続され、巻始め端部が二次
側アースと接続されるようになっている。つまり、図1
に示す電源回路としては、上記図2に示したようにして
一次巻線N1と二次巻線N2とが逆転巻き構造とされる絶
縁コンバータトランスPITを備える場合であっても、
図9(a)の等価回路に示される加極性となるように一
次巻線N1と二次巻線N2とを接続しているものである。
【0043】このような構成によると、一次巻線N1に
流れる一次巻線電流I1によって発生する一次磁束φ1
の極性と、二次巻線N2に流れる二次巻線電流I2によっ
て発生する二次磁束φ2の極性は、図2におけるコア内
に示される矢印のようになる。これは、例えば先行技術
として示した図8の絶縁コンバータトランスPITの場
合に対して、一次磁束φ1の極性が逆とされているもの
である。なお、二次磁束φ2の極性は、図8の絶縁コン
バータトランスPITと同じとなっている。本実施の形
態においては、上記図2に示すような一次磁束φ1と二
次磁束φ2との極性の関係が得られることになるのであ
るが、これにより、一次磁束φ1と二次磁束φ2として
は、両者が打ち消し合うように作用する。即ち、絶縁コ
ンバータトランスPITの中央磁脚において得られる磁
束(Δφ)としては、 |φ1−φ2|=Δφ で表されることになる。これは、上記もしたように、一
次磁束φ1と二次磁束φ2とが打ち消しあっており、例
えば図7の回路の場合のようにして、加わり合うことは
ないことを示している。従って、本実施の形態では、絶
縁コンバータトランスPITの中央磁脚に得られる磁束
としては、これまでよりも弱いものとすることができ
る。そして、この結果、一次側と二次側の結合係数kと
しては、例えばk=0.8〜0.9程度の疎結合の状態
を得ることができる。これにより、本実施の形態の絶縁
コンバータトランスPITとしては、敢えて中央磁脚に
対してギャップを形成しなくとも、コアが飽和しないよ
うにできるものであり、結果的には図2に示したように
して、ギャップを設けないようにされているものであ
る。なお、実際には、例えばギャップ長を0とした中央
磁脚の接合面において、可聴音のいわゆるコア鳴きが生
じる可能性があることから、例えばマイラーフィルムを
中央磁脚の接合面に施すようにして、0.1mm以下の
ギャップ長のギャップを形成しても構わない。
【0044】そして、このようにして、絶縁コンバータ
トランスPITを構成することで、中央磁脚に得られる
磁束はこれまでよりも遙かに弱いものとなるために、例
えば図8の場合のような、ギャップ周辺に発生するフリ
ンジ磁束に依る巻線の温度上昇と、これに伴う電力変換
効率の低下も解消されることになる。
【0045】また、本実施の形態の絶縁コンバータトラ
ンスPITとしては、中央磁脚に得られる磁束(Δφ)
が弱いものとなることから、一次巻線N1と二次巻線N2
の漏洩インダクタンスも減少することになる。そして、
これによって、例えば負荷電力Po=200W程度の重
負荷の条件であっても、メインスイッチング素子Q1と
しては安定したZVS動作を実現することが可能にな
る。
【0046】図3は、上記した構成による図1の電源回
路における要部の動作を示す波形図である。ここでは、
交流入力電圧VAC=220V、負荷電力Po=200W
の条件での動作が示される。なお、比較のために一点鎖
線により図7の電源回路の場合の波形も示した。
【0047】メインスイッチング素子Q1のスイッチン
グ動作によって、一次側並列共振コンデンサCrの両端
には図3(a)に示すように共振パルス電圧VQ1が固定
周期で発生する。この時、メインスイッチング素子Q1
を流れるコレクタ電流I1は、図3(b)のようにな
る。即ちメインスイッチング素子Q1のターンオン時に
はクランプダイオードDD1、メインスイッチング素子Q
1のベース−コレクタを介して一次巻線N1にダンパー
電流(負方向)が流れ、このダンパー電流が流れる期間
が終了すると、コレクタ電流I1はそのレベルが負から
正に急激に上昇していく。このようなスイッチング動作
が行われることで、絶縁コンバータトランスPITの二
次巻線N2には図3(d)の共振電流I2が流れ、二次
側並列共振コンデンサC2には図3(c)のような共振
電圧V2が発生する。そして整流ダイオードD01が動作
する正の期間には、電圧E01レベルにクランプされた電
圧が得られる。
【0048】またアクティブクランプ回路20が導通す
ることで、クランプダイオードDD2→クランプコンデ
ンサC3の経路でクランプ電流IQ2が流れるが、これ
は図3(e)のような、負方向から時間経過に従って正
方向に流れる鋸歯状波となる。アクティブクランプ回路
20が導通しているときは、大部分の電流がクランプ電
流IQ2としてクランプコンデンサC3に流れ、二次側並
列共振コンデンサC2には殆ど流れない。このためアク
ティブクランプ回路20が導通している期間においても
共振電圧V2がクランプされ、結果的に図3(c)に示
されるように、負の電圧レベルが制限される。
【0049】また、図4(a)には、一次側並列共振電
圧VQ1とメインスイッチング素子Q1に流れるスイッチ
ング出力電流IQ1が示されている。このときの条件とし
ては、負荷電力Po=200Wで、AC100V系の交
流入力電圧VAC=75V〜85V程度の減圧時とされ
る。なお図4(b)は比較のために図7の電源回路の場
合としての波形を示している。
【0050】図4(b)の波形から分かるように、図7
の回路の場合は期間TONにおいてスイッチング出力電流
IQ1が負極性レベルから正極性レベルに反転するタイミ
ングで、一次側並列共振電圧VQ1とスイッチング出力電
流IQ1について正レベルでパルス的に出現する現象が生
じている。つまり、ZVS動作とならない異常動作とな
っているものである。これに対して、図1に示す回路に
おいては、図4(a)に示すようにして、期間TONにお
ける一次側並列共振電圧VQ1のパルスは消滅しており、
これと共にスイッチング出力電流IQ1の波形も、パルス
が現れない正常なものとなっている。つまり、本実施の
形態では重負荷で低交流入力電圧の条件下であっても、
ZVS動作が正常に行われていることが示されているも
のである。
【0051】ここで、図1に示す電源回路における要部
のスペックについて示しておく。先ず、絶縁コンバータ
トランスPITについては、EE−40のコアを採用し
たうえで、ギャップ長Gap=0とされ、一次巻線N1
と二次巻線N2のターン数としては、N1=50T、N2
=45Tとしている。また、一次側並列共振コンデンサ
Cr=5600pF、二次側並列共振コンデンサC2=
8200pF、クランプコンデンサC3=0.27μF
となる。また、先に図7に示した電源回路においては、
絶縁コンバータトランスPITとしてEE−40のコア
を同様に採用し、Gap=1mmとされる。また、一次
巻線N1=二次巻線N2=45T、一次側並列共振コンデ
ンサCr=6800pF、二次側並列共振コンデンサC
2=0.01μF、クランプコンデンサC3=0.33
μFとなる。
【0052】そして、図1に示す電源回路の電力変換効
率は、負荷電力Po=200Wの負荷条件で、VAC=1
00V時には91.9%という結果が得られた。これに
対して図7に示す回路では、負荷電力Po=200Wの
負荷条件で、VAC=100V時には90.8%であっ
た。つまり、先行技術と比較して1.1%の電力変換効
率の向上が図られているものである。これは、電力損失
としては2W程度の低減となるものである。
【0053】また、図1に示す回路の絶縁コンバータト
ランスPITにおける温度上昇値としては、図7に示す
回路に対して、一次巻線N1と二次巻線N2ともに、4°
C程度の大幅な低下が見られている。具体的には一次巻
線N1で45°Cから41°Cに、二次巻線N2で52
°Cから48°Cに低下した。
【0054】図5は、本発明の第2の実施の形態として
のスイッチング電源回路の構成例を示している。なお、
この図において図1と同一部分には同一符号を付して説
明を省略する。これは、一次側がICとMOS−FET
を用いた他励発振形電圧共振コンバータとし、二次側が
MOS−FETによるアクティブクランプ回路20と倍
電圧整流方式電流共振回路とした複合共振形コンバータ
回路の例となる。
【0055】この図に示す電源回路の一次側電圧共振形
コンバータは、他励式によるシングルエンド方式の構成
を採っている。そして、この場合にはメインスイッチン
グ素子Q1として、MOS−FETが採用されている。
このMOS−FETとしてのメインスイッチング素子Q
1のドレインは、一次巻線N1の巻終わり端部に対して接
続され、ソースは一次側アースに対して接続される。ま
た、並列共振コンデンサCrは、メインスイッチング素
子Q1のドレイン−ソース間に対して並列に接続され
る。また、クランプダイオードDD1もまた、メインスイ
ッチング素子Q1のドレイン−ソース間に対して並列に
接続される。
【0056】スイッチング駆動部2は、他励式によりメ
インスイッチング素子Q1を駆動するために設けられて
いるもので、例えば1石のICとして構成することがで
きる。このスイッチング駆動部2は、発振回路3とドラ
イブ回路4から成る。このスイッチング駆動部2は、起
動時においては、整流平滑電圧Eiのラインから起動抵
抗Rsを介して起動用の電力を得るようにされている。
【0057】発振回路3では、発振信号を生成してドラ
イブ回路4に対して出力する。ドライブ回路4において
は、入力された発振信号をMOS−FETであるメイン
スイッチング素子Q1を駆動可能なドライブ電圧に変換
して、メインスイッチング素子Q1のゲートに対して出
力する。これにより、メインスイッチング素子Q1は発
振信号に基づく所定のスイッチング周波数fsでスイッ
チング駆動されることになる。
【0058】また、図5に示す回路の二次側において
は、二次巻線N2の巻始め端部に対して二次側直列共振
コンデンサCsが直列に接続されており、二次巻線N2
の漏洩インダクタンスL2と二次側直列共振コンデンサ
Csのキャパシタンスとによって二次側直列共振回路
(電流共振回路)を形成している。即ちこの図に示す電
源回路は、複合共振形スイッチングコンバータとして、
一次側には電圧共振回路を備え、二次側には電流共振回
路を備えた構成を採る。
【0059】そしてこの場合の二次側整流回路として
は、図示するようにして2本の整流ダイオードDO1,D
02と平滑コンデンサC01を接続して形成されている。こ
のような接続形態によっては、いわゆる倍電圧半波整流
回路としての構成が得られることになる。この倍電圧半
波整流回路は、二次巻線N2に得られる交番電圧の半周
期において、整流ダイオードDO2により整流した電流に
よって二次側直列共振コンデンサCsに対して充電を行
うようにされる。そして、次の半周期によって、二次側
直列共振コンデンサCsに得られた電位が加わる状態で
整流ダイオードD01が導通して平滑コンデンサCO1に対
して充電を行うという動作を繰り返す。そして、このよ
うな動作によって、平滑コンデンサCO1の両端電圧であ
る二次側直流出力電圧EO1としては、二次巻線N2に得
られる交番電圧レベルの2倍に対応するレベルが得られ
るものである。従って、このようにして二次側に倍電圧
半波整流回路が備えられる場合において、二次側直流出
力電圧EO1として、等倍電圧整流回路により得られるレ
ベルと同等のレベルでよいものとすれば、二次巻線N2
の巻数を通常の1/2程度にまで少なくすることができ
る。
【0060】またアクティブクランプ回路20として
は、その構成要素は図1の例と同様となる。そしてその
アクティブクランプ回路20を構成するクランプコンデ
ンサC3と補助スイッチング素子Q2の直列回路は、共振
コンデンサCsと並列に接続される。つまり、クランプ
コンデンサC3は、二次巻線N2と共振コンデンサCs
の接続点に対して接続される。これによって二次巻線N
2に発生する共振電流による共振コンデンサCsへの充
電電荷がコントロールされる。また二次側に備えられる
制御回路1によって、補助スイッチング素子Q2のスイ
ッチング動作がPWM制御されるようになっている。即
ち二次側直流出力電圧EO1は制御回路1に供給され、制
御回路1がそれに応じた直流制御電圧を補助スイッチン
グ素子Q2のゲートに印加することで、補助スイッチン
グ素子Q2の導通角が制御される。これによって交流入
力電圧VACや負荷電力Poの変動に対する直流出力電圧
E01の定電圧化が行われる。
【0061】そして、このような構成にあっても、図2
に示す構造の絶縁コンバータトランスPITが備えら
れ、また、一次巻線N1と二次巻線N2の接続を加極性接
続としていることで、図1の電源回路と同様の効果が得
られるものである。
【0062】図6は、第3の実施の形態としてのスイッ
チング電源回路の構成例が示される。なお、この図にお
いて図1及び図5と同一部分には同一符号を付して説明
を省略する。これは入力電圧倍圧整流回路で、一次側が
IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)を用い
た電圧共振回路、二次側がIGBTによるアクティブク
ランプ回路20と半波整流方式電圧共振回路を組み合わ
せた構成例である。IGBTは、高いスイッチング特性
を有することで知られている。
【0063】この図に示す回路においては、まず交流入
力に対する整流平滑回路系として、整流ダイオードDi
1、Di2と、平滑コンデンサCi1、Ci2が図示するよう
に接続され、いわゆる倍電圧整流平滑回路が構成され
る。また一次側電圧共振形コンバータを形成するIGB
Tによるメインスイッチング素子Q1に対しては、図5
の例と同様に発振回路3及びドライブ回路4によるスイ
ッチング駆動部2が設けられる。
【0064】このIGBTによるメインスイッチング素
子Q1のコレクタは、一次巻線N1の巻終わり端部に対し
て接続され、エミッタは一次側アースに対して接続され
る。また、並列共振コンデンサCrは、メインスイッチ
ング素子Q1のコレクタ−エミッタ間に対して並列に接
続される。また、クランプダイオードDD1もまた、メイ
ンスイッチング素子Q1のコレクタ−エミッタ間に対し
て並列に接続される。
【0065】スイッチング駆動部2は、他励式によりメ
インスイッチング素子Q1を駆動するために設けられて
いるもので、例えば1石のICとして構成される。スイ
ッチング駆動部2は、起動時においては、整流平滑電圧
Eiのラインから起動抵抗Rsを介して起動用の電力を
得る。そして発振回路3では、発振信号を生成してドラ
イブ回路4に対して出力し、ドライブ回路4において
は、入力された発振信号をメインスイッチング素子Q1
を駆動可能なドライブ電圧に変換して、メインスイッチ
ング素子Q1のゲートに対して出力する。これにより、
メインスイッチング素子Q1は発振信号に基づく所定の
スイッチング周波数fsでスイッチング駆動される。な
お、このような構成において、メインスイッチング素子
Q1としては例えばSIT(静電誘導サイリスタ))等
が採用されて構わないものである。
【0066】また、この図に示す電源回路の二次側の構
成は、基本的には図1の構成と同様となる。但し、アク
ティブクランプ回路20の補助スイッチング素子Q2と
してIGBTが採用される点が異なるものとなる。
【0067】そして、このような構成にあっても、図2
に示す構造の絶縁コンバータトランスPITが備えら
れ、また、一次巻線N1と二次巻線N2の接続を加極性接
続としていることで、図1及び図5の電源回路と同様の
効果が得られるものである。
【0068】以上実施の形態について説明してきたが、
本発明の電源回路としては、例えば一次側電圧共振形コ
ンバータの方式と二次側整流回路の組み合わせなども、
各図に示したもの以外に各種考えられるものである。更
に、アクティブクランプ回路の駆動方式も、各図に示し
た自励式の構成のみに限定されるものではなく、他の自
励方式又は他励方式等を採用した構成として構わない。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、複合共振
形とされ、かつ、二次側にアクティブクランプ回路が設
けられるスイッチング電源回路の絶縁コンバータトラン
スについて、一次巻線と二次巻線とについていわゆる逆
転巻きとしたうえで、一次巻線と二次巻線を加極性接続
するようにしている。この構造では、一次磁束と二次磁
束は打ち消し合うように作用することになるため、本発
明としては、絶縁コンバータトランスのコアに対して飽
和を抑制するためのギャップは施さなくてもよいことに
なる。上記のようにして絶縁コンバータトランスのコア
に対してギャップを施さなくて済むことで、本発明にあ
っては、絶縁コンバータトランスの製造にあたり、ギャ
ップを形成するための工程が省略され、また、製造管理
も行いやすくなる。即ち、絶縁コンバータトランスを備
える電源回路の製造能率が向上されるものである。
【0070】また、ギャップが施されないことで、この
ギャップ近傍におけるフリンジ磁束の発生も解消され
て、一次巻線及び二次巻線における大幅な発熱の抑制と
電力損失の低減が図られる。また、特に本発明における
絶縁コンバータトランスの構造によっては、一次巻線及
び二次巻線に流れる電流量をこれまでよりも少なくする
ことができるために、これによっても上記した発熱の抑
制と電力損失の低減をより促進することが可能になる。
【0071】更に、本発明における絶縁コンバータトラ
ンスPITの構造では、漏洩インダクタンスも減少され
ることから、例えば負荷で低交流入力電圧の条件におい
てもZVS動作が保証され、電源回路としての信頼性が
向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のスイッチング電源
回路の構成例を示す回路図である。
【図2】実施の形態のスイッチング電源回路に備えられ
る絶縁コンバータトランスの構造を示す断面図である。
【図3】実施の形態のスイッチング電源回路における要
部の動作を示す波形図である。
【図4】実施の形態と先行技術のスイッチング電源回路
とについてのZVS動作を比較するための波形図であ
る。
【図5】本発明の第2の実施の形態のスイッチング電源
回路の構成例を示す回路図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態のスイッチング電源
回路の構成例を示す回路図である。
【図7】先行技術としてのスイッチング電源回路の構成
例を示す回路図である。
【図8】先行技術のスイッチング電源回路に備えられる
絶縁コンバータトランスの構造を示す断面図である。
【図9】絶縁コンバータトランスにおける、相互インダ
クタンスが加極性モードと減極性モードの場合の各動作
を示す等価回路図である。
【符号の説明】
1 制御回路、2 スイッチング駆動部、3 発振回
路、4 ドライブ回路、20 アクティブクランプ回
路、Q1 メインスイッチング素子、Cr 一次側並列
共振コンデンサ、DD1,DD2 クランプダイオード、C
2 二次側並列共振コンデンサ、PIT 絶縁コンバー
タトランス、C3 クランプコンデンサ、Q2 補助ス
イッチング素子

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直流入力電圧を断続して出力するための
    メインスイッチング素子を備えて形成されるスイッチン
    グ手段と、 上記スイッチング手段の動作を電圧共振形とする一次側
    並列共振回路が形成されるようにして備えられる一次側
    並列共振コンデンサと、 一次側と二次側とで疎結合とされる所要の結合係数が得
    られる構造を有し、一次側に得られる上記スイッチング
    手段の出力を二次側に伝送する絶縁コンバータトランス
    と、 上記絶縁コンバータトランスの二次側巻線に対して二次
    側共振コンデンサを接続することで形成される二次側共
    振回路と、 上記絶縁コンバータトランスの二次側巻線に得られる交
    番電圧を入力して整流動作を行うことで二次側直流出力
    電圧を得るように構成される直流出力電圧生成手段と、 上記二次側共振コンデンサに対して並列に、クランプコ
    ンデンサと二次側補助スイッチング素子とによる直列接
    続回路を備えて形成される二次側アクティブクランプ手
    段と、 上記二次側直流出力電圧に基づく直流制御信号を上記二
    次側補助スイッチング素子に印加して上記二次側補助ス
    イッチング素子の導通角制御を実行することで上記二次
    側直流出力電圧を定電圧化する定電圧化手段と、 を備え、 上記絶縁コンバータトランスは、飽和を抑制するための
    ギャップが施されていないコアを備えると共に、上記一
    次巻線と上記二次巻線は互いに逆となる巻方向によって
    上記コアに対して巻回され、上記一次巻線と上記二次巻
    線とについては加極性接続される、 ことを特徴とするスイッチング電源回路。
JP2000333545A 2000-10-27 2000-10-27 スイッチング電源回路 Abandoned JP2002136138A (ja)

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