JP2004069631A - 軸受ユニットの振動測定方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】一対の外輪と軸との間にそれぞれ複数個のボールを介して前記軸を回転可能に保持して一対の玉軸受を形成すると共に、前記両外輪が離反する方向に所定の弾性付勢力を付与した軸受ユニットの振動測定方法および装置であって、より正確な振動測定が得られる手段を提供する。
【解決手段】保持台1の基板部1aに固定された固定軸13の先端に、その固定軸13の軸方向より測定すべき前記軸受ユニット2の軸の一方の先端を当接せしめ、前記軸の他方の端部に振動測定センサ3を弾性力を付与した状態で当接し、その状態で軸受ユニット2の両外輪を前記軸を中心に回転駆動することを特徴とするものであり、この構成によれば、軸受ユニツト単体での予圧荷重を維持したままで振動測定が可能であるため、きわめて正確な測定結果が得られるものである。
【選択図】 図1
【解決手段】保持台1の基板部1aに固定された固定軸13の先端に、その固定軸13の軸方向より測定すべき前記軸受ユニット2の軸の一方の先端を当接せしめ、前記軸の他方の端部に振動測定センサ3を弾性力を付与した状態で当接し、その状態で軸受ユニット2の両外輪を前記軸を中心に回転駆動することを特徴とするものであり、この構成によれば、軸受ユニツト単体での予圧荷重を維持したままで振動測定が可能であるため、きわめて正確な測定結果が得られるものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の外輪と軸との間にそれぞれ複数個のボールを介して前記軸を前記一対の外輪で回転可能に保持して一対の玉軸受を形成すると共に、前記両外輪が離反する方向に所定の弾性付勢力を付与した軸受ユニットの振動測定方法および測定装置に関するもので、より正確な振動測定が出来る測定方法および装置を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一対の玉軸受を使用して軸を回転可能に支持する軸受ユニット2は、一般に図6に示す構成となっている。図6において、軸37にはボール36が転動するための内輪レース溝37a、37bが所定の間隔をおいて形成され、この内輪レース溝37a,37bにそれぞれ複数個のボール36を配置し、その外側に外輪レース溝34a,35aがそれぞれ形成された外輪34、35が配設されて、軸37を前記一対の外輪34,35で回転可能に保持する一対の玉軸受を形成している。
【0003】
さらに、両外輪34、35間にはバネ受け32,33を介して予圧バネ31が取り付けられている。この予圧バネ31は軸受ユニット2に組み込まれた状態で各々の外輪34,35に対して矢印31a,31bで示す方向、すなわち、前記両外輪34,35が離反する方向に弾性付勢力が働くように自由状態から若干縮められた状態で軸受ユニット2に組み込まれている。この付勢力が軸受の予圧となるもので、この予圧によって内輪レース溝37a,37b,ボール36、外輪レース溝34a、35aの隙間を相殺し、軸受剛性を与えて安定した回転状態を実現している。
【0004】
このような軸受ユニットの振動測定方法としては、例えば特許第3130986号に記載のように、軸受ユニットの一対の外輪の一方を回転駆動可能な円筒状の保持台上に載置し、その軸受ユニットの軸に振動測定センサを軸方向より圧接せしめた状態で、前記保持台を回転駆動して前記外輪を回転せしめながら測定するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような測定方法では、振動測定センサの軸に対する押圧力により、軸受ユニットの内輪と外輪の相対位置が異なり、軸受に印加された予圧は、軸受ユニット単体時と振動測定中とで異なることとなる。
【0006】
この現象について図7を用いてより詳しく説明する。図7は図6における内輪レース溝37b、ボール36、外輪レース溝35aの関係を示したもので、この関係は、通常は図7(a)に示すように予圧31bが外輪35に印加されることで外輪35は軸37に対して相対的に移動し、内輪レース溝37b、ボール36、外輪レース溝35aの間で接触点41、42を結ぶ直線43の方向で相互の隙間が零となる。これによって外輪35,ボール36、外輪レース溝35aの相対位置が決まり、軸受の安定な回転が可能となっている。他方の内輪溝37a,ボール36、外輪レース溝34aの関係も前記と同様になっている。
【0007】
このように構成された軸受ユニットを前述の構成の振動測定装置にセットすると図8に示す状態となる。図8において、保持台51に軸受ユニット2の外輪35を置き、軸37の前記外輪35と相対する側の端面に振動測定センサ52を接触させ、外輪35が保持台51に押しつけられるように矢印53の方向に振動測定センサ52を付勢して振動測定を行う。このように外輪35を受けた状態で振動測定センサ52を矢印53方向に付勢すると、図7(a)にて説明した外輪35,ボール36,軸37の相対位置や予圧量に変化が発生してしまう。
【0008】
図8の状態で保持された軸受ユニット2の外輪35,ボール36,軸37の相対位置について図7(b)を用いて詳しく説明する。図7(b)において、外輪35は保持台51に支えられ、軸37には矢印53の方向から付勢力が与えられている。このため外輪35は保持台51より反力38を受けることになる。ところが、外輪35には予め予圧バネ(図示せず)から予圧力31bが印加されている。従って、反力38と予圧力31bの大小関係によつて外輪35,ボール36,軸37の相対位置が変わってくることになる。
【0009】
この関係は以下のようになる。
【0010】
(1)予圧力31b≧反力38 の場合
外輪35、ボール36、軸37の相対位置は図7(a)に示す位置関係になるが、正味の予圧力は、(予圧力31b−反力38)の値となる。しかし、被測定軸受ユニットが測定装置から取り出され、付勢力から解放されると、反力38が無くなるため、外輪35,ボール36、軸37の相対位置は図7(a)に示す元の状態に復帰する。つまり、測定中と測定装置から取り出した状態とでは予圧力は大きく異なることになる。
【0011】
(2)予圧力31b<反力38 の場合
この時、外輪35,ボール36、軸37の相対位置は、図7(b)に示すように、反力38が予圧力31bより勝っているため外輪35は軸37に対し相対的に上方に移動し、内輪レース溝37b、ボール36,外輪レース溝35aの間で接触点44,45を結ぶ直線46の方向で相互の隙間が零になる。また、正味の予圧力は、(反力38−予圧力31b)で、しかも初期と方向が逆になる。しかし、この場合も被測軸受ユニットが測定装置から取り出され、付勢力から解放されると反力38がなくなるため、外輪35,ボール36、軸37の相対位置は図7(a)に示す状態に復帰する。
【0012】
この場合も被測定軸受ユニットが測定装置から取り出され、付勢力から解放されると、反力38が無くなるため、外輪35,ボール36,軸37の相対位置は図7(a)に示す状態に復帰する。この場合は、測定中と測定装置から取り出した状態とで予圧力は大きく異なるばかりでなく、内輪レース溝37b、ボール36,外輪レース溝35aの間で接触点も全く異なる状態となることがわかる。
【0013】
さらに、図示してないが他方上側の軸受においては、上記2つの状態とも測定中の予圧量は、(反力38+予圧力31b)となり、これも通常とは全く異なるものとなる。
【0014】
前述のように、軸受ユニット単品状態と測定装置にセットした状態では予圧量や外輪35、ボール36、軸37の相対位置が全く異なるため、前述の測定方法では正しい振動測定を期し難いという重大な問題を有していた。例えば、図7(a)に示す接触点41に傷があった場合、前記(2)の状態で振動測定がなされると、図7(b)に示す状態で被測定軸受けユニットを回転させて測ることになるため、無接触点41の傷によって発生するであろう異常振動は検出されない。
【0015】
しかし、この軸受ユニットを用いて組み立てられた機器では図7(a)の状態で軸受が回転するため、接触点41の傷によって異常な振動が発生してしまうこととなる。このように測定結果が軸受ユニット単体の性能評価に直結しないという重大な欠点を有している。
【0016】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する為に、本発明の軸受ユニットの振動測定方法および装置は、一対の外輪と軸との間にそれぞれ複数個のボールを介して前記軸を回転可能に保持して一対の玉軸受を形成すると共に、前記両外輪が離反する方向に所定の弾性付勢力を付与した軸受ユニットの振動測定方法および装置であって、保持台に固定された固定軸の先端に、その固定軸の軸方向より測定すべき前記軸受ユニットの前記軸の一方の先端を当接せしめ、前記軸の他方の端部に振動測定センサを当接し、その状態で前記両外輪を前記軸を中心に回転駆動することを特徴とするものであり、この構成によれば、振動測定センサによる軸への押圧力に関係なく、軸受ユニット単体での予圧荷重を維持したままで振動測定が可能であるため、きわめて正確な測定結果が得られるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、一対の外輪と軸との間にそれぞれ複数個のボールを介して前記軸を前記一対の外輪で回転可能に保持して一対の玉軸受を形成すると共に、前記両外輪が離反する方向に所定の弾性付勢力を付与した軸受ユニットの振動測定方法であって、保持台に固定された固定軸の先端に、その固定軸の軸方向より測定すべき前記軸受ユニットの前記軸の一方の先端を当接せしめ、前記軸の他方の端部に振動測定センサを当接し、その状態で前記両外輪を前記軸を中心に回転駆動することを特徴とするものであり、この構成によれば、軸受ユニット単体での予圧荷重を維持したままで振動測定が可能であるため、きわめて正確な測定結果が得られるものである。
【0018】
本発明の請求項2に記載の発明は、一対の外輪と軸との間にそれぞれ複数個のボールを介して前記軸を前記一対の外輪で回転可能に保持して一対の玉軸受を形成すると共に、前記両外輪が離反する方向に所定の弾性付勢力を付与した軸受ユニットの振動測定装置であって、保持台の基板部に固定された固定軸に回転可能に取り付けられたチャックベースと、一端が前記保持台に固定され、他端が測定すべき前記軸受ユニットの外輪の外周に係合して、その軸受ユニットを前記軸の先端が前記固定軸の先端と当接した状態で着脱可能に保持する保持手段と、前記保持台の基板部から前記固定軸に並行に伸びる支持部材と、振動測定センサの先端が前記保持手段に保持された軸受ユニットの前記軸の他端に当接するように前記振動測定センサを前記固定軸方向に移動可能に前記支持部材に保持する振動測定センサ取付け手段と、前記保持台を前記固定軸を中心として回転駆動せしめる駆動手段とを有することを特徴とする軸受ユニットの振動測定装置であり、この構成によれば、軸受単体での予圧荷重を維持したままで振動測定が可能であるため、きわめて正確な測定結果が得られるものである。
【0019】
次に、本発明の請求項3に記載の発明は、前記保持手段は、一端が前記チャツクベースに固定されており、先端部に前記軸受ユニットの外輪と当接するチャック爪が形成された弾性変形可能な複数本のチャックアームよりなり、その複数本のチャックアームが前記固定軸を中心として環状に配置されていることを特徴とする請求項2記載の軸受ユニットの振動測定装置であり、確実にチャックベース上の所定の位置に測定すべき軸受ユニットを載置固定できるものである。
【0020】
本発明の請求項4に記載の発明は、前記チャックアームには、前記軸受ユニツトの一対の外輪にそれぞれ当接する一対の上チャック爪と下チャック爪が形成されており、その両チャック爪の間は他の部分より弾性変形が容易に構成されていることを特徴とする請求項3記載の軸受ユニットの振動測定装置であり、所定の間隔をもって配置されている一対の外輪を、それぞれ上チャック爪と下チャック爪により確実にチャックベースに固定することが出来る。
【0021】
本発明の請求項5に記載の発明は、前記複数本のチャックアームは第一のチャックアームと第二のチャックアームより構成され、前記第一のチャックアームには前記軸受ユニットの一方の外輪に当接するチャック爪が形成されており、第二のチャックアームには前記軸受ユニットの他方の外輪に当接するチャック爪が形成されており、この第一と第二のチャックアームが交互に配置されていることを特徴する請求項3記載の軸受ユニットの振動測定装置であり、一対の外輪をそれぞれ異なる独立して変形可能な第一と第二のチャックアームで保持するため、より確実に軸受ユニツトをチャツクベースに保持できるものである。
【0022】
本発明の請求項6に記載の発明は、前記軸受ユニットの軸は、前記固定軸の端部に配置された鋼球を介して前記固定軸に当接していることを特徴とする請求項2記載の軸受ユニットの振動測定装置であり、測定すべき軸受ユニットの軸が、鋼球を介して、固定軸に当接するため、より安定な当接が望めるものである。
【0023】
本発明の請求項7に記載の発明は、 前記チャックベースと前記基板部の互いに対向する面に、それぞれマグネットと駆動コイルユニットが配置されており、前記チャックベースをロータとするモータが形成されていることを特徴とする請求項2記載の軸受ユニットの振動測定装置であり、装置の基板となる保持台の基板部上のチャックベース自体がロータと成っているため、装置は小型化されるものである。
【0024】
(実施の形態)
以下に、本発明の請求項1ないし請求項7に記載された発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。図1は本発明の軸受ユニットの振動測定装置の一例を示す断面図、図2は同装置の被測定軸受ユニットの保持機構部を示す断面図である。
【0025】
図1において、1は基板部1aとその基板部1aから垂直方向に伸びるL字状の保持部材1cとからなる断面が略コ字状に形成された保持台であり、この保持台1の前記基板部1aに形成された係合穴1bには、固定軸13が植設された駆動ベース部材7が、その固定軸13と前記保持部材1cとが並行するように係合固定されている。前記固定軸13にはチャックベース14が、非接触方式のラジアル軸受15により回転可能に取り付けられており、また、固定軸13に固定されたフランジ16との間には非接触方式のスラスト軸受17が形成されている。これらの非接触方式の軸受は、流体、空気、磁力など利用したいずれの方式でも良い。
【0026】
前記駆動ベース部材7の前記チャックベース14と対向する面には、サブヨーク11を介して駆動コイルユニット8が設けられており、また、チャックベース14のには、メインヨーク10を介してマグネット9が設けられており、これらにより前記チャックベース14をロータとするブラシレスモータが形成されている。なお、12は前記駆動コイルユニツト8に接続された駆動回路である。
【0027】
前記固定軸13の上端には被測定軸受ユニツト2の軸の端部と接触し、その被測定軸受ユニット2の自重と振動測定センサ3の接触圧を受けるための鋼球19がホルダ18により保持されている。また、前記チャックベース14の上部には、4本の可撓性のチャックアーム14aが固定軸13を中心として環状に等間隔に、かつ、固定軸13と並行するよう設けられている。
【0028】
前記の各チャックアーム14aの先端部の内側には、被測定軸受ユニット2の2つの外輪を挟むための上チャック爪14bおよび下チャック爪14cが所定の間隔を持って形成されている。また、これらのチャツクアーム14aの先端部の外側には、チャック力を発生させるキャップ20と係合かるリブ14dがそれぞれ形成されており、図1に示すように、被測定軸受2をチャックアーム14aの内側に挿入、チャックアーム14aで被測定軸受ユニット2の外輪を挟持した後に、キャップ20を上方より、各チャックアーム14aの外側に、挿入し、前記リブ20と係合せしめることにより被測定軸受2を確実にチャックベース14に固定するよう構成されている。
【0029】
なお、前記チャックアーム14aの数は、図3に示すように3本あるいは6本等3本以上設ることにより、被測定軸受ユニット2を安定に保持し、測定中の回転バランスを良好に保ち、正確な測定が期待できる。
【0030】
一方、前記保持台1の保持部材1cには前記固定軸13と並行に伸びるガイドレール4が設けられており、そのガイドレール4には、振動測定センサ3の固定された移動台4aが摺動移動可能に係合されている。この振動測定センサ3には測定量を表示する表示部3aが接続されている。また、この振動測定センサ3は、前記固定軸13と同軸上に位置するよう設定されているため、この振動測定センサ3を上方に移動せしめた状態で、被測定軸受2を前述のようにしてチャックアーム14aに取り付け、その状態で前記移動台4aを下方に移動せしめることにより、振動測定センサ3を被測定軸受2の軸に接触せしめるものである。
【0031】
この時、保持台1に螺合したネジ5に一端が固定され、他端が振動測定センサ3に固定されたバネ6の弾性付勢力により、振動測定センサ3を所定の圧接力で被測定軸受2の軸に当接するように構成されており、前記ネジ5を回動せしめることにより、前記圧接力を調整可能に構成されている。
【0032】
図1のように振動測定センサ3が被測定軸受2の軸に圧接された状態で、駆動回路12によりチャックベース4を所定の回転数により回転駆動し、それに伴い被測定軸受2の外輪を回転せしめることにより、被測定軸受2から発生する振動を測定することが出来る。
【0033】
次に被測定軸受2の保持方法について、さらに詳しく説明する。図2(a)は被測定軸受2と、これを挿入する前のチャックアーム14aとの関係を示している。
【0034】
いま、被測定軸受ユニット2の上側外輪の外径をd1,下側外輪の外径をd2,チャックアーム14aの上チャック爪14bの内径をD1、下チャック爪14cの内径をD2とすると以下の関係に構成されている。
【0035】
D1>d1
D2>d2
よって、予圧バネ31によって予め所定の予圧(N)が与えられている被測定軸受ユニット2を前記寸法に設定されてチャックアーム14a間に挿入する際に、図2(b)に示すよう何らの外乱を与えることなく所定の予圧を保ったままの状態での挿入が可能である。次に図2(c)に示すようにキャップ20をリブ14dに嵌合させることで開いていたチャックアーム14aを閉じ、被測定軸受ユニット2を保持する。
【0036】
この時キャップ20の下端面に案内面取り20aを設けることでキャップの挿入をスムースにでき、被測定軸受ユニット2の下端を鋼球18に確実に接触させた状態で保持できる。さらに、図2(d)に示すようにキャップ20を完全に挿入した後、所定回転数で被測定軸受2を回転させた状態で、振動測定センサ3を被測定軸受ユニット2の軸の上端に触接させて振動を測定する。
【0037】
この時、被測定軸受ユニット2に振動測定センサ3の圧接力が印加されても、被測定軸受ユニット2の軸の下端は鋼球18で支持されているため、被測定軸受ユニット2の軸はチャック保持された外輪に対して相対的に移動することなく、つまり、単品状態で設定された予圧状態を維持したままで回転中の振動測定を行うものである。
【0038】
次に、チャックアーム形状の詳細について図4,図5を用いて説明する。図4は本発明になる振動測定装置のチャック爪の形状の一例であり、図4(a)はその断面を示し、図4(b)は被測定軸受ユニット2を保持した状態を詳細に示した図である。図4(a)において、チャックアームの上チャック爪14bと下チャック爪14cの間の連結部に、前記上チャック爪14bおよび下チャック爪14cよりも断面積が小さく曲が離易い薄肉部14eが設けられている。
【0039】
この構成により、被測定軸受ユニット2を保持すると、図4(b)に示すように前記薄肉部14eの部分でチャックアームがたわみ、上下のチャツク爪14b,14cが片当たりすることなく、被測定軸受ユニット2の上下の外輪を均等に保持することが可能になる。
【0040】
さらに、図5に本発明の振動測定装置のチャック爪の形状の他の実施の形態を示す。図5(a)はチャック部を真上から見た平面図であり、その断面A−A
を図5(b)に示す。
【0041】
図5(b)に示すように、本実施の形態では長いチャックアーム21と短いチャックアーム22を交互に設け、その長いチャックアーム21の先端内周には、上チャック爪21aを、短いチャックアーム2の先端内周には下チャック爪22aをそれぞれ設け、また、そのチャックアーム21,22の外周の同じ高さの位置に、それぞれリブ21b、22bを形成している。
【0042】
このように一つのチャックアームに一つのチャック爪を配置することで、互いに影響し合うことなく、被測定軸受ユニットの上下各々の外輪を確実に保持し、そらに回転軸を中心に均等に配置することで測定装置自身の回転中の振動を極めて低い状態に保ち、被測定軸受ユニットの振動成分のみを測定することで精度の高い測定結果を得ることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上のように本発明の軸受ユニットの振動測定方法および装置によれば、軸受ユニット単体での予圧荷重を維持したままで振動測定が可能となり、極めて正確で精度の高い測定結果が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における軸受ユニットの測定装置の側断面図
【図2】同軸受ユニットの測定装置のそれぞれの動作状態を示す要部側断面図
【図3】同軸受ユニットの測定装置の他の実施の形態を示す要部平面図
【図4】同軸受ユニットの測定装置の要部側断面図
【図5】同軸受ユニットの測定装置の他の実施の形態における要部平面図および側断面図
【図6】従来の玉軸受を使用した軸受ユニットの側断面図
【図7】軸受ユニットの単体時および従来の軸受ユニットの振動測定装置による測定時の軸受ユニットの要部側断面図
【図8】従来の軸受ユニットの振動測定装置による測定時の軸受ユニットの要部側断面図
【符号の説明】
1 保持台
1a 基板部
1c 保持部材
2 軸受ユニット
3 振動測定センサ
7 駆動ベース部材
8 駆動コイルユニット
9 マグネット
10、11
12 駆動回路
13 固定軸
14 チャックベース
14a チャックアーム
14b 上チャック爪
14c 下チャック爪
14d リブ
14e 薄肉部
15 ラジアル軸受
16 フランジ
17 スラスト軸受
19 鋼球
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の外輪と軸との間にそれぞれ複数個のボールを介して前記軸を前記一対の外輪で回転可能に保持して一対の玉軸受を形成すると共に、前記両外輪が離反する方向に所定の弾性付勢力を付与した軸受ユニットの振動測定方法および測定装置に関するもので、より正確な振動測定が出来る測定方法および装置を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一対の玉軸受を使用して軸を回転可能に支持する軸受ユニット2は、一般に図6に示す構成となっている。図6において、軸37にはボール36が転動するための内輪レース溝37a、37bが所定の間隔をおいて形成され、この内輪レース溝37a,37bにそれぞれ複数個のボール36を配置し、その外側に外輪レース溝34a,35aがそれぞれ形成された外輪34、35が配設されて、軸37を前記一対の外輪34,35で回転可能に保持する一対の玉軸受を形成している。
【0003】
さらに、両外輪34、35間にはバネ受け32,33を介して予圧バネ31が取り付けられている。この予圧バネ31は軸受ユニット2に組み込まれた状態で各々の外輪34,35に対して矢印31a,31bで示す方向、すなわち、前記両外輪34,35が離反する方向に弾性付勢力が働くように自由状態から若干縮められた状態で軸受ユニット2に組み込まれている。この付勢力が軸受の予圧となるもので、この予圧によって内輪レース溝37a,37b,ボール36、外輪レース溝34a、35aの隙間を相殺し、軸受剛性を与えて安定した回転状態を実現している。
【0004】
このような軸受ユニットの振動測定方法としては、例えば特許第3130986号に記載のように、軸受ユニットの一対の外輪の一方を回転駆動可能な円筒状の保持台上に載置し、その軸受ユニットの軸に振動測定センサを軸方向より圧接せしめた状態で、前記保持台を回転駆動して前記外輪を回転せしめながら測定するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような測定方法では、振動測定センサの軸に対する押圧力により、軸受ユニットの内輪と外輪の相対位置が異なり、軸受に印加された予圧は、軸受ユニット単体時と振動測定中とで異なることとなる。
【0006】
この現象について図7を用いてより詳しく説明する。図7は図6における内輪レース溝37b、ボール36、外輪レース溝35aの関係を示したもので、この関係は、通常は図7(a)に示すように予圧31bが外輪35に印加されることで外輪35は軸37に対して相対的に移動し、内輪レース溝37b、ボール36、外輪レース溝35aの間で接触点41、42を結ぶ直線43の方向で相互の隙間が零となる。これによって外輪35,ボール36、外輪レース溝35aの相対位置が決まり、軸受の安定な回転が可能となっている。他方の内輪溝37a,ボール36、外輪レース溝34aの関係も前記と同様になっている。
【0007】
このように構成された軸受ユニットを前述の構成の振動測定装置にセットすると図8に示す状態となる。図8において、保持台51に軸受ユニット2の外輪35を置き、軸37の前記外輪35と相対する側の端面に振動測定センサ52を接触させ、外輪35が保持台51に押しつけられるように矢印53の方向に振動測定センサ52を付勢して振動測定を行う。このように外輪35を受けた状態で振動測定センサ52を矢印53方向に付勢すると、図7(a)にて説明した外輪35,ボール36,軸37の相対位置や予圧量に変化が発生してしまう。
【0008】
図8の状態で保持された軸受ユニット2の外輪35,ボール36,軸37の相対位置について図7(b)を用いて詳しく説明する。図7(b)において、外輪35は保持台51に支えられ、軸37には矢印53の方向から付勢力が与えられている。このため外輪35は保持台51より反力38を受けることになる。ところが、外輪35には予め予圧バネ(図示せず)から予圧力31bが印加されている。従って、反力38と予圧力31bの大小関係によつて外輪35,ボール36,軸37の相対位置が変わってくることになる。
【0009】
この関係は以下のようになる。
【0010】
(1)予圧力31b≧反力38 の場合
外輪35、ボール36、軸37の相対位置は図7(a)に示す位置関係になるが、正味の予圧力は、(予圧力31b−反力38)の値となる。しかし、被測定軸受ユニットが測定装置から取り出され、付勢力から解放されると、反力38が無くなるため、外輪35,ボール36、軸37の相対位置は図7(a)に示す元の状態に復帰する。つまり、測定中と測定装置から取り出した状態とでは予圧力は大きく異なることになる。
【0011】
(2)予圧力31b<反力38 の場合
この時、外輪35,ボール36、軸37の相対位置は、図7(b)に示すように、反力38が予圧力31bより勝っているため外輪35は軸37に対し相対的に上方に移動し、内輪レース溝37b、ボール36,外輪レース溝35aの間で接触点44,45を結ぶ直線46の方向で相互の隙間が零になる。また、正味の予圧力は、(反力38−予圧力31b)で、しかも初期と方向が逆になる。しかし、この場合も被測軸受ユニットが測定装置から取り出され、付勢力から解放されると反力38がなくなるため、外輪35,ボール36、軸37の相対位置は図7(a)に示す状態に復帰する。
【0012】
この場合も被測定軸受ユニットが測定装置から取り出され、付勢力から解放されると、反力38が無くなるため、外輪35,ボール36,軸37の相対位置は図7(a)に示す状態に復帰する。この場合は、測定中と測定装置から取り出した状態とで予圧力は大きく異なるばかりでなく、内輪レース溝37b、ボール36,外輪レース溝35aの間で接触点も全く異なる状態となることがわかる。
【0013】
さらに、図示してないが他方上側の軸受においては、上記2つの状態とも測定中の予圧量は、(反力38+予圧力31b)となり、これも通常とは全く異なるものとなる。
【0014】
前述のように、軸受ユニット単品状態と測定装置にセットした状態では予圧量や外輪35、ボール36、軸37の相対位置が全く異なるため、前述の測定方法では正しい振動測定を期し難いという重大な問題を有していた。例えば、図7(a)に示す接触点41に傷があった場合、前記(2)の状態で振動測定がなされると、図7(b)に示す状態で被測定軸受けユニットを回転させて測ることになるため、無接触点41の傷によって発生するであろう異常振動は検出されない。
【0015】
しかし、この軸受ユニットを用いて組み立てられた機器では図7(a)の状態で軸受が回転するため、接触点41の傷によって異常な振動が発生してしまうこととなる。このように測定結果が軸受ユニット単体の性能評価に直結しないという重大な欠点を有している。
【0016】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する為に、本発明の軸受ユニットの振動測定方法および装置は、一対の外輪と軸との間にそれぞれ複数個のボールを介して前記軸を回転可能に保持して一対の玉軸受を形成すると共に、前記両外輪が離反する方向に所定の弾性付勢力を付与した軸受ユニットの振動測定方法および装置であって、保持台に固定された固定軸の先端に、その固定軸の軸方向より測定すべき前記軸受ユニットの前記軸の一方の先端を当接せしめ、前記軸の他方の端部に振動測定センサを当接し、その状態で前記両外輪を前記軸を中心に回転駆動することを特徴とするものであり、この構成によれば、振動測定センサによる軸への押圧力に関係なく、軸受ユニット単体での予圧荷重を維持したままで振動測定が可能であるため、きわめて正確な測定結果が得られるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、一対の外輪と軸との間にそれぞれ複数個のボールを介して前記軸を前記一対の外輪で回転可能に保持して一対の玉軸受を形成すると共に、前記両外輪が離反する方向に所定の弾性付勢力を付与した軸受ユニットの振動測定方法であって、保持台に固定された固定軸の先端に、その固定軸の軸方向より測定すべき前記軸受ユニットの前記軸の一方の先端を当接せしめ、前記軸の他方の端部に振動測定センサを当接し、その状態で前記両外輪を前記軸を中心に回転駆動することを特徴とするものであり、この構成によれば、軸受ユニット単体での予圧荷重を維持したままで振動測定が可能であるため、きわめて正確な測定結果が得られるものである。
【0018】
本発明の請求項2に記載の発明は、一対の外輪と軸との間にそれぞれ複数個のボールを介して前記軸を前記一対の外輪で回転可能に保持して一対の玉軸受を形成すると共に、前記両外輪が離反する方向に所定の弾性付勢力を付与した軸受ユニットの振動測定装置であって、保持台の基板部に固定された固定軸に回転可能に取り付けられたチャックベースと、一端が前記保持台に固定され、他端が測定すべき前記軸受ユニットの外輪の外周に係合して、その軸受ユニットを前記軸の先端が前記固定軸の先端と当接した状態で着脱可能に保持する保持手段と、前記保持台の基板部から前記固定軸に並行に伸びる支持部材と、振動測定センサの先端が前記保持手段に保持された軸受ユニットの前記軸の他端に当接するように前記振動測定センサを前記固定軸方向に移動可能に前記支持部材に保持する振動測定センサ取付け手段と、前記保持台を前記固定軸を中心として回転駆動せしめる駆動手段とを有することを特徴とする軸受ユニットの振動測定装置であり、この構成によれば、軸受単体での予圧荷重を維持したままで振動測定が可能であるため、きわめて正確な測定結果が得られるものである。
【0019】
次に、本発明の請求項3に記載の発明は、前記保持手段は、一端が前記チャツクベースに固定されており、先端部に前記軸受ユニットの外輪と当接するチャック爪が形成された弾性変形可能な複数本のチャックアームよりなり、その複数本のチャックアームが前記固定軸を中心として環状に配置されていることを特徴とする請求項2記載の軸受ユニットの振動測定装置であり、確実にチャックベース上の所定の位置に測定すべき軸受ユニットを載置固定できるものである。
【0020】
本発明の請求項4に記載の発明は、前記チャックアームには、前記軸受ユニツトの一対の外輪にそれぞれ当接する一対の上チャック爪と下チャック爪が形成されており、その両チャック爪の間は他の部分より弾性変形が容易に構成されていることを特徴とする請求項3記載の軸受ユニットの振動測定装置であり、所定の間隔をもって配置されている一対の外輪を、それぞれ上チャック爪と下チャック爪により確実にチャックベースに固定することが出来る。
【0021】
本発明の請求項5に記載の発明は、前記複数本のチャックアームは第一のチャックアームと第二のチャックアームより構成され、前記第一のチャックアームには前記軸受ユニットの一方の外輪に当接するチャック爪が形成されており、第二のチャックアームには前記軸受ユニットの他方の外輪に当接するチャック爪が形成されており、この第一と第二のチャックアームが交互に配置されていることを特徴する請求項3記載の軸受ユニットの振動測定装置であり、一対の外輪をそれぞれ異なる独立して変形可能な第一と第二のチャックアームで保持するため、より確実に軸受ユニツトをチャツクベースに保持できるものである。
【0022】
本発明の請求項6に記載の発明は、前記軸受ユニットの軸は、前記固定軸の端部に配置された鋼球を介して前記固定軸に当接していることを特徴とする請求項2記載の軸受ユニットの振動測定装置であり、測定すべき軸受ユニットの軸が、鋼球を介して、固定軸に当接するため、より安定な当接が望めるものである。
【0023】
本発明の請求項7に記載の発明は、 前記チャックベースと前記基板部の互いに対向する面に、それぞれマグネットと駆動コイルユニットが配置されており、前記チャックベースをロータとするモータが形成されていることを特徴とする請求項2記載の軸受ユニットの振動測定装置であり、装置の基板となる保持台の基板部上のチャックベース自体がロータと成っているため、装置は小型化されるものである。
【0024】
(実施の形態)
以下に、本発明の請求項1ないし請求項7に記載された発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。図1は本発明の軸受ユニットの振動測定装置の一例を示す断面図、図2は同装置の被測定軸受ユニットの保持機構部を示す断面図である。
【0025】
図1において、1は基板部1aとその基板部1aから垂直方向に伸びるL字状の保持部材1cとからなる断面が略コ字状に形成された保持台であり、この保持台1の前記基板部1aに形成された係合穴1bには、固定軸13が植設された駆動ベース部材7が、その固定軸13と前記保持部材1cとが並行するように係合固定されている。前記固定軸13にはチャックベース14が、非接触方式のラジアル軸受15により回転可能に取り付けられており、また、固定軸13に固定されたフランジ16との間には非接触方式のスラスト軸受17が形成されている。これらの非接触方式の軸受は、流体、空気、磁力など利用したいずれの方式でも良い。
【0026】
前記駆動ベース部材7の前記チャックベース14と対向する面には、サブヨーク11を介して駆動コイルユニット8が設けられており、また、チャックベース14のには、メインヨーク10を介してマグネット9が設けられており、これらにより前記チャックベース14をロータとするブラシレスモータが形成されている。なお、12は前記駆動コイルユニツト8に接続された駆動回路である。
【0027】
前記固定軸13の上端には被測定軸受ユニツト2の軸の端部と接触し、その被測定軸受ユニット2の自重と振動測定センサ3の接触圧を受けるための鋼球19がホルダ18により保持されている。また、前記チャックベース14の上部には、4本の可撓性のチャックアーム14aが固定軸13を中心として環状に等間隔に、かつ、固定軸13と並行するよう設けられている。
【0028】
前記の各チャックアーム14aの先端部の内側には、被測定軸受ユニット2の2つの外輪を挟むための上チャック爪14bおよび下チャック爪14cが所定の間隔を持って形成されている。また、これらのチャツクアーム14aの先端部の外側には、チャック力を発生させるキャップ20と係合かるリブ14dがそれぞれ形成されており、図1に示すように、被測定軸受2をチャックアーム14aの内側に挿入、チャックアーム14aで被測定軸受ユニット2の外輪を挟持した後に、キャップ20を上方より、各チャックアーム14aの外側に、挿入し、前記リブ20と係合せしめることにより被測定軸受2を確実にチャックベース14に固定するよう構成されている。
【0029】
なお、前記チャックアーム14aの数は、図3に示すように3本あるいは6本等3本以上設ることにより、被測定軸受ユニット2を安定に保持し、測定中の回転バランスを良好に保ち、正確な測定が期待できる。
【0030】
一方、前記保持台1の保持部材1cには前記固定軸13と並行に伸びるガイドレール4が設けられており、そのガイドレール4には、振動測定センサ3の固定された移動台4aが摺動移動可能に係合されている。この振動測定センサ3には測定量を表示する表示部3aが接続されている。また、この振動測定センサ3は、前記固定軸13と同軸上に位置するよう設定されているため、この振動測定センサ3を上方に移動せしめた状態で、被測定軸受2を前述のようにしてチャックアーム14aに取り付け、その状態で前記移動台4aを下方に移動せしめることにより、振動測定センサ3を被測定軸受2の軸に接触せしめるものである。
【0031】
この時、保持台1に螺合したネジ5に一端が固定され、他端が振動測定センサ3に固定されたバネ6の弾性付勢力により、振動測定センサ3を所定の圧接力で被測定軸受2の軸に当接するように構成されており、前記ネジ5を回動せしめることにより、前記圧接力を調整可能に構成されている。
【0032】
図1のように振動測定センサ3が被測定軸受2の軸に圧接された状態で、駆動回路12によりチャックベース4を所定の回転数により回転駆動し、それに伴い被測定軸受2の外輪を回転せしめることにより、被測定軸受2から発生する振動を測定することが出来る。
【0033】
次に被測定軸受2の保持方法について、さらに詳しく説明する。図2(a)は被測定軸受2と、これを挿入する前のチャックアーム14aとの関係を示している。
【0034】
いま、被測定軸受ユニット2の上側外輪の外径をd1,下側外輪の外径をd2,チャックアーム14aの上チャック爪14bの内径をD1、下チャック爪14cの内径をD2とすると以下の関係に構成されている。
【0035】
D1>d1
D2>d2
よって、予圧バネ31によって予め所定の予圧(N)が与えられている被測定軸受ユニット2を前記寸法に設定されてチャックアーム14a間に挿入する際に、図2(b)に示すよう何らの外乱を与えることなく所定の予圧を保ったままの状態での挿入が可能である。次に図2(c)に示すようにキャップ20をリブ14dに嵌合させることで開いていたチャックアーム14aを閉じ、被測定軸受ユニット2を保持する。
【0036】
この時キャップ20の下端面に案内面取り20aを設けることでキャップの挿入をスムースにでき、被測定軸受ユニット2の下端を鋼球18に確実に接触させた状態で保持できる。さらに、図2(d)に示すようにキャップ20を完全に挿入した後、所定回転数で被測定軸受2を回転させた状態で、振動測定センサ3を被測定軸受ユニット2の軸の上端に触接させて振動を測定する。
【0037】
この時、被測定軸受ユニット2に振動測定センサ3の圧接力が印加されても、被測定軸受ユニット2の軸の下端は鋼球18で支持されているため、被測定軸受ユニット2の軸はチャック保持された外輪に対して相対的に移動することなく、つまり、単品状態で設定された予圧状態を維持したままで回転中の振動測定を行うものである。
【0038】
次に、チャックアーム形状の詳細について図4,図5を用いて説明する。図4は本発明になる振動測定装置のチャック爪の形状の一例であり、図4(a)はその断面を示し、図4(b)は被測定軸受ユニット2を保持した状態を詳細に示した図である。図4(a)において、チャックアームの上チャック爪14bと下チャック爪14cの間の連結部に、前記上チャック爪14bおよび下チャック爪14cよりも断面積が小さく曲が離易い薄肉部14eが設けられている。
【0039】
この構成により、被測定軸受ユニット2を保持すると、図4(b)に示すように前記薄肉部14eの部分でチャックアームがたわみ、上下のチャツク爪14b,14cが片当たりすることなく、被測定軸受ユニット2の上下の外輪を均等に保持することが可能になる。
【0040】
さらに、図5に本発明の振動測定装置のチャック爪の形状の他の実施の形態を示す。図5(a)はチャック部を真上から見た平面図であり、その断面A−A
を図5(b)に示す。
【0041】
図5(b)に示すように、本実施の形態では長いチャックアーム21と短いチャックアーム22を交互に設け、その長いチャックアーム21の先端内周には、上チャック爪21aを、短いチャックアーム2の先端内周には下チャック爪22aをそれぞれ設け、また、そのチャックアーム21,22の外周の同じ高さの位置に、それぞれリブ21b、22bを形成している。
【0042】
このように一つのチャックアームに一つのチャック爪を配置することで、互いに影響し合うことなく、被測定軸受ユニットの上下各々の外輪を確実に保持し、そらに回転軸を中心に均等に配置することで測定装置自身の回転中の振動を極めて低い状態に保ち、被測定軸受ユニットの振動成分のみを測定することで精度の高い測定結果を得ることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上のように本発明の軸受ユニットの振動測定方法および装置によれば、軸受ユニット単体での予圧荷重を維持したままで振動測定が可能となり、極めて正確で精度の高い測定結果が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における軸受ユニットの測定装置の側断面図
【図2】同軸受ユニットの測定装置のそれぞれの動作状態を示す要部側断面図
【図3】同軸受ユニットの測定装置の他の実施の形態を示す要部平面図
【図4】同軸受ユニットの測定装置の要部側断面図
【図5】同軸受ユニットの測定装置の他の実施の形態における要部平面図および側断面図
【図6】従来の玉軸受を使用した軸受ユニットの側断面図
【図7】軸受ユニットの単体時および従来の軸受ユニットの振動測定装置による測定時の軸受ユニットの要部側断面図
【図8】従来の軸受ユニットの振動測定装置による測定時の軸受ユニットの要部側断面図
【符号の説明】
1 保持台
1a 基板部
1c 保持部材
2 軸受ユニット
3 振動測定センサ
7 駆動ベース部材
8 駆動コイルユニット
9 マグネット
10、11
12 駆動回路
13 固定軸
14 チャックベース
14a チャックアーム
14b 上チャック爪
14c 下チャック爪
14d リブ
14e 薄肉部
15 ラジアル軸受
16 フランジ
17 スラスト軸受
19 鋼球
Claims (7)
- 一対の外輪と軸との間にそれぞれ複数個のボールを介して前記軸を前記一対の外輪で回転可能に保持して一対の玉軸受を形成すると共に、前記両外輪が離反する方向に所定の弾性付勢力を付与した軸受ユニットの振動測定方法であって、保持台に固定された固定軸の先端に、その固定軸の軸方向より測定すべき前記軸受ユニットの前記軸の一方の先端を当接せしめ、前記軸の他方の端部に振動測定センサを当接し、その状態で前記両外輪を前記軸を中心に回転駆動することを特徴とする軸受ユニツトの振動測定方法。
- 一対の外輪と軸との間にそれぞれ複数個のボールを介して前記軸を前記一対の外輪で回転可能に保持して一対の玉軸受を形成すると共に、前記両外輪が離反する方向に所定の弾性付勢力を付与した軸受ユニットの振動測定装置であって、保持台の基板部に固定された固定軸に回転可能に取り付けられたチャックベースと、一端が前記チャツクベースに固定され、他端が測定すべき前記軸受ユニットの外輪の外周に係合して、その軸受ユニットを前記軸の先端が前記固定軸の先端と当接した状態で着脱可能に保持する保持手段と、前記基板部から前記固定軸に並行に伸びる支持部材と、振動測定センサの先端が前記保持手段に保持された軸受ユニットの前記軸の他端に当接するように前記振動測定センサを前記固定軸方向に移動可能に前記支持部材に保持する振動測定センサ取付け手段と、前記チャックベースを前記固定軸を中心として回転駆動せしめる駆動手段とを有することを特徴とする軸受ユニットの振動測定装置。
- 前記保持手段は、一端が前記チャツクベースに固定されており、先端部に前記軸受ユニットの外輪と当接するチャック爪が形成された弾性変形可能な複数本のチャックアームよりなり、その複数本のチャックアームが前記固定軸を中心として環状に配置されていることを特徴とする請求項2記載の軸受ユニットの振動測定装置。
- 前記チャックアームには、前記軸受ユニットの一対の外輪にそれぞれ当接する一対の上チャック爪と下チャック爪が形成されており、その両チャック爪の間は他の部分より弾性変形が容易に構成されていることを特徴とする請求項3記載の軸受ユニットの振動測定装置。
- 前記複数本のチャックアームは第一のチャックアームと第二のチャックアームより構成され、前記第一のチャックアームには前記軸受ユニットの一方の外輪に当接するチャック爪が形成されており、第二のチャックアームには前記軸受ユニットの他方の外輪に当接するチャック爪が形成されており、この第一と第二のチャックアームが交互に配置されていることを特徴する請求項3記載の軸受ユニットの振動測定装置。
- 前記軸受ユニットの軸は、前記固定軸の端部に配置された鋼球を介して前記固定軸に当接していることを特徴とする請求項2記載の軸受ユニットの振動測定装置。
- 前記チャックベースと前記基板部の互いに対向する面に、それぞれマグネットと駆動コイルユニットが配置されており、前記チャックベースをロータとするモータが形成されていることを特徴とする請求項2記載の軸受ユニットの振動測定装置。
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CN104748966A (zh) * | 2015-04-21 | 2015-07-01 | 吴联凯 | 输送机滚筒轴承混合监测系统 |
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- 2002-08-09 JP JP2002232411A patent/JP2004069631A/ja active Pending
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