JP2004069807A - 現像装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】細線再現性の向上や後端白抜け現象の抑制を図りつつ、凝集したトナーによって画像が乱されることなく高画質を維持することである。
【解決手段】現像領域に対向するように配置したN極の主磁極及び2つのS極の補助磁極により現像スリーブ上の現像剤を穂立ちさせて磁気ブラシを形成し、主磁極による磁気ブラシで感光体ドラム上の静電潜像を摺擦して現像を行う。この現像装置では、磁気ブラシの長さが短く、かつ、潜像担持体に接触するブラシ部分の密度が高くできて、細線再現性の向上や後端白抜け現象の抑制を図ることができる。更に、0.2[mm]以上0.4[mm]以下と狭いものとなっているため、これを通過する際に現像剤中のトナーの凝集が崩れ、現像領域にトナー凝集のない現像剤を供給することができる。よって、凝集したトナーによる黒ポチ等が画像内に表れることがなく、高品質の画像を得ることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】現像領域に対向するように配置したN極の主磁極及び2つのS極の補助磁極により現像スリーブ上の現像剤を穂立ちさせて磁気ブラシを形成し、主磁極による磁気ブラシで感光体ドラム上の静電潜像を摺擦して現像を行う。この現像装置では、磁気ブラシの長さが短く、かつ、潜像担持体に接触するブラシ部分の密度が高くできて、細線再現性の向上や後端白抜け現象の抑制を図ることができる。更に、0.2[mm]以上0.4[mm]以下と狭いものとなっているため、これを通過する際に現像剤中のトナーの凝集が崩れ、現像領域にトナー凝集のない現像剤を供給することができる。よって、凝集したトナーによる黒ポチ等が画像内に表れることがなく、高品質の画像を得ることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、FAXなどの画像形成装置に用いる現像装置及びこの現像装置を備えた画像形成装置に係るものである。詳しくは、潜像担持体と現像剤担持体とが対向する現像領域で現像剤担持体表面に現像剤を穂立ちさせて潜像担持体上の潜像を現像する現像装置及び画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真式や静電記録式等の画像形成装置においては、感光体ドラムや感光体ベルト等の潜像担持体上に画像情報に対応した静電潜像を形成し、その静電潜像に対して現像装置による現像を行うことにより可視像を得る。近年では、このような現像を行うにあたり、転写性、ハーフトーンの再現性、温度及び湿度に対する現像特性の安定性などの観点から、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤(以下、単に「現像剤」という。)を用いた二成分現像方式を利用するのが主流になっている。この二成分現像方式を利用する現像装置では、現像剤を現像剤担持体上にブラシ状に穂立ちさせて保持しつつ、現像剤担持体と潜像担持体とが対向する現像領域に搬送する。そして、その現像領域において、そのブラシ状の現像剤に潜像担持体表面を摺擦させ、現像剤中のトナーを潜像担持体上の静電潜像部分に供給して静電潜像を現像するいわゆるブラシ式現像を行う。
【0003】
このようなブラシ式現像を行う現像装置における現像剤担持体は、通常、円筒状に形成された現像スリーブと、現像スリーブ内部に配置される複数の磁極を備えた磁石ローラとから構成されている。この磁石ローラは、現像スリーブ表面に現像剤を穂立ちさせる磁界を形成するためのものである。この磁石ローラに対して現像スリーブが相対移動することで、現像スリーブ表面に穂立した現像剤が搬送される。現像領域において、現像スリーブ上の現像剤は、磁石ローラがもつ現像磁極から発せられる磁力線に沿って穂立ちする。穂立ちしてブラシ状となった現像剤は、現像スリーブの表面移動に伴って撓むようにして潜像担持体表面に接触し、静電潜像にトナーを供給する。
【0004】
このような現像装置においては、現像領域において潜像担持体と現像スリーブとの距離を近接させるほど、高い画像濃度を得やすく、またエッジ効果も少ないことが知られている。このため、潜像担持体と現像スリーブとの距離を近接させることが望ましい。しかし、この距離を近接させると、黒ベタ画像やハーフトーンのベタ画像の後端部が白く抜ける、いわゆる「後端白抜け」と呼ばれる現象が発生したり、細線再現性が悪化したりして、画質が劣化するという不具合が生じる。
【0005】
現像領域における現像スリーブの表面移動方向は、潜像担持体に連れ回る方向であり、その線速は潜像担持体の線速よりも速く設定されている。よつて、磁気ブラシは潜像担持体上の静電潜像を追い越しながら摺擦するように静電潜像に対して相対移動する。すなわち、潜像担持体表面は、現像領域を通過する間に複数の磁気ブラシに順次追い越されるように摺擦される。画像後端位置に対応する潜像担持体上の静電潜像部分(潜像後端部分)に着目すると、この潜像後端部分を順次摺擦する複数の磁気ブラシは、次のようにトナー供給能力が順次小さいものになる。
すなわち、現像領域に進入した後に潜像後端部分を摺擦する磁気ブラシは、潜像担持体上で潜像担持体表面移動方向上流側に位置する非潜像部分に対向してきたものである。そのため、この磁気ブラシの先端部分では、上記非潜像部分に対向していた期間に、キャリア表面に付着していたトナーが非潜像部分から受ける静電力で現像スリーブ側に移動するトナードリフトが生じている。このトナードリフトは、上記非潜像部分に対向する期間が長いほど進行する。よつて、現像領域の潜像担持体移動方向下流側で潜像後端部分を摺擦する磁気ブラシほど、上記非潜像部分に対向してきた期間が長くてトナードリフトが進行し先端部のキャリア面トナーが少なく、トナー供給能力が小さいものになる。
そして、潜像後端部分が現像領域を脱出するとき、この潜像後端部を摺擦する磁気ブラシは、先端部のキャリア面にトナーがほとんど存在しない状態になる。このような程度までトナードリフトが進行した磁気ブラシは、トナーが付着していない磁気ブラシの先端部のキャリア面に、潜像後端部分に付着しているトナーを静電的に引きつけるものとなる。この結果、潜像後端部分については、現像領域中で磁気ブラシにより一旦トナーが供給されても、このトナーが現像領域を脱出するまでに、キャリア面にトナーがほとんどなくなった他の磁気ブラシの先端部分に移ってしまう。これにより、後端白抜けや細線再現性の低下が生じるものと考えられる。
【0006】
本出願人は、特開2000―305360号公報、特開2000―347506号公報、特開2001−5296号公報等において、後端白抜けや細線再現性の低下を抑制するための発明を提案している。これらの公報で提案した発明では、現像領域における法線方向磁束密度の減衰率や、現像領域で現像剤を穂立ちさせるための主磁極と隣り合う磁極との角度間隔、主磁極の半値中央角などを所定値に規定している。具体的な構成としては、上述した現像磁極を、N極からなる1つの主磁極と、この主磁極の現像スリーブの表面移動方向上流側及び下流側に近接するように配置されるS極からなる2つの補助磁極とから構成する。更に、本出願人は、現像ニップ及び磁気ブラシ密度の設定(特開2001−27849号公報参照)や主磁極の半値角度幅(半値中央角ともいう)の設定(特開2001−134100号公報)等をして、画質改善を実現する発明も提案している。これらの発明によれば、後端白抜け現象及び細線再現性の改善を図ることができることが確認されている。
【0007】
上記公報のうち特開2000―305360号公報、特開2000―347506号公報、及び特開2001−5296号公報等の装置により、後端白抜け現象及び細線再現性を改善できるのは、以下の理由によるものと考えられる。
図7(a)は、現像磁極が1つの磁極P1からなる従来の現像装置における現像領域近傍の磁力分布を示す説明図である。また、図7(b)は、その現像磁極P1により形成される磁界から磁力を受けて穂立ちした現像剤からなる磁気ブラシを現像スリーブ4の軸方向から見たときの形状を示す説明図である。
図8(a)は、現像磁極が1つの主磁極P1bと2つの補助磁極P1a,P1cからなる現像装置における現像領域近傍の磁力分布を示す説明図である。また、図8(b)は、これらの磁極P1a,P1b,P1cにより形成される磁界から磁力を受けて穂立ちした現像剤からなる磁気ブラシを現像スリーブ4の軸方向から見たときの形状を示す説明図である。
【0008】
従来の現像装置では、N極の現像磁極に隣り合うS極の磁極としては、現像領域に対して現像スリーブ4の表面移動方向下流側に位置する領域で現像剤を搬送するための磁界を形成する磁極P2がある。また、現像スリーブ4上に汲み上げられた現像剤を現像領域まで搬送するための磁界を形成する磁極P6も存在する。これらの磁極P2,P6は、現像磁極P1から比較的離れた位置に配置されるので、現像領域における磁界の磁力分布は、図7(a)に示すように、現像磁極P1から出る磁力線が現像スリーブ表面から比較的離れた位置を通るようになる。そして、現像スリーブ4上に担持されて現像領域まで搬送されてきた現像剤は、図7(b)に示すように、その磁力線に沿って穂立ちし、磁気ブラシを形成する。
【0009】
一方、上記公報の現像装置では、N極の主磁極P1bに隣り合うS極の磁極として、2つの補助磁極P1a,P1cがある。主磁極P1bとこれらの補助磁極P1a,P1cとの距離は、図7(a)及び(b)に示した従来の現像装置における上記現像磁極とこれに隣り合う両磁極P2,P6との距離より小さい。このため、図8(a)に示すように、現像領域における磁界の磁力分布は、図7(a)に示す従来の現像装置の現像磁極による磁界の分布に比べ、主磁極P1bから出る磁力線が現像スリーブ表面に近い位置を通る。また、主磁極P1bから出る磁力線のより多くが、隣り合う磁極としての2つの補助磁極P1a,P1cに向かう。これらの結果、磁気ブラシの形成に関与する現像スリーブ表面の法線方向に近い方向に向かう磁力線(以下、「穂立ち用磁力線」という。)の本数が、同じ本数の磁力線が生じる従来の現像装置に比べて少なくなる。その穂立ち用磁力線が存在する現像スリーブ4の表面移動方向における幅(穂立ち幅)も狭くなる。そのため、図7(b)と図8(b)との比較からもわかるように、現像領域に搬送されてきた現像剤の穂立ち開始位置は、従来の現像装置よりも現像領域における現像スリーブ表面移動方向の中心(以下、単に「中心」という。)に近づく。また、現像スリーブ4の表面に担持された状態で現像領域を通過する現像剤の穂立ち終了位置も、同様にして、従来の現像装置よりも現像領域の中心に近づくことになる。すなわち、現像スリーブ4上の現像剤が、従来の現像装置よりも現像領域の中心から近い地点で穂立ちを開始し、また、穂立ちを終了するようになる。この結果、現像スリーブ4上の磁気ブラシが感光体ドラム1に近接又は接触する期間が従来の現像装置よりも短くなる。これに応じて、潜像後端部分が感光体ドラム表面の移動で現像領域を脱出するときにこの潜像後端部を摺擦する磁気ブラシが、それまで非潜像部分に近接又は接触していた期間も、従来の現像装置より短くなる。よって、現像領域を脱出するときに感光体ドラム1の潜像後端部分を摺擦する磁気ブラシのトナードリフトの進行度合いを小さくでき、従来の現像装置に比べ、後端白抜け及び細線再現性の低下を抑制することができる。
【0010】
また、上記公報の現像装置においては、N極の主磁極P1bに2つのS極の補助磁極が近接して配置されているので、現像スリーブ4の表面からその法線方向に離れた位置での現像領域内の磁力線は、従来の現像装置に比べて疎となる。このため、現像スリーブ4の表面からその法線方向に離れた位置(例えば、従来装置における磁気ブラシの先端部分が存在する位置)での現像領域内における法線方向磁束密度は、上記公報の現像装置の方が従来の現像装置より小さくなる。したがって、上記公報の現像装置では、磁気ブラシを構成する現像剤の多くが磁束密度の高い現像スリーブ4の表面近傍に引き寄せられ、図8(b)に示すように、磁気ブラシの長さは従来の現像装置に比べて短いものとなる。
【0011】
更に、上記公報の現像装置を実際に使用する場合、現像領域に供給される現像剤の量は、現像領域を通過する間に穂立ちすることができる現像剤の最大量よりも少なく設定される。すなわち、上記公報の現像装置においては、本来であればもっと長い磁気ブラシを形成できるところ、現像領域に供給される現像剤の量を少なめにして磁気ブラシの長さをより短く規制する。これにより、現像スリーブ4の表面に近い磁束密度の高い領域に磁気ブラシの先端部分が位置することになり、その磁気ブラシの先端部分では、従来の現像装置における磁気ブラシの先端部分よりもブラシ密度が高いものとなる。そして、磁気ブラシが短くなった分だけ現像スリーブ4の表面と感光体ドラム1の表面との最小間隔(以下、「現像ギャップ」という。)Pgを狭くすることで、従来装置よりも現像スリーブ4の表面に近い磁束密度の高い領域に存在する密度の高いブラシ部分で感光体ドラム1を摺擦することができる。
【0012】
尚、上記公報の現像装置では、上述のように、現像剤の穂立ち開始位置及び現像剤の穂立ち終了位置が、従来の現像装置よりも現像領域の中心に近づくことになる。このため、図8(b)に示すように、現像領域において磁気ブラシが潜像担持体を摺擦する部分の現像スリーブ表面移動方向の幅(摺擦幅)Pnが従来の現像装置よりも狭くなる。そのため、磁気ブラシによる摺擦で感光体ドラム1上の潜像部分に供給されるトナー量は、摺擦する部分のブラシ密度が同じであれば、従来の現像装置よりも減少する。しかし、上記公報の現像装置を用いれば、上述したように、感光体ドラム1に接触する磁気ブラシの先端部分のブラシ密度を従来の現像装置よりも高くできる。よって、感光体ドラム1上の潜像部分に供給されるトナー量が従来の現像装置に比べて減るのを抑制することができる。
以上から、摺擦幅Pnが従来の現像装置よりも狭くなっても、現像領域における感光体ドラム1の線速に対する現像スリーブ4の線速比を高めるなどにより、静電潜像に供給されるトナー量を十分に確保することが可能である。よって、後端白抜けを抑制し、細線再現性を高め、かつ、画像濃度の高い高品質な画像を提供することが可能である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、現像装置内では、現像剤が撹拌されても現像剤中のトナーが凝集してしまうことがある。また、現像装置に補給されるトナーの中に凝集した部分が存在することもある。このようなトナーの凝集体が存在すると、その凝集体が現像領域まで搬送され、トナーの固まりのまま潜像担持体上の静電潜像に付着することがある。そのため、そのトナーの固まりによって画像が乱され、画質が低下するという問題があった。
また、トナーの凝集体が存在すると、その凝集体が現像領域まで搬送されて磁気ブラシによって潜像担持体に摺擦させるときに、その凝集体が崩れて飛散することがある。この場合、その飛散により潜像担持体上に付着しているトナー像を壊したり、飛散したトナーが静電潜像部分以外の潜像担持体上に付着したりして、画像が乱され、画質が低下するという問題があった。
【0014】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、細線再現性の向上や後端白抜け現象の抑制を図りつつ、凝集したトナーによって画像が乱されることなく高画質を維持できる現像装置及び画像形成装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナーと磁性粒子を含む現像剤を表面に担持して表面移動する現像剤担持体の表面移動方向における表面の一部が装置ケーシングから露出しており、静電潜像を表面に担持して表面移動する潜像担持体の表面と、露出した現像剤担持体の表面とが対向する現像領域で、該現像領域に対向するように配置した現像磁極により該現像剤担持体上の現像剤を穂立ちさせて該現像剤担持体上に磁気ブラシを形成し、該現像剤担持体を該現像領域で該潜像担持体の表面移動方向と同方向かつ該潜像担持体表面の線速よりも大きい線速で表面移動させて、該磁気ブラシにより該潜像担持体の表面を摺擦し、該潜像担持体上の潜像を現像する現像装置において、上記現像剤担持体に担持されて現像剤規制部材によって規制された後に現像領域に搬送される現像剤の量が65[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下であり、上記現像磁極により上記現像領域の現像剤担持体表面外側に生じる磁束の該現像剤担持体表面法線方向における磁束密度の減衰率が40[%]以上であり、上記現像剤規制部材と上記現像剤担持体の表面との間の最小間隔が0.2[mm]以上0.4[mm]以下であることを特徴とするものである。
ここで、上記「減衰率」とは、現像磁極によって現像剤担持体表面上に発生する現像剤担持体表面の法線方向における磁束密度(法線方向磁束密度)のピーク値をXとし、現像剤担持体表面からその法線方向に1[mm]離れた位置での法線方向磁束密度のピーク値をYとしたとき、下記の数1で求められる値を意味する。
【数1】
減衰率[%]={(X−Y)/X}×100
また、請求項2の発明は、トナーと磁性粒子を含む現像剤を表面に担持して表面移動する現像剤担持体の表面移動方向における表面の一部が装置ケーシングから露出しており、静電潜像を表面に担持して表面移動する潜像担持体の表面と、露出した現像剤担持体の表面とが対向する現像領域で、該現像領域に対向するように配置した現像磁極により該現像剤担持体上の現像剤を穂立ちさせて該現像剤担持体上に磁気ブラシを形成し、該現像剤担持体を該現像領域で該潜像担持体の表面移動方向と同方向かつ該潜像担持体表面の線速よりも大きい線速で表面移動させて、該磁気ブラシにより該潜像担持体の表面を摺擦し、該潜像担持体上の潜像を現像する現像装置において、上記現像剤担持体に担持されて現像剤規制部材によって規制された後に現像領域に搬送される現像剤の量が65[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下であり、上記現像磁極により上記現像剤担持体表面上に生じる該現像剤担持体表面の法線方向における最高磁束密度の半分の磁束密度となる該現像剤担持体表面上の半値点を、上記現像領域における該現像剤担持体表面の曲率中心軸から見たときの該現像剤担持体の表面移動方向における半値点間の角度幅が25[°]以下であり、上記現像剤規制部材と上記現像剤担持体の表面との間の最小間隔が0.2[mm]以上0.4[mm]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の現像装置において、上記磁性粒子の飽和磁化値が、80×10−7×4π[Wb・m/kg]以上110×10−7×4π[Wb・m/kg]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2又は3の現像装置において、上記現像剤の流動度が、30[秒/50g]以上45[秒/50g]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の現像装置において、上記磁性粒子の流動度が、20[秒/50g]以上30[秒/50g]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、潜像担持体と、上記潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、上記潜像担持体上の潜像を、トナーと磁性粒子を含む現像剤により現像する現像手段と、上記潜像担持体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、上記現像手段として、請求項1、2、3、4又は5の現像装置を用いたことを特徴とするものである。
上記請求項1乃至5の現像装置及び請求項6の画像形成装置においては、現像領域の現像剤担持体外側における法線方向磁束密度の減衰率が40[%]以上、あるいは、半値点間の角度幅を25[°]以下となるように構成されている。このように減衰率を高め又は半値点間の角度幅を狭めるには、例えば、上記公報の現像装置のように、N極からなる1つの現像磁極と、この現像磁極の現像剤担持体表面移動方向両側に近接して配置されるS極からなる2つの補助磁極とを設ける。尚、現像磁極と補助磁極の極性は互いに逆極性であればよく、現像磁極がS極で補助磁極がN極であってもよい。そして、これとともに、現像領域に搬送される現像剤の量(現像剤供給量)を、現像領域を通過する間に穂立ちすることができる現像剤の最大量よりも少なくする。具体的には、65[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下に設定する。この結果、上述したように、磁気ブラシの長さを短くし、潜像担持体に接触するブラシ部分の密度を高めることができる。
また、上記請求項1乃至5の現像装置及び請求項6の画像形成装置では、現像剤規制部材と現像剤担持体の表面との間の最小間隔すなわちドクタギャップを0.2[mm]以上0.4[mm]以下としている。これは、従来0.5[mm]程度であったドクターギャップを狭めたものである。このようにドクターギャップを狭めることで、後述する実験例1に示すように、現像剤がドクターギャップを通過する際に、凝集したトナーに加わるキャリアの圧力を増加させることができる。その結果、凝集したトナーが現像領域に達する前に、その凝集体を崩すことができる。なお、ドクタギャップを0.2[mm]以上であれば、65[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下という現像領域への現像剤供給量を確保することが可能であることが後述する実験例1にて確認されている。
なお、このような範囲にドクタギャップを狭めると、従来の構成のままでは、65[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下という現像領域への現像剤供給量を確保することができないおそれがある。しかし、キャリアの飽和磁化値を高めたり、ドクタギャップ付近の磁束密度を高めたりすれば、現像剤担持体上における現像剤の拘束力が大きくなり、現像剤供給量を確保することができる。その理由について説明すると、現像剤の拘束力が大きくなると、現像剤は堅く締まって密な状態となり、現像剤はドクターギャップを通過にくい状態となってその手前で滞留する。そして、現像剤担持体の表面移動によってドクターギャップに次々と搬送されてくる現像剤がその密な状態の現像剤をドクターギャップに押し込む効果が得られる。したがって、現像剤担持体上の現像剤の拘束力を大きくすることで、現像領域への現像剤供給量を増やすことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、電子写真式の画像形成装置であるレーザプリンタ(以下、「プリンタ」という。)に適用した実施形態について説明する。
図2は、本実施形態に係るプリンタ全体の概略構成図である。このプリンタは、潜像担持体としての感光体ドラム1を有している。感光体ドラム1は、図中矢印A方向に回転駆動されながら、感光体ドラム1に接触する帯電手段としての帯電ローラ50により、その表面を一様に帯電される。その後、潜像形成手段としての光書込ユニット51により画像情報に基づき走査露光されて、感光体ドラム1の表面に静電潜像が形成される。なお、帯電手段及び潜像形成手段としては、帯電ローラ50及び光書込ユニット51とは異なるものを用いることもできる。感光体ドラム1上に形成された静電潜像は、後述する現像手段としての現像装置2により現像され、感光体ドラム1上にトナー像が形成される。感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、転写ベルト53を備えた転写手段としての転写ユニットにより、給紙カセット54から給紙ローラ55及びレジストローラ対56を経て搬送される転写材としての転写紙52上に転写される。転写終了後の転写紙52は、定着手段としての定着ユニット57によりトナー像が定着され、機外に排出される。なお、転写されずに感光体ドラム1上に残留した転写残トナーは、クリーニング手段としてのクリーニングユニット58により感光体ドラム1の表面から除去される。また、感光体ドラム1上の残留電荷は、除電手段としての除電ランプ59で除去される。
【0017】
次に、本実施形態における現像装置2の構成について説明する。
図1は、感光体ドラム1の周囲に配置される現像装置2を含む主な装置の概略構成図である。本実施形態における現像装置2は、現像剤担持体としての現像ローラ3が所定間隔の現像ギャップを介して感光体ドラム1に近接するように配置されている。この現像ローラ3は、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂などの非磁性体からなる円筒状の現像スリーブ4を備えている。また、その内部には、現像スリーブ4の表面上に現像剤を穂立ちさせる等ための磁界を形成する磁界形成手段としての磁石ローラ5が設けられている。現像スリーブ4は、固定配置されている磁石ローラ5の周囲を、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転する。
【0018】
また、現像装置2は、現像スリーブ4と感光体ドラム1とが対向する現像領域に対して現像スリーブ4の表面移動方向上流側に、現像スリーブ上に付着した現像剤量を規制する現像剤規制部材としてのドクタブレード6が設けられている。このドクタブレード6の先端(規制部)と現像スリーブ4の表面との最小間隔であるドクタギャップは、現像領域に搬送される現像剤供給量に影響を与える。本実施形態では、ドクタギャップを0.3[mm]に設定しているが、0.2[mm]以上0.4[mm]以下の範囲内であればよい。そして、本実施形態では、ドクタギャップ近傍の磁界の強さやキャリアの飽和磁化値等の各種パラメータを調節して、現像領域への現像剤供給量を65[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下となるように設定している。また、現像装置2は、現像ローラ3の感光体ドラム1とは反対側の領域における現像ケーシング7の内部に、現像剤を攪拌しながら現像スリーブ4上へ汲み上げるためのスクリュー8が設けられている。
また、現像領域の下方には、現像ケーシング7の下あご部分と、レジストローラ56を通過した転写紙を転写部に案内するためのガイド板46との間に、マイラー部材9が設けられている。このマイラー部材9は、現像スリーブ4の一部を感光体ドラム1に対向させるための現像ケーシング7の開口部から飛散するキャリアやトナーが、転写紙やレジストローラ56等を汚すことを防いでいる。
【0019】
本実施形態では、径が100[mm]である感光体ドラム1を、現像領域におけるドラム線速が330[mm/秒]となるように回転駆動させ、かつ、径が25[mm]である現像スリーブ4を、現像領域におけるスリーブ線速が660[mm/秒]となるように回転駆動させている。すなわち、本実施形態では、ドラム線速に対するスリーブ線速の線速比を2.0に設定している。
また、本実施形態における現像ギャップは0.5[mm]に設定されている。従来の現像ギャップは、一般にキャリア粒径の10倍程度に設定されており、例えばキャリア粒径が50[μm]であれば0.65[mm]以上0.8[mm]以下程度であった。一方、本実施形態では、従来に比べて主磁極の磁力が大きいため、キャリア粒径の30倍程度に設定することも可能である。しかし、本実施形態であっても、現像ギャップをキャリア粒径の30倍程度よりも広くすると、所望の画像濃度を得ることが困難となる。なお、本実施形態においては、ドラム線速に対するスリーブ線速の線速比を1.5まで下げても、必要な画像濃度を得ることができる。
【0020】
次に、磁気ローラ5により形成される磁界について説明する。
図3は、磁石ローラ5の各磁極により現像スリーブ4の表面に発生するその表面の法線方向の磁束密度(以下、「法線方向磁束密度」という。)の分布を実線で示した円グラフである。この円グラフを作成するために、ADS社製ガウスメーター(HGM−8300)並びにADS社製A1型アキシャルプローブを使用し、これらで測定した結果を円チャートレコーダにより記録した。このような磁気特性を有する磁石ローラ5による磁界によって、現像剤中のキャリアが現像スリーブ4上にチェーン状に穂立ちし、このチェーン状に穂立ちしたキャリアに静電力等によりトナーが付着して磁気ブラシが形成される。この磁気ブラシは、現像スリーブ4の表面移動に伴って現像スリーブ4の表面移動方向(図中反時計回り方向)に搬送される。
【0021】
本実施形態における磁石ローラ5は、図4に示すように、現像領域における現像剤を穂立ちさせるための磁界を形成する主磁極P1bを備えている。また、この主磁極P1bに対して現像スリーブ4の表面移動方向上流側と下流側には、それぞれ補助磁極P1a,P1cが主磁極P1bに近接するように配置されている。各磁極P1a,P1b,P1cは、横断面の小さい磁石により構成されている。一般に、磁石の横断面を小さくすると磁力が弱くなるため、本実施形態では、3つの磁極P1a,P1b,P1cを比較的磁力の強い希土類金属合金からなる磁石で構成している。希土類金属合金磁石のうち、代表的な鉄ネオジウムボロン合金磁石によれば、358[kJ/m3]の最大エネルギー積を得ることができる。また、鉄ネオジウムボロン合金ボンド磁石によれば、80[kJ/m3]前後の最大エネルギー積を得ることができる。一般には、最大エネルギー積が36[kJ/m3]前後、20[kJ/m3]前後のフェライト磁石、フェライトボンド磁石等が用いられる。しかし、本実施形態のように希土類金属合金磁石を用いれば、これらに比べて強い磁力を確保することができる。よって、横断面の小さい磁石を用いても、現像スリーブ4の表面の磁力を十分に確保することができる。本実施形態では、現像磁極を構成する3つの磁極P1a,P1b,P1cにより現像スリーブ4の表面に発生する法線方向磁束密度が100[mT]以上200[mT]以下となるように設定されている。
【0022】
また、図3において1点破線で示すラインは、現像スリーブ4の表面からその法線方向に1[mm]離れた位置での法線方向磁束密度を示している。本実施形態において、法線方向磁束密度の減衰率とは、上記数1で求められる値を意味する。このとき、数1中「X」は、現像スリーブ4の表面上に発生する法線方向磁束密度のピーク値を指し、「Y」は、現像スリーブ4の表面からその法線方向に1[mm]離れた位置での法線方向磁束密度のピーク値を指す。例を挙げると、現像スリーブ4の表面の法線方向磁束密度が100[mT]で、現像スリーブ4の表面から1[mm]離れた部分での法線方向磁束密度が80[mT]であるとき、その減衰率は20[%]となる。
【0023】
次に、磁気ローラ5の磁極配置について説明する。
図4は、磁気ローラ5の現像磁極である3つの磁極P1a,P1b,P1cの配置を示す説明図である。磁気ローラ5の現像磁極は、主に現像領域の現像剤を穂立ちさせるために機能する主磁極P1bと、2つの補助磁極P1a,P1cから構成される。これらの補助磁極は、主磁極P1bに対して現像スリーブ4の表面移動方向の上流側及び下流側に隣接する位置に、その主磁極P1bとは反対極性をもつものである。本実施形態では、上記主磁極P1b、現像スリーブ4上に現像剤を汲み上げるための磁界を形成する磁極P4、現像スリーブ4上に汲み上げられた現像剤を現像領域まで搬送するための磁界を形成する磁極P6、及び、現像領域の現像スリーブ4表面移動方向下流側に位置する領域で現像剤を搬送するための磁界を形成する磁極P2,P3を、N極で構成している。また、上記補助磁極P1a,P1c、及び、現像スリーブ4上に汲み上げられた現像剤を搬送する磁極P5を、S極で構成している。本実施形態では、主磁極P1bとして、現像スリーブ4の表面上の法線方向磁束密度の最高値が約120[mT]となる磁石を用いている。
【0024】
また、上述した2つの補助磁極P1a,P1cは、主磁極P1cによる現像スリーブ4表面上の法線方向磁束密度の分布を調節するために利用される。具体的には、現像領域における現像スリーブ4表面の曲率中心軸すなわち現像スリーブ4の中心軸から見た現像スリーブ表面移動方向の半値点間の角度幅(以下、「半値角度幅」という。)を狭くするために利用される。ここで、半値角度幅とは、主磁極P1cにより現像スリーブ4の表面に発生する法線方向磁束密度の最高値の半分となる磁束密度を示す現像スリーブ4表面の2つの半値点を、現像スリーブ4の中心軸から見たときの現像スリーブ4の表面移動方向における角度幅をいう。したがって、例えば、法線方向磁束密度の最高値が120[mT]である場合、半値角度幅は、法線方向磁束密度がその半値である60[mT]となる現像スリーブ4表面の半値点を現像スリーブ4の中心軸から見たときの角度幅となる。本実施形態では、主磁極P1bの半値角度幅が25[°]以下となるように、補助磁極P1a,P1cの磁気特性や配置などが設定されている。具体的には、現像磁極を構成する3つの磁極P1a,P1b,P1cの磁石における現像スリーブ表面移動方向の横断面の幅が2[mm]に設定されている。その結果、本実施形態における主磁極P1bの半値角度幅は16[°]となる。
【0025】
図5(a)は、図3を基づいて、本実施形態のように3つの磁極P1a,P1b,P1cで現像磁極を構成した場合の半値角度幅を示す説明図である。また、図5(b)は、従来のように1つの磁極P1で現像磁極を構成した場合の半値角度幅を示す説明図である。図5(a)及び(b)を比較すると、本実施形態における主磁極P1bの半値角度幅θ1は、補助磁極P1a,P1cにより、従来の単一の現像磁極P1の半値角度幅θ’1よりも狭くなる。ここで、主磁極P1bの半値角度幅が25[°]を越えると、後端白抜け等の異常画像が発生することが確認されている。
【0026】
また、本実施形態では、補助磁極P1a,P1cの半値角度幅は、図4に示すように、35[°]以下となるように設定している。また、主磁極P1bと各補助磁極P1a,P1cとの位置関係は、図4に示したように、主磁極P1bと各補助磁極P1a,P1cとの配置角度幅が30[°]以下となるように設定されている。この配置角度幅とは、主磁極P1bと2つの補助磁極P1a,P1cとにより現像スリーブ4の表面に発生する法線方向磁束密度の最高値を示す現像スリーブ4表面の各点を、現像領域における現像スリーブ4表面の曲率中心軸すなわち現像スリーブ4の中心軸から見たときの現像スリーブ4の表面移動方向におけるそれぞれの角度幅をいう。本実施形態では、上述のように主磁極P1bの半値角度幅が16[°]であるため、主磁極P1bに対する各補助磁極P1a,P1cの配置角度幅を25[°]としている。
【0027】
更に、本実施形態では、現像磁極P1a,P1b,P1cにより現像スリーブ4の表面に発生する法線方向磁束密度が0[mT]となる変極点のうち、現像スリーブ4の表面移動方向最上流側と最下流側に位置する2つの変極点間の角度幅を120[°]以下となるように構成されている。すなわち、図4に示すように、2つの補助磁極P1a、P1cと各補助磁極P1a、P1cにそれぞれ隣り合う磁極P2,P6との間に存在する変極点間の角度幅が120[°]以下となっている。
【0028】
以上の構成において、本実施形態における現像磁極P1a,P1b,P1cの磁気特性は、以下に示すように観測された。
主磁極P1bの現像スリーブ4の表面上における法線方向磁束密度の最高値は120[mT]であり、その最高値を示す現像スリーブ4の表面から法線方向外側に1[mm]離れた位置での法線方向磁束密度は55.8[mT]であった。よって、その法線方向磁束密度の変化量は64.2[mT]であった。したがって、本実施形態における主磁極P1bによる法線方向磁束密度の減衰率は53.5[%]となる。
また、主磁極P1bの現像スリーブ表面移動方向上流側に位置する上流側補助磁極P1aの現像スリーブ4の表面上における法線方向磁束密度の最高値は100[mT]であり、その最高値を示す現像スリーブ4の表面から法線方向外側に1[mm]離れた位置での法線方向磁束密度は53.3[mT]であった。よって、その法線方向磁束密度の変化量は46.7[mT]であった。したがって、本実施形態における主磁極P1bによる法線方向磁束密度の減衰率は46.7[%]となる。
また、主磁極P1bの現像スリーブ表面移動方向下流側に位置する補助磁極P1cの現像スリーブ4の表面上における法線方向磁束密度の最高値は120[mT]であり、その最高値を示す現像スリーブ4の表面から法線方向外側に1[mm]離れた位置での法線方向磁束密度は67.4[mT]であった。よって、その法線方向磁束密度の変化量は52.6[mT]であった。したがって、本実施形態における主磁極P1bによる法線方向磁束密度の減衰率は43.8[%]となる。
なお、図5(b)に示した従来の磁石ローラ5では、例えば、現像磁極P1の現像スリーブ4の表面上における法線方向磁束密度の最高値は90[mT]であり、その最高値を示す現像スリーブ4の表面から法線方向外側に1[mm]離れた位置での法線方向磁束密度は63.9[mT]であった。よって、その法線方向磁束密度の変化量は26.1[mT]であった。したがって、この場合の主磁極P1bによる法線方向磁束密度の減衰率は29[%]となる。
【0029】
以上のような磁気特性を有する主磁極P1b及び補助磁極P1a,P1cを備えた磁石ローラ5により生じる磁力線に沿って現像剤が穂立ちして、現像スリーブ4上に磁気ブラシが形成される。この磁気ブラシの中で、主磁極P1bによる磁界により形成されるブラシ部分のみが感光体ドラム1の表面に接触することになり、感光体ドラム1上の静電潜像の可視像化に寄与することになる。このとき、現像領域における磁気ブラシの長さは、約1[mm]となるように設定されている。尚、ここでいう磁気ブラシの長さは、感光体ドラム1を取り外した場合における長さであって、実際には、現像ギャップが0.5[mm]に設定されているので、現像領域における磁気ブラシの長さは、その現像ギャップに応じて短くなる。
【0030】
このように磁気ブラシの長さを短く形成できるのは、上述のように法線方向磁束密度の減衰率が大きいためである。その理由は、現像スリーブ4の表面上での法線方向磁束密度は高いが、減衰率が高いために、現像スリーブ4の表面から1[mm]離れた位置での法線方向磁束密度は急激に低くなる。このため、現像スリーブ4の表面付近の現像剤は強い磁界の作用を受けて密集するが、現像スリーブ4の表面から比較的離れたところでは磁界が弱いため現像剤がブラシチェーンを維持できないからである。また、本実施形態では、上述したように、現像剤供給量を65[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下と少なめになるように設定している。これにより、本来であればもっと長い磁気ブラシを形成できるところ、現像剤供給量不足のため、磁気ブラシが短く規制される。そして、このように短く規制された結果、現像ギャップを0.5[mm]と設定することで、磁束密度の高い現像スリーブ4の表面付近で密集した現像剤からなるブラシ部分で感光体ドラム1の表面を摺擦することができる。尚、本実施形態では、現像ギャップを0.5[mm]に設定しているが、0.3[mm]以上0.5[mm]以下の範囲内であればよい。この範囲内であれば、磁束密度の高い現像スリーブ4の表面付近で密集した現像剤からなるブラシ部分で感光体ドラム1の表面を摺擦することができる。
【0031】
次に、本実施形態に用いる現像剤のキャリアについて説明する。
キャリアの芯材としては、公知の磁性体材料を使用することができる。この磁性体材料としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属やマグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの合金又は化合物等が挙げられる。
ここで、キャリアの磁気特性は、磁気ローラ5による磁界からキャリアが受ける影響を左右し、現像剤の現像特性及び搬送性に大きく影響を及ぼすことが、本発明者の研究により確認されている。本実施形態では、キャリア飛散を抑制する目的、また現像領域への現像剤供給量を増加して画像濃度を高める目的で、飽和磁化値が80×10−7×4π[Wb・m/kg]以上110×10−7×4π[Wb・m/kg]以下であるキャリアを使用している。尚、ここでいうキャリアの飽和磁化値としては、3000×103/4π[A/m]磁場中におけるキャリアの磁化の強さを使用している。
また、キャリアの残留磁化値及び保磁力の強さが大きすぎると、現像ケーシング7の内部における現像剤の良好な搬送性が妨げられ、画像の階調性が低下したり、後端トナーよりが発生したりすることが本発明者の研究により確認されている。更に、本発明者らの研究の結果、画像のカスレやベタ画像中での濃度不均一等も発生しやすくなり、現像能力を低下させる要因となるも判明した。このような不具合を抑制するためには、キャリアの残留磁化値が10×10−7×4π[Wb・m/kg]以下、好ましくは5×10−7×4π[Wb・m/kg]以下、より好ましくは実質上0であるのが望ましい。また、キャリアの保磁力の強さは、40×103/4π[A/m]以下、好ましくは30×103/4π[A/m]以下、より好ましくは10×103/4π[A/m]以下であることが重要である。尚、ここでいうキャリアの保磁力の強さとしては、3000×103/4π[A/m]磁場中に置かれたときの保持力の強さを使用している。
以上のキャリアの磁気特性を考慮した場合、キャリアの芯材としては、フェライトを使用するのが好ましい。
【0032】
また、キャリア体積平均粒径が30[μm]以上60[μm]以下の範囲であるとき、感光体ドラム1に接触する磁気ブラシの先端部分のブラシ密度が高くなり、本発明者の研究により特段の副作用もないことが判明した。これについて説明すると、キャリア粒径は磁性体粒子粒度分布に大きく依存するが、その体積平均粒径が30[μm]未満となると、粒径の小さいキャリアの数が増加する。このような小径のキャリアは、現像スリーブ4上に保持されにくいため、現像領域において感光体ドラム1の表面に移動して付着するキャリア付着という現象が発生する。したがって、小径キャリアの数が増えると、感光体ドラム1へのキャリア付着が発生しやすくなる。逆に、キャリアの体積平均粒径が60[μm]を越えると、ドクタギャップが0.2〜0.4[mm]という狭いものである場合、十分なトナーを現像領域に供給することができない。
【0033】
また、キャリアの被覆樹脂としては、一般的な熱硬化型シリコーン樹脂を使用することができる。また、本実施形態では、キャリアの静抵抗値が12[logΩ]以上14[logΩ]以下となるようにキャリアの抵抗値を調整する目的で、キャリアの被覆樹脂中に微粉末を添加する。この微粉末は、0.01[μm]以上5.0[μm]以下程度の粒径をもつものであるのが好ましい。更に、キャリアの帯電特性を調整したり、被覆樹脂と芯材との接着性を向上させたりする目的で、カップリング剤、特にシランカップリング剤を用いることができる。例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン(以上、トーレ・シリコン社製)、アリルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン、メタクリルオキシエチルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド(以上、チッソ社製)等が挙げられる。
【0034】
このような被覆樹脂を芯材にコーティングする方法は特に限定されず、例えば、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、フローコーターを用いる流動スプレーコーティング法を採用することができる。このような方法でコーティングした後は、被覆膜の硬化処理及び乾燥処理を行う。この処理において、加熱あるいは加熱及び加湿を行うことで、速やかに硬化・乾燥を完了することができる。被覆膜の厚みは2μm以下程度、好ましくは0.1〜1μmとする。
【0035】
次に、本実施形態に用いる現像剤のトナーについて説明する。
本実施形態におけるトナーとしては、公知の方法を用いて作製したものを広く用いることができる。具体的には、例えば、結着樹脂、着色剤及び極性制御剤よりなる混合物を、熱ロールミルで溶融混練した後、冷却固化せしめ、これを粉砕分級して得られたものを使用することができる。また、必要に応じて任意の添加物を含ませてもよい。本実施形態では、重量平均粒径が6[μm]以上10[μm]以下の範囲にあるトナーを使用する。このトナーの重量平均粒径は、種々の方法によって測定でき、例えばコールターカウンターを使用して測定することができる。このコールターカウンターとしては、例えばコールターカウンターII型(コールター社製)を利用することができる。そして、このようなコールターカウンターにより得られた測定結果に基づいて、例えば個数分布、体積分布といった特性について解析することにより、トナーの重量平均粒径を求めることができる。コールターカウンターによる測定で使用する電解液としては、1級塩化ナトリウムを使用して調節した1[%]塩化ナトリウム水溶液を用いることができる。
【0036】
トナーの結着樹脂としては、従来からトナー用結着樹脂として使用されてきたものの全てを用いることができる。具体的には、ポリスチレン、ポリクロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン/p−クロロスチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、スチレン/ビニルナフタリン共重合体、スチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリル酸エチル共重合体、スチレン/アクリル酸ブチル共重合体、スチレン/アクリル酸オクチル共重合体、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/メタクリル酸エチル共重合体、スチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン/α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン/ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン/ビニルメチルケトン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、スチレン/アクリロニトリル/インデン共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルブチルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、これらは、単独であるいは2種以上混合して使用される。
【0037】
また、トナーの着色剤としては、トナー用として公知のものがすべて使用できる。黒色の着色剤としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック等が使用できる。シアンの着色剤としては、例えば、フタロシアニンブルー、メチルレンブルー、ビクトリアブルー、メチルバイオレット、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー等が使用できる。マゼンタの着色剤としては、例えば、ローダミン6Gレーキ、ジメチルキナクリドン、ウォッチングレッド、ローズベンガル、ローダミンB、アリザリンレーキ等が使用できる。イエローの着色剤としては、例えば、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、ハンザイエロー、ナフトールイエロー、モリブデンオレンジ、キノリンイエロー、タートラジン等が使用できる。
【0038】
また、トナーをより効率的に帯電させるために、少量の帯電付与剤、例えば染顔料、極性制御剤を含有させることもできる。極性制御剤としては、例えば、モノアゾ染料の金属錯塩、ニトロフミン酸及びその塩、サリチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸のCo、Cr又はFe等の金属錯体、有機染料、四級アンモニウム塩等が使用できる。
【0039】
また、その他の添加剤としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等が一般的なものとして挙げられるが、特に限定するものではない。本実施形態では、添加剤として、シリコーンオイル処理剤にて処理した微粒子を用いている。この微粒子としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等が挙げられる。
シリカ微粒子のシリコーンオイル処理剤の具体例としては、分子中に反応性基を有する変性シリコーンオイル、ハイドロジェンシリコーンオイル又はフッ素含有シリコーンオイルの1種以上を用いることが好ましいが、分子中にこのような活性な基を有しない未変性シリコーンオイルを用いることも可能である。分子中に反応基を有する変性シリコーンオイルとしては、分子中にヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、エーテル基およびメルカプト基からなる群から選ばれる基を1種以上含む変性シリコーンオイルの1種以上が好ましい。また、このシリコーンオイルの粘度は、室温で5[cp]以上15000[cp]以下であるものが好ましい。添加剤としてシリコーンオイル処理剤にて処理したシリカ微粒子を用いれば、シリカ微粒子による感光体ドラム1の摩耗を低減することができる。
【0040】
ここで、本実施形態のように小粒径のトナーを用いる場合、摺擦による過剰帯電を生じやすくなるので、連続でプリントした場合での帯電量が上昇を抑止し、カウンターチャージよる非画像部へのトナー付着が生じやすい。そこで、本実施形態では、トナーの帯電量を制御する目的で、トナーの流動性を高めることができる酸化チタン微粒子を含有させている。この酸化チタンの添加量は、BET法による窒素吸着により計測したトナーの全表面積に対する酸化チタンの比表面積が、30[m2/g]以上、特に50[m2/g]以上400[m2/g]以下の範囲内となるように設定するのが望ましい。しかし、酸化チタン微粒子をシリカ微粒子よりも多量に添加すると、トナー帯電量が不足する結果を招くことになる。よって、シリカ微粒子に対する酸化チタン微粒子の添加比率は、0.6以下となるように設定するのが望ましい。このような微粉末の総添加量は、トナーに対しても0.5[重量%]以上2[重量%]以下とするのが好適である。
【0041】
以下、上述した実施形態で説明したレーザプリンタを用いて行った2つの実験例について説明する。
まず、以下の実験例で用いるトナーT及びキャリアC1〜6の処方及び製法について説明する。
【0042】
(トナーTの作製)
下記の表1に示す各材料の混合物を、ヘンシェルミキサー中で十分攪拌混合した。その後、80[℃]の温度下でロールミルにより約30分間加熱溶融し、室温まで冷却した。これにより得られた混練物をジェットミルで粉砕分級し、6.5[μm]の粒径で4[μm]以下の微粒子の量が60[%]以下である分級トナーを生成した。そして、100部の分級トナーに対して、1.0部のシリカ微粒子及び0.4部のチタニア微粒子を添加し、1500[rpm]で回転するヘンシェルミキサーにより混合することで、トナーTを得た。このトナーTの重量平均粒径は6.7[μm]であった。
【表1】
【0043】
(キャリアC1の作製)
下記の表2に示す処方を、ホモミキサーで20分分散して被覆層形成液を調製した。そして、この被覆層形成液を流動床型塗布装置により0.4[MPa]のスプレーエアー圧で1000部のフェライトの表面に塗布して、フェライト表面に被覆層を形成した。その後、300[℃]の温度下の電気炉にて2時間焼成し、キャリアC1を作製した。このフェライトとしては、平均粒径が55[μm]であり、飽和磁化値が40×10−7×4π[Wb・m/kg]、電流値が22[μA]、流動度が25[秒/50g]のものを使用した。ここでいう電流値とは、磁気ブラシが感光体ドラム1に接触したときに導通する電流値を示している。以下の電流値についても同様である。このキャリアC1の静抵抗値は16.2[logΩ]で、その流動度は29[秒/50g]であり、その飽和磁化値は40×10−7×4π[Wb・m/kg]であった。尚、このキャリアC1は、従来用いられていたものである。
【表2】
【0044】
(キャリアC2の作製)
下記の表3に示す処方を、ホモミキサーで20分分散して被覆層形成液を調製した。そして、この被覆層形成液を流動床型塗布装置により0.4[MPa]のスプレーエアー圧で1000部のフェライトの表面に塗布して、フェライト表面に被覆層を形成した。その後、300[℃]の温度下の電気炉にて2時間焼成し、キャリアC2を作製した。このフェライトとしては、平均粒径が55[μm]であり、飽和磁化値が80×10−7×4π[Wb・m/kg]のものを使用した。このキャリアC2の平均粒径は55[μm]であり、その飽和磁化値は80×10−7×4π[Wb・m/kg]であった。
【表3】
【0045】
(キャリアC3の作製)
上記表3に示す処方を、ホモミキサーで20分分散して被覆層形成液を調製した。そして、この被覆層形成液を流動床型塗布装置により0.4[MPa]のスプレーエアー圧で1000部のフェライトの表面に塗布して、フェライト表面に被覆層を形成した。その後、300[℃]の温度下の電気炉にて2時間焼成し、キャリアC3を作製した。このフェライトとしては、平均粒径が55[μm]であり、飽和磁化値が110×10−7×4π[Wb・m/kg]のものを使用した。このキャリアC3の平均粒径は55[μm]であり、その飽和磁化値は110×10−7×4π[Wb・m/kg]であった。
【0046】
(キャリアC4の作製)
下記の表4に示す処方を、ホモミキサーで20分分散して被覆層形成液を調製した。そして、この被覆層形成液を流動床型塗布装置により0.4[MPa]のスプレーエアー圧で1000部のフェライトの表面に塗布して、フェライト表面に被覆層を形成した。その後、300[℃]の温度下の電気炉にて2時間焼成し、キャリアC4を作製した。このフェライトとしては、平均粒径が55[μm]、飽和磁化値が90×10−7×4π[Wb・m/kg]、電流値が30[μA]、流動度が25[秒/50g]のものを使用した。このキャリアC4の静抵抗値は13.8[logΩ]で、その流動度は25[秒/50g]であり、その飽和磁化値は90×10−7×4π[Wb・m/kg]であった。
【表4】
【0047】
(キャリアC5の作製)
上記表3に示す処方を、ホモミキサーで20分分散して被覆層形成液を調製した。そして、この被覆層形成液を流動床型塗布装置により0.1[MPa]のスプレーエアー圧で1000部のフェライトの表面に塗布して、フェライト表面に被覆層を形成した。その後、300[℃]の温度下の電気炉にて2時間焼成し、キャリアC5を作製した。このフェライトとしては、平均粒径が55[μm]、飽和磁化値が90×10−7×4π[Wb・m/kg]、電流値が30[μA]、流動度が15[秒/50g]のものを使用した。このキャリアC5の静抵抗値は13.8[logΩ]で、その流動度は20[秒/50g]であり、その飽和磁化値は90×10−7×4π[Wb・m/kg]であった。
【0048】
(キャリアC6の作製)
上記表3に示す処方を、ホモミキサーで20分分散して被覆層形成液を調製した。そして、この被覆層形成液を流動床型塗布装置により0.6[MPa]のスプレーエアー圧で1000部のフェライトの表面に塗布して、フェライト表面に被覆層を形成した。その後、300[℃]の温度下の電気炉にて2時間焼成し、キャリアC6を作製した。このフェライトとしては、平均粒径が55[μm]、飽和磁化値が90×10−7×4π[Wb・m/kg]、電流値が30[μA]、流動度が22[秒/50g]のものを使用した。このキャリアC6の静抵抗値は13.8[logΩ]で、その流動度は30[秒/50g]であり、その飽和磁化値は90×10−7×4π[Wb・m/kg]であった。
【0049】
(測定方法)
次に、上述したトナー及びキャリアの特性を測定するために使用した方法について説明する。
キャリアの飽和磁化値については、測定装置として、BHU−60型磁化測定装置(理研測定製)を用いた。そして、秤量した約1.0[g]のキャリアを内径7mmφで高さ10[mm]のセルに詰め、上記測定装置にセットし、印加磁場を徐々に高めて最大3000×103/4π[A/m]まで上昇させ、次いで印加磁場を減少させた。これにより得られるヒステリシスカーブを最終的に記録紙上に記録し、その記録結果に基づいて飽和磁化値を求めたものを、キャリアの飽和磁化値とした。
キャリアの平均粒径については、測定装置としてマイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社:LEEDS&NORTHRUP製Type7995)のSRAタイプを用いた。この測定は、0.7[μm]以上125[μm]以下のレンジ設定で行った。
また、キャリアや現像剤の流動度は、50gのキャリア又は現像剤が細孔から落下するのに要する時間である。その測定は、JIS−Z2504に基づき、試料を温度が23[℃]±3[℃]、湿度が60[%]±10[%]の環境下に2時間放置後に行った。
また、キャリアの静抵抗値は、図6に示す静抵抗測定装置を用いて測定を行った。この静抵抗測定装置は、セル60と、このセル60に接続される2つの電極61,62と、これらの電極61,62の間に電圧を印加する電源63と、これらの電極61,62の間に流れる電流を測定する電流計64と、これらの電極61,62の間に生じる電圧を測定するための電圧計65とから構成されている。この静抵抗測定装置を用いて測定を行う場合、セル60にキャリア又は現像剤Bを充填した後、電源63から電圧を印加したときに電流計64で計測される電流値から、キャリア又は現像剤Bの静抵抗値を求めた。本測定において、セル60に充填されたキャリア又は現像剤Bに接触する電極61,62の面積は約4.0[cm2]であった。また、2つの電極61,62の間隔すなわちキャリア又は現像剤Bの電流方向の厚さdは約2[mm]であった。また、上部電極62の重量は275[g]であった。そして、電源63から印加される電圧は500Vとした。尚、本測定においては、キャリア又は現像剤Bが粉体であるので、セル60の充填率が変化しやすく、充填率の変化により静抵抗値が変化することがあるので注意を要する。
トナーの重量平均粒径は、コールターカウンターII型(コールター社製)を使用し、その測定結果に基づいて、例えば個数分布、体積分布といった特性について解析することにより、トナーの重量平均粒径を求めた。この測定で使用する電解液としては、1級塩化ナトリウムを使用して調節した1[%]塩化ナトリウム水溶液を用いた。
【0050】
〔実験例1〕
凝集したトナーが磁気ブラシによって感光体ドラム1に摺擦させるときに崩れて飛散すると画像上にトナー汚れとして表れる。このトナー汚れを抑制するには、従来0.5[mm]程度であったドクターギャップを狭め、凝集したトナーを事前に崩すのがよい。しかし、ドクターギャップを狭めると、現像領域への現像剤供給量が減り、画像濃度が低下するため、凝集したトナーによるトナー汚れが防げても画像濃度が低下してしまう。よって、本実験例では、画像濃度を維持しつつも、トナーの凝集体によるトナー汚れを抑制できるドクターギャップ及びキャリアの飽和磁化値の適正値を求める実験を行う。
【0051】
本実験例1では、トナーT及びキャリアC1〜C3をそれぞれ混合してトナー濃度が5[wt%]の3つの現像剤を作製した。本実験例では、各現像剤につき、それぞれ、ドクタギャップが0.2[mm]、0.3[mm]、0.4[mm]である3パターンについて実験を行った。なお、本実験例で使用する現像装置2は、主磁極P1bの法線方向磁束密度の最高値は120[mT]で、その法線方向磁束密度の減衰率は53.5[%]である。また、主磁極P1bの半値角度幅は16[°]である。そして、この現像装置2に各現像剤を入れ、上述した実施形態に係るレーザプリンタにより、A4版(横)の用紙に画像面積率が40[%]である画像を100枚プリントした。
本実験では、プリントした画像を観察し、各100枚中にトナー汚れが認められた枚数、及び、各100枚の画像の平均画像濃度について測定した。なお、本実施形態では、トナーが凝集したまま用紙に付着したために生じる黒ポチをトナー汚れとして評価している。本実験例における実験結果は、下記の表5に示すとおりである。
【0052】
【表5】
【0053】
まず、各キャリアごとに、ドクタギャップの変化と現像領域への現像剤供給量との関係について見ると、上記表5に示すように、ドクタギャップが狭くなるほど現像剤供給量が減っていく関係にある。また、各キャリアごとに、ドクタギャップの変化と画像濃度との関係について見ると、上記表5に示すように、ドクタギャップが狭くなるほど画像濃度が減っていく関係にある。法線方向磁束密度の減衰率が40[%]以上であるという条件下では、1.3以上という所望の画像濃度を得るには少なくとも現像剤供給量が65[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下である必要があることは本発明者らの研究によって判明している。そして、本実験でも、上記表5に示すように、キャリアの飽和磁化値が40×10−7×4π[Wb・m/kg]の場合、ドクタギャップが0.2[mm]又は0.3[mm]のときには所望の画像濃度を得られないという結果を得た。
一方、各キャリアごとに、ドクタギャップの変化とトナー汚れ枚数との関係について見ると、上記表5に示すように、ドクタギャップが広くなるほどトナー汚れ枚数が増える関係にある。そして、本実験の結果、上記表5に示すように、キャリアの飽和磁化値が40×10−7×4π[Wb・m/kg]の場合、ドクタギャップが0.4[mm]のときは、トナー汚れ枚数が100枚中79枚であり、実用的な範囲を超えるものとなった。また、ドクタギャップが0.3[mm]のときも、トナー汚れ枚数が100枚中37枚であり、実用的な範囲をを超えるものとなった。
【0054】
以下、上記実験結果について考察する。
同じ磁気特性を有する現像装置2であっても、キャリアの飽和磁化値によって、現像スリーブ4上に現像剤を拘束するための拘束力が異なってくる。現像スリーブ4上における現像剤の拘束力が大きければ、現像剤は堅く締まった状態で現像スリーブ4上に担持される。そのため、現像剤はドクターギャップを通過にくい状態となりその手前で滞留することになるが、現像スリーブ4の表面移動によってドクターギャップに次々と搬送されてくる現像剤がその滞留した現像剤をドクターギャップに押し込む効果が得られる。したがって、ドクターギャップを簡単に通過できてしまう状態の現像剤に比べて、現像領域への現像剤供給量が多くなる。その結果、キャリアの飽和磁化値によってドクターギャップを通過できる現像剤の量が変化し、現像領域への現像剤供給量が変動し、画像濃度に影響が出るものと考えられる。
以上より、キャリアの飽和磁化値が40×10−7×4π[Wb・m/kg]を下回る場合、現像スリーブ4上における現像剤の拘束力が小さいため、ドクタギャップが狭い上に上述の押し込み効果があまり得られない。したがって、ドクターギャップを通過できる現像剤の量が少なく、画像濃度が低いものとなったと考えられる。なお、キャリアの飽和磁化値が110×10−7×4π[Wb・m/kg]を越える場合、現像領域に現像剤を適正に供給することができなかった。これは、現像スリーブ4上における現像剤の拘束力が大きすぎて、ドクタギャップの手前で滞留した現像剤がドクターギャップを通過できなかったことが原因であると考えられる。
【0055】
また、本実験例によって、ドクターギャップが狭くするほどトナー汚れ枚数を減らすことができることが確認された。これは、ドクターギャップが狭くすることで、現像剤がドクターギャップを通過する際、凝集したトナーに加わるキャリアの圧力が増した結果、トナーの凝集を崩すことができたことが原因であると考えられる。
【0056】
以上、本実験例から、ドクタギャップを0.2[mm]以上0.4[mm]以下という狭いものとし、かつ、キャリアの飽和磁化値が少なくとも80×10−7×4π[Wb・m/kg]以上110×10−7×4π[Wb・m/kg]以下の範囲であれば、凝集トナーによるトナー汚れの枚数を十分に減らすことができるとともに、高い画像濃度を維持することができる。
【0057】
〔実験例2〕
実験例2では、上記トナーT及びキャリアC4〜C6をそれぞれ混合してトナー濃度が5[wt%]の3つの現像剤を作製した。本実験例では、各現像剤について、上記実験例1と同じ現像装置を備えたレーザプリンタを用い、上記実験例1と同様にして画像を100枚プリントし、キャリアの流動性及び現像剤の流動性と、トナー汚れ枚数との関係について確認する。本実験例2における実験結果は、下記の表6に示すとおりである。
【0058】
【表6】
【0059】
キャリアの流動度と現像剤の流動度は比例関係にある。また、上述した測定方法から流動度が低いほど流動性は高くなる。上記表6に示すように、キャリアの流動度又は現像剤の流動度が高いほど、すなわち、その流動性が低いほど、現像領域への現像剤供給量は高くなった。また、キャリアの流動度又は現像剤の流動度が高くて流動性が低いほど、トナー汚れ枚数は減る結果となった。
【0060】
以下、上記実験結果について考察する。
キャリアの流動度又は現像剤の流動度が低くすぎてその流動性が高すぎると、現像剤は比較的柔らかい状態で現像スリーブ4上に担持される。そのため、現像剤はドクターギャップを簡単に通過しやすく、ドクターギャップに現像剤を押し込むという上述した効果を得にくい。その結果、現像領域への現像剤供給量が少なくなったものと考えられる。
また、このように流動性が高すぎると、現像剤中のトナーがドクターギャップ等においてあまり摺擦されず、帯電量が不足する。その結果、トナー汚れ枚数が増えたものと考えられる。
【0061】
一方、キャリアの流動度又は現像剤の流動度が高く、その流動性が低ければ、現像剤は堅く締まった状態で現像スリーブ4上に担持される。そのため、現像剤をドクターギャップに押し込むという上述した効果が得られる。その結果、現像領域への現像剤供給量が多くなったものと考えられる。
また、キャリアの流動度又は現像剤の流動度が高く、その流動性が低ければ、現像剤が堅く締まった状態になるため、現像剤中のキャリアによるトナーへの圧力が高まり、凝集したトナーを崩しやすくなる。その結果、トナー汚れ枚数を減らすことができるものと考えられる。
しかし、流動性が低すぎると、ドクタギャップの手前で滞留した現像剤がドクターギャップを通過できなくなり、現像領域に現像剤を適切に供給することができなくなる。よって、キャリアの流動度でいえば20[秒/50g]以上30[秒/50g]以下、現像剤の流動度でいえば30[秒/50g]以上45[秒/50g]以下であるのが好ましい。
【0062】
以上、本実施形態によれば、現像剤規制部材であるドクタブレード6と現像剤担持体である現像スリーブ4の表面との間の最小間隔(ドクタギャップ)を0.2[mm]以上0.4[mm]以下に設定している。このようにドクタギャップを狭いものとすることで、上記実験例1で説明したように、これを通過する現像剤中のトナーの凝集を崩し、現像領域にトナー凝集のない現像剤を供給することができる。よって、凝集したトナーによる黒ポチ等が画像内に表れることがなく、高品質の画像を得ることができる。しかも、本実施形態では、主磁極P1bにより現像領域の現像スリーブ4の表面外側に生じる磁束の現像スリーブ表面法線方向における磁束密度の減衰率を40[%]以上とすべく、その主磁極P1bと隣り合うように主磁極P1bの現像スリーブ表面移動方向下流側に配置される下流側補助磁極P1cを設けている。そして、現像スリーブ4に担持されて現像領域に搬送される現像剤の量(現像剤供給量)を65[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下の範囲内に設定している。よって、磁気ブラシの長さが短く、かつ、潜像担持体に接触するブラシ部分の密度が高くできて、細線再現性の向上や後端白抜け現象の抑制を図ることができる。
また、本実施形態においては、主磁極P1bにより現像スリーブ4の表面上に生じるその表面の法線方向における最高磁束密度の半分の磁束密度となるその表面上の半値点を、現像領域における現像スリーブ4の表面の曲率中心軸から見たときの現像スリーブ表面移動方向における半値点間の角度幅が25[°]以下に設定されている。これにより、減衰率を40[%]以上とするのと同様の効果が得られる。
また、本実施形態においては、現像剤中の磁性粒子であるキャリアの飽和磁化値を、80×10−7×4π[Wb・m/kg]以上110×10−7×4π[Wb・m/kg]以下としている。これにより、上記実験例1で説明したように、ドクタギャップが0.2[mm]以上0.4[mm]以下という狭いものであっても、現像領域への現像剤供給量を65[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下の範囲内に収めることができ、高い画像濃度を維持できる。
また、本実施形態においては、現像剤の流動度が30[秒/50g]以上45[秒/50g]以下に設定されている。これにより、上記実験例2で説明したように、0.2[mm]以上0.4[mm]以下という狭いドクタギャップであっても、現像領域への現像剤供給量を十分に確保でき、より画像濃度を高めることができる。
また、本実施形態においては、キャリアの流動度が20[秒/50g]以上30[秒/50g]以下に設定されている。現像剤の流動度はトナーよりもはるかに体積が大きいキャリアの流動度でほぼ決まる。よって、キャリアの流動度がこの範囲であれば、現像剤の流動度を30[秒/50g]以上45[秒/50g]以下にすることができる。よって、上述のように、ドクタギャップが狭くても、現像領域への現像剤供給量を十分に確保でき、より画像濃度を高めることができる。
また、本実施形態は、上述した現像装置2を用いた画像形成装置としてのレーザプリンタである。よって、磁気ブラシの長さが短く、かつ、潜像担持体に接触するブラシ部分の密度が高くできるので、細線再現性の向上や後端白抜け現象の抑制を図ることができる。しかも、凝集トナーによる画質低下を抑制することもできる。したがって、高い品質の画像を形成することができる。
【0063】
【発明の効果】
請求項1乃至6の発明によれば、現像剤中に存在する凝集したトナーを、現像領域に供給される前に崩すことができるので、その凝集したトナーによって画像が乱されることなく高画質を維持できるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るプリンタの現像装置の概略構成図。
【図2】同プリンタ全体の概略構成図。
【図3】同プリンタの磁石ローラの各磁極により現像スリーブ表面に発生する法線方向磁束密度の分布を示す円グラフ。
【図4】同磁気ローラの現像磁極を構成する3つの磁極の配置を示す説明図。
【図5】(a)は、3つの磁極で現像磁極を構成した場合の半値角度幅を示す説明図。
(b)は、1つの磁極で現像磁極を構成した場合の半値角度幅を示す説明図。
【図6】キャリアの静抵抗値を測定するための測定装置の概略構成図。
【図7】(a)は、現像磁極が1つの磁極からなる従来の現像装置における現像領域近傍の磁力分布を示す説明図。
(b)は、同現像装置において、現像磁極により形成される磁界から磁力を受けて穂立ちした現像剤からなる磁気ブラシを現像スリーブ軸方向から見たときの形状を示す説明図。
【図8】(a)は、現像磁極が1つの主磁極と2つの補助磁極からなる現像装置における現像領域近傍の磁力分布を示す説明図。
(b)は、同現像装置において、現像磁極により形成される磁界から磁力を受けて穂立ちした現像剤からなる磁気ブラシを現像スリーブ軸方向から見たときの形状を示す説明図。
【符号の説明】
1 感光体ドラム
2 現像装置
3 現像ローラ
4 現像スリーブ
5 磁気ローラ
6 ドクタブレード
7 現像ケーシング
8 スクリュー
9 マイラー部材
50 帯電ローラ
51 光書込ユニット
52 転写紙
53 転写ベルト
P1b 主磁極
P1a,P1c 補助磁極
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、FAXなどの画像形成装置に用いる現像装置及びこの現像装置を備えた画像形成装置に係るものである。詳しくは、潜像担持体と現像剤担持体とが対向する現像領域で現像剤担持体表面に現像剤を穂立ちさせて潜像担持体上の潜像を現像する現像装置及び画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真式や静電記録式等の画像形成装置においては、感光体ドラムや感光体ベルト等の潜像担持体上に画像情報に対応した静電潜像を形成し、その静電潜像に対して現像装置による現像を行うことにより可視像を得る。近年では、このような現像を行うにあたり、転写性、ハーフトーンの再現性、温度及び湿度に対する現像特性の安定性などの観点から、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤(以下、単に「現像剤」という。)を用いた二成分現像方式を利用するのが主流になっている。この二成分現像方式を利用する現像装置では、現像剤を現像剤担持体上にブラシ状に穂立ちさせて保持しつつ、現像剤担持体と潜像担持体とが対向する現像領域に搬送する。そして、その現像領域において、そのブラシ状の現像剤に潜像担持体表面を摺擦させ、現像剤中のトナーを潜像担持体上の静電潜像部分に供給して静電潜像を現像するいわゆるブラシ式現像を行う。
【0003】
このようなブラシ式現像を行う現像装置における現像剤担持体は、通常、円筒状に形成された現像スリーブと、現像スリーブ内部に配置される複数の磁極を備えた磁石ローラとから構成されている。この磁石ローラは、現像スリーブ表面に現像剤を穂立ちさせる磁界を形成するためのものである。この磁石ローラに対して現像スリーブが相対移動することで、現像スリーブ表面に穂立した現像剤が搬送される。現像領域において、現像スリーブ上の現像剤は、磁石ローラがもつ現像磁極から発せられる磁力線に沿って穂立ちする。穂立ちしてブラシ状となった現像剤は、現像スリーブの表面移動に伴って撓むようにして潜像担持体表面に接触し、静電潜像にトナーを供給する。
【0004】
このような現像装置においては、現像領域において潜像担持体と現像スリーブとの距離を近接させるほど、高い画像濃度を得やすく、またエッジ効果も少ないことが知られている。このため、潜像担持体と現像スリーブとの距離を近接させることが望ましい。しかし、この距離を近接させると、黒ベタ画像やハーフトーンのベタ画像の後端部が白く抜ける、いわゆる「後端白抜け」と呼ばれる現象が発生したり、細線再現性が悪化したりして、画質が劣化するという不具合が生じる。
【0005】
現像領域における現像スリーブの表面移動方向は、潜像担持体に連れ回る方向であり、その線速は潜像担持体の線速よりも速く設定されている。よつて、磁気ブラシは潜像担持体上の静電潜像を追い越しながら摺擦するように静電潜像に対して相対移動する。すなわち、潜像担持体表面は、現像領域を通過する間に複数の磁気ブラシに順次追い越されるように摺擦される。画像後端位置に対応する潜像担持体上の静電潜像部分(潜像後端部分)に着目すると、この潜像後端部分を順次摺擦する複数の磁気ブラシは、次のようにトナー供給能力が順次小さいものになる。
すなわち、現像領域に進入した後に潜像後端部分を摺擦する磁気ブラシは、潜像担持体上で潜像担持体表面移動方向上流側に位置する非潜像部分に対向してきたものである。そのため、この磁気ブラシの先端部分では、上記非潜像部分に対向していた期間に、キャリア表面に付着していたトナーが非潜像部分から受ける静電力で現像スリーブ側に移動するトナードリフトが生じている。このトナードリフトは、上記非潜像部分に対向する期間が長いほど進行する。よつて、現像領域の潜像担持体移動方向下流側で潜像後端部分を摺擦する磁気ブラシほど、上記非潜像部分に対向してきた期間が長くてトナードリフトが進行し先端部のキャリア面トナーが少なく、トナー供給能力が小さいものになる。
そして、潜像後端部分が現像領域を脱出するとき、この潜像後端部を摺擦する磁気ブラシは、先端部のキャリア面にトナーがほとんど存在しない状態になる。このような程度までトナードリフトが進行した磁気ブラシは、トナーが付着していない磁気ブラシの先端部のキャリア面に、潜像後端部分に付着しているトナーを静電的に引きつけるものとなる。この結果、潜像後端部分については、現像領域中で磁気ブラシにより一旦トナーが供給されても、このトナーが現像領域を脱出するまでに、キャリア面にトナーがほとんどなくなった他の磁気ブラシの先端部分に移ってしまう。これにより、後端白抜けや細線再現性の低下が生じるものと考えられる。
【0006】
本出願人は、特開2000―305360号公報、特開2000―347506号公報、特開2001−5296号公報等において、後端白抜けや細線再現性の低下を抑制するための発明を提案している。これらの公報で提案した発明では、現像領域における法線方向磁束密度の減衰率や、現像領域で現像剤を穂立ちさせるための主磁極と隣り合う磁極との角度間隔、主磁極の半値中央角などを所定値に規定している。具体的な構成としては、上述した現像磁極を、N極からなる1つの主磁極と、この主磁極の現像スリーブの表面移動方向上流側及び下流側に近接するように配置されるS極からなる2つの補助磁極とから構成する。更に、本出願人は、現像ニップ及び磁気ブラシ密度の設定(特開2001−27849号公報参照)や主磁極の半値角度幅(半値中央角ともいう)の設定(特開2001−134100号公報)等をして、画質改善を実現する発明も提案している。これらの発明によれば、後端白抜け現象及び細線再現性の改善を図ることができることが確認されている。
【0007】
上記公報のうち特開2000―305360号公報、特開2000―347506号公報、及び特開2001−5296号公報等の装置により、後端白抜け現象及び細線再現性を改善できるのは、以下の理由によるものと考えられる。
図7(a)は、現像磁極が1つの磁極P1からなる従来の現像装置における現像領域近傍の磁力分布を示す説明図である。また、図7(b)は、その現像磁極P1により形成される磁界から磁力を受けて穂立ちした現像剤からなる磁気ブラシを現像スリーブ4の軸方向から見たときの形状を示す説明図である。
図8(a)は、現像磁極が1つの主磁極P1bと2つの補助磁極P1a,P1cからなる現像装置における現像領域近傍の磁力分布を示す説明図である。また、図8(b)は、これらの磁極P1a,P1b,P1cにより形成される磁界から磁力を受けて穂立ちした現像剤からなる磁気ブラシを現像スリーブ4の軸方向から見たときの形状を示す説明図である。
【0008】
従来の現像装置では、N極の現像磁極に隣り合うS極の磁極としては、現像領域に対して現像スリーブ4の表面移動方向下流側に位置する領域で現像剤を搬送するための磁界を形成する磁極P2がある。また、現像スリーブ4上に汲み上げられた現像剤を現像領域まで搬送するための磁界を形成する磁極P6も存在する。これらの磁極P2,P6は、現像磁極P1から比較的離れた位置に配置されるので、現像領域における磁界の磁力分布は、図7(a)に示すように、現像磁極P1から出る磁力線が現像スリーブ表面から比較的離れた位置を通るようになる。そして、現像スリーブ4上に担持されて現像領域まで搬送されてきた現像剤は、図7(b)に示すように、その磁力線に沿って穂立ちし、磁気ブラシを形成する。
【0009】
一方、上記公報の現像装置では、N極の主磁極P1bに隣り合うS極の磁極として、2つの補助磁極P1a,P1cがある。主磁極P1bとこれらの補助磁極P1a,P1cとの距離は、図7(a)及び(b)に示した従来の現像装置における上記現像磁極とこれに隣り合う両磁極P2,P6との距離より小さい。このため、図8(a)に示すように、現像領域における磁界の磁力分布は、図7(a)に示す従来の現像装置の現像磁極による磁界の分布に比べ、主磁極P1bから出る磁力線が現像スリーブ表面に近い位置を通る。また、主磁極P1bから出る磁力線のより多くが、隣り合う磁極としての2つの補助磁極P1a,P1cに向かう。これらの結果、磁気ブラシの形成に関与する現像スリーブ表面の法線方向に近い方向に向かう磁力線(以下、「穂立ち用磁力線」という。)の本数が、同じ本数の磁力線が生じる従来の現像装置に比べて少なくなる。その穂立ち用磁力線が存在する現像スリーブ4の表面移動方向における幅(穂立ち幅)も狭くなる。そのため、図7(b)と図8(b)との比較からもわかるように、現像領域に搬送されてきた現像剤の穂立ち開始位置は、従来の現像装置よりも現像領域における現像スリーブ表面移動方向の中心(以下、単に「中心」という。)に近づく。また、現像スリーブ4の表面に担持された状態で現像領域を通過する現像剤の穂立ち終了位置も、同様にして、従来の現像装置よりも現像領域の中心に近づくことになる。すなわち、現像スリーブ4上の現像剤が、従来の現像装置よりも現像領域の中心から近い地点で穂立ちを開始し、また、穂立ちを終了するようになる。この結果、現像スリーブ4上の磁気ブラシが感光体ドラム1に近接又は接触する期間が従来の現像装置よりも短くなる。これに応じて、潜像後端部分が感光体ドラム表面の移動で現像領域を脱出するときにこの潜像後端部を摺擦する磁気ブラシが、それまで非潜像部分に近接又は接触していた期間も、従来の現像装置より短くなる。よって、現像領域を脱出するときに感光体ドラム1の潜像後端部分を摺擦する磁気ブラシのトナードリフトの進行度合いを小さくでき、従来の現像装置に比べ、後端白抜け及び細線再現性の低下を抑制することができる。
【0010】
また、上記公報の現像装置においては、N極の主磁極P1bに2つのS極の補助磁極が近接して配置されているので、現像スリーブ4の表面からその法線方向に離れた位置での現像領域内の磁力線は、従来の現像装置に比べて疎となる。このため、現像スリーブ4の表面からその法線方向に離れた位置(例えば、従来装置における磁気ブラシの先端部分が存在する位置)での現像領域内における法線方向磁束密度は、上記公報の現像装置の方が従来の現像装置より小さくなる。したがって、上記公報の現像装置では、磁気ブラシを構成する現像剤の多くが磁束密度の高い現像スリーブ4の表面近傍に引き寄せられ、図8(b)に示すように、磁気ブラシの長さは従来の現像装置に比べて短いものとなる。
【0011】
更に、上記公報の現像装置を実際に使用する場合、現像領域に供給される現像剤の量は、現像領域を通過する間に穂立ちすることができる現像剤の最大量よりも少なく設定される。すなわち、上記公報の現像装置においては、本来であればもっと長い磁気ブラシを形成できるところ、現像領域に供給される現像剤の量を少なめにして磁気ブラシの長さをより短く規制する。これにより、現像スリーブ4の表面に近い磁束密度の高い領域に磁気ブラシの先端部分が位置することになり、その磁気ブラシの先端部分では、従来の現像装置における磁気ブラシの先端部分よりもブラシ密度が高いものとなる。そして、磁気ブラシが短くなった分だけ現像スリーブ4の表面と感光体ドラム1の表面との最小間隔(以下、「現像ギャップ」という。)Pgを狭くすることで、従来装置よりも現像スリーブ4の表面に近い磁束密度の高い領域に存在する密度の高いブラシ部分で感光体ドラム1を摺擦することができる。
【0012】
尚、上記公報の現像装置では、上述のように、現像剤の穂立ち開始位置及び現像剤の穂立ち終了位置が、従来の現像装置よりも現像領域の中心に近づくことになる。このため、図8(b)に示すように、現像領域において磁気ブラシが潜像担持体を摺擦する部分の現像スリーブ表面移動方向の幅(摺擦幅)Pnが従来の現像装置よりも狭くなる。そのため、磁気ブラシによる摺擦で感光体ドラム1上の潜像部分に供給されるトナー量は、摺擦する部分のブラシ密度が同じであれば、従来の現像装置よりも減少する。しかし、上記公報の現像装置を用いれば、上述したように、感光体ドラム1に接触する磁気ブラシの先端部分のブラシ密度を従来の現像装置よりも高くできる。よって、感光体ドラム1上の潜像部分に供給されるトナー量が従来の現像装置に比べて減るのを抑制することができる。
以上から、摺擦幅Pnが従来の現像装置よりも狭くなっても、現像領域における感光体ドラム1の線速に対する現像スリーブ4の線速比を高めるなどにより、静電潜像に供給されるトナー量を十分に確保することが可能である。よって、後端白抜けを抑制し、細線再現性を高め、かつ、画像濃度の高い高品質な画像を提供することが可能である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、現像装置内では、現像剤が撹拌されても現像剤中のトナーが凝集してしまうことがある。また、現像装置に補給されるトナーの中に凝集した部分が存在することもある。このようなトナーの凝集体が存在すると、その凝集体が現像領域まで搬送され、トナーの固まりのまま潜像担持体上の静電潜像に付着することがある。そのため、そのトナーの固まりによって画像が乱され、画質が低下するという問題があった。
また、トナーの凝集体が存在すると、その凝集体が現像領域まで搬送されて磁気ブラシによって潜像担持体に摺擦させるときに、その凝集体が崩れて飛散することがある。この場合、その飛散により潜像担持体上に付着しているトナー像を壊したり、飛散したトナーが静電潜像部分以外の潜像担持体上に付着したりして、画像が乱され、画質が低下するという問題があった。
【0014】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、細線再現性の向上や後端白抜け現象の抑制を図りつつ、凝集したトナーによって画像が乱されることなく高画質を維持できる現像装置及び画像形成装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナーと磁性粒子を含む現像剤を表面に担持して表面移動する現像剤担持体の表面移動方向における表面の一部が装置ケーシングから露出しており、静電潜像を表面に担持して表面移動する潜像担持体の表面と、露出した現像剤担持体の表面とが対向する現像領域で、該現像領域に対向するように配置した現像磁極により該現像剤担持体上の現像剤を穂立ちさせて該現像剤担持体上に磁気ブラシを形成し、該現像剤担持体を該現像領域で該潜像担持体の表面移動方向と同方向かつ該潜像担持体表面の線速よりも大きい線速で表面移動させて、該磁気ブラシにより該潜像担持体の表面を摺擦し、該潜像担持体上の潜像を現像する現像装置において、上記現像剤担持体に担持されて現像剤規制部材によって規制された後に現像領域に搬送される現像剤の量が65[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下であり、上記現像磁極により上記現像領域の現像剤担持体表面外側に生じる磁束の該現像剤担持体表面法線方向における磁束密度の減衰率が40[%]以上であり、上記現像剤規制部材と上記現像剤担持体の表面との間の最小間隔が0.2[mm]以上0.4[mm]以下であることを特徴とするものである。
ここで、上記「減衰率」とは、現像磁極によって現像剤担持体表面上に発生する現像剤担持体表面の法線方向における磁束密度(法線方向磁束密度)のピーク値をXとし、現像剤担持体表面からその法線方向に1[mm]離れた位置での法線方向磁束密度のピーク値をYとしたとき、下記の数1で求められる値を意味する。
【数1】
減衰率[%]={(X−Y)/X}×100
また、請求項2の発明は、トナーと磁性粒子を含む現像剤を表面に担持して表面移動する現像剤担持体の表面移動方向における表面の一部が装置ケーシングから露出しており、静電潜像を表面に担持して表面移動する潜像担持体の表面と、露出した現像剤担持体の表面とが対向する現像領域で、該現像領域に対向するように配置した現像磁極により該現像剤担持体上の現像剤を穂立ちさせて該現像剤担持体上に磁気ブラシを形成し、該現像剤担持体を該現像領域で該潜像担持体の表面移動方向と同方向かつ該潜像担持体表面の線速よりも大きい線速で表面移動させて、該磁気ブラシにより該潜像担持体の表面を摺擦し、該潜像担持体上の潜像を現像する現像装置において、上記現像剤担持体に担持されて現像剤規制部材によって規制された後に現像領域に搬送される現像剤の量が65[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下であり、上記現像磁極により上記現像剤担持体表面上に生じる該現像剤担持体表面の法線方向における最高磁束密度の半分の磁束密度となる該現像剤担持体表面上の半値点を、上記現像領域における該現像剤担持体表面の曲率中心軸から見たときの該現像剤担持体の表面移動方向における半値点間の角度幅が25[°]以下であり、上記現像剤規制部材と上記現像剤担持体の表面との間の最小間隔が0.2[mm]以上0.4[mm]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の現像装置において、上記磁性粒子の飽和磁化値が、80×10−7×4π[Wb・m/kg]以上110×10−7×4π[Wb・m/kg]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2又は3の現像装置において、上記現像剤の流動度が、30[秒/50g]以上45[秒/50g]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の現像装置において、上記磁性粒子の流動度が、20[秒/50g]以上30[秒/50g]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、潜像担持体と、上記潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、上記潜像担持体上の潜像を、トナーと磁性粒子を含む現像剤により現像する現像手段と、上記潜像担持体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、上記現像手段として、請求項1、2、3、4又は5の現像装置を用いたことを特徴とするものである。
上記請求項1乃至5の現像装置及び請求項6の画像形成装置においては、現像領域の現像剤担持体外側における法線方向磁束密度の減衰率が40[%]以上、あるいは、半値点間の角度幅を25[°]以下となるように構成されている。このように減衰率を高め又は半値点間の角度幅を狭めるには、例えば、上記公報の現像装置のように、N極からなる1つの現像磁極と、この現像磁極の現像剤担持体表面移動方向両側に近接して配置されるS極からなる2つの補助磁極とを設ける。尚、現像磁極と補助磁極の極性は互いに逆極性であればよく、現像磁極がS極で補助磁極がN極であってもよい。そして、これとともに、現像領域に搬送される現像剤の量(現像剤供給量)を、現像領域を通過する間に穂立ちすることができる現像剤の最大量よりも少なくする。具体的には、65[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下に設定する。この結果、上述したように、磁気ブラシの長さを短くし、潜像担持体に接触するブラシ部分の密度を高めることができる。
また、上記請求項1乃至5の現像装置及び請求項6の画像形成装置では、現像剤規制部材と現像剤担持体の表面との間の最小間隔すなわちドクタギャップを0.2[mm]以上0.4[mm]以下としている。これは、従来0.5[mm]程度であったドクターギャップを狭めたものである。このようにドクターギャップを狭めることで、後述する実験例1に示すように、現像剤がドクターギャップを通過する際に、凝集したトナーに加わるキャリアの圧力を増加させることができる。その結果、凝集したトナーが現像領域に達する前に、その凝集体を崩すことができる。なお、ドクタギャップを0.2[mm]以上であれば、65[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下という現像領域への現像剤供給量を確保することが可能であることが後述する実験例1にて確認されている。
なお、このような範囲にドクタギャップを狭めると、従来の構成のままでは、65[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下という現像領域への現像剤供給量を確保することができないおそれがある。しかし、キャリアの飽和磁化値を高めたり、ドクタギャップ付近の磁束密度を高めたりすれば、現像剤担持体上における現像剤の拘束力が大きくなり、現像剤供給量を確保することができる。その理由について説明すると、現像剤の拘束力が大きくなると、現像剤は堅く締まって密な状態となり、現像剤はドクターギャップを通過にくい状態となってその手前で滞留する。そして、現像剤担持体の表面移動によってドクターギャップに次々と搬送されてくる現像剤がその密な状態の現像剤をドクターギャップに押し込む効果が得られる。したがって、現像剤担持体上の現像剤の拘束力を大きくすることで、現像領域への現像剤供給量を増やすことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、電子写真式の画像形成装置であるレーザプリンタ(以下、「プリンタ」という。)に適用した実施形態について説明する。
図2は、本実施形態に係るプリンタ全体の概略構成図である。このプリンタは、潜像担持体としての感光体ドラム1を有している。感光体ドラム1は、図中矢印A方向に回転駆動されながら、感光体ドラム1に接触する帯電手段としての帯電ローラ50により、その表面を一様に帯電される。その後、潜像形成手段としての光書込ユニット51により画像情報に基づき走査露光されて、感光体ドラム1の表面に静電潜像が形成される。なお、帯電手段及び潜像形成手段としては、帯電ローラ50及び光書込ユニット51とは異なるものを用いることもできる。感光体ドラム1上に形成された静電潜像は、後述する現像手段としての現像装置2により現像され、感光体ドラム1上にトナー像が形成される。感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、転写ベルト53を備えた転写手段としての転写ユニットにより、給紙カセット54から給紙ローラ55及びレジストローラ対56を経て搬送される転写材としての転写紙52上に転写される。転写終了後の転写紙52は、定着手段としての定着ユニット57によりトナー像が定着され、機外に排出される。なお、転写されずに感光体ドラム1上に残留した転写残トナーは、クリーニング手段としてのクリーニングユニット58により感光体ドラム1の表面から除去される。また、感光体ドラム1上の残留電荷は、除電手段としての除電ランプ59で除去される。
【0017】
次に、本実施形態における現像装置2の構成について説明する。
図1は、感光体ドラム1の周囲に配置される現像装置2を含む主な装置の概略構成図である。本実施形態における現像装置2は、現像剤担持体としての現像ローラ3が所定間隔の現像ギャップを介して感光体ドラム1に近接するように配置されている。この現像ローラ3は、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂などの非磁性体からなる円筒状の現像スリーブ4を備えている。また、その内部には、現像スリーブ4の表面上に現像剤を穂立ちさせる等ための磁界を形成する磁界形成手段としての磁石ローラ5が設けられている。現像スリーブ4は、固定配置されている磁石ローラ5の周囲を、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転する。
【0018】
また、現像装置2は、現像スリーブ4と感光体ドラム1とが対向する現像領域に対して現像スリーブ4の表面移動方向上流側に、現像スリーブ上に付着した現像剤量を規制する現像剤規制部材としてのドクタブレード6が設けられている。このドクタブレード6の先端(規制部)と現像スリーブ4の表面との最小間隔であるドクタギャップは、現像領域に搬送される現像剤供給量に影響を与える。本実施形態では、ドクタギャップを0.3[mm]に設定しているが、0.2[mm]以上0.4[mm]以下の範囲内であればよい。そして、本実施形態では、ドクタギャップ近傍の磁界の強さやキャリアの飽和磁化値等の各種パラメータを調節して、現像領域への現像剤供給量を65[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下となるように設定している。また、現像装置2は、現像ローラ3の感光体ドラム1とは反対側の領域における現像ケーシング7の内部に、現像剤を攪拌しながら現像スリーブ4上へ汲み上げるためのスクリュー8が設けられている。
また、現像領域の下方には、現像ケーシング7の下あご部分と、レジストローラ56を通過した転写紙を転写部に案内するためのガイド板46との間に、マイラー部材9が設けられている。このマイラー部材9は、現像スリーブ4の一部を感光体ドラム1に対向させるための現像ケーシング7の開口部から飛散するキャリアやトナーが、転写紙やレジストローラ56等を汚すことを防いでいる。
【0019】
本実施形態では、径が100[mm]である感光体ドラム1を、現像領域におけるドラム線速が330[mm/秒]となるように回転駆動させ、かつ、径が25[mm]である現像スリーブ4を、現像領域におけるスリーブ線速が660[mm/秒]となるように回転駆動させている。すなわち、本実施形態では、ドラム線速に対するスリーブ線速の線速比を2.0に設定している。
また、本実施形態における現像ギャップは0.5[mm]に設定されている。従来の現像ギャップは、一般にキャリア粒径の10倍程度に設定されており、例えばキャリア粒径が50[μm]であれば0.65[mm]以上0.8[mm]以下程度であった。一方、本実施形態では、従来に比べて主磁極の磁力が大きいため、キャリア粒径の30倍程度に設定することも可能である。しかし、本実施形態であっても、現像ギャップをキャリア粒径の30倍程度よりも広くすると、所望の画像濃度を得ることが困難となる。なお、本実施形態においては、ドラム線速に対するスリーブ線速の線速比を1.5まで下げても、必要な画像濃度を得ることができる。
【0020】
次に、磁気ローラ5により形成される磁界について説明する。
図3は、磁石ローラ5の各磁極により現像スリーブ4の表面に発生するその表面の法線方向の磁束密度(以下、「法線方向磁束密度」という。)の分布を実線で示した円グラフである。この円グラフを作成するために、ADS社製ガウスメーター(HGM−8300)並びにADS社製A1型アキシャルプローブを使用し、これらで測定した結果を円チャートレコーダにより記録した。このような磁気特性を有する磁石ローラ5による磁界によって、現像剤中のキャリアが現像スリーブ4上にチェーン状に穂立ちし、このチェーン状に穂立ちしたキャリアに静電力等によりトナーが付着して磁気ブラシが形成される。この磁気ブラシは、現像スリーブ4の表面移動に伴って現像スリーブ4の表面移動方向(図中反時計回り方向)に搬送される。
【0021】
本実施形態における磁石ローラ5は、図4に示すように、現像領域における現像剤を穂立ちさせるための磁界を形成する主磁極P1bを備えている。また、この主磁極P1bに対して現像スリーブ4の表面移動方向上流側と下流側には、それぞれ補助磁極P1a,P1cが主磁極P1bに近接するように配置されている。各磁極P1a,P1b,P1cは、横断面の小さい磁石により構成されている。一般に、磁石の横断面を小さくすると磁力が弱くなるため、本実施形態では、3つの磁極P1a,P1b,P1cを比較的磁力の強い希土類金属合金からなる磁石で構成している。希土類金属合金磁石のうち、代表的な鉄ネオジウムボロン合金磁石によれば、358[kJ/m3]の最大エネルギー積を得ることができる。また、鉄ネオジウムボロン合金ボンド磁石によれば、80[kJ/m3]前後の最大エネルギー積を得ることができる。一般には、最大エネルギー積が36[kJ/m3]前後、20[kJ/m3]前後のフェライト磁石、フェライトボンド磁石等が用いられる。しかし、本実施形態のように希土類金属合金磁石を用いれば、これらに比べて強い磁力を確保することができる。よって、横断面の小さい磁石を用いても、現像スリーブ4の表面の磁力を十分に確保することができる。本実施形態では、現像磁極を構成する3つの磁極P1a,P1b,P1cにより現像スリーブ4の表面に発生する法線方向磁束密度が100[mT]以上200[mT]以下となるように設定されている。
【0022】
また、図3において1点破線で示すラインは、現像スリーブ4の表面からその法線方向に1[mm]離れた位置での法線方向磁束密度を示している。本実施形態において、法線方向磁束密度の減衰率とは、上記数1で求められる値を意味する。このとき、数1中「X」は、現像スリーブ4の表面上に発生する法線方向磁束密度のピーク値を指し、「Y」は、現像スリーブ4の表面からその法線方向に1[mm]離れた位置での法線方向磁束密度のピーク値を指す。例を挙げると、現像スリーブ4の表面の法線方向磁束密度が100[mT]で、現像スリーブ4の表面から1[mm]離れた部分での法線方向磁束密度が80[mT]であるとき、その減衰率は20[%]となる。
【0023】
次に、磁気ローラ5の磁極配置について説明する。
図4は、磁気ローラ5の現像磁極である3つの磁極P1a,P1b,P1cの配置を示す説明図である。磁気ローラ5の現像磁極は、主に現像領域の現像剤を穂立ちさせるために機能する主磁極P1bと、2つの補助磁極P1a,P1cから構成される。これらの補助磁極は、主磁極P1bに対して現像スリーブ4の表面移動方向の上流側及び下流側に隣接する位置に、その主磁極P1bとは反対極性をもつものである。本実施形態では、上記主磁極P1b、現像スリーブ4上に現像剤を汲み上げるための磁界を形成する磁極P4、現像スリーブ4上に汲み上げられた現像剤を現像領域まで搬送するための磁界を形成する磁極P6、及び、現像領域の現像スリーブ4表面移動方向下流側に位置する領域で現像剤を搬送するための磁界を形成する磁極P2,P3を、N極で構成している。また、上記補助磁極P1a,P1c、及び、現像スリーブ4上に汲み上げられた現像剤を搬送する磁極P5を、S極で構成している。本実施形態では、主磁極P1bとして、現像スリーブ4の表面上の法線方向磁束密度の最高値が約120[mT]となる磁石を用いている。
【0024】
また、上述した2つの補助磁極P1a,P1cは、主磁極P1cによる現像スリーブ4表面上の法線方向磁束密度の分布を調節するために利用される。具体的には、現像領域における現像スリーブ4表面の曲率中心軸すなわち現像スリーブ4の中心軸から見た現像スリーブ表面移動方向の半値点間の角度幅(以下、「半値角度幅」という。)を狭くするために利用される。ここで、半値角度幅とは、主磁極P1cにより現像スリーブ4の表面に発生する法線方向磁束密度の最高値の半分となる磁束密度を示す現像スリーブ4表面の2つの半値点を、現像スリーブ4の中心軸から見たときの現像スリーブ4の表面移動方向における角度幅をいう。したがって、例えば、法線方向磁束密度の最高値が120[mT]である場合、半値角度幅は、法線方向磁束密度がその半値である60[mT]となる現像スリーブ4表面の半値点を現像スリーブ4の中心軸から見たときの角度幅となる。本実施形態では、主磁極P1bの半値角度幅が25[°]以下となるように、補助磁極P1a,P1cの磁気特性や配置などが設定されている。具体的には、現像磁極を構成する3つの磁極P1a,P1b,P1cの磁石における現像スリーブ表面移動方向の横断面の幅が2[mm]に設定されている。その結果、本実施形態における主磁極P1bの半値角度幅は16[°]となる。
【0025】
図5(a)は、図3を基づいて、本実施形態のように3つの磁極P1a,P1b,P1cで現像磁極を構成した場合の半値角度幅を示す説明図である。また、図5(b)は、従来のように1つの磁極P1で現像磁極を構成した場合の半値角度幅を示す説明図である。図5(a)及び(b)を比較すると、本実施形態における主磁極P1bの半値角度幅θ1は、補助磁極P1a,P1cにより、従来の単一の現像磁極P1の半値角度幅θ’1よりも狭くなる。ここで、主磁極P1bの半値角度幅が25[°]を越えると、後端白抜け等の異常画像が発生することが確認されている。
【0026】
また、本実施形態では、補助磁極P1a,P1cの半値角度幅は、図4に示すように、35[°]以下となるように設定している。また、主磁極P1bと各補助磁極P1a,P1cとの位置関係は、図4に示したように、主磁極P1bと各補助磁極P1a,P1cとの配置角度幅が30[°]以下となるように設定されている。この配置角度幅とは、主磁極P1bと2つの補助磁極P1a,P1cとにより現像スリーブ4の表面に発生する法線方向磁束密度の最高値を示す現像スリーブ4表面の各点を、現像領域における現像スリーブ4表面の曲率中心軸すなわち現像スリーブ4の中心軸から見たときの現像スリーブ4の表面移動方向におけるそれぞれの角度幅をいう。本実施形態では、上述のように主磁極P1bの半値角度幅が16[°]であるため、主磁極P1bに対する各補助磁極P1a,P1cの配置角度幅を25[°]としている。
【0027】
更に、本実施形態では、現像磁極P1a,P1b,P1cにより現像スリーブ4の表面に発生する法線方向磁束密度が0[mT]となる変極点のうち、現像スリーブ4の表面移動方向最上流側と最下流側に位置する2つの変極点間の角度幅を120[°]以下となるように構成されている。すなわち、図4に示すように、2つの補助磁極P1a、P1cと各補助磁極P1a、P1cにそれぞれ隣り合う磁極P2,P6との間に存在する変極点間の角度幅が120[°]以下となっている。
【0028】
以上の構成において、本実施形態における現像磁極P1a,P1b,P1cの磁気特性は、以下に示すように観測された。
主磁極P1bの現像スリーブ4の表面上における法線方向磁束密度の最高値は120[mT]であり、その最高値を示す現像スリーブ4の表面から法線方向外側に1[mm]離れた位置での法線方向磁束密度は55.8[mT]であった。よって、その法線方向磁束密度の変化量は64.2[mT]であった。したがって、本実施形態における主磁極P1bによる法線方向磁束密度の減衰率は53.5[%]となる。
また、主磁極P1bの現像スリーブ表面移動方向上流側に位置する上流側補助磁極P1aの現像スリーブ4の表面上における法線方向磁束密度の最高値は100[mT]であり、その最高値を示す現像スリーブ4の表面から法線方向外側に1[mm]離れた位置での法線方向磁束密度は53.3[mT]であった。よって、その法線方向磁束密度の変化量は46.7[mT]であった。したがって、本実施形態における主磁極P1bによる法線方向磁束密度の減衰率は46.7[%]となる。
また、主磁極P1bの現像スリーブ表面移動方向下流側に位置する補助磁極P1cの現像スリーブ4の表面上における法線方向磁束密度の最高値は120[mT]であり、その最高値を示す現像スリーブ4の表面から法線方向外側に1[mm]離れた位置での法線方向磁束密度は67.4[mT]であった。よって、その法線方向磁束密度の変化量は52.6[mT]であった。したがって、本実施形態における主磁極P1bによる法線方向磁束密度の減衰率は43.8[%]となる。
なお、図5(b)に示した従来の磁石ローラ5では、例えば、現像磁極P1の現像スリーブ4の表面上における法線方向磁束密度の最高値は90[mT]であり、その最高値を示す現像スリーブ4の表面から法線方向外側に1[mm]離れた位置での法線方向磁束密度は63.9[mT]であった。よって、その法線方向磁束密度の変化量は26.1[mT]であった。したがって、この場合の主磁極P1bによる法線方向磁束密度の減衰率は29[%]となる。
【0029】
以上のような磁気特性を有する主磁極P1b及び補助磁極P1a,P1cを備えた磁石ローラ5により生じる磁力線に沿って現像剤が穂立ちして、現像スリーブ4上に磁気ブラシが形成される。この磁気ブラシの中で、主磁極P1bによる磁界により形成されるブラシ部分のみが感光体ドラム1の表面に接触することになり、感光体ドラム1上の静電潜像の可視像化に寄与することになる。このとき、現像領域における磁気ブラシの長さは、約1[mm]となるように設定されている。尚、ここでいう磁気ブラシの長さは、感光体ドラム1を取り外した場合における長さであって、実際には、現像ギャップが0.5[mm]に設定されているので、現像領域における磁気ブラシの長さは、その現像ギャップに応じて短くなる。
【0030】
このように磁気ブラシの長さを短く形成できるのは、上述のように法線方向磁束密度の減衰率が大きいためである。その理由は、現像スリーブ4の表面上での法線方向磁束密度は高いが、減衰率が高いために、現像スリーブ4の表面から1[mm]離れた位置での法線方向磁束密度は急激に低くなる。このため、現像スリーブ4の表面付近の現像剤は強い磁界の作用を受けて密集するが、現像スリーブ4の表面から比較的離れたところでは磁界が弱いため現像剤がブラシチェーンを維持できないからである。また、本実施形態では、上述したように、現像剤供給量を65[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下と少なめになるように設定している。これにより、本来であればもっと長い磁気ブラシを形成できるところ、現像剤供給量不足のため、磁気ブラシが短く規制される。そして、このように短く規制された結果、現像ギャップを0.5[mm]と設定することで、磁束密度の高い現像スリーブ4の表面付近で密集した現像剤からなるブラシ部分で感光体ドラム1の表面を摺擦することができる。尚、本実施形態では、現像ギャップを0.5[mm]に設定しているが、0.3[mm]以上0.5[mm]以下の範囲内であればよい。この範囲内であれば、磁束密度の高い現像スリーブ4の表面付近で密集した現像剤からなるブラシ部分で感光体ドラム1の表面を摺擦することができる。
【0031】
次に、本実施形態に用いる現像剤のキャリアについて説明する。
キャリアの芯材としては、公知の磁性体材料を使用することができる。この磁性体材料としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属やマグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの合金又は化合物等が挙げられる。
ここで、キャリアの磁気特性は、磁気ローラ5による磁界からキャリアが受ける影響を左右し、現像剤の現像特性及び搬送性に大きく影響を及ぼすことが、本発明者の研究により確認されている。本実施形態では、キャリア飛散を抑制する目的、また現像領域への現像剤供給量を増加して画像濃度を高める目的で、飽和磁化値が80×10−7×4π[Wb・m/kg]以上110×10−7×4π[Wb・m/kg]以下であるキャリアを使用している。尚、ここでいうキャリアの飽和磁化値としては、3000×103/4π[A/m]磁場中におけるキャリアの磁化の強さを使用している。
また、キャリアの残留磁化値及び保磁力の強さが大きすぎると、現像ケーシング7の内部における現像剤の良好な搬送性が妨げられ、画像の階調性が低下したり、後端トナーよりが発生したりすることが本発明者の研究により確認されている。更に、本発明者らの研究の結果、画像のカスレやベタ画像中での濃度不均一等も発生しやすくなり、現像能力を低下させる要因となるも判明した。このような不具合を抑制するためには、キャリアの残留磁化値が10×10−7×4π[Wb・m/kg]以下、好ましくは5×10−7×4π[Wb・m/kg]以下、より好ましくは実質上0であるのが望ましい。また、キャリアの保磁力の強さは、40×103/4π[A/m]以下、好ましくは30×103/4π[A/m]以下、より好ましくは10×103/4π[A/m]以下であることが重要である。尚、ここでいうキャリアの保磁力の強さとしては、3000×103/4π[A/m]磁場中に置かれたときの保持力の強さを使用している。
以上のキャリアの磁気特性を考慮した場合、キャリアの芯材としては、フェライトを使用するのが好ましい。
【0032】
また、キャリア体積平均粒径が30[μm]以上60[μm]以下の範囲であるとき、感光体ドラム1に接触する磁気ブラシの先端部分のブラシ密度が高くなり、本発明者の研究により特段の副作用もないことが判明した。これについて説明すると、キャリア粒径は磁性体粒子粒度分布に大きく依存するが、その体積平均粒径が30[μm]未満となると、粒径の小さいキャリアの数が増加する。このような小径のキャリアは、現像スリーブ4上に保持されにくいため、現像領域において感光体ドラム1の表面に移動して付着するキャリア付着という現象が発生する。したがって、小径キャリアの数が増えると、感光体ドラム1へのキャリア付着が発生しやすくなる。逆に、キャリアの体積平均粒径が60[μm]を越えると、ドクタギャップが0.2〜0.4[mm]という狭いものである場合、十分なトナーを現像領域に供給することができない。
【0033】
また、キャリアの被覆樹脂としては、一般的な熱硬化型シリコーン樹脂を使用することができる。また、本実施形態では、キャリアの静抵抗値が12[logΩ]以上14[logΩ]以下となるようにキャリアの抵抗値を調整する目的で、キャリアの被覆樹脂中に微粉末を添加する。この微粉末は、0.01[μm]以上5.0[μm]以下程度の粒径をもつものであるのが好ましい。更に、キャリアの帯電特性を調整したり、被覆樹脂と芯材との接着性を向上させたりする目的で、カップリング剤、特にシランカップリング剤を用いることができる。例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン(以上、トーレ・シリコン社製)、アリルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン、メタクリルオキシエチルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド(以上、チッソ社製)等が挙げられる。
【0034】
このような被覆樹脂を芯材にコーティングする方法は特に限定されず、例えば、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、フローコーターを用いる流動スプレーコーティング法を採用することができる。このような方法でコーティングした後は、被覆膜の硬化処理及び乾燥処理を行う。この処理において、加熱あるいは加熱及び加湿を行うことで、速やかに硬化・乾燥を完了することができる。被覆膜の厚みは2μm以下程度、好ましくは0.1〜1μmとする。
【0035】
次に、本実施形態に用いる現像剤のトナーについて説明する。
本実施形態におけるトナーとしては、公知の方法を用いて作製したものを広く用いることができる。具体的には、例えば、結着樹脂、着色剤及び極性制御剤よりなる混合物を、熱ロールミルで溶融混練した後、冷却固化せしめ、これを粉砕分級して得られたものを使用することができる。また、必要に応じて任意の添加物を含ませてもよい。本実施形態では、重量平均粒径が6[μm]以上10[μm]以下の範囲にあるトナーを使用する。このトナーの重量平均粒径は、種々の方法によって測定でき、例えばコールターカウンターを使用して測定することができる。このコールターカウンターとしては、例えばコールターカウンターII型(コールター社製)を利用することができる。そして、このようなコールターカウンターにより得られた測定結果に基づいて、例えば個数分布、体積分布といった特性について解析することにより、トナーの重量平均粒径を求めることができる。コールターカウンターによる測定で使用する電解液としては、1級塩化ナトリウムを使用して調節した1[%]塩化ナトリウム水溶液を用いることができる。
【0036】
トナーの結着樹脂としては、従来からトナー用結着樹脂として使用されてきたものの全てを用いることができる。具体的には、ポリスチレン、ポリクロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン/p−クロロスチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、スチレン/ビニルナフタリン共重合体、スチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリル酸エチル共重合体、スチレン/アクリル酸ブチル共重合体、スチレン/アクリル酸オクチル共重合体、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/メタクリル酸エチル共重合体、スチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン/α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン/ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン/ビニルメチルケトン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、スチレン/アクリロニトリル/インデン共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルブチルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、これらは、単独であるいは2種以上混合して使用される。
【0037】
また、トナーの着色剤としては、トナー用として公知のものがすべて使用できる。黒色の着色剤としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック等が使用できる。シアンの着色剤としては、例えば、フタロシアニンブルー、メチルレンブルー、ビクトリアブルー、メチルバイオレット、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー等が使用できる。マゼンタの着色剤としては、例えば、ローダミン6Gレーキ、ジメチルキナクリドン、ウォッチングレッド、ローズベンガル、ローダミンB、アリザリンレーキ等が使用できる。イエローの着色剤としては、例えば、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、ハンザイエロー、ナフトールイエロー、モリブデンオレンジ、キノリンイエロー、タートラジン等が使用できる。
【0038】
また、トナーをより効率的に帯電させるために、少量の帯電付与剤、例えば染顔料、極性制御剤を含有させることもできる。極性制御剤としては、例えば、モノアゾ染料の金属錯塩、ニトロフミン酸及びその塩、サリチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸のCo、Cr又はFe等の金属錯体、有機染料、四級アンモニウム塩等が使用できる。
【0039】
また、その他の添加剤としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等が一般的なものとして挙げられるが、特に限定するものではない。本実施形態では、添加剤として、シリコーンオイル処理剤にて処理した微粒子を用いている。この微粒子としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等が挙げられる。
シリカ微粒子のシリコーンオイル処理剤の具体例としては、分子中に反応性基を有する変性シリコーンオイル、ハイドロジェンシリコーンオイル又はフッ素含有シリコーンオイルの1種以上を用いることが好ましいが、分子中にこのような活性な基を有しない未変性シリコーンオイルを用いることも可能である。分子中に反応基を有する変性シリコーンオイルとしては、分子中にヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、エーテル基およびメルカプト基からなる群から選ばれる基を1種以上含む変性シリコーンオイルの1種以上が好ましい。また、このシリコーンオイルの粘度は、室温で5[cp]以上15000[cp]以下であるものが好ましい。添加剤としてシリコーンオイル処理剤にて処理したシリカ微粒子を用いれば、シリカ微粒子による感光体ドラム1の摩耗を低減することができる。
【0040】
ここで、本実施形態のように小粒径のトナーを用いる場合、摺擦による過剰帯電を生じやすくなるので、連続でプリントした場合での帯電量が上昇を抑止し、カウンターチャージよる非画像部へのトナー付着が生じやすい。そこで、本実施形態では、トナーの帯電量を制御する目的で、トナーの流動性を高めることができる酸化チタン微粒子を含有させている。この酸化チタンの添加量は、BET法による窒素吸着により計測したトナーの全表面積に対する酸化チタンの比表面積が、30[m2/g]以上、特に50[m2/g]以上400[m2/g]以下の範囲内となるように設定するのが望ましい。しかし、酸化チタン微粒子をシリカ微粒子よりも多量に添加すると、トナー帯電量が不足する結果を招くことになる。よって、シリカ微粒子に対する酸化チタン微粒子の添加比率は、0.6以下となるように設定するのが望ましい。このような微粉末の総添加量は、トナーに対しても0.5[重量%]以上2[重量%]以下とするのが好適である。
【0041】
以下、上述した実施形態で説明したレーザプリンタを用いて行った2つの実験例について説明する。
まず、以下の実験例で用いるトナーT及びキャリアC1〜6の処方及び製法について説明する。
【0042】
(トナーTの作製)
下記の表1に示す各材料の混合物を、ヘンシェルミキサー中で十分攪拌混合した。その後、80[℃]の温度下でロールミルにより約30分間加熱溶融し、室温まで冷却した。これにより得られた混練物をジェットミルで粉砕分級し、6.5[μm]の粒径で4[μm]以下の微粒子の量が60[%]以下である分級トナーを生成した。そして、100部の分級トナーに対して、1.0部のシリカ微粒子及び0.4部のチタニア微粒子を添加し、1500[rpm]で回転するヘンシェルミキサーにより混合することで、トナーTを得た。このトナーTの重量平均粒径は6.7[μm]であった。
【表1】
【0043】
(キャリアC1の作製)
下記の表2に示す処方を、ホモミキサーで20分分散して被覆層形成液を調製した。そして、この被覆層形成液を流動床型塗布装置により0.4[MPa]のスプレーエアー圧で1000部のフェライトの表面に塗布して、フェライト表面に被覆層を形成した。その後、300[℃]の温度下の電気炉にて2時間焼成し、キャリアC1を作製した。このフェライトとしては、平均粒径が55[μm]であり、飽和磁化値が40×10−7×4π[Wb・m/kg]、電流値が22[μA]、流動度が25[秒/50g]のものを使用した。ここでいう電流値とは、磁気ブラシが感光体ドラム1に接触したときに導通する電流値を示している。以下の電流値についても同様である。このキャリアC1の静抵抗値は16.2[logΩ]で、その流動度は29[秒/50g]であり、その飽和磁化値は40×10−7×4π[Wb・m/kg]であった。尚、このキャリアC1は、従来用いられていたものである。
【表2】
【0044】
(キャリアC2の作製)
下記の表3に示す処方を、ホモミキサーで20分分散して被覆層形成液を調製した。そして、この被覆層形成液を流動床型塗布装置により0.4[MPa]のスプレーエアー圧で1000部のフェライトの表面に塗布して、フェライト表面に被覆層を形成した。その後、300[℃]の温度下の電気炉にて2時間焼成し、キャリアC2を作製した。このフェライトとしては、平均粒径が55[μm]であり、飽和磁化値が80×10−7×4π[Wb・m/kg]のものを使用した。このキャリアC2の平均粒径は55[μm]であり、その飽和磁化値は80×10−7×4π[Wb・m/kg]であった。
【表3】
【0045】
(キャリアC3の作製)
上記表3に示す処方を、ホモミキサーで20分分散して被覆層形成液を調製した。そして、この被覆層形成液を流動床型塗布装置により0.4[MPa]のスプレーエアー圧で1000部のフェライトの表面に塗布して、フェライト表面に被覆層を形成した。その後、300[℃]の温度下の電気炉にて2時間焼成し、キャリアC3を作製した。このフェライトとしては、平均粒径が55[μm]であり、飽和磁化値が110×10−7×4π[Wb・m/kg]のものを使用した。このキャリアC3の平均粒径は55[μm]であり、その飽和磁化値は110×10−7×4π[Wb・m/kg]であった。
【0046】
(キャリアC4の作製)
下記の表4に示す処方を、ホモミキサーで20分分散して被覆層形成液を調製した。そして、この被覆層形成液を流動床型塗布装置により0.4[MPa]のスプレーエアー圧で1000部のフェライトの表面に塗布して、フェライト表面に被覆層を形成した。その後、300[℃]の温度下の電気炉にて2時間焼成し、キャリアC4を作製した。このフェライトとしては、平均粒径が55[μm]、飽和磁化値が90×10−7×4π[Wb・m/kg]、電流値が30[μA]、流動度が25[秒/50g]のものを使用した。このキャリアC4の静抵抗値は13.8[logΩ]で、その流動度は25[秒/50g]であり、その飽和磁化値は90×10−7×4π[Wb・m/kg]であった。
【表4】
【0047】
(キャリアC5の作製)
上記表3に示す処方を、ホモミキサーで20分分散して被覆層形成液を調製した。そして、この被覆層形成液を流動床型塗布装置により0.1[MPa]のスプレーエアー圧で1000部のフェライトの表面に塗布して、フェライト表面に被覆層を形成した。その後、300[℃]の温度下の電気炉にて2時間焼成し、キャリアC5を作製した。このフェライトとしては、平均粒径が55[μm]、飽和磁化値が90×10−7×4π[Wb・m/kg]、電流値が30[μA]、流動度が15[秒/50g]のものを使用した。このキャリアC5の静抵抗値は13.8[logΩ]で、その流動度は20[秒/50g]であり、その飽和磁化値は90×10−7×4π[Wb・m/kg]であった。
【0048】
(キャリアC6の作製)
上記表3に示す処方を、ホモミキサーで20分分散して被覆層形成液を調製した。そして、この被覆層形成液を流動床型塗布装置により0.6[MPa]のスプレーエアー圧で1000部のフェライトの表面に塗布して、フェライト表面に被覆層を形成した。その後、300[℃]の温度下の電気炉にて2時間焼成し、キャリアC6を作製した。このフェライトとしては、平均粒径が55[μm]、飽和磁化値が90×10−7×4π[Wb・m/kg]、電流値が30[μA]、流動度が22[秒/50g]のものを使用した。このキャリアC6の静抵抗値は13.8[logΩ]で、その流動度は30[秒/50g]であり、その飽和磁化値は90×10−7×4π[Wb・m/kg]であった。
【0049】
(測定方法)
次に、上述したトナー及びキャリアの特性を測定するために使用した方法について説明する。
キャリアの飽和磁化値については、測定装置として、BHU−60型磁化測定装置(理研測定製)を用いた。そして、秤量した約1.0[g]のキャリアを内径7mmφで高さ10[mm]のセルに詰め、上記測定装置にセットし、印加磁場を徐々に高めて最大3000×103/4π[A/m]まで上昇させ、次いで印加磁場を減少させた。これにより得られるヒステリシスカーブを最終的に記録紙上に記録し、その記録結果に基づいて飽和磁化値を求めたものを、キャリアの飽和磁化値とした。
キャリアの平均粒径については、測定装置としてマイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社:LEEDS&NORTHRUP製Type7995)のSRAタイプを用いた。この測定は、0.7[μm]以上125[μm]以下のレンジ設定で行った。
また、キャリアや現像剤の流動度は、50gのキャリア又は現像剤が細孔から落下するのに要する時間である。その測定は、JIS−Z2504に基づき、試料を温度が23[℃]±3[℃]、湿度が60[%]±10[%]の環境下に2時間放置後に行った。
また、キャリアの静抵抗値は、図6に示す静抵抗測定装置を用いて測定を行った。この静抵抗測定装置は、セル60と、このセル60に接続される2つの電極61,62と、これらの電極61,62の間に電圧を印加する電源63と、これらの電極61,62の間に流れる電流を測定する電流計64と、これらの電極61,62の間に生じる電圧を測定するための電圧計65とから構成されている。この静抵抗測定装置を用いて測定を行う場合、セル60にキャリア又は現像剤Bを充填した後、電源63から電圧を印加したときに電流計64で計測される電流値から、キャリア又は現像剤Bの静抵抗値を求めた。本測定において、セル60に充填されたキャリア又は現像剤Bに接触する電極61,62の面積は約4.0[cm2]であった。また、2つの電極61,62の間隔すなわちキャリア又は現像剤Bの電流方向の厚さdは約2[mm]であった。また、上部電極62の重量は275[g]であった。そして、電源63から印加される電圧は500Vとした。尚、本測定においては、キャリア又は現像剤Bが粉体であるので、セル60の充填率が変化しやすく、充填率の変化により静抵抗値が変化することがあるので注意を要する。
トナーの重量平均粒径は、コールターカウンターII型(コールター社製)を使用し、その測定結果に基づいて、例えば個数分布、体積分布といった特性について解析することにより、トナーの重量平均粒径を求めた。この測定で使用する電解液としては、1級塩化ナトリウムを使用して調節した1[%]塩化ナトリウム水溶液を用いた。
【0050】
〔実験例1〕
凝集したトナーが磁気ブラシによって感光体ドラム1に摺擦させるときに崩れて飛散すると画像上にトナー汚れとして表れる。このトナー汚れを抑制するには、従来0.5[mm]程度であったドクターギャップを狭め、凝集したトナーを事前に崩すのがよい。しかし、ドクターギャップを狭めると、現像領域への現像剤供給量が減り、画像濃度が低下するため、凝集したトナーによるトナー汚れが防げても画像濃度が低下してしまう。よって、本実験例では、画像濃度を維持しつつも、トナーの凝集体によるトナー汚れを抑制できるドクターギャップ及びキャリアの飽和磁化値の適正値を求める実験を行う。
【0051】
本実験例1では、トナーT及びキャリアC1〜C3をそれぞれ混合してトナー濃度が5[wt%]の3つの現像剤を作製した。本実験例では、各現像剤につき、それぞれ、ドクタギャップが0.2[mm]、0.3[mm]、0.4[mm]である3パターンについて実験を行った。なお、本実験例で使用する現像装置2は、主磁極P1bの法線方向磁束密度の最高値は120[mT]で、その法線方向磁束密度の減衰率は53.5[%]である。また、主磁極P1bの半値角度幅は16[°]である。そして、この現像装置2に各現像剤を入れ、上述した実施形態に係るレーザプリンタにより、A4版(横)の用紙に画像面積率が40[%]である画像を100枚プリントした。
本実験では、プリントした画像を観察し、各100枚中にトナー汚れが認められた枚数、及び、各100枚の画像の平均画像濃度について測定した。なお、本実施形態では、トナーが凝集したまま用紙に付着したために生じる黒ポチをトナー汚れとして評価している。本実験例における実験結果は、下記の表5に示すとおりである。
【0052】
【表5】
【0053】
まず、各キャリアごとに、ドクタギャップの変化と現像領域への現像剤供給量との関係について見ると、上記表5に示すように、ドクタギャップが狭くなるほど現像剤供給量が減っていく関係にある。また、各キャリアごとに、ドクタギャップの変化と画像濃度との関係について見ると、上記表5に示すように、ドクタギャップが狭くなるほど画像濃度が減っていく関係にある。法線方向磁束密度の減衰率が40[%]以上であるという条件下では、1.3以上という所望の画像濃度を得るには少なくとも現像剤供給量が65[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下である必要があることは本発明者らの研究によって判明している。そして、本実験でも、上記表5に示すように、キャリアの飽和磁化値が40×10−7×4π[Wb・m/kg]の場合、ドクタギャップが0.2[mm]又は0.3[mm]のときには所望の画像濃度を得られないという結果を得た。
一方、各キャリアごとに、ドクタギャップの変化とトナー汚れ枚数との関係について見ると、上記表5に示すように、ドクタギャップが広くなるほどトナー汚れ枚数が増える関係にある。そして、本実験の結果、上記表5に示すように、キャリアの飽和磁化値が40×10−7×4π[Wb・m/kg]の場合、ドクタギャップが0.4[mm]のときは、トナー汚れ枚数が100枚中79枚であり、実用的な範囲を超えるものとなった。また、ドクタギャップが0.3[mm]のときも、トナー汚れ枚数が100枚中37枚であり、実用的な範囲をを超えるものとなった。
【0054】
以下、上記実験結果について考察する。
同じ磁気特性を有する現像装置2であっても、キャリアの飽和磁化値によって、現像スリーブ4上に現像剤を拘束するための拘束力が異なってくる。現像スリーブ4上における現像剤の拘束力が大きければ、現像剤は堅く締まった状態で現像スリーブ4上に担持される。そのため、現像剤はドクターギャップを通過にくい状態となりその手前で滞留することになるが、現像スリーブ4の表面移動によってドクターギャップに次々と搬送されてくる現像剤がその滞留した現像剤をドクターギャップに押し込む効果が得られる。したがって、ドクターギャップを簡単に通過できてしまう状態の現像剤に比べて、現像領域への現像剤供給量が多くなる。その結果、キャリアの飽和磁化値によってドクターギャップを通過できる現像剤の量が変化し、現像領域への現像剤供給量が変動し、画像濃度に影響が出るものと考えられる。
以上より、キャリアの飽和磁化値が40×10−7×4π[Wb・m/kg]を下回る場合、現像スリーブ4上における現像剤の拘束力が小さいため、ドクタギャップが狭い上に上述の押し込み効果があまり得られない。したがって、ドクターギャップを通過できる現像剤の量が少なく、画像濃度が低いものとなったと考えられる。なお、キャリアの飽和磁化値が110×10−7×4π[Wb・m/kg]を越える場合、現像領域に現像剤を適正に供給することができなかった。これは、現像スリーブ4上における現像剤の拘束力が大きすぎて、ドクタギャップの手前で滞留した現像剤がドクターギャップを通過できなかったことが原因であると考えられる。
【0055】
また、本実験例によって、ドクターギャップが狭くするほどトナー汚れ枚数を減らすことができることが確認された。これは、ドクターギャップが狭くすることで、現像剤がドクターギャップを通過する際、凝集したトナーに加わるキャリアの圧力が増した結果、トナーの凝集を崩すことができたことが原因であると考えられる。
【0056】
以上、本実験例から、ドクタギャップを0.2[mm]以上0.4[mm]以下という狭いものとし、かつ、キャリアの飽和磁化値が少なくとも80×10−7×4π[Wb・m/kg]以上110×10−7×4π[Wb・m/kg]以下の範囲であれば、凝集トナーによるトナー汚れの枚数を十分に減らすことができるとともに、高い画像濃度を維持することができる。
【0057】
〔実験例2〕
実験例2では、上記トナーT及びキャリアC4〜C6をそれぞれ混合してトナー濃度が5[wt%]の3つの現像剤を作製した。本実験例では、各現像剤について、上記実験例1と同じ現像装置を備えたレーザプリンタを用い、上記実験例1と同様にして画像を100枚プリントし、キャリアの流動性及び現像剤の流動性と、トナー汚れ枚数との関係について確認する。本実験例2における実験結果は、下記の表6に示すとおりである。
【0058】
【表6】
【0059】
キャリアの流動度と現像剤の流動度は比例関係にある。また、上述した測定方法から流動度が低いほど流動性は高くなる。上記表6に示すように、キャリアの流動度又は現像剤の流動度が高いほど、すなわち、その流動性が低いほど、現像領域への現像剤供給量は高くなった。また、キャリアの流動度又は現像剤の流動度が高くて流動性が低いほど、トナー汚れ枚数は減る結果となった。
【0060】
以下、上記実験結果について考察する。
キャリアの流動度又は現像剤の流動度が低くすぎてその流動性が高すぎると、現像剤は比較的柔らかい状態で現像スリーブ4上に担持される。そのため、現像剤はドクターギャップを簡単に通過しやすく、ドクターギャップに現像剤を押し込むという上述した効果を得にくい。その結果、現像領域への現像剤供給量が少なくなったものと考えられる。
また、このように流動性が高すぎると、現像剤中のトナーがドクターギャップ等においてあまり摺擦されず、帯電量が不足する。その結果、トナー汚れ枚数が増えたものと考えられる。
【0061】
一方、キャリアの流動度又は現像剤の流動度が高く、その流動性が低ければ、現像剤は堅く締まった状態で現像スリーブ4上に担持される。そのため、現像剤をドクターギャップに押し込むという上述した効果が得られる。その結果、現像領域への現像剤供給量が多くなったものと考えられる。
また、キャリアの流動度又は現像剤の流動度が高く、その流動性が低ければ、現像剤が堅く締まった状態になるため、現像剤中のキャリアによるトナーへの圧力が高まり、凝集したトナーを崩しやすくなる。その結果、トナー汚れ枚数を減らすことができるものと考えられる。
しかし、流動性が低すぎると、ドクタギャップの手前で滞留した現像剤がドクターギャップを通過できなくなり、現像領域に現像剤を適切に供給することができなくなる。よって、キャリアの流動度でいえば20[秒/50g]以上30[秒/50g]以下、現像剤の流動度でいえば30[秒/50g]以上45[秒/50g]以下であるのが好ましい。
【0062】
以上、本実施形態によれば、現像剤規制部材であるドクタブレード6と現像剤担持体である現像スリーブ4の表面との間の最小間隔(ドクタギャップ)を0.2[mm]以上0.4[mm]以下に設定している。このようにドクタギャップを狭いものとすることで、上記実験例1で説明したように、これを通過する現像剤中のトナーの凝集を崩し、現像領域にトナー凝集のない現像剤を供給することができる。よって、凝集したトナーによる黒ポチ等が画像内に表れることがなく、高品質の画像を得ることができる。しかも、本実施形態では、主磁極P1bにより現像領域の現像スリーブ4の表面外側に生じる磁束の現像スリーブ表面法線方向における磁束密度の減衰率を40[%]以上とすべく、その主磁極P1bと隣り合うように主磁極P1bの現像スリーブ表面移動方向下流側に配置される下流側補助磁極P1cを設けている。そして、現像スリーブ4に担持されて現像領域に搬送される現像剤の量(現像剤供給量)を65[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下の範囲内に設定している。よって、磁気ブラシの長さが短く、かつ、潜像担持体に接触するブラシ部分の密度が高くできて、細線再現性の向上や後端白抜け現象の抑制を図ることができる。
また、本実施形態においては、主磁極P1bにより現像スリーブ4の表面上に生じるその表面の法線方向における最高磁束密度の半分の磁束密度となるその表面上の半値点を、現像領域における現像スリーブ4の表面の曲率中心軸から見たときの現像スリーブ表面移動方向における半値点間の角度幅が25[°]以下に設定されている。これにより、減衰率を40[%]以上とするのと同様の効果が得られる。
また、本実施形態においては、現像剤中の磁性粒子であるキャリアの飽和磁化値を、80×10−7×4π[Wb・m/kg]以上110×10−7×4π[Wb・m/kg]以下としている。これにより、上記実験例1で説明したように、ドクタギャップが0.2[mm]以上0.4[mm]以下という狭いものであっても、現像領域への現像剤供給量を65[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下の範囲内に収めることができ、高い画像濃度を維持できる。
また、本実施形態においては、現像剤の流動度が30[秒/50g]以上45[秒/50g]以下に設定されている。これにより、上記実験例2で説明したように、0.2[mm]以上0.4[mm]以下という狭いドクタギャップであっても、現像領域への現像剤供給量を十分に確保でき、より画像濃度を高めることができる。
また、本実施形態においては、キャリアの流動度が20[秒/50g]以上30[秒/50g]以下に設定されている。現像剤の流動度はトナーよりもはるかに体積が大きいキャリアの流動度でほぼ決まる。よって、キャリアの流動度がこの範囲であれば、現像剤の流動度を30[秒/50g]以上45[秒/50g]以下にすることができる。よって、上述のように、ドクタギャップが狭くても、現像領域への現像剤供給量を十分に確保でき、より画像濃度を高めることができる。
また、本実施形態は、上述した現像装置2を用いた画像形成装置としてのレーザプリンタである。よって、磁気ブラシの長さが短く、かつ、潜像担持体に接触するブラシ部分の密度が高くできるので、細線再現性の向上や後端白抜け現象の抑制を図ることができる。しかも、凝集トナーによる画質低下を抑制することもできる。したがって、高い品質の画像を形成することができる。
【0063】
【発明の効果】
請求項1乃至6の発明によれば、現像剤中に存在する凝集したトナーを、現像領域に供給される前に崩すことができるので、その凝集したトナーによって画像が乱されることなく高画質を維持できるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るプリンタの現像装置の概略構成図。
【図2】同プリンタ全体の概略構成図。
【図3】同プリンタの磁石ローラの各磁極により現像スリーブ表面に発生する法線方向磁束密度の分布を示す円グラフ。
【図4】同磁気ローラの現像磁極を構成する3つの磁極の配置を示す説明図。
【図5】(a)は、3つの磁極で現像磁極を構成した場合の半値角度幅を示す説明図。
(b)は、1つの磁極で現像磁極を構成した場合の半値角度幅を示す説明図。
【図6】キャリアの静抵抗値を測定するための測定装置の概略構成図。
【図7】(a)は、現像磁極が1つの磁極からなる従来の現像装置における現像領域近傍の磁力分布を示す説明図。
(b)は、同現像装置において、現像磁極により形成される磁界から磁力を受けて穂立ちした現像剤からなる磁気ブラシを現像スリーブ軸方向から見たときの形状を示す説明図。
【図8】(a)は、現像磁極が1つの主磁極と2つの補助磁極からなる現像装置における現像領域近傍の磁力分布を示す説明図。
(b)は、同現像装置において、現像磁極により形成される磁界から磁力を受けて穂立ちした現像剤からなる磁気ブラシを現像スリーブ軸方向から見たときの形状を示す説明図。
【符号の説明】
1 感光体ドラム
2 現像装置
3 現像ローラ
4 現像スリーブ
5 磁気ローラ
6 ドクタブレード
7 現像ケーシング
8 スクリュー
9 マイラー部材
50 帯電ローラ
51 光書込ユニット
52 転写紙
53 転写ベルト
P1b 主磁極
P1a,P1c 補助磁極
Claims (6)
- トナーと磁性粒子を含む現像剤を表面に担持して表面移動する現像剤担持体の表面移動方向における表面の一部が装置ケーシングから露出しており、静電潜像を表面に担持して表面移動する潜像担持体の表面と、露出した現像剤担持体の表面とが対向する現像領域で、該現像領域に対向するように配置した現像磁極により該現像剤担持体上の現像剤を穂立ちさせて該現像剤担持体上に磁気ブラシを形成し、該現像剤担持体を該現像領域で該潜像担持体の表面移動方向と同方向かつ該潜像担持体表面の線速よりも大きい線速で表面移動させて、該磁気ブラシにより該潜像担持体の表面を摺擦し、該潜像担持体上の潜像を現像する現像装置において、
上記現像剤担持体に担持されて現像剤規制部材によって規制された後に現像領域に搬送される現像剤の量が65[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下であり、
上記現像磁極により上記現像領域の現像剤担持体表面外側に生じる磁束の該現像剤担持体表面法線方向における磁束密度の減衰率が40[%]以上であり、
上記現像剤規制部材と上記現像剤担持体の表面との間の最小間隔が0.2[mm]以上0.4[mm]以下であることを特徴とする現像装置。 - トナーと磁性粒子を含む現像剤を表面に担持して表面移動する現像剤担持体の表面移動方向における表面の一部が装置ケーシングから露出しており、静電潜像を表面に担持して表面移動する潜像担持体の表面と、露出した現像剤担持体の表面とが対向する現像領域で、該現像領域に対向するように配置した現像磁極により該現像剤担持体上の現像剤を穂立ちさせて該現像剤担持体上に磁気ブラシを形成し、該現像剤担持体を該現像領域で該潜像担持体の表面移動方向と同方向かつ該潜像担持体表面の線速よりも大きい線速で表面移動させて、該磁気ブラシにより該潜像担持体の表面を摺擦し、該潜像担持体上の潜像を現像する現像装置において、
上記現像剤担持体に担持されて現像剤規制部材によって規制された後に現像領域に搬送される現像剤の量が65[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下であり、
上記現像磁極により上記現像剤担持体表面上に生じる該現像剤担持体表面の法線方向における最高磁束密度の半分の磁束密度となる該現像剤担持体表面上の半値点を、上記現像領域における該現像剤担持体表面の曲率中心軸から見たときの該現像剤担持体の表面移動方向における半値点間の角度幅が25[°]以下であり、
上記現像剤規制部材と上記現像剤担持体の表面との間の最小間隔が0.2[mm]以上0.4[mm]以下であることを特徴とする現像装置。 - 請求項1又は2の現像装置において、
上記磁性粒子の飽和磁化値が、80×10−7×4π[Wb・m/kg]以上110×10−7×4π[Wb・m/kg]以下であることを特徴とする現像装置。 - 請求項1、2又は3の現像装置において、
上記現像剤の流動度が、30[秒/50g]以上45[秒/50g]以下であることを特徴とする現像装置。 - 請求項4の現像装置において、
上記磁性粒子の流動度が、20[秒/50g]以上30[秒/50g]以下であることを特徴とする現像装置。 - 潜像担持体と、
上記潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、
上記潜像担持体上の潜像を、トナーと磁性粒子を含む現像剤により現像する現像手段と、
上記潜像担持体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、
上記現像手段として、請求項1、2、3、4又は5の現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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