JP2004070048A - カラーフィルタ用着色組成物およびカラーフィルタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物からなる着色料担体と、該着色料担体に分散されたC.I. Pigment Orange 43で代表される特定のペリノン系顔料を含む組成物であって、前記ペリノン系顔料が、該顔料を前記着色料担体に分散してなる橙色組成物を用いて495nmにおける分光透過率が1%になるように塗膜を形成したとき、該塗膜の535nmにおける分光透過率が3%以下かつ600nmにおける分光透過率が90%以上となる分光特性を有するカラーフィルタ用着色組成物、および少なくとも1つの赤色、青色、および緑色フィルタセグメントを具備し、該少なくとも1つの赤色フィルタセグメントが、前記着色組成物から形成されているカラーフィルタ。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー液晶表示装置、カラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタの製造に使用されるカラーフィルタ用着色組成物およびこれを用いて形成されるカラーフィルタに関する。
【0002】
カラーフィルタは、ガラス等の透明な基板の表面に2種以上の異なる色相の微細な帯(ストライプ)状のフィルタセグメントを平行または交差して配置したもの、あるいは微細なフィルタセグメントを縦横一定の配列で配置したものからなっている。フィルタセグメントは、数ミクロン〜数100ミクロンと微細であり、しかも色相毎に所定の配列で整然と配置されている。
カラー液晶表示装置に用いられているカラーフィルタの上には、一般に液晶を駆動させるための透明電極が蒸着あるいはスパッタリングにより形成され、さらにその上に液晶を一定方向に配向させるための配向膜が形成されている。これらの透明電極および配向膜の性能を充分に得るには、その形成工程を一般に200℃以上、好ましくは230℃以上の高温で行う必要がある。
【0003】
このため、現在、カラーフィルタの製造方法としては、耐光性、耐熱性に優れる顔料を着色剤とする顔料分散法と呼ばれる方法が主流となっており、主に下記の2通りの方法でカラーフィルタが製造されている。
第1の方法では,感光性透明樹脂溶液中に顔料を分散したものをガラス等の透明基板に塗布し、乾燥により溶剤を除去した後、一つのフィルタ色のパターン露光を行い、次いで未露光部を現像工程で除去して1色目のパターンを形成、必要に応じて加熱等の処理を加えた後、同様の操作を全フィルタ色について順次繰り返すことによりカラーフィルタを製造することができる。
【0004】
第2の方法では、透明樹脂溶液中に顔料を分散したものをガラス等の透明基板に塗布し、乾燥により溶剤を除去した後、その塗膜上にポジ型レジスト等のレジストを塗布し、一つのフィルタ色のパターン露光を行い、現像してレジストパターンを形成し、これをエッチングレジストとして、レジストパターンの付着していない顔料分散塗膜をエッチング液で除去し,レジスト塗膜を剥離して1色目のパターンを形成、必要により加熱等の処理を加えた後、同様の操作を全フィルタ色について順次繰り返すことによりカラーフィルタを製造することができる。なお、レジストの現像と顔料分散塗膜のエッチングを同時に行うこともできる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記方法において、赤色フィルタセグメントの製造には、橙色顔料を含む着色組成物が用いられ、従来は橙色顔料としてC.I. Pigment Orange 43等が用いられてきた。
しかし、透過度、すなわち明度や、色純度の向上、画素を形成する際の塗布均一性、感度、現像性、パターン形状など、カラーフィルタに対する色特性の要求が高まっている状況下においては、従来から採用されているC.I. Pigment Orange 43等では、その対応が困難になってきている。特に近年では、テレビモニタ用途で液晶表示装置が応用されており、低消費電力のパネルを作成するために明るいカラーフィルタが求められている。
【0006】
そこで、本発明の目的は、色特性に優れ、特に透過度が高く、したがって明度の高いカラーフィルタを形成し得る着色組成物を提供することにある。また、本発明の別の目的は、色特性のよいカラーフィルタを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、橙色顔料として特定の分光特性を有するペリノン系顔料を含むため、該組成物を用いることにより、フィルタセグメントの分光スペクトルをコントロールでき、高い明度と高い色純度を併せ持つカラーフィルタが得られる。
【0008】
すなわち、本発明は、透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物からなる着色料担体と、該着色料担体に分散された下記式(1)で表されるペリノン系顔料を含む組成物であって、前記ペリノン系顔料が、該顔料を前記着色料担体に分散してなる橙色組成物を用いて495nmにおける分光透過率が1%になるように塗膜を形成したとき、該塗膜の535nmにおける分光透過率が3%以下かつ600nmにおける分光透過率が90%以上となる分光特性を有することを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物を提供する。
式(1)
【化2】
【0009】
本発明の着色組成物は、塩基性基を有する色素誘導体または塩基性基を有するトリアジン誘導体を含むことが好ましい。
また、塩基性基を有する色素誘導体または塩基性基を有するトリアジン誘導体の含有量は、式(1)で表されるペリノン系顔料を基準として0.001〜40重量%であることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明は、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの青色フィルタセグメント、および少なくとも1つの緑色フィルタセグメントを具備し、該少なくとも1つの赤色フィルタセグメントが、本発明の着色組成物から形成されていることを特徴とするカラーフィルタを提供する。
【0011】
上記式(1)で表されるペリノン系顔料であって、該顔料を前記着色料担体に分散してなる黄色組成物を用いて495nmにおける分光透過率が1%になるように塗膜を形成したとき、該塗膜の535nmにおける分光透過率が3%以下かつ600nmにおける分光透過率が90%以上となる分光特性を有するペリノン系顔料(以下、本発明のペリノン系顔料という。)を含む本発明の着色組成物を用いて赤色フィルタセグメントを形成すると、従来の赤色フィルタセグメントと比較して同一色相時の透過率80%以上の透過波長領域が短波長側にシフトされ、より透過領域が広がり透過度が高くなる。
【0012】
本発明のペリノン系顔料は、上記式(1)で表されるペリノン系顔料(C.I. Pigment Orange 43)を水溶性無機塩と少量の水溶性有機溶剤と共に加熱しながら8時間以上混練して顔料粒径を制御するソルトミリング処理を行うことにより、製造することができる。ペリノン系顔料と水溶性無機塩および水溶性有機溶剤との混練時間は、得られるソルトミリング処理顔料の色特性とソルトミリング処理に要する費用のバランスの点から24時間以下であることが好ましい。
一般的な顔料のソルトミリング処理時間は2〜4時間であるが、この程度の処理時間では、得られるソルトミリング処理顔料を着色料担体に分散しても、495nmにおける分光透過率が1%になるように塗膜を形成したとき、該塗膜の535nmにおける分光透過率が3%以下かつ600nmにおける分光透過率が90%以上とならず、透過領域が広がらないので透過度が高くならない。
【0013】
ソルトミリング処理とは、具体的には、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー等の混練機を用いて加熱しながら混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕され、それにより活性面が生じて、結晶成長がおこると考えられている。従って、混練時は顔料の破砕と結晶成長が同時に起こり、混練条件により得られる顔料の一次粒子径が異なる。顔料をソルトミリング処理する際には、加熱により結晶成長を促進する必要があり、加熱温度は70〜150℃が好ましい。加熱温度が70℃未満の場合は、結晶成長が十分に起こらず、顔料粒子の形状が無定形に近くなるため好ましくない。一方、加熱温度が150℃を越える場合は、結晶成長が進みすぎ、顔料の一次粒子径が大きくなるため、カラーフィルタ用着色組成物の着色料としては好ましくない。
【0014】
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。ソルトミリングする際に用いる無機塩の量は、処理効率と生産効率の両面から、顔料の0.5〜20重量倍、特に1〜10重量倍であることが好ましい。
水溶性有機溶剤は、顔料および水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。但し、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。
【0015】
水溶性有機溶剤としては、例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。
【0016】
ソルトミリング時には、ソルトミリング処理後に得られる処理顔料を乾燥する際の強い凝集を防止し、容易に着色料担体に分散できるようにするため、樹脂を併用することができる。ソルトミリング時に樹脂を併用することにより、柔らかい粉体処理顔料を得ることができる。ソルトミリング時に用いる樹脂としては、室温で固体で、水不溶性で、かつ上記有機溶剤に少なくとも一部可溶であるものが好ましく、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等が用いられる。天然樹脂としてはロジンが代表的で、変性天然樹脂としてはロジン誘導体、繊維素誘導体、ゴム誘導体、タンパク誘導体およびそれらのオリゴマーが用いられる。合成樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアマイド樹脂等が挙げられる。天然樹脂で変性された合成樹脂としてはロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂等が挙げられる。樹脂の使用量は、顔料に対して5〜100重量%の範囲であることが好ましい。
【0017】
ソルトミリング時には、上記樹脂の他に、顔料分散助剤、可塑剤等の添加剤、あるいは一般に体質顔料として知られている炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ等の無機顔料を併用してもよい。また、色相を調整するために他の顔料と混合して処理を行ってもよい。
本発明のペリノン系顔料は、上記式(1)で表されるペリノン系顔料(C.I. Pigment Orange 43)をアシッドペースティング処理することによっても製造することができる。
【0018】
本発明のペリノン系顔料を分散させる着色料担体は、上述したように、透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物から構成される。透明樹脂とは、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれ、その前駆体には、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独または2種以上混合して用いることができる。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化するときには、光重合開始剤等が添加される。
【0019】
熱可塑性樹脂としては、例えば, ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム、セルロース類、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
【0020】
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合体やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0021】
モノマーおよびオリゴマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0022】
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤およびボレート系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤等が用いられる。
【0023】
上記光重合開始剤は、単独あるいは2種以上混合して用いるが、増感剤として、α−アシロキシムエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。
【0024】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、本発明のペリノン系顔料を必要に応じて他の顔料と混合した後、必要に応じて上記光重合開始剤と共に、着色料担体中に、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる。
顔料を着色料担体中に分散する際には、適宜、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤、色素誘導体、トリアジン誘導体等の分散助剤を含有させることができる。分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を着色料担体中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。特に、塩基性基を有する色素誘導体および塩基性基を有するトリアジン誘導体は、顔料の分散効果が大きいため好適に用いられる。
【0025】
樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、着色料担体と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の着色料担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型顔料分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などの油性分散剤;(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0026】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0027】
色素誘導体は、有機色素に置換基を導入した化合物である。有機色素には、一般に色素とは呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。色素誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
【0028】
色素誘導体およびトリアジン誘導体が有する塩基性基として具体的には、下記一般式(2)、(3)、(4)及び(5)で表される置換基が挙げられる。
式(2)
【化3】
式(3)
【化4】
式(4)
【化5】
式(5)
【化6】
【0029】
X:−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2−または直接結合を表す。
n:1〜10の整数を表す。
R1、R2:それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、またはR1 とR2 とで一体となって更なる窒素、酸素または硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環を表す。アルキル基およびアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましい。
R3:置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。アルキル基およびアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましい。
R4、R5、R6、R7:それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。アルキル基およびアルケニル基の炭素数は1〜5が好ましい。
【0030】
Y:−NR8−Z−NR9−または直接結合を表す。
R8、R9:それぞれ独立に水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。アルキル基およびアルケニル基の炭素数は1〜5が好ましい。
Z:置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいアルケニレン基または置換されていてもよいフェニレン基を表す。アルキル基およびアルケニル基の炭素数は1〜8が好ましい。
P:式(6)で示される置換基または式(7)で示される置換基を表す。
Q:水酸基、アルコキシル基、式(6)で示される置換基または式(7)で示される置換基を表す。
【0031】
式(6)
【化7】
式(7)
【化8】
【0032】
塩基性基を有する色素誘導体を構成する有機色素としては、例えば、ジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、チオインジゴ系色素、ペリノン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、金属錯体系色素等である。また、後述する、カラーフィルタ用着色組成物に用いられる顔料でもよい。
【0033】
また、塩基性基を有するトリアジン誘導体を構成するトリアジンは、メチル基、エチル基等のアルキル基、アミノ基またはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基等のアルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基またはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、塩素等のハロゲンまたはメチル基、メトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、水酸基等で置換されていてもよいフェニル基またはメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ニトロ基、水酸基等で置換されていてもよいフェニルアミノ基等の置換基を有していてもよい1,3,5−トリアジンである。
【0034】
本発明の塩基性基を有する色素誘導体は、種々の合成経路で合成することができる。例えば、有機色素に、下記式(8)〜式(11)で表される置換基を導入した後、該置換基と反応して式(2)〜式(5)で表される置換基を形成するアミン成分、例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N−メチルピペラジン、ジエチルアミンまたは4−[4−ヒドロキシ−6−[3−(ジブチルアミノ)プロピルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ]アニリン等を反応させることによって得られる。
式(8) −SO2Cl
式(9) −COCl
式(10) −CH2NHCOCH2Cl
式(11) −CH2Cl
【0035】
有機色素がアゾ系色素である場合は、一般式(2)〜(5)で表される置換基をあらかじめジアゾ成分またはカップリング成分に導入し、その後カップリング反応を行うことによって塩基性基を有するアゾ系色素誘導体を製造することもできる。
また、本発明の塩基性基を有するトリアジン誘導体は、種々の合成経路で合成することができる。例えば、塩化シアヌルを出発原料とし、塩化シアヌルの少なくとも1つの塩素に一般式(2)〜(5)で表される置換基を形成するアミン成分、例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミンまたはN−メチルピペラジン等を反応させ、次いで塩化シアヌルの残りの塩素と種々のアミンまたはアルコール等を反応させることによって得られる。
【0036】
一般式(2)〜(7)で表される置換基を形成するために使用されるアミン成分としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N,N−エチルイソプロピルアミン、N,N−エチルプロピルアミン、N,N−メチルブチルアミン、N,N−メチルイソブチルアミン、N,N−ブチルエチルアミン、N,N−tert−ブチルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、N,N−sec−ブチルプロピルアミン、ジブチルアミン、ジーsec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、N,N−イソブチル−sec−ブチルアミン、ジアミルアミン、ジイソアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、ジオクチルアミン、N,N−メチルオクタデシルアミン、ジデシルアミン、ジアリルアミン、N,N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、N,N−メチルヘキシルアミン、ジオレイルアミン、ジステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノメチルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノアミルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノヘキシルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノペンチルアミン、N,N−ジプロピルアミノブチルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミン、N,N−ジイソブチルアミノペンチルアミン、N,N−メチルーラウリルアミノプロピルアミン、N,N−エチルーヘキシルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノエチルアミン、N,N−ジオレイルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノブチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノール、ピペコリン酸、イソニペコチン酸、イソニコペチン酸メチル、イソニコペチン酸エチル、2−ピペリジンエタノール、ピロリジン、3−ヒドロキシピロリジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチル−4−ピペコリン、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノプロピル−2−ピペコリン、N−アミノプロピル−4−ピペコリン、N−アミノプロピルモルホリン、N−メチルピペラジン、N−ブチルピペラジン、N−メチルホモピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン等が挙げられる。
【0037】
色素誘導体としては、表1〜9に表されるものを用いることができるが、これらに限定されるわけではない。色素誘導体は、単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】
【表7】
【0045】
【表8】
【0046】
【表9】
【0047】
本発明の着色組成物には、形成するフィルタセグメントの色相に応じて、本発明のペリノン系顔料と共に、他の有機または無機の着色料を含有させることができる。有機着色料としては、染料、有機顔料、天然色素等を挙げることができ、無機着色料としては、無機顔料を挙げることができる。なお、無機顔料には、体質顔料を含む。着色料としては、発色性が高く、且つ耐熱性の高い着色料、特に耐熱分解性の高い着色料が好ましく、通常は有機着色料が使用され、特に有機顔料が好ましい。有機または無機着色料は、単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
以下に、本発明の着色組成物に使用可能な有機顔料の具体例を、カラーインデックス番号で示す。
【0048】
本発明の着色組成物から赤色フィルタセグメントを形成する場合には、C.I. Pigment Red 7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、81:4、146、177、178、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272等の赤色顔料を併用することができる。
この場合、着色料の全量(本発明のペリノン系顔料と赤色顔料の合計量)を基準とする本発明のペリノン系顔料の含有量は、要求される色特性に応じて異なるが、充分な明度を得る観点から0.01〜50重量%、特に5〜10重量%であることが好ましい。
【0049】
また、本発明の着色組成物には、彩度と明度のバランスをとりつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するため、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等の無機着色料を含有させることができる。
【0050】
本発明の着色組成物が2種以上の着色料を含む場合には、本発明の着色組成物は、2種以上の着色料を混合した後、得られた着色料混合物を、必要に応じて上記光重合開始剤と共に、着色料担体中に既知の方法で微細に分散して製造することができる。また、本発明の着色組成物は、各着色料を別々に着色料担体中に微細に分散したものを混合して製造することもできる。
【0051】
さらに、本発明の着色組成物には、着色料を充分に着色料担体中に分散させ、ガラス基板等の透明基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために溶剤を含有させることができる。溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
【0052】
また、本発明の着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。
【0053】
本発明の着色組成物は、インクジェットインキ、グラビアオフセット用印刷インキ、水無しオフセット印刷インキ、シルクスクリーン印刷用インキ、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材の形態で調製することができる。着色レジスト材は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または感光性樹脂とモノマー、光重合開始剤を含有する組成物中に本発明のペリノン系顔料および必要に応じて他の着色料を分散させたものである。
【0054】
本発明のペリノン系顔料および必要に応じて用いられる他の着色料は、フィルタセグメントをフォトリソグラフ法により形成する場合には、合計して着色組成物中に1.5〜7重量%の割合で含有されることが好ましい。また、フィルタセグメントを印刷法により形成する場合には、合計して着色組成物中に1.5〜40重量%の割合で含有されることが好ましい。いずれにせよ、着色料は、最終フィルタセグメント中に好ましくは10〜40重量%、より好ましくは20〜40重量%の割合で含有され、その残部は、着色料担体により提供される樹脂質バインダーから実質的になる。
【0055】
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子さらに好ましくは、0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0056】
前述のように、本発明のカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの青色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメントを具備し、ここで、少なくとも1つの赤色フィルタセグメントは、本発明の着色組成物を用いて形成される。
青色フィルタセグメントは、通常の青色着色組成物を用いて形成することができる。青色着色組成物は、本発明のペリノン系顔料の代わりに、例えばC.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、60等の青色顔料を用いて得られる組成物である。青色着色組成物には、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、32、42等の紫色顔料を併用することができる。
【0057】
また、緑色フィルタセグメントは、通常の緑色着色組成物を用いて形成することができる。緑色着色組成物は、本発明のペリノン系顔料の代わりに、例えば、C.I. Pigment Green 7、10、36、37等の緑色顔料を用いて得られる組成物である。緑色着色組成物には、C.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214等の黄色顔料を併用することができる。
【0058】
本発明のカラーフィルタは、印刷法またはフォトリソグラフィー法により、本発明の着色組成物を用いて透明基板上に各色のフィルタセグメントを形成することにより製造することができる。
透明基板としては、ガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。
【0059】
印刷法による各色フィルタセグメントの形成は、上記各種の印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
【0060】
フォトリソグラフィー法により各色フィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するか、もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0061】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジスト材を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0062】
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法などにより製造することができるが、本発明の着色組成物は、いずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、透明基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。
また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめカラーフィルタ層を形成しておき、このカラーフィルタ層を所望の透明基板に転写させる方法である。
【0063】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、「部」とは「重量部」を意味する。
まず、実施例および比較例に用いたアクリル樹脂溶液および黄色顔料について説明する。
【0064】
(アクリル樹脂溶液の調製)
反応容器にシクロヘキサノン800部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら100℃に加熱して、同温度で下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
スチレン 60.0部
メタクリル酸 60.0部
メチルメタクリレート 65.0部
ブチルメタクリレート 65.0部
アゾビスイソブチロニトリル 10.0部
滴下後さらに100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル2.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、さらに100℃で1時間反応を続けて、重量平均分子量が約40000のアクリル樹脂の溶液を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製した。
【0065】
次に、下記の方法で式(1)で表されるペリノン系顔料(C.I. Pigment Orange 43)をソルトミリング処理し、橙色処理顔料を製造した。
[橙色顔料1]
C.I. Pigment Orange 43顔料(Clariant社製「ホスタパームオレンジGR」):500部、塩化ナトリウム:500部、およびジエチレングリコール:250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、120℃で8時間混練した。次にこの混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、490部の橙色顔料1を得た。
【0066】
[橙色顔料2]
C.I. Pigment Orange 43顔料(Clariant社製「ホスタパームオレンジGR」):500部、塩化ナトリウム:500部、およびジエチレングリコール:250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、120℃で2時間混練した。次にこの混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、490部の橙色顔料2を得た。
【0067】
[実施例1]
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのガラスビーズを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過しペリノン系橙色顔料分散体を作製した。
橙色顔料1 9.0部
顔料分散剤(化合物A−45) 1.0部
アクリル樹脂溶液 50.0部
シクロヘキサノン 40.0部
ついで、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、アルカリ現像型橙色レジスト材を得た。
ペリノン系橙色顔料分散体 60.0部
アクリル樹脂溶液 11.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート 4.2部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤(チバガイギー社製「イルガキュアー907」) 1.2部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 0.4部
シクロヘキサノン 23.2部
【0068】
[比較例1]
橙色顔料1を橙色顔料2に変えた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ現像型橙色レジスト材を作製した。
[比較例2]
橙色顔料1を未処理のC.I. Pigment Orange 43顔料(Clariant社製「ホスタパームオレンジGR」)に変えた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ現像型橙色レジスト材を作製した。
【0069】
実施例1、比較例1及び比較例2で得られたレジスト材を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて500rpm、1000rpm、1500rpm、2000rpmの回転数で塗布し、膜厚が異なる4種の塗布基板を得た。次に、70℃で20分乾燥後、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJで紫外線露光を行った。塗布基板を230℃で1時間加熱、放冷後、得られた橙色塗膜のC光源での色度(Y,x,y)を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。4組の色度・分光測定結果から、495nmにおける分光透過率が1%になる時の535nm,600nmにおける分光透過率、x、yおよびYを求めた。さらに1000rpmの塗布基板の表面状態を光学顕微鏡(オリンパス光学社製「BX60」)で観察した。結果を表10に示す。
【0070】
【表10】
【0071】
表10に示すように、比較例1及び比較例2のレジスト材を用いて形成された橙色塗膜は、600nmの透過率が90%未満と小さいのに対し、実施例1のレジスト材を用いて形成された黄色塗膜の600nm透過率は、90%以上と大きく、本発明の着色組成物(レジスト材)を用いて形成された橙色塗膜のほうが透過領域が広く、はるかに優れている。また、高い透過率により明度Yが大きくなっており、色特性が向上している。
【0072】
[実施例2]
橙色顔料1の9.0部のうち5.67部を、ジケトピロロピロール系赤色顔料C.I. Pigment Red 254(チバガイギー社製「イルガフォーレッド B−CF」)に変えた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ現像型赤色レジスト材を得た。
[比較例3]
橙色顔料1の9.0部を、ジケトピロロピロール系赤色顔料C.I. Pigment Red254(チバガイギー社製「イルガフォーレッド B−CF」)5.715部、橙色顔料2を3.285部に変えた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ現像型赤色レジスト材を得た。
[比較例4]
橙色顔料1の9.0部を、ジケトピロロピロール系赤色顔料C.I. Pigment Red254(チバガイギー社製「イルガフォーレッド B−CF」)5.76部、未処理のC.I. Pigment Orange43顔料(Clariant社製「ホスタパームオレンジGR」)3.24部に変えた以外は、実施例2と同様にしてアルカリ現像型赤色レジスト材を得た。
【0073】
実施例2、比較例3及び比較例4で得られたレジスト材を、100mm×100mm、1.3mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて、x=0.603、y=0.342になるような膜厚に塗布した。次に、70℃で20分乾燥後、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJで紫外線露光を行った。塗布基板を230℃で1時間加熱して放冷後、顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて、得られた赤色塗膜のC光源での明度(Y)、最大透過率(Tmax)および最小透過率(Tmin)を求めた。また、塗膜の表面状態を光学顕微鏡(オリンパス光学社製「BX60」)で観察した。結果を表11に示す。
【0074】
【表11】
【0075】
表11に示すように、本発明の着色組成物(レジスト材)を用いて形成された赤色塗膜は、塗膜中に含まれている橙色顔料の透過波長領域が短波長側にシフトしており、その分の色相を合わせるために橙色顔料を多く含むことから、結果として明度Yが高くなっている。
【0076】
[実施例3]
橙色顔料1のうち5.85部を、アントラキノン系赤色顔料C.I. Pigment Red177(チバガイギー社製「クロモフタールレッド A2B」)に変えた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ現像型赤色レジスト材を得た。
[比較例5]
橙色顔料1の9.0部を、アントラキノン系赤色顔料C.I. Pigment Red 177(チバガイギー社製「クロモフタールレッド A2B」)5.895部、橙色顔料2を3.105部に変えた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ現像型赤色レジスト材を得た。
[比較例6]
橙色顔料1の9.0部を、アントラキノン系赤色顔料C.I. Pigment Red 177(チバガイギー社製「クロモフタールレッド A2B」)5.94部、未処理のC.I. Pigment Orange 43顔料(Clariant社製「ホスタパームオレンジGR」)3.06部に変えた以外は、実施例2と同様にしてアルカリ現像型赤色レジスト材を得た。
【0077】
実施例3、比較例5及び比較例6で得られたレジスト材を、100mm×100mm、1.3mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて、x=0.603、y=0.320になるような膜厚に塗布した。次に、70℃で20分乾燥後、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJで紫外線露光を行った。塗布基板を230℃で1時間加熱して放冷後、顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて、得られた赤色塗膜のC光源での明度(Y)、最大透過率(Tmax)および最小透過率(Tmin)を求めた。また、塗膜の表面状態を光学顕微鏡(オリンパス光学社製「BX60」)で観察した。結果を表12に示す。
【0078】
【表12】
【0079】
表12に示すように、本発明の着色組成物(レジスト材)を用いて形成された赤色塗膜は、塗膜中に含まれている橙色顔料の透過波長領域が短波長側にシフトしており、その分の色相を合わせるために橙色顔料を多く含むことから、結果として明度Yが高くなっている。
【0080】
[実施例4]
赤色フィルタセグメント、青色フィルタセグメント、および緑色フィルタセグメントを具備するカラーフィルタを作製するために、青色、赤色レジスト材を以下の方法で作製した。
【0081】
(青色レジスト材)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのガラスビーズを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し銅フタロシアニン分散体を作製した。
ε型銅フタロシアニン顔料C.I. Pigment Blue 15:6 10.0部
(BASF製「ヘリオゲンブルー L−6700F」)
分散剤(ゼネカ社製「ソルスパーズ20000」) 2.0部
アクリル樹脂溶液 40.0部
シクロヘキサノン 48.0部
ついで、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、青色レジスト材を得た。
銅フタロシアニン分散体 60.0部
アクリル樹脂溶液 11.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート 4.2部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤(チバガイギー社製「イルガキュアー907」) 1.2部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 0.4部
シクロヘキサノン 23.2部
【0082】
(緑色レジスト材)
ε型銅フタロシアニン顔料10.0部を銅フタロシアニン系緑色顔料C.I. Pigment Green 36(東洋インキ製造社製「リオノールグリーン 6YK」)6.85部、イソインドリン系黄色顔料C.I. Pigment Yellow 139(チバガイギー社製「イルガフォアイエロー 2R−CF」)3.15部に変えた以外は、青色レジスト材と同様にして緑色レジスト材を作製した。
【0083】
ガラス基板に、スピンコートにより、実施例2で得られた赤色レジスト材をx=0.603、y=0.342になるような膜厚に塗布した。乾燥後、露光機にてストライプ状のパターン露光をし、アルカリ現像液にて90秒間現像して、ストライプ形状の赤色フィルタセグメントを形成した。なお、アルカリ現像液は、炭酸ナトリウム1.5重量% 炭酸水素ナトリウム0.5重量% 陰イオン系界面活性剤(花王社製「ペリレックスNBL」)8.0重量%および水90重量%からなる。
【0084】
次に、赤色レジスト材と同様にして、緑色レジスト材をx=0.32、y=0.53になるような膜厚に塗布した。乾燥後、露光機にて赤色フィルタセグメントと隣接したストライプ状のパターン露光をし、ストライプ形状の緑色フィルタセグメントを形成した。
さらに、赤色レジスト材と同様にして、青色レジスト材をx=0.136、y=0.142になるような膜厚に塗布した。乾燥後、赤色、緑色のフィルタセグメントと隣接したストライプ形状の青色フィルタセグメントを形成した。
各色のフィルタセグメントの形状は良好であり、解像度も良好であった。最後に、得られたカラーフィルタをオーブン中で230℃にて30分加熱して残存する重合可能な官能基を完全に反応させ、透明基板上に赤色、緑色、青色の3色のストライプ形状のフィルタセグメントを具備するカラーフィルタが得られた。
【0085】
[比較例7]
比較例3で作製した赤色レジスト材、実施例4で作製した緑色レジスト材、および実施例4で作製した青色レジスト材を用いて、実施例4と同様にしてカラーフィルタを作製した。
[比較例8]
比較例4で作製した赤色レジスト材、実施例4で作製した緑色レジスト材、および実施例4で作製した青色レジスト材を用いて、実施例4と同様にしてカラーフィルタを作製した。
【0086】
実施例4、比較例7及び比較例8で得られたカラーフィルタの各色のYを顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。3色すべてに光を透過させた場合白色光が得られるが、その白色光のx, y, Yを各色のx, y, Yから計算した。結果を表13、14に示す。表14に示すように、実施例4で得られたカラーフィルタのY値は、比較例7及び比較例8で得られたものよりも高い値を示す。Y値が高いと、白色が明るいカラーフィルタとなる。
【0087】
【表13】
【0088】
【表14】
【0089】
【発明の効果】
本発明の着色組成物は、着色組成物中に含まれている橙色顔料の透過波長領域が短波長側にシフトしているため、極めて明度の高い赤色フィルタセグメントを基板上に形成することができる。
本発明の着色組成物を用いて形成されるフィルタセグメントを具備するカラーフィルタは、カラー液晶表示装置に高明度と高彩度とを同時に付与することができ、透過型・反射型のカラー液晶表示装置ならびに固体撮像素子の色分解用カラーフィルタとして好適である。
Claims (4)
- 塩基性基を有する色素誘導体または塩基性基を有するトリアジン誘導体を含むことを特徴とする請求項1記載の着色組成物。
- 塩基性基を有する色素誘導体または塩基性基を有するトリアジン誘導体の含有量が、式(1)で表されるペリノン系顔料を基準として0.001〜40重量%であることを特徴とする請求項2記載の着色組成物。
- 少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの青色フィルタセグメント、および少なくとも1つの緑色フィルタセグメントを具備し、該少なくとも1つの赤色フィルタセグメントが、請求項1〜3いずれか記載の着色組成物から形成されていることを特徴とするカラーフィルタ。
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