JP2004071606A - 電子部品のボンディング装置およびボンディングツール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ホーン15の端部にスリット25を形成し、望ましくはスリット25にファンにより送風する。圧着部30を加熱するヒータ38の熱はホーン15から振動子17に伝達されるが、スリット25によりこの熱伝達は低減され、伝熱により振動子17が悪影響を受けるのを防止できる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バンプ付き電子部品などの電子部品を基板の電極などの被接合面にボンディングする電子部品のボンディング装置およびボンディングツールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子部品を基板の電極などの被接合面にボンディングする方法として、超音波圧接を用いる方法が知られている。この方法は、電子部品を被接合面に対して押圧しながら電子部品に超音波振動を与え、接合面を微小に振動させて摩擦を生じさせることにより接合面を密着させるものである。この方法に用いられるボンディングツールは、振動発生源である超音波振動子の振動を電子部品に伝達させる細長形状の棒体であるホーンを有しており、このホーンに備えられた圧着部によって電子部品に荷重と振動を作用させながら、電子部品を被接合面に圧着してボンディングするようになっている。またボンディング効果をあげるために、ホーンにヒータを設け、このヒータにより圧着部を加熱するようになっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ヒータの熱は、ホーンを通じて超音波振動子にも伝達され、超音波振動子は加熱される。しかしながら超音波振動子は熱に弱いので、この加熱により寿命の低下や振動特性に変動を生じさせるおそれがあった。
【0004】
そこで本発明は、圧着部を加熱するためのヒータによる振動子への悪影響を低減できる電子部品のボンディング装置およびボンディングツールを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ボンディングツールにより電子部品に荷重と振動を作用させながら電子部品を被接合面に接合する電子部品のボンディング装置であって、前記ボンディングツールが、横長のホーンと、このホーンに装着されてこのホーンに振動を付与する振動子と、ホーンに設けられて電子部品を圧着する圧着部と、この圧着部を加熱するヒータとを備え、前記振動子と前記圧着部の間の前記ホーンに前記振動子への伝熱を防止するための通気部を形成した。
【0006】
また本発明は、電子部品に荷重と振動を作用させながら電子部品を被接合面に接合する電子部品のボンディングツールであって、横長のホーンと、このホーンに装着されてこのホーンに振動を付与する振動子と、ホーンに設けられて電子部品を圧着する圧着部と、この圧着部を加熱するヒータとを備え、前記振動子と前記圧着部の間の前記ホーンに前記振動子への伝熱を防止するための通気部を形成した。
【0007】
本発明によれば、圧着部を加熱するためのヒータの伝熱により振動子が加熱されるのを通気部により抑制し、振動子の長寿命化を安定した振動特性を得ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は本発明の一実施の形態における電子部品のボンディング装置の正面図、図2は本発明の一実施の形態における電子部品のボンディングツールの斜視図、図3は本発明の一実施の形態における電子部品のボンディングツールの平面図、図4は本発明の一実施の形態における電子部品のボンディングツールの取付部の部分拡大平面図である。
【0009】
まず、図1を参照して電子部品のボンディング装置の全体構造を説明する。1は支持フレームであって、その前面には第1昇降板2と第2昇降板3が昇降自在に設けられている。第1昇降板2にはシリンダ4が装着されており、そのロッド5は第2昇降板3に結合されている。第2昇降板3にはボンディングヘッド10が装着されている。支持フレーム1の上面には上下動手段としてのZ軸モータ6が設けられている。Z軸モータ6は垂直な送りねじ7を回転させる。送りねじ7は第1昇降板2の背面に設けられたナット8に螺合している。したがってZ軸モータ6が駆動して送りねじ7が回転すると、ナット8は送りねじ7に沿って上下動し、第1昇降板2と第2昇降板3は上下動する。
【0010】
図1において、ボンディング対象物である基板46は基板ホルダ47上に載せられており、基板ホルダ47はテーブル48上に載せられている。基板46の上面の回路パターン面が、電子部品の被接合面となる。テーブル48は可動テーブルであって、基板46をX方向、Y方向、θ方向へ水平移動させ、基板46を所定の位置に位置決めする。テーブル48は電子部品40に対して基板46を相対的に移動させる基板46の位置決め手段となっている。
【0011】
42はカメラであって、可動テーブル43に装着されている。44はカメラ42から前方へ延出する鏡筒である。カメラ42を可動テーブル43に沿って前進させ、鎖線で示すように鏡筒44の先端部をボンディングツール14の下面に吸着して保持された接合物としてのバンプ付きの電子部品40と基板46の間に位置させ、その状態で電子部品40と基板46の位置をカメラ42で観察する。
【0012】
73は認識部であり、カメラ42で撮像された電子部品40や基板46の画像を認識してこれらの位置を検出する。70は主制御部であり、モータ駆動部71を介してZ軸モータ6すなわちボンディングヘッド10の昇降動作を制御し、テーブル制御部72を介してテーブル48の制御すなわち基板46の位置決めを行う。また主制御部70は、認識部73によって検出された電子部品40と基板46の位置より、水平面内における両者の位置ずれを演算し、この位置ずれを補正するようにテーブル48を駆動する。さらに主制御部70には、荷重制御部74と吸引装置76が接続されている。
【0013】
押圧手段としてのシリンダ4は荷重制御部74を介して主制御部70に接続されており、シリンダ4のロッド5の突出力すなわちボンディングツール14で電子部品40のバンプを基板46に押し付ける押圧荷重が制御される。吸引装置76は主制御部70からの指令によってボンディングツール14の圧着部による電子部品40の吸引・吸引解除を行う。振動子17は、超音波振動子駆動部75を介して主制御部70に接続されており、主制御部70からの指令に従って超音波振動を行う。
【0014】
ボンディングヘッド10の本体11の下端部にはホルダ12が結合されている。ホルダ12にはボンディングツールの取付体としてのブロック13が装着され、ブロック13はボンディングツール14の取付体となるものである。ブロック13の側部の連結部13aは吸引装置76に接続されている。以下、図2、図3を参照してボンディングツール14について説明する。
【0015】
図2に示すように、ボンディングツール14はブロック13の下部に取付けられる横長のホーン15を主体としている。ホーン15は細長の棒状体であり、平面視してその両端部からセンター(中心位置)へ向って次第に幅狭となる側面であるテーパ面15aを有している。またホーン15の上下両面もセンターへ向かって細くなるテーパ面15bになっている。ホーン15の中心位置の下面には圧着部30が着脱自在に装着されている。図1において、ブロック13の側面に設けられた連結部13aには吸着パッド19が連結されている。
【0016】
ホーン15には圧着部30のノズル31に連通する吸引孔16aが形成されており(図2参照)、吸着パッド19はホーン15の上面に開孔する吸引孔16aに接続している。したがって吸着パッド19に接続された吸引装置76(図1)を駆動してエアを吸引することにより、ノズル31の下端部にバンプ付きの電子部品40を真空吸着して保持することができる。
【0017】
図2において、圧着部30から等距離隔てられた4ヶ所には、ボンディングツール14をブロック13に取付けるための角形のリブ50が設けられている。ブロック13への取り付けバランスを良くするために、4個のリブ50はホーン15の中心位置の圧着部30を中心として平面視して対称に複数個(本例では4個)突設されている。ボンディングツール14は、リブ50に形成された貫通孔51にネジやボルトなどの止具18を挿着することにより、ブロック13の下部に着脱自在に装着されている。すなわち、ボンディングツール14は、圧着部30の両側部に位置するリブ50を介して、ブロック13の下部にその左右を両持状態で取付けられている。
【0018】
図3において、ホーン15の側面には弾性を有する屈曲自在な細片状の連結部52が突設されており、連結部52の先端にリブ50が一体的に形成されている。リブ50にはホーン15の長手方向に横長のスリット53が開孔されている。リブ50を弾性を有する樹脂などにより形成すると、より屈曲性を増すので望ましい。リブ50と連結部52は、ボンディングツール14をブロック13に取付ける取付部となっている。
【0019】
図3において、振動子17が駆動すると、ホーン15はその長手方向aへ振動するが、長手方向aに直交する方向bへも若干振動する。一方、ホーン15は固着手段としての止具18により、複数箇所(本例では4ヶ所)をブロック13に固着されている。ホーン15が上記長手方向aや直交する方向bへ振動しても、固着手段(止具18)の位置は一定であって動かない。そして長手方向aの振動は連結部52がホーン15の長手方向へ首振り(図4の矢印a’)することにより許容される。すなわちホーン15から側方へ突出する屈曲自在な連結部52は、ホーン15の長手方向aの振動許容部となっている。
【0020】
図4において、ホーン15の上記直交する方向bへの振動は、スリット53を開孔したことにより、リブ50が点線で示すように上記直交する方向b’へ弾性変形することにより許容される。リブ50を望ましくは弾性変形しやすい樹脂などの素材で形成し、且つこれに加えてリブ50が弾性変形しやすいように貫通孔であるスリット53を形成することにより、直交する方向b’へ弾性変形しやすくしている。すなわち弾性体から成るリブ50やスリット53は、ホーン15がその長手方向aと直交する方向bへ振動するのを許容する振動許容部となっている。
【0021】
ホーン15の長手方向aおよびこれと直交する方向bの振動を許容する振動許容部の構造は本実施の形態に限定されないのであって、要はホーン15の取付部に屈曲自在な連結部やスリット等を設けることにより、ホーン15が振動を阻害されずに十分に振動できるようにすればよい。
【0022】
図2において、ホーン15の側端部には振動付与手段である振動子17が装着されている。振動子17を駆動することにより、ホーン15には縦振動(ホーン15の長手方向aの振動)が付与され、圧着部30は同方向aに振動する。ホーン15の形状は両端部から中央部に向かって側面のテーパ面15aおよび上下面のテーパ面15bを経て順次幅および高さが絞られた絞り形状となっている。これにより、振動子17より圧着部30に伝達される経路において超音波振動の振幅は増幅され、圧着部30には振動子17が発振する振幅以上の振動が伝達され、この振動は圧着部30の下方へ突出する接合作用部であるノズル31を介して電子部品40に伝達される。
【0023】
この電子部品40への振動伝達においては、振動子17によってホーン15を介して伝達される縦振動のみならず、ホーン15の縦振動によって突出形状の圧着部30に誘起される曲げ振動が重畳して伝達される。ホーン15の取付部(リブ50の位置)とホーンの中心部(圧着部30の位置)は、それぞれホーン15の定在波振動W(図2)の節と腹になる。
【0024】
図2、図3において、ホーン15の表面、望ましくは中央部両側面などの圧着部30の近傍にはシート状のヒータ38が接着剤である樹脂39にて貼着されている。ヒータ38の熱はホーン15を通して圧着部30へ伝達され、圧着部30やそのノズル31を加熱する。圧着部30やノズル31を介して、ノズル31の下端部に真空吸着された電子部品40を加熱することにより、電子部品40の被接合面へのボンディング効果を高める。
【0025】
樹脂39としては、耐熱性と弾性を有する樹脂(例えばエポキシ系樹脂やシリコン系樹脂)が望ましい。このように弾性を有する樹脂39によりヒータ38をホーン15の表面に装着すれば、ヒータ38がホーン15の振動特性を阻害しにくい。ヒータとしては、本実施の形態のようなシート状のヒータ38が望ましいが、カートリッヂ型のヒータを樹脂39によりホーン15に貼着してもよい。またヒータの装着場所は圧着部30に近い場所が望ましく、圧着部30の表面に樹脂39により貼着してもよい。なお従来のヒータは、ホーンの内部に内蔵されていたものであり、このためホーンの振動特性を阻害しやすいものであった。
【0026】
図2、図3において、ホーン15の振動子17近くの端部には通気部としてのスリット25が形成されている。本形態では、ホーン15の長手方向に横長のスリット25を上下方向に複数個形成している。このようにすると、ホーン15の縦振動の伝播方向とスリット25が平行となり、スリット形成による振動状態への影響を小さくできるので好ましい。スリット25の形成位置は、圧着部30と振動子17の間であればどこでもよいが、圧着部30に振動特性の悪影響を与えないように、圧着部30からできるだけ離れた振動子17の近くが望ましい。このようにスリット25を形成することにより、ホーン15の表面積(放熱面積)を大きくし、これによりホーン15の放熱効果を高めて振動子17が加熱されにくくしている。
【0027】
スリット25の側方には冷却手段としてのファン26が設けられており、ファン26が回転することにより、スリット25に冷風を送ってスリット25を冷却する、冷却手段としては、ホーン15の内部に冷媒を流してもよい。
【0028】
図5は本発明の他の実施の形態における電子部品のボンディングツールの斜視図である。このボンディングツール14’のホーン15’は片持式であって、図2に示すボンディングツール14の略左半部のみである。上記実施の形態と同一要素には同一符号を付している。したがってこのものも、上記実施の形態と同様の作用効果が得られる。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、圧着部を加熱するためのヒータの伝熱により振動子が加熱されるのを通気部により抑制し、振動子の長寿命化を安定した振動特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における電子部品のボンディング装置の正面図
【図2】本発明の一実施の形態における電子部品のボンディングツールの斜視図
【図3】本発明の一実施の形態における電子部品のボンディングツールの平面図
【図4】本発明の一実施の形態における電子部品のボンディングツールの取付部の部分拡大平面図
【図5】本発明の他の実施の形態における電子部品のボンディングツールの斜視図
【符号の説明】
14,14’ ボンディングツール
15,15’ ホーン
17 振動子
25 スリット
26 ファン
30 圧着部
38 ヒータ
39 樹脂
40 電子部品
Claims (6)
- ボンディングツールにより電子部品に荷重と振動を作用させながら電子部品を被接合面に接合する電子部品のボンディング装置であって、前記ボンディングツールが、横長のホーンと、このホーンに装着されてこのホーンに振動を付与する振動子と、このホーンに設けられて電子部品を圧着する圧着部と、この圧着部を加熱するヒータとを備え、前記振動子と前記圧着部の間の前記ホーンに前記振動子への伝熱を防止するための通気部を形成したことを特徴とする電子部品のボンディング装置。
- 前記通気部が前記ホーンの長手方向に横長のスリットであることを特徴とする請求項1記載の電子部品のボンディング装置。
- 前記通気部を冷却する冷却手段を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の電子部品のボンディング装置。
- 電子部品に荷重と振動を作用させながら電子部品を被接合面に接合する電子部品のボンディングツールであって、横長のホーンと、このホーンに装着されてこのホーンに振動を付与する振動子と、ホーンに設けられて電子部品を圧着する圧着部と、この圧着部を加熱するヒータとを備え、前記振動子と前記圧着部の間の前記ホーンに前記振動子への伝熱を防止するための通気部を形成したことを特徴とする電子部品のボンディングツール。
- 前記通気部が前記ホーンの長手方向に横長のスリットであることを特徴とする請求項4記載の電子部品のボンディングツール。
- 前記通気部を冷却する冷却手段を設けたことを特徴とする請求項4または5記載の電子部品のボンディングツール。
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