JP4715201B2 - カラーフィルタ用着色組成物およびカラーフィルタ - Google Patents
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カラー液晶表示装置に用いられているカラーフィルタの上には、一般に液晶を駆動させるための透明電極が蒸着あるいはスパッタリングにより形成され、さらにその上に液晶を一定方向に配向させるための配向膜が形成されている。これらの透明電極および配向膜の性能を充分に得るには、その形成工程を一般に200℃以上、好ましくは230℃以上の高温で行う必要がある。
第1の方法では,感光性透明樹脂溶液中に顔料を分散したものをガラス等の透明基板に塗布し、乾燥により溶剤を除去した後、一つのフィルタ色のパターン露光を行い、次いで未露光部を現像工程で除去して1色目のパターンを形成、必要に応じて加熱等の処理を加えた後、同様の操作を全フィルタ色について順次繰り返すことによりカラーフィルタを製造することができる。
しかし、透過度、すなわち明度や、色純度の向上、画素を形成する際の塗布均一性、感度、現像性、パターン形状など、カラーフィルタに対する色特性の要求が高まっている状況下においては、従来から採用されているC.I. Pigment Red 179等では、その対応が困難になってきている。特に近年では、テレビモニタ用途で液晶表示装置が応用されており、低消費電力のパネルを作成するために明るいカラーフィルタが求められている。
式(1)
また、塩基性基を有する、アゾ系色素誘導体またはペリレン系色素誘導体の含有量は、式(1)で表されるペリレン系顔料を基準として0.001〜40重量%であることが好ましい。
一般的な顔料のソルトミリング処理時間は2〜4時間であるが、この程度の処理時間では、得られるソルトミリング処理顔料を着色料担体に分散しても、470nmにおける分光透過率が1%になるように塗膜を形成したとき、該塗膜の545nmにおける分光透過率が8%
以上かつ615nmにおける分光透過率が80%以上とならず、透過領域が広がらないので透過度が高くならない。
水溶性有機溶剤は、顔料および水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。但し、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。
本発明のペリレン系顔料は、上記式(1)で表されるペリレン系顔料をドライミリング処理によっても製造することが出来る。ドライミリング処理とは、具体的にはボールミル、アトライター、振動ミル等により乾式で粉砕することで顔料の一次粒子を細かくする方法である。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化するときには、光重合開始剤等が添加される。
顔料を着色料担体中に分散する際には、適宜、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤、色素誘導体、トリアジン誘導体等の分散助剤を含有させることができる。分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を着色料担体中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。特に、塩基性基または酸性基を有する、色素誘導体、アントラキノン誘導体、アクリドン誘導体またはトリアジン誘導体またはこれらの塩が、顔料の分散効果が大きいため好適に用いられる。好ましくは塩基性基を有するトリアジン誘導体または酸性基を有する誘導体のアルミニウム塩がよい。
n:1〜10の整数を表す。
R1、R2:それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、またはR1 とR2 とで一体となって更なる窒素、酸素または硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環を表す。アルキル基およびアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましい。
R3:置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。アルキル基およびアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましい。
R4、R5、R6、R7:それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。アルキル基およびアルケニル基の炭素数は1〜5が好ましい。
R8、R9:それぞれ独立に水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。アルキル基およびアルケニル基の炭素数は1〜5が好ましい。
Z:置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいアルケニレン基または置換されていてもよいフェニレン基を表す。アルキル基およびアルケニル基の炭素数は1〜8が好ましい。
P:式(6)で示される置換基または式(7)で示される置換基を表す。
Q:水酸基、アルコキシル基、式(6)で示される置換基または式(7)で示される置換基を表す。
式(8) −SO2Cl
式(9) −COCl
式(10) −CH2NHCOCH2Cl
式(11) −CH2Cl
また、塩基性基を有するトリアジン誘導体は、種々の合成経路で合成することができる。例えば、塩化シアヌルを出発原料とし、塩化シアヌルの少なくとも1つの塩素に一般式(2)〜(5)で表される置換基を形成するアミン成分、例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミンまたはN−メチルピペラジン等を反応させ、次いで塩化シアヌルの残りの塩素と種々のアミンまたはアルコール等を反応させることによって得られる。
以下に、本発明の着色組成物に使用可能な有機顔料の具体例を、カラーインデックス番号で示す。
この場合、着色料の全量(本発明のペリレン系顔料と赤色顔料の合計量)を基準とする本発明のペリレン系顔料の含有量は、要求される色特性に応じて異なるが、充分な明度を得る観点から0.01〜90重量%、特に10〜50重量%であることが好ましい。
青色フィルタセグメントは、通常の青色着色組成物を用いて形成することができる。青色着色組成物は、本発明のペリレン系顔料の代わりに、例えばC.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、60等の青色顔料を用いて得られる組成物である。青色着色組成物には、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、32、42等の紫色顔料を併用することができる。
透明基板としては、ガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジスト材を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめカラーフィルタ層を形成しておき、このカラーフィルタ層を所望の透明基板に転写させる方法である。
まず、実施例および比較例に用いたアクリル樹脂溶液および赤色顔料について説明する。
反応容器にシクロヘキサノン370部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でメタクリル酸20.0部、メチルメタクリレート10.0部、n−ブチルメタクリレート55.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15.0部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4.0部の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、非感光性透明樹脂溶液を得た。
室温まで冷却した後、非感光性透明樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した非感光性透明樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加した。得られた非感光性透明樹脂の重量平均分子量は40000であった。
[赤色顔料1]
C.I.Pigment Red 179顔料(バイエル社製「パリオゲン マルーン L−3920」):500部、塩化ナトリウム:500部、およびジエチレングリコール:250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、120℃で8時間混練した。次にこの混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、490部の赤色顔料1を得た。
C.I.Pigment Red 179顔料(バイエル社製「パリオゲン マルーン L−3920」):500部、塩化ナトリウム:500部、およびジエチレングリコール:250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、120℃で4時間混練した。次にこの混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、490部の赤色顔料2を得た。
C.I.Pigment Red 179顔料(バイエル社製「パリオゲン マルーン L−3920」):500部、塩化ナトリウム:500部、およびジエチレングリコール:250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、120℃で2時間混練した。次にこの混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、490部の赤色顔料3を得た。
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのガラスビーズを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過しペリレン系赤色顔料分散体を作製した。
赤色顔料1 9.0部
色素誘導体(化合物A−44) 1.0部
アクリル樹脂溶液 50.0部
シクロヘキサノン 40.0部
ついで、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、アルカリ現像型赤色レジスト材を得た。
ペリレン系赤色顔料分散体 60.0部
アクリル樹脂溶液 11.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート 4.2部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤(チバガイギー社製「イルガキュアー907」) 1.2部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 0.4部
シクロヘキサノン 23.2部
[実施例2]
色素誘導体(A−44)を色素誘導体(A−53)に変えた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ現像型赤色レジスト材を作製した。
[実施例3]
色素誘導体(A−44)を色素誘導体(B−10)に変えた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ現像型赤色レジスト材を作製した。
赤色顔料1を赤色顔料2に変えた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ現像型赤色レジスト材を作製した。
[比較例2]
赤色顔料1を赤色顔料3に変えた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ現像型赤色レジスト材を作製した。
[比較例3]
赤色顔料1を未処理のC.I.Pigment Red 179顔料(バイエル社製「パリオゲン マルーン L−3920」)に変えた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ現像型橙色レジスト材を作製した。
赤色フィルタセグメント、青色フィルタセグメント、および緑色フィルタセグメントを具備するカラーフィルタを作製するために、青色、緑色レジスト材を以下の方法で作製した。
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのガラスビーズを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し銅フタロシアニン分散体を作製した。
ε型銅フタロシアニン顔料C.I. Pigment Blue 15:6 8.6部
(BASF製「ヘリオゲンブルー L−6700F」)
ジオキサジン顔料C.I. Pigment Violet 0.4部
(東洋インキ製造社製「リオノゲンバイオレット R−6200」)
色素誘導体(A−47) 0.9部
色素誘導体(A−51) 0.1部
アクリル樹脂溶液 50.0部
シクロヘキサノン 40.0部
ついで、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、青色レジスト材を得た。
銅フタロシアニン分散体 60.0部
アクリル樹脂溶液 11.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート 4.2部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤(チバガイギー社製「イルガキュアー907」) 1.2部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 0.4部
シクロヘキサノン 23.2部
ε型銅フタロシアニン顔料8.6部およびジオキサジン顔料0.4部を銅フタロシアニン系緑色顔料C.I. Pigment Green 36(東洋インキ製造社製「リオノールグリーン 6YK」)5.7部、金属錯体系黄色顔料C.I.Pigment Yellow 150(バイエル社製「E‐4GN」)3.3部に変え、色素誘導体(A−47)及び色素誘導体(A−51)を色素誘導体(A−44)に変えた以外は、青色レジスト材と同様にして緑色レジスト材を作製した。
さらに、赤色レジスト材と同様にして、青色レジスト材をx=0.144、y=0.079になるような膜厚に塗布した。乾燥後、赤色、緑色のフィルタセグメントと隣接したストライプ形状の青色フィルタセグメントを形成した。
各色のフィルタセグメントの形状は良好であり、解像度も良好であった。最後に、得られたカラーフィルタをオーブン中で230℃にて30分加熱して残存する重合可能な官能基を完全に反応させ、透明基板上に赤色、緑色、青色の3色のストライプ形状のフィルタセグメントを具備するカラーフィルタが得られた。
[実施例5]
実施例2で作製した赤色レジスト材、実施例4で作製した緑色レジスト材、および実施例4で作製した青色レジスト材を用いて、実施例4と同様にしてカラーフィルタを作製した。
[実施例6]
実施例3で作製した赤色レジスト材、実施例4で作製した緑色レジスト材、および実施例4で作製した青色レジスト材を用いて、実施例4と同様にしてカラーフィルタを作製した。
赤色顔料1の9.0部のうち8.6部を赤色顔料2に、0.4部をイソインドリン系黄色顔料C.I. Pigment Yellow 139(Ciba社製「イルガフォアイエロー 2R−CF」)に変えた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ現像型赤色レジスト材を得た。
作製した赤色レジスト材、実施例4で作製した緑色レジスト材、および実施例4で作製した青色レジスト材を用いて、実施例4と同様にしてカラーフィルタを作製した。
[比較例5]
赤色顔料1の9.0部のうち8.4部を赤色顔料3に、0.6部をイソインドリン系黄色顔料C.I. Pigment Yellow 139(Ciba社製「イルガフォアイエロー 2R−CF」)に変えた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ現像型赤色レジスト材を得た。
作製した赤色レジスト材、実施例4で作製した緑色レジスト材、および実施例4で作製した青色レジスト材を用いて、実施例4と同様にしてカラーフィルタを作製した。
[比較例6]
赤色顔料1の9.0部のうち8.2部を未処理のC.I.Pigment Red 179顔料(バイエル社製「パリオゲン マルーン L−3920」)に、0.8部をイソインドリン系黄色顔料C.I. Pigment Yellow 139(Ciba社製「イルガフォアイエロー 2R−CF」)に変えた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ現像型赤色レジスト材を得た。
作製した赤色レジスト材、実施例4で作製した緑色レジスト材、および実施例4で作製した青色レジスト材を用いて、実施例4と同様にしてカラーフィルタを作製した。
ただし、実施例3、6は参考例である。
Claims (3)
- 透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物からなる着色料担体と、該着色料担体に分散された下記式(1)で表されるペリレン系顔料と、塩基性基を有する、アゾ系色素誘導体またはペリレン系色素誘導体とを含む組成物であって、前記ペリレン系顔料が、水溶性無機塩と水溶性有機溶剤と共にソルトミリング処理されてなり、該顔料を前記着色料担体に分散してなる赤色組成物を用いて470nmにおける分光透過率が1%になるように塗膜を形成したとき、該塗膜の545nmにおける分光透過率が8%以上かつ615nmにおける分光透過率が80%以上となる分光特性を有することを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物。
式(1)
- 塩基性基を有する、アゾ系色素誘導体またはペリレン系色素誘導体の含有量が、式(1)で表されるペリレン系顔料を基準として0.001〜40重量%であることを特徴とする請求項1記載の着色組成物。
- 少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの青色フィルタセグメント、および少なくとも1つの緑色フィルタセグメントを具備し、該少なくとも1つの赤色フィルタセグメントが、請求項1または2記載の着色組成物から形成されていることを特徴とするカラーフィルタ。
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