JP3656631B2 - 電子部品のボンディングツールおよびボンディング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品を基板などの被圧着面にボンディングする電子部品のボンディングツールおよびボンディング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フリップチップなどの電子部品を基板などの被圧着面にボンディングする方法として超音波圧接を用いる方法が知られている。この方法は、電子部品のバンプを基板に押圧しながら超音波振動を付与し、接合面を相互に摩擦させてボンディングするものである。この方法で用いられる電子部品押圧用のボンディングツールとして、円柱形状のホーンの中央部に電子部品を押圧して圧着する圧着面を形成し、このホーンの端部に超音波振動子を装着したものが知られている。ボンディング時には、電子部品を適正なボンディング荷重で被圧着面に押圧する必要があるため、ホーンにはこの押圧荷重が作用する。このとき、良好なボンディングを行うためには電子部品を適正な姿勢で保持しなければならないため、ホーンにはこの荷重に対して適正な剛性を有していることが求められる。
【0003】
また、超音波振動子が発生する超音波振動は、ホーンの長手方向に沿って伝達されるが、ホーンの断面積が長手方向に変化している場合には、伝達される振幅は断面積に依存するという特性がある。したがって、振動を効率よく利用するためにはホーンの形状を適切に設定する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の電子部品圧着用のボンディングツールは、旋削加工によって製作されることからホーンは円柱形状を基本としたものとならざるを得なかった。このような円柱形状に基づいて、上述の適正な剛性を確保するようにホーンの寸法設定を行うと、必然的にホーンの断面積が大きくなり、電子部品に伝達される振動の振幅が小さくなって振動の利用効率を低下させる結果となっていた。また、このように設定されたホーンの断面積に基づいて振動の利用効率を向上させようとすれば、ホーンの超音波振動子側の断面積をさらに大きなものとしなければならず、ホーンが大型化するという問題点があった。このように、従来の電子部品のボンディングツールは、振動利用効率の要請を満たし、かつコンパクトで必要な曲げ剛性を確保できるボンディングツールを実現することが困難であるという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、必要な曲げ剛性を確保しつつ、振動利用効率に優れたコンパクトな電子部品のボンディングツールおよびボンディング装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、電子部品に当接して電子部品を被圧着面に押圧しながら振動を付与して被圧着面に圧着する電子部品のボンディングツールであって、振動子によって振動するホーンと、このホーンの振動の定在波の腹に相当する位置に形成され電子部品を圧着する圧着面と、この圧着面に形成され電子部品を真空吸着する吸着孔とを有し、前記ホーンの長手方向に垂直な方向の断面が圧着面側よりも振動子側の方が広い断面積を有し、かつ高さ寸法が幅寸法より大きい長方形である。
【0007】
請求項2記載の発明は、ボンディングツールにより電子部品を被圧着面に押圧しながら振動を付与して被圧着面に圧着する電子部品のボンディング装置であって、被圧着面に対して上下に昇降する昇降部材と、この昇降部材に固定されたボンディングツールを有し、前記ボンディングツールが、振動子によって振動するホーンと、このホーンの振動の定在波の腹に相当する位置に形成され電子部品を圧着する圧着面と、この圧着面に形成され電子部品を真空吸着する吸着孔とを有し、前記ホーンの長手方向に垂直な方向の断面が圧着面側よりも振動子側の方が広い断面積を有し、かつ高さ寸法が幅寸法より大きい長方形である。
【0008】
各請求項記載の発明によれば、ボンディング時に振動子の振幅を増幅することができるとともに、ボンディング荷重によるホーンの撓みを抑えて良好なボンディングを行うことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施における形態の電子部品のボンディング装置の正面図、図2は同電子部品のボンディングツールの斜視図、図3(a)は同電子部品のボンディングツールの正面図、図3(b)は同電子部品のボンディングツールの平面図、図4(a)、(b)、(c)は同電子部品のボンディングツールの部分断面図である。
【0010】
まず、図1を参照して電子部品のボンディング装置の全体構造を説明する。1は支持フレームであって、その前面には第1昇降板2と第2昇降板3が昇降自在に設けられている。第1昇降板2にはシリンダ4が装着されており、そのロッド5は第2昇降板3に結合されている。第2昇降板3にはボンディングヘッド10が装着されている。支持フレーム1の上面にはZ軸モータ6が設けられている。Z軸モータ6は垂直な送りねじ7を回転させる。送りねじ7は第1昇降板2の背面に設けられたナット8に螺合している。したがってZ軸モータ6が駆動して送りねじ7が回転すると、ナット8は送りねじ7に沿って上下動し、第1昇降板2や第2昇降板3も上下動する。
【0011】
図1において、被圧着面である基板32は基板ホルダ34上に載せられており、基板ホルダ34はテーブル35上に載せられている。テーブル35は可動テーブルであって、基板32をX方向やY方向へ水平移動させ、基板32を所定の位置に位置決めする。
【0012】
42はカメラであって、一軸テーブル43に装着されている。44はカメラ42から前方へ延出する鏡筒である。カメラ42を一軸テーブル43に沿って前進させ、鎖線で示すように鏡筒44の先端部をボンディングツール14の下面に吸着して保持された電子部品30と基板32の間に位置させ、その状態で電子部品30と基板32の位置をカメラ42で観察する。そしてこの観察結果により電子部品30と基板32の相対的な位置ずれを検出する。検出された位置ずれは、テーブル35を駆動して基板32をX方向やY方向へ水平移動させることにより補正し、これにより電子部品30と基板32の位置合わせがなされる。
【0013】
図1において、50は主制御部であり、モータ駆動部51を介してZ軸モータ6を制御し、またテーブル制御部52を介してテーブル35を制御し、また認識部53を介してカメラ42に接続されている。またシリンダ4は荷重制御部54を介して主制御部50に接続されており、シリンダ4のロッド5の突出力すなわちボンディングツール14で電子部品30を基板32に押し付ける押圧荷重が制御される。
【0014】
ボンディングヘッド10の本体11の下端部にはホルダ12が結合されている。ホルダ12には昇降部材としてのブロック13が装着され、ブロック13にはボンディングツール14が固定されている。以下、図2、図3を参照してブロック13およびボンディングツール14について説明する。
【0015】
図2に示すように、ボンディングツール14のホーン15は細長形状の棒状体であり、ホーン15の側面には取付け座15aがホーン15と一体的に設けられている。取り付け座15aは、ホーン15の中央から等距離隔てられた4ヶ所にホーンの長手方向に対して対称に配置されている。ボンディングツール14は、取付け座15aの上平面をブロック13の下面の取付け平面に当接させて固定され、取付け座15aはホーン15を固定する固定部となっている。
【0016】
ボンディングツール14の中央部の下面には、下方に突出し電子部品30を真空吸着して保持する保持部15eが設けられ、この保持部15eの下面は電子部品押圧用の圧着面15fとなっている。また圧着面15fにはホーン15に設けられた真空吸引用の内孔16の一端が開口して吸着孔16aを形成している。内孔16の他端はホーン15の上面の取付け座15aの位置に開口して吸引孔16bを形成している。ブロック13の側面に設けられた突部13aには管部18が下方に突出して設けられており、図4に示すように管部18の下端部に装着された吸着パッド19は、ホーン15の上面の吸引孔16bの位置に当接している。したがって突部13aに接続され突部13aの内孔13bによって管部18と連通したチューブ20から、吸引装置21を駆動してエアを吸引することにより、内孔16を介して圧着面15fに開口した吸着孔16a(図3(a)、(b))から真空吸引し、この圧着面15fに電子部品30を真空吸着して保持することができる。
【0017】
ホーン15の側端面には振動子17が装着されている。振動子17を駆動することにより、ホーン15には縦振動が付与され、保持部15eは水平方向に振動する。図3(b)に示すように、ホーン15の形状は両端部15bからテーパ部15cを経て中央部15dの方向に順次幅が絞られた形状となっている。すなわち、ホーン1の長手方向の垂直断面が、圧着面15f側よりも振動子17側の方が広い断面積を有する形状となっている。これにより、振動子17より保持部15eに伝達される経路において超音波振動の振幅は増幅され、保持部15eには振動子17が発振する振幅以上の振動が伝達され、振動利用効率を向上させることができる。
【0018】
また、ホーン15の長手方向に垂直な方向の断面形状は、図4(a)に示すように、テーパ部15c(断面イ参照)および圧着面15f側である中央部15c(断面ロ参照)のいずれにおいても、高さ寸法Hが幅寸法B1,B2より大きい長方形となっており、すなわち曲げ剛性が、圧着面15fを基板32に押し当てる方向で最大となるような断面形状となっている。ホーン15の断面をこのような形状とすることにより、ボンディングツール14のサイズをできるだけコンパクトに保ちながら、ホーン15の曲げ剛性をボンディング荷重方向で最大にすることができ、したがってボンディング時のホーン15の撓みを最小に抑えて、良好なボンディングを行うことができる。なお、このような効果を得ることができる形状として、長方形以外にも図4(b)に示すような上下方向を長軸方向とする楕円や、図4(c)に示すような上下方向に細長い多角形などを用いることもできる。
【0019】
次に、振動子17によってホーン15に励起される振動のモードについて説明する。図3(a)に示すように、ホーン15に励起される振動の定在波は、振動子17の装着面およびホーン15の中央に位置する保持部15eの圧着面15fの位置を定在波の腹とし、ホーン15をブロック13に固定する固定部としての取付け座15aおよび吸引孔16bの位置が定在波の節となるような形となっている。すなわちホーン15各部の形状寸法、質量分布を適切に設定することにより、このような定在波をホーン15に発生させることができる。
【0020】
従って、固定部である取付け座15aは、ホーン15の振動の定在波の腹に相当する位置である圧着面15fからホーン15の両端側の方向へ等距離隔てられた定在波の節に相当する位置にホーン15と一体的に設けられている。これによりボンディングツール14が固定される取付け座15aの位置ではホーン15の縦振動による変位は極小となり、電子部品30を保持する保持部15eの位置では極大の振幅を得ることとなり、超音波振動を電子部品30のボンディングに最も有効に利用することができる。
【0021】
この電子部品のボンディング装置は上記のように構成されており、次に動作を説明する。図1においてボンディングツール14の圧着面15eに電子部品30を真空吸着させて保持し、基板32の上方に位置させる。そこで鏡筒44を前進させてカメラ42で電子部品30と基板32の画像を入手し、認識部53へ画像データが送られる。主制御部50はこの画像データから電子部品30と基板32の相対的な位置ずれを検出し、この検出結果にしたがってテーブル35を駆動し、基板32を水平移動させて位置補正を行う。
【0022】
次にZ軸モータ6が駆動してボンディングヘッド10が下降し、電子部品30のバンプを基板32に押圧する。このとき基板32は加熱手段(図外)によって加熱されている。そして押圧した状態で振動子17を駆動して電子部品30に振動を付与する。これによりバンプ31と基板32の電極との押圧面が振動により摩擦され、バンプ31は基板32の電極にボンディングされる。
【0023】
このとき、前述のようにホーン15の断面形状は、振動子17から伝達される超音波振動の振幅が増幅されるような形状となっており、振動利用効率に優れた効率的なボンディングを行うことができるとともに、圧着方向の曲げ剛性が最大となるような形状となっているため、ボンディングツール14をコンパクト化することができるとともに、ボンディング時のホーン15の撓みを最小に抑えて、良好なボンディングを行うことができる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、ボンディング時に振動子の振幅を増幅して振動利用効率に優れたボンディングを行うことができ、ボンディングツール14をコンパクト化することができるとともに、ボンディング荷重によるホーンの撓みを抑えて良好なボンディングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における電子部品のボンディング装置の正面図
【図2】本発明の一実施の形態における電子部品のボンディングツールの斜視図
【図3】(a)本発明の一実施の形態における電子部品のボンディングツールの正面図(b)本発明の一実施の形態における電子部品のボンディングツールの平面図
【図4】(a)本発明の一実施の形態における電子部品のボンディングツールの部分断面図
(b)本発明の一実施の形態における電子部品のボンディングツールの部分断面図
(c)本発明の一実施の形態における電子部品のボンディングツールの部分断面図
【符号の説明】
10 ボンディングヘッド
13 ブロック
14 ボンディングツール
15 ホーン
15a 取付け座
15e 保持部
15f 圧着面
16 内孔
16a 吸着孔
16b 吸引孔
17 振動子
19 吸着パッド
21 吸引装置
30 電子部品
32 基板
50 主制御部

Claims (2)

  1. 電子部品に当接して電子部品を被圧着面に押圧しながら振動を付与して被圧着面に圧着する電子部品のボンディングツールであって、振動子によって振動するホーンと、このホーンの振動の定在波の腹に相当する位置に形成され電子部品を圧着する圧着面と、この圧着面に形成され電子部品を真空吸着する吸着孔とを有し、前記ホーンの長手方向に垂直な方向の断面が圧着面側よりも振動子側の方が広い断面積を有し、かつ高さ寸法が幅寸法より大きい長方形であることを特徴とする電子部品のボンディングツール。
  2. ボンディングツールにより電子部品を被圧着面に押圧しながら振動を付与して被圧着面に圧着する電子部品のボンディング装置であって、被圧着面に対して上下に昇降する昇降部材と、この昇降部材に固定されたボンディングツールを有し、前記ボンディングツールが、振動子によって振動するホーンと、このホーンの振動の定在波の腹に相当する位置に形成され電子部品を圧着する圧着面と、この圧着面に形成され電子部品を真空吸着する吸着孔とを有し、前記ホーンの長手方向に垂直な方向の断面が圧着面側よりも振動子側の方が広い断面積を有し、かつ高さ寸法が幅寸法より大きい長方形であることを特徴とする電子部品のボンディング装置。
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