JP3409688B2 - 電子部品のボンディングツールおよびボンディング装置 - Google Patents

電子部品のボンディングツールおよびボンディング装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品を基板な
どの被圧着面にボンディングする電子部品のボンディン
グツールおよびボンディング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フリップチップなどの電子部品を基板な
どの被圧着面にボンディングする方法として超音波圧接
を用いる方法が知られている。この方法は、電子部品の
バンプを基板に押圧しながら超音波振動を付与し、接合
面を相互に摩擦させてボンディングするものである。こ
の方法で用いられる電子部品押圧用のボンディングツー
ルとして、円柱形状のホーンの中央部に電子部品を押圧
して圧着する圧着面を形成し、このホーンの端部に超音
波振動子を装着したものが知られている。ボンディング
時には、電子部品を適正なボンディング荷重で被圧着面
に押圧する必要があるため、ホーンにはこの押圧荷重が
作用する。このとき、良好なボンディングを行うために
は電子部品を適正な姿勢で保持しなければならないた
め、ホーンにはこの荷重に対して適正な剛性を有してい
ることが求められる。
【0003】また、超音波振動子が発生する超音波振動
は、ホーンの長手方向に沿って伝達されるが、ホーンの
断面積が長手方向に変化している場合には、伝達される
振幅は断面積に依存するという特性がある。したがっ
て、振動を効率よく利用するためにはホーンの形状を適
切に設定する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の電子
部品圧着用のボンディングツールは、旋削加工によって
製作されることからホーンは円柱形状を基本としたもの
とならざるを得なかった。このような円柱形状に基づい
て、上述の適正な剛性を確保するようにホーンの寸法設
定を行うと、必然的にホーンの断面積が大きくなり、電
子部品に伝達される振動の振幅が小さくなって振動の利
用効率を低下させる結果となっていた。また、このよう
に設定されたホーンの断面積に基づいて振動の利用効率
を向上させようとすれば、ホーンの超音波振動子側の断
面積をさらに大きなものとしなければならず、ホーンが
大型化するという問題点があった。このように、従来の
電子部品のボンディングツールは、振動利用効率の要請
を満たし、かつコンパクトで必要な曲げ剛性を確保でき
るボンディングツールを実現することが困難であるとい
う問題点があった。
【0005】そこで本発明は、必要な曲げ剛性を確保し
つつ、振動利用効率に優れたコンパクトな電子部品のボ
ンディングツールおよびボンディング装置を提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の電子部品
のボンディングツールは、電子部品に当接して電子部品
を被圧着面に押圧しながら振動を付与して被圧着面に圧
着する電子部品のボンディングツールであって、振動子
によって振動するホーンと、このホーンの振動の定在波
の腹に相当する位置に形成され電子部品を圧着する圧着
面を有し、前記ホーンの長手方向に垂直な方向の断面
が、曲げ剛性が前記圧着面を被圧着面へ押し当てる方向
で最大となるような断面形状であるようにした。
【0007】請求項2記載のボンディングツールは、請
求項1記載のボンディングツールであって、前記ホーン
の長手方向に垂直な断面が、圧着面側よりも振動子側の
方が広い断面積を有し、かつ少なくとも圧着面側の断面
形状が、曲げ剛性が前記圧着面を被圧着面へ押し当てる
方向で最大となるような断面形状であるようにした。
【0008】請求項3記載の電子部品のボンディング装
置は、ボンディングツールにより電子部品を被圧着面に
押圧しながら振動を付与して被圧着面に圧着する電子部
品のボンディング装置であって、被圧着面に対して上下
に昇降する昇降部材と、この昇降部材に固定されたボン
ディングツールを有し、前記ボンディングツールが、振
動子によって振動するホーンと、このホーンの振動の定
在波の腹に相当する位置に形成され電子部品を圧着する
圧着面を有し、前記ホーンの長手方向に垂直な方向の断
面が、曲げ剛性が前記圧着面を被圧着面へ押し当てる方
向で最大となるような断面形状であるようにした。
【0009】請求項4記載のボンディング装置は、請求
項3記載のボンディング装置であって、前記ホーンの長
手方向に垂直な断面が、圧着面側よりも振動子側の方が
広い断面積を有し、かつ少なくとも圧着面側の断面形状
が、曲げ剛性が前記圧着面を被圧着面へ押し当てる方向
で最大となるような断面形状であるようにした。
【0010】各請求項記載の発明によれば、ボンディン
グツールのホーンの長手方向の垂直断面が、圧着面側よ
りも振動子側の方が広い断面積を有し、かつ少なくとも
圧着面側の断面形状が、圧着面を被圧着面へ押し当てる
方向の曲げ剛性が最大となる形状であることにより、ボ
ンディング時に振動子の振幅を増幅することができると
ともに、ボンディング荷重によるホーンの撓みを抑えて
良好なボンディングを行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面を
参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の電子
部品のボンディング装置の正面図、図2は同電子部品の
ボンディングツールの斜視図、図3(a)は同電子部品
のボンディングツールの正面図、図3(b)は同電子部
品のボンディングツールの平面図、図4(a)、
(b)、(c)は同電子部品のボンディングツールの部
分断面図である。
【0012】まず、図1を参照して電子部品のボンディ
ング装置の全体構造を説明する。1は支持フレームであ
って、その前面には第1昇降板2と第2昇降板3が昇降
自在に設けられている。第1昇降板2にはシリンダ4が
装着されており、そのロッド5は第2昇降板3に結合さ
れている。第2昇降板3にはボンディングヘッド10が
装着されている。支持フレーム1の上面にはZ軸モータ
6が設けられている。Z軸モータ6は垂直な送りねじ7
を回転させる。送りねじ7は第1昇降板2の背面に設け
られたナット8に螺合している。したがってZ軸モータ
6が駆動して送りねじ7が回転すると、ナット8は送り
ねじ7に沿って上下動し、第1昇降板2や第2昇降板3
も上下動する。
【0013】図1において、被圧着面である基板32は
基板ホルダ34上に載せられており、基板ホルダ34は
テーブル35上に載せられている。テーブル35は可動
テーブルであって、基板32をX方向やY方向へ水平移
動させ、基板32を所定の位置に位置決めする。
【0014】42はカメラであって、一軸テーブル43
に装着されている。44はカメラ42から前方へ延出す
る鏡筒である。カメラ42を一軸テーブル43に沿って
前進させ、鎖線で示すように鏡筒44の先端部をボンデ
ィングツール14の下面に吸着して保持された電子部品
30と基板32の間に位置させ、その状態で電子部品3
0と基板32の位置をカメラ42で観察する。そしてこ
の観察結果により電子部品30と基板32の相対的な位
置ずれを検出する。検出された位置ずれは、テーブル3
5を駆動して基板32をX方向やY方向へ水平移動させ
ることにより補正し、これにより電子部品30と基板3
2の位置合わせがなされる。
【0015】図1において、50は主制御部であり、モ
ータ駆動部51を介してZ軸モータ6を制御し、またテ
ーブル制御部52を介してテーブル35を制御し、また
認識部53を介してカメラ42に接続されている。また
シリンダ4は荷重制御部54を介して主制御部50に接
続されており、シリンダ4のロッド5の突出力すなわち
ボンディングツール14で電子部品30を基板32に押
し付ける押圧荷重が制御される。
【0016】ボンディングヘッド10の本体11の下端
部にはホルダ12が結合されている。ホルダ12には昇
降部材としてのブロック13が装着され、ブロック13
にはボンディングツール14が固定されている。以下、
図2、図3を参照してブロック13およびボンディング
ツール14について説明する。
【0017】図2に示すように、ボンディングツール1
4のホーン15は細長形状の棒状体であり、ホーン15
の側面には取付け座15aがホーン15と一体的に設け
られている。取り付け座15aは、ホーン15の中央か
ら等距離隔てられた4ヶ所にホーンの長手方向に対して
対称に配置されている。ボンディングツール14は、取
付け座15aの上平面をブロック13の下面の取付け平
面に当接させて固定され、取付け座15aはホーン15
を固定する固定部となっている。
【0018】ボンディングツール14の中央部の下面に
は、下方に突出し電子部品30を真空吸着して保持する
保持部15eが設けられ、この保持部15eの下面は電
子部品押圧用の圧着面15fとなっている。また圧着面
15fにはホーン15に設けられた真空吸引用の内孔1
6の一端が開口して吸着孔16aを形成している。内孔
16の他端はホーン15の上面の取付け座15aの位置
に開口して吸引孔16bを形成している。ブロック13
の側面に設けられた突部13aには管部18が下方に突
出して設けられており、図4に示すように管部18の下
端部に装着された吸着パッド19は、ホーン15の上面
の吸引孔16bの位置に当接している。したがって突部
13aに接続され突部13aの内孔13bによって管部
18と連通したチューブ20から、吸引装置21を駆動
してエアを吸引することにより、内孔16を介して圧着
面15fに開口した吸着孔16a(図3(a)、
(b))から真空吸引し、この圧着面15fに電子部品
30を真空吸着して保持することができる。
【0019】ホーン15の側端面には振動子17が装着
されている。振動子17を駆動することにより、ホーン
15には縦振動が付与され、保持部15eは水平方向に
振動する。図3(b)に示すように、ホーン15の形状
は両端部15bからテーパ部15cを経て中央部15d
の方向に順次幅が絞られた形状となっている。すなわ
ち、ホーン1の長手方向の垂直断面が、圧着面15f側
よりも振動子17側の方が広い断面積を有する形状とな
っている。これにより、振動子17より保持部15eに
伝達される経路において超音波振動の振幅は増幅され、
保持部15eには振動子17が発振する振幅以上の振動
が伝達され、振動利用効率を向上させることができる。
【0020】また、ホーン15の長手方向に垂直な方向
の断面形状は、図4(a)に示すように、テーパ部15
c(断面イ参照)および圧着面15f側である中央部1
5c(断面ロ参照)のいずれにおいても、高さ寸法Hが
幅寸法B1,B2より大きい長方形となっており、すな
わち曲げ剛性が、圧着面15fを基板32に押し当てる
方向で最大となるような断面形状となっている。ホーン
15の断面をこのような形状とすることにより、ボンデ
ィングツール14のサイズをできるだけコンパクトに保
ちながら、ホーン15の曲げ剛性をボンディング荷重方
向で最大にすることができ、したがってボンディング時
のホーン15の撓みを最小に抑えて、良好なボンディン
グを行うことができる。なお、このような効果を得るこ
とができる形状として、長方形以外にも図4(b)に示
すような上下方向を長軸方向とする楕円や、図4(c)
に示すような上下方向に細長い多角形などを用いること
もできる。
【0021】次に、振動子17によってホーン15に励
起される振動のモードについて説明する。図3(a)に
示すように、ホーン15に励起される振動の定在波は、
振動子17の装着面およびホーン15の中央に位置する
保持部15eの圧着面15fの位置を定在波の腹とし、
ホーン15をブロック13に固定する固定部としての取
付け座15aおよび吸引孔16bの位置が定在波の節と
なるような形となっている。すなわちホーン15各部の
形状寸法、質量分布を適切に設定することにより、この
ような定在波をホーン15に発生させることができる。
【0022】従って、固定部である取付け座15aは、
ホーン15の振動の定在波の腹に相当する位置である圧
着面15fからホーン15の両端側の方向へ等距離隔て
られた定在波の節に相当する位置にホーン15と一体的
に設けられている。これによりボンディングツール14
が固定される取付け座15aの位置ではホーン15の縦
振動による変位は極小となり、電子部品30を保持する
保持部15eの位置では極大の振幅を得ることとなり、
超音波振動を電子部品30のボンディングに最も有効に
利用することができる。
【0023】この電子部品のボンディング装置は上記の
ように構成されており、次に動作を説明する。図1にお
いてボンディングツール14の圧着面15eに電子部品
30を真空吸着させて保持し、基板32の上方に位置さ
せる。そこで鏡筒44を前進させてカメラ42で電子部
品30と基板32の画像を入手し、認識部53へ画像デ
ータが送られる。主制御部50はこの画像データから電
子部品30と基板32の相対的な位置ずれを検出し、こ
の検出結果にしたがってテーブル35を駆動し、基板3
2を水平移動させて位置補正を行う。
【0024】次にZ軸モータ6が駆動してボンディング
ヘッド10が下降し、電子部品30のバンプを基板32
に押圧する。このとき基板32は加熱手段(図外)によ
って加熱されている。そして押圧した状態で振動子17
を駆動して電子部品30に振動を付与する。これにより
バンプ31と基板32の電極との押圧面が振動により摩
擦され、バンプ31は基板32の電極にボンディングさ
れる。
【0025】このとき、前述のようにホーン15の断面
形状は、振動子17から伝達される超音波振動の振幅が
増幅されるような形状となっており、振動利用効率に優
れた効率的なボンディングを行うことができるととも
に、圧着方向の曲げ剛性が最大となるような形状となっ
ているため、ボンディングツール14をコンパクト化す
ることができるとともに、ボンディング時のホーン15
の撓みを最小に抑えて、良好なボンディングを行うこと
ができる。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、ボンディングツールの
ホーンの長手方向の垂直断面が、圧着面側よりも振動子
側の方が広い断面積を有し、かつ少なくとも圧着面側の
断面形状が、圧着面を被圧着面へ押し当てる方向の曲げ
剛性が最大となる形状であるようにしたので、ボンディ
ング時に振動子の振幅を増幅して振動利用効率に優れた
ボンディングを行うことができ、ボンディングツール1
4をコンパクト化することができるとともに、ボンディ
ング荷重によるホーンの撓みを抑えて良好なボンディン
グを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の電子部品のボンディン
グ装置の正面図
【図2】本発明の一実施の形態の電子部品のボンディン
グツールの斜視図
【図3】(a)本発明の一実施の形態の電子部品のボン
ディングツールの正面図 (b)本発明の一実施の形態の電子部品のボンディング
ツールの平面図
【図4】(a)本発明の一実施の形態の電子部品のボン
ディングツールの部分断面図 (b)本発明の一実施の形態の電子部品のボンディング
ツールの部分断面図 (c)本発明の一実施の形態の電子部品のボンディング
ツールの部分断面図
【符号の説明】
10 ボンディングヘッド 13 ブロック 14 ボンディングツール 15 ホーン 15a 取付け座 15e 保持部 15f 圧着面 16 内孔 16a 吸着孔 16b 吸引孔 17 振動子 19 吸着パッド 21 吸引装置 30 電子部品 32 基板 50 主制御部
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/60 H01L 21/607 B06B 1/02 B23K 23/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子部品に当接して電子部品を被圧着面に
    押圧しながら振動を付与して被圧着面に圧着する電子部
    品のボンディングツールであって、振動子によって振動
    するホーンと、このホーンの振動の定在波の腹に相当す
    る位置に形成され電子部品を圧着する圧着面を有し、前
    記ホーンの長手方向に垂直な方向の断面が、曲げ剛性が
    前記圧着面を被圧着面へ押し当てる方向で最大となるよ
    うな断面形状であることを特徴とする電子部品のボンデ
    ィングツール。
  2. 【請求項2】前記ホーンの長手方向に垂直な断面が、圧
    着面側よりも振動子側の方が広い断面積を有し、かつ少
    なくとも圧着面側の断面形状が、曲げ剛性が前記圧着面
    を被圧着面へ押し当てる方向で最大となるような断面形
    状であることを特徴とする請求項1記載の電子部品のボ
    ンディングツール。
  3. 【請求項3】ボンディングツールにより電子部品を被圧
    着面に押圧しながら振動を付与して被圧着面に圧着する
    電子部品のボンディング装置であって、被圧着面に対し
    て上下に昇降する昇降部材と、この昇降部材に固定され
    たボンディングツールを有し、前記ボンディングツール
    が、振動子によって振動するホーンと、このホーンの振
    動の定在波の腹に相当する位置に形成され電子部品を圧
    着する圧着面を有し、前記ホーンの長手方向に垂直な方
    向の断面が、曲げ剛性が前記圧着面を被圧着面へ押し当
    てる方向で最大となるような断面形状であることを特徴
    とする電子部品のボンディング装置。
  4. 【請求項4】前記ホーンの長手方向に垂直な断面が、圧
    着面側よりも振動子側の方が広い断面積を有し、かつ少
    なくとも圧着面側の断面形状が、曲げ剛性が前記圧着面
    を被圧着面へ押し当てる方向で最大となるような断面形
    状であることを特徴とする請求項3記載の電子部品のボ
    ンディング装置。
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