JP2004069753A - 反射型もしくは半透過型液晶表示装置用塗料組成物並びに反射型もしくは半透過型液晶表示装置用反射板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】反射型もしくは半透過型液晶表示装置の反射層3の下に設けられる表面凹凸層2、または反射層3の上方に設けられる光拡散層を形成するための塗料組成物であって、塗膜表面に凹凸形状を簡易に形成することができ、反射層3に対する密着性に優れた塗料組成物を得る。
【解決手段】同種の骨格構造を有し、かつ互いに反応する異なる官能基を有する第1の樹脂及び第2の樹脂と、架橋樹脂粒子とを混合して含み、塗布・乾燥後に第1の樹脂と第2の樹脂が相分離することを特徴とする塗料組成物。
【選択図】 図1
【解決手段】同種の骨格構造を有し、かつ互いに反応する異なる官能基を有する第1の樹脂及び第2の樹脂と、架橋樹脂粒子とを混合して含み、塗布・乾燥後に第1の樹脂と第2の樹脂が相分離することを特徴とする塗料組成物。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射型もしくは半透過型液晶表示装置の反射層の下に設けられる表面凹凸層または反射層の上方に設けられる光拡散層を形成するための塗料組成物、並びにそれを用いた反射型もしくは半透過型液晶表示装置用反射板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、カラー液晶表示装置においては、液晶パネルの背面にバックライトと呼ばれる平面型の光源を設けた透過型と呼ばれる方式が一般に用いられている。しかしながら、バックライトは消費電力が大きいため、いわゆるモバイルと呼ばれる携帯情報端末機器等に用いると、充電電池による使用時間が短くなるなどの問題を生じていた。
【0003】
このような問題を解決する方法として、液晶層を介して入射した光を反射するための反射板を設け、周囲光を前面に反射して表示を行う反射型と呼ばれる方式を採用する方法が考えられる。この方法によれば、バックライトが不要なため、消費電力を大幅に低減することができ、携帯情報端末機器等における使用時間を大幅に長くすることができる。
【0004】
このような反射型液晶表示装置に用いられる反射板としては、従来、アルミニウム、銀等の金属を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの方法により形成した金属薄膜が用いられている。
【0005】
しかしながら、このようにして形成される金属薄膜は、一般に鏡面光沢を有するものであり、入射光に対し所定角度の領域でのみ強い反射光が得られるため、そのまま用いると視野角が狭くなるという問題がある。
【0006】
このような反射型液晶表示装置において、視野角を広げるためには、あらゆる角度からの入射光に対して、表示画面に垂直な方向に散乱する光の強度を増加させる必要がある。そのための方法として、反射面全体に、微細な凹凸を形成して乱反射させる方法が提案されている。このような方法によれば、反射面全体において、光は反射面の微細な凹凸により乱反射するため、上述の視野角が狭くなるという問題を改善することができる。
【0007】
反射面に微細な凹凸を形成する方法としては、大別して2種類の方法が挙げられる。第1の方法は、反射面を構成する基材自身の表面に、薬品によるエッチングあるいは研磨等によって凹凸を形成する方法である。しかしながら、このようにして反射面に凹凸を形成すると、凹凸部の形状の再現性が悪く、微細な光拡散性能の制御が困難になるという問題があった。
【0008】
第2の方法は、感光性樹脂を用い、これをフォトリソグラフィなどの方法でエッチングして表面に凹凸を形成し、この上に反射層を形成する方法である。しかしながら、このような方法によれば、多数の工程が必要となり製造工程が複雑になるという問題があった。また、液晶表示装置の表示部のような広い面積に一定の凹凸形状を均一に形成することは困難であり、反射特性が表示部内で大きくばらつくという問題があった。
【0009】
特開2000−267086号公報では、このような問題を解決することができる方法として、互いに相分離しやすい複数の種類の樹脂を混合した混合樹脂液を用い、これを塗布して乾燥することにより樹脂を相分離させ混合樹脂層の表面に凹凸形状を形成し光散乱層とする方法が提案されている。この方法では、混合樹脂液中の少なくとも1種類以上の樹脂と選択被着性を有する面の上に、混合樹脂層が塗布される。具体的には、混合樹脂層として、フッ素基を導入したエポキシ系樹脂とアクリル系樹脂とを混合した樹脂が用いられ、選択被着性を有する下地層として、フッ素基を導入したエポキシ系樹脂からなる樹脂層が形成され、この上に混合樹脂層が塗布されている。
【0010】
このような方法によれば、下地層として、選択被着性を有する層を形成する必要があり、製造工程が複雑であるという問題がある。さらには、フッ素基を導入した樹脂を用いているので、反射層として用いる金属薄膜との密着性が悪く、金属薄膜が剥離しやすいという問題があった。
【0011】
特開2001−305316号公報では、以下の方法が提案されている。すなわち、第2の樹脂材料として第1の樹脂材料よりも混合液中の溶剤に溶解しにくい材料を選択しておくと、プリベークにより溶剤が乾燥して相分離する際、第2の樹脂材料が先に凝集して、滴状になる。このようにして、プリベーク後には、第1の樹脂材料からなる第1樹脂部中に第2の樹脂材料からなる第2樹脂部が分散、保持された樹脂層を形成する。このとき、第2樹脂部の形状が樹脂層表面に現れ、樹脂層の表面に微細な凹凸を形成することができる。これを光散乱層とする方法が提案されている。
【0012】
樹脂の相分離だけで段差を形成する方法によれば、規則性を有しない凹凸の形成は可能であるが、凹凸の大きさや凹凸の段差を制御することは困難である。そのため、指向性に優れた反射層を形成することは困難であるという問題点を有していた。
【0013】
本発明の目的は、反射型もしくは半透過型液晶表示装置の反射層の下に設けられる表面凹凸層または反射層の上方に設けられる光拡散層を形成するための塗料組成物であって、塗膜表面に凹凸形状を簡易に形成することができ、反射層に対する密着性に優れた塗料組成物、並びにこの塗料組成物を用いた反射型もしくは半透過型液晶表示装置用反射板及びその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の塗料組成物は、反射型もしくは半透過型液晶表示装置の反射層の下に設けられる表面凹凸層または反射層の上方に設けられる光拡散層を形成するための塗料組成物であり、同種の骨格構造を有し、かつ互いに反応する異なる官能基を有する第1の樹脂及び第2の樹脂と、架橋樹脂粒子とを混合して含み、塗布・乾燥後に第1の樹脂と第2の樹脂が相分離することを特徴としている。
【0015】
第1の樹脂及び第2の樹脂における同種の骨格構造としては、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、またはウレタン樹脂の骨格構造であることが好ましい。(メタ)アクリル樹脂の骨格構造としては、(メタ)アクリルモノマーを重合または共重合した骨格構造及び(メタ)アクリルモノマーと他のエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとを共重合した骨格構造が挙げられる。ポリエステル樹脂の骨格構造としては、主鎖にエステル構造を有する骨格構造が挙げられる。ポリエーテル樹脂の骨格構造としては、主鎖にエーテル構造を有する骨格構造が挙げられる。ウレタン樹脂の骨格構造としては、主鎖にウレタン構造を有する骨格構造が挙げられる。
【0016】
また、第1の樹脂及び第2の樹脂は、互いに反応する異なる官能基を有している。このような官能基の組み合わせとしては、エポキシ基とカルボキシル基、(ブロック)イソシアネート基と水酸基、(ブロック)イソシアネート基とアミノ基、エポキシ基とアミノ基、アルケニル基とアルケニル基(すなわちアルケニル基の重合)、メラミン樹脂と水酸基、酸無水基とエポキシ基/水酸基、シラノール基とシラノール基(すなわちシラノール基の縮合)、シラノール基とエポキシ基、活性メチレン基とアクリロイル基、オキサゾリン基とカルボキシル基などが挙げられる。
【0017】
本発明における第1の樹脂及び第2の樹脂は、互いに反応する官能基を有しているので、加熱することによりこれらの官能基を反応させることができる。従って、第1の樹脂と第2の樹脂からなる混合樹脂は、熱硬化性を有している。
【0018】
第1の樹脂と第2の樹脂のSP値の差は、1以上であることが好ましい。SP値の差を1以上とすることにより、塗布・乾燥後の相分離が生じやすくなる。SP値の差は、さらに好ましくは3以上である。SP値の差の上限値は特に限定されるものではないが、一般には15以下である。
【0019】
本発明の塗料組成物は、架橋樹脂粒子を含むことにより、相分離により形成される凹凸よりも大きな凹凸を塗膜表面に形成させることができる。塗料組成物中に含有させる架橋樹脂粒子の含有量は、塗料組成物の樹脂固形分100重量部に対して、0.01〜500重量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜300重量部であり、さらに好ましくは1〜200重量部である。架橋樹脂粒子の平均粒子径としては、50nm〜6000nmの範囲内であることが好ましい。
【0020】
本発明において用いる架橋樹脂粒子としては、例えば特開2000−241807号公報に開示された架橋樹脂粒子を用いることができる。具体的には、乳化重合や乳化剤を用いないソープフリー乳化重合、または媒体に極性有機溶媒を使用した分散重合により得られる粒子等が使用できる。例えば、両イオン性基を分子内に有する単量体を多価アルコール成分の1つとして合成したアルキド樹脂あるいはポリエステル樹脂等の乳化能を有する樹脂と、重合開始剤との存在下に、水性媒体中でエチレン性不飽和モノマーを乳化重合させることにより得られるものが好ましく用いられる。本発明において、架橋樹脂粒子は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
第1の樹脂及び第2の樹脂の重量平均分子量は、2000〜100000であることが好ましい。重量平均分子量が低すぎると、第1の樹脂と第2の樹脂が相溶してしまうため、相分離が起こらない場合がある。また重量平均分子量が高すぎると、塗布前の塗料において、第1の樹脂と第2の樹脂が分離してしまうため、均一な状態にならず、塗布時にムラが発生し、良好な塗膜が得られない場合がある。
【0022】
また、本発明の塗料組成物中には、必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。このような添加剤としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのワックス類や、カップリング剤、可塑剤、分散剤等が挙げられる。
【0023】
本発明で用いられる塗料組成物中の溶剤は、特に限定されるものではなく、塗装の下地となる部分の材質や、バインダー樹脂及び塗装方法などを考慮して適宜選択される。溶剤の具体例としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセタート、プロピレングリコールジアセタート、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤のうち、エステル系溶剤及びケトン系溶剤が好ましく、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。また、本発明で用いられる塗料組成物は、水系の塗料組成物であってもよい。従って、水系の溶剤が用いられてもよい。
【0024】
本発明の第1の局面に従う反射型もしくは半透過型液晶表示装置用反射板は、上記本発明の塗料組成物から形成される表面凹凸層と、該表面凹凸層の凹凸形状を引き継ぐように該表面凹凸層の上に設けられる反射層とを備えることを特徴としている。
【0025】
表面凹凸層は、上記本発明の塗料組成物を塗布・乾燥後、第1の樹脂と第2の樹脂を相分離させることにより形成される層である。
さらに、上記反射層の上に凹凸増加層として無機薄膜を設けてもよい。無機薄膜としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化シリコン(SiO2)、酸化チタン(TiO2)などの薄膜が挙げられる。ITOを凹凸増加層として設ける場合には、これを透明電極層として用いてもよい。凹凸増加層を形成することにより、その下地層である反射層の表面の凹凸を増加させることができる。凹凸増加層は、一般にスパッタリングや蒸着等により形成されるが、形成の際にその下地層である反射層及び表面凹凸層が加熱され、表面凹凸層と反射層及び凹凸増加層との熱膨張率の差により、反射層の表面の凹凸が増加するものと考えられる。
【0026】
本発明の第2の局面に従う反射型もしくは半透過型液晶表示装置用反射板は、反射層と、該反射層の上方に設けられる光拡散層とを備えている。この光拡散層は、上記本発明の塗料組成物から形成される。
【0027】
本発明の第1の局面及び第2の局面における反射層は、特に限定されるものではなく、要求される反射性能等を考慮して適宜選択されるものである。具体的には、アルミニウム、銀等の高反射性の金属を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの薄膜形成方法により形成した金属薄膜が挙げられる。また、メタリック塗料などにおいて用いられている金属フレークなどの光輝性顔料を含有した塗料を塗布することにより形成してもよい。
【0028】
金属フレークとしては、入手の容易さ及び化学的安定性などの面からアルミニウムフレークが最も好ましく用いられる。その他の金属フレークとしては、例えば金、銀、銅、真鍮、チタン、クロム、ニッケル、ニッケルクロム、ステンレス等の金属フレークなどが挙げられる。また、マイカ粉などの鱗片状顔料の表面に金属薄膜を形成した顔料を用いてもよい。
【0029】
また金属フレークとしては、蒸着金属膜を粉砕して得られる金属フレークを用いてもよい。このような金属フレークは、非常に厚みが薄く、面状に配向させることにより、鏡面光沢に近い反射面を形成することができる。このような金属フレークは、例えば、特開平2−8268号公報や国際公開WO93/23481号公報等に開示された製造方法により製造することができる。具体的には、OPP(配向ポリプロピレン)、CPP(結晶性ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のプラスチックフィルムからなるベースフィルム上に金属蒸着を行い、得られた蒸着金属膜をベースフィルムから剥離し、これを粉砕することにより金属フレークとすることができる。このような金属フレークを配向させることにより、鏡面光沢に近い反射面を形成することができるので、高い反射率を有する反射層を製造することができる。
【0030】
また、本発明においては、反射層の厚みや、金属フレークの含有量等を調整することなどによって、反射層を半透過性の反射層としてもよい。このような半透過性の反射層とすることにより、半透過反射型(透過反射兼用型)の液晶表示装置とすることができる。
【0031】
本発明の第1の局面に従う反射型もしくは半透過型液晶表示装置用反射板の製造方法は、上記本発明の塗料組成物を塗布して表面凹凸層を形成する工程と、該表面凹凸層の上に反射層を形成する工程とを備えることを特徴としている。また、上記反射層の上に凹凸増加層として無機薄膜を形成する工程をさらに備えてもよい。
【0032】
本発明の第2の局面に従う反射型もしくは半透過型液晶表示装置用反射板の製造方法は、反射層を形成する工程と、該反射層の上に、上記本発明の塗料組成物を塗布して光拡散層を形成する工程とを備えることを特徴としている。
【0033】
表面凹凸層または光拡散層を形成するための塗料組成物の塗装方法は、使用する塗料や塗装工程の状況に応じて適宜選択されるものであるが、例えばスピンコーティング、ロールコーティング、スクリーン印刷、スプレーコーティング、グラビアコーティング等の種々の塗装方法を採用することができる。
【0034】
表面凹凸層及び光拡散層の厚みは、特に限定されるものではなく、種々の要因を考慮して適宜設定することができる。厚みの一例としては、0.1μm〜50μmを例示することができる。
【0035】
また、表面凹凸層及び光拡散層に含まれる架橋樹脂粒子の数は30〜700個/10000μm2であることが好ましく、さらに好ましくは60〜550個/10000μm2、特に好ましくは100〜460個/10000μm2である。
【0036】
反射層の厚みは、特に限定されるものではなく、種々の要因を考慮して適宜設定することができる。厚みの一例として、0.01μm〜10μmの厚みを例示することができる。
【0037】
また、凹凸増加層は蒸着等の方法により形成でき、その厚みは特に限定されるものではなく、種々の要因を考慮して適宜設定することができる。厚みの一例として、0.01μm〜10μmの厚みを例示することができる。
【0038】
本発明において、表面凹凸層及び光拡散層は、塗布・乾燥した後、加熱することが好ましい。加熱温度は、例えば50〜300℃が好ましく、さらに好ましくは140〜250℃である。加熱時間は、加熱温度により変化するが、例えば、加熱温度が140〜250℃の場合、10〜180分程度が適当である。
【0039】
本発明の反射型もしくは半透過型液晶表示装置は、上記本発明の反射板または上記本発明の方法により製造された反射板を備えることを特徴とする液晶表示装置である。
【0040】
本発明の液晶表示装置は、液晶層を介して入射した光を反射板で反射して画像を表示する液晶ディスプレイであれば、いずれのタイプのものにも適用することができ、例えば、TN(ツイステッドネマチック)型、STN(スーパーツイステッドネマチック)型、GH(ゲストホスト)型ディスプレイや、強誘電性液晶ディスプレイなど従来から知られている液晶ディスプレイに適用することができる。また、駆動方式も特に限定されるものではなく、単純マトリクスやアクティブマトリクスなど従来から知られている駆動方式の液晶ディスプレイに適用することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に従う一実施例を示す断面図である。本実施例においては、表面凹凸層2の上に反射層3が設けられていることにより、反射板が構成されている。表面凹凸層2は、基板1の上に設けられている。基板1としては、液晶表示装置に用いることができる一般的な基板を用いることができ、例えば、ガラス基板やプラスチック基板などを用いることができる。プラスチック基板としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、環状非晶質ポリオレフィンなどのプラスチックフィルム等を用いることができる。表面凹凸層2は、本発明の塗料組成物から形成されている。本発明の塗料組成物を塗布・乾燥することにより、塗料組成物中の第1の樹脂と第2の樹脂が相分離する。この相分離と架橋樹脂粒子の存在によって、塗膜表面に凹凸が形成されて表面凹凸層2となる。
【0042】
表面凹凸層2の上には、反射層3が設けられている。反射層3は、表面凹凸層2の表面の凹凸形状を引き継ぐように形成されている。従って、反射層3の表面にも凹凸形状が形成されており、表面凹凸層2の表面の凹凸形状に対応した凹凸形状を有している。反射層3の上には、凹凸増加層4が設けられている。
【0043】
凹凸増加層4の上には、カラーフィルター層5が設けられており、カラーフィルター層5の上には、平坦化層6が設けられている。平坦化層6は、透明性を有する塗膜などから形成することができ、例えば、アクリル樹脂などから形成することができる。
【0044】
平坦化層6の上には、ITOなどからなる透明駆動電極7が形成されている。他方の基板10も、基板1と同様あるいは異なる材質から形成されたものも用いることができ、基板10の内側には、ITOなどからなる透明駆動電極9が形成されている。透明駆動電極7と透明駆動電極9の間に、液晶層8が挟まれ保持されている。
【0045】
液晶表示装置内に入射した光は、反射層3によって反射されるが、反射層3の表面は、上述のように表面凹凸層2に基づく微細な凹凸形状を有しているので、様々な方向から入射した光が、表示画面に対し垂直な方向に散乱して反射される。従って、視野角の広い、明るい画像を表示することができる。
【0046】
また、凹凸増加層4として、ITOを形成する場合、これを透明駆動電極として用いてもよい。
図2は、本発明に従う他の実施例を示す断面図である。本実施例においては、反射層3の上に光拡散層11が設けられることにより反射板が構成されている。反射層3は、基板1の上に設けられている。反射層3の上に設けられる光拡散層11は、本発明の塗料組成物から形成されている。本発明の塗料組成物を塗布・乾燥した後、第1の樹脂と第2の樹脂が相分離することにより、また架橋樹脂粒子の存在により塗膜表面に凹凸が形成され、これによって光拡散層11が形成されている。
【0047】
光拡散層11の上には、図1に示す実施例と同様に、カラーフィルター層5、平坦化層6、透明駆動電極7、液晶層8、透明駆動電極9、及び基板10が設けられている。
【0048】
液晶表示装置に入射した光は、反射層3の表面で反射されるが、反射光は光拡散層11を通る際、光拡散層11内で相分離により形成された凹凸状によって散乱する。このため、様々な方向から入射した光が、表示画面に対し垂直な方向にも散乱される。従って、視野角が広く、明るい画像を表示することができる。
【0049】
図1及び図2に示す液晶表示装置において、反射層3を半透過性の反射層とすることにより半透過反射型の液晶表示装置とすることができる。この場合、基板1の下側にバックライト等の光源が設けられた構成となる。
【0050】
なお、本発明の液晶表示装置は、図1及び図2に示す構造のものに限定されるものではない。
【0051】
【実施例】
以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において部及び%は、特にことわらない限り、重量部及び重量%を意味する。
【0052】
<架橋樹脂粒子の調製>
攪拌加熱装置、温度計、窒素導入管、冷却管及びデカンターを備えた反応容器に、ビスヒドロキシエチルタウリン213部、ネオペンチルグリコール208部、無水フタル酸296部、アゼライン酸376部及びキシレン30部を仕込み昇温した。反応により生成した水はキシレンと共沸させて除去した。還流開始より約3時間かけて反応液温を210℃とし、カルボン酸相当の酸価が135mgKOH/gになるまで攪拌と脱水とを継続して反応させた。液温を140℃まで冷却そた後,「カージュラ−E10」(商品名:シェル社製のバーサティック酸グリシジルエステル)500部を30分で滴下し,その後、2時間攪拌を継続して反応を終了した。酸価55mgKOH/g、水酸基価91mg/KOH及び数平均分子量1250の両性イオン基含有ポリエステル樹脂を得た。
【0053】
この両性イオン基含有ポリエステル樹脂10部、脱イオン水140部ジメチルエタノールアミン1部、スチレン50部及びエチレングリコールジメタクリレート50部をステンレス製ビーカー中で激しく攪拌することによりモノマー懸濁液を調整した。また、アゾビスシアノ吉草酸0.5部、脱イオン水40部及びジメチルエタノールアミン0.32部を混合することにより開始剤水溶液を調整した。
【0054】
攪拌加熱装置、温度計、窒素導入管及び冷却管を備えた反応容器に上記両性イオン基含有ポリエステル樹脂5部、脱イオン水280部及びジメチルエタノールアミン0.5部を仕込み、80℃に昇温した。ここに、モノマー懸濁液251部と開始剤水溶液40.82部とを同時に60分かけて滴下し、さらに60分反応を継続した後、反応を終了させた。
【0055】
以上のようにして得られた架橋樹脂粒子エマルジョンに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、減圧下共沸蒸留により水を除去し、媒体をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに置換して、固形分含有量30%の架橋樹脂粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。
【0056】
<塗料組成物の調製>
実施例1〜2及び比較例1〜6の塗料組成物を、以下のようにして調製した。なお、GMAはグリシジルメタクリレート、STはスチレン、AAはアクリル酸を示している。
【0057】
(実施例1)
以下の表1に示す配合割合で、塗料組成物を調製した。また、実施例及び比較例において用いている各樹脂及び架橋樹脂粒子の溶剤はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。
【0058】
【表1】
【0059】
(実施例2)
以下の表2に示す配合割合で、塗料組成物を調製した。エポキシ変性ポリエステル樹脂Bは、無水フタル酸40部、ペンタエリスリトール11部、大豆油36部、及びネオペンチルグリコール15部の配合割合で常法にてポリエステル樹脂B´(酸価30KOHmg/g、水酸基価50KOHmg/g)を合成した後、150℃まで冷却し、エピコート828を上記樹脂B´1部に対して19.1部加え、150℃で4時間反応させて調製した。なお、IPAは、イソフタル酸、TMPはトリメチロールプロパン、NPGはネオペンチルグリコール、PAnは無水フタル酸、PEはペンタエリスリトールを示している。
【0060】
【表2】
【0061】
(比較例1)
以下の表3に示す配合割合で、塗料組成物を調製した。
【0062】
【表3】
【0063】
(比較例2)
以下の表4に示す配合割合で、塗料組成物を調製した。
【0064】
【表4】
【0065】
(比較例3)
以下の表5に示す配合割合で、塗料組成物を調製した。
【0066】
【表5】
【0067】
(比較例4)
以下の表6に示す配合割合で、塗料組成物を調製した。
【0068】
【表6】
【0069】
(比較例5)
以下の表7に示す配合割合で、塗料組成物を調製した。
【0070】
【表7】
【0071】
(比較例6)
以下の表8に示す配合割合で、塗料組成物を調製した。
【0072】
【表8】
【0073】
<反射板の作製>
以上のようにして得られた実施例1、2及び比較例1〜6の塗料組成物を用いて、反射板を作製した。まず、塗料組成物を0.7mmの厚みのガラス基板の上に回転数1000rpm、30秒にてスピンコーターで塗布し、乾燥した後、クリーンオーブンにて235℃で60分間加熱して塗料組成物を硬化させ、塗膜を形成した。塗膜の厚みは、約2.5μmとした。
【0074】
次に、この塗膜の上に、スパッタリング法でアルミニウム薄膜からなる反射層を形成した。アルミニウム薄膜の厚みは0.1μmとした。
以上のようにして形成した反射板について、分光測色計(ミノルタ社製、CM−1000)により分光反射率を測定した。得られた結果を表9に示す。
【0075】
【表9】
【0076】
表9に示す結果から明らかなように、本発明に従う実施例1及び2の塗料組成物を用いた場合には、高い分光反射率が得られている。これは、実施例1及び2の塗料組成物を用いることにより、相分離による凹凸形状の凸部と凸部の間の平坦部にも架橋樹脂粒子による凹凸形状が形成されるため、全面に大きな凹凸を有する表面凹凸層が形成されたことによるものと思われる。これに対し、比較例1〜3の塗料組成物を用いた場合には、架橋樹脂粒子による凹凸形状のみのため、分光反射率が低くなっている。比較例4〜6では、表面に相分離による凹凸が形成され、若干高い分光反射率が得られている。
【0077】
得られた反射板について、変角光度計(村上色彩技術研究所製、Gonio−Spectrophotometer GSP−2)により変角反射特性を測定した。表10にD65−10°視野の光源を用い、入射角45°時の受光角30°でのL*値を示す。
【0078】
【表10】
【0079】
表10に示す結果から明らかなように、相分離による凹凸形状を形成しない比較例1〜3の塗膜や架橋樹脂粒子を用いない比較例4〜6は、低い変角反射特性を示すことがわかる。そのため、比較例1〜6の塗膜を用いた液晶表示装置は視野角が狭く、観察する角度が変わると、表示が著しく劣るものであった。これは、相分離により形成した凹凸のみや架橋樹脂粒子により形成した凹凸形状のみでは、凸部と凹部の制御が困難なためであると思われる。
【0080】
<密着性の評価>
密着性の評価は、JIS−K5400に準じて行った。すなわち、塗膜の上にカッターで1mm幅で縦及び横方向に切れ目を形成することにより碁盤目を100個形成し、これを粘着テープで剥離し、100個の碁盤目のうち剥離しなかった碁盤目の数により、以下の基準で評価した。
【0081】
○:100個
○〜△:99〜75個
△:74〜50個
△〜×:49〜25個
×:24個以下
密着性については、初期密着性、耐熱試験後の密着性、耐薬品試験後の密着性、温水試験後の密着性を評価した。
【0082】
初期密着性は、各サンプルについて上記の密着性試験方法に従い測定したものである。
耐熱試験後の密着性は、各サンプルを220℃で180分加熱した後の密着性である。
【0083】
耐薬品試験後の密着性は、各サンプルを5%KOH水溶液中に50℃で60分間浸漬した後の密着性である。
温水試験後の密着性は、各サンプルを70℃の温水中に60分間浸漬した後の密着性である。
【0084】
試験結果を表11に示す。
【0085】
【表11】
【0086】
表11に示す結果から明らかなように、フッ素基含有エポキシ樹脂を用いた比較例4及び6の塗膜は、初期密着性、並びに耐熱試験後、耐薬品試験後、及び温水試験後の密着性のいずれにおいても悪いことがわかる。これは、樹脂としてフッ素基を含有した樹脂を用いているためであると思われる。
【0087】
また、比較例3では、耐薬品試験後及び温水試験後の密着性が悪くなっている。これは、比較例3においては、アクリル樹脂1種類のみを用いており、樹脂が熱硬化しなかったためであると思われる。
【0088】
<塗料状態の評価>
実施例1〜2及び比較例1〜6の塗料組成物について、その塗料状態を目視で観察し、評価した。
【0089】
塗料状態が均一なものを○とし、塗料が相分離しているものを×とした。
塗料が相分離した状態とは、分離液界面が目視にて確認できる状態である。
評価結果を表12に示す。
【0090】
【表12】
【0091】
表12に示すように、比較例6においては、異なる骨格構造の樹脂を用いているので、塗料状態において相分離が生じている。
【0092】
(実施例3〜7)
実施例1と同様の塗料組成物を用い、塗料組成物をガラス基板上に塗布する際の回転数を表13に示す回転数とし、30秒間スピンコーターで塗布する以外は、上記実施例1と同様にして反射板を作製した。反射層を形成した後、その上に凹凸増加層としてのITO膜を膜厚800Åとなるように形成した。ITO膜は、230℃で、スパッタリング法により形成した。
【0093】
以上のようにして、基板上に、表面凹凸層、反射層、及び凹凸増加層を形成した反射板を作製した。表面凹凸層中における架橋樹脂粒子の数を、光学顕微鏡で測定した。10000μm2の面積の範囲内の架橋樹脂粒子の数をカウントし、測定結果を表13に示した。また、各反射板の分光反射率を、表13に示した。
【0094】
【表13】
【0095】
表9の実施例1の分光反射率と、表13の実施例3の分光反射率との比較から、反射層の上に、凹凸増加層を形成することにより、分光反射率が約1.2倍増加することがわかる。
【0096】
また、表面凹凸層中に含まれる架橋樹脂粒子の数は、特に100〜460個/10000μm2の範囲内であることが好ましいことがわかる。
【0097】
【発明の効果】
本発明の塗料組成物を用いることにより、表面に凹凸を有した塗膜を容易に形成することができ、これを用いて反射型もしくは半透過型液晶表示装置の反射板を容易に製造することができる。本発明の反射板を用いることにより、広い視野角で明るい表示を得ることができ、簡易な工程で効率よく反射板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う一実施例を示す断面図。
【図2】本発明に従う他の実施例を示す断面図。
【符号の説明】
1,10…基板
2…表面凹凸層
3…反射層
4・・・凹凸増加層
5…カラーフィルター層
6…平坦化層
7,9…透明駆動電極
8…液晶層
11…光拡散層
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射型もしくは半透過型液晶表示装置の反射層の下に設けられる表面凹凸層または反射層の上方に設けられる光拡散層を形成するための塗料組成物、並びにそれを用いた反射型もしくは半透過型液晶表示装置用反射板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、カラー液晶表示装置においては、液晶パネルの背面にバックライトと呼ばれる平面型の光源を設けた透過型と呼ばれる方式が一般に用いられている。しかしながら、バックライトは消費電力が大きいため、いわゆるモバイルと呼ばれる携帯情報端末機器等に用いると、充電電池による使用時間が短くなるなどの問題を生じていた。
【0003】
このような問題を解決する方法として、液晶層を介して入射した光を反射するための反射板を設け、周囲光を前面に反射して表示を行う反射型と呼ばれる方式を採用する方法が考えられる。この方法によれば、バックライトが不要なため、消費電力を大幅に低減することができ、携帯情報端末機器等における使用時間を大幅に長くすることができる。
【0004】
このような反射型液晶表示装置に用いられる反射板としては、従来、アルミニウム、銀等の金属を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの方法により形成した金属薄膜が用いられている。
【0005】
しかしながら、このようにして形成される金属薄膜は、一般に鏡面光沢を有するものであり、入射光に対し所定角度の領域でのみ強い反射光が得られるため、そのまま用いると視野角が狭くなるという問題がある。
【0006】
このような反射型液晶表示装置において、視野角を広げるためには、あらゆる角度からの入射光に対して、表示画面に垂直な方向に散乱する光の強度を増加させる必要がある。そのための方法として、反射面全体に、微細な凹凸を形成して乱反射させる方法が提案されている。このような方法によれば、反射面全体において、光は反射面の微細な凹凸により乱反射するため、上述の視野角が狭くなるという問題を改善することができる。
【0007】
反射面に微細な凹凸を形成する方法としては、大別して2種類の方法が挙げられる。第1の方法は、反射面を構成する基材自身の表面に、薬品によるエッチングあるいは研磨等によって凹凸を形成する方法である。しかしながら、このようにして反射面に凹凸を形成すると、凹凸部の形状の再現性が悪く、微細な光拡散性能の制御が困難になるという問題があった。
【0008】
第2の方法は、感光性樹脂を用い、これをフォトリソグラフィなどの方法でエッチングして表面に凹凸を形成し、この上に反射層を形成する方法である。しかしながら、このような方法によれば、多数の工程が必要となり製造工程が複雑になるという問題があった。また、液晶表示装置の表示部のような広い面積に一定の凹凸形状を均一に形成することは困難であり、反射特性が表示部内で大きくばらつくという問題があった。
【0009】
特開2000−267086号公報では、このような問題を解決することができる方法として、互いに相分離しやすい複数の種類の樹脂を混合した混合樹脂液を用い、これを塗布して乾燥することにより樹脂を相分離させ混合樹脂層の表面に凹凸形状を形成し光散乱層とする方法が提案されている。この方法では、混合樹脂液中の少なくとも1種類以上の樹脂と選択被着性を有する面の上に、混合樹脂層が塗布される。具体的には、混合樹脂層として、フッ素基を導入したエポキシ系樹脂とアクリル系樹脂とを混合した樹脂が用いられ、選択被着性を有する下地層として、フッ素基を導入したエポキシ系樹脂からなる樹脂層が形成され、この上に混合樹脂層が塗布されている。
【0010】
このような方法によれば、下地層として、選択被着性を有する層を形成する必要があり、製造工程が複雑であるという問題がある。さらには、フッ素基を導入した樹脂を用いているので、反射層として用いる金属薄膜との密着性が悪く、金属薄膜が剥離しやすいという問題があった。
【0011】
特開2001−305316号公報では、以下の方法が提案されている。すなわち、第2の樹脂材料として第1の樹脂材料よりも混合液中の溶剤に溶解しにくい材料を選択しておくと、プリベークにより溶剤が乾燥して相分離する際、第2の樹脂材料が先に凝集して、滴状になる。このようにして、プリベーク後には、第1の樹脂材料からなる第1樹脂部中に第2の樹脂材料からなる第2樹脂部が分散、保持された樹脂層を形成する。このとき、第2樹脂部の形状が樹脂層表面に現れ、樹脂層の表面に微細な凹凸を形成することができる。これを光散乱層とする方法が提案されている。
【0012】
樹脂の相分離だけで段差を形成する方法によれば、規則性を有しない凹凸の形成は可能であるが、凹凸の大きさや凹凸の段差を制御することは困難である。そのため、指向性に優れた反射層を形成することは困難であるという問題点を有していた。
【0013】
本発明の目的は、反射型もしくは半透過型液晶表示装置の反射層の下に設けられる表面凹凸層または反射層の上方に設けられる光拡散層を形成するための塗料組成物であって、塗膜表面に凹凸形状を簡易に形成することができ、反射層に対する密着性に優れた塗料組成物、並びにこの塗料組成物を用いた反射型もしくは半透過型液晶表示装置用反射板及びその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の塗料組成物は、反射型もしくは半透過型液晶表示装置の反射層の下に設けられる表面凹凸層または反射層の上方に設けられる光拡散層を形成するための塗料組成物であり、同種の骨格構造を有し、かつ互いに反応する異なる官能基を有する第1の樹脂及び第2の樹脂と、架橋樹脂粒子とを混合して含み、塗布・乾燥後に第1の樹脂と第2の樹脂が相分離することを特徴としている。
【0015】
第1の樹脂及び第2の樹脂における同種の骨格構造としては、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、またはウレタン樹脂の骨格構造であることが好ましい。(メタ)アクリル樹脂の骨格構造としては、(メタ)アクリルモノマーを重合または共重合した骨格構造及び(メタ)アクリルモノマーと他のエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとを共重合した骨格構造が挙げられる。ポリエステル樹脂の骨格構造としては、主鎖にエステル構造を有する骨格構造が挙げられる。ポリエーテル樹脂の骨格構造としては、主鎖にエーテル構造を有する骨格構造が挙げられる。ウレタン樹脂の骨格構造としては、主鎖にウレタン構造を有する骨格構造が挙げられる。
【0016】
また、第1の樹脂及び第2の樹脂は、互いに反応する異なる官能基を有している。このような官能基の組み合わせとしては、エポキシ基とカルボキシル基、(ブロック)イソシアネート基と水酸基、(ブロック)イソシアネート基とアミノ基、エポキシ基とアミノ基、アルケニル基とアルケニル基(すなわちアルケニル基の重合)、メラミン樹脂と水酸基、酸無水基とエポキシ基/水酸基、シラノール基とシラノール基(すなわちシラノール基の縮合)、シラノール基とエポキシ基、活性メチレン基とアクリロイル基、オキサゾリン基とカルボキシル基などが挙げられる。
【0017】
本発明における第1の樹脂及び第2の樹脂は、互いに反応する官能基を有しているので、加熱することによりこれらの官能基を反応させることができる。従って、第1の樹脂と第2の樹脂からなる混合樹脂は、熱硬化性を有している。
【0018】
第1の樹脂と第2の樹脂のSP値の差は、1以上であることが好ましい。SP値の差を1以上とすることにより、塗布・乾燥後の相分離が生じやすくなる。SP値の差は、さらに好ましくは3以上である。SP値の差の上限値は特に限定されるものではないが、一般には15以下である。
【0019】
本発明の塗料組成物は、架橋樹脂粒子を含むことにより、相分離により形成される凹凸よりも大きな凹凸を塗膜表面に形成させることができる。塗料組成物中に含有させる架橋樹脂粒子の含有量は、塗料組成物の樹脂固形分100重量部に対して、0.01〜500重量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜300重量部であり、さらに好ましくは1〜200重量部である。架橋樹脂粒子の平均粒子径としては、50nm〜6000nmの範囲内であることが好ましい。
【0020】
本発明において用いる架橋樹脂粒子としては、例えば特開2000−241807号公報に開示された架橋樹脂粒子を用いることができる。具体的には、乳化重合や乳化剤を用いないソープフリー乳化重合、または媒体に極性有機溶媒を使用した分散重合により得られる粒子等が使用できる。例えば、両イオン性基を分子内に有する単量体を多価アルコール成分の1つとして合成したアルキド樹脂あるいはポリエステル樹脂等の乳化能を有する樹脂と、重合開始剤との存在下に、水性媒体中でエチレン性不飽和モノマーを乳化重合させることにより得られるものが好ましく用いられる。本発明において、架橋樹脂粒子は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
第1の樹脂及び第2の樹脂の重量平均分子量は、2000〜100000であることが好ましい。重量平均分子量が低すぎると、第1の樹脂と第2の樹脂が相溶してしまうため、相分離が起こらない場合がある。また重量平均分子量が高すぎると、塗布前の塗料において、第1の樹脂と第2の樹脂が分離してしまうため、均一な状態にならず、塗布時にムラが発生し、良好な塗膜が得られない場合がある。
【0022】
また、本発明の塗料組成物中には、必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。このような添加剤としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのワックス類や、カップリング剤、可塑剤、分散剤等が挙げられる。
【0023】
本発明で用いられる塗料組成物中の溶剤は、特に限定されるものではなく、塗装の下地となる部分の材質や、バインダー樹脂及び塗装方法などを考慮して適宜選択される。溶剤の具体例としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセタート、プロピレングリコールジアセタート、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤のうち、エステル系溶剤及びケトン系溶剤が好ましく、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。また、本発明で用いられる塗料組成物は、水系の塗料組成物であってもよい。従って、水系の溶剤が用いられてもよい。
【0024】
本発明の第1の局面に従う反射型もしくは半透過型液晶表示装置用反射板は、上記本発明の塗料組成物から形成される表面凹凸層と、該表面凹凸層の凹凸形状を引き継ぐように該表面凹凸層の上に設けられる反射層とを備えることを特徴としている。
【0025】
表面凹凸層は、上記本発明の塗料組成物を塗布・乾燥後、第1の樹脂と第2の樹脂を相分離させることにより形成される層である。
さらに、上記反射層の上に凹凸増加層として無機薄膜を設けてもよい。無機薄膜としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化シリコン(SiO2)、酸化チタン(TiO2)などの薄膜が挙げられる。ITOを凹凸増加層として設ける場合には、これを透明電極層として用いてもよい。凹凸増加層を形成することにより、その下地層である反射層の表面の凹凸を増加させることができる。凹凸増加層は、一般にスパッタリングや蒸着等により形成されるが、形成の際にその下地層である反射層及び表面凹凸層が加熱され、表面凹凸層と反射層及び凹凸増加層との熱膨張率の差により、反射層の表面の凹凸が増加するものと考えられる。
【0026】
本発明の第2の局面に従う反射型もしくは半透過型液晶表示装置用反射板は、反射層と、該反射層の上方に設けられる光拡散層とを備えている。この光拡散層は、上記本発明の塗料組成物から形成される。
【0027】
本発明の第1の局面及び第2の局面における反射層は、特に限定されるものではなく、要求される反射性能等を考慮して適宜選択されるものである。具体的には、アルミニウム、銀等の高反射性の金属を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの薄膜形成方法により形成した金属薄膜が挙げられる。また、メタリック塗料などにおいて用いられている金属フレークなどの光輝性顔料を含有した塗料を塗布することにより形成してもよい。
【0028】
金属フレークとしては、入手の容易さ及び化学的安定性などの面からアルミニウムフレークが最も好ましく用いられる。その他の金属フレークとしては、例えば金、銀、銅、真鍮、チタン、クロム、ニッケル、ニッケルクロム、ステンレス等の金属フレークなどが挙げられる。また、マイカ粉などの鱗片状顔料の表面に金属薄膜を形成した顔料を用いてもよい。
【0029】
また金属フレークとしては、蒸着金属膜を粉砕して得られる金属フレークを用いてもよい。このような金属フレークは、非常に厚みが薄く、面状に配向させることにより、鏡面光沢に近い反射面を形成することができる。このような金属フレークは、例えば、特開平2−8268号公報や国際公開WO93/23481号公報等に開示された製造方法により製造することができる。具体的には、OPP(配向ポリプロピレン)、CPP(結晶性ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のプラスチックフィルムからなるベースフィルム上に金属蒸着を行い、得られた蒸着金属膜をベースフィルムから剥離し、これを粉砕することにより金属フレークとすることができる。このような金属フレークを配向させることにより、鏡面光沢に近い反射面を形成することができるので、高い反射率を有する反射層を製造することができる。
【0030】
また、本発明においては、反射層の厚みや、金属フレークの含有量等を調整することなどによって、反射層を半透過性の反射層としてもよい。このような半透過性の反射層とすることにより、半透過反射型(透過反射兼用型)の液晶表示装置とすることができる。
【0031】
本発明の第1の局面に従う反射型もしくは半透過型液晶表示装置用反射板の製造方法は、上記本発明の塗料組成物を塗布して表面凹凸層を形成する工程と、該表面凹凸層の上に反射層を形成する工程とを備えることを特徴としている。また、上記反射層の上に凹凸増加層として無機薄膜を形成する工程をさらに備えてもよい。
【0032】
本発明の第2の局面に従う反射型もしくは半透過型液晶表示装置用反射板の製造方法は、反射層を形成する工程と、該反射層の上に、上記本発明の塗料組成物を塗布して光拡散層を形成する工程とを備えることを特徴としている。
【0033】
表面凹凸層または光拡散層を形成するための塗料組成物の塗装方法は、使用する塗料や塗装工程の状況に応じて適宜選択されるものであるが、例えばスピンコーティング、ロールコーティング、スクリーン印刷、スプレーコーティング、グラビアコーティング等の種々の塗装方法を採用することができる。
【0034】
表面凹凸層及び光拡散層の厚みは、特に限定されるものではなく、種々の要因を考慮して適宜設定することができる。厚みの一例としては、0.1μm〜50μmを例示することができる。
【0035】
また、表面凹凸層及び光拡散層に含まれる架橋樹脂粒子の数は30〜700個/10000μm2であることが好ましく、さらに好ましくは60〜550個/10000μm2、特に好ましくは100〜460個/10000μm2である。
【0036】
反射層の厚みは、特に限定されるものではなく、種々の要因を考慮して適宜設定することができる。厚みの一例として、0.01μm〜10μmの厚みを例示することができる。
【0037】
また、凹凸増加層は蒸着等の方法により形成でき、その厚みは特に限定されるものではなく、種々の要因を考慮して適宜設定することができる。厚みの一例として、0.01μm〜10μmの厚みを例示することができる。
【0038】
本発明において、表面凹凸層及び光拡散層は、塗布・乾燥した後、加熱することが好ましい。加熱温度は、例えば50〜300℃が好ましく、さらに好ましくは140〜250℃である。加熱時間は、加熱温度により変化するが、例えば、加熱温度が140〜250℃の場合、10〜180分程度が適当である。
【0039】
本発明の反射型もしくは半透過型液晶表示装置は、上記本発明の反射板または上記本発明の方法により製造された反射板を備えることを特徴とする液晶表示装置である。
【0040】
本発明の液晶表示装置は、液晶層を介して入射した光を反射板で反射して画像を表示する液晶ディスプレイであれば、いずれのタイプのものにも適用することができ、例えば、TN(ツイステッドネマチック)型、STN(スーパーツイステッドネマチック)型、GH(ゲストホスト)型ディスプレイや、強誘電性液晶ディスプレイなど従来から知られている液晶ディスプレイに適用することができる。また、駆動方式も特に限定されるものではなく、単純マトリクスやアクティブマトリクスなど従来から知られている駆動方式の液晶ディスプレイに適用することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に従う一実施例を示す断面図である。本実施例においては、表面凹凸層2の上に反射層3が設けられていることにより、反射板が構成されている。表面凹凸層2は、基板1の上に設けられている。基板1としては、液晶表示装置に用いることができる一般的な基板を用いることができ、例えば、ガラス基板やプラスチック基板などを用いることができる。プラスチック基板としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、環状非晶質ポリオレフィンなどのプラスチックフィルム等を用いることができる。表面凹凸層2は、本発明の塗料組成物から形成されている。本発明の塗料組成物を塗布・乾燥することにより、塗料組成物中の第1の樹脂と第2の樹脂が相分離する。この相分離と架橋樹脂粒子の存在によって、塗膜表面に凹凸が形成されて表面凹凸層2となる。
【0042】
表面凹凸層2の上には、反射層3が設けられている。反射層3は、表面凹凸層2の表面の凹凸形状を引き継ぐように形成されている。従って、反射層3の表面にも凹凸形状が形成されており、表面凹凸層2の表面の凹凸形状に対応した凹凸形状を有している。反射層3の上には、凹凸増加層4が設けられている。
【0043】
凹凸増加層4の上には、カラーフィルター層5が設けられており、カラーフィルター層5の上には、平坦化層6が設けられている。平坦化層6は、透明性を有する塗膜などから形成することができ、例えば、アクリル樹脂などから形成することができる。
【0044】
平坦化層6の上には、ITOなどからなる透明駆動電極7が形成されている。他方の基板10も、基板1と同様あるいは異なる材質から形成されたものも用いることができ、基板10の内側には、ITOなどからなる透明駆動電極9が形成されている。透明駆動電極7と透明駆動電極9の間に、液晶層8が挟まれ保持されている。
【0045】
液晶表示装置内に入射した光は、反射層3によって反射されるが、反射層3の表面は、上述のように表面凹凸層2に基づく微細な凹凸形状を有しているので、様々な方向から入射した光が、表示画面に対し垂直な方向に散乱して反射される。従って、視野角の広い、明るい画像を表示することができる。
【0046】
また、凹凸増加層4として、ITOを形成する場合、これを透明駆動電極として用いてもよい。
図2は、本発明に従う他の実施例を示す断面図である。本実施例においては、反射層3の上に光拡散層11が設けられることにより反射板が構成されている。反射層3は、基板1の上に設けられている。反射層3の上に設けられる光拡散層11は、本発明の塗料組成物から形成されている。本発明の塗料組成物を塗布・乾燥した後、第1の樹脂と第2の樹脂が相分離することにより、また架橋樹脂粒子の存在により塗膜表面に凹凸が形成され、これによって光拡散層11が形成されている。
【0047】
光拡散層11の上には、図1に示す実施例と同様に、カラーフィルター層5、平坦化層6、透明駆動電極7、液晶層8、透明駆動電極9、及び基板10が設けられている。
【0048】
液晶表示装置に入射した光は、反射層3の表面で反射されるが、反射光は光拡散層11を通る際、光拡散層11内で相分離により形成された凹凸状によって散乱する。このため、様々な方向から入射した光が、表示画面に対し垂直な方向にも散乱される。従って、視野角が広く、明るい画像を表示することができる。
【0049】
図1及び図2に示す液晶表示装置において、反射層3を半透過性の反射層とすることにより半透過反射型の液晶表示装置とすることができる。この場合、基板1の下側にバックライト等の光源が設けられた構成となる。
【0050】
なお、本発明の液晶表示装置は、図1及び図2に示す構造のものに限定されるものではない。
【0051】
【実施例】
以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において部及び%は、特にことわらない限り、重量部及び重量%を意味する。
【0052】
<架橋樹脂粒子の調製>
攪拌加熱装置、温度計、窒素導入管、冷却管及びデカンターを備えた反応容器に、ビスヒドロキシエチルタウリン213部、ネオペンチルグリコール208部、無水フタル酸296部、アゼライン酸376部及びキシレン30部を仕込み昇温した。反応により生成した水はキシレンと共沸させて除去した。還流開始より約3時間かけて反応液温を210℃とし、カルボン酸相当の酸価が135mgKOH/gになるまで攪拌と脱水とを継続して反応させた。液温を140℃まで冷却そた後,「カージュラ−E10」(商品名:シェル社製のバーサティック酸グリシジルエステル)500部を30分で滴下し,その後、2時間攪拌を継続して反応を終了した。酸価55mgKOH/g、水酸基価91mg/KOH及び数平均分子量1250の両性イオン基含有ポリエステル樹脂を得た。
【0053】
この両性イオン基含有ポリエステル樹脂10部、脱イオン水140部ジメチルエタノールアミン1部、スチレン50部及びエチレングリコールジメタクリレート50部をステンレス製ビーカー中で激しく攪拌することによりモノマー懸濁液を調整した。また、アゾビスシアノ吉草酸0.5部、脱イオン水40部及びジメチルエタノールアミン0.32部を混合することにより開始剤水溶液を調整した。
【0054】
攪拌加熱装置、温度計、窒素導入管及び冷却管を備えた反応容器に上記両性イオン基含有ポリエステル樹脂5部、脱イオン水280部及びジメチルエタノールアミン0.5部を仕込み、80℃に昇温した。ここに、モノマー懸濁液251部と開始剤水溶液40.82部とを同時に60分かけて滴下し、さらに60分反応を継続した後、反応を終了させた。
【0055】
以上のようにして得られた架橋樹脂粒子エマルジョンに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、減圧下共沸蒸留により水を除去し、媒体をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに置換して、固形分含有量30%の架橋樹脂粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。
【0056】
<塗料組成物の調製>
実施例1〜2及び比較例1〜6の塗料組成物を、以下のようにして調製した。なお、GMAはグリシジルメタクリレート、STはスチレン、AAはアクリル酸を示している。
【0057】
(実施例1)
以下の表1に示す配合割合で、塗料組成物を調製した。また、実施例及び比較例において用いている各樹脂及び架橋樹脂粒子の溶剤はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。
【0058】
【表1】
【0059】
(実施例2)
以下の表2に示す配合割合で、塗料組成物を調製した。エポキシ変性ポリエステル樹脂Bは、無水フタル酸40部、ペンタエリスリトール11部、大豆油36部、及びネオペンチルグリコール15部の配合割合で常法にてポリエステル樹脂B´(酸価30KOHmg/g、水酸基価50KOHmg/g)を合成した後、150℃まで冷却し、エピコート828を上記樹脂B´1部に対して19.1部加え、150℃で4時間反応させて調製した。なお、IPAは、イソフタル酸、TMPはトリメチロールプロパン、NPGはネオペンチルグリコール、PAnは無水フタル酸、PEはペンタエリスリトールを示している。
【0060】
【表2】
【0061】
(比較例1)
以下の表3に示す配合割合で、塗料組成物を調製した。
【0062】
【表3】
【0063】
(比較例2)
以下の表4に示す配合割合で、塗料組成物を調製した。
【0064】
【表4】
【0065】
(比較例3)
以下の表5に示す配合割合で、塗料組成物を調製した。
【0066】
【表5】
【0067】
(比較例4)
以下の表6に示す配合割合で、塗料組成物を調製した。
【0068】
【表6】
【0069】
(比較例5)
以下の表7に示す配合割合で、塗料組成物を調製した。
【0070】
【表7】
【0071】
(比較例6)
以下の表8に示す配合割合で、塗料組成物を調製した。
【0072】
【表8】
【0073】
<反射板の作製>
以上のようにして得られた実施例1、2及び比較例1〜6の塗料組成物を用いて、反射板を作製した。まず、塗料組成物を0.7mmの厚みのガラス基板の上に回転数1000rpm、30秒にてスピンコーターで塗布し、乾燥した後、クリーンオーブンにて235℃で60分間加熱して塗料組成物を硬化させ、塗膜を形成した。塗膜の厚みは、約2.5μmとした。
【0074】
次に、この塗膜の上に、スパッタリング法でアルミニウム薄膜からなる反射層を形成した。アルミニウム薄膜の厚みは0.1μmとした。
以上のようにして形成した反射板について、分光測色計(ミノルタ社製、CM−1000)により分光反射率を測定した。得られた結果を表9に示す。
【0075】
【表9】
【0076】
表9に示す結果から明らかなように、本発明に従う実施例1及び2の塗料組成物を用いた場合には、高い分光反射率が得られている。これは、実施例1及び2の塗料組成物を用いることにより、相分離による凹凸形状の凸部と凸部の間の平坦部にも架橋樹脂粒子による凹凸形状が形成されるため、全面に大きな凹凸を有する表面凹凸層が形成されたことによるものと思われる。これに対し、比較例1〜3の塗料組成物を用いた場合には、架橋樹脂粒子による凹凸形状のみのため、分光反射率が低くなっている。比較例4〜6では、表面に相分離による凹凸が形成され、若干高い分光反射率が得られている。
【0077】
得られた反射板について、変角光度計(村上色彩技術研究所製、Gonio−Spectrophotometer GSP−2)により変角反射特性を測定した。表10にD65−10°視野の光源を用い、入射角45°時の受光角30°でのL*値を示す。
【0078】
【表10】
【0079】
表10に示す結果から明らかなように、相分離による凹凸形状を形成しない比較例1〜3の塗膜や架橋樹脂粒子を用いない比較例4〜6は、低い変角反射特性を示すことがわかる。そのため、比較例1〜6の塗膜を用いた液晶表示装置は視野角が狭く、観察する角度が変わると、表示が著しく劣るものであった。これは、相分離により形成した凹凸のみや架橋樹脂粒子により形成した凹凸形状のみでは、凸部と凹部の制御が困難なためであると思われる。
【0080】
<密着性の評価>
密着性の評価は、JIS−K5400に準じて行った。すなわち、塗膜の上にカッターで1mm幅で縦及び横方向に切れ目を形成することにより碁盤目を100個形成し、これを粘着テープで剥離し、100個の碁盤目のうち剥離しなかった碁盤目の数により、以下の基準で評価した。
【0081】
○:100個
○〜△:99〜75個
△:74〜50個
△〜×:49〜25個
×:24個以下
密着性については、初期密着性、耐熱試験後の密着性、耐薬品試験後の密着性、温水試験後の密着性を評価した。
【0082】
初期密着性は、各サンプルについて上記の密着性試験方法に従い測定したものである。
耐熱試験後の密着性は、各サンプルを220℃で180分加熱した後の密着性である。
【0083】
耐薬品試験後の密着性は、各サンプルを5%KOH水溶液中に50℃で60分間浸漬した後の密着性である。
温水試験後の密着性は、各サンプルを70℃の温水中に60分間浸漬した後の密着性である。
【0084】
試験結果を表11に示す。
【0085】
【表11】
【0086】
表11に示す結果から明らかなように、フッ素基含有エポキシ樹脂を用いた比較例4及び6の塗膜は、初期密着性、並びに耐熱試験後、耐薬品試験後、及び温水試験後の密着性のいずれにおいても悪いことがわかる。これは、樹脂としてフッ素基を含有した樹脂を用いているためであると思われる。
【0087】
また、比較例3では、耐薬品試験後及び温水試験後の密着性が悪くなっている。これは、比較例3においては、アクリル樹脂1種類のみを用いており、樹脂が熱硬化しなかったためであると思われる。
【0088】
<塗料状態の評価>
実施例1〜2及び比較例1〜6の塗料組成物について、その塗料状態を目視で観察し、評価した。
【0089】
塗料状態が均一なものを○とし、塗料が相分離しているものを×とした。
塗料が相分離した状態とは、分離液界面が目視にて確認できる状態である。
評価結果を表12に示す。
【0090】
【表12】
【0091】
表12に示すように、比較例6においては、異なる骨格構造の樹脂を用いているので、塗料状態において相分離が生じている。
【0092】
(実施例3〜7)
実施例1と同様の塗料組成物を用い、塗料組成物をガラス基板上に塗布する際の回転数を表13に示す回転数とし、30秒間スピンコーターで塗布する以外は、上記実施例1と同様にして反射板を作製した。反射層を形成した後、その上に凹凸増加層としてのITO膜を膜厚800Åとなるように形成した。ITO膜は、230℃で、スパッタリング法により形成した。
【0093】
以上のようにして、基板上に、表面凹凸層、反射層、及び凹凸増加層を形成した反射板を作製した。表面凹凸層中における架橋樹脂粒子の数を、光学顕微鏡で測定した。10000μm2の面積の範囲内の架橋樹脂粒子の数をカウントし、測定結果を表13に示した。また、各反射板の分光反射率を、表13に示した。
【0094】
【表13】
【0095】
表9の実施例1の分光反射率と、表13の実施例3の分光反射率との比較から、反射層の上に、凹凸増加層を形成することにより、分光反射率が約1.2倍増加することがわかる。
【0096】
また、表面凹凸層中に含まれる架橋樹脂粒子の数は、特に100〜460個/10000μm2の範囲内であることが好ましいことがわかる。
【0097】
【発明の効果】
本発明の塗料組成物を用いることにより、表面に凹凸を有した塗膜を容易に形成することができ、これを用いて反射型もしくは半透過型液晶表示装置の反射板を容易に製造することができる。本発明の反射板を用いることにより、広い視野角で明るい表示を得ることができ、簡易な工程で効率よく反射板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う一実施例を示す断面図。
【図2】本発明に従う他の実施例を示す断面図。
【符号の説明】
1,10…基板
2…表面凹凸層
3…反射層
4・・・凹凸増加層
5…カラーフィルター層
6…平坦化層
7,9…透明駆動電極
8…液晶層
11…光拡散層
Claims (12)
- 反射型もしくは半透過型液晶表示装置の反射層の下に設けられる表面凹凸層、または反射層の上方に設けられる光拡散層を形成するための塗料組成物であって、
同種の骨格構造を有し、かつ互いに反応する異なる官能基を有する第1の樹脂及び第2の樹脂と、架橋樹脂粒子とを混合して含み、塗布・乾燥後に第1の樹脂と第2の樹脂が相分離することを特徴とする反射型もしくは半透過型液晶表示装置用塗料組成物。 - 第1の樹脂と第2の樹脂のSP値の差が1以上であることを特徴とする請求項1に記載の反射型もしくは半透過型液晶表示装置用塗料組成物。
- 第1の樹脂及び第2の樹脂における同種の骨格構造が、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、またはウレタン樹脂の骨格構造であることを特徴とする請求項1または2に記載の反射型もしくは半透過型液晶表示装置用塗料組成物。
- 第1の樹脂及び第2の樹脂の重量平均分子量が2000〜100000であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射型もしくは半透過型液晶表示装置用塗料組成物。
- 反射型もしくは半透過型液晶表示装置に用いられる反射板であって、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗料組成物から形成される表面凹凸層と、
前記表面凹凸層の凹凸形状を引き継ぐように前記表面凹凸層の上に設けられる反射層とを備えることを特徴とする反射型もしくは半透過型液晶表示装置用反射板。 - 前記反射層の上に凹凸増加層として無機薄膜が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の反射型もしくは半透過型液晶表示装置用反射板。
- 前記架橋樹脂粒子が100〜460個/10000μm2含まれることを特徴とする請求項5または6に記載の反射型もしくは半透過型液晶表示装置用反射板。
- 反射型もしくは半透過型液晶表示装置に用いられる反射板であって、
反射層と、
前記反射層の上方に設けられ、請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗料組成物から形成される光拡散層とを備えることを特徴とする反射型もしくは半透過型液晶表示装置用反射板。 - 前記反射層が金属薄膜であることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の反射型もしくは半透過型液晶表示装置用反射板。
- 反射型もしくは半透過型液晶表示装置用反射板の製造方法であって、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗料組成物を塗布して表面凹凸層を形成する工程と、
前記表面凹凸層の上に反射層を形成する工程とを備えることを特徴とする反射型もしくは半透過型液晶表示装置用反射板の製造方法。 - 反射型もしくは半透過型液晶表示装置用反射板の製造方法であって、
反射層を形成する工程と、
前記反射層の上に請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗料組成物を塗布して光拡散層を形成する工程とを備えることを特徴とする反射型もしくは半透過型液晶表示装置用反射板の製造方法。 - 請求項5〜9のいずれか1項に記載の反射板または請求項10または11に記載の方法により製造された反射板を備えることを特徴とする反射型もしくは半透過型液晶表示装置。
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JP2002224802A JP2004069753A (ja) | 2002-08-01 | 2002-08-01 | 反射型もしくは半透過型液晶表示装置用塗料組成物並びに反射型もしくは半透過型液晶表示装置用反射板及びその製造方法 |
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JP2006003647A (ja) * | 2004-06-17 | 2006-01-05 | Nippon Paint Co Ltd | 凹凸層形成用コーティング組成物および反射板の製造方法 |
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