JP2004064863A - モータの駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】出力トランジスタのソース・ゲート間に設けた電圧クランプ回路により発生するクランプ電流を最小限に抑えて消費電力の低減を図り、半導体集積回路に適したモータの駆動装置を得る。
【解決手段】モータに駆動電流を流す第1の出力トランジスタのソースとゲート間に設けられ、第1および第2の出力トランジスタの両者のオフ時にソースに発生する高電圧を緩和する電圧クランプ回路とグラウンド間に接続され、第1の駆動パルスに応答してクランプ電流を所定の微小電流で処理するよう動作する定電流回路を備える。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は主に半導体集積回路として構成され、三相モータを駆動するモータの駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路内に構成される三相モータ駆動用の高電圧・高電力容量出力段は、ステータコイルに電流供給を行う出力トランジスタにNch型MOSFET(Metal−Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:ここでは、MOSFETを単に「トランジスタ」とする。)を採用する場合が多い。これは、Pch型トランジスタがNch型トランジスタに比べ単位面積当たりのオン抵抗が大きく、コスト面で不利となるからである。
図3は従来のモータの駆動装置の構成を示す回路図である。図において、31u,31v,31wは三相モータのY型接続されたステータコイル、1は直流電源、2は高電圧電源、3はグラウンド、4,5はステータコイルにモータの駆動電流を流すための出力用のNch型トランジスタ(出力トランジスタ)、6,7は出力トランジスタ4を駆動するPch型トランジスタとNch型トランジスタである。8,9,10はインバータ、21,22は例えばツェナーダイオードからなる電圧クランプ回路である。
【0003】
Pch型トランジスタ6は、ドレインが高電圧電源2に接続され、ソースが出力トランジスタ4のゲートに接続され、ゲートが出力トランジスタ4を駆動するための駆動パルスAを伝達するインバータ8の出力端に接続されている。Nch型トランジスタ7は、ドレインが出力トランジスタ4のゲートに接続され、ソースがグラウンド3に接続され、ゲートがPch型トランジスタ6同様に駆動パルスAに接続されている。
出力トランジスタ4は、ドレインが直流電源1に接続され、ソースがステータコイル31wの端部Wに接続されている。他方の出力トランジスタ5は、ドレインがステータコイル31wの端部Wに接続され、ソースがグラウンド3に接続され、ソースがインバータ9の出力端に接続されている。インバータ9は、もう一つのインバータ10と直列に接続されており、出力トランジスタ5をオン・オフ制御するための駆動パルスBを伝達する。また、出力トランジスタ4のゲート・ソース間には、互いに相反する向きに直列に接続されたツェナーダイオード21,22からなる電圧クランプ回路が接続されている。この電圧クランプ回路は出力トランジスタ4の正負のゲート過電圧保護を行うものである。
以上説明した構成と同じ駆動装置が他のステータコイル31u,31vの各端子U,Vに対して設けられている。
【0004】
次に動作について説明する。
図4はインバータ8,10に入力される駆動パルスのタイムチャートであり、図5は回路動作を示す説明図である。
駆動パルスAとBは互いに異なるタイミングで供給される。駆動パルスAが‘H’の時、インバータ8によりゲートが‘L’となるため、Pch型トランジスタ6はオンし、Nch型トランジスタ7はオフとなる。したがって、出力トランジスタ4はゲートが‘H’となってオンし、負荷となるモータのステータコイル31w,31vに駆動電流を供給する。このとき駆動パルスBは‘L’なので出力トランジスタ5はゲートが‘L’であるためオフとなっている。この動作は図5(a)に示されるようになる。
一方、駆動パルスBが‘H’のとき、インバータ9,10により出力トランジスタ5はゲートが‘H’となるためオンする。このときステータコイル31uの端部Uに繋がれた出力段の回路動作により直流電源1が接続される。このとき、駆動パルスAは‘L’であり、トランジスタ6,7のゲートは‘H’となっており、Pch型トランジスタ6はオフ、Nch型トランジスタ7はオンとなる。したがって、出力トランジスタ4はゲートが‘L’となるのでオフになる。このことにより、ステータコイル31u,31wを介して流れる駆動電流を出力トランジスタ5が引き込みグラウンド3に流す。この動作は図5(b)に示される。
【0005】
このように、高電圧を扱う出力トランジスタ4,5のゲート・ソース間の耐圧以上の電源電圧を電力供給源とする回路では、ゲート破壊に対する保護が必要となる。そのため、モータへ駆動電流を供給する出力トランジスタ4のゲート・ソース間にツェナーダイオード21,22を接続している。一般に三相モータを駆動する際、図5(a)、(b)に示すように出力トランジスタ4,5がアクティブとなる期間以外では、他の2つの相と電流のやりとりを行わない期間が存在する。このとき、ステータコイル31wから出力段側をみたインピーダンスは高インピーダンスとなる。図5(a)、(b)で示した動作後に出力トランジスタ4,5がオフになると、ステータコイル31wには電荷が残留し、端部Wが高電位となる。そこで、この休止期間において、ツェナーダイオード21,22の電圧クランプ回路が動作し、Nch型トランジスタ7を経由して残留電荷を取り除くためにクランプ電流をグラウンド3に流す。この動作は図5(c)に示される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のモータの駆動装置は以上のように構成されているので、次のような問題があった。
前述の高インピーダンス時の電圧は、一般的に直流電源1の電源電圧の半分となるが、電源電圧の値が大きくなればこのクランプ電流も大きくなり、そのことによる電力損失も無視できなくなる。近年、半導体集積回路に求められる要件の一つとして、低消費電力化が挙げられるが、上記クランプ電流の発生は低消費電力化への妨げとなっている。特に、高電圧系・高電力容量出力段を駆動させる場合、このクランプ電流による電力損失は無視できない。
【0007】
この発明は上記のような問題を解決するためになされたもので、クランプ電流を最小限に抑えて消費電力の低減を図り、半導体集積回路に適したモータの駆動装置を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るモータの駆動装置は、オン時にモータのステータコイルに駆動電流を流す第1の出力トランジスタと、オン時にステータコイルから駆動電流をグラウンドに引き込む第2の出力トランジスタと、第1の駆動パルスに応答して第1の出力トランジスタをオン・オフ制御する第1のトランジスタスイッチと、第1の駆動パルスと異なるタイミングの第2の駆動パルスに応答して第1の出力トランジスタの他方をオン・オフ制御する回路と、第1の出力トランジスタのソースとゲート間に設けられ第1および第2の出力トランジスタの両者のオフ時にソースに発生する高電圧を緩和する電圧クランプ回路と、電圧クランプ回路とグラウンド間に接続され、第1の駆動パルスに応答してクランプ電流を所定の微小電流で処理するよう動作する定電流回路を備えたものである。
【0009】
この発明に係るモータの駆動装置は、第1の駆動パルスの立ち下がり時と第2の駆動パルスの立ち上り時に同期し、かつ第1および第2の駆動パルスよりも十分短い期間を持つ第3の駆動パルスに応答してオンし、オフ時の第1の出力トランジスタのゲートを実質的にグラウンドに接続する第2のトランジスタスイッチを備えたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるモータの駆動装置の構成を示す回路図である。図において、図3に相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明を省略する。40は出力トランジスタ4に対して設けられた回路で、この中の回路配置が従来の図3と下記の点で異なる。
Nch型トランジスタ(第2のトランジスタスイッチ)7のゲートには出力トランジスタ(第1の出力トランジスタ)4をオンさせるための駆動パルス(第3の駆動パルス)Cが与えられるようになっている。11は出力トランジスタ4のゲートとグラウンド3間に接続された定電流回路である。また、この定電流源11はPch型トランジスタ(第1のトランジスタスイッチ)6と逆相の関係でオン・オフが切り替えられるようインバータ8の出力信号によって制御される。
【0011】
次に、動作について説明するが、基本的な動作は図3の説明と同様であるので省略する。
駆動パルス(第1の駆動パルス)Aが‘H’のとき、Pch型トランジスタ6はオンとなり、出力トランジスタ4はオンとなるが、その間、定電流回路11はオフとなる。また、駆動パルスAが‘L’のとき、Pch型トランジスタ6はオフとなり、出力トランジスタ4もオフとなるが、その間、定電流回路11はオンとなって出力トランジスタ4のゲートに繋がれる。出力トランジスタ(第2の出力トランジスタ)5もオフの状態となって、ステータコイル31wから出力段をみたインピーダンスが高くなり、出力トランジスタ4のソース電位が高いと電圧クランプ回路が働いてNch型トランジスタ7を通してクランプ電流が流れる。このとき定電流回路11はそのクランプ電流を所定の微小電流に抑えるように動作する。定電流回路11としては、出力トランジスタ4のオフ状態、すなわちゲート電圧‘L’を維持させるの十分に微小な電流値を持つものが使用される。
【0012】
ここで、主に出力トランジスタ4のゲート容量とミラー効果の影響について考慮しなければならない。微小な電流値の定電流回路11のみでは、出力トランジスタ4の素早いオフ動作と、出力電圧が急峻に変化した時に出力トランジスタ4のオフ状態の保持が確保できない場合がある。そこで、所定のタイミングで駆動パルスCを与えてNch型トランジスタ7を働かせ、出力トランジスタ4のゲートをグラウンドの電位にするようにする。具体的には、図2に示す駆動パルス(第3の駆動パルス)Cを用いる。駆動パルスCは、駆動パルスAの立下り時t1と駆動パルスBの立ち上り時t2に発生し、これらのパルスA,Bよりも十分短い期間のパルス幅を持つ。換言すると、t1は出力トランジスタ4がオフした時点、t2は出力トランジスタ5がオンした時点である。また、この場合、定電流回路11との関係から、Nch型トランジスタ7としては、オン時のインピーダンスが十分低い値を持つことが要求される。
t2パルスの役割について述べる。駆動パルスBの立ち上りは、出力トランジスタ5の導通をもたらすが、これにより出力電位は急激に下降する。この時、Nch型の出力トランジスタ4のゲート電圧が取り残され、ソース・ゲート間電位Vgsが開く。そこで駆動パルスCのt2パルスをNch型トランジスタ7に与えてオンさせ、出力トランジスタ4のゲート電位を逸早く下降させ、出力トランジスタ4がオンするのを防ぐようにする。
【0013】
以上のように、この実施の形態1によれば、ツェナーダイオード21,22からなる電圧クランプ回路とグラウンド3間に接続され、駆動パルスAに応答してクランプ電流を所定の微小電流で処理するよう動作する定電流回路11を備えたので、クランプ電流を制限して消費電力を抑えることを可能とする効果が得られる。また、駆動パルスAの立ち下がり時と駆動パルスBの立ち上り時に同期し、かつこれらの駆動パルスよりも十分短い期間を持つ駆動パルスCに応答してNch型トランジスタ7をオンさせ、オフ時の出力トランジスタ4のゲートを実質的にグラウンドに接続するようにしており、このことによって、出力トランジスタ4の素早いオフ動作を実現し、出力電圧が急峻に変化した時に出力トランジスタ4のオフ状態を保持する効果が得られる。
【0014】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、オン時にモータのステータコイルに駆動電流を流す第1の出力トランジスタと、オン時にステータコイルから駆動電流をグラウンドに引き込む第2の出力トランジスタと、第1の駆動パルスに応答して第1の出力トランジスタをオン・オフ制御する第1のトランジスタスイッチと、第1の駆動パルスと異なるタイミングの第2の駆動パルスに応答して第1の出力トランジスタの他方をオン・オフ制御する回路と、第1の出力トランジスタのソースとゲート間に設けられ第1および第2の出力トランジスタの両者のオフ時にソースに発生する高電圧を緩和する電圧クランプ回路と、電圧クランプ回路とグラウンド間に接続され、第1の駆動パルスに応答してクランプ電流を所定の微小電流で処理するよう動作する定電流回路を備えるように構成したので、クランプ電流発生時に、その電流量を制限して消費電力を抑え、半導体集積回路に適したモータの駆動装置を実現する効果がある。
【0015】
この発明によれば、第1の駆動パルスの立ち下がり時と第2の駆動パルスの立ち上り時に同期し、かつ第1および第2の駆動パルスよりも十分短い期間を持つ第3の駆動パルスに応答してオンし、オフ時の第1の出力トランジスタのゲートを実質的にグラウンドに接続する第2のトランジスタスイッチを備えるように構成したので、出力トランジスタの素早いオフ動作を実現し、出力電圧が急峻に変化した時に出力トランジスタのオフ状態を保持することができる効果がある。
なお、この発明は、実施の形態1で示したトランジスタの回路の他に、Nch型とPch型を入れ替えた回路構成、さらにFETに代えNPN型とPNP型トランジスタを用いた構成でも適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1によるモータの駆動装置の構成を示す回路図である。
【図2】同実施の形態1に係る駆動パルスのタイムチャートである。
【図3】従来のモータの駆動装置の構成を示す回路図である。
【図4】従来の回路に用いる駆動パルスのタイムチャートである。
【図5】従来の回路動作について示す説明図である。
【符号の説明】
1 直流電源、2 高電圧電源、3 グラウンド、4,5 Nch型トランジスタ(出力トランジスタ)、6 Pch型トランジスタ、7 Nch型トランジスタ、8,9,10 インバータ、11 定電流回路、21,22 ツェナーダイオード、31u,31v,31w ステータコイル。

Claims (2)

  1. オン時にモータのステータコイルに駆動電流を流す第1の出力トランジスタと、
    オン時に前記ステータコイルから駆動電流をグラウンドに引き込む第2の出力トランジスタと、
    第1の駆動パルスに応答して前記第1の出力トランジスタをオン・オフ制御する第1のトランジスタスイッチと、
    前記第1の駆動パルスと異なるタイミングの第2の駆動パルスに応答して前記第1の出力トランジスタの他方をオン・オフ制御する回路と、
    前記第1の出力トランジスタのソースとゲート間に設けられ前記第1および第2の出力トランジスタの両者のオフ時に前記ソースに発生する高電圧を緩和する電圧クランプ回路と、
    前記電圧クランプ回路とグラウンド間に接続され、前記第1の駆動パルスに応答して前記クランプ電流を所定の微小電流で処理するよう動作する定電流回路を備えたことを特徴とするモータの駆動装置。
  2. 第1の駆動パルスの立ち下がり時と第2の駆動パルスの立ち上り時に同期し、かつ前記第1および第2の駆動パルスよりも十分短い期間を持つ第3の駆動パルスに応答してオンし、オフ時の第1の出力トランジスタのゲートを実質的にグラウンドに接続する第2のトランジスタスイッチを備えたことを特徴とする請求項1記載のモータの駆動装置。
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