JP2004072851A - 渦電流減速装置 - Google Patents

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Masahira Tasaka
田坂 誠均
Kenji Imanishi
今西 憲治
Yasutoku Tani
谷 泰徳
Mitsuo Miyahara
宮原 光雄
Yasutaka Noguchi
野口 泰隆
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

【課題】磁気効率に優れ、小型化および軽量化が可能であり、非制動時にも、漏れ磁束の発生を削減でき、切替ストロークを最小にできる。
【解決手段】「磁石極面対向方式」または「ポールピースレス方式」の渦電流減速装置であって、案内筒が強磁性体で構成され、その少なくとも一部が薄肉であることを特徴とする渦電流減速装置である。さらに、この装置では、案内筒の端面に磁気回路遮蔽部を設け、凹部または貫通部で構成し、非磁性体を埋め込むようにするのが望ましい。また、案内筒に補強部材を設けるのがよい。
【選択図】図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両に用いられる主ブレーキを補助するディスクタイプの渦電流減速装置に関し、さらに詳しくは、十分な制動トルクを得られるとともに、非制動時に漏れ磁束の発生が少なく、簡易な構造で小型化および軽量化が可能な渦電流減速装置に関するものである。
【0002】
トラックやバス等の自動車用の制動装置には、主ブレーキであるフットブレーキ、補助ブレーキである排気ブレーキの他に長い坂道の降坂等において安定した減速を行い、さらにフットブレーキのベーパーロック現象や焼損を防止するために、渦電流減速装置が使用されている。
【0003】
従来からある渦電流減速装置に一つには、永久磁石を用いて回転しながら対向する導体内に渦電流を生じさせ、ローレンツ力により回転に制動をかける方式がある。本方式は一般的なので、図示はしないが、通常、内部に収納した永久磁石がスイッチング位置に移動可能に構成される案内筒と、案内との外側で車体の回転軸に接続されているローター部分とから構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
通常、案内筒は、非磁性体で構成されてきたが、非磁性体では非制動位置での永久磁石からローターやディスク等へ到達するわずかな漏れ磁束を遮蔽できず、制動トルクを発生させるという問題がある。
【0005】
本発明は、十分な制動トルクを得るとともに、非制動時に漏れ磁束の発生を無くすことができる渦電流減速装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決すべくなされたものであり、本発明による請求項1および2に記載される渦電流減速装置の特徴は、回転軸に取り付けられた制動ディスクと、非回転部分に支持されて前記制動ディスクの側方に配置された案内筒と、この案内筒の内部に収容され、前記制動ディスクのに近づく方向と離れる方向とに回転軸方向に移動可能な保持リングと、この保持リングの円周方向に前記制動ディスクに対向して、隣接する磁極が互いに逆向きに配した複数の永久磁石とを設けた渦電流減速装置であって、前記案内筒の少なくとも一部が薄肉の強磁性体で構成されている。
【0007】
なお、上記で規定する「近づく方向と離れる方向」は、制動ディスクの回転軸方向とするのが望ましい。このように構成することによってシンプルな移動装置となる。さらに、案内筒からの漏れ磁束を少なくするため、案内筒を強磁性体で構成するのが望ましい。
【0008】
また、本発明で規定する薄肉とは、案内筒を構成する素材の板厚が、単位面積当たりに透過できる磁束が上限に達し、磁気飽和の状態になり案内筒を構成する素材内部にできる磁気回路に迂回する磁束が殆どなくなり、永久磁石からの総磁束のほぼ90%以上の磁束が制動ディスクに到達するような厚さの状態をいい、各素材ごと異なる。
【0009】
請求項3に記載される渦電流減速装置では、前記案内筒の少なくとも前記永久磁石と前記制動ディスクに挟まれる領域が、案内筒の他の部分より厚いことを特徴としている。
【0010】
ここでいう案内筒の永久磁石と制動ディスクに挟まれる領域とは、保持リングの円周方向に配された複数の永久磁石の投影像とほぼ合致するが、完全に合致するものではなく、多少小さくても、はみ出していてもよい。
【0011】
請求項4に記載される渦電流減速装置では、前記案内筒の少なくとも前記永久磁石と前記制動ディスクに挟まれる領域に、さらに強磁性体を備えたことを特徴としている。
【0012】
ここで強磁性体を備えたこととしているのは、接着、ボルト止めされ、または溶接される等のあらゆる方法を包含するものである。望ましい態様としては接着する方法であり、この方法によれば磁力抵抗となる部分が少ない構造となり、しかも強磁性体を備えることが容易であり、そのための加工を必要としないからである。
【0013】
請求項5に記載される渦電流減速装置では、案内筒の一部を薄肉にする実施態様を規定するものである。その構成の特徴は、永久磁石と制動ディスクに挟まれる、案内筒の領域の少なくとも外縁部の厚さが、案内筒の他の部分よりも薄いことである。
【0014】
図5は、本発明で規定する外縁部を説明する図である。外縁部とは、前述の案内筒3の永久磁石7と制動ディスク2に挟まれる領域の周辺部を示しており、前記の領域と完全に合致するものではなく、多少外側および内側を含んだ部分が該当する。具体的には、図5に示すZ部が相当する。
【0015】
請求項6〜8に記載される渦電流減速装置では、迂回回路の発生をなくし、迂回回路によって発生する磁束ロスを削減するため、複数の永久磁石を個々に分けるように磁気回路遮蔽部を設けたことを特徴としている。磁気回路遮蔽部の態様としては、凹部または貫通部であってもよく、さらに非磁性体が埋め込まれているものでもよい。
【0016】
請求項9に記載される渦電流減速装置では、装置の小型化および軽量化を一層促進するのに有効な実施態様を規定するものである。その構成の特徴は、案内筒に補強部材が設けられていることである。
【0017】
【発明の実施の形態】
最近では、渦電流減速装置に対する要求も多様化し、製造コストの低減を図るとともに、小型車への搭載も可能にするような、車両への搭載性を向上させる要請が強くなっている。この搭載性の向上には、小型で軽量化が図れ、かつ簡易構造で経済性に優れることが要求される。
【0018】
ディスクタイプの渦電流減速装置において、永久磁石の磁極面を制動ディスクに対向させて接近させ、ディスク自体に制動トルクを発生させる方式(以下、「磁石極面対向方式」という場合がある)が検討されてきている。この方式であれば、永久磁石の磁力線を短い磁路長さで制動ディスクに付加できるので、磁気回路の磁気抵抗が小さくなり、磁気効率が向上し、制動トルクを増大させることができる。
【0019】
図1および図2は、永久磁石を用いた「磁石極面対向方式」の渦電流減速装置の構成例を示す断面図である。図1は制動時における装置構成を示しており、図2は非制動時における装置構成を示している。
【0020】
この渦電流減速装置では、回転軸1に取り付けられた強磁性体からなる制動ディスク2と、この制動ディスク2の側方に配置された非磁性体からなる案内筒3から構成される。案内筒3は車両等の非回転部分に支持されており、その内部には、制動ディスク2の制動面に対し垂直方向に前後進が可能な強磁性体からなる保持リング4が収容され、さらに、案内筒3には保持リング4を前後進させるシリンダー5が設けられている。一方、案内筒3の制動ディスクと対向する端面には、強磁性材(ポールピース)8が配置される。
【0021】
保持リング4の制動ディスク2と対向する側面には、複数の永久磁石7が円周方向に配置されている。永久磁石7の磁極の方向は制動ディスク2の制動面に対向しており、隣接する永久磁石の磁極が互いに逆向きに配置されている。各永久磁石7の磁極面に対向する強磁性材8は、円周方向に永久磁石7と対をなすように複数配置される。
【0022】
永久磁石7の駆動機構は、案内筒3の外端壁にシリンダー5が配置され、シリンダー5に嵌合するピストンロッド6が案内筒3の外端壁を貫通して保持リング4に結合している。このように構成することによって、シリンダー5の作動により制動ディスク2に対し直交する方向に、保持リング4を近づいたり、離れたりする方向に前後進させることができる。
【0023】
制動時には、図1の矢印で示すように、シリンダー5のピストンロッド6が右方へ移動し、保持リングが制動ディスク2に近づく方向に前進し、永久磁石7が制動ディスクに対向して接近する。
【0024】
このとき、各永久磁石7が強磁性材8を経て制動ディスク2の制動面に垂直に及ぼす磁力線を回転する制動ディスク2が横切る時、制動ディスク内の磁束の変化から制動ディスク2に渦電流が流れ、制動トルクが発生する。
【0025】
非制動に切り換える際には、シリンダー5の作動を切り換えて、図2の矢印で示すように、ピストンロッド6に直結された保持リング4を左方へ制動ディスクから離れる方向に移動させるので、永久磁石7が強磁性材(ポールピース)8から離れ、永久磁石7が制動ディスク2へ及ぼす磁力は弱いものとなる。
【0026】
前記の図1および図2に示す、永久磁石を用いた「磁石極面対向方式」の渦電流減速装置では、非磁性体で構成される案内筒の永久磁石と対向する端面に強磁性材(ポールピース)が設けられている。
【0027】
これは、永久磁石は温度依存性が強く、一定温度以上になると磁力が低下し、制動トルクが低減するので、永久磁石の昇温を抑制するため、永久磁石と発熱源である制動ディスク間に適当な距離を設けていることによる。すなわち、これらの距離が大きくなると、制動トルクが低下するため、強磁性材(ボールピース)を両者の間に介在させて、磁気回路上のギャップが最小になるようにしているためである。
【0028】
ところが、案内筒がドラムに覆われたドラムタイプに比べ、ディスクタイプでは、案内筒を発熱部である制動ディスクの外部に露出した構造にできるので、案内筒そのものの放熱性が優れる。そのため、案内筒への入熱量が同等であるとしても、ディスクタイプの案内筒では、外気と直接接する構造にでき、放冷可能な面積を増加できるので、ドラムタイプに比べ案内筒内の温度上昇を抑制できる。
【0029】
さらに、装置の構造をディスクタイプにすることによって、ドラムタイプに比べ、冷却フィンを取り付けることが容易となり、発熱源である制動ディスクの放熱能力を増大させることができる。したがって、制動時において永久磁石の温度上昇が抑制でき、加えて制動ディスクから伝えられる熱そのものも低減できるので、永久磁石と制動ディスクとの距離を極端に小さくすることが可能になる。
【0030】
その結果として、永久磁石を制動ディスクに充分に近づけることができ、強磁性体(ポールピース)を用いずに磁気回路を構成したとしても、十分な制動トルクを確保することができる。このような知見に基づいて、新たに、強磁性体(ポールピース)を用いない「磁石極面対向方式」の渦電流減速装置が開発されつつある。
【0031】
図3は、強磁性体(ポールピース)を用いない「磁石極面対向方式」の渦電流減速装置の構成を示す図である。図3に示す渦電流減速装置では、基本的な構成や各部材の作用は前記図1および図2に示す「磁石極面対向方式」の渦電流減速装置と同じであるが、案内筒3は、その制動ディスクと対向する端面に強磁性体(ポールピース)を配置させることなく、非磁性材で構成されている。
【0032】
また、図3に示す渦電流減速装置では、強磁性材(ポールピース)を設けなくとも、永久磁石からの磁力線を短い磁路長さで、直接、制動ディスクに付加できるので、制動トルクの発生効率を向上させることができる。
【0033】
以下の説明において、図3に示す、強磁性体(ポールピース)を用いない「磁石極面対向方式」の渦電流減速装置を特定する場合には、「ポールピースレス方式」の渦電流減速装置という。
【0034】
前述の通り、永久磁石を制動ディスクに対向させて配置した「磁石極面対向方式」の渦電流減速装置、および「ポールピースレス方式」の渦電流減速装置のいずれであっても、非回転部分に支持されて制動ディスクと対向するように配置された案内筒は、基本的には非磁性体で構成されている。
【0035】
通常、「磁石極面対向方式」の渦電流減速装置では、永久磁石の昇温を抑制するため、永久磁石と発熱源である制動ディスク間に適当な距離を設けるとともに、磁気回路上のギャップが最小になるように、強磁性材(ボールピース)が案内筒の永久磁石と対向する端部に設けられる。しかし、これらは非磁性体からなる素材に接着、ボルト止めされ、または溶接される構造であり、案内筒は非磁性体の素材で構成されている。
【0036】
渦電流減速装置の案内筒を透磁率の高い強磁性体で構成すると、制動時に、制動ディスクに対向して発生する、制動に必要な磁気回路とは別に、案内筒内を迂回する磁気回路が形成される。このため、永久磁石が制動ディスクに及ぼす磁束が低減されることから、磁気効率が低下して、発生する制動トルクが減少することになる。このため、前述するように、迂回する磁気回路の形成を防ぐために、「磁石極面対向方式」の渦電流減速装置、および「ポールピースレス方式」の渦電流減速装置のいずれであっても、案内筒は非磁性体で構成されている。
【0037】
しかしながら、案内筒を非磁性体で構成すると、非制動時に漏れ磁束が発生するおそれがある。すなわち、非制動時、永久磁石を制動状態から切り替えて、制動ディスクを後退させても、永久磁石を収容する案内筒を通して磁気漏れがあり、磁束の一部が制動ディスクに到達し、僅かであるが制動トルクの発生がある。
【0038】
このように、非制動時にも関わらず僅かに発生する制動トルクを無くそうとすると、永久磁石を制動ディスクから引き離すための切替ストロークを大きくする、あるいは磁気漏れ防止の新たな手段が必要になる。しかし、この切替ストロークを大きくすると、制動と非制動の切替に時間を要するとともに、装置の小型化、軽量化に支障を生ずることになり、磁気漏れ防止手段の付加も装置の小型化、軽量化に支障を生ずることが多い。
【0039】
本発明は、上記した「磁石極面対向方式」および「ポールピースレス方式」の渦電流減速装置が具備する問題点に鑑みてなされたものであり、案内筒を磁性体で構成し、十分な制動トルクを得られるとともに、非制動時に漏れ磁束の発生を無くし、簡易な構造で小型、軽量化が可能な渦電流減速装置を提供することを目的としている。
【0040】
本発明者らは、上記の課題を解決するため、「磁石極面対向方式」や「ポールピースレス方式」で採用される案内筒の素材について種々の条件で検討を加えた結果、制動ディスクと対向する案内筒を特に薄肉の強磁性体で構成するのが有効であることに着目した。
【0041】
図4は、本発明の一例である案内筒を強磁性体で構成した場合の制動時における磁気回路の形成状況を示す図である。同(a)は、案内筒を比較的厚肉で構成した場合に形成される磁気回路を示しているが、案内筒3を強磁性体で構成すると、制動時には、制動に必要な磁気回路とは別に、迂回する磁気回路が形成される。このため、制動ディスク2に到達する磁束が低減し、磁気効率が低下することになる。
【0042】
図4(b)は、案内筒の端面を薄肉の強磁性材で構成した場合に形成される磁気回路を示しているが、制動にともなって、案内筒3は速やかに磁気飽和を起こし、迂回する磁気回路による磁束のロスが軽減されるようになる。具体的には、素材ごとに単位面積当たりに透過できる磁束の上限、すなわち、限界となる磁束密度が存在し、案内筒3が薄肉で断面積が小さいと、透過できる磁束が速やかに上限に達し、磁気飽和の状態になる。
【0043】
図4(c)は、案内筒の端面の一部を薄肉で構成した場合に形成される磁気回路を示している。この場合であっても、制動にともなって、案内筒3の薄肉部で磁気飽和を起こし、迂回する磁気回路による磁束のロスが軽減されるようになる。
【0044】
図4(b)、(c)に示すように、制動ディスク2と対向して、制動に必要な磁気回路とは別に、迂回する磁気回路が形成するようになるが、案内筒3が薄肉であり、または一部に薄肉を有するため、直ちに磁気飽和を生じ、迂回する磁気回路による磁束のロスは少なくなる。このため、案内筒3を非磁性体で構成した場合に比べ、若干の磁束ロスは避けられないが、充分な制動力を得ることができる。
【0045】
一方、非制動時には、案内筒3を強磁性体で構成しているため、案内筒3から発生する漏れ磁束が極端に少なくなる。このため、制動ディスク2に制動トルクが発生することがなく、制動から非制動への切替ストロークを最小にすることが可能になり、切替時間の短縮を図るとともに、装置の小型化、軽量化が容易になる。
【0046】
渦電流減速装置の小型化および軽量化を一層促進するには、案内筒の軽量化、すなわち、薄肉にすることが必要になる。案内筒の薄肉化にともなって、強磁性体である案内筒は永久磁石に吸引され、変形するおそれがあることから、薄肉化された案内筒を部分的に補強し、その強度を維持するのが望ましい。
【0047】
上述の通り、本発明の渦電流減速装置では、案内筒を非磁性体で構成した場合に比べ、若干の迂回する磁気回路による磁束ロスは避けられないが、案内筒の円周方向の一部を非磁性体にすることによって、迂回する磁気回路の発生を阻止することができる。これにより、僅かであるが迂回する磁気回路による磁束ロスも解消でき、さらに制動効率を向上させることができる。
本発明の渦電流減速装置の一例として、非制動時における漏れ磁束の発生を防止するため、案内筒を透磁率の高い強磁性体で構成することとした。通常、案内筒を強磁性体で構成すると、制動に必要な磁気回路とは別に、迂回する磁気回路が形成されることになるが、薄肉の強磁性材で構成することにより、制動後、直ちに案内筒を磁気飽和させるようにして、磁束ロスを低減させ、充分な制動トルクを確保することができる。
【0048】
本発明の渦電流減速装置例の望ましい構成は、回転軸に取り付けられた制動ディスクと、非回転部分に支持されて前記制動ディスクの側方に配置された案内筒と、この案内筒の内部に収容され、前記制動ディスクの回転軸方向に移動可能な保持リングと、この保持リングの円周方向に前記制動ディスクに対向して、隣接する磁極が互いに逆向きに配した複数の永久磁石とを設け、前記案内筒が強磁性体で構成され、その少なくとも一部が薄肉である。
【0049】
個別の構成として、ポールピースを設けた「磁石極面対向方式」の渦電流減速装置では、案内筒の永久磁石と対向する端面に強磁性材を配設し、この端面を含む全体を薄肉の強磁性体で構成している。このとき、端面を厚肉の強磁性体で構成し、ポールピースを兼ねるようにしてもよい。また、この端面以外は非磁性体(強磁性体以外の磁性体、主に弱い磁性材を含む)で構成してもよい。一方、「ポールピースレス方式」の渦電流減速装置では、前記案内筒の永久磁石と対向する端面を含む全体を強磁性体で構成しているが、この端面以外を非磁性体(強磁性体以外の磁性体、主に弱い磁性材を含む)で構成してもよい。
【0050】
上記のように構成することにより、ポールピースを設けた「磁石極面対向方式」の渦電流減速装置、および「ポールピースレス方式」の渦電流減速装置のいずれであっても、制動時の制動トルクを充分に確保でき、非制動時における漏れ磁束を削減できるので、制動から非制動への切替ストロークを最小にすることが可能になり、切替時間の短縮を図るとともに、装置の小型化、軽量化が容易となる。
【0051】
【実施例】
以下に、本発明例の案内筒を強磁性体で構成し、その少なくとも一部を薄肉とした渦電流減速装置の具体的な構成を、実施例1〜4に基づいて説明する。
【0052】
図6は、本発明の実施例1の渦電流減速装置の構成を説明する図である。実施例1の渦電流減速装置では、回転軸1に取り付けられた導体からなる制動ディスク2と、この制動ディスク2の側方に配置された案内筒3から構成されており、案内筒3は肉厚tなる薄肉の強磁性体で構成されている。案内筒3は車両等の非回転部分に支持されており、その内部には、制動ディスク2の回転軸方向に前後進可能な強磁性体からなる保持リング4が収容され、さらに、案内筒3には保持リング4を前後進させるシリンダー5が設けられている。
【0053】
保持リング4の制動ディスク2と対向する側面には、複数の永久磁石7が円周方向に配置されている。永久磁石7の磁極の方向は制動ディスク2の制動面に対向しており、隣接する永久磁極が互いに逆向きに配置している。保持リング4および永久磁石7を収容する案内筒3は、永久磁石7と対向する端面を含め全体が炭素鋼、フェライト系またはマルテンサイト系ステンレス鋼等の強磁性体で構成されている。案内筒3の端面には、ポールピースが配置されることがない。
【0054】
案内筒3を構成する強磁性体の肉厚tは、制動時に磁気飽和を生ずる必要があることから、2.0mm以下にするのが望ましい。このような薄肉を均一に確保するため、案内筒の加工に際しては、薄板鋼板の深絞り加工等を採用することができる。
【0055】
図7は、実施例2の渦電流減速装置における案内筒の端面の構成を示す図である。同(a)は、前記図6のX−X矢視から観察した案内筒の端面の構成を示す図であり、永久磁石7と対向する案内筒3の端面に、複数の永久磁石7を個々に分けるように磁気回路遮蔽部3cを設けることによって、迂回回路の発生を阻止することにしている。これにより、迂回回路によって発生する磁束ロスを削減し、さらに制動効率の向上を図ることとしている。
【0056】
図7(b)は、同(a)のY−Y矢視から観察した磁気回路遮蔽部の断面構成を示す図であり、案内筒3の端面に加工を施し、局部的に薄肉化を行い凹部3cを構成して、磁気飽和しやすい形状にしている。さらに、この凹部には非磁性体、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼、耐熱プラスチック等を埋め込むようにしてもよい。
【0057】
図7(c)は、磁気回路遮蔽部の他の態様を示す図であり、案内筒3の端面に穴加工を施して、貫通部3cを設けている。この場合には、案内筒内部の補強のために、非磁性体、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼、耐熱プラスチック等を埋め込むのが望ましい。
【0058】
図8に示す実施例3の渦電流減速装置では、案内筒3の薄肉化にともなって、強磁性体である案内筒3は永久磁石7に吸引され、変形するおそれがあることから、部分的に補強し、その強度を維持することにしている。
【0059】
実施例3における他の装置構成及び作用は、実施例1の場合と同様である。実施例3では、案内筒3全体を薄肉材で構成したため、案内筒3の端面外周部に補強部材3aを配置し、案内筒3全体の強度を維持するようにしている。
【0060】
図9に示す実施例4の渦電流減速装置では、案内筒3全体を薄肉材で構成するとともに、内部補強および保持リングのガイドを兼ね備えたガイドチューブ3bを設けて、二重管構造にしている。このように二重管構造にすることによって、案内筒をさらに薄肉化することが可能になり、装置の小型化、軽量化を達成することができる。
【0061】
実施例4の場合においても、案内筒3全体を薄肉材で構成したため、案内筒3の端面外周部に補強部材3aを配置し、案内筒3全体の強度を維持するようにしてもよい。
【0062】
【発明の効果】
本発明の渦電流減速装置によれば、永久磁石を用いた「磁石極面対向方式」の渦電流減速装置であっても、「ポールピースレス方式」の渦電流減速装置であっても、案内筒を薄肉の強磁性体で構成することによって、制動時に永久磁石からの磁束を充分に制動ディスクに付加でき、制動トルクの発生効率を確保でき、非制動時においても、漏れ磁束の発生を削減できるので、制動から非制動への切替ストロークを最小にすることが可能になり、切替時間の短縮を図るとともに、装置の小型化および軽量化が容易となる。
【0063】
さらに、案内筒の端面外周部に補強部材を配置することによって、一層の薄肉化が可能となり、案内筒の円周方向の一部を非磁性体にすることによって、一層の制動効率の向上を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】永久磁石を用いた「磁石極面対向方式」の渦電流減速装置の制動時の構成例を説明する図である。
【図2】永久磁石を用いた「磁石極面対向方式」の渦電流減速装置の非制動時の構成例を説明する図である。
【図3】強磁性体(ポールピース)を用いない「磁石極面対向方式」の渦電流減速装置の構成を示す図である。
【図4】案内筒を強磁性体で構成した場合の制動時における磁気回路の形成状況を示す図である。
【図5】本発明で規定する外縁部を説明する図である。
【図6】本発明の実施例1の渦電流減速装置の構成を説明する図である。
【図7】本発明の実施例2の渦電流減速装置における案内筒の端面の構成を示す図である。
【図8】本発明の実施例3の渦電流減速装置の構成を説明する図である。
【図9】本発明の実施例4の渦電流減速装置の構成を説明する図である。
【符号の説明】
1:回転軸、 2:制動ディスク
3:案内筒、 3a:補強部材
3b:ガイドチューブ
3c:磁気回路遮蔽部、凹部、貫通部
4:保持リング、 5:シリンダー
6:ピストンロッド、 7:永久磁石
8:強磁性材、ポールピース

Claims (9)

  1. 回転軸に取り付けられた制動ディスクと、非回転部分に支持されて前記制動ディスクの側方に配置された案内筒と、この案内筒の内部に収容され、前記制動ディスクに近づく方向と離れる方向とに移動可能な保持リングと、この保持リングの円周方向に前記制動ディスクに対向して、隣接する磁極が互いに逆向きに配した複数の永久磁石とを設けた渦電流減速装置であって、前記案内筒の少なくとも一部が薄肉の強磁性体で構成されることを特徴とする渦電流減速装置。
  2. 前記案内筒が強磁性体からなることを特徴とする請求項1に記載の渦電流減速装置。
  3. 前記案内筒の少なくとも前記永久磁石と前記制動ディスクに挟まれる領域が、案内筒の他の部分より厚いことを特徴とする請求項1または2に記載の渦電流減速装置。
  4. 前記案内筒の少なくとも前記永久磁石と前記制動ディスクに挟まれる領域に、さらに強磁性体を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の渦電流減速装置。
  5. 前記案内筒の前記永久磁石と前記制動ディスクに挟まれる領域の少なくとも外縁部の厚さが、案内筒の他の部分よりも薄いことを特徴とする請求項1または2に記載の渦電流減速装置。
  6. 前記案内筒の前記永久磁石と対向する端面に、前記複数の永久磁石を個々に分けるように磁気回路遮蔽部を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の渦電流減速装置。
  7. 前記案内筒の端面に設けられた磁気回路遮蔽部は、凹部または貫通部であることを特徴とする請求項6に記載の渦電流減速装置。
  8. 前記磁気回路遮蔽部に非磁性体が埋め込まれていることを特徴とする請求項6または7に記載の渦電流減速装置。
  9. 前記案内筒に補強部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の渦電流減速装置。
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