JP2003223052A - 現像装置及び画像形成装置 - Google Patents

現像装置及び画像形成装置

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JP2003223052A
JP2003223052A JP2002023399A JP2002023399A JP2003223052A JP 2003223052 A JP2003223052 A JP 2003223052A JP 2002023399 A JP2002023399 A JP 2002023399A JP 2002023399 A JP2002023399 A JP 2002023399A JP 2003223052 A JP2003223052 A JP 2003223052A
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Yuji Suzuki
裕次 鈴木
Naoto Shimoda
直人 霜田
Hiyo Shu
冰 朱
Hiroharu Suzuki
弘治 鈴木
Akihiro Ito
昭宏 伊藤
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像形成速度が速い画像形成装置(中速機)
において、細線再現性の向上や後端白抜け現象の抑制を
図りつつ、潜像担持体へのキャリア付着を抑制し、高い
画像濃度を得ることである。 【解決手段】 現像スリーブ4と感光体ドラム1とが対
向する現像領域で、その現像領域に対向するように配置
したN極の主磁極及び2つのS極の補助磁極により現像
スリーブ上の現像剤を穂立ちさせて磁気ブラシを形成
し、その磁気ブラシで感光体ドラム上の静電潜像を摺擦
して現像を行う。この現像装置では、磁気ブラシの長さ
が短く、かつ、潜像担持体に接触する磁気ブラシの先端
部分の密度が高くできるので、後端白抜け現象等の抑制
できるが、高い画像濃度を維持するために感光体ドラム
線速に対して現像スリーブ線速を速める必要がある。そ
のため、感光体ドラムへのキャリア付着が生じやすい
が、飽和磁化値が所定範囲内のキャリアを用いること
で、キャリア付着を抑制できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、プリン
タ、FAXなどの画像形成装置に用いる現像装置及びこ
の現像装置を備えた画像形成装置に係るものである。詳
しくは、潜像担持体と現像剤担持体とが対向する現像領
域で現像剤担持体表面に現像剤を穂立ちさせて潜像担持
体上の潜像を現像する現像装置及び画像形成装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、電子写真式や静電記録式等の画
像形成装置においては、感光体ドラムや感光体ベルト等
の潜像担持体上に画像情報に対応した静電潜像を形成
し、その静電潜像に対して現像装置による現像を行うこ
とにより可視像を得る。近年では、このような現像を行
うにあたり、転写性、ハーフトーンの再現性、温度及び
湿度に対する現像特性の安定性などの観点から、トナー
とキャリアとからなる二成分現像剤(以下、単に「現像
剤」という。)を用いた二成分現像方式を利用するのが
主流になっている。この二成分現像方式を利用する現像
装置では、現像剤を現像剤担持体上にブラシ状に穂立ち
させて保持しつつ、現像剤担持体と潜像担持体とが対向
する現像領域に搬送する。そして、その現像領域におい
て、そのブラシ状の現像剤を潜像担持体表面に摺擦さ
せ、現像剤中のトナーを潜像担持体上の静電潜像部分に
供給して静電潜像を現像する所謂ブラシ式現像を行う。
【0003】このようなブラシ式現像を行う現像装置に
おける現像剤担持体は、通常、円筒状に形成された現像
スリーブと、現像スリーブ内部に配置される複数の磁極
を備えた磁石ローラとから構成されている。この磁石ロ
ーラは、現像スリーブ表面に現像剤を穂立ちさせる磁界
を形成するためのものである。この磁石ローラに対して
現像スリーブが相対移動することで、現像スリーブ表面
に穂立した現像剤が搬送される。現像領域において、現
像スリーブ上の現像剤は、磁石ローラがもつ現像磁極か
ら発せられる磁力線に沿って穂立ちする。穂立ちしてブ
ラシ状となった現像剤は、現像スリーブの表面移動に伴
って撓むようにして潜像担持体表面に接触し、静電潜像
にトナーを供給する。
【0004】このような現像装置においては、現像領域
において潜像担持体と現像スリーブとの距離を近接させ
るほど、高い画像濃度を得やすく、またエッジ効果も少
ないことが知られている。このため、潜像担持体と現像
スリーブとの距離を近接させることが望ましい。しか
し、この距離を近接させると、黒ベタ画像やハーフトー
ンのベタ画像の後端部が白く抜ける、いわゆる「後端白
抜け」と呼ばれる現象が発生したり、細線再現性が悪化
したりして、画質が劣化するという不具合が生じる。
【0005】現像領域における現像スリーブの表面移動
方向は、潜像担持体に連れ回る方向であり、その線速は
潜像担持体の線速よりも速く設定されている。よつて、
磁気ブラシは潜像担持体上の静電潜像を追い越しながら
摺擦するように静電潜像に対して相対移動する。すなわ
ち、潜像担持体表面は、現像領域を通過する間に複数の
磁気ブラシに順次追い越されるように摺擦される。画像
後端位置に対応する潜像担持体上の静電潜像部分(潜像
後端部分)に着目すると、この潜像後端部分を順次摺擦
する複数の磁気ブラシは、次のようにトナー供給能力が
順次小さいものになる。すなわち、潜像担持体表面の移
動で現像領域に進入した後に潜像後端部分を摺擦する磁
気ブラシは、潜像担持体上で潜像担持体表面移動方向上
流側に位置する非潜像部分に対向してきたものである。
このような磁気ブラシの先端部分では、上記非潜像部分
に対向していた期間に、キャリア表面に付着していたト
ナーが非潜像部分から受ける静電力で現像スリーブ側に
移動するトナードリフトが生じている。このトナードリ
フトは、上記非潜像部分に対向する期間が長いほど進行
する。よつて、現像領域の潜像担持体移動方向下流側で
潜像後端部分を摺擦する磁気ブラシほど、上記非潜像部
分に対向してきた期間が長くてトナードリフトが進行し
先端部のキャリア面トナーが少なく、トナー供給能力が
小さいものになる。そして、潜像後端部分が現像領域を
脱出するとき、この潜像後端部を摺擦する磁気ブラシ
は、先端部のキャリア面にトナーがほとんど存在しない
状態になる。このような程度までトナードリフトが進行
した磁気ブラシは、トナーが付着していない磁気ブラシ
の先端部のキャリア面に、潜像後端部分に付着している
トナーを静電的に引きつけるものとなる。この結果、潜
像後端部分については、現像領域中で磁気ブラシにより
一旦トナーが供給されても、このトナーが現像領域を脱
出するまでに、キャリア面にトナーがほとんどなくなっ
た他の磁気ブラシの先端部分に移ってしまう。これによ
り、後端白抜けや細線再現性の低下が生じるものと考え
られる。
【0006】本出願人は、後端白抜けや細線再現性の低
下を抑制するために、特開2000―305360号公
報、特開2000―347506号公報、特開2001
−5296号公報等において、上述の現像装置に関する
画質の改善を図ることができる発明を提案している。こ
れらの公報で提案した発明では、現像領域における法線
方向磁束密度の減衰率や、現像領域で現像剤を穂立ちさ
せるための主磁極と隣り合う磁極との角度間隔、主磁極
の半値中央角などを所定値に規定している。具体的な構
成としては、上述した現像磁極を、N極からなる1つの
主磁極と、この主磁極の現像スリーブの表面移動方向上
流側及び下流側に近接するように配置されるS極からな
る2つの補助磁極とから構成する。更に、本出願人は、
現像ニップ及び磁気ブラシ密度の設定(特開2001−
27849号公報参照)や主磁極の半値角度幅(半値中
央角ともいう)の設定(特開2001−134100号
公報)等をして、画質改善を実現する発明も提案してい
る。これらの発明によれば、現像効率を向上させ、後端
白抜け現象及び細線再現性の改善を図ることができるこ
とが確認されている。
【0007】上記公報のうち特開2000―30536
0号公報、特開2000―347506号公報、及び特
開2001−5296号公報等の装置により、現像効率
を向上させ、後端白抜け現象及び細線再現性を改善でき
るのは、以下の理由によるものと考えられる。図7
(a)は、現像磁極が1つの磁極P1からなる従来の現
像装置における現像領域近傍の磁力分布を示す説明図で
ある。また、図7(b)は、その現像磁極P1により形
成される磁界から磁力を受けて穂立ちした現像剤からな
る磁気ブラシを現像スリーブ4の軸方向から見たときの
形状を示す説明図である。図8(a)は、現像磁極が1
つの主磁極P1bと2つの補助磁極P1a,P1cから
なる現像装置における現像領域近傍の磁力分布を示す説
明図である。また、図8(b)は、これらの磁極P1
a,P1b,P1cにより形成される磁界から磁力を受
けて穂立ちした現像剤からなる磁気ブラシを現像スリー
ブ4の軸方向から見たときの形状を示す説明図である。
【0008】従来の現像装置では、N極の現像磁極に隣
り合うS極の磁極としては、現像領域に対して現像スリ
ーブ4の表面移動方向下流側に位置する領域で現像剤を
搬送するための磁界を形成する磁極P2がある。また、
現像スリーブ4上に汲み上げられた現像剤を現像領域ま
で搬送するための磁界を形成する磁極P6も存在する。
これらの磁極P2,P6は、現像磁極P1から比較的離
れた位置に配置されるので、現像領域における磁界の磁
力分布は、図7(a)に示すように、現像磁極P1から
出る磁力線が現像スリーブ表面から比較的離れた位置を
通るようになる。そして、現像スリーブ4上に担持され
て現像領域まで搬送されてきた現像剤は、図7(b)に
示すように、その磁力線に沿って穂立ちし、磁気ブラシ
を形成する。
【0009】一方、上記公報の現像装置では、N極の主
磁極P1bに隣り合うS極の磁極として、2つの補助磁
極P1a,P1cがある。主磁極P1bとこれらの補助
磁極P1a,P1cとの距離は、図7(a)及び(b)
に示した従来の現像装置における上記現像磁極とこれに
隣り合う両磁極P2,P6との距離より小さい。このた
め、図8(a)に示すように、現像領域における磁界の
磁力分布は、図7(a)に示す従来の現像装置の現像主
極から出る磁極に比べ、主磁極P1bから出る磁力線が
現像スリーブ表面に近い位置を通る。また、主磁極P1
bから出る磁力線のより多くが、隣り合う磁極としての
2つの補助磁極P1a,P1cに向かう。これらの結
果、磁気ブラシの形成に関与する現像スリーブ表面の法
線方向に近い方向に向かう磁力線(以下、「穂立ち用磁
力線」という。)の本数が、同じ本数の磁力線が生じる
従来の現像装置に比べて少なくなる。その穂立ち用磁力
線が存在する現像スリーブ4の表面移動方向における幅
(穂立ち幅)も狭くなる。そのため、図7(b)と図8
(b)との比較からもわかるように、現像領域に搬送さ
れてきた現像剤の穂立ち開始位置は、従来の現像装置よ
りも現像領域における現像スリーブ表面移動方向の中心
(以下、単に「中心」という。)に近づく。また、現像
スリーブ4の表面に担持された状態で現像領域を通過す
る現像剤の穂立ち終了位置も、同様にして、従来の現像
装置よりも現像領域の中心に近づくことになる。すなわ
ち、現像スリーブ4上の現像剤が、従来の現像装置より
も現像領域の中心から近い地点で穂立ちを開始し、ま
た、穂立ちを終了するようになる。この結果、現像スリ
ーブ4上の磁気ブラシが感光体ドラム1に近接又は接触
する期間が従来の現像装置よりも短くなる。これに応じ
て、潜像後端部分が感光体ドラム表面の移動で現像領域
を脱出するときにこの潜像後端部を摺擦する磁気ブラシ
が、それまで非潜像部分に近接又は接触していた期間
も、従来の現像装置より短くなる。よって、現像領域を
脱出するときに感光体ドラム1の潜像後端部分を摺擦す
る磁気ブラシのトナードリフトの進行度合いを小さくで
き、従来の現像装置に比べ、後端白抜け及び細線再現性
の低下を抑制することができる。
【0010】また、上記公報の現像装置においては、N
極の主磁極P1bに2つのS極の補助磁極が近接して配
置されているので、現像スリーブ4の表面からその法線
方向に離れた位置での現像領域内の磁力線は、従来の現
像装置に比べて疎となる。このため、現像スリーブ4の
表面からその法線方向に離れた位置(例えば、従来装置
における磁気ブラシの先端部分が存在する位置)での現
像領域内における法線方向磁束密度は、上記公報の現像
装置の方が従来の現像装置より小さくなる。したがっ
て、上記公報の現像装置では、磁気ブラシを構成する現
像剤の多くが磁束密度の高い現像スリーブ4の表面近傍
に引き寄せられ、図8(b)に示すように、磁気ブラシ
の長さは従来の現像装置に比べて短いものとなる。
【0011】更に、上記公報の現像装置を実際に使用す
る場合、現像領域に供給される現像剤の量は、現像領域
を通過する間に穂立ちすることができる現像剤の最大量
よりも少なく設定される。すなわち、上記公報の現像装
置においては、本来であればもっと長い磁気ブラシを形
成できるところ、現像領域に供給される現像剤の量を少
なめにして磁気ブラシの長さをより短く規制する。これ
により、現像スリーブ4の表面に近い磁束密度の高い領
域に磁気ブラシの先端部分が位置することになり、その
磁気ブラシの先端部分では、従来の現像装置における磁
気ブラシの先端部分よりもブラシ密度が高いものとな
る。そして、磁気ブラシが短くなった分だけ現像スリー
ブ4の表面と感光体ドラム1の表面との最小間隔(以
下、「現像ギャップ」という。)Pgを狭くすること
で、従来装置よりも現像スリーブ4の表面に近い磁束密
度の高い領域に存在する密度の高いブラシ部分で感光体
ドラム1を摺擦することができる。
【0012】尚、上記公報の現像装置では、上述のよう
に、現像剤の穂立ち開始位置及び現像剤の穂立ち終了位
置が、従来の現像装置よりも現像領域の中心に近づくこ
とになる。このため、図8(b)に示すように、現像領
域において磁気ブラシが潜像担持体を摺擦する部分の現
像スリーブ表面移動方向の幅(摺擦幅)Pnが従来の現
像装置よりも狭くなる。そのため、磁気ブラシによる摺
擦で感光体ドラム1上の潜像部分に供給されるトナー量
は、摺擦する部分のブラシ密度が同じであれば、従来の
現像装置よりも減少する。しかし、上記公報の現像装置
を用いれば、上述したように、感光体ドラム1に接触す
る磁気ブラシの先端部分のブラシ密度が従来の現像装置
よりも高くできる。よって、感光体ドラム1上の潜像部
分に供給されるトナー量が従来の現像装置に比べて減る
のを抑制することができる。以上から、摺擦幅Pnが従
来の現像装置よりも狭くなっても、現像領域における感
光体ドラム1の線速に対する現像スリーブ4の線速比を
高めるなどにより、静電潜像に供給されるトナー量を十
分に確保することが可能である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記線速比
を高める場合、感光体ドラム1の線速を遅くする方法
と、現像スリーブ4の線速を速くする方法とがあるが、
前者の方法では画像形成速度が低下することになるた
め、一般に後者の方法が採用される。しかし、このよう
に現像スリーブ4の線速を速めると、その現像スリーブ
上に付着する現像剤に働く遠心力が高まる。そのため、
その現像剤で構成される磁気ブラシが感光体ドラム1に
接触したときの衝撃等により、磁気ブラシを構成するキ
ャリアが磁気ブラシから遊離しやすくなる。この遊離し
たキャリアが感光体ドラム1上に付着するというキャリ
ア付着と呼ばれる現象が生じる。この現象が生じると、
感光体ドラム1上に付着した付着キャリアにより、画像
が乱されたり、画像中のドット抜けが生じたりする。そ
の結果、画質低下を引き起こすという問題が生じるばか
りではなく、感光体ドラム1の周囲に配置された部品を
損傷させるという問題も生じる恐れがある。また、現像
領域における感光体ドラム1の線速が100[mm/
秒]以上300[mm/秒]以下に設定された画像形成
速度が比較的速い画像形成装置(中速機)が現在広く普
及している。このような画像形成装置においては、現像
スリーブ4の線速がより速くなり、現像スリーブ上に付
着する現像剤に働く遠心力がより高まることになる。よ
って、このような中速機においては上述した問題が生じ
やすい。
【0014】更に、本発明者らの研究の結果、従来の現
像装置では、現像領域中の磁気ブラシ先端部分のキャリ
アが、感光体ドラム1からの静電力を受けて、感光体ド
ラム表面に吸着する現象が生じていることが判明した。
具体的に説明すると、従来の現像装置では、磁気ブラシ
を感光体ドラム1の表面に摺擦(相対移動)させること
で磁気ブラシを感光体ドラム1の表面に対して等速移動
する場合よりも静電潜像に供給されるトナー量を高めよ
うとしていた。このときの現像領域では、感光体ドラム
1の表面に接触しない磁気ブラシの現像スリーブ側部分
については感光体ドラム表面に対して相対移動してい
る。しかし、感光体ドラム表面に接触する磁気ブラシの
先端部分は、感光体ドラム表面に吸着してしまい、感光
体ドラム表面に対して摺擦動作を行っていないことが多
い。このため、従来の現像装置では、磁気ブラシを感光
体ドラム1の表面に摺擦(相対移動)させて静電潜像に
供給されるトナー量を高める効果が小さいという問題も
あった。このような問題は、上述した磁気ブラシの長さ
が短く、かつ、感光体ドラム1に接触するブラシ部分の
密度が高い上記公報の現像装置を用いた場合にも生じ得
るものである。したがって、上記公報の現像装置におい
て、現像領域における感光体ドラム1の線速に対する現
像スリーブ4の線速比を高めて従来と同程度の画像濃度
を維持しようとする場合にも、上記現象によりその効果
は小さいものとなる。
【0015】本発明は、上記問題に鑑みなされたもので
あり、その目的とするところは、現像領域における潜像
担持体の線速が100[mm/秒]以上300[mm/
秒]以下に設定された画像形成速度が比較的速い画像形
成装置(中速機)において、細線再現性の向上や後端白
抜け現象の抑制を図りつつ、潜像担持体へのキャリア付
着を抑制することが可能であるとともに、高い画像濃度
を得ることが可能な現像装置及び画像形成装置を提供す
ることである。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、トナーと磁性粒子を含む現像剤
を表面に担持して表面移動する現像剤担持体と、静電潜
像を表面に担持して表面移動する潜像担持体とが対向す
る現像領域で、該現像領域に対向するように配置した現
像磁極により該現像剤担持体上の現像剤を穂立ちさせて
該現像剤担持体上に磁気ブラシを形成し、該現像剤担持
体を該現像領域で該潜像担持体の表面移動方向と同方向
かつ該潜像担持体表面の線速よりも大きい線速で表面移
動させて、該磁気ブラシにより該潜像担持体の表面を摺
擦し、該潜像担持体上の潜像を現像する現像装置におい
て、上記現像領域における上記現像剤担持体の線速が、
150[mm/秒]以上500[mm/秒]未満であ
り、上記現像剤担持体に担持されて現像領域に搬送され
る現像剤の量が、65[mg/cm2]以上95[mg
/cm2]以下であり、上記現像磁極により上記現像領
域の現像剤担持体表面外側に生じる磁束の該現像剤担持
体表面法線方向における磁束密度の減衰率が40[%]
以上であり、上記現像領域で上記現像磁極により生じる
磁束の上記現像剤担持体表面上における該現像剤担持体
表面の法線方向磁束密度が100[mT]以上200
[mT]以下であり、上記磁性粒子の飽和磁化値が、4
0×10-7×4π[Wb・m/kg]以上60×10-7
×4π[Wb・m/kg]未満であることを特徴とする
ものである。ここで、上記「減衰率」とは、現像磁極に
よって現像剤担持体表面上に発生する現像剤担持体表面
の法線方向における磁束密度(法線方向磁束密度)のピ
ーク値をXとし、現像剤担持体表面からその法線方向に
1[mm]離れた位置での法線方向磁束密度のピーク値
をYとしたとき、下記の数1で求められる値を意味す
る。
【数1】減衰率[%]={(X−Y)/X}×100 また、請求項2の発明は、トナーと磁性粒子を含む現像
剤を表面に担持して表面移動する現像剤担持体と、静電
潜像を表面に担持して表面移動する潜像担持体とが対向
する現像領域で、該現像領域に対向するように配置した
現像磁極により該現像剤担持体上の現像剤を穂立ちさせ
て該現像剤担持体上に磁気ブラシを形成し、該現像剤担
持体を該現像領域で該潜像担持体の表面移動方向と同方
向かつ該潜像担持体表面の線速よりも大きい線速で表面
移動させて、該磁気ブラシにより該潜像担持体の表面を
摺擦し、該潜像担持体上の潜像を現像する現像装置にお
いて、上記現像領域における上記現像剤担持体の線速
が、150[mm/秒]以上500[mm/秒]未満で
あり、上記現像剤担持体に担持されて現像領域に搬送さ
れる現像剤の量が、65[mg/cm2]以上95[m
g/cm2]以下であり、上記現像磁極により上記現像
剤担持体表面上に生じる該現像剤担持体表面の法線方向
における最高磁束密度の半分の磁束密度となる該現像剤
担持体表面上の半値点を、上記現像領域における該現像
剤担持体表面の曲率中心軸から見たときの該現像剤担持
体の表面移動方向における半値点間の角度幅が25
[°]以下であり、上記現像領域で上記現像磁極により
生じる磁束の上記現像剤担持体表面上における該現像剤
担持体表面の法線方向磁束密度が100[mT]以上2
00[mT]以下であり、上記磁性粒子の飽和磁化値
が、40×10-7×4π[Wb・m/kg]以上60×
10-7×4π[Wb・m/kg]未満であることを特徴
とするものである。また、請求項3の発明は、請求項1
又は2の現像装置において、上記磁性粒子の静抵抗値
が、12[logΩ]以上14[logΩ]以下である
ことを特徴とするものである。また、請求項4の発明
は、請求項1、2又は3の現像装置において、上記磁性
粒子の流動度が、20[秒/50g]以上40[秒/5
0g]以下であることを特徴とするものである。また、
請求項5の発明は、請求項4の現像装置において、上記
トナーの帯電量が、10[μC/g]以上40[μC/
g]以下であることを特徴とするものである。また、請
求項6の発明は、潜像担持体と、上記潜像担持体に潜像
を形成する潜像形成手段と、上記潜像担持体上の潜像
を、トナーと磁性粒子を含む現像剤により現像する現像
手段と、上記潜像担持体上のトナー像を転写材上に転写
する転写手段とを備えた画像形成装置において、上記潜
像担持体と、上記現像手段に設けられる現像剤担持体と
が対向する現像領域における該潜像担持体の線速が、1
00[mm/秒]以上300[mm/秒]以下であり、
上記現像手段として、請求項1、2、3、4又は5の現
像装置を用いたことを特徴とするものである。上記請求
項1の現像装置においては、現像領域の現像剤担持体外
側における法線方向磁束密度の減衰率が40[%]以上
となっている。このように減衰率を高めるには、例え
ば、上記公報の現像装置のように、N極からなる1つの
主磁極と、この主磁極の現像スリーブ表面移動方向両側
に近接して配置されるS極からなる2つの補助磁極とか
ら構成した現像磁極を利用する。尚、主磁極と補助磁極
の極性は互いに逆極性であればよく、現像磁極がS極で
補助磁極がN極であってもよい。そして、このようにし
て減衰率を高めるとともに、現像領域に搬送される現像
剤の量(現像剤供給量)を、現像領域を通過する間に穂
立ちすることができる現像剤の最大量よりも少なくす
る。具体的には、65[mg/cm2]以上95[mg
/cm2]以下に設定する。この結果、上述したよう
に、磁気ブラシの長さを短くし、潜像担持体に接触する
ブラシ部分の密度を高めることができる。ここで、現在
普及している画像形成装置の中には、潜像担持体の線速
が100[mm/秒]以上300[mm/秒]以下に設
定された中速機が多く存在する。このような画像形成装
置において、上述したような磁気ブラシの長さが短くか
つ潜像担持体に接触するブラシ部分の密度が高い現像装
置を用いる場合、現像領域における潜像担持体線速に対
する現像剤担持体線速を速めることが必要になる。これ
は、高い画像濃度を維持するためである。具体的には、
潜像担持体の線速に対して現像剤担持体の線速を、実質
的にはおよそ1.5倍〜2.0倍に設定する必要があ
り、現像剤担持体の線速が150[mm/秒]以上50
0[mm/秒]未満程度に高速にする必要がある。しか
し、このように現像剤担持体の線速が速いと、上述した
ように、現像剤担持体上に付着する現像剤に働く遠心力
が高まり、潜像担持体へのキャリア付着と呼ばれる現象
が生じる。特に、本請求項の現像装置のように、上記減
衰率が高いものでは、磁気ブラシの先端部分で磁力によ
り磁性粒子(キャリア)を拘束する力が比較的弱い。そ
のため、磁気ブラシ先端部分のキャリアは、潜像担持体
に付着しやすく、キャリア付着が生じやすい。本発明者
らは、研究を重ねた結果、現像領域で現像磁極により生
じる磁束の上記現像剤担持体表面上における該現像剤担
持体表面の法線方向磁束密度を100[mT]以上20
0[mT]以下とし、現像剤を構成する磁性粒子(キャ
リア)の飽和磁化値を、40×10-7×4π[Wb・m
/kg]以上(40[emu/g]以上)とすること
で、キャリア付着の現象が発生するのを抑制できること
を確認した。その詳細については、後述の実験例1にて
説明する。このような範囲の飽和磁化値をもつキャリア
を用いれば、上記法線方向磁束密度が100[mT]以
上200[mT]以下であって上記減衰率が40[%]
以上である磁界をもつ現像領域において、磁気ブラシ先
端部分のキャリア拘束力を、そのキャリアに働く潜像担
持体に向かう力よりも十分に大きくできる。すなわち、
本請求項1の現像装置であれば、現像剤担持体の表面移
動により加わる遠心力及び潜像担持体表面から受ける静
電力等の合成力よりも、磁気ブラシ先端部分のキャリア
に働く現像剤担持体側への磁力による拘束力を大きくで
きる。したがって、潜像担持体に付着するキャリア数を
減らすことができる。ここで、磁性粒子の飽和磁化値が
40×10-7×4π[Wb・m/kg]未満であると、
上述した磁界が形成される現像領域で現像を行う本請求
項の現像装置では、磁力によるキャリアの拘束力が不十
分となる。そのため、潜像担持体へのキャリア付着を十
分に抑制することができない。また、磁性粒子の飽和磁
化値が60×10-7×4π[Wb・m/kg]以上(6
0[emu/g]以上)であると、上述した磁界が形成
される現像領域におけるキャリアの拘束力が強すぎる結
果となる。そのため、現像剤担持体上のトナー及びキャ
リアからなる磁気ブラシの穂立ち状態が固く締ったもの
となり、画像の階調性や中間調の再現性が悪化する。以
上から、請求項1の現像装置においては、現像領域中に
上述した磁界を形成し、飽和磁化値が40×10-7×4
π[Wb・m/kg]以上60×10-7×4π[Wb・
m/kg]未満であるキャリアを用いている。これによ
り、潜像担持体へのキャリア付着を抑制できる。尚、こ
のような飽和磁化値を好適に得られるキャリアの芯材と
しては、フェライトを用いるのが好適である。また、従
来では、上述したように、現像領域において潜像担持体
表面に接触するブラシ部分が潜像担持体表面に吸着して
しまい、磁気ブラシの摺擦による潜像担持体上の静電潜
像へのトナー供給量を高める効果が小さかった。これに
対し、本請求項1の現像装置によれば、上述のように磁
気ブラシ先端部分を構成するキャリアの拘束力が高いた
め、潜像担持体表面に接触するブラシ部分が潜像担持体
表面に対してしっかりと摺擦動作を行うことができる。
よって、磁気ブラシの摺擦による潜像担持体上の静電潜
像へのトナー供給量を高める効果を高めることができ
る。また、上記請求項2の現像装置は、上記減衰率を4
0[%]以上とする代わりに、半値点間の角度幅を25
[°]以下とする点で、上記請求項1の現像装置の構成
と異なっている。半値点間の角度幅を25[°]以下と
した場合も、上記減衰率を40[%]以上とする場合と
同様に、長さが短く、かつ、潜像担持体に接触する磁気
ブラシの先端部分の密度が高い磁気ブラシを形成するこ
とができる。よって、上記請求項1の現像装置と同様
に、潜像担持体へのキャリア付着を抑制できるととも
に、潜像担持体上の静電潜像へのトナー供給量を高める
ことができる。また、上記請求項6の画像形成装置は、
現像領域における潜像担持体の線速が100[mm/
秒]以上300[mm/秒]以下に設定された画像形成
速度が比較的速いものである。本請求項6の画像形成装
置には、請求項1乃至5の現像装置が備わっているの
で、潜像担持体へのキャリア付着を抑制できるととも
に、潜像担持体上の静電潜像へのトナー供給量を高める
ことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、電子写真式の画
像形成装置であるレーザプリンタ(以下、「プリンタ」
という。)に適用した実施形態について説明する。図2
は、本実施形態に係るプリンタ全体の概略構成図であ
る。このプリンタは、潜像担持体としての感光体ドラム
1を有している。感光体ドラム1は、図中矢印A方向に
回転駆動されながら、感光体ドラム1に接触する帯電手
段としての帯電ローラ50により、その表面を一様に帯
電される。その後、潜像形成手段としての光書込ユニッ
ト51により画像情報に基づき走査露光されて、感光体
ドラム1の表面に静電潜像が形成される。なお、帯電手
段及び潜像形成手段としては、帯電ローラ50及び光書
込ユニット51とは異なるものを用いることもできる。
感光体ドラム1上に形成された静電潜像は、後述する現
像手段としての現像装置2により現像され、感光体ドラ
ム1上にトナー像が形成される。感光体ドラム1上に形
成されたトナー像は、転写ベルト53を備えた転写手段
としての転写ユニットにより、給紙カセット54から給
紙ローラ55及びレジストローラ対56を経て搬送され
る転写材としての転写紙52上に転写される。転写終了
後の転写紙52は、定着手段としての定着ユニット57
によりトナー像が定着され、機外に排出される。なお、
転写されずに感光体ドラム1上に残留した転写残トナー
は、クリーニング手段としてのクリーニングユニット5
8により感光体ドラム1の表面から除去される。また、
感光体ドラム1上の残留電荷は、除電手段としての除電
ランプ59で除去される。
【0018】次に、本実施形態における現像装置2の構
成について説明する。図1は、感光体ドラム1の周囲に
配置される現像装置2を含む主な装置の概略構成図であ
る。本実施形態における現像装置2は、現像剤担持体と
しての現像ローラ3が所定間隔の現像ギャップを介して
感光体ドラム1に近接するように配置されている。この
現像ローラ3は、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導
電性樹脂などの非磁性体からなる円筒状の現像スリーブ
4を備えている。また、その内部には、現像スリーブ4
の表面上に現像剤を穂立ちさせる等ための磁界を形成す
る磁界形成手段としての磁石ローラ5が設けられてい
る。現像スリーブ4は、固定配置されている磁石ローラ
5の周囲を、図示しない駆動手段によって図中反時計回
り方向に回転する。
【0019】また、現像装置2は、現像スリーブ4と感
光体ドラム1とが対向する現像領域に対して現像スリー
ブ4の表面移動方向上流側に、現像スリーブ上に付着し
た現像剤量を規制する現像剤規制部材としてのドクタブ
レード6が設けられている。このドクタブレード6と現
像スリーブ4との間隔であるドクタギャップは、現像領
域に搬送される現像剤供給量に影響を与える。なお、本
実施形態では、ドクタギャップを0.48[mm]に設
定しているが、0.35[mm]以上0.5[mm]以
下の範囲内であればよい。また、現像装置2は、現像ロ
ーラ3の感光体ドラム1とは反対側の領域における現像
ケーシング7の内部に、現像剤を攪拌しながら現像スリ
ーブ4上へ汲み上げるためのスクリュー8が設けられて
いる。
【0020】本実施形態では、径が100[mm]であ
る感光体ドラム1を、現像領域におけるドラム線速が1
50[mm/秒]となるように回転駆動させ、かつ、径
が25[mm]である現像スリーブ4を、現像領域にお
けるスリーブ線速が300[mm/秒]となるように回
転駆動させている。すなわち、本実施形態では、ドラム
線速に対するスリーブ線速の線速比を2.0に設定して
いる。また、本実施形態における現像ギャップは0.5
[mm]に設定されている。従来の現像ギャップは、一
般にキャリア粒径の10倍程度に設定されており、例え
ばキャリア粒径が50[μm]であれば0.65[m
m]以上0.8[mm]以下程度であった。一方、本実
施形態では、従来に比べて主磁極の磁力が大きいため、
キャリア粒径の30倍程度に設定することも可能であ
る。しかし、本実施形態であっても、現像ギャップをキ
ャリア粒径の30倍程度よりも広くすると、所望の画像
濃度を得ることが困難となる。
【0021】次に、磁気ローラ5により形成される磁界
について説明する。図3は、磁石ローラ5の各磁極によ
り現像スリーブ4の表面に発生するその表面の法線方向
の磁束密度(以下、「法線方向磁束密度」という。)の
分布を実線で示した円グラフである。この円グラフを作
成するために、ADS社製ガウスメーター(HGM−8
300)並びにADS社製A1型アキシャルプローブを
使用し、これらで測定した結果を円チャートレコーダに
より記録した。このような磁気特性を有する磁石ローラ
5による磁界によって、現像剤中のキャリアが現像スリ
ーブ4上にチェーン状に穂立ちし、このチェーン状に穂
立ちしたキャリアに静電力等によりトナーが付着して磁
気ブラシが形成される。この磁気ブラシは、現像スリー
ブ4の表面移動に伴って現像スリーブ4の表面移動方向
(図中反時計回り方向)に搬送される。
【0022】本実施形態における磁石ローラ5は、図4
に示すように、現像領域における現像剤を穂立ちさせる
ための磁界を形成する現像磁極として、3つの磁極P1
a,P1b,P1cを備えている。これらの磁極P1
a、磁極P1b及び磁極P1cは、この順に現像スリー
ブ4の表面移動方向上流側から並んで配置されている。
各磁極P1a,P1b,P1cは、横断面の小さい磁石
により構成されている。一般に、磁石の横断面を小さく
すると磁力が弱くなるため、本実施形態では、3つの磁
極P1a,P1b,P1cを比較的磁力の強い希土類金
属合金からなる磁石で構成している。希土類金属合金磁
石のうち、代表的な鉄ネオジウムボロン合金磁石によれ
ば、358[kJ/m3]の最大エネルギー積を得るこ
とができる。また、鉄ネオジウムボロン合金ボンド磁石
によれば、80[kJ/m3]前後の最大エネルギー積
を得ることができる。一般には、最大エネルギー積が3
6[kJ/m3]前後、20[kJ/m3]前後のフェラ
イト磁石、フェライトボンド磁石等が用いられる。しか
し、本実施形態のように希土類金属合金磁石を用いれ
ば、これらに比べて強い磁力を確保することができる。
よって、横断面の小さい磁石を用いても、現像スリーブ
4の表面の磁力を十分に確保することができる。本実施
形態では、現像磁極を構成する3つの磁極P1a,P1
b,P1cにより現像スリーブ4の表面に発生する法線
方向磁束密度が100[mT]以上200[mT]以下
となるように設定されている。
【0023】また、図4において1点破線で示すライン
は、現像スリーブ4の表面からその法線方向に1[m
m]離れた位置での法線方向磁束密度を示している。本
実施形態において、法線方向磁束密度の減衰率とは、上
記数1で求められる値を意味する。このとき、数1中
「X」は、現像スリーブ4の表面上に発生する法線方向
磁束密度のピーク値を指し、「Y」は、現像スリーブ4
の表面からその法線方向に1[mm]離れた位置での法
線方向磁束密度のピーク値を指す。例を挙げると、現像
スリーブ4の表面の法線方向磁束密度が100[mT]
で、現像スリーブ4の表面から1[mm]離れた部分で
の法線方向磁束密度が80[mT]であるとき、その減
衰率は20[%]となる。
【0024】次に、磁気ローラ5の磁極配置について説
明する。図4は、磁気ローラ5の現像磁極である3つの
磁極P1a,P1b,P1cの配置を示す説明図であ
る。磁気ローラ5の現像磁極は、主に現像領域の現像剤
を穂立ちさせるために機能する主磁極P1bと、その主
磁極P1bとは反対極性をもつ2つの補助磁極P1a,
P1cから構成される。2つの補助磁極P1a,P1c
は、主磁極P1bに対して現像スリーブ4の表面移動方
向の上流側及び下流側に隣接する位置に配置されてい
る。本実施形態では、上記主磁極P1b、現像スリーブ
4上に現像剤を汲み上げるための磁界を形成する磁極P
4、現像スリーブ4上に汲み上げられた現像剤を現像領
域まで搬送するための磁界を形成する磁極P6、及び、
現像領域の現像スリーブ4表面移動方向下流側に位置す
る領域で現像剤を搬送するための磁界を形成する磁極P
2,P3を、N極で構成している。また、上記補助磁極
P1a,P1c、及び、現像スリーブ4上に汲み上げら
れた現像剤を搬送する磁極P5を、S極で構成してい
る。本実施形態では、主磁極P1bとして、現像スリー
ブ4の表面上の法線方向磁束密度の最高値が約120
[mT]となる磁石を用いている。そして、主磁極P1
bの現像スリーブ表面移動方向下流側に位置する補助磁
極P1cと主磁極P1bとが、100[mT]以上の法
線方向磁束密度をもっていれば、後述する飽和磁化値を
もつキャリアを使用することで、感光体ドラム1上にキ
ャリアが付着する等の異常画像の発生がないことが確認
されている。このようなキャリア付着は、現像領域中の
現像スリーブ4表面の接線方向の磁力が小さいほど発生
しやすい。そのため、この接線方向磁力を大きくするこ
とが重要であるが、主磁極P1b又は補助磁極P1cの
いずれか一方の磁極を十分に大きくすれば、キャリア付
着の発生を十分に抑えることができる。
【0025】また、上述した2つの補助磁極P1a,P
1cは、主磁極P1cによる現像スリーブ4表面上の法
線方向磁束密度の分布を調節するために利用される。具
体的には、現像領域における現像スリーブ4表面の曲率
中心軸すなわち現像スリーブ4の中心軸から見た現像ス
リーブ表面移動方向の半値点間の角度幅(以下、「半値
角度幅」という。)を狭くするために利用される。ここ
で、半値角度幅とは、主磁極P1cにより現像スリーブ
4の表面に発生する法線方向磁束密度の最高値の半分と
なる磁束密度を示す現像スリーブ4表面の2つの半値点
を、現像スリーブ4の中心軸から見たときの現像スリー
ブ4の表面移動方向における角度幅をいう。したがっ
て、例えば、法線方向磁束密度の最高値が120[m
T]である場合、半値角度幅は、法線方向磁束密度がそ
の半値である60[mT]となる現像スリーブ4表面の
半値点を現像スリーブ4の中心軸から見たときの角度幅
となる。本実施形態では、主磁極P1bの半値角度幅が
25[°]以下となるように、補助磁極P1a,P1c
の磁気特性や配置などが設定されている。具体的には、
現像磁極を構成する3つの磁極P1a,P1b,P1c
の磁石における現像スリーブ表面移動方向の横断面の幅
が2[mm]に設定されており、その結果、本実施形態
では主磁極P1bの半値角度幅が16[°]となってい
る。
【0026】図5(a)は、図3を基づいて、本実施形
態のように3つの磁極P1a,P1b,P1cで現像磁
極を構成した場合の半値角度幅を示す説明図である。図
5(b)は、従来のように1つの磁極P1で現像磁極を
構成した場合の半値角度幅を示す説明図である。図5
(a)及び(b)を比較すると、本実施形態における主
磁極P1bの半値角度幅θ1は、補助磁極P1a,P1
cにより、従来の単一の現像磁極P1の半値角度幅θ'
1よりも狭くなる。ここで、主磁極P1bの半値角度幅
が25[°]を越えると、後端白抜け等の異常画像が発
生することが確認されている。
【0027】また、本実施形態では、補助磁極P1a,
P1cの半値角度幅は、図4に示すように、35[°]
以下となるように設定している。また、主磁極P1bと
各補助磁極P1a,P1cとの位置関係は、図4に示し
たように、主磁極P1bと各補助磁極P1a,P1cと
の配置角度幅が30[°]以下となるように設定されて
いる。この配置角度幅とは、主磁極P1bと2つの補助
磁極P1a,P1cとにより現像スリーブ4の表面に発
生する法線方向磁束密度の最高値を示す現像スリーブ4
表面の各点を、現像領域における現像スリーブ4表面の
曲率中心軸すなわち現像スリーブ4の中心軸から見たと
きの現像スリーブ4の表面移動方向におけるそれぞれの
角度幅をいう。本実施形態では、上述のように主磁極P
1bの半値角度幅が16[°]であるため、主磁極P1
bに対する各補助磁極P1a,P1cの配置角度幅を2
5[°]としている。
【0028】更に、本実施形態では、現像磁極P1a,
P1b,P1cにより現像スリーブ4の表面に発生する
法線方向磁束密度が0[mT]となる変極点のうち、現
像スリーブ4の表面移動方向最上流側と最下流側に位置
する2つの変極点間の角度幅を120[°]以下となる
ように構成されている。すなわち、図4に示すように、
2つの補助磁極P1a、P1cと各補助磁極P1a、P
1cにそれぞれ隣り合う磁極P2,P6との間に存在す
る変極点間の角度幅が120[°]以下となっている。
【0029】以上の構成において、本実施形態における
現像磁極P1a,P1b,P1cの磁気特性は、以下に
示すように観測された。主磁極P1bの現像スリーブ4
の表面上における法線方向磁束密度の最高値は120
[mT]であり、その最高値を示す現像スリーブ4の表
面から法線方向外側に1[mm]離れた位置での法線方
向磁束密度は55.8[mT]であった。よって、その
法線方向磁束密度の変化量は64.2[mT]であっ
た。したがって、本実施形態における主磁極P1bによ
る法線方向磁束密度の減衰率は53.5[%]となる。
また、主磁極P1bの現像スリーブ表面移動方向上流側
に位置する補助磁極P1aの現像スリーブ4の表面上に
おける法線方向磁束密度の最高値は100[mT]であ
り、その最高値を示す現像スリーブ4の表面から法線方
向外側に1[mm]離れた位置での法線方向磁束密度は
53.3[mT]であった。よって、その法線方向磁束
密度の変化量は46.7[mT]であった。したがっ
て、本実施形態における主磁極P1bによる法線方向磁
束密度の減衰率は46.7[%]となる。また、主磁極
P1bの現像スリーブ表面移動方向下流側に位置する補
助磁極P1cの現像スリーブ4の表面上における法線方
向磁束密度の最高値は120[mT]であり、その最高
値を示す現像スリーブ4の表面から法線方向外側に1
[mm]離れた位置での法線方向磁束密度は67.4
[mT]であった。よって、その法線方向磁束密度の変
化量は52.6[mT]であった。したがって、本実施
形態における主磁極P1bによる法線方向磁束密度の減
衰率は43.8[%]となる。なお、図5(b)に示し
た従来の磁石ローラ5では、例えば、現像磁極P1の現
像スリーブ4の表面上における法線方向磁束密度の最高
値は90[mT]であり、その最高値を示す現像スリー
ブ4の表面から法線方向外側に1[mm]離れた位置で
の法線方向磁束密度は63.9[mT]であった。よっ
て、その法線方向磁束密度の変化量は26.1[mT]
であった。したがって、この場合の主磁極P1bによる
法線方向磁束密度の減衰率は29[%]となる。
【0030】以上のような磁気特性を有する現像磁極P
1a,P1b,P1cを備えた磁石ローラ5により生じ
る磁力線に沿って現像剤が穂立ちして、現像スリーブ4
上に磁気ブラシが形成される。この磁気ブラシの中で、
主磁極P1bによる磁界により形成されるブラシ部分の
みが感光体ドラム1の表面に接触することになり、感光
体ドラム1上の静電潜像の可視像化に寄与することにな
る。このとき、現像領域における磁気ブラシの長さは、
約1[mm]となるように設定されている。尚、ここで
いう磁気ブラシの長さは、感光体ドラム1を取り外した
場合における長さであって、実際には、現像ギャップが
0.5[mm]に設定されているので、現像領域におけ
る磁気ブラシの長さは、その現像ギャップに応じて短く
なる。
【0031】このように磁気ブラシの長さを短く形成で
きるのは、上述のように法線方向磁束密度の減衰率が大
きいためである。その理由は、現像スリーブ4の表面上
での法線方向磁束密度は高いが、減衰率が高いために、
現像スリーブ4の表面から1[mm]離れた位置での法
線方向磁束密度は急激に低くなる。このため、現像スリ
ーブ4の表面付近の現像剤は強い磁界の作用を受けて密
集するが、現像スリーブ4の表面から比較的離れたとこ
ろでは磁界が弱いため現像剤がブラシチェーンを維持で
きないからである。また、本実施形態では、ドクターギ
ャップを適宜調節して、現像スリーブ4に担持されて現
像領域に搬送される現像剤の量(現像剤供給量)を65
[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下と少なめ
になるように設定されている。これにより、本来であれ
ばもっと長い磁気ブラシを形成できるところ、現像剤供
給量不足のため、磁気ブラシが短く規制される。そし
て、このように短く規制された結果、現像ギャップを
0.5[mm]と設定することで、磁束密度の高い現像
スリーブ4の表面付近で密集した現像剤からなるブラシ
部分で感光体ドラム1の表面を摺擦することができる。
尚、本実施形態では、現像ギャップを0.5[mm]に
設定しているが、0.3[mm]以上0.5[mm]以
下の範囲内であればよい。この範囲内であれば、磁束密
度の高い現像スリーブ4の表面付近で密集した現像剤か
らなるブラシ部分で感光体ドラム1の表面を摺擦するこ
とができる。
【0032】以上のような構成から、本実施形態では、
主磁極P1bにより形成される磁気ブラシが感光体ドラ
ム1に接触する部分の現像スリーブ表面移動方向の現像
領域幅は、キャリア粒径以上であって2[mm]以下と
なる比較的狭いものとなる。これにより、上述したよう
に、後端白抜けがなく、横細線や1ドットのように小さ
い画像の細線再現性の高い画像を形成することができ
る。
【0033】次に、本実施形態に用いる現像剤のキャリ
アについて説明する。キャリアの芯材としては、公知の
磁性体材料を使用することができる。この磁性体材料と
しては、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金
属やマグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの合金
又は化合物等が挙げられる。ここで、キャリアの磁気特
性は、磁気ローラ5による磁界からキャリアが受ける影
響を左右し、現像剤の現像特性及び搬送性に大きく影響
を及ぼすことが、後述する実験例等により確認されてい
る。本実施形態では、キャリア付着を抑制し、画像濃度
を高める目的で、飽和磁化値が40×10-7×4π[W
b・m/kg]以上60×10-7×4π[Wb・m/k
g]未満であるキャリアを使用している。尚、ここでい
うキャリアの飽和磁化値としては、3000×103
4π[A/m]磁場中におけるキャリアの磁化の強さを
使用している。また、本実施形態におけるキャリアとし
ては、平均粒径が20[μm]以上100[μm]以
下、好ましくは20[μm]以上80[μm]以下のも
のを使用する。これにより、現像領域における現像剤中
のトナー濃度を高くすることができ、画像形成スピード
が高いすなわち潜像担持体の線速が高い画像形成装置に
適用しても、高い画像濃度を維持でき、良好な画像を得
ることができる。以上のキャリアの磁気特性を考慮した
場合、キャリアの芯材としては、フェライトを使用する
のが好ましい。
【0034】また、キャリアの被覆樹脂としては、一般
的な熱硬化型シリコーン樹脂を使用することができる。
また、本実施形態では、キャリアの静抵抗値が12[l
ogΩ]以上14[logΩ]以下となるようにキャリ
アの抵抗値を調整する目的で、キャリアの被覆樹脂中に
微粉末を添加する。この微粉末は、0.01[μm]以
上5.0[μm]以下程度の粒径をもつものであるのが
好ましい。更に、キャリアの帯電特性を調整したり、被
覆樹脂と芯材との接着性を向上させたりする目的で、カ
ップリング剤、特にシランカップリング剤を用いること
ができる。例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)
アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリ
ロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビ
ニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリ
メトキシシラン塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシ
シラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキ
シシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプ
ロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、
γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリ
メトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメ
トキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、γ
−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリ
クロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルク
ロロシラン(以上、トーレ・シリコン社製)、アリルト
リエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキ
シシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ジ
メチルジエトキシシラン、1,3−ジビニルテトラメチ
ルジシラザン、メタクリルオキシエチルジメチル(3−
トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド
(以上、チッソ社製)等が挙げられる。
【0035】次に、本実施形態に用いる現像剤のトナー
について説明する。本実施形態におけるトナーとして
は、公知の方法を用いて作製したものを広く用いること
ができる。具体的には、例えば、結着樹脂、着色剤及び
極性制御剤よりなる混合物を、熱ロールミルで溶融混練
した後、冷却固化せしめ、これを粉砕分級して得られた
ものを使用することができる。また、必要に応じて任意
の添加物を含ませてもよい。本実施形態では、重量平均
粒径が6[μm]以上10[μm]以下の範囲にあるト
ナーを使用する。このトナーの重量平均粒径は、種々の
方法によって測定でき、例えばコールターカウンターを
使用して測定することができる。このコールターカウン
ターとしては、例えばコールターカウンターII型(コー
ルター社製)を利用することができる。そして、このよ
うなコールターカウンターにより得られた測定結果に基
づいて、例えば個数分布、体積分布といった特性につい
て解析することにより、トナーの重量平均粒径を求める
ことができる。コールターカウンターによる測定で使用
する電解液としては、1級塩化ナトリウムを使用して調
節した1[%]塩化ナトリウム水溶液を用いることがで
きる。
【0036】トナーの結着樹脂としては、従来からトナ
ー用結着樹脂として使用されてきたものの全てを用いる
ことができる。具体的には、ポリスチレン、ポリクロロ
スチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその
置換体の単重合体、スチレン/p−クロロスチレン共重
合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ビニ
ルトルエン共重合体、スチレン/ビニルナフタリン共重
合体、スチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン
/アクリル酸エチル共重合体、スチレン/アクリル酸ブ
チル共重合体、スチレン/アクリル酸オクチル共重合
体、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン
/メタクリル酸エチル共重合体、スチレン/メタクリル
酸ブチル共重合体、スチレン/α−クロルメタクリル酸
メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合
体、スチレン/ビニルメチルエーテル共重合体、スチレ
ン/ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン/ビニル
メチルケトン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合
体、スチレン/イソプレン共重合体、スチレン/アクリ
ロニトリル/インデン共重合体、スチレン/マレイン酸
共重合体、スチレン/マレイン酸エステル共重合体など
のスチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポ
リブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、
ポリビニルブチルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロ
ジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂
肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素
化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、こ
れらは、単独であるいは2種以上混合して使用される。
【0037】また、トナーの着色剤としては、トナー用
として公知のものがすべて使用できる。黒色の着色剤と
しては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラッ
ク、ファーネスブラック、ランプブラック等が使用でき
る。シアンの着色剤としては、例えば、フタロシアニン
ブルー、メチルレンブルー、ビクトリアブルー、メチル
バイオレット、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー
等が使用できる。マゼンタの着色剤としては、例えば、
ローダミン6Gレーキ、ジメチルキナクリドン、ウォッ
チングレッド、ローズベンガル、ローダミンB、アリザ
リンレーキ等が使用できる。イエローの着色剤として
は、例えば、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、ハ
ンザイエロー、ナフトールイエロー、モリブデンオレン
ジ、キノリンイエロー、タートラジン等が使用できる。
【0038】また、トナーをより効率的に帯電させるた
めに、少量の帯電付与剤、例えば染顔料、極性制御剤を
含有させることもできる。極性制御剤としては、例え
ば、モノアゾ染料の金属錯塩、ニトロフミン酸及びその
塩、サリチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸のCo、C
r又はFe等の金属錯体、有機染料、四級アンモニウム
塩等が使用できる。
【0039】また、その他の添加剤としては、シリカ微
粒子、酸化チタン微粒子等が一般的なものとして挙げら
れるが、特に限定するものではない。本実施形態では、
添加剤として、シリコーンオイル処理剤にて処理した微
粒子を用いている。この微粒子としては、シリカ微粒
子、酸化チタン微粒子等が挙げられる。シリカ微粒子の
シリコーンオイル処理剤の具体例としては、分子中に反
応性基を有する変性シリコーンオイル、ハイドロジェン
シリコーンオイル又はフッ素含有シリコーンオイルの1
種以上を用いることが好ましいが、分子中にこのような
活性な基を有しない未変性シリコーンオイルを用いるこ
とも可能である。分子中に反応基を有する変性シリコー
ンオイルとしては、分子中にヒドロキシ基、カルボキシ
ル基、アミノ基、エポキシ基、エーテル基およびメルカ
プト基からなる群から選ばれる基を1種以上含む変性シ
リコーンオイルの1種以上が好ましい。また、このシリ
コーンオイルの粘度は、室温で5[cp]以上1500
0[cp]以下であるものが好ましい。添加剤としてシ
リコーンオイル処理剤にて処理したシリカ微粒子を用い
れば、シリカ微粒子による感光体ドラム1の摩耗を低減
することができる。
【0040】ここで、本実施形態のように小粒径のトナ
ーを用いる場合、摺擦による過剰帯電を生じやすくなる
ので、連続でプリントした場合での帯電量が上昇を抑止
し、カウンターチャージよる非画像部へのトナー付着が
生じやすい。そこで、本実施形態では、トナーの帯電量
を制御する目的で、トナーの流動性を高めることができ
る酸化チタン微粒子を含有させている。この酸化チタン
の添加量は、BET法による窒素吸着により計測したト
ナーの全表面積に対する酸化チタンの比表面積が、30
[m2/g]以上、特に50[m2/g]以上400[m
2/g]以下の範囲内となるように設定するのが望まし
い。しかし、酸化チタン微粒子をシリカ微粒子よりも多
量に添加すると、トナー帯電量が不足する結果を招くこ
とになる。よって、シリカ微粒子に対する酸化チタン微
粒子の添加比率は、0.6以下となるように設定するの
が望ましい。このような微粉末の総添加量は、トナーに
対しても0.5[重量%]以上2[重量%]以下とする
のが好適である。
【0041】以下、上述した実施形態で説明したレーザ
プリンタを用いて行った4つの実験例について説明す
る。まず、以下の実験例で用いるトナーT及びキャリア
C1〜8の処方及び製法について説明する。
【0042】(トナーTの作製)下記の表1に示す各材
料の混合物を、ヘンシェルミキサー中で十分攪拌混合し
た。その後、80[℃]の温度下でロールミルにより約
30分間加熱溶融し、室温まで冷却した。これにより得
られた混練物をジェットミルで粉砕分級し、6.5[μ
m]の粒径で4[μm]以下の微粒子の量が60[%]
以下である分級トナーを生成した。そして、100部の
分級トナーに対して、1.0部のシリカ微粒子及び0.
4部のチタニア微粒子を添加し、1500[rpm]で
回転するヘンシェルミキサーにより混合することで、ト
ナーTを得た。このトナーTの重量平均粒径は6.7
[μm]であった。
【表1】
【0043】(キャリアC1の作製)下記の表2に示す
処方を、ホモミキサーで20分分散して被覆層形成液を
調製した。そして、この被覆層形成液を流動床型塗布装
置により0.4[MPa]のスプレーエアー圧で100
0部のフェライトの表面に塗布して、フェライト表面に
被覆層を形成した。その後、300[℃]の温度下の電
気炉にて2時間焼成し、キャリアC1を作製した。この
フェライトとしては、平均粒径が55[μm]であり、
飽和磁化値が25×10-7×4π[Wb・m/kg]、
電流値が22[μA]、流動度が25[秒/50g]の
ものを使用した。ここでいう電流値とは、磁気ブラシが
感光体ドラム1に接触したときに導通する電流値を示し
ている。以下の電流値についても同様である。このキャ
リアC1の静抵抗値は16.2[logΩ]で、その流
動度は29[秒/50g]であり、その飽和磁化値は2
5×10-7×4π[Wb・m/kg]であった。尚、こ
のキャリアC1は、従来用いられていたものである。
【表2】
【0044】(キャリアC2の作製)下記の表3に示す
処方を、ホモミキサーで20分分散して被覆層形成液を
調製した。そして、この被覆層形成液を流動床型塗布装
置により0.4[MPa]のスプレーエアー圧で100
0部のフェライトの表面に塗布して、フェライト表面に
被覆層を形成した。その後、300[℃]の温度下の電
気炉にて2時間焼成し、キャリアC2を作製した。この
フェライトとしては、平均粒径が55[μm]であり、
飽和磁化値が40×10-7×4π[Wb・m/kg]の
ものを使用した。このキャリアC2の平均粒径は55
[μm]であり、その飽和磁化値は40×10-7×4π
[Wb・m/kg]であった。
【表3】
【0045】(キャリアC3の作製)上記表3に示す処
方を、ホモミキサーで20分分散して被覆層形成液を調
製した。そして、この被覆層形成液を流動床型塗布装置
により0.4[MPa]のスプレーエアー圧で1000
部のフェライトの表面に塗布して、フェライト表面に被
覆層を形成した。その後、300[℃]の温度下の電気
炉にて2時間焼成し、キャリアC3を作製した。このフ
ェライトとしては、平均粒径が55[μm]であり、飽
和磁化値が60×10-7×4π[Wb・m/kg]のも
のを使用した。このキャリアC3の平均粒径は55[μ
m]であり、その飽和磁化値は60×10-7×4π[W
b・m/kg]であった。
【0046】(キャリアC4の作製)上記表2に示す処
方を、ホモミキサーで20分分散して被覆層形成液を調
製した。そして、この被覆層形成液を流動床型塗布装置
により0.4[MPa]のスプレーエアー圧で1000
部のフェライトの表面に塗布して、フェライト表面に被
覆層を形成した。その後、300[℃]の温度下の電気
炉にて2時間焼成し、キャリアC4を作製した。このフ
ェライトとしては、平均粒径が55[μm]、飽和磁化
値が50×10-7×4π[Wb・m/kg]、電流値が
60[μA]、流動度が25[秒/50g]のものを使
用した。このキャリアC4の静抵抗値は12.4[lo
gΩ]で、その流動度は29[秒/50g]であり、そ
の飽和磁化値は50×10-7×4π[Wb・m/kg]
であった。
【0047】(キャリアC5の作製)下記の表4に示す
処方を、ホモミキサーで20分分散して被覆層形成液を
調製した。そして、この被覆層形成液を流動床型塗布装
置により0.4[MPa]のスプレーエアー圧で100
0部のフェライトの表面に塗布して、フェライト表面に
被覆層を形成した。その後、300[℃]の温度下の電
気炉にて2時間焼成し、キャリアC5を作製した。この
フェライトとしては、平均粒径が55[μm]、飽和磁
化値が50×10-7×4π[Wb・m/kg]、電流値
が30[μA]のものを使用した。このキャリアC5の
静抵抗値は13.8[logΩ]で、その流動度は35
[秒/50g]であり、その飽和磁化値は50×10-7
×4π[Wb・m/kg]であった。
【表4】
【0048】(キャリアC6の作製)上記表3に示す処
方を、ホモミキサーで20分分散して被覆層形成液を調
製した。そして、この被覆層形成液を流動床型塗布装置
により0.1[MPa]のスプレーエアー圧で1000
部のフェライトの表面に塗布して、フェライト表面に被
覆層を形成した。その後、300[℃]の温度下の電気
炉にて2時間焼成し、キャリアC6を作製した。このフ
ェライトとしては、平均粒径が55[μm]、飽和磁化
値が50×10-7×4π[Wb・m/kg]、電流値が
30[μA]、流動度が20[秒/50g]のものを使
用した。このキャリアC6の静抵抗値は13.8[lo
gΩ]で、その流動度は25[秒/50g]であり、そ
の飽和磁化値は50×10-7×4π[Wb・m/kg]
であった。
【0049】(キャリアC7の作製)上記表3に示す処
方を、ホモミキサーで20分分散して被覆層形成液を調
製した。そして、この被覆層形成液を流動床型塗布装置
により0.6[MPa]のスプレーエアー圧で1000
部のフェライトの表面に塗布して、フェライト表面に被
覆層を形成した。その後、300[℃]の温度下の電気
炉にて2時間焼成し、キャリアC7を作製した。このフ
ェライトとしては、平均粒径が55[μm]、飽和磁化
値が50×10-7×4π[Wb・m/kg]、電流値が
30[μA]、流動度が30[秒/50g]のものを使
用した。このキャリアC7の静抵抗値は13.8[lo
gΩ]で、その流動度は42[秒/50g]であり、そ
の飽和磁化値は50×10-7×4π[Wb・m/kg]
であった。
【0050】(キャリアC8の作製)上記表3に示す処
方を、ホモミキサーで20分分散して被覆層形成液を調
製した。そして、この被覆層形成液を流動床型塗布装置
により0.3[MPa]のスプレーエアー圧で1000
部のフェライトの表面に塗布して、フェライト表面に被
覆層を形成した。その後、340[℃]の温度下の電気
炉にて2時間焼成し、キャリアC8を作製した。このフ
ェライトとしては、平均粒径が55[μm]、飽和磁化
値が50×10-7×4π[Wb・m/kg]、電流値が
30[μA]、流動度が25[秒/50g]のものを使
用した。このキャリアC8の静抵抗値は13.8[lo
gΩ]で、その流動度は33[秒/50g]であり、そ
の飽和磁化値は50×10-7×4π[Wb・m/kg]
であった。
【0051】(キャリアC9の作製)上記表3に示す処
方を、ホモミキサーで20分分散して被覆層形成液を調
製した。そして、この被覆層形成液を流動床型塗布装置
により0.3[MPa]のスプレーエアー圧で1000
部のフェライトの表面に塗布して、フェライト表面に被
覆層を形成した。その後、260[℃]の温度下の電気
炉にて2時間焼成し、キャリアC9を作製した。このフ
ェライトとしては、平均粒径が55[μm]、飽和磁化
値が50×10-7×4π[Wb・m/kg]、電流値が
30[μA]、流動度が25[秒/50g]のものを使
用した。このキャリアC9の静抵抗値は13.8[lo
gΩ]で、その流動度は33[秒/50g]であり、そ
の飽和磁化値は50×10-7×4π[Wb・m/kg]
であった。
【0052】(測定方法)次に、上述したトナー及びキ
ャリアの特性を測定するために使用した方法について説
明する。キャリアの飽和磁化値については、測定装置と
して、BHU−60型磁化測定装置(理研測定製)を用
いた。そして、秤量した約1.0[g]のキャリアを内
径7mmφで高さ10[mm]のセルに詰め、上記測定
装置にセットし、印加磁場を徐々に高めて最大3000
×103/4π[A/m]まで上昇させ、次いで印加磁
場を減少させた。これにより得られるヒステリシスカー
ブを最終的に記録紙上に記録し、その記録結果に基づい
て飽和磁化値を求めたものを、キャリアの飽和磁化値と
した。キャリアの平均粒径については、測定装置として
マイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社:LEE
DS&NORTHRUP製Type7995)のSRA
タイプを用いた。この測定は、0.7[μm]以上12
5[μm]以下のレンジ設定で行った。また、キャリア
や現像剤の流動度は、50gのキャリア又は現像剤が細
孔から落下するのに要する時間である。その測定は、J
IS−Z2504に基づき、試料を温度が23[℃]±
3[℃]、湿度が60[%]±10[%]の環境下に2
時間放置後に行った。また、キャリアの静抵抗値は、図
6に示す静抵抗測定装置を用いて測定を行った。この静
抵抗測定装置は、セル60と、このセル60に接続され
る2つの電極61,62と、これらの電極61,62の
間に電圧を印加する電源63と、これらの電極61,6
2の間に流れる電流を測定する電流計64と、これらの
電極61,62の間に生じる電圧を測定するための電圧
計65とから構成されている。この静抵抗測定装置を用
いて測定を行う場合、セル60にキャリア又は現像剤B
を充填した後、電源63から電圧を印加したときに電流
計64で計測される電流値から、キャリア又は現像剤B
の静抵抗値を求めた。本測定において、セル60に充填
されたキャリア又は現像剤Bに接触する電極61,62
の面積は約4.0[cm2]であった。また、2つの電
極61,62の間隔すなわちキャリア又は現像剤Bの電
流方向の厚さdは約2[mm]であった。また、上部電
極62の重量は275[g]であった。そして、電源6
3から印加される電圧は500Vとした。尚、本測定に
おいては、キャリア又は現像剤Bが粉体であるので、セ
ル60の充填率が変化しやすく、充填率の変化により静
抵抗値が変化することがあるので注意を要する。トナー
の重量平均粒径は、コールターカウンターII型(コール
ター社製)を使用し、その測定結果に基づいて、例えば
個数分布、体積分布といった特性について解析すること
により、トナーの重量平均粒径を求めた。この測定で使
用する電解液としては、1級塩化ナトリウムを使用して
調節した1[%]塩化ナトリウム水溶液を用いた。
【0053】〔実験例1〕本実験例で使用する現像装置
2のように、法線方向磁束密度の減衰率が40[%]以
上であって、現像剤供給量が65[mg/cm2]以上
95[mg/cm2]以下である条件下では、磁気ブラ
シが短くかつ密な状態になる。そのため、現像領域にお
ける現像スリーブ4の線速が感光体ドラム1の線速に対
して1.1〜3.0倍、実用的にはおよそ1.5〜2.
0倍に設定し、高い画像濃度を維持し、ぼそつき画像の
発生を抑制する必要がある。しかし、このように高い線
速比に設定する場合、一般に現像スリーブ4の線速を速
めるので、上述したように感光体ドラム1へのキャリア
付着の問題が生じる。そこで、本実験例1では、キャリ
アの飽和磁化値と感光体ドラム1へのキャリア付着との
関係について確認する。
【0054】本実験例1では、トナーT及びキャリアC
1〜C3をそれぞれ混合してトナー濃度が5[wt%]
の2つの現像剤を作製した。本実験例で使用する現像装
置2は、上述した実施形態で説明したものであり、主磁
極P1bの法線方向磁束密度の最高値は120[mT]
である。また、その法線方向磁束密度の減衰率は53.
5[%]であり、主磁極P1bの半値角度幅は16
[°]である。また、本実験例では、現像領域における
感光体ドラム1の線速(150[mm/秒])に対する
現像スリーブ4の線速(300[mm/秒])の比を
2.0に設定している。そして、この現像装置2に本実
験例の現像剤を1[kg]を入れ、上述した実施形態に
係るレーザプリンタにより、A4版(横)の用紙全面に
ハーフトーン画像を10枚プリントした。感光体ドラム
1にキャリアが付着した場合、ハーフトーン画像中に白
い点状のドット抜け(以下、「白抜け」という。)が発
生するので、本実験例では、プリントした10枚の画像
中の白抜けした点の数をカウントし、1枚平均の白抜け
個数を特性値として評価に用いた。1枚平均の白抜け個
数が15個以下であれば、キャリア付着は実用レベルで
十分に許容範囲内となる。本実験例における実験結果
は、下記の表5に示すとおりである。
【0055】
【表5】
【0056】上記表5に示すように、飽和磁化値が25
×10-7×4π[Wb・m/kg]であるキャリアC1
を含む現像剤使用時には、1枚平均の白抜け個数が3
8.3個であった。これに対し、飽和磁化値が40×1
-7×4π[Wb・m/kg]及び60×10-7×4π
[Wb・m/kg]であるキャリアC2及びキャリアC
3を含む現像剤使用時には、1枚平均の白抜け個数がそ
れぞれ14.9個、10.6個であった。よって、飽和
磁化値が少なくとも40×10-7×4π[Wb・m/k
g]以上60×10-7×4π[Wb・m/kg]未満で
あるキャリアを用いた場合には、飽和磁化値が40×1
-7×4π[Wb・m/kg]未満のキャリアを用いる
場合に比べて、感光体ドラム1の表面へのキャリア付着
が低減することが確認された。
【0057】この結果について考察すると、現像領域中
において現像スリーブ4上の現像剤中に含まれるキャリ
アは磁気ブラシを形成するが、本実施形態のように減衰
率が53.5[%]と高いため、磁気ブラシの先端部分
を構成するキャリアを磁力により現像スリーブ4側に拘
束するための拘束力は比較的弱いものである。ここで、
現像領域中のキャリアには、現像スリーブ4の表面移動
により加わる遠心力や感光体ドラム1の表面又はその表
面に付着したトナーから受ける静電力等の感光体ドラム
1側に向かう合成力が加わる。そして、キャリアC1
は、飽和磁化値が25×10-7×4π[Wb・m/k
g]と比較的低いため、現像スリーブ4側へのキャリア
C1の拘束力が感光体ドラム1側への遠心力や静電力等
の合成力に負けてしまう。その結果、磁気ブラシ先端部
分を構成するキャリアC1の多くが感光体ドラム1側に
移動し、付着したものと考えられる。一方、キャリアC
2やキャリアC3のように飽和磁化値が40×10-7×
4π[Wb・m/kg]以上と比較的高い場合、現像ス
リーブ4側へのキャリアの拘束力が感光体ドラム1側へ
の遠心力や静電力等の合成力に打ち勝つことができる。
その結果、磁気ブラシ先端部分を構成するキャリアC1
が感光体ドラム1側に移動し、付着するのを十分に抑制
することができたものと考えられる。尚、キャリアの飽
和磁化値が60×10-7×4π[Wb・m/kg]以上
であると、現像領域におけるキャリアの拘束力が強すぎ
てしまう。そのため、現像スリーブ4上の磁気ブラシの
穂立ち状態が固く締ったものとなり、画像の階調性や中
間調の再現性が悪化することが確認された。
【0058】以上、本実験例1により、キャリアの飽和
磁化値を40×10-7×4π[Wb・m/kg]以上6
0×10-7×4π[Wb・m/kg]未満とすれば、感
光体ドラム1へのキャリア付着を十分に抑制できること
が確認された。その結果、感光体ドラム1に付着したキ
ャリアによるドット抜け等の画質劣化、感光体ドラム1
の周囲に配置された部品の損傷を低減できることが判明
した。
【0059】〔実験例2〕実験例2では、上記トナーT
及びキャリアC1とキャリアC4とキャリアC5とをそ
れぞれ混合してトナー濃度が5[wt%]の2つの現像
剤を作製した。本実験例では、各現像剤について、上記
実験例1と同じ現像装置2を備えたレーザプリンタを用
い、上記実験例1と同様にして画像を10枚プリント
し、1枚平均の白抜け個数に基づいて評価を行った。本
実験例2における実験結果は、下記の表6に示すとおり
である。
【0060】
【表6】
【0061】上記表6に示すように、静抵抗値が16.
2[logΩ]であるキャリアC1を含む現像剤使用時
には、1枚平均の白抜け個数が38.3個であった。こ
れに対し、静抵抗値が12.4[logΩ]及び13.
8[logΩ]であるキャリアC4及びキャリアC5を
含む現像剤使用時には、1枚平均の白抜け個数がそれぞ
れ7.9個、10.5個であった。そして、本発明者ら
の研究の結果、静抵抗値が12[logΩ]以上14
[logΩ]以下という比較的静抵抗値が低いキャリア
を用いた場合には、静抵抗値が14[logΩ]を越え
るキャリアを用いる場合に比べて、感光体ドラム1の表
面へのキャリア付着が低減することが確認された。
【0062】この結果について考察すると、現像領域中
のキャリアには、現像スリーブ4の表面移動により加わ
る遠心力とともに、感光体ドラム1の表面から受ける静
電力が加わる。この静電力は、磁気ブラシを構成するキ
ャリアを感光体ドラム1側に引き寄せる力となる。ここ
で、磁気ブラシの先端部分を構成するキャリアが感光体
ドラム表面と近接することで、そのキャリアの感光体ド
ラム表面と対向する側の面には、感光体ドラム1の表面
に存在する電荷と逆の電荷が誘起されることになる。こ
れにより、キャリアは、感光体ドラム表面からの静電力
を受けて感光体ドラム1側に引き寄せられることにな
る。そして、この静電力の強さは、キャリア表面に誘起
する電荷量が大きいほど大きくなる。キャリアC1は、
静抵抗値が16.2[logΩ]と比較的高いため、感
光体ドラム1の表面電荷によりキャリア表面に誘起され
る電荷量が比較的高くなる。このため、感光体ドラムの
表面からキャリアC1に働く静電力は比較的大きく、キ
ャリアC1を感光体ドラム1側に引き寄せる力が大き
い。よって、磁力により現像スリーブ4側へのキャリア
C1の拘束力が感光体ドラム1側への遠心力や静電力の
合成力に負けて、磁気ブラシ先端部分を構成するキャリ
アC1の多くが感光体ドラム1側に移動し、付着したも
のと考えられる。一方、キャリアC4やキャリアC5の
ように静抵抗値が12[logΩ]以上14[log
Ω]以下と比較的低い場合、感光体ドラム1の表面電荷
によりキャリア表面に誘起される電荷量が比較的低くな
る。このため、感光体ドラムの表面からキャリアC4,
C5に働く静電力は比較的小さいものとなる。したがっ
て、キャリアC4,C5を感光体ドラム1側に引き寄せ
る力が小さくなる。この結果、現像スリーブ4側へのキ
ャリアC1の拘束力が感光体ドラム1側への遠心力や静
電力等の合成力に打ち勝つことができる。したがって、
磁気ブラシ先端部分を構成するキャリアが感光体ドラム
1側に移動し、付着するのを十分に抑制することができ
たものと考えられる。尚、キャリアの静抵抗値を下げる
には、キャリアの被覆層を薄くする必要がある。このた
め、静抵抗値が12[logΩ]未満となるキャリアを
得ようとした場合、キャリアの被覆層が薄すぎるため
に、キャリアの寿命が短くなってキャリアの帯電が不安
定となる。その結果、感光体ドラム1の潜像を乱すこと
となるので、経時的に良好な画像を得ることができない
ことが確認された。
【0063】以上、本実験例2により、キャリアの静抵
抗値を12[logΩ]以上14[logΩ]以下とす
れば、感光体ドラム1へのキャリア付着をより効果的に
抑制できることが確認された。その結果、感光体ドラム
1に付着したキャリアによるドット抜け等の画質劣化、
感光体ドラム1の周囲に配置された部品の損傷をより低
減できることが判明した。
【0064】〔実験例3〕実験例3では、上記トナーT
及びキャリアC5〜C7をそれぞれ混合してトナー濃度
が5[wt%]の2つの現像剤を作製した。本実験例で
は、各現像剤について、上記実験例1と同じ現像装置2
を備えたレーザプリンタを用い、上記実験例1と同様に
して画像を10枚プリントし、1枚平均の白抜け個数に
基づいて評価を行った。本実験例3における実験結果
は、下記の表7に示すとおりである。
【0065】
【表7】
【0066】上記表7に示すように、キャリアの流動度
が25[秒/50g]であるキャリアC6を含む現像剤
使用時には、1枚平均の白抜け個数が12.9個であっ
た。これに対し、キャリアの流動度が35[秒/50
g]及び42[秒/50g]であるキャリアC5及びキ
ャリアC7を含む現像剤使用時には、1枚平均の白抜け
個数がそれぞれ10.5個、7.8個であった。本発明
者らの研究の結果、キャリアの流動度が小さいと、感光
体ドラム1へのキャリア付着が生じやすくなることが確
認された。そして、本発明者らは、キャリアの流動度が
20[秒/50g]以上40[秒/50g]以下の範囲
内であれば、高い画質を維持しつつ、感光体ドラム1の
表面へのキャリア付着を効果的に減らすことができるこ
とを確認した。
【0067】この結果について考察すると、同じ磁石ロ
ーラ5を用いた場合でも、現像剤流動度やキャリア流動
度によって、磁気ブラシの長さが変わり、かつ、磁気ブ
ラシの密度が変化して磁気ブラシの硬さも変わり、画質
にも大きく影響してくる。すなわち、キャリアの流動度
が小さく、現像剤がさらさらしたものであると、穂立ち
が弱くなり、磁気ブラシが柔らかいものとなって画質を
向上させることになる。しかし、キャリアの流動度が2
0[秒/50g]よりも低くなると、感光体ドラム1へ
のキャリア付着が生じやすくなるとともに、画像濃度が
低くなってしまう。一方、キャリアの流動度が40[秒
/50g]を越えて現像剤の流動性の悪くなると、磁気
ブラシが硬く密になり、画像の階調性や中間調の再現性
が悪化する。これは、硬く密なブラシ部分が感光体ドラ
ムを強く擦ってしまうことが原因であると考えられる。
【0068】以上、本実験例3により、キャリアの流動
度を20[秒/50g]以上40[秒/50g]以下と
すれば、感光体ドラム1へのキャリア付着を効果的に抑
制でき、かつ、画像濃度が高く階調性等に優れた良好な
画質を得られることが確認された。また、現像剤の流動
度とキャリアの流動度との関係は、上述したキャリアC
1〜C9を元に判断すると、平均して現像剤の流動度の
方がキャリアの流動度よりも9.8[秒/50g]大き
いものとなる。したがって、キャリアの流動度を30
[秒/50g]以上50[秒/50g]以下、好ましく
は30[秒/50g]以上45[秒/50g]以下とす
れば、上記と同様に、感光体ドラム1へのキャリア付着
を抑制しつつ、画像濃度が高く階調性や中間調の再現性
に優れた良好な画質を得ることができる。
【0069】〔実験例4〕実験例4では、上記トナーT
及びキャリアC8及びキャリアC9をそれぞれ混合して
トナー濃度が5[wt%]の2つの現像剤を作製した。
このとき、キャリアC8を含む現像剤のトナー帯電量
は、10.5[μC/g]であり、キャリアC9を含む
現像剤のトナー帯電量は、39.3[μC/g]であっ
た。また、各現像剤の流動度は、43[秒/50g]で
あった。本実験例では、各現像剤について、上記実験例
1と同じ現像装置2を備えたレーザプリンタを用い、上
記実験例1と同様にして画像を10枚プリントし、1枚
平均の白抜け個数に基づいて評価を行った。本実験例4
における実験結果は、下記の表8に示すとおりである。
【0070】
【表8】
【0071】上記表8に示すように、トナーの帯電量が
39.3[μC/g]であるキャリアC9を含む現像剤
使用時には、1枚平均の白抜け個数が12.6個であっ
た。これに対し、トナーの帯電量が10.5[μC/
g]であるキャリアC8を含む現像剤使用時には、1枚
平均の白抜け個数がそれぞれ6.9個であった。本発明
者らの研究の結果、トナーの帯電量が大きいと、感光体
ドラム1へのキャリア付着が生じやすくなることが確認
された。そして、本発明者らは、トナーの帯電量が10
[μC/g]以上40[μC/g]以下の範囲内であれ
ば、高い画質を維持しつつ、感光体ドラム1の表面への
キャリア付着を効果的に減らすことができることを確認
した。
【0072】この結果について考察すると、現像領域中
のキャリアには、感光体ドラム1に付着したトナーから
感光体ドラム1側に引き寄せる静電力が働く。この静電
力は、トナーの帯電量が大きいほど強くなるため、トナ
ーの帯電量が大きいと、キャリアが感光体ドラム1側に
引き寄せられてキャリア付着が生じやすいものと考えら
れる。ここで、トナーの帯電能力が低く、そのトナーの
帯電量が10[μC/g]よりも小さくなると、トナー
とキャリアとの吸着力が小さくなりすぎてトナー飛散が
生じやすくなる。また、現像領域中でトナーが感光体ド
ラム1上の静電潜像部分への移動力が不足し、画像濃度
が低くなってしまう。一方、トナーの帯電能力が高く、
そのトナーの帯電量が40[μC/g]を越えると、ト
ナーとキャリアとの吸着力が大きくなりすぎてトナーが
キャリアから離れにくくなる。そのため、現像領域にお
いてキャリアがトナーと一緒に感光体ドラム1に移動し
てしまいキャリア付着が生じやすくなる。
【0073】以上、本実験例4により、トナーの帯電量
を10[μC/g]以上40[μC/g]以下とすれ
ば、感光体ドラム1へのキャリア付着をより効果的に抑
制できるとともに、トナー飛散や画像濃度低下等を発生
させずに良好な画質を得ることができることが判明し
た。
【0074】以上、本実施形態によれば、トナーと磁性
粒子としてのキャリアを含む現像剤を表面に担持して表
面移動する現像剤担持体としての現像スリーブ4と、静
電潜像を表面に担持して表面移動する潜像担持体として
の感光体ドラム1が対向する現像領域で、その現像領域
に対向するように配置した現像磁極としての主磁極P1
b及び補助磁極P1a,P1cにより現像スリーブ4上
の現像剤を穂立ちさせて磁気ブラシを形成し、その現像
スリーブ4を現像領域で感光体ドラム1の表面移動方向
と同方向かつ感光体ドラム表面の線速よりも大きい線速
で表面移動させて磁気ブラシにより感光体ドラム1の表
面を摺擦し、感光体ドラム1上の潜像を現像する現像装
置について、現像領域における現像スリーブ4の線速が
150[mm/秒]以上500[mm/秒]未満であ
り、現像スリーブ4に担持されて現像領域に搬送される
現像剤の量(現像剤供給量)が65[mg/cm2]以
上95[mg/cm2]以下であり、主磁極P1b及び
補助磁極P1a,P1cにより現像領域の現像スリーブ
4の表面外側に生じる磁束の現像スリーブ表面法線方向
における磁束密度の減衰率が40[%]以上であり、現
像領域で主磁極P1b及び補助磁極P1a,P1cによ
り生じる磁束の現像スリーブ表面上における現像スリー
ブ表面の法線方向磁束密度が100[mT]以上200
[mT]以下であり、キャリアの飽和磁化値が40×1
-7×4π[Wb・m/kg]以上60×10-7×4π
[Wb・m/kg]未満であるので、上記実験例1で説
明したように、磁気ブラシの長さが短く、かつ、潜像担
持体に接触するブラシ部分の密度が高くできるので、細
線再現性の向上や後端白抜け現象の抑制を図ることがで
きるとともに、磁気ブラシ先端部分を構成するキャリア
の拘束力を十分に高めることができるので、感光体ドラ
ム1へのキャリア付着を抑制することができる。また、
本実施形態においては、主磁極P1b及び補助磁極P1
a,P1cにより現像スリーブ4の表面上に生じる現像
スリーブ表面の法線方向における最高磁束密度の半分の
磁束密度となる現像スリーブ表面上の半値点を現像領域
における現像スリーブ表面の曲率中心軸から見たときの
現像スリーブ4の表面移動方向における半値点間の角度
幅(半値角度幅)が25[°]以下であるので、減衰率
が40[%]以上である場合と同様に、磁気ブラシの長
さが短く、かつ、潜像担持体に接触するブラシ部分の密
度が高くなり、細線再現性の向上や後端白抜け現象の抑
制を図ることができるとともに、磁気ブラシ先端部分を
構成するキャリアの拘束力を十分に高めることができる
ので、感光体ドラム1へのキャリア付着を抑制すること
ができる。また、本実施形態においては、キャリアの静
抵抗値が12[logΩ]以上14[logΩ]以下で
あるので、上記実験例2で説明したように、感光体ドラ
ム1へのキャリア付着をより効果的に抑制できる。その
結果、感光体ドラム1に付着したキャリアによるドット
抜け等の画質劣化、感光体ドラム1の周囲に配置された
部品の損傷をより低減できる。また、本実施形態におい
ては、キャリアの流動度が20[秒/50g]以上40
[秒/50g]以下であるので、上記実験例3で説明し
たように、感光体ドラム1へのキャリア付着を効果的に
抑制できる。また、画像濃度が高く階調性や中間調の再
現性に優れた良好な画質を得ることもできる。このと
き、トナーの帯電量を10[μC/g]以上40[μC
/g]以下とすることで、上記実験例4で説明したよう
に、感光体ドラム1へのキャリア付着をより効果的に抑
制できる。また、トナー飛散や画像濃度低下等を発生さ
せずに良好な画質を得ることもできる。また、本実施形
態においては、潜像担持体としての感光体ドラム1と、
その感光体ドラム1に潜像を形成する潜像形成手段とし
ての光書込ユニット51と、感光体ドラム1上の潜像を
トナーと磁性粒子としてのキャリアを含む現像剤により
現像する現像手段と、感光体ドラム1上のトナー像を転
写材としての転写紙52上に転写する転写手段としての
転写ユニットを備えた画像形成装置としてのレーザプリ
ンタの現像手段として、上述した現像装置2を用いてい
るので、磁気ブラシの長さが短く、かつ、潜像担持体に
接触するブラシ部分の密度が高くできるので、細線再現
性の向上や後端白抜け現象の抑制を図ることができると
ともに、磁気ブラシ先端部分を構成するキャリアの拘束
力を十分に高めることができるので、感光体ドラム1へ
のキャリア付着を抑制することができる。
【0075】
【発明の効果】請求項1及び2の発明によれば、現像領
域における現像剤担持体の線速が150[mm/秒]以
上500[mm/秒]未満に設定され、磁気ブラシの長
さが短く、かつ、潜像担持体に接触するブラシ部分の密
度が高い現像装置における現像領域に形成される磁界中
で、磁気ブラシ先端部分を構成するキャリアの拘束力を
十分に高めることができるので、現像領域における潜像
担持体の線速が100[mm/秒]以上300[mm/
秒]以下に設定された画像形成速度が比較的速い画像形
成装置(中速機)において、高い画像濃度を維持しつ
つ、潜像担持体へのキャリア付着を抑制することが可能
となるという優れた効果がある。更に、請求項1及び2
の発明によれば、磁気ブラシの先端部分を構成するキャ
リアの拘束力が強いため、潜像担持体表面に接触する磁
気ブラシの先端部分が潜像担持体表面をしっかりと摺擦
でき、磁気ブラシの摺擦による潜像担持体上の静電潜像
へのトナー供給量を高める効果を向上させ、高い画像濃
度を得ることが可能となるという優れた効果もある。ま
た、請求項6の発明によれば、現像領域における潜像担
持体の線速が100[mm/秒]以上300[mm/
秒]以下に設定された画像形成速度が比較的速い画像形
成装置に、磁気ブラシの長さが短く、かつ、潜像担持体
に接触するブラシ部分の密度が高い現像装置を使用して
画像形成を行う場合でも、潜像担持体へのキャリア付着
を抑制し、かつ、高い画像濃度を得ることが可能である
という優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1に係るプリンタの感光体ドラム周囲
の概略構成図。
【図2】同プリンタ全体の概略構成図。
【図3】同プリンタの磁石ローラの各磁極により現像ス
リーブ表面に発生する法線方向磁束密度の分布を示す円
グラフ。
【図4】同磁気ローラの現像磁極を構成する3つの磁極
の配置を示す説明図。
【図5】(a)は、3つの磁極で現像磁極を構成した場
合の半値角度幅を示す説明図。(b)は、1つの磁極で
現像磁極を構成した場合の半値角度幅を示す説明図。
【図6】キャリアの静抵抗値を測定するための測定装置
の概略構成図。
【図7】(a)は、現像磁極が1つの磁極からなる従来
の現像装置における現像領域近傍の磁力分布を示す説明
図。(b)は、同現像装置において、現像磁極により形
成される磁界から磁力を受けて穂立ちした現像剤からな
る磁気ブラシを現像スリーブ軸方向から見たときの形状
を示す説明図。
【図8】(a)は、現像磁極が1つの主磁極と2つの補
助磁極からなる現像装置における現像領域近傍の磁力分
布を示す説明図。(b)は、同現像装置において、現像
磁極により形成される磁界から磁力を受けて穂立ちした
現像剤からなる磁気ブラシを現像スリーブ軸方向から見
たときの形状を示す説明図。
【符号の説明】
1 感光体ドラム 2 現像装置 3 現像ローラ 4 現像スリーブ 5 磁気ローラ 6 ドクタブレード 7 現像ケーシング 8 スクリュー 50 帯電ローラ 51 光書込ユニット 52 転写紙 53 転写ベルト P1b 主磁極 P1a,P1c 補助磁極
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 9/10 361 (72)発明者 朱 冰 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 鈴木 弘治 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 伊藤 昭宏 宮城県柴田郡柴田町大字中名生字神明堂3 番地の1 Fターム(参考) 2H005 BA01 BA06 BA07 CA12 CB18 EA01 EA02 FA02 2H031 AC08 AC14 AC15 AC18 AC19 AC20 AD03 AD15 BA05 BA09 DA01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トナーと磁性粒子を含む現像剤を表面に担
    持して表面移動する現像剤担持体と、静電潜像を表面に
    担持して表面移動する潜像担持体とが対向する現像領域
    で、該現像領域に対向するように配置した現像磁極によ
    り該現像剤担持体上の現像剤を穂立ちさせて該現像剤担
    持体上に磁気ブラシを形成し、該現像剤担持体を該現像
    領域で該潜像担持体の表面移動方向と同方向かつ該潜像
    担持体表面の線速よりも大きい線速で表面移動させて、
    該磁気ブラシにより該潜像担持体の表面を摺擦し、該潜
    像担持体上の潜像を現像する現像装置において、上記現
    像領域における上記現像剤担持体の線速が、150[m
    m/秒]以上500[mm/秒]未満であり、上記現像
    剤担持体に担持されて現像領域に搬送される現像剤の量
    が、65[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下
    であり、上記現像磁極により上記現像領域の現像剤担持
    体表面外側に生じる磁束の該現像剤担持体表面法線方向
    における磁束密度の減衰率が40[%]以上であり、上
    記現像領域で上記現像磁極により生じる磁束の上記現像
    剤担持体表面上における該現像剤担持体表面の法線方向
    磁束密度が100[mT]以上200[mT]以下であ
    り、上記磁性粒子の飽和磁化値が、40×10-7×4π
    [Wb・m/kg]以上60×10-7×4π[Wb・m
    /kg]未満であることを特徴とする現像装置。
  2. 【請求項2】トナーと磁性粒子を含む現像剤を表面に担
    持して表面移動する現像剤担持体と、静電潜像を表面に
    担持して表面移動する潜像担持体とが対向する現像領域
    で、該現像領域に対向するように配置した現像磁極によ
    り該現像剤担持体上の現像剤を穂立ちさせて該現像剤担
    持体上に磁気ブラシを形成し、該現像剤担持体を該現像
    領域で該潜像担持体の表面移動方向と同方向かつ該潜像
    担持体表面の線速よりも大きい線速で表面移動させて、
    該磁気ブラシにより該潜像担持体の表面を摺擦し、該潜
    像担持体上の潜像を現像する現像装置において、上記現
    像領域における上記現像剤担持体の線速が、150[m
    m/秒]以上500[mm/秒]未満であり、上記現像
    剤担持体に担持されて現像領域に搬送される現像剤の量
    が、65[mg/cm2]以上95[mg/cm2]以下
    であり、上記現像磁極により上記現像剤担持体表面上に
    生じる該現像剤担持体表面の法線方向における最高磁束
    密度の半分の磁束密度となる該現像剤担持体表面上の半
    値点を、上記現像領域における該現像剤担持体表面の曲
    率中心軸から見たときの該現像剤担持体の表面移動方向
    における半値点間の角度幅が25[°]以下であり、上
    記現像領域で上記現像磁極により生じる磁束の上記現像
    剤担持体表面上における該現像剤担持体表面の法線方向
    磁束密度が100[mT]以上200[mT]以下であ
    り、上記磁性粒子の飽和磁化値が、40×10-7×4π
    [Wb・m/kg]以上60×10-7×4π[Wb・m
    /kg]未満であることを特徴とする現像装置。
  3. 【請求項3】請求項1又は2の現像装置において、上記
    磁性粒子の静抵抗値が、12[logΩ]以上14[l
    ogΩ]以下であることを特徴とする現像装置。
  4. 【請求項4】請求項1、2又は3の現像装置において、
    上記磁性粒子の流動度が、20[秒/50g]以上40
    [秒/50g]以下であることを特徴とする現像装置。
  5. 【請求項5】請求項4の現像装置において、上記トナー
    の帯電量が、10[μC/g]以上40[μC/g]以
    下であることを特徴とする現像装置。
  6. 【請求項6】潜像担持体と、上記潜像担持体に潜像を形
    成する潜像形成手段と、上記潜像担持体上の潜像を、ト
    ナーと磁性粒子を含む現像剤により現像する現像手段
    と、上記潜像担持体上のトナー像を転写材上に転写する
    転写手段とを備えた画像形成装置において、上記潜像担
    持体と、上記現像手段に設けられる現像剤担持体とが対
    向する現像領域における該潜像担持体の線速が、100
    [mm/秒]以上300[mm/秒]以下であり、上記
    現像手段として、請求項1、2、3、4又は5の現像装
    置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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