JP2016084460A - インクジェットインク組成物及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係るインクセットは、下記一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種含む溶剤と、体積平均粒子径が100nm以上400nm以下であるピグメントオレンジ−43(PO−43)を含む顔料と、を含むことを特徴とする。
R1O−(R2O)m−R3 ・・・(1)
[一般式(1)中、R1及びR3は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、R2は、炭素数2又は3のアルキレン基を表し、mは、2又は3の整数を表す。]
【選択図】なし
Description
下記一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種含む溶剤と、
体積平均粒子径が100nm以上400nm以下であるピグメントオレンジ−43(PO−43)を含む顔料と、
を含む。
R1O−(R2O)m−R3 ・・・(1)
[一般式(1)中、R1及びR3は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、R2は、炭素数2又は3のアルキレン基を表し、mは、2又は3の整数を表す。]
前記インクジェットインク組成物の全量に対して、1質量%以上6質量%以下の前記顔料を含んでもよい。
前記一般式(1)で表される化合物の合計の含有量が、前記インクジェットインク組成物の全量に対して、10質量%以上90質量%以下であってもよい。
前記インクジェットインク組成物の全量に対して、5質量%以上40質量%以下の環状エステルを含んでもよい。
さらに、塩化ビニル系樹脂を含んでもよい。
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、適用例1ないし適用例6のいずれか一例に記載のインクジェットインク組成物を用いて、塩化ビニル系記録媒体に対してインクジェット法により記録する。
本実施形態に係るインクジェットインク組成物は、溶剤と、顔料と、を含む。本実施形態に係るインクジェットインク組成物は、非水系インク組成物とすることが好ましく、なかでも、揮発性の溶剤(主に有機溶剤)を主成分とする溶剤系インク組成物とすることが好ましい。記録媒体上に付着させた後、加熱あるいは常温により溶剤を乾燥させて固形分を定着させて記録を行う非光硬化型インクとすることが好ましい。放射線(光)を照射して硬化させる光硬化型インクとしてもよいが、放射線照射を不要とする点で非光硬化型インクが好ましい。
本実施形態に係るインクジェットインク組成物に含有される溶剤は、下記一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種含む。
R1O−(R2O)m−R3 ・・・(1)
[一般式(1)中、R1及びR3は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、R2は、炭素数2又は3のアルキレン基を表し、mは、2又は3の整数を表す。]
22℃)(「DEGdBE」と略記することがある。)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(108℃)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(117℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(139℃)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(156℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(113℃)(「TriEGdME」又は「DMTG」と略記することがある。)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(123℃)、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル(138℃)、トリプロピレングリコールジメチルエーテル(104℃)、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル(177℃)(「TetraEGmBE」又は「BTG−H」と略記することがある。)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(141℃)(「TetraEGdME」と略記することがある。)、等が挙げられる。なお、上記例示における括弧内の数値は、引火点を示す。
本実施形態に係るインクジェットインク組成物は、溶剤として環状エステル(環状ラクトン)を含有してもよい。インクジェットインク組成物は、環状エステルが含有されることにより、記録媒体の記録面(好ましくは塩化ビニル系樹脂を含む記録面)の一部を溶解して記録媒体の内部にインクジェットインク組成物を浸透させることができる。このように記録媒体の内部にインク組成物が浸透することで、記録媒体上に記録した画像の耐擦性
(摩擦堅牢性)を向上させることができる。換言すると、環状エステルは、塩化ビニル系樹脂との親和性が高いため、インクジェットインク組成物の成分を記録面に浸潤させやすい(食い付かせやすい)。環状エステルがこのような作用を有する結果、これを配合したインクジェットインク組成物が、屋外環境等の厳しい条件下であっても、耐擦性に優れた画像を形成できるものと考えられる。
本実施形態に係るインクジェットインク組成物は、溶剤として、上記式(1)で表される化合物の他に、以下のような化合物を用いることができる。
ジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールや、2−メチルペンタン−2,4−ジオールなどが挙げられる。
本実施形態のインクジェットインク組成物は、顔料として、体積平均粒子径が100nm以上400nm以下であるC.I.ピグメントオレンジ−43(PO−43)を含む。
式会社製「Fasogen Super Orange 6200」、東洋インキ株式会社製「Lionogen Orange GR−F」等として入手することができる。
らに含有してもよい。そのような色材としては、PO−43と類似する色相の顔料及び染料が挙げられ、例えば、カラーインデックス番号で、C.I.ピグメントオレンジの番号が与えられている顔料や、C.I.ピグメントレッドの番号が与えられているものなどが挙げられる。
本実施形態に係るインクジェットインク組成物は、さらに塩化ビニル系樹脂、界面活性剤、分散剤等、以下に説明する成分を含んでもよい。
本実施形態に係るインクジェットインク組成物に使用し得る塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル及び酢酸ビニルを含む共重合体が挙げられる。塩化ビニル及び酢酸ビニルを含む共重合体は、前記式(1)で示される溶媒に溶解させることができる。その結果、前記式(1)で示される溶剤に溶解した塩化ビニル及び酢酸ビニルを含む共重合体により、塩化ビニル系樹脂を含有する記録媒体の表面にインクを強固に定着させることができる。
(界面活性剤)
本実施の形態に係るインクジェットインク組成物には、前記有機溶媒の他に、表面張力を低下させ記録媒体との濡れ性を向上させる観点から、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、または非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン誘導体を添加してもよい。
本実施形態に係るインクジェットインク組成物は、顔料の分散安定性を向上させる観点から、通常のインク組成物において用いられる任意の分散剤を用いることができる。このような分散剤の具体例としては、ヒノアクトKF1−M、T−6000、T−7000、T−8000、T−8350P、T−8000E(いずれも武生ファインケミカル株式会
社製)等のポリエステル系高分子化合物、Solsperse20000、24000、32000、32500、33500、34000、35200、37500(いずれもLUBRIZOL社製「ソルスパース」)、Disperbyk−161、162、163、164、166、180、190、191、192(いずれもビックケミー・ジャパン社製)、フローレンDOPA−17、22、33、G−700(いずれも共栄社化学株式会社製)、アジスパーPB821、PB711(いずれも味の素株式会社製)、LP4010、LP4050、LP4055、POLYMER400、401、402、403、450、451、453(いずれもEFKAケミカルズ社製)等が挙げられる。
本実施形態のインクジェットインク組成物は、上記の成分の他にも、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)等のキレート化剤、防腐剤・防かび剤、及び防錆剤など、所定の性能を付与するための物質を含有することができる。
本実施の形態に係るインクジェットインク組成物は、一般式(1)の溶剤を含む溶剤インクであることにより、塩化ビニル系記録媒体などのフィルムメディアに記録した時の画質が優れるため、屋外で展示するサイン用途などに特に好適となる。屋外で展示するサイン用途などに適用した場合、本実施の形態に係るインクジェットインク組成物は、特定の体積平均粒子径を有するピグメントオレンジ−43を含有するので、画像の耐候性がとりわけ良好となる。また、インクジェット記録ヘッドからの吐出安定性を確保することができ、ノズル抜けの発生を防ぐことができる。
本実施の形態に係るインクジェット記録方法は、前述したインクジェットインク組成物を用いて、塩化ビニル系記録媒体に対してインクジェット法により記録することを特徴とする。本実施の形態に係るインクジェット記録方法によれば、前述したインクジェットインク組成物を用いるので、耐候性が良好な画像を形成でき、かつ、安定したインクジェッ
ト記録が可能で、画質及び堅牢性の良好な画像の記録が可能である。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに説明するが、本発明は以下の例によってなんら限定されるものではない。
3.1.1.顔料分散液の調製
顔料として一次粒径160nmのピグメントオレンジ43(PO−43)を用意した。分散剤としてソルスパース17000(ルーブリゾール社製、ポリエステルポリアミン)を用い、当該顔料に対して質量比0.1〜20質量%の範囲で分散剤の添加量を変えて分散液を作製することにより、所望の体積平均粒子径の分散液とする分散を行った。分散媒としては、各インク組成例ごとに溶剤として最も含有量の多い溶剤を分散媒として用い顔料分散液とした。なお、一次粒径よりも小さい体積平均粒子径を有するPO−43については、ボールミルにより粉砕処理して所望の体積平均粒子径のPO−43を得た。
上記で調製された顔料分散液を用いて、表2〜表4に示す材料組成にて顔料種及び体積
平均粒子径の異なるインク組成物を調製した。各インク組成物は、表中に示す材料を容器中に入れ、マグネチックスターラーにて2時間混合撹拌した後、孔径5μmのメンブランフィルターにて濾過してゴミや粗大粒子等の不純物を除去することにより調製した。なお、表2〜4中の組成欄の数値は、質量%を示す。
3.2.1.耐候性
調製した各インク組成物を用いて、インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、型式「PX−G930」)により、初期OD値が0.5、1.0、最大値となるようにDutyを調整しながら印刷を行った。記録媒体には、光沢ポリ塩化ビニルシート(ローランドDG社、型番SV−G−1270G)を使用した。得られた記録物を一般環境下で1時間放置して乾燥させた。その後、得られた記録物をキセノンウェザーメーター(スガ試験機株式会社製)のチャンバー内に投入し、下表1に示すような試験条件で「光照射40分間」→「光照射+水降雨20分間」→「光照射60分間」→「水降雨60分間」のサイクル試験を行った。このサイクル試験を4週間連続して行い、4週間後にその記録物を取り出した。取り出した各記録物について、グレタグ濃度計(グレタグマクベス社製)を用いてOD値を測定し、OD値の残存率(%)を求め、初期OD値が0.5、1.0、最大値の3種の記録物のうち、残存率が最も低い記録物を評価の対象とした。耐候性は、下記基準に基づき判定した。その結果を表2〜表4に併せて示す。
5:OD値残存率が90%以上
4:OD値残存率が87%以上90%未満
3:OD値残存率が84%以上87%未満
2:OD値残存率が81%以上84%未満
1:OD値残存率が81%未満
インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、型式「PX−G930」)
に搭載されているピエゾ素子の振動数を5kHzとし、その駆動波形を最適化した状態で、各インク組成物についてヘッドの各ノズルから300秒間の液滴の連続吐出を行い、その後300秒間液滴の吐出を中断した(1シーケンス)。その後、同様に、液滴の連続吐出、及び、吐出の中断の操作を10シーケンス繰り返し行った。10シーケンス終了時において、ノズル360個中の不吐出ノズル数をカウントすることにより印字安定性評価(間欠評価)を行った。その評価結果を表2〜表4に併せて示す。なお、評価基準は、以下の通りである。
4:不吐出ノズル数が0個
3:不吐出ノズル数が1〜2個
2:不吐出ノズル数が3〜4個
1:不吐出ノズル数が5個以上
上記プリンターを用いて、実施例および比較例の各インク組成物を光沢ポリ塩化ビニルシート(ローランドDG社、型番SV−G−1270G)上に記録解像度720×720dpiの100%濃度でベタ印刷をした後、25℃−65%RH(相対湿度)にて1日間乾燥させて各例の記録物を作製した。このようにして得られた記録物を、光沢度計MULTI Gloss 268(コニカミノルタ社製)を用いて、記録面20°反射の光沢度を測定した。その評価結果を表2〜表4に併せて示す。なお、評価基準は、以下の通りである。
4:50以上
3:40以上50未満
2:30以上40未満
1:30未満
上記「3.2.3.光沢性の評価」と同様にして各例の記録物を作製した。このようにして得られた記録物の記録面における顔料の凝集ムラを目視にて観察することにより、凝集ムラの評価を行った。その評価結果を表2〜表4に併せて示す。なお、評価基準は、以下の通りである。
4:凝集ムラが認められない。
3:拡大観察で凝集ムラが認められる。
2:若干の凝集ムラが認められる。
1:凝集ムラが目立つ。
上記「3.2.3.光沢性の評価」と同様にして各例の記録物を作製した。このようにして得られた記録物につき、JIS K5701(ISO 11628)に準じて、学振式摩擦堅牢度試験機(テスター産業株式会社製、商品名「AB−301」)を用いて耐擦性の評価を行った。すなわち、記録物の記録面に綿布を載せ、荷重500gで20回往復させて擦り、擦った後の記録物の記録面の剥離状態を目視にて観察した。その評価結果を表2〜表4に併せて示す。なお、評価基準は、以下の通りである。
3:綿布に汚れが無い。記録面に傷が無い。
2:綿布に記録物の付着がある。記録面に傷がほとんど無い。
1:綿布に記録物の付着がある。記録面に傷がある。
実施例及び比較例に係るインク組成、評価結果を表2〜表4に示す。表2〜表4の評価結果によれば、本発明に係るインクジェットインク組成物によれば、耐候性が良好な画像を形成でき、かつ、安定したインクジェット記録が可能で、画質及び耐擦性に優れた画像
の記録が可能であることが判った。
<顔料>
・PO−43:C.I.ピグメントオレンジ43
・PO−31:C.I.ピグメントオレンジ31
・PO−64:C.I.ピグメントオレンジ64
・PO−71:C.I.ピグメントオレンジ71
<環状エステル>
・γ−ブチロラクトン:商品名、関東化学株式会社製)
・σ−バレロラクトン:商品名、キシダ化学株式会社製)
<溶剤>
・DEGMEE:ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、商品名「ハイソルブEDM」、東邦化学工業株式会社製、引火点64℃)
・DEGdME:ジエチレングリコールジメチルエーテル、商品名「ジエチレングリコー
ルジメチルエーテル」、東京化成工業株式会社製、引火点56℃)
・DEGDEE:ジエチレングリコールジエチルエーテル、商品名「ジエチレングリコールジエチルエーテル」、東京化成工業株式会社製、引火点71℃)
・DEGBME:ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、商品名「ハイソルブBDM」、東邦化学工業株式会社製、引火点94℃)
・TriEGdME:トリエチレングリコールジメチルエーテル、商品名「トリエチレングリコールジメチルエーテル」、キシダ化学株式会社製、引火点113℃)
・TetraEGdME:テトラエチレングリコールジメチルエーテル、商品名「テトラエチレングリコールジメチルエーテル」、東京化成工業株式会社製、引火点141℃)
・TetraEGmBE:テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、商品名「ブチセノール40」、KHネオケム株式会社製、引火点177℃)
<分散剤>
・ソルスパース17000:商品名、ルーブリゾール社製、ポリエステルポリアミン
<界面活性剤>
・BYK340:商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製、シリコン系界面活性剤
<定着樹脂>
・ソルバインCL:商品名、日信化学工業株式会社製、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体
Claims (7)
- 下記一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種含む溶剤と、
体積平均粒子径が100nm以上400nm以下であるピグメントオレンジ−43(PO−43)を含む顔料と、
を含む、インクジェットインク組成物。
R1O−(R2O)m−R3 ・・・(1)
[一般式(1)中、R1及びR3は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、R2は、炭素数2又は3のアルキレン基を表し、mは、2又は3の整数を表す。] - 請求項1において、
前記インクジェットインク組成物の全量に対して、1質量%以上6質量%以下の前記顔料を含む、インクジェットインク組成物。 - 請求項1又は請求項2において、
前記一般式(1)で表される化合物の合計の含有量が、前記インクジェットインク組成物の全量に対して、10質量%以上90質量%以下である、インクジェットインク組成物。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
前記インクジェットインク組成物の全量に対して、5質量%以上40質量%以下の環状エステルを含む、インクジェットインク組成物。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
さらに、塩化ビニル系樹脂を含む、インクジェットインク組成物。 - 塩化ビニル系記録媒体への記録に用いられる、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物を用いて、塩化ビニル系記録媒体に対してインクジェット法により記録する、インクジェット記録方法。
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