JP2004071745A - 固体電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】矩形状の陽極体を短辺方向で陽極部と陰極部に分離したコンデンサ素子4と、このコンデンサ素子4の陽極部と陰極部が夫々接続されて長辺側に引き出された陽極端子2a/陰極端子3aと、この陽極端子2a/陰極端子3aの一部が外表面に露呈する状態で上記コンデンサ素子4を被覆した外装樹脂9からなる構成により、一対の端子間の距離を長辺より短くしてESLに寄与する製品長さを短くすることができるためにESLを大幅に低減することができるようになり、小型大容量化と低ESL化・低ESR化を図った固体電解コンデンサ1を安定して提供することができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は各種電子機器に使用される固体電解コンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータのCPU周り等に使用される電解コンデンサには小型大容量化が強く望まれており、更に高周波に対応して低ESR(等価直列抵抗)化のみならず、更に過渡応答性に優れた低ESL化が要求されており、このような要求に応えるために種々の固体電解コンデンサが検討されている。
【0003】
図6はこの種の従来の固体電解コンデンサの構成を示した斜視図、図7は同断面図、図8は同コンデンサ素子を示した斜視図であり、図6〜図8において16は固体電解コンデンサ、17はコンデンサ素子を示し、このコンデンサ素子17はエッチングにより表面積を拡大した矩形状(長辺L×短辺W)のアルミニウム箔、または陽極導出線を埋設した弁作用金属粉末(タンタル、ニオブ等)を矩形状に成形して焼結したもののいずれかを陽極体として用い、この陽極体をレジスト材21により長辺方向で陽極部22と陰極部23に分離した後、陰極部23を電解液中で陽極酸化(化成)することにより外表面に図示しない誘電体酸化皮膜層を形成し、この誘電体酸化皮膜層上に固体電解質層(図示せず)、陰極層24を順次積層形成することによって構成されたものである。
【0004】
18,19はこのようにして構成されたコンデンサ素子17を複数枚積層して夫々短辺(W)側で接続した陽極コム端子と陰極コム端子、20はこの陽極コム端子18と陰極コム端子19の一部が夫々外部に露呈する状態で積層された複数枚のコンデンサ素子17を一体に被覆した絶縁性の外装樹脂であり、このような構成により矩形状(長辺L×短辺W)の短辺側に陽極コム端子18と陰極コム端子19を夫々備えた小型大容量化を図った面実装可能な固体電解コンデンサが構成されているものであった。
【0005】
図5はこのような従来の固体電解コンデンサを含む現在入手可能な種々のコンデンサのESL特性を測定した結果を示した特性図であり、図5から明らかなように製品の長さが長いほどESLは大きくなり、また、同一の製品長さで比較すると、タンタル粉末を用いた陽極体からなるコンデンサ素子をコム端子に接続したタイプのESLが最も高く、次にアルミニウム箔を用いた陽極体からなるコンデンサ素子をコム端子に接続したタイプのESLが高く、次にアルミニウム箔を用いた陽極体からなるコンデンサ素子を端面で集電したタイプのESLが高いということが分かるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記図6〜図8に示した従来の固体電解コンデンサでは、アルミニウム箔を用いた陽極体からなる矩形状のコンデンサ素子17の陽極部22と陰極層24を短辺(W)側に対向して設けた陽極コム端子18と陰極コム端子19に夫々接続することにより小型大容量化と低ESR化を図ることを主体に開発されたものであるため、上記図5からも明確なように、ESL特性を評価してみると決して満足できる性能のものではないという課題を有していた。
【0007】
本発明はこのような従来の課題を解決し、小型大容量で低ESR化と低ESL化を両立した固体電解コンデンサを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に記載の発明は、弁作用金属からなる矩形状の陽極体を短辺方向で陽極部と陰極部に分離し、この陰極部の表面に誘電体酸化皮膜層、固体電解質層、陰極層が順次積層形成されたコンデンサ素子と、このコンデンサ素子の陽極部ならびに陰極部が夫々接続されて長辺側に相反するように引き出された陽極端子ならびに陰極端子と、この陽極端子ならびに陰極端子の一部が外表面に露呈する状態で上記コンデンサ素子を被覆した絶縁性の外装樹脂からなる構成としたものであり、これにより、ESLに寄与する一対の陽極端子/陰極端子間の距離を長辺より短くすることができるためにESLを大幅に低減することができるという作用効果を有する。
【0009】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、弁作用金属からなる矩形状の陽極体が粗面化処理された弁作用金属箔、または弁作用金属箔上に弁作用金属粉末からなる焼結層を形成したものであるという構成のものであり、これにより、請求項1に記載の発明により得られる作用効果と同様の作用効果を有する。
【0010】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、弁作用金属がアルミニウム、タンタル、ニオブ、またはその合金のいずれかであるという構成にしたものであり、これにより、小型大容量の固体電解コンデンサを実現することができるという作用効果を有する。
【0011】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、固体電解質層が導電性高分子からなる構成にしたものであり、これにより、高電導度の固体電解質を用いてESRを低減することができるという作用効果を有する。
【0012】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、コンデンサ素子を複数枚積層して一体に接続した構成のものであり、これにより、請求項1に記載の発明により得られる作用効果に加え、小型大容量で低ESRの固体電解コンデンサを実現することができるという作用効果を有する。
【0013】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1〜5に記載の発明について説明する。
【0014】
図1(a),(b)は本発明の実施の形態1による固体電解コンデンサの構成を示した斜視図とA−A断面における断面図、図2は同コンデンサ素子を示した斜視図であり、図1(a)において、1は固体電解コンデンサ、2aと3aは後述する陽極コム端子と陰極コム端子に夫々一体で設けられた陽極端子と陰極端子を示し、この陽極端子2aと陰極端子3aは矩形状(長辺L×短辺W)に形成された固体電解コンデンサ1の長辺L側に対向して一対で設けることにより、一対の陽極端子2a/陰極端子3a間の距離を長辺Lの寸法よりも短くなるように構成されているものである。
【0015】
図2は上記図1に示した固体電解コンデンサ1に用いられるコンデンサ素子4を示したものであり、このコンデンサ素子4はアルミニウム等の弁作用金属箔からなる矩形状の陽極体を絶縁性のレジスト材5を用いて短辺方向で陽極部6と陰極部7に分離し、この陰極部7の表面に図示しない誘電体酸化皮膜層、固体電解質層を形成した後、カーボンおよび銀ペーストからなる陰極層8を形成することにより構成されているものである。
【0016】
このようにして構成されたコンデンサ素子4は、図1(b)に示すように陽極端子2aを一体で設けた陽極コム端子2と陰極端子3aを一体で設けた陰極コム端子3の表裏面に導電性接着剤を介して夫々複数枚(図2では各4枚の例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない)積層した状態で各陽極部6を陽極コム端子2に、各陰極層8を陰極コム端子3に夫々接続して電気的に一体化した後、上記陽極コム端子2と陰極コム端子3の一部が外表面に露呈する状態で絶縁性の外装樹脂9で一体に被覆し、さらにこの外装樹脂9から表出した陽極コム端子2と陰極コム端子3の一部を夫々外装樹脂9に沿って下面側に折り曲げ、さらに下面に沿って折り曲げることにより陽極端子2aと陰極端子3aを形成し、これにより面実装可能な矩形状の固体電解コンデンサ1が構成されているものである。
【0017】
このように構成された本実施の形態による固体電解コンデンサは、ESLに寄与する一対の陽極端子2a/陰極端子3a間の距離を長辺Lより短くすることができるためにESLを大幅に低減することができるようになり、低ESRで、かつESLを大幅に低減した小型大容量の固体電解コンデンサを実現することができるものであり、本実施の形態による固体電解コンデンサのESLを測定したところ、2.0〜2.5nHの範囲内で安定しており、従来品と比較して極めて低いことが分かる(結果を図5に記載)。
【0018】
なお、本実施の形態ではコンデンサ素子4を構成する陽極体として粗面化処理された弁作用金属箔を用いた例で説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、弁作用金属箔上に弁作用金属粉末からなる焼結層を形成したものを用いても同様の作用効果が得られるものである。
【0019】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2について説明するが、本実施の形態は上記実施の形態1の陽極コム端子ならびに陰極コム端子の形状が異なるようにしたものであり、これ以外の構成は実施の形態1と同様であるために同一部分には同一の符号を付与してその詳細な説明は省略し、異なる部分についてのみ以下に詳細に説明する。
【0020】
図3(a),(b)は本発明の実施の形態2による固体電解コンデンサの構成を示した斜視図とA−A断面における断面図であり、図3において11は陽極端子11aを一体で設けた陽極コム端子、12は陰極端子12aを一体で設けた陰極コム端子を示し、この陽極コム端子11と陰極コム端子12上に導電性接着剤を介して複数枚(図3では8枚の例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない)積層した状態で各陽極部を陽極コム端子11に、各陰極層を陰極コム端子12に夫々接続して電気的に一体化した後、上記陽極コム端子11と陰極コム端子12の一部が外表面に露呈する状態で絶縁性の外装樹脂9で一体に被覆し、さらにこの外装樹脂9から表出した陽極コム端子11と陰極コム端子12の一部を夫々外装樹脂9に沿って下面側に折り曲げ、さらに下面に沿って折り曲げることにより陽極端子11aと陰極端子12aを形成し、これにより面実装可能な矩形状の固体電解コンデンサ10が構成されているのは上記実施の形態1と同様である。
【0021】
このように構成された本実施の形態による固体電解コンデンサは、上記実施の形態1と同様に低ESRで、かつESLを大幅に低減した小型大容量の固体電解コンデンサを実現することができるものであり、ESLは2.0〜2.5nHの範囲内で安定しており、従来品と比較して極めて低いことが分かる(結果を図5に記載)。
【0022】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3について説明するが、本実施の形態は上記実施の形態1の陽極コム端子ならびに陰極コム端子の形状が異なるようにしたものであり、これ以外の構成は実施の形態1と同様であるために同一部分には同一の符号を付与してその詳細な説明は省略し、異なる部分についてのみ以下に詳細に説明する。
【0023】
図4(a),(b)は本発明の実施の形態3による固体電解コンデンサの構成を示した斜視図とA−A断面における断面図であり、図4において14は陽極端子14aを一体で設けた陽極コム端子、15は陰極端子15aを一体で設けた陰極コム端子を示し、この陽極コム端子14と陰極コム端子15上に導電性接着剤を介して複数枚(図4では8枚の例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない)積層した状態で各陽極部を陽極コム端子14に、各陰極層を陰極コム端子15に接続して夫々電気的に一体化した後、上記陽極コム端子14と陰極コム端子15の一部が外表面に露呈する状態で絶縁性の外装樹脂9で一体に被覆し、さらにこの外装樹脂9から表出した陽極コム端子14と陰極コム端子15の一部を夫々外装樹脂9に沿って外側に向って折り曲げ、さらに側面に沿って上方に折り曲げることにより陽極端子14aと陰極端子15aを形成し、これにより面実装可能な矩形状の固体電解コンデンサ13が構成されているのは上記実施の形態1と同様である。
【0024】
このように構成された本実施の形態による固体電解コンデンサは、上記実施の形態1と同様に低ESRで、かつESLを大幅に低減した小型大容量の固体電解コンデンサを実現することができるものであり、ESLは2.0〜2.5nHの範囲内で安定しており、従来品と比較して極めて低いことが分かる(結果を図5に記載)。
【0025】
【発明の効果】
以上のように本発明による固体電解コンデンサは、弁作用金属からなる矩形状の陽極体を短辺方向で陽極部と陰極部に分離し、この陰極部の表面に誘電体酸化皮膜層、固体電解質層、陰極層が順次積層形成されたコンデンサ素子と、このコンデンサ素子の陽極部ならびに陰極部が夫々接続されて長辺側に相反するように引き出された陽極端子ならびに陰極端子と、この陽極端子ならびに陰極端子の一部が外表面に露呈する状態で上記コンデンサ素子を被覆した絶縁性の外装樹脂からなる構成にしたことにより、ESLに寄与する一対の陽極端子/陰極端子間の距離を長辺より短くすることができるためにESLを大幅に低減することができるようになり、低ESRで、かつESLを大幅に低減した小型大容量の固体電解コンデンサを実現することができるという格別の作用効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の実施の形態1による固体電解コンデンサの構成を示した斜視図
(b)同A−A断面における断面図
【図2】同コンデンサ素子を示した斜視図
【図3】(a)本発明の実施の形態2による固体電解コンデンサの構成を示した斜視図
(b)同A−A断面における断面図
【図4】(a)本発明の実施の形態3による固体電解コンデンサの構成を示した斜視図
(b)同A−A断面における断面図
【図5】本発明の実施の形態による固体電解コンデンサのESL特性を従来品と比較して示した斜視図
【図6】従来の固体電解コンデンサの構成を示した斜視図
【図7】同断面図
【図8】同コンデンサ素子を示した斜視図
【符号の説明】
1,10,13 固体電解コンデンサ
2,11,14 陽極コム端子
3,12,15 陰極コム端子
2a,11a,14a 陽極端子
3a,12a,15a 陰極端子
4 コンデンサ素子
5 レジスト材
6 陽極部
7 陰極部
8 陰極層
9 外装樹脂
Claims (5)
- 弁作用金属からなる矩形状の陽極体を短辺方向で陽極部と陰極部に分離し、この陰極部の表面に誘電体酸化皮膜層、固体電解質層、陰極層が順次積層形成されたコンデンサ素子と、このコンデンサ素子の陽極部ならびに陰極部が夫々接続されて長辺側に相反するように引き出された陽極端子ならびに陰極端子と、この陽極端子ならびに陰極端子の一部が外表面に露呈する状態で上記コンデンサ素子を被覆した絶縁性の外装樹脂からなる固体電解コンデンサ。
- 弁作用金属からなる矩形状の陽極体が粗面化処理された弁作用金属箔、または弁作用金属箔上に弁作用金属粉末からなる焼結層を形成したものである請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- 弁作用金属がアルミニウム、タンタル、ニオブ、またはその合金のいずれかである請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- 固体電解質層が導電性高分子からなる請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- コンデンサ素子を複数枚積層して一体に接続した請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
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