JP3690400B2 - 電子部品のボンディング装置およびボンディングツール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バンプ付き電子部品などの電子部品を基板の電極などの被接合面にボンディングする電子部品のボンディング装置およびボンディングツールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子部品を基板の電極などの被接合面にボンディングする方法として、超音波圧接を用いる方法が知られている。この方法は、電子部品を被接合面に対して押圧しながら電子部品に超音波振動を与え、接合面を微小に振動させて摩擦を生じさせることにより接合面を密着させるものである。この方法に用いられるボンディングツールは、振動発生源である超音波振動子の振動を電子部品に伝達させる細長形状の棒体であるホーンを有しており、このホーンに備えられた圧着子を電子部品に押し当てて電子部品に荷重と振動を作用させながら、電子部品を被接合面に圧着してボンディングするようになっている。
【0003】
電子部品に押し当てられる圧着子は、電子部品に伝達される水平方向の振動を出来るだけ大きくするため、ホーンに伝達される縦振動を曲げ振動に変換するようにホーンから下方に突出した形状となっている。そしてこの圧着子の形状・寸法は圧着子に誘起される曲げ振動の固有周波数がホーンの縦振動と共振するように設定されることが望ましい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、圧着子を含めたボンディングツール全体の形状・寸法の最適設定には種々の要素が関連している。例えば圧着子の寸法は対象とする電子部品に必要とされる圧着荷重に対して十分な剛性を有するものでなければならない。また、ボンディングツール全体の形状・レイアウトからみれば、ホーンの先端部に装着される振動子はボンディング動作時に被接合面である基板からある程度の間隔を保った位置に配置される必要がある。ボンディング時に加熱された基板から振動子に伝達される輻射熱の影響をできるだけ少なくするためである。これ以外にも、ホーンの長さや振動子の発生する振動の周波数など、多くの要素が相互に関連しており、所要条件を満たす最適設定を実現するためにはこれらの相互の関連を考慮に入れなければならない。
【0005】
しかしながら、これらの要素には相反する内容の項目が含まれており、すべての要素について所要条件を満たすボンディングツールの最適設定を実現することは実際上極めて困難であった。このため、従来のボンディングツールでは安定した振動特性を実現することが困難でボンディング効率、ボンディング品質の向上が阻害されるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、安定した振動特性を実現してボンディング効率、ボンディング品質を向上させるボンディングツール及びボンディング装置を実現することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の電子部品のボンディング装置は、電子部品に押圧荷重と振動を作用させながらこの電子部品を被接合面に圧着する電子部品のボンディング装置であって、前記電子部品に当接して押圧するボンディングツールと、このボンディングツールを押圧する押圧手段とを備え、前記ボンディングツールは、振動子によって縦振動するホーンと、このホーンに結合されてホーンの縦振動を曲げ振動に変換しこの曲げ振動と押圧手段による押圧荷重を圧着面を介して前記電子部品に作用させる曲げ振動部とを有し、さらに前記ホーンには前記曲げ振動部に開口した吸着孔に連通する吸引孔が形成されており、前記ホーンの中心線は前記押圧手段の押圧方向において前記曲げ振動部側よりもこのホーンの端部側の方が後退している。
【0008】
請求項2記載の電子部品のボンディングツールは、電子部品に当接して荷重と振動を作用させながらこの電子部品を被接合面に圧着する電子部品のボンディングツールであって、振動子によって縦振動するホーンと、このホーンに結合されてホーンの縦振動を曲げ振動に変換しこの曲げ振動と荷重を圧着面を介して前記電子部品に作用させる曲げ振動部とを有し、さらに前記ホーンには前記曲げ振動部に開口した吸着孔に連通する吸引孔が形成されており、前記ホーンの中心線は前記荷重の押圧方向において前記曲げ振動部側よりもこのホーンの端部側の方が後退している。
【0009】
本発明によれば、ホーンの中心線は前記押圧手段の押圧方向において前記曲げ振動部側よりもこのホーンの端部側の方が後退していることにより、曲げ振動部の形状・寸法を適正に設定しながら振動子を基板面から離した配置が可能となり、安定した振動特性を備えたボンディングツールが実現される。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の電子部品のボンディング装置の正面図、図2は同電子部品のボンディングツールの斜視図、図3(a)は同電子部品のボンディングツールの平面図、図3(b)は同電子部品のボンディングツールの正面図である。
【0011】
まず、図1を参照して電子部品のボンディング装置の全体構造を説明する。1は支持フレームであって、その前面には第1昇降板2と第2昇降板3が昇降自在に設けられている。第1昇降板2にはシリンダ4が装着されており、そのロッド5は第2昇降板3に結合されている。第2昇降板3にはボンディングヘッド10が装着されている。支持フレーム1の上面にはZ軸モータ6が設けられている。Z軸モータ6は垂直な送りねじ7を回転させる。送りねじ7は第1昇降板2の背面に設けられたナット8に螺合している。したがってZ軸モータ6が駆動して送りねじ7が回転すると、ナット8は送りねじ7に沿って上下動し、第1昇降板2や第2昇降板3も上下動する。
【0012】
図1において、上面が電子部品の被接合面である基板46は基板ホルダ47上に載せられており、基板ホルダ47はテーブル48上に載せられている。テーブル48は可動テーブルであって、基板46をX方向やY方向へ水平移動させ、基板46を所定の位置に位置決めする。テーブル48は電子部品40に対して基板46を相対的に移動させる位置決め手段となっている。
【0013】
42はカメラであって、一軸テーブル43に装着されている。44はカメラ42から前方へ延出する鏡筒である。カメラ42を一軸テーブル43に沿って前進させ、鎖線で示すように鏡筒44の先端部をボンディングツール14の下面に吸着して保持された接合物としての例えばフリップチップなどのバンプ付きの電子部品40と基板46の間に位置させ、その状態で電子部品40と基板46の位置をカメラ42で観察する。
【0014】
53は認識部であり、カメラ42で撮像された電子部品40や基板46の画像を認識してこれらの位置を検出する。50は主制御部であり、モータ駆動部51を介してZ軸モータ6すなわちボンディングヘッド10の昇降動作を制御し、テーブル制御部52を介してテーブル48すなわち基板46の位置決めを行う。また主制御部50は、認識部53によって検出された電子部品40と基板46の位置より、水平面内における両者の位置ずれを演算し、この位置ずれを補正するようにテーブル48を駆動する。さらに主制御部50には、荷重制御部54と吸引装置56が接続されている。
【0015】
押圧手段としてのシリンダ4は荷重制御部54を介して主制御部50に接続されており、シリンダ4のロッド5の突出力すなわちボンディングツール14でバンプ付き電子部品40を基板46に押し付ける押圧荷重が制御される。吸引装置56は主制御部50からの指令によってボンディングツール14による電子部品40の吸引・吸引解除を行う。超音波振動子から成る振動子17は、超音波振動子駆動部55を介して主制御部50に接続されており、主制御部50からの指令に従って超音波振動を行う。
【0016】
ボンディングヘッド10の本体11の下端部にはホルダ12が結合されている。ホルダ12にはブロック13が装着され、ブロック13にはボンディングツール14が固定されている。ブロック13の側部の突部13aは吸引装置56に接続されている。以下、図2、図3を参照してボンディングツール14について説明する。
【0017】
図2および図3に示すように、ボンディングツール14は横長のホーン15を主体としている。ホーン15は細長形状の棒状体であり、平面視してその両側部からセンターへ向って次第に幅狭となるテーパ面15aを有している。ホーン15のセンターには吸着部30(圧着子)が下方へ突設されている。図1において、ブロック13の側面に設けられた突部13aには吸着パッド19が装着されている。
【0018】
ホーン15には吸着部30の吸着孔32に連通する吸引孔16a,16bが形成されており、吸着パッド19はホーン15の上面の吸引孔16bに当接している。したがって吸着パッド19に接続された吸引装置56(図1)を駆動してエアを吸引することにより、吸着部30に開口した吸着孔32(図3(a),(b))から真空吸引し、この吸着部30の下面にバンプ付きの電子部品40を真空吸着して保持することができる。
【0019】
吸着部30の下面は圧着面30aとなっており、吸着部30の曲げ振動と押圧手段(シリンダ4)の押圧荷重を電子部品40に作用させる。図3(b)において、下向きの矢印Aは、押圧手段の押圧方向を示しており、吸着部30の中心線CL2は押圧方向と平行になっている。また吸着面30aはこの押圧方向に対して垂直となっている。吸着部30は電子部品40を吸着して保持するとともに、ボンディング時には先端部の圧着面30aが電子部品40の上面に当接して電子部品40を基板46に対して押圧する。
【0020】
吸着部30から等距離隔てられた4ヶ所にはリブ15cがホーン15と一体的に設けられている。ブロック13への取り付けバランスを良くするために、4個のリブ15cはホーン15のセンターの吸着部30を中心として平面視して対称に突設されている。ボンディングツール14は、リブ15cに形成された貫通孔20にボルトを螺入することにより、ブロック13の下面に着脱自在に装着されている。すなわち、リブ15cはホーン15をブロック13に装着する装着部となっている。
【0021】
図2において、ホーン15の側端部には振動付与手段である振動子17が装着されている。振動子17を駆動することにより、ホーン15には縦振動(ホーン15の長手方向の振動)が付与され、吸着部30は水平方向a(ホーン15の長手方向)に振動する。図3(a),(b)に示すように、ホーン15の形状は両端部から中央部に向かって側面のテーパ面15aおよび上下面のテーパ面15bを経て順次幅および高さが絞られた形状となっている。これにより、振動子17より吸着部30に伝達される経路において超音波振動の振幅は増幅され、吸着部30には振動子17が発振する振幅以上の振動が伝達され、この振動は圧着面30aを介して電子部品40に伝達される。
【0022】
この電子部品40への振動伝達においては、振動子17によってホーン15を介して伝達される縦振動のみならず、ホーン15の縦振動によって突出形状の吸着部30に誘起される曲げ振動が重畳して伝達される。すなわち、吸着部30は単に電子部品40を吸着して保持する機能のみならず、曲げ振動による水平方向の振動を誘起する曲げ振動部としての機能を有している。したがって、電子部品40への振動伝達効率を向上させるためには、吸着部30にできるだけ大きな曲げ振動が誘起されるような条件設定を行う必要がある。以下、このような条件を満たすためのホーン形状について説明する。
【0023】
図3に示すようにホーン15の中心線CL1は直線状には設定されておらず、吸着部30との結合点Bで折曲している。このホーン15の中心線CL1は押圧方向(矢印A)において吸着部30側(結合点B)よりも端部側(点C)が後退、すなわち上方に位置している。ホーン15の中心線CL1と曲げ振動部である吸着部30の中心線CL2とが押圧手段による押圧方向(図3(b)において矢印Aで示す方向)に平行な面内で交叉する角度αは、90度より大きく135度以下の範囲で、吸着部30の突出代Dと振動子17の高さ距離Hとの関係に基づいて設定される。
【0024】
このとき、ホーン15の下面が同一平面となるような形状にすることが望ましい。これにより、ホーン15の製作時の加工を容易にすることができる。なお、角度αが90度以下であれば距離Hが十分確保できない。逆に135度を越えると、圧着面30aにおける曲げ振動の成分よりも上下方向の縦振動の成分が多くなってしまい、電子部品40にダメージを与える可能性がある。
【0025】
ホーン15を上述のような形状とすることにより、吸着部30の突出代Dに対してホーン15の側端部における基板46の表面までの高さを大きく設定することが可能となる。このことは、ボンディングツールの各部形状・寸法の最適設定において以下のような意義を有している。前述のように、吸着部30の先端部に水平方向の変位を与える曲げ振動を最大にするには、突出形状の吸着部30の曲げ振動の固有振動数をホーン15に振動を与える振動子17の振動数にできるだけ近づけて共振を生じさせることが必要である。
【0026】
ところが、一般にこの共振条件を満たす吸着部30の突出代Dは小さく、共振条件から求められた突出代Dをそのままホーンが直線状の従来のボンディングツールに適用すると、ホーン15の側端部が基板46に接近した配置となる。その結果として振動子17がボンディング動作中ヒータによって加熱された基板4からの輻射熱を受けて温度が上昇し、振動子17の振動特性が不安定となっていた。
【0027】
これに対し、本実施の形態に示すボンディングツール14の形状設定では、突出代Dをホーン15の縦振動と共振するような適正寸法に設定するとともに、ホーン15の側端部に装着される振動子17の基板46からの高さ距離Hを、加熱された基板からの熱影響を排除するのに十分な距離に設定することを可能としている。これにより、吸着部30の寸法・形状をホーン15の縦振動との共振条件を満たすような設定として、電子部品40に対する振動伝達効率を向上させることができるとともに、振動子17への熱伝達を抑制して熱影響による振動特性の変動を防止し、ボンディング効率・ボンディング品質を向上させることが出来る。
【0028】
また、ホーン15の形状をこのような中央で屈曲した形状とすることにより、単純な直線形状の部材と比較してホーン15の曲げ剛性を大きくすることができ、ボンディング時の押圧荷重に対するホーン15の変形を小さく抑えてボンディング時の電子部品の姿勢を良好に保持できるという効果を有する。
【0029】
なお、本実施の形態では、4点の装着部で固定される形状のホーン15を例に説明したが、これに限定されずホーンの一端部に振動子が装着され他端部に曲げ振動部が設定された片持ち方式のボンディングツールであってもよい。この場合にあっても、曲げ振動部の突出代を最適に設定しながら、振動子の高さ位置を十分に確保したボンディングツールを実現することが出来る。さらに、押圧手段としてシリンダ4を用いた例を示したが、Z軸モータ6を押圧手段として用いてもよく、要はボンディングツール14を基板に対して押圧できる機構であればよい。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、ホーンの中心線は前記押圧手段の押圧方向において前記曲げ振動部側よりもこのホーンの端部側の方が後退した配置を採用したので、曲げ振動部の形状・寸法を適正に設定しながら振動子を基板面から離した配置が可能となり、安定した振動特性を備えたボンディングツールが実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の電子部品のボンディング装置の正面図
【図2】本発明の一実施の形態の電子部品のボンディングツールの斜視図
【図3】(a)本発明の一実施の形態の電子部品のボンディングツールの平面図
(b)本発明の一実施の形態の電子部品のボンディングツールの正面図
【符号の説明】
14 ボンディングツール
15 ホーン
17 振動子
30 吸着部
32 吸着孔
30a 圧着面
40 電子部品
D 突出代
H 高さ距離
Claims (2)
- 電子部品に押圧荷重と振動を作用させながらこの電子部品を被接合面に圧着する電子部品のボンディング装置であって、前記電子部品に当接して押圧するボンディングツールと、このボンディングツールを押圧する押圧手段とを備え、前記ボンディングツールは、振動子によって縦振動するホーンと、このホーンに結合されてホーンの縦振動を曲げ振動に変換しこの曲げ振動と押圧手段による押圧荷重を圧着面を介して前記電子部品に作用させる曲げ振動部とを有し、さらに前記ホーンには前記曲げ振動部に開口した吸着孔に連通する吸引孔が形成されており、前記ホーンの中心線は前記押圧手段の押圧方向において前記曲げ振動部側よりもこのホーンの端部側の方が後退していることを特徴とする電子部品のボンディング装置。
- 電子部品に当接して荷重と振動を作用させながらこの電子部品を被接合面に圧着する電子部品のボンディングツールであって、振動子によって縦振動するホーンと、このホーンに結合されてホーンの縦振動を曲げ振動に変換しこの曲げ振動と荷重を圧着面を介して前記電子部品に作用させる曲げ振動部とを有し、さらに前記ホーンには前記曲げ振動部に開口した吸着孔に連通する吸引孔が形成されており、前記ホーンの中心線は前記荷重の押圧方向において前記曲げ振動部側よりもこのホーンの端部側の方が後退していることを特徴とする電子部品のボンディングツール。
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