JP2004029569A - 現像装置及びこれを備えた画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】大型化及びコストの上昇を招くことなく高い画質を長期間維持することが可能な現像装置及びこれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体1上の静電像をトナーを含む現像剤により現像する現像装置4に、現像剤を担持する複数の現像剤担持体41a,41bを像担持体1の回転方向に沿って配置する。そして、複数の現像剤担持体41a,41bのうち下流にある現像剤担持体41bから像担持体1へ単位時間内に移動する第1のトナーの質量が、上流にある現像剤担持体41aから像担持体1へ単位時間内に移動する第2のトナーの質量より少なくなるようにすることにより、トナー消費率を低減するようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】像担持体1上の静電像をトナーを含む現像剤により現像する現像装置4に、現像剤を担持する複数の現像剤担持体41a,41bを像担持体1の回転方向に沿って配置する。そして、複数の現像剤担持体41a,41bのうち下流にある現像剤担持体41bから像担持体1へ単位時間内に移動する第1のトナーの質量が、上流にある現像剤担持体41aから像担持体1へ単位時間内に移動する第2のトナーの質量より少なくなるようにすることにより、トナー消費率を低減するようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、現像装置及びこれを備えた画像形成装置に関し、特に像担持体上の静電像を現像する現像剤を担持する現像剤担持体の構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式を用いた複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ、印刷装置等の画像形成装置においては、像担持体表面に対して一様に帯電を行った後、例えば半導体レーザーないしはLEDにより画像露光を行い、像担持体上に静電潜像を形成すると共に、この静電潜像を現像装置により現像剤像として可視像化した後、この可視像を転写材に転写し、この後、定着装置により転写材に定着して出力する画像形成装置が知られている。
【0003】
ところで、近年のコンピュータ化・ネットワーク化が急速に進行する状況下では、コンピュータの情報をネットワークを介して受信して出力するタイプの画像形成装置が急速に普及しつつあり、さらに画像形成装置に対する高速化、高画質化の要請も強くなってきている。
【0004】
そして、このような高速度出力を行う画像形成装置に用いられる現像装置として、特開平03−204084号公報に記載されているもののように、現像剤を担持する現像剤担持体を複数備えるようにしたものがある。
【0005】
ここで、発明者は、現像装置の現像剤担持体を複数にすることによって、トナー消費量が低減し、図12に示すように潜像担持体の回転軸方向に伸びる細線の尾引き現象が抑制されるという予想しなかった効果を見出した。なお、このように尾引き現象が抑制されると、高い画質を長期間維持することが可能となるばかりでなく、トナー消費率が低減し、これに伴い画像形成装置の保守・点検頻度も低減する。ただし、かかる効果を得るには、特定の条件が必要であることも見出し、発明者は、その条件の探索に勤しんできた。
【0006】
なお、現像装置の現像剤担持体を複数にする場合の、各現像剤担持体の条件に関しても多くの提案がなされている。例えば、特公昭62−2314号公報、特公昭64−8328号公報及び特開平8−286503号公報には、潜像担持体の移動方向下流側に位置する現像剤担持体の移動速度を大きくする旨の提案がされている。また、特許2790823号公報及び特許2790827号公報には、現像領域幅を、潜像担持体の移動方向下流側に位置する現像剤担持体においてより大きくする旨の提案がされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの提案は、二成分現像剤を使用することを前提とするものであり、一成分磁性トナーの場合には、前述の「予想しなかった効果」は得られなかった。
【0008】
そこで、尾引き現象を抑制するため、例えば特開2000−172043号公報では、現像バイアスの交流振幅を、像担持体の移動方向下流側に位置する現像剤担持体においてより小さくする旨、及び現像バイアスの交流周波数を、像担持体の移動方向下流側に位置する現像剤担持体においてより高くする旨の提案がされている。
【0009】
しかし、このように構成した場合、一成分磁性トナーを用いた場合でも、尾引き現象を抑制することができ、これに伴いトナー消費率を低減することができ、高い画質を長期間維持することができるが、現像剤担持体毎に独立した現像バイアス電源が必要となるので、現像装置が大型化する上、装置コストも上昇する。
【0010】
そこで、本願発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、大型化及びコストの上昇を招くことなく高い画質を長期間維持することが可能な現像装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、トナーを含む現像剤により像担持体上の静電像を現像する現像装置において、前記像担持体の回転方向に沿って配置され、現像剤を担持する複数の現像剤担持体を備え、前記複数の現像剤担持体のうち下流にある現像剤担持体から前記像担持体へ単位時間内に移動する第1のトナーの質量が、上流にある現像剤担持体から前記像担持体へ単位時間内に移動する第2のトナーの質量より少なくなるようにしたことを特徴とするものである。
【0012】
また本発明は、前記第1のトナーの質量が前記第2のトナーの質量より少なくなるよう前記複数の現像剤担持体に同一の現像バイアスを印加するようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
また本発明は、前記複数の現像剤担持体に同一の現像バイアスを印加するよう一つの現像バイアス電源を用いたことを特徴とするものである。
【0014】
また本発明は、前記第1のトナーの質量が前記第2のトナーの質量より少なくなるよう前記現像バイアスを、前記第1のトナーの質量及び前記第2のトナーの質量とが同じになる現像バイアスよりも増加させることを特徴とするものである。
【0015】
また本発明は、前記第1のトナーの質量が前記第2のトナーの質量より少なくなるよう前記現像剤担持体と前記像担持体との間隔を、前記第1のトナーの質量及び前記第2のトナーの質量とが同じになる間隔よりも狭くすることを特徴とするものである。
【0016】
また本発明は、前記第1のトナーの質量が前記第2のトナーの質量より少なくなるよう前記現像剤担持体の移動速度を、前記第1のトナーの質量及び前記第2のトナーの質量とが同じになる移動速度より遅くすることを特徴とするものである。
【0017】
また本発明は、前記現像剤担持体の数は2つであることを特徴とするものである。
【0018】
また本発明は、前記現像剤担持体の回転方向は同一であることを特徴とするものである。
【0019】
また本発明は、前記隣接する現像剤担持体の最近接部の間隙は0.2mm以上1mm以下であることを特徴とするものである。
【0020】
また本発明は、前記像担持体の外周移動速度は、600mm/s以上であることを特徴とするものである。
【0021】
また本発明は、現像剤は、キャリア粒子を含まないものであることを特徴とするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0023】
図2は、本発明の実施の形態にかかる現像装置を備えた画像形成装置の概略構成を示す図である。
【0024】
同図において、1は像担持体である感光ドラムである。なお、この感光ドラム1としてはФ108(mm)の高耐久なa−Siドラム感光体を用いている。なお、このデジタル複写機はプロセススピード(感光ドラム1の回転速度)が660mm/s、連続画像出力速度125頁/minの白黒デジタル複写機である。
【0025】
そして、画像形成の際には、まず感光ドラム1の表面は一次帯電器2により例えば+450Vに一様帯電された後、画像露光12がなされる。ここで、この画像露光12は半導体レーザー31を光源として画像信号により変調されたレーザービームであり、このレーザービームはモーターにより一定の回転数で回転する多面鏡32により偏光され、結像レンズ33を経て、折り返しミラー34a,34bで反射された後、感光ドラム1上をラスタ走査され、その露光部の表面電位を例えば+50Vに減衰させることにより、静電潜像を形成する。なお、この画像露光12(レーザービーム)の波長は680nmである。
【0026】
この後、現像装置4により現像を行い、ポスト帯電器5により現像剤像を帯電させると共に感光ドラム1と現像剤との間の吸着力を弱め、転写、分離しやすいようにする。
【0027】
次に、矢印方向に進む不図示の転写材に対し転写分離帯電器6により、現像装置2により現像されて感光ドラム1上に形成された現像剤像を転写し、この後、転写材を分離して定着器7に送り、定着器7にてトナー像を定着する。
【0028】
ところで、現像装置4は、簡易な構成で、現像剤担持体である現像スリーブの寿命である200万回の出力まで保守不要であり、また図1に示すように、1つの現像剤収容部材40と、矢印Aのように同方向に回転する2つの現像スリーブ41a,41b、トナー濃度検知部材45a〜45d等を有している。
【0029】
そして、この現像装置4は、画像形成の反復により現像剤収容部材40内のトナーが減少してくると、圧電素子43からの信号に基づき不図示の制御部がトナー補給ローラ48を回転させる信号を出すようになっている。これにより、トナー補給ローラ48が回転し、この回転により中間トナー収容容器40Aからトナーが現像剤収容部材40内に補給されるようになる。
【0030】
ここで、2つの現像スリーブ41a,41bは、非磁性部材であるφ20のA6063製円筒の上に、球状ガラス粒子でブラスト処理をした後、NiPメッキ次いでCrメッキを施したものであり、その表面粗さは4μmRzである。なお、この表面粗さの測定には、接触式表面粗さ計(サーフコーダー(商標)SE−3300(株)小坂研究所製)を用い、また測定条件はカットオフ値:0.8mm、測定長さ:2.5mm、送りスピード:0.1mm/s、縦倍率5000倍とした。
【0031】
また、上流側の現像スリーブである第1現像スリーブ41aは内部に7つの、下流側の現像スリーブである第2現像スリーブ41bは内部に4つの固定された永久磁石50a,50bをそれぞれ備えている。さらに、第1及び第2現像スリーブ41a,41bは、感光ドラム1の1.2倍の速度(792mm/s)でA方向に回転するようになっている。
【0032】
また、第1現像スリーブ41a近傍のトナーは、磁性板状部材42により、層厚G2を0.24mmに規制されており、第2現像スリーブ41b近傍のトナーは、第1現像スリーブ41aの永久磁石50aのN2極と、第2現像スリーブ41bの永久磁石50bのS1極の作用により、薄層化されるようになっている。
【0033】
図3に示す、これら第1及び第2現像スリーブ41a,41bの間の間隙Gabは、0.4mmである。なお、同図において、109は現像バイアス電源を示し、G1a、G1bは第1及び第2現像スリーブ41a,41bと、矢印B方向に回転している感光ドラム1との間隔を示している。なお、この間隙G1a,G1bは、第1及び第2現像スリーブ41a,41bと同心に配設された不図示のスペーサローラにより保持されている。
【0034】
ところで、本実施の形態においては、この間隔G1a,G1bを0.2mmとすると共に、この間隙G1a,G1bには現像バイアス電源109により+300VのDCバイアスと、振幅1200V、周波数2.7kHzの矩形波をACバイアスとして印加するようにしている。
【0035】
一方、第1及び第2現像スリーブ41a,41bが担持するトナーは正帯電性を有し、その重量平均粒径は8.0μmである。なお、このトナーの粒径分布は種々の方法により測定できるが、本実施の形態においては米国コールター社製のコールターカウンタTA−II(商標)型を用いると共に電解液として1%NaCl水溶液中に界面活性剤を数滴加えたものに数mgの試料を数分間だけ超音波分散させ、100μmのアパーチャーを通して2〜40μmの粒子の粒度分布を計数することにより測定した。
【0036】
また、トナーの結着樹脂としては、一般的にはスチレン系のスチレンアクリル共重合体、スチレンブタジエン共重合体やフェノール樹脂、ポリエステル等が用いられるが、本実施の形態では、スチレンアクリル共重合体とスチレンブタジエン共重合体を8:2の割合で用いた。
【0037】
電荷制御剤(通常はトナーに内添されているが外添も可能)にニグロシン、4級アンモニウム塩、トリフェニルメタン、イミダゾール等がポジトナー用に用いられるが、本実施の形態では、トリフェニルメタンを(樹脂成分100に対して)2部内添した。
【0038】
又、加熱定着用トナーの場合、所謂ワックスを内添分散させるが、このワックスとしては例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、パラフィン等が用いられる。トナーは磁性を有するため、これにマグネタイト、フェライト等の酸化鉄を分散させるが、その量は60〜100部程度が一般的である。
【0039】
トナーに対する外添剤としては、主には流動性付与のためのシリカを0.1〜5重量部程度外添する。このシリカはトナー粒子と第1及び第2現像スリーブ41a,41bの間に介在して第1及び第2現像スリーブ41a,41bの摩耗を軽減するとともに、トナー同士の凝集を防いで第1及び第2現像スリーブ41a,41bに接しているトナーと接していないトナーの入れ替わりを促進する機能を果たす。
【0040】
更に、トナーにはチタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ランタン、酸化ネオジム等を外添する場合もある。これらは感光ドラム1に対する研磨剤の役割を果たし、結果として感光ドラム1にフィルム状に付着するトナーを研磨除去する効果が得られる。
【0041】
また第1現像スリーブ41a上のトナーの常温常湿での平均帯電量は+6〜+12μC/g、塗布量は0.7〜0.9mg/cm2であり、第2現像スリーブ41b上のトナーの常温常湿での平均帯電量は+5〜+10μC/g、塗布量は0.3〜0.5mg/cm2である。
【0042】
そして、このような構成の現像装置4におけるトナー消費率を、画像比率6%の原稿を複写して測定したところ、従来技術に係る1つの現像剤担持体を備えた現像装置においては52mg/枚(A4)であるところ、本実施の形態では、41mg/枚(A4)となった。
【0043】
さらに、幅0.2mmの主走査方向に伸びる長さ5mmの線原稿(図9参照)を複写した画像の幅Wlの、主走査方向におけるのばらつき(以下、画像幅のばらつきという)Dwlは、10.8μmであった。ここで、画像の幅Wlの測定には、米国MacBeth社製のマイクロデンシトメータ2405(商標)を用いた。
【0044】
次に、前述の線原稿を現像する際の潜像へのトナー移動量を測定したところ、第1現像スリーブ41aからのトナー移動量Wdevaの、第2現像スリーブ41bからのトナー移動量Wdevbに対する割合ηwabは、2.8であった。ここで、図4は、割合ηwabと、画像幅のばらつきDwlとの関係を示すものであり、割合ηwabが増加するほど、画像幅のばらつきDwlが低下し、画質が良化することがわかる。
【0045】
その理由は、次のとおりである。
【0046】
まず、感光ドラム1の回転方向上流に位置する第1現像スリーブ41aの理想的な機能が、感光ドラム1に形成された静電潜像に対し大まかにトナーを供給することにあり、感光ドラム1の回転方向下流に位置する第2現像スリーブ41bの理想的な機能が、静電潜像に対し過剰に付着したトナーを回収し付着すべき部分にトナーを付着することである。よって、割合ηwabが増加するということは、高画質化に寄与する第2現像スリーブ41bの理想的な機能がより大きく発揮されることを意味するのである。
【0047】
なお、図5に示す表1及び図6に示す表2は、本実施の形態及び後述する第2〜第4の実施の形態に係る現像装置の性能等を示したものである。そして、表1及び表2から明らかなように、本実施の形態のように、第2現像スリーブ41bから感光ドラム1へ単位時間内に移動するトナーの質量が、第1現像スリーブ41aから感光ドラム1へ単位時間内に移動するトナーの質量より少ない場合には、本実施の形態の比較例1に比べてトナー消費率、線画像の幅のばらつき、維持コスト、現像装置コスト等において優位性を発揮する。
【0048】
なお表1及び表2において、比較例1とは、本実施の形態において、第1現像スリーブ41aには+100VのDCバイアスと振幅1200V、周波数2.7kHzの矩形波をACバイアスとして印加し、第2現像スリーブ41bには+400VのDCバイアスと振幅1200V、周波数3.3kHzの矩形波をACバイアスとして印加するものであり、現像スリーブ毎に独立した現像バイアス電源を必要とするものである。
【0049】
そして、このような現像バイアスの異なる比較例1においては、割合ηwabが0.95と小さく、この場合には、既述したように本実施の形態に比べてトナー消費率、線画像の幅のばらつき、維持コスト、現像装置コスト等が劣る。
【0050】
また、比較例11とは、現像剤担持体を1つのみ備えたものをいう。なお、この場合の現像剤担持体の外径は、32.3mmである。そして、このような比較例11においては、本実施の形態に比べて現像装置コストは低減するが、トナー消費率、線画像の幅のばらつき、維持コスト等が劣る。
【0051】
また、表2において、画像反射濃度は、米国MacBeth社製のRD−914(商標)を用いて、直径5mmの最大画像濃度の円形原稿の複写画像を測定した値である。かぶり(出力画像の一様性)は、東京電色社製のTC−6DS(商標)を用いて測定した、キヤノン販売株式会社が販売するオフィスプランナーSK(商標)紙を原稿とした複写画像上の反射率と、未使用紙の反射率の差である。
【0052】
このように、第2現像スリーブ41bから感光ドラム1へ単位時間内に移動する第1のトナーの質量が、第1現像スリーブ41aから感光ドラム1へ単位時間内に移動する第2のトナーの質量より少なくすることによりトナー消費率及び線画像の幅のばらつきを低減することができ、これにより高い画質の長期間の維持が可能となると共に画像形成装置の保守・点検頻度を低減することができる。さらに、コストの上昇及び装置の大型化を回避することができる。
【0053】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0054】
図7は、本実施の形態に係る現像装置の概略構成を示す図である。なお、同図において、図1と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0055】
同図において、41A,41Bは現像装置4に設けられた第1及び第2現像スリーブであり、これら第1及び第2現像スリーブ41A,41Bは互いに回転方向が異なる。すなわち、第1現像スリーブ41Aは矢印Aの方向(反時計方向)に、第2現像スリーブ41Bは矢印A’の方向(時計方向)に回転する。
【0056】
ここで、第1及び第2現像スリーブ41A,41Bの回転方向が異なることにより、間隙Gabでの第1及び第2現像スリーブ41A,41Aの相対速度が0となり、この部分での圧縮・摺擦によるトナーの劣化が軽減される。
【0057】
なお、第1及び第2現像スリーブ41A,41B間の間隙Gabは0.8mmであり、また第1現像スリーブ41Aは内部に5つの、第2現像スリーブ41Bは内部に4つの磁極を有する固定された永久磁石を備えている。また、第2現像スリーブ41Bには、磁性板状部材42bがG2b=0.24mmなる間隙を保って対向している。
【0058】
ここで、第1現像スリーブ41A上でのトナーの常温常湿での平均帯電量は+8〜+10μC/g、塗布量は0.9〜1.2mg/cm2であり、第2現像スリーブ41b上でのトナーの常温常湿での平均帯電量は+6〜+8μC/g、塗布量は0.4〜0.5mg/cm2である。
【0059】
そして、このような構成の現像装置におけるトナー消費率を、画像比率6%の原稿を複写して測定したところ、既述した図6に示す表2のように比較例11に係る1つの現像剤担持体を備えた現像装置で52mg/枚(A4)であるところ、本実施の形態では、42mg/枚(A4)となった。さらに、幅0.2mmの主走査方向に伸びる長さ5mmの線原稿を複写した画像の幅Wlの、主走査方向におけるのばらつきは、8.1μmであった。
【0060】
また、前述の線原稿を現像する際の潜像へのトナー移動量を測定したところ、第1現像スリーブ41Aからのトナー移動量Wdevaの、第2現像スリーブ41Bからのトナー移動量Wdevbに対する割合ηwabは、既述した図5に示す表1のように、1.6であった。
【0061】
そして、この場合には、本実施の形態の比較例2に比べてトナー消費率、線画像の幅のばらつき、維持コスト、現像装置コスト等において優位性を発揮する。ここで、比較例2とは、本実施の形態において、第1現像スリーブ41Aに+300VのDCバイアスと振幅1200V、周波数2.7kHzの矩形波をACバイアスとして印加し、第2現像スリーブ41Bには+200VのDCバイアスと振幅1200V、周波数2.7kHzの矩形波をACバイアスとして印加するものであり、現像スリーブ毎に独立した現像バイアス電源を必要とするものである。
【0062】
そして、このような現像バイアスの異なる比較例2においては、割合ηwabが0.84と小さく、この場合には、既述したように、本実施の形態に比べてトナー消費率、線画像の幅のばらつき、維持コスト、現像装置コスト等が劣る。
【0063】
このように、第2現像スリーブ41Bから感光ドラム1へ単位時間内に移動する第1のトナーの質量が、第1現像スリーブ41Aから感光ドラム1へ単位時間内に移動する第2のトナーの質量より少なくすることによりトナー消費率及び線画像の幅のばらつきを低減することができ、これにより高い画質の長期間の維持が可能となると共に画像形成装置の保守・点検頻度を低減することができる。さらに、コストの上昇及び装置の大型化を回避することができる。
【0064】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0065】
図8は、本実施の形態に係る現像装置の概略構成を示す図である。なお、同図において、図1と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0066】
同図において、51a,51b,51cは現像装置4に設けられた第1〜第3現像スリーブであり、これら第1〜第3現像スリーブ51a,51b,51cは内部に5つの磁極を有する固定された永久磁石を備えている。
【0067】
なお、本実施の形態において、最上部に位置する第1現像スリーブ51aは、非磁性部材であるφ16のSUS316製円筒の上に、不定型アルミナ粒子でブラスト処理をしたもので、表面粗さは9μmRzである。また、中央に位置する第2現像スリーブ51bは、非磁性部材であるφ16のSUS316製円筒の上に、不定型アルミナ粒子でブラスト処理をしたもので、表面粗さは7μmRzである。さらに最下部に位置する第3現像スリーブ51cは、非磁性部材であるφ16のSUS316製円筒の上に、不定型アルミナ粒子でブラスト処理をしたもので、表面粗さは5μmRzである。
【0068】
なお、第1及び第2現像スリーブ51a,51b間の間隙Gab、及び第2及び第3現像スリーブ51b,51c間の間隙Gbcは、ともに0.75mmであり、また、この第1〜第3現像スリーブ51a〜51cは矢印Aの方向に感光ドラム1の1.5倍の速度(750mm/s)でそれぞれ回転する。
【0069】
さらに、第1現像スリーブ51a近傍のトナーは、磁性板状部材42により層厚G3を700μmに規制した。また、第1及び第2現像スリーブ51a,51bには、ともに−400VのDCバイアスと振幅1500V、全体周波数1.55kHz、振動部周波数7kHzの休止部を有する矩形波をACバイアスとして印加した。
【0070】
一方、本実施の形態において、現像剤は非磁性のトナーと磁性のキャリアから構成される二成分型であり、現像容器40の底部に配されたトナー濃度センサ43aによりトナー濃度を検知され、トナー濃度は8〜10%に制御される。
【0071】
ここで、キャリアの平均粒径は、20〜60μmが好ましく、より好ましくは30〜56μmである。なお、キャリアの平均粒径が20μm以下の場合にはトナーの過剰帯電による画像濃度の低下や、感光ドラム1へのキャリア付着が増し、60μm以上の場合には複写の細線再現性を悪化させることになる。
【0072】
また、キャリアの磁気特性は、現像剤の現像特性そして搬送に大きく影響を及ぼすものであり、画像の均一性や階調性が重視される。ここで、飽和磁化が75emu/g(3000Oeの印加磁場に対し)以上の場合には、現像時に感光ドラム上の静電潜像に対向したキャリアとトナーにより構成されるブラシ状の穂立ちが、固く締まった状態となり、階調性や中間調の再現が悪くなる。
【0073】
又、飽和磁化が55emu/g以下の場合には、トナー及びキャリアを現像スリーブ上に保持できにくくなり、カブリやトナー飛散が悪化するという欠点がある。更に、キャリアの残留磁化、保磁力が高すぎると、現像装置内の現像剤の搬送が悪くなり、画像のカスレやベタ画像での濃度不均一等が発生し易くなる。
【0074】
そのため、残留磁化、保磁力をそれぞれ10emu/g以下、10Oe以下(3000Oeの印加磁場に対し)、好ましくは5emu/g以下、6.0Oe以下にすることが必要である。
【0075】
なお、使用されるキャリアとしては、表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金又は酸化物及びフェライト等であり、好ましくは、亜鉛、銅、ニッケル、コバルトの金属から選ばれたフェライトが使用できる。
【0076】
又、上記キャリアの表面を樹脂等で被覆することも可能である。その方法としては、樹脂等の被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁せしめて塗布しキャリアに付着せしめる方法、単に粉体で混合する方法等、従来公知の方法がいずれも適用できる。
【0077】
キャリア表面への固着物質としては、ポリテトラフリオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料及びそのレーキ、シリカ微粉末、アルミナ微粉末等を単独或いは複数で用いるのが適当である。
【0078】
上記化合物の処理量は、キャリアが上記条件を満足するように適宜決定すればよいが、一般には総量で、キャリアに対して0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%が望ましい。
【0079】
本実施の形態において使用可能な、特に好ましい態様はCu−Zn−Feの3元系のフェライトであり、その表面をフッ素系樹脂とスチレン系樹脂のごとき樹脂の組み合わせ、例えばポリフッ化ビニリデンとスチレン−メチルメタアクリレート樹脂、ポリテトラフルオロエチレンとスチレン−メチルメタクリレート樹脂、フッ素系共重合体とスチレン系共重合体等を90:10〜20:80、好ましくは70:30〜30:70の比率の混合物としたもので、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜1重量%コーティングしたコートフェライトキャリアであるものが挙げられる。
【0080】
該フッ素系共重合体としてはフッ化ビニリレン−テトラフルオロエチレン共重合体(10:90〜90:10)が例示され、スチレン系共重合体としてはスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル(20:80〜80:20)、スチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸(20〜60:5〜30:10〜50)が例示される。
【0081】
なお、本実施の形態において、第1現像スリーブ51a上のトナーの常温常湿での平均帯電量は−20〜−25μC/g、塗布量は48〜55mg/cm2、第2現像スリーブ51b上のトナーの常温常湿での平均帯電量は−25〜−32μC/g、塗布量は38〜45mg/cm2、第3現像スリーブ51c上のトナーの常温常湿での平均帯電量は−35〜−45μC/g、塗布量は30〜35mg/cm2である。
【0082】
そして、このような構成の現像装置におけるトナー消費率を、画像比率6%の原稿を複写して測定したところ、既述した図6に示す表2のように比較例12に係る1つの現像剤担持体を備えた現像装置で89mg/枚(A4)であるところ、本実施の形態では、70mg/枚(A4)となった。さらに、幅0.2mmの主走査方向に伸びる長さ5mmの線原稿を複写した画像の幅Wlの、主走査方向におけるのばらつきDwlは、5.8μmであった。
【0083】
なお、比較例12とは、本実施の形態において、現像スリーブを一つ備えたものをいい、この現像スリーブの外径は、24.5mmである。
【0084】
前述の線原稿を現像する際の潜像へのトナー移動量を測定したところ、現像剤担持体41aからのトナー移動量Wdevaの現像剤担持体41bからのトナー移動量Wdevbに対する割合ηwabは、既述した図5に示す表1のように、1.1、トナー移動量Wdevbの現像剤担持体41cからのトナー移動量Wdevcに対する割合ηwbcは、1.9であった。
【0085】
そして、この場合には、本実施の形態の比較例3に比べてトナー消費率、線画像の幅のばらつき、維持コスト、現像装置コスト等において優位性を発揮する。ここで、比較例3とは、本実施の形態において、現像剤担持体41aに−100VのDCバイアスと振幅1500V、全体周波数1.55kHz、振動部周波数7kHz、の休止部を有する矩形波をACバイアスとして印加し、現像剤担持体41bには−200VのDCバイアスと振幅1500V、全体周波数1.77kHz、振動部周波数8kHz、の休止部を有する矩形波をACバイアスとして印加し、現像剤担持体41cには−400VのDCバイアスと振幅1500V、全体周波数2.22kHz、振動部周波数10kHzの休止部を有する矩形波をACバイアスとして印加し、現像剤担持体毎に独立した現像バイアス電源109a,109b,109cを備えるものである。
【0086】
なお、図5に示す表1及び図6に示す表2において記載されている第4の実施の形態は、画像形成装置としてプロセス速度393mm/s、連続出力速度72頁(A4)/minの白黒デジタル複写機において、現像剤担持体の回転速度を590mm/sとしたものである。この場合、画像出力の生産性が低いという印象は拭い難いが、その分、画像形成装置への負担は少なく、耐久性は向上している。
【0087】
以上、本発明についての4つの実施の形態を挙げたが、本発明の技術的範囲は、これらに限定されるものではない。
【0088】
すなわち、現像スリーブの径・移動(回転)速度・表面処理・材質、隣接する現像スリーブ間の間隙、現像スリーブと感光ドラム1の間隙、感光ドラム1の形状・移動(回転)速度、トナー及びキャリアの処方・粒径・現像剤収容部材の形状、トナー攪拌搬送部材の位置・数・回転方向等は、画像形成装置の仕様(出力速度、ユーザの求める画質レベル等)により、最適なものを選択可能である。
【0089】
なお、既述した図5及び図6の表1及び表2に記載している第5〜第7の実施の形態は、その例を示すものである。また、図9は第1現像スリーブに印加されるDCバイアスVdcaと割合ηwabとの関係を示しており、同図から明らかなように第1のトナーの質量及び第2のトナーの質量とが同じになる、即ち割合ηwabが1.0となるDC(現像)バイアスよりもDCバイアスVdcaを増加させることにより、割合ηwabを1.0以上とすることができる。
【0090】
図10は第1現像スリーブと感光ドラムとの間隔G1aとの割合ηwabとの関係を示しており、同図から明らかなように間隔G1aを、第1のトナーの質量及び第2のトナーの質量とが同じになる、即ち割合ηwabが1.0となる間隔よりも狭くすることにより、割合ηwabを1.0以上とすることができる。
【0091】
また、図11は第1現像スリーブの周速Vslvaとの割合ηwabとの関係を示しており、同図から明らかなように周速Vslvaを、第1のトナーの質量及び第2のトナーの質量とが同じになる、即ち割合ηwabが1.0となる周速よりも早くすることにより、割合ηwabを1.0以上とすることができる。さらに、図示はしないが、現像剤塗布量によっても割合ηwabを1.0以上とすることができる。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のように、像担持体の回転方向に沿って配置された複数の現像剤担持体の現像剤担持体のうち下流にある現像剤担持体から像担持体へ単位時間内に移動する第1のトナーの質量が、上流にある現像剤担持体から像担持体へ単位時間内に移動する第2のトナーの質量より少なくなるようにしてトナー消費率を低減することにより、大型化及びコストの上昇を招くことなく高い画質を長期間維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る現像装置の構成を示す図。
【図2】上記現像装置を備えた画像形成装置の画像形成部の構成を示す図。
【図3】上記画像形成部の現像領域近傍の模式図。
【図4】割合ηwabと画像幅のばらつきDwlの関係を示す図。
【図5】本発明の第1〜第7の実施の形態と比較例との差を示す第1の図表。
【図6】本発明の第1〜第7の実施の形態と比較例との差を示す第2の図表。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る現像装置の構成を示す図。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る現像装置の構成を示す図。
【図9】現像装置の現像スリーブに印加されるDCバイアスと割合ηwabとの関係を示す図。
【図10】現像スリーブと感光ドラムとの間隔と割合ηwabとの関係を示す図。
【図11】現像スリーブの周速と、割合ηwabとの関係を示す図。
【図12】尾引き現象を示す図。
【符号の説明】
1 感光ドラム
4 現像装置
40 現像剤収容部材(現像容器)
41 現像剤担持体
109 現像バイアス電源
41a 第1現像スリーブ
41b 第2現像スリーブ
41A 第1現像スリーブ
41B 第2現像スリーブ
51a 第1現像スリーブ
51b 第2現像スリーブ
51c 第3現像スリーブ
G1a 第1現像スリーブと感光ドラムとの間隔
G1b 第2現像スリーブと感光ドラムとの間隔
Gab 第1及び第2現像スリーブの間の間隙
【発明の属する技術分野】
本発明は、現像装置及びこれを備えた画像形成装置に関し、特に像担持体上の静電像を現像する現像剤を担持する現像剤担持体の構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式を用いた複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ、印刷装置等の画像形成装置においては、像担持体表面に対して一様に帯電を行った後、例えば半導体レーザーないしはLEDにより画像露光を行い、像担持体上に静電潜像を形成すると共に、この静電潜像を現像装置により現像剤像として可視像化した後、この可視像を転写材に転写し、この後、定着装置により転写材に定着して出力する画像形成装置が知られている。
【0003】
ところで、近年のコンピュータ化・ネットワーク化が急速に進行する状況下では、コンピュータの情報をネットワークを介して受信して出力するタイプの画像形成装置が急速に普及しつつあり、さらに画像形成装置に対する高速化、高画質化の要請も強くなってきている。
【0004】
そして、このような高速度出力を行う画像形成装置に用いられる現像装置として、特開平03−204084号公報に記載されているもののように、現像剤を担持する現像剤担持体を複数備えるようにしたものがある。
【0005】
ここで、発明者は、現像装置の現像剤担持体を複数にすることによって、トナー消費量が低減し、図12に示すように潜像担持体の回転軸方向に伸びる細線の尾引き現象が抑制されるという予想しなかった効果を見出した。なお、このように尾引き現象が抑制されると、高い画質を長期間維持することが可能となるばかりでなく、トナー消費率が低減し、これに伴い画像形成装置の保守・点検頻度も低減する。ただし、かかる効果を得るには、特定の条件が必要であることも見出し、発明者は、その条件の探索に勤しんできた。
【0006】
なお、現像装置の現像剤担持体を複数にする場合の、各現像剤担持体の条件に関しても多くの提案がなされている。例えば、特公昭62−2314号公報、特公昭64−8328号公報及び特開平8−286503号公報には、潜像担持体の移動方向下流側に位置する現像剤担持体の移動速度を大きくする旨の提案がされている。また、特許2790823号公報及び特許2790827号公報には、現像領域幅を、潜像担持体の移動方向下流側に位置する現像剤担持体においてより大きくする旨の提案がされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの提案は、二成分現像剤を使用することを前提とするものであり、一成分磁性トナーの場合には、前述の「予想しなかった効果」は得られなかった。
【0008】
そこで、尾引き現象を抑制するため、例えば特開2000−172043号公報では、現像バイアスの交流振幅を、像担持体の移動方向下流側に位置する現像剤担持体においてより小さくする旨、及び現像バイアスの交流周波数を、像担持体の移動方向下流側に位置する現像剤担持体においてより高くする旨の提案がされている。
【0009】
しかし、このように構成した場合、一成分磁性トナーを用いた場合でも、尾引き現象を抑制することができ、これに伴いトナー消費率を低減することができ、高い画質を長期間維持することができるが、現像剤担持体毎に独立した現像バイアス電源が必要となるので、現像装置が大型化する上、装置コストも上昇する。
【0010】
そこで、本願発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、大型化及びコストの上昇を招くことなく高い画質を長期間維持することが可能な現像装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、トナーを含む現像剤により像担持体上の静電像を現像する現像装置において、前記像担持体の回転方向に沿って配置され、現像剤を担持する複数の現像剤担持体を備え、前記複数の現像剤担持体のうち下流にある現像剤担持体から前記像担持体へ単位時間内に移動する第1のトナーの質量が、上流にある現像剤担持体から前記像担持体へ単位時間内に移動する第2のトナーの質量より少なくなるようにしたことを特徴とするものである。
【0012】
また本発明は、前記第1のトナーの質量が前記第2のトナーの質量より少なくなるよう前記複数の現像剤担持体に同一の現像バイアスを印加するようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
また本発明は、前記複数の現像剤担持体に同一の現像バイアスを印加するよう一つの現像バイアス電源を用いたことを特徴とするものである。
【0014】
また本発明は、前記第1のトナーの質量が前記第2のトナーの質量より少なくなるよう前記現像バイアスを、前記第1のトナーの質量及び前記第2のトナーの質量とが同じになる現像バイアスよりも増加させることを特徴とするものである。
【0015】
また本発明は、前記第1のトナーの質量が前記第2のトナーの質量より少なくなるよう前記現像剤担持体と前記像担持体との間隔を、前記第1のトナーの質量及び前記第2のトナーの質量とが同じになる間隔よりも狭くすることを特徴とするものである。
【0016】
また本発明は、前記第1のトナーの質量が前記第2のトナーの質量より少なくなるよう前記現像剤担持体の移動速度を、前記第1のトナーの質量及び前記第2のトナーの質量とが同じになる移動速度より遅くすることを特徴とするものである。
【0017】
また本発明は、前記現像剤担持体の数は2つであることを特徴とするものである。
【0018】
また本発明は、前記現像剤担持体の回転方向は同一であることを特徴とするものである。
【0019】
また本発明は、前記隣接する現像剤担持体の最近接部の間隙は0.2mm以上1mm以下であることを特徴とするものである。
【0020】
また本発明は、前記像担持体の外周移動速度は、600mm/s以上であることを特徴とするものである。
【0021】
また本発明は、現像剤は、キャリア粒子を含まないものであることを特徴とするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0023】
図2は、本発明の実施の形態にかかる現像装置を備えた画像形成装置の概略構成を示す図である。
【0024】
同図において、1は像担持体である感光ドラムである。なお、この感光ドラム1としてはФ108(mm)の高耐久なa−Siドラム感光体を用いている。なお、このデジタル複写機はプロセススピード(感光ドラム1の回転速度)が660mm/s、連続画像出力速度125頁/minの白黒デジタル複写機である。
【0025】
そして、画像形成の際には、まず感光ドラム1の表面は一次帯電器2により例えば+450Vに一様帯電された後、画像露光12がなされる。ここで、この画像露光12は半導体レーザー31を光源として画像信号により変調されたレーザービームであり、このレーザービームはモーターにより一定の回転数で回転する多面鏡32により偏光され、結像レンズ33を経て、折り返しミラー34a,34bで反射された後、感光ドラム1上をラスタ走査され、その露光部の表面電位を例えば+50Vに減衰させることにより、静電潜像を形成する。なお、この画像露光12(レーザービーム)の波長は680nmである。
【0026】
この後、現像装置4により現像を行い、ポスト帯電器5により現像剤像を帯電させると共に感光ドラム1と現像剤との間の吸着力を弱め、転写、分離しやすいようにする。
【0027】
次に、矢印方向に進む不図示の転写材に対し転写分離帯電器6により、現像装置2により現像されて感光ドラム1上に形成された現像剤像を転写し、この後、転写材を分離して定着器7に送り、定着器7にてトナー像を定着する。
【0028】
ところで、現像装置4は、簡易な構成で、現像剤担持体である現像スリーブの寿命である200万回の出力まで保守不要であり、また図1に示すように、1つの現像剤収容部材40と、矢印Aのように同方向に回転する2つの現像スリーブ41a,41b、トナー濃度検知部材45a〜45d等を有している。
【0029】
そして、この現像装置4は、画像形成の反復により現像剤収容部材40内のトナーが減少してくると、圧電素子43からの信号に基づき不図示の制御部がトナー補給ローラ48を回転させる信号を出すようになっている。これにより、トナー補給ローラ48が回転し、この回転により中間トナー収容容器40Aからトナーが現像剤収容部材40内に補給されるようになる。
【0030】
ここで、2つの現像スリーブ41a,41bは、非磁性部材であるφ20のA6063製円筒の上に、球状ガラス粒子でブラスト処理をした後、NiPメッキ次いでCrメッキを施したものであり、その表面粗さは4μmRzである。なお、この表面粗さの測定には、接触式表面粗さ計(サーフコーダー(商標)SE−3300(株)小坂研究所製)を用い、また測定条件はカットオフ値:0.8mm、測定長さ:2.5mm、送りスピード:0.1mm/s、縦倍率5000倍とした。
【0031】
また、上流側の現像スリーブである第1現像スリーブ41aは内部に7つの、下流側の現像スリーブである第2現像スリーブ41bは内部に4つの固定された永久磁石50a,50bをそれぞれ備えている。さらに、第1及び第2現像スリーブ41a,41bは、感光ドラム1の1.2倍の速度(792mm/s)でA方向に回転するようになっている。
【0032】
また、第1現像スリーブ41a近傍のトナーは、磁性板状部材42により、層厚G2を0.24mmに規制されており、第2現像スリーブ41b近傍のトナーは、第1現像スリーブ41aの永久磁石50aのN2極と、第2現像スリーブ41bの永久磁石50bのS1極の作用により、薄層化されるようになっている。
【0033】
図3に示す、これら第1及び第2現像スリーブ41a,41bの間の間隙Gabは、0.4mmである。なお、同図において、109は現像バイアス電源を示し、G1a、G1bは第1及び第2現像スリーブ41a,41bと、矢印B方向に回転している感光ドラム1との間隔を示している。なお、この間隙G1a,G1bは、第1及び第2現像スリーブ41a,41bと同心に配設された不図示のスペーサローラにより保持されている。
【0034】
ところで、本実施の形態においては、この間隔G1a,G1bを0.2mmとすると共に、この間隙G1a,G1bには現像バイアス電源109により+300VのDCバイアスと、振幅1200V、周波数2.7kHzの矩形波をACバイアスとして印加するようにしている。
【0035】
一方、第1及び第2現像スリーブ41a,41bが担持するトナーは正帯電性を有し、その重量平均粒径は8.0μmである。なお、このトナーの粒径分布は種々の方法により測定できるが、本実施の形態においては米国コールター社製のコールターカウンタTA−II(商標)型を用いると共に電解液として1%NaCl水溶液中に界面活性剤を数滴加えたものに数mgの試料を数分間だけ超音波分散させ、100μmのアパーチャーを通して2〜40μmの粒子の粒度分布を計数することにより測定した。
【0036】
また、トナーの結着樹脂としては、一般的にはスチレン系のスチレンアクリル共重合体、スチレンブタジエン共重合体やフェノール樹脂、ポリエステル等が用いられるが、本実施の形態では、スチレンアクリル共重合体とスチレンブタジエン共重合体を8:2の割合で用いた。
【0037】
電荷制御剤(通常はトナーに内添されているが外添も可能)にニグロシン、4級アンモニウム塩、トリフェニルメタン、イミダゾール等がポジトナー用に用いられるが、本実施の形態では、トリフェニルメタンを(樹脂成分100に対して)2部内添した。
【0038】
又、加熱定着用トナーの場合、所謂ワックスを内添分散させるが、このワックスとしては例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、パラフィン等が用いられる。トナーは磁性を有するため、これにマグネタイト、フェライト等の酸化鉄を分散させるが、その量は60〜100部程度が一般的である。
【0039】
トナーに対する外添剤としては、主には流動性付与のためのシリカを0.1〜5重量部程度外添する。このシリカはトナー粒子と第1及び第2現像スリーブ41a,41bの間に介在して第1及び第2現像スリーブ41a,41bの摩耗を軽減するとともに、トナー同士の凝集を防いで第1及び第2現像スリーブ41a,41bに接しているトナーと接していないトナーの入れ替わりを促進する機能を果たす。
【0040】
更に、トナーにはチタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ランタン、酸化ネオジム等を外添する場合もある。これらは感光ドラム1に対する研磨剤の役割を果たし、結果として感光ドラム1にフィルム状に付着するトナーを研磨除去する効果が得られる。
【0041】
また第1現像スリーブ41a上のトナーの常温常湿での平均帯電量は+6〜+12μC/g、塗布量は0.7〜0.9mg/cm2であり、第2現像スリーブ41b上のトナーの常温常湿での平均帯電量は+5〜+10μC/g、塗布量は0.3〜0.5mg/cm2である。
【0042】
そして、このような構成の現像装置4におけるトナー消費率を、画像比率6%の原稿を複写して測定したところ、従来技術に係る1つの現像剤担持体を備えた現像装置においては52mg/枚(A4)であるところ、本実施の形態では、41mg/枚(A4)となった。
【0043】
さらに、幅0.2mmの主走査方向に伸びる長さ5mmの線原稿(図9参照)を複写した画像の幅Wlの、主走査方向におけるのばらつき(以下、画像幅のばらつきという)Dwlは、10.8μmであった。ここで、画像の幅Wlの測定には、米国MacBeth社製のマイクロデンシトメータ2405(商標)を用いた。
【0044】
次に、前述の線原稿を現像する際の潜像へのトナー移動量を測定したところ、第1現像スリーブ41aからのトナー移動量Wdevaの、第2現像スリーブ41bからのトナー移動量Wdevbに対する割合ηwabは、2.8であった。ここで、図4は、割合ηwabと、画像幅のばらつきDwlとの関係を示すものであり、割合ηwabが増加するほど、画像幅のばらつきDwlが低下し、画質が良化することがわかる。
【0045】
その理由は、次のとおりである。
【0046】
まず、感光ドラム1の回転方向上流に位置する第1現像スリーブ41aの理想的な機能が、感光ドラム1に形成された静電潜像に対し大まかにトナーを供給することにあり、感光ドラム1の回転方向下流に位置する第2現像スリーブ41bの理想的な機能が、静電潜像に対し過剰に付着したトナーを回収し付着すべき部分にトナーを付着することである。よって、割合ηwabが増加するということは、高画質化に寄与する第2現像スリーブ41bの理想的な機能がより大きく発揮されることを意味するのである。
【0047】
なお、図5に示す表1及び図6に示す表2は、本実施の形態及び後述する第2〜第4の実施の形態に係る現像装置の性能等を示したものである。そして、表1及び表2から明らかなように、本実施の形態のように、第2現像スリーブ41bから感光ドラム1へ単位時間内に移動するトナーの質量が、第1現像スリーブ41aから感光ドラム1へ単位時間内に移動するトナーの質量より少ない場合には、本実施の形態の比較例1に比べてトナー消費率、線画像の幅のばらつき、維持コスト、現像装置コスト等において優位性を発揮する。
【0048】
なお表1及び表2において、比較例1とは、本実施の形態において、第1現像スリーブ41aには+100VのDCバイアスと振幅1200V、周波数2.7kHzの矩形波をACバイアスとして印加し、第2現像スリーブ41bには+400VのDCバイアスと振幅1200V、周波数3.3kHzの矩形波をACバイアスとして印加するものであり、現像スリーブ毎に独立した現像バイアス電源を必要とするものである。
【0049】
そして、このような現像バイアスの異なる比較例1においては、割合ηwabが0.95と小さく、この場合には、既述したように本実施の形態に比べてトナー消費率、線画像の幅のばらつき、維持コスト、現像装置コスト等が劣る。
【0050】
また、比較例11とは、現像剤担持体を1つのみ備えたものをいう。なお、この場合の現像剤担持体の外径は、32.3mmである。そして、このような比較例11においては、本実施の形態に比べて現像装置コストは低減するが、トナー消費率、線画像の幅のばらつき、維持コスト等が劣る。
【0051】
また、表2において、画像反射濃度は、米国MacBeth社製のRD−914(商標)を用いて、直径5mmの最大画像濃度の円形原稿の複写画像を測定した値である。かぶり(出力画像の一様性)は、東京電色社製のTC−6DS(商標)を用いて測定した、キヤノン販売株式会社が販売するオフィスプランナーSK(商標)紙を原稿とした複写画像上の反射率と、未使用紙の反射率の差である。
【0052】
このように、第2現像スリーブ41bから感光ドラム1へ単位時間内に移動する第1のトナーの質量が、第1現像スリーブ41aから感光ドラム1へ単位時間内に移動する第2のトナーの質量より少なくすることによりトナー消費率及び線画像の幅のばらつきを低減することができ、これにより高い画質の長期間の維持が可能となると共に画像形成装置の保守・点検頻度を低減することができる。さらに、コストの上昇及び装置の大型化を回避することができる。
【0053】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0054】
図7は、本実施の形態に係る現像装置の概略構成を示す図である。なお、同図において、図1と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0055】
同図において、41A,41Bは現像装置4に設けられた第1及び第2現像スリーブであり、これら第1及び第2現像スリーブ41A,41Bは互いに回転方向が異なる。すなわち、第1現像スリーブ41Aは矢印Aの方向(反時計方向)に、第2現像スリーブ41Bは矢印A’の方向(時計方向)に回転する。
【0056】
ここで、第1及び第2現像スリーブ41A,41Bの回転方向が異なることにより、間隙Gabでの第1及び第2現像スリーブ41A,41Aの相対速度が0となり、この部分での圧縮・摺擦によるトナーの劣化が軽減される。
【0057】
なお、第1及び第2現像スリーブ41A,41B間の間隙Gabは0.8mmであり、また第1現像スリーブ41Aは内部に5つの、第2現像スリーブ41Bは内部に4つの磁極を有する固定された永久磁石を備えている。また、第2現像スリーブ41Bには、磁性板状部材42bがG2b=0.24mmなる間隙を保って対向している。
【0058】
ここで、第1現像スリーブ41A上でのトナーの常温常湿での平均帯電量は+8〜+10μC/g、塗布量は0.9〜1.2mg/cm2であり、第2現像スリーブ41b上でのトナーの常温常湿での平均帯電量は+6〜+8μC/g、塗布量は0.4〜0.5mg/cm2である。
【0059】
そして、このような構成の現像装置におけるトナー消費率を、画像比率6%の原稿を複写して測定したところ、既述した図6に示す表2のように比較例11に係る1つの現像剤担持体を備えた現像装置で52mg/枚(A4)であるところ、本実施の形態では、42mg/枚(A4)となった。さらに、幅0.2mmの主走査方向に伸びる長さ5mmの線原稿を複写した画像の幅Wlの、主走査方向におけるのばらつきは、8.1μmであった。
【0060】
また、前述の線原稿を現像する際の潜像へのトナー移動量を測定したところ、第1現像スリーブ41Aからのトナー移動量Wdevaの、第2現像スリーブ41Bからのトナー移動量Wdevbに対する割合ηwabは、既述した図5に示す表1のように、1.6であった。
【0061】
そして、この場合には、本実施の形態の比較例2に比べてトナー消費率、線画像の幅のばらつき、維持コスト、現像装置コスト等において優位性を発揮する。ここで、比較例2とは、本実施の形態において、第1現像スリーブ41Aに+300VのDCバイアスと振幅1200V、周波数2.7kHzの矩形波をACバイアスとして印加し、第2現像スリーブ41Bには+200VのDCバイアスと振幅1200V、周波数2.7kHzの矩形波をACバイアスとして印加するものであり、現像スリーブ毎に独立した現像バイアス電源を必要とするものである。
【0062】
そして、このような現像バイアスの異なる比較例2においては、割合ηwabが0.84と小さく、この場合には、既述したように、本実施の形態に比べてトナー消費率、線画像の幅のばらつき、維持コスト、現像装置コスト等が劣る。
【0063】
このように、第2現像スリーブ41Bから感光ドラム1へ単位時間内に移動する第1のトナーの質量が、第1現像スリーブ41Aから感光ドラム1へ単位時間内に移動する第2のトナーの質量より少なくすることによりトナー消費率及び線画像の幅のばらつきを低減することができ、これにより高い画質の長期間の維持が可能となると共に画像形成装置の保守・点検頻度を低減することができる。さらに、コストの上昇及び装置の大型化を回避することができる。
【0064】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0065】
図8は、本実施の形態に係る現像装置の概略構成を示す図である。なお、同図において、図1と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0066】
同図において、51a,51b,51cは現像装置4に設けられた第1〜第3現像スリーブであり、これら第1〜第3現像スリーブ51a,51b,51cは内部に5つの磁極を有する固定された永久磁石を備えている。
【0067】
なお、本実施の形態において、最上部に位置する第1現像スリーブ51aは、非磁性部材であるφ16のSUS316製円筒の上に、不定型アルミナ粒子でブラスト処理をしたもので、表面粗さは9μmRzである。また、中央に位置する第2現像スリーブ51bは、非磁性部材であるφ16のSUS316製円筒の上に、不定型アルミナ粒子でブラスト処理をしたもので、表面粗さは7μmRzである。さらに最下部に位置する第3現像スリーブ51cは、非磁性部材であるφ16のSUS316製円筒の上に、不定型アルミナ粒子でブラスト処理をしたもので、表面粗さは5μmRzである。
【0068】
なお、第1及び第2現像スリーブ51a,51b間の間隙Gab、及び第2及び第3現像スリーブ51b,51c間の間隙Gbcは、ともに0.75mmであり、また、この第1〜第3現像スリーブ51a〜51cは矢印Aの方向に感光ドラム1の1.5倍の速度(750mm/s)でそれぞれ回転する。
【0069】
さらに、第1現像スリーブ51a近傍のトナーは、磁性板状部材42により層厚G3を700μmに規制した。また、第1及び第2現像スリーブ51a,51bには、ともに−400VのDCバイアスと振幅1500V、全体周波数1.55kHz、振動部周波数7kHzの休止部を有する矩形波をACバイアスとして印加した。
【0070】
一方、本実施の形態において、現像剤は非磁性のトナーと磁性のキャリアから構成される二成分型であり、現像容器40の底部に配されたトナー濃度センサ43aによりトナー濃度を検知され、トナー濃度は8〜10%に制御される。
【0071】
ここで、キャリアの平均粒径は、20〜60μmが好ましく、より好ましくは30〜56μmである。なお、キャリアの平均粒径が20μm以下の場合にはトナーの過剰帯電による画像濃度の低下や、感光ドラム1へのキャリア付着が増し、60μm以上の場合には複写の細線再現性を悪化させることになる。
【0072】
また、キャリアの磁気特性は、現像剤の現像特性そして搬送に大きく影響を及ぼすものであり、画像の均一性や階調性が重視される。ここで、飽和磁化が75emu/g(3000Oeの印加磁場に対し)以上の場合には、現像時に感光ドラム上の静電潜像に対向したキャリアとトナーにより構成されるブラシ状の穂立ちが、固く締まった状態となり、階調性や中間調の再現が悪くなる。
【0073】
又、飽和磁化が55emu/g以下の場合には、トナー及びキャリアを現像スリーブ上に保持できにくくなり、カブリやトナー飛散が悪化するという欠点がある。更に、キャリアの残留磁化、保磁力が高すぎると、現像装置内の現像剤の搬送が悪くなり、画像のカスレやベタ画像での濃度不均一等が発生し易くなる。
【0074】
そのため、残留磁化、保磁力をそれぞれ10emu/g以下、10Oe以下(3000Oeの印加磁場に対し)、好ましくは5emu/g以下、6.0Oe以下にすることが必要である。
【0075】
なお、使用されるキャリアとしては、表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金又は酸化物及びフェライト等であり、好ましくは、亜鉛、銅、ニッケル、コバルトの金属から選ばれたフェライトが使用できる。
【0076】
又、上記キャリアの表面を樹脂等で被覆することも可能である。その方法としては、樹脂等の被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁せしめて塗布しキャリアに付着せしめる方法、単に粉体で混合する方法等、従来公知の方法がいずれも適用できる。
【0077】
キャリア表面への固着物質としては、ポリテトラフリオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料及びそのレーキ、シリカ微粉末、アルミナ微粉末等を単独或いは複数で用いるのが適当である。
【0078】
上記化合物の処理量は、キャリアが上記条件を満足するように適宜決定すればよいが、一般には総量で、キャリアに対して0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%が望ましい。
【0079】
本実施の形態において使用可能な、特に好ましい態様はCu−Zn−Feの3元系のフェライトであり、その表面をフッ素系樹脂とスチレン系樹脂のごとき樹脂の組み合わせ、例えばポリフッ化ビニリデンとスチレン−メチルメタアクリレート樹脂、ポリテトラフルオロエチレンとスチレン−メチルメタクリレート樹脂、フッ素系共重合体とスチレン系共重合体等を90:10〜20:80、好ましくは70:30〜30:70の比率の混合物としたもので、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜1重量%コーティングしたコートフェライトキャリアであるものが挙げられる。
【0080】
該フッ素系共重合体としてはフッ化ビニリレン−テトラフルオロエチレン共重合体(10:90〜90:10)が例示され、スチレン系共重合体としてはスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル(20:80〜80:20)、スチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸(20〜60:5〜30:10〜50)が例示される。
【0081】
なお、本実施の形態において、第1現像スリーブ51a上のトナーの常温常湿での平均帯電量は−20〜−25μC/g、塗布量は48〜55mg/cm2、第2現像スリーブ51b上のトナーの常温常湿での平均帯電量は−25〜−32μC/g、塗布量は38〜45mg/cm2、第3現像スリーブ51c上のトナーの常温常湿での平均帯電量は−35〜−45μC/g、塗布量は30〜35mg/cm2である。
【0082】
そして、このような構成の現像装置におけるトナー消費率を、画像比率6%の原稿を複写して測定したところ、既述した図6に示す表2のように比較例12に係る1つの現像剤担持体を備えた現像装置で89mg/枚(A4)であるところ、本実施の形態では、70mg/枚(A4)となった。さらに、幅0.2mmの主走査方向に伸びる長さ5mmの線原稿を複写した画像の幅Wlの、主走査方向におけるのばらつきDwlは、5.8μmであった。
【0083】
なお、比較例12とは、本実施の形態において、現像スリーブを一つ備えたものをいい、この現像スリーブの外径は、24.5mmである。
【0084】
前述の線原稿を現像する際の潜像へのトナー移動量を測定したところ、現像剤担持体41aからのトナー移動量Wdevaの現像剤担持体41bからのトナー移動量Wdevbに対する割合ηwabは、既述した図5に示す表1のように、1.1、トナー移動量Wdevbの現像剤担持体41cからのトナー移動量Wdevcに対する割合ηwbcは、1.9であった。
【0085】
そして、この場合には、本実施の形態の比較例3に比べてトナー消費率、線画像の幅のばらつき、維持コスト、現像装置コスト等において優位性を発揮する。ここで、比較例3とは、本実施の形態において、現像剤担持体41aに−100VのDCバイアスと振幅1500V、全体周波数1.55kHz、振動部周波数7kHz、の休止部を有する矩形波をACバイアスとして印加し、現像剤担持体41bには−200VのDCバイアスと振幅1500V、全体周波数1.77kHz、振動部周波数8kHz、の休止部を有する矩形波をACバイアスとして印加し、現像剤担持体41cには−400VのDCバイアスと振幅1500V、全体周波数2.22kHz、振動部周波数10kHzの休止部を有する矩形波をACバイアスとして印加し、現像剤担持体毎に独立した現像バイアス電源109a,109b,109cを備えるものである。
【0086】
なお、図5に示す表1及び図6に示す表2において記載されている第4の実施の形態は、画像形成装置としてプロセス速度393mm/s、連続出力速度72頁(A4)/minの白黒デジタル複写機において、現像剤担持体の回転速度を590mm/sとしたものである。この場合、画像出力の生産性が低いという印象は拭い難いが、その分、画像形成装置への負担は少なく、耐久性は向上している。
【0087】
以上、本発明についての4つの実施の形態を挙げたが、本発明の技術的範囲は、これらに限定されるものではない。
【0088】
すなわち、現像スリーブの径・移動(回転)速度・表面処理・材質、隣接する現像スリーブ間の間隙、現像スリーブと感光ドラム1の間隙、感光ドラム1の形状・移動(回転)速度、トナー及びキャリアの処方・粒径・現像剤収容部材の形状、トナー攪拌搬送部材の位置・数・回転方向等は、画像形成装置の仕様(出力速度、ユーザの求める画質レベル等)により、最適なものを選択可能である。
【0089】
なお、既述した図5及び図6の表1及び表2に記載している第5〜第7の実施の形態は、その例を示すものである。また、図9は第1現像スリーブに印加されるDCバイアスVdcaと割合ηwabとの関係を示しており、同図から明らかなように第1のトナーの質量及び第2のトナーの質量とが同じになる、即ち割合ηwabが1.0となるDC(現像)バイアスよりもDCバイアスVdcaを増加させることにより、割合ηwabを1.0以上とすることができる。
【0090】
図10は第1現像スリーブと感光ドラムとの間隔G1aとの割合ηwabとの関係を示しており、同図から明らかなように間隔G1aを、第1のトナーの質量及び第2のトナーの質量とが同じになる、即ち割合ηwabが1.0となる間隔よりも狭くすることにより、割合ηwabを1.0以上とすることができる。
【0091】
また、図11は第1現像スリーブの周速Vslvaとの割合ηwabとの関係を示しており、同図から明らかなように周速Vslvaを、第1のトナーの質量及び第2のトナーの質量とが同じになる、即ち割合ηwabが1.0となる周速よりも早くすることにより、割合ηwabを1.0以上とすることができる。さらに、図示はしないが、現像剤塗布量によっても割合ηwabを1.0以上とすることができる。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のように、像担持体の回転方向に沿って配置された複数の現像剤担持体の現像剤担持体のうち下流にある現像剤担持体から像担持体へ単位時間内に移動する第1のトナーの質量が、上流にある現像剤担持体から像担持体へ単位時間内に移動する第2のトナーの質量より少なくなるようにしてトナー消費率を低減することにより、大型化及びコストの上昇を招くことなく高い画質を長期間維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る現像装置の構成を示す図。
【図2】上記現像装置を備えた画像形成装置の画像形成部の構成を示す図。
【図3】上記画像形成部の現像領域近傍の模式図。
【図4】割合ηwabと画像幅のばらつきDwlの関係を示す図。
【図5】本発明の第1〜第7の実施の形態と比較例との差を示す第1の図表。
【図6】本発明の第1〜第7の実施の形態と比較例との差を示す第2の図表。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る現像装置の構成を示す図。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る現像装置の構成を示す図。
【図9】現像装置の現像スリーブに印加されるDCバイアスと割合ηwabとの関係を示す図。
【図10】現像スリーブと感光ドラムとの間隔と割合ηwabとの関係を示す図。
【図11】現像スリーブの周速と、割合ηwabとの関係を示す図。
【図12】尾引き現象を示す図。
【符号の説明】
1 感光ドラム
4 現像装置
40 現像剤収容部材(現像容器)
41 現像剤担持体
109 現像バイアス電源
41a 第1現像スリーブ
41b 第2現像スリーブ
41A 第1現像スリーブ
41B 第2現像スリーブ
51a 第1現像スリーブ
51b 第2現像スリーブ
51c 第3現像スリーブ
G1a 第1現像スリーブと感光ドラムとの間隔
G1b 第2現像スリーブと感光ドラムとの間隔
Gab 第1及び第2現像スリーブの間の間隙
Claims (12)
- トナーを含む現像剤により像担持体上の静電像を現像する現像装置において、
前記像担持体の回転方向に沿って配置され、現像剤を担持する複数の現像剤担持体を備え、
前記複数の現像剤担持体のうち下流にある現像剤担持体から前記像担持体へ単位時間内に移動する第1のトナーの質量が、上流にある現像剤担持体から前記像担持体へ単位時間内に移動する第2のトナーの質量より少なくなるようにしたことを特徴とする現像装置。 - 前記第1のトナーの質量が前記第2のトナーの質量より少なくなるよう前記複数の現像剤担持体に同一の現像バイアスを印加するようにしたことを特徴とする請求項1記載の現像装置。
- 前記複数の現像剤担持体に同一の現像バイアスを印加するよう一つの現像バイアス電源を用いたことを特徴とする請求項2記載の現像装置。
- 前記第1のトナーの質量が前記第2のトナーの質量より少なくなるよう前記現像バイアスを、前記第1のトナーの質量及び前記第2のトナーの質量とが同じになる現像バイアスよりも増加させることを特徴とする請求項2又は3記載の現像装置。
- 前記第1のトナーの質量が前記第2のトナーの質量より少なくなるよう前記現像剤担持体と前記像担持体との間隔を、前記第1のトナーの質量及び前記第2のトナーの質量とが同じになる間隔よりも狭くすることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
- 前記第1のトナーの質量が前記第2のトナーの質量より少なくなるよう前記現像剤担持体の移動速度を、前記第1のトナーの質量及び前記第2のトナーの質量とが同じになる移動速度より遅くすることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
- 前記現像剤担持体の数は2つであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の現像装置。
- 前記現像剤担持体の回転方向は同一であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の現像装置。
- 前記隣接する現像剤担持体の最近接部の間隙は0.2mm以上1mm以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の現像装置。
- 前記像担持体の外周移動速度は、600mm/s以上であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の現像装置。
- 現像剤は、キャリア粒子を含まないものであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の現像装置。
- 前記請求項1乃至11のいずれか1項に記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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- 2002-06-27 JP JP2002188474A patent/JP2004029569A/ja active Pending
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