JP2004066708A - 凹版オフセット印刷用凹版の補修方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の補修方法は、凹版オフセット印刷用凹版(1)の印刷面(1a)に生じた欠損部(3)に液状硬化性組成物(4)を埋め込み、硬化させてこの凹版(1)を補修する。例えば、この凹版(1)は導電性インキを用いた印刷に用いられる。液状硬化性組成物の粘度は1〜1000ポイズである。液状硬化性組成物は液状紫外線硬化型硬化性組成物である。凹版の印刷面(1a)に対する、欠損部に埋め込まれた液状硬化性組成物(4)の高さ(h)は−5μm以上+0.5μm以下である。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は凹版オフセット印刷用凹版の補修方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
凹版オフセット印刷方法は、凹版の印刷面に刻まれた溝にインキを埋め込み、このインキをブランケットに転写した後、ブランケットに転写されたインキを更に印刷対象物に転写することで、印刷対象物に印刷を施す方法である。かかる印刷方法に用いられる凹版は、例えば表面が平滑なガラス板などの表面に溝を刻む方法で製造されている。
【0003】
かかる凹版オフセット印刷用凹版を用いて印刷を行うと、凹版の印刷面に欠損部が生ずることがある。かかる欠損部は、インキとして導電性インキを用いた場合に生じ易い。欠損部が生ずると、この欠損部にもインキが埋め込まれ、印刷対象物に転写されてしまうことがある。このため、欠損部が生じた凹版は廃棄処分されているのが現状である。
【0004】
しかし、かかる欠損部が生じた凹版を補修して凹版オフセット印刷に再使用することができれば、省資源となり、また経済的にも有利である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者は、凹版オフセット印刷用凹版の印刷面に欠損部が生じても、この欠損部を容易に補修できる方法を開発するべく鋭意検討した結果、凹版の欠損部に液状硬化性組成物を埋め込み、硬化させることで、欠損部を補修して、満足に再使用できることを見出し、本発明に至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、凹版オフセット印刷用凹版(1)の印刷面(1a)に生じた欠損部(3)を補修する方法であり、前記欠損部(3)に液状硬化性組成物(4)を埋め込み、硬化させることを特徴とする前記凹版の補修方法を提供するものである。本発明の補修方法で補修され得る凹版オフセット印刷用凹版(1)の一例を図1に示す。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の補修方法で補修される凹版オフセット印刷用凹版(1)は、図1に示すように、印刷面(1a)に溝(2)が刻まれたものである。溝の幅は10μm以上、80μm以下、好ましくは40μm以下である。溝の深さは通常2μm以上、好ましくは3μm以上であり、通常30μm以下、好ましくは20μm以下である。凹版(1)は一方の面が印刷面(1a)であり、かかる溝(2)は、この印刷面(1a)に刻まれている。
【0008】
かかる凹版(1)は、インキとして導電性インキを用いて凹版オフセット印刷に用いられると、凹版(1)の印刷面(1a)に欠損部(3)が生じ易い。導電性インキは、例えば金属粒子などの導電性の粒子を含むインキである。金属粒子としては、例えば銀粒子、金粒子、銅粒子、ニッケル粒子などが挙げられる。導電性インキは、かかる導電性粒子のほかに、黒色とするために金属酸化物粒子、カーボン粒子などを含むこともある。金属酸化物粒子としては、例えば酸化鉄粒子、酸化チタン粒子などが挙げられる。
【0009】
本発明の補修方法は、かかる凹版(1)の印刷面(1a)の欠損部(3)を補修する方法である。本発明の補修方法で補修できる欠損部(3)は、面積が概ね10μm×10μm以上のものであり、深さは3μm以上30μm以下のものである。かかる欠損部(3)は、多くの場合、図2に示すように幅50μm〜200μmで長さ2mm〜30cmの領域に亙って連続的に多数連なって生ずる。
【0010】
凹版の印刷面(1a)は予め洗浄されていることが好ましい。洗浄することなく液状硬化性組成物(4)を埋め込もうとすると、凹版の印刷面(1a)に付着したインキの残渣、汚れなどによって、液状硬化性組成物(4)が十分に埋め込まれなかったり、欠損部(3)に埋め込まれた硬化性組成物(4)が硬化した後の硬化物が欠損部(3)から剥離するおそれがある。洗浄は、例えば印刷面(1a)に残ったインキなどを不織布などで拭取ってもよい。拭取った後、更に有機溶剤で洗浄してもよい。また有機物の汚れなどは、紫外線を照射するか、またはコロナ放電処理するなどして分解してもよい。有機溶剤で洗浄する場合には、有機溶剤に浸漬した状態で、超音波を照射する超音波洗浄を行なってもよい。好ましくは有機溶剤により洗浄した後、紫外線を照射する。有機溶剤としては、エタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル類などが挙げられる。
【0011】
本発明の方法では、かかる欠損部(3)に液状硬化性組成物(4)を埋め込む。液状硬化性組成物(4)は、液状で硬化性の組成物であって、紫外線を照射されることで硬化する液状の硬化性組成物である液状紫外線硬化性組成物であってもよいし、加熱されることで硬化する液状の硬化性組成物である液状熱硬化性組成物であってもよい。欠損部に埋め込む作業が容易である点で、液状紫外線硬化性組成物が好ましく用いられる。
【0012】
液状紫外線硬化性組成物としては、例えば重合性化合物および重合開始剤からなる組成物が挙げられ、ラジカル重合反応によって硬化するラジカル重合型液状紫外線硬化性組成物であってもよいし、カチオン重合反応によって硬化するカチオン重合型液状紫外線硬化性組成物であってもよい。
【0013】
ラジカル重合型液状紫外線硬化性組成物は、ラジカル重合性化合物およびラジカル重合開始剤を含む組成物であり、液状のものである。
【0014】
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合反応によって重合し得る重合性化合物であって、例えばメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物、1−ビニルー2−ピロリドンなどが挙げられる。
【0015】
ラジカル重合開始剤は、紫外線を照射されることでラジカルを発生し得る化合物であって、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1(4−メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンゾインイソブチルエーテル、2,4−ジエチルチオキサントンなどが挙げられる。かかるラジカル重合開始剤の使用量は、ラジカル重合性化合物100質量部あたり通常は1質量部以上10質量部以下である。
【0016】
ラジカル重合型液状紫外線硬化性組成物は、紫外線を照射されることでラジカル重合開始剤から生ずるラジカルによって、ラジカル重合性化合物が重合して、硬化する。
【0017】
カチオン重合型液状紫外線硬化性組成物は、カチオン重合性化合物およびカチオン重合開始剤を含む組成物であり、液状のものである。
【0018】
カチオン重合性化合物は、カチオン重合反応によって重合し得る重合性化合物であって、例えば3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス(((3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ)メチル)ベンゼン、3−エチル−3(フェノキシメチル)オキセタン、ジ(1−エチル(3−オキセタニル))メチルエーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−((3−(トリエチキシシリル)プロポキシ)メチル)オキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタンなどのオキセタン化合物、
【0019】
2−エチルヘキシルジグリコールグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エポキシ化3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン、エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトンなどのエポキシ化合物などが挙げられる。オキセタン化合物とエポキシ化合物とを併用すると高速硬化が可能となり好ましい。
【0020】
カチオン重合開始剤は、紫外線を照射されることでカチオンを発生し得る化合物であって、例えばトリアリルスルフォニウム、ヘキサフルオロフォスフェート塩混合物、6フッ化リン系芳香族スルホウニウム塩、6フッ化アンチモン系芳香族スルホウニウム塩、トリアリルスルフォニウム、ヘキサフルオロアンチモンの混合物、4−イソプロピル−4’−メチル−ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロ−フェニル)ボレートなどが挙げられる。かかるカチオン重合開始剤の使用量は、カチオン重合性化合物100質量部あたり通常1質量部以上10質量部以下である。
【0021】
カチオン重合型液状紫外線硬化性組成物は、紫外線を照射されることでカチオン重合開始剤から生ずるカチオンによって、カチオン重合性化合物が重合して、硬化する。
【0022】
液状硬化性組成物は、添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えばシランカップリング剤、シロキサンオリゴマーなどの密着性向上剤などが挙げられる。
【0023】
液状硬化性化合物は揮発性の溶剤で希釈されていてもよいが、欠損部に埋め込まれた後に、溶剤が揮発することによる体積変化を小さくするために、溶剤は使用しないか、使用しても少量であることが好ましい。
【0024】
液状硬化性組成物を欠損部に埋め込むには、例えば図3に示すように、ノズル(5)の先端(51)から液状硬化性組成物(4)を吐出して、欠損部(3)に液状硬化性組成物を注液すればよい。注液は、例えば1回あたり通常250μm3以上好ましくは2000μm3以上、通常3000000μm3以下、好ましくは300000μm3以下程度の液状硬化性組成物を欠損部に注液することで行なわれる。1回の注液で欠損部を埋め込めない場合には、さらに注液を繰り返せばよい。
【0025】
かかる液量の液状硬化性組成物を吐出するには、例えば液状硬化性組成物(4)に5m秒以上5秒以下の間、3kPa以上100kPa以下の圧力を加えて、先端(51)の内径が通常20μm以上100μm以下、好ましくは50μm以下のノズル(5)に供給すればよい。上記圧力で上記時間の間液状硬化性組成物を上記ノズルに供給することで、上記する液量の液状硬化性組成物をノズルの先端から吐出することができる。ノズルの先端の内径(51)が20μm未満ではノズルの製作が容易ではなく、また100μmを超えると1回に吐出される液状硬化性組成物の液量が多くなって、欠損部に液状硬化性組成物を埋め込む作業が困難となる傾向にある。上記する圧力および時間で液状硬化性組成物をノズルに供給するための装置としては、例えば武蔵エンジニアリング社から「SuperΣx−V2」として市販されているディスペンサー装置が挙げられる。
【0026】
図4に示すように、欠損部(3)に液状硬化性組成物(4)を埋め込むと、埋め込まれた液状硬化性組成物(4)の容積によっては、埋め込まれた液状硬化性組成物(4)と凹版の印刷面(1a)との間に段差ができるが、欠損部(3)に埋め込まれた液状硬化性組成物(4)の高さ(h)は、凹版の印刷面(1a)に対して−5μm以上、更には−2μm以上であり、+0.5μm以下、更には0以下であることが好ましい。−5μm未満であると、補修後の欠損部にもインキが埋め込まれてしまい、このインキがローラーに転写されるおそれがある。+0.5μmを超えると、凹版オフセット印刷用凹版(1)として再び使用した際に、液状硬化性組成物の硬化物が凹版から剥離するおそれがある。ここで、埋め込まれた液状硬化性組成物の高さ(h)は、凹版(1)の外方を正とし、凹版の内方を負として測定された高さであって、高さ(h)が正であることは、埋め込まれた液状硬化性組成物(4)が凹版の印刷面(1a)から上に飛び出していることを示し(図4(a))、負であることは、窪んでいることを示し(図4(b))、0であることは埋め込まれた硬化性組成物(4)の高さが凹版の表面(1a)と一致していることを示す。
【0027】
液状硬化性組成物(4)を埋め込んだ後に、この欠損部(3)に埋め込まれた液状硬化性組成物(4)を硬化させる。硬化させるには、例えば液状硬化性組成物(4)として液状紫外線硬化型硬化性組成物を用いた場合には、紫外線を照射して硬化させればよい。紫外線は、例えば高圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどを用いて照射される。紫外線は凹版の全面に照射してもよいが、凹版のうちの液状紫外線硬化型硬化性組成物を埋め込んだ領域だけに紫外線を照射すれば十分である。紫外線を照射した後、さらに加熱してもよい。
【0028】
また、液状熱硬化型硬化性組成物を用いた場合には、加熱して硬化させればよい。凹版を部分的に加熱すると、凹版の材質によっては凹版に歪みが生じて寸法変化を生じたり、特に凹版がガラス製であると熱膨張によって凹版が割れるおそれもあるので、凹版の全体を均一に加熱することが好ましい。
【0029】
かくして欠損部(3)に埋め込まれた液状硬化性組成物(4)を硬化させることで、欠損部(3)は、埋め込まれた液状硬化性組成物(4)が硬化した硬化物で埋めらた状態となって、凹版(1)が補修される。
【0030】
欠損部(3)が溝(2)の部分やその近傍にある場合には、図1のAで示す部分のように、溝(2)にも液状硬化性組成物(4)が埋め込まれ、ここで硬化する場合もあるが、かかる場合には、例えば先端が鋭利な針を用いて、溝を埋めている硬化物を削り出して除去すればよい。針を用いる場合、その先端の径は溝(2)の幅よりも小さいことが好ましい。針の材質は、凹版(1)の材質よりも硬度の小さいものが好ましい。また、溝(2)を埋めている硬化物にレーザー光を照射して、この硬化物を除去してもよい。
【0031】
かくして補修された後の凹版は、欠損部のない凹版と同様に凹版オフセット印刷法による印刷に用いることができる。
【0032】
【発明の効果】
本発明の補修方法によれば、凹版オフセット印刷用凹版の印刷面に欠損部が生じても、容易に補修して、凹版オフセット印刷に再使用することができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例によって限定されるものではない。
【0034】
実施例1
〔補修前の印刷状態の確認〕
縦813mm、横1060mm、厚み5mmのガラス板の表面(1a)に、幅約15μmで深さ約5μmの溝(2)が1インチ(2.54cm)当たり110本の間隔(約230μm間隔)で格子状に刻まれた凹版オフセット印刷用凹版(1)を準備した(図1)。この凹版(1)は、凹版オフセット印刷法による印刷に用いられたもので、溝(2)が刻まれた側の表面(1a)には幅約50〜200μm、長さ約5mmに亙って、大きさ100μm〜250μm程度で深さ5〜30μm程度の欠損部(3)が多数、生じたものである。この表面(1a)の光学顕微鏡写真を図2に示す。
【0035】
この凹版(1)を用いて、縦650mm、横1000mm、厚み100μmのポリエステルフィルム(印刷対象物)に、導電性インキ〔銀粒子およびニッケル粒子を含む印刷インキ〕を用いた凹版オフセット印刷による印刷を行なったところ、印刷後のポリエステルフィルムには、欠損部(3)に対応する箇所にも導電性インキが転写されていた。この印刷後のポリエステルフィルムの光学顕微鏡写真を図5に示す。
【0036】
〔液状紫外線硬化性組成物の調製〕
オキセタニルシルセスキオキサン〔「アロンオキセタンOX−SQ」として東亞合成(株)から販売されている化合物〕20重量部およびジ(1−エチル(3−オキセタニル))メチルエーテル〔「アロンオキセタンOXT−221」として東亞合成(株)から販売されている化合物〕40重量部をホモジナイザーにて混合し、さらにエポキシ化3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン〔「エポリードGT301」としてダイセル化学工業(株)から販売されている化合物〕25重量部、シランカップリング剤〔β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(「KBM303」として信越化学工業(株)から販売されている化合物)〕10重量部、カチオン重合開始剤〔4−イソプロピル−4’−メチル−ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロ−フェニル)ボレート(「ロードジルフォトイニシエーター2074」としてローディアジャパン(株)から販売されている化合物)〕5重量部を加え、マグネチックスターラーにて攪拌して、液状紫外線硬化性組成物(A)を得た。
【0037】
〔凹版の補修〕
印刷に用いた後の凹版(1)の表面(1a)をエタノールで洗浄し、乾燥させた。次いで、ディスペンサー装置(武蔵エンジニアリング社、「SuperΣx−V2」)を用いて、先端(51)の内径が25μmのノズル(5)から、圧力3kPa、1回あたりの吐出時間5m秒で、上記で得た液状紫外線硬化性組成物(A)を吐出して、凹版(1)の欠損部(3)に液状紫外線硬化性組成物(A)を埋め込んだ。液状紫外線硬化性組成物(A)の吐出は1回当り概ね33000〜260000μm3程度の吐出量であり、この吐出量で数回吐出して埋め込んだ。液状紫外線硬化性組成物(A)を埋め込んだ欠損部(3)を点線で囲んで、図2の光学顕微鏡写真に示す。埋め込まれた液状紫外線硬化性組成物(A)の高さは、凹版の表面(1a)に対して−0.5μm〜+0.5μmの範囲であった。なお、液状紫外線硬化性組成物(A)は図2で点線で囲んだ部分を越えて拡がった。
【0038】
次いで、紫外線照射装置〔「ミニキュアUV光源装置 SHG−200」ウシオユーテック(株)製〕を用いて紫外線を照射して、埋め込まれた液状紫外線硬化性組成物(A)を硬化させた。その後、先端径約10μmのけがき針で、図2で点線で囲んだ部分を超えて拡がって、その超えた部分の溝(2)に埋め込まれた液状紫外線硬化性組成物(A)の硬化物を削り落として除去した。硬化物を除去した後の欠損部(3)の光学顕微鏡写真を図6に示す。
【0039】
〔補修後の凹版による印刷〕
凹版(1)として、上記で補修した後の凹版(1)を用いる以外は上記と同様にしてポリエステルフィルムに印刷したところ、ポリエステルフィルムには凹版に刻まれた溝に対応するパターンで導電性インキが転写され、また凹版の欠損部に対応する箇所への導電性インキの転写は認められなかった。この印刷後のポリエステルフィルムの光学顕微鏡写真を図7に示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】凹版の一例を示す模式的断面図である。
【図2】実施例1で準備した凹版の表面の顕微鏡写真である。
【図3】ノズルから液状硬化性組成物を吐出して欠損部に供給する状態を示す模式図である。
【図4】欠損部に埋め込まれた液状硬化性組成物の高さと、凹版の表面との関係を示す模式図である。
【図5】実施例1で補修する前の凹版を用いて印刷されたポリエステルフィルムの表面の顕微鏡写真である。
【図6】実施例1で補修した後の凹版の表面の顕微鏡写真である。
【図7】実施例1で補修した後の凹版を用いて印刷されたポリエステルフィルムの表面の顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1:凹版 1a:凹版の表面
2:溝 3:欠損部
4:液状硬化性組成物 5:ノズル 51:ノズルの先端
h:欠損部に埋め込まれた液状硬化性組成物の凹版表面に対する高さ
Claims (4)
- 凹版オフセット印刷用凹版の印刷面に生じた欠損部を補修する方法であり、前記欠損部に液状硬化性組成物を埋め込み、硬化させることを特徴とする前記凹版の補修方法。
- 前記凹版が、導電性インキを用いた凹版オフセット印刷に用いられる凹版である請求項1に記載の補修方法。
- 液状硬化性組成物が液状紫外線硬化性組成物である請求項1に記載の補修方法。
- 欠損部に埋め込まれた液状硬化性組成物の高さが、凹版の印刷面に対して−5μm以上+0.5μm以下である請求項1に記載の補修方法。
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