JP2004067743A - ウレタン系シーリング材 - Google Patents
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Abstract
【課題】目地部の汚染や塗膜への汚染性が低く、ベタ付きが少なく吸塵汚染性の低いウレタン系シーリング材シーリング材を提供する。
【解決手段】ウレタンプレポリマー20〜60重量%、式(1)で示される分岐アルキルアルコール3〜40重量%、充填剤20〜60重量%を配合してなるウレタン系シーリング材。
X−R−OH …(1)
(ここで、Xは水素、水酸基、アルコキシ基、エステル基を示し、Rはイソブチレン又は2−メチル−1−ペンテンを構成単位とした炭素数12〜200の分岐炭化水素鎖を示す。)
ウレタンプレポリマーとポリプロピレングリコール系ポリオールとの組成物20〜60重量%、可塑剤として上述の式(1)で示される分岐アルキルアルコール3〜40重量%、充填剤25〜60重量%を配合してなるウレタン系シーリング材。
【選択図】 なし
【解決手段】ウレタンプレポリマー20〜60重量%、式(1)で示される分岐アルキルアルコール3〜40重量%、充填剤20〜60重量%を配合してなるウレタン系シーリング材。
X−R−OH …(1)
(ここで、Xは水素、水酸基、アルコキシ基、エステル基を示し、Rはイソブチレン又は2−メチル−1−ペンテンを構成単位とした炭素数12〜200の分岐炭化水素鎖を示す。)
ウレタンプレポリマーとポリプロピレングリコール系ポリオールとの組成物20〜60重量%、可塑剤として上述の式(1)で示される分岐アルキルアルコール3〜40重量%、充填剤25〜60重量%を配合してなるウレタン系シーリング材。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はウレタン系シーリング材に関する。更に詳細には目地部の汚染や塗膜への汚染性が低い、ベタ付きが少なく吸塵汚染性が低い、長期保存可能なシーリング材に関する。
【0002】
【従来の技術】
シーリング材に用いられるウレタン系シーリング材には1成分タイプと2成分タイプが知られている。両者は硬化過程が異なり、1成分タイプのウレタン系シーリング材はウレタンプレポリマーが空気中の水分と反応して硬化が進行し、2成分タイプのウレタン系シーリング材ではウレタンプレポリマーのイソシアネート基とポリプロピレングリコール系ポリオールの水酸基との反応によって硬化が進行する。使用するウレタンプレポリマーは、ジイソシアネートとポリオールの反応によって合成されるが、ポリオールの分子量によってウレタンプレポリマーのNCO基の含有量がそれぞれ調整され、用途によって使い分けられている。更にこれら主反応成分のほかに可塑剤、充填剤、触媒、老化防止剤、増粘剤、接着付与剤等が添加されており、中でも可塑剤は硬化物の柔軟性や配合物の粘度を調節するために使用される必須成分で、一般にフタル酸ジエステルが幅広く用いられている。
【0003】
しかしながらこれらフタル酸エステルを可塑剤として用いるシーリング材は塗膜と接触するような場合、可塑剤の移行による塗膜の軟化等の塗膜への汚染を生じる欠点を持っている他、シーリング材表面の粘着性による吸塵汚染や配合物から可塑剤が溶出する経時安定性等の欠点もある。例えば特開平9−165569号公報では可塑剤として主にジオクチルフタレート(DOP)等のフタル酸エステル類が開示されているが、DOPは塗布した塗膜を膨潤させ塗膜への汚染を起こしやすいため、これらの可塑剤を用いたシーリング材は特に塗膜と密接する用途には好ましくない。この塗膜への汚染性を改良する方法としては、全く可塑剤を使用しない方法も考えられるが、シーリング材の総合的な性能を考えると現実的ではない。
【0004】
このため、塗膜に影響しない可塑剤を使用することも提案され、例えば特開昭63−108058号公報にはポリプロピレングリコールなどのポリアルキレンエーテルポリオールの利用が開示されている。しかしながら、この方法でも塗膜への影響が認められ、さらに耐水性の面で十分ではない。また、他にも特開2001−354946号公報には液状炭化水素を可塑剤として用いる方法が開示されているが、この方法は可塑性、塗膜への汚染性や吸塵汚染性では優れるものの、長期保存時にシーリング材と可塑剤が相分離することがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、原料配合物からの可塑剤の溶出が少なく、塗膜への汚染性が低く、さらにベタ付きが少なく吸塵汚染性が低い、長期保存可能なウレタン系シーリング材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下のウレタンシーリング材である。
(1)ウレタンプレポリマーを20〜60重量%、式(1)で示される分岐アルキルアルコールを3〜40重量%、充填剤20〜60重量%を配合してなるウレタン系シーリング材。
X−R−OH …(1)
(ここで、Xは水素原子、水酸基、アルコキシ基、エステル基を示し、Rはイソブチレン又は2−メチル−1−ペンテンを構成単位とした炭素数12〜200の分岐炭化水素鎖を示す。)
【0007】
(2)ウレタンプレポリマーとポリプロピレングリコール系ポリオールとの組成物20〜60重量%、式(1)で示される分岐アルキルアルコール3〜40重量%、充填剤25〜60重量%を配合してなるウレタン系シーリング材。
X−R−OH …(1)
(ここで、Xは水素原子、水酸基、アルコキシ基、エステル基を示し、Rはイソブチレン又は2−メチル−1−ペンテンを構成単位とした炭素数12〜200の分岐炭化水素鎖を示す。)
(3)前記(1)〜(2)のいずれかに記載されたウレタン系シーリング材の硬化物。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のポリウレタン系シーリング材は、1成分系タイプの場合、ウレタンプレポリマー、充填剤、可塑剤その他の添加剤より構成され、2成分タイプの場合、ウレタンプレポリマーとポリプロピレングリコール系ポリオール、充填剤、可塑剤その他の添加剤より構成される。
【0009】
本発明に用いるウレタンプレポリマーは、ジイソシアネートとポリオールの反応によって合成される。使用できるイソシアネート化合物としては、公知のイソシアネート化合物が全て使用可能であり、具体的にはパラフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、オクタデシルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4’,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、p−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート及びこれらの変性品等が例示される。これらのイソシアネート化合物は単独あるいは2種以上を併用してもよい。
【0010】
ジイソシアネート化合物と反応させるポリオールとしてはポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール;あるいはポリエステルポリオールにアクリロニトリル、スチレン、メチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和化合物をグラフト重合した物が挙げられる。これらのポリオール類は、単独で使用しても良く2種以上を併用してもよいが、いずれの場合も好ましくは重量平均分子量400〜5000の範囲のものが好ましい。
【0011】
本発明に用いられるウレタンプレポリマーは、上述のポリオールにイソシアネートをNCO基/OH基のモル比が1.0〜2.5となる範囲で、さらに好ましくは1.0〜1.33となる範囲で仕込み反応させて製造することができる。本発明において、目的のシーリング材の性能に応じてウレタンプレポリマーに存在する未反応のNCO基の割合を自由に設定でき、また、プレポリマーの粘度についても特に限定されないが、硬化物の物性及び作業性を考慮して設計する必要がある。硬化物の物性、作業性の面から、1成分タイプのシーリング材にはNCO基を0.3〜2.0重量%の範囲で含むウレタンプレポリマーを使用することが好ましく、2成分系タイプのシーリング材には1.5〜6.0重量%の範囲で含むウレタンプレポリマーを使用することが好ましい。
【0012】
本発明の1成分タイプのウレタン系シーリング材において、ウレタンプレポリマーは、シーリング材全配合組成物100重量部に対して20〜70重量%使用することができ、好ましくは25〜50重量%の範囲で用いる。20重量%未満ではシーリング材としての機械的強度や接着性が得られず、70重量%を超えると硬化物の硬度の低下、原料配合物の作業性が悪くなるため使用に適さなくなる。
【0013】
本発明の2成分タイプのウレタン系シーリング材において、ウレタンプレポリマーとポリプロピレングリコール系ポリオールとの組成物を使用する。ポリプロピレングリコール系ポリオールはウレタンプレポリマーのイソシアネートと反応しウレタン結合をつくり、シーリング材組成物が硬化する。
【0014】
ポリプロピレングリコール系ポリオールとは、エチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコールに酸化プロピレン、酸化プロピレン、酸化エチレン等のエポキサイドを、塩基性触媒、酸性触媒等の存在下、開環重合させた末端に水酸基を有するポリオールである。具体的には、ポリプロピレングリコールジオール、(ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコール)ジオール、ポリプロピレングリコールトリオール、(ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコール)トリオール、ポリプロピレングリコールテトラオール、(ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコール)テトラオール、ポリプロピレングリコールヘキサオール等が挙げられる。好ましい分子量は、200〜10,000である。
【0015】
本発明の2成分タイプのウレタン系シーリング材において、ウレタンプレポリマーとポリプロピレングリコール系ポリオールとの組成物中、ウレタンプレポリマーとポリプロピレングリコール系ポリオールとの配合比は、特に限定されるものではないが、イソシアネート基と水酸基の比であるNCO基/OH基のモル比が1.0〜1.3、特に1.0〜1.1となるように配合するのが好ましい。
【0016】
本発明の2成分タイプのウレタン系シーリング材において、ウレタンプレポリマーとプロピレングリコール系ポリオールの組成物は、シーリング材全配合組成物100重量部に対して20〜60重量%使用することができ、好ましくは30〜50重量%の範囲で用いる。なお、20重量部未満ではシーリング材としての機械的強度や接着性が得られず、60重量%を超えると硬化物の硬度の低下、製造時の作業性が悪くなるため使用に適さない。
【0017】
本発明において、1成分タイプのウレタン系シーリング材及び2成分タイプのウレタン系シーリング材のいずれも、可塑剤として、式(1)に示す分岐アルキルアルコールを使用することを特徴とする。
本発明において、分岐アルキルアルコールの水酸基は、イソシアネートと反応することができる。式(1)中、Xは水素原子、水酸基、アルコキシ基、又はエステル基を示し、可塑性の付与、相溶性の付与のため適宜選択される。Rはイソブチレン又は2−メチル−1−ペンテンを構成単位とし、これらを重合した分岐炭化水素基である。ここで、Rはイソブチレン又は2−メチル−1−ペンテン以外にエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン等のオレフィンを構成単位として含んだ重合物であっても良い。Rは炭素数12〜200の分岐炭素鎖であることが好ましく、より好ましくは12〜40である。炭素数12未満では可塑剤としての効果が不十分で、200を超えるとシーリング材中での相溶性が低下してしまう。
【0018】
分岐アルキルアルコールは、式(1)において、Xが水酸基であるとき、ジオールとなるが、シーリング材の可塑性を効率よく発現するためには1,2ジオール、1,3ジオールのように水酸基が近接するジオールであることが好ましい。水酸基間の炭素鎖長が長いと、硬化時に架橋剤として働き、可塑剤としての効果が発揮され難くなる。
【0019】
本発明の分岐アルキルアルコールは、イソブテン又は2−メチル−1−ペンテンを塩化アルミニウム等のカチオン重合触媒により重合させて得られる単独重合体、あるいは他のオレフィンとの共重合体を原料として使用して、その末端二重結合を酸化して製造することができる。酸化する方法としては、ジオールを合成する場合は公知の方法、例えば、強酸中有機過酸で酸化する方法、過酸化水素を無機系酸化触媒と反応する方法、過マンガン酸カリウムや四酸化オスミウムによる酸化反応が挙げられる。一方、モノオールを合成する場合は公知の例えば酸素又はオゾンにより酸化後還元する方法、ハイドロボレーション後過酸化水素で酸化する方法、硫酸等酸存在下水和する方法によって得ることができる。
【0020】
分岐アルキルアルコールの添加量は分子量によっても大きく異なるが、シーリング材全配合組成物100重量部に対して3〜40重量%使用することができ、好ましくは10〜50重量%の範囲で用いるのが好ましい。なお、3重量%未満では分岐アルキルアルコールによる可塑化効果が得られず、40重量%を超えると硬化したシーリング材に十分な強度が得られないため使用に適さない。
【0021】
分岐アルキルアルコールを配合するに際しては直接に添加混合してもよいが、ポリオールあるいはウレタンプレポリマーとの相溶性を向上させる目的で界面活性剤等の相溶化剤を併用して用いることもできる。界面活性剤は、種々のものを用いることができるが、ノニオン系界面活性剤が特に好ましい。可塑剤使用量によって効果も異なるが、可塑剤に対して0.1〜2重量%添加することで相溶性の向上が期待できる。混合に際しては液状配合物を最初に投入し充分攪拌混合することが大切であり、ホモジナイザー、ディスパーザー等の高い粘性物にも対応できる機械を用いて混合してもよい。
【0022】
本発明に用いる充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、酸化チタン、タルク、カーボンブラック等が挙げられる。なかでも、硬化物の物性改良、増量、配合物のタレ防止、配合物の着色等を目的として炭酸カルシウムが好ましく使用される。充填材は、シーリング材全配合組成物100重量部に対して20〜60重量%の範囲で配合され、好ましくは30〜50重量%である。この場合、20重量%未満ではシーリング材として硬化物の硬度の低下、原料配合物の作業性が悪くなり、機械的強度や接着性が得られず、60重量%を超えると接着性や原料配合物の作業性が悪くなるため使用に適さない。
【0023】
本発明のウレタン系シーリング材を硬化させるために触媒が配合されるが、具体的にはナフテン酸錫、ナフテン酸鉛、オクチル酸鉛、ジラウリル酸ジブチル錫、ジブチル錫フタレート等が挙げられる。触媒の添加量は特に限定されるものではないが、ウレタン樹脂成分100重量部に対して0.1〜5重量%であれば作業時間を確保しつつ良好な物性と作業性が得られる。その他、配合剤として、紫外線や酸化による劣化を防止するためヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系等の老化防止剤、シーリング材の発泡を防ぐオルトケイ酸エステル、無水石膏等の発泡抑制剤、オルガノシラン系の接着付与剤、配合物の流動性を調整する水添ひまし油、有機ベントナイト、超微粒子シリカ等の増粘剤、アエロジル等のタレ防止剤等を使用することもできる。
【0024】
本発明のウレタン系シーリング材において、1成分タイプのウレタン系シーリング材は使用時に反応に寄与するウレタンプレポリマーを充填剤、可塑剤その他の添加剤の混合物に添加して用いる。また、ポリウレタン系シーリング材は、製造後、保存して用いることもできる。2成分系タイプのウレタン系シーリング材はウレタンプレポリマーとポリプロピレングリコール系ポリオール、充填剤、触媒、可塑剤その他添加剤を含んだ成分を別々に調製し使用時に混合して用いる。
【0025】
本発明の低汚染性ウレタン系シーリング材は、前記原料を3本ロール、ニーダー、ミキサーなどの混練機を用いて混合することができ、混合時必要に応じて脱泡、加熱等の処理しながら混合することができる。
【0026】
本発明のウレタン系シーリング材の硬化前は、1成分タイプのウレタン系シーリング材、2成分タイプのウレタン系シーリング材、いずれの場合も0〜40℃程度で取り扱うことができるが、低温になると粘度が上昇し、シーリング材の押し出し性が低下するため20℃以上の温度が好ましく、高温になると硬化速度が速くなり作業性が低下するので35℃以下の温度で取り扱うことが好ましい。シーリング材の硬化に要する時間は、温度、湿度によっても異なるが、−5〜40℃で5〜30日である。硬化後の使用温度範囲は−20〜70℃である。
【0027】
本発明のウレタン系シーリング材による施工は、工法、部位、構成材によって異なってくるが、カーテンウォール、各種外装パネル、住宅外壁、コンクリート壁、屋根、屋上等で、ガラス、金属、プラスチック等の各種材質のシーリングに対応することができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0029】
製造例1(分岐アルキルジオールの製造)
攪拌機、還流冷却器、温度計を備えた500mlの反応器にイソブテンオリゴマー(重合度4、炭素数1以上の分岐鎖平均8個、ヨウ素価72、構成モノマー;イソブチレン)50gを仕込み、激しく攪拌しながら、予め調製した過酢酸100gを20℃以下で1時間で添加する。次に硫酸を全量に対し1%加え、更に2時間熟成した後、60℃まで昇温して10時間反応を行なう。反応後、直ちに40℃まで冷却し、得られた混合液から下層の酢酸水溶液層を除去した後、更に硫酸1%水溶液100gを添加し、95℃で10時間反応を行った。反応後、直ちに60℃まで冷却し水洗、中和洗浄後により下層の硫酸水溶液層を除去する。次に減圧蒸留により残存水分を除去する。得られた反応物に苛性ソーダ40%水溶液25gを添加し、90℃まで昇温して5時間反応を行なった。反応後、中和水洗、脱水処理を行ない、44gの分岐アルキルジオールを得た。
なお、合成した試料を、IR分析すると3480cm−1に−OH基の特性吸収が確認できた。また、1H−NMR分析からは原料オリゴマー中の残存二重結合による4.5〜6.6ppmの吸収が反応により消失しているのが確認された。
【0030】
製造例2(分岐アルキルモノアルコールの製造)
製造例1と同様に反応器にイソブテンオリゴマー(重合度4、炭素数1以上の分岐鎖平均8個、ヨウ素価72、構成モノマー;イソブチレン)50gと40%硫酸水溶液50gを仕込み、室温で12時間反応させた。反応液は、氷水で希釈し、苛性ソーダ水溶液で中和した後、蒸留精製した(収率82%、75〜85℃/533Pa)。
なお、合成した試料を、IR分析すると、3510cm−1に−OH基の特性吸収が確認できた。また、1H−NMR分析からは原料オリゴマー中の残存二重結合による4.5〜6.6ppmの吸収が反応により消失しているのが確認された。
【0031】
実施例1
(1)シーリング材の調製
表1に示す配合で、製造例1、2で製造した分岐アルキルアルコールに炭酸カルシウム(充填剤)及びアエロジル(タレ防止剤)を徐々に添加し、混練機にて室温で約1時間練り込みを行った。その後ウレタンプレポリマーを添加した。気泡の混入に注意しながら均一に混合し、室温以下1333Pa(10mmHg)で減圧脱気した。
製造したシーリング材は、水分との接触を避けたとき、40℃で、30日間放置しても、相分離せず安定であった。
(2)硬化
調製したシーリング材を気泡の混入に注意しながら4×10×80(mm)の金型に仕込み、20℃で96時間かけて硬化した。
【0032】
実施例2〜5
(1)硬化剤の調製
表1に示す配合で、ポリプロピレングリコール系ポリオール、製造例1、2で製造した分岐アルキルアルコールと、触媒(DBTL;ジラウリル酸ジブチルスズ)を表1に示す配合で混合したものに炭酸カルシウム及びアエロジルを徐々に添加し、混練機にて室温で約1時間練り込みを行った。
(2)シーリング材の調製
上述の硬化剤にウレタンプレポリマー(DICSEAL−230、大日本インキ化学工業(株)製、NCO重量%=2.5)を加え、気泡の混入に注意しながら均一に混合し、室温以下1333Pa(10mmHg)で減圧脱気した。
(3)硬化
調製したシーリング材を気泡の混入に注意しながら4×10×80(mm)の金型に仕込み、20℃で96時間かけて硬化した。
【0033】
比較例1〜3
比較例1、2は可塑剤として各々ジオクチルフタレート(DOP)、ポリブテン(ポリブテン0N、日本油脂(株)製)を用い、比較例は3は可塑剤無添加で行い、その他は実施例2〜5と同様な方法で実施した。
【0034】
結果を表1に示す。ここで、硬化後のシード材の評価は以下のようにおこなった。
(性能評価試験)
(1)引張強度
4×10×80(mm)の形状のサンプルを用い、ロードセル100kg、引張速度500mm/min、チャック間隔40mm、20℃の条件で最大荷重、破断伸びについて測定した。
(2)表面硬度
JIS K 6301に準じて、得られた硬化物についてJA型硬度計にて評価した。
(3)表面のタック性
得られた硬化物について表面のタック性について、ベタ付きのあるもの(×)、ないもの(○)に分類した。
(4)塗膜面への影響
金属板上のアクリル塗膜の上にシーリング材を施工し、実施例の条件でこれを硬化させた。20日間放置し、アクリル塗膜面の変化を調べた。変化の無いもの(○)、塗膜の軟化や溶融剥れが見られるもの(×)に分類した。
(5)抽出試験
得られた硬化物をヘキサン中に20℃、10分間に浸漬し、その後硬化物をヘキサン中から取り出した。そのヘキサン抽出液を乾燥させ、抽出分の重量変化を測定した。
【0035】
【表1】
【0036】
表中、略語を以下に示す。
(ウレタンプレポリマー)
PU(1):DICSEAL−230(大日本インキ化学工業(株)製、NCO重量%=2.5)、
PU(2):OC−8BX(日本ポリウレタン工業(株)製、NCO重量%=1.7)、
(ポリオール)
PPG:ポリプロピレングリコール(PANDEX OD−X−825、大日本インキ化学工業(株)製)、
PPT:ポリプロピレントリオール(HIPROX TG300、大日本インキ化学工業(株)製)、
(可塑剤)
DOP:ジオクチルフタレート、
PB−O:ポリブテン(ポリブテン0N、日本油脂(株)製)、
(充填剤)
炭酸カルシウム(ライトンBY、備北粉化工業(株)製)、
(タレ防止剤)
アエロジル(AEROSIL50、日本アエロジル(株)製)、
(触媒)
DBTL: ジラウリル酸ジブチルスズ(和光純薬工業(株)製 )。
【0037】
実施例1〜5のウレタン系シーリング材は表面のベタ付きがなく、溶剤による溶出性もほとんどないものであった。一方、比較例1のDOP使用のウレタン系シーリング材では表面のベタ付き、溶剤による溶出性が高く、比較例2のポリブテン使用では溶剤による溶出が若干見られる。比較例3の可塑剤がない場合は、破断伸びが低く柔らかさを備えていない。
【0038】
【発明の効果】
本発明のウレタン系シーリング材は、目地部の汚染や塗膜への汚染性が低く、しかも原料配合物からの溶出がない特徴を有している。さらに表面のベタ付きが少なく、吸塵汚染性の低いウレタン系シーリング材を提供することができる。そして、本発明のシーリング材は、保存安定性がよく、長期間、保存することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明はウレタン系シーリング材に関する。更に詳細には目地部の汚染や塗膜への汚染性が低い、ベタ付きが少なく吸塵汚染性が低い、長期保存可能なシーリング材に関する。
【0002】
【従来の技術】
シーリング材に用いられるウレタン系シーリング材には1成分タイプと2成分タイプが知られている。両者は硬化過程が異なり、1成分タイプのウレタン系シーリング材はウレタンプレポリマーが空気中の水分と反応して硬化が進行し、2成分タイプのウレタン系シーリング材ではウレタンプレポリマーのイソシアネート基とポリプロピレングリコール系ポリオールの水酸基との反応によって硬化が進行する。使用するウレタンプレポリマーは、ジイソシアネートとポリオールの反応によって合成されるが、ポリオールの分子量によってウレタンプレポリマーのNCO基の含有量がそれぞれ調整され、用途によって使い分けられている。更にこれら主反応成分のほかに可塑剤、充填剤、触媒、老化防止剤、増粘剤、接着付与剤等が添加されており、中でも可塑剤は硬化物の柔軟性や配合物の粘度を調節するために使用される必須成分で、一般にフタル酸ジエステルが幅広く用いられている。
【0003】
しかしながらこれらフタル酸エステルを可塑剤として用いるシーリング材は塗膜と接触するような場合、可塑剤の移行による塗膜の軟化等の塗膜への汚染を生じる欠点を持っている他、シーリング材表面の粘着性による吸塵汚染や配合物から可塑剤が溶出する経時安定性等の欠点もある。例えば特開平9−165569号公報では可塑剤として主にジオクチルフタレート(DOP)等のフタル酸エステル類が開示されているが、DOPは塗布した塗膜を膨潤させ塗膜への汚染を起こしやすいため、これらの可塑剤を用いたシーリング材は特に塗膜と密接する用途には好ましくない。この塗膜への汚染性を改良する方法としては、全く可塑剤を使用しない方法も考えられるが、シーリング材の総合的な性能を考えると現実的ではない。
【0004】
このため、塗膜に影響しない可塑剤を使用することも提案され、例えば特開昭63−108058号公報にはポリプロピレングリコールなどのポリアルキレンエーテルポリオールの利用が開示されている。しかしながら、この方法でも塗膜への影響が認められ、さらに耐水性の面で十分ではない。また、他にも特開2001−354946号公報には液状炭化水素を可塑剤として用いる方法が開示されているが、この方法は可塑性、塗膜への汚染性や吸塵汚染性では優れるものの、長期保存時にシーリング材と可塑剤が相分離することがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、原料配合物からの可塑剤の溶出が少なく、塗膜への汚染性が低く、さらにベタ付きが少なく吸塵汚染性が低い、長期保存可能なウレタン系シーリング材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下のウレタンシーリング材である。
(1)ウレタンプレポリマーを20〜60重量%、式(1)で示される分岐アルキルアルコールを3〜40重量%、充填剤20〜60重量%を配合してなるウレタン系シーリング材。
X−R−OH …(1)
(ここで、Xは水素原子、水酸基、アルコキシ基、エステル基を示し、Rはイソブチレン又は2−メチル−1−ペンテンを構成単位とした炭素数12〜200の分岐炭化水素鎖を示す。)
【0007】
(2)ウレタンプレポリマーとポリプロピレングリコール系ポリオールとの組成物20〜60重量%、式(1)で示される分岐アルキルアルコール3〜40重量%、充填剤25〜60重量%を配合してなるウレタン系シーリング材。
X−R−OH …(1)
(ここで、Xは水素原子、水酸基、アルコキシ基、エステル基を示し、Rはイソブチレン又は2−メチル−1−ペンテンを構成単位とした炭素数12〜200の分岐炭化水素鎖を示す。)
(3)前記(1)〜(2)のいずれかに記載されたウレタン系シーリング材の硬化物。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のポリウレタン系シーリング材は、1成分系タイプの場合、ウレタンプレポリマー、充填剤、可塑剤その他の添加剤より構成され、2成分タイプの場合、ウレタンプレポリマーとポリプロピレングリコール系ポリオール、充填剤、可塑剤その他の添加剤より構成される。
【0009】
本発明に用いるウレタンプレポリマーは、ジイソシアネートとポリオールの反応によって合成される。使用できるイソシアネート化合物としては、公知のイソシアネート化合物が全て使用可能であり、具体的にはパラフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、オクタデシルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4’,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、p−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート及びこれらの変性品等が例示される。これらのイソシアネート化合物は単独あるいは2種以上を併用してもよい。
【0010】
ジイソシアネート化合物と反応させるポリオールとしてはポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール;あるいはポリエステルポリオールにアクリロニトリル、スチレン、メチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和化合物をグラフト重合した物が挙げられる。これらのポリオール類は、単独で使用しても良く2種以上を併用してもよいが、いずれの場合も好ましくは重量平均分子量400〜5000の範囲のものが好ましい。
【0011】
本発明に用いられるウレタンプレポリマーは、上述のポリオールにイソシアネートをNCO基/OH基のモル比が1.0〜2.5となる範囲で、さらに好ましくは1.0〜1.33となる範囲で仕込み反応させて製造することができる。本発明において、目的のシーリング材の性能に応じてウレタンプレポリマーに存在する未反応のNCO基の割合を自由に設定でき、また、プレポリマーの粘度についても特に限定されないが、硬化物の物性及び作業性を考慮して設計する必要がある。硬化物の物性、作業性の面から、1成分タイプのシーリング材にはNCO基を0.3〜2.0重量%の範囲で含むウレタンプレポリマーを使用することが好ましく、2成分系タイプのシーリング材には1.5〜6.0重量%の範囲で含むウレタンプレポリマーを使用することが好ましい。
【0012】
本発明の1成分タイプのウレタン系シーリング材において、ウレタンプレポリマーは、シーリング材全配合組成物100重量部に対して20〜70重量%使用することができ、好ましくは25〜50重量%の範囲で用いる。20重量%未満ではシーリング材としての機械的強度や接着性が得られず、70重量%を超えると硬化物の硬度の低下、原料配合物の作業性が悪くなるため使用に適さなくなる。
【0013】
本発明の2成分タイプのウレタン系シーリング材において、ウレタンプレポリマーとポリプロピレングリコール系ポリオールとの組成物を使用する。ポリプロピレングリコール系ポリオールはウレタンプレポリマーのイソシアネートと反応しウレタン結合をつくり、シーリング材組成物が硬化する。
【0014】
ポリプロピレングリコール系ポリオールとは、エチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコールに酸化プロピレン、酸化プロピレン、酸化エチレン等のエポキサイドを、塩基性触媒、酸性触媒等の存在下、開環重合させた末端に水酸基を有するポリオールである。具体的には、ポリプロピレングリコールジオール、(ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコール)ジオール、ポリプロピレングリコールトリオール、(ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコール)トリオール、ポリプロピレングリコールテトラオール、(ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコール)テトラオール、ポリプロピレングリコールヘキサオール等が挙げられる。好ましい分子量は、200〜10,000である。
【0015】
本発明の2成分タイプのウレタン系シーリング材において、ウレタンプレポリマーとポリプロピレングリコール系ポリオールとの組成物中、ウレタンプレポリマーとポリプロピレングリコール系ポリオールとの配合比は、特に限定されるものではないが、イソシアネート基と水酸基の比であるNCO基/OH基のモル比が1.0〜1.3、特に1.0〜1.1となるように配合するのが好ましい。
【0016】
本発明の2成分タイプのウレタン系シーリング材において、ウレタンプレポリマーとプロピレングリコール系ポリオールの組成物は、シーリング材全配合組成物100重量部に対して20〜60重量%使用することができ、好ましくは30〜50重量%の範囲で用いる。なお、20重量部未満ではシーリング材としての機械的強度や接着性が得られず、60重量%を超えると硬化物の硬度の低下、製造時の作業性が悪くなるため使用に適さない。
【0017】
本発明において、1成分タイプのウレタン系シーリング材及び2成分タイプのウレタン系シーリング材のいずれも、可塑剤として、式(1)に示す分岐アルキルアルコールを使用することを特徴とする。
本発明において、分岐アルキルアルコールの水酸基は、イソシアネートと反応することができる。式(1)中、Xは水素原子、水酸基、アルコキシ基、又はエステル基を示し、可塑性の付与、相溶性の付与のため適宜選択される。Rはイソブチレン又は2−メチル−1−ペンテンを構成単位とし、これらを重合した分岐炭化水素基である。ここで、Rはイソブチレン又は2−メチル−1−ペンテン以外にエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン等のオレフィンを構成単位として含んだ重合物であっても良い。Rは炭素数12〜200の分岐炭素鎖であることが好ましく、より好ましくは12〜40である。炭素数12未満では可塑剤としての効果が不十分で、200を超えるとシーリング材中での相溶性が低下してしまう。
【0018】
分岐アルキルアルコールは、式(1)において、Xが水酸基であるとき、ジオールとなるが、シーリング材の可塑性を効率よく発現するためには1,2ジオール、1,3ジオールのように水酸基が近接するジオールであることが好ましい。水酸基間の炭素鎖長が長いと、硬化時に架橋剤として働き、可塑剤としての効果が発揮され難くなる。
【0019】
本発明の分岐アルキルアルコールは、イソブテン又は2−メチル−1−ペンテンを塩化アルミニウム等のカチオン重合触媒により重合させて得られる単独重合体、あるいは他のオレフィンとの共重合体を原料として使用して、その末端二重結合を酸化して製造することができる。酸化する方法としては、ジオールを合成する場合は公知の方法、例えば、強酸中有機過酸で酸化する方法、過酸化水素を無機系酸化触媒と反応する方法、過マンガン酸カリウムや四酸化オスミウムによる酸化反応が挙げられる。一方、モノオールを合成する場合は公知の例えば酸素又はオゾンにより酸化後還元する方法、ハイドロボレーション後過酸化水素で酸化する方法、硫酸等酸存在下水和する方法によって得ることができる。
【0020】
分岐アルキルアルコールの添加量は分子量によっても大きく異なるが、シーリング材全配合組成物100重量部に対して3〜40重量%使用することができ、好ましくは10〜50重量%の範囲で用いるのが好ましい。なお、3重量%未満では分岐アルキルアルコールによる可塑化効果が得られず、40重量%を超えると硬化したシーリング材に十分な強度が得られないため使用に適さない。
【0021】
分岐アルキルアルコールを配合するに際しては直接に添加混合してもよいが、ポリオールあるいはウレタンプレポリマーとの相溶性を向上させる目的で界面活性剤等の相溶化剤を併用して用いることもできる。界面活性剤は、種々のものを用いることができるが、ノニオン系界面活性剤が特に好ましい。可塑剤使用量によって効果も異なるが、可塑剤に対して0.1〜2重量%添加することで相溶性の向上が期待できる。混合に際しては液状配合物を最初に投入し充分攪拌混合することが大切であり、ホモジナイザー、ディスパーザー等の高い粘性物にも対応できる機械を用いて混合してもよい。
【0022】
本発明に用いる充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、酸化チタン、タルク、カーボンブラック等が挙げられる。なかでも、硬化物の物性改良、増量、配合物のタレ防止、配合物の着色等を目的として炭酸カルシウムが好ましく使用される。充填材は、シーリング材全配合組成物100重量部に対して20〜60重量%の範囲で配合され、好ましくは30〜50重量%である。この場合、20重量%未満ではシーリング材として硬化物の硬度の低下、原料配合物の作業性が悪くなり、機械的強度や接着性が得られず、60重量%を超えると接着性や原料配合物の作業性が悪くなるため使用に適さない。
【0023】
本発明のウレタン系シーリング材を硬化させるために触媒が配合されるが、具体的にはナフテン酸錫、ナフテン酸鉛、オクチル酸鉛、ジラウリル酸ジブチル錫、ジブチル錫フタレート等が挙げられる。触媒の添加量は特に限定されるものではないが、ウレタン樹脂成分100重量部に対して0.1〜5重量%であれば作業時間を確保しつつ良好な物性と作業性が得られる。その他、配合剤として、紫外線や酸化による劣化を防止するためヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系等の老化防止剤、シーリング材の発泡を防ぐオルトケイ酸エステル、無水石膏等の発泡抑制剤、オルガノシラン系の接着付与剤、配合物の流動性を調整する水添ひまし油、有機ベントナイト、超微粒子シリカ等の増粘剤、アエロジル等のタレ防止剤等を使用することもできる。
【0024】
本発明のウレタン系シーリング材において、1成分タイプのウレタン系シーリング材は使用時に反応に寄与するウレタンプレポリマーを充填剤、可塑剤その他の添加剤の混合物に添加して用いる。また、ポリウレタン系シーリング材は、製造後、保存して用いることもできる。2成分系タイプのウレタン系シーリング材はウレタンプレポリマーとポリプロピレングリコール系ポリオール、充填剤、触媒、可塑剤その他添加剤を含んだ成分を別々に調製し使用時に混合して用いる。
【0025】
本発明の低汚染性ウレタン系シーリング材は、前記原料を3本ロール、ニーダー、ミキサーなどの混練機を用いて混合することができ、混合時必要に応じて脱泡、加熱等の処理しながら混合することができる。
【0026】
本発明のウレタン系シーリング材の硬化前は、1成分タイプのウレタン系シーリング材、2成分タイプのウレタン系シーリング材、いずれの場合も0〜40℃程度で取り扱うことができるが、低温になると粘度が上昇し、シーリング材の押し出し性が低下するため20℃以上の温度が好ましく、高温になると硬化速度が速くなり作業性が低下するので35℃以下の温度で取り扱うことが好ましい。シーリング材の硬化に要する時間は、温度、湿度によっても異なるが、−5〜40℃で5〜30日である。硬化後の使用温度範囲は−20〜70℃である。
【0027】
本発明のウレタン系シーリング材による施工は、工法、部位、構成材によって異なってくるが、カーテンウォール、各種外装パネル、住宅外壁、コンクリート壁、屋根、屋上等で、ガラス、金属、プラスチック等の各種材質のシーリングに対応することができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0029】
製造例1(分岐アルキルジオールの製造)
攪拌機、還流冷却器、温度計を備えた500mlの反応器にイソブテンオリゴマー(重合度4、炭素数1以上の分岐鎖平均8個、ヨウ素価72、構成モノマー;イソブチレン)50gを仕込み、激しく攪拌しながら、予め調製した過酢酸100gを20℃以下で1時間で添加する。次に硫酸を全量に対し1%加え、更に2時間熟成した後、60℃まで昇温して10時間反応を行なう。反応後、直ちに40℃まで冷却し、得られた混合液から下層の酢酸水溶液層を除去した後、更に硫酸1%水溶液100gを添加し、95℃で10時間反応を行った。反応後、直ちに60℃まで冷却し水洗、中和洗浄後により下層の硫酸水溶液層を除去する。次に減圧蒸留により残存水分を除去する。得られた反応物に苛性ソーダ40%水溶液25gを添加し、90℃まで昇温して5時間反応を行なった。反応後、中和水洗、脱水処理を行ない、44gの分岐アルキルジオールを得た。
なお、合成した試料を、IR分析すると3480cm−1に−OH基の特性吸収が確認できた。また、1H−NMR分析からは原料オリゴマー中の残存二重結合による4.5〜6.6ppmの吸収が反応により消失しているのが確認された。
【0030】
製造例2(分岐アルキルモノアルコールの製造)
製造例1と同様に反応器にイソブテンオリゴマー(重合度4、炭素数1以上の分岐鎖平均8個、ヨウ素価72、構成モノマー;イソブチレン)50gと40%硫酸水溶液50gを仕込み、室温で12時間反応させた。反応液は、氷水で希釈し、苛性ソーダ水溶液で中和した後、蒸留精製した(収率82%、75〜85℃/533Pa)。
なお、合成した試料を、IR分析すると、3510cm−1に−OH基の特性吸収が確認できた。また、1H−NMR分析からは原料オリゴマー中の残存二重結合による4.5〜6.6ppmの吸収が反応により消失しているのが確認された。
【0031】
実施例1
(1)シーリング材の調製
表1に示す配合で、製造例1、2で製造した分岐アルキルアルコールに炭酸カルシウム(充填剤)及びアエロジル(タレ防止剤)を徐々に添加し、混練機にて室温で約1時間練り込みを行った。その後ウレタンプレポリマーを添加した。気泡の混入に注意しながら均一に混合し、室温以下1333Pa(10mmHg)で減圧脱気した。
製造したシーリング材は、水分との接触を避けたとき、40℃で、30日間放置しても、相分離せず安定であった。
(2)硬化
調製したシーリング材を気泡の混入に注意しながら4×10×80(mm)の金型に仕込み、20℃で96時間かけて硬化した。
【0032】
実施例2〜5
(1)硬化剤の調製
表1に示す配合で、ポリプロピレングリコール系ポリオール、製造例1、2で製造した分岐アルキルアルコールと、触媒(DBTL;ジラウリル酸ジブチルスズ)を表1に示す配合で混合したものに炭酸カルシウム及びアエロジルを徐々に添加し、混練機にて室温で約1時間練り込みを行った。
(2)シーリング材の調製
上述の硬化剤にウレタンプレポリマー(DICSEAL−230、大日本インキ化学工業(株)製、NCO重量%=2.5)を加え、気泡の混入に注意しながら均一に混合し、室温以下1333Pa(10mmHg)で減圧脱気した。
(3)硬化
調製したシーリング材を気泡の混入に注意しながら4×10×80(mm)の金型に仕込み、20℃で96時間かけて硬化した。
【0033】
比較例1〜3
比較例1、2は可塑剤として各々ジオクチルフタレート(DOP)、ポリブテン(ポリブテン0N、日本油脂(株)製)を用い、比較例は3は可塑剤無添加で行い、その他は実施例2〜5と同様な方法で実施した。
【0034】
結果を表1に示す。ここで、硬化後のシード材の評価は以下のようにおこなった。
(性能評価試験)
(1)引張強度
4×10×80(mm)の形状のサンプルを用い、ロードセル100kg、引張速度500mm/min、チャック間隔40mm、20℃の条件で最大荷重、破断伸びについて測定した。
(2)表面硬度
JIS K 6301に準じて、得られた硬化物についてJA型硬度計にて評価した。
(3)表面のタック性
得られた硬化物について表面のタック性について、ベタ付きのあるもの(×)、ないもの(○)に分類した。
(4)塗膜面への影響
金属板上のアクリル塗膜の上にシーリング材を施工し、実施例の条件でこれを硬化させた。20日間放置し、アクリル塗膜面の変化を調べた。変化の無いもの(○)、塗膜の軟化や溶融剥れが見られるもの(×)に分類した。
(5)抽出試験
得られた硬化物をヘキサン中に20℃、10分間に浸漬し、その後硬化物をヘキサン中から取り出した。そのヘキサン抽出液を乾燥させ、抽出分の重量変化を測定した。
【0035】
【表1】
【0036】
表中、略語を以下に示す。
(ウレタンプレポリマー)
PU(1):DICSEAL−230(大日本インキ化学工業(株)製、NCO重量%=2.5)、
PU(2):OC−8BX(日本ポリウレタン工業(株)製、NCO重量%=1.7)、
(ポリオール)
PPG:ポリプロピレングリコール(PANDEX OD−X−825、大日本インキ化学工業(株)製)、
PPT:ポリプロピレントリオール(HIPROX TG300、大日本インキ化学工業(株)製)、
(可塑剤)
DOP:ジオクチルフタレート、
PB−O:ポリブテン(ポリブテン0N、日本油脂(株)製)、
(充填剤)
炭酸カルシウム(ライトンBY、備北粉化工業(株)製)、
(タレ防止剤)
アエロジル(AEROSIL50、日本アエロジル(株)製)、
(触媒)
DBTL: ジラウリル酸ジブチルスズ(和光純薬工業(株)製 )。
【0037】
実施例1〜5のウレタン系シーリング材は表面のベタ付きがなく、溶剤による溶出性もほとんどないものであった。一方、比較例1のDOP使用のウレタン系シーリング材では表面のベタ付き、溶剤による溶出性が高く、比較例2のポリブテン使用では溶剤による溶出が若干見られる。比較例3の可塑剤がない場合は、破断伸びが低く柔らかさを備えていない。
【0038】
【発明の効果】
本発明のウレタン系シーリング材は、目地部の汚染や塗膜への汚染性が低く、しかも原料配合物からの溶出がない特徴を有している。さらに表面のベタ付きが少なく、吸塵汚染性の低いウレタン系シーリング材を提供することができる。そして、本発明のシーリング材は、保存安定性がよく、長期間、保存することができる。
Claims (3)
- ウレタンプレポリマー20〜60重量%、式(1)で示される分岐アルキルアルコール3〜40重量%、充填剤20〜60重量%を配合してなるウレタン系シーリング材。
X−R−OH …(1)
(ここで、Xは水素原子、水酸基、アルコキシ基、エステル基を示し、Rはイソブチレン又は2−メチル−1−ペンテンを構成単位とした炭素数12〜200の分岐炭化水素鎖を示す。) - ウレタンプレポリマーとポリプロピレングリコール系ポリオールとの組成物20〜60重量%、式(1)で示される分岐アルキルアルコール3〜40重量%、充填剤25〜60重量%を配合してなるウレタン系シーリング材。
X−R−OH …(1)
(ここで、Xは水素原子、水酸基、アルコキシ基、エステル基を示し、Rはイソブチレン又は2−メチル−1−ペンテンを構成単位とした炭素数12〜200の分岐炭化水素鎖を示す。) - 請求項1又は2に記載されたウレタン系シーリング材の硬化物。
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